JP2014037464A - ポリエーテルポリアミド組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐加水分解性及び透明性を有し、かつ、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性にも優れるポリエーテルポリアミド組成物を提供する。
【解決手段】ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物及び分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物から選ばれる少なくとも1種の分子鎖延長剤(B)0.01〜15質量部を配合したポリエーテルポリアミド組成物である。
Figure 2014037464

(式中、x+zは1〜30、yは1〜50を表し、R1はプロピレン基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエーテルポリアミド組成物に関し、詳しくは、自動車部品や電気部品、電子部品等の材料として好適なポリエーテルポリアミド組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、繊維やエンジニアリニングプラスチック等、幅広い用途に用いられている材料であるが、酸性媒体中では容易に加水分解されることが知られている。
ポリアミド樹脂の耐加水分解性等を改良するために、ポリアミド樹脂に脂肪族カルボジイミド化合物を配合したポリアミド樹脂組成物が知られている(特許文献1)。このようなポリアミド樹脂組成物は耐加水分解性に優れるという特性を有しているが、柔軟性や耐衝撃性が不足することがある。
そこで、バリア性及び強度、耐衝撃性や伸び等の機械的特性に優れる熱可塑性樹脂組成物として、ジアミン構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(a−1)と、ナイロン11及び/又はナイロン12(a−2)からなるポリアミド樹脂組成物(A)及び分子中に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(B)を含有する熱可塑性樹脂組成物が知られている(特許文献2)。
特開平11−343408号公報 特開2008−133455号公報
しかしながら、特許文献2に開示された熱可塑性樹脂組成物は、屈折率の異なる2種類のポリアミド樹脂をブレンドしているため、結晶化の程度によらず白濁が生じる場合があり、一定以上の透明性が要求される用途に対しては、さらに透明性の向上が望まれる。
本発明が解決しようとする課題は、耐加水分解性及び透明性を有し、かつ、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性に優れるポリアミド系の樹脂組成物を提供することである。
本発明は、以下のポリエーテルポリアミド組成物及び成形品を提供する。
<1>ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物及び分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物から選ばれる少なくとも1種の分子鎖延長剤(B)0.01〜15質量部を配合したポリエーテルポリアミド組成物。
Figure 2014037464
(式中、x+zは1〜30、yは1〜50を表し、R1はプロピレン基を表す。)
<2>ポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対し、分子鎖延長剤(B)を0.01〜15質量部配合し、溶融混練することを特徴とする、上記<1>に記載のポリエーテルポリアミド組成物の製造方法。
<3>上記<1>に記載のポリエーテルポリアミド組成物を含む成形品。
本発明のポリエーテルポリアミド組成物は、耐加水分解性及び透明性を有し、かつ、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性に優れる。また、溶融成形性、強靭性及び耐熱性も良好である。
[ポリエーテルポリアミド組成物]
本発明のポリエーテルポリアミド組成物は、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物及び分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物から選ばれる少なくとも1種の分子鎖延長剤(B)0.01〜15質量部を配合したものである。
Figure 2014037464
(式中、x+zは1〜30、yは1〜50を表し、R1はプロピレン基を表す。)
<ポリエーテルポリアミド(A)>
ポリエーテルポリアミド(A)は、ジアミン構成単位が上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。該ポリエーテルポリアミド(A)を用いることで、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性に優れるポリエーテルポリアミド組成物とすることができる。
(ジアミン構成単位)
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来する。
〔ポリエーテルジアミン化合物(a−1)〕
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)に由来する構成単位を含む。上記一般式(1)における(x+z)は1〜30であり、好ましくは2〜25、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜15である。また、yは1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。x、y、zの値が上記範囲より大きい場合、溶融重合の反応途中に生成するキシリレンジアミンとジカルボン酸とからなるオリゴマーやポリマーとの相溶性が低くなり、重合反応が進行しづらくなる。
また、上記一般式(1)におけるR1はいずれもプロピレン基を表す。−OR1−で表されるオキシプロピレン基の構造は、−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、−OCH2CH(CH3)−のいずれであってもよい。
ポリエーテルジアミン化合物(a−1)の重量平均分子量は、好ましくは204〜5000、より好ましくは250〜4000、更に好ましくは300〜3000、より更に好ましくは400〜2000、より更に好ましくは500〜1800である。ポリエーテルジアミン化合物の平均分子量が上記範囲内であれば、柔軟性を発現するポリマーを得ることができる。
〔キシリレンジアミン(a−2)〕
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、キシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位を含む。キシリレンジアミン(a−2)としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であることが好ましく、メタキシリレンジアミン、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物であることがより好ましい。
キシリレンジアミン(a−2)がメタキシリレンジアミンに由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは、柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れたものとなる。
キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物に由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れ、さらに高耐熱性、高弾性率を示す。
キシリレンジアミン(a−2)として、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物を用いる場合には、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの総量に対するパラキシリレンジアミンの割合は、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは1〜80モル%、更に好ましくは5〜70モル%である。パラキシリレンジアミンの割合が上記範囲であれば、得られるポリエーテルポリアミドの融点が、該ポリエーテルポリアミドの分解温度に近接せず、好ましい。
ジアミン構成単位中のキシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位の割合、すなわち、ジアミン構成単位を構成するポリエーテルジアミン化合物(a−1)とキシリレンジアミン(a−2)との総量に対する、キシリレンジアミン(a−2)の割合は、好ましくは50〜99.8モル%、より好ましくは50〜99.5モル%、更に好ましくは50〜99モル%である。ジアミン構成単位中のキシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位の割合が上記範囲内であれば、得られるポリエーテルポリアミドは溶融成形性に優れ、さらに強度、弾性率等の機械的物性が優れたものとなる。
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジアミン構成単位は、上述したように、前記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジアミン化合物に由来する構成単位を含んでもよい。
ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)以外のジアミン構成単位を構成しうるジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(ジカルボン酸構成単位)
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらの中でも結晶性、高弾性の観点からアジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用される。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリアミド(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、上述したように、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸構成単位を構成しうるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
ジカルボン酸成分として、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸との混合物を使用する場合、ポリエーテルポリアミド(A)の耐熱性及び成形加工性を向上させることができる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸とのモル比(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸/イソフタル酸)は、50/50〜99/1が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
(ポリエーテルポリアミド(A)の物性)
ポリエーテルポリアミド(A)は、キシリレンジアミン(a−2)と炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とから形成される高結晶性のポリアミドブロックをハードセグメントとし、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)由来のポリエーテルブロックをソフトセグメントとすることで、溶融成形性及び成形加工性に優れる。さらに得られたポリエーテルポリアミドは強靭性、柔軟性、結晶性、耐熱性等に優れている。
ポリエーテルポリアミド(A)の相対粘度は、成形性及び他の樹脂との溶融混合性の観点から、好ましくは1.1〜3.0の範囲、より好ましくは1.1〜2.9の範囲、更に好ましくは1.1〜2.8の範囲である。当該相対粘度は実施例に記載の方法により測定される。
ポリエーテルポリアミド(A)の融点は、耐熱性の観点から、好ましくは170〜270℃の範囲、より好ましくは175〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜270℃の範囲である。当該融点は実施例に記載の方法により測定される。
ポリエーテルポリアミド(A)の引張破断伸び率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性の観点から、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上、更に好ましくは200%以上、更に好ましくは250%以上、更に好ましくは300%以上である。
ポリエーテルポリアミド(A)の引張弾性率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性及び機械強度の観点から、好ましくは200MPa以上、より好ましくは300MPa以上、更に好ましくは400MPa以上、更に好ましくは500MPa以上、更に好ましくは1000MPa以上である。
(ポリエーテルポリアミド(A)の製造)
ポリエーテルポリアミド(A)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)等のジアミン)とジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリエーテルポリアミド(A)を製造することができる。また、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)等のジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリエーテルポリアミド(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
この際、ジアミン成分のうち、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)については、ジカルボン酸成分とともに予め反応槽内に仕込んでおいてもよい。ポリエーテルジアミン化合物(a−1)を予め反応槽内に仕込んでおくことで、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)の熱劣化を抑制することができる。その場合もまた、反応系を均一な液状態で保つために、ポリエーテルジアミン化合物(a−1)以外のジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)等のジアミン)と、ジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)とのモル比(ジアミン成分/ジカルボン酸成分)は、好ましくは0.9〜1.1の範囲、より好ましくは0.93〜1.07の範囲、更に好ましくは0.95〜1.05の範囲、更に好ましくは0.97〜1.02の範囲である。モル比が上記範囲内であれば、高分子量化が進行しやすくなる。
重合温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは160〜280℃、更に好ましくは170〜270℃である。重合温度が上記温度範囲内であれば、重合反応が速やかに進行する。また、モノマーや重合途中のオリゴマー、ポリマー等の熱分解が起こりにくいため、得られるポリエーテルポリアミドの性状が良好なものとなる。
重合時間は、ジアミン成分を滴下し始めてから通常1〜5時間である。重合時間を上記範囲内とすることにより、ポリエーテルポリアミド(A)の分子量を十分に上げることができ、さらに得られたポリエーテルポリアミドの着色を抑えることができる。
ポリエーテルポリアミド(A)は、リン原子含有化合物を添加して溶融重縮合(溶融重合)法により製造されることが好ましい。溶融重縮合法としては、常圧で溶融させたジカルボン酸成分中にジアミン成分を滴下し、縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が好ましい。
ポリエーテルポリアミド(A)の重縮合系内には、その特性が阻害されない範囲で、リン原子含有化合物を添加できる。添加できるリン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられ、これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、良好な外観及び成形加工性の観点から、ポリエーテルポリアミド中のリン原子濃度換算で、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは5〜1000ppm、更に好ましくは10〜1000ppmである。
また、ポリエーテルポリアミド(A)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリマーの着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリマーのゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。重縮合系内にアルカリ金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物のモル数で除した値が0.5〜1となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.55〜0.95であり、更に好ましくは0.6〜0.9である。上記範囲内であると、リン原子含有化合物のアミド化反応促進を適度に抑制する効果があるので、反応を抑制しすぎることにより重縮合反応速度が低下し、ポリマーの熱履歴が増加してポリマーのゲル化が増大することを避けることができる。
ポリエーテルポリアミド(A)の硫黄原子濃度は、好ましくは1〜200ppm、より好ましくは10〜150ppm、更に好ましくは20〜100ppmである。上記の範囲であると、製造時にポリエーテルポリアミドの黄色度(YI値)の増加を抑えることができるばかりでなく、本発明のポリエーテルポリアミド組成物を溶融成形する際のYI値の増加を抑えることができ、得られる成形品のYI値を低くすることができる。
さらに、ジカルボン酸としてセバシン酸を使用する場合には、その硫黄原子濃度が1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜200ppm、更に好ましくは10〜150ppm、特に好ましくは20〜100ppmである。上記の範囲であると、ポリエーテルポリアミドを重合する際、及び本発明のポリエーテルポリアミド組成物を溶融成形する際のYI値の増加を抑えることができ、得られる成形品のYI値を低くすることができる。
同様に、ジカルボン酸としてセバシン酸を使用する場合には、そのナトリウム原子濃度が1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜300ppm、更に好ましくは20〜200ppmである。上記の範囲であると、ポリエーテルポリアミドを合成する際の反応性がよく、適切な分子量範囲にコントロールしやすく、さらに、前述のアミド化反応速度調整の目的で配合するアルカリ金属化合物の使用量を少なくすることができる。また、本発明のポリエーテルポリアミド組成物を溶融成形する際に粘度増加を抑制することができ、成形性が良好となると共に成形加工時にコゲの発生を抑制できることから、得られる成形品の品質が向上する傾向にある。
このようなセバシン酸は、植物由来のものであることが好ましい。植物由来のセバシン酸は、不純物として硫黄化合物やナトリウム化合物を含有することから、植物由来のセバシン酸に由来する単位を構成単位とするポリエーテルポリアミドは、酸化防止剤を添加しなくてもYI値が低く、また、得られる成形品のYI値も低い。また、植物由来のセバシン酸は、不純物を過度に精製することなく使用することが好ましい。過度に精製する必要がないので、コスト的にも優位である。
植物由来の場合のセバシン酸の純度は、99〜100質量%が好ましく、99.5〜100質量%がより好ましく、99.6〜100質量%が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドの品質が良好になり、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
例えば、セバシン酸に含まれる他のジカルボン酸(1,10−デカメチレンジカルボン酸等)は、0〜1質量%が好ましく、0〜0.7質量%がより好ましく、0〜0.6質量%が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドの品質が良好であり、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
また、セバシン酸に含まれるモノカルボン酸(オクタン酸、ノナン酸、ウンデカン酸等)は、0〜1質量%が好ましく、0〜0.5質量%がより好ましく、0〜0.4質量%が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドの品質が良好になり、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
セバシン酸の色相(APHA)は、100以下が好ましく、75以下がより好ましく、50以下が更に好ましい。この範囲であると、得られるポリエーテルポリアミドのYI値が低いため、好ましい。なお、APHAは、日本油化学会(Japan Oil Chemist’s Society)の基準油脂分析試験法(Standard Methods for the Analysis of Fats,Oils and Related Materials)により測定することができる。
溶融重縮合で得られたポリエーテルポリアミド(A)は、一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合してもよい。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。
<分子鎖延長剤(B)>
本発明に用いられる分子鎖延長剤(B)は、カルボジイミド化合物及び分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物から選ばれる少なくとも1種である。
前記ポリエーテルポリアミド(A)に分子鎖延長剤(B)を配合すると、溶融混練時に分子鎖延長剤(B)の一部又は全部が前記ポリエーテルポリアミド(A)と反応して、耐加水分解性が高く、かつ高分子量のポリエーテルポリアミド組成物とすることができる。ポリエーテルポリアミド(A)を高分子量化するには溶融重縮合を長時間行う必要があり、その際に前記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)の熱劣化が起こる場合があるが、ポリエーテルポリアミド(A)に分子鎖延長剤(B)を所定量配合して加熱溶融することで、短時間の加熱溶融で高分子量のポリエーテルポリアミド組成物を得ることができる。
(カルボジイミド化合物)
本発明で分子鎖延長剤(B)として用いられるカルボジイミド化合物は、分子内に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物である。
本発明に用いられるカルボジイミド化合物としては、芳香族、脂肪族のカルボジイミド化合物が挙げられる。これらの中では、耐加水分解性の効果の発現の度合い、押出時の溶融混練性、及び得られるフィルムの透明性の点から、脂肪族カルボジイミド化合物を用いることが好ましく、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有する脂肪族ポリカルボジイミド化合物を用いることがより好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートより製造されるポリカルボジイミドを用いることが更に好ましい。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートより製造されるポリカルボジイミドとしては、日清紡ホールディングス株式会社製「カルボジライトLA−1」等が挙げられる。
上記カルボジイミド化合物に含まれる、分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中では、特に工業的に入手が容易な点から、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好適である。
上記カルボジイミド化合物に含まれる、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法により製造したものを用いることができる。例えば、カルボジイミド化触媒の存在下、各種有機ジイソシアネートを約70℃以上の温度で不活性溶媒中、もしくは溶媒を使用することなく、脱炭酸縮合反応させることによって合成する方法等を挙げることができる。
上記ポリカルボジイミド化合物の合成原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等の各種有機ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。これらのうち、得られるポリカルボジイミドの押出時の溶融混練性の点から、脂肪族ジイソシアネートが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートがより好ましい。
上記ポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するために、モノイソシアネート等の末端封止剤を使用することができる。モノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
なお、末端封止剤としては、上記のモノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物であればよい。このような活性水素化合物としては、脂肪族、芳香族の化合物の中で、−OH基を持つメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン、コハク酸、安息香酸、ジクロヘキサンカルボン酸等のカルボン酸、エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のチオール類やエポキシ基を有する化合物等を例示することができる。
カルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド及びこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等、チタン酸テトラブチル等の金属触媒等を使用することができ、これらの内では、反応性の面から3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。
本発明に用いられるカルボジイミド化合物の数平均分子量(Mn)は、ポリエーテルポリアミド(A)への分散性の観点から、好ましくは100〜40,000の範囲、より好ましくは100〜30,000の範囲である。数平均分子量(Mn)が40,000以下であれば、ポリエーテルポリアミド(A)への分散性が良好であり、本発明の効果が十分に得られる。
(分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物)
本発明で分子鎖延長剤(B)として用いられる、分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物(以下、単に「エポキシ基含有化合物」ともいう)は、エポキシ基を2個以上含有する化合物であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれも用いることができる。
エポキシ基含有化合物がポリマーである場合には、その重量平均分子量は、耐加水分解性により優れ、組成物がゲル化しにくく、取り扱い性に優れるという観点から、2,000〜1,000,000であるのが好ましく、3,000〜500,000であるのがより好ましく、4,000〜250,000であるのが更に好ましい。
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、エポキシ基含有ポリスチレン、エポキシ化植物油、ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物は、なかでも、耐加水分解性により優れ、組成物がゲル化しにくいという観点から、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、ポリグリシジルエーテルが好ましい。また、耐久性により優れ、組成物がゲル化しにくいという観点から、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーがより好ましい。エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、特に常温で固体のものが好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーについて以下に説明する。分子鎖延長剤(B)としてのエポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、主鎖が(メタ)アクリル系ポリマーであり、分子内にエポキシ基を2個以上含有するポリマーであれば特に制限されない。なお、本発明において、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルのうちの一方又は両方を意味する。
主鎖としての(メタ)アクリル系ポリマーは、ホモポリマー及びコポリマーのうちのいずれであってもよい。エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、なかでも、耐加水分解性により優れ、組成物がゲル化しにくく、取り扱い性に優れるという観点から、メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、耐加水分解性により優れ、組成物がゲル化しにくく、取り扱い性に優れるという観点から、3,000〜300,000であるのが好ましく、4,000〜250,000であるのがより好ましい。
ポリグリシジルエーテルについて以下に説明する。本発明に用いられるエポキシ基含有化合物としてのポリグリシジルエーテルは、分子内に2個以上のグリシジルオキシ基を有する化合物であれば特に制限されない。
ポリグリシジルエーテルとしては、例えば、グリセリン・エピクロルヒドリン−0〜1モル付加物のポリグリシジルエーテル、エチレングリコール−エピクロルヒドリン−0〜2モル付加物のポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール−ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール−ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン−ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物のエポキシ当量は、耐加水分解性により優れ、組成物がゲル化しにくいという観点から、170〜3300g/当量であるのが好ましく、200〜2000g/当量であるのがより好ましい。
本発明に用いられるエポキシ基含有化合物として、市販品を使用することができる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの市販品としては、例えば、Joncryl ADR−4368(アクリル系ポリマー、粉体、重量平均分子量6,800、エポキシ当量285g/当量、BASF社製)、マープルーフG−0150M(アクリル系ポリマー、粉体、重量平均分子量8,000〜10,000、エポキシ当量310g/当量、日油株式会社製)、マープルーフG−2050M(アクリル系ポリマー、粉体、重量平均分子量200,000〜250,000、エポキシ当量340g/当量、日油株式会社製)が挙げられる。
エポキシ基含有ポリスチレンの市販品としては、例えば、マープルーフG−1010S(スチレン系ポリマー、粉体、重量平均分子量100,000、エポキシ当量1,700g/当量、日油株式会社製)が挙げられる。
エポキシ化植物油の市販品としては、例えば、エポキシ化大豆油であるニューサイザー510R(日油株式会社製)等が挙げられる。
本発明のポリエーテルポリアミド組成物において、分子鎖延長剤(B)は、それぞれ単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
分子鎖延長剤(B)の配合量は、耐加水分解性により優れ、組成物がゲル化しにくいという観点から、ポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対して、0.01〜15質量部であり、0.1〜10質量部であるのが好ましく、0.4〜4質量部であるのがより好ましい。
上記配合量が0.01質量部以上であれば、耐加水分解性の改善効果を十分に発揮することができ、配合量を15質量部以下とすることにより、ポリエーテルポリアミド組成物を製造する際に急激な増粘が生じることを避けることができる。
<その他の成分>
本発明のポリエーテルポリアミド組成物には、その特性が阻害されない範囲で、艶消剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を、必要に応じて配合することができる。
また、本発明のポリエーテルポリアミド組成物には、その特性が阻害されない範囲で、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂を、必要に応じて配合することができる。
ポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6T(Tは、テレフタル酸成分単位を表す。以下において同じ))、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6I(Iは、イソフタル酸成分単位を表す。以下において同じ))、ポリヘキサメチレンテレフタルイソフタルアミド(ナイロン6TI)、ポリヘプタメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6(MXDは、m−キシリレンジアミン成分単位を表す。以下において同じ))、ポリメタキシリレンセバカミド(ナイロンMXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(ナイロンPXD10(PXDは、p−キシリレンジアミン成分単位を表す。))、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂(ナイロン1,3−/1,4−BAC6(BACは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン成分単位を表す。))及びこれらの共重合アミド等を使用することができる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4' −ビフェニルジカルボキシレート共重合樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンまたはα−オレフィンとのランダム若しくはブロック共重合体等のポリプロピレン;これらの2種以上の混合物等が挙げられる。ポリエチレンの多くは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である。またポリオレフィン樹脂には、少量のアクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体によって変性された変性ポリオレフィン樹脂が含まれる。変性は、通常、共重合またはグラフト変性によって行われる。
本発明のポリエーテルポリアミド組成物を、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂の少なくとも一部に利用することで、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形方法により、強靭性、柔軟性、引張破断伸びに優れた成形体を得ることができる。
[ポリエーテルポリアミド組成物の物性]
本発明のポリエーテルポリアミド組成物の相対粘度は、成形性及び他の樹脂との溶融混合性の観点から、好ましくは1.1〜3.5の範囲、より好ましくは1.1〜3.3の範囲、更に好ましくは1.1〜3.0の範囲である。当該相対粘度は実施例に記載の方法により測定される。
ポリエーテルポリアミド組成物の融点は、耐熱性の観点から、好ましくは170〜270℃の範囲、より好ましくは175〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜270℃の範囲である。当該融点は実施例に記載の方法により測定される。
ポリエーテルポリアミド組成物の数平均分子量(Mn)は、成形性及び他の樹脂との溶融混合性の観点から、好ましくは8,000〜200,000の範囲、より好ましくは9,000〜150,000の範囲、更に好ましくは10,000〜100,000の範囲である。当該数平均分子量(Mn)は実施例に記載の方法により測定される。
ポリエーテルポリアミド組成物のHaze値は、透明性及び外観性の観点から、厚さ100μmのフィルムとした場合に、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下である。また、ポリエーテルポリアミド組成物のYI値は、透明性及び外観性の観点から、厚さ100μmのフィルムとした場合に、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。上記Haze値及びYI値はJIS K7105に準ずる方法を用いて、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
ポリエーテルポリアミド組成物の引張破断伸び率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性の観点から、好ましくは100%以上、より好ましくは200%以上、更に好ましくは250%以上、より更に好ましくは300%以上である。当該引張破断伸び率は、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
ポリエーテルポリアミド組成物の引張弾性率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性及び機械強度の観点から、好ましくは100MPa以上、より好ましくは200MPa以上、更に好ましくは300MPa以上、更に好ましくは500MPa以上である。当該引張弾性率は、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
本発明のポリエーテルポリアミド組成物は、下式で算出される耐加水分解性試験600時間経過後の引張破断伸び保持率が、好ましくは65%以上、より好ましくは68%以上、更に好ましくは70%以上、より更に好ましくは73%以上である。
耐加水分解性試験600時間経過後の引張破断伸び保持率(%)=〔耐加水分解性試験600時間経過後のフィルムの引張破断伸び率(%)/100℃の蒸留水中にて72時間状態調整した後のフィルムの引張破断伸び率(%)〕×100
ここで、100℃の蒸留水中にて72時間状態調整した後のフィルムの引張破断伸び率、及びフィルムの耐加水分解性試験600時間経過後の引張破断伸び率は実施例に記載の方法により測定される。
[ポリエーテルポリアミド組成物の製造]
本発明のポリエーテルポリアミド組成物は、前記ポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対し、分子鎖延長剤(B)0.01〜15質量部、及び必要に応じてその他の成分を配合し、溶融混練することにより製造することが好ましい。分子鎖延長剤(B)の配合の方法は特に限定されず、反応槽内で溶融状態のポリエーテルポリアミド(A)に分子鎖延長剤(B)等を添加する手法や、ポリエーテルポリアミド(A)に対し分子鎖延長剤(B)等をドライブレンドし、押出機にて溶融混練する手法などが挙げられる。
本発明のポリエーテルポリアミド組成物を溶融混練する方法については、単軸もしくは二軸押出機等の通常用いられる種々の押出機を用いて溶融混練する方法等が挙げられるが、これらのなかでも、生産性、汎用性等の点から二軸押出機を用いる方法が好ましい。その際、溶融混練温度は、ポリエーテルポリアミド(A)の融点以上〜融点より80℃高い温度範囲に設定することが好ましく、該(A)成分の融点より10〜60℃高い温度範囲に設定することがより好ましい。溶融混練温度をポリエーテルポリアミド(A)の融点以上とすることで、該(A)成分の固化を抑制することができ、融点より80℃高い温度以下とすることで、該(A)成分の熱劣化を抑制することができる。
溶融混練における滞留時間は1〜10分の範囲に調整することが好ましく、2〜7分の範囲に調整することがより好ましい。滞留時間を1分以上とすることで、ポリエーテルポリアミド(A)と分子鎖延長剤(B)との分散が十分となり、滞留時間を10分以下とすることでポリエーテルポリアミド(A)の熱劣化を抑制することができる。
二軸押出機のスクリューは少なくとも1箇所以上の逆目スクリューエレメント部分及び/又はニーディングディスク部分を有し、該部分においてポリエーテルポリアミド組成物を一部滞留させながら溶融混練を行うことが好ましい。
溶融混練したポリエーテルポリアミド組成物は、そのまま押出成形し、フィルム等の成形品としてもよく、一度ペレットとした後、改めて押出成型、射出成型等を行って種々の成形品としてもよい。
[成形品]
本発明の成形品は、前記ポリエーテルポリアミド組成物を含むものであり、本発明のポリエーテルポリアミド組成物を従来公知の成形方法により、各種形態に成形して得られる。成形法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、プレス成形、ダイレクトブロー成形、回転成形、サンドイッチ成形及び二色成形等の成形法を例示することができる。
本発明のポリエーテルポリアミド組成物を含む成形品は、優れた耐加水分解性及び透明性に加え、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性を有し、自動車部品、電機部品、電子部品等として好適である。特に、ポリエーテルポリアミド組成物を含んでなる成形品としては、ホース、チューブ又は金属被覆材が好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
1)相対粘度(ηr)
試料0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から下式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
2)数平均分子量(Mn)
まず試料をフェノール/エタノール混合溶媒、及びベンジルアルコール溶媒にそれぞれ溶解させ、カルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液の中和滴定により求めた。数平均分子量は、アミノ末端基濃度及びカルボキシル末端基濃度の定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2×1,000,000/([NH2]+[COOH])
[NH2]:アミノ末端基濃度(μeq/g)
[COOH]:カルボキシル末端基濃度(μeq/g)
3)示差走査熱量測定(ガラス転移温度、結晶化温度及び融点)
示差走査熱量の測定はJIS K7121、K7122に準じて行った。示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、各試料をDSC測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度−5℃/分で100℃まで測定を行い、ガラス転移温度Tg、結晶化温度Tch及び融点Tmを求めた。
4)光学物性評価(Haze、YI)
Haze及びYIの測定はJIS K7105に準じて行った。作製した厚さ約100μmのフィルムを50mm×50mmに切出して試験片とした。測定装置は、曇価測定装置(日本電色工業(株)製、型式:COH−300A)を使用した。
5)引張試験(引張弾性率、引張破断伸び率及び引張破断伸び保持率)
(引張弾性率及び引張破断伸び率の測定)
引張弾性率及び引張破断伸び率の測定はJIS K7161に準じて行った。作製した厚さ約100μmのフィルムを10mm×100mmに切り出して試験片とした。引張試験機((株)東洋精機製作所製、ストログラフ)を用いて、測定温度23℃、湿度50%RH、チャック間距離50mm、引張速度50mm/分の条件で引張試験を実施し、引張弾性率及び引張破断伸び率を求めた。
(引張破断伸び保持率の測定<耐加水分解性試験>)
作製した厚さ約100μmのフィルムを、100℃の蒸留水中にて72時間状態調整を行った。次に、状態調整を行ったフィルムを100℃の蒸留水中に入れ、この時間を耐加水分解試験の開始時間とし、状態調整後のフィルム及び、耐加水分解性試験を開始して200,400及び600時間経過後のフィルムについてJIS K7127に準じて引張試験を行い、引張破断伸び率(%)を求めた。なお、装置は引張試験機((株)東洋精機製作所製、ストログラフ)を使用し、試験片幅を10mm、チャック間距離を50mm、引張速度を50mm/分とし、測定温度を23℃、測定湿度を50%RHとして測定した。状態調整後のフィルムならびに、耐加水分解性試験を開始して所定時間経過後のフィルムの引張破断伸び率の比を引張破断伸び保持率とし、下記式より引張破断伸び保持率(%)を算出した。この引張破断伸び保持率が高いほど耐加水分解性に優れることを意味する。
耐加水分解性試験600時間経過後の引張破断伸び保持率(%)=〔耐加水分解性試験開始後所定時間経過後のフィルムの引張破断伸び率(%)/100℃の蒸留水中にて72時間状態調整した後のフィルムの引張破断伸び率(%)〕×100
6)硫黄原子濃度
各例で用いたセバシン酸をプレス機で錠剤成形し、蛍光X線分析(XRF)を実施した。蛍光X線分析装置((株)リガク製、商品名:ZSX Primus)を用い、管球はRh管球(4kw)を使用した。分析窓用フィルムはポリプロピレンフィルムを使用し、真空雰囲気下で、照射領域30mmφでEZスキャンを実施した。
実施例1
撹拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸505.6g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.499g、酢酸ナトリウム0.348gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。ジアミン成分の滴下終了時の重合温度を240℃に設定し、該温度まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)306.4gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)250.0gの混合液を滴下し、ジアミン成分を滴下し始めてから約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドを得た。ηr=1.29、[COOH]=110.8μeq/g、[NH2]=38.4μeq/g、Mn=14368、Tg=29.2℃、Tch=58.0℃、Tm=185.0℃。
次に、得られたポリエーテルポリアミド100質量部と、分子鎖延長剤として脂肪族ポリカルボジイミド化合物(B1)(日清紡ホールディングス(株)製、商品名:カルボジライトLA−1)2質量部とをドライブレンドし、ニーディングディスクからなる混練部を有する直径28mmのスクリュー、オープンベントならびにTダイを備える二軸押出機にて、シリンダー温度240℃で溶融混練し、温度240℃に設定したTダイからフィルム状に押出成形し、温度40℃に設定した金属ロールで冷却することで、ポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、メタキシリレンジアミンの量を272.4g、ポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)の量を500.0gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミドを得た。ηr=1.20、[COOH]=112.7μeq/g、[NH2]=67.2μeq/g、Mn=11119、Tg=13.7℃、Tch=46.0℃、Tm=182.7℃。
得られたポリエーテルポリアミド100質量部と、分子鎖延長剤としてカルボジライトLA−1 2質量部とを用いて、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、カルボジライトLA−1の配合量を10質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、メタキシリレンジアミン306.4gを、メタキシリレンジアミン214.5g及びパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学(株)製)91.9gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミドを得た。ηr=1.31、[COOH]=81.6μeq/g、[NH2]=69.0μeq/g、Mn=13283、Tg=12.9℃、Tch=69.5℃、Tm=204.5℃。
得られたポリエーテルポリアミド100質量部と、分子鎖延長剤としてカルボジライトLA−1 2質量部とを用いて、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、メタキシリレンジアミン306.4gを、メタキシリレンジアミン91.9g及びパラキシリレンジアミン214.5gに変更し、ジアミン成分の滴下終了時の重合温度を270℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミドを得た。ηr=1.29、[COOH]=64.6μeq/g、[NH2]=62.8μeq/g、Mn=15704、Tg=38.0℃、Tch=68.0℃、Tm=253.0℃。
得られたポリエーテルポリアミド100質量部と、分子鎖延長剤としてカルボジライトLA−1 2質量部とを用いて、シリンダーならびにTダイの温度を280℃とした以外は実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
撹拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.6g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.683g及び酢酸ナトリウム0.476gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。ジアミン成分の滴下終了時の重合温度を260℃に設定し、該温度まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)490.3gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)400.00gの混合液を滴下し、ジアミン成分を滴下し始めてから約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドを得た。ηr=1.38、[COOH]=110.17μeq/g、[NH2]=59.57μeq/g、Mn=11783、Tg=71.7℃、Tch=108.3℃、Tm=232.8℃。
得られたポリエーテルポリアミド100質量部と、分子鎖延長剤としてカルボジライトLA−1 2質量部とを用いて、シリンダーならびにTダイの温度を260℃とした以外は実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例7
実施例6において、メタキシリレンジアミン490.3gを、メタキシリレンジアミン343.2g及びパラキシリレンジアミン147.1gに変更し、ジアミン成分の滴下終了時の重合温度を270℃としたこと以外は、実施例6と同様にしてポリエーテルポリアミドを得た。ηr=1.36、[COOH]=64.8μeq/g、[NH2]=100.7μeq/g、Mn=12083、Tg=79.3℃、Tch=107.1℃、Tm=251.4℃。
得られたポリエーテルポリアミド100質量部と、分子鎖延長剤としてカルボジライトLA−1 2質量部とを用いて、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例8
実施例6において、メタキシリレンジアミン490.3gを、メタキシリレンジアミン294.2g及びパラキシリレンジアミン196.1gに変更し、ジアミン成分の滴下終了時の重合温度を270℃としたこと以外は、実施例6と同様にしてポリエーテルポリアミドを得た。ηr=1.36、[COOH]=84.5μeq/g、[NH2]=85.6μeq/g、Mn=11760、Tg=61.2℃、Tch=104.8℃、Tm=262.1℃。
得られたポリエーテルポリアミド100質量部と、分子鎖延長剤としてカルボジライトLA−1 2質量部とを用いて、シリンダーならびにTダイの温度を280℃とした以外は実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例9〜13
実施例1において、分子鎖延長剤の種類と量を各々表1に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエーテルポリアミド組成物からなる厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
ナイロン−6(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン 1024B)100質量部と、分子鎖延長剤として脂肪族ポリカルボジイミド化合物(B1)(日清紡ホールディングス(株)製、商品名:カルボジライトLA−1)2質量部とをドライブレンドし、ニーディングディスクからなる混練部を有する直径28mmのスクリュー、オープンベントならびにTダイを備える二軸押出機にて、シリンダー温度240℃で溶融混練し、温度240℃に設定したTダイからフィルム状に押出成形し、温度50℃に設定した金属ロールで冷却することで、厚さ約100μmの無延伸フィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、前記評価を行った。結果を表2に示す。
比較例2
分子鎖延長剤を配合しなかったこと以外は、比較例1と同様にして厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表2に示す。
比較例3
分子鎖延長剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして厚さ約100μmの無延伸フィルムを得、前記評価を行った。結果を表2に示す。
比較例4
実施例1において、カルボジライトLA−1の配合量をポリエーテルポリアミド100質量部に対し20質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得ようと試みたが、粘度の増加が著しく、押出し性が不良で製膜できなかった。結果を表2に示す。
比較例5
ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン S6001、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるポリアミド樹脂)90質量部と、ナイロン−12(宇部興産(株)製、商品名:UBESTA 3030XA)10質量部と、分子鎖延長剤としてカルボジライトLA−1 2質量部とをドライブレンドし、ニーディングディスクからなる混練部を有する直径28mmのスクリュー、オープンベントならびにTダイを備える二軸押出機にて、シリンダー温度240℃で溶融混練し、温度240℃に設定したTダイからフィルム状に押出成形し、温度40℃に設定した金属ロールで冷却することで、厚さ約100μmの無延伸フィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、前記評価を行った。結果を表2に示す。
なお、表中の略号は、各々以下のとおりである。
XTJ−542:米国HUNTSMAN社製のポリエーテルジアミン。米国HUNTSMAN社のカタログによれば、前記一般式(1)におけるx+zの概数は6.0、yの概数は9.0、概略重量平均分子量は1000である。
脂肪族ポリカルボジイミド化合物(B1):日清紡ホールディングス(株)製、商品名:カルボジライトLA−1
脂肪族モノカルボジイミド化合物(B2):東京化成工業(株)製、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド
芳香族ポリカルボジイミド化合物(B3):Rhein Chemie製、商品名:Stabaxol P400
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー(B4):BASF社製、商品名:Joncryl ADR−4368、重量平均分子量6,800、エポキシ当量285g/当量
Figure 2014037464
Figure 2014037464
表1及び表2の結果より、本発明のポリエーテルポリアミド組成物は、耐加水分解性及び透明性を有し、かつ、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性にも優れる材料であることがわかる。
本発明のポリエーテルポリアミド組成物は、耐加水分解性及び透明性を有し、かつ、柔軟性、引張破断伸び等の機械的特性にも優れる。また、溶融成形性、強靭性及び耐熱性も良好である。そのため、本発明のポリエーテルポリアミド組成物は、各種工業部品、機械及び電気精密機器のギア及びコネクタ、自動車のエンジン回りの燃料チューブ、コネクタ部品、摺動部品、ベルト、ホース、消音ギア等の電気部品及び電子部品、スポーツ用品等に好適に適用できる。

Claims (14)

  1. ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(a−1)及びキシリレンジアミン(a−2)に由来し、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物及び分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物から選ばれる少なくとも1種の分子鎖延長剤(B)0.01〜15質量部を配合したポリエーテルポリアミド組成物。
    Figure 2014037464
    (式中、x+zは1〜30、yは1〜50を表し、R1はプロピレン基を表す。)
  2. キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物である、請求項1に記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  3. キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミンである、請求項1に記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  4. キシリレンジアミン(a−2)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物である、請求項1に記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  5. メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの総量に対するパラキシリレンジアミンの割合が90モル%以下である、請求項4に記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  6. 炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  7. ジアミン構成単位中のキシリレンジアミン(a−2)に由来する構成単位の割合が、50〜99.8モル%である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  8. 分子鎖延長剤(B)が、脂肪族カルボジイミド化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  9. 分子鎖延長剤(B)が、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーである、請求項1〜7のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  10. ポリエーテルポリアミド組成物の相対粘度が1.1〜3.5である、請求項1〜9のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  11. ポリエーテルポリアミド組成物の融点が170〜270℃である、請求項1〜10のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  12. 測定温度23℃、湿度50%RHにおける引張破断伸び率が100%以上である、請求項1〜11のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物。
  13. ポリエーテルポリアミド(A)100質量部に対し、分子鎖延長剤(B)を0.01〜15質量部配合し、溶融混練することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリエーテルポリアミド組成物を含む成形品。
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