JP2014052775A - 表示装置用前面保護板、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示装置用前面保護板10は、透光性基板1の面に、遮光層2として着色顔料を感光性樹脂の硬化物を用いた樹脂バインダ中に含む着色樹脂層2aを一構成層として有する。さらに、この着色樹脂層を被覆するように酸素遮断層3を有する。酸素遮断層3は、着色樹脂層に対して光が来る透光性基板側ではないにも拘らず、着色樹脂層の耐光性を向上させることができる。酸素遮断層はタッチパネル用の透明電極と同一材料で同時形成できる。この透明電極は、層自体が透明な透明導電体薄膜、或いは、メッシュ状に形成することで透視性を確保する層自体が不透明な導電性金属層を採用できる。これを、液晶表示パネル、ELパネル等の表示パネルと組み合わせて表示装置とする。
【選択図】図1
Description
従来の表示装置200の一例を模式的に示す図である。図26(a)は分解平面図であり、図26(b)の断面図は図26(a)の分解平面図中で、C−C線で従来の表示装置用前面保護板40を切断したときの表示装置用前面保護板40のみの断面図である。タッチパネル20は、表示パネル30に対して、表示パネル30からの表示光の出光側である表側(紙面で手前側)に配置される。さらに、タッチパネル20の保護の為に、前記表示パネル30からの表示光がタッチパネル20を通過して出光する側であるタッチパネル20の表側に、表示装置用前面保護板40が配置される(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
従来の表示装置用前面保護板40は、通常、図26で例示する様に、その表示用領域A1の外周部が不透明領域A2となっており、不透明領域A2には遮光層2が透光性基板1に形成されている。この遮光層2は、通常、着色顔料を樹脂バインダ中に含む着色樹脂層2aによって構成されている。この不透明領域A2によって、表示装置用前面保護板40の裏側に配置されるタッチパネル20が、その外周部に有する配線7やコネクタ等が見えて外観を損ねないようにしている。また、不透明領域A2中には、製品ロゴなどの可視情報8なども適宜設けられ、不透明領域A2は表示装置用前面保護板40の加飾部にもなっている。
また、薄型化、軽量化、部品点数削減などに対する要求に応えるべく、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との一体化、或いはタッチパネル20と表示パネル30との一体化などの各種一体化の形態が、提案され実用化も始まっている(特許文献1、特許文献2)。
(1)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、
この透光性基板の一方の面上の前記不透明領域に設けられ、着色顔料を感光性樹脂の硬化物を用いた樹脂バインダ中に含む着色樹脂層を一構成層とする遮光層と、
前記一方の面上に前記着色樹脂層を被覆するように設けられた酸素遮断層と、
を少なくとも有する、
表示装置用前面保護板。
前記一方の面上であって、前記酸素遮断層上に設けられた絶縁層と、
前記一方の面上であって前記絶縁層上に、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を有し、
前記酸素遮断層及び前記透明電極が同一材料の透明導電体薄膜によって形成されている、
前記(1)の表示装置用前面保護板。
(3)前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられたタッチパネル用の透明電極と、
前記一方の面上であって、前記酸素遮断層上に設けられた絶縁層と、
前記一方の面上であって前記絶縁層上に、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を有し、
前記酸素遮断層及び前記透明電極が、同一材料の層自体が不透明な導電性金属層によって形成され、
前記透明電極は、少なくとも前記表示用領域において、メッシュ状に形成されることで透視性を確保したメッシュ電極を含む、
前記(1)の表示装置用前面保護板。
本発明の表示装置によれば、それが備える表示装置用前面保護板が、前記効果を有する。
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「裏側」とは、前記「表側」とは反対側を意味し、表示装置用前面保護板或いはその他の構成要素において、表示パネルの表示光が入光する側を意味する。
透光性基板1の面に対して、「一方の面」は、遮光層2を構成する着色樹脂層2a、及び酸素遮断層3を必ず有する側の面である。「一方の面」とは「裏側」の面を意味し、「他方の面」とは「表側」の面を意味する。「一方の面」乃至は「裏側」の面を「第1面S1」とも呼び、「他方の面」乃至は「表側」の面を「第2面S2」とも呼ぶ。
以下、本発明による表示装置用前面保護板を説明する。
図1(a)の平面図及び図1(b)の部分拡大断面図を参照して、本発明による表示装置用前面保護板の第1の実施形態例を説明する。図1(b)の断面図は図1(a)の平面図中で、C−C線での断面図である。
着色樹脂層2aは、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を透光性基板1上に塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることで形成されている。
なお、本実施形態においては、表示装置用前面保護板10は、図1(a)で示すように、製品ロゴなどの可視情報8を有し、酸素遮断層3は、この可視情報8の部分も形成されており、したがって、酸素遮断層3は不透明領域A2の全域に形成されている。
表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図で例示したように、中央に表示用領域A1を有し、表示用領域A1の外周部に、可視光を遮蔽する不透明領域A2を有する。表示用領域A1は、表示装置用前面保護板10を表示パネルに適用したときに、表示装置用前面保護板10を透して、表示パネルが表示する内容を表示できる領域である。不透明領域A2は、不透明な、配線7やコネクタなどを隠したり、或いは、表示パネルが外周部に有する配線、コネクタなどを隠したりする為の領域である。また、不透明領域A2は、それが表現する色や模様、適宜設けるロゴやマークなどの可視情報8によって加飾部にもなる領域である。
透光性基板1は、少なくとも可視光線に対して透明で、表示装置用前面保護板10を適用する表示パネルに対して、表面を保護し得る機械強度を有するものであれば、特に制限はなく、代表的にはガラス板を用いることができる。とくに、前記ガラス板として、化学強化ガラスはフロートガラスに比べて機械的強度に優れ、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代えるなどイオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスである。
透光性基板1には、樹脂を用いることも可能である。例えば、前記樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。透光性基板1に樹脂を用いることで、軽量にできる上、可撓性を持たせることも可能となる。
本実施形態における遮光層2は、透光性基板1の表示パネル側とする裏側の第1面S1の不透明領域A2の部分に形成されている。遮光層2は、不透明領域A2中の全領域に設けられている。逆に言えば、この遮光層2によって、不透明領域A2が不透明な領域として形成される。
本実施形態においては、遮光層2は、透光性基板1の第1面S1と第2面S2のうちの一方の面として第1面S1の面の、不透明領域A2に形成される。
遮光層2は、タッチパネルとしての中央の位置検知領域に対して、その外周部に有する配線7や制御回路、或いは表示パネルがその中央の表示領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路などを隠して、目視不能にして、表示パネルと組み合わされた表示装置において、外観を損なわないようにする機能を有する。
着色樹脂層2aは、着色顔料を感光性樹脂の硬化物を用いた樹脂バインダ中に含む層からなる。
上記着色顔料としては、着色樹脂層2aひいては遮光層2で表現する色に応じたものを用いればよく、特に制限はない。例えば、着色顔料としては、黒色顔料、白色顔料、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料などを用いることができる。着色顔料は、1種単独で用いてもよいし、同種類の色、或いは異なる色の着色顔料を複数種類用いてもよい。
前記黒色顔料には、例えば、カーボンブラック、チタンブラック(低次酸化チタン、酸窒化チタンなど)を用いることができる。着色顔料としては、表現する色にもよるが、遮光性が得易い点では黒色顔料が好ましい。また、黒色など暗色を表現する場合、カーボンブラックなどの黒色顔料を用いずに、有彩色の着色顔料を複数種類混合して、黒色を表現することができる。
前記感光性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム、等の反応性ビニル基などの光反応性基を有する感光性樹脂を1種以上用いることができる。前記アクリル系樹脂では、例えば、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート系モノマー、光重合開始剤、その他添加剤などからなる感光性樹脂を樹脂バインダの樹脂成分として用いることができる。
前記多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを1種以上用いることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、又は、アクリレートのいずれかであることを意味する。
着色樹脂層2aによる表現色は、代表的には黒色であるが、特に制限はない。例えば、青色、緑色、赤色、茶色、橙色、或いは、白色系の色でもよい。
こうした白色系の色を、数値的に示せば、各種表色系を用いて定義することができる。なかでも慣用的な表色系の1種であるマンセル表色系(JIS Z 8721)によって示せば、本発明において白色系の色とは、マンセル表色系において、明度が8.0以上で、且つ彩度が2.0以下の色であると、定義することができる。白色系の色の色相については、どんな色味でも構わない。
マンセル表色系の前記三属性は、市販の分光測色計、分光光度計などによって測定することができる。
白色系の色の中でも、とりわけ白っぽい色は、マンセル表色系によって表現すれば、明度においては9.0以上の色、彩度においては1.0以下の色であり、さらに白っぽい色は、明度が9.0以上で且つ彩度が1.0以下の色である。
着色樹脂層2aの形成法は、本発明においては、特に限定されないことは既に述べたが、着色樹脂層2aは、前記感光性樹脂の未硬化物を含む樹脂バインダ中に着色顔料を含有する、着色感光性樹脂組成物によって、形成することができる。また、着色樹脂層2aは、フォトリソグラフィ法によって形成することが好ましい。スクリーン印刷で形成する場合に比べて、パターン精度よく、且つ、段差部分の断線などの生じ難くして着色樹脂層2aとすることができるからである。
前記着色感光性樹脂組成物には、さらに、この樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布する際の塗布適性、或いは印刷する際の印刷適性の調整などの為に、溶剤を含むことができる。
前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート、等を1種以上用いることができる。
酸素遮断層3は、耐光性が不足することがある着色樹脂層2aに対して、空気中の酸素が接触するのを防ぐ層である。このため、酸素遮断層3は、酸素透過度が小さい層となっている。
酸素遮断層3は、少なくとも着色樹脂層2aの部分に着色樹脂層2aを被覆するように形成すればよいが、表示用領域A1及び不透明領域A2の全面に形成してもよい。全面に形成する場合は、表示用領域A1での表示に支障を来たさないように、透明な層とする。
ただ、本発明においては、酸素遮断層3は着色樹脂層2aの側面を被覆することまでは、必須ではない。側面は酸素遮断層3の第1面S1に平行な層面に比べて面積的に小さいからである。
酸素遮断層3の材料及び厚みは、JIS K7126−2のA法、23℃、50%RHの条件で、層の酸素透過度〔cm3/(m2・d・atm)〕が、1.0以下、好ましく、0.1以下となるように設定する。
酸素透過度が大き過ぎると、光劣化が生じ易くなることがあり、また、小さ過ぎても過剰性能となるだけである。
酸素遮断層3の形成は、無機材料では、スパッタ法などの物理的乃至は化学的気相成長法などで形成することができ、樹脂材料では塗工法により形成することができる。
透明導電体薄膜としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム錫酸化物)、IZO(登録商標;出光興産株式会社)(Indium Zinc Oxide;インジウム亜鉛化物)、AZO(Aluminum Zinc Oxide;アルミニウム亜鉛酸化物)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide、インジウムガリウム亜鉛酸化物)、等の透明導電体薄膜を用いることができる。
透明導電体薄膜には、いわゆる透明電極として用いられているものを採用することができる。但し、酸素遮断層3自体としては、導電性は必要ないので、透明電極として必要な程度の導電性を有さなくてもよい。
金属層としては、例えば、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属(含むその合金)などを用いることができる。金属層は、例えば、銀、パラジウム及び銅からなる銀合金(APCとも言う)の金属層としてスパッタ法により製膜後、フォトリソグラフィ法によりパターン形成することができる。
具体例を示せば、金属層としては、モリブデン(Mo)/アルミニウム(Al)/モリブデン(Mo)と3層積層構造の導電性層(MAMと呼ばれている)、銀、パラジウム及び銅からなる銀合金(APCとも言う)による金属層などを用いることができる。
金属層の形成法としては、特に制限はなく、フォトリソグラフィ法以外に、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの印刷法によって形成してもよい。
金属層としては、いわゆるメタル配線として用いられている導電性金属層を採用することができる。但し、酸素遮断層3自体としては、導電性は必要ないので、メタル配線として必要な程度の導電性を有さなくてもよい。
本実施形態の表示装置用前面保護板10を構成する各層は、例えば、次の様にして形成される。
1)先ず、透光性基板1の第1面S1の不透明領域A2とする領域に、遮光層2を構成する着色樹脂層2aをパターン形成する。
2)次に、着色樹脂層2aに対しては、その側面も含めて被覆する様に着色樹脂層2aの面上に酸素遮断層3を形成する。
本発明においては、遮光層2に用いる着色樹脂層2aの耐光性を向上させるために、着色樹脂層2aに当たる光が来る方向とは反対側に、酸素遮断層3という光透過可能な透明でもよい層を設ける。着色樹脂層2aの耐光性を向上させる方策に対する通常の発想ならば、着色樹脂層2aに対して光が来る側に、例えば紫外線吸収機能を有する紫外線吸収層を設けるなどして、耐光性を向上させることになる。この紫外線吸収層2は、着色樹脂層2aの色が表側から見える必要から可視光に対しては透明である。また、耐光性が密着性の低下として生じるならば、着色樹脂層2aが形成される透光性基板1と、着色樹脂層2aとの間に、プライマ層などの密着強化層を、設けることも考えられる。
しかし、驚くべきことに、本発明者は、光が来る方向とは反対側、つまり着色樹脂層2aの裏側に、酸素遮断層3を設けることで、着色樹脂層2aの耐光性が向上することを、偶然に発見して、本発明に至った。
したがって、酸素遮断層3は、着色樹脂層2aの光劣化の原因となる光を遮蔽する機能は全くと言ってよいほど持たない。このため、酸素遮断層3を設けることによって、着色樹脂層2aの耐光性が向上するメカニズムは、現段階に於いては不明である。ただ、酸素遮断層3による耐光性向上のメカニズムは、想像するに、着色樹脂層2aの裏側に設けた酸素遮断層3によって耐光性が向上していることから判断すると、着色樹脂層2aの光劣化には、光と共に空気中の酸素の存在も影響していると考えられる。つまり、着色樹脂層2aの裏側から酸素が供給され、この酸素と、表側から到達する光との協同作用によって、着色樹脂層2a中の物質の光酸化反応が促進されているのではないかと思われる。
本実施形態においては、着色樹脂層2aの耐光性の指標として、着色樹脂層2aで黒色を表現したときの正反射率の経時的な上昇の程度、及び密着性の低下を採用した。
なお、本発明においては、耐光性の指標としては、太陽光によって着色樹脂層2aに係る性能が劣化するものであれば、基本的には特に制限はない。例えば、拡散反射光のスペクトル変化、などを採用することもできる。
前記正反射率の経時的な上昇は、具体的には次の様にして測定評価した。
表示装置用前面保護板10を試験片として、耐光性試験機によって促進試験を実施後、着色樹脂層2aの部分の表側からの正反射率の経時的な推移を測定し、正反射率の上昇が少なくなっていることによって、耐光性が向上していると判断した。
上記耐光性試験機としては、例えば、キセノンロングライフフェードメーターFAL−25AX(スガ試験機械株式会社製)を用いることができる。
上記正反射率の推移は、正反射光強度の測定によって得られ、正反射光強度の測定には、例えば、顕微分光測色機OSP−SP200(オリンパス株式会社製)を用いることができる。
また、正反射率の推移として、その変化を、耐光性促進試験を開始前の初期状態の正反射率に対する、試験開始後の正反射率の差として算出する。
これらのグラフから、酸素遮断層3を設けることによって、正反射率の変化が少なくなり、耐光性が向上していることが判る。
正反射率の変化が0.15以上となると、目視でも変化が判別できるようになるので、要求水準にもよるが、正反射率の変化は0.15未満であることが好ましい。
本実施形態においては、耐光性試験機による試験時間が少なくとも300hまで、正反射率の変化が0.15未満であり、実用上、耐光性が向上していることが判る。
本実施形態においては、密着性の点においても耐光性の向上が確認された。密着性の評価は、JIS K5400(1990年)の碁盤目テープ法に準拠して評価することができる。具体的には、試験片の着色樹脂層2aの上から、カッターナイフで1mm間隔で切り傷を付けて、1mmの大きさの正方形からなる碁盤目を100個作り、この碁盤目の上から、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けてから1〜2分後に、セロハン粘着テープの一端を持って、試験片の面に直角に保ち瞬間的に引き剥がしたときの、碁盤目の面の状態から密着性を評価点数で評価する。
10点:切り傷1本毎が細く両端が滑らかで、碁盤目の剥がれが1個もない状態。
8点:切り傷の交点にわずかに剥がれがあるが、碁盤目の剥がれは1個もなく、欠損部の面積が碁盤目全体の5%以内の状態。
6点:切り傷の両側と交点とに剥がれがあり欠損部の面積が碁盤目全体の5〜15%の状態。
4点:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が碁盤目全体の15〜35%の状態。
2点:切り傷による剥がれの幅が4点よりも広く、欠損部の面積が碁盤目全体の35〜65%の状態。
0点:欠損部の面積が碁盤目全体の65%以上の状態。
本発明においては、図5の断面図で示すように、着色樹脂層2aと酸素遮断層3との間に、オーバーコート層4を設けることができる。
オーバーコート層4によって、酸素遮断層3の着色樹脂層2aに対する密着性が不足する場合に、密着性を向上させることができる。
また、着色樹脂層2aの表面が荒れていると、酸素遮断層3としての透明導電体薄膜が均質な膜として形成できず酸素遮断性能が充分に発揮されないことがあるのを、オーバーコート層4によって形成面を平坦化して防ぐことができる。
本実施形態においては、酸素遮断層3によって、遮光層2を構成する感光性樹脂を用いた着色樹脂層2aの耐光性を向上させることができる。
本実施形態は、タッチパネル用の透明電極5及び配線7も有する形態例である。
図6の裏側から見た平面図、及び、図7の模式的な部分拡大断面図、図8の透明電極5の交差部5Cの形成順序を示す部分拡大平面図、及び、図9の透明電極5の交差部5C周辺の部分拡大断面図、さらに、図10の透明電極5の交差部5Cの形成順序を示す部分拡大平面図、及び、図11の透明電極5の交差部5C周辺の部分拡大断面図、及び図12の模式的な部分拡大断面図を参照して、本発明による表示装置用前面保護板10の第2の実施形態例を説明する。
図6(a)は、表示装置用前面保護板10を、裏側から見た全体図である。図6(b)及び図6(c)の部分拡大平面図は、透明電極5を構成する第1電極5a及び第2電極5bの電極パターン形状を模式的に示す図である。透明電極5は、投影型静電容量方式のタッチパネル用として形成されている例である。
a)第1面S1の面上に、タッチパネル用の透明電極5及び配線7が形成されている点。
b)X方向に延びる第1電極5a及びY方向に延びる第2電極5bの互いの交差部5Cに、絶縁層6が形成されている点。
c)酸素遮断層3となる透明導電体薄膜が、前記透明電極5と同一材料で同時形成されている点。
d)酸素遮断層3が導電性である為に、酸素遮断層3の面上に形成される配線7、及びこの配線7に接続する透明電極5の取り出し部の形成面を絶縁性とするための絶縁層6が、酸素遮断層3の面上に形成されている点。
本実施形態では、タッチパネルの位置検知用の透明電極5として、第1電極5aと、第2電極5bとを、ともに同一の面上に形成するタッチパネル構造を採用している。すなわち、第1電極5a及び第2電極5bは、透光性基板1の同一の面である第1面S1の面上に形成される。
第1電極5a、第2電極5bは、本実施形態、及びこれから説明する各実施形態においては全て、同一実施形態内においては同じ材料で形成してある。よって、本明細書において、これらを纏めて言うときは、単に「透明電極5」とも呼ぶ。
静電容量式タッチパネル自体としては、第1電極5a及び第2電極5bは、それぞれが別々の透光性基板1に形成される形態もあるが、同一基板、それも、同一基板の同一面上に形成される形態とすることで、互いの相対的位置精度を向上できる利点がある。
本実施形態における表示装置用前面保護板10も、第1電極5a及び第2電極5bを、一つの透光性基板1の同一面上に形成した形態である。
ただし、図6(a)では、第1電極5aは第1透明電極要素5aEのみを描いてあり、第2電極5bも第2透明電極要素5bEのみを描いてあり、第1接続部5aC、第2接続部5bC、及び取り出し部の図示は省略してある。
第1電極5aと第2電極5bとは、これらの交差部5Cにおいて絶縁層6によって互いに絶縁されている。絶縁層6は、通常ならば、少なくとも前記第1電極5aと第2電極5bとの交差部5Cに必要となるのだが、本実施形態においては、酸素遮断層3の面上にも、絶縁層6が、配線7などを互いに絶縁するために、交差部5Cの絶縁層6と同一材料で同時形成されている。
1)先ず、図8(A)のように、第1接続部5aCとなるブリッジ下側部5aUを形成する。このとき、同図では図示しないが、ブリッジ下側部5aUを構成する透明導電体薄膜によって、酸素遮断層3も同一材料で同時形成する。
2)次に、図8(B)のように、絶縁層6を形成する。このとき、同図では図示しないが、交差部5Cにおける絶縁層6を構成する材料によって、酸素遮断層3の面上の絶縁層6も同一材料で同時形成する。
3)次に、図8(C)のように、第1電極5aのうちブリッジ下側部5aUを除く全てと、ブリッジ部5bBを含む第2電極5bの全てを、同一材料で同時形成する。
4)後は、図示はしないが、不透明領域A2における配線7を形成する。
上記3)及び4)は順序が逆でもよい。
図9は、図8(C)中のC−C線における、透明電極の交差部5C周囲を示す部分拡大断面図である。
交差部5Cの積層順序は、図8及び図9とは逆構造も可能である。これを、図10、図11及び図12で示す。図10は、前記図8に対応した形成順序を示し、図11は前記図9に対応した断面図であり、図12は前記図7に対応した断面図である。
1)先ず、図10(A)のように、第1電極5aのうちブリッジ部5aB及び取り出し部を除く全てと、ブリッジ下側部5bUを含み取り出し部を除く第2電極5bを、同一材料で同時形成する。このとき、同図では図示しないが、これら第1電極5a及び第2電極5bを構成する透明導電体薄膜によって、酸素遮断層3も同一材料で同時形成する。
2)次に、図10(B)のように、絶縁層6を形成する。このとき、同図では図示しないが、交差部5Cにおける絶縁層6を構成する材料によって、酸素遮断層3の面上の絶縁層6も同一材料で同時形成する。
3)次に、図10(C)のように、第1接続部5aCとなるブリッジ部5aBを形成する。このとき、同図では図示しないが、配線7に接続する部分である取り出し部を第1電極5a及び第2電極5bについても、ブリッジ部5aBと同一材料で同時形成する。
4)後は、図示はしないが、不透明領域A2における配線7を形成する。
上記3)及び4)は順序が逆でもよい。
図10は、図10(C)中のC−C線における、透明電極のか交差部5C周囲に対応した部分拡大断面図である。
本実施形態においては、酸素遮断層3は、透明導電体薄膜によって形成されている。さらに、この透明導電体薄膜は、タッチパネル用の透明電極5を構成する透明導電体薄膜と同一材料で同時形成されている。
本実施形態においては、透明電極5には、層自体が透明である透明導電体薄膜が用いられる。
透明導電体薄膜からなる透明電極5としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム錫酸化物)、IZO(登録商標;出光興産株式会社)(Indium Zinc Oxide;インジウム亜鉛化物)、AZO(Aluminum Zinc Oxide;アルミニウム亜鉛酸化物)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide、インジウムガリウム亜鉛酸化物)、等の透明導電体薄膜をパターン形成したものを用いることができる。
本実施形態においては、透明導電体薄膜としては、具体的にはITOを用いてある。
本実施形態においては、タッチパネル機能を一体化した形態であり、タッチパネル用の配線7及び透明電極5も、遮光層2が形成された第1面S1上に有し、配線7及び、この配線7に接続する透明電極5の一部(取り出し部)が、遮光層2の面上に形成されている。つまり、遮光層2を構成する着色樹脂層2aを被覆する酸素遮断層3の面上に、絶縁層6が形成されている。本実施形態においては、酸素遮断層3は透明導電体薄膜からなり導電性であるため、酸素遮断層3の面に接して配線7及びこれに接続する透明電極5の取り出し部を、直接接触させて形成すると、これらの導体に必要となる絶縁を確保できない。このため、配線7及び透明電極5の取り出し部は、酸素遮断層3の面上及び側面において、絶縁層6を介するように形成してある。
しかし、酸素遮断層3を導電性とする場合は、透明電極5と同一材料で同時形成することで、コストをかけずに酸素遮断層3を形成できることがある。本実施形態は、交差部5Cの絶縁層6を、酸素遮断層3の面上にも同一材料で同時形成できることを活かして、酸素遮断層3は導電性の層として、透明電極5を構成する透明導電体薄膜と同一材料で同時形成されている例である。
絶縁層6には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素などの無機材料を用いることもできる。
絶縁層6が透明である場合、絶縁層6は、表示用領域A1も含めて、表示装置用前面保護板10の全面に形成することもできる。
絶縁層6は、本実施形態においては、透明樹脂層として形成されており、この透明樹脂層は、前記着色樹脂層2aが含む着色顔料を除いた透明樹脂組成物によって、着色樹脂層2aと同様にして形成されている。
配線7には、公知の材料及び形成法を採用することができる。例えば、配線7には、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属(含むその合金)などを用いることができる。配線7は、例えば、銀、パラジウム及び銅からなる銀合金(APCとも言う)の金属層としてスパッタ法により製膜後、フォトリソグラフィ法によりパターン形成することができる。
配線7には、モリブデン(Mo)/アルミニウム(Al)/モリブデン(Mo)と3層積層構造の導電性層(MAMと呼ばれている)を用いることもできる。
本実施形態においては、配線7は、銀、パラジウム及び銅からなる銀合金(APCとも言う)によって、導電性金属層として形成されている。
配線7の形成法としては、特に制限はなく、フォトリソグラフィ法以外に、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの印刷法によって形成してもよい。
本実施形態においては、酸素遮断層3によって、遮光層2を構成する感光性樹脂を用いた着色樹脂層2aの耐光性を向上させることができる。
さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも寄与することができる。
しかも、耐光性向上のための、酸素遮断層3、及び酸素遮断層3が導電性であるが故の、酸素遮断層3上の絶縁層6は、酸素遮断層3はタッチパネル用の透明電極5と同一材料で同時形成され、絶縁層6はタッチパネル用の透明電極5の交差部5Cにおける絶縁層6と同一材料で同時形成されている。このため、酸素遮断層3及び酸素遮断層3上の絶縁層6は、工程数を増やすことなく、パターン形成時のパターンを変更するのみで形成することができる。この結果、コストをかけずに、耐光性を向上させることができる。
本実施形態も、タッチパネル用の透明電極5及び配線7も有する形態例である。但し、透明電極5は、層自体が不透明な導電性金属層がメッシュ状に形成されることで透視性を確保したメッシュ電極を含む。
図13の透明電極5の交差部5C周辺を示す平面図、図14の模式的な部分拡大断面図、及び、図15の透明電極5のメッシュ電極のパターン形状例を示す部分拡大平面図、さらに、図16の透明電極5の交差部5C周辺の部分拡大断面図、及び、図17の模式的な部分拡大断面図を参照して、本発明による表示装置用前面保護板10の第3の実施形態例を説明する。透明電極5は、投影型静電容量方式のタッチパネル用として形成されている例である。
a)酸素遮断層3が不透明な導電性金属層で形成されている点。
b)透明電極5が、不透明な導電性金属層をメッシュ状に形成することで、透明性を確保したメッシュ電極を含む点。
c)酸素遮断層3となる導電性金属層が、前記透明電極5と同一材料で同時形成されている点。
d)透明電極5と配線7が同一材料で、透明電極5の一部と配線7とが同時形成されている点。
本実施形態においても、前記第2の実施形態と同様に、交差部5Cは、2種類の構造で形成することができる。
図13は、透明電極5の交差部5C周囲を示す部分拡大平面図であり、同図は、透明電極5を透明導電体薄膜で形成した前記第2の実施形態における図8(C)に対応する断面図である。
また、図14の模式的な部分拡大断面図は、前記第2の実施形態における図7に対応する断面図である。
酸素遮断層3及び透明電極5の形成順は、配線7以外は、前記第2の実施形態と同様である。よって、ここでは、配線7について説明する。
「3)次に、図8(C)のように、第1電極5aのうちブリッジ下側部5aUを除く全てと、ブリッジ部5bBを含む第2電極5bの全てを、同一材料で同時形成する。」
の工程のときに、配線7も同時形成する。よって、次の
「4)後は、図示はしないが、不透明領域A2における配線7を形成する。」
の工程は不要となる。
交差部5Cの積層構造は、図13及び図14とは逆構造も可能である。これを、図16及び図17で示す。図16は図13に対応し た平面図であり、図17は図14に対応した断面図である。こうした逆構造は、具体的には、前記第2の実施形態の図10を借りて説明すれば、前記第2の実施形態にて、
「 3)次に、図10(C)のように、第1接続部5aCとなるブリッジ部5aBを形成する。このとき、同図では図示しないが、配線7に接続する部分である取り出し部を第1電極5a及び第2電極5bについても、ブリッジ部5aBと同一材料で同時形成する。」
の工程のときに、配線7もブリッジ部5aBと同一材料で同時形成する。したがって、配線7と前記透明電極5の取り出し部は連続層として形成される。よって、次の
「4)後は、図示はしないが、不透明領域A2における配線7を形成する。」
の工程は不要となる。
本実施形態における透明電極5は、層自体が不透明な導電性金属層がメッシュ状に形成されたメッシュ電極が用いられている。メッシュ電極を用いる部分は、図6(b)及び図6(c)の平面図で説明すると、少なくとも、第1透明電極要素5aE及び第2透明電極要素5bEの部分である。
不透明な導電性金属層であっても、導電性メッシュとして形成することで、透視性(透明性)を確保できる。このため、メッシュ電極のメッシュパターンを構成する線の幅は、不可視性の観点から30μm以下、好ましくは10μm以下である。
本実施形態においては、導電性金属層に銀、パラジウム及び銅からなる銀合金(APCとも言う)を用いてある。
しかし、本発明においては、透明電極5と配線7とは、異なる材料で形成されていてもよい。
本発明において、配線7を透明電極5と同一材料で形成しない場合、配線7には、フォトリソグラフィ法によるパターン形成が不要な材料及び方法を採用することもできる。例えば、銀、金、銅、アルミニウムなどの金属粒子と樹脂バインダを含む導電性インクを、インクジェット印刷などの印刷法でパターン印刷して、配線7とすることもできる。
本実施形態においては、酸素遮断層3によって、遮光層2を構成する感光性樹脂を用いた着色樹脂層2aの耐光性を向上させることができる。
さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも寄与することができる。
しかも、耐光性向上のための、酸素遮断層3、及び酸素遮断層3が導電性であるが故の、酸素遮断層3上の絶縁層6は、酸素遮断層3はタッチパネル用の透明電極5と同一材料で同時形成され、絶縁層6はタッチパネル用の透明電極5の交差部5Cにおける絶縁層6と同一材料で同時形成されている。このため、酸素遮断層3及び酸素遮断層3上の絶縁層6は、工程数を増やすことなく、パターン形成時のパターンを変更するのみで形成することができる。この結果、コストをかけずに、耐光性を向上させることができる。
さらに、配線7と透明電極5とは同一材料で同時形成されている。この結果、コストをかけずに、耐光性を向上させることができる。
本発明の表示装置用前面保護板10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
前記した実施形態では、酸素遮断層3は着色樹脂層2aの部分に、表示装置用前面保護板10からみれば部分的に形成されていた。しかし、本発明においては、図18の部分拡大断面図に示すように、酸素遮断層3は、表示用領域A1も含めて、表示装置用前面保護板10の全面に形成されていてもよい。この場合、表示用領域A1における透視性を確保する為に、透明な層として形成される。
このように酸素遮断層3を全面に形成されたものとすることで、酸素遮断層3のパターニングを省略することができる。
前記した実施形態中、タッチパネル用の透明電極5及び配線7を有する形態では、酸素遮断層3に透明導電体薄膜など導電性を有する材料を用いた場合には、この酸素遮断層3の面上には絶縁層6を形成していた。
しかし、本発明においては、図19の部分拡大断面図に示すように、表示装置用前面保護板10が、透明電極5や配線7を有さない形態においても、酸素遮断層3が導電性である場合には、そして、この導電性が支障を来たす場合には、この酸素遮断層3の面上に絶縁層6を形成しておいてもよい。同図のように、絶縁層6が専ら不透明領域A2に形成される場合は、絶縁層6は不透明でもよい。また、絶縁層6を表示用領域A1まで延長する場合は透明とする。
このような構成とすることで、透明電極5や配線7が形成されていない状態の表示装置用前面保護板10を製品として出荷し、後で、透明電極5や配線7を酸素遮断層3の面上に形成するような、表示装置用前面保護板10の流通形態が可能となる。
前記した実施形態においては、着色樹脂層2aは、不透明領域A2の全域に亙って膜厚一定の、いわゆる「ベタ層」として形成されているとして説明した。しかし、着色樹脂層2aは、単層構成でもよいし、2層以上の複層構成でもよい。
着色樹脂層2aが複層構成の場合、各層は同一色でもよく、異なる色の層でもよい。また、着色樹脂層2aを不透明領域A2内においてパターン状に形成した模様を表現してもよい。
図1及び図9に例示する表示装置用前面保護板10のように、遮光層2が形成される不透明領域A2には可視情報8として製品のロゴマークなどが形成されていてもよい。
本発明においては、可視情報8は必須ではないが、不透明領域A2に対して、製品ロゴマーク、操作説明用の文字や記号、模様などの任意の目視可能な可視情報8を設けることができる。
可視情報8は、着色樹脂層2aの前記非形成部の部分に、着色樹脂層2aよりも裏側となる様に可視情報形成層を設けることで、この可視情報形成層を、表側から見たときの色及び形状によって表現することができる。
可視情報形成層の位置を、次に説明する赤外透過層9Lに関する図20を借りて説明すれば、例えば、同図にて赤外透過層9Lを可視情報形成層に置き換えた層構造を採用することができる。可視情報形成層は、裏側からの照明光を透過可能な着色透明層とすることもある。この意味においては、可視情報形成層は、遮光性である遮光層2の一構成には該当しない。
図6の平面図及び図20の部分拡大断面図に示すように、本発明においては、表示装置用前面保護板10は、赤外透過窓9を不透明領域A2に有してしてもよい。赤外透過窓9を設けることによって、赤外線センサに対応したものとできる。
赤外透過窓9は、不透明領域A2内において遮光層2の非形成部として設けられ、可視光に対しては遮光性を示すと共に赤外光に対しては透過性を示す部分として形成される。赤外透過窓9の上記光学性能は、上記光学性能を有する赤外透過層9Lを、赤外透過窓9の部分に形成することで実現できる。赤外透過層9Lを用いるのは、遮光層2の着色樹脂層2aが例えば黒色の場合、黒色顔料としてカーボンブラックを用いると、可視光のみならず赤外光に対しても遮光性となってしまうために、着色樹脂層2aとは材料が異なる層として赤外透過層9Lが必要になることがあるからである。
赤外透過窓9の可視光に対する遮光性は、要求仕様、表現色にもよるが、赤外透過窓9の部分は、通常、スポット的に小さいため、必ずしも、遮光層2の遮光性のレベルに合わせる必要はない。このため、赤外透過窓9の可視光に対する遮光性は、一例を示せば、透過率で言えば大きくても50%以下(光学濃度ODにて0.2以上)、より好ましくは透過率で25%以下(光学濃度OD0.6以上)、さらに好ましくは透過率で10%以下(光学濃度OD1.0以上)が望ましい。
こうして、赤外透過窓9は、例えば、赤外光領域に対しては、波長850nm以上1300nm以下で70%以上、可視光領域に対しては10%以下で設ける。なお、この透過率とは、平均値ではなく、各波長毎の値である。
赤外透過層9Lは、着色樹脂層2aと共に遮蔽層3の一構成層である。
赤外透過層9Lは、赤外透過窓9の存在を目立たなくさせるために、通常、着色樹脂層2aと類似色で形成される。そして、赤外透過層9Lは、可視光に対しては遮光性を示すと共に赤外光に対しては透過性を示す。
赤外透過層9Lは、カーボンブラックのような黒色顔料は含有させずに、互いに色が異なる有彩色の着色顔料の複数種類、例えば、赤色、黄色、青色を含有させることで、黒色など暗色を表現した層として形成することができる。
なお、同図に例示する構成では、酸素遮断層3は赤外透過層9Lと重なっているので、可視光及び赤外光において透明とする。
前記した実施形態では、タッチパネル用の透明電極5及び配線7も有する形態において、酸素遮断層3は透明電極5を構成する材料と同一材料、つまり導電性である場合であった。
しかし、本発明においては、図7に対応する図21の断面図で示すように、タッチパネル用の透明電極5及び配線7を有する形態において、酸素遮断層3がタッチパネル用の透明電極5における交差部5Cの絶縁層6と同一材料で形成されていてもよい。この場合、同一材料で同時形成することも可能である。酸素遮断層3を交差部5Cの絶縁層6と同一材料で同時形成することで、工程数を増やさずに、交差部5Cの絶縁層6と同時に酸素遮断層3をコストをかけずに形成することが可能となる。
前記した第3の実施形態では、表示用領域A1においてタッチパネル用の透明電極5は層自体が不透明な導電性金属層がメッシュ状に形成されるメッシュ電極を含むことで、透明性を確保していた。ただ、導電性金属層は、金属特有の金属反射色を呈するので、これが表示に支障を来たすことがある。こうした場合には、図14に対応する図22の断面図で示すように、導電性金属層が表側から見えない様に隠蔽する層として、着色樹脂層2aを導電性金属層と透光性基板1との間にも設けるとよい。この着色樹脂層2aのパターン形状は、導電性金属層のパターン形状と同じとすることで、導電性金属層乃至は着色樹脂層2aの非形成部によって、透視性を確保することができる。表示用領域A1において導電性金属層からなる透明電極5と同じパターン形状で形成されているこの着色樹脂層2aの耐光性は、透明電極5を構成する導電性金属層によって被覆されることで、向上させることができる。ただ、多少の位置ズレを考慮して、導電性金属層を隠蔽するための着色樹脂層2aは、導電性金属層の線幅以上とするのが好ましい。
前記した実施形態において、タッチパネル用の透明電極5及び配線7も有する第2及び体3の実施形態では、いずれも、酸素遮断層3はタッチパネル用の透明電極5と同一材料で形成されていた。
ここで、図23では、酸素遮断層3が形成された後に、表示装置用前面保護板10の全面にオーバーコート層4が形成され、このオーバーコート層4の面に接して透明電極5及び配線7が形成されている例である。
本発明においては、酸素遮断層3が、図1或いは図7に対応する図23の断面図で示す層構造のように、タッチパネル用の透明電極5と同一材料で形成されるにしても、同時形成不可能な構造であるときは、酸素遮断層3は透明電極5と同時形成されてなくてもよい。
また、絶縁層6についても、図23に示す層構造では、同様に、酸素遮断層3が絶縁層6と同一材料で形成されるにしても、酸素遮断層3は絶縁層6とは同時形成されてなくてもよい。
こうした構成とすることで、製品設計の自由度を上げることができる。
前記図5に示した前記第1の実施形態の変形例では、着色樹脂層2aと酸素遮断層3との間にオーバーコート層4が形成されていた。このオーバーコート層4は、表示用領域A1には表示用領域A1の外周部内側を除いて形成されておらず、表示装置用前面保護板10全体としては、部分的に形成されていた。
しかし、本発明においては、図23に示すオーバーコート層4及びオーバーコート層4aのように、表示装置用前面保護板10の全面に形成されていてもよい。オーバーコート層4aは、透明電極5及び配線7が形成された後の面の全面に形成されている。全面に形成する場合のオーバーコート層4、及びオーバーコート層4aは、絶縁性且つ透明でもある。オーバーコート層4aは、配線7がフレキシブルプリント配線基板(FPC)を介して制御回路に接続する部分は形成せず、配線7を露出してある。
こうした構成とすることによって、信頼性を向上させることができる。
上述した実施形態においては、透明電極5及び配線7の用途はタッチパネルであった。
タッチパネルの位置検知方式として、透明電極5が互いに異なる面に2層になる位置検知方式では、このうちの少なくとも1層を設ける形態もあり得る。
タッチパネルとして必要な機能の全部を一体化した表示装置用前面保護板10は、タッチパネルと言うこともできる。タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化した表示装置用前面保護板10は、タッチパネル用部材と言うこともできる。
本発明による表示装置は、上記した表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを少なくとも備える表示装置である。
本発明による表示装置の第1の実施形態を、図24に示す断面図を参照して説明する。同図に示す表示装置100は、図面上方の観察者V側の表側から順に、表示装置用前面保護板10、タッチパネル20、表示パネル30を備えている。
本実施形態における表示装置用前面保護板10は、タッチパネル用の透明電極5及び配線7を有さない形態の、例えば、前記した図1で例示した形態のものである。
タッチパネル20は、典型的には、マルチタッチ(多点同時入力)が可能な投影型静電容量方式のタッチパネルであるが、この他、表面型静電容量方式、抵抗膜方式、電磁誘導方式、光学方式、など、透明電極を必要としない位置検知方式も含めた公知の各種位置検知方式のタッチパネルのいずれでもよい。
タッチパネル20は、中央の位置検知領域の外周部に、配線、制御回路、これらを電気的に接続するコネクタなどの何らかの不透明な構成要素を有する。これらの不透明な構成要素は、表示装置用前面保護板10の不透明領域A2の遮光層2に平面視において重なり、隠れる位置となるような、タッチパネル20と表示装置用前面保護板10との位置関係となっている。このため、これら配線などの不透明な構成要素が、表示装置100の外観を損なわない様にすることができる。
表示パネル30は、液晶表示パネル、電界発光(EL)パネルが代表的であるが、この他、電子ペーパーパネル、ブラウン管でもよく、公知の各種表示パネルでよい。
以上のような構成の、表示装置100とすることで、タッチパネル20の位置検知領域の外周部、或いは表示パネル30の表示用領域の外周部、において存在する、表示内容それ自体には不要な、配線、コネクタ、制御回路などの各種構成要素を隠して、これらにより外観が損なわれることを防ぐことができる。
しかも、表示装置用前面保護板10の遮光層2は、その着色樹脂層2aは耐光性が向上しており、信頼性の高い製品とすることができる。
本発明による表示装置の第2の実施形態を、図25に示す断面図を参照して説明する。同図に示す表示装置100は、図面上方の観察者V側の表側から順に、タッチパネル機能が一体化された表示装置用前面保護板10、表示パネル30を備えている。
本実施形態における表示装置用前面保護板10は、タッチパネル用の透明電極5及び配線7などを有する形態であり、例えば、前記した図6、図7、図12、図14及び図17で例示した形態のものである。
このような構成とすることで、前記表示装置としての第1の実施形態による効果に加えて、部品点数の低減、薄型化の効果が得られる。
しかも、表示装置用前面保護板10の遮光層2は、その着色樹脂層2aは耐光性が向上しており、信頼性の高い製品とすることができる。
さらに、酸素遮断層3を透明電極5と同一材料で同時形成されたものとする形態では、加えて、酸素遮断層3上の絶縁層6も透明電極5の交差部5Cの絶縁層6と同一材料で同時形成されたものとする形態では、工程数を増やさずに、コストをかけずに着色樹脂層2aの耐光性を向上させることができる。
さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも寄与することができる。
本発明の表示装置100は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
一体化しようとするタッチパネル用の透明電極5が互いに絶縁された第1電極5aと第2電極5bとの2層からなり、この2層が互いに別々の基板上に形成される構造である場合は、このうちのいずれか一方の基板を表示装置用前面保護板10の透光性基板1と兼用することで、一方の透明電極と共に一体化し、他方の透明電極と基板とを、表示装置用前面保護板10、表示パネル30とは別体のタッチパネル構成部材として組み込んで、表示装置100を構成することも可能である。どのような構成で表示装置用前面保護板10とタッチパネル機能とを一体化するかは、使用し得る製造設備、組立工程などの諸条件に適した、構成を選べばよい。
図24で例示した実施形態による表示装置100では、表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間は、空隙を有し空気層が存在する構造となっているが、本発明においては、表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間など、構成部材の間は、粘着剤層など樹脂層で埋め尽くしてもよい。樹脂層によって部材表面での光反射が減ることで、表示をより見易くすることができる。
前記粘着シートとしては、透明性に優れた光学グレードのものが好ましく、このような粘着シートとしては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤などからなるものを用いることができる。
本発明による表示装置用前面保護板10、及び表示装置100の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットPCなどの携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、デジタルカメラ、電子手帳、ゲーム機器、自動券売機、ATM端末、POS端末、自販機などである。
2 遮光層
2a 着色樹脂層
3 酸素遮断層
4,4a オーバーコート層
5 透明電極
5a 第1電極
5aB ブリッジ部
5aC 第1接続部
5aE 第1透明電極要素
5aU ブリッジ下側部
5b 第2電極
5bB ブリッジ部
5bC 第2接続部
5bE 第2透明電極要素
5bU ブリッジ下側部
5C 交差部
6 絶縁層
7 配線
8 可視情報
9 赤外透過窓
9L 赤外透過層
10 表示装置用前面保護板
20 タッチパネル
30 表示パネル
40 従来の表示装置用前面保護板
100 表示装置
200 従来の表示装置
A1 表示用領域
A2 不透明領域
S1 第1面
S2 第2面
V 観察者
Claims (4)
- 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、
この透光性基板の一方の面上の前記不透明領域に設けられ、着色顔料を感光性樹脂の硬化物を用いた樹脂バインダ中に含む着色樹脂層を一構成層とする遮光層と、
前記一方の面上に前記着色樹脂層を被覆するように設けられた酸素遮断層と、
を少なくとも有する、
表示装置用前面保護板。 - 前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられたタッチパネル用の透明電極と、
前記一方の面上であって、前記酸素遮断層上に設けられた絶縁層と、
前記一方の面上であって前記絶縁層上に、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を有し、
前記酸素遮断層及び前記透明電極が同一材料の透明導電体薄膜によって形成されている、
請求項1に記載の表示装置用前面保護板。 - 前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられたタッチパネル用の透明電極と、
前記一方の面上であって、前記酸素遮断層上に設けられた絶縁層と、
前記一方の面上であって前記絶縁層上に、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を有し、
前記酸素遮断層及び前記透明電極が、同一材料の層自体が不透明な導電性金属層によって形成され、
前記透明電極は、少なくとも前記表示用領域において、メッシュ状に形成されることで透視性を確保したメッシュ電極を含む、
請求項1に記載の表示装置用前面保護板。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた、表示装置。
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