JP2014058513A - 中空ポリマー粒子を含む外皮用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】中空ポリマー粒子を含む外用組成物であり、この組成物の製造に当たりイオン性官能基を有する成分を使用する場合に、その成分の作用を十分に発揮させることができ、安定性に優れ、さらに、皮膚、粘膜、唇、及び髪などの体毛にとって好ましい中性〜弱酸性にすることができる外用組成物を提供する。
【解決手段】中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、温度遮蔽、紫外線遮蔽、及びメイクアップなどの用途に適した外用組成物、中空ポリマー粒子、及びそれらの用途に関する。
中空粒子は、様々な分野で利用されている。例えば、断熱材、高温で安定なインクジェット用インク、白色顔料、塗料、軽量化材、及び光散乱向上材などとして、工業分野で利用されている。また、光散乱を利用したサンスクリーン等として、化粧品分野で利用することも提案されている。
例えば、特許文献1は、乳化重合により不飽和カルボン酸を媒質中で重合させて芯粒子を作製した後、この粒子の表面をエチレン性不飽和モノマーを用いてカバー重合して鞘を形成し、重合後に粒子をアンモニア又はアミンのような水溶性揮発性塩基を用いて中和することにより、芯を膨潤させて、内部に多数の孔を有する粒子の分散液を製造する方法を開示している。
また、特許文献2は、不飽和カルボン酸を共重合させて得たラテックスを、構成するカルボキシル基の少なくとも一部を塩基で中和することにより膨潤させた後、酸処理してラテックスのpHを7以下にして、内部に多数の孔を有する粒子の分散液を製造する方法を開示している。
また、特許文献3は、アミノ基を含有する共重合体のラテックスを酸で処理して共重合体中のアミノ基の少なくとも一部を中和し、次いで塩基を添加してラテックスのpHを7以上にすることで、内部に多数の孔を有する粒子の分散液を製造する方法を開示している。
外用組成物を調製するに当たっては、正または負の電荷を帯びた成分により制約を受けず、また幅広いpH領域で製剤を調製できることが望まれる。しかし、外用剤の配合成分には、正電荷または負電荷を帯びているものがあり、相反する電荷の成分同士を配合して外用製剤を調製した場合、凝集などを起こして製剤の安定性や有効成分の効果に影響を及ぼすことがある。
例えば、特許文献1又は2の方法で製造された中空粒子は、カルボン酸をアルカリでイオン化させて粒子表面をカルボキシレートの負電荷にしているため、正電荷を有する成分を配合すると塩を形成し、その配合した成分が粒子表面に付着又は固定されて、その成分の作用が発揮されない。また、粒子を含む製剤の製造工程で正電荷を有する化合物を使用する場合は、製剤が不安定になるなどの問題が生じる。このような成分として、カチオン性界面活性剤が挙げられ、カチオン性界面活性剤と粒子表面のカルボキシレートとがイオン対を形成して、乳化できない場合がある。
また、特許文献3の中空粒子のように、粒子表面に正電荷があると、負電荷を有する成分が、正電荷と塩を形成し、微粒子表面に固定されて、その成分の作用が発揮されない場合がある。このような成分として、アニオン性界面活性剤が挙げられる。
また、健康な肌のpHは弱酸性であるため、外皮用剤、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧料、及び雑品などの直接肌に塗布する製剤は、中性〜弱酸性であることが望まれる。また、粘膜、唇、髪、睫毛、及び眉毛などにとっても、中性〜弱酸性の製剤が好ましい。しかし、特許文献1又は2の方法で製造された中空粒子は、中空粒子表面のカルボン酸をアルカリでイオン化させてカルボキシレートにしているため、粒子を安定に保つことができる製剤のpHが中性〜アルカリ性に制限される。逆に、特許文献3の方法で製造されたアミノ基等を含有する共重合体のラテックスは、酸の添加により酸性になっているため、肌に塗布する製剤としては好ましくない。さらに、アルカリ又は酸で中空粒子表面がイオン化されていない部分が多い場合は、粒子表面の多数のカルボキシル基又はアミノ基の存在により、粒子表面のカルボキシル基が中酸性となり、又はアミノ基が中アルカリ性となり、直接肌に塗布するものとして望ましくない。
特開昭56−32513号 特公平7−21011号 特許第3608303号
本発明は、中空ポリマー粒子を含む外用組成物であり、この組成物の製造に当たりイオン性官能基を有する成分を使用する場合に、その成分の作用を十分に発揮させることができ、安定性に優れ、さらに、皮膚、粘膜、唇、及び髪などの体毛にとって好ましい中性〜弱酸性にすることができる外用組成物を提供することを主な課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により製造した中空粒子を含む外用剤は、イオン性官能基を有する成分を含む場合にその作用を十分に発揮させることができ、また、皮膚、粘膜、唇、髪、睫毛、及び眉毛にとって好ましい中性〜弱酸性にすることができる。
(ii) (i)の中空構造を有するポリマー粒子は、高い温度遮蔽効果を有する。
(iii) (i)の中空構造を有するポリマー粒子は、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤と組合せることにより紫外線遮断効果を高める。その結果、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤を含む組成物の防御指数(SPF(Sun Protection Factor)またはPA(Protection Grade of UVA))を増強する。
(iv) (i)の中空構造を有するポリマー粒子は、肌に透明感を与えながら、肌の凹凸、シミ、毛穴などを隠蔽することができる。
本発明はこの知見に基づき完成されたものであり、下記の外用組成物などを提供する。
項1. 中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物。
項2. 中空ポリマー粒子を構成するポリマーが、モノビニル芳香族モノマー、及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体又は共重合体である項1に記載の外用組成物。
項3. 中空ポリマー粒子の平均粒子径が、10〜30000nmである項1又は2に記載の外用組成物。
項4. 中空ポリマー粒子の含有量が、組成物の全量に対して、0.05〜50重量%である項1〜3のいずれかに記載の外用組成物。
項5. さらに、イオン性官能基を有する成分を含む項1〜4のいずれかに記載の外用組成物。
項6. さらに、有機紫外線吸収剤、及び無機紫外線散乱剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線遮蔽剤を含む項1〜5のいずれかに記載の外用組成物。
項7. 温度遮蔽用である項1〜6のいずれかに記載の外用組成物。
項8. 紫外線遮蔽用である項1〜6のいずれかに記載の外用組成物。
項9. メイクアップ用である項1〜6のいずれかに記載の外用組成物。
項10. 中空ポリマー粒子を含む温度遮蔽剤。
項11. 中空ポリマー粒子のポリマーが、イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである項10に記載の温度遮蔽剤。
項12. 中空ポリマー粒子を含むメイクアップ剤。
項13. 中空ポリマー粒子のポリマーが、イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである項12に記載のメイクアップ剤。
項14. 中空ポリマー粒子を含む紫外線遮蔽効果の増強剤。
項15. 中空ポリマー粒子のポリマーが、イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである項14に記載の紫外線遮蔽効果の増強剤。
項16. 中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物を皮膚に適用する、温度ないしは熱の遮蔽方法、又は温度制御方法。
項17. 中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物を皮膚に適用する、温感又は冷感の付与方法。
項18. 中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物を皮膚に適用する、制汗方法。
項19. 中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物を皮膚に適用する、紫外線遮蔽方法。
項20. 中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物を皮膚に適用する、肌の凹凸、シミ、若しくは毛穴の隠蔽方法、肌色を明るくする方法、又は肌に透明感を与える方法。
項21. 中空ポリマー粒子を、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤を含む外用組成物に配合する、この組成物の紫外線遮蔽作用の増強方法。
項22. 中空ポリマー粒子を外用組成物に配合することにより、この組成物に、温度ないしは熱の遮蔽作用、又は温度制御作用を付与する方法。
項23. 中空ポリマー粒子を外用組成物に配合することにより、この組成物に、肌の凹凸、シミ、若しくは毛穴を隠蔽する作用、ソフトフォーカス作用、肌色を明るくする作用、又は肌に透明感を与える作用を付与する方法。
項24. 中空ポリマー粒子の、紫外線遮蔽作用増強剤としての使用。
項25. 中空ポリマー粒子の、温度ないしは熱の遮蔽剤、又は温度制御剤としての使用。
項26. 中空ポリマー粒子の、肌の凹凸、シミ、若しくは毛穴の隠蔽剤、ソフトフォーカス剤、肌色の明るさの向上剤、又は肌への透明感付与剤としての使用。
項27. 中空ポリマー粒子の、紫外線遮蔽作用増強剤の製造のための使用。
項28. 中空ポリマー粒子の、温度ないしは熱の遮蔽剤、又は温度制御剤の製造のための使用。
項29. 中空ポリマー粒子の、肌の凹凸、シミ、若しくは毛穴の隠蔽剤、ソフトフォーカス剤、肌色の明るさの向上剤、又は肌への透明感付与剤の製造のための使用。
外用組成物
本発明の外用組成物は中空ポリマー粒子を含むが、このポリマーは、イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである。従って、カルボキシル基などのイオン性官能基を多数有する従来の中空ポリマー粒子を含む場合と異なり、本発明の外用組成物は、皮膚、粘膜、唇、髪、睫毛、及び眉毛にとって好ましい中性〜弱酸性にしても、この粒子の化学的特性を変化させず、組成物中での粒子の分散性を安定に保つことができる。また、本発明の外用組成物は、中性〜弱酸性にしても、組成物自体が安定に保たれる。また、本発明の外用組成物は、イオン性官能基を有する成分を含む場合にも、その成分の作用を十分に発揮させることができる。
中空ポリマー粒子
<温度遮蔽効果>
肌表面の理想的な温度は32℃〜34℃と言われている。肌表面の温度を一定に保つことは、肌の状態を安定に保つ一手段である。外界からの熱の刺激によって皮膚表面温度は微妙に影響を受ける。皮膚は1℃の変化であっても、それを暑さ又は寒さとして敏感に感じる。そのため、外界温度を数℃でも遮蔽することができれば、適度な冷感又は温感が得られて心地よいと共に、皮膚を理想的な表面温度に保つことができる。
中空ポリマー粒子は、内部に単一又は複数の空隙を有するため、空気層の存在により、温度ないしは熱遮蔽効果を有する。このため、この中空粒子を含む本発明の外用組成物は、温度ないしは熱の遮蔽作用を有する。
また、環境温度の変化から身を守るには、皮膚組織への作用も重要であり、ケラチノサイド(角化細胞)にあるTRPV3センサーをブロックすることにより、温度変化の皮膚への影響を抑えることができる(曽我部等, Pfluger Archiv.Eur.J.Physiol.458:1093-1102,2009。)中空ポリマー粒子は、TRPV3センサーをブロックすることにより、温度変化から皮膚を保護することも考えられる。
また、一般に、温感剤として、皮膚に温感を与えるトウガラシエキス(有効成分は、カプサイシン)又はノニル酸ワニリルアミド等が使用されている。トウガラシエキス及びノニル酸ワニリルアミドは、局所の血管を拡張させ、患部の血流増加により、損傷した組織の修復を早めたり、筋肉の血流障害による痛みを軽減することが期待される。しかし、これらの温感剤は、皮膚刺激が強く、発赤、及び発疹などの副作用が出たり、入浴時に塗布部位が痛んだりする場合がある。
また、冷感剤としては、メントール、カンフルなどの清涼化剤が使用されている。清涼化剤は、炎症による局所の発熱、及び炎症部位の拡大を防ぐことができ、鎮痛作用を有するものもある。しかし、これらの冷感剤は、高濃度で使用すると、皮膚刺激が強く、知覚麻痺を起こすこともある。
中空ポリマー粒子は、温度遮蔽作用を有するため、外温が低いときには、温感作用を有し、また、外温が高いときには、冷感作用を有する。また、従来の温感剤又は冷感剤のような皮膚刺激がないため、外用組成物に大量に配合することができる。従って、中空ポリマー粒子を含む外用組成物は、安全で使用感の良い温感剤又は冷感剤として有用である。
<紫外線遮蔽作用の増強効果>
従来、サンスクリ−ンには、紫外線吸収剤、又は紫外線散乱ないしは反射剤が使用されている。前者は紫外線遮断効果(防御指数)を増強させることを目的として多量に配合される場合がある。しかし、忍容性の観点から化粧料を繰り返し皮膚に塗布することは困難であり、またベタツキ感を与えて使用感を損なう場合がある。また、後者を高濃度で含むサンスクリーンを肌に塗布すると、いわゆる白残りがして、肌に透明感を与えることができない。
この点、中空ポリマー粒子は、UV−A及びUV−Bの双方に対して、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤による紫外線遮蔽効果を増強する。従って、中空ポリマー粒子を、サンスクリーンに配合することにより、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤の配合量を減らすことができる。
中空ポリマー粒子は、皮膚にトラブルを起こしたり、ベタツキ感を与えることがなく、安全かつ良好な使用感を有するため、中空ポリマー粒子を含むサンスクリーンは、安全かつ良好な使用感を有するものである。
<メイクアップ効果>
従来、化粧料において、肌に素肌感又は透明感を与えたり、皮膚、又は唇をみずみずしく見せる工夫が行われている。そのため、パ−ル顔料又は無機複合体などの無機粉体を化粧料に配合することが試みられているが、これらを配合した化粧料は、実用上十分な透明感が得られず、ザラツキ及びギラツキがあり、その効果に反射角依存性があるなどの難点がある。
この点、中空ポリマー粒子は、中空の存在により、光を大きく屈折させたり、反射させたり、散乱させたりするので、肌に充分な透明感ないしはみずみずしい外観を与えることができる。また、反射角依存性が少ないので、どの角度から見ても、皮膚、又は唇を明るく輝いて見せる。また、ポリマー粒子であるため、ギラツキ、及びザラツキが少ない。特に、真球状で単一中空を有する粒子は、これらの効果が高い。
また、中空ポリマー粒子は、皮膚、又は唇の表面の凹凸、シミ、及び毛穴などを、ぼかして見せるソフトフォーカス効果を有する。このように、肌の透明感を損なうことなく、皮膚、又は唇の凹凸、シミ、及び毛穴などを隠蔽することができる点で、中空ポリマー粒子は、化粧料成分として、価値が高い。
中空ポリマー粒子の温度遮蔽効果を示す図である。 中空ポリマー粒子の紫外線遮蔽増強効果を示す図である。 中空ポリマー粒子のソフトフォーカス効果を示す図である。 中空ポリマー粒子の光散乱効果の角度依存性を示す図である。 実施例1の中空粒子の写真である。 実施例2の中空粒子の写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)外用組成物
(1)中空粒子
(1-1)ポリマー
本発明の外用組成物に含まれる中空ポリマー粒子のポリマーは、イオン性官能基を有するモノマーの比率が、モノマーの全体量に対して、5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである。イオン性官能基を有するモノマーの比率は、モノマーの全体量に対して、5モル%以下が好ましく、2モル%以下がより好ましく、1モル%以下がさらにより好ましい。この中空粒子のポリマーは、イオン性官能基を有しないモノマーのみを重合させたものであるのが最も好ましい。
イオン性官能基を有するモノマーの比率が上記範囲である限り、ポリマーの種類は特に限定されないが、ビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体、ビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体、並びにビニル系単官能性モノマーとビニル系多官能性モノマーとの共重合体が好ましい。
ビニル系多官能性モノマー
ビニル系多官能性モノマーは、重合性2重結合(例えば、C=C結合)を2個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モノマーである。このようなモノマーとして、それには限定されないが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びテトラエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。特に、ジビニルベンゼン、及びエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
ビニル系多官能性モノマーは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ビニル系単官能性モノマー
ビニル系単官能性モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、モノビニル芳香族モノマー、アクリル系モノマー(メタクリル系モノマ−を含む)、ビニルエステル系モノマー、及びビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。ビニル系単官能性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
モノビニル芳香族モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表されるモノビニル芳香族炭化水素、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、及び低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレン等が挙げられる。
[式中、R1は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、又はハロゲン原子を示し、R2は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、ハロゲン原子、−SO3Na基、−SO3H基、水酸基、ω-ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アルコキシ基、アミノ基、又はカルボキシル基を示す。]
上記一般式(1)において、R1としては、水素原子、メチル基、又は塩素原子が好ましく、R2としては、水素原子、塩素原子、メチル基、又はω-ヒドロキシアルキル基が好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノビニル芳香族炭化水素の具体例としては、それには限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン(o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p-メチルスチレン)、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p-ヒドロキシメチルスチレン、及びo-ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる。
更に、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレンとしては、ビニルビフェニル、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びメチル基、又はエチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルナフタレン等を例示できる。
また、アクリル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(2)で表されるアクリル系モノマー(メタクリル系モノマーを含む)が挙げられる。
[式中、R3は、水素原子、又は低級(炭素数1〜4)アルキル基を示し、R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基若しくはジ(C1-C4アルキル)アミノ−(C1-C4)アルキル基、又はエチレンジヒドロキシリン酸基を示す。]
一般式(2)において、R3としては、水素原子、又はメチル基が好ましく、R4としては、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、低級(炭素数1〜4)ヒドロキシアルキル基が好ましい。
アクリル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸δ−ヒドロキシブチル、アクリル酸γ−アミノプロピル、アクリル酸γ−N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸γ−N,N−ジエチルアミノプロピルのようなアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸グルシジル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−アミノエチルのようなメタクリル酸エステル;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、及びイタコン酸ジブチルが挙げられ、特に好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルが挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
[式中、R5は水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニルアルキル基を示す。]
上記ビニルエステル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、及びフェニル酢酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(4)で表されるビニルエーテル系モノマーが挙げられる。
[R6は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、又はシクロヘキシル基を示す。]
ビニルエーテル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−プロピルエーテル、ビニルiso−プロピルエーテル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、及びビニルベンジルエ−テル等が挙げられる。
ビニル系単官能性モノマーとしては、モノビニル芳香族モノマー、メタクリル酸エステル系モノマー、及びアクリル酸エステル系モノマーが好ましく、中でも、スチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、及びメタクリル酸グリシジルがより好ましく、スチレン、及びメタクリル酸メチルがさらにより好ましく、スチレンが最も好ましい。
好ましい重合体
(a)多官能性モノマーの好ましい重合体
ビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体は、強度が高く、潰れ難い点で好ましい。
多官能性モノマーの好ましい重合体としては、それには限定されないが、例えば、ポリジビニルベンゼン、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。また、多官能性モノマーの好ましい共重合体としては、それには限定されないが、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体が挙げられる。
(b)単官能性モノマーの好ましい重合体
ビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体は、柔らかい使用感が得られる点で好ましい。
単官能性モノマーの好ましい重合体としては、それには限定されないが、例えば、モノビニル芳香族モノマーの重合体、メタクリル酸エステル系モノマー、アクリル酸エステル系モノマーの重合体が挙げられ、中でも、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル、及びポリメタクリル酸グリシジルが好ましい。
また、単官能性モノマーの好ましい共重合体としては、それには限定されないが、モノビニル芳香族モノマー、メタクリル酸エステル系モノマー、及びアクリル酸エステル系モノマーから選択されるモノマーの共重合体が挙げられ、中でも、ポリ(スチレン−メタクリル酸メチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル)、ポリ(メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル)、及びポリ(メタクリル酸メチル−メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル)等が挙げられる。
(c)多官能性モノマーと単官能性モノマーとの好ましい共重合体
ビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体は、両者の利点を兼ね備える点で好ましい。
ビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体において、ビニル系多官能性モノマー、及びビニル系単官能性モノマーは、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(i)2成分系
多官能性モノマーと単官能性モノマーとの好ましい共重合体としては、2成分系では、それには限定されないが、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸ブチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/スチレン共重合体、及びエチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸グリシジル重合体;
ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸ブチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル共重合体、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体、及びジビニルベンゼン/メタクリル酸グリシジル重合体が挙げられる。
中でも、良好な使用感及び低コストである点で、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸ブチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸メチル共重合体、及びジビニルベンゼン/アクリル酸ブチル共重合体が好ましい。
また、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル共重合体、及びジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合体は、多官能性モノマーのみを用いた場合と同様の強度、耐久性などの性能を保ちながら、コストを大きく低減できる点でも好ましい。
(ii)3成分系
また、3成分系では、それには限定されないが、例えば、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メタクリル酸メチル/イタコン酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メタクリル酸メチル/メタクリル酸β-カルボキシエチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸ブチル/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル/メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メタクリル酸メチル/メタクリル酸β−アミノエチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸β−アミノエチル共重合体、及びジビニルベンゼン/アクリル酸メチル/アクリル酸γ−アミノプロピル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸メチル/スチレン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル/メタクリル酸メチル共重合体、及びエチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸グリシジル/スチレン重合体;
ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸メチル/スチレン共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸ブチル/スチレン共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル/メタクリル酸メチル共重合体、及びジビニルベンゼン/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸メチル重合体が挙げられる。
中でも、良好な使用感及び低コストである点で、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル/スチレン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸メチル/スチレン共重合体、及びジビニルベンゼン/アクリル酸ブチル/スチレンが好ましく、
エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/アクリル酸メチル/スチレン共重合体がより好ましく、
エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、ジビニルベンゼン/メタクリル酸ブチル/スチレン共重合体がさらにより好ましい。
(d)共重合比率
ポリマーが多官能性モノマーを含むことにより、粒子のカプセル強度を向上させることができる。モノマーの重合によりシェルを形成できる方法としては、乳化重合法(特許第4884053号に記載の方法)と懸濁乳化によるSaPSeP法(特許第3785440号に記載の方法)の2方法があり、各方法に応じて、多官能性モノマーと単官能性モノマーの可能な配合比率は異なる。
重合体が多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体である場合の、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合比率については、モノマー全体に対する多官能性モノマーの比率は、乳化重合方法による場合、約10重量%以下が好ましく、約5重量%以下がより好ましく、約2重量%以下がさらにより好ましく、カプセル強度が確保されていれば、約0重量%が最も好ましい。
共重合比率は、マイクロカプセルを製造する際の多官能性モノマーと単官能性モノマーとの使用比率を調整することにより調整することができる。
上記範囲であれば、粒子硬度が高くなりすぎて、中空粒子を形成する際に微粒子内への水の取り込みを妨げるということがないため、粒子の膨張が容易になる。この意味で、単官能性モノマーのみを重合させるのが最も好ましい。
また、モノマー全体に対する多官能性モノマーの比率は、SaPSeP方法による場合は、1〜99重量%程度が好ましく、30〜99重量%程度がより好ましく、60〜99重量%程度がより好ましく、75〜99重量%程度がさらにより好ましい。85〜99重量%程度がさらにより好ましい。このように、多官能性モノマーの比率を高くすることにより、カプセル強度を確保することができる。共重合比率は、マイクロカプセルを製造する際の多官能性モノマーと単官能性モノマーとの使用比率を調整することにより調整することができる。上記範囲であれば、中空粒子のカプセルの形成に大きな障害を与えることがなく、容易に中空粒子を形成できる。
(e)その他のポリマー
ビニル系モノマーとその他のモノマーを共重合させたポリマー、及び/又はビニル系以外のポリマーがシェルに含まれていてもよい。
(1-2)中空粒子の性状
形状
中空粒子は、外形が球状又は略球状であればよく、真球状であることが好ましい。
中空部分は、単一の中空であってもよく、多中空であってもよい。多中空である場合、粒子の最大面積断面に観察される中空部の数が約1〜50個であることが好ましく、約1〜20個であることがより好ましく、約1〜5個であることがさらにより好ましい。この範囲であれば、シェルと粒子内空隙との間の界面積が十分になり、その結果、中空粒子を外用剤に添加することによる効果、即ち、温度ないしは熱遮蔽効果、紫外線遮蔽の増強効果、及びメイクアップ効果(シミなどを隠す効果を含むソフトフォーカス効果、肌に透明感を与える効果)が十分に得られる。
平均粒子径
中空粒子の平均粒子径は、1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、50nm以上がさらにより好ましい。100nm以上にすることもできる。また、30000nm以下が好ましく、10000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、皮膚などに塗布して使用する場合にザラツキ感がなく、本願発明の効果を有効に発揮することができる。
本発明において平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した値であり、具体的には、実施例に記載の方法で測定した値である。
中空率
中空粒子の中空率は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上がさらにより好ましく、30%以上がさらにより好ましい。また、40%以上にすることもでき、60%以上にすることもできる。上記範囲であれば、中空粒子を外用組成物に添加することによる効果が十分に得られる。
また、中空粒子の中空率は、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、外用組成物に中空粒子を配合する時に粒子が破壊されることがない。
本発明において、中空率は、単中空粒子、及び多中空粒子の何れも、中空粒子(HP)、及びそれを十分に加熱処理して中空部を消失させた中実粒子(DP)の粒子直径を透過型電子顕微鏡を用いて測定し、各平均値からそれぞれの粒子容積(VHP,VDP)、及び中空容積(VHP−VDP)を算出し、100×〔(VHP−VDP)/ VHP〕として求めた値であり、具体的には、実施例に記載の方法で測定した値である。
なお、実施例の項目で述べるように、中空部を内部に一つ有する単中空粒子の場合は、外径、及び中空径を透過型電子顕微鏡で測定し、これらの値から中空率を算出することもできるが、上記方法により求めた中空率と良く一致する。
また、本発明において、中空部には、通常、空気などの気体及び/又は水などの液体が存在する。外用組成物に含まれる中空粒子の中空部には、液体が含まれないことが好ましく、これにより、中空粒子を外用組成物に添加することによる効果が向上する。
(1-3)中空粒子の製造方法
本発明で使用する中空ポリマー粒子の製造方法は、特に限定されないが、単官能性ビニル系モノマーのような単官能性モノマーを重合させて中空粒子を得る場合、又は多官能性モノマーを含むがその比率が極めて少ない場合は、例えば、乳化重合法(特許第4884053号の方法)を採用できる。この方法を簡単に説明すると、開始剤として過硫酸塩を含む水中で単官能性ビニル系モノマーを乳化重合させて、ポリマーを含む微粒子を得る第1工程と、得られるポリマー微粒子を乾燥する第2工程とを含み、第1工程と第2工程との間に、反応系の温度を微粒子のガラス転移温度以上にする工程を含む方法である。
第1工程において、重量平均分子量は、それには限定されないが、約1000〜2000000が好ましく、約2000〜1000000が更に好ましく、約3000〜500000が特に好ましい。この重量平均重量分子量であれば、本願発明の効果を奏する中空粒子を製造することができる。
また、多官能性ビニル系モノマーを多く含むモノマーを重合させて中空粒子を得る場合は、例えば、SaPSeP法(特許第3785440号の方法)が挙げられる。この方法は、多官能性モノマーのみを重合させて中空粒子を得る場合にも使用できる。
この方法を簡単に説明すると、分散安定剤の水溶液中に、水難溶性の有機溶媒、下記のモノマー成分、下記の補助ポリマー(SPA)及び開始剤を含む混合物を微小滴として分散させ、懸濁重合を行う方法である。
モノマー成分:多官能性モノマーを100〜0重量%、単官能性モノマーを0〜100重量%含むモノマー成分
補助ポリマー(SPA):モノマー成分を重合又は共重合することにより得られるポリマー(PA)に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマー(SPA)と水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たすポリマー
中空粒子を得た後、乾燥して有機溶媒を除去すればよい。
(2)中空粒子の含有量
本発明の外用組成物の中空ポリマー粒子の含有量は、約0.05重量%以上が好ましく、約1重量%以上がより好ましく、約2重量%以上がさらにより好ましく、約3重量%以上がさらにより好ましい。また、約5重量%以上にすることもできる。この範囲であれば、外用組成物に中空ポリマー粒子を加えることにより効果が十分に得られる。
また、本発明の外用組成物の中空ポリマー粒子の含有量は、約50重量%以下が好ましく、約30重量%以下がより好ましく、約20重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、適切なコストで、中空ポリマ−粒子の発明の効果を利用することができ、また、使用感が悪くなることがない。
(3)製剤
本発明の外用組成物は、上記説明した中空ポリマー粒子を、化粧品、医薬部外品、又は医薬品に使用され得る、薬学的又は生理学的に許容される基剤又は担体、並びに必要に応じて、化粧品、医薬部外品、又は医薬品用の添加剤、及び中空ポリマー粒子以外の有効成分(生理活性成分ないしは薬理活性成分)と共に混合して、化粧品、医薬部外品、又は医薬の外用剤とすることができる。
医薬品用の外用剤は、例えば、液体状、流動状、又は半固形状の製剤とすることができ、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、及びパップ剤などが挙げられる。これらの製剤は、第16改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。
医薬部外品や化粧品とする場合も、上記の医薬品と同様の形態にすることができる。また、それ以外にも、不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。
医薬部外品や化粧品とする場合の用途としては具体的には、化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料(サンスクリーン)、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、及びボディークリームのような基礎化粧料;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、及びトリートメントのような洗浄用化粧料;ファウンデーション、及び各種カラーなどのメークアップ化粧料;並びに制汗剤などが挙げられる。
基剤又は担体
基剤又は担体としては、それには限定されないが、例えば、パラフィン、スクワラン、白ロウ、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、α−オレフィンオリゴマー、及び軽質流動パラフィンのような炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、及びイソステアリン酸のような脂肪酸;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールのような高級アルコール;メチルポリシロキサン、及びジメチルポリシロキサンのようなシリコーン油;ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、及びテトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスエリットのようなエステル類;デキストリン、及びマルトデキストリンのような多糖類;エタノール、及びイソプロパノールのような低級アルコール;並びに水などの水系基剤などが挙げられる。
中でも、炭化水素(特に、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、及び軽質流動パラフィン)、トリ脂肪酸グリセリド(特に、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、高級アルコール(特に、セタノール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール)、シリコーン油(特に、メチルポリシロキサン、及びジメチルポリシロキサン)、エステル類(特に、イソノナン酸イソノニル、及びテトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット)、多糖類(特に、デキストリン、及びマルトデキストリン)、並びに水が好ましい。
基剤又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
添加剤
本発明の外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、又は医薬品に添加され得る添加剤、例えば、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、及びパール光沢付与剤等を添加することができる。
添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、及びソルビタンモノステアレートのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリルのようなグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、及びジイソステアリン酸ポリグリセリルのようなポリグリセリン脂肪酸類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60)、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80のような硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、及びイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;並びにラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
中でも、グリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸グリセリル)、ポリグリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸ポリグリセリル)、硬化ヒマシ油誘導体(特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(特に、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、及びモノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60))、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(特に、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、並びにシリコーン系界面活性剤(特に、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)が好ましい。
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸エチレングリコール、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシドなどが挙げられる。
中でも、キサンタンガム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸エチレングリコール、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシドが好ましい。
保存剤、又は防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、及びフェノキシエタノールなどが挙げられる。中でも、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、及びフェノキシエタノールが好ましい。
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、及びホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、及びアミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムなど)、並びに有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びリジンなど)などが挙げられる。中でも、コハク酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムが好ましい。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA−2Naなど)、及びカリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、並びにメタリン酸などが挙げられる。中でも、エデト酸ナトリウムが好ましい。
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、及びブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、無機顔料、及び天然色素などが挙げられる。
パール光沢付与剤としては、例えば、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、及びジステアリン酸トリエチレングリコールなどが挙げられる。中でも、ジステアリン酸エチレングリコールが好ましい。
中空ポリマー粒子以外の有効成分(生理活性成分ないしは薬理活性成分)
本発明の外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の生理活性成分ないしは薬理活性成分を含むことができる。このような成分の具体例としては、例えば、抗酸化成分、老化防止成分、抗炎症成分、美白成分、ビタミン類、血行促進成分、温感成分、有機紫外線吸収成分、無機紫外線散乱成分、洗浄成分、抗菌成分、及び清涼化剤などが挙げられる。
生理活性成分ないしは薬理活性成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
抗酸化成分としては、例えば、植物(例えば、ブドウ、オタネニンジン、又はコンフリー等)に由来する成分;プロアントシアニジン、トコフェロール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、へスペリジン、グルコシルヘスペリジン、エルゴチオネイン、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸及びその塩、フラボノイド、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カタラーゼ、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオレドキシン、タウリン、チオタウリン、ユビキノン、α−リポ酸、及びヒポタウリンなどが挙げられる。中でも、ブドウ種子エキス、ブドウ葉エキス、オタネニンジンエキス、コンフリー葉エキス、プロアントシアニジン、トコフェロール及びその誘導体(特に、δ−トコフェロール、及びα−トコフェロール)、アスコルビン酸及びその誘導体(特に、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、及びテトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル))、へスペリジン、グルコシルヘスペリジン、ユビキノン、α−リポ酸、並びにエルゴチオネインが好ましい。
老化防止成分としては、例えば、加水分解大豆タンパク、レチノイド(レチノール及びその誘導体、レチノイン酸、及びレチナール等)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、ピロロキノリンキノン、並びにメバロノラクトン等が挙げられる。中でも、アルテミアエキス、加水分解大豆タンパク、レチノール、酢酸レチノール、ピロロキノリンキノン、及びパルミチン酸レチノールが好ましい。
抗炎症成分としては、例えば、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分;アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、及びサリチル酸又はその誘導体などが挙げられる。中でも、コンフリー葉エキス、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、及びグリチルレチン酸ステアリルが好ましい。
美白成分としては、例えば、アルブチン、ハイドロキノン、コウジ酸、エラグ酸、フィチン酸、ルシノール、カモミラET、アスコルビン酸又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体、トラネキサム酸、及び美白作用を有する植物成分(例えば、植物エキス、又は精油)などが挙げられる。中でも、アルブチン、ハイドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、ルシノール、及びトラネキサム酸が好ましい。
ビタミン類としては、レチノール、酢酸レチノール、及びパルミチン酸レチノールなどのビタミンA類;アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、及びテトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)などのビタミンC類;δ−トコフェロール、及びニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類;並びにニコチン酸アミドなどのニコチン酸類が挙げられる。
血行促進成分としては、トウガラシエキス、及びノニル酸ワニリルアミドなどが挙げられる。
紫外線吸収成分としては、ケイ皮酸誘導体、ベンザルマロナート誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイルイミダゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。
ケイ皮酸誘導体の例としては、メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル(ユビナールMC80、BASFジャパン社;パルソールMCX、DSMニュートリションジャパン社)、メトキシケイ皮酸イソアミル(ネオヘリパンTS、ハーマンドレイマー社)、メトキシケイ皮酸イソプロピル、シンノキサート、DEAメトキシシンナマート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロン)シリルイソペンチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。
ベンザルマロナート誘導体の例としては、ジメチコジエチルベンザルマロネート(パルソールSLX、DSMニュートリションジャパン社)が挙げられる。
トリアジン誘導体の例としては、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソルブS、BASFジャパン社)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(チノソルブM、BASFジャパン社)、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(ユビナールT150、BASFジャパン社)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾリン(ユバソーブHEB、シグマ3V社)等が挙げられる。
ジベンゾイルメタン誘導体の例としては、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン(パルソール1789、DSMニュートリションジャパン社)、4−イソプロピルジベンゾイルメタン(ユーソレックス8020、メルク社)等が挙げられる。
安息香酸誘導体の例としては、2−[−4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル(ユビナールAプラス、BASFジャパン社)、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸(PABA)、グリセリルPABA、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA等が挙げられる。
サリチル酸誘導体の例としては、ホモサラート(パルソールHMS、DSMニュートリションジャパン社)、エチルヘキシルサリラート(ネオヘリパンOS、ハーマンアンドレイマー社)、ジプロピレングリコールサリチラート(ディピサル、スケル社)、TEAサリラート(ネオヘリパンTS、ハーマンアンドレイマー社)、サチリル酸エチレングリコール等が挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体の例としては、ベンゾフェノン−1(ユビナール400、BASFジャパン社)、ベンゾフェノン−2(ユビナールD50、BASFジャパン社)、ベンゾフェノン−3(ユビナールM40、BASFジャパン社)、ベンゾフェノン−4(ユビナールMS40、BASFジャパン社)、ベンゾフェノン−5(ヘリソーブ11、ノルクアイ社)、ベンゾフェノン−8(スペクトラソーブ、アメリカン・シアナミド社)、ベンゾフェノン−9(ユビナールDS49、BASFジャパン社)等が挙げられる。
ベンジリデンショウノウ誘導体の例としては、3−ベンジリデンショウノウ(メギゾリルSD、シメックス社)、ベンジリデンショウノウスルホン酸(メギゾリルSL、シメックス社)、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム(メギゾリルSO、シメックス社)、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸(メギゾリルSX、シメックス社)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ(メギゾリルSW、シメックス社)等が挙げられる。
フェニルベンゾイルイミダゾール誘導体の例としては、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(パルソールHS、DSMニュートリションジャパン社)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(ネオヘリパンAP、ハーマンアンドレイマー社)等が挙げられる。
アントラニル誘導体の例としては、アントラニル酸メンチル等が挙げられる。
イミダゾリン誘導体の例としては、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
紫外線吸収剤の中では、ケイ皮酸誘導体、ベンザルマロナート誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、安息香酸誘導体が好ましく、中でもメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−[−4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステルが特に好ましい。
紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
外用組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、紫外線遮断効果(SPFまたはPA)を増強することができる。
また、外用組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全量に対して、30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、良好な使用感が得られる。
また、中空粒子の含有量に対する紫外線吸収剤の含有量の比率は、中空粒子1重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましく、1重量部以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、紫外線遮断効果を高めることができ、紫外線防御指数を増強することができる。
また、中空粒子の含有量に対する紫外線吸収剤の含有量の比率は、中空粒子1重量部に対して、300重量部以下が好ましく、100重量部以下がより好ましく、50重量部以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、良好な使用感が得られる。
無機紫外線散乱成分としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、及び酸化ジルコニウムのような金属酸化物;ケイ酸チタン、ケイ酸亜鉛、及びケイ酸セリウムのようなケイ酸金属;無水ケイ酸、及び含水ケイ酸のようなケイ酸;チタン、亜鉛、鉄のような金属等の無機化合物が挙げられる。
また、それらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカ、若しくはタルク等の無機粉体で被覆したもの、それらの無機化合物をポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、若しくはナイロン等の樹脂粉体と複合化し又はこれらで被覆したもの、及びそれらの無機化合物をシリコーン油、又は脂肪酸アルミニウム塩等で処理し又はこれらで被覆したものなどが挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
無機紫外線散乱成分の平均粒子径は、約5〜500nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。
また、中空粒子の含有量に対する無機紫外線散乱成分の含有量の比率は、中空粒子1重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましく、5重量部以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、紫外線遮断効果を高めることができる。
また、中空粒子の含有量に対する無機紫外線散乱成分の含有量の比率は、中空粒子1重量部に対して、40重量部以下が好ましく、35重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、良好な使用感が得られる。
洗浄成分としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、アルキル(又はアルケニル)硫酸塩、高級脂肪酸塩、エーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アシル化イセチオン酸塩、及びアシル化タウレート等のアニオン界面活性剤;アミンオキサイド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤;アルキレンオキサイドが付加していてもよい、及び直鎖又は分岐鎖の長鎖アルキル基を有するモノ又はジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;カルボベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、及びアミドベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
抗菌成分としては、例えば、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、及び塩酸アルキルジアミノグリシンなどが挙げられる。中でも、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、及び塩酸アルキルジアミノグリシンが好ましく、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸及びその誘導体、塩化ベンゼトニウム、及びイソプロピルメチルフェノールがより好ましい。
清涼化剤としては、例えば、カンフル、ボルネオール、メントール、ハッカ水、アネトール、オイゲノール、ゲラニオール、リモネン、精油(ハッカ油、ペパーミント油、ユーカリ油、ベルガモット油、及びローズ油など)などが挙げられる。
前述した通り、本発明における中空粒子は、イオン性官能基を有する成分との相互作用が抑えられている。従って、本発明の外用組成物に配合する成分としては、イオン性官能基を有する成分(カチオン成分、アニオン成分、又は両性成分)が好適である。代表的には、カチオン性、アニオン性、又は両性界面活性剤が挙げられる。
本発明の外用組成物は、イオン性官能基を有する化合物(カチオン性化合物、アニオン性化合物、及び両イオン性化合物)を含む組成物として好適に使用できる。イオン性官能基を有する化合物として、代表的には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。
また、上記説明した中空ポリマー粒子が紫外線遮蔽効果の増強作用を有することから、本発明の外用組成物は、有機紫外線吸収剤、及び/又は無機紫外線散乱剤を含むことが好ましい。
製剤の具体例
<温度遮蔽剤>
中空ポリマー粒子は、内部に単一又は複数の空隙を有するため、空気層の存在により温度ないしは熱遮蔽効果を有する。従って、中空ポリマー粒子を含む本発明の外用組成物は、温度遮蔽剤、熱遮蔽剤、ないしは温度制御剤として使用できる。
本発明の外用組成物が温度遮蔽剤である場合、中空粒子の含有量は、温度遮蔽剤の全量に対して、0.05重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらにより好ましく、3重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以上にすることもできる。これにより、中空粒子配合の効果が十分に得られる。また、中空粒子の含有量は、温度遮蔽剤の全量に対して、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらにより好ましい。これにより、製剤の安定性に悪影響を与えず、使用感を悪くすることがない。
本発明は、上記説明した本発明の外用組成物を皮膚に適用(塗布、貼付、又は噴霧など)する温度ないしは熱の遮蔽方法、又は温度制御方法を包含する。
<温熱剤・冷感剤>
中空ポリマー粒子が熱遮蔽作用を有することから、本発明の外用組成物は、温熱効果又は冷感効果を持続させたり、増強させることができる。従って、本発明の外用組成物は、温感剤、又は冷感剤として好適に使用できる。製剤形態は、特に限定されないが、汎用の製剤である温熱パップ剤、温感スプレ−剤、冷感パップ剤、又は冷感スプレ−剤が好適である。
温熱パップ剤は、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキスなどの有効成分を含み、貼付部位の皮膚を暖かくすることにより局所の血管を拡張させ、患部の血流増加により、損傷した組織の修復を早めたり、痛みを軽減することが期待されるものである。また温感スプレ−剤は、以上の成分を水性アルコ−ルに溶かし分散させてスプレーにしたものである。ミストも同様にして作製可能である。
また、冷感パップ剤は、メントール、カンフルなどの局所刺激作用を持つ精油成分を含むことで、冷却効果を得ようとするものである。冷感パップ剤は、炎症部位を冷却することによって局所の発熱を抑えると共に、炎症部位の拡大を防ぐ目的で使用されている。また冷感スプレ−剤は、以上の成分を水性アルコ−ルに溶かし分散させてスプレーにしたものである。ミストも同様にして作製可能である。
本発明の外用組成物が温熱剤、又は冷感剤である場合、中空ポリマー粒子の含有量は、製剤の全量に対して、0.05重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらにより好ましく、3重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以上にすることもできる。これにより、中空粒子配合の効果が十分に得られる。また、中空粒子の含有量は、製剤の全量に対して、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらにより好ましい。
温熱剤は、さらに、例えば上記例示した温感成分の1又は2以上を含むことができ、冷感剤は、さらに、例えば上記例示した清涼化剤の1又は2以上を含むことができる。
本発明は、上記説明した本発明の外用組成物を皮膚に適用(塗布、貼付、又は噴霧など)する温感又は冷感の付与方法を包含する。
<制汗剤>
制汗剤は、有効成分として、クロロヒドロキシアルミニウムのような収斂剤を含む。制汗剤に上記説明した中空ポリマー粒子を配合することで、外界が暑い時、外界からの熱を遮蔽して体表面の温度を低く保ち、制汗効果を増強することができる。従って、本発明の外用組成物は、制汗剤として好適に使用できる。
本発明の外用組成物が制汗剤である場合、中空粒子の含有量は、制汗剤の全量に対して、0.05重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらにより好ましく、3重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以上にすることもできる。これにより、中空粒子配合の効果が十分に得られる。また、中空粒子の含有量は、制汗剤の全量に対して、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらにより好ましい。
制汗剤は、さらに、例えば上記例示した収斂成分の1又は2以上を含むことができる。
本発明は、上記説明した本発明の外用組成物を皮膚に適用(塗布、貼付、又は噴霧など)する制汗方法を包含する。
<サンスクリーン>
上記説明した中空ポリマー粒子が紫外線遮蔽の増強効果を有することから、本発明の外用組成物は、サンスクリーン(紫外線遮蔽剤)として好適に使用できる。
その場合の中空粒子の配合量は、その他の紫外線吸収成分又は紫外線散乱成分の量により異なるが、サンスクリーンの全量に対して、0.05重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらにより好ましく、3重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以上にすることもできる。この範囲であれば、中空粒子配合の効果が十分に得られる。
また、サンスクリーンの全量に対して、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、製剤の安定性を損なわず、使用感を悪くすることがない。
サンスクリーンは、さらに、例えば上記例示した有機紫外線吸収成分、及び無機紫外線散乱成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線遮蔽剤を含むことができる。
本発明は、上記説明した本発明の外用組成物を皮膚に適用(塗布、貼付、又は噴霧など)する紫外線遮蔽方法を包含する。
<メイクアップ剤>
上記説明した中空ポリマー粒子が、シミなどの隠蔽効果、及び肌色を明るく見せる効果を有するため、本発明の外用組成物は、ファウンデーションなどのメイクアップ剤として好適に使用できる。メイクアップ剤は、特に、肌の凹凸、シミ、毛穴などの隠蔽用のメイクアップ剤、又は肌への透明感又は明るさ付与用のメイクアップ剤とすることができる。
その場合の中空粒子の配合量は、その他の成分の配合量により異なるが、メイクアップ剤の全量に対して、0.05重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらにより好ましく、3重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以上にすることもできる。この範囲であれば、中空粒子配合の効果が十分に得られる。
また、メイクアップ剤の全量に対して、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、製剤の安定性を損なわず、使用感を悪くすることがない。
メイクアップ剤は、さらに、例えば上記例示した美白剤、及び抗老化剤の1又は2以上を含むことができる。
本発明は、上記説明した本発明の外用組成物を皮膚に適用(塗布、貼付、又は噴霧など)するメイクアップ方法を包含する。具体的には、本発明は、上記説明した本発明の外用組成物を皮膚に適用する、肌の凹凸、シミ、又は毛穴の隠蔽方法、肌に透明感を与える方法、及び肌色を明るくする方法を包含する。
使用方法
本発明の外用組成物の使用方法は、組成物の用途、並びに使用対象の健康状態、皮膚の状態、年齢、及び性別などによって異なるが、各用途での通常の使用方法とすればよい。
温熱、冷感剤、又は制汗剤である場合は、例えば、1日1〜4回の頻度で、1回当たり0.05〜2gを、皮膚に塗布又は貼付すればよく、それにより、身体に温感又は冷感を与えることができる。使用期間は、症状が軽減されるまでとすればよく、例えば、1日間〜1年間とすることができる。
温熱剤の使用対象は、健常人の他、冷え症の人、痛みを有する人、寒気がしている人などが好適である。冷感剤の使用対象は、健常人の他、熱中症の人、発熱している人、打ち身ないしは打撲傷を有する人などが好適である。
また、サンスクリーンである場合は、1日1〜4回の頻度で、1回当たり0.05〜2gを、皮膚に塗布すればよく、それにより、皮膚に到達する紫外線を遮蔽することができる。
また、メイクアップ剤である場合は、1日1〜4回の頻度で、1回当たり0.05〜2gを、皮膚に塗布すればよく、それにより、シミなどの変色、及び毛穴を隠蔽し、肌に透明感を与えることができる。
(II)中空ポリマー粒子の用途
(1)用途
前述した通り、中空ポリマー粒子は、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤による紫外線遮蔽効果を増強するため(ブースター効果)、紫外線遮蔽効果の増強剤の有効成分として有用である。
また、中空ポリマー粒子は、温度遮蔽効果を奏するため、温度ないしは熱遮蔽剤、又は温度制御剤の有効成分として有用である。
また、中空ポリマー粒子は、肌の凹凸、シミ、又は毛穴などを隠蔽し、肌に透明感又は明るさを与えるため、メイクアップ剤の有効成分として有用である。さらに、肌の凹凸、シミ、又は毛穴の隠蔽用のメイクアップ剤の有効成分として有用であり、肌への透明感又は明るさ付与用のメイクアップ剤の有効成分として有用である。
従って、本発明は、中空ポリマー粒子を、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤を含む外用組成物に配合する、この組成物の紫外線遮蔽作用の増強方法を包含する。
また、本発明は、中空ポリマー粒子を外用組成物に配合することにより、この組成物に、温度ないしは熱の遮蔽作用、又は温度制御作用を付与する方法を包含する。
また、本発明は、中空ポリマー粒子を外用組成物に配合することにより、この組成物に、肌の凹凸、シミ、又は毛穴を隠蔽する作用のようなソフトフォーカス作用、肌色を明るくする作用、又は肌に透明感を与える作用を付与する方法を包含する。
(2)ポリマー
(2-1)ポリマーを構成するモノマー
中空ポリマー粒子は、中空構造を有するポリマー粒子であればよい。
ポリマーの種類は特に限定されないが、ビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体、ビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体、並びにビニル系単官能性モノマーとビニル系多官能性モノマーとの共重合体が好ましい。
(2-1-1)ビニル系多官能性モノマー
ビニル系多官能性モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びテトラエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。特に、ジビニルベンゼン、及びエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
ビニル系多官能性モノマーは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(2-1-2)ビニル系単官能性モノマー
ビニル系単官能性モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、モノビニル芳香族モノマー、アクリル系モノマー(メタクリル系モノマ−を含む)、ビニルエステル系モノマー、及びビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。ビニル系単官能性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
モノビニル芳香族モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記一般式(5)で表されるモノビニル芳香族炭化水素、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、及び低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレン等が挙げられる。
[式中、Rは、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、又はハロゲン原子を示し、Rは、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、ハロゲン原子、−SO3Na基、−SO3H基、水酸基、ω-ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アルコキシ基、アミノ基、又はカルボキシル基を示す。]
上記一般式(5)において、Rとしては、水素原子、メチル基、又は塩素原子が好ましく、Rとしては、水素原子、塩素原子、メチル基、−SO3Na基、−SO3H基、又はω-ヒドロキシアルキル基が好ましい。
上記一般式(5)で示されるモノビニル芳香族炭化水素の具体例としては、それには限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン(o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p-メチルスチレン)、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、p-ヒドロキシメチルスチレン、及びo-ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる。
更に、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレンとしては、ビニルビフェニル、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びメチル基、又はエチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルナフタレン等を例示できる。
また、アクリル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(6)で表されるアクリル系モノマー(メタクリル系モノマーを含む)が挙げられる。
[式中、Rは、水素原子、又は低級(炭素数1〜4)アルキル基を示し、R10は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基若しくはジ(C1-C4アルキル)アミノ−(C1-C4)アルキル基、又はエチレンジヒドロキシリン酸基を示す。]
一般式(6)において、Rとしては、水素原子、又はメチル基が好ましく、R10としては、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、低級(炭素数1〜4)ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基、又はエチレンジヒドロキシリン酸基が好ましい。
アクリル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−ヒドロキシブチル、アクリル酸δ−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−アミノプロピル、メタクリル酸β−アミノエチル、アクリル酸γ−N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸γ−N,N−ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジブチル等が挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(7)で表されるものが挙げられる。
[式中、R11は水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニルアルキル基を示す。]
上記ビニルエステル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、及びフェニル酢酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(8)で表されるビニルエーテル系モノマーが挙げられる。
[R12は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、又はシクロヘキシル基を示す。]
ビニルエーテル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−プロピルエーテル、ビニルiso−プロピルエーテルビニル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、及びビニルベンジルエ−テル等が挙げられる。
(2-2)好ましいモノマー
好ましいモノマーは、本発明の外用組成物に使用される中空ポリマー粒子の場合と同じである。
(2-3)好ましい重合体
(a)多官能性モノマーの好ましい重合体
多官能性モノマーの好ましい重合体は、本発明の外用組成物に使用される中空ポリマー粒子の場合と同じである。
(b)単官能性モノマーの好ましい重合体
単官能性モノマーの好ましい重合体は、本発明の外用組成物に使用される中空ポリマー粒子の場合と同じである。
(c)多官能性モノマーと単官能性モノマーとの好ましい共重合体
多官能性モノマーと単官能性モノマーとの好ましい共重合体は、本発明の外用組成物に使用される中空ポリマー粒子の場合と同じである。
(d)共重合比率
多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合比率は、本発明の外用組成物に使用される中空ポリマー粒子の場合と同じである。
モノマー中のイオン性官能基の比率は、特に限定されないが、モノマーの全体量に対して、5モル%以下が好ましく、5モル%未満がより好ましく、2モル%以下がさらにより好ましく、1モル%以下がさらにより好ましい。中空粒子のポリマーは、イオン性官能基を有しないモノマーのみを重合させたものであるのが最も好ましい。上記範囲であれば、皮膚外用剤に添加する場合に製剤を中性〜弱酸性にしても中空粒子の安定性を損ない難い。また、他成分の作用を阻害し難い。
(e)その他のポリマー
ビニル系モノマーとその他のモノマーを共重合させたポリマー、及び/又はビニル系以外のポリマーがシェルに含まれていてもよい。
(3)中空粒子の性状
(3-1)形状
中空粒子は、外形が球状又は略球状であればよく、真球状であることが好ましい。
中空部分は、単一の中空であってもよく、多中空であってもよい。多中空である場合、粒子の最大面積断面に観察される中空部の数が約1〜50個であることが好ましく、約1〜20個であることがより好ましく、約1〜5個であることがさらにより好ましい。この範囲であれば、シェルと粒子内空隙との間の界面積が十分になり、温度ないしは熱遮蔽効果、紫外線遮蔽の増強効果、及びメイクアップ効果(シミなどを隠す効果、肌に透明感を与える効果)が十分に得られる。
(3-2)平均粒子径
中空粒子の平均粒子径は、1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、50nm以上がさらにより好ましい。100nm以上にすることもできる。上記範囲であれば、皮膚表面で本願発明の効果(紫外線遮蔽の増強効果、温度遮蔽効果、及びメイクアップ効果)が発揮できる空隙(空気層)を確保することができる。
また、中空粒子の平均粒子径は、30000nm以下が好ましく、10000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、皮膚などに塗布して使用する場合にザラツキ感がなく、本願発明の効果を有効に発揮することができる。
(3-3)中空率
中空粒子の中空率は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上がさらにより好ましく、30%以上がさらにより好ましい。また、40%以上にすることもでき、60%以上にすることもできる。上記範囲であれば、実用上十分な強度が得られる。また、熱伝導率が低くなり、十分な温度遮蔽効果が得られる。また、紫外線遮蔽の増強効果、及びメイクアップ効果も十分なものとなる。
また、中空粒子の空隙率は、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、衝撃に強い耐久性のある粒子となる。
中空粒子のシェル内空間には、通常、空気などの気体及び/又は水などの液体が存在する。中空粒子のシェル内空間には、液体が含まれないことが好ましく、これにより、温度ないしは熱遮蔽効果、紫外線遮蔽の増強効果、及びメイクアップ効果(シミなどを隠す効果、肌に透明感や明るさを与える効果)が向上する。
中空ポリマー粒子は、上記説明した本発明の外用組成物での中空ポリマー粒子であるのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)中空粒子の製造
中空粒子1(実施例1)
非イオン性界面活性剤であるエマルゲン150(花王ケミカル製)(曇点:100℃以上)1.0 g、エマルゲン109P(花王ケミカル製)(曇点:83℃)を10g、スチレン100 g、過硫酸カリウム1g、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600 rpmで攪拌しながら70℃で16時間反応させた。
重合液を、15000 rpmで40分間遠心分離して、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の2倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、再度15000 rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の4倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、耐圧瓶に封入して120℃で1時間加熱処理した。
熱処理した重合体微粒子を透過型電子顕微鏡写真で観察したところ、ほとんどが単中空粒子であり、全体の数%以下の2〜5個の中空部を有する多中空粒子が含まれていた。
また、加熱処理液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取し、50℃加温下で減圧乾燥した。作製した粒子を界面活性剤水溶液に分散させると、水に浮遊したことからも、中空構造が形成されたことが分かる。なお、50℃加温下で減圧乾燥前の重合体微粒子は沈降することを確認した。
実施例1の中空粒子の写真を図5に示す。
中空粒子2(実施例2)
非イオン性界面活性剤であるエマルゲン911(花王ケミカル製)(曇点:74℃)10g、スチレン50g、メタクリル酸メチル50g、過硫酸カリウム1g、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600rpmで攪拌しながら70℃で16時間反応させた。
重合液を15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の2倍量の水を加えよく分散し、再度15000rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の4倍量の水を加え、よく分散し、耐圧瓶に封入して120℃で1時間加熱処理した。
処理液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取し、50℃加温下で減圧乾燥した。作製した粒子は、水に浮遊したことから、中空構造を有することが分かる。なお、50℃加温下で減圧乾燥前の重合体微粒子は沈降することを確認した。
実施例2の中空粒子の写真を図6に示す。
中空粒子3(実施例3)
非イオン性界面活性剤であるエマルゲン911(花王ケミカル製)(曇点:74℃)10g、メタクリル酸メチル100g、過硫酸カリウム1g、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600rpmで攪拌しながら70℃で16時間反応させた。
重合液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取する。沈殿の2倍量の水を加えよく分散し、再度15000rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の4倍量の水を加え、よく分散し、耐圧瓶に封入して120℃で1時間加熱処理した。
処理液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取し、50℃加温下で減圧乾燥した。作製した粒子は、水に浮遊したことから、中空構造を有することが分かる。なお、50℃加温下で減圧乾燥前の重合体微粒子は沈降することを確認した。
中空粒子4(実施例4)
非イオン性界面活性剤であるエマルゲン150(花王ケミカル製)(曇点:100℃以上)1.0g、エマルゲン109P(花王ケミカル製)(曇点:83℃)を10g、スチレン100g、35%過酸化水素水360mg、アスコルビン酸ナトリウム733mg(全量1466mgの半量)、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600rpmで攪拌しながら50℃で6時間反応させ、アスコルビン酸ナトリウム733mgを加えて、さらに10時間、同条件で反応を継続した。
重合液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の2倍量の水を加えよく分散し、再度15000rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の4倍量の水を加え、よく分散し、耐圧瓶に封入して120℃で1時間加熱処理した。
熱処理した重合体微粒子を透過型電子顕微鏡写真で観察したところ、極めてわずかに2〜5個の中空を有する多中空粒子が見られるものの、ほとんどの粒子が単中空粒子でであった。
処理液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取し、50℃加温下で減圧乾燥した。作製した粒子を水に入れると、浮遊したことからも、中空構造を有することが分かる。なお、50℃加温下で減圧乾燥前の重合体微粒子は沈降することを確認した。
中空粒子5(実施例5)
ポリビニルアルコ−ル1.8gを水180gに溶解させて得た溶液に、トルエン9g、モノマ−成分として架橋性モノマ−のエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト9g、補助ポリマ−としてポリスチレン0.9g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の0.036gを均一混合してなる溶液を懸濁させた。懸濁は、ホモミキサ−(T.K.ROBOMICS、PRIMIX製)を用い、攪拌速度7000rpmで5分間、攪拌速度10000rpmで10分、室温条件下で行った。
次いで、懸濁液をセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で、120rpmで攪拌しながら、50℃で18時間、その後80℃で6時間懸濁重合させた。
重合終了後、1500rpmで10分遠心分離してトルエン内包マイクロカプセルを集めた。集めたトルエン内包マイクロカプセルを、500mLの水で3回洗浄し、50℃加温下で減圧乾燥した。マイクロスコ-プ((株)キ−エンス製、VHX-1000 デジタル マイクロスコ−プ)で確認したところ、全てが単中空粒子であることが分かった。作製した乾燥粒子は、1%界面活性剤水溶液中で沈降せずに浮遊したことから、中空構造を有することが分かる。
中空粒子6(実施例6)
非イオン性界面活性剤であるエマルゲン150(花王ケミカル製)(曇点:100℃以上)1.0g、エマルゲン109P(花王ケミカル製)(曇点:83℃)を10g、スチレン97g、メタクリル酸3g、過硫酸カリウム1g、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600rpmで攪拌しながら70℃で16時間反応させた。
重合液を、15000rpmで40分間遠心分離して、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の2倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、再度15000rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の4倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、耐圧瓶に封入して120℃で1時間加熱処理した。
熱処理した重合体微粒子を透過型電子顕微鏡写真で観察したところ、ほとんどが単中空粒子であり、全体の数%以下の2〜5個の中空部を有する多中空粒子が含まれた。
処理液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取し、50℃加温下で減圧乾燥した。作製した粒子を水に入れると、浮遊したことからも、中空構造を有することが分かる。なお、50℃加温下で減圧乾燥前の重合体微粒子は沈降することを確認した。
中空粒子7
(実施例7)
非イオン性界面活性剤であるエマルゲン150(花王ケミカル製)(曇点:100℃以上)1.0g、エマルゲン109P(花王ケミカル製)(曇点:83℃)を10g、スチレン97g、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト3g、過硫酸カリウム1g、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600rpmで攪拌しながら70℃で14時間反応させた。
重合液を、15000rpmで40分間遠心分離して、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の2倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、再度15000rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の4倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、耐圧瓶に封入して120℃で2時間加熱処理した。
加熱処理液を、15000rpmで40分間遠心分離して沈殿(微粒子)を採取し、50℃加温下で減圧乾燥した。作製した粒子を水に入れると、水に浮遊したことからも、中空構造が形成されたことが分かる。なお、50℃加温下で減圧乾燥前の重合体微粒子は沈降することを確認した。
中空部に水を含む中空粒子(実施例8)
中空粒子1の製造例と同様にして、スチレンを重合させた。即ち、非イオン性界面活性剤であるエマルゲン150(花王ケミカル製)(曇点:100℃以上)1.0 g、エマルゲン109P(花王ケミカル製)(曇点:83℃)を10g、スチレン100 g、過硫酸カリウム1g、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600 rpmで攪拌しながら70℃で16時間反応させた。
重合液を、15000 rpmで40分間遠心分離して、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の2倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、再度15000 rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の4倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、耐圧瓶に封入して120℃で1時間加熱処理した。
さらに、加熱処理した液を、14000rpmで40分間遠心分離し、得られた沈殿(粒子)を室温で、2時間風乾した。
中空構造を有さない中実粒子(比較例1)
中空粒子1の製造例と同様にして、スチレンを重合させた。即ち、非イオン性界面活性剤であるエマルゲン150(花王ケミカル製)(曇点:100℃以上)1.0 g、エマルゲン109P(花王ケミカル製)(曇点:83℃)を10g、スチレン100 g、過硫酸カリウム1g、イオン交換水350gを、還流冷却器を備えた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下600 rpmで攪拌しながら70℃で16時間反応させた。
重合液を、15000rpmで40分間遠心分離して、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿の2倍量の水を加え、沈殿をよく分散し、再度15000rpmで40分間遠心分離して上相を捨て、沈殿(微粒子)を採取した。沈殿(微粒子)は、50℃加温下で減圧乾燥し、中実粒子を得た。
(2)中空粒子の特性
上記の中空粒子1〜7(実施例1〜7)の平均粒子径、および中空率を測定した。
平均粒子径
平均粒子は、平均粒径レーザー回折散乱法(機器名:Fiber-Optics Particle Analyzer、型番FPAR-1000、(株)大塚電子)、または平均粒子レ−ザ−散乱法(機器名:Laser Scattering Particle size Distribution Analyzer、(株)堀場製作所)により測定した。平均粒子径の値は、粒子径基準に個数を採用した。
中空率
単中空粒子、及び多中空粒子の何れも、中空率(%)は、中空粒子(HP)、及びそれを十分に加熱処理して中空部を消失させた中実粒子(DP)の粒子直径を、それぞれFiber-Optics Particle Analyzer(型番FPAR-1000、社名(株)大塚電子)による平均粒径レーザー回折散乱法、または平均粒子レ−ザ−散乱法により測定した。その測定値の平均値(3回測定)から、粒子容積(VHP,VDP)、及び中空容積(VHP−VDP)を算出し、100×〔(VHP−VDP)/ VHP〕として求めた。さらに、5粒の粒子の100×〔(VHP−VDP)/ VHP〕の平均値を、本発明における中空率(%)とした。
なお、中空部を内部に一つ有する単中空粒子については、外径並びに中空径を透過型電子顕微鏡で測定し、それらの平均値(3回測定)から求めた単中空粒子の粒子容積(VHP)、及び中空容積からも、中空率を算出することができたが(5粒の平均値)、上記の方法で求めた中空率と良く一致した。
結果を以下の表1に示す。
*1:平均粒径レーザー回折散乱法(機器名:Fiber-Optics Particle Analyzer、
型番FPAR-1000、(株)大塚電子) で測定。
*2:平均粒子レ−ザ−散乱法(機器名:Laser Scattering Particle size
Distribution Analyzer、(株)堀場製作所)で測定。
(3)温度遮蔽効果の評価
<基剤1>
精製水67.9g、ベンザルコニウム塩化物0.1g、クロルヒドロキシアルミニウム2.0g、濃グリセリン5.0gをよく混ぜ、A相を作製した。別に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5.0gにデカメチルシクロペンタシロキサン10.0gを加えてよく攪拌し、B相を作製した。B相にA相を加え、ホモジナイザ−でよく攪拌して乳化した。これに、さらに、シリル化処理無水ケイ酸5.0gおよびポリアクリル酸アルキル5gを加え、ホモジナイザ−で攪拌して基剤1とした。
この基剤は、制汗剤用の基剤である。
中空粒子1(実施例1)を、それぞれ、最終濃度3重量%、4重量%、5重量%、5.5重量%、6重量%、及び7.5重量%になるように、基剤1に混合した製剤を調製した(実施例9〜14)。基剤1を比較例2とした。また、中空でない中実粒子(比較例1)を最終濃度5重量%になるように、基剤1に混合した製剤を作製した(比較例3)。
温度遮蔽効果は、次のようにそれぞれ測定したホットプレート表面温度とホットプレートに載せたアルミ板上に塗布した製剤表面の温度の差により評価した。即ち、各製剤をアルミ板の上に、1cm×1cmの広さで、0.18mmの厚みに塗布し、ホットプレート(株式会社テックジャム、マイクロヒートプレ−トMP-10DMFH-PG)の上に各製剤を塗布したアルミ板をのせた。その後、プレート表面温度を約8分間かけて30℃から50℃に自動で昇温(速度約2.5℃/minで昇温)するよう設定した。温度上昇開始後、ホットプレ−トの表面温度は機器表示の温度を読み取り、そして製剤を塗布した塗布表面温度は非接触温度計(HORIBA 堀場製作所製、IT-545、放射温度計)で測定した。具体的には、実施例製剤(実施例9〜14)、及び比較例製剤(比較例2、3)を塗布したアルミ板をホットプレートに載せ、下記の表2に示したプレート温度になった時の製剤塗布表面の温度を測定した。結果を下記の表2、及び図1に示す。なお、表中にある括弧内の数値は、温度遮蔽による温度差である。
表2及び図1から明らかなように、ホットプレ−ト表面温度が33〜37℃の時の、ホットプレート表面温度と製剤表面温度との差を計算した結果、中空粒子を含む実施例9〜14の製剤は用量依存的に温度遮蔽効果を示した。しかし、中実粒子を含む比較例3の製剤では温度遮蔽効果は認められなかった。
(4)メークアップ効果の評価
<基剤2>
ポリグリセリン−3−ジシロキシジメチコン1.7g、ジグリセリン10g、ジメチルポリシロキサン10g、及びPCAジメチコン0.8gを混合した溶液に、ホモジナイザ−で攪拌しながら、水29.35gをゆっくりと滴下した。水5gで膨潤させたアクリル酸-メタクリル酸アルキルコポリマ−粉末0.05g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、1,2-ペンタンジオ−ル2g、及びトリエタノ−ルアミン0.05gをホモジナイザ−で攪拌しながら、さらに添加して基剤2とした。
この基剤は、多用途に用いることができる基剤である。
中空粒子1を、最終濃度が5重量%になるように基剤2に混合したもの(実施例15)を、59歳の男性一人の右頬に、2μL/cm2となるよう塗布した。また、中空粒子2を、最終濃度が5重量%になるように基剤2に混合したもの(実施例16)を、この59歳の男性一人の左頬に、2μL/cm2となるよう塗布した。塗布前後で、VISIA(CANFIELD社製)を使用して、シミの数(指標値)、紫外線シミの数(指標値)、赤い部分の数(指標値)、毛穴の数(指標値)を測定した。
また、翌日、基剤2(比較例4)についても、実施例15および実施例16の製剤の場合と同様にして、この男性の右頬及び左頬(前日の実施例14、実施例15を塗布したのと同じ部分)に塗布し、塗布前後の上記評価項目について測定した。
結果を下記の表3及び表4に示す。
表3及び表4から明らかなように、実施例15および実施例16の製剤は、シミ、紫外線シミ、赤い部分、及び毛穴を目立たなくすることにより、肌を美しく見せるメ−クアップ効果を有していた。
(5)中空粒子の色差の評価
基剤2に中空粒子1、中空粒子2、中空部に水を含む中空粒子(実施例8)を、それぞれ、最終濃度が5重量%になるように混合して、実施例15、実施例16、及び実施例17の製剤を調製した。
BioSkinPlate(FR40:(株)ビュ−ラックス)に、実施例15、実施例16、実施例17、及び比較例4(基剤2)の製剤を、それぞれ2μL/cm2となるよう塗布し、色差計(ミノルタCR-221)を使用して、ΔE、ΔL、Δa、Δbを求めた。
L値(ΔL)は白黒間の双方向に関する値であり、美白効果の指標として使用されている値である。また、a値(Δa)は赤緑間の双方向に関する値であり、b値(Δb)は黄青間の双方向に関する値である。
また、ΔEは、ΔL、ΔaおよびΔbから、下記式に従って算出した値であり、メ−クアップでの効果を示す指標と考えられる。
ΔE=X1/2(但し、X=ΔL2 + Δa2 + Δb2
結果を下記の表5に示す。表5中の数値は3回測定した平均値である(n=3)。
ΔL値が0に近いほど黒色を示し、100に近いほど白色を示す。
Δaはマイナス値(−)が大きいほど緑色がかっていることを示し、プラス値(+)が大きいほど赤みがかかっていることを示す。
また、Δbはマイナス値(−)が大きいほど青みかかっていることを示し、プラス値(+)が大きいほど黄みがかっていることを示す。
ΔL値は数値が大きいほど、皮膚の明度(明るさ、色白)を表す。Δa値は数値が小さいほど皮膚の赤みが少ない(色白)ことを表す。また、Δb値は数値が小さいほど透明感のある人の肌色を表す。
表5から明らかなように、実施例15及び実施例16の製剤を塗布したBioSkinPlateでは、肌の色は明るく(ΔL>0)、赤みが少なく(Δa<0)、そして透明感を有する(Δb<0)結果が得られた。
また、実施例17の製剤を塗布したBioSkinPlateは、実施例15および実施例16の製剤を塗布した各BioSkinPlateよりも全ての因子で効果が低いもののΔb<0となり、透明感を有することが明らかとなった。一方、比較例4の製剤(基剤2)を塗布したBioSkinPlateは、Δb>0であり、透明感の低い肌状態であった。
このことから中空粒子は、肌を明るくし、肌を色白にして、そして肌に透明感を与える効果を有することが明らかになった。
(6)中空粒子の紫外線防御能の評価
石英板に、アプリケ−タ−(日本シ−ダ−ズサ−ビス製)を用いて市販サンスクリ−ン製剤(ロート製薬社製、スキンアクアSPF+24、PA2+、製剤中に配合された紫外線吸収剤は、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルである)を厚さ8μmで塗布し、コ−ティングフィルムを作製した。
また、上記市販サンスクリーン製剤に中空粒子1を、それぞれ、最終濃度が1重量%、5重量%、10重量%になるように配合した製剤を作製し、石英板に、アプリケ−タ−(日本シ−ダ−ズサ−ビス製)を用いて厚さ8μmで塗布し、コ−ティングフィルムを作製した。
参考例として、基剤2に中空粒子1を最終濃度が5重量%になるように配合した製剤も作製し、同様にしてコ−ティングフィルムを作製した。
各フィルムの紫外線透過率をUV-VIS分光器(Shimadzu UV-2450 UV-VIS Spectrometer)を用いて測定した。結果を図2に示す。
図2に示されるように、UVA及びUVBを含む290〜350nmの波長域で、市販スクリーンに中空粒子1を配合することにより、用量依存的に、UV透過率が低下した。一方、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤を含まない基剤2に中空粒子1を配合したものは、UV透過率が非常に高かった。
このことから、紫外線吸収剤および/または紫外線散乱剤を含有するサンスクリ−ン剤に中空粒子を配合することによって、光の透過を減弱させ、組成物の防御指数(SPF(Sun Protection Factor)またはPA(Protection Grade of UVA))を著しく増強する作用(ブスタ−効果)があることが分かる。
(7)中空粒子のソフトフォ−カス効果の評価
実施例15及び比較例4の製剤を、それぞれ、人工皮膚(出光テクノファイン社製、商品名:テクノファン)に塗布し、マイクロスコ−プ((株)キ−エンス製、VHX-1000 デジタル マイクロスコ−プ)を用いて、人工皮膚表面を撮影した。
結果を図3に示す。図3から明らかなように、中空粒子を配合することにより、人工皮膚表面の凸凹は目立たなくなった。微粒子が凹部に入ることと、微粒子のソフトフォ−カス効果によるものと考えられる。
(8)中空粒子の光散乱効果の角度依存性の評価
実施例15、実施例16、及び比較例4の製剤を、それぞれ、人工皮膚(出光テクノファイン社製、商品名:テクノファン)に塗布し、マイクロスコープを用いて、人工皮膚面に対して60度の角度、即ち、光照射方向から30度傾いた方向から、人工皮膚表面を撮影した。
結果を図4に示す。図4から明らかなように、比較例4の製剤(基剤2)を塗布した皮膚は、光照射方向から30度傾けると、表面が暗くなった。これに対して、実施例15及び実施例16の製剤を塗布した皮膚は、光の照射方向から30度傾けた方向から観察しても、表面の明度の低下を抑制した。
(9)処方例
市販サンスクリ−ン剤(ロート製薬社製、スキンアクアSPF+24、PA2+、製剤中に配合された紫外線吸収剤は、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルである)1.9gに、中空粒子1の0.1gを良く練りこみ、中空粒子を最終濃度5重量%含むサンスクリ−ン剤を調製した。
同様にして、中空粒子を最終濃度1重量%、又は10重量%含むサンスクリ−ン剤を調製した。
(10)中空粒子を配合した製剤の安定性評価
基剤2に、中空粒子1、及び市販の弱酸性陽イオン交換樹脂(カルボキシル基の水素をナトリウムで置換した-COONaを有するアンバ−ライトIRC76(オルガノコア・コンビダンス))を、それぞれ、最終濃度20重量%になるよう混合して、実施例15、及び比較例5の製剤を調製した。
基剤2の粘度と、基剤2に中空粒子1又はアンバ−ライトIRC76を配合した直後の製剤の粘度を、回転粘度計(RD-80L,ロ−タ−No.M-2,東洋産業社製)を用いて6rpmで測定した(測定開始1分後の値)。粒子配合による粘度変化率を下記式に従い算出した。

粘度変化率(%)
=〔(粒子配合後の製剤の粘度)/(基剤2の粘度)〕×100
結果を表6に示す。中空粒子1の配合により製剤の粘度は増加した(実施例15)。これは、粉体である中空粒子の配合による物理的な作用の結果であり、どのような基剤を用いても生じる現象である。これに対して、アンバ−ライトIRC76の配合により製剤の粘度は短時間で顕著に低下した(比較例5)。
このことから、カチオン成分又はアニオン成分を含有する製剤に、高分子表面にイオン性官能基を有する成分を配合すると、塩の形成により粘度が低下して、所望の製剤を調製できなくなるが、高分子表面にイオン性官能基を有しない中空粒子を配合しても、製剤の粘度は低下しないことが分かった。このように、カチオン成分又はアニオン成分と中空粒子とを含有する製剤の調製にあたり、本発明の中空粒子を用いれば、安定な製剤を調製できる。
本発明の外用組成物は、モノマーに由来するイオン性官能基を殆ど有しない中空ポリマー粒子を含むため、外用剤として好ましい弱酸性領域にすることができる。また、イオン性官能基を有する成分を制限なく配合できる。
また、中空ポリマー粒子は、肌に刺激を与えることなく、熱遮蔽効果、紫外線遮蔽の増強効果、肌の隠蔽効果、及び肌に透明感を与える効果などを奏するため、これらの用途で化粧料、医薬品、医薬部外品、及びその他の雑品に配合するのに好適である。

Claims (15)

  1. 中空ポリマー粒子であって、このポリマーがイオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである中空ポリマー粒子を含む外用組成物。
  2. 中空ポリマー粒子を構成するポリマーが、モノビニル芳香族モノマー、及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体又は共重合体である請求項1に記載の外用組成物。
  3. 中空ポリマー粒子の平均粒子径が、10〜30000nmである請求項1又は2に記載の外用組成物。
  4. 中空ポリマー粒子の含有量が、組成物の全量に対して、0.05〜50重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の外用組成物。
  5. さらに、イオン性官能基を有する成分を含む請求項1〜4のいずれかに記載の外用組成物。
  6. さらに、有機紫外線吸収剤、及び無機紫外線散乱剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線遮蔽剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の外用組成物。
  7. 温度遮蔽用である請求項1〜6のいずれかに記載の外用組成物。
  8. 紫外線遮蔽用である請求項1〜6のいずれかに記載の外用組成物。
  9. メイクアップ用である請求項1〜6のいずれかに記載の外用組成物。
  10. 中空ポリマー粒子を含む温度遮蔽剤。
  11. 中空ポリマー粒子のポリマーが、イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである請求項10に記載の温度遮蔽剤。
  12. 中空ポリマー粒子を含むメイクアップ剤。
  13. 中空ポリマー粒子のポリマーが、イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである請求項12に記載のメイクアップ剤。
  14. 中空ポリマー粒子を含む紫外線遮蔽効果の増強剤。
  15. 中空ポリマー粒子のポリマーが、イオン性官能基を有するモノマーの比率が5モル%以下であるモノマーの重合により得られるものである請求項14に記載の紫外線遮蔽効果の増強剤。
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