JP2014059086A - グロープラグの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱コイルと制御コイルとを溶接する場合の不具合の可能性を低減できる技術を提供する。
【解決手段】発熱コイルの一端と制御コイルの一端とをアーク溶接する溶接工程は、溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が第1期間の溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む溶接電流波形を、N回(Nは2以上の整数)繰り返す工程を含む。
【選択図】 図4
【解決手段】発熱コイルの一端と制御コイルの一端とをアーク溶接する溶接工程は、溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が第1期間の溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む溶接電流波形を、N回(Nは2以上の整数)繰り返す工程を含む。
【選択図】 図4
Description
本発明は、内燃機関等に利用されるグロープラグに関するものである。
従来から、内燃機関の始動補助などのために、通電によって発熱するヒータを含むグロープラグが利用されている。ヒータとしては、例えば、発熱コイルを含む、いわゆるシースヒータが採用され得る。このようなシースヒータが採用される場合には、上昇後の温度を制御するための制御コイルが、発熱コイルに接続され得る。制御コイルと発熱コイルとは、例えば、溶接によって接続される。
ところが、発熱コイルと制御コイルとを溶接する場合に、種々の不具合が生じる可能性があった。例えば、発熱コイルまたは制御コイルに含まれていた内部欠陥(ガス(例えば、空気)で満たされた穴)に起因して、溶接部分が膨らむ可能性があった。
本発明の主な利点は、発熱コイルと制御コイルとを溶接する場合の不具合の可能性を低減できる技術を提供することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
発熱コイルと、前記発熱コイルに直列に接続され、電気比抵抗の温度係数が前記発熱コイルよりも大きい制御コイルと、を含むグロープラグの製造方法であって、
前記発熱コイルの一端と、前記制御コイルの一端とを、アーク溶接する溶接工程を含み、
前記溶接工程は、
溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が前記第1期間の前記溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む溶接電流波形を、N回(Nは2以上の整数)繰り返す工程を含むことを特徴とする、
製造方法。
発熱コイルと、前記発熱コイルに直列に接続され、電気比抵抗の温度係数が前記発熱コイルよりも大きい制御コイルと、を含むグロープラグの製造方法であって、
前記発熱コイルの一端と、前記制御コイルの一端とを、アーク溶接する溶接工程を含み、
前記溶接工程は、
溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が前記第1期間の前記溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む溶接電流波形を、N回(Nは2以上の整数)繰り返す工程を含むことを特徴とする、
製造方法。
この構成によれば、溶融量が増大することを抑制しつつ溶接時間を長くすることができるので、不具合の可能性を低減できる。
[適用例2]
適用例1に記載の製造方法であって、
前記制御コイルの材料は、純金属である、製造方法。
適用例1に記載の製造方法であって、
前記制御コイルの材料は、純金属である、製造方法。
この構成によれば、制御コイルが内部欠陥(ガス(例えば、空気)で満たされた穴)を含む可能性が低減されるので、不具合の可能性を更に低減できる。
[適用例3]
適用例1または2に記載の製造方法であって、
前記制御コイルの融点と前記発熱コイルの融点との間の差が、摂氏35度以下である、製造方法。
適用例1または2に記載の製造方法であって、
前記制御コイルの融点と前記発熱コイルの融点との間の差が、摂氏35度以下である、製造方法。
この構成によれば、溶接時に、制御コイルと発熱コイルとのうちの一方の溶融の進行が他方の溶融の進行と比べて遅れることを抑制できるので、不具合の可能性を更に低減できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、グロープラグ用のシースヒータの製造方法、その製造方法によって製造されたシースヒータ、グロープラグの製造方法、その製造方法によって製造されたグロープラグ、等の態様で実現することができる。
A.実施例:
A1.グロープラグの構成例:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としてのグロープラグを示す説明図である。グロープラグ10は、図示しない内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)の点火を補助する熱源として機能する。グロープラグ10は、端子100と、中軸200と、リング状の絶縁部材300と、O(オー)リング400と、主体金具500(単に「金具500」とも呼ぶ)と、ヒータ部材800と、を含む。以下、グロープラグ10の中心軸CLを「軸線」とも呼び、中心軸CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。図中の第1方向D1は、中心軸CLと平行な方向であり、第2方向D2は、第1方向D1と反対の方向である。グロープラグ10が内燃機関に装着された状態では、グロープラグ10の第1方向D1側の端部(より具体的には、ヒータ部材800の第1方向D1側の端部)は、燃焼室内に挿入される。以下、このような第1方向D1側を「先端側」とも呼び、第2方向D2側を「後端側」とも呼ぶ。また、グロープラグ10の種々の部材の第1方向D1側の端を「先端」とも呼び、第2方向D2側の端を「後端」とも呼ぶ。なお、図1では、中心軸CLの右側が外観構成を示し、中心軸CLの左側が断面構成を示している。
A1.グロープラグの構成例:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としてのグロープラグを示す説明図である。グロープラグ10は、図示しない内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)の点火を補助する熱源として機能する。グロープラグ10は、端子100と、中軸200と、リング状の絶縁部材300と、O(オー)リング400と、主体金具500(単に「金具500」とも呼ぶ)と、ヒータ部材800と、を含む。以下、グロープラグ10の中心軸CLを「軸線」とも呼び、中心軸CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。図中の第1方向D1は、中心軸CLと平行な方向であり、第2方向D2は、第1方向D1と反対の方向である。グロープラグ10が内燃機関に装着された状態では、グロープラグ10の第1方向D1側の端部(より具体的には、ヒータ部材800の第1方向D1側の端部)は、燃焼室内に挿入される。以下、このような第1方向D1側を「先端側」とも呼び、第2方向D2側を「後端側」とも呼ぶ。また、グロープラグ10の種々の部材の第1方向D1側の端を「先端」とも呼び、第2方向D2側の端を「後端」とも呼ぶ。なお、図1では、中心軸CLの右側が外観構成を示し、中心軸CLの左側が断面構成を示している。
主体金具500は、導電材料(例えば、炭素鋼等の金属)を筒状に形成した部材である。主体金具500は、中心軸CLに沿って延びるように、配置されている。主体金具500は、第2方向D2側に配置された工具係合部520と、工具係合部520から第1方向D1に向かって延びる胴体部560と、を含んでいる。工具係合部520は、グロープラグ10の脱着時に工具(図示省略)と係合する部分である。胴体部560の外周面には、雄ネジ部540が形成されている。雄ネジ部540は、内燃機関(図示省略)の取付孔の雌ネジに螺合するためのネジ山を含む。主体金具500は、軸線方向に延びる(中心軸CLに沿って延びる)貫通孔510を有する(「軸孔510」とも呼ぶ)。貫通孔510の第1方向D1側の開口OP1には、ヒータ部材800が挿入されている。
ヒータ部材800は、本実施例では、いわゆるシースヒータであり、通電によって発熱する。ヒータ部材800の第2方向D2側の一部は、貫通孔510の第1方向D1側の開口OP1から、貫通孔510内に、圧入されている。ヒータ部材800は、発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840と、リング状のパッキン850と、それらの部材820、830、840、850を収容するチューブ810と、を含む。チューブ810は、導電材料(例えば、ニッケル合金)を筒状に形成した部材である。チューブ810は、中心軸CLに沿って延びるように、配置されている。チューブ810の先端部(「先端部811」と呼ぶ)は、閉じられており、チューブ810の後端部(「後端部819」と呼ぶ)は、開口を形成している。
発熱コイル820は、金属線を螺旋状に成形したものである。発熱コイル820は、通電時の急速な温度上昇を実現するために、電気比抵抗が比較的大きな材料を用いて形成されている。例えば、鉄−クロム−アルミニウム(Fe−Cr−Al)合金や、ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金が、採用される。このように、急速な温度上昇を実現するためには、純金属ではなく、合金材料が、広く用いられている。
制御コイル830は、金属線を螺旋状に成形したものである。制御コイル830は、発熱コイル820に、直列に接続される(後述するように、アーク溶接で接続される)。制御コイル830は、通電時の過剰な温度上昇を抑制するために、発熱コイル820の材料と比べて、電気比抵抗の温度係数が大きい材料を用いて形成されている。例えば、鉄、ニッケル、イットリウム−ニッケル(Y−Ni)合金、コバルト−ニッケル(Co−Ni)合金等が採用される。後述するように、制御コイル830と発熱コイル820との接続部分の不具合の可能性を低減するためには、合金ではなく純金属(例えば、鉄、ニッケル等)を採用することが特に好ましい。なお、本明細書において、電気比抵抗の温度係数とは、常温(摂氏20度)と、昇温後の規定温度(例えば、摂氏1000度)との間の電気比抵抗の変化を、温度差で除した商である。
制御コイル830は、自身の発熱、および、発熱コイル820から熱を受けることにより、電気抵抗値を増大させ、発熱コイル820に供給される電力を制御する。通電開始時には、制御コイル830の温度が低く電気抵抗値が小さいので、発熱コイル820には比較的大きな電力が供給され、温度が急速に上昇する。発熱コイル820の温度が上昇すると、制御コイル830の温度も上昇するので、制御コイル830の電気抵抗値が増大し、発熱コイル820へ供給される電力が低減する。この結果、通電開始時に急速に昇温した後は、発熱コイル820に供給される電力が制御コイル830によって抑制されて、温度が過剰に高くなることが抑制される。
チューブ810の先端部811には、発熱コイル820の先端部821が、電気的に接続されている。発熱コイル820の後端部829には、制御コイル830の先端部831が、アーク溶接されている。発熱コイル820と制御コイル830とのアーク溶接の詳細については、後述する。
チューブ810には、チューブ810の第2方向D2側の開口から、中軸200の先端部(「先端部201」と呼ぶ)が挿入されている。中軸200の先端部201は、制御コイル830の後端部839に、電気的に接続されている。パッキン850は、電気的な絶縁材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム等のゴム)をリング状に形成した部材である。パッキン850は、チューブ810の後端部819と中軸200との間に配置されている。絶縁粉末840は、電気的な絶縁材料(例えば、酸化マグネシウム)の粉末であり、チューブ810の内部に充填されている。パッキン850と絶縁粉末840とは、チューブ810と中軸200との間を、中心軸CLを囲む全周に亘って、電気的に絶縁している。また、絶縁粉末840は、発熱コイル820と制御コイル830と中軸200とチューブ810との間の意図しない電気的短絡を、抑制している。
中軸200は、導電材料(例えば、ニッケル等の金属)を円柱状に形成した部材である。中軸200は、主体金具500の貫通孔510に挿入された状態で、主体金具500に支持されている。具体的には、中軸200の後端部(「後端部209」と呼ぶ)は、主体金具500の第2方向D2側の開口OP2よりも第2方向D2側に配置されている。中軸200には、第2方向D2側から、Oリング400と、絶縁部材300とが、この順番に、嵌め込まれている。Oリング400は、絶縁材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム等のゴム)を用いて形成されている。絶縁部材300は、絶縁材料(例えば、樹脂)を用いて形成されている。Oリング400と絶縁部材300とは、主体金具500の第2方向D2側の開口OP2の内側に挿入されている。Oリング400と絶縁部材300とは、主体金具500の貫通孔510の内面と中軸200の外面との間に挟まれている。このように、主体金具500は、Oリング400と絶縁部材300とを介して、中軸200を支持している。中軸200の外径は、貫通孔510の内径よりも小さいので、中軸200の外面は、主体金具500の貫通孔510の内面から、離れている。
端子100は、導電材料(例えば、ニッケル等の金属)をキャップ状に形成した部材である。端子100は、中軸200の後端部209に嵌合されている(端子100は、中軸200に、電気的に接続されている)。端子100と主体金具500との間には、絶縁部材300が挟まれている。ヒータ部材800への給電は、端子100と中軸200とを通じて、行われる。
A2.製造方法:
図2は、グロープラグ10の製造方法のフローチャートである。図中では、各ステップを示す矩形の中に、そのステップの概要を示すブロック図が示されている。最初のステップS100は、アーク溶接を行うために、発熱コイル820と制御コイル830とを含む複数の部材を配置する工程である。図中には、このアーク溶接に用いられる溶接機900が示されている。溶接機900には、第1電極910(「トーチ910」とも呼ぶ)と第2電極920とが接続されている。溶接機900は、電力を供給する装置であり、トーチ910と電極920とを流れる電流(溶接電流)によって生じるアークを利用して、溶接を行う。溶接機900は、溶接電流の波形を制御する制御回路を有している(図示省略)。
図2は、グロープラグ10の製造方法のフローチャートである。図中では、各ステップを示す矩形の中に、そのステップの概要を示すブロック図が示されている。最初のステップS100は、アーク溶接を行うために、発熱コイル820と制御コイル830とを含む複数の部材を配置する工程である。図中には、このアーク溶接に用いられる溶接機900が示されている。溶接機900には、第1電極910(「トーチ910」とも呼ぶ)と第2電極920とが接続されている。溶接機900は、電力を供給する装置であり、トーチ910と電極920とを流れる電流(溶接電流)によって生じるアークを利用して、溶接を行う。溶接機900は、溶接電流の波形を制御する制御回路を有している(図示省略)。
具体的には、ステップS100では、発熱コイル820の後端部829の近傍に、制御コイル830の先端部831が配置される。例えば、後端部829に先端部831が接触するように、コイル820、830が配置される。これらの端部829、831の近傍の、端部829、831から離れた位置に、トーチ910が配置される。トーチ910の先端が、端部829、831の近傍に配置される。第2電極920は、発熱コイル820と制御コイル830との少なくとも一方に、電気的に接続される。
このようなコイル820、830の配置を維持する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、コイル820、830の内周に金属棒(図示せず)を貫通させ、コイル820、830の内周面を金属棒に接触させることによって、コイル820、830の配置を維持することができる。この場合には、第2電極920を金属棒に接続することによって、第2電極920を、コイル820、830に、電気的に接続できる。
次のステップS110は、アーク溶接工程である。溶接機900が電極910、920に電力を供給することによって、トーチ910と、コイル820、830の端部829、831との間にアーク(アーク放電)が発生する。アークによってもたらされる熱によって、コイル820、830の端部829、831が溶融し、発熱コイル820の後端部829と、制御コイル830の先端部831とが溶接される。
図2のステップS110の下側には、溶接が完了した状態のコイル820、830の概略図Scが示されている。図示するように、発熱コイル820の後端部829と制御コイル830の先端部831とを接続する接続部分860が、溶接によって形成されている。
次のステップS120は、ヒータ部材800の組み立て工程である。この工程では、ステップS110で溶接されたコイル820、830のうちの制御コイル830の後端部839が、中軸200の先端部201に接続される(例えば、溶接)。そして、コイル820、830と、中軸200の先端側の部分(先端部201を含む)とは、チューブ810の中に収容されて、発熱コイル820の先端部821がチューブ810の先端部811に接続される(例えば、溶接またはロウ付)。そして、チューブ810の中には絶縁粉末840が充填され、チューブ810の後端部819の内周面と、中軸200の外周面と、の間に、パッキン850が挿入される。そして、チューブ810をスウェージング加工して所定の外形形状に成形する。なお、ヒータ部材800を組み立てる方法としては、上記の方法に限らず、公知の任意の方法を採用可能である。
次のステップS130は、グロープラグ10の組み立て工程である。この工程では、ステップS120で組み立てられたヒータ部材800が、主体金具500の開口OP1に圧入される。そして、図1で説明した種々の部材を用いて、グロープラグ10が組み立てられる。グロープラグ10の組み立て方法としては、公知の任意の方法を採用可能である。
以上により、ヒータ部材800、ひいては、グロープラグ10が、製造される。
A3.接続部分:
次に、図2のステップS110のアーク溶接で形成される接続部分860について、詳細に説明する。接続部分860は、端部829、831の溶融した部分が冷えて固まったものであり、その理想的な形状は、略球形状である。しかし、ステップS110の溶接の条件によっては、接続部分860が膨らんで大きくなる場合や、接続部分860にトゲのような突出部が形成される場合がある。このような不具合を抑制するために、本実施例では、ステップS110の溶接工程において、溶接機900は、電極910、920を流れる電流(溶接電流)の波形を、ピークを含むパルス形状が複数回に亘って繰り返すように、制御する。以下、参考電流波形と上記の不具合とについて説明し、続けて、本実施例で採用される溶接電流波形について説明する。
次に、図2のステップS110のアーク溶接で形成される接続部分860について、詳細に説明する。接続部分860は、端部829、831の溶融した部分が冷えて固まったものであり、その理想的な形状は、略球形状である。しかし、ステップS110の溶接の条件によっては、接続部分860が膨らんで大きくなる場合や、接続部分860にトゲのような突出部が形成される場合がある。このような不具合を抑制するために、本実施例では、ステップS110の溶接工程において、溶接機900は、電極910、920を流れる電流(溶接電流)の波形を、ピークを含むパルス形状が複数回に亘って繰り返すように、制御する。以下、参考電流波形と上記の不具合とについて説明し、続けて、本実施例で採用される溶接電流波形について説明する。
A4.参考電流波形:
図3(A)は、参考電流波形WFrを示すグラフである。横軸は時間Tを示し、縦軸は溶接電流Iを示している。この参考電流波形WFrは、アーク溶接の典型的な溶接電流波形を示している。図示するように、溶接電流Iは、溶接開始時間Trsから、溶接終了時間Treまでの間、ゼロよりも大きくなるように制御される。以下、溶接開始時間Trsから溶接終了時間Treまでの時間を、「参考溶接時間Trm」と呼ぶ。この参考溶接時間Trmのうちの最初の第1時間Tr1中の第1電流Ihは、残りの時間(「第2時間Tr2」と呼ぶ)中の第2電流Irbと比べて、大きい。この第1電流Ihは、アークを発生させるための大電流であり、ホット電流とも呼ばれる(以下「ホット電流Ih」とも呼ぶ)。第2電流Irbは、溶接に適したアークを継続するための電流であり、ベース電流とも呼ばれる(以下「参考ベース電流Irb」と呼ぶ)。金属の溶融は、アークが発生してから、始まる。従って、第1時間Tr1以降の時間(ここでは、主に第2時間Tr2)が、金属が溶融する時間である。
図3(A)は、参考電流波形WFrを示すグラフである。横軸は時間Tを示し、縦軸は溶接電流Iを示している。この参考電流波形WFrは、アーク溶接の典型的な溶接電流波形を示している。図示するように、溶接電流Iは、溶接開始時間Trsから、溶接終了時間Treまでの間、ゼロよりも大きくなるように制御される。以下、溶接開始時間Trsから溶接終了時間Treまでの時間を、「参考溶接時間Trm」と呼ぶ。この参考溶接時間Trmのうちの最初の第1時間Tr1中の第1電流Ihは、残りの時間(「第2時間Tr2」と呼ぶ)中の第2電流Irbと比べて、大きい。この第1電流Ihは、アークを発生させるための大電流であり、ホット電流とも呼ばれる(以下「ホット電流Ih」とも呼ぶ)。第2電流Irbは、溶接に適したアークを継続するための電流であり、ベース電流とも呼ばれる(以下「参考ベース電流Irb」と呼ぶ)。金属の溶融は、アークが発生してから、始まる。従って、第1時間Tr1以降の時間(ここでは、主に第2時間Tr2)が、金属が溶融する時間である。
図3(B)は、参考電流波形WFrを用いて得られ得る、良好な接続部分860の概略図である。図示するように、発熱コイル820の後端部829と、制御コイル830の先端部831とが、接続部分860によって接続されている。接続部分860の形状は、略球形状である。
図3(C)は、参考電流波形WFrを用いて得られ得る、不具合を含む接続部分860bの概略図を示している。接続部分860bは、風船のように膨らんだ状態で、凝固している(以下、このような接続部分860bを、「膨張接続部分860b」とも呼ぶ)。膨張接続部分860bが形成されると、膨張接続部分860bがチューブ810(図1、図2)の内面と接触する可能性がある(意図しない短絡が生じる可能性がある)。また、接続部分860bが膨らんで薄い部分が形成されると、その薄い部分の強度が低いので、断線の可能性が高くなる。
このような不具合は、例えば、以下の理由で、生じ得る。上述したように、発熱コイル820の材料としては、合金が用いられる。金属からワイヤ状の金属線を製造する方法としては、線引き(伸線)が広く用いられている。合金材料は、互いに異なる複数の元素を含んでいるので、線引きによって、内部欠陥(ガス(例えば、空気)で満たされた穴)が生じやすい。アーク溶接によって溶融する部分が、そのような内部欠陥を含んでいる場合には、ガスが熱によって膨張する。この結果、図3(C)のような膨張接続部分860bが、形成され得る。純金属を採用する場合には、そのような内部欠陥の可能性が低いので、膨張接続部分860bが形成される可能性を低減できる。
図3(D)は、参考電流波形WFrを用いて得られ得る、不具合を含む接続部分860cの概略図を示している。接続部分860cは、突出部860pを含んでいる(以下、このような接続部分860cを「突出接続部分860c」とも呼ぶ)。突出接続部分860c(突出部860p)が形成されると、突出部860pがチューブ810(図1、図2)の内面と接触する可能性がある(意図しない短絡が生じる可能性がある)。
このような不具合は、例えば、以下の理由で、生じ得る。上述したように、発熱コイル820と制御コイル830との間では、材料が異なるので、融点も異なる可能性が高い。互いに融点が異なる発熱コイル820と制御コイル830とをアーク溶接する場合、融点が比較的高いコイルの溶融の進行が、他方のコイルの溶融の進行と比べて、遅れてしまい、十分に溶融しなかった部分が接続部分860cに突出部860pを形成し得る。
ここで、上述のような不具合を解消するために、参考溶接時間Trmを長くしたと仮定する。この場合には、溶融量が増大することによって接続部分が大きくなり、意図しない短絡の可能性が生じる。また、参考溶接時間Trmを長くする代わりに、参考ベース電流Irbを小さくしたと仮定する。この場合には、溶接部分の温度が低下してしまい、十分にコイル820、830が溶融できなくなる可能性がある。また、参考溶接時間Trmを短くして参考ベース電流Irbを大きくしたと仮定する。この場合には、溶融時間が不足して、接続部分の上記の不具合を解消することができなくなる可能性が生じる。
A5.実施例の溶接電流波形:
図4(A)は、本実施例の電流波形WFを示すグラフである。横軸は時間Tを示し、縦軸は溶接電流Iを示している。本実施例の電流波形WFは、溶接開始時間Tsから溶接終了時間Teまでの時間内に順番に並ぶ4つの部分波形WFs0、WFs1、WFs2、WFs3を含んでいる。それらの部分波形WFs0〜WFs3は、以下のように構成されている。
(A)第0部分波形WFs0は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T01と、第1期間T01よりも溶接電流Iが小さい第2期間T02と、を含んでいる。
(B)第1部分波形WFs1は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T11と、第1期間T11よりも溶接電流Iが小さい第2期間T12と、を含んでいる。
(C)第2部分波形WFs2は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T21と、第1期間T21よりも溶接電流Iが小さい第2期間T22と、を含んでいる。
(D)第3部分波形WFs3は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T31と、第1期間T31よりも溶接電流Iが小さい第2期間T32と、を含んでいる。
いずれの部分波形WFs0〜WFs3においても、第2期間は第1期間の後である。
図4(A)は、本実施例の電流波形WFを示すグラフである。横軸は時間Tを示し、縦軸は溶接電流Iを示している。本実施例の電流波形WFは、溶接開始時間Tsから溶接終了時間Teまでの時間内に順番に並ぶ4つの部分波形WFs0、WFs1、WFs2、WFs3を含んでいる。それらの部分波形WFs0〜WFs3は、以下のように構成されている。
(A)第0部分波形WFs0は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T01と、第1期間T01よりも溶接電流Iが小さい第2期間T02と、を含んでいる。
(B)第1部分波形WFs1は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T11と、第1期間T11よりも溶接電流Iが小さい第2期間T12と、を含んでいる。
(C)第2部分波形WFs2は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T21と、第1期間T21よりも溶接電流Iが小さい第2期間T22と、を含んでいる。
(D)第3部分波形WFs3は、溶接電流Iがゼロよりも大きな第1期間T31と、第1期間T31よりも溶接電流Iが小さい第2期間T32と、を含んでいる。
いずれの部分波形WFs0〜WFs3においても、第2期間は第1期間の後である。
第0部分波形WFs0の第1期間T01の溶接電流Iは、アークを発生させるための電流であり、参考電流波形WFr(図3(A))のホット電流Ihと同じである。続く第2期間T02の溶接電流Iは、ホット電流Ihよりも小さいベース電流Ibである。
第1部分波形WFs1の第1期間T11の溶接電流Iは、ベース電流Ibよりも大きいピーク電流Ipである。続く第2期間T12の溶接電流Iは、ベース電流Ibである。続く第2部分波形WFs2、第3部分波形WFs3の構成も、第1部分波形WFs1の構成と同じである。第1期間T21、T31の溶接電流Iは、ピーク電流Ipであり、第2期間T22、T32の溶接電流Iは、ベース電流Ibである。
このように、本実施例の電流波形WFは、図3(A)の参考電流波形WFrとは異なり、溶接開始時のホット電流Ihのピーク以外に、3つのピークを有している(T11、T21、T31)。従って、仮に第0部分波形WFs0、または、第1部分波形WFs1の溶接によって、不具合を含む接続部分860b、860c(図3(C)、図3(D))が形成されたとしても、その後のピーク電流Ipによる溶融によって、上述した不具合を解消することができる。例えば、図4(B)のように膨張接続部分860bが形成された場合であっても、ピーク電流Ipによる溶融を繰り返すことによって、膨張接続部分860bが破壊されて、良好な接続部分860を形成することができる。また、図4(C)のように突出接続部分860cが形成された場合であっても、ピーク電流Ipによる溶融を繰り返すことによって、突出部860pが溶融し、良好な接続部分860を形成することができる。
また、溶接開始時間Tsから溶接終了時間Teまでの溶接時間Tmは、参考溶接時間Trmよりも長い。従って、本実施例の電流波形WFは、参考電流波形WFrと比べて長い時間に亘って、端部829、831を溶融させることができる。この結果、図4(B)、図4(C)で説明した不具合解消を、さらに促進することができる。
また、本実施例では、複数回のピーク電流Ipによって、端部829、831が繰り返し溶融するので、ベース電流Ibを小さくすることができる。例えば、ベース電流Ibをゼロに設定することも可能である。このように、端部829、831の溶融量が想定以上に増大することを抑制できる。なお、ベース電流Ibが小さい場合には、第2期間T02、T12、T22、T32の少なくとも一部において、接続部分が凝固する可能性がある。この場合も、ピーク電流Ipからベース電流Ibに切り替わった直後には、接続部分の温度が融点(発熱コイル820の融点と制御コイル830の融点とのうちの高い方の融点)まで下がるまでに、ゼロよりも大きな時間を要する。従って、ベース電流Ibが小さい場合であっても、ピーク電流Ipが流れる第1期間T01、T11、T21、T31だけでなく、第2期間T02、T12、T22、T32の一部においても、接続部分を溶融させることが可能である。従って、上記の不具合を十分に解消することができる。
なお、ピークの回数と、溶接時間Tmと、ピーク電流Ipが継続する時間の割合と、ピーク電流Ipと、ベース電流Ibと、としては、発熱コイル820と制御コイル830との構成に合わせて、種々の値を採用可能である。例えば、以下の値を採用可能である。
溶接電流波形に含まれるピークの回数については、以下の通りである。溶接開始時のホット電流Ihのピークでは、端部829、831の温度が十分に上昇せずに、溶融が十分に進行しない場合がある。そこで、溶接開始時のピークを除いた残りのピークの回数(「有効ピーク回数」と呼ぶ)と、溶接開始時のピークを含む全てのピークの回数(「全ピーク回数」と呼ぶ)とを区別して説明する。有効ピーク回数としては、例えば、1回〜5回の範囲内の値を採用可能である(すなわち、全ピーク回数は、2回〜6回)。
溶接時間Tmとしては、例えば、0.1秒〜1秒程度の時間を採用可能である。複数回のピークは、この溶接時間Tm内で実現され得る。ピーク電流Ipが継続する時間の割合は、例えば、ピーク電流Ipとベース電流Ibとを含む1回のサイクルの時間のうちの15%〜50%の範囲内の値を採用可能である。ピーク電流Ipとしては、例えば、1A〜10Aの範囲内の値を採用可能である。ベース電流Ibとしては、例えば、0A〜1Aの範囲内の値を採用可能である(ただし、Ib<Ip)。
A6.評価試験:
上記実施例に基づいて種々の条件下でアーク溶接を行う試験を行った。具体的には、条件毎に、50個のサンプルを溶接した。溶接後、膨張接続部分860b(図3(C))が形成されたサンプルの個数(「膨張個数」と呼ぶ)と、突出接続部分860c(図3(D))が形成されたサンプルの個数(「突出個数」と呼ぶ)とを、目視で確認した。膨張個数を基準と比較して評価し(膨張評価)、突出個数を基準と比較して評価した(突出評価)。膨張評価の基準と、突出評価の基準とは、以下の通りである。
膨張個数が、50個中、ゼロ :A評価
膨張個数が、50個中、1以上19以下:B評価
膨張個数が、50個中、20以上 :C評価
突出個数が、50個中、ゼロ :A評価
突出個数が、50個中、1以上19以下:B評価
突出個数が、50個中、20以上 :C評価
なお、試験された有効ピーク回数は、1、2、3、4、5の5通りである(全ピーク回数は、2、3、4、5、6の5通り)。例えば、図4(A)の電流波形WFを用いる場合には、有効ピーク回数=3(全ピーク回数=4)である。以下に、4種類の試験について、条件と、評価結果の表とを、示す。
上記実施例に基づいて種々の条件下でアーク溶接を行う試験を行った。具体的には、条件毎に、50個のサンプルを溶接した。溶接後、膨張接続部分860b(図3(C))が形成されたサンプルの個数(「膨張個数」と呼ぶ)と、突出接続部分860c(図3(D))が形成されたサンプルの個数(「突出個数」と呼ぶ)とを、目視で確認した。膨張個数を基準と比較して評価し(膨張評価)、突出個数を基準と比較して評価した(突出評価)。膨張評価の基準と、突出評価の基準とは、以下の通りである。
膨張個数が、50個中、ゼロ :A評価
膨張個数が、50個中、1以上19以下:B評価
膨張個数が、50個中、20以上 :C評価
突出個数が、50個中、ゼロ :A評価
突出個数が、50個中、1以上19以下:B評価
突出個数が、50個中、20以上 :C評価
なお、試験された有効ピーク回数は、1、2、3、4、5の5通りである(全ピーク回数は、2、3、4、5、6の5通り)。例えば、図4(A)の電流波形WFを用いる場合には、有効ピーク回数=3(全ピーク回数=4)である。以下に、4種類の試験について、条件と、評価結果の表とを、示す。
[試験A]
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Fe(純金属)
制御コイル830の融点:摂氏1539度
融点差 :摂氏49度
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Fe(純金属)
制御コイル830の融点:摂氏1539度
融点差 :摂氏49度
[試験B]
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Ni(純金属)
制御コイル830の融点:摂氏1455度
融点差 :摂氏35度
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Ni(純金属)
制御コイル830の融点:摂氏1455度
融点差 :摂氏35度
[試験C]
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Y−Ni合金
制御コイル830の融点:摂氏1455度
融点差 :摂氏35度
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Y−Ni合金
制御コイル830の融点:摂氏1455度
融点差 :摂氏35度
[試験D]
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Co−Ni合金
制御コイル830の融点:摂氏1484度
融点差 :摂氏6度
発熱コイル820の材料:Fe−Cr−Alの合金
発熱コイル820の融点:摂氏1490度
制御コイル830の材料:Co−Ni合金
制御コイル830の融点:摂氏1484度
融点差 :摂氏6度
表1〜表4に示すように、有効ピーク回数を増加させると、不具合が生じる可能性が低減し、有効ピーク回数が3回以上(全ピーク回数が4回以上)である場合には、いずれの条件下においても、膨張評価、突出評価、ともに、A評価であった。このように、有効ピークの回数を増加することによって、上記の不具合を抑制できることを、確認できた。
試験A、試験Bでは、制御コイル830の材料が純金属であり、試験C、試験Dでは、制御コイル830の材料が合金である。ここで、膨張評価について検討すると、純金属を用いる試験A、Bでは、合金を用いる試験C、Dと比べて、有効ピーク回数=1、2の場合の膨張評価の結果が良好である。このように、制御コイル830の材料として、純金属を採用することが特に好ましいことを、確認できた。
次に、融点差と突出評価との関係について検討する。融点差は、高い方の融点から低い方の融点を引いて得られる差分を示している。試験A〜試験D(表1〜表4)に示すように、融点差が小さいほど、突出評価が良好である。特に、融点差が摂氏49度である試験Aでは、有効ピーク回数=1の場合の突出評価がC評価であるが、融点差が摂氏35度以下である試験B、C、Dでは、有効ピーク回数=1の場合の突出評価がB評価以上である。従って、発熱コイル820と制御コイル830との間の融点差は、摂氏35度以下であることが好ましいことを、確認できた。但し、融点差が摂氏35度よりも高い条件を採用してもよい。例えば、試験Aの条件を採用してもよい。この場合も、表1に示すように、有効ピーク回数を増やすことによって、上記の不具合を解消可能である。
また、融点差が摂氏35度である試験B、Cでは、有効ピーク回数=1の場合の突出評価がB評価であるが、融点差が摂氏6度である試験Dでは、有効ピーク回数=1の場合の突出評価がA評価である。従って、発熱コイル820と制御コイル830との間の融点差は、摂氏6度以下であることが最も好ましいことを、確認できた。
B.変形例:
(1)ピークを含む部分波形の繰り返し回数(全ピーク回数に相当する)は、図4(A)に示す電流波形WFでは「4回(WFs0〜WFs3)」であり、上記の評価試験では、2〜6回である。一般には、ピークを含む部分波形の繰り返し回数としては、N回(Nは2以上の整数)を採用可能である。すなわち、図2のステップS110の溶接工程は、溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が第1期間の溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む部分波形(溶接電流波形)を、N回繰り返す工程を含むように、構成されることが好ましい。ここで、図4(A)の実施例では、第1期間の長さと、第1期間中の溶接電流と、第2期間の長さと、第2期間中の溶接電流とは、複数の部分波形に共通である(ホット電流Ihと、最後の第3部分波形WFs3とを除く)。この代わりに、第1期間の長さと、第1期間中の溶接電流と、第2期間の長さと、第2期間中の溶接電流とが、部分波形毎に異なっていても良い。また、上記実施例では、ピーク電流Ipがホット電流Ihよりも小さいが、この代わりに、ピーク電流Ip(より一般的には、第1期間内の溶接電流)がホット電流Ihよりも大きくてもよい。また、第1期間内において、溶接電流が変化してもよく、第2期間内において、溶接電流が変化してもよい。いずれの場合も、溶接電流が比較的大きい期間が第1期間に相当し、溶接電流が比較的小さい期間が第2期間に相当する。
(1)ピークを含む部分波形の繰り返し回数(全ピーク回数に相当する)は、図4(A)に示す電流波形WFでは「4回(WFs0〜WFs3)」であり、上記の評価試験では、2〜6回である。一般には、ピークを含む部分波形の繰り返し回数としては、N回(Nは2以上の整数)を採用可能である。すなわち、図2のステップS110の溶接工程は、溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が第1期間の溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む部分波形(溶接電流波形)を、N回繰り返す工程を含むように、構成されることが好ましい。ここで、図4(A)の実施例では、第1期間の長さと、第1期間中の溶接電流と、第2期間の長さと、第2期間中の溶接電流とは、複数の部分波形に共通である(ホット電流Ihと、最後の第3部分波形WFs3とを除く)。この代わりに、第1期間の長さと、第1期間中の溶接電流と、第2期間の長さと、第2期間中の溶接電流とが、部分波形毎に異なっていても良い。また、上記実施例では、ピーク電流Ipがホット電流Ihよりも小さいが、この代わりに、ピーク電流Ip(より一般的には、第1期間内の溶接電流)がホット電流Ihよりも大きくてもよい。また、第1期間内において、溶接電流が変化してもよく、第2期間内において、溶接電流が変化してもよい。いずれの場合も、溶接電流が比較的大きい期間が第1期間に相当し、溶接電流が比較的小さい期間が第2期間に相当する。
また、図4(A)の実施例において、第0部分波形WFs0の第2期間T02が省略されてもよい。すなわち、ホット電流Ihが流れる第1期間T01の直後に、第1部分波形WFs1(第1期間T11)が続くように構成された電流波形を採用してもよい。この場合も、電流波形が、第1部分波形WFs1と第2部分波形WFs2とのように溶接電流が変化する部分を含むならば、溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が第1期間の溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む部分波形が、N回(Nは2以上の整数)繰り返されている、ということができる。この場合も、上述した種々の変形を適用可能である。
(2)ヒータ部材800の構成としては、図1、図2に示す構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、中軸200の代わりに電極が、ヒータ部材800に設けられ、その電極に、制御コイル830の後端部839が接続されてもよい。
(3)グロープラグ10の構成としては、図1に示す構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、中軸200の後端部209に雄ねじを形成し、端子100には雌ねじを形成し、端子100を中軸200に締結してもよい。
(4)上記実施例のグロープラグ(シースヒータ)の製造方法は、内燃機関の始動補助のために利用されるグロープラグに限らず、種々のグロープラグに適用可能である。例えば、排気ガスを昇温するための排気ガスヒータ装置や、触媒やディーゼル粒子フィルタ(DPF: Diesel Particulate Filter)を再活性化するためのバーナーシステムや、冷却水を昇温するためのウォータヒータ装置等の種々の装置に利用されるグロープラグに、上記実施例の製造方法を適用可能である。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
10...グロープラグ、100...端子、200...中軸、201...先端部、209...後端部、300...絶縁部材、400...Oリング、500...主体金具、510...軸孔(貫通孔)、520...工具係合部、540...雄ネジ部、560...胴体部、800...ヒータ部材、810...チューブ、811...先端部、819...後端部、820...発熱コイル、821...先端部、829...後端部、830...制御コイル、831...先端部、839...後端部、840...絶縁粉末、850...パッキン、860...接続部分、860b...膨張接続部分、860c...突出接続部分、860p...突出部、900...溶接機、910...第1電極(トーチ)、920...第2電極、WFs0〜WFs3...部分波形、WF...電流波形、CL...中心軸、Ib...ベース電流、Ih...ホット電流、Tm...溶接時間、Ip...ピーク電流、OP1...開口、OP2...開口
Claims (3)
- 発熱コイルと、前記発熱コイルに直列に接続され、電気比抵抗の温度係数が前記発熱コイルよりも大きい制御コイルと、を含むグロープラグの製造方法であって、
前記発熱コイルの一端と、前記制御コイルの一端とを、アーク溶接する溶接工程を含み、
前記溶接工程は、
溶接電流がゼロよりも大きな第1期間と、溶接電流が前記第1期間の前記溶接電流と比べて小さい第2期間と、を含む溶接電流波形を、N回(Nは2以上の整数)繰り返す工程を含むことを特徴とする、
製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法であって、
前記制御コイルの材料は、純金属である、製造方法。 - 請求項1または2に記載の製造方法であって、
前記制御コイルの融点と前記発熱コイルの融点との間の差が、摂氏35度以下である、製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012203736A JP2014059086A (ja) | 2012-09-15 | 2012-09-15 | グロープラグの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3163170A1 (en) | 2015-10-30 | 2017-05-03 | NGK Spark Plug Co., Ltd. | Method of producing glow plug and the glow plug |
JP2017083157A (ja) * | 2015-10-30 | 2017-05-18 | 日本特殊陶業株式会社 | グロープラグの製造方法及びグロープラグ |
-
2012
- 2012-09-15 JP JP2012203736A patent/JP2014059086A/ja active Pending
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EP3163170A1 (en) | 2015-10-30 | 2017-05-03 | NGK Spark Plug Co., Ltd. | Method of producing glow plug and the glow plug |
JP2017083157A (ja) * | 2015-10-30 | 2017-05-18 | 日本特殊陶業株式会社 | グロープラグの製造方法及びグロープラグ |
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