JP2014042532A - T細胞受容体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】TCR分子への新規な機能の導入する際の課題の解決手段を提供する。
【解決手段】本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドは、少なくとも1つの構造ループ領域を有してなる。上記少なくとも1つの構造ループ領域は、抗原のエピトープへの、上記少なくとも1つの修飾された構造ループ領域の結合を可能にする、少なくとも1つの修飾を有してなる。未修飾のT細胞受容体ドメインポリペプチドは、上記エピトープと結合しない。
【選択図】なし

Description

本発明は、修飾されたT細胞受容体及びT細胞受容体ドメインポリペプチドのエンジニアリング及び調製のための新規な方法であって、特異的な結合特性をそれらに付与することを目的とする、前記方法に関する。更に、前記方法によって得られた修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチド、それを用いたライブラリの構築、並びにそれを用いた結合構造の検出及びスクリーニング法の開発に関する。
T細胞受容体(TCRs)は免疫系の重要な分子である。その細胞外ドメインは、抗体Fab断片と相同であり、構造的に類似する。
T細胞受容体は通常、α/β及びγ/δヘテロ二量体膜タンパク質としてT細胞の表面上にて発現する。各サブユニットは、短い細胞内部分、単一の膜内外α−ヘリックス及び2つの球状の細胞外Ig−スーパーファミリードメインからなる。TCR−ヘテロ二量体は、細胞外の、膜近位側の、鎖間ジスルフィド結合により安定化されている(非特許文献1:Immunobiology.5th ed.Janeway,Charles A、Travers,Paul、Walport,Mark、Shlomchik,Mark.New York and London:Garland Publishing、2001)。したがってTCRsは、4つの細胞外ドメイン、2つの膜近位(C末端)ドメイン(不変)、及び2つのN−末端ドメイン(可変)を有する。可変ドメインは、遺伝子の接合部及び定常部(β鎖の場合は多様性遺伝子部分)によって再編成される可変的な遺伝子部分によってコードされ、それにより、成熟した免疫系において観察されるTCR多様性が生じる。
T細胞受容体の定常ドメインと同様に両方の可変ドメインは、抗体ドメインと構造的に類似し、典型的な「免疫グロブリンフォールディング構造」を示す。各ドメインは、圧縮された逆平行βバレルの各々に対して強固にパッケージされた、2つのβシートと類似する構造を有する。TCR−定常ドメイン(C−ドメイン)の免疫グロブリンフォールディング構造は、4鎖シートに対してパッケージされた3鎖シートを有する。上記のフォールディング構造は、各シートのβ鎖間の水素結合によって、内部の逆向きシートの残基間の疎水性結合によって、及びシート間のジスルフィド結合によって安定化されている。3鎖のシートは、鎖C、F及びGを有し、4鎖のシートは鎖A、B、E及びDを有する。AからGの文字は、免疫グロブリンフォールディング構造のアミノ酸配列に沿った、β鎖中の連続的な位置のことを意味する。可変ドメイン中のフォールディング構造は、4鎖及び5鎖の2つのシート中に整列された、9つのβ鎖を有する。5鎖シートは、構造的に定常ドメインの3鎖シートに対応するが、余分のC鎖及びC’鎖を有する。残りの鎖(A、B、C、D、E、F、G)は、定常ドメインの免疫グロブリンフォールディング構造中のそれらの対応する鎖と同じトポロジー及び類似の構造を有する。定常ドメインの場合と同様、ジスルフィド結合は逆向きシート中のB鎖とF鎖を連結する。
アミノ酸配列及びTCRsのタンパク質ループ及びシートの指定の全ての付番は、IMGT付番号に従い行う(IMGT,the international ImMunoGeneTics information system@imgt.cines.fr、http://imgt.cines.fr、非特許文献2:Lefrancら、,(2003)Dev Comp Immunol 27:55 77.、非特許文献3:Lefrancら、(2005)Dev Comp Immunol 29:185−203)。
両方のTCR鎖の可変ドメインは、3つの超可変ループ又は相補性決定領域(CDRs)を有する。V−ドメイン(CDR1、CDR2、CDR3)中の3つのCDRsは、βバレルの端部でクラスターとして形成されている。CDRsは、免疫グロブリンフォールディング構造中のβ鎖のB−C、C’−C”及びF−Gを連結するループである。CDRs中の残基はTCR分子ごとに異なり、各TCRに抗原特異性を付与する役割を果たす。TCR分子の先端のV−ドメインは密接にパッケージされ、それにより、6つのCDRs(各可変ドメイン上に3つずつ)が共同し、抗原への特異的な結合のための表面(又は空腔)を形成する。TCRの天然の抗原結合部位はすなわち、軽鎖可変ドメイン中の鎖B−C、C’−C”及びF−G、並びに重鎖可変ドメイン中の鎖B−C、C’−C”及びF−Gを連結するループからなる。6つのCDRループによる抗原結合に対する特異的な貢献の程度は、TCRs間で多様に変化しうる。
T細胞受容体には治療及び診断への応用可能性があり、抗体分子と同様に操作できることが証明されている(例えば非特許文献4:Molloyら、Curr Opin Pharmacol.(2005)5:438−443、非特許文献5:Boulter&Jakobsen (2005)Clin Exp Immunol.142:454−460)。
様々なフォーマットによる、可溶性の及び細胞に固定された形のT細胞受容体のクローニング及び発現がなされている(例えば非特許文献6:Moyseyら、(2004)Anal Biochem.326:284−286、非特許文献7:Wulfing&Plueckthun(1994)J Mol Biol.242:655−669、非特許文献8:Boulterら、(2003)Protein Eng.16:707−711、非特許文献9:Schodinら、(1996)Mol Immunol 33:819 829、非特許文献10:Chungら、(1994)Proc Natl Acad Sci USA 91:12654 12658、非特許文献11:Plaksinら、(1997)J Immunol 158:2218 2227、非特許文献12:Willcoxら、(1999)Protein Sci 8:2418 2423、非特許文献13:Weberら、(2005)Proc Natl Acad Sci USA.102:19033−19038、特許文献1:国際公開第04050705A2号、特許文献2:国際公開第9618105A1号、特許文献3:国際公開第04033685A1号、特許文献4:国際公開第02066636A2号)。特許文献5:国際公開第02059263C2号は、ヒト化免疫系を有する遺伝子移入動物を用いたヒトTCR分子の開発を記載している。
これまで高い親和性結合の形成が報告され、抗体親和性成熟技術と同様に研究が行われている(例えば非特許文献14:Boulterら、Nat Biotechnol.(2005)23:349−354、非特許文献15:Chlewickiら、(2005)J Mol Biol.346:223−239、非特許文献16:Shustaら、(2000)18:754−759、非特許文献17:Hollerら、(2000)Proc Natl Acad Sci USA 97:5387−92)。特許文献6:国際公開第04044004A2号、特許文献7:国際公開第05116646A1号及び特許文献8:国際公開第9839482A1号は、TCR鎖のリボソーム及びファージディスプレイ、及び特異的な抗原に対するTCR分子の選抜方法を記載している。特許文献9:国際公開第0148145A2は、高親和性TCRsを記載している。また、T細胞受容体の細胞外可変ドメインの操作が、CDR−ドメインの修飾を介した特異性エンジニアリングを目的として行われている(特許文献10:国際公開第05114215A2、特許文献11:国際公開第0155366C2)。
TCR可変ドメインのCDRループは、抗原特異性を定める。当該ドメイン残り部分はフレームワーク(FR)と称される。これらのフレームワークドメインはβ鎖及びループ構造からなる。
天然のTCRドメイン中のCDRループでないループは、抗原結合又はエピトープ結合特異性を有さず、TCRドメインの正しいフォールディングに関与し、またCDRsの正しい配置、ドメインの間の相互作用に関与する。これらのループは本発明では構造ループと呼ばれる。
TCRドメインのフレームワーク領域は、例えば二量体の安定化のために修飾されてきた。特許文献12:国際公開第06/037960A2及び特許文献13:国際公開第06/056733A1は、非天然のジスルフィド結合による鎖間結合の導入を記載している。特許文献14:国際公開第0157211A1は、ロイシンジッパーペプチドとの融合による、TCR鎖のヘテロ二量体化を記載している。
特許文献15:欧州特許出願公告第0640130B1は、複数の生物学的結合部位(1つのVドメイン又はFvs)を有するキメラ免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質のアナログ(χタンパク質)を記載している。これらのタンパク質上の結合部位は分子の免疫グロブリンスーパーファミリーに関連する分子に由来する超可変ドメインからなり、例えば免疫グロブリン、細胞表面抗原(例えばT細胞抗原)及び細胞受容体(例えばFc受容体)などが挙げられる。超可変ドメインとは「CDR様ドメイン」と呼ばれ、リガンド結合部位を定める。更に、χタンパク質は少なくとも更に1つのリガンド結合部位部分、及びCDR様ドメインを有し、β−バレルドメインのFR様領域にスプライスされる。χタンパク質の各リガンド結合部位はゆえに、免疫グロブリンスーパーファミリーの分子に由来するCDR様ドメインからなる。例えば、リガンド結合部位はリガンドが抗原である免疫グロブリン分子に由来するCDRsからなる。特許文献15:欧州特許出願公告第0640130B1はすなわち、可変ドメインの構造ループに、免疫グロブリンスーパーファミリー分子に由来する所定の特異性を有するCDR様ドメインをスプライシングする方法を教示する。χタンパク質の発明者は、機能的な二重特異的な抗体がこの技術により調製できることを示唆している。しかしながら、この技術の要件として、可変ドメインのためのCDR様ループの相対的な方向(CDRループの左右対称性)が、構造ループの相対的な方向と近似するように再生されていることが挙げられる。特許文献15:欧州特許出願公告第0640130B1は、CDR様ループ左右対称のかかる近似が、構造ループにとり必要であることを記載している。しかしながら、CDRループ及び構造ループの相対的な方向が、充分な詳細及び解像度において同様であることは疑わしい。ゆえに、この技術によって二重特異的な分子を開発することが可能であることは、実は現在まで開示されていなかった。特許文献15:欧州特許出願公告第0640130B1は、R19.9(p−アゾベンゼンアルソネートに特異的なマウスモノクローナル抗体)、及び26−10(ウアバインに特異的なマウスモノクローナル抗体)が、それぞれ主要なCDRループを提供するフレームワークとして使用できることを例示している。マウス抗リゾチーム抗体D1.3のCDRループは、構造ループ領域とグラフトしている。しかしながら、グラフト後の機能的な特異性は記載されていない。他の実施例では、ウアバインに特異的な単鎖抗体26−10は、ウアバインに特異的な単鎖Fv抗体断片の構造ループ中にリゾチームに特異的な抗体からの2つのCDRsをグラフトした後にそのウアバイン特異性が保持されていることを記載している。しかしながら、この方法に従って作られた抗体断片が、リゾチーム特異的な結合特異性を有することは記載されていない。
TCR分子に更なる機能を提供するために、様々な融合分子がデザインされている。非特許文献18:Mosqueraら、(2005)J Immunol 174:4381−4388は、新規な抗体様の単鎖TCRヒトIgG1融合タンパク質を開示している。非特許文献19:Epelら、(2002)Cancer Immunol Immunother 51:565−573は、外毒素Aタンパク質に融合させた機能的な組換え単鎖T細胞受容体断片が、抗原提示細胞を選択的に標的としうることを開示している。また、IL−2に対する単鎖TCRsの融合により、トランスジェニックマウス腫瘍モデルにおける肺転移が減少することが報告されている(非特許文献20:Cardら、(2004)Cancer Immunol Immunother 53:345−357)。特許文献16:国際公開第06054096A2号はT細胞受容体(TCR)及びスーパー抗原との間で会合した、可溶性の二官能性タンパク質を記載している。
国際公開第04/050705A2号 国際公開第96/18105A1号 国際公開第04/033685A1号 国際公開第02/066636A2号 国際公開第02059263C2号 国際公開第04/044004A2号 国際公開第05/116646A1号 国際公開第98/39482A1号 国際公開第01/48145A2号 国際公開第05/114215A2号 国際公開第01/55366C2号 国際公開第06/037960A2号 国際公開第06/056733A1号 国際公開第01/57211A1号 欧州特許出願公告第0640130B1号 国際公開第06054096A2号
Immunobiology.5th ed.Janeway,Charles A、Travers,Paul、Walport,Mark、Shlomchik,Mark.New York and London:Garland Publishing、2001 Lefrancら、,(2003)Dev Comp Immunol 27:55 77. Lefrancら、(2005)Dev Comp Immunol 29:185−203 Molloyら、Curr Opin Pharmacol.(2005)5:438−443 Boulter&Jakobsen(2005)Clin Exp Immunol.142:454−460 Moyseyら、(2004)Anal Biochem.326:284−286 Wulfing&Plueckthun(1994)J Mol Biol.242:655−669 Boulterら、(2003)Protein Eng.16:707−711 Schodinら、(1996)Mol Immunol 33:819 829 Chungら、(1994)Proc Natl Acad Sci USA 91:12654 12658 Plaksinら、(1997)J Immunol 158:2218 2227 Willcoxら、(1999)Protein Sci 8:2418 2423 Weberら、(2005)Proc Natl Acad Sci USA.102:19033−19038 Boulterら、Nat Biotechnol.(2005)23:349−354 Chlewickiら、(2005)J Mol Biol.346:223−239 Shustaら、(2000)18:754−759 Hollerら、(2000)Proc Natl Acad Sci USA 97:5387 92 Mosqueraら、(2005)J Immunol 174:4381−4388 Epelら、(2002)Cancer Immunol Immunother 51:565−573 Cardら、(2004)Cancer Immunol Immunother 53:345−357
TCR分子に更なる治療、診断用及びアッセイ用途に適する機能をもたらすことは、大きな前進である。融合タンパク質の生成は、この目的を達成するための1方法である。しかしながら、融合タンパク質が治療に用いられる場合、それを産生するのはしばしば困難であり、免疫原性の強化につながりうる。可変ドメインの構造ループ領域へのCDRループのグラフティングは、二重特異的な分子のエンジニアリングにおいては示されていない。本発明は、TCR分子への新規な機能の導入する際の課題の解決手段を提供する。
本発明は好適には、前記T細胞受容体ドメインポリペプチドの構造ループ領域に少なくとも1つの修飾を有し、抗原のエピトープへの前記T細胞受容体ドメインポリペプチドの結合を決定する、T細胞受容体ドメインポリペプチドのエンジニアリング(engineering)方法を提供する。未修飾のT細胞受容体ドメインポリペプチドは前記エピトープと有意に結合しない。上記方法は、以下のステップからなる、
− 少なくとも1つの構造ループ領域からなるT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸を準備するステップと、
− 少なくとも1つの前記構造ループ領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基を修飾するステップと、
− 発現システム中に前記修飾された核酸を移すステップと、
− 前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを発現させるステップと、
− 前記エピトープと、発現された修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドとを接触させるステップと、
− 前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドが前記エピトープと結合するか否かを測定するステップ。
本発明によれば、そのように得られたT細胞受容体ドメインポリペプチドは、1つのエピトープのみならず、2つ以上のエピトープにも特異的に結合できる。本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドはヒト若しくは動物の由来であってもよく、好ましくはヒト若しくはマウス由来である。本発明のT細胞受容体ドメインは、可変若しくは定常ドメインから、好ましくはV−α、V−β、V−γ、V−δ、C−α、C−β、C−γ、C−δドメインから選抜できる。
本発明の特定の実施形態では、可変ドメインの修飾されたループ領域は、アミノ酸11〜19、アミノ酸43〜51、アミノ酸67〜80又はアミノ酸90〜99の範囲内で少なくとも1つの修飾を有することができる。定常ドメインの修飾されたループ領域は、アミノ酸9〜20、アミノ酸27〜36、アミノ酸41〜78、アミノ酸82〜85、アミノ酸90〜102又はアミノ酸107〜116の範囲内で少なくとも1つの修飾を有することができる。ドメインのアミノ酸位の付番はIMGTに従う。
本発明に係る方法は、例えば、前記核酸によってコードされるT細胞受容体ドメインポリペプチドの1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を生じさせる核酸の少なくとも1つのヌクレオチドの修飾を提供する。あるいは、少なくとも1つの構造ループ領域の少なくとも1つのアミノ酸は部位特異的ランダム変異導入により修飾される。ランダムに修飾された核酸分子は少なくとも1つのヌクレオチドの反復単位(コード配列NNS、NNN、NNK、TMT、WMT、RMC、RMG、MRT、SRC、KMT、RST、YMT、MKC、RSA、RRC)を有してもよく、コードはIUPACに従う。本発明は更に、この方法により得られるT細胞受容体ドメインポリペプチド、及び、タンパク質の調製のための、変異型のT細胞受容体ドメインポリペプチドのライブラリへのそれらの使用を提供する。本発明の方法は特に、T細胞受容体ドメインポリペプチド又はT細胞受容体の少なくとも1つの構造ループ領域に、少なくとも10の修飾を有するライブラリを提供し、あるいは、少なくとも1つの構造ループ領域に少なくとも3つのアミノ酸の突然変異を有する。T細胞受容体ドメインポリペプチドは、V−α、V−β、V−γ、V−δ、C−α、C−β、C−γ又はC−δであってもよい。
本発明はまた、分子の特異的な結合及び/又は検出方法の提供に関する。当該方法は、以下のステップを有してなる:
(a)修飾されたT細胞受容体のライブラリ又は本発明の方法により得られる修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを、前記分子を含有する試験サンプルと接触させるステップと、任意に、
(b)特異的なT細胞受容体/分子複合体の潜在的形成を検出するステップ。
更に、本発明はまた、以下のステップからなる、分子に特異的に結合する修飾されたT細胞受容体を分離する方法の提供に関する:
(a)修飾されたT細胞受容体のライブラリ又は本発明に係る方法により得られる修飾されたT細胞受容体を、前記分子を含有するサンプルと接触させるステップと、
(b)形成された特異的な修飾されたT細胞受容体/分子複合体を分離するステップと、
(c)任意に修飾されたT細胞受容体を前記複合体から分離するステップ。
また、以下を含む結合パートナーのキットの提供にも関する:
(a)修飾されたT細胞受容体のライブラリ、又は本発明の方法によって得た修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドと、
(b)抗原のエピトープを含有する結合分子。
キットの結合分子は、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを本発明に係るライブラリから選抜するために使用できる。
本発明はまた、少なくとも1つの構造ループ領域を有してなるT細胞受容体ドメインポリペプチドの提供に関し、前記少なくとも1つのループ領域は、少なくとも1つの修飾を有し、それにより、抗原のエピトープへの、前記少なくとも1つの修飾されたループ領域の結合を可能にしている。未修飾のT細胞受容体ドメインポリペプチドは、前記エピトープと結合しない。
前記T細胞受容体ドメインポリペプチドは、抗原(例えば血清タンパク質、Fc受容体、補体分子及び血清アルブミン)のエピトープと好ましくは結合できる。天然のTCRsがいかなるエフェクター機能も有しないため、これらの抗原に対する結合は有利であると考えられる。FcγI、II又はIII又は新生児Fc受容体又は補体タンパク質のようなFc受容体と結合する修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを開発することにより、TCRsはエフェクター機能を取得することが可能となる。あるいは、適当な場合、修飾されたTCRsが新生児Fc受容体へ結合することにより、血清中の半減期が長くなる。これは、特に治療において非常に有利でありうる。
本発明に係る修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドは、少なくとも2つの修飾された構造ループ領域を有してもよい。
更に、上記の少なくとも1つの修飾されたT細胞受容体ドメインからなるT細胞受容体は、V−α、V−β、V−γ、V−δ、C−α、C−β、C−γ、C−δ又はその一部であってもよく、前記少なくとも1つの修飾された構造ループ領域は、少なくとも3つのアミノ酸修飾を有してもよい。
本発明はまた、本発明に係る少なくとも1つの修飾されたT細胞受容体ドメイン、並びに少なくとも1つの他の結合分子を有する分子若しくは組成物の提供に関する。修飾されたT細胞受容体ドメインの当該他の結合分子は、免疫グロブリン、可溶性の受容体、リガンド、核酸及び炭水化物からなる群から選択される。前記分子又は組成物は更に、V−α、V−β、V−γ、V−δの修飾されたループ領域が、アミノ酸11〜19、アミノ酸43〜51、アミノ酸67〜80又はアミノ酸90〜99の範囲内で、少なくとも1つの修飾を有することを特徴とする(ドメインのアミノ酸位の付番はIMGTに従う)。
あるいは、前記分子又は組成物は、C−α、C−β、C−γ、C−δのループ領域中の、アミノ酸9〜20、アミノ酸27〜36、アミノ酸41〜78、アミノ酸82〜85、アミノ酸90〜102又はアミノ酸107〜116の範囲内で、少なくとも1つの修飾を有する(ドメインのアミノ酸位の付番はIMGTに従う)。
当然ながら、本発明は更に、前記T細胞受容体ドメインをコードする核酸又はその一部を提供する。
本発明に係る「構造ループ」又は「非−CDRループ」は、以下のとおり理解される。T細胞受容体は、いわゆる免疫グロブリンフォールディング構造を有するドメインでできている。本質的には、逆平行βシートがループにより連結され、圧縮逆平行βバレルを形成する。可変ドメインにおいて、ドメインのループの幾つかは、基本的にTCRの特異性(すなわち抗原に対する結合)に関与する。これらのループは、CDRループと呼ばれている。抗体可変ドメインの他の全てのループはむしろ、分子の構造及び/又は他のドメインとの相互作用に関与する。これらのループは、構造ループ又は非CDRループとして本願明細書において定められる。
T細胞受容体はT細胞上の分子であり、本発明においてはそれはまた、T細胞受容体に由来する分子を有してもよく、限定されないが、融合タンパク質、他の免疫グロブリンドメイン配列を有するT細胞受容体配列のキメラ、異なる種の配列を有する1つの種のT細胞受容体配列のキメラ、可溶性T細胞受容体、単鎖T細胞受容体、ジッパー二量体化T細胞受容体などが挙げられる。
TCR−ドメインポリペプチドは、少なくとも1つの構造ループからなるTCR可変若しくは定常ドメインに由来するアミノ酸のストレッチである。
本願明細書において、用語「免疫グロブリン」とは、抗体、その断片、可変ドメイン、定常部及びその融合分子のことを指す。
特に本発明は、修飾された構造ループによるT細胞受容体ドメインポリペプチドであって、アレルゲン、腫瘍関連抗原、自己抗原、酵素、Fc受容体、補体系のタンパク質、血清分子、細菌抗原、菌類の抗原、原生動物の抗原及びウイルス抗原からなる群から選択される抗原のエピトープに対して特異的に結合するポリペプチドをエンジニアリングするための方法に関する。好ましい実施形態では、T細胞受容体ドメインポリペプチドは、その修飾された構造ループにより、少なくとも2つのかかるエピトープ(各々異なり、同じ抗原に存在するか、又は異なる抗原に存在する)と特異的に結合する。
用語「T細胞受容体ドメインポリペプチド」、「修飾されたT細胞受容体ドメイン」、又は「本発明に係るT細胞受容体ドメイン」は、同様にT細胞受容体の誘導体を含むものと理解される。誘導体とは、本発明の1つ以上のT細胞受容体ドメイン及び/又は融合タンパク質のいかなる組合せであってもよく、詳細には、本発明のT細胞受容体ドメインは、他の1つ以上のタンパク質(例えば限定されないが、他のT細胞受容体ドメイン、免疫グロブリンドメイン、Fcパーツ、リガンド、足場タンパク質、酵素、毒素、血清タンパク質など)のいかなる部位で融合してもよい。本発明のT細胞受容体の誘導体はまた、組換え技術又は様々な化学的方法(例えば共有結合、静電的な相互作用、ジスルフィド結合など)によって、T細胞受容体ドメインポリペプチドを他の物質と結合させることにより調製できる。T細胞受容体ドメインポリペプチドに結合させる他の物質は、脂質、炭水化物、核酸、有機及び無機分子(例えばPEG、プロドラッグ又は薬剤)、又はそれらの任意の組み合わせでもよい。誘導体とは、同じアミノ酸配列を有するが、全部又は部分的に、非天然の又は化学的に合成したアミノ酸で修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドでもある。
本発明に係る設計された分子は、同様にそれ単独のタンパク質としても有用であるが、融合タンパク質又は誘導体としても有用であり、典型的には、大きなT細胞受容体構造の一部、又は完全なT細胞受容体分子の一部として融合してもよく、例えば二重特異的及び多重特異的な単鎖T細胞受容体又は複合物として融合してもよく、設計されたポリペプチドは、必要に応じて結合する。二重特異的、三重特異的な分子、あるいは同時により多くの特異性を有する分子の作製を目的として、設計されたタンパク質を使用することができ、それにより、かかる分子の所望の使用条件に従って、同時に結合の多重性を制御し、あらかじめ選択することが可能となる。
本発明では、抗原対する結合領域又は各種のアレルゲン、腫瘍関連抗原、自己抗原、酵素、Fc受容体、補体系のタンパク質、血清分子、細菌抗原、菌類の抗原、原生動物の抗原及びウイルス抗原に対する抗原結合部位を、所定のT細胞受容体ドメイン構造の構造ループ領域に導入することができる。抗原は、天然に存在する分子でもよく、又は化学的に合成した分子又は組換え分子であってもよく、それらは溶液中に存在してもよく、又は固体などの粒子であってもよく、又は細胞内若しくはウイルス表面に存在してもよい。
好適な抗原は血清タンパク質、Fc受容体(FcγI、II又はII等)、新生児Fc受容体、補体分子及び血清アルブミンである。
本発明に係る用語「アレルゲン、腫瘍関連抗原、自己抗原、酵素、Fc受容体、補体系のタンパク質、血清分子、細菌抗原、菌類の抗原、原生動物の抗原及びウイルス抗原」には、T細胞受容体又は抗体によって認識されうる全てのアレルゲン及び抗原及び標的、それらの断片、並びに小分子(例えばハプテン)などが包含される。本発明に係る用語「エピトープ」とは、本発明のT細胞受容体ドメインポリペプチドの結合ドメインとの、特異的な結合パートナー又は特異的な結合パートナーの一部を完全に形成できる分子構造のことを意味する。エピトープは、炭水化物、ペプチド、脂肪酸、有機物質、生体物質若しくは無機物質又はその誘導体、並びにそれらの任意の組み合わせから化学的に調製してもよく、それらに由来してもよい。エピトープがポリペプチドである場合、通常少なくとも3アミノ酸、好ましくは8〜50アミノ酸、より好ましくは約10〜20アミノ酸からなるペプチドである。特にペプチド長に関して上限はなく、ほとんどポリペプチド配列の全長であってもよい。エピトープは、直鎖状であってもよく、高次構造を有するエピトープであってもよい。直鎖状のエピトープは、ポリペプチド鎖の一次配列の単一セグメントからなる。直鎖状エピトープは隣接若しくは重複していてもよい。高次構造を有するエピトープは、ポリペプチドのフォールディングによる三次構造を形成するアミノ酸からなり、当該アミノ酸は、直鎖状配列中で必ずしも互いに隣接する必要はない。具体的には、エピトープは診断にとり有用な分子の少なくとも一部である(すなわち、サンプル中のエピトープの不在又は存在が、質的又は量的に、疾患若しくは健康状態、製造プロセス中の状況、又は環境及び食品の状況と対応する)。エピトープは、治療にとり有用な分子の少なくとも一部でもよい(すなわち、特異的結合ドメインの標的となり、疾患の過程を変化させる)。
好適な「アレルゲン、腫瘍関連抗原、自己抗原、酵素、Fc受容体、補体系のタンパク質、血清分子、細菌抗原、菌類の抗原、原虫性抗原及びウイルス抗原」、免疫学的に又は治療的に同等であることが既に証明されたか又はそうでありうるアレルゲン又は抗原であり、特に臨床有効性が試験されているそれらである。本発明の別の態様では、T細胞受容体ドメインポリペプチドの構造ループ領域中に、他の結合能力を導入することができ、例えば小分子、薬剤若しくは酵素、酵素の触媒部位若しくは酵素基質に対する結合能、又は、酵素基質の遷移状態アナログに対する結合能である。
好ましくは、構造ループ中の新しい抗原結合部位は、未修飾のT細胞受容体ドメインポリペプチドとは適合しない。すなわち、エフェクター分子、血清タンパク質又はFc受容体及び細胞表面分子などの標的は、本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドの結合パートナーとして好ましい。
本発明で使用する「特異的に結合する」という用語は、異質な分子集団の中から、関心の同族リガンドのみと結合する反応のことを指す。すなわち、所定のT細胞受容体ドメインポリペプチドは、所定の条件(例えば免疫グロブリンの場合、イムノアッセイ条件)下で、その特異的な「標的」と結合し、一方サンプル中に存在する他の分子とは有意な量において結合しない。
「発現システム」という用語は、コード配列と、操作可能に結合した所望の制御配列とを含む核酸分子のことを指し、これらの配列によって形質転換又はトランスフェクションされた宿主は、コードされたタンパク質を産生できる。形質転換を遂行するため、発現システムをベクター中に導入してもよいが、同様のDNAを宿主の染色体に導入してもよい。あるいは、発現システムをin vitro転写/翻訳のために使用してもよい。
本発明の好ましい実施形態では、TCRドメインポリペプチドはヒト若しくは動物の由来であり、好ましくはラクダ科の動物、ウサギ、チキン、マウス、イヌ、ウマ、ヒツジ又はマウス由来である。
修飾されたT細胞受容体ポリペプチドは様々な目的のために使用されることができるため、特に医薬組成物では、T細胞受容体ドメインポリペプチドはヒト若しくはマウス由来であるのが好ましい。当然ながら、修飾されたT細胞受容体ポリペプチドは、ヒト化若しくはキメラT細胞受容体ドメインポリペプチドでもよい。最も多くの本発明の好ましい実施形態では、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドは、ヒト由来又はいかなる種のT細胞受容体ドメインポリペプチドのヒト化ポリペプチドである。
T細胞受容体可変ドメインポリペプチドの構造ループ領域は、アミノ酸11〜19、アミノ酸43〜51、アミノ酸67〜80又はアミノ酸90〜99を含む構造ループから、好ましくは選抜される、(ドメイン中のアミノ酸位の付番はIMGTに従う)。
T細胞受容体定常ドメインポリペプチドの構造ループ領域は、アミノ酸9〜20、アミノ酸27〜36、アミノ酸41〜78、アミノ酸82〜85、アミノ酸90〜102又はアミノ酸107〜116を含む構造ループから、好ましくは選抜される、(ドメイン中のアミノ酸位の付番はIMGTに従う)。
好ましくは、構造ループ中の新しい抗原結合部位は、少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失及び/又は挿入により選抜された核酸によってコードされるT細胞受容体ドメインポリペプチドにおいて導入される。他の本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの構造ループ領域の少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、前記核酸によってコードされるT細胞受容体ドメインポリペプチドへの置換、欠失及び/又は挿入に結びつく。少なくとも1つのT細胞受容体ドメインポリペプチドのループ領域中の修飾が、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を生じさせることもあり、好ましくは点変異導入、ループ中の全アミノ酸の変異であり、より好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、最高30のアミノ酸の変異である。
修飾を導入する好適な方法は、部位特異的なランダム突然変異導入である。この方法により、ループ内の2つ以上の特異的なアミノ酸残基が、かかる構造ループへのランダムに生成された挿入物により、置換若しくは挿入される。他の好適な方法は、コンビナトリアルアプローチの使用である。少なくとも1つの領域は、好ましくはランダム、セミランダム若しくは特に部位特異的ランダム変異導入方法により、変異導入若しくは修飾される。他の好ましい実施形態では、少なくとも2つの、他の好ましい実施形態では少なくとも3つのT細胞受容体ドメインポリペプチドの構造ループ領域がランダム、セミランダム、特に部位特異的ランダム変異導入方法によって変異導入若しくは修飾される。これらの方法は、本発明のT細胞受容体ドメインポリペプチドの所望の位置でアミノ酸修飾を行うために使用できる。これらの場合、当該位置はランダムに選択されるか、又はアミノ酸変化が特異的な規則によりもたらされる。例えば、特定の残基をいかなるアミノ酸にも変異できるが、他の残基は一定限度内のアミノ酸に変異できる。これは、突然変異及び選抜のサイクルを変化させることによる、段階的な方法により、又は同時に実施することが可能である。本発明に係る好適な方法は、T細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸分子をランダムに修飾することである。詳細には、配列5’−NNS−3’、5−NNN−3又は5−NNK−3を有する構造ループコーディングドメイン中の、少なくとも1つのヌクレオチドの反復単位を有する。若干の実施形態では、修飾された核酸は、TMT、WMT、RMC、RMG、MRT、SRC、KMT、RST、YMT、MKC、RSA、RRC、NNK、NNN、NNS又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるヌクレオチドコドンからなる(コードはIUPACによる)。
ランダムに修飾された核酸分子は上記の同定された繰り返し単位を有してもよく、それは全ての周知の天然アミノ酸又はそのサブセットをコードする。核酸分子の修飾は、核酸のより大きな部分に合成オリゴヌクレオチドを導入することにより、又は新たに完全な核酸分子の合成によって実施できる。核酸の合成はトリヌクレオチドのビルディングブロックを用いて実施でき、それにより、アミノ酸のサブセットがコードされる場合、ナンセンス配列が組合わされる数を減少させることができる(例えばYanezら、Nucleic Acids Res.(2004)32:el58、Virnekasら、ucleic Acids Res.(1994)22:5600−5607)。好ましくは、修飾される位置は表層に露出するアミノ酸である。構造ループのアミノ酸の表層への露出は、T細胞受容体ドメインポリペプチドの周知のタンパク質構造から、実験的に決定された構造が利用できないかかるアミノ酸配列に対する類似性(相同性)により判断できる。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの構造ループに導入される修飾は、非修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドの構造ループのそれぞれの部位で天然に発生しない、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個のアミノ酸からなる。アミノ酸の修飾はバイアスを有するのが好ましく、それにより、タンパク質−タンパク質相互作用に通常関与することが公知であるアミノ酸を構造ループ領域に導入できる(例えばLea&Stewart(1995)FASEB J.9:87−93、Fellhouseら、(2006)J.Mol.Biol.357:100−114、Adib−Conquuyら、(1998)International Immunology 10:341−346、Lo Conteら、(1999)J.Mol.Biol.285:2177−2198、Zemlinら、(2003)J.Mol.Biol.334:733−749)。好ましい実施例では、本発明のT細胞受容体ドメインポリペプチドからなるポリペプチドの変異型のライブラリを、選抜のためのプールとして使用できる。当該修飾は、好ましくはアミノ酸のトリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、セリン、メチオニン、アラニン及びアスパラギンからなる群のうちの少なくとも1つ(好ましくは修飾された構造ループあたり少なくとも2つのアミノ酸)を含有するか又は導入する。本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドの中の構造ループの修飾は、好ましくは1つ以上のアミノ酸の欠失、置換又は挿入である。本発明では、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10及び最高30個のアミノ酸が、他のアミノ酸(また、修飾されたアミノ酸によって、)により削除若しくは置換されるか、又はT細胞受容体ドメインポリペプチドの構造ループ領域に挿入される。しかしながら、T細胞受容体ドメインポリペプチドの構造ループ領域に挿入されるアミノ酸の数は30、好ましくは25、好ましくは20を上回らないのが好ましい。
周知のように、特異的な結合特性及び類似性を有するタンパク質の同定及び単離に使用できる様々な選抜技術が存在する。例えばディスプレイ技術(例えばファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、細胞表面ディスプレイなど(後述))である。変異型TCRの産生及びスクリーニング方法は、公知技術である。修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸分子(常に下記の全部の明細書の全体にわたって含まれる:T細胞受容体及び修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを有するT細胞受容体断片)は、宿主細胞にクローニングでき、発現させることができ、それらの結合特性をアッセイできる。これらは周知の手順用して実施でき、本発明で使用できる様々な方法は、Molecular Cloning−−A Laboratory Manual,3.sup.rd Ed.(Maniatis,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,2001),and Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley&Sons)に記載されている。本発明の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸は、前記T細胞受容体ドメインポリペプチドを発現させるために、発現ベクターに組み込まれることができる。発現ベクターは典型的には、調節若しくは制御配列、選抜可能なマーカー、いかなる融合パートナー、及び/又は更なるエレメントと、使用可能な状態で連結されている(すなわち機能的な関係に置かれている)T細胞受容体ドメインポリペプチドを有してなる。本発明の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドは、核酸、好ましくは発現ベクター(修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸を含む)によって形質転換されて宿主細胞を、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドの発現を誘導するか又は生じさせる適当な条件下で培養することによって得られる。外生の核酸分子を宿主にもたらす方法は公知技術で、使用する宿主によって適宜変更できる。当然ながら、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドの発現のために、無細胞発現システムを使用できる。
本発明の好ましい実施形態では、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドは、発現させた後、精製若しくは単離されうる。修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを、当業者に公知の様々な方法で分離又は精製できる。標準的な精製方法としては、クロマトグラフィ技術が挙げられ、例えば親和性クロマトグラフィ、イオン交換又は疎水性クロマトグラフィ、電気泳動、免疫学的、沈殿、透析、濾過、濃縮及びクロマトフォーカス技術が挙げられる。精製は通常、特異的な融合パートナーを用いて行われる。例えば、GST融合タンパクの場合、抗体はグルタチオン樹脂を使用して精製でき、His−タグの場合、Ni2+親和性クロマトグラフィを使用し、flag−タグの場合、固定した抗flag抗体を使用する。適切な精製技術の一般的なガイダンスは、Antibody Purification:Principles and Practice,3.sup.rd Ed.,Scopes,Springer− Verlag,NY,1994を参照。当然ながら、宿主の表面に本発明に係る修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを発現させることも可能であり、特に細菌、昆虫又は酵母細胞の表面、又は、ファージ又はウイルスの表面に発現させてもよい。修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドは、限定されないがin vitro分析、in vivo及び細胞ベースの分析及び選抜技術などの、様々な方法を使用してスクリーニングできる。オートメーション及びハイスループットスクリーニング技術を、スクリーニング手順に利用してもよい。スクリーニングでは融合パートナー又はラベルを使用してもよく、例えば酵素、イムノラベル、アイソトープラベル又は小分子ラベル(例えば蛍光若しくは比色色素若しくは発光分子)を使用してもよい。好ましい実施形態では、T細胞受容体ドメインポリペプチドの機能的及び/又は生物物理学的特性を、in vitroアッセイにおいてスクリーニングされる。好ましい実施形態では、TCRは、機能(例えば反応を触媒する能力、結合特異性、交叉反応性又は標的に対する親和性)を基にスクリーニングされる。他の好ましい例として、好ましい修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを、例えば細胞又は生物体に導入することによって、in vivoで選抜できる。修飾されたドメインの必要な特性に応じて、特異的に結合する変異型物質を、血液又はリンパ液などの体液から、又は特定の器官から分離することもできる。アッセイでは、発色、蛍光、発光又はアイソトープラベルを含むがこれに限らない様々な検出方法を使用できる。周知のように、スクリーニング方法のサブセットは、ライブラリの好ましいメンバーを選抜するものである。上記方法は本願明細書では「選抜方法」と称し、これらの方法は、本発明において、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドのスクリーニングのために使用できる。変異T細胞受容体ドメインポリペプチドライブラリが選抜方法を使用してスクリーニングされるとき、ライブラリ中の好適な(すなわち幾つかの選抜基準を満たす)メンバーのみが選抜され、分離され、及び/又は観察される。明らかなように、最も適当な変異型だけが観察されるため、かかる方法は、ライブラリメンバーの合理性を個々に検定する方法によってスクリーニングできるものより大きなライブラリのスクリーニングが可能となる。選抜は、いかなる方法、技術又は融合パートナー(共有結合又は非共有結合的)によっても行うことができる。T細胞受容体ドメインポリペプチドの発現型はその遺伝子型と連結し、すなわち、抗体の機能は、それをコードする核酸と連結している。例えば、選抜方法としてのファージディスプレイの使用は、遺伝子IIIタンパク質へのライブラリメンバーの融合によって可能となる。繊維状のファージ遺伝子IIIタンパク質が最も頻繁に使われるが、タンパク質VIIIのような他のコートタンパク質、タンパク質VII、タンパク質VI及びタンパク質IXも同様に使用できる。このようにして、また、若干の基準(例えばT細胞受容体ドメインポリペプチドの標的に対する結合親和性)を満たす修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドの選抜又は単離においては、それをコードする核酸の選抜又は分離が行われる。一旦分離されると、修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする遺伝子を更に増幅できる。この単離及び増幅のプロセスはパニングと呼ばれ、繰り返すことができ、それによりライブラリ中の良好なT細胞受容体ドメインポリペプチドの変異体を増加させることができる。結合する核酸の塩基配列決定により、最終的な遺伝子同定が可能となる。
様々な選抜方法が公知であり、本発明においてT細胞受容体ドメインポリペプチドのライブラリのスクリーニング技術において使用できる(国際公開第04044004A2号、国際公開第05116646A1号及び国際公開第9839482A1号、Dunnら、(2006)Protein Sci.15:710−721、Richmannら、(2006)Protein Eng Des Sel.19:255−264)。これらには、例えば特異的抗体及びペプチドの選抜のために用いられる全ての技術が挙げられ、限定されないが、かかる技術としては、限定されないが、ファージディスプレイ(Phage display of peptides and antibodies:a laboratory manual,Kayら、,1996,Academic Press,San Diego,Calif.,1996;Low−manら、,1991,Biochemistry 30:10832−10838;Smith,1985,Science 228:1315−1317)、およびその変形方法(例えば選択的ファージ感染)、(Malmborgら、1997,J MoI Biol 273:544−551),選択的感染ファージ(Krebberら、,1997,J MoI Biol 268:619−630)、及び遅延感染性パニング(Benharら、,2000,J MoI Biol 301:893−904)、細胞表面ディスプレイ(Witrrup,2001,CurrOpin Biotechnol,12:395−399)、例えば細菌ディスプレイ(Georgiouら、,1997,Nat Biotechnol 15:29−34;Georgiouら、,1993,Trends Biotechnol 11:6−10;Leeら、,2000,Nat Biotechnol 18:645−648;Junら、,1998,Nat Biotechnol 16:576−80)、酵母(Boder&Wittrup,2000,Methods Enzymol 328:430−44;Boder&Wittrup,1997,Nat Biotechnol 15:553−557)、及び哺乳動物細胞(Whitehornら、,1995,Bio/technology 13:1215−1219)、並びにin vitroディスプレイ技術(Amstutzら、,2001,Curr Opin Biotechnol’12:400−405)、例えばポリソームディスプレイ(Mattheakisら、,1994,Proc Natl Acad Sci USA 91:9022−9026)、リボソームディスプレイ(Hanesら、,1997,Proc Natl Acad Sci USA 94:4937−4942)、mRNAディスプレイ(Roberts&Szostak,1997,Proc Natl Acad Sci USA 94:12297−12302;Nemotoら、,1997,FEBS Lett 414:405−408)、及びリボソーム不活化ディスプレイシステム(Zhouら、,2002,J Am Chem Soc 124,538−543)などが挙げられる。
本発明で使用できる他の選抜方法には、ディスプレイに依存しない方法も含まれ、例えばペリプラズム発現及びサイトメトリによるスクリーニングなどのin vivo方法(Chenら、,2001,Nat Biotechnol 19:537−542)、抗体フラグメント相補性アッセイ(Johnsson&Varshavskiy,1994,Proc Natl Acad Sci USA 91:10340−10344; Pelletierら、,1998,Proc Natl Acad Sci USA 95:12141−12146)、酵母ツーハイブリッド法(Fields&Song,1989,Nature 340:245−246)選抜モード(Visintinその他、1999、Proc Natl Acad Sci USA 96:11723−11728)などが挙げられる。
代替的な実施形態では、発現ベクター上の特異的な配列と結合する融合パートナーによって選抜が可能となり、すなわち、融合パートナー及び付随するT細胞受容体ドメインポリペプチドのライブラリメンバーを、共有結合又は非共有結合的に、それらをコードする核酸と結合させることを特徴とする。例えば、国際公開第9308278号では、本発明で使用できるかかる融合パートナー及び技術を記載している。代替的な実施形態では、T細胞受容体ドメインポリペプチドの発現が細胞の成長、再生又は生存にとり有利である場合、in vivo選抜を実施できる。
選抜方法として、「誘導型進化」と言われる方法が存在する。これらの方法は、選抜の間、好ましい配列の交雑又は繁殖が行われ、しばしば新しい突然変異の取り込みも行われる。当業者に周知のように、誘導型進化方法は、複数のポリペプチドの中からの最も好ましい配列の同定を容易に可能とし、スクリーニングされる配列の多様性を増加させることができる。様々な誘導型進化方法が公知であり、本発明においてT細胞受容体ドメインポリペプチドのスクリーニング技術として使用でき、限定されないが例えばDNAシャッフリング(国際公開第00/42561A3号、国際公開第01/70947A3号)、エキソンシャッフリング(米国特許第6365377号;Kolkman&Steinmer,2001,Nat Biotechnol 19:423−428)、ファミリーシャッフリング(Crameriら、,1998,Nature391:288−291;米国特許第6376246号)、選抜的なコンビナトリアルランダム化(国際公開第03012100号、国際公開第04018674A1号)、トランジェントテンプレートにおけるランダムキメラ生成(Cocoら、2001,Nat Biotechnol 19:354−359)、ゆらぎ伸長プロセスによる分子進化(StEP)によるin vitro組み換え(Zhaoら、1998, Nat Biotechnol 16:258−261;ら、1998,Nucleic Acids Res 26:681−683)、エキソヌクレアーゼによる遺伝子アセンブリ(米国特許第6352842号;米国特許第6361974号)、遺伝子部位飽和変異導入(商標)(米国特許第6358709号)、遺伝子リアセンブリ(商標)(米国特許第6358709号)、SCRATCHY(Lutzら、,2001,Proc Natl Acad Sci USA 98:11248−11253)、DNA断片化方法(Kikuchiら、,Gene 236:159−167)、一本鎖DNAシャッフリング(Kikuchiら、,2000,Gene 243:133−137)、誘導進化による抗体工学(Applied Molecular Evolution)(米国特許第5824514号、米国特許第5817483号、米国特許第5814476号、米国特許第5763192号、米国特許第5723323号)。
好ましい実施形態では、T細胞受容体ドメインポリペプチドを、1つ以上の細胞ベース若しくはin vivoアッセイを使用してスクリーニングする。かかるアッセイでは典型的には、精製若しくは未精製の修飾免疫グロブリンを外因的に添加し、細胞を、個々のT細胞受容体ドメインポリペプチド又はライブラリに属するT細胞受容体ドメインポリペプチドのプールに曝露する。しかしこれらのアッセイは典型的には、常にではないがT細胞受容体ドメインポリペプチドの機能に基づく。すなわち、その標的と結合し、若干の生化学応答を媒介する、本発明の方法により修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドの能力(例えばエフェクター機能、リガンド/受容体結合阻害、アポトーシスなど)である。かかるアッセイでは、T細胞受容体ドメインポリペプチドに対する細胞の応答(例えば細胞生存、細胞死、細胞形態の変化)又は転写活性化(例えば天然遺伝子又はリポーター遺伝子の細胞発現)をモニターすることが必要な場合もある。例えば、かかるアッセイでは、ADCC、ADCP又はCDCを引き出す変異T細胞受容体ドメインポリペプチドの能力を測定できる。
幾つかのアッセイでは、標的細胞以外にも、例えば血清補体、又はエフェクター細胞(例えば末梢血単球(PBMCs)、NK細胞、大食細胞など)などの細胞若しくは構成要素を添加する必要がある場合もある。かかる更なる細胞は、いかなる生物体(好ましくはヒト、マウス、ネズミ、ウサギ及びサル)から調製してもよい。T細胞受容体ドメインポリペプチドは標的を発現する特異的な細胞系のアポトーシスを引き起こすことができ、又は、アッセイに加えられた免疫細胞による標的細胞への攻撃を媒介できる。細胞死又は生存度のモニタリング方法は公知技術で、色素、免疫化学的手段、細胞化学的手段及び放射性物質の使用に基づくものが挙げられる。例えば、カスパーゼ染色アッセイはアポトーシスの測定を可能とし、放射性基質若しくは蛍光色素の取り込み若しくは放出により、細胞増殖若しくは活性化をモニターすることが可能となる。あるいは、死細胞若しくは傷害性標的細胞を、1つ以上の天然の細胞内構成要素(例えば乳酸脱水素酵素)の放出を測定することによってモニターしてもよい。転写活性化は、細胞ベースのアッセイにおいて、機能をアッセイする方法として有用でありうる。この場合、上方制御されうる天然遺伝子又は免疫グロブリンをアッセイすることにより、反応をモニターできる。例えば、特異的なインターロイキンの放出を測定するか、あるいはリポーター構築物を測定してもよい。細胞ベースのアッセイでは、修飾免疫グロブリンの存在への応答としての、細胞の形態的な変化の測定を行ってもよい。かかるアッセイのための細胞タイプは原核生物でも真核生物でもよく、従来技術において周知である様々な細胞系を使用できる。
あるいは、細胞ベースのスクリーニングは、変異型のT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸によって形質転換又はトランスフェクションされた細胞を使用して実施できる。この場合、本発明の変異型のT細胞受容体ドメインポリペプチドを外因的に細胞に添加するのではない(例えばAuf der Maur,2004,Methods,34:215−224と同様の方法)。他の代替的な方法では、細胞ベースのスクリーニングにおいて細胞表面ディスプレイを利用する。細胞表面上の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドのディスプレイを可能にする融合パートナーを使用してもよい(抗体断片に関して示されたのと同様に:Witrrup,2001,Curr Opin Biotechnol,12:395−399)。好ましい実施形態では、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドの免疫原性を、1つ以上の免疫学的又は細胞ベースのアッセイを使用して実験的に測定できる(例えばKorenら、,2002,Current Pharmaceutical Biotechnology 3:349−360、Chirinoら、,2004,Drug Discovery Today 9:82−90、Tangriら、,2005,J.Immunol.174:3187−3196、Hermelingら、,2004,Pharm.Res.21:897−903)。
好ましい実施形態では、ex vivoでのT細胞活性化アッセイを、実験により免疫原性を定量するために用いる。この方法では、マッチされたドナーからの抗原提示細胞及びナイーブなT細胞を、1回以上、ペプチド又は目的の全長T細胞受容体ドメインポリペプチドで曝露する。T細胞活性化は、例えばサイトカイン放出をモニターするか又はトリチル化されたチミジンの取り込みを測定するなど、多くの方法を使用して検出できる。
他の好ましい実施形態では、LUMINEX技術を用いてサイトカイン放出を測定する(例えばde Jagerら、,Clin.Diagn.Lab.Immunol.,2003,10:133−139)か、又はインターフェロンγ産生をElispotアッセイ(Schmittel et.al.,2000,J.Immunol.Meth.,24:17−24)を使用してモニターする。本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドの生物学的特性は、ex vivoによる細胞、組織及び全生物体を用いた実験により特徴づけることが可能である。周知のように、限定されないがマウス、ネズミ、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ及びサルなどの動物において、in vivoにおいて薬剤を試験し、それにより当該薬の、治療への有効性を疾患又は疾患モデルと比較し、あるいは薬物動態学、薬力学、毒性及び他の特性を測定することが可能となる。当該動物は疾患モデルと称することもある。当該治療は、ヌードマウス、SCIDマウス、異種移植片マウス及びトランスジェニックマウス(ノックイン及びノックアウトを含む)などのマウスを用いて通常試験される。かかる実験により、当該抗体を治療薬として使用する際における、適当な半減期、エフェクター機能、アポトーシス活性、細胞障害若しくは細胞溶解活性などの、使用可能性を決定するために有用なデータが提供されうる。
いかなる生物体(好ましくは哺乳類)も、試験に使用できる。例えばサルは、ヒト(霊長類)に対するそれらの遺伝子の類似性のため、適切な治療のモデルであり、ゆえに、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドの有効性、毒性、薬物動態学、薬力学、半減期又は他の特性を試験するために使用できる。ヒトにおける臨床試験は、薬剤として承認を受けるために最終的に必要とされ、また当然ながら、これらの試験も本発明に包含される。すなわち、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、それらの治療有効性、毒性、免疫原性、薬物動態学及び/又は他の臨床特性を決定するため、ヒトにおける試験にも使用できる。
本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドの使用により、広範囲にわたる抗体製品の応用が可能となる。一実施形態では、本発明の変異T細胞受容体ドメインポリペプチドは、治療又は予防に使用でき、例えば能動又は受動免疫療法、調製、産業的若しくはアッセイ用途、診断用途、工業用化合物又は試験用試薬など(好ましくは治療用途)への応用が可能である。修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドの使用により、モノクローナル若しくはポリクローナルなT細胞受容体ドメインポリペプチドの合成が可能となる。好ましい実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを用いて、標的抗原を運ぶ標的細胞(例えば癌細胞)を捕捉するか又は殺傷する。
代替的な実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを用いて、標的抗原をブロック、アンタゴナイズ又はアゴナイズし、例えばサイトカイン又はサイトカイン受容体をアンタゴナイズする。他の好適な実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを用いて、標的抗原をブロック、アンタゴナイズ又はアゴナイズし、それにより標的抗原を運ぶ標的細胞の殺傷が可能となる。他の好適な実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを用いて、成長因子又は成長因子受容体をブロック、アンタゴナイズ又はアゴナイズし、それにより標的抗原を運ぶか又は必要とする標的細胞の殺傷が可能となる。好適な代替的実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを用いて、酵素及び酵素基質をブロック、アンタゴナイズ又はアゴナイズする。他の好適な実施形態では、本発明の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを用いて、伝染性の物体(例えばウイルス、バクテリア又は菌類)を中和する。
他の好適な実施形態では、本発明の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドにより、血清半減期が長期化する。他の好適な実施形態では、本発明のの修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドにより、エフェクター機能が示される。本発明の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドは、様々な治療に使用できる。好ましい実施形態では、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドからなるT細胞受容体を患者に投与し、特異性障害を治療する。本発明のための「患者」は、ヒト及び他の動物(好ましくは哺乳類及び最も好ましくはヒト)を指す。本願明細書における「特異性障害」とは、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを含有する医薬組成物の投与により改善されうる障害のことを意味する。一実施形態では、本発明に係る修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、患者に投与される唯一の治療的有効成分である。
あるいは、本発明に係る修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与してもよく、かかるものとしては限定されないが、細胞障害剤、化学療法剤、サイトカイン、成長抑制剤、抗ホルモン剤、キナーゼ阻害剤、抗血管新生剤、心臓保護剤又は他の治療薬が挙げられる。上記修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、1つ以上の他の治療に付随して投与してもよい。例えば、本発明の変異T細胞受容体を、化学療法、放射線療法、又は化学療法及び放射線療法の両方において、患者に投与できる。一実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、1つ以上の抗体との組み合わせで投与してもよい。本発明の他の実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチド及び1つ以上の他の制癌治療を用いて、癌細胞をex vivoで治療してもよい。かかるex vivoな治療は、骨髄移植、及び特に自家骨髄移植において有用であると考えられる。本発明のT細胞受容体ドメインポリペプチドが更に他の治療技術(例えば手術)と組み合わせて使用できることは当然である。
様々な他の治療薬を、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドと組み合わせて投与することができる。一実施形態では、上記修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを、抗血管新生剤(血管の形成をブロックするか、ある程度阻害する化合物)と共に投与する。抗血管形成因子とは、例えば、成長因子又は成長因子受容体に結合することにより、脈管形成を促進しうる、小分子又はタンパク質(例えば抗体、Fc融合分子又はサイトカイン)である。本願明細書において、好適な抗血管新生因子とは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と結合する抗体である。代替の実施形態では、上記修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、適応免疫反応を誘発するか又は強化する治療薬(例えばCTLA−4を標的とする抗体)と共に投与される。代替的な実施形態では、修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドはチロシンキナーゼ阻害剤(ある程度チロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性を阻害する分子)と共に投与される。代替的な実施形態では、本発明の修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、サイトカインと共に投与される。
本明細書で用いられる「サイトカイン」とは、1つの細胞集団から放出され、細胞間メディエータ(ケモカインなど)として他の細胞において機能する、タンパク質の総称を意味する。医薬組成物とは、本発明に係る修飾T細胞受容体ドメインポリペプチド及び1つ以上の治療的活性薬剤を処方したものである。本発明の変異抗体を含有する安定な製剤は、所望の純度の前記免疫グロブリンと、任意の薬理学的に許容できる担体、賦形剤又は安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980)を混合することによって調製され、保存の際には凍結乾燥又は水溶液の形で調製される。in vivo投与のために使用される製剤は、好ましくは無菌状態である。これは滅菌フィルター又は他の方法による濾過によって容易に実施できる。本願明細書に開示される修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドと他の治療的有効成分は、免疫リポソームとして製剤化でき、及び/又はマイクロカプセル中に封入できる。
本発明の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドからなる医薬組成物又は異なる修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドの混合物の投与は、好ましくは滅菌水溶液の形で、限定されないが以下のような様々な形態で実施できる:経口的、皮下、静脈注射、鼻腔内、耳内、経真皮、局所投与(例えばゲル、塗剤、ローション剤、クリームなど)、腹膜内、筋肉注射、肺内、経膣、非経口、直腸内又は眼内投与。
本発明の好ましい実施形態では、上記発現システムはベクターを有してなる。公知技術のいかなる発現ベクターも、必要に応じて本発明に使用できる。
修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを、好ましくは、宿主(より好ましくはバクテリア、イースト、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞若しくは哺乳動物細胞、又は植物若しくは動物の器官、又は完全な植物体又は動物体)において発現させる。限定されないが、哺乳動物細胞(動物の細胞)、植物細胞、バクテリア(例えば枯草菌、大腸菌)、昆虫細胞及びイースト(例えばPichia pastoris、酵母)などの多様な適当な宿主細胞を、本発明の修飾されたポリペプチドを発現させるために使用できる。例えば、本発明で使用できる様々な細胞系は、ATCC細胞カタログ(アメリカンタイプカルチャーコレクションから入手可能)に記載されている。更に、動植物を、本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドの発現のための宿主として使用できる。発現若しくはトランスフェク用のションベクター若しくはカセットは、使用する宿主に応じて適宜選択できる。当然ながら、非細胞若しくは無細胞タンパク質発現システムを使用できる。in vitro転写/翻訳タンパク質発現プラットフォーム(充分な量のタンパク質を産生する)は無細胞タンパク質発現において多くの効果を発揮し、細胞ベースの発現システムにおいて典型的に存在する面倒な上流及び下流の工程(例えば宿主細胞の形質転換、培養又は溶解)の必要がない。本発明の別の態様は、前記T細胞受容体ドメインポリペプチドの構造ループ中に少なくとも1つの修飾を有し、抗原のエピトープに前記分子の結合を決定する、T細胞受容体ドメインポリペプチドを有してなる分子の調製方法、又はそれを含有する医薬品の提供に関する。未修飾の分子は前記エピトープと有意に結合しない。
上記方法は、以下のステップからなる:
−少なくとも1つの構造ループ領域を有するT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸を準備するステップと、
−前記少なくとも1つの構造ループ領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基を修飾するステップと、
−発現システム中に前記修飾された核酸を移すステップと、
−前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを発現させるステップと、
−発現された修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドとエピトープとを接触させるステップと、
−前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドが前記エピトープと結合するか否かを測定するステップと、
−前記エピトープに結合する修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを準備し、任意に医薬品として調製するステップ。
特に本発明は、少なくとも1つの第1の分子に特異的に結合する多重特異的分子、又はそれを含有する医薬品の調製方法に関する。当該分子は、前記T細胞受容体ドメインポリペプチドの少なくとも1つの構造ループ領域の各々に少なくとも1つの修飾を有し、前記少なくとも1つのループ領域の、アレルゲン、腫瘍関連抗原、自己抗原、酵素、Fc受容体、補体系のタンパク質、血清分子、細菌抗原、菌類の抗原、原虫性抗原及びウイルス抗原からなる群から選択される少なくとも1つの第2の分子に対する特異的な結合を決定し、未修飾の構造ループ領域を含有するT細胞受容体ドメインポリペプチドは、前記少なくとも1つの第2の分子と特異的に結合しない。
上記方法は、以下のステップからなる:
−少なくとも1つの第1の分子に特異的に結合する、少なくとも1つの構造ループ領域を有するT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸を準備するステップと、
−前記核酸によってコードされる少なくとも1つの前記ループ領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基を修飾するステップと、
−発現システム中に前記修飾された核酸を移すステップと、
−前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを発現させるステップと、
−前記少なくとも1つの第2の分子と、発現された修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドとを接触させるステップと、
−前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドが特に第2の分子と結合する否かを測定するステップと、
−前記少なくとも1つの第2の分子に特異的に結合する修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを準備し、任意に医薬品として調製するステップ。
本発明のTCRはα(又はγ)鎖、及びβ(又はδ)鎖を有してもよく、それらは共に、特異的な結合パートナーと結合する可変領域を形成し、第2の特性は、α(又はγ)鎖、又はβ(又はδ)鎖の可変若しくは定常ドメインの修飾された構造ループにより形成されうる。結合部位は、少なくとも1又は2つの可変若しくは定常ドメイン(例えば構造的に隣接されることができる重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン)上の複数の非CDRループにより形成される場合もある。
修飾されたT細胞受容体又は誘導体は、少なくとも1つの修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを有する、全長T細胞受容体又はT細胞受容体断片(例えば可溶性TCR、単鎖−TCR)でもよい。デザイン次第で、それは同じ若しくは異なる結合パートナーに、一価的、又は多価的に結合してもよく、又は異なる結合パートナーごとに異なる価数で結合してもよい。例えば、T細胞受容体の断片、又は同等にscTCRを設計する際は、両方の可変ドメインの構造ループが別に設計され、CDRsによって形成される結合部位と同じエピトープと結合するような方法で行い、それにより、それぞれ三価T細胞受容体又はscTCRが得られる。例えば、CDRsにより形成される天然の結合部位が、設計された可変ドメインとは異なる標的エピトープを認識する場合、得られるTCR断片又はscTCRは、一価で第1の標的と結合し、二価で第2の標的に結合する。その際、それぞれ可変ドメインの修飾された構造ループにより独立に結合する。当業者にとり自明であるが、このモジュラー設計の原理は、多数の異なる方法で応用することが可能である。α(γ)及びβ(δ)ドメインの非CDRドメインに、特異的な結合部位の選抜及び設計に利用できる、多くの様々な構造ループが存在するため、2つ以上の特異性を有するT細胞受容体誘導体を設計することも可能である。例えば、CDRsによって第1の標的を認識するVα及びVβドメインを別に設計し、それにより、それぞれの可変ドメインの修飾された構造ループによって媒介される相互作用により、異なる(第2及び第3の)標的と特異的に結合させることが可能となる。すなわち、三重特異的なT細胞受容体又はT細胞受容体の断片(単鎖など)を調製し、それにより、その様々な標的の各々に対して一価結合させてもよい。1つのポリペプチド鎖内の特異的な結合ドメインは、ペプチドリンカーの有無にかかわらず連結できて、それらは必ずしも天然の順序でなくともよい。
T細胞受容体の定常ドメイン若しくは可変ドメインでもない部分はエフェクター機能を媒介する。T細胞受容体断片がADCC、ADCP又はCDCを示さない理由がそれである。本発明では、エフェクター分子(例えばFc受容体及び補体タンパク質)にT細胞受容体結合を設計することは可能である。T細胞受容体ドメインの修飾されたループは、修飾されたループ構造のライブラリから選抜してもよく、又は1つ以上のエフェクター分子と結合するように設計してもよい。T細胞受容体又はかかるエフェクター分子結合部位を有する断片単独は、抗体と同様のエフェクター機能を可能にし、強い若しくは弱いADCC及びADCP及び/又は補体活性化を示すよう、適宜設計できる。本発明に係るかかるT細胞受容体ドメインポリペプチドの潜在的エフェクター機能を選抜するためには、変異体T細胞受容体ドメインポリペプチドからなるライブラリを、Fc受容体及び/又は補体因子(例えばC1q)に対する結合に関して選抜するのが好ましい。選抜に供されるFcγ受容体は、天然にそれぞれの受容体を発現する細胞の表面に提示させてもよく、又は受容体の細胞外部分を各々発現及び精製してもよい。IFN−g刺激されたU937細胞(CRL−1503、ATCC)を標的細胞として用いて、ファージディスプレイされた修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを単離してもよい。具体的には、高親和性IgG受容体(FcγRI)に対して結合する(Berntzenら、,2006,Protein Eng Des Sel.19(3):121−8と同様)。Fc受容体に対する結合は、選抜された修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドで特異的に染色される標的として、U937細胞を使用したFACSによって試験できる。更に、ヒトのFcγ受容体の細胞外ドメインをクローニングし、可溶性タンパク質又は融合タンパク質として発現させることができ、潜在的結合パートナーの特異的な結合アッセイに使用できる(例えばBerntzenら、,2005,J Immunol Methods.298(1−2):93−104)。補体因子C1qに対して特異的に結合する修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドの同定及び評価は、基本的に同様に実施できる(例えばLauvrakら、1997 Biol Chem.378(12):1509−19)。
かかるT細胞受容体ドメインポリペプチドを有する分子のin vivo半減期を長期化させるため、FcRnに対する結合を基に、本発明に係る変異体T細胞受容体ドメインポリペプチドのライブラリを用いて選抜してもよい。選抜に供されるFcRn受容体は、それぞれの受容体を天然に発現する細胞の表面に、又は、それぞれの受容体の細胞外部分のディスプレイ及び精製により調製できる。本発明においては、FcRnの第1のスクリーニングにより、変異体T細胞受容体ドメインポリペプチド(又はかかる変異体T−細胞受容体ドメインポリペプチドを有する分子)を選抜でき、それを更にin vitroで試験し、FcRn受容体を発現する細胞への結合を基に、FACS実験において更に解析できる。スクリーニング及び選抜は、FcRnへの結合のpH依存を考慮してもよい(国際公開第02/060919号、国際公開第97/34631号)。それは更に、例えば表面プラスモン共鳴技術などにより、様々な組換えFcRn、アイソフォーム及びアロタイプへの結合親和性のランキングによって特徴づけることが可能である(例えばDall’ Acquaら、Journal of Immunology,2002,169:5171 5180)。
T細胞受容体は、好ましくはT細胞受容体又はその部分の、α及びβ鎖、又はγ及びδ鎖を有してなる。修飾されたT細胞受容体は、α又はβ鎖、又はγ及びδ鎖(少なくとも1つの可変ドメイン)を有してもよい。本発明に係るT細胞受容体は好ましくは、T細胞受容体又はその一部の、少なくとも1つの定常及び/又は少なくとも1つの可変ドメインを有してなる。
本発明に係る他の好適なT細胞受容体は、少なくとも2つの構造ループ領域を有する、α、β、γ又はδ鎖のドメイン又はその一部からなり、前記少なくとも2つの構造ループ領域は、少なくとも2つの修飾された構造ループ領域を形成する少なくとも2つのアミノ酸修飾を有する点を特徴とし、前記少なくとも2つの修飾された構造ループ領域は、抗原の少なくとも1つのエピトープと特異的に結合する。
本発明の好ましい実施形態では、分子に対する修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドの特異的な結合は、以下からなる群から選択される結合アッセイにより測定される:免疫学的アッセイ、好ましくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、表面プラスモン共鳴アッセイ、飽和転送差核磁気共鳴分光アッセイ、転送NOE(trNOE)核磁気共鳴分光アッセイ、競争的アッセイ、組織結合アッセイ、生細胞結合アッセイ及び細胞抽出アッセイ。当該結合アッセイは、限定されないが、以下のような公知の様々な方法を用いて実施することができる:FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)及びBRET(生物発光共鳴エネルギー移動)−ベースのアッセイ、ΑlphaScreen(TM)(増幅蛍光近接ホモジニアスアッセイ)、シンチレーション近接アッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、SPR(表層プラスモン共鳴、別名「BIACORE」(TM))、等温滴定熱量測定、示差走査熱量測定、ゲル電気泳動、及びクロマトグラフィなどのゲル濾過。修飾ポリペプチドは、好ましくは以下からなる群から選択されるラベル又はリポーター分子とコンジュゲートしている:有機分子、酵素ラベル、放射性ラベル、染色ラベル、蛍光ラベル、発色ラベル、発光ラベル、ハプテン、ジゴキシゲニン、ビオチン、金属複合体、金属、コロイド状金及びそれらの混合物。修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを他の分子にコンジュゲートさせることにより、例えば結合アッセイ(例えばELISA)や結合試験において前記コンジュゲートを単純に検出することができる。
本発明の別の態様は、少なくとも2つの構造ループ領域を有する、T細胞受容体のドメイン又はそれらの組み合わせからなるポリペプチドに関し、前記少なくとも2つの構造ループ領域は各々、少なくとも2つの修飾された構造ループ領域を形成する少なくとも1つのアミノ酸修飾を有するという点を特徴とし、前記少なくとも2つの修飾された構造ループ領域は、抗原の少なくとも1つのエピトープと特異的に結合する。少なくとも1つの修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチド(非可変的な配列又は構造ループを介して特定のパートナーと結合する)と、少なくとも1つの他の結合分子(抗体、抗体断片、可溶性の受容体、リガンド若しくは他の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドであってもよい)を結合させた分子であるのが好ましい。少なくとも1つの本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドと組み合わせる多の結合分子は、好ましくはタンパク性分子、核酸分子及び炭水化物からなる群から選択される。修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドのループ領域は、特に抗原、タンパク性分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、グリカン、炭水化物、脂質、小さい有機分子、無機分子、又はその組合せ又は融合物など、あらゆる種類の結合分子又は構造とも特異的に結合できる。もちろん、上記修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、少なくとも2つのループ又はループ領域を有してもよく、それにより、当該ループ又はループ領域の各々が異なる分子又はエピトープと特異的に結合することができる。
本発明の好ましい実施形態では、修飾された構造ループ領域に対する分子結合は、以下からなる群から選択される:腫瘍関連抗原、特にEpCAM、腫瘍関連のグリコプロテイン−72(TAG−72)腫瘍関連抗原CA125、前立腺特異的な膜抗原(PSMA)、高分子量黒色腫関連抗原(HMW−MAA)、ルイスY関連炭水化物、癌胎児性抗原(CEA)、CEACAM5、HMFG PEM、ムチンMUC1、MUC18及びサイトケラチン腫瘍関連抗原、細菌抗原、ウイルス抗原、アレルゲン、アレルギー関連分子IgE、cKIT及びFc−ε−受容体Iを発現する腫瘍関連抗原、IRp60、IL−5受容体、CCR3、赤血球受容体(CR1)、ヒト血清アルブミン、マウス血清アルブミン、マウス血清アルブミン、新生児Fc−γ−受容体FcRn、Fc−γ−受容体Fc−γRI、Fc−γ−RII、Fc−γRIII、Fc−α受容体、Fc−ε−受容体、フルオレセイン、リゾチーム、Toll様受容体9、エリトロポイエチン、CD2、CD3、CD3E、CD4、CD10、CD11、CD11a、CD14、CD16、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD25、CD28、CD29、CD30、CD32、CD33(p67タンパク質)、CD38、CD40、CD40L、CD52、CD54、CD56、CD64、CD80、CD147、GD3、IL−1、IL−1R、IL−2、IL−2R、IL−4、IL−5、IL−6、IL−6R、IL−8、IL−12、IL−15、IL−18、IL−23、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FGF20、TNF−α、TNFβ2、TNFα、TNFαβ、TNF−R1、TNF−RII、FasL、CD27L、CD30L、4−1BBL、TRAIL、RANKL、TWEAK、APRIL、BAFF、LIGHT、VEG1、OX40L、TRAIL受容体−1、A1 アデノシン受容体、リンホトキシンΒ受容体、TACI、BAFF−R、EPO、LFA−3、ICAM−1、ICAM−3、インテグリンβ1、インテグリンβ2、インテグリンα4/β7、インテグリンα2、インテグリンα3、インテグリンα4、インテグリンα5、インテグリンα6、インテグリンαv、αVβ3インテグリン、FGFR−3、ケラチノサイト成長因子、VLA−1、VLA−4、L−セレクチン、抗Id、Eセレクチン、HLA、HLA−DR、CTLA−4、T細胞受容体、B7−1、B7−2、VNRインテグリン、TGFβ1、TGFβ2、エオタキシン1、BLyS(B−リンパ球刺激因子)、補体C5、IgE、IgA、IgD、IgM、IgG、因子VII、CBL、NCA90、EGFR(ErbB−1)、Her2/neu(ErbB−2)、Her3(ErbB−3)、Her4(ErbB4)、組織因子、VEGF、VEGFR、エンドセリン受容体、VLA−4、血液型抗原などの炭水化物及び関連する炭水化物、ガリリ−グリコシル化、ガストリン、ガストリン受容体、腫瘍関連の炭水化物、ハプテンNP−キャップ又はNIP−キャップ、T細胞受容体α/β、Eセレクチン、P糖タンパク質、MRP3、MRP5、グルタチオン−S−転移酵素π(多剤耐性タンパク質)、α−顆粒膜タンパク質(GMP)140、ジゴキシン、胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)、睾丸PLAP様アルカリホスファターゼ、トランスフェリン受容体、ヘパラナーゼI、ヒト心臓ミオシン、グリコプロテインIIb/IIIa(GPIIb/IIIa)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)gHエンベロープグリコプロテイン、HIV gp120、HCMV、RSウイルス(RSV) F、RSVF Fgp、VNRインテグリン、HepB gp120、CMV、gpIIbIIIa、HIV IIIB gp120 V3ループ、RSウイルス(RSV)Fgp、ヘルペスシンプレックスウイルス(HSV)gDグリコプロテイン、HSV gBグリコプロテイン、HCMV gBエンベロープグリコプロテイン、ウェルシュ菌毒素、並びにそれらの断片。好ましくは、上記抗原は、病原抗原、腫瘍関連抗原、酵素、基質、自己抗原、有機分子又はアレルゲンからなる群から選択される。より好適な抗原は、ウイルス抗原、細菌抗原又は真核生物若しくはファージの病原体に由来する抗原からなる群から選択される。好適なウイルス抗原としては、HAV、HBV、HCV、HIVI、HIVII、パルヴォウイルス、インフルエンザ、HSV、肝炎ウイルス、フラビウイルス、ウェストニルウイルス、エボラウイルス、Poxウイルス、小poxウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、パピロマウイルス、ポリオーマウイルス、パルヴォウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、ラクロスウイルス、ラサウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス抗原が挙げられる。好適な細菌抗原としては、シュードモナス、マイコバクテリウム、スタフィロコッカス、サルモネラ、メニンゴコッカル、ボレリア、リステリア、ネイセリア、クロストリジウム、エシェリチア、レジオネラ、バシラス、ラクトバシラス、ストレプトコッカス、エンテロコッカス、コリネバクテリウム、ノカルジア、ロードコッカス、モラキセラ、ブルセラ、カンピロバクター、カルジオバクテリウム、フランシセラ、ヘリコバクター、ハエモフィラス、クレブシエラ、シゲラ、イエルシニア、ビブリオ、クラミジア、レプトスピラ、リケッチア、マイコバクテリウム、トレポネマ、バルトネラ抗原が挙げられる。病原性真核生物の好適な真核生物抗原としては、ジアルジア、トキソプラズマ、シクロスポラ、クリプトスポリジウム、トリチネラ、酵母、カンディダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ブラストマイセス、ヒストプラズマ、コッキジオイデスに由来する抗原が挙げられる。
本発明に係る修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドは好ましくは、上で開示される分子のうちの1つと結合できる。これらの分子はまた、アレルゲンを含んでなる。
本発明の修飾ポリペプチドは、好ましくは以下からなる群から選択されるラベル又はリポーター分子とコンジュゲートしている:有機分子、酵素ラベル、放射性ラベル、染色ラベル、蛍光ラベル、発色ラベル、発光ラベル、ハプテン、ジゴキシゲニン、ビオチン、金属複合体、金属、コロイド状金及びそれらの混合物。ラベル又はリポーター分子にコンジュゲートした上記の修飾ポリペプチドは、例えば診断で使用できる。本発明の別の態様は、本発明に係るか若しくは本発明の方法によって入手できるT細胞受容体ドメインポリペプチドの、能動免疫のためのワクチンの調製のための使用に関する。これによって、T細胞受容体ドメインポリペプチドを、ワクチンを調製する際の抗原性薬剤として用いるか、又はワクチンを調製する際の、抗原性構造をフィッシング又は捕捉するための物質として用いることとなる。
本発明の別の態様は、修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドからなる分子のタンパク質ライブラリの調製のための、本発明に係る、又は本発明の方法によって入手できるT細胞受容体ドメインポリペプチドの使用に関する。
本発明の更に別の態様は、以下のステップからなる、標的分子を特異的に結合させる、及び/又は検出する方法に関する:
(a)本発明に係る修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドか、又は、本発明に係る方法によって入手できる修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを有する分子を含有する、分子と、前記標的分子を含むと考えられる試験サンプルと、を接触させるステップと、
(b)特異的なT細胞受容体ドメインポリペプチド/標的分子複合体の潜在的形成を検出するステップ。
本発明の別の態様は、以下のステップからなる、標的分子を特異的に分離する方法に関する:
(a)本発明に係る修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドか、又は、本発明に係る方法によって入手できる修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを有する分子を含有する、分子と、前記標的分子を含むと考えられる試験サンプルと、を接触させるステップと、
(b)形成された、特異的なT細胞受容体ドメインポリペプチド/標的分子複合体を分離するステップと、
(c)任意に標的分子を前記複合体から分離するステップ。
本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドは、標的分子をサンプルから特異的に分離するのに使用できる。多重特異的T細胞受容体ドメインポリペプチドが用いられる場合、複数の標的分子をサンプルから分離できる。かかる方法において修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを使用することは特に有利である。なぜなら、例えば、所定の量の結合パートナー(すなわち修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチド)を表面上に固定した、均一な表面を有するマトリックスを調製して、標的分子と結合させ、分離することが可能となるからである。それに対して、単一の特異的結合パートナーを用いる場合、1つの結合パートナーはマトリックスに同じ効率で結合しないため、均一なマトリックスの調製が困難である。
本発明の別の態様は、以下のステップを有してなる、標的への化合物のターゲッティング方法に関する:
(a)特異的に結合できる、本発明に係る修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを有する分子か、又は、本発明による方法により得られる修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを有する分子を、前記化合物と接触させるステップと、
(b)標的にT細胞受容体ドメインポリペプチド/化合物複合体からなる分子を輸送するステップ。
本発明に係る修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドは、CDRs及び/又は修飾ループ領域と結合した、少なくとも1つの化合物を標的に輸送するために使用できる。かかるT細胞受容体を用いることにより、疾患の治療の経過で、好適な標的部位に、治療用の物質をターゲッティングできる。本発明の別の態様は、本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドを含有するか、又は本発明に係る方法により得られるタンパク質ライブラリに関する。前記ライブラリを構築する好適な方法は、上記、及び実施例に記載されている。本発明に係るライブラリは、様々な分子に対するT細胞受容体ドメインポリペプチドの結合を同定するために使用できる。
特に本発明は、本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチドを含有するか、又は本発明に係る方法により得られるタンパク質ライブラリの、T細胞受容体誘導体の設計のための使用に関する。既存のT細胞受容体は、それぞれの修飾された野生型ドメインのタンパク質ライブラリを用いて、抗原結合部位をドメインに導入するために変化させることができ、ライブラリは少なくとも10、好ましくは100、好ましくは1000、より好ましくは10000、より好ましくは100000、最も好ましくは1000000の変異型のドメインを有し、各々、少なくとも1つの修飾された構造ループを有する。好ましくは、変異型の構造ループドメインは少なくとも2の修飾を有する。ライブラリは更に、抗原との特異的な結合に関してスクリーニングされる。所望の特性に関する分子評価の後、選抜されたドメイン又はミニドメインを、遺伝子工学的方法によって元のT細胞受容体にクローニングし、それにより野生型ドメインの置換を行う。あるいは、ループ領域のみをコードするか、又は変異アミノ酸のみをコードするDNAを交換することにより、特異的な抗原との更なる結合部位を有するT細胞受容体を得ることもできる。あるいは、ドメインの構造ループの修飾は、例えば細胞に結合したT細胞受容体の形、可溶性T細胞受容体、単鎖TCR、ジッパー二量体化TCR又は他のあらゆる分子を有するそれらの組み合わせを、その天然型の前後関係のドメインと共に実施できる。この設計の効果は、スクリーニングがそれらの意図された前後関係の修飾により実施されるということであり、ゆえに構造上の様々な修飾のいかなる影響又は分子の残余部分の機能を容易に観察することが可能となる。
変異した、抗原特異的な構造ループの位置の選択は、元のT細胞受容体の構造、及び更なる結合部位の目的に依存する。例えば、元のT細胞受容体が単鎖である場合、2つの可変ドメイン中の構造ループのTCR修飾が可能である。元のT細胞受容体が、定常及び可変ドメインを有する可溶性TCRである場合、各可変ドメイン一方の側の構造ループは各定常ドメインの2つの側部の構造ループと同様に修飾できる。
ライブラリを構築するために、1つ以上のT細胞受容体ドメインにおける1つ以上の構造ループ中に突然変異を有する元の変異体分子のライブラリを調製できる。完全な変異型の元の分子を用いた選抜は、修飾された構造ループと抗原との結合の選抜を行うことにより、立体配置的に有利な修飾が得られるため、有効であると考えられる。例えば、完全な分子が単鎖TCRである場合、抗原への結合を基に、変異型の元の単鎖TCRsのライブラリをスクリーニングし、更にCDRループ(元の特性)により認識される抗原への結合のための特異的な結合物質をスクリーニングすることは有利であると考えられる。代替的な選抜手順では、元の(最初の)抗原は、修飾された構造ループと抗原との結合のスクリーニングの間、CDRループに結合するのが好ましい。この同時スクリーニングは、構造ループ中に突然変異を有するクローンの優先的な選抜を可能とする。それは、そのCDRループを介して認識する修飾されたT細胞受容体ドメインの、その元の標的への結合に負の影響を及ぼさない。本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1つの構造ループ中に、少なくとも1つの変異型のアミノ酸を有する、変異型のT細胞受容体ドメインポリペプチドのライブラリである。上記ライブラリは、α、β、γ及びδ鎖又は混合物、並びにそれらの分子組み合わせのTCRドメインを含有してもよい。好ましくは、ライブラリ中の変異型のT細胞受容体ドメインポリペプチドは、少なくとも1つの構造ループ中に少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4個の変異型アミノ酸を有する。他の本発明の好ましい実施形態は、scTCRのドメインのいずれかの少なくとも1つの構造ループ中に、少なくとも1つの変異型のアミノ酸を有する、単鎖TCRライブラリである。他の本発明の好ましい実施形態は、ロイシン−ジッパー二量体化TCRのドメイン中の、少なくとも1つのいずれかの構造ループ中に、少なくとも1つの変異型アミノ酸を有するジッパー−二量体化されたTCRライブラリである。他の本発明の好ましい実施形態は、TCRのドメイン中の少なくとも1つのいずれかの構造ループ中に、少なくとも1つの変異型アミノ酸を有するTCRライブラリである。更に別の本発明の好ましい実施形態は、可溶性TCRのドメイン中の、少なくとも1つのいずれかの構造ループ中に、少なくとも1つの変異型アミノ酸を有する可溶性のTCRライブラリである。
変異型T細胞受容体ドメインポリペプチド、又は変異型T細胞受容体ドメインポリペプチドの融合分子を含んでなるタンパク質ライブラリのサイズ条件(すなわち変異型のタンパク質の数)は、その使用目的に応じて変化する。一般に、抗原結合部位をde novoで生成するためのライブラリは、修飾された構造ループにより形成される、既存の設計された抗原結合部位を、(例えば親和性を強化するか又は抗原の良好な特異性を変化させるために)更に修飾したライブラリより大きい必要がある。
本発明はまた、T細胞受容体ドメイン又はミニドメインに含まれる少なくとも1つの構造ループ領域からなる複数のポリペプチド、又はそれをコードする核酸分子からなる、ポリペプチドライブラリ又は核酸ライブラリに関する。上記ライブラリは異なる修飾を有するメンバーを有し、それらの複数は、少なくとも1つの構造ループ領域中に修飾を有するとして定義される。上記核酸ライブラリは好ましくは、少なくとも10の異なるメンバー(少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは4つのアミノ酸修飾をしうる)、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは1000又は10000の異なるメンバー(例えばランダム化ストラテジー又はコンビナトリアル技術でデザイン)を有してなる。更に多くのメンバー、例えば少なくとも1000000又は少なくとも10000000を有するのも好ましい。
本発明の更なる態様は、本発明に係る少なくとも2つのライブラリから選抜される2つの異なるT細胞受容体ドメインポリペプチドを組合せて、多重特異性T細胞受容体を生成することである。これらの選抜された特異的なT細胞受容体ドメインポリペプチドを、各々他の分子と組み合わせ(建築用ブロックと同様)、所望の特性(例えば特異性及び/又は価数の組合せ)となるようにドメインの最適配列をデザインする。
更に、本発明に係る1つ以上のT細胞受容体ドメインポリペプチドを、タンパク質構造の崩壊を生じさせることなく、タンパク質中の様々な又は全部の部位に導入することもできる。かかる「ドメインシャッフリング」テクニックによって、所望の特性に基づき再度選抜されうる新規なライブラリが構築できる。
好適なライブラリは、本発明に係るT細胞受容体ドメインポリペプチド又はその誘導体を含む。
本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1つのT細胞受容体ドメインポリペプチド、及びその少なくとも1つの構造ループ領域(本発明により修飾され、抗原と結合する)を含んでなる、抗原(抗原結合分子)に対する結合分子である。前記結合分子は、そのCDRループとは同様の及び/又は特異的な結合活性を有しないが、構造ループ領域中に新しく導入された特異的な結合活性を有する。また、本発明にかかる抗原結合分子においては、ランダム化技術によって(すなわちランダム化技術によってループ中の1つ以上のアミノ酸残基を置換すること)、又はランダムに生成されたインサートをかかる構造ループ中に導入することによって、構造ループ中に新しい抗原結合部位を導入してもよい。その他の好適な方法としては、コンビナトリアル技術の使用が挙げられる。他の態様では、本発明は、未修飾のT細胞受容体とは異質の、1つ、2つ若しくは3つ以上の構造ループに導入された特性を示す抗原結合部位を有する、修飾T細胞受容体に関する。「異質の」という用語は、当該抗原結合部位が、T細胞受容体の特異的な構造ループ領域により形成されないことを意味する。更に別の態様では、本発明は、未修飾のT細胞受容体とは異質であり、少なくとも1つのドメイン中の、少なくとも1つ、2つ、3つ又はそれ以上の構造ループ中に導入された抗原結合部位を有する、修飾されたT細胞受容体に関する。前記修飾されたT細胞受容体は、少なくとも10mol−1、少なくとも10mol−1、少なくとも10mol−1、少なくとも10mol−1、少なくとも10mol−1、少なくとも10mol−1又は少なくとも10mol−1の親和性で前記抗原と結合する。
本発明に係る好適なT細胞受容体ドメインポリペプチドは、少なくとも2つの抗原結合部位、第1のエピトープに結合する第1の部位、及び第2のエピトープに結合する第2の部位を有してなる。好適な実施形態では、本発明のT細胞受容体ドメインポリペプチドは少なくとも3つのループ領域(第1のエピトープに結合する第1のループ領域、第2のエピトープに結合する第2及び第3のループ領域)からなる。少なくとも第1のループ領域又は少なくとの第2及び第3のループ領域のいずれか、又はそれらの両方は、構造ループを有してなるのが好ましい。本発明に係るT細胞受容体は、従来技術において機能的であることが公知の断片を有し、それは本発明において必須の要素、すなわち本発明により修飾された構造ループ領域を有してなる。
好ましくは、本発明に係るT細胞受容体は、少なくとも2つのT細胞受容体ドメイン又はその一部(ミニドメインを含む)から構成され、各ドメインは少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
また本発明に係る好適なT細胞受容体ドメインポリペプチドは、T細胞受容体の可変領域の少なくとも1つのドメイン、及びT細胞受容体の定常領域の少なくとも1つのドメインを有してなり、例えば、可変ドメインは、定常ドメインに連結する少なくとも2つの構造ループにおいて修飾される。
本発明に係る好適なT細胞受容体ドメインポリペプチドは、未修飾のドメインと少なくとも50%の相同性を有するドメインを有してなる。
「相同性」という用語は、ポリペプチドがそれらの一次若しくは二次若しくは三次構造において、対応する位置で同じ若しくは保存された残基を有することを意味する。当該用語はまた、相応するポリペプチドをコードする2つ以上のヌクレオチド配列にも適用される。
「相同なTCRドメイン」とは、本願明細書に開示されるTCRドメインであって、本発明に係る、全長の天然配列を有するTCRドメイン配列、又は全長のTCRドメイン配列の他のいかなる断片と、少なくとも約50%のアミノ酸配列同一性を有するTCRドメインのことを意味する。好ましくは、相同なTCRドメインとは、少なくとも約50%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも55%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも60%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を、天然のTCRドメイン配列、あるいは本願明細書において開示される他の全長TCRドメイン配列の断片の配列と共有するTCRドメインのことを指す。
本願明細書において同定されるTCRドメイン配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」とは、特異的なTCRドメイン配列中のアミノ酸残基と同一な、候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。それは、配列をアラインして、必要に応じてギャップを導入することにより、最大のパーセント配列同一性となるようにしたものであり、但し保存的な置換は配列同一性の一部としてはカウントしないことに留意すべきである。アミノ酸配列同一性パーセントの決定のためのアラインメントは、従来技術に公知の様々な方法により実施可能であり、一般公開されているコンピュータソフトウェア(例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア)を使用して行われる。当業者はアラインメントを測定するために適当なパラメータを決定できる。例えば、比較される配列の全長にわたり最大限のアラインメントを可能とする、必要なあらゆるアルゴリズムなどである。
後述するように、WU−BLAST−2コンピュータプログラム(Altschulら、Methods in Enzymology 266:460−480(1996))を用いてアミノ酸配列同一性パーセント(%)の数値を得ることができる。大部分のWU−BLAST−2サーチパラメータは、デフォルト値に設定される。デフォルト値にセットされないそれら(すなわち可調パラメータ)は、以下の値に設定される:
overlap span=1、
overlap fraction=0.125、
word threshold(T)=11、
及びscoring matrix=BLOSUM62。
WU−BLAST−2を使用するとき、アミノ酸配列同一性%は、以下の(a)/(b)により算出される:
(a)天然のTCRドメインに由来する、目的の配列を有するTCRドメインのアミノ酸配列と、目的の比較用アミノ酸配列(すなわち、目的のTCRドメインと比較するための配列。未修飾のTCRドメインであってもよい)との間で一致する同一アミノ酸残基の数(WU−BLAST−2として定義される);
(b)目的のTCRドメイン中の非ランダム化部分のアミノ酸残基の総数。
例えば「アミノ酸配列Aを含んでなり、アミノ酸配列Bと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド」というときは、アミノ酸配列Aが、目的の比較用アミノ酸配列であり、アミノ酸配列Bが、目的のTCRドメインのアミノ酸配列である。
好ましい実施形態では、本発明に係るポリペプチドは、T細胞受容体、又は二重特異的な単鎖T細胞受容体、又は二重特異的なジッパー二量体化T細胞受容体、又は二重特異的可溶性T細胞受容体である。更に好適には、当該ポリペプチドは二重特異的なドメイン又はその一部を有してなる。
本発明に係るポリペプチドは、T細胞受容体及び免疫グロブリンにおいて公知のいかなる目的にも使用でき、また、本発明によって導入される特異性の組合せに応じて、他の応用も使用である。したがって、本発明に係るポリペプチドは、好ましくは治療及び予防用途(例えば能動又は受動免疫療法、免疫調節など)に使用でき、更に調製及びアッセイ用途、診断用途にも使用できる。
本発明の別の態様は、以下を含んでなる結合パートナーのキットに関する:
(a)抗原結合部位を有して、それが1つ以上の構造ループに導入されている修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドと、
(b)前記抗原のエピトープを有する結合分子と、を含んでなる、結合パートナーのキットに関する。本発明に係るこのキットのかかる結合分子は、本発明に係る修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドの結合特性を同定するための捕捉用試薬として使用できる。本発明に係るこのキットの結合分子を用いて、本発明に係る修飾免疫グロブリンの力価を測定できる。本発明で定められる力価とは、修飾された分子のその抗原に対する結合特性のことを指す。当該結合は、品質管理目的で用いる場合は、特異性及び/又は親和性及び/又は選択性に関して、量的に及び/又は質的に測定できる。
更に、本発明に係るキット中の、構造ループ中に異なる修飾を有する、少なくとも10、好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも10000、特に好ましくは少なくとも100000の免疫グロブリンからなるライブラリから、本発明に係る適当な力価を有する修飾T細胞受容体ドメインポリペプチドを選抜することにより得られる結合分子を用いるのが好ましい。
本発明においては、本発明の鍵となる特徴の1つは、T細胞受容体ドメインポリペプチドのエンジニアリングが、抗原との結合に通常関係しない領域において、換言すれば、TCR可変ドメインのCDRs以外の領域において行われるということである。T細胞受容体ドメインの特異的なフォールディング構造により、構造的にCDRsに類似しているが、配列中の位置及び構造において異なる領域への、ランダムな変異導入が可能となることを見出した。本発明により同定される領域は、CDRs様の、T細胞受容体ドメインポリペプチドの免疫グロブリンフォールディング構造のβ鎖を連結しているループ領域である。これらの構造ループ領域は、CDRループにより媒介されるT細胞受容体のドメインの結合に影響を及ぼすことなく、本発明にて説明したように変異されうる。前記構造ループ領域を変異させることにより、新規な分子結合面又は結合ポケットが形成され、それはサイズ及び形状において、T細胞受容体の天然の抗原結合部位のCDRループにより形成される結合面又は結合ポケットと類似している。構造ループは、更なるアミノ酸の挿入により延長できるため、新規に形成された結合部位の構造は、それが結合すべき標的に応じて調整できる。例えば、特に小分子との結合に適する深い結合ポケットは、長いループ(すなわちそれらの配列中に更なるアミノ酸を挿入された構造ループ)によって、優先的に形成されうる。平坦な結合表面(大きい、平坦な分子表面を有する標的と結合することに適する)は、構造ループ中の残余部分が更なる残余部分の挿入なしで変異する場合に、優先的に形成される。より詳細には、ヒト又はヒト化可変的なTCR−ドメインのβ鎖A−B、C’−D及びE−Fを連結しているループ中に、ランダム若しくはセミランダムに突然変異を導入することによって、ヒト血清アルブミン又はFc受容体(通常ヒトのTCRドメインにより認識若しくは結合されない。)にも特異的に結合する変異ドメインが選抜されうることが、本願明細書に記載されている。導入される突然変異には、野生型配列中の選択されたアミノ酸残基鎖が、ランダムに選ばれた残基と置換される突然変異が包含され、また、上記のループへの更なるアミノ酸残基の挿入も包含される。類推するに、いかなる種類のT細胞受容体からの、及びいかなる種からのT細胞受容体ドメインも、この種の設計を行うことができる。更に本発明では、目標とされる特異的なループを操作できるのみならず、T細胞受容体ドメイン中のβ鎖を連結するいかなるループも同様に操作できる。いかなる生物体からの、いかなる種類の免疫グロブリンから設計されたT細胞受容体ドメインドメインも、本発明により、シングルドメインとして、又はより大きな分子の一部として調製できる。例えば、それらは全長のT細胞受容体の一部であってもよく、したがって、6つのCDRsにより形成されるその「通常の」抗原結合ドメイン、及び新規に設計された抗原結合ドメインを有する。このように、多重特異性、例えば二重特異性のT細胞受容体を調製できる。設計されたT細胞受容体ドメインは、いかなる融合タンパク質の一部であってもよい。これらの設計されたT細胞受容体メインの使用は、広義にはT細胞受容体の使用の分野である。
以下の実施例は本発明を更に詳細に説明するが、本発明はそれらの態様に限定されるものではない。
実施例1:
多くの異なるライブラリを、1G4 TCR(NY−ESOエピトープ(WO2005113595)に特異的)の可溶性のバージョンに基づいて構築した。
ライブラリ遺伝子を、特異的な合成オリゴヌクレオチドからアセンブルし、繊維状ファージにディスプレイされる全長TCRα及びβ鎖としてクローニングした。α鎖は可溶性のフォーマットにおいて発現し、β鎖はM13バクテリオファージのgeneIIIコートタンパク質とのインフレーム融合タンパクとして発現させた。α鎖は非天然システイン残基(突然変異Thr84Cys(IMGT付番)によってコードされる)を有し、β鎖は非天然システイン残基(突然変異Ser79Cys(IMGT付番)によってコードされる)を有し、ヘテロ二量体構造をとらせた。クローニング、選抜及び評価は、Liら、(2005)Nat Biotechnol.23:349−354の方法により実施した。以下の1G4 TCR遺伝子及びライブラリ遺伝子対を、3−シストロンファージディスプレイベクター、pEX746(基本的にLiら、(2005)Nat Biotechnol.23:349−354に記載)にクローニングした。
a)Vβ1G4−1ライブラリ遺伝子と1G4α−鎖野生型遺伝子の組合せ;
b)Vβ1G4−2ライブラリ遺伝子と1G4α−鎖野生型遺伝子の組合せ;
c)Cβ1G4−1ライブラリ遺伝子と1G4α−鎖野生型遺伝子の組合せ;
d)Cβ1G4−2ライブラリ遺伝子と1G4α−鎖野生型遺伝子の組合せ;
e)V−α1G4−1ライブラリ遺伝子と1G4β−鎖野生型遺伝子の組合せ;
f)V−α1G4−2ライブラリ遺伝子と1G4β−鎖野生型遺伝子の組合せ;
g)C−α1G4−1ライブラリ遺伝子と1G4β−鎖野生型遺伝子の組合せ;
h)C−α1G4−2ライブラリ遺伝子と1G4β−鎖野生型遺伝子の組合せ。
下記は、1G4野生型鎖、及びα及びβ鎖のライブラリの配列である。各鎖ごとに、可変及び定常ドメインをランダム化した。Vα、Cα、Vβ及びCβにおいて、各々2つのライブラリを作製した:1つは置換したものであり、他方は挿入したものである。つまり合計8つのライブラリを以下に示す。
1G4α−鎖野生型、Genbankアクセス番号:CS230225、開始コドン及び停止コドンを含む遺伝子:
Figure 2014042532
1G4α−鎖野生型、Genbankアクセス番号:CS230225、開始コドン及び停止コドンを含むタンパク質:
Figure 2014042532
V−α−ライブラリ1G4−1(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
V−α−ライブラリ1G4−1(開始コドン及び停止コドンを含む)のタンパク質:
Figure 2014042532
変異残基:
EGEN 15−18;
AASQ 92−95;
V−α−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
V−α−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)のタンパク質:
Figure 2014042532
変異残基:
EGEN 15−18;
GRL 70、78、79;
AASQ 92−95;
C−α−ライブラリ1G4−1(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
翻訳配列を有するDNA配列:
Figure 2014042532
C−α−ライブラリ1G4−1のタンパク質(開始コドン及び停止コドンを含むこと
Figure 2014042532
変異残基:
KDSD 43−77;
NKSD 91−101;
C−α−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
C−α−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)のタンパク質:
Figure 2014042532
変異残基:
挿入残基「X」
KDSXD;
NKSXD;
V−β1G4野生型、GenBankアクセス番号:CS230226、開始コドン及び停止コドンを含む遺伝子:
Figure 2014042532
V−β1G4野生型、GenBankアクセス番号:CS230226、開始コドン及び停止コドンを含むタンパク質:
Figure 2014042532
V−β−ライブラリ1G4−1(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
V−β−ライブラリ1G4−1(開始コドン及び停止コドンを含む)のタンパク質:
Figure 2014042532
変異残基:
KTGQS 15−18;
LSAA 92−95;
V−β−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
V−β−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)のタンパク質:
Figure 2014042532
変異残基:
KTGQS 15−18;
G、−N、V 75、77、78;
LSAA 92−95;
C−β−ライブラリ1G4−1(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
C−β−ライブラリ1G4−1(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
変異残基:
ISHTQ 14、15、15.1、16、17;
SATFQ 92−95、96.1;
C−β−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)の遺伝子:
Figure 2014042532
C−β−ライブラリ1G4−2(開始コドン及び停止コドンを含む)のタンパク質:
Figure 2014042532
変異残基:
挿入残基「X」
ISHXTQ 14、15、15.1、16、17;
SATXFQ 92−95、96.1。
実施例2:
ベクターへのライブラリインサートのライゲーションの後、ファージ調製のステップを、標準プロトコルに従い実施した。簡潔には、ライゲーション混合物をエレクトロポーレーションによって大腸菌TG1細胞に導入し、形質転換させた。その後、ファージ粒子を、ヘルパーファージM13−KO7を用いて、大腸菌TG1細胞からレスキューした。ファージ粒子を更に、2つのステップで、PEG/NaClを用いて培養上清から沈殿させ、水に分散させ、パニングによる選抜に用いたか、あるいは−80℃で保存した。
Human血清アルブミンに特異的に結合するクローンの選抜:
実施例1にて説明したライブラリを用いて、標準プロトコルに従い、特異的結合クローンの単離のためのパニングラウンドを行った。簡潔には、ファージライブラリは、結合用緩衝液(PBS、1%のオバルブミン、0.005%のTween 20)に懸濁し、maxisorpプレートに直接固定したヒト血清アルブミン(PBS中の10μg/ml、4℃一晩)に対してパニングした。プレートを、ブロッカーカゼイン(Pierce社製)によってブロッキングした。2時間後に、未結合のファージを反復して洗浄(PBS、0.05%のTween 20)して除去し、結合したファージを、500mMのKCl、10mMのHCl、pH2で溶出させた。かかるパニングを2、3、4又は5回実施した。ヒト血清アルブミン上の各パニングラウンドの後、得られるクローンを選抜し、又はヒト血清アルブミンへの結合を解析した。
FcRnに特異的に結合するクローンの選抜:
国際公開第02/060919号パンフレット(実施例6.2)に説明されるようにパニングを実施した。簡潔には、ファージライブラリを5mlの20mMのMES(pH6.0/5%スキムミルク/0.05%のTween20)中に再懸濁し、事前に1マイクログラムのマウスFcRnでコーティングし、5%のスキムミルクでブロックしたMaxisorp免疫プレート(Nunc社製)の20ウェルに添加した(5×1012PFU/ml/ウェルで、100μL)。37℃で2時間培養した後、ウェルを、20mMのMES(pH6.0/0.2%のTween20/0.3MのNaCl)で10〜30回洗浄し、100μLのPBS(pH7.4/ウェル)によって37℃で30分間処理し、ファージを溶出させた。ファージを用いて、指数関数的に増殖する大腸菌TG1に再度感染させた。かかるパニングを2、3、4又は5回実施した。FcRn上の各パニングラウンドの後、得られるクローンを選抜し、又はFcRnへの結合を解析した。
Fc−γ受容体に特異的に結合するクローンの選抜:
Fc−γRI、Fc−γRIIA、Fc−γRIIB及びFc−γRIIIBに対するパニングは、Berntzenら(2006)Protein Eng Des Sel 19:121−128に記載のとおり実施した。簡潔には、Fc−γRI、Fc−γRIIA、Fc−γRIIB又はFc−γRIIIBをコードする遺伝子でトランスフェクションした培養細胞を用いて、ファージライブラリの選抜のための標的とした。天然にFc−γRI、Fc−γRIIA、Fc−γRIIB又はFc−γRIIIBを発現させる細胞を用いてもよい。例えば、構成的にFcgRI、FcgRIIA及びFcgRIIBを発現する細胞系U937(ATCC:CRL−1503)を標的として使用してもよい。この細胞系において、FcgRIのレベルはIFN−g刺激によって上方制御され、この受容体が最もFcgRsリッチとなる。受容体の可溶性バージョンは、バクテリア、イースト又は、動物細胞を用いて、組み換え調製できる。
Fc−γRI、Fc−γRIIA、Fc−γRIIB又はFc−γRIIIB上の各パニングラウンドの後に得られるクローンを選抜し、又はELISA又はフローサイトメトリによって、例えばそれぞれの受容体に対する結合を解析する。
[1]
少なくとも1つの修飾を構造ループ領域に有するT細胞受容体ドメインポリペプチドを設計し、抗原のエピトープへの前記T細胞受容体ドメインポリペプチドの結合を決定して、前記構造ループ領域に抗原結合部位が導入されたT細胞受容体ドメインポリペプチドをスクリーニングする方法であって、
前記T細胞受容体ドメインポリペプチドが、可変若しくは定常ドメインから選択されるT細胞受容体ドメインに由来し、
前記可変ドメインの前記修飾された構造ループ領域が、アミノ酸11〜19、アミノ酸43〜51、アミノ酸67〜80又はアミノ酸90〜99の範囲内で少なくとも1つの修飾を有し、これらのドメインのアミノ酸位の付番がIMGTに従い、
前記定常ドメインの前記修飾された構造ループ領域が、アミノ酸9〜20、アミノ酸27〜36、アミノ酸41〜78、アミノ酸82〜85、アミノ酸90〜102又はアミノ酸107〜116の範囲内で少なくとも1つの修飾を有し、それらのドメインのアミノ酸位の付番がIMGTに従い、
前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、
挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らず、
未修飾のT細胞受容体ドメインポリペプチドが前記エピトープと有意に結合しない、前記方法であって、
−少なくとも1つの構造ループ領域からなるT細胞受容体ドメインポリペプチドをコードする核酸を準備するステップと、
−少なくとも1つの前記構造ループ領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基を修飾するステップと、
−発現システム中に前記修飾された核酸を移すステップと、
−前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを発現させるステップと、
−前記エピトープと、発現された修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドとを接触させるステップと、
−前記修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドが前記エピトープと結合するか否かを測定するステップと、
を有してなり、
前記核酸の少なくとも1つのヌクレオチドの修飾が、前記核酸によってコードされるT細胞受容体ドメインポリペプチドの1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を生じさせる方法。
[2]
前記T細胞受容体ドメインポリペプチドが、少なくとも2つのエピトープに対して特異的に結合する、[1]記載の方法。
[3]
前記T細胞受容体ドメインポリペプチドが、ヒト若しくはマウス由来である、[1]及び[2]のいずれか1項記載の方法。
[4]
少なくとも1つの構造ループ領域の少なくとも1つのアミノ酸が、部位特異的ランダム変異導入により修飾される、[1]から[3]のいずれか1項記載の方法。
[5]
ランダムに修飾された核酸分子が、コード配列NNS、NNN、NNK、TMT、WMT、RMC、RMG、MRT、SRC、KMT、RST、YMT、MKC、RSA、RRCを有する少なくとも1つのヌクレオチドの反復単位を有してなり、これらのコードがIUPACに従う、[1]から[4]のいずれか1項記載の方法。
[6]
分子を特異的に結合及び/又は検出する方法であって、
(a)下記の(1)から(4)のいずれか1つに記載の修飾されたT細胞受容体のライブラリ、又は[1]から[5]のいずれか1項記載の方法で得られる修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを、前記分子を含有する試験サンプルと接触させるステップと、任意に、
(b)特異的なT細胞受容体−分子複合体の潜在的形成を検出するステップと、を有してなる方法。
(1)少なくとも1つの構造ループ領域中に修飾を有する、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(2)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つのアミノ酸位の突然変異を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(3)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも1つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(4)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
[7]
分子に特異的に結合する修飾されたT細胞受容体を分離する方法であって、
(a)下記の(1)から(4)のいずれか1つに記載の修飾されたT細胞受容体のライブラリ、又は[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる修飾されたT細胞受容体を、前記分子を含有するサンプルと接触させるステップと、
(b)形成された特異的な修飾されたT細胞受容体−分子複合体を分離するステップと、
(c)任意に修飾されたT細胞受容体を前記複合体から分離するステップと、を有してなる方法。
(1)少なくとも1つの構造ループ領域中に修飾を有する、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(2)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つのアミノ酸位の突然変異を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(3)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも1つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(4)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
[8]
結合パートナーのキットであって、
(a)下記の(1)から(4)のいずれか1つに記載の修飾されたT細胞受容体のライブラリ、又は[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドと、
(b)抗原のエピトープを有する結合分子と、を含んでなるキット。
(1)少なくとも1つの構造ループ領域中に修飾を有する、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(2)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つのアミノ酸位の突然変異を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(3)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも1つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(4)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
[9]
下記の(1)から(4)のいずれか1つに記載のライブラリから得られる、[1]から[5]のいずれか1項記載の修飾されたT細胞受容体ドメインポリペプチドを選抜するための、[8]記載のキットの結合分子の使用。
(1)少なくとも1つの構造ループ領域中に修飾を有する、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(2)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つのアミノ酸位の突然変異を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体ドメインポリペプチドを含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(3)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも1つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ
(4)少なくとも1つの構造ループ領域中に少なくとも3つの修飾を有し、[1]から[5]のいずれか1項記載の方法により得られる、少なくとも10個のT細胞受容体を含んでなり、前記修飾が1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入であり、挿入される前記アミノ酸の数が30を上回らないライブラリ

Claims (9)

  1. 少なくとも1つの構造ループ領域を有してなるT細胞受容体ドメインポリペプチドであって、前記少なくとも1つの構造ループ領域が、抗原のエピトープへの、前記少なくとも1つの修飾された構造ループ領域の結合を可能にする、少なくとも1つの修飾を有してなり、未修飾のT細胞受容体ドメインポリペプチドが、前記エピトープと結合しない、T細胞受容体ドメインポリペプチド。
  2. 血清タンパク質、Fc受容体、補体分子及び血清アルブミンからなる群から選択される抗原のエピトープに結合する、請求項1記載のT細胞受容体ドメインポリペプチド。
  3. 少なくとも2つの修飾された構造ループ領域を有する、請求項1又は2記載のT細胞受容体ドメインポリペプチド。
  4. ヒト由来である請求項1から3のいずれか1項記載のT細胞受容体ドメインポリペプチド。
  5. 請求項1から4のいずれか1項記載の、少なくとも1つのT細胞受容体ドメインを有してなるT細胞受容体であって、前記T細胞受容体ドメインが、V−α、V−β、V−γ、V−δ、C−α、C−β、C−γ、C−δ又はそれらの一部からなる群から選抜され、前記少なくとも1つの修飾された構造ループ領域が、少なくとも3つのアミノ酸変異を有してなる、T細胞受容体。
  6. V−α、V−β、V−γ、又はV−δドメインの修飾された構造ループ領域が、アミノ酸11〜19、アミノ酸43〜51、アミノ酸67〜80又はアミノ酸90〜99の範囲内で少なくとも1つの修飾を有し、これらのドメインのアミノ酸位の付番がIMGTに従う、請求項5記載のT細胞受容体。
  7. C−α、C−β、C−γ、又はC−δドメインの修飾された構造ループ領域が、アミノ酸9〜20、アミノ酸27〜36、アミノ酸41〜78、アミノ酸82〜85、アミノ酸90〜102又はアミノ酸107〜116の範囲内で少なくとも1つの修飾を有し、これらのドメインのアミノ酸位の付番がIMGTに従う、請求項5記載のT細胞受容体。
  8. 請求項1から7のいずれか1項記載の少なくとも1つのT細胞受容体ドメインと、少なくとも1つの他の結合分子と、を有してなる分子であって、前記他の結合分子が、請求項1から7のいずれか1項記載のT細胞受容体ドメイン、免疫グロブリン、可溶性受容体、リガンド、核酸及び炭水化物からなる群から選択される分子。
  9. 請求項1から7のいずれか1項記載のT細胞受容体ドメインポリペプチド若しくはT細胞受容体又はそれらの一部をコードする核酸。
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