JP2014040571A - 熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【構成】ポリカーボネート樹脂(A)25〜65重量%および酸化マグネシウム(B)35〜75重量%からなる成分100重量部および下記一般式1に示す化合物(C−1)、下記一般式2に示す化合物(C−2)および下記一般式3に示す化合物(C−3)から選択される1種もしくは2種以上の化合物(C)0.02〜2重量部からなることを特徴とする熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形体。
【効果】本発明の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物は、電気絶縁性を保持したまま、熱伝導性、熱安定性、成形加工性に優れたポリカーボネート樹脂組成物であり、射出成形などによる大量生産が可能である。また、これからなる成形体は放熱効果に優れていることから、OA機器や電気電子部品、精密機器部品などの用途に好適に使用できる。
【選択図】なし
【効果】本発明の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物は、電気絶縁性を保持したまま、熱伝導性、熱安定性、成形加工性に優れたポリカーボネート樹脂組成物であり、射出成形などによる大量生産が可能である。また、これからなる成形体は放熱効果に優れていることから、OA機器や電気電子部品、精密機器部品などの用途に好適に使用できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、電気絶縁性を損なうことなく、熱伝導性および放熱性に優れ、かつ熱安定性および成形安定性にも優れた熱伝導ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性などに優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、機械、自動車などの分野に広く用いられている。なかでもOAハウジングの用途においては、耐熱性・難燃性等の面からポリカーボネート樹脂が着目されている。
電気・電子・OA機器等の分野においては、ほとんどの機器が発熱性部品を搭載している。 近年、装置・部品の高性能化に伴い消費電力量が増加し、部品からの発熱量が増大するため、局部的な高温化が原因で誤動作等のトラブルを引き起こすことが懸念されている。現状では、筐体や放熱板などに金属材料を用いて発生した熱を拡散させているが、金属材料よりも成形加工が容易なことから熱可塑性樹脂材料への代替の要求が高まっている。
熱可塑性樹脂材料に放熱性・熱伝導性を付与させる方法として、種々の熱伝導性フィラーを混合する方法が多数報告されている。
例えば、特許文献1には、熱伝導性を有するカーボン繊維及び黒鉛を配合してなる熱放散性に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載されているが、この特許文献1では、熱可塑性樹脂として実施例においてもポリカーボネート樹脂については開示されていない。また、カーボン繊維や黒鉛を配合することで導電性も付与されるため、電気絶縁性が求められる用途への使用にあたっては制約があった。
一方、特許文献2には、窒化ホウ素で被覆された気相法炭素繊維の製造方法が記載されており、さらにこの気相法炭素繊維をフィラーとして用いることにより、電気絶縁性および熱伝導性の両者を具備した放熱材料が得られることが記載されている。しかし、具体的に当該気相法炭素繊維フィラーを熱可塑性樹脂に添加した例は開示されておらず、また、窒化ホウ素で被覆された炭素繊維を製造するためには、設備面でもコストがかかり、生産性も悪い為、実用的なレベルには至っていない。
例えば、特許文献1には、熱伝導性を有するカーボン繊維及び黒鉛を配合してなる熱放散性に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載されているが、この特許文献1では、熱可塑性樹脂として実施例においてもポリカーボネート樹脂については開示されていない。また、カーボン繊維や黒鉛を配合することで導電性も付与されるため、電気絶縁性が求められる用途への使用にあたっては制約があった。
一方、特許文献2には、窒化ホウ素で被覆された気相法炭素繊維の製造方法が記載されており、さらにこの気相法炭素繊維をフィラーとして用いることにより、電気絶縁性および熱伝導性の両者を具備した放熱材料が得られることが記載されている。しかし、具体的に当該気相法炭素繊維フィラーを熱可塑性樹脂に添加した例は開示されておらず、また、窒化ホウ素で被覆された炭素繊維を製造するためには、設備面でもコストがかかり、生産性も悪い為、実用的なレベルには至っていない。
本発明は、生産性やコストの問題もなく、電気絶縁性を具備した熱伝導性および熱安定性・成形加工性に優れたポリカーボネート樹脂組成物、ならびにそれからなる成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂および酸化マグネシウムからなる樹脂成分に、特定のリン系酸化防止剤を配合することにより、上記課題を解決した熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)25〜65重量%および酸化マグネシウム(B)35〜75重量%からなる成分100重量部および下記一般式1に示す化合物(C−1)、下記一般式2に示す化合物(C−2)および下記一般式3に示す化合物(C−3)から選択される1種もしくは2種以上の化合物(C)0.02〜2重量部からなることを特徴とする熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。
一般式1:(C−1)
一般式1:(C−1)
本発明の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物は、電気絶縁性を保持したまま、熱伝導性、熱安定性、成形加工性に優れたポリカーボネート樹脂組成物であり、射出成形などによる大量生産が可能である。また、これからなる成形体は放熱効果に優れていることから、OA機器や電気電子部品、精密機器部品などの用途に好適に使用できる。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独又は2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の重量平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常16000〜40000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
酸化マグネシウム(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)および酸化マグネシウム(B)の合計量に基づき、35〜75重量%である。配合量が35重量%未満では、熱伝導性に劣り好ましくない。また、75重量%を超えると造粒加工が困難となり安定した樹脂組成物の加工が困難となることから好ましくない。より好ましくは、40〜70重量%、さらに好ましくは50〜65重量%の範囲である。
酸化マグネシウム(B)は、酸化マグネシウム粒子の体積平均粒子径(Dv)とその数平均粒子径(Dn)との比(Dv)/(Dn)の値が1〜9の範囲のものがコストの面から好ましく使用できる。また、酸化マグネシウムは、シラン系化合物、アミン系化合物、アルミ系化合物、ビニル系化合物、エポキシ系化合物、チタン系化合物等による表面処理を施したものが好適に使用できる。
酸化マグネシウム(B)は、酸化マグネシウム粒子の体積平均粒子径(Dv)とその数平均粒子径(Dn)との比(Dv)/(Dn)の値が1〜9の範囲のものがコストの面から好ましく使用できる。また、酸化マグネシウムは、シラン系化合物、アミン系化合物、アルミ系化合物、ビニル系化合物、エポキシ系化合物、チタン系化合物等による表面処理を施したものが好適に使用できる。
本発明にて使用されるリン系酸化防止剤としての化合物(C)は、下記一般式1〜3に示される化合物(C−1〜3)から選択される1種もしくは2種以上の化合物である。
一般式1:(C−1)
一般式1:(C−1)
C−3の化合物としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが好適に使用でき、チバスペシャリティケミカルズ社製イルガホスP168として商業的に入手可能である。また、C−1〜C−3の化合物の混合品としてはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4、4‘−ビフェニレンフォスフォナイトを主成分とするクラリアントジャパン社製サンドスタブP−EPQが商業的に入手可能であり、好適に使用できる。
化合物(C)の配合量は、(A)および(B)からなる成分100重量部あたり、0.02〜2重量部である。配合量が0.02重量部未満では、熱安定性が著しく劣るため好ましくない。また、2重量部を超えると成形時にガスが発生し金型を汚染するため好ましくない。配合量は、0.04〜1重量部が好適である。この範囲では、成形時のトラブルもなくかつ優れた熱安定性を示す。
本発明の各種配合成分(A)、(B)、(C)の配合方法には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の単軸または二軸押出機等で溶融混練することができる。また、これら配合成分の配合順序や一括混合、分割混合を採用することについても特に制限はない。
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染顔料、展着剤(エポキシ化大豆油、流動パラフィン等)や強化材(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ等)等、又、他の樹脂を配合することができる。
また、本発明の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で耐衝撃性改良剤としてエラストマーを含むことができる。該エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、コアシェル型のメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン系ゴム等が挙げられる。
本発明の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形体を得る方法は、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂組成物について一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形等の成形方法が適用できる。
本発明の成形体は、OA機器部品や電気電子部品、精密機器部品に幅広く用いられるが、特にOA機器の筐体や電気電子機器の筐体等に好適であり、例えば、ノート型パソコン、電子手帳、携帯電話、デジタルカメラ、プロジェクター等が挙げられる。
以下に本発明を実施例によって、詳しく説明するが、本発明はこれらの範囲内に限定されるものでは無い。尚、実施例中の部、%は断りのない限り重量部、重量%を意味する。
以下の実施例において、各成分として次に示すものを用いた。
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20
重量平均分子量23200、以下、PCと略記)
酸化マグネシウム(B):
(宇部マテリアル社製 RF−50−T、体積平均粒子径(Dv)と数平均粒子径(Dn)との比(Dv)/(Dn)の値=1.2、以下、MgOと略記)
化合物(C)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
(チバスペシャリティケミカルズ社製 イルガホスP168、以下、P168と略記)
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4、4’−ビフェニレンフォスフォナイト
を主成分とするリン系酸化防止剤
(クラリアントジャパン社製サンドスタブP−EPQ、以下、P−EPQと略記)
化合物(C)以外のリン系酸化防止剤:
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト
(ADEKA社製アデカスタブPEP36、以下、PEP36と略記)
6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]
−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−ジベンゾ[d,f][1,3,2]
ジオキサホスフェピン
(住友化学社製スミライザーGP、以下、GPと略記)
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20
重量平均分子量23200、以下、PCと略記)
酸化マグネシウム(B):
(宇部マテリアル社製 RF−50−T、体積平均粒子径(Dv)と数平均粒子径(Dn)との比(Dv)/(Dn)の値=1.2、以下、MgOと略記)
化合物(C)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
(チバスペシャリティケミカルズ社製 イルガホスP168、以下、P168と略記)
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4、4’−ビフェニレンフォスフォナイト
を主成分とするリン系酸化防止剤
(クラリアントジャパン社製サンドスタブP−EPQ、以下、P−EPQと略記)
化合物(C)以外のリン系酸化防止剤:
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト
(ADEKA社製アデカスタブPEP36、以下、PEP36と略記)
6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]
−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−ジベンゾ[d,f][1,3,2]
ジオキサホスフェピン
(住友化学社製スミライザーGP、以下、GPと略記)
実施例1〜5、比較例1〜6
表1および表2に示す割合にて各種配合成分を一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
表1および表2に示す割合にて各種配合成分を一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
(評価方法)
(1)熱伝導率の評価
上記で得られた各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にて熱伝導性評価用試験片(150x90x2.0mm)を作成した。得られた試験片を用いて、京都電子工業社製QTM−500にて熱伝導性の評価を行った。熱伝導率が0.5W/m・K以上を合格とした。
(1)熱伝導率の評価
上記で得られた各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm2にて熱伝導性評価用試験片(150x90x2.0mm)を作成した。得られた試験片を用いて、京都電子工業社製QTM−500にて熱伝導性の評価を行った。熱伝導率が0.5W/m・K以上を合格とした。
(2)表面抵抗率の評価
上記(1)と同じ方法で作製した試験片を用いて、23℃、55%相対湿度の条件で24時間状態調整した後、高抵抗率計(三菱化学社製ハイレスターUP MCP−HT450)を使用し、測定電圧1000V、サンプリング時間30秒の条件で表面抵抗率を測定した。表面抵抗値が1013Ω/sq以上を合格とした。
上記(1)と同じ方法で作製した試験片を用いて、23℃、55%相対湿度の条件で24時間状態調整した後、高抵抗率計(三菱化学社製ハイレスターUP MCP−HT450)を使用し、測定電圧1000V、サンプリング時間30秒の条件で表面抵抗率を測定した。表面抵抗値が1013Ω/sq以上を合格とした。
(3)熱安定性の評価
熱安定性は、上記で得られた各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットの重量平均分子量を測定し、原料として用いたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量からの低下分(ΔMw)を算出して評価した。原料であるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量から7000以下の低下であった場合を合格(○)とした。
重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算し測定した。測定条件は、以下のとおりである。
装置:HEWLETT PACKARD社製HP1100
カラム:Polymer Laboratories社製
PLGe1 5μ MIXED−C
流動相:テトラヒドロフラン
検出器:UVランプ VWDモジュール 264nm
各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットサンプルを塩化メチレンにて溶解し、不溶解分を分離し、抽出したポリカーボネート樹脂の重量平均分子量を測定した。測定溶液は塩化メチレンを溶媒として0.5重量%のポリカーボネート樹脂溶液とし、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して調整した。
熱安定性は、上記で得られた各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットの重量平均分子量を測定し、原料として用いたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量からの低下分(ΔMw)を算出して評価した。原料であるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量から7000以下の低下であった場合を合格(○)とした。
重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算し測定した。測定条件は、以下のとおりである。
装置:HEWLETT PACKARD社製HP1100
カラム:Polymer Laboratories社製
PLGe1 5μ MIXED−C
流動相:テトラヒドロフラン
検出器:UVランプ VWDモジュール 264nm
各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットサンプルを塩化メチレンにて溶解し、不溶解分を分離し、抽出したポリカーボネート樹脂の重量平均分子量を測定した。測定溶液は塩化メチレンを溶媒として0.5重量%のポリカーボネート樹脂溶液とし、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して調整した。
(4)成形安定性の評価
上記で得られた各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、金型温度80℃、射出圧力1600kg/cm2の条件で10ショット成形した後、金型の付着物の有無を目視で確認し、判断した。
判定: 付着物無し(○)、付着物有り(×)
上記で得られた各種ポリカーボネート樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、金型温度80℃、射出圧力1600kg/cm2の条件で10ショット成形した後、金型の付着物の有無を目視で確認し、判断した。
判定: 付着物無し(○)、付着物有り(×)
ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足する場合(実施例1〜5)にあっては、熱安定性・熱伝導率・表面抵抗率・成型安定性のそれぞれに亘って良好な結果を示した。
一方、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
MgOの添加量が本発明の定める範囲よりも少ない例(比較例1)においては、熱伝導性能に劣っていた。
また、MgOの添加量が本発明の定める範囲よりも多い例(比較例2)においては、溶融混練時のポリカーボネート樹脂の分解が進み、造粒困難によりペレットが作成できなかった。
本発明の化合物(C)の添加量が本発明の定める範囲より少ない例(比較例3)においては、ポリカーボネート樹脂の分子量低下が著しく、かつ成形時のガス発生量が多いことから金型に汚れが付着した。
本発明の化合物(C)の添加量が本発明の定める範囲より多い例(比較例4)においては、成形時にガスが発生し金型に汚れが付着した。
比較例5および比較例6は、本発明の化合物(C)以外のリン系酸化防止剤を添加した例であり、ポリカーボネート樹脂の分子量低下が著しく、成形時のガス発生量が多く金型に汚れが付着した。
MgOの添加量が本発明の定める範囲よりも少ない例(比較例1)においては、熱伝導性能に劣っていた。
また、MgOの添加量が本発明の定める範囲よりも多い例(比較例2)においては、溶融混練時のポリカーボネート樹脂の分解が進み、造粒困難によりペレットが作成できなかった。
本発明の化合物(C)の添加量が本発明の定める範囲より少ない例(比較例3)においては、ポリカーボネート樹脂の分子量低下が著しく、かつ成形時のガス発生量が多いことから金型に汚れが付着した。
本発明の化合物(C)の添加量が本発明の定める範囲より多い例(比較例4)においては、成形時にガスが発生し金型に汚れが付着した。
比較例5および比較例6は、本発明の化合物(C)以外のリン系酸化防止剤を添加した例であり、ポリカーボネート樹脂の分子量低下が著しく、成形時のガス発生量が多く金型に汚れが付着した。
Claims (4)
- ポリカーボネート樹脂(A)25〜65重量%および酸化マグネシウム(B)35〜75重量%からなる成分100重量部および下記一般式1に示す化合物(C−1)、下記一般式2に示す化合物(C−2)および下記一般式3に示す化合物(C−3)から選択される1種もしくは2種以上の化合物(C)0.02〜2重量部からなることを特徴とする熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物。
一般式1:(C−1)
一般式2:(C−2)
一般式3:(C−3)
- 前記成分中の酸化マグネシウム(B)の含有量が、40〜70重量%であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2に記載の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られる厚み2.0mmの試験片の熱伝導率が0.5W/m・K以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
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JP2012164520 | 2012-07-25 | ||
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016129018A1 (ja) * | 2015-02-10 | 2016-08-18 | 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
JPWO2018066211A1 (ja) * | 2016-10-06 | 2019-08-15 | ソニー株式会社 | 透過型樹脂組成物及び透過型樹脂成形体 |
-
2013
- 2013-03-29 JP JP2013070877A patent/JP2014040571A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
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US11434364B2 (en) | 2016-10-06 | 2022-09-06 | Sony Corporation | Transparent resin composition and transparent resin molded article |
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