JP2014043522A - 微粒子製造用樹脂組成物、およびポリフェニレンサルファイド微粒子の製造方法 - Google Patents

微粒子製造用樹脂組成物、およびポリフェニレンサルファイド微粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒径分布の狭いポリフェニレンサルファイド微粒子を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明のポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物は、ポリフェニレンサルファイドと5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを0.01〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを含み、ポリフェニレンサルファイドが粒子形状の分散相を形成していることを特徴とする、あるいは、ポリフェニレンサルファイドと、ポリエチレンテレフタレートと、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを含み、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムの含有量が組成物全体に対して0.01〜10重量%であり、ポリフェニレンサルファイドが粒子形状の分散相を形成していることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンサルファイド微粒子を得るために好適なポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物および、ポリフェニレンサルファイド微粒子の製造方法に関する。
ポリフェニレンサルファイドは優れた耐熱性、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、剛性および電気絶縁性等エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品等の用途に使用されている。そしてポリフェニレンサルファイドの微粒子は、コーティング剤・充填剤・トナーの媒体・ブロッキング防止剤・化粧品・スペーサー等様々な用途に使用されている。これらの用途では、粒子が真球に近く、また単分散性を有していると、不定形粒子と比較して流動性・密着性・帯電特性・特殊光沢等の優れた特性を有し、粒度分布が狭いほどその効果が顕著に現れる。
ポリマー微粒子を得る手段としては様々な方法が知られているが、最も一般的には溶液相分離法がある(例えば、特許文献1)。この方法は、ポリマーを溶媒に加熱溶解した後に、冷却析出させて微粒子を得る方法である。しかし、ポリフェニレンサルファイドのような200℃以下で可溶な溶媒が存在しないポリマーの微粒子製造については、この方法はエネルギーコストや工程安定性、安全性の面から好適ではない。
そこで、ポリフェニレンサルファイド微粒子の製造には、ボールミル等を用いて分散液中の樹脂を機械的に粉砕する湿式粉砕法が一般的である(例えば、特許文献2)。しかし、機械的粉砕法では微粒子とするには時間・エネルギー等がかかるうえ、粒子の形状が一定とならず、更には粒径分布も広くなる等の欠点を有している。
これに対し、ポリフェニレンサルファイド樹脂に他の熱可塑性樹脂を加えて溶融混練して得た、ポリフェニレンサルファイドが分散相、他の熱可塑性樹脂が連続相である海島構造を持った樹脂組成物から、溶媒により他の熱可塑性樹脂のみを溶解除去し、真球に近いポリフェニレンサルファイド球状微粉末を得る方法が開示されている(例えば、特許文献3)。しかし、本発明者らの知見によると、ポリフェニレンサルファイド樹脂と他の熱可塑性樹脂を溶融混練すると、ポリフェニレンサルファイド樹脂を大小様々な大きさの島状形状、あるいは海成分を形成し、粒径分布の小さい微粒子を得ることは困難であった。また、当該特許文献3には、無限にある熱可塑性樹脂の中で、具体的に何を選ぶべきか、その技術思想は示されていない。
同様に、熱可塑性樹脂と溶融成型可能な水溶性樹脂からなる樹脂組成物から、水により水溶性樹脂を溶解除去し、熱可塑性樹脂の微粒子を得る方法も知られている(例えば、特許文献4)。しかし、当該文献に記載される水溶性樹脂は熱安定性や溶融成型性に乏しく、ポリフェニレンサルファイドのように高融点、高粘度を有する樹脂と溶融混合すると、水溶性樹脂に由来する熱分解ガスが発生して気泡が混入する問題がある。従って、該特許文献中に示される方法では、品質に優れたポリフェニレンサルファイド微粒子は製造できない。
特開平9−165457号公報 特開2003−183406号公報 特開平10−273594号公報 特開平9−165457号公報 特開2008−63716号公報
本発明は、粒径分布の狭いポリフェニレンサルファイド微粒子を得るために好適なポリフェニレンサルファイド樹脂組成物および、それを用いたポリフェニレンサルファイド微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題に対して、本発明は以下の通りである。すなわち、本発明のポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物は、ポリフェニレンサルファイドと5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを0.01〜20重量%共重合したポリエチレンテレフタレートを含み、ポリフェニレンサルファイドが粒子形状の分散相を形成していることを特徴とするものである。また、本発明のポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物の別の態様は、ポリフェニレンサルファイドと、ポリエチレンテレフタレートと、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを含み、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムの含有量が組成物全体に対して0.01〜10重量%であり、ポリフェニレンサルファイドが粒子形状の分散相を形成していることを特徴とするものである。そして、本発明のポリフェニレンサルファイド微粒子の製造方法は、本発明のポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物を用い、ポリエステル成分除去工程を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、粒径分布の狭いポリフェニレンサルファイド微粒子を得ることができる。
本発明でいうポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと表記する場合がある。)は、繰り返し単位にp−フェニレンサルファイドを70モル%以上含む重合体である。繰り返し単位にp−フェニレンサルファイドを90モル%以上含むと、耐熱性及び耐薬品性に優れるPPS微粒子を製造するための樹脂組成物を得ることができるので特に好ましい態様である。
かかるPPSは、公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法等によって製造することができる。得られたPPSを、酸水溶液等による洗浄(酸洗浄)、有機溶媒あるいは熱水による処理、アルカリ土類金属塩を含む水による洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物等の官能基含有化合物による活性化等の種々の処理、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素等の不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理を施した上で使用すること、およびこれらの処理を複数回繰り返したり、異なる処理を組み合わせたりすることも可能である。
なお、原料のPPSの粘度は、成形材料として使用できる程度のものであれば特に制限はないが、メルトフローレート(以下、MFRという)が50〜180g/10分、特に50〜150g/10分のものが好ましく使用される。ここで、PPSのMFR、ASTM D1238−86に準拠して316℃、オリフィス径2.095mm、オリフィス長さ8.00mm、荷重5kgで測定したもので10分あたりの流出ポリマ量(g)で表される。ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表記する場合がある。)または共重合PETと溶融混練する際に、MFRが50g/10分以上であるとPPSが微分散化し、MFR が180g/10分以下であると微分散化したPPSの形状が真球に近いものとなる。
本発明においては、市販品のPPSを入手してこれを使用することができる。PPSの市販品としては、例えばカルボン酸金属末端基を有するPPSである東レ社製品のE2080(MFR:100g/10分)、E2280(MFR:170g/10分)等を挙げることができる。
本発明で用いられるPPSには、その性質を大きく変えない範囲で艶消し剤、可塑剤、染料、顔料、無機粒子、フィラー、結晶核剤等を含むことができる。
本発明のPPS微粒子製造用樹脂組成物(以下、樹脂組成物と表す場合がある。)はPPS、PET、および5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(以下、SSIAと表記する場合がある。)を含むことが必要で、SSIAはPETと共重合されていてもよく(態様A)、SSIAは別に添加されていてもよい(態様B)。態様Bにおいて、PETはSSIAが共重合されていなくても構わないが、SSIAが共重合されていても構わない。また、SSIAが共重合されていないPETとSSIAが共重合されたPETを同時に用いても構わない。
本発明のPPS微粒子製造用樹脂組成物は、PPSが粒子形状の分散相を形成しているが、PPSが粒子形状の分散相を形成しているかどうかは、樹脂組成物を5規定の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、80℃で24時間攪拌処理することにより判断される。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液中でポリエステル成分の一部または全部を除去した際に、樹脂組成物の一部または全体の形態が破壊され、PPSの微粒子を取り出すことができれば、樹脂組成物中でPPSが粒子形状の分散相を形成していると判断される。その際、樹脂組成物が0.1cmを超える塊状である場合は、0.1cm以下に粉砕または切断してから水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する。
態様Aにおいて、本発明に用いるSSIA共重合PETは、SSIA共重合比率が0.01〜20モル%であることが重要である。SSIA共重合比率が0.01モル%以上であるとPPS粒子の粒径分布が狭い樹脂組成物を製造することができ、20モル%以下であるとSSIA共重合PETは耐熱性を十分に有し、PPSの融点以上の温度でPPSと溶融混練する際に熱分解ガス発生による気泡の混入を抑制できる。すなわち、SSIA共重合比率が0.01〜20モル%であると、SSIA共重合PETの耐熱性と樹脂組成物中のPPS粒子の狭い粒径分布とを両立させることができる。SSIA共重合比率は5〜15モル%であることが好ましく、8〜12.5モル%であるとPPS粒子の粒径分布をより狭くできるため特に好ましい。
SSIA共重合効果を考察する。一般に、PPSと共重合成分を有さないPETを含む樹脂組成物は、粒子形状の分散相を形成するPPSの粒径分布は狭くならない。一般に、樹脂組成物中の粒子形状の分散相の粒径分布を狭くするためには、連続相を形成している樹脂と粒子形状の分散相を形成している樹脂の相溶性を向上させることが好ましいとされる。このための指標の一つが溶解度パラメータ(SP値)である。
SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近い物同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は種々のポリマーで知られているが、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。
しかしながら、SSIA共重合PETのSP値は不明であるが、PETに親水成分であるSSIAを共重合させることで、共重合成分を有さないPETに比べSP値がPPSからは遠ざかることが容易に想定される。すなわち、SP値による相溶性予測から反するものである。
それゆえ、PETにSSIAを共重合することにより樹脂組成物中のPPS粒子の粒径分布が狭くなった理由は明らかではないが、SSIAがPPSの構造の一部と特異的に親和性が高い可能性があると考えられるものである。
態様Bにおいても上記の効果が得られる。その際には、SSIAの添加量は樹脂組成物全体に対して0.01〜10重量%であることが重要である。SSIAの添加量が樹脂組成物全体に対して0.01重量%以上であれば、樹脂組成物中のPPS粒子の狭い粒径分布が得られ、10重量%以下であれば、SSIAの添加によるPET可塑化が抑制され、PPSとの粘度差が広がりを抑え溶融混練においてPPSが微分散される。SSIA添加量は、より好ましくは、2〜9重量%であり、特に好ましくは3〜8重量%である。
PETは公知の方法によって得ることができる。本発明のPETまたはSSIA共重合PETは、全繰り返し単位の75モル%以上がエチレンテレフタレート単位で構成されると、十分に耐熱性を有し、PPSとの溶融混練時の熱分解を抑える観点から好ましい態様である。また、他の成分が含まれていても問題はなく、例えばテレフタル酸以外の酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のような芳香族、脂肪族又は脂環族カルボン酸が共重合されていてもよく、また、エチレングリコール以外のグリコール成分として、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような脂環族、脂肪族又は芳香族のジオール化合物が共重合されていてもよい。
更に、本発明の目的を損なわない範囲であれば、トリメリット酸、ピロメリット酸のようなポリカルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのようなポリオールが共重合されていてもよい。
なお、本発明のPETまたはSSIA共重合PETには、必要に応じてその他の酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、その他の添加剤等含むことができる。
本発明の樹脂組成物はPPS微粒子製造用であり、樹脂組成物からポリエステル成分を除去することで粒子形状のPPSを取り出すことを目的としている。すなわち、PPSは樹脂組成物中で粒子形状の分散相を形成していることが重要である。ここでいうポリエステル成分とは、PETまたはSSIA共重合PETのことを言う。なお、PETとは別に添加したSSIAが存在した場合も、SSIAは実質的にPETの相に溶け込んでいるため、ポリエステル成分の除去の際にSSIAも流出除去される。
本発明の樹脂組成物中のPPSの分率は、30〜60重量%であることが好ましい態様である。30重量%以上でPPS微粒子の生産効率が高くなり、また、60重量%以下ではPPSは分散相と連続相との反転が起きにくくなり、安定的に分散相を得ることができる。樹脂組成物中のPPSの分率は、40〜60重量%であることがより好ましく、40〜55重量%であることが、生産安定性の観点から特に好ましい。
樹脂組成物中のPPS微粒子の粒子径のばらつきを表す指数として、標準偏差が挙げられる。この値は平均粒子径が異なる場合単純に比較できない。そこで、粒子径のばらつきを比較する際には、標準偏差を粒子の数平均直径で除した値、即ち相対標準偏差(変動係数)を用いる。樹脂組成物中のPPS微粒子の数平均直径及び相対標準偏差は、日立製作所走査型電子顕微鏡(SEM)S−5500で樹脂組成物の表面を観察し、一定区画内のすべてのPPS粒子について縦方向と横方向の直径を求め、その平均を粒径とし、それを用いて算出できる。本発明の樹脂組成物中に分散しているPPS微粒子の数平均直径における相対標準偏差が0.2以下であると、微粒子用途において流動性・密着性・帯電特性・特殊光沢等の優れた特性を有するため好ましい。より好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
一方、樹脂組成物からポリエステル成分を除去して取り出されるPPS微粒子の数平均直径における相対標準偏差は、堀場製作所レーザー回折式粒度分布測定装置LA−500Cを用いて測定できる。本発明の樹脂組成物からポリエステル成分を除去して取り出されるPPS微粒子の数平均直径における相対標準偏差が0.2以下であると、流動性・密着性・帯電特性・特殊光沢等の優れた特性を有するため好ましい。より好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。粒子径のばらつきを表す指数として、標準偏差が挙げられる。
また本発明の樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されるものではないが、原料樹脂を公知の手段で溶融混練する方法が好適である。その例として単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー、静止混練機等を用いる方法が挙げられ、二軸押出機を用いることが高剪断付与の観点から特に好ましい態様である。
混練の温度は、原料樹脂の融点を比較し、最も高いものの融点に対して15℃以上高い温度とすることが混練を効率よく行うことが可能になるため好ましい。ここで、融点とは、示差走査熱量計(DSC)にて、室温から20℃/分の昇温速度で昇温時に生じる融解曲線のピーク温度から求めることができる。また、混練温度に特に上限は設けられないが、350℃以下の混練温度であれば熱分解が進行して分子量低下、着色や発煙を引き起こすことがないため好ましい。330℃以下の混練温度であれば、優れた品質の樹脂組成物を得ることができるため特に好ましい。
本発明の樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物等の可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトン等の結晶核剤、ポリオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド系化合物、等の離型剤、防食剤、着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤等の通常の添加剤を含むことができる。
これらの添加剤は、本発明のPPS樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、少なくとも2成分の樹脂を混合する際に同時に添加する方法や、予め2成分の樹脂を混合した後に添加する方法や、始めに片方の樹脂に添加した後、残りの樹脂を混合する方法が挙げられる。
本発明から得られる樹脂組成物の成形方法は、任意の方法が可能である。また成形形状は、ストランド状、ペレット状、フィルム状等任意であるが、本発明のPPS樹脂組成物は最終的にポリエステル成分を除去してPPS微粒子を取り出すことを目的としているため、ポリエステル成分の除去工程において除去効率向上に寄与できる形状が好適である。例えば、アルカリ性水溶液浸漬によりポリエステル成分の抽出を行うのであれば、原料樹脂が混合された樹脂組成物を一旦冷却し、ペレット形状にカットすることが好ましい。
本発明により得られた樹脂組成物からポリエステル成分を除去する方法は特に限定されないが、ポリエステル成分のみ可溶でPPSは不溶の溶媒で抽出する方法や、酸性またはアルカリ性水溶液で加水分解させて抽出する方法等を用いることができる。
中でも酸性、アルカリ性水溶液で加水分解させて抽出する方法であれば、PPSとの加水分解速度の違いによって、ポリエステル成分を主体に抽出できるばかりでなく、溶媒による膨潤を抑制することができるため、抽出処理前後におけるPPS微粒子の大きさを一定に保つことが容易であること、ポリエステル成分の抽出時間を大幅に小さくできること、溶媒がPPS微粒子に残存して使用中に放出されることがないこと等の利点があるため、好ましい態様である。特にアルカリ性水溶液による加水分解では、加水分解の効率が高いため、より短時間での抽出処理が可能になるため、更に好ましい態様である。
アルカリ性水溶液を構成するアルカリ性物質については特に限定されるものではないが、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物を用いることが好ましく、コスト、入手のし易さと加水分解速度のバランスから水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いることが好ましく、水酸化ナトリウムが入手のしやすさとコストのバランスが優れており好ましい。
アルカリ性水溶液の濃度についても特に限定されないが、濃度が高いほど抽出処理にかかる時間を低減できるため好ましく、濃度が低いほど製造装置に対する損傷や安全化対策に要する費用を削減できるため好ましい。これらの点から水溶液の濃度は、0.10〜10規定の範囲であると好ましい。
アルカリ性水溶液の温度は、ポリエステル成分の分解溶出速度の観点から60〜130℃が好ましく、水溶液からの水の蒸発を抑え、濃度を一定に保って安定した処理を達成しつつ分解溶出速度を保つ観点から、60〜90℃とすることがより好ましい。
アルカリ性水溶液に浸漬して除去する場合には、溶液浴内の溶液を攪拌することがポリエステル成分の除去効率の観点から好ましい。
PPS微粒子が分散したアルカリ性水溶液中から分散しているPPS微粒子を濾別することでPPS微粒子が得られる。PPS微粒子の湿潤ケーキを水で洗浄し、PPSの融点より充分低い温度で乾燥することにより、PPS微粒子粉末を得ることができる。
本発明により得られたPPS微粒子は各種充填剤、化粧品、トナー等の用途に幅広く利用することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、樹脂組成物中のPPS微粒子及びSSIA共重合PET除去後のPPS微粒子の数平均直径及び数平均直径における相対標準偏差は、上記した装置を用いて行った。
(実施例1)
定法に従って重合した真空中で120℃、12時間乾燥後のPPSと、同じく真空中で120℃、12時間乾燥後のSSIAを10モル%共重合したPETを、重量比50:50でドライブレンドしたものを、2軸混練機(テクノベル社製「KZW−15TWIN−30MG」、スクリュー直径15mm、L/D=30)に供給し、温度310℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練した。ダイから吐出後のストランドをすぐに室温の水中に急冷し、構造を固定した。次にストランドをカッターを用いて切断し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
次にこのペレットを5規定の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、80℃で12時間処理することでSSIA共重合PETを除去した。その際、水酸化ナトリウム水溶液は攪拌翼を用いて攪拌した。その後PPS微粒子を濾別し、湿潤ケーキを水で洗浄し、室温で3時間真空乾燥を行うことでPPS微粒子粉末を得た。得られた微粒子はIR分析にてPPSであることを確認した。
(実施例2〜7)
SSIA共重合PETのSSIA共重合比率を変更した以外は実施例1と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。
(比較例1)
SSIA共重合PETのSSIA共重合比率を変更した以外は実施例1と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。混練機ダイから吐出されたストランドは着色しており、SSIA共重合PETの熱分解の様相が観察された。
(比較例2)
ポリエステル成分をPETホモポリマーとした以外は実施例1と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。
実施例1〜7、比較例1、2で得られた樹脂組成物中のPPS微粒子及びSSIA共重合PET除去後のPPS微粒子の数平均直径及び数平均直径における相対標準偏差を表1にまとめて記す。
Figure 2014043522
(実施例8、9)
PPSの混合比率を変更した以外は実施例1と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。
(比較例3)
PPSの混合比率を変更した以外は実施例1と同じ条件で樹脂組成物を得た。樹脂組成物のSEM観察を行った結果、SSIA共重合PETが分散相を形成しており、粒子形状のPPSは存在しなかったため、SSIA共重合PETの除去は行っていない。
実施例8、9、比較例3で得られた樹脂組成物中のPPS微粒子及びSSIA共重合PET除去後のPPS微粒子の数平均直径及び数平均直径における相対標準偏差を表1にまとめて記す。
(実施例10)
ストランドの切断を行わず、ストランド状のまま水酸化ナトリウム水溶液中でSSIA共重合PETの除去を行った。それに伴い、水酸化ナトリウム水溶液中浸漬時間を24時間とした。それら以外は実施例1と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。
(実施例11)
イソプロパノール中でSSIA共重合PETの除去を行った以外は実施例1と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。
実施例10、11で得られた樹脂組成物中のPPS微粒子及びSSIA共重合PET除去後に得られたPPS微粒子の数平均直径及び数平均直径における相対標準偏差を、表1にまとめて記す。
(実施例12)
定法に従って重合した真空中で120℃、12時間乾燥後のPPSと、同じく真空中で120℃、12時間乾燥後のPETと、SSIA粉末を、重量比50:45:5でドライブレンドしたものを、2軸混練機(テクノベル社製「KZW−15TWIN−30MG」、スクリュー直径15mm、L/D=30)に供給し、温度310℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練した。ダイから吐出後のストランドをすぐに室温の水中に急冷し、構造を固定した。次にストランドをカッターを用いて切断し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
次にこのペレットを5規定の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、80℃で12時間処理することでPET及びSSIAを除去した。その際、水酸化ナトリウム水溶液は攪拌翼を用いて攪拌した。その後PPS微粒子を濾別し、湿潤ケーキを水で洗浄し、室温で3時間真空乾燥を行うことでPPS微粒子粉末を得た。得られた微粒子はIR分析にてPPSであることを確認した。
(実施例13〜18)
SSIAの混合比率を変更した以外は実施例12と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。
(比較例4)
SSIAの混合比率を変更した以外は実施例12と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。混練機ダイから吐出されたストランドは着色しており、PETの熱分解の様相が観察された。
実施例12〜18、比較例4で得られた樹脂組成物中のPPS微粒子及びポリエステル成分除去後のPPS微粒子の数平均直径及び数平均直径における相対標準偏差を表2にまとめて記す。
Figure 2014043522
(実施例19、20)
PPSの混合比率を変更した以外は実施例12と同じ条件で樹脂組成物及びPPS微粒子を得た。
実施例19、20で得られた樹脂組成物中のPPS微粒子及びポリエステル成分除去後のPPS微粒子の数平均直径及び数平均直径における相対標準偏差を表2にまとめて記す。

Claims (5)

  1. ポリフェニレンサルファイドと5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを0.01〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを含み、ポリフェニレンサルファイドが粒子形状の分散相を形成していることを特徴とするポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物。
  2. ポリフェニレンサルファイドと、ポリエチレンテレフタレートと、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを含み、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムの含有量が組成物全体に対して0.01〜10重量%であり、ポリフェニレンサルファイドが粒子形状の分散相を形成していることを特徴とするポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物。
  3. ポリフェニレンサルファイドの組成物全体に対する分率が30〜60重量%である請求項1または2記載のポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物。
  4. 粒子形状の分散相を形成しているポリフェニレンサルファイドの数平均直径における相対標準偏差が0.2以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド微粒子製造用樹脂組成物。
  5. 前記請求項1または2に記載のポリフェニレンサルファイド微粒子作成用樹脂組成物を用い、ポリエステル成分除去工程を有することを特徴とするポリフェニレンサルファイド微粒子の製造方法。
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