JP2014064340A - 励磁式回転電機の制御装置 - Google Patents

励磁式回転電機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014064340A
JP2014064340A JP2012206204A JP2012206204A JP2014064340A JP 2014064340 A JP2014064340 A JP 2014064340A JP 2012206204 A JP2012206204 A JP 2012206204A JP 2012206204 A JP2012206204 A JP 2012206204A JP 2014064340 A JP2014064340 A JP 2014064340A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
excitation
current
torque
command value
coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012206204A
Other languages
English (en)
Inventor
Ken Takeda
健 武田
Junichi Yokota
純一 横田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin AW Co Ltd
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin AW Co Ltd filed Critical Aisin AW Co Ltd
Priority to JP2012206204A priority Critical patent/JP2014064340A/ja
Publication of JP2014064340A publication Critical patent/JP2014064340A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Ac Motors In General (AREA)
  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、励磁式回転電機の制御装置に係り、励磁コイルへの励磁電流の応答性悪化に起因したトルク応答性の低下を抑制することにある。
【解決手段】軸方向に隙間を空けて対向配置され、それぞれ周方向に所定間隔を空けて配置された磁極同士が互いに軸方向で隙間を介して斜に配置された一対のロータコアを有するロータと、ロータの外径側にエアギャップを介して対向配置され、ロータを回転させる回転磁界を発生させるステータと、磁極を励磁する励磁コイルと、を備え、電源からの電力供給により駆動される励磁式回転電機の制御装置は、励磁式回転電機における実トルクを検出する実トルク検出手段と、実トルク検出手段により検出される実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、励磁コイルに流通させる電流を増加させる励磁電流制御手段と、を備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、励磁式回転電機の制御装置に係り、特に、軸方向に隙間を空けて対向配置され、それぞれ周方向に所定間隔を空けて配置された磁極同士が互いに軸方向で上記の隙間を介して斜に配置された一対のロータコアを有するロータと、ロータの外径側にエアギャップを介して対向配置され、ロータを回転させる回転磁界を発生させるステータと、上記の磁極を励磁する励磁コイルと、を備え、電源からの電力供給により駆動される励磁式回転電機の制御装置に関する。
従来、軸方向に隙間を空けて対向配置された第1及び第2ロータコアを有するロータと、ロータの外径側にエアギャップを介して対向配置され、ロータを回転させる回転磁界を発生させるステータと、を備える励磁式回転電機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ステータは、軸中心に向けて突出するステータティースが周方向に所定間隔ごとに設けられたステータコアを有している。各ステータティースにはそれぞれ、例えば3相のステータコイルが巻き付けられている。各相のステータコイルが適切なタイミングで通電されると、ロータを回転させる回転磁界が発生する。
また、一対のロータコアはそれぞれ、径方向端部に周方向に交互に配置された、永久磁石で励磁された永久磁石励磁磁極と、永久磁石で励磁されていない非励磁の永久磁石非励磁磁極と、を有している。永久磁石励磁磁極及び永久磁石非励磁磁極はそれぞれ、周方向に所定間隔を空けて配置される。第1ロータコアの永久磁石励磁磁極と第2ロータコアの永久磁石励磁磁極とは、互いに反転した極性からなる。第1ロータコアの永久磁石励磁磁極と第2ロータコアの永久磁石非励磁磁極とは、軸方向で隙間を介して互いに対向配置されていると共に、第1ロータコアの永久磁石非励磁磁極と第2ロータコアの永久磁石励磁磁極とは、軸方向で隙間を介して互いに対向配置されている。すなわち、第1ロータコアの永久磁石非励磁磁極と第2ロータコアの永久磁石非励磁磁極とは、軸方向で隙間を介して斜に配置されている。
上記の励磁式回転電機は、永久磁石非励磁磁極を励磁する励磁コイルを備えている。永久磁石による磁束量は略一定である。励磁コイルが通電されると、永久磁石非励磁磁極を励磁して永久磁石による磁束を弱め或いは強める磁束が発生する。従って、上記の励磁式回転電機によれば、永久磁石による磁束と励磁コイルを用いた電磁石による磁束との合成磁束によりロータを適切に回転させることが可能である。
特開平8−331900号公報
しかしながら、上記の如く励磁コイルを用いてロータの回転が制御される励磁式回転電機では、励磁コイルのインダクタンスが比較的大きい傾向にあることから、励磁コイルに流通する励磁電流の応答性が悪く、その結果として、発生するトルクの応答が遅くなる不都合が生じ得る。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、励磁コイルへの励磁電流の応答性悪化に起因したトルク応答性の低下を抑制することが可能な励磁式回転電機の制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、軸方向に隙間を空けて対向配置され、それぞれ周方向に所定間隔を空けて配置された磁極同士が互いに軸方向で前記隙間を介して斜に配置された一対のロータコアを有するロータと、前記ロータの外径側にエアギャップを介して対向配置され、前記ロータを回転させる回転磁界を発生させるステータと、前記磁極を励磁する励磁コイルと、を備え、電源からの電力供給により駆動される励磁式回転電機の制御装置であって、前記励磁式回転電機における実トルクを検出する実トルク検出手段と、前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、前記励磁コイルに流通させる電流を増加させる励磁電流制御手段と、を備える励磁式回転電機の制御装置により達成される。
本発明によれば、励磁コイルへの励磁電流の応答性悪化に起因したトルク応答性の低下を抑制することができる。
本発明の一実施例である励磁式回転電機の構造を表した斜視図である。 本発明の一実施例である励磁式回転電機を軸中心線を含む平面で切断した際の断面図である。 本発明の一実施例である励磁式回転電機を、図2に示すIII−IIIで切断した際の断面図である。 本発明の一実施例である励磁式回転電機を、図2に示すIV−IVで切断した際の断面図である。 本発明の一実施例である励磁式回転電機の制御装置のブロック構成図である。 本発明の一実施例である励磁式回転電機の制御装置の要部ブロック構成図である。 本発明の一実施例である励磁式回転電機の制御装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。 本発明の一実施例である励磁式回転電機の制御装置による効果を表した図である。
以下、図面を用いて、本発明に係る励磁式回転電機の制御装置の具体的な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例である励磁式回転電機10の構造を表した斜視図を示す。尚、図1には、一部がカットされた励磁式回転電機10が示されている。図2は、本実施例の励磁式回転電機10を軸中心線を含む平面で切断した際の断面図を示す。図3は、本実施例の励磁式回転電機10を、図2に示すIII−IIIで切断した際の断面図を示す。また、図4は、本実施例の励磁式回転電機10を、図2に示すIV−IVで切断した際の断面図を示す。
本実施例において、励磁式回転電機10は、永久磁石による磁束と励磁コイルを用いた電磁石による磁束との合成磁束によりロータをステータ回りに回転させるトルクを調整して、そのロータを適切に回転させることが可能なハイブリッド励磁式回転電機である。励磁式回転電機10は、例えばハイブリッド車両や電気自動車などで使用される車両駆動用の交流モータなどに適用されることとしてもよいが、他の任意の用途に使用されるものであってもよい。
励磁式回転電機10は、軸回りに回転可能なロータ12と、ロータ12を回転させる回転磁界を発生させるステータ14と、を備えている。ロータ12は、軸方向両端において軸受16,18を介してケース20に回転可能に支持されている。ステータ14は、ロータ12の外径側に配置されており、ケース20に固定されている。ロータ12とステータ14とは、互いに径方向に所定長のエアギャップ22を介して対向している。
ステータ14は、ステータコア24と、ステータコイル28と、を有している。ステータコア24は、中空円筒状に形成されている。ステータコア24には、内周面にステータティース26が形成されている。ステータティース26は、ステータコア24の径方向内方すなわち軸中心に向けて突出している。ステータティース26は、ステータコア24の内周面において周方向に複数(例えば、12個や18個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。
周方向に隣り合うステータティース26間には、ステータスロット27が形成されている。すなわち、ステータコア24には、ステータティース26とステータスロット27とが周方向に交互に形成される。各ステータティース26にはそれぞれ、ステータコイル28が巻き付けられている。すなわち、ステータコイル28は、ステータティース26ごとに巻かれている。ステータコイル28は、ステータコア24の内周面において周方向に複数(例えば、12個や18個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。各ステータコイル28は、励磁式回転電機10が例えば三相交流モータに適用される場合は、U相コイル、V相コイル、及びW相コイルの何れかを構成する。
ステータコア24は、軸方向に分割されており、第1ステータコア30と、第2ステータコア32と、第3ステータコア34と、を有している。第1〜第3ステータコア30〜34は、それぞれ中空円筒状に形成されており、軸方向に並んでいる。第1及び第3ステータコア30,34は、軸方向両端に配置されている。第2ステータコア32は、軸方向中央に配置されている。第2ステータコア32は、軸方向で第1ステータコア30と第3ステータコア34とに挟まれており、それら第1及び第3ステータコア30,34の軸方向中央寄りの端面に接着などにより固定される。
第1〜第3ステータコア30〜34は、互いに略同じ内径及び互いに略同じ外径を有している。第1〜第3ステータコア30〜34はそれぞれ、円環状に形成されたバックヨーク部と、上記のステータティース26を構成するそのバックヨーク部の内周面から軸中心に向けて突出するステータティース部と、からなる。各第1〜第3ステータコア30〜34において、バックヨーク部とステータティース部とは互いに一体に形成されていてもよいが、それぞれ別体で設けられていてもよい。上記のステータコイル28は、周方向に並んだステータティース26間のステータスロット27において、第1〜第3ステータコア30〜34を軸方向に貫くように形成されている。
第1及び第3ステータコア30,34はそれぞれ、絶縁コーティングされた複数の電磁鋼板を軸方向に積層して形成された電磁鋼板コアである。また、第2ステータコア32は、鉄などの軟磁性材料、具体的には絶縁コーティングされた軟磁性体粉末を圧縮成型した材料で形成された圧粉コアである。第2ステータコア32の軸方向における磁気抵抗は、第1及び第3ステータコア30,34の軸方向における磁気抵抗に比べて小さい。
ステータコア24の外径側には、薄肉円筒状のヨーク36が設けられている。ヨーク36は、第1〜第3ステータコア30〜34の外周全周を覆うように形成されており、第1〜第3ステータコア30〜34を支持している。ヨーク36は、第2ステータコア32と同様に、絶縁コーティングされた軟磁性体粉末を圧縮成型した材料で形成された圧粉コアである。ヨーク36の軸方向における磁気抵抗は、第1及び第3ステータコア30,34の軸方向における磁気抵抗よりも小さい。尚、ヨーク36と第2ステータコア32とは、互いに一体に形成されていてもよい。ヨーク36は、第1ステータコア30及び第3ステータコア34の外径面に接着固定される。第1ステータコア30と第3ステータコア34とは、ヨーク36及び第2ステータコア32を介して互いに磁気的に結合される。
また、ステータコア24は、ステータ14をケース20に取り付け固定するための外径側に突出する取付部38を有している。取付部38は、軸方向に積層する複数の電磁鋼板により形成されている。取付部38は、第1ステータコア30と一体に形成された取付部38aと、第3ステータコア34と一体に形成された取付部38bと、両取付部38a,38bで挟まれる取付部38cと、を有している。取付部38cは、第2ステータコア32の外径側に配置されている。尚、取付部38cは、軸方向に積層する複数の電磁鋼板により形成されることに代えて、第2ステータコア32と一体に形成されることとしてもよい。取付部38は、周方向に複数(例えば3個)設けられている。取付部38には、軸方向に貫通する貫通穴40が設けられている。ステータ14は、取付部38の貫通穴40を貫通するボルト42がケース20に締結されることによりケース20に固定される。
ロータ12は、ステータ14の内径側に配置されている。ロータ12は、シャフト50と、ロータコア52と、を有している。シャフト50は、軸方向に延びており、軸方向両端側でステータ14の軸方向端部から延出している。尚、シャフト50は、少なくとも軸方向一方側でステータ14の軸方向端部から延出していればよい。シャフト50は、所定の鉄損を有する材料、具体的にはS45Cなどの炭素鋼で形成されている。ロータコア52は、シャフト50の外径側に配置されてそのシャフト50に支持される外径側ロータコア54を有している。外径側ロータコア54は、中空円筒状に形成されており、シャフト50の外径面に固定されている。
外径側ロータコア54は、軸方向に分割されており、第1外径側ロータコア56と、第2外径側ロータコア58と、を有している。第1及び第2外径側ロータコア56,58はそれぞれ、中空円筒状に形成されており、シャフト50の外径側に配置されてシャフト50に支持されている。第1及び第2外径側ロータコア56,58はそれぞれ、絶縁コーティングされた複数の電磁鋼板を軸方向に積層して形成されている。第1外径側ロータコア56と第2外径側ロータコア58とは、互いに軸方向に環状の隙間60を空けて離間している。隙間60は、第1及び第2外径側ロータコア56,58の内径側の部位から外径側の部位にかけて略同じ大きさ(幅)を有するように形成されている。
第1外径側ロータコア56の外径面は、第1ステータコア30の内径面と径方向で対向している。すなわち、第1外径側ロータコア56の外径面と第1ステータコア30の内径面とは互いに径方向で対向している。また、第2外径側ロータコア58の外径面は、第3ステータコア34の内径面と径方向で対向している。すなわち、第2外径側ロータコア58の外径面と第3ステータコア34の内径面とは互いに径方向で対向している。隙間60は、第2ステータコア32の内径面に面しており、第2ステータコア32の内径側に設けられている。
第1外径側ロータコア56の外周部には、ロータティース62が形成されている。ロータティース62は、第1外径側ロータコア56の径方向外方に向けて突出している。ロータティース62は、第1外径側ロータコア56の外周面において周方向に複数(例えば、6個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。
周方向において互いに隣接するロータティース62の間にはそれぞれ、永久磁石64がロータティース62と隣り合うように取り付けられている。永久磁石64は、第1外径側ロータコア56の外径側に配置されている。永久磁石64は、例えばフェライト磁石である。永久磁石64は、周方向に複数(例えば、6個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。各永久磁石64は、周方向に所定の幅(角度)を有し、かつ、径方向に所定の厚さを有している。各永久磁石64は、所定の極性(例えば、外径側をN極としかつ内径側をS極とする。)に着磁されている。
永久磁石64の外径側端面とロータティース62の外径側端面とは、軸中心から略同じ距離に形成されている。尚、永久磁石64の外径側端面がロータティース62の外径側端面によりも僅かに径方向内側に位置することとしてもよい。第1外径側ロータコア56は、永久磁石64で励磁された永久磁石励磁磁極と、永久磁石64で励磁されていない非励磁の永久磁石非励磁磁極と、を有している。この永久磁石非励磁磁極は、ロータティース62に形成される。これらの永久磁石励磁磁極と永久磁石非励磁磁極とは、周方向に交互に配置されている。第1外径側ロータコア56は、所定角度ごとに極性の異なる磁極を有しており、永久磁石励磁磁極及び永久磁石非励磁磁極により周方向に所定数(例えば12個)の極数を有している。
また、第2外径側ロータコア58の外周部には、ロータティース66が形成されている。ロータティース66は、第2外径側ロータコア58の径方向外方に向けて突出している。ロータティース66は、第2外径側ロータコア58の外周面において周方向に複数(例えば、6個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。
周方向において互いに隣接するロータティース66の間にはそれぞれ、永久磁石68がロータティース66と隣り合うように取り付けられている。永久磁石68は、第2外径側ロータコア58の外径側に配置されている。永久磁石68は、例えばフェライト磁石である。永久磁石68は、周方向に複数(例えば、6個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。各永久磁石68は、周方向に所定の幅(角度)を有し、かつ、径方向に所定の厚さを有している。各永久磁石68は、上記の永久磁石64の極性とは異なる所定の極性(例えば、外径側をS極としかつ内径側をN極とする。)に着磁されている。すなわち、永久磁石68と永久磁石64とは、互いに反転した極性を有している。
永久磁石68の外径側端面とロータティース66の外径側端面とは、軸中心から互いに略同じ距離になる位置に形成されている。尚、永久磁石68の外径側端面がロータティース66の外径側端面によりも僅かに径方向内側に位置することとしてもよい。第2外径側ロータコア58は、永久磁石68で励磁された永久磁石励磁磁極と、永久磁石68で励磁されていない非励磁の永久磁石非励磁磁極と、を有している。この永久磁石非励磁磁極は、ロータティース66に形成される。これらの永久磁石励磁磁極と永久磁石非励磁磁極とは、周方向に交互に配置されている。第2外径側ロータコア58は、所定角度ごとに極性の異なる磁極を有しており、永久磁石励磁磁極及び永久磁石非励磁磁極により周方向に第1外径側ロータコア56の極数と同じ所定数(例えば12個)の極数を有している。
第1外径側ロータコア56の永久磁石励磁磁極と、第2外径側ロータコア58の永久磁石非励磁磁極とは、軸方向で上記の隙間60を介して互いに対向配置されている。すなわち、第1外径側ロータコア56の永久磁石64と第2外径側ロータコア58のロータティース66とは、軸方向で上記の隙間60を介して互いに対向配置されている。また、第1外径側ロータコア56の永久磁石非励磁磁極と、第2外径側ロータコア58の永久磁石励磁磁極とは、軸方向で上記の隙間60を介して互いに対向配置されている。すなわち、第1外径側ロータコア56のロータティース62と第2外径側ロータコア58の永久磁石68とは、軸方向で上記の隙間60を介して互いに対向配置されている。第1及び第2外径側ロータコア56,58の永久磁石励磁磁極同士は、互いに軸方向で上記の隙間60を介して斜に配置されており、かつ、それらの永久磁石非励磁磁極同士は、互いに軸方向で上記の隙間60を介して斜に配置されている。
上記の隙間60には、すなわち、第1外径側ロータコア56と第2外径側ロータコア58との軸方向間には、ロータティース62,66の永久磁石非励磁磁極を励磁する励磁コイル70が配置されている。励磁コイル70は、銅線などの電線からなり、隙間60の略全域を埋めている。励磁コイル70は、シャフト50の回りに環状に形成されており、トロイダル巻きされている。励磁コイル70は、径方向各部における軸方向の厚さが互いに略均一となるように形成されている。励磁コイル70は、シャフト50の外径側に配置されていると共に、第2ステータコア32の内径側に配置されており、第2ステータコア32と径方向で対向している。
励磁コイル70は、ステータ14(具体的には、ステータコア24の第2ステータコア32)に対して固定されている。励磁コイル70のステータ14への固定は、保持部材71を用いて行われる。保持部材71は、環状の励磁コイル70を内径側から保持できるように、断面U字状又は断面コの字状に形成された樹脂などからなるクリップ部材であり、シャフト50の回りの周方向に複数設けられている。
尚、励磁コイル70をステータ14に固定する手法としては、励磁コイル70を第1〜第3ステータコア30〜34に直接固定することとしてもよいし、例えば、第1ステータコア30及び第3ステータコア34の互いに面する軸方向端面、又は、第2ステータコア32の内径面に穴を空け、その穴を通して保持部材71を引っ掛けることにより、励磁コイル70のステータ14への固定を実現することとしてもよい。
励磁コイル70のリード線77は、ステータ14内を通って、具体的には図1に示す如く、ステータ14のステータコア24が有するステータティース26間のスロット内を軸方向に貫くように通って外部に引き出され、後述の制御装置100に接続される。励磁コイル70には、直流電源(例えば、車載バッテリなど)から制御装置100を介して直流電流が供給される。励磁コイル70に直流電流が供給されると、その励磁コイル70の内径側(軸中心側)を軸方向に貫く磁束が発生する。この磁束量は、励磁コイル70に供給される直流電流に応じた大きさである。
シャフト50は、中空形状に形成されている。シャフト50は、径が比較的大きな大径円筒部72と、径が比較的小さな小径円筒部74,76と、を有している。小径円筒部74,76は、軸方向両端に設けられている。大径円筒部72は、軸方向中央に設けられており、軸方向両端の小径円筒部74,76に挟まれている。シャフト50は、小径円筒部74,76において軸受16,18を介してケース20に支持される。第1及び第2外径側ロータコア56,58は、大径円筒部72の外径側に配置されてその大径円筒部72に支持されており、その大径円筒部72の外径面に固定されている。
また、ロータコア52は、シャフト50の内径側に配置されてそのシャフト50に支持される内径側ロータコア80を有している。内径側ロータコア80は、ロータコア52の第1外径側ロータコア56及び第2外径側ロータコア58の内径側並びに励磁コイル70の内径側に配置されている。シャフト50の大径円筒部72内には、中空空間82が形成されている。内径側ロータコア80は、大径円筒部72の中空空間82内に収容されており、大径円筒部72の内径面に接着固定されている。内径側ロータコア80は、軟磁性材料具体的には絶縁コーティングされた軟磁性体粉末を圧縮成型した材料で形成されている。内径側ロータコア80は、鉄損がシャフト50の鉄損に比べて小さい材料で形成されている。
内径側ロータコア80は、周方向に分割されており、軸方向から見て扇状に形成された複数(例えば6個)のロータコア片84からなる。内径側ロータコア80の周方向における分割は、周方向において等間隔(等角度)で行われ、各ロータコア片84は、互いに同じ形状を有している。内径側ロータコア80の周方向における分割数すなわちロータコア片84の数は、外径側ロータコア54における第1及び第2外径側ロータコア56,58の極数又はその極数の約数である。例えば、極数が“12”である場合は、分割数は“2”、“3”、“4”、“6”、又は“12”である(図3及び図4において分割数は“6”である)。
内径側ロータコア80の周方向における分割は、また、ロータ12やシャフト50の軸中心と、ロータ12の第1及び第2外径側ロータコア56,58において周方向に交互に配置された永久磁石64,68及びロータティース62,66(すなわち、永久磁石励磁磁極及び永久磁石非励磁磁極)のうちの二以上のものの各周方向中心と、を通る線上で行われる。すなわち、内径側ロータコア80の周方向における分割面を含む各平面はそれぞれ、ロータ12やシャフト50の軸中心を通ると共に、何れかの永久磁石64,68及びロータティース62,66(すなわち、永久磁石励磁磁極及び永久磁石非励磁磁極)の周方向中心を通る。
また、内径側ロータコア80は、軸方向端部に軸方向に空いた切欠穴86,88を有している。切欠穴86,88は、軸方向両端に設けられている。切欠穴86,88は、径が軸方向端面から軸方向中央にかけて小さくなるようにテーパ状又は階段状に形成されている。切欠穴86,88の軸方向端部(最浅部)の径は、シャフト50の大径円筒部72の内径と略一致し、かつ、切欠穴86,88の軸方向中央部(最深部)の径は、所定の径である。内径側ロータコア80は、軸方向中央部で径方向に所定の厚みを有する一方、軸方向両端部それぞれで軸方向中央部の厚みよりも小さい厚みを有する。シャフト50の大径円筒部72の径方向の厚みは、モータトルクを伝達するのに必要な強度を維持するような厚さに設定され、内径側ロータコア80の軸方向中央部における径方向の厚みは、励磁コイル70によって発生する磁束が飽和しない所定の厚さに設定されるため、内径側ロータコア80の軸方向中央部における径方向の厚みは、シャフト50の大径円筒部72の径方向の厚みよりも大きい。
切欠穴86と切欠穴88とは、互いに軸方向中央側で連通しており、最深部同士で互いに軸方向に貫通する貫通穴89を通じて接続している。すなわち、内径側ロータコア80は、貫通穴89が形成されるように中空形状に形成されている。内径側ロータコア80の切欠穴86,88及び貫通穴89はすべて、シャフト50の軸中心線上に設けられている。内径側ロータコア80の貫通穴89は、切欠穴86,88の最深部の径と略同じ径を有している。
ロータ12は、軸方向に2分割されている。シャフト50は、軸方向に2分割されており、互いに嵌合する2つのカップ状部材90,92からなる。シャフト50の軸方向分割位置は、軸方向の略中央である。カップ状部材90は、小径円筒部74と、大径円筒部72の一部(具体的には、小径円筒部74に接続する側の半分)と、を有している。カップ状部材92は、小径円筒部76と、大径円筒部72の一部(具体的には、小径円筒部76に接続する側の半分)と、を有している。シャフト50は、カップ状部材90とカップ状部材92とが互いに嵌合することにより形成される。カップ状部材90には第1外径側ロータコア56が、また、カップ状部材92には第2外径側ロータコア58が、それぞれ支持される。第1外径側ロータコア56はカップ状部材90の外径面に、また、第2外径側ロータコア58はカップ状部材92の外径面に、それぞれ固定される。
カップ状部材90,92にはそれぞれ、軸中心上で軸方向に空いたボルト穴94,96が形成されている。ボルト穴94,96は、内径側ロータコア80の貫通穴89の径と略同じ径を有している。カップ状部材90,92のボルト穴94,96及び内径側ロータコア80の貫通穴89には、ボルト98が挿入される。カップ状部材90とカップ状部材92とは、互いに嵌合しつつ、ボルト98により締結される。
尚、内径側ロータコア80は、軸方向に2分割されていてもよい。この場合、内径側ロータコア80の軸方向分割位置は、シャフト50の軸方向分割位置に対応していてもよく、軸方向の略中央であってもよい。また、内径側ロータコア80の分割された一方はシャフト50のカップ状部材90の内径面に、また、内径側ロータコア80の分割された他方はカップ状部材92の内径面に、それぞれ接着固定されることとすればよい。
図5は、本実施例の励磁式回転電機10の制御装置100のブロック構成図を示す。また、図6は、本実施例の励磁式回転電機10の制御装置100の要部ブロック構成図を示す。本実施例において、励磁式回転電機10は、3相の同期型交流モータであって、U相,V相,W相の3つのステータコイル28の一端が中性点に共通接続された構成を有している。制御装置100は、励磁式回転電機10におけるロータ12の回転を制御する装置である。
制御装置100は、直流電力を交流電力に変換するインバータ102を備えている。インバータ102は、直流電源104と励磁式回転電機10の有する各相のステータコイル28との間に介在されている。インバータ102は、直流電源104を用いて励磁式回転電機10にトルクを発生させるための交流電力を供給する。尚、インバータ102と直流電源104との間に、リアクトルのエネルギ蓄積作用を利用して直流電源104の直流電圧を一対のスイッチング素子のオン/オフにより昇圧する昇圧コンバータを設けることとしてもよい。直流電源104は、例えばリチウムイオン電池や水素電池などの車載バッテリなどである。
インバータ102は、励磁式回転電機10の三相それぞれのステータコイル28に対応した上下アームを有している。各相の上下アームは、上アーム素子であるスイッチング素子と下アーム素子であるスイッチング素子とからなり、直流電源104の正極端子と負極端子との間に直列接続されている。各スイッチング素子は、例えばIGBTなどのパワートランジスタである。U相の上下アームとV相の上下アームとW相の上下アームとは、直流電源104の正極端子と負極端子との間に並列に接続されている。各相の上下アームの上アーム素子と下アーム素子との間の中間点はそれぞれ、リード線105を介して励磁式回転電機10の当該相のステータコイル28の他端に接続されている。
インバータ102は、相ごとに、上アーム素子と下アーム素子とが交互にオン/オフされることにより、直流電源104の直流電力を交流電力に変換して出力する。上アーム素子及び下アーム素子である各スイッチング素子のオン/オフは、制御装置100からの制御信号によって制御される。制御装置100は、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(ECU)を有し、予め格納されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理及び/又は電子回路によるハードウェア処理により、励磁式回転電機10やインバータ102の動作を制御する。
制御装置100は、電流センサ106及びレゾルバ108を備えている。電流センサ106は、励磁式回転電機10の各相それぞれのステータコイル28に流れる実電流Iu,Iv,Iwに応じた信号を出力する。尚、三相の実電流Iu,Iv,Iwの瞬時値の和はゼロであるので、電流センサ106が二相分の実電流に応じた信号を出力するものとし、残り一相の実電流については演算により求めることとしてもよい(例えば、Iu=−(Iv+Iw))。また、レゾルバ108は、励磁式回転電機10のロータ回転角に応じたA相信号及びB相信号を出力する。
レゾルバ108には、R/Dコンバータ110が接続されている。レゾルバ108によるロータ回転角を示すA相信号及びB相信号は、R/Dコンバータ110に供給される。R/Dコンバータ110は、レゾルバ108からのA相信号及びB相信号をデジタルデータに変換する。R/Dコンバータ110には、カウンタ112が接続されている。R/Dコンバータ110によるA相及びB相それぞれのデジタル信号は、カウンタ112に供給される。カウンタ112は、R/Dコンバータ110からのA相及びB相それぞれのデジタル信号についてパルスをカウントし、そのカウント値に基づいてロータ回転角を検出する。
制御装置100は、また、電流センサ106の出力に接続される3相−2相電流変換部114を備えている。電流センサ106によるモータ各相の実電流Iu,Iv,Iwを示す信号は、3相−2相電流変換部114に供給される。3相−2相電流変換部114は、また、カウンタ112の出力に接続されている。カウンタ112によるロータ回転角を示す信号は、3相−2相電流変換部114に供給される。3相−2相電流変換部114は、ロータ回転角を用いて、電流センサ106から入力される励磁式回転電機10の三相の実電流Iu,Iv,Iwを二相のd軸電流Id及びq軸電流Iqに座標変換することで、三相の実電流Iu,Iv,Iwに基づいてd軸電流Id及びq軸電流Iqを演算する。
制御装置100は、また、トルク制御部116を備えている。トルク制御部116には、アクセル操作量などを用いて予め定められたマップなどに従って設定される励磁式回転電機10が発生すべきトルクを指示するトルク指令値の情報が入力される。トルク制御部116は、供給されるトルク指令値や変調率などに基づいてd軸及びq軸それぞれに供給すべきd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を算出する。
制御装置100は、また、電流制御部118を備えている。電流制御部118には、d軸電流の、3相−2相電流変換部114において演算された実値Idとトルク制御部116において算出された指令値Id*との偏差の情報が入力されると共に、q軸電流の、3相−2相電流変換部114において演算された実値Iqとトルク制御部116において算出された指令値Iq*との偏差の情報が入力される。電流制御部118は、入力されるd軸電流の上記偏差及びq軸電流の上記偏差が共にゼロに収束するようにd軸電圧の指令値Vd及びq軸電圧の指令値Vqを算出する。
電流制御部118には、電圧演算部120が接続されている。電流制御部118において算出されたd軸電圧の指令値Vd及びq軸電圧の指令値Vqの情報は、電圧演算部120に供給される。電圧演算部120は、電流制御部118からのd軸電圧の指令値Vd及びq軸電圧の指令値Vqに基づいて変調率を算出する。電圧演算部120には、上記のトルク制御部116が接続されている。トルク制御部116は、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を算出するうえで、弱め界磁制御部122にて電圧演算部120からの変調率に基づいて弱め界磁制御を行う。
制御装置100は、また、電流制御部118の出力及び上記のカウンタ112の出力に接続される電圧制御部124を備えている。電圧制御部124には、電流制御部118において算出されたd軸電圧の指令値Vd及びq軸電圧の指令値Vqの情報が入力されると共に、カウンタ112において検出されたロータ回転角の情報が入力される。電圧制御部124には、また、直流電源104の電圧の情報が入力される。電圧制御部124は、励磁式回転電機10のロータ回転角を用いて、入力されるdq軸の電圧指令値Vd,Vqを三相の電圧指令値Vu,Vv,Vwに座標変換することで、dq軸の電圧指令値Vd,Vqに基づいて三相の電圧指令値Vu,Vv,Vwを算出する。尚、この三相の基準電圧指令値Vu,Vv,Vwは、互いに等振幅を有しかつ位相が電気角120°ずつずれた信号である。
電圧制御部124は、算出した三相の電圧指令値Vu,Vv,Vwと所定周期のキャリア信号(例えば、三角波状の搬送波)とを電圧比較した結果に基づいて、インバータ102の上下アームのオン/オフを指令する制御信号(具体的には、パルス幅が変調するPWM信号)を生成する。そして、その制御信号をインバータ102に向けて出力する。インバータ102にかかる制御信号が供給されると、インバータ102は、その制御信号に従って直流電源104の直流電力を交流電力に変換して、リード線105を介して励磁式回転電機10の各相のステータコイル28へ供給する。
また、制御装置100は、直流電力を直流変換するチョッパ回路130を備えている。チョッパ回路130は、直流電源104と励磁式回転電機10の有する励磁コイル70との間に介在されている。チョッパ回路130は、直流電源104を用いて励磁式回転電機10にトルクを発生させるための直流電力を供給する。具体的には、例えばIGBTなどのパワートランジスタであるスイッチング素子のオン/オフを切り替えることにより、直流電源104の直流電力を降圧変換して出力する。
制御装置100は、また、カウンタ112の出力に接続される速度演算部132を備えている。カウンタ112によるロータ回転角を示す信号は、速度演算部132に供給される。速度演算部132は、ロータ回転角に基づいて励磁式回転電機10の回転数を算出する。
上記のトルク制御部116は、励磁コイル70を励磁する励磁電流を算出するうえで用いられる励磁電流テーブル136を有している。励磁電流テーブル136には、外部からのトルク指令値の情報が入力されると共に、速度演算部132からの回転数の情報及び直流電源104の電源電圧の情報が入力される。励磁電流テーブル136には、トルク指令値と回転数との関係から導かれる励磁コイル70を励磁すべき励磁電流の基準となる指令値の情報が格納されている。この励磁電流テーブル136に格納されている情報は、トルク指令値と回転数との関係から、励磁コイル70に発生する損失(主に、銅損)が最小となるように励磁コイル70に流通させるべき直流の励磁電流を規定したものである。トルク制御部116は、入力されるトルク指令値及び回転数に基づいて、励磁電流テーブル136を参照して、基準となる(すなわち、損失が最小となる)励磁電流の指令値Idr*を算出する。
制御装置100は、また、電流センサ138及び電流制御部140を備えている。電流センサ138は、励磁式回転電機10の励磁コイル70に流れる実電流Idrに応じた信号を出力する。電流制御部140には、励磁コイル70に流れる励磁電流の、電流センサ138による実値Idrとトルク制御部116において算出された指令値Idr*との偏差の情報が入力される。電流制御部140は、入力される励磁電流の実値Idrと指令値Idr*との偏差がゼロに収束するように励磁コイル70に印加すべき電圧指令値Vdrを算出する。
電流制御部140には、電圧制御部142が接続されている。電流制御部140において算出された励磁コイル70の電圧指令値Vdrの情報は、電圧制御部142に供給される。電圧制御部142は、電流制御部140からの電圧指令値Vdrが励磁コイル70に印加されるようにチョッパ回路130のスイッチング素子のオン/オフを指令する制御信号(具体的には、パルス幅が変調するPWM信号)を生成する。そして、その制御信号をチョッパ回路130に向けて出力する。チョッパ回路130にかかる制御信号が供給されると、チョッパ回路130は、その制御信号に従って直流電源104の直流電力を所望の電圧まで降圧変換して、リード線77を介して励磁式回転電機10の励磁コイル70へ供給する。
上記の励磁式回転電機10の構造において、制御装置100を用いて環状の励磁コイル70に直流電流が供給されると、その励磁コイル70の内径側(軸中心側)を軸方向に貫く磁束が発生する。この励磁コイル70を用いた電磁石による磁束は、第1又は第2外径側ロータコア56,58の永久磁石非励磁磁極→内径側ロータコア80→第2又は第1外径側ロータコア58,56の永久磁石非励磁磁極→エアギャップ22→ステータコア24→エアギャップ22→第1又は第2外径側ロータコア56,58の永久磁石非励磁磁極からなる経路で流通する。かかる磁束が発生すると、第1及び第2外径側ロータコア56,58の永久磁石非励磁磁極が励磁される。この電磁石による磁束は、永久磁石64,68による磁束を弱め或いは強める。また、この電磁石による磁束量は、励磁コイル70に流す直流電流の大きさに応じて調整される。
従って、本実施例によれば、永久磁石64,68による磁束と励磁コイル70を用いた電磁石による磁束との合成磁束によりロータ12をステータ14回りに回転させるトルクを調整することができ、そのロータ12を適切に回転させることができる。
また、本実施例において、制御装置100のトルク制御部116は、励磁電圧演算部144と、実トルク演算部146と、を有している。励磁電圧演算部144には、3相−2相電流変換部114において演算されたd軸電流及びq軸電流の実値Id,Iqの情報が入力されると共に、電流センサ138による励磁コイル70に流れる電流の実値Idrの情報が入力される。励磁電圧演算部144は、d軸電流及びq軸電流の実値Id,Iqと励磁コイル70に流れる電流の実値Idrとに基づいて、励磁コイル70の両端に発生していると推定される直流の励磁電圧を算出する。この電圧算出は、予め定められた式やマップを用いて行われるものとすればよい。
実トルク演算部146には、3相−2相電流変換部114において演算されたd軸電流及びq軸電流の実値Id,Iqの情報が入力されると共に、電流センサ138による励磁コイル70に流れる電流の実値Idrの情報が入力される。実トルク演算部146は、d軸電流及びq軸電流の実値Id,Iqと励磁コイル70に流れる電流の実値Idrとに基づいて、励磁式回転電機10の励磁コイル70側と各相ステータコイル28側との全体で実際に発生していると推定される実トルクを算出する。このトルク算出は、予め定められた式やマップを用いて行われるものとすればよい。
実トルク演算部146には、また、外部からのトルク指令値の情報が入力される。実トルク演算部146は、上記の如く励磁式回転電機10の実トルクを算出すると、その実トルクがトルク指令値に対して乖離しているか否か、具体的には、その実トルクとトルク指令値との偏差を求め、実トルクがトルク指令値に対して小さくかつその偏差が所定値を超えているか否かを判別する。
励磁電圧演算部144及び実トルク演算部146には、励磁電流演算部148が接続されている。励磁電圧演算部144において算出される励磁コイル70の励磁電圧推定値の情報、及び、実トルク演算部146において判別された結果を示す情報は、励磁電流演算部148に供給される。励磁電流演算部148には、また、上記の如く励磁電流テーブル136を参照して算出される、トルク指令値及び回転数に基づいて基準となる励磁電流の指令値Idr*の情報が入力される。励磁電流演算部148は、後述の如く、励磁電圧演算部144からの励磁コイル70の励磁電圧推定値及び実トルク演算部146における上記の判別結果に応じて、励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*を補正する。そして、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*を生成する。
トルク制御部116は、また、最大トルク制御部150と、等トルクテーブル152と、を有している。最大トルク制御部150には、外部からのトルク指令値の情報が入力されると共に、励磁電流演算部148から供給される励磁電流指令値Idr*の情報が入力される。励磁電流演算部148は、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値と、最大トルク制御部150に対して励磁コイル70に流通させる電流値として情報通知する指令電流値(以下、ダミー指令電流値と称す。)とをそれぞれ互いに異なるように算出することが可能であり、最大トルク制御部150に対して情報通知するダミー指令電流値を、励磁コイル70に流通させる励磁電流指令値と異ならせることが可能である。
最大トルク制御部150は、トルク指令値に対応した同一のトルクを励磁式回転電気10に発生させる電流ベクトルのうちで電流振幅を最小にする電流ベクトルを導くための最大トルク制御を行う。尚、この最大トルク制御は、電流ベクトルの振幅を一定としたときに電流位相角に対してトルクを最大とするものであって、リラクタンストルクを有効に活用することで、同じ出力を得ながら電流振幅の2乗に相当する銅損を最小にできるので、励磁式回転電機10の高効率な制御を実現することが可能である。
最大トルク制御部150には、上記の弱め界磁制御部122が接続されている。最大トルク制御部150において算出されたd軸電流指令値Id*の情報は、弱め界磁制御部122に供給される。弱め界磁制御部122は、最大トルク制御部150からのd軸電流指令値Id*と電圧演算部120からの変調率とに基づいて弱め界磁制御を行って、その弱め界磁制御後のd軸電流指令値Id*の情報を電流制御部118側へ出力する。
また、等トルクテーブル152には、外部からのトルク指令値の情報が入力され、かつ、励磁電流演算部148からの励磁電流のダミー指令電流値Idr*の情報が入力されると共に、弱め界磁制御部122から出力されたd軸電流指令値Id*の情報が入力される。励磁電流演算部148は、最大トルク制御部150に情報通知するダミー指令電流値と同じダミー指令電流値の情報を等トルクテーブル152に供給する。
等トルクテーブル152には、励磁コイル70への励磁電流指令値Idr*が変更されても、その励磁電流指令値Idr*の変更前後で励磁式回転電機10全体に発生するトルクを等しくするq軸電流指令値Iq*の情報、すなわち、等トルクを発生させるうえで励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*と各相ステータコイル28に流通させるべきq軸電流指令値Iq*との組み合わせを示す情報が格納されている。トルク制御部116は、入力されるトルク指令値、励磁電流指令値Idr*、及びd軸電流指令値Id*に基づいて、等トルクテーブル152を参照して、q軸電流指令値Iq*を算出し、その情報を電流制御部118側へ出力する。
図7は、本実施例の励磁式回転電機10の制御装置100においてトルク制御部116が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図8は、本実施例の励磁式回転電機10の制御装置100による効果を表した図を示す。尚、図8(A)〜(C)にはそれぞれ、励磁式回転電機10のトルクTq、各相ステータコイル28に流通する電流Ia、及び励磁コイル70に流通する励磁電流Idrそれぞれの指令値(破線で示す。)及び実値(実線で示す。)のタイムチャートを示す。更に、図8(A)には本実施例の特徴的な制御を行わない場合を、図8(B)には本実施例の特徴的な制御を行いかつ励磁コイル70の電圧に電源電圧に対する余裕がある場合を、また、図8(C)には本実施例の特徴的な制御を行いかつ励磁コイル70の電圧に電源電圧に対する余裕がない場合を、それぞれ示す。
本実施例の制御装置100において、トルク制御部116は、外部からトルク指令値の情報が入力される(ステップ100)と、そのトルク指令値及び励磁式回転電機10の回転数に基づいて、励磁電流テーブル136を参照して、損失(銅損)が最小となる励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*を算出する(ステップ102)。また、トルク制御部116は、d軸電流及びq軸電流の実値Id,Iqと励磁コイル70に流れる電流の実値Idrとに基づいて、実トルク演算部146にて、励磁式回転電機10の励磁コイル70側と各相ステータコイル28側との全体で実際に発生していると推定される実トルクを算出すると共に、励磁電圧演算部144にて、励磁コイル70の両端に生じていると推定される直流の励磁電圧を算出する。
実トルク演算部146は、上記した実トルクの算出後、その実トルクがトルク指令値に対して乖離しているか否か、例えば、その実トルクとトルク指令値との偏差を求め、実トルクがトルク指令値に対して小さくかつその偏差が所定値を超えているか否かを判別する(ステップ104)。尚、この所定値は、実トルクがトルク指令値に対して小さ過ぎると判断できる最小の偏差量であって、予め定められたゼロ以上の値である。実トルク演算部146は、上記の如く判別した結果を励磁電流演算部148に供給する。
トルク制御部116は、励磁電流演算部148にて、実トルクがトルク指令値に対して乖離していない、例えば、実トルクがトルク指令値と略同じであることを検知した場合は、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流として励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*をそのまま維持して、励磁コイル70側へ向けてその励磁電流指令値Idr*の情報出力を行うと共に、また、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152に対して情報通知するダミー指令電流値をその励磁コイル70の励磁電流指令値Idr*(具体的には、励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*)と同じ値に設定して、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152へ向けてそのダミー指令電流値Idr*の情報出力を行う(ステップ106)。
かかるステップ106の処理が行われると、励磁コイル70に、励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*が流通するので、基準どおりに、その励磁コイル70を用いた電磁石による磁束によりロータ12を回転させるトルクが発生する。また、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152へ向けて情報出力されるダミー指令電流値Idr*は、励磁電流テーブル136を用いて算出した実際に励磁コイルに流通させる基準の励磁電流指令値Idr*と一致する。このため、各相のステータコイル28に、励磁式回転電機10全体で発生すべきトルク(トルク指令値)から上記の励磁コイル70を用いた電磁石による発生トルク分を除いたトルクを発生させる電流が流通するので、基準どおりに、ステータコイル28側でロータ12を回転させるトルクが発生する。
一方、トルク制御部116は、励磁電流演算部148にて、実トルクがトルク指令値に対して乖離している、具体的には、実トルクがトルク指令値に対して小さくかつその偏差が所定値を超えていることを検知した場合は、次に、励磁電圧演算部144にて算出した励磁コイル70の励磁電圧推定値に所定の電圧しきい値に対する余裕があるか否か、具体的には、その励磁電圧推定値が所定の電圧しきい値に対して小さくかつその偏差が所定値を超えているか否かを判別する(ステップ108)。尚、この所定の電圧しきい値は、直流電源104の電源電圧に基づいて設定されるものであればよく、例えば、直流電源104の電源電圧から微小電圧を差し引いたものや直流電源104の電源電圧の90%の値或いは100%の値などであればよい。
励磁電流演算部148は、上記ステップ108における判別の結果、励磁コイル70の励磁電圧推定値に所定の電圧しきい値に対する余裕があると判別した場合は、図8(B)に示す如く、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*を励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*から増加させて、励磁コイル70側へ向けてその増加した励磁電流指令値Idr*の情報出力を行うと共に、また逆に、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152に対して情報通知するダミー指令電流値を励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*から減少させて、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152へ向けてその減少したダミー指令電流値Idr*の情報出力を行う(ステップ110)。
尚、上記したステップ110における励磁電流指令値Idr*の増加量及びダミー指令電流値Idr*の減少量はそれぞれ、予め定められた量に設定されていてもよく、また、それらの増加及び減少はそれぞれ、一演算周期当たり一ステップずつ行われるものであってもよく、また、一演算周期当たり所定量ずつ行われるものであってもよい。
かかるステップ110の処理が行われると、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*が通常値(具体的には、励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*)よりも増加する。この場合には、励磁コイル70に実際に流通する励磁電流が、その励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*に達するまでの時間が短縮される(図8(A)と図8(B)とを比較して参照)。
また、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*が通常値よりも増加した状況で、励磁式回転電機10全体で等トルクを発生させるためには、各相のステータコイル28に流通させるべき電流を通常値よりも減少させることが必要である。しかし、かかる構成の如く、各相のステータコイル28に流通させるべき電流が減少されると、励磁式回転電機10全体で等トルクを発生させることはできても、ステータコイル28側でのトルク発生の応答性が阻害され、その結果として、励磁式回転電機10全体でのトルク応答性が悪化する不都合が生ずる。
これに対して、本実施例においては、上記ステップ110の処理が行われると、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*が通常値よりも増加したときにも、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152へ向けて情報出力されるダミー指令電流値Idr*は通常値よりも減少されたものとなる。ダミー指令電流値Idr*が減少されると、その減少分のトルクを補うトルクが増加して発生するように、各相のステータコイル28に流通させるべき電流指令値Ia*が通常値よりも増加される。この場合には、各相のステータコイル28に実際に流通する電流が電流指令値Iaの通常値に達するまでの時間が短縮される(図8(A)と図8(B)とを比較して参照)。
尚、本実施例において、励磁コイル70に流通する励磁電流の増加と各相ステータコイル28に流通する電流の増加とが同時に生じるタイミングは、励磁コイル70の励磁電圧に所定の電圧しきい値に対する余裕がある場合、すなわち、励磁電圧が所定の電圧しきい値に対して小さくかつその偏差が所定値を超えている場合に限定される。このため、直流電源104からの電力供給を適切に確保できるタイミングに限って、励磁コイル70及び各相ステータコイル28それぞれに流通させる電流を共に増加させることができ、各相のステータコイル28に実際に流通する電流が電流指令値Iaの通常値に達するまでの時間短縮を実現することが可能である。
また、本実施例において、トルク制御部116の励磁電流演算部148は、上記ステップ108における判別の結果、励磁コイル70の励磁電圧推定値に所定の電圧しきい値に対する余裕がないと判別した場合は、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流として励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*をそのまま維持して、励磁コイル70側へ向けてその励磁電流指令値Idr*の情報出力を行うと共に、また、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152に対して情報通知するダミー指令電流値を励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*から減少させて、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152へ向けてその減少したダミー指令電流値Idr*の情報出力を行う(ステップ112)。
尚、上記したステップ112におけるダミー指令電流値Idr*の減少量は、予め定められた量に設定されていてもよく、また、その減少は、一演算周期当たり一ステップずつ行われるものであってもよく、また、一演算周期当たり所定量ずつ行われるものであってもよい。
かかるステップ112の処理が行われると、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*は通常値(具体的には、励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*)に維持されるが、一方、最大トルク制御部152及び等トルクテーブル152へ向けて情報出力されるダミー指令電流値Idr*は通常値よりも減少される。ダミー指令電流値Idr*が減少されると、その減少分のトルクを補うトルクが増加して発生するように、各相のステータコイル28に流通させるべき電流指令値Ia*が通常値よりも増加されるので、各相のステータコイル28に実際に流通する電流が電流指令値Iaの通常値に達するまでの時間が短縮される(図8(A)と図8(C)とを比較して参照)。
尚、本実施例において、励磁コイル70に流通する励磁電流が維持されつつ各相ステータコイル28に流通する電流が増加するタイミングは、励磁コイル70の励磁電圧に所定の電圧しきい値に対する余裕がない場合、すなわち、励磁電圧が所定の電圧しきい値又はその所定の電圧しきい値近傍に達している場合に限定される。このため、直流電源104からの電力供給を適切に行うことが困難であるときは、励磁コイル70に流通する励磁電流を増加させることなく、各相ステータコイル28に流通する電流のみを増加させることができるので、直流電源104の機能低下を招くことなく、各相のステータコイル28に実際に流通する電流が電流指令値Iaの通常値に達するまでの時間短縮を実現することが可能である。
従って、本実施例の制御装置100によれば、実トルクがトルク指令値に対して乖離している場合に、乖離していない場合に比して、各相ステータコイル28に流通させるべき電流指令値Ia*及び励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*の少なくとも一方を増加させることができるので、ステータコイル28及び励磁コイル70の少なくとも一方に実際に流通する電流が増加前の通常値に達するまでの時間を短縮させることができ、これにより、励磁式回転電機10のトルク応答性を向上させることが可能である。このため、本実施例によれば、励磁コイル70のインダクタンスが比較的大きいことでその励磁コイル70に流通する励磁電流の応答性が悪いときにも、励磁式回転電機10に発生するトルクの応答が遅くなるのを抑制することができ、この点、励磁コイルへの励磁電流の応答性悪化に起因したトルク応答性の低下を抑制することが可能である。
また、本実施例の制御装置100によれば、実トルクがトルク指令値に対して乖離している状況において、励磁コイル70の励磁電圧に所定の電圧しきい値に対する余裕の有無に応じて、各相ステータコイル28に流通させるべき電流指令値Ia*及び励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*の双方を増加させるのか、或いは、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*をそのまま維持しつつ各相ステータコイル28に流通させるべき電流指令値Iaのみを増加させるのかを設定することができる。
具体的には、励磁コイル70の励磁電圧に所定の電圧しきい値に対する余裕があるときは、各相ステータコイル28に流通させるべき電流指令値Ia*及び励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*の双方を増加させる一方、励磁コイル70の励磁電圧に所定の電圧しきい値に対する余裕がないときは、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*をそのまま維持しつつ各相ステータコイル28に流通させるべき電流指令値Iaのみを増加させる。従って、本実施例によれば、直流電源104の機能低下を招くことなく、直流電源104からの電力供給を適切に確保できる範囲で、励磁式回転電機10のトルク応答性を向上させることが可能である。
更に、本実施例において、実トルクがトルク指令値に対して乖離していた状態から乖離しない状態(すなわち、実トルクとトルク指令値との偏差が所定値以下である状態)へ移行した後は、各相ステータコイル28に流通させるべき電流指令値Ia*及び励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*を、増加した状態から元の通常値に戻す。このため、本実施例によれば、各相ステータコイル28に流通させるべき電流指令値Ia*及び励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*が長時間に亘って増加した状態に維持されるのを防止することができ、これにより、励磁式回転電機10の実トルクがトルク指令値に対して大きくオーバーシュートするのを回避することができる。
尚、上記の実施例においては、第1及び第2外径側ロータコア56,58が特許請求の範囲に記載した「一対のロータコア」に、第1及び第2外径側ロータコア56,58の永久磁石64,68で励磁されていない永久磁石非励磁磁極が特許請求の範囲に記載した「磁極」に、直流電源104が特許請求の範囲に記載した「電源」に、それぞれ相当している。
また、上記の実施例においては、トルク制御部116の実トルク演算部146が、d軸電流及びq軸電流の実値Id,Iqと励磁コイル70に流れる電流の実値Idrとに基づいて、励磁式回転電機10の励磁コイル70側と各相ステータコイル28側との全体で実際に発生していると推定される実トルクを算出することにより特許請求の範囲に記載した「実トルク検出手段」が、励磁電流演算部148が、実トルクがトルク指令値に対して乖離している場合に乖離していない場合に比して、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値Idr*を励磁電流テーブル136を用いて算出した基準の励磁電流指令値Idr*から増加させることにより特許請求の範囲に記載した「励磁電流制御手段」が、トルク制御部116が、入力されるトルク指令値及び回転数に基づいて、励磁電流テーブル136を参照して、励磁コイル70に発生する損失(主に銅損)が最小となる励磁電流の指令値Idr*を算出することにより特許請求の範囲に記載した「励磁電流指令値算出手段」が、それぞれ実現されている。
また、トルク制御部116が、実トルクがトルク指令値に対して乖離している場合に乖離していない場合に比して、各相ステータコイル28に流通させる電流を増加させることにより特許請求の範囲に記載した「ステータコイル電流制御手段」が、励磁電流演算部148が、励磁コイル70に流通させるべき励磁電流指令値と、最大トルク制御部150に対して励磁コイル70に流通させる電流値として情報通知する指令電流値(以下、ダミー指令電流値と称す。)とをそれぞれ互いに異なるように算出することにより特許請求の範囲に記載した「出力用算出手段」及び「ダミー用算出手段」が、トルク制御部116が、等トルクテーブル152を用いて励磁式回転電機10の励磁コイル70側とステータコイル28側との全体で発生させるべきトルクから励磁コイル70側で賄うトルク分を除いたステータコイル28側で賄うべきトルク分が該ステータコイル28で発生するように、該ステータコイル28に流通させる電流を算出することにより特許請求の範囲に記載した「ステータコイル電流算出手段」が、励磁電流演算部148が、d軸電流及びq軸電流の実値Id,Iqと励磁コイル70に流れる電流の実値Idrとに基づいて算出した励磁コイル70に発生する励磁電圧の推定値に所定の電圧しきい値に対する余裕があるか否かを判別することにより特許請求の範囲に記載した「励磁電圧判別手段」が、それぞれ実現されている。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形や置換を加えることができる。
例えば、上記の実施例においては、第1外径側ロータコア56が、永久磁石64で励磁された永久磁石励磁磁極と、永久磁石64で励磁されていない非励磁の永久磁石非励磁磁極と、を有し、かつ、第2外径側ロータコア58が、永久磁石68で励磁された永久磁石励磁磁極と、永久磁石68で励磁されていない非励磁の永久磁石非励磁磁極と、を有するが、第1外径側ロータコア56が永久磁石64で励磁された永久磁石励磁磁極を有しないもの、及び、第2外径側ロータコア58が永久磁石68で励磁された永久磁石励磁磁極を有しないものとしてもよい。すなわち、永久磁石64,68(及びこれらを保持するための部材)を備えていない構成(すなわち、ハイブリッド型でない構成)であってもよい。
この変形例の構成においては、永久磁石64,68を保持するための構造部分は設けられないものとし、永久磁石64,68が存在していた領域はエアギャップとして形成されるものとしてもよい。かかる変形例においても、励磁コイル70を用いた電磁石による磁束によりロータ12をステータ14回りに回転させるトルクを調整することができ、ロータ12を適切に回転させることができる。
また、上記の実施例において、励磁式回転電機10は、U,V,Wの三相のステータコイル28からなるものとしてもよいが、三相以外のステータコイルからなるものとしてもよい。
更に、上記の実施例においては、制御装置100が図5及び図6に示す如き構成を有するものとしたが、他の構成を有するものとしてもよい。
10 励磁式回転電機
12 ロータ
14 ステータ
22 エアギャップ
24 ステータコア
28 ステータコイル
52 ロータコア
60 隙間
64,68 永久磁石
70 励磁コイル
100 制御装置
102 インバータ
104 直流電源
106,138 電流センサ
108 レゾルバ
114 3相−2相電流変換部
116 トルク制御部
130 チョッパ回路
136 励磁電流テーブル
144 励磁電圧演算部
146 実トルク演算部
148 励磁電流演算部
150 最大トルク制御部
152 等トルクテーブル

Claims (7)

  1. 軸方向に隙間を空けて対向配置され、それぞれ周方向に所定間隔を空けて配置された磁極同士が互いに軸方向で前記隙間を介して斜に配置された一対のロータコアを有するロータと、前記ロータの外径側にエアギャップを介して対向配置され、前記ロータを回転させる回転磁界を発生させるステータと、前記磁極を励磁する励磁コイルと、を備え、電源からの電力供給により駆動される励磁式回転電機の制御装置であって、
    前記励磁式回転電機における実トルクを検出する実トルク検出手段と、
    前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、前記励磁コイルに流通させる電流を増加させる励磁電流制御手段と、
    を備えることを特徴とする励磁式回転電機の制御装置。
  2. 前記励磁式回転電機へのトルク指令値に基づいて、生じる損失が最小となるように、前記励磁コイルに流通させるべき電流指令値を算出する励磁電流指令値算出手段を備え、
    前記励磁電流制御手段は、前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、前記励磁コイルに流通させる電流を、前記励磁電流指令値算出手段により算出される前記電流指令値に対して増加させることを特徴とする請求項1記載の励磁式回転電機の制御装置。
  3. 前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、前記ステータのステータコイルに流通させる電流を増加させるステータコイル電流制御手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の励磁式回転電機の制御装置。
  4. 前記励磁電流制御手段は、前記励磁コイルに流通させる出力電流値を算出する出力用算出手段と、前記ステータコイル電流制御手段に前記出力電流値として通知するダミー電流値を算出するダミー用算出手段と、を有し、
    前記ステータコイル電流制御手段は、トルク指令値及び前記励磁電流制御手段の前記ダミー用算出手段により算出される前記ダミー電流値に基づいて、前記励磁式回転電機の前記励磁コイル側と前記ステータコイル側との全体で発生させるべきトルクのうち前記ステータコイル側で賄うべきトルク分が該ステータコイルで発生するように、該ステータコイルに流通させる電流を算出するステータコイル電流算出手段を有し、
    前記出力用算出手段は、前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、前記出力電流値を増加させ、かつ、
    前記ダミー用算出手段は、前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、前記ダミー電流値を減少させることを特徴とする請求項3記載の励磁式回転電機の制御装置。
  5. 前記励磁コイルに発生する電圧に所定値に対する余裕があるか否かを判別する励磁電圧判別手段を備え、
    前記励磁電圧判別手段により前記励磁コイルに発生する電圧に前記余裕があると判別されるとき、前記ステータコイル電流制御手段が、前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、前記ステータコイルに流通させる電流を増加させるステータ電流増加処理を実行し、かつ、前記励磁電流制御手段が、前記実トルク検出手段により検出される前記実トルクがトルク指令値に対して小さい場合に、小さくない場合に比して、前記励磁コイルに流通させる電流を増加させる励磁電流増加処理を実行することを特徴とする請求項3又は4記載の励磁式回転電機の制御装置。
  6. 前記励磁電圧判別手段により前記励磁コイルに発生する電圧に前記余裕がないと判別されるとき、前記ステータコイル電流制御手段が前記ステータ電流増加処理を実行する一方、前記励磁電流制御手段が前記励磁電流増加処理を実行しないことを特徴とする請求項5記載の励磁式回転電機の制御装置。
  7. 前記所定値が前記電源の電源電圧に基づく値であることを特徴とする請求項5又は6記載の励磁式回転電機の制御装置。
JP2012206204A 2012-09-19 2012-09-19 励磁式回転電機の制御装置 Pending JP2014064340A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206204A JP2014064340A (ja) 2012-09-19 2012-09-19 励磁式回転電機の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206204A JP2014064340A (ja) 2012-09-19 2012-09-19 励磁式回転電機の制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014064340A true JP2014064340A (ja) 2014-04-10

Family

ID=50619114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012206204A Pending JP2014064340A (ja) 2012-09-19 2012-09-19 励磁式回転電機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014064340A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019213247A (ja) * 2018-05-31 2019-12-12 三菱電機株式会社 回転電機の制御装置
CN112532119A (zh) * 2019-09-19 2021-03-19 丰田自动车株式会社 电动机的控制装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019213247A (ja) * 2018-05-31 2019-12-12 三菱電機株式会社 回転電機の制御装置
CN112532119A (zh) * 2019-09-19 2021-03-19 丰田自动车株式会社 电动机的控制装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9577484B2 (en) Variable magnetomotive force rotary electric machine and control device for variable magnetomotive force rotary electric machine
JP4422567B2 (ja) モータ駆動装置,電動アクチュエータおよび電動パワーステアリング装置
US9083276B2 (en) Rotary electric machine driving system
US8310181B2 (en) Motor drive system using potential at neutral point
US20130334937A1 (en) Rotary electric machine driving system
WO2015182659A1 (ja) 多群多相駆動システムおよび回転電機の駆動方法
JP2008263743A (ja) 電動機の制御装置
US8742710B2 (en) Rotary electric machine system
JP5409680B2 (ja) 回転電機システム
US20150229249A1 (en) Electronic motor-generator system and method for controlling an electric motor-generator
JP2007274779A (ja) 電動駆動制御装置及び電動駆動制御方法
US20130015803A1 (en) Methods, systems and apparatus for reducing power loss in an electric motor drive system
US11283384B2 (en) Motor system provided with both motor having multiple-phase stator windings and control device controlling the motor
WO2014188757A1 (ja) 回転電機の回転子、回転電機、電動駆動システム、及び電動車両
JP2014176114A (ja) 励磁式回転電機
JP5626306B2 (ja) 回転電機制御システム
JP6075161B2 (ja) スイッチトリラクタンスモータの制御装置
JP2014064340A (ja) 励磁式回転電機の制御装置
CN110063018B (zh) 励磁绕组型旋转电机
JP3586593B2 (ja) モータ制御装置
JP2014064339A (ja) 励磁式回転電機の制御装置
JP2014057385A (ja) 回転電機の制御装置及びその制御装置を備えた回転電機駆動システム
JP2017011806A (ja) モータ制御装置
WO2023218676A1 (ja) 回転電機の制御装置および回転電機の制御方法
WO2022054232A1 (ja) 回転機の制御装置