JP2014036964A - 差圧鋳造方法、それによる鋳造品、及びそれに用いられるアルミニウム合金材 - Google Patents

差圧鋳造方法、それによる鋳造品、及びそれに用いられるアルミニウム合金材 Download PDF

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公一 駒井
Kaname Fujii
要 藤井
Hiroyo Taniuchi
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Abstract

【課題】溶湯に高いアルマイト処理性を保持するアルミニウム合金を用いると共に、該アルミニウム合金の組成に起因するガスポロシティ等の鋳造欠陥を抑制する差圧鋳造方法を提供する。
【解決手段】溶湯が、Si:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、及びFe:0.1質量%以下を含有するアルミニウム合金からなり、差圧鋳造装置を用いて、前記溶湯を保持する保持容器3及び鋳型Sを収納する収納容器5を大気圧以上の所定圧力Pまで上昇させて鋳造を行なう。溶湯の凝固時には、前記保持容器3内と前記収納容器5内との差圧を所定差圧ΔPzに設定し、押し湯を行ないつつ凝固する。
【選択図】図4

Description

本発明は、珪素(Si)を含有するアルミニウム(Al)合金を用いた差圧鋳造方法に係り、特に、例えば半導体製造装置に用いる真空チャンバ等の鋳造品に用いて好適な差圧鋳造方法に関する。
近時、軽量化のニーズから、Al及びAl合金からなる構造部材が広く利用されており、Al合金材は、加工が比較的容易なことや低コストなこと、金属汚染が極めて少ないという特徴から、半導体製造装置に使用される真空部品(例えば真空チャンバ)の材料として多く選択されている。
従来、コストダウンのために真空部品を鋳物化することが検討されているが、鋳造において必要となる溶湯の流動性は、Siを多く含有させることによって高まることが知られている。一方で、真空部品の真空度の向上のためにアルマイト処理性を高める際には、含有Siが少ない方が有利であることが知られている。
このため、含有Siの少ないAl合金(Si含有量が1.2〜3.0%)を溶湯として用い、キャビティに該溶湯を充填する湯口を複数備える金型を用いて、保持炉に貯留される溶湯を加圧又は吸引する低圧鋳造法で前記複数の湯口から金型のキャビティに溶湯を充填し、アルマイト処理性を高めつつキャビティに不足なく溶湯を充填する鋳造方法が案出されている(特許文献1参照)。また、溶湯の流動性を高める作用と、アルマイト処理性を阻害する作用の両作用を示すSi含有量を最適化した結果、Si含有量が4〜6%の範囲内のアルミニウム合金を用いて鋳造される真空容器が案出されている(特許文献2参照)。
特開2004−174517号公報 特開2007−260624号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の鋳造方法は、含有させるSiを少量にしたことで鋳造品にガスポロシティや引け巣等の鋳造欠陥が発生しやすくなり、高い信頼性で高真空度を維持する必要のある真空部品に適用することは困難である。
また、上記特許文献2記載の真空容器は、Si含有量が4%よりも少なくなると、鋳造欠陥が発生しやすくなり、又湯回り不良及び湯境等の欠陥が発生しないようにSiの下限値を4%と設定しているが、より高真空度でアルマイト処理性の高い真空チャンバが求められる昨今の産業的な要求を満たすためには、Si含有量が4%程度のアルマイト処理性では不足である。
そこで、本発明は、Si含有量の少ないAl合金を用いつつ、その他マグネシウム(Mg),チタン(Ti),及び鉄(Fe)の含有量を適切に設定し、かつ溶湯を保持する保持容器及び鋳型が収納される収納容器に所定の圧力をかけることにより、アルミニウム合金の組成に起因する鋳造欠陥を抑制し、もって上述の課題を解決した特定組成からなるアルミニウム合金を用いた差圧鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明は、溶湯を保持する保持容器(3)と、該保持容器(3)の上方に配置され、鋳型(S)が収納される収納容器(5)と、前記保持容器(3)と前記鋳型(S)とを連通するストーク(6)と、を備えた差圧鋳造装置(1)を用いた差圧鋳造方法において、
前記溶湯が、Si:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、及びFe:0.1質量%以下を含有するアルミニウム合金からなり、
前記保持容器(3)と前記収納容器(5)とを、所定圧力(P)まで昇圧させる昇圧工程(S2)と、
前記保持容器(3)内と前記収納容器(5)内との差圧を第1の差圧(ΔPx)に設定し、前記ストーク(6)の上端位置に溶湯を上昇させる上昇工程(S3,S4)と、
前記保持容器(3)内と前記収納容器(5)内との差圧を第2の差圧(ΔPy)に設定し、前記鋳型(S)内に溶湯を充填させる充填工程(S5,S6)と、
前記保持容器(3)内と前記収納容器(5)内との差圧を第3の差圧(ΔPz)に設定し、前記鋳型(S)内の溶湯を凝固させる凝固工程(S7,S8)と、
前記保持容器(3)内と前記収納容器(5)内の圧力を、大気圧まで除圧させる除圧工程(S9)と、を備えてなる、
ことを特徴とする。
前述した差圧鋳造方法によって鋳造され、アルマイト処理が施された、
ことを特徴とする鋳造品にある。
特に、前記鋳造品が、真空チャンバ(29)であると好適である。
前記差圧鋳造方法に用いられるアルミニウム合金材は、Si:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、及びFe:0.1質量%以下を含有してなる。
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。
請求項1に係る本発明によると、溶湯のアルミニウム合金にSi:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、Fe:0.1質量%以下を含有させたので、Si含有量の多い従来のアルミニウム合金に比べ、非常に高いアルマイト処理性を保持しつつ、かつ微細なMgSiを析出することで、強度を向上することできる。また、溶湯を保持する保持容器と共に鋳型を収納する収納容器を加圧し、かつ凝固工程に押し湯をすることで、Si含有量が少ないことに起因するガスポロシティや引け巣等の鋳造欠陥を抑制して、仕上がりを良好にし、高い信頼度で高真空度を維持することができる。
請求項2に係る本発明によると、従来の鋳造品に比して、鋳造欠陥を抑制し、かつアルマイト処理性を向上することができるので、高真空度の鋳造品を製造することができる。
請求項3に係る本発明によると、従来の真空チャンバに比して、鋳造欠陥を抑制し、かつアルマイト処理性を向上することができるので、高真空度の真空チャンバを製造することができる。
請求項4に係る本発明によると、従来のアルミニウム合金材に比して、アルマイト処理性及び強度を向上することができる。
本発明の実施の形態に係る差圧鋳造装置及びその配管構成を示す模式図。 本発明に係る差圧鋳造方法により製造されて好適な真空チャンバを示す模式図。 本発明の実施の形態に係る鋳造方法を示すフローチャート。 本発明の実施の形態に係る保持容器及び収納容器の圧力変化を示す図。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、まず、図1に沿って、差圧鋳造装置及びその配管構成について説明する。
差圧鋳造装置1は、溶湯を保持する保持容器3と、該保持容器3の上方に配置され、砂型Sが収納される収納容器5と、上記保持容器3と上記砂型Sとを連通する上下方向に延びるストーク6と、を備えている。上記溶湯は、後述する特定組成のアルミニウム合金からなり、例えば上記収納容器5に配置される不図示の距離センサによって、上記ストーク6の上端6aと、上記溶湯の液面Mとの距離h1が測定できるようになっている。
上記差圧鋳造装置1は、例えば空気、希ガス又は窒素ガス等の鋳造に適した高圧ガスを供給するガス供給装置7を備え、該ガス供給装置7には、加圧弁9を介して、上記収納容器5に接続される第1の給気管10及び上記保持容器3に接続される第2の給気管11が接続されている。そして、第1の給気管10には、第1の圧力調整手段として第1の圧力調整弁12と、第1の給気弁13とが配設され、上記第2の給気管11には、第2の圧力調整手段としての第2の圧力調整弁15と、第2の給気弁16とが配設されている。
また、第1の給気管10における第1の給気弁13の二次側と、第2の給気管11における第2の給気弁16の二次側とが、連結管17で連結されており、該連結管17には、連結弁19が配設されている。また、第1の給気管10における第1の給気弁13の二次側には、終端に第1の大気開放弁20が接続された第1の大気開放管21が接続されており、第2の給気管11における第2の給気弁16の二次側には、終端に第2の大気開放弁22が接続された第2の大気開放管23が接続されている。
上記差圧鋳造装置1は、収納容器5内の圧力を検知する第1の圧力センサ25と、保持容器3内の圧力を検知する第2の圧力センサ26と、を備えている。
上記各弁9,12,13,15,16,19,20,22及び上記第1の圧力センサ25,第2の圧力センサ26は、制御装置27に接続されて、該制御装置27によって、上記収納容器5内の圧力P1及び上記保持容器3内の圧力P2を制御している。
次に、上記差圧鋳造装置1を用いた本実施の形態による差圧鋳造方法は、Si:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、及びFe:0.1質量%以下(その他微量な金属)を含有する特殊な組成からなるアルミニウム合金が用いられ、上記差圧鋳造装置1の前記砂型Sは、図2に示す真空部品である半導体製造装置用の真空チャンバ29の鋳型に適用される。
図3において、まず制御装置27は、上記不図示の距離センサによって測定した上記ストーク6の上端位置と上記溶湯の液面Mとの距離h1に基づいて、上記収納容器5内の圧力P1と保持容器3内の圧力P2との差圧であって、上記ストーク6の上端6aまで溶湯が上昇するのに必要な第1の差圧ΔPx、上記砂型Sに溶湯を充填する(溶湯の液面Mに対する砂型SのキャビティSc内の上端の高さh2に溶湯が上昇する)のに必要な第2の差圧ΔPy、及び第2の差圧ΔPyよりも大きい第3の差圧ΔPzを演算する(ステップS1)。
本実施の形態の差圧鋳造方法は、演算された第1,第2,第3の差圧ΔPx,ΔPy,ΔPzに基づいて行われ、収納容器5内の圧力P1及び保持容器3内の圧力P2を昇圧する昇圧工程と、上記ストーク6の上端位置に溶湯を上昇させる上昇工程と、上記砂型S内に溶湯を充填させる充填工程と、上記砂型S内の溶湯を凝固させる凝固工程と、収納容器5内の圧力P1及び保持容器3内の圧力P2を大気圧まで除圧させる除圧工程と、からなり、それらを工程毎に順に説明する。
(昇圧工程)
制御装置27は、収納容器5内の圧力P1及び保持容器3内の圧力P2が大気圧よりも高い所定圧力P(例えば、650kPa)にする制御を行う(ステップS2:図4中、昇圧期間T1)。
具体的に説明すると、制御装置27が、初めに開弁状態である第1及び第2の大気開放弁20,22を閉弁し、次いで、加圧弁9並びに第2の給気弁13,16を開弁すると共に、第1及び第2の圧力調整弁12,15を、収納容器5及び保持容器3の圧力が所定圧力Pとなるように調整する。このとき、連結弁19は、開弁状態であるので、上記収納容器5及び保持容器3は、同一の速度で所定圧力Pに昇圧する。
ところで、本実施の形態に用いられる溶湯は、Si:0.8質量%未満であると、固溶したSi及びMgの溶体化処理及び時効処理の際のMgSiの析出量が少なく、十分な強度が出ない。また、Si:2.0質量%以上の場合は、超高真空度を達成するために高いアルマイト処理性が求められる真空チャンバには、アルマイト処理性が不十分である。そのため、Si:0.8〜2.0質量%に設定される。
本昇圧工程によって、上記収納容器5及び保持容器3を大気圧よりも高い所定圧力Pに昇圧することで、Si含有量をSi:0.8〜2.0質量%と少量にしたことに起因して増加する溶湯凝固時の水素ガス気泡の生成を防止し、ガスポロシティ,ピンホール等の鋳造欠陥を抑制することができる。
また、図2に示すように、本発明が適用される半導体製造装置用の真空チャンバ29は、上方が開放された箱型からなり、孔30を有する底面部31と、側面部32を有する。これら底面部31及び側面部32は、薄肉部を持たず、Si:0.8〜2.0質量%においても、砂型Sに充填するための流動性は確保される。なお、溶湯を加熱することでより良好な流動性を付与することができる。
(上昇工程)
上記制御装置27は、第1及び第2の圧力センサ25,26により収納容器5及び保持容器3の圧力P1,P2を検知し、各圧力P1,P2が所定圧力Pに達した場合、所定期間T2を経過させて圧力を落ち着かせた後、上記収納容器5内と上記保持容器3内との差圧が、ΔPxとなるように、各圧力P1,P2を設定する(ステップS3:図4中、上昇期間T3)。
具体的に説明すると、制御装置27は、各圧力P1,P2が所定圧力Pに達した場合、連結弁19を閉弁し、第1の差圧ΔPxとなるように、上記保持容器3内の圧力P2を所定圧力Pよりも昇圧するよう、第2の圧力調整弁15を設定する。そして、このように第2の圧力調整弁15を調整することにより、上記保持容器3内の圧力P2は、徐々に昇圧し、上記収納容器5内と保持容器3内との差圧が、第1の差圧ΔPxとなる。このように差圧を第1の差圧ΔPxに設定することで、溶湯が砂型Sの寸前で減速又は一時停止し、溶湯が勢い良く砂型Sに注入されることはない。
次に、制御装置27は、上記ストーク6の上端6aに溶湯が達したか否かを判断する(ステップS4)。具体的に説明すると、保持容器3内の圧力P2は、徐々に昇圧するので、保持容器3内の溶湯は、保持容器3内の圧力P2の上昇と共にストーク6を上昇する。そして、収納容器5内と保持容器3内との差圧が、第1の差圧ΔPxに達した場合は、ストーク6の上端6aに溶湯が達する。
(充填工程)
制御装置27は、ストーク6の上端6aに溶湯が達した場合(ステップ4:Yes)、収納容器5内と保持容器3内との差圧が第2の差圧ΔPyとなるように設定し、砂型SのキャビティScに溶湯を充填する(ステップS5:図4中、充填期間T4)。
具体的に説明すると、制御装置27は、差圧が第2の差圧ΔPyとなるように、収納容器5内の圧力P1を所定圧力Pから減圧するよう、第1の圧力調整弁12を設定する。そして、このように第1の圧力調整弁12を設定することにより、収納容器5内の圧力P1は、徐々に減圧し、収納容器5内と保持容器3内との差圧が、第2の差圧ΔPyとなる。
このように、直接第2の差圧ΔPyに設定するのではなく、予め第1の差圧ΔPxに設定してから、第2の差圧ΔPyに設定するようにしたので、砂型SのキャビティScに溶湯が勢いよく噴き上がるのを抑制することができ、砂型Sが損傷するのを抑制することができ、仕上がりの良好な鋳物を製作することができる。
一般に、流動長は、湯温が高いほど長くなり、かつ溶湯充填時間が長いほど、即ち充填速度が遅いほど、短くなるが、充填時間が所定時間(例えば10秒)以上においては、充填時間に影響されずに略々一定となる。また、Si含有量は、7.5質量%等のSi含有量が多い場合、流動長の長短に影響を及ぼすが、2.0質量%以下の低Si量では、いずれの充填時間にあっても、流動長に影響を及ぼすことがないことを流動長比較実験により確認した。したがって、上記第2の差圧ΔPyの設定により、充填期間T4をきめ細かく適正な値に設定し、Si:2.0%質量%以下のアルミニウム合金からなる溶湯では、スムースに砂型Sに充填され、特に薄肉部を持たない真空チャンバにおいては、十分な湯流れ性により正確に充填される。
また、収納容器5内の圧力P1を減圧するようにしたので、砂型Sに溶湯を充填する際に、溶湯を押し出す側の保持容器3内の圧力P2が変動しないので、溶湯の流れがスムースであり、仕上がりの良好な鋳物を製作することができる。
次に、制御装置27は、砂型SのキャビティScに溶湯を充填するのが完了したか否かを判断する(ステップS6)。本実施の形態では、収納容器5内と保持容器3内との差圧が第2の差圧ΔPyとなってから充填に必要な時間が経過したか否かを判断する。
(凝固工程)
制御装置27は、砂型SのキャビティScに溶湯を充填するのが完了した場合(ステップS6:Yes)、収納容器5内と保持容器3内との差圧が第3の差圧ΔPzとなるように設定する(ステップS7:図4中、凝固期間T5,T6,T7)。具体的に説明すると、制御装置27は、差圧が第3の差圧ΔPzとなるように、まず、所定期間T5において収納容器5内の圧力P1を所定圧力Pに設定し、その後、所定期間T6において保持容器3内の圧力P2を昇圧するよう、各圧力調整弁12,15を設定する。
一般に、Si含有量を少量にすると、準液相範囲が狭くなり、引け等の鋳造欠陥が発生しやすくなるが、このように保持容器3内の圧力P2をきめ細かく適正な値に昇圧して砂型Sに通じる溶湯に追い打ちの圧力をかけることにより、押し湯効果が高まって鋳造欠陥が少なくなり、本実施の形態のように溶湯のSi含有量をSi:0.8〜2.0質量%に設定しても、仕上がりの良好な鋳物を製作することができる。これにより、凝固収縮による厚さ方向の凹みを生ずることがなく、鋳型形状が正確に転写され、適正な鋳造品、例えば真空チャンバが得られる。なお、鋳造品によっては、第3の差圧ΔPzによって砂型表面に溶湯が差し込み、鋳物表面が粗くなるのを防止するために、上記凝固工程における押し湯を行わない場合がある。この場合には、充填期間T4において第2の差圧ΔPyに設定した後、保持容器3内の圧力P2は維持した状態で収納容器5内の圧力P1を上記圧力P2まで昇圧し、収納容器5及び保持容器3内の圧力を大気圧まで除圧する(後述するステップS9参照)。
次に、制御装置27は、砂型S内の溶湯が凝固したか否かを判断する(ステップS8)。具体的に説明すると、制御装置27は、溶湯が凝固に必要な時間が経過したか否かを判断する。
(除圧工程)
制御装置27は、砂型S内の溶湯が凝固したと判断した場合(ステップS8:Yes)、まず第1の圧力調整弁12を、収納容器5内の圧力P2が保持容器3内の圧力P1と同じになるように第1の圧力調整弁12を調整し、その後収納容器5及び保持容器3内の圧力を大気圧まで除圧する(ステップS9:図4中、除圧期間T8)。具体的に説明すると、加圧弁9並びに第1及び第2の給気弁13,16を閉弁し、その後、第1及び第2の大気開放弁20,22を開弁する。
次に、本発明に適用されるアルミニウム合金のMg,Ti,Feの含有量について詳しく説明する。Mg含有量は、Mg:0.3〜0.45質量%の範囲内であり、Siとの混在でMgSiを析出させて強度を向上するために添加される。Mg:0.3質量%未満であると、MgSiの析出量が少なくなり、強度が損なわれる。Mg:0.45質量%以上であると、粒界にMgSiが偏析してしまい、逆に強度が出ない。Ti含有量は、Ti:0.1〜0.2質量%の範囲内であり、結晶粒の微細化のために添加される。すなわち、Tiの添加により析出するMgSiが微細化され、より強度が出ることとなる。Ti:0.1質量%未満であると結晶粒の微細化効果は小さく、0.2質量%以上であると、粗大なAl−Ti化合物を形成し、アルマイト皮膜の阻害要因となることがある。Fe含有量は、Fe:〜0.1質量%の範囲内であり、アルマイト皮膜の阻害要因であるため少ないほど望ましいが、精錬工程において少量含有してしまうものである。
以上、本実施の形態によれば、Si含有量がSi:0.8〜2.0質量%と、少量のSiを含有させることにより、アルマイト処理性を高め超高真空度を達成するとともに、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%をそれぞれ含有することにより、微細なMgSiを析出させて強度の向上を図っている。
また、Si含有量を少量にしたことに起因するガスポロシティ,ピンホール等の鋳造欠陥、及び砂型Sにおける溶湯の凝固時に発生する引け巣等の鋳造欠陥を、大気圧以上の圧力下で鋳造を行い、凝固時に押し湯することにより抑制して、高精度で仕上がりの良い真空チャンバ又は他の鋳造品を製作することができる。
なお、上記実施の形態では、真空チャンバの鋳造に基づいて本発明を説明したが、上記差圧鋳造方法は、鋳造品が真空チャンバに限定されるものではない。例えば真空装置に使用されて、真空チャンバの天板等がプラズマエッチング処理によって侵食されるのを防止するデポシールド、及び配管継手、フランジなどの真空部品でもよく、更に真空部品以外のものにも適用可能である。Si:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、及びFe:0.1質量%以下の範囲内で含有するアルミニウム合金を、精錬し、鋳塊(インゴット、アルミニウム合金材)としてもよく、これを溶湯として差圧鋳造による鋳造品、特にアルマイト処理される製品に適用すると好適である。
本実施の形態では、図3中、ステップS5において、収納容器5内と保持容器3内との差圧を第2の差圧ΔPyに設定する際に、収納容器5内の圧力を減圧するようにしたが、これに限るものではなく、保持容器3内の圧力P2を昇圧して差圧を第2の差圧ΔPyに設定してもよい。
また、本実施の形態では、鋳型として砂型を用いた場合について説明したが、これに限定するものではなく、鋳型として金型を用いて生産する場合であってもよい。
1 差圧鋳造装置
3 保持容器
5 収納容器
29 真空チャンバ
P 所定圧力
ΔPx 第1の差圧
ΔPy 第2の差圧
ΔPz 第3の差圧
S 砂型(鋳型)
S2 昇圧工程
S3,S4 上昇工程
S5,S6 充填工程
S7,S8 凝固工程
S9 除圧工程

Claims (4)

  1. 溶湯を保持する保持容器と、該保持容器の上方に配置され、鋳型が収納される収納容器と、前記保持容器と前記鋳型とを連通するストークと、を備えた差圧鋳造装置を用いた差圧鋳造方法において、
    前記溶湯が、Si:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、及びFe:0.1質量%以下を含有するアルミニウム合金からなり、
    前記保持容器と前記収納容器とを、所定圧力まで昇圧させる昇圧工程と、
    前記保持容器内と前記収納容器内との差圧を第1の差圧に設定し、前記ストークの上端位置に溶湯を上昇させる上昇工程と、
    前記保持容器内と前記収納容器内との差圧を第2の差圧に設定し、前記鋳型内に溶湯を充填させる充填工程と、
    前記保持容器内と前記収納容器内との差圧を第3の差圧に設定し、前記鋳型内の溶湯を凝固させる凝固工程と、
    前記保持容器内と前記収納容器内の圧力を、大気圧まで除圧させる除圧工程と、を備えてなる、
    ことを特徴とする差圧鋳造方法。
  2. 前記請求項1記載の差圧鋳造方法によって鋳造され、アルマイト処理が施された、
    ことを特徴とする鋳造品。
  3. 前記鋳造品が、真空チャンバである、
    請求項2記載の鋳造品。
  4. Si:0.8〜2.0質量%、Mg:0.3〜0.45質量%、Ti:0.1〜0.2質量%、及びFe:0.1質量%以下を含有してなる、
    請求項1記載の差圧鋳造方法に用いられるアルミニウム合金材。

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