JP2014037622A - 連続鋳造棒及び鍛造品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 初晶Siの出ない微細な組織のAl−Si系合金の連続鋳造棒の提供。
【解決手段】 Siを12〜20wt%、Cuを0.5〜6wt%、Mgを0.1〜6wt%、FeとMnをFe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%、TiとZrをTi/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%、Srを0.005〜0.025wt%含有し、残部がAl及び不純物であり、断熱鋳型で製造したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、Al−Si系合金の連続鋳造棒と、これを用いた鍛造品に関する。
Siを12.6%以上含有する過共晶Al−Si系合金は、アルミ合金の基材中に初晶Siの結晶粒が点在しており、その効果による高い耐摩耗性・摺動性・高温強度を示すことから、従来よりピストンやコンプレッサー等に用いられている。しかし従来のDC鋳造法によれば、Siの含有量が増えると初晶Siが大きくなり、加工性が低下する問題がある。
特許文献1には、ホットトップDC鋳造法において、初晶Si微細化剤としてP,Caを添加すること、さらには初晶Si微細化補助剤としてMg,Sr,Baを添加することで、初晶Siを微細化することができ且つ初晶Siが均一に分布した過共晶Al−Si系合金の鋳塊が得られることが開示されている。しかし特許文献1のものでも、10〜20μmの初晶Siができており、そのような大きさの初晶Siであっても鍛造加工性に悪影響をおよぼすおそれがある。
特開2010−12470号公報
本発明は以上に述べた実情に鑑み、初晶Siの出ない微細な組織のAl−Si系合金の連続鋳造棒と、これを用いた鍛造品を提供することを特徴とする。
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による連続鋳造棒は、Siを12〜20wt%、Cuを0.5〜6wt%、Mgを0.1〜6wt%、FeとMnをFe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%、TiとZrをTi/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%、Srを0.005〜0.025wt%含有し、残部がAl及び不純物であり、断熱鋳型で製造したことを特徴とする。
請求項2記載の発明による連続鋳造棒は、Siを12〜20wt%、Cuを0.5〜4wt%、Mgを0.1〜6wt%、FeとMnをFe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%、TiとZrをTi/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%、Caを0.005〜0.02wt%含有し、残部がAl及び不純物であり、断熱鋳型で製造したことを特徴とする。
請求項3記載の発明による連続鋳造棒は、Siを12〜20wt%、Cuを0.5〜6wt%、Mgを0.1〜6wt%、FeとMnをFe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%、TiとZrをTi/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%、SrとCaをSr+Ca=0.004〜0.03wt%含有し、残部がAl及び不純物であり、断熱鋳型で製造したことを特徴とする。
請求項4記載の発明による鍛造品は、請求項1〜3の何れかに記載の連続鋳造棒を熱間または冷間鍛造したことを特徴とする。
請求項1記載の発明による連続鋳造棒は、Srを0.005〜0.025wt%含有することによる組織を微細化・安定化する作用と、断熱鋳型で製造したことで冷却速度を早くできることにより、Siを12〜20wt%含有しても初晶Siの出ない微細な組織とすることができる。
請求項2記載の発明による連続鋳造棒は、Caを0.005〜0.02wt%含有することによる組織を微細化・安定化する作用と、断熱鋳型で製造したことで冷却速度を早くできることにより、Siを12〜20wt%含有しても初晶Siの出ない微細な組織とすることができる。CaはSrよりも安価なため、コストを抑えられる。
請求項3記載の発明による連続鋳造棒は、SrとCaをSr+Ca=0.004〜0.03wt%含有することによる組織を微細化・安定化する作用と、断熱鋳型で製造したことで冷却速度を早くできることにより、Siを12〜20wt%含有しても初晶Siの出ない微細な組織とすることができる。SrとCaを複合添加することで、単独で添加するよりも微細な組織が安定して得られると共に、総量を少なくできる。
請求項4記載の鍛造品は、請求項1〜3の何れかに記載の連続鋳造棒を熱間または冷間鍛造したので、初晶Siの出ない微細な組織なため鍛造加工性が良く、精密な鍛造品が安定して得られる。Siを12〜20wt%含有しているので、耐摩耗性や高温強度が高い。
本発明に係る連続鋳造棒の実施例1〜4と比較例1,2の断面の写真である。 実施例と比較例の鋳造方法、鋳塊径、合金成分、T6室温強度、鍛造試験の結果をまとめた表である。 本発明の連続鋳造棒の製造に用いられる連続鋳造装置の一例を示す模式図である。 本発明の連続鋳造棒の製造に用いられる連続鋳造装置の他の例を示す模式図である。 本発明の連続鋳造棒を用いた鍛造品の一例(ピストン)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。 実施例1の連続鋳造棒を据え込み鍛造した結果を示す写真である。 鋳塊径が大きい場合の実施例及び比較例を示す表である。 図7の表に示す実施例及び比較例の断面の写真である。 Srの量を変化させたときに鋳塊組織がどのように変化するか実験した結果をまとめた表である。 図9の表に示す実施例及び比較例の断面の写真である。 鋳塊径とSrの量を変化させた実施例を示す表である。 図11の表に示す実施例の断面の写真である。 Srの量と引張強さの関係を示すグラフである。 Caの量を変化させたときに鋳塊組織がどのように変化するか実験した結果をまとめた表である。 図14の表に示す実施例及び比較例の断面の写真である。 Ca及びSrの量を変化させたときに鋳塊組織がどのように変化するか実験した結果をまとめた表である。 図16の表に示す実施例の断面の写真である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の連続鋳造棒は、Siを12〜20wt%含有するいわゆる過共晶Al−Si系合金において、SrとCaの何れか、又はSrとCaの両方を添加することと、断熱鋳型を用いて鋳造することにより、初晶Siの出ない微細な組織としている。さらに本発明の連続鋳造棒は、強度、耐熱性、耐摩耗性、加工性等の特性を得るために、Fe、Cu、Ti、Mn、Mg、Zrが所定量添加される。以下、各元素の作用と含有量等について説明する。
Si:12〜20wt%
Siは、低熱膨張性と耐摩耗性の向上に寄与する元素である。しかしながら、多量に添加すると粗大な初晶Siが晶出し、材料の強度や靱性、加工性を低下させることになる。
従って、本発明では充分な効果を得るため、その下限を12wt%とし、充分な靱性及び加工性を確保するため、その上限を20wt%とする。
Cu:0.5〜6wt%、又は0.5〜4wt%(Caのみを添加する場合)
Cuは、AlCuの析出により高温強度向上に寄与する元素である。しかしながら、多量に添加すると粗大化合物やポロシティーが生じ、強度や靱性を低下させ、また比重を増加させることにもなる。
従ってCuは、200℃において最低限必要な強度を得るため、その下限を0.5wt%とし、粗大化合物やポロシティーの発生を防止すると共に比重の増加を抑えるため、その上限を6wt%とする。なお、Srを添加しないでCaのみを添加する場合は、Cuが4wt%よりも多いとCa添加による組織を微細化・安定化する効果が発揮されなくなるため、Cuの上限を4wt%とする。
Mg:0.1〜6wt%
Mgは、MgSiの析出により強度向上に寄与する元素であるが、多量に添加すると化合物が粗大化し、強度と靱性を低下させる。よってMgは、強度向上の効果が認められ且つ粗大化合物が生じない範囲として、0.1〜6wt%としている。
Fe,Mn:Fe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%
Feは、Alとの化合物の析出により高温強度向上に寄与する元素である。単体では、Al−Fe−Si化合物として晶出する。Mnも高温強度を向上させるための元素であり、Feと同時に添加するとAl(Fe,Mn)化合物を形成する。高温強度にはAl−Fe−Si化合物が効くため、FeをMnよりも多くしている。また、Feを2wt%以上添加すると化合物が粗大化して強度・靱性の低下を招き、0.3wt%以下では高温強度を向上させる効果が十分得られないため、Fe+Mn<0.3〜2wt%としている。
Ti,Zr:Ti/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%
TiとZrは、ともに組織微細化と耐熱性に寄与する元素である。特にZrは鍛造後の強度向上に寄与するため、Zrの添加量をTiよりも多くしている。TiとZrの総量が0.3wt%以上では粗大晶出物が発生するため、Ti+Zr≦0.3wt%としている。
Sr:0.005〜0.025wt%
Srは上記のSi等の添加元素の組織を微細化し、組織を安定化する働きがある。Srの含有量が0.005wt%よりも少ないとこの効果が不安定になり、0.025wt%よりも多いとポロシティーが発生するおそれがある。よってSrは0.005〜0.025wt%とした。
Ca:0.005〜0.02wt%
Caは、Srと同様にSi等の添加元素の組織を微細化し、組織を安定化する働きがある。Caの含有量が0.005wt%よりも少ないとこの効果が不安定になり、0.02wt%よりも多いとポロシティーが発生するおそれがある。よってCaは0.005〜0.025wt%とした。
Sr,Ca:Sr+Ca=0.004〜0.03wt%
CaはSrと比べて安価であるが効果が不安定な場合があり、SrとCaを複合添加することで、Caでは不安定な部分を同じ効果を持つ少量のSrで補い、組織を微細化・安定化する効果を安定して得ることができる。また、SrとCaをそれぞれ単独で添加するよりも、総添加量を少なくすることができる。SrとCaを合わせた量が0.004wt%よりも少ないと効果が不安定で、0.03wt%よりも多いとポロシティーが発生するおそれがあるため、Sr+Ca=0.004〜0.03wt%とした。
Znについて
ADC12Z等のダイカスト用アルミニウム合金は、流通量が多く比較的安価であるが、不純物としてZnを含有しており、Znを含有すると耐食性が低下するなどの不具合が生ずるため、従来は使用していなかった。本発明の連続鋳造棒は、Znを含有してもそのような不具合が生じず、Znを含有しないものと同じように微細な安定した組織になる。そのため、ダイカスト用アルミニウム合金を原料に用いることが可能で、これによりコストダウンを図ることができる。Znの含有量は、限定されるものではないが、おおむね0.8wt%以下が好ましい。
CuとFeの含有量は、本発明の連続鋳造棒から製作される製品の使用環境に応じて変えることが好ましい。具体的には、200℃以下での強度が必要な場合はCuを5%近くまで添加し、200℃以上での強度が必要な場合はFeを1%近くまで添加することが好ましい。
本発明の連続鋳造棒の鋳造に用いる連続鋳造装置の例を図3に示す。この連続鋳造装置は、溶湯を流し込む受湯部1と、受湯部1の下部に設けた上下に貫通した断熱鋳型2を有している。断熱鋳型2の材質としては黒鉛鋳型を用いた。断熱鋳型2の上部側壁には断熱層3を有し、下部側壁の周囲には水冷ジャケット4を設けてある。水冷ジャケット4は、給水口4b、冷却水室4c及び冷却水噴射ノズル4aを有している。冷却水噴射ノズル4aは、断熱鋳型2の外側の下端部2aに向けて冷却水が噴射するようになっており、断熱鋳型2の下端部2aを局部的に冷却するようになっている。また、断熱鋳型2の下端部2aの局部的冷却効果を向上させる観点から、断熱鋳型2の下側の肉厚を上側に比較して薄くしてある。溶湯Mは断熱鋳型2の上部から入り、断熱鋳型2の下端部内側2bで冷却され凝固界面Mcを形成しつつ、断熱鋳型2の下部からビレット等の連続した鋳塊Msとして先端底部を受台6にて受けながら連続鋳造する。
上述のように、断熱鋳型2の外側の下端部2aを局部的に冷却していることで、従来の断熱型連続鋳造法に比較して固液共存温度域の幅dが小さくなる。
断熱鋳型2の下端部2aに噴射した冷却水5は、鋳塊Msの表面に沿って下方向に流水部5aを形成しながら流下する。
上述のように断熱鋳型2の下端部2aを冷却水5で局部的に冷却すると共に、鋳塊Msの表面に沿って流下する冷却水(流水部5a)により、鋳塊Msを45〜65℃/sの高い冷却速度で冷却することができる。これによりアルミニウム合金溶湯の凝固が速やかに完了するため、鋳塊表面が平滑になり、また鋳塊内部は固液共存温度域が狭くなるため金属間化合物の成長が抑制され、内部組織が微細で均一なものになる。冷却速度は、鋳塊Msの中心に熱電対7を上方より差し入れ、熱電対7を受台6と同期して下降させ、熱電対7により測定される温度の変化より求められる。冷却速度は、鋳造速度と冷却水の量を適宜調節することで変化させられる。
図4は、連続鋳造装置の他の実施形態を示している。図3のものと異なる点を説明すると、水冷ジャケット4は鋳型冷却水噴射ノズル14aと、鋳塊表面冷却水噴射ノズル14bとを上下二段に有しており、鋳型冷却水噴射ノズル14aから噴射した冷却水で鋳型下端部2aを局部的に冷却し、さらに鋳塊表面冷却水噴射ノズル14bから鋳塊Msの表面に向けて冷却水5を噴射している。鋳塊表面冷却水噴射ノズル14bから噴射した冷却水は、断熱鋳型2の下端部2aに噴射した冷却水の流れ5aによる流下水膜を破るように鋳塊Ms表面を冷却し、これにより二次冷却効果が高まり凝固界面近傍の温度勾配を大きくすることができ、鋳型内側下端部Sの冷却能力を一層高められる。
鋳型形状としては、図3,4に示したような鋳型内周径が鉛直方向に同じであるストレート型に限定されるものではなく、下側が径の大きいテーパー型でもよく、断面形状も円形のみならず異形断面でもよい。
上述の連続鋳造装置により、図2の表に示す合金成分の連続鋳造棒を鋳造し、その内部組織の観察、T6室温強度の測定、鍛造試験を行った。
実施例1はCaを添加したものであり、実施例2はSrを添加したものであり、実施例3はSrとCaを複合添加したものであり、実施例4はSrとZnを添加したものである。比較例1は、実施例1〜4と同じように断熱鋳型で鋳造し、SrとCaを何れも添加しないもの、比較例2はDC鋳造法により鋳造し、Srを添加したものである。なおT6室温強度とは、T6処理という熱処理を行い強度を高めた状態にして、引っ張り試験を行ったときの最大強さである。
図1の写真より明らかなように、SrとCaの何れか又は両方を添加した実施例1〜4の組織は、何れも初晶Siの出ない微細な組織になっている。Znを含有する実施例4も、実施例1〜3と同様に初晶Siの出ない微細な組織になっている。実施例1について、晶出物(図中の黒い点々)のサイズを測定したところ、平均値が2μmであった。他の実施例も、実施例1と同じ程度に微細化されている。また実施例1〜4は、ポロシティーの発生もなかった。実施例1,2と実施例3,4とでは鋳塊の径が異なるが(実施例1,2は105mm、実施例3,4は60mm)、本発明によれば鋳塊の径によらず初晶Siの出ない微細な組織が安定して得られる。
一方、比較例1の組織は、実施例1と比較して晶出物が針状で大きくなっており、またポロシティーの発生も見られる。比較例1について、晶出物のサイズを測定したところ、平均値が8μmであった。このように、断熱鋳型で鋳造しても、SrとCaの何れも添加しない場合には、細かい組織が安定的に得られにくい。
比較例2の組織は、20μm程度の初晶Siが分散して晶出しており、また針状の晶出物も見られ、実施例1〜4とは全く異なった組織になっている。このようにSrを添加したとしても、DC鋳造法により鋳造すると、冷却速度が早くないため20μm程度の初晶Siが晶出する。
実施例1〜4の連続鋳造棒を鍛造して図5に示す形状のピストン7を製作した。その結果、割れ等の不具合が発生せず、良好な鍛造性を有することを確認した。また実施例1について据え込み鍛造を行ったところ、図6に示すように、72%まで潰しても割れが発生しなかった。
一方、比較例2について据え込み鍛造を行ったところ、60%ちょっとで割れが発生した。このように鍛造性が劣るのは、組織が粗大なためと考えられる。
T6室温強度を見ると、実施例2〜4は略同じ程度の高い値を示し、比較例1,2よりも強度が高いことが分る。特にZnを含有する実施例4が一番高い値を示した。このことから、初晶Siがなくても高い強度が得られることが分る。
図7,8は、鋳塊径が176mmと大きい場合に、Srを添加したときとしないときで鋳塊組織にどのような違いが見られるか実験した結果を示している。
図8の写真より明らかなように、Srを添加した実施例5は、Srを添加しない比較例3よりもSi粒子が小さくなっている。Srを添加しない比較例3には、図中の矢印で示すような大きなSi粒子が確認されるが、Srを添加した実施例5にはそのような大きなSi粒子は見られない。
図9,10は、Srの量を変化させた場合に、鋳塊組織にどのような違いが見られるか実験した結果を示している。図10の写真より明らかなように、Srを添加しない比較例4と、Srを0.004wt%添加した比較例5では初晶Siが確認され、またSrを0.05wt%添加した比較例6では、ポロシティーが発生した。Srを0.02wt%添加した実施例6では、初晶Siもポロシティーも無い微細な組織になった。以上の結果より、Srの添加量は0.004wt%では少なく、またSrの量が多すぎるとポロシティーが発生することが分かる。鋳塊径60mmと120mmの2種類で実験したが、鋳塊径が異なっても傾向は同じであった。
さらに、図11,12,13に示すように、Srの量を0.005〜0.025wt%の範囲内で変化させ、鋳塊組織の観察と引張強さの測定を行った。図12の写真より明らかなように、Srを0.005〜0.025wt%の範囲内で添加した実施例7〜12は、何れも初晶Siもポロシティーも無い微細な組織になった。また、図13のグラフに示すように、Srを0.005〜0.025wt%の範囲内で添加すると、400MPa以上の略一定の高い引張強さを有することが確認された。鋳塊径60mmと120mmの2種類で実験したが、鋳塊径が異なっても傾向は同じであった。
図14,15は、Caの量を変化させた場合に、鋳塊組織にどのような違いが見られるか実験した結果を示している。図15の写真より明らかなように、Caを0.004wt%添加した比較例7では初晶Siが確認され、またCaを0.025wt%添加した比較例8では、ポロシティーが発生した。Caを0.009wt%添加した実施例13では、初晶Siもポロシティーも無い微細な組織になった。以上の結果より、Caの添加量は0.004wt%では少なく、またCaの量が多すぎるとポロシティーが発生することが分かる。
図16,17は、SrとCaを複合添加する場合で、Sr及びCaの量を変化させた場合に、鋳塊組織にどのような違いが見られるか実験した結果を示している。図17の写真より明らかなように、Sr+Ca=0.004〜0.03wt%の範囲内であれば、初晶Siもポロシティーも無い微細な組織が得られることを確認した。
以上に述べたように本発明の連続鋳造棒は、SrやCaを添加することによる組織を微細化・安定化する作用と、断熱鋳型で鋳造したことでアルミニウム合金溶湯の凝固が速やかに完了することとがあいまって、初晶Siの出ない微細な組織とすることができる。これにより鍛造等の加工性が著しく向上する。本発明は、鋳塊径が異なっても同じ効果が得られ、鋳塊径150mm以上の大径のものにも有効である。また本発明の連続鋳造棒を鍛造した鍛造品は、SiやCu等の添加物を多く含有することで、強度や耐摩耗性が優れており、しかも初晶Siの無い微細な組織のため加工性も良好であり、ピストンやコンプレッサー等として好適に用いることができる。
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。合金成分は、特許請求の範囲に記載した範囲内で適宜変更することができる。また、特許請求の範囲に記載のない成分を含有するものであってもよい。連続鋳造棒の径は、特に限定されない。鍛造品の具体的な形状や用途は任意であり、鍛造加工の方法も特に限定されない。
2 断熱鋳型
7 ピストン(鍛造品)
Ms 鋳塊(連続鋳造棒)

Claims (4)

  1. Siを12〜20wt%、Cuを0.5〜6wt%、Mgを0.1〜6wt%、FeとMnをFe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%、TiとZrをTi/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%、Srを0.005〜0.025wt%含有し、残部がAl及び不純物であり、断熱鋳型で製造したことを特徴とする連続鋳造棒。
  2. Siを12〜20wt%、Cuを0.5〜4wt%、Mgを0.1〜6wt%、FeとMnをFe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%、TiとZrをTi/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%、Caを0.005〜0.02wt%含有し、残部がAl及び不純物であり、断熱鋳型で製造したことを特徴とする連続鋳造棒。
  3. Siを12〜20wt%、Cuを0.5〜6wt%、Mgを0.1〜6wt%、FeとMnをFe>Mn且つFe+Mn=0.3〜2wt%、TiとZrをTi/Zr=0.06〜1且つTi+Zr≦0.3wt%、SrとCaをSr+Ca=0.004〜0.03wt%含有し、残部がAl及び不純物であり、断熱鋳型で製造したことを特徴とする連続鋳造棒。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の連続鋳造棒を熱間または冷間鍛造したことを特徴とする鍛造品。
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