JP2014064513A - 2−デオキシ−scyllo−イノソースの調製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発酵法などに代わる新規な2-デオキシ-scyllo-イノソースの生産手段を提供する。
【解決手段】 ポリリン酸グルコキナーゼによりグルコースをグルコース-6-リン酸に変換する工程と、2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素によりグルコース-6-リン酸を2-デオキシ-scyllo-イノソースに変換する工程を有することを特徴とする2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酵素法により、D-グルコースから2-デオキシ-scyllo-イノソースを調製する方法に関する。
本発明の方法は、従来法よりも効率的に2-デオキシ-scyllo-イノソースを調製することが可能であり、また、得られる2-デオキシ-scyllo-イノソースは簡便な化学変換により芳香族化合物などへの変換が可能である。このため、本発明の方法により、グルコースからベンゼン系化合物やシクロヘキサン系化合物を効率的に生産することが可能になる。
2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素は、グルコース-6-リン酸を基質として、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を補酵素として、炭素環化合物、2-デオキシ-scyllo-イノソースへの変換反応を触媒する酵素である(特許文献1、図1)。従って、2-デオキシ-scyllo-イノソース生産のためには、基質としてグルコース-6-リン酸の供給が必要である。試験管内では、グルコース-6-リン酸は、グルコースからアデノシン三リン酸(ATP)の存在下、ヘキソキナーゼの作用により調製できるが(図1)、非常に高価なATPを用いるため、実用に用いることができない。従って、現在のところ、微生物の代謝系を利用したグルコース-6-リン酸の供給、すなわち発酵系による2-デオキシ-scyllo-イノソースの生産利用が考えられている(図1)。しかしながら、グルコース-6-リン酸は一次代謝である解糖系における最初の化合物であるが故に、発酵法においてグルコース-6-リン酸の2-デオキシ-scyllo-イノソースへの変換の効率は必ずしも高いものではない。また、生成した2-デオキシ-scyllo-イノソースの精製法も問題点である。現在では、微生物の遺伝子工学による代謝の遮断により、2-デオキシ-scyllo-イノソースの蓄積生産の可能性も試みられているが(非特許文献1)、精製法、コストの問題など本質的に組換え微生物による発酵系に由来する問題点は残されている。
特開2000-236881号公報
J Biotechnol. 2007, 129, 502-509.
上述のように、ATPを用いる酵素法による2-デオキシ-scyllo-イノソースの生産は実用的ではなく、また、発酵法による2-デオキシ-scyllo-イノソースの生産も種々の問題がある。
本発明は、このような従来の2-デオキシ-scyllo-イノソース生産手段に代わる新規な2-デオキシ-scyllo-イノソース生産手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素の基質であるグルコース-6-リン酸を、ヘキソキナーゼではなく、ポリリン酸グルコキナーゼ(ポリリン酸をリン酸供給源としてグルコースの6位を直接リン酸化する酵素)により供給するという発想を得た。
また、本発明者は、ポリリン酸グルコキナーゼと2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素を固定化して基質と反応させたところ、高収率で2-デオキシ-scyllo-イノソースが得られることを見出した。
更に、本発明者は、放線菌ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)からポリリン酸グルコキナーゼを初めて取得し、この酵素を用いて2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製を行った。
本発明は、以上の知見及び発想に基づき完成されたものである。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供するものである。
(1)ポリリン酸グルコキナーゼによりグルコースをグルコース-6-リン酸に変換する工程と、2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素によりグルコース-6-リン酸を2-デオキシ-scyllo-イノソースに変換する工程を有することを特徴とする2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
(2)ポリリン酸グルコキナーゼ及び2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素が固定化されていることを特徴とする(1)に記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
(3)ポリリン酸グルコキナーゼが、ストレプトマイセス・セリカラー由来のポリリン酸グルコキナーゼであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
(4)ポリリン酸グルコキナーゼが、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつポリリン酸グルコキナーゼ活性を有するタンパク質。
(5)2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素が、バチルス・サーキュランス由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
ポリリン酸グルコキナーゼによるグルコース-6-リン酸の供給が可能であれば、2つの酵素を利用した1ポットの反応で、2-デオキシ-scyllo-イノソースの生産が可能となる。その際には、高価なNAD+は必要最低限に抑えられ、さらにリン酸供給源として、食品添加物として非常に安価で入手可能なポリリン酸を使用することになり、2-デオキシ-scyllo-イノソース生産のコスト低減を図ることができる。また、この反応系が効率よく進行すると、反応系に中性分子は目的生産物の2-デオキシ-scyllo-イノソースだけが存在することになり、イオン交換樹脂を用いて簡便に2-デオキシ-scyllo-イノソースを精製でき、この点でも2-デオキシ-scyllo-イノソース生産のコスト低減を計ることができる。さらに2-デオキシ-scyllo-イノソース生産の副生成物として生成する無機リン酸は、焼結によりポリリン酸へと再生できる。また、酵素固定化による流体型反応プロセスへの応用も可能と考えられ、更なる効率化も期待できる。
グルコースから2-デオキシ-scyllo-イノソースの合成経路を示す図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法は、ポリリン酸グルコキナーゼによりグルコースをグルコース-6-リン酸に変換する工程と、2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素によりグルコース-6-リン酸を2-デオキシ-scyllo-イノソースに変換する工程を有することを特徴とする。
ポリリン酸グルコキナーゼとしては、例えば、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)由来のポリリン酸グルコキナーゼを使用することができるが、これ以外にもサーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)由来のポリリン酸グルコキナーゼ(Appl Microbiol Biotechnol, 93, 1109-1117 (2012).)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)由来のポリリン酸グルコキナーゼ(Appl Microbiol Biotechnol, 87, 703-713 (2010).)、アルスロバクター(Arthrobacter) sp. strain KM由来のポリリン酸グルコキナーゼ(Appl Environ Microbiol, 69, 3849-3857 (2003).)なども使用することができる。ストレプトマイセス・セリカラー由来のポリリン酸グルコキナーゼは、本発明者によって初めて単離精製されたものであり、そのアミノ酸配列は、配列番号1に示すとおりである。
また、ポリリン酸グルコキナーゼとしては、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつポリリン酸グルコキナーゼ活性を有するタンパク質を使用することもできる。ここでいう「1若しくは数個」とは、通常は、1〜10個であり、好ましくは、1〜5個であり、より好ましくは1〜3個であり、更に好ましくは1個である。また、「欠失、置換若しくは付加」には、人為的な変異のほか、個体差、種や属の違いに基づく場合などの天然に生じる変異(mutantやvariant)も含まれる。
更に、ポリリン酸グルコキナーゼとしては、配列番号1に記載のアミノ酸配列と高い同一性を示すアミノ酸配列からなり、かつポリリン酸グルコキナーゼ活性を有するタンパク質を使用することもできる。ここでいう「高い同一性」とは、通常90%以上の同一性、好ましくは95以上の同一性、より好ましくは97%以上の同一性、更に好ましくは99%以上の同一性を意味する。なお、本明細書における「同一性」の値は、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出することができる。例えば、NCBIの相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、算出することができる。
使用するポリリン酸グルコキナーゼは、精製や固定化のためのタグが付加されたものであってもよい。このようなタグとしては、ヒスチジンタグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼタグ、マルトース結合タンパク質タグ、ストレプタクチンタグなどを例示できる。
2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素としては、例えば、バチルス・サーキュランス(Bacilllus circulans)由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素(J. Org. Chem., 69, 593-600 (2004)、J. Antibiot., 59, 358-361 (2006)、特開2000-236881号公報)、ストレプトアロテイカス・ヒンダスタヌス(Streptoalloteichus hindustanus)由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素(J Antibiot, 59, 358-361 (2006).)、ストレプトマイセス・フラジアエ(Streptomyces fradiae)由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素(J Antibiot, 58, 766-774 (2005).)、ミクロモノスポラ・エキノスポラ(Micromonospora echinospora)由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素(J Antibiot, 57, 436-445 (2004).)、ストレプトマイセス・カナマイセティカス(Streptomyces kanamyceticus)由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素(Arch Biochem Biophys, 429, 204-214 (2004).)、ストレプトマイセス・テネブラリウス(Streptomyces tenebrarius)由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素(FEMS Microbiol Lett, 230, 185-190 (2004).)などを使用することができる。
使用する2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素は、ポリリン酸グルコキナーゼと同様に精製や固定化のためのヒスチジンタグなどが付加されたものであってもよい。
グルコースをグルコース-6-リン酸に変換する工程とグルコース-6-リン酸を2-デオキシ-scyllo-イノソースに変換する工程は、別々に行ってもよいが、1ポット反応、即ち、グルコースを、ポリリン酸グルコキナーゼ及び2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素と共存させ、中間生成物であるグルコース-6-リン酸を単離精製することなく、2-デオキシ-scyllo-イノソースを生成させる反応として行うことが好ましい。この際、反応液中には、リン酸供給源となるポリリン酸と2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素の補酵素となるNAD+を添加しておく。
反応液中のグルコース濃度は特に限定されないが、通常1 mM〜1000 mMであり、好適には2 mM〜50 mMである。反応液中のポリリン酸グルコキナーゼ濃度も特に限定されないが、通常0.1μM〜50μMであり、好適には5μM〜10μMである。反応液中の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素濃度も特に限定されないが、通常0.1μM〜50μMであり、好適には5μM〜10μMである。反応液中のポリリン酸濃度も特に限定されないが、通常1 mM〜1000 mMであり、好適には10 mM〜100 mMである。反応液中のNAD+濃度も特に限定されないが、通常0.1 mM〜100 mMであり、好適には0.1 mM〜1 mMである。
反応液の温度は特に限定されないが、通常20〜46℃であり、好適には25〜30℃である。反応液のpHも特に限定されないが、通常6.5〜8.5であり、好適には7.5〜8.0である。反応開始から、通常、2〜24時間程度で、十分な量の2-デオキシ-scyllo-イノソースが生成する。
使用するポリリン酸グルコキナーゼ及び2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素は、適当な担体に固定化されたものであってもよい。この場合、グルコース、ポリリン酸、及びNAD+を含む溶液を、酵素が固定化された担体と接触させることにより、2-デオキシ-scyllo-イノソースを生成させることができる。酵素を固定化する方法としては、各酵素にヒスチジンタグを付加しておき、これらを、コバルトイオンなどのヒスチジンタグに親和性を示す物質を含む樹脂などに固定化する方法などが例示できる。他の方法としては、例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼタグ、マルトース結合タンパク質タグ、ストレプタクチンタグを利用した方法、ポリアクリルアミドなどを利用した包括方法などがある。
生成した2-デオキシ-scyllo-イノソースの単離精製は、クロマトグラフィーなどを利用した常法に従って行うことができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
(1)2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素遺伝子の発現プラスミドベクターの構築及び形質転換
pUC19ベクター導入されている2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素遺伝子(BtrC)をpET28(a)ベクターへベクター交換を行った。ここで得られたプラスミドベクターを、大腸菌BL21株のコンピテントセルにエレクトロポレーション法で形質転換し、組換え大腸菌を作製した。
(2)精製酵素の取得
2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素の形質転換体を30 mg/Lのカナマイシンを含むLBプレートで、37℃、1日間培養して、コロニーを形成させた。次いで30 mg/Lのカナマイシンを含むLB培地3 mLを10 mL容の試験管に入れ、上記プレートからコロニーをつま楊枝で植菌し、37℃で、1日間培養し、遠心分離で菌体を回収し、LB培地:20%グリセロール=1:1の溶液で懸濁しグリセロールストックを作製した。
30 mg/Lのカナマイシンを含むLB培地5 mLを10 mL容の試験管に入れ、上記グリセロールストックからつま楊枝で植菌し、37℃で、1日間培養を行い、これを本培養の前培養液とした。
500 mL容のバッフル付き三角フラスコ3本に、30 mg/Lのカナマイシンを含むLB培地を200 mLずつ入れ、それぞれのバッフル付き三角フラスコに1 mLの前培養液を添加し、37℃で、2.5〜3.5時間、200 rpmで回転震盪培養を行った。OD(600 nm)が0.5程度になったところで、1時間コールドショックを行い、15℃で、1日間、200 rpmで回転震盪培養を行った。
次いでこの培養液を、4℃、6,000 rpm、30分間遠心分離して上清を除去し、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で数回洗浄しながら菌体を回収した。回収した菌体を、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で懸濁し、超音波にて菌体破砕を行った。菌体破砕後の溶液を、4℃で、10,000 rpm、30分間遠心分離して菌体残渣を除去し、上清を回収した。ここで得られた酵素溶液を、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化した「Talon Metal Affinity Resin」(タカラバイオ株式会社)に吸着させ、0.2 mM塩化コバルト六水和物を含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化させた後、5 mMおよび20 mMのイミダゾール、0.2 mM塩化コバルト六水和物を含有する50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)、各10 mLで洗浄し、500 mMのイミダゾール、0.2 mM塩化コバルト六水和物を含有する50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)によって酵素を溶出させた。
上記で得られた酵素を、0.2 mg/L塩化コバルト六水和物を含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化した「PD-10」(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)にて脱塩及び濃縮を行い、精製2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素を得た。
(3)ポリリン酸グルコキナーゼ(PPGK)遺伝子 (SCO5059)の発現、精製
PPGK遺伝子を増幅するためのPCRプライマーとして、センスプライマーは(GGCATATGCAGATCTTCGGCGTGGAC(配列番号3))を有するオリゴDNAを、アンチセンスプライマーは(GCAAGCTTCCCCCCGCGTGACCG(配列番号4))を用い、放線菌Streptomyces coelicolorのゲノムを鋳型としたPCR法によるPPGK遺伝子の増幅を行い、7416塩基対からなるPCR産物を取得し、pMD19-Tベクターにライゲーションした。
ここで得られたPCR産物の遺伝子配列をDNAシークエンサーで解析することで確認し、PPGK遺伝子を得た。 PPGK遺伝子を発現用ベクターpColdIベクターへベクター交換を行った。
ここで得られたプラスミドベクターを、大腸菌BL21株のコンピテントセルにエレクトロポレーション法で形質転換し、組換え微生物を作製した。PPGKの形質転換体を100 mg/Lのアンピシリンを含むLBプレートで、37℃、1日間培養して、コロニーを形成させた。次いで100 mg/Lのアンピシリンを含むLB培地3 mLを10 mL容の試験管に入れ、上記プレートからコロニーをつま楊枝で植菌し、37℃で、1日間培養し、遠心分離で菌体を回収し、LB培地:29%グリセロール=1:1の溶液で懸濁しグリセロールストックを作製した。
100 mg/Lのアンピシリンを含むLB培地5 mLを10 mL容の試験管に入れ、上記グリセロールストックからつま楊枝で植菌し、37℃で、1日間培養を行い、これを本培養の前培養液とした。
500 mL容のバッフル付き三角フラスコ3本に、100 mg/Lのアンピシリンを含むLB培地を200 mLずつ入れ、それぞれのバッフル付き三角フラスコに1 mLの前培養液を添加し、37℃で、2.5〜3.5時間、200 rpmで回転震盪培養を行った。OD(600 nm)が0.5程度になったところで、1時間コールドショックを行い、15℃で、1日間、200 rpmで回転震盪培養を行った。次いでこの培養液を、4℃、6,000 rpm、30分間遠心分離して上清を除去し、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で数回洗浄しながら菌体を回収した。回収した菌体を、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で懸濁し、超音波にて菌体破砕を行った。菌体破砕後の溶液を、4℃で、10,000 rpm、30分間遠心分離して菌体残渣を除去し、上清を回収した。ここで得られた酵素溶液を、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化した「Talon Metal Affinity Resin」(タカラバイオ株式会社)に吸着させ、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化させた後、5 mMのイミダゾール、10%グリセロールを含有する50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で洗浄し、200 mMのイミダゾール、10%グリセロールを含有する50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)によって酵素を溶出させた。ここで得られた酵素を、50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化した「PD-10」(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)にて脱塩及び濃縮を行い、精製PPGKを得た。なお、ここで得られたPPGKには、pColdIベクター由来のヒスチジンタグが付加されている(このヒスチジンタグ付加型のPPGKのアミノ酸配列を配列番号2に示す。)。
(4)酵素法による2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製
50 mLファルコンチューブに、グルコース 54 mg、ポリリン酸 184 mg、1 mM MgCl2、0.3 mM NAD+、上記で精製した2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素 10 μM、同じく上記で精製したPPGK 10 μMを加え、0.2 mM塩化コバルト六水和物を含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で全容を10 mLとし、28℃で1日撹拌した。エタノールを10 mLで加え、4℃、10,000 rpmで10分間遠心分離して上清を50 mLのファルコンチューブに回収した。その一部を既知の方法(J. Antibiot., 45, 767-773 (1992).)で、2-デオキシ-scyllo-イノソースを分析したところ、変換率は90%以上であった。残りの水溶液をアンバーライトIR200(H+型)とアンバーライトIRA400(アセタート型)を各20 mL含むカラムに充填し、蒸留水で溶出し、溶出液を凍結乾燥させたところ、2-デオキシ-scyllo-イノソースを41 mg(収率85%)得られた。
(5)固定化酵素を利用した2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製
上記と同じ要領で、2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素およびPPGKの無細胞抽出液を、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化した「Talon Metal Affinity Resin」(タカラバイオ株式会社)に吸着させ、10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)、次いで0.2 mM塩化コバルト六水和物を含む10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化し、5 mMおよび20 mMのイミダゾール、0.2 mM 塩化コバルト六水和物を含有する10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)、各10 mLで洗浄し、0.2 mM塩化コバルト六水和物を含む10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)で平衡化した。
2つの酵素が吸着している樹脂をバイアルに移し、0.2 mM塩化コバルト六水和物を含む10%グリセロールを含む50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.7)10 mL、グルコース 18 mg、ポリリン酸 61 mg、1 mM MgCl2、0.1 mM NAD+を加え、室温で1日撹拌した。
反応溶液からレジンを濾過し、溶液を300容ナスフラスコに回収した。この溶液を上記と同様の操作を行ったところ、2-デオキシ-scyllo-イノソースを14 mg(収率89%)得られた。
回収した樹脂を、バイアルに移し、上記と同様な操作で再度反応を行ったところ、2-デオキシ-scyllo-イノソースを5 mg(収率30%)得られた。
本発明は、2-デオキシ-scyllo-イノソースが必要とされる各種産業分野において利用可能である。

Claims (5)

  1. ポリリン酸グルコキナーゼによりグルコースをグルコース-6-リン酸に変換する工程と、2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素によりグルコース-6-リン酸を2-デオキシ-scyllo-イノソースに変換する工程を有することを特徴とする2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
  2. ポリリン酸グルコキナーゼ及び2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素が固定化されていることを特徴とする請求項1に記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
  3. ポリリン酸グルコキナーゼが、ストレプトマイセス・セリカラー由来のポリリン酸グルコキナーゼであることを特徴とする請求項1又は2に記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
  4. ポリリン酸グルコキナーゼが、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法、
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつポリリン酸グルコキナーゼ活性を有するタンパク質。
  5. 2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素が、バチルス・サーキュランス由来の2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の2-デオキシ-scyllo-イノソースの調製法。
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