JP2014061646A - ストレッチ布帛およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
ストレッチ性と難燃性を両立せしめた布帛に、洗濯耐久性と通気性を有し、遠赤外線に対して優れた偽装性を施した遠赤外線偽装布帛を提供する。該布帛はそのストレッチ性から、特に人が着用する衣類用の布帛として好適に用いることができる。
【解決手段】
本発明の難燃性ストレッチ布帛は90%以上のアラミド繊維および10%以下の弾性繊維よりなり、また遠赤外線偽装のために該布帛の少なくとも片面に、金属含有樹脂層および着色剤含有樹脂層が積層されてなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
また近年、自然環境における偽装技術として、可視および0.8〜1.2μmの波長領域の近赤外線に対する偽装に加え、8〜14μmの波長領域の遠赤外線に対する偽装について鋭意検討がなされている。その遠赤外線に対する偽装技術として、布帛表面に蒸着法、メッキ法等により金属薄膜層を形成した後、迷彩着色剤をプリント法またはコーティング法により付着せしめて得られる遠赤外線偽装布帛等が知られている。例えば、フィルムや布帛表面に金属薄膜層を形成し、その表面に着色剤含有樹脂を積層した遠赤外線偽装布帛(例えば、特許文献2)、金属薄膜層と着色剤含有樹脂層を形成後、撥水樹脂を施した遠赤外線偽装布帛(例えば、特許文献3)、布帛表面の糸条部のみにスパッタリングにより金属薄膜層を施した迷彩布帛(例えば、特許文献4)、金属にエポキシ樹脂を処理した金属樹脂層を有する遠赤外線偽装服(例えば、特許文献5)が提案されている。
(1) 90重量%以上のアラミド繊維および1重量%以上10重量%以下の弾性繊維を含む基布の少なくとも片面に、金属粒子含有樹脂層および着色剤含有樹脂層が積層されてなることを特徴とするストレッチ布帛。
(2) 該布帛の引張強度が経緯共に950N/cm以上であることを特徴とする上記(1)に記載のストレッチ布帛。
(3) 該弾性繊維がポリウレタン系の弾性糸である上記(1)または(2)に記載のストレッチ布帛。
(4) 該布帛の通気度が1cc/cm2/s以上である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のストレッチ布帛。
(5) 該金属含有樹脂層と該着色剤含有樹脂層のいずれもが凸版印刷法により形成されたことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のストレッチ布帛。
(6) 該布帛の経方向もしくは緯度方向のストレッチ率が15%以上であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のストレッチ布帛。
(7) 該布帛の限界酸素指数が25以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のストレッチ布帛。
(8) 該布帛の該金属粒子含有樹脂層および該着色剤含有樹脂層が付与された面のうち、少なくとも1面がカレンダー加工されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の難燃性ストレッチ布帛。
(9) 90重量%以上のアラミド繊維および1重量%以上10重量%以下の弾性繊維を含む基布の少なくとも片面に、金属粒子含有樹脂層および着色剤含有樹脂層を順に凸版印刷することを特徴とするストレッチ布帛の製造方法。
アラミド繊維が90重量%以上含有されるため、本発明における布帛は、JIS L 1091 E法(1999年版)に基づいて測定される限界酸素指数が25以上となる。限界酸素指数を25以上とすることで、布帛が燃えにくく、防護用途に好ましく用いられる。
また、快適なストレッチ性を付与するためには経方向もしくは緯方向の少なくともいずれか1方向において、JIS L 1096 B法(2010年版)による伸張率が15%以上であることが好ましい。伸長率が15%未満となると、着用時、背中、肘等の皮膚が伸張する部分において、つっぱり感を感じる傾向がある。前述の弾性繊維の経、緯の配置を適宜調整することで、かかる伸長率を15%以上とすることができる。
該金属粒子含有樹脂層の金属粒子を形成する金属としては、チタン、ステンレス、ニッケル、クロム、金、銀、銅、鉄、亜鉛、アルミニウム等や、これらの合金等が適宜使用される。その中でも加工性および遠赤外線偽装性の面から、チタン、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、銅、銀から選ばれる少なくとも1種の金属及びその合金が好ましく用いられる。更に好ましくは一般的に原料入手が容易であり、安価で更に粒子径やその形状のコントロールが容易なアルミニウムの使用が望ましい。またこれら金属へ耐薬品性や洗濯性を付与するために、金属粒子の表面を樹脂で完全に被覆させることが好ましい。この被覆剤としてアクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ビニル系、ベンゾグアナミン系、メラミン系、エポキシ系等の樹脂が適時使用される。その中でも耐久性、加工性および遠赤外線偽装性の面より、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの樹脂を用いることが好ましい。また、より金属への耐薬品性や洗濯性を付与するために樹脂被覆前に又は樹脂被覆に代えて、より安定な無機材料等で金属を事前に処理してもよい。無機材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミ、ジルコン、モリブデン、クロムおよびリン酸およびこれらを含む複合酸化物が適時使用されるが、より安価で加工性に優れる酸化ケイ素を用いることが好ましい。これら金属粒子の形状としては、円盤状であっても、薄板状であってものよい。これらの中でも、加工性および遠赤外線偽装性の面から円盤状が好ましく用いられる。金属粒子径としては1〜50μmであるが好ましい。ここで粒子径が1〜50μmであるとは、全粒子の90重量%以上がこの範囲に含まれることを意味する。
金属粒子径とは、上記の樹脂又は無機材料で被覆された場合、その被覆された状態における径を指す。50μmを超える粒子が多すぎると加工性と耐久性に問題が生じる場合があり、1μm未満が多すぎる場合は遠赤外線偽装性が不十分となる場合がある。これら金属は金属粒子含有樹脂層中の20〜80重量%を占めることが望ましい。20重量%未満の場合は遠赤外線偽装性が不十分となる傾向があり、80重量%を超えると加工性や耐久性等が低下する傾向がある。かかる金属粒子含有樹脂層を形成する樹脂としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、ビニル系、繊維素系、エポキシ系、アルキド系、ロジン系、メラミン系樹脂等を、硬化剤としてポリイソシアネート系、カルボジイミド系、シラノール系、金属キレート系硬化剤を用いて硬化したものが好ましく使用される。これらの中でも基布への接着性、柔軟性及び洗濯性の面からウレタン系、ポリエステル系樹脂に、ポリイソシアネート系硬化剤を用いる方法が好ましく使用される。また、使用される溶媒は水系でも溶剤系であってもよい。これらからなる金属粒子含有樹脂の処理液を、プリント(顔料捺染)方式、噴霧方式、印刷方式等で布帛上に塗布し、乾燥することで金属粒子含有樹脂層は形成されるが、布帛の柔軟性を損なわないため、印刷方式が好ましい。特に通気性を損ないにくいことや布帛の凹凸にムラなく印刷できることから、凸版(フレキソ)印刷が好ましく用いられる。また塗工量としては基布1m2あたり乾燥皮膜2g〜15gの塗工量が望ましい。15gを超える場合は基布の柔軟性と通気性が低下する場合があり、2g未満の場合は遠赤外線偽装性が低下する場合がある。
JIS L 1096:8.27.1 A法(フラジール形法:試験差圧125Pa)に準じ通気度の測定を行い、通気性について次の基準で判定した。
0〜1.0cc/cm2/s ×
(2)洗濯耐久性
JIS L 0217:103法に準じ、10回の繰り返し洗濯処理を行ない、布帛の表面状態を観察し、次の基準で判定した。
変化無し ○
一部樹脂剥がれ・色落ち有り △
樹脂剥がれ・色落ち大 ×
性能評価:洗濯前後の上記(3)で測定される熱放射率の変化率が
10%未満 ○
10%以上20%未満 △
20%以上 ×
(3)平均熱放射率
各色につき2箇所ずつD and S AERD熱放射率計(Devices Servicens社製)にて測定し、その平均値を算出した。洗濯前および洗濯後のサンプルを本方法で評価し、洗濯前の平均熱放射率を「放射率」、洗濯後の平均熱放射率を「洗濯後の放射率」とし、{(放射率-洗濯後の放射率)/放射率}×100(絶対値)を「放射率の変化率」として算出した。
試料を樹木の前に吊るし、背景との混和をA〜Cの条件で確認し、次の基準で偽装性を判定した。洗濯前と洗濯後に確認した。
偽装効果有り △
識別容易 ×
A.遠赤外線偽装性
検出波長8〜14μmの赤外線画像装置(遠赤外線カメラ)を用いて、100mの距離から観察し、上記基準にて判定した。
近赤外線カメラを用いて、100mの距離から観察し、上記基準にて判定した。
目視で100mの距離から観察し、上記基準にて判定した。
JIS L 1091 E法により測定した。
JIS L 1096 B法(織物の定荷重法)により測定した。
JIS L 1096 A法(ラベルドストリップ法)により測定した。
メタアラミド繊維(ノーメックス)100%の綿番手40番双糸を経糸とし、メタアラミド繊維(ノーメックス)と40デニールのポリウレタン弾性糸(ライクラ)からなる綿番手40番双糸のコアスパンヤーン糸を緯糸としてなるメタアラミド繊維95重量%、ポリウレタン弾性糸5重量%からなる目付け565g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、生アルミを粉砕して得たアルミ粒子の表面をアクリル樹脂で被覆し、粒子径10〜16μmの被覆アルミニウム粒子を得た。これをウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により熱セット後の生地に3度塗布し、乾燥した。次いで、アルミニウム含有樹脂層上に、淡緑色、濃緑色、茶色および黒色の顔料とビヒクルからなる4色のインキ組成液を用い、各色の膜厚が2〜5μmになるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により塗布、乾燥し、迷彩模様を有する着色剤含有樹脂層を形成して難燃性、ストレッチ性、偽装性を持つ布帛を得た。
比較例1
メタアラミド繊維(ノーメックス)100重量%の綿番手40番双糸を経糸とし、メタアラミド繊維(ノーメックス)100重量%からなる綿番手40番双糸を緯糸としてなるメタアラミド繊維100%からなる目付け570g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、実施例1と同様のフレキソ印刷を行い、難燃性、偽装性を持つ布帛を得た。
メタアラミド繊維(ノーメックス)100%の綿番手40番双糸を経糸とし、メタアラミド繊維(ノーメックス)と40デニールのポリウレタン弾性糸(ライクラ)からなる綿番手40番双糸のコアスパンヤーン糸を緯糸としてなるメタアラミド繊維85重量%、ポリウレタン弾性糸15重量%からなる目付け553g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、実施例1と同様のフレキソ印刷を行い、難燃性、偽装性を持つ布帛を得た。
実施例1と同一のメタアラミド繊維95重量%、ポリウレタン弾性糸5重量%からなる目付け565g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、表面をアクリル樹脂で被覆したアルミニウム箔を裁断して得たアルミニウム材料を得た。このアルミニウム材料は樹脂で被覆されていない部分が存在した。これをウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により3度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。比較例3の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、通気性も十分であったが、洗濯耐久性が満足するレベルにはなかった。
実施例1と同一のメタアラミド繊維95重量%、ポリウレタン弾性糸5重量%からなる目付け565g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、生アルミを粉砕して得たアルミ粒子の表面を、アルコキシシランの加水分解反応によって生成したシリカで被覆した後アクリル保護層施し、粒子径7〜13μmの被覆アルミニウム粒子を得た。しかる後、ウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が3g/m2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により1度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。実施例2の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、通気性・洗濯耐久性、難燃性、ストレッチ性とも優れていた。
実施例1と同一のメタアラミド繊維95重量%、ポリウレタン弾性糸5重量%からなる目付け565g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、生アルミを粉砕して得たアルミ粒子の表面を、アルコキシシランの加水分解反応によって生成したシリカで被覆し、粒子径10〜16μmの被覆アルミニウム粒子を得た。しかる後、ウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により3度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。実施例3の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、通気性・洗濯耐久性とも優れていた。
比較例4
実施例1と同一のメタアラミド繊維95重量%、ポリウレタン弾性糸5重量%からなる目付け565g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。一方、ポリエステルフィルム上に離型層を介して真空蒸着により、アルミニウムの膜厚が0.05μmになるように蒸着加工を施した上に、接着層として5μmの膜厚を有するポリウレタン系樹脂を塗布した。しかる後、上記フィルム上に形成されたアルミニウム薄膜層を、接着層を介してかかる織物表面に転写した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成を実施した。
実施例1と同一のメタアラミド繊維95重量%、ポリウレタン弾性糸5重量%からなる目付け565g/m2の2/1ツイル組織の織物を常法により精練・熱セットした。次いで、スパッタリング装置を用い、この織物の表面に、アルミニウムの膜厚が0.05μmになるように調整し、アルゴン雰囲気中で蒸着加工を施し、織物表面にアルミニウム薄膜層を形成した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成を実施した。
Claims (9)
- 90重量%以上のアラミド繊維および1重量%以上10重量%以下の弾性繊維を含む基布の少なくとも片面に、金属粒子含有樹脂層および着色剤含有樹脂層が積層されてなることを特徴とするストレッチ布帛。
- 該布帛の引張強度が経緯共に950N/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のストレッチ布帛。
- 該弾性繊維がポリウレタン系の弾性糸である請求項1または2に記載のストレッチ布帛。
- 該布帛の通気度が1cc/cm2/s以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のストレッチ布帛。
- 該金属含有樹脂層と該着色剤含有樹脂層のいずれもが凸版印刷法により形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のストレッチ布帛。
- 該布帛の経方向もしくは緯度方向のストレッチ率が15%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のストレッチ布帛。
- 該布帛の限界酸素指数が25以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のストレッチ布帛。
- 該布帛の該金属粒子含有樹脂層および該着色剤含有樹脂層が付与された面のうち、少なくとも1面がカレンダー加工されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ストレッチ布帛。
- 90重量%以上のアラミド繊維および1重量%以上10重量%以下の弾性繊維を含む基布の少なくとも片面に、金属粒子含有樹脂層および着色剤含有樹脂層を順に凸版印刷することを特徴とするストレッチ布帛の製造方法。
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