JP2014065963A - 銀粉の製造方法及び銀粉製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】平均粒径が0.1μmから数μmで粒度分布が狭い銀粉を、生産性が高く低コストで製造できるようにする。
【解決手段】銀錯体を含む銀溶液Aを供給する銀溶液供給管10と、銀溶液供給管10の内側に配され、還元剤溶液Bを供給する還元剤溶液管20と、銀溶液供給管10を介して供給される銀溶液Aと還元剤溶液管20を介して供給される還元剤溶液Bとを混合する先端側混合反応領域ARを有する混合管30とからなり、先端側混合反応領域ARにおいて混合管30の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口31が1つ以上設けられた混合反応管40を用い、混合管30に、供給口31を介して混合管30の内周面に沿ってバッファ液体Cを供給しながら、銀錯体を含む銀溶液Aと還元剤溶液Bをそれぞれ定量的かつ連続的に供給して混合し、反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元して銀粒子を生成させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストの主成分となる銀粉の製造に用いる銀粉の製造方法及び銀粉製造装置に関する。
電子機器における配線層や電極などの形成には、樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストのような銀ペーストが多用されている。これらの銀ペーストは、塗布又は印刷した後、加熱硬化あるいは加熱焼成されることによって、配線層や電極などとなる導電膜を形成する。
例えば、樹脂型銀ペーストは、銀粉、樹脂、硬化剤、溶剤などからなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷し、100℃〜200℃で加熱硬化させて導電膜とし、配線や電極を形成する。また、焼成型銀ペーストは、銀粉、ガラス、溶剤などからなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷し、600℃〜800℃に加熱焼成して導電膜とし、配線や電極を形成する。これらの銀ペーストで形成された配線や電極では、銀粉が連なることで電気的に接続した電流パスが形成されている。
銀ペーストに使用される銀粉は、粒径が0.1μmから数μmであり、形成する配線の太さや電極の厚さによって使用される銀粉の粒径が異なる。また、ペースト中に均一に銀粉を分散させることにより、均一な太さの配線、均一な厚さの電極を形成することができる。
銀ペースト用の銀粉に求められる特性としては、用途及び使用条件により様々であるが、一般的で且つ重要なことは、粒径が均一で凝集が少なく、ペースト中への分散性が高いことである。粒径が均一で、且つペースト中への分散性が高いと、硬化あるいは焼成が均一に進み、低抵抗で強度の大きい導電膜を形成できるからである。逆に粒径が不均一で分散性が悪いと、印刷膜中に銀粒子が均一に存在しないため、配線や電極の太さや厚さが不均一となるばかりか、硬化あるいは焼成が不均一となるため、導電膜の抵抗が大きくなったり、導電膜が脆く弱いものになったりしやすい。
更に、銀ペースト用の銀粉に求められる事項として、製造コストが低いことも重要である。銀粉はペーストの主成分であるため、ペースト価格に占める割合が大きいためである。製造コストの低減のためには、生産性が高いことや、使用する原料や材料の単価が低いだけでなく、廃液や排気の処理コストが低いことも重要となる。
上記における銀ペーストに使用される銀粉の製造は、硝酸銀などの銀塩のアンミン錯体を含む溶液が入った槽内に還元剤溶液を投入して還元するバッチ式で行なわれることが多かった。しかしながら、バッチ式では、還元剤が投入された位置で局部的に還元反応が始まり、還元剤の投入開始から終了までの間で銀粒子の核が随時発生していくため、均一な粒径の銀粉を得ることは難しい。
そこで、連続的に製造する方法として、1つの反応管に銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液をそれぞれ定量的かつ連続的に供給し、銀溶液と還元剤溶液を反応管内で混合して反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元する銀粉の製造方法が特開2005−48236号公報(特許文献1)などで提案されている。
特開2005−48236号公報
しかしながら、先に提案されている従来の銀粉の製造方法では、連続的に銀粉を製造する場合に、反応路出口付近で析出する銀が次第に成長して反応管を閉塞させるために定期的に析出した銀を除去する必要があり、この問題により生産効率が抑制されている。
本発明の目的は、このような従来の事情に鑑み、平均粒径が0.1μmから数μmで粒度分布が狭い銀粉を、生産性が高く低コストで製造することのできる銀粉の製造方法及び銀粉製造装置を提供することにある。
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、反応管内の反応液中で成長した銀粒子が、反応管出口端面および反応管出口付近の内壁に付着しないようにするため、反応管出口付近の内壁と銀粒子を含む反応液の間にバッファとなる液体を流すことで、銀粒子の析出を抑制して閉塞問題を回避できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、銀粉の製造方法であって、銀錯体を含む銀溶液を先端側混合反応領域に供給する銀溶液供給管と、上記銀溶液供給管の内側に配され、還元剤溶液を上記先端側混合反応領域に供給する還元剤溶液管と、上記銀溶液供給管を介して供給される銀溶液と上記還元剤溶液管を介して供給される還元剤溶液を混合する先端側混合反応領域を有する混合管とからなり、上記先端側混合反応領域において該混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が1つ以上設けられた混合反応管を用い、上記混合管に、上記供給口を介して該混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給しながら、銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液をそれぞれ定量的かつ連続的に供給し、該銀溶液と該還元剤溶液を先端側混合反応領域で混合して反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元して銀粒子を生成させることを特徴とする。
本発明に係る銀粉の製造方法では、上記混合管の長手方向に1段以上設けられた供給口を介して、上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給することができる。
さらに、本発明に係る銀粉の製造方法では、上記混合管の長手方向に2段以上設けられ、各段の供給口ピッチの位相をずらしてある複数の供給口を介して、上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給することができる。
また、本発明は、銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液をそれぞれ定量的かつ連続的に反応管内に供給し、銀溶液と還元剤溶液を反応管内で混合して反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元して銀粒子を生成させる銀粉製造装置であって、銀錯体を含む銀溶液を先端側混合反応領域に供給する銀溶液供給管と、上記銀溶液供給管の内側に配され、還元剤溶液を上記先端側混合反応領域に供給する還元剤溶液管と、上記銀溶液供給管を介して供給される銀溶液と上記還元剤溶液管を介して供給される還元剤溶液を混合する上記先端側混合反応領域を有する混合管とからなる混合反応管を備え、上記混合管には、上記先端側混合反応領域において該混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が1つ以上設けてあることを特徴とする。
本発明に係る銀粉製造装置では、上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が、上記混合管の長手方向に1段以上設けてあるものとすることができる。
さらに、本発明に係る銀粉製造装置では、上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が、上記混合管の長手方向に2段以上設けてあり、各段の供給口ピッチの位相をずらしてあるものとすることができる。
本発明によれば、混合反応管に、供給口を介して混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給しながら、銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液をそれぞれ定量的かつ連続的に供給して混合し、反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元して銀粒子を生成させているので、混合反応管の出口付近で生じる銀粒子の析出を抑制して、混合管出口における閉塞状態を回避することができる。
さらに、本発明により製造される銀粉は、適度な粒径を有するとともに粒度分布が狭く、電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストなどのペースト用銀粉として好適であり、その工業的価値は極めて大きいものである。
本発明を適用した銀粉製造装置の構成を示す外観斜視図である。 銀粉製造装置の要部縦断側面図である。 銀粉製造装置の要部縦断正面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態に係る銀粉の製造方法は、銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液とを混合して反応液とし、その反応液中の銀錯体を還元して銀粒子スラリーを得た後、濾過、洗浄、乾燥の各工程を経て銀粉を製造する方法である。
特に、本実施の形態に係る製造方法では、銀溶液と還元剤溶液とを定量的に且つ連続的に一定の空間に供給し、これらを混合することによって還元反応を生じせしめ、還元反応が終了した還元後液、すなわち銀粒子スラリーを定量的かつ連続的に排出するようにする。
このように、定量的かつ連続的に各溶液を供給して還元させることで、還元反応場の銀錯体の濃度と還元剤の濃度が一定に保たれ、一定の粒子成長を図ることができる。そして、これにより、得られる銀粒子の大きさが揃い、粒度分布がシャープな均一な粒径を有する銀粉を得ることができる。さらに、銀溶液と還元剤溶液の供給と銀粒子スラリーの排出を連続的に行うことで、連続的に銀粉を得ることができ、高い生産性でもって銀粉を製造することができる。
ここで、銀溶液は、還元されて銀となる銀錯体を含む溶液であり、塩化銀や硝酸銀等の各種銀塩を銀の原料として用いることができる。その中でも、塩化銀をアンモニア水に溶解することにより得たものであることが好ましい。このように、塩化銀を原料とすることにより、硝酸銀を出発原料とする方法で必要とされた亜硝酸ガスの回収装置や廃水中の硝酸系窒素の処理装置を設置する必要がなく、環境への影響も少ないプロセスとなり、製造コストの低減を図ることができる。また、塩化銀を用いることにより、粒径制御と反応液中の銀の高濃度化を容易に行うことができる。
還元剤溶液は、銀溶液に含まれる銀錯体を還元して銀粒子を生成させる還元剤を含む溶液である。その還元剤としては、特に限定されるものではなく、一般的なヒドラジンやホルマリン等を用いることもできるが、その中でもアスコルビン酸を用いることが好ましい。アスコルビン酸は、その還元作用が緩やかであるため、銀粒子中の結晶粒が成長し易く、また銀濃度が高濃度の反応液中でも粒径制御を容易に行うことができる。
また、還元剤溶液としては、溶液中に銀核を添加したものを用いてもよい。この銀核を含有した還元剤溶液(核含有還元剤溶液)を用いて銀溶液と反応させることにより、核生成とその後の粒子成長を還元剤の標準電極電位によって制御することができ、より効果的に、均一で所望とする粒径の粒子を得ることができる。具体的には、還元力の強い強還元剤を含む溶液に銀錯体を含む核生成用銀溶液を添加して得た銀核溶液に、その強還元剤よりも標準電極電位が高い弱還元剤を添加して核含有還元剤溶液とする。
なお、銀溶液又は還元剤溶液には、ポリビニルアルコール等の分散剤をさらに添加してもよい。これにより、得られる銀粒子の凝集を抑制することができる。
ところで、従来の銀粉の製造方法では、上述のように連続的に銀粒子スラリーを生成させようとした場合に、反応路の出口付近で析出生成する銀粒子が次第に成長し、反応管を閉塞させることがあった。そのため、析出した銀粒子を定期的に除去する必要が生じ、生産効率を著しく損なわせていた。
そこで、本実施の形態に係る銀粉の製造方法においては、例えば図1に示すような構成の銀粉製造装置100を用いて行うことを特徴としている。
この銀粉製造装置100は、図1に示すように、銀溶液供給管10と、還元剤溶液供給管20と、混合管30とからなる混合反応管40を備える。
銀溶液供給管10は、銀錯体を含む銀溶液Aを定量的に且つ連続的に先端側混合反応領域ARに供給する供給管である。この銀溶液供給管10の材質としては、特に限定されず、供給する銀溶液Aと反応しない材質を選択すればよく、例えば塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等から選択することができる。
還元剤溶液供給管20は、銀溶液供給管10の内側に配され、還元剤溶液Bを定量的に且つ連続的に先端側混合反応領域ARに供給する供給管である。この還元剤溶液供給管20の材質についても、特に限定されず、還元剤溶液Bと反応しない材質を選択すればよく、例えば塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等から選択することができる。
これら銀溶液供給管10、還元剤溶液供給管20を介して、それぞれ銀溶液A、還元剤溶液Bを後述する混合管30に供給する手段としては、一般的な定量ポンプ等を用いることができるが、脈動の小さいものが好ましい。
また、それぞれの供給管10,20を介して供給する銀溶液と還元剤溶液の流量としては、特に限定されず、所望とする粒径の大きさに応じて適宜設定することができるが、一方が他方の10倍以下であることが好ましい。各溶液の流量に10倍以上の差があると、均一に混合されにくいという問題がある。各溶液の流量は、特に限定されないが、0.1L/min以上、10L/min以下とすることが好ましい。流量が0.1L/min未満の場合では、生産性が悪化するため好ましくない。一方で、流量が10L/minより多い場合では、均一に混合され難くなり、還元反応が不十分になる可能性がある。
また。各溶液の流速についても、特に限定されないが、0.02m/sec以上、2.20m/sec以下とすることが好ましい。流速が0.02m/sec未満の場合では、生産性が悪化するため好ましくない。一方で、流速が2.20m/secより多い場合では、均一に混合され難くなり、還元反応が不十分になる可能性がある。
混合管30は、銀溶液供給管10を介して供給される銀溶液Aと、還元剤溶液管20を介して供給される還元剤溶液Bとを混合する先端側混合反応領域ARを有し、供給された各溶液による還元反応の反応場となって、定量的に且つ連続的に銀粒子を生成させる。この混合管30の材質としては、特に限定されないが、銀溶液Aや還元剤溶液Bと反応しないことと、還元反応により生成した銀粒子が付着しないことが選択上重要であり、特にガラスであることが好ましい。
また、この混合管30には、先端側混合反応領域ARにおいて、この混合管30の内周面に沿ってバッファ液体Cを供給する供給口31が1つ以上設けられている。
具体的な構造例として、図2に先端側混合反応領域AR部分の要部縦断側面図を示し、図3に図2の要部縦断側面図におけるX−X’線断面図を示す。例えば、この図2及び図3に示すように、混合管30には、混合管30の出口から5mmの位置に、銀析出防止用のバッファ液体Cを注入するための1段目の供給口31Aが周方向に90度間隔で4ヶ所設けられている。さらに、この混合管30には、例えばその出口から15mmの位置に、銀析出防止用のバッファ液体Cを注入するための2段目の供給口31Bが1段目の供給口31Aに対して45度ピッチをずらして周方向に90度間隔で4ヶ所設けられている。
本実施の形態に係る銀粉の製造方法においては、例えば、上述した2段構成の8ヶ所の供給口31A,31Bから水等のバッファ液体Cを混合管30の内周面に沿って供給しながら、各溶液を定量的に且つ連続的に供給して混合させるようにする。すると、混合管30では、内周面に沿ってバッファ液体Cが供給されることで、そのバッファ液体Cによるバッファ層が混合管30の出口付近の全周囲に亘って形成されるようになり、混合管30の出口付近で銀粒子が析出することを抑制し、混合管30の出口が閉塞状態になることを回避することができる。
このように、混合管30の内周面に沿ってバッファ液体Cを供給しながら、銀溶液Aと還元剤溶液Bをそれぞれ定量的かつ連続的に供給して混合させ、反応液中で銀錯体を還元して銀粒子を生成させることにより、混合反応管30の出口付近で生じる銀粒子の析出を抑制して、混合管出口における閉塞状態を回避することができ、長時間に亘って効率よく銀粒子を生成させることができる。
なお、混合管30におけるバッファ液体Cを注入するための供給口の設置位置や設置数、設置段数等については、上述した構造例に限定されず、その混合管30の内周面に沿ってバッファ液をする供給する供給口を少なくとも1つ以上設けていればよい。
また、上述した反応混合管40における混合管30の下流側には、蛇管等を接続させるようにしてもよい。これにより、反応場が十分な長さとすることができ、還元反応を100%終了させるようにすることにより、未還元の銀錯体が残留して粗大な銀粒子が生成されることを防止できる。
また、混合反応管40内で銀溶液Aと還元剤溶液Bとが混合されて還元反応が終了した反応液は、一旦、所定の槽に受けるようにしてもよい(以下、この槽を「受槽」という)。なお、受槽内では、還元により生成した銀粒子が沈降しないように攪拌することが必要になる。銀粒子が沈降すると、銀粒子同士が凝集体を形成し分散性が悪くなってしまい好ましくない。受槽内での攪拌は、銀粒子が沈降しない程度の能力で攪拌すればよく、一般的な攪拌機を用いて攪拌すればよい。受槽に入った反応液は、ポンプによりフィルタープレス等の濾過機に送液され、連続的に次の工程へと流すことができる。
以上のようにして銀粉製造装置100にて銀粒子スラリーを生成すると、続いて、その銀粒子スラリーを濾過した後、洗浄し、乾燥することによって銀粉を生成する。
洗浄方法としては、特に限定されるものではないが、例えば銀粒子を水に投入し、攪拌機又は超音波洗浄器を使用して攪拌した後、フィルタープレス等で濾過して回収する方法が用いられる。この洗浄方法において、水への投入、攪拌洗浄及び濾過からなる操作を、数回繰り返して行うことが好ましい。また、洗浄に用いる水は、銀粉に対して有害な不純物元素を含有していない水を使用し、特に純水を使用することが好ましい。
次に、洗浄後の銀粉を乾燥させて、水分を蒸発させる。乾燥方法としては、特に限定されるものではないが、例えば洗浄後の銀粒子をステンレスバット上に置き、大気オーブン又は真空乾燥機等の市販の乾燥装置を用いて、40〜80℃程度の温度で加熱することにより行うことができる。
以上、詳細に説明したように、本実施の形態に係る銀粉の製造方法では、銀溶液と還元剤溶液とを定量的かつ連続的に供給して混合することによって反応液とし、その反応液中で銀錯体を還元して銀粒子を成長させるようにする。このように、各溶液を定量的かつ連続的に供給して混合させることで、還元反応場の銀錯体の濃度と還元剤の濃度が一定に保たれ、一定の粒子成長を図ることができ、微粒を含まず、均一な粒径を有する銀粉を製造することができる。
具体的には、例えば、走査型電子顕微鏡観察による一次粒子の平均粒径が0.3〜2.0μmであり、粒径の相対標準偏差(標準偏差σ/平均粒径d)が0.3以下、好ましくは0.25以下の銀粉を製造することができる。なお、ここで言う一次粒子とは、外見上から判断して、単位粒子と考えられるものを意味する。このような均一で粒度分布が狭い銀粉は、電子機器の配線層や電極等の形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペースト等のペースト用銀粉として好適に用いることができる。
また、このような定量的に且つ連続的な製造方法によれば、高い生産性でもって効率的に銀粉を製造することができる。
しかも、本実施の形態に係る銀粉の製造方法では、上述したような反応混合管40を用いて、その混合管30の内周面に沿ってバッファ液体Cを供給しながら、銀溶液Aと還元剤溶液Bをそれぞれ定量的かつ連続的に供給して先端側混合反応領域ARで混合させ、銀粒子を生成させるようにしている。
このような製造方法によれば、混合反応管30の出口付近で生じる銀粒子の析出を抑制し、その銀粒子の析出による混合管出口における閉塞状態を回避することができ、長時間に亘って銀粉を効率よく製造することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
38℃の温浴中において液温36℃に保持した25%アンモニア水166mLと純水3.21Lの混合液に、塩化銀8.31g(住友金属鉱山(株)製、純度99.9999%)を攪拌しながら投入して核生成用銀溶液(溶液中の銀濃度1.5g/L)を作製した。次に、分散剤のポリビニルアルコール41g((株)クラレ製、PVA205)を36℃の純水6.48Lに溶解し、そこへ強還元剤であるヒドラジン一水和物1.62mL(核生成用銀溶液中の銀量に対して2.5当量)を添加して得られた還元剤溶液を、温浴中において36℃に保持した。そして、還元剤溶液中に、56mL/minの流量で核生成用銀溶液を添加して銀核を生成させて銀核溶液とした。
次に、得られた銀核溶液に、弱還元剤であるアスコルビン酸665g(下記の粒子成長用銀溶液中の銀量に対して1.4当量)を添加して核含有還元剤溶液とした。
一方、33℃の温浴中において液温32℃に保持した25%アンモニア水18Lに、塩化銀947g(住友金属鉱山(株)製、純度99.9999%)を攪拌しながら投入して粒子成長用銀溶液(溶液中の銀濃度35g/L)を作製した。消泡剤((株)アデカ製、アデカノールLG−126)を体積比で100倍に希釈し、この消泡剤希釈液8.3mLを粒子成長用銀溶液に添加して温浴中において32℃に保持した。なお、核含有還元剤溶液に添加したポリビニルアルコールの添加量は、粒子成長用銀溶液中の銀量に対して3.5質量%となる。
チューブポンプ(MASTERFLEX製)を使用し、粒子成長用銀溶液と核含有還元剤溶液とを、それぞれ2.7L/min、0.90L/minで、図1に示すような銀粉製造装置100の混合反応管40内に供給して混合することで反応液とした。
混合反応管40は、全体の長さが250mm(混合管30の長さ:150mm)で、銀溶液供給管10は内径10mmで、還元剤溶液供給管20は内径3mmのL字形で銀溶液供給管10の中心に銀溶液供給管内部の長さ40mmの構造を有したガラス製のものを用いた。混合反応管40から出た反応液は、混合反応管40の後段に接続した内径12mm、長さ10mポリプロピレン製チューブ内で還元反応を完全に終了させた後、銀錯体を還元して得られた銀粒子スラリーとして受槽内に貯留した。2液の送液が終了した後、受槽内での攪拌は30分継続した。
また、混合反応管40には、出口から5mmの位置に1段目の銀析出防止用の注入水の供給口31Aを周方向に90度間隔で4ヶ所設け、さらに出口から15mmの位置に2段目の銀析出防止用の注入水の供給口31Bを1段目に対して45度ずつ(半ピッチ)ずらして周方向に90度間隔で4ヶ所設けた。各供給口31A,31Bの内径は4mmとし、各供給口31A,31Bを介して混合反応管の内周面に沿って注入水を0.036L/minの流量で供給しながら各溶液を混合させた。
そして、混合反応管40において、粒子成長用銀溶液と核含有還元剤溶液を供給するポンプに圧力センサーを装備し、出口付近に銀が析出して閉塞状態となったことを示す信号が圧力センサーから発せられるようにした状態で銀粉の製造を行った。
その結果、混合反応管40を8時間連続で使用しても、混合反応管40の出口付近で閉塞現象は発生せず、閉塞状態となったことを示す信号が発せられることはなかった。
このようにして製造した銀粒子スラリーは、受槽内での攪拌を終了した後、フィルタープレスで濾過し、銀粒子を固液分離した。続いて、回収した銀粒子を0.05mol/LのNaOH水溶液23L中に投入し、そこへステアリン酸エマルジョン(中京油脂(株)製、セロゾール920)17.8gを添加し、15分間攪拌した後、フィルタープレスで濾過して回収した。0.05mol/LのNaOH水溶液への投入、攪拌、及び濾過からなる操作を更に2回繰返した後、回収した銀粒子を純水23L中に投入し、15分間の攪拌による洗浄と、フィルタープレスによる濾過からなる操作を行った。その後、銀粒子をステンレスバットに移し、真空乾燥機にて60℃で10時間乾燥して銀粉を得た。1ロット製造途中で一時製造を中断した。そのため、反応管および反応管の後段に接続したポリプロピレン製チューブを交換した後に、製造を再開して実施例と同量の1ロット分の銀粉を得た。
得られた銀核と銀粉の双方ともに、均一な粒子からなるものであった。また、SEM像より300個以上の一次粒子の粒径を測長して粒子数で平均することで求めた銀核と銀粉の平均粒径は、それぞれ0.11μmと0.81μmであり、測定結果より得られた銀粉の粒径の相対標準偏差(標準偏差σ/平均粒径d)は0.18であり、均一で微粒がないことが確認された。
(比較例1)
銀析出防止用の注入水の供給口を設けず、注入水を供給せずに銀粉の製造を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様の反応管を用い、その他の製造条件も同様にして銀粉を製造した。
その結果、得られた銀粉は、粒径の相対標準偏差は0.18で、実施例1と同様に、均一で微粒がない銀粉が製造された。
しかしながら、粒子成長用銀溶液と核含有還元剤溶液を供給するポンプに設けられた圧力センサーから連続操業4時間程度で出口付近に銀が析出して閉塞状態となったことを示す信号が発せられ、1ロット製造途中で一時製造を中断した。そのため、反応管および反応管の後段に接続したポリプロピレン製チューブを交換した後に、製造を再開して実施例1と同量の1ロット分の銀粉を得た。
10 銀溶液供給管、20 還元剤溶液供給管、30 混合管、31,31A,31B 供給口、40 混合反応管、100 銀粉製造装置、A 銀溶液、B 還元剤溶液、C バッファ液体、AR 先端側混合反応領域

Claims (6)

  1. 銀錯体を含む銀溶液を先端側混合反応領域に供給する銀溶液供給管と、上記銀溶液供給管の内側に配され、還元剤溶液を上記先端側混合反応領域に供給する還元剤溶液管と、上記銀溶液供給管を介して供給される銀溶液と上記還元剤溶液管を介して供給される還元剤溶液を混合する先端側混合反応領域を有する混合管とからなり、上記先端側混合反応領域において該混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が1つ以上設けられた混合反応管を用い、
    上記混合管に、上記供給口を介して該混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給しながら、銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液をそれぞれ定量的かつ連続的に供給し、該銀溶液と該還元剤溶液とを先端側混合反応領域で混合して反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元して銀粒子を生成させることを特徴とする銀粉の製造方法。
  2. 上記混合管の長手方向に1段以上設けられた供給口を介して、上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給することを特徴とする請求項1記載の銀粉の製造方法。
  3. 上記混合管の長手方向に2段以上設けられ、各段の供給口ピッチの位相をずらしてある複数の供給口を介して、上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給することを特徴とする請求項1記載の銀粉の製造方法。
  4. 銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液をそれぞれ定量的かつ連続的に反応管内に供給し、銀溶液と還元剤溶液を反応管内で混合して反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元して銀粒子を生成させる銀粉製造装置であって、
    銀錯体を含む銀溶液を先端側混合反応領域に供給する銀溶液供給管と、
    上記銀溶液供給管の内側に配され、還元剤溶液を上記先端側混合反応領域に供給する還元剤溶液管と、
    上記銀溶液供給管を介して供給される銀溶液と上記還元剤溶液管を介して供給される還元剤溶液を混合する上記先端側混合反応領域を有する混合管とからなる混合反応管を備え、
    上記混合管には、上記先端側混合反応領域において該混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が1つ以上設けてあることを特徴とする銀粉製造装置。
  5. 上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が、上記混合管の長手方向に1段以上設けてあることを特徴とする請求項4記載の銀粉製造装置。
  6. 上記混合管の内周面に沿ってバッファ液体を供給する供給口が、上記混合管の長手方向に2段以上設けてあり、各段の供給口ピッチの位相をずらしてあることを特徴とする請求項4記載の銀粉製造装置。
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