JP2014065842A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性、難燃性に優れるとともに、白色への塗装工程を必要としない、LED放熱部材に適したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、無機充填剤を160質量部以上250質量部以下配合してなる樹脂組成物であって、配合比(質量比)が100:10以上、100:75以下の水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)とを含有し、前記水酸化マグネシウム(B)および前記酸化チタン(C)の合計配合量は、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、60質量部以上、160質量部以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は照明用放熱部材などの熱伝導性、白色性、難燃性が要求される用途に有用なポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す場合もある)は高耐熱性のスーパーエンジニアリングプラスチックに属し、機械的強度、剛性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性などを有していることから、射出成形用を中心として、各種電気・電子部品、家電部品、自動車部品および機械部品などの用途に幅広く使用されている。
一方、環境低負荷に対する観点から蛍光灯や電球と比較して、省電力で長寿命な性能を有する光源としてLED(エルイーディー:Light Emitting Diode)が数多く開発され、市場に供されている。特に照明用等に用いられる高発光効率のLEDは、優れた省電力性と長寿命性を有する点で注目され、用途が拡大されつつある。
LEDの発する光の強さを増大させるためには、供給する電流を多くする必要があるが、素子は熱に弱く、80℃以上になると劣化が始まるためLED寿命の低下、それに伴い明るさが低下するという特性がある。LED寿命の低下、明るさの低下を防ぐためには、適切に放熱する部材を用いることが好ましく、適切に放熱されないと上述する発光効率の低下や寿命の短縮でLEDの利点が失われる他、発煙・発火などの事故に繋がるおそれがある。
従来、高発光効率LEDの放熱対策として、LED基板や筐体にはアルミダイカストなどの金属材料がLED放熱部材として用いられている。しかし、ダイカストなどの金属材料は部品を作製する際に、一つずつ切削、さらに白色への塗装が必要であり加工に手間がかかるため、コストが高くなる。また、蛍光灯や電球と比較して製品重量が増すためにソケットや天井保持器具が重みに耐えられず落下する危険性があるなどの課題がある。
このため、上記LED放熱部材の課題に対し、熱伝導性、白色性、難燃性を有し、軽量化可能である新たな樹脂材料が求められている。
LED放熱部材として、特許文献1には、ポリフェニレンスルフィド樹脂、水酸化マグネシウム、ガラス繊維およびオレフィン系樹脂を主成分とする、成形加工性、熱伝導性、成形品薄肉部への充填性と機械的強度に優れたLED放熱用部材が開示されている。しかしながら、特許文献1の部材の自然色はベージュ色であるため、白色へ塗装工程が必要であり、白色性を有するLED放熱用部材を得る方法については何ら記載されていない。
また、特許文献2にはポリフェニレンスルフィド樹脂、補強材、酸化チタン、トリアジン化合物を配合してなる耐光変色性に優れ、電気照明用部品、屋外で使用する部品に有用なポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献2の樹脂組成物は、LED放熱用部材に適した難燃性を有しておらず、白色性を有し、かつLED放熱用部材に適する難燃性を有する樹脂組成物を得る方法については何ら記載されていない。
さらに、特許文献3には、ポリフェニレンスルフィド樹脂に水酸化マグネシウムと繊維状および/または非繊維状充填材からなる耐トラッキング性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が開示されている。しかし、当樹脂組成物の自然色はベージュ色であるため、白色へ塗装工程が必要であり、白色性を有するLED放熱用部材を得る方法については何ら記載されていない。
特開2011−228685号公報 特開2000−136305号公報 特開2001−288363号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱伝導性、難燃性に優れるとともに、白色への塗装工程を必要としない、LED放熱部材に適したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、PPS樹脂に水酸化マグネシウムと酸化チタンを所定の比率、および所定の割合配合することで、白色性を有し、かつ熱伝導性、難燃性に優れた、LED放熱部材に適したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、無機充填剤を160質量部以上250質量部以下配合してなる樹脂組成物であって、前記無機充填剤は、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)とを含有し、前記水酸化マグネシウム(B)および前記酸化チタン(C)の合計配合量は、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、60質量部以上、160質量部以下であり、前記水酸化マグネシウム(B)と前記酸化チタン(C)の配合比(質量比)は、100:10以上、100:75以下であることを特徴とする。
また、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、上記発明において、青色顔料(D)がさらに配合されてなり、該青色顔料(D)の配合量は、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、0.05質量部以上、0.5質量部以下であることを特徴とする。
また、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、上記発明において、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形して得られる成形品の物体色は、国際照明委員会(CIE)測色用標準イルミナントC光源下で、C光を前記成形品に照射した際の反射光がCIE−LAB表色系でL値が82以上、b値が0以上、8以下であることを特徴とする。
また、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、上記発明において、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を厚み0.38mmに成形した際のUL94規格の難燃レベルが、V−0であることを特徴とする。
また、本発明の成形品は、上記のいずれか一つに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とする。
また、本発明の成形品は、上記発明において、照明用放熱部材であることを特徴とする。
本発明によれば、射出成形した際、照明用放熱部材などの熱伝導性、白色性、機械的強度、難燃性が要求される用途に有用なポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、無機充填剤を160質量部以上250質量部以下配合してなる樹脂組成物であって、前記無機充填剤は、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)とを含有し、前記水酸化マグネシウム(B)および前記酸化チタン(C)の合計配合量は、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、60質量部以上、160質量部以下であり、前記水酸化マグネシウム(B)と前記酸化チタン(C)の配合比(質量比)は、100:10以上、100:75以下であることを特徴とする。
本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂(A)としては、ポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィドに加え、ポリアリーレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンスルフィドケトン、およびこれらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが含まれる。中でもポリアリーレンスルフィドが特に好ましく使用される。本発明で使用するポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体である。ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)が、構造式(I)で示される繰り返し単位を70モル%以上含む場合、耐熱性が優れるため好ましい。
Figure 2014065842
また、本発明で使用するポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式で表される繰り返し単位などで構成することが可能である。本発明で使用するポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、上記構造式(I)で示される繰り返し単位と、下記の構造式で表される繰り返し単位の少なくとも1種とから構成されるランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、あるいは、上記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体と、下記の構造式で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する重合体の混合物であってもよい。
Figure 2014065842
本発明で使用するポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、公知の如何なる回収方法を採用しても良い。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いても良い。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要もなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用しても良い。
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、急冷条件下での回収の好ましい一つの方法としては、フラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。重合反応物をフラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選択される。
本発明においては、上記のようにして得られたポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。しかしながら、空気中加熱による架橋/高分子量化はポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の酸化着色を招くため、白色性の目標を達成するために、加熱による架橋/高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を有機溶媒で洗浄する場合、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく使用することができる。例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが使用される。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上を混合して使用することも好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を有機溶媒で洗浄する具体的方法としては、有機溶媒中にポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)と水との割合は、水が多い方がよく、好ましくは水1リットルに対し、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)が200g以下の浴比で使用される。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を酸処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが用いられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。
酸処理を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、残留している酸または塩などを除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
本発明で用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度に特に制限はないが、より優れた流動性を得る意味からその溶融粘度は低い方が好ましい。例えば1Pa・s以上(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)が好ましく、より好ましくは2Pa・s以上である。また、成型加工性の観点から、上限は25Pa・s以下が好ましく、より好ましくは20Pa・s以下である。
なお、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度は東洋精機(株)社製キャピログラフを用い、ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/sの条件により測定することができる。
また、本発明で用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂(A)は、より優れた流動性を得る目的で、溶融粘度の異なる2種のポリフェニレンスルフィド樹脂を併用しても良い。例えば、低溶融粘度ポリフェニレンスルフィド樹脂として1Pa・s以上、より好ましくは2Pa・s以上、上限bは25Pa・s以下、より好ましくは20Pa・s以下(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)のものと、高溶融粘度ポリフェニレンスルフィド樹脂として30Pa・s以上、より好ましくは40Pa・s以上、上限は90Pa・s以下、より好ましくは60Pa・s以下(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)のものを併用するのが好ましい。低溶融粘度ポリフェニレンスルフィド樹脂/高溶融粘度ポリフェニレンスルフィド樹脂の併用比率(質量比)は95:5〜70:30であることが好ましく、より好ましくは、95:5〜65:35である。
本発明に用いる水酸化マグネシウム(B)は、化学式Mg(OH)で示される無機物を80質量%以上含む比較的純度の高い水酸化マグネシウムが好ましく、熱伝導率、機械的強度や溶融粘度の点から、好ましくはMg(OH)で示される無機物を80質量%以上含有し、CaOの含有量が5質量%以下、塩素の含有量が1質量%以下の水酸化マクネシウム、より好ましくはMg(OH)を95質量%以上含みかつ、CaOの含有量が1質量%以下、塩素の含有量が0.5質量%以下の水酸化マクネシウム、さらに好ましくは、Mg(OH)を98質量%以上含みかつ、CaOの含有量が0.1質量%以下、塩素の含有量が0.1質量%以下の高純度水酸化マグネシウムが適している。
本発明で使用される水酸化マグネシウム(B)の形状は、粒子状、フレーク状、繊維状いずれでもよいが、分散性などの観点から、粒子状、フレーク状が最も好適である。また、水酸化マグネシウム(B)の粒子径に関して特に限定はないが、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の機械的強度や溶融粘性のバランス上、レーザー回折法によって測定した平均粒子径が0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜4μmの範囲のものが適当である。
また、本発明で使用する水酸化マグネシウム(B)として、上記の水酸化マグネシウム(B)を、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシランなどのビニルシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン化合物、ステアリン酸、オレイン酸、モンタン酸、ステアリルアルコールなどの長鎖脂肪酸または長鎖脂肪族アルコールで表面処理したものを使用することが好ましい。本発明で使用する水酸化マグネシウム(B)として、特にエポキシシラン化合物、アミノシラン化合物で表面処理した水酸化マグネシウムの適用は熱伝導性向上効果、機械的強度の点で好適である。
本発明に用いる酸化チタン(C)としては、特に制限はなく、公知のものが使用できる。酸化チタンは、ルチル型、あるいはアナターゼ型などの結晶型を持つが、ルチル型の結晶型は白着色性と熱安定性に優れるため好ましく使用される。
レーザー回折法で測定した酸化チタン(C)の平均粒子径としては、0.05〜5μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1μmの範囲である。平均粒子径が5μmを越えると、成形品の表面平滑性が低下する傾向にあり好ましくない。
また、本発明で使用する酸化チタン(C)として、上記の酸化チタン(C)にシリカ、アルミナ、リン酸アルミニウム、ジルコニア、アルミニウム等の無機化合物からなる被覆部を形成したものが使用できる。また、本発明で使用する酸化チタン(C)として、前記被覆部を有する酸化チタン粒子、または前記被覆部を有しない酸化チタン粒子に、シラノール、シランカップリング剤等の有機シラン化合物、シロキサン、アミノシラン、チタンカップリング剤、アルコールアミン、ポリエチレングリコール等のポリオール等の有機化合物を用いて表面処理したもの、あるいは前記被覆部を有する酸化チタン粒子、または前記被覆部を有しない酸化チタン粒子に、さらにアルコールアミン、ポリエチレングリコール等のポリオール等の有機化合物からなる被覆部を形成したものを用いることもできる。
本発明に用いる青色顔料(D)は、青色を発色する顔料として使用可能であれば、無機、有機、天然または合成を問わない。本発明に用いる青色顔料(D)としては、群青、岩群青、紺青等が例示される。中でも、合成青色無機顔料である群青が好ましい。群青は、硫黄を含むアルミノシリケート錯体の微粒子である。一例としてNa(8〜9)AlSi24(2〜4)が挙げられる。黄色度を低下させ、白色度を向上せしめる目的で、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、青色顔料(D)を0.05質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上である。また、青色顔料(D)の配合量の上限は、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して0.5質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.4質量部以下である。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物において、水酸化マグネシウム(B)、酸化チタン(C)以外の無機充填材を配合することは機械的強度向上などの点で好ましい。かかる無機充填材の具体例としては、ガラス繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウムなどの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、およびシリカなどの非繊維状充填材が用いられ、これらは中空であってもよい。さらには、これらの無機充填剤を、2種類以上併用することも可能である。機械的強度向上の観点から、ガラス繊維を用いるのが好ましい。
また、これらの無機充填材を、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、熱伝導性を向上せしめる目的で、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)を含めた無機充填材を、ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、160質量部以上含有することが必須であり、好ましくは180質量部以上である。また、無機充填材の配合量の上限は250質量部以下とすることが必須であり、好ましくは240質量部以下である。160質量部未満では、熱伝導率が低くなり、LEDの温度上昇による放熱効果が低くなるため、LEDの点灯時の明るさ、発光効率、寿命が低下するため好ましくない。また、250質量部を超えて配合すると、押出加工性が悪くなり、ペレタイズが困難であり、好ましくない。
また本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、白色性および熱伝導性を向上せしめる目的で、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)とを合計量で、60質量部以上含有することが必須であり、好ましくは80質量部以上である。また、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)との合計配合量の上限は、160質量部以下とすることが必須であり、好ましくは140質量部以下である。60質量部未満では、白色性が低下し、LED放熱部材に適さないため好ましくない。また、160質量部を超えて配合すると、押出加工性が悪くなり、ペレタイズが困難であり、好ましくない。
さらに本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、白色性と難燃性を両方向上せしめる目的で、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)との配合比(質量比)を、水酸化マグネシウム(B)100質量部に対し酸化チタン(C)を10質量部以上とすることが必須であり、好ましくは酸化チタン(C)を12質量部以上である。また、酸化マグネシウム(B)100質量部に対する酸化チタン(C)の配合量の上限は、75質量部以下とすることが必須であり、好ましくは70質量部以下である。水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)の配合比(質量比)が100:10未満では白色性が低下し、LED放熱部材に適さないため好ましくない。また、100:75を超える配合比では難燃性が低下し、LED放熱部材に適さないため好ましくない。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキサイドオリゴマー系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、無機微粒子、有機リン化合物、金属酸化物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルボキシル基やカルボン酸エステル基や酸無水物基やエポキシ基などの官能基を有するオレフィン系コポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、モンタン酸ワックス類、モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素、ポリエチレンワックス、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン、ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等の酸化防止剤、耐候剤および紫外線防止剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、発泡剤、染料、蛍光増白剤(ベンゾオキサゾール系)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンの組み合わせ等)などの通常の添加剤を添加することができる。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、通常公知の方法で製造される。例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および必要に応じて無機充填材やその他の必要な添加剤を予備混合して、または予備混合することなく押出機などに供給して十分溶融混練することにより調製される。具体的には原料の混合物を単軸あるいは二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの通常公知の溶融混練機に供して260〜400℃の温度で混練する方法などを例として挙げることができる。また、原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を上記の方法により溶融混練し、さらに残りの原材料を溶融混練する方法、あるいは一部の原料を単軸あるいは二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することももちろん可能である。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形して得られる成形品の物体色は、国際照明委員会(CIE)測色用標準イルミナントC光源下で、C光を成形品に照射した際の反射光がCIE−LAB表色系でL値が82以上、b値が0以上8以下の範囲のものである。成形品の物体色がCIE−LAB表色系でL値が82以上、b値が0以上8以下である場合、白色への塗装工程が不要となるため、LED放熱部材に好適である。さらに好ましくは、L値が83以上、b値が0以上4以下の範囲のものが用いられる。なお、L値は明度を表し、L=0は黒、L=100は白の拡散色を示す。bは黄色度を表し、負の値は青色、正の値は黄色であることを示し、数値が大きいほど彩度が高いことを示す。
また本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)を、100:10以上、好ましくは100:12以上、上限は100:75以下、好ましくは100:70以下の配合比(質量比)で用いているため、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を、厚み0.38mmに成形した際のUL94規格の難燃レベルがV−0となり、LED放熱部材に好適である。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は通常の成形方法(射出成形、プレス成形、インジェクションプレス成形など)により、溶融成形ができ、得られる成形品はLED放熱用部材などに適している。なかでも量産性の点から射出成形、インジェクションプレス成形により成形することが好ましい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、熱伝導性、難燃性に優れ、かつ白色性を有しているため、LEDの発熱に対する放熱性が必要とされる部材、その発生した熱を放散する金属に接する部材、構成部品、周辺部品、筐体に適している。特に近年の発光効率の高いLEDの放熱用部材として用いることが可能である。具体的には、LEDの発光効率(発光効率(lm/W)=全光束(lm)/消費電力(W))が20lm/W以上のLEDの放熱用部材として好適に用いることができ、より好ましくは、30lm/W以上、さらに好ましくは40lm/W以上のLEDの放熱用部材に用いることができる。放熱用部材として具体的には、LED素子を封止したLEDパッケージ実装基板、実装基板に接する放熱プレート、放熱プレートから外部へ熱を放散する筐体、LED電源回路を保護するケースなどが挙げられる。これらLED放熱部材は、LED放熱用部材として、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体と金属などとの複合体として用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(参考例1) ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の調整(PPS−1)
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す場合もある)11.45kg(115.50モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.48kg(71.27モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応させた後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが7になるよう酢酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。
その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPS−1を得た。得られたPPS−1は、溶融粘度が10Pa・sであった。なお、溶融粘度は東洋精機(株)社製キャピログラフを用い、ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/sの条件で測定した値である。
(参考例2) ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)の調整(PPS−2)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27Kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.96Kg(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45Kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム0.86K(10.5モル)、及びイオン交換水10.50Kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78KgおよびNMP0.28Kgを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10.24Kg(69.63モル)、NMP9.01Kg(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1.26Kg(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26.30KgのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31.90KgのNMPで洗浄、濾別した。これを、56.00Kgのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05質量%酢酸水溶液70.00Kgで洗浄、濾別した。70.00Kgのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS−2は直鎖状であり、溶融粘度が50Pa・s(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)であった。
(原材料)
・水酸化マグネシウム(B)
水酸化マグネシウム(B)として、協和化学工業社製“KISUMA(登録商標)”5EUを使用した。比重は2.4、平均粒子径は0.7μmである。
・酸化チタン(C)
酸化チタン(C)として、石原産業社製“タイペーク(登録商標)”CR−60−2を使用した。比重は4.2、レーザー回折法によって測定した平均粒子径が0.2μmである。“タイペーク(登録商標)”CR−60−2は、無機化合物としてアルミニウム、有機化合物として多価アルコールで表面処理されたルチル型酸化チタンである。
・青色顔料(D)
青色顔料(D)としてはCAS登録No.57455−37−5の群青を用いた。
無機充填材
無機充填材としては、日本電気硝子社製のガラス繊維“ECS03T−747H”、 平均繊維直径10.5μmを使用した。
実施例1〜9
スクリュー径44mmの同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−44)を用いてポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を調整した。ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の調整は、表1に示す配合量の参考例1(PPS−1)および/または参考例2(PPS−2)のポリフェニレンスルフィド樹脂(A)、酸化チタン(C)および使用する場合は群青(D)を、上記2軸押出機の原料供給口から投入し、水酸化マグネシウム(B)およびガラス繊維を中間添加口から投入し、樹脂温度320℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練を行い、ペレットを得た。押出加工性は○×で評価を行った。○はペレタイズ可能であり、×はペレタイズ不可である。ついで得られたペレットを、130℃の熱風乾燥機で3時間乾燥した後、後述する評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014065842
比較例1〜6
スクリュー径44mmの同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−44)を用いて、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を調整した。ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の調整は、表2に示す配合量の参考例1(PPS−1)および/または参考例2(PPS−2)のポリフェニレンスルフィド樹脂(A)および酸化チタン(C)を、上記2軸押出機の原料供給口から投入し、水酸化マグネシウム(B)およびガラス繊維を中間添加口から投入し、樹脂温度320℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練を行い、ペレットを得た。ついで得られたペレットを130℃の熱風乾燥機で3時間乾燥した後、後述する評価を行った。押出加工性は○×で評価を行った。○はペレタイズ可能であり、×はペレタイズ不可である。結果を表2に示す。比較例4はストランドが脆く、ペレタイズが出来なかった。
Figure 2014065842
(1)成形品の物体色測定
射出成形機(住友重機械工業社製SE100DU)を用いて、実施例1〜9、比較例1〜3、5および6のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してサンプルを得た。シリンダー温度320℃、金型温度150℃の温度条件で、角形成形品(80mm×80mm×3mm厚み、フィルムゲート)の試験片を作製し、カラーコンピューターSM−5−IS−2B(スガ試験機社製)により、標準光としてC光、集光レンズにφ30、試料台にφ30を用いて、JIS−Z−8722、JIS−Z−8729に準拠し、Lおよびbを求めた。
(2)UL94規格の難燃性試験
射出成形機(住友重機械工業社製SE100DU)を用いて、実施例1〜9、比較例1〜3、5および6のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してサンプルを得た。シリンダー温度320℃、金型温度150℃の条件で難燃性評価用試験片の射出成形を行い、UL94垂直試験に定められている評価基準に従い、難燃性を評価した。難燃性はV−0>V−1>V−2>HBの順に低下しランク付けされる。また、試験片の厚みは0.38mmを用いた。
(3)熱伝導率
射出成形機(住友重機械工業社製SE100DU)を用いて、実施例1〜9、比較例1〜3、5および6のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してサンプルを得た。シリンダー温度320℃、金型温度150℃の温度条件で、角形成形品(80mm×80mm×3mm厚み、フィルムゲート)を作製し、成形品の中央部から20mm×20mm×3mmtの試験片を切り出したものを用いて熱流計法熱伝導率測定装置(リガク社製GH−1S)により熱伝導率を測定した。この値が高いほど、熱伝導性に優れる。実施例1〜9は1.0〜1.4W/m・Kの値を示し、LED放熱部材と使用した際、LEDの温度上昇による放熱効果が高くなるため、LEDの点灯時の明るさ、発光効率、寿命が向上することがわかった。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、優れた熱伝導性および難燃性を有し、さらに白色性を有するため、白色への塗装工程が不要となる。従って、形状、構造上も機械的強度の上でも自由度の多いLED放熱部材を作ることができ、本発明によって製造したLED放熱部材は軽量化や製造工程の簡素化に役立つものである。

Claims (6)

  1. ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、無機充填剤を160質量部以上250質量部以下配合してなる樹脂組成物であって、
    前記無機充填剤は、水酸化マグネシウム(B)と酸化チタン(C)とを含有し、
    前記水酸化マグネシウム(B)および前記酸化チタン(C)の合計配合量は、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、60質量部以上、160質量部以下であり、
    前記水酸化マグネシウム(B)と前記酸化チタン(C)の配合比(質量比)は、100:10以上、100:75以下であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 青色顔料(D)がさらに配合されてなり、
    該青色顔料(D)の配合量は、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、0.05質量部以上、0.5質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形して得られる成形品の物体色は、国際照明委員会(CIE)測色用標準イルミナントC光源下で、C光を前記成形品に照射した際の反射光がCIE−LAB表色系でL値が82以上、b値が0以上、8以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を厚み0.38mmに成形した際のUL94規格の難燃レベルが、V−0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とする成形品。
  6. 照明用放熱部材であることを特徴とする請求項5に記載の成形品。
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