JP2014052070A - 車輪支持用軸受ユニット - Google Patents

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昌禎 棚橋
Risa Aoki
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Abstract

【課題】回転側フランジの内側面に対するスリンガ用シール部材の締め代を小さくした場合でも、ハブ本体とスリンガとの間のシール性能を十分に確保できる構造を実現する。
【解決手段】スリンガ用シール部材15aに、前記スリンガ13aの側板部17aの外側面に固定したガスケット部36と、このガスケット部36よりも径方向外方に配置した庇部35とを設ける。前記ガスケット部36を、前記回転側フランジ9aの内側面のうちで段部24よりも径方向内側部分に弾性的に接触させる。又、前記庇部35の先端部を、前記回転側フランジ9aの内側面のうちで前記段部24よりも径方向外側部分に近接対向させると共に、前記庇部35の先端部と前記段部24とを径方向に重畳させる。この様な構成を採用する事により、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の車輪支持用軸受ユニットの改良に関する。具体的には、複数個の転動体を設置した内部空間の軸方向外端開口を塞ぐ密封装置のシール性能を確保しつつ、車輪と共に回転するハブの軽量化を図れる構造を実現するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に従来から、各種構造の車輪支持用軸受ユニットが使用されている。図9〜10は、この様な車輪支持用軸受ユニットの従来構造の1例として、特許文献1に記載されたものを示している。この車輪支持用軸受ユニットは、外輪1の内径側にハブ2を、複数個の転動体3、3を介して回転自在に支持して成る。
このうちの外輪1は、外周面に懸架装置に支持固定する為の静止側フランジ4を、内周面に複列の外輪軌道5a、5bを、それぞれ有する。又、前記ハブ2は、ハブ本体6と内輪7とを結合固定して成るもので、外周面に複列の内輪軌道8a、8bを有する。又、前記各転動体3、3は、前記両外輪軌道5a、5bと前記両内輪軌道8a、8bとの間に、両列毎に複数個ずつ、それぞれ転動自在に設けられている。又、前記ハブ本体6の外周面の軸方向外端寄り部分で、前記外輪1の軸方向外端開口から突出した部分には、車輪を支持固定する為の回転側フランジ9が設けられている。尚、軸方向に関して「内」とは、車両への組み付け状態で、この車両の幅方向中央側となる、図9〜10の右側を言う。同じく「外」とは、車両への組み付け状態で、この車両の幅方向外側となる、図9〜10の左側を言う。
又、前記外輪1の内周面と前記ハブ2の外周面との間に存在する、前記各転動体3、3を設置した円筒状の内部空間10の軸方向外端開口を、密封装置11により塞いでいる。これと共に、前記外輪1の軸方向内端開口を、金属板製のカバー12により塞いでいる。そして、これら密封装置11及びカバー12により、外部空間に存在する塵芥、雨水、泥水等の異物が前記内部空間10内に侵入するのを防止すると共に、この内部空間10内に封入したグリースが外部空間に漏洩するのを防止している。
又、前記密封装置11は、図10に詳示する様に、スリンガ13と、シールリング14と、スリンガ用シール部材15とを備える。
このうちのスリンガ13は、ステンレス鋼板等の耐食性を有する金属板により円環状に造られたもので、嵌合用筒部16と、この嵌合用筒部16の軸方向外端縁から径方向外方に曲がった状態で設けられた側板部17と、この側板部17の外周縁から軸方向内方に折れ曲がる状態で設けられた庇状筒部18とを有する。そして、このうちの嵌合用筒部16を、前記ハブ本体6の外周面のうち前記回転側フランジ9の軸方向内側に隣接する部分に外嵌すると共に、前記側板部17の外側面を、前記回転側フランジ9の内側面に接触させている。更に、この状態で、前記庇状筒部18の先半部内周面を、前記外輪1の軸方向外端部外周面に近接対向させて、これら両周面同士の間部分をラビリンスシール部としている。
又、前記スリンガ用シール部材15は、ゴム等の弾性材により円環状に造られたもので、前記側板部17の外側面の径方向外端部(径方向中間部に対して軸方向内側に凹んだ部分)に固定されている。そして、前記スリンガ用シール部材15の外側面を、前記回転側フランジ9の内側面に、全周に亙り弾性的に接触させる事により、前記スリンガ13の表面と前記ハブ本体6の表面との間に存在する隙間の径方向外端部を、前記スリンガ用シール部材15によりシールしている。
又、前記シールリング14は、前記外輪1の軸方向外端部に内嵌固定された円環状の芯金19と、この芯金19により補強された、ゴム等の弾性材製で円環状のシールリング用シール部材20とから成る。このシールリング用シール部材20は、3本のシールリップ21a、21b、21cを有するもので、このうちの前記内部空間10に一番近い1本のシールリップ21aの先端縁を、前記嵌合用筒部16の外周面に、残りの2本のシールリップ21b、21cの先端縁を、前記側板部17の内側面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。
上述の様な構成を有する従来構造の場合、前記密封装置11は、前記各シールリップ21a、21b、21cの先端縁を摺接させる相手面として、耐食性を有する金属板製のスリンガ13の表面を採用している。この為、当該相手面として、比較的錆が発生し易い炭素鋼製のハブ本体6の表面を採用する場合に比べて、当該相手面の性状の劣化(表面粗さの悪化)を抑えられる。従って、その分だけ、前記各シールリップ21a、21b、21cによるシール性能の長寿命化を図れる。又、前記スリンガ13を構成する庇状筒部18が、前記外輪1の軸方向外端面と前記回転側フランジ9の内側面との間部分の径方向外端開口を塞ぐ位置に配置されており、しかも前記庇状筒部18の先半部内周面と前記外輪1の軸方向外端部外周面との間部分がラビリンスシール部になっている。この為、路面から跳ね上げられた雨水や泥水が、前記シールリング14を直撃する事を防止できると共に、このシールリング14の設置部に侵入しにくくできる。従って、その分だけ、前記密封装置11による密封性能を高められる。
又、前記スリンガ13の表面と前記ハブ本体6の表面との間に存在する隙間の径方向外端部を、前記スリンガ用シール部材15によりシールしている。この為、当該隙間を通じて、外部空間に存在する前記異物が前記内部空間10内に侵入する事を防止できると共に、この内部空間10内に封入したグリースが外部空間に漏洩する事を防止できる。更には、当該隙間への浸水を防止できる為、前記スリンガ13としてステンレス鋼板製のものを使用する場合でも、このスリンガ13の材料(ステンレス鋼)と前記ハブ本体6の材料(炭素鋼)との間の標準電極電位差に起因する電食の発生(電位が卑である炭素鋼製のハブ本体6の表面が腐食する事)を防止できる。
ところが、上述した従来構造には、未だ改良の余地がある。即ち、上述した従来構造の場合、車両の走行時には、車輪を介して前記回転側フランジ9に路面反力が作用する。この結果、この回転側フランジ9が自身の内径側端部を起点として、前記ハブ本体6の中心軸に直交する仮想平面に対し、弾性的に傾斜する場合がある。この様な傾斜が生じると、前記回転側フランジ9の内側面と前記スリンガ用シール部材15との接触圧が円周方向一部分で低下し、当該部分のシール性能が低下する。従って、この様な場合にも、当該部分のシール性能が不足する事を防止できる様にすべく、前記回転側フランジ9の内側面に対する前記スリンガ用シール部材15の締め代を大きくする必要がある。ところが、この締め代を大きくすると、このスリンガ用シール部材15の弾力により、前記スリンガ13を構成する側板部17の外径寄り部分が軸方向内側に向け強く押される様になる。この結果、この側板部17の内側面が弾性的に歪められ、この内側面にその先端縁を摺接させた、前記各シールリップ21b、21cによるシール性能を十分に確保する事が難しくなる可能性がある。或いは、前記弾力により、前記スリンガ13と前記ハブ本体6との嵌合部に作用する摩擦力に抗して、前記スリンガ13が軸方向内側に移動する可能性がある。そして、移動した場合には、前記側板部17の内側面に対する前記2本のシールリップ21b、21cの先端縁の摺接圧が大きくなり、その分だけ車輪支持用軸受ユニットの動トルクが大きくなる。
特開2005−291485号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、正規の組み付け状態で、回転側フランジの内側面に対するスリンガ用シール部材の締め代を小さくした場合でも、ハブとスリンガとの間のシール性能を確保できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の車輪支持用軸受ユニットは、外輪と、ハブと、複数個の転動体と、密封装置とを備える。
このうちの外輪は、内周面に外輪軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定された状態で回転しない。
又、前記ハブは、前記外輪の内径側にこの外輪と同心に配置されて、外周面のうち前記外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を、同じく前記外輪の軸方向外端開口から突出した部分に回転側フランジを、それぞれ有し、使用時にこの回転側フランジに車輪を結合固定した状態でこの車輪と共に回転する。
又、前記各転動体は、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられている。
又、前記密封装置は、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する内部空間の軸方向外端開口を塞ぐ為のもので、スリンガと、シールリングと、スリンガ用シール部材とを備える。
このうちのスリンガは、耐食性を有する金属板により円環状に造られたもので、前記ハブの外周面のうち前記回転側フランジの軸方向内側に隣接する部分に外嵌された嵌合用筒部と、この嵌合用筒部の軸方向外端縁から径方向外方に曲がった状態で設けられた側板部と、この側板部の外周縁から軸方向内方に曲がった状態で設けられると共に、その先端部内周面を前記外輪の軸方向外端部外周面に近接対向させた庇状筒部とを有する。
又、前記シールリングは、前記外輪の軸方向外端部に固定された円環状の芯金と、この芯金により補強された弾性材製のシールリング用シール部材とから成る。このシールリング用シール部材は、複数本のシールリップを有するもので、このうちの一部のシールリップの先端縁を前記嵌合用筒部の外周面に、残りのシールリップの先端縁を前記側板部の内側面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。
又、前記スリンガ用シール部材は、弾性材製であり、前記スリンガの一部に固定された状態で、このスリンガと前記回転側フランジの内側面との間部分をシールしている。
特に、本発明の車輪支持用軸受ユニットに於いては、前記回転側フランジは、内径側に設けられた厚肉部と外径側に設けられた薄肉部とを、内側面に形成した段部により連続させて成るもので、この段部の軸方向内端縁の直径寸法を、前記外輪の軸方向外端部の外径寸法よりも小さくしている。又、前記スリンガ用シール部材は、前記側板部の外側面に固定されたガスケット部と、このガスケット部よりも径方向外方に設けられた庇部とを有する。そして、このうちのガスケット部を、前記回転側フランジの内側面のうちで前記段部よりも径方向内側部分に、全周に亙り弾性的に接触させている。更に、前記庇部の先端部を、前記回転側フランジの内側面のうちで前記段部よりも径方向外側部分に、全周に亙り近接対向させると共に、前記庇部の先端部と前記段部とを径方向に重畳させている。
本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記スリンガ用シール部材として、前記側板部の外側面のうちの少なくとも外径側部分を覆う側面被覆部と、前記庇状筒部の外周面を覆う周面被覆部とを有すると共に、このうちの側面被覆部の内径側部分を前記ガスケット部とし、且つ、前記周面被覆部の軸方向外端部に前記庇部を設けており、更に、これら周面被覆部及び庇部の外周面を、軸方向内側に向かう程直径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面とした構成を有するものを採用する。
又、本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、前記回転側フランジの内側面に弾性的に接触させる、前記ガスケット部の外側面の径方向一部分に、全周に亙る凸部を形成すると共に、この外側面のうちでこの凸部の径方向両側に隣接する部分に、それぞれ全周に亙る逃げ溝を形成する。
又、本発明を実施する場合には、前記ハブに対する前記スリンガの軸方向内側への移動を防止する為の構造を追加する事もできる。
この様な構造として具体的には、例えば、前記ハブの外周面のうち、前記スリンガを構成する嵌合用筒部を外嵌する部分の軸方向一部分に、全周に亙る凹溝を形成すると共に、この凹溝に、前記嵌合用筒部の一部に設けた係合部を係合させる構造を採用する事ができる。
或いは、前記ハブの外周面のうち、前記スリンガを構成する嵌合用筒部を外嵌する部分に対して軸方向内側に隣接する部分の全周又は円周方向1乃至複数箇所に、係止突起を設けると共に、この係止突起に、前記嵌合用筒部の内端縁を係合させる構造を採用する事もできる。
或いは、前記ハブの外周面のうち、前記スリンガを構成する嵌合用筒部を外嵌する部分を、高周波焼入れ処理等の硬化処理を施した雄セレーション部とすると共に、この雄セレーション部に、前記嵌合用筒部を圧入する事に伴い、この雄セレーション部によりこの嵌合用筒部の内周面を、切削するか又は塑性変形させる事で、この雄セレーション部をこの嵌合用筒部の内周面に機械的に食い込ませる(締め代を持ったセレーション係合の如く係合させる)構造を採用する事もできる。この構造を採用する場合には、前記ハブに対する前記スリンガの軸方向内側への移動を防止する効果を高められるだけでなく、このハブに対するこのスリンガの回転を防止する効果を十分に高められる。
上述の様に本発明の車輪支持用軸受ユニットの場合には、スリンガ用シール部材を構成するガスケット部と回転側フランジの内側面との接触部の外径側に、前記スリンガ用シール部材を構成する庇部が配置されている。この為、路面から跳ね上げられた雨水や泥水が、前記ガスケット部と前記回転側フランジの内側面との接触部を直撃する事を防止できる。更には、前記庇部の先端部と前記回転側フランジの内側面とが全周に亙り近接対向している。この為、前記雨水や泥水が、前記庇部の先端部と前記回転側フランジの内側面との間部分を通じて、この回転側フランジの内側面と前記ガスケット部との接触部に到達しにくくなっている。従って、正規の組み付け状態で、前記回転側フランジの内側面に対する前記ガスケット部の締め代を小さくした場合でも、ハブの表面とスリンガの表面との間のシール性能を確保できる。言い換えれば、このシール性能を確保する場合でも、前記締め代を小さくできる。この為、前記ガスケット部から前記スリンガの側板部に加わる、軸方向内側に向いた弾力を小さく抑えられる。この結果、この弾力により、前記側板部の内側面が弾性的に歪められ、この内側面にその先端縁を摺接させたシールリップによるシール性能を十分に確保できなくなったり、前記弾力により、前記スリンガがハブに対し軸方向内側にずれ動き、前記側板部の内側面と前記シールリップの先端縁との摺接圧が増大したりする事を回避できる。
又、本発明の場合、前記回転側フランジの内径側部分を構成する厚肉部の外径寸法である、この回転側フランジの内側面に設けられた段部の軸方向内端縁の直径寸法を、外輪の軸方向外端部の外径寸法よりも小さくしている。この為、前記回転側フランジの外径側部分を構成する薄肉部の割合を多くでき、その分だけ前記ハブの軽量化を図れる。更に、前記回転側フランジの内側面のうちで前記段部よりも内径側部分に前記ガスケット部を接触させている為、この接触部の径寸法を小さくできる。従って、前記ハブの製造時に、この接触部と内輪軌道とを、同時に研削し易くできる。
又、請求項2に記載した発明の構成を採用すれば、スリンガ用シール部材を構成する周面被覆部及び庇部の外周面に、雨水や泥水等の水分が付着した場合に、遠心力の作用により、この付着した水分を、当該外周面に沿って軸方向内側に向け流動させながら、外径側に振り飛ばす事ができる。この為、当該外周面に付着した水分が、前記庇部の先端部と回転側フランジの内側面との間部分に導かれる事を防止できる。従って、その分だけ、前記ハブの表面と前記スリンガの表面との間のシール性能を高められる。
又、請求項2に記載した発明の場合、前記スリンガを構成する側板部の外側面のうち、前記ガスケット部を固定した部分よりも径方向外側の部分は、スリンガ用シール部材を構成する側面被覆部により覆われている。この為、前記回転側フランジの内側面と前記庇部の先端部との間部分を通じて、この庇部と前記ガスケット部との間に挟まれた空間内に雨水や泥水等の水分が侵入した場合でも、この水分が前記回転側フランジの内側面と前記側板部の外側面との間に掛け渡された状態にはならない。従って、この水分によって前記回転側フランジの内側面に電食が発生する事はない。
又、請求項3に記載した発明の構成を採用すれば、回転側フランジの内側面にガスケット部の外側面を全周に亙り弾性的に接触させた状態で、この内側面に対するこの外側面の締め代を、この外側面に設けた凸部に対応する部分で局所的に大きくできる。この為、この凸部に対応する部分で、前記ガスケット部のシール性能を高める事ができる。しかも、この状態で、前記回転側フランジの内側面により押し潰された前記凸部に対応する部分の肉(弾性材)は、前記ガスケット部の外側面のうちで前記凸部の径方向両側に隣接する部分に設けられた1対の逃げ溝部分に移動する。この為、前記凸部が押し潰される事に伴って発生する軸方向の弾性反力(前記ガスケット部から前記スリンガの側板部に加わる軸方向の弾力)を適切に抑えられる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、図10と同様の図。 回転側フランジを省略して示す、図1のA部拡大図。 同第2例を示す、図1と同様の図。 同第3例を示す、要部断面図。 同第4例を示す、要部断面図。 同第5例を示す、要部断面図。 同第6例を示す、要部断面図。 同第7例を示す、要部断面図。 従来構造の1例を示す半部断面図。 具体的な構成を表した、図9のB部拡大図。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、内部空間10の軸方向外端開口を塞ぐ密封装置11aのうち、スリンガ13a及びスリンガ用シール部材15aの構造と、ハブ本体6aを構成する回転側フランジ9aの構造とにある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9〜10に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、前述した従来構造で説明しなかった部分を中心に説明する。
本例の場合、前記回転側フランジ9aは、内径側に設けられた厚肉部22と外径側に設けられた薄肉部23とを、内側面に形成した段部24により連続させて成る。この段部24の断面形状は、軸方向内側に向かう程直径寸法が小さくなる方向に傾斜した凹円弧状としている。特に、本例の場合には、この様な段部24の軸方向内端縁の直径寸法d24を、外輪1aの軸方向外端部の外径寸法D1aよりも小さく(d24<D1a)している。尚、前記回転側フランジ9aの内側面の径方向内端部(前記厚肉部22の内側面の径方向中間部及び内端部)には、この内側面と、前記ハブ本体6aの外周面のうちで前記回転側フランジ9aの軸方向内側に隣接する部分に存在する円筒面部25とを滑らかに連続させる、断面凹円弧状の隅R部26が設けられている。
又、前記スリンガ13aは、耐食性を有する金属板である、ステンレス鋼板により円環状に造られたもので、嵌合用筒部16aと、この嵌合用筒部16aの軸方向外端縁から径方向外方に曲がった状態で設けられた側板部17aと、この側板部17aの外周縁から軸方向内方に折れ曲がる状態で設けられた庇状筒部18aとを有する。このうちの嵌合用筒部16aは、単なる円筒状である。又、前記側板部17aは、径方向内半部を構成する、前記隅R部26と同方向に湾曲した断面円弧状の曲板部27と、径方向外半部を構成する、断面クランク形の円輪状部28とから成る。このうちの曲板部27の外側面(内周面)の曲率半径は、前記隅R部26の曲率半径よりも少しだけ大きくしている。又、前記円輪状部28は、内径側円輪部29の外周縁と、この内径側円輪部29に対し軸方向内側に少しだけずれた位置に配置された外径側円輪部30の内周縁とを、傾斜板部31により連続させて成る。又、前記庇状筒部18aは、前記嵌合用筒部16aと同心の円筒状であり、軸方向内端縁部分に径方向外方に向け折れ曲がった鍔部32を設けている。
そして、図示の組み付け状態で、前記嵌合用筒部16aを、前記ハブ本体6aの円筒面部25に締り嵌めで外嵌している。これと共に、前記側板部17aの外側面を、前記回転側フランジ9aの内側面に対し、直接接触させる事なく、後述するスリンガ用シール部材15aのガスケット部36を介してのみ接触させる事で、前記スリンガ13aの軸方向の位置決めを図っている。更に、この状態で、前記庇状筒部18aの先半部内周面を、前記外輪1aの軸方向外端部外周面に近接対向させて、これら両周面同士の間部分をラビリンスシール部としている。そして、この状態で、シールリング14のシールリング用シール部材20(図1に自由状態で図示)を構成する3本のシールリップ21a、21b、21cのうち、グリースリップと呼ばれるシールリップ21aの先端縁を前記嵌合用筒部16aの外周面に、メインリップと呼ばれるシールリップ21bの先端縁を前記曲板部27の内側面(外周面)に、サイドリップと呼ばれるシールリップ21cの先端縁を前記内径側円輪部29の内側面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。
又、前記スリンガ用シール部材15a(図1に自由状態で図示)は、ゴム等の弾性材により円環状に造られたもので、前記スリンガ13aに、焼き付け等により添着固定されている。この様なスリンガ用シール部材15aは、前記円輪状部28の外側面を覆う側面被覆部33と、前記庇状筒部18aの外周面を覆う周面被覆部34と、この周面被覆部34の軸方向外端縁(前記側面被覆部33の外周縁)から軸方向外方に突出した円筒状の庇部35とを、互いに連続した状態で備える。又、前記側面被覆部33のうちで前記内径側円輪部29の外側面を覆う部分を、ガスケット部36としている。本例の場合、このガスケット部36の外側面に、図2に詳示する様に、径方向中央部に、断面形状が三角形で先の尖った凸部43を、全周に亙り形成すると共に、この凸部43の径方向両側に隣接する部分に、それぞれ断面形状が凹円弧形である逃げ溝44a、44bを、全周に亙り形成している。更に、本例の場合には、前記周面被覆部34及び庇部35の外周面を、軸方向外側に向かう程直径寸法が小さくなる方向に傾斜したテーパ面としている。
そして、図示の組み付け状態で、前記ガスケット部36の外側面を、前記回転側フランジ9aを構成する厚肉部22の内側面の径方向外端部(円輪面)に、全周に亙り弾性的に接触させている。更に、前記庇部35の先端部を、前記回転側フランジ9aを構成する薄肉部23の内側面の径方向内端部(円輪面)に全周に亙り近接対向させると共に、前記庇部35と前記段部24とを径方向に重畳させている。又、本例の場合には、前記周面被覆部34及び庇部35の外周面を、上述の様な軸方向外端部が最小径部となるテーパ面とする事により、この外周面と、前記回転側フランジ9aの外周寄り部分に固定した車輪結合用のスタッド37の頭部38(図9参照)との干渉防止を図り易くしている。
上述の様な構成を有する本例の車輪支持用軸受ユニットの場合も、前述した従来構造の場合と同様、前記密封装置11aに関しては、前記各シールリップ21a、21b、21cの先端縁を摺接させる相手面として、耐食性を有する金属板製のスリンガ13aの表面を採用している。この為、当該相手面の性状の劣化(発錆による表面粗さの悪化)を抑えられる分、前記各シールリップ21a、21b、21cによるシール性能の長寿命化を図れる。又、前記スリンガ13aを構成する庇状筒部18aの存在に基づいて、路面から跳ね上げられた雨水や泥水が、前記シールリング14に直撃する事を防止できると共に、このシールリング14の設置部に侵入しにくくできる分、前記密封装置11aによる密封性能を高められる。又、前記スリンガ用シール部材15aを構成するガスケット部36により、前記スリンガ13aの表面と前記ハブ本体6aの表面との間の外端部をシールしている。この為、この間部分を通じて、前記内部空間10内のグリースが外部空間に漏洩する事や、外部空間からこの内部空間10内に雨水、泥水等の異物が侵入する事を防止できる。更には、前記スリンガ13aの表面と前記ハブ本体6aの表面との間部分への浸水を防止できる為、これらスリンガ13aの材料(ステンレス鋼)とハブ本体6aの材料(炭素鋼)との間の標準電極電位差に起因する電食が発生する事も防止できる。
特に、本例の場合には、前記ガスケット部36の外側面と前記回転側フランジ9aの内側面(前記厚肉部22の内側面の径方向外端部)との接触部の外径側に、前記スリンガ用シール部材15aを構成する庇部35が配置されている。この為、路面から跳ね上げられた雨水や泥水が、前記ガスケット部36の外側面と前記回転側フランジ9aの内側面との接触部を直撃する事を防止できる。又、本例の場合には、前記庇部35の先端部と前記回転側フランジ9aの内側面(前記薄肉部23の内側面の径方向内端部)とが、全周に亙り近接対向している。この為、前記雨水や泥水が、前記庇部35の先端部と前記回転側フランジ9aの内側面との間部分を通じて、前記ガスケット部36の外側面とこの回転側フランジ9aの内側面との接触部に到達しにくくなっている。更に、本例の場合には、前記周面被覆部34及び庇部35の外周面が、軸方向内側に向かう程直径寸法が大きくなる方向に傾斜したテーパ面になっている。この為、当該外周面に前記雨水や泥水等の水分が付着した場合に、この水分は、遠心力の作用により、当該外周面に沿って軸方向内側に向け流動しながら、外径側に振り飛ばされる。即ち、当該外周面に付着した水分は、前記庇部35の先端部と前記回転側フランジ9aの内側面との間部分に導かれる事を防止される。つまり、本例の場合には、この様な作用によって、前記雨水や泥水が、前記ガスケット部36の外側面と前記回転側フランジ9aの内側面との接触部に、より到達しにくくなっている。
従って、本例の場合には、図示の様な正規の組み付け状態で、前記回転側フランジ9aの内側面に対する前記ガスケット部36の外側面の締め代を小さくした場合でも、前記スリンガ13aの表面と前記ハブ本体6aの表面との間のシール性能を確保できる。言い換えれば、このシール性能を確保する場合でも、前記締め代を小さくできる。この為、前記ガスケット部36から前記スリンガ13aの側板部17aに加わる、軸方向内側に向いた弾力を小さく抑えられる。特に、本例の場合には、前記回転側フランジ9aの内側面に前記ガスケット部36の外側面を全周に亙り弾性的に接触させた状態で、この内側面に対するこの外側面の締め代を、この外側面に設けた凸部43に対応する部分で局所的に大きくできる。この為、この凸部43に対応する部分で、前記ガスケット部36のシール性能を高める事ができる。しかも、この状態で、前記回転側フランジ9aの内側面により押し潰された前記凸部43に対応する部分の肉(弾性材)は、前記ガスケット部36の外側面のうちで前記凸部43の径方向両側に隣接する部分に設けられた1対の逃げ溝44a、44b部分に移動する。この為、前記凸部43が押し潰される事に伴って発生する軸方向の弾性反力(前記ガスケット部36から前記側板部17aに加わる軸方向の弾力)を適切に抑えられる。この結果、この弾力により、前記側板部17aの内側面が弾性的に歪められ、この内側面にその先端縁を摺接させた、前記各シールリップ21b、21cによるシール性能を十分に確保できなくなったり、前記弾力により、前記スリンガ13aが前記ハブ6aに対し軸方向内側にずれ動き、前記側板部17aの内側面と前記各シールリップ21b、21cの先端縁との摺接圧が増大したりする事を回避できる。
又、本例の場合、前記スリンガ13aを構成する側板部17aの外側面のうち、前記ガスケット部36を固定した部分よりも径方向外側の部分は、前記側面被覆部33の外径側部分により覆われている。この為、前記回転側フランジ9aの内側面と前記庇部35の先端部との間部分を通じて、この庇部35と前記ガスケット部36との間に挟まれた空間内に雨水や泥水等の水分が侵入した場合でも、この水分が前記回転側フランジ9aの内側面と前記側板部17aの外側面との間に掛け渡された状態となる事はない。従って、この水分によって前記回転側フランジ9aの内側面に電食が発生する事はない。
又、本例の場合、前記回転側フランジ9aの内径側部分を構成する厚肉部22の外径寸法である、この回転側フランジ9aの内側面に設けられた前記段部24の軸方向内端縁の直径寸法d24を、前記外輪1aの軸方向外端部の外径寸法D1aよりも小さくしている。この為、前記回転側フランジ9aの外径側部分を構成する薄肉部23の割合を多くでき、その分だけ前記ハブ本体6aの軽量化を図れる。更に、前記回転側フランジ9aの内側面のうちで前記段部24よりも内径側部分に前記ガスケット部36の外側面を接触させている為、この接触部の径寸法を小さくできる。従って、前記ハブ6aの製造時に、この接触部と前記円筒面部25と内輪軌道8a(図9参照)とを、同時に研削し易くできる。
[実施の形態の第2例]
図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、スリンガ用シール部材15bを構成する庇部35aの形状が、上述の図1に示した第1例の場合と異なる。即ち、上述した第1例では、庇部35の内周面の断面形状を、回転側フランジ9aの内側面に設けた段部24に対向する側が凹となる円弧形状としていたのに対し、本例の場合には、前記庇部35aの内周面の断面形状を、回転側フランジ9aの内側面に設けた段部24側に向けて凸となる(この段部24に沿う)円弧形状としている。これにより、ガスケット部36よりも径方向外側部分に於ける、前記回転側フランジ9aの内側面と前記スリンガ用シール部材15bの外側面との間部分の隙間幅を、全体的に、毛細管現象が発生しない程度に狭くしている。これにより、雨水や泥水等が、当該間部分に、より侵入しにくくなる様にしている。
その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図4は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、ハブ本体6bの外周面のうち、スリンガ13bを構成する嵌合用筒部16bを外嵌した円筒面部25の軸方向内端寄り部分に、全周に亙る凹溝39を形成している。これと共に、前記嵌合用筒部16bの内端縁部分の円周方向1乃至複数箇所(好ましくは円周方向等間隔の3箇所以上)に、それぞれ円周方向に離隔した1対のスリットを形成し、更にこれら両スリット同士の間部分を内径側に折り曲げて爪部40を形成し、この爪部40を前記凹溝39に係合させている。そして、これら凹溝39と爪部40との係合に基づいて、前記円筒面部25に対する前記嵌合用筒部16bの軸方向内側への抜け止めを図っている。
尚、本例の構造を実施する場合には、係合部である前記爪部40の先端縁と前記凹溝39の内面の軸方向内端部との間に、加工上不可避な軸方向隙間が形成され、この軸方向隙間の軸方向寸法分、前記スリンガ13bが前記ハブ本体6bに対し、軸方向内側へ移動する可能性がある。この為、本例の構造を実施する場合には、回転側フランジ9aの内側面に対する凸部43(図1〜3参照)の締め代を、前記軸方向隙間の軸方向寸法以上の大きさとしておき、上述の様な移動が生じた場合でも、前記回転側フランジ9aの内側面と前記凸部43との間に隙間が生じない様にするのが好ましい。
その他の構成及び作用は、上述した第1〜2例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図5は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、ハブ本体6cの外周面のうち、スリンガ13aを構成する嵌合用筒部16aを外嵌した円筒面部25の軸方向内端寄り部分(この嵌合用筒部16aを外嵌する部分に対して軸方向内側に隣接する部分)に、全周に亙る係止突起41を形成している。そして、この係止突起41の外端面に、前記嵌合用筒部16aの内端縁を係合させる事により、前記円筒面部25に対する前記嵌合用筒部16aの軸方向内側への抜け止めを図っている。前記係止突起41の外周面は、軸方向外側から軸方向内側に向かう程直径寸法が小さくなる方向に傾斜した部分円すい状の傾斜面となっており、その軸方向内端縁を、前記円筒面部25の軸方向内端部に滑らかに連続させている。本例の場合、前記嵌合用筒部16aを前記円筒面部25に軸方向内側から圧入する際に、この嵌合用筒部16aは、前記係止突起41の外周面に沿ってこの係止突起41を乗り越えるが、この際に、前記嵌合用筒部16が塑性変形を起こさない程度に、前記係止突起41の径方向高さを規制している。
又、本例の場合、前記ハブ本体6cの製造時には、このハブ本体6cの表面のうち、ガスケット部36(図1、3参照)の外側面を接触させる部分と、前記円筒面部25と、内輪軌道8a(図9参照)とに、前記ハブ本体6cの中心軸に対して60度程度の交角となる方向から進入する砥石によって、同時研削を施す。但し、この際に、前記円筒面部25のうちで前記係止突起41の軸方向外側に隣接する部分は、この係止突起41の死角に入る為、当該部分に研削加工を施す事ができない。そこで、本例の場合には、当該部分の研削加工を不要とする為、当該部分に全周に亙る逃げ溝42を形成している。
尚、本例の構造を実施する場合には、前記嵌合用筒部16aの内端縁と前記係止突起41の外端面との間に、加工上不可避な軸方向隙間が形成され、この軸方向隙間の軸方向寸法分、前記スリンガ13aが前記ハブ本体6cに対し、軸方向内側へ移動する可能性がある。この為、本例の構造を実施する場合には、回転側フランジ9aの内側面に対する凸部43(図1〜3参照)の締め代を、前記軸方向隙間の軸方向寸法以上の大きさとしておき、上述の様な移動が生じた場合でも、前記回転側フランジ9aの内側面と前記凸部43との間に隙間が生じない様にするのが好ましい。
その他の構成及び作用は、前述した第1〜2例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、上述した第4例では、前記係止突起41を全周に亙り設けたが、本発明を実施する場合には、この様な係止突起を、円周方向1乃至複数箇所に(好ましくは円周方向等間隔の三箇所以上に)設ける事もできる。
[実施の形態の第5例]
図6は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、ハブ本体6bの外周面のうち、スリンガ13cを構成する嵌合用筒部16cを外嵌した円筒面部25の軸方向内端寄り部分に、全周に亙る凹溝39を形成している。これと共に、前記嵌合用筒部16cのうち、この凹溝39と整合する部分を、ローリングかしめ機を使用して全周に亙り内径側に塑性変形させる事で、当該部分の内周面の全周に、前記凹溝39にがたつきなく係合する係合凸部43aを形成している。そして、係合部である、この係合凸部43aと、前記凹溝39との係合に基づいて、前記円筒面部25に対する前記嵌合用筒部16cの軸方向内側への抜け止めを図っている。
その他の構成及び作用は、前述した第1〜2例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第6例]
図7は、本発明の実施の形態の第6例を示している。上述した第5例では、凹溝39に係合させる係合凸部43aを、スリンガ13cを構成する嵌合用筒部16cの軸方向一部分に全周に亙って設けたが、本例の場合には、凹溝39に係合させる係合凸部43bを、スリンガ13dを構成する嵌合用筒部16dの軸方向一部分の円周方向1乃至複数箇所(好ましくは円周方向等間隔の3箇所以上)に設けている。
その他の構成及び作用は、上述した第5例の場合と同様である。
[実施の形態の第7例]
図8は、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、ハブ本体6dの外周面のうち、スリンガ13eを構成する嵌合用筒部16eを外嵌する部分{回転側フランジ9a(図1、3参照)の軸方向内側に隣接する部分}を、雄セレーション部44としている。この雄セレーション部44には、内輪軌道8a(図9参照)等と共に、高周波焼入れ処理(硬化処理)を施している。そして、この様な硬化処理を施した前記雄セレーション部44に、前記嵌合用筒部16eを圧入する事に伴い、この雄セレーション部44によりこの嵌合用筒部16eの内周面を、切削するか又は塑性変形させる事で、この雄セレーション部44をこの嵌合用筒部16eの内周面に機械的に食い込ませている(締め代を持ったセレーション係合の如く係合させている)。これにより、前記ハブ本体6dに対する前記スリンガ13eの回転及び軸方向移動の防止効果を高めている。この様な構造は、このスリンガ13eの様に、外径側の質量が大きく、且つ、前記嵌合用筒部16eの軸方向寸法が短い部品に関する、クリープの発生を防止する構造として、好ましく採用できる。
その他の構成及び作用は、前述した第1〜2例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
本発明は、図9に示した様な車輪支持用軸受ユニットに限らず、従来から知られている各種構造の車輪支持用軸受ユニット(従動輪用であるか、駆動輪用であるかを問わない)に適用可能である。
1、1a 外輪
2 ハブ
3 転動体
4 静止側フランジ
5a、5b 外輪軌道
6、6a、6b、6c、6d ハブ本体
7 内輪
8a、8b 内輪軌道
9、9a 回転側フランジ
10 内部空間
11、11a 密封装置
12 カバー
13、13a、13b、13c、13d、13e スリンガ
14 シールリング
15、15a、15b スリンガ用シール部材
16、16a、16b、16c、16d、16e 嵌合用筒部
17、17a 側板部
18、18a 庇状筒部
19 芯金
20 シールリング用シール部材
21a、21b、21c シールリップ
22 厚肉部
23 薄肉部
24 段部
25 円筒面部
26 隅R部
27 曲板部
28 円輪状部
29 内径側円輪部
30 外径側円輪部
31 傾斜板部
32 鍔部
33 側面被覆部
34 周面被覆部
35 庇部
36 ガスケット部
37 スタッド
38 頭部
39 凹溝
40 爪部
41 係止突起
42 逃げ溝
43a、43b 係合凸部
44 雄セレーション部

Claims (3)

  1. 内周面に外輪軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定された状態で回転しない外輪と、この外輪の内径側にこの外輪と同心に配置されて、外周面のうち前記外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を、同じく前記外輪の軸方向外端開口から突出した部分に回転側フランジを、それぞれ有し、使用時にこの回転側フランジに車輪を結合固定した状態でこの車輪と共に回転するハブと、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する内部空間の軸方向外端開口を塞ぐ為の密封装置とを備え、
    この密封装置は、スリンガと、シールリングと、スリンガ用シール部材とを備えたものであり、
    このうちのスリンガは、耐食性を有する金属板により円環状に造られたもので、前記ハブの外周面のうち前記回転側フランジの軸方向内側に隣接する部分に外嵌された嵌合用筒部と、この嵌合用筒部の軸方向外端縁から径方向外方に曲がった状態で設けられた側板部と、この側板部の外周縁から軸方向内方に曲がった状態で設けられると共に、その先端部内周面を前記外輪の軸方向外端部外周面に近接対向させた庇状筒部とを有するものであり、
    前記シールリングは、前記外輪の軸方向外端部に固定された円環状の芯金と、この芯金により補強された弾性材製のシールリング用シール部材とから成り、このシールリング用シール部材は、複数本のシールリップを有するもので、このうちの一部のシールリップの先端縁を前記嵌合用筒部の外周面に、残りのシールリップの先端縁を前記側板部の内側面に、それぞれ全周に亙り摺接させており、
    前記スリンガ用シール部材は、弾性材製であり、前記スリンガの一部に固定された状態で、このスリンガと前記回転側フランジの内側面との間部分をシールしている、
    車輪支持用軸受ユニットに於いて、
    前記回転側フランジは、内径側に設けられた厚肉部と外径側に設けられた薄肉部とを、内側面に形成した段部により連続させて成るもので、この段部の軸方向内端縁の直径寸法を、前記外輪の軸方向外端部の外径寸法よりも小さくしており、
    前記スリンガ用シール部材は、前記側板部の外側面に固定されたガスケット部と、このガスケット部よりも径方向外方に設けられた庇部とを有するもので、このうちのガスケット部を、前記回転側フランジの内側面のうちで前記段部よりも径方向内側部分に全周に亙り弾性的に接触させており、且つ、前記庇部の先端部を、前記回転側フランジの内側面のうちで前記段部よりも径方向外側部分に全周に亙り近接対向させると共に、前記庇部の先端部と前記段部とを径方向に重畳させている事を特徴とする
    車輪支持用軸受ユニット。
  2. 前記スリンガ用シール部材は、前記側板部の外側面のうちの少なくとも外径側部分を覆う側面被覆部と、前記庇状筒部の外周面を覆う周面被覆部とを有すると共に、このうちの側面被覆部の内径側部分を前記ガスケット部とし、且つ、前記周面被覆部の軸方向外端部に前記庇部を設けており、更に、これら周面被覆部及び庇部の外周面を、軸方向内側に向かう程直径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面としている、請求項1に記載した車輪支持用軸受ユニット。
  3. 前記回転側フランジの内側面に弾性的に接触させる、前記ガスケット部の外側面の径方向一部分に、全周に亙る凸部を形成すると共に、この外側面のうちでこの凸部の径方向両側に隣接する部分に、それぞれ全周に亙る逃げ溝を形成している、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪支持用軸受ユニット。
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