JP2014043125A - 電気自動車におけるインバータの車載構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気自動車に搭載されたインバータの振れを抑制することができる車載構造を提供する。
【解決手段】フロントコンパートメント9の両側方の夫々で前後に延びている2本のサイドメンバ3bと、2本のサイドメンバ3bの間に架け渡されているクロスメンバ4と、クロスメンバ4の上に搭載されているインバータ5と、インバータ5をクロスメンバ4に固定するブラケット6を備える。ブラケット6は、インバータ5の上面と接続しているとともにクロスメンバ4に接続している。インバータ5を上下で固定する。
【選択図】図2
【解決手段】フロントコンパートメント9の両側方の夫々で前後に延びている2本のサイドメンバ3bと、2本のサイドメンバ3bの間に架け渡されているクロスメンバ4と、クロスメンバ4の上に搭載されているインバータ5と、インバータ5をクロスメンバ4に固定するブラケット6を備える。ブラケット6は、インバータ5の上面と接続しているとともにクロスメンバ4に接続している。インバータ5を上下で固定する。
【選択図】図2
Description
本発明は、電気自動車におけるインバータの車載構造に関する。本明細書における電気自動車には、燃料電池車が含まれる。
電気自動車は、バッテリの直流電力をモータ駆動に適した周波数の交流電力に変換するインバータを備える。通常、インバータはモータとともに車両のフロントコンパートメントに搭載される。インバータはエンジン車にはなかったデバイスであるとともに、比較的に大きいサイズを有するので、その搭載構造も従来のエンジン車にはなかった技術を導入する余地が多分にある。インバータの車載構造についていくつかの提案がなされている(特許文献1〜3)。
特許文献1の技術は、インバータを2個の対向するブラケットを介して車体に固定するものである。ブラケットが緩衝材となり車体の振動がインバータに伝わり難いという利点がある。特許文献2は、衝突時のインバータの保護に関する。特許文献2の技術は、フロントコンパートメント内の両側において前後に延びる2本のサイドメンバと、その2本のサイドメンバに架け渡されているクロスメンバを備える。インバータはブラケットによりクロスメンバに固定される。ブラケットは、インバータの側面に設けられたリブに接続するとともにクロスメンバに接続する。この技術は、衝突時、サイドメンバは衝撃により前後に押し潰れるように変形してもインバータはブラケットとともに後方に移動し、衝撃が緩和される。特許文献3も衝突時にインバータを保護する技術に関する。インバータは、サイドメンバに固定されたテーブルの上に固定されるとともに、インバータ前方のフロントボディからインバータの上方を超えて後方へ延びているブラケットによってインバータの後面が固定される。
いずれの特許文献においても、インバータは、サイドメンバあるいはクロスメンバに固定される。サイドメンバやクロスメンバはいわゆる車体のフレームに相当し、車体の構造強度を担保する部材である。そのような部材に固定すれば、インバータは車両にしっかりと支持される。しかしながら、サイドメンバやクロスメンバは走行時に振動する。インバータは相応の重量を有するため、サイドメンバやクロスメンバの振動がインバータに伝わり、インバータが振動すると、車体全体の振動が増加し、ドライバビリティが低下する。特許文献1の技術はインバータの振動を抑制するためにインバータを車体に直接に接触させず、ブラケットを介することでインバータに伝達する振動を抑制する。しかしながら、車体に直接に接触させないとインバータの固定強度が不十分となる虞がある。特許文献2、3の技術はインバータの側面あるいは底面をクロスメンバやサイドメンバなどのフレームに固定する。そのような固定方法ではインバータの重心より下方でのみ固定されることになり、インバータの振れを十分に抑制できない虞がある。本明細書が開示する技術は、インバータの振れを抑制することのできる車載構造を提供する。
本明細書が開示するインバータ車載構造は、車内空間(典型的にはフロントコンパートメント内)の両側方の夫々で前後に延びている2本のサイドメンバと、2本のサイドメンバの間に架け渡されているクロスメンバと、クロスメンバの上に搭載されているインバータと、インバータをクロスメンバに固定するブラケットを備える。そして、そのブラケットは、インバータの上面と接続しているとともにクロスメンバに接続している。
上記の車載構造では、車体のフレームの一つであるクロスメンバでインバータを下面からしっかり支持するとともに、ブラケットでインバータの上面を固定する。クロスメンバによりインバータを強固に支持するとともに、インバータをその上下で固定するのでインバータが揺れ難くなる。典型的には、クロスメンバはボルトでインバータの下面と締結され、ブラケットはボルトでインバータの上面と締結される。
さらに好ましくは、ブラケットは、インバータの前面を覆っているとよい。インバータの前面を覆うブラケットは衝突の際のプロテクタとして機能する。衝突の際にインバータが受けるダメージを低減することができる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
図面を参照して実施例の車載構造2を説明する。実施例の車載構造は、電気自動車10へのインバータ5の搭載である。インバータ5は、電気自動車10のフロントコンパートメント9に搭載される。図1に、インバータ5を収めたフロントコンパートメント9の平面図を示し、図2に図1のII−II線に沿った断面図を示す。なお、図2において、インバータ5の内部構造は図示を省略している。図中の座標は、X軸が車両前方を示し、Y軸が車両側方を示し、Z軸が車両上方を示す。図1の平面図は、ボンネットを外したフロントコンパートメント9を上からみた図に相当する。
電気自動車10は、走行用にモータのみを備え、エンジンを備えない所謂ピュアEVである。モータや低電圧バッテリなどもフロントコンパートメント9に収められるが、図を理解し易くするため、図1、図2では、インバータ5を固定する部材とこれに関連する部材以外は図示を省略している。
電気自動車10のボディ7は、車両全体の構造強度を担保するフレームで支えられており、フレームの一部がフロントコンパートメント9に見えている。フロントコンパートメント9で見えるフレームの一部とは、フロントコンパートメント9の両側方で前後に延びている2本のサイドメンバ3a、3bと、2本のサイドメンバ3a、3bの間に架け渡されているクロスメンバ4である。また、2本のサイドメンバ3a、3bの先端同士をラジエータサポート8が接続している。
クロスメンバ4は板状の部材であり、フロントコンパートメント9のほぼ中央で、車両横方向(Y軸方向)に伸びており、その両端がそれぞれサイドメンバ3a、3bに固定されている。クロスメンバ4は、ボルト又は溶接によりサイドメンバ3a、3bに固定されている。そのクロスメンバ4の上面にインバータ5が固定されている。インバータ5の後面の下端には、インバータ5の下面と同一平面を有するフランジ14が設けられており、インバータ5は、そのフランジ14を通してボルト15にてクロスメンバ4に締結されている。
インバータ5は、さらに、ブラケット6を介してその上面でも固定されている。ブラケット6は、その下端が、インバータ5の前方にてボルト13でクロスメンバ4に固定されている。ブラケット6は、インバータ5の前面でクロスメンバ4から立ち上がり、インバータ5の前面を全て覆っており、インバータ5の前上角に沿って屈曲し、インバータ5の上面の前方を覆っている。インバータ5は、その上面前方にて、ボルト12にてブラケット6の上端に締結されている。
インバータ5は、下面をクロスメンバ4に支持され、ブラケット6を介して上面で固定されているので、車両のフレーム(クロスメンバ4)に対して強固に固定されているとともに、上下を固定されているので振動し難くなっている。図3を参照してインバータ5の固定構造をさらに詳しく説明する。
図3は、図2の断面図においてインバータ5の周辺を拡大した図である。図中のGはインバータ5の重心を示している。図3に示されているとおり、インバータ5は、前下部がブラケット6を介してボルト13でクロスメンバ4に固定されており、後下部がフランジ14を介してボルト15でクロスメンバ4に固定されており、さらに、上前部をブラケット6を介してボルト12で固定されている。図3の矢印A、B、Cは、インバータ5の重心Gとインバータ5の3点の固定ポイントを結ぶベクトルである。これら3本のベクトルA、B、Cが示すように、インバータ5は、その重心Gの3方で固定されている。それゆえ、インバータ5は、車両のピッチ振動(車両横方向を向く軸周りの振動)に対して重心Gが振れ難い構造となっている。即ち、上記した車載構造2は、インバータ5を車両フレームの一つであるクロスメンバ4に固定することによって固定強度を確保するとともに、クロスメンバ4とブラケット6によってインバータ5を上下で固定することによって車両のピッチ振動に対しても振れ難くなっている。
また、ブラケット6は、インバータ5の前面とさらには上前角部を覆っている。それゆえ、ブラケット6がプロテクタの役割を果たし、衝突時にインバータ5が受けるダメージを低減することができる。
サイドメンバ3a、3b、クロスメンバ4、ブラケット6は、典型的には鋼材で作られている。インバータ5の筐体は、典型的にはアルミニウムで作られている。
実施例で説明したインバータの車載構造2に関する留意点を述べる。車両にはサイドメンバ3a、3bの前端をつなぐラジエータサポート8と呼ばれるフレームを有するタイプがあるが、ラジエータサポートは車両の前面に位置している。従ってラジエータサポートを利用してインバータ5を固定する場合、インバータ5の配置位置がフロントコンパートメントの前方に制約されてしまう。実施例の車載構造ではインバータ5をクロスメンバ4に固定するので、ラジエータサポートを利用する場合のような制約がないことも利点である。
インバータ5は、好ましくは、図2、3に示すように、車両の側方からみたときに、インバータの前後と上面の3点で固定されているのがよい。さらに好ましくは、車両の側方から見たときに、インバータの重心Gと3点の固定点の夫々を結ぶ3本のベクトルが、相互に120度の角度をなすように3点の固定位置が定められているとよい。そのような位置関係は、インバータを、車両側方からみて重心Gを中心として等角度に位置する3点で支持することになるので、ピッチ軸周りの振動に対して顕著に揺れ難くすることができる。なお、図3において、ベクトルAが重心Gの直上を向くようにブラケット6の上端を後方に延ばすと、インバータの重心Gと3点の固定点の夫々を結ぶ3本のベクトルが相互に120度の角度をなす。
上記説明した車載構造は、副次的効果として、部品点数を増加することなく衝突安全性を向上させることができるという利点を有する(ブラケット6がインバータ5の前面を覆う場合)。また、上記の車載構造は、特段の追加部品を要することなくインバータを固定することができるので、インバータの組み付け性にも優れている。
実施例におけるフロントコンパートメント9が「車内空間」の一例に相当する。しかしながら、本明細書が開示する車載構造は、インバータをフロントコンパートメントに搭載する場合に限られない。本明細書が開示する技術は、インバータをリアコンパートメントに搭載する場合にも適用することができる。
本明細書が開示する技術は、大きなサイズと重量を有するエンジンを搭載しない電気自動車に特に有効である。ここで、電気自動車には、バッテリとして燃料電池を搭載する車両も含まれる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:車載構造
3a、3b:サイドメンバ
4:クロスメンバ
5:インバータ
6:ブラケット
7:ボディ
8:ラジエータサポート
9:フロントコンパートメント
10:電気自動車
12、13、15:ボルト
14:フランジ
G:インバータ重心
3a、3b:サイドメンバ
4:クロスメンバ
5:インバータ
6:ブラケット
7:ボディ
8:ラジエータサポート
9:フロントコンパートメント
10:電気自動車
12、13、15:ボルト
14:フランジ
G:インバータ重心
Claims (2)
- 電気自動車におけるインバータの車載構造であり、
車内空間の両側方の夫々で前後に延びている2本のサイドメンバと、
2本のサイドメンバの間に架け渡されているクロスメンバと、
クロスメンバの上に搭載されているインバータと、
インバータをクロスメンバに固定するブラケットと、
を備えており、
ブラケットは、インバータの上面と接続しているとともにクロスメンバに接続していることを特徴とするインバータの車載構造。 - ブラケットは、インバータの前面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の車載構造。
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