JP2014031048A - ヘッドレスト支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘッドレストの高さ調整に伴うシートの共振周波数の変化を好適に抑えることのできるヘッドレスト支持構造を提供する。
【解決手段】ヘッドレストステー16の先端部分を支持するサポート部材13は、その上部に設けられた凸部17の先端を中心Sとして傾動可能に支持され、且つその下部において、同サポート部材13の傾動に応じて伸縮されるバネ19の付勢を受けた状態で、サポートブラケット12に配設される。こうしたサポート部材13における、ヘッドレストの高さ調節に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、上記中心Sの位置と、ヘッドレストステーの挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内とすることで、高さ調節に伴うヘッドレストの支持剛性の変化を抑えるようにした。
【選択図】図2
【解決手段】ヘッドレストステー16の先端部分を支持するサポート部材13は、その上部に設けられた凸部17の先端を中心Sとして傾動可能に支持され、且つその下部において、同サポート部材13の傾動に応じて伸縮されるバネ19の付勢を受けた状態で、サポートブラケット12に配設される。こうしたサポート部材13における、ヘッドレストの高さ調節に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、上記中心Sの位置と、ヘッドレストステーの挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内とすることで、高さ調節に伴うヘッドレストの支持剛性の変化を抑えるようにした。
【選択図】図2
Description
本発明は、ヘッドレストから突き出されたヘッドレストステーの先端部分をシートバックに設けられた支持部材によって支持するとともに、その支持部材に対するヘッドレストステーの摺動を通じてヘッドレストの高さ調節が可能なヘッドレスト支持構造に関する。
近年、エンジンの燃費性能の向上のため、エンジン回転速度の低速化が進められている。そして、その結果、前後振動に対するシートの共振周波数がエンジン振動の周波数域に入ってしまい、ドライバビリティーの悪化を招いてしまっている。
図13(a)に示すように構成された車両のシートの前後振動は、同図(b)に示すような2自由度のバネ−マスモデルで表わすことができる。同図において、「m1」は、レール及びシートバックフレームからなるシート骨格の等価質量を、「m2」は、ヘッドレストの等価質量をそれぞれ示している。また、「k1」は、シート骨格の等価剛性を、「k2」は、ヘッドレスト支持構造の等価剛性をそれぞれ示している。
ここで、シート骨格に対するヘッドレストの支持剛性が十分に小さければ、ヘッドレストが、シートのダイナミックダンパーと機能して、シートの共振周波数が低下される。このときの共振周波数の低下効果は、ヘッドレストの等価質量m2を増加させるほど、あるいはヘッドレスト支持構造の等価剛性k2を低減させるほど、大きくなる。
そして従来、ヘッドレストの支持剛性を低減させることで、車両シートの前後振動の共振周波数を低下させるようにした、特許文献1に記載のヘッドレスト支持構造が提案されている。次に、こうした従来のヘッドレスト支持構造の構成を説明する。
図14に示すように、シートバックフレーム100の上部には、2つのヘッドレストブラケット101がシート左右方向に間隔を置いてそれぞれ固定されている。左右のヘッドレストブラケット101には、略円管状に形成されたヘッドレストガイド102がそれぞれ組付けられている。そして、ヘッドレスト104に設けられた2本のヘッドレストステー103を、両ヘッドレストガイド102にそれぞれ挿入することで、ヘッドレスト104がシートバックフレーム100に支持されている。
図15に示すように、ヘッドレストブラケット101は、略コの字状に曲げられた金属製の板材からなっている。ヘッドレストブラケット101の上部及び下部には、ヘッドレストガイド102が挿通される貫通孔105、106がそれぞれ形成されている。ヘッドレストブラケット101上部の貫通孔105は、そのシート前後方向の径が、これに挿通されるヘッドレストガイド102の外径よりも大幅に長い長穴に形成されている。
また、貫通孔105のシート前方の端部には、スプリング107が架け渡されている。そして、このスプリング107の付勢力を受けた状態で、ヘッドレストガイド102が貫通孔105に挿入されている。
図16に示すように、こうしたヘッドレスト支持構造では、ヘッドレストステー103が嵌入されたヘッドレストガイド102は、貫通孔106を支点として、スプリング107の撓みを伴ってシート前方F及びシート後方Rに傾動可能に支持されている。すなわち、このヘッドレスト支持構造では、シート前後方向の変位に対してヘッドレスト104を、スプリング107によって弾性的に支持している。そのため、シート前後方向へのヘッドレスト104の支持剛性が小さくなり、シートの前後振動の共振周波数fnが低下されるようになる。
ところで、車両用などのシートでは、シートバッグに対するヘッドレストステーの挿入量を変化させることで、ヘッドレストの高さ調節が可能となったものがある。上記従来のヘッドレスト支持構造に、こうしたヘッドレストの高さ調節機能を付加すると、その高さ調節に伴ってシート前後方向へのヘッドレスト104の支持剛性が変化して、前後振動に対するシートの共振周波数fnが変化してしまうようになる。
ヘッドレストステー103及びヘッドレストガイド102を剛体と見做すと、上記従来のヘッドレスト支持構造は、図17(a)に示すような梃子としてモデル化できる。すなわち、上記従来のヘッドレスト支持構造は、図中左側の端をヘッドレスト104とし、貫通孔105を支点とするともに、それらの間の部位においてスプリング107により弾性支持された梃子として表わすことができる。
ここで、ヘッドレスト104から支点までの長さを「L1」とし、スプリング107から支点までの長さを「L2」とする。このとき、ヘッドレスト104にシート後方から力F1が加わったときのスプリング107に加わる力F2は、下式の通りとなる。
F2=(L1/L2)×F1
こうしたヘッドレスト支持構造において、ヘッドレスト104の高さが調整されると、ヘッドレスト104に加わる力F1が一定でも、スプリング107に加わる力F2が変化してしまう。例えばヘッドレスト104の位置が低くされると、同図(b)に示されるように、スプリング107から支点までの長さL2は不変であるが、ヘッドレスト104から支点までの長さL1が短くなる。そのため、加わる力F1が同じでも、スプリング107にはより大きな力が加わるようになる。したがって、ヘッドレスト104の高さが変化されると、ヘッドレスト104の前後方向の傾動量とその傾動に対するヘッドレスト支持構造の弾性反力との比が、すなわちヘッドレスト104の支持剛性が変化してしまう。そしてその結果、前後振動に対するシートの共振周波数fnも変化して、その値が狙いとする周波数域から外れてしまう虞がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ヘッドレストの高さ調整に伴うシートの共振周波数の変化を好適に抑えることのできるヘッドレスト支持構造を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ヘッドレストから突き出されたヘッドレストステーの先端部分をシートバックに設けられた支持部材によって支持するとともに、その支持部材に対するヘッドレストステーの摺動を通じてヘッドレストの高さ調節が可能なヘッドレスト支持構造をその前提としている。そして、支持部材を、シートバックに対して、ヘッドレストを前後に変位させる方向に傾動可能に支持させるとともに、その傾動の中心よりもヘッドレストステーの先端側の部位にて、上記傾動に応じて伸縮されるバネの付勢を受けるようにしている。加えて、ヘッドレストの高さ調節に際してのヘッドレストステーの先端の可動範囲を、上記傾動の中心の位置と、ヘッドレストステーの挿入方向における支持部材の端との間の範囲内としている。
上記構成では、ヘッドレストにシート前後方向の力が加わると、ヘッドレストステーは、支持部材のシート上側の端の部分を中心として傾動し、ヘッドレストステーの先端の部分で支持部材に力を加える。そして、支持部材がその加えられた力に応じて規定の中心を中心として傾動し、バネを伸縮させる。
ここで、ヘッドレストに加えられた力を「F1」、支持部材がヘッドレストステーから受ける力を「F2」、バネが支持部材から受ける力を「F3」とする。このとき、上記のようなヘッドレスト支持構造では、ヘッドレストの位置が高くされると、力F1に対する力F2の比は大きくなるが、力F2に対する力F3の比は小さくなる。逆に、ヘッドレストの位置が低くされると、力F1に対する力F2の比は小さくなるが、力F2に対する力F3の比は大きくなる。そのため、ヘッドレストの位置の変化による、力F1に対する力F3の比の変化が、ひいてはヘッドレストの支持剛性の変化が抑えられるようになる。したがって、上記構成によれば、ヘッドレストの高さ調整によるシートの共振周波数の変化を好適に抑えることができる。
なお、こうしたヘッドレストの支持構造は、例えば請求項2によるように、支持部材が、シートバックの骨格をなすシートバックフレームに固定された管状の取付部に挿入され、その傾動の中心が支持部材の外周及び取付部の内周のいずれかにおけるシート前方の部位に設けられた凸部の先端とされ、支持部材のシート後方における同支持部材の外周と前記取付部の内周との間に上記バネが配設された構成とすることでその具現が可能である。
以下、本発明のヘッドレスト支持構造を具体化した一実施の形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態のヘッドレスト支持構造は、車両のシートに適用されるものとなっている。
まず、本実施形態のヘッドレスト支持構造の全体構成を説明する。
図1に示すように、シートの背もたれとなるシートバック10には、その骨格構造となるシートバックフレーム11が内蔵されている。シートバックフレーム11のシート上部には、シート左右方向に間隔をおいて、取付部としての左右のサポートブラケット12が固定されている。サポートブラケット12は、金属によって、四角管形状に形成されている。
図1に示すように、シートの背もたれとなるシートバック10には、その骨格構造となるシートバックフレーム11が内蔵されている。シートバックフレーム11のシート上部には、シート左右方向に間隔をおいて、取付部としての左右のサポートブラケット12が固定されている。サポートブラケット12は、金属によって、四角管形状に形成されている。
これらのサポートブラケット12には、支持部材としてのサポート部材13がシート上方からそれぞれ挿入される。サポート部材13は、樹脂により略四角管形状に形成されている。そして、サポート部材13には、その軸方向に延びる断面円形状のステー孔14が形成されている。
一方、ヘッドレスト15には、左右2本のヘッドレストステー16が、その下方に突き出すように設けられている。そして、これらのヘッドレストステー16の先端部分を、左右のサポート部材13にそれぞれ挿入することで、ヘッドレスト15がシートバック10に支持される。
なお、本実施形態のヘッドレスト支持構造では、サポート部材13のステー孔14内でヘッドレストステー16を摺動させて、ステー孔14へのヘッドレストステー16の挿入量を変更することで、ヘッドレスト15の高さ調整が可能となっている。
次に、サポート部材13の構成の詳細を説明する。なお、以下では、ヘッドレストステー16の先端部分の挿入方向を、サポート部材13の下方とし、その反対方向をサポート部材13の上方とする。
図2に示すように、サポートブラケット12に挿入された部分におけるサポート部材13の上部には、そのシート前方Fの部分に凸部17が形成されている。凸部17は、サポート部材13の左右方向(シート左右方向)に伸びる山形形状に形成されている。凸部17が形成された部位のシート後方Rの部位におけるサポート部材13の外周には、ビード18が固定されている。ビード18は、樹脂からなり、サポートブラケット12の内周に面接触するように形成されている。そして、このビード18により、サポートブラケット12の内周とサポート部材13の外周とのシート前後方向の間隙が詰められることで、サポートブラケット12の内周に対する上記凸部17の先端の当接が維持されるようになっている。
一方、サポートブラケット12に挿入された部分におけるサポート部材13の下部には、バネ19が設けられている。このバネ19は、サポート部材13の側壁の一部を、シート後方Rに突き出したアーチ状に成形することで、板バネとして機能するように形成されている。バネ19が設けられた部位のシート前方Fにおけるサポート部材13の外周には、ビード20が固定されている。このビード20も、上記ビード18と同様に、樹脂からなっている。そして、このビード20により、サポートブラケット12の内周とサポート部材13の外周とのシート前後方向の間隙が詰められることで、上記バネ19は、圧縮された状態で配設されている。
こうしたサポート部材13は、上記凸部17の先端を中心Sとして、サポートブラケット12に対してシート前後方向、すなわちヘッドレスト15を前後に変位させる方向に傾動可能となっている。そして、このサポート部材13の傾動に応じて、バネ19が伸縮されるようになっている。
なお、上記のようなヘッドレスト15の高さ調整に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲は、すなわち調整可能な範囲においてヘッドレスト15の位置が最も高くされたときの同先端の位置から、最も低くされたときの同先端の位置までの範囲は、同図に示す通りとなっている。すなわち、ヘッドレスト15の位置が最も高くされたときのヘッドレストステー16の先端の位置は、中心Sよりも下方に位置され、最も低くされたときの同先端の位置は、ヘッドレストステー16の先端側におけるサポート部材13の端よりも上方に位置される。よって、ヘッドレスト15の高さ調整に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲は、中心Sの位置と、ヘッドレストステーの先端側におけるサポート部材13の端との間の範囲内とされている。
(実施形態の作用)
続いて、以上のように構成された本実施形態のヘッドレスト支持構造の作用を説明する。
続いて、以上のように構成された本実施形態のヘッドレスト支持構造の作用を説明する。
シートバック10に対してヘッドレスト15がシート前方Fに変位すると、ヘッドレストステー16は、サポート部材13と共に、凸部17の先端を中心Sとして、その先端をシート後方Rに変位させる側に傾動する。そして、このときのサポートブラケット12内でのサポート部材13の傾動により、バネ19が圧縮される。このときのヘッドレストステー16は、バネ19により弾性支持された状態にあり、このときのヘッドレスト15の変位に対する抗力は、バネ19の弾性により発生される。
シートバック10に対するシート前方Fへのヘッドレスト15の変位量がある程度よりも大きくなると、サポート部材13の下端がそのシート後方の部分においてサポートブラケット12の内周に当接する。そのため、このときのヘッドレストステー16は、バネ19による弾性支持の状態を脱することになり、ヘッドレスト15の変位に対する抗力は、サポート部材13やヘッドレストステー16などの弾性により発生される。そのため、シートバック10に対するシート前方Fへのヘッドレスト15の変位量がある程度よりも大きくなると、ヘッドレスト15の支持剛性は大きくなる。
一方、シートバック10に対してヘッドレスト15がシート後方Rに変位したときには、ヘッドレストステー16は、サポート部材13と共に、凸部17の先端を中心Sとして、その先端をシート前方Fに変位させる側に傾動する。このときのサポートブラケット12内でのサポート部材13の傾動に際しては、ビード18,20が押圧を受ける。そして、このときのヘッドレスト15の変位に対する抗力は、ビード18,20やサポート部材13、ヘッドレストステー16などの弾性により発生されることになる。したがって、シートバック10に対するシート後方Rへのヘッドレスト15の変位に際しては、その開始から大きなヘッドレスト15の支持剛性が確保される。
したがって、ヘッドレスト15のシート前後方向の変位量と、その変位に要する荷重との関係は、図3に示す通りとなる。すなわち、このヘッドレスト支持構造では、サポート部材13の傾動量に対して、同サポート部材13がバネ19の弾性反発力を受ける範囲と受けない範囲とが、すなわちサポート部材13がバネ19により弾性支持される範囲と、そうでない範囲とが設定されている。そして、ヘッドレスト15が外力を受けていないときのサポート部材13の傾動位置は、バネ19の弾性反発力を受ける範囲内と、より詳しくは、ヘッドレスト15を後方に変位させる方向における、そうした範囲の端とされている。
こうした本実施形態のヘッドレスト支持構造では、エンジンや車体からの振動伝達による、ヘッドレスト15のシート前後方向の微小変位に対しては、ヘッドレスト15の支持剛性は小さくなるため、シートの前後振動に対する共振周波数を低下させることができる。一方、シート後方Rへのヘッドレスト15の変位に対しては、高い支持剛性を示すため、車両が追突を受けたときなどに、乗員の頭部が急激に後方に移動したときには、その頭部をヘッドレスト15で確実に受け止めて、乗員の頭部や頸部を的確に保護することができる。
ところで、厳密には、ヘッドレストステー16は、ステー孔14とのクリアランスやサポート部材13の弾性変形により、サポート部材13に対する傾動が僅かではあるが許容されている。そのため、図4に示すように、ヘッドレスト15がシート前方Fに変位するときにヘッドレストステー16は、サポート部材13に対して、ステー孔14の上部開口のシート前方Fの縁を支点Aとして、その先端をシート後方Rに変位させる側に傾動する。この傾動によっては、ヘッドレストステー16の先端が、そのシート後方Rの縁Bにおいてステー孔14の内周に押し付けられる。そのため、このときのサポート部材13には、そうした縁Bとの当接箇所において力の作用を受ける。
こうしたヘッドレスト支持構造は、図5(a)に示すような2つの梃子からなる簡易モデルとして表すことができる。なお、この簡易モデルでは、図中左方がシート上方に対応し、図中右方がシート下方に対応する。また、図中上方がシート前方に対応し、図中下方がシート後方に対応する。
この簡易モデルにおいて、ヘッドレストステー16は、図中左端をヘッドレスト15とし、図中右端にてサポート部材13に当接し、サポート部材13のシート上側の端を支点S1とする梃子として表される。また、サポート部材13は、その凸部17が設けられた部分を支点S2とし、その図中右側の部分においてバネ19により弾性支持された梃子として表される。
ここで、ヘッドレストステー16における支点S1からヘッドレスト15までの長さを「La」とし、その支点S1からヘッドレストステー16の先端までの長さを「Lb」とする。また、サポート部材13における支点S2からヘッドレストステー16の先端までの長さを「Lc」とし、支点S2からバネ19が設けられた部位までの長さを「Ld」とする。
ヘッドレスト15にシート後方の力F1が加えられると、ヘッドレストステー16の先端がサポート部材13に加える力F2は、下式(1)の通りとなる。また、そうした力F2が加えられたときに、サポート部材13がバネ19に加える力F3は、下式(2)の通りとなる。
F2=(La/Lb)×F1 …(1)
F3=(Lc/Ld)×F2 …(2)
よって、力F1に対する力F2の比K12は、「Lb/La」となり、力F2に対する力F3の比K23は、「Ld/Lc」となる。このときの力F1に対する力F3の比K13は、「K12×K23」である。
図5(b)に示すように、ヘッドレスト15の位置が低くされると、上記簡易モデルでは、ヘッドレストステー16を表す梃子の梁が支点S1を維持したまま、図中右方にスライドすることになる。これにより、長さLaは短くなり、長さLbは長くなる。また、長さLcは長くなり、長さLdは維持される。そのため、力F1に対する力F2の比K12は小さくなり、力F2に対する力F3の比K23は大きくなる。したがって、このときには、上記比K12の減少に応じた力F3の減少分と、上記比K23の増大に応じた力F3の増加分とが相殺されるため、上記各長さLa,Lb,Lc,Ldが適度に設定されていれば、ヘッドレスト15の位置の変化に応じた力F1に対する力F3の比K13(=K12×K23)の変化は、僅かなものに留められる。
これとは逆に、ヘッドレスト15の位置が高くされたときには、長さLdを維持したまま、長さLaは長くなり、長さLb、長さLcは短くなる。よって、力F1に対する力F2の比K12は大きくなり、力F2に対する力F3の比K23は小さくなる。したがって、このときにも、上記比K12の増大に応じた力F3の増加分と、上記比K23の減少に応じた力F3の減少分との相殺されるため、上記各長さLa,Lb,Lc,Ldが適度に設定されていれば、ヘッドレスト15の位置の変化に応じた力F1に対する力F3の比K13(=K12×K23)の変化は、僅かなものに留められる。
上記力F1に対する力F3の比K13は、すなわちバネ19の弾性支持によるヘッドレスト15の支持剛性である。よって、本実施形態のヘッドレスト支持構造では、ヘッドレスト15の高さ調整によるシートの共振周波数の変化が好適に抑えられるようになる。
ちなみに、ヘッドレストステー16の先端が支点S2よりもシート上方に位置されると、ヘッドレスト15の位置が高くされるほど、長さLcが大きくなって、力F2に対する力F3の比K23が大きくなる。そのため、上記のようなヘッドレスト15の位置の変化に応じた比K13の変化の抑制は行えないことになる。
また、ヘッドレストステー16の先端がサポート部材13の下端から突き出すまでヘッドレスト15の位置が低くされると、サポート部材13に対するヘッドレストステー16の当接部位は、サポート部材13のシート下方の端となる。そのため、ヘッドレスト15の位置が変化しても、長さLb,Lcは不変となり、力F2に対する力F3の比K23が一定となる。そのため、このときにも、上記のようなヘッドレスト15の位置の変化に応じた比K13の変化の抑制は行えないことになる。
よって、ヘッドレスト15の高さ調整によるシートの共振周波数の変化の抑制は、ヘッドレストステー16の先端の位置が、支点S2よりもシート下方にあり、且つサポート部材13の下端、すなわちヘッドレストステー16の挿入方向におけるサポート部材13の端よりもシート上方にあることが条件となる。すなわち、ヘッドレスト15の高さ調節に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、支点S2、すなわち同サポート部材13の傾動の中心Sとなる凸部17の先端の位置と、ヘッドレストステー16の挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内であることが条件となる。
(実施形態の効果)
以上の本実施形態のヘッドレスト支持構造によれば、以下の効果を奏することができる。
以上の本実施形態のヘッドレスト支持構造によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ヘッドレスト15の高さ調整によるシートの前後振動の共振周波数の変化を好適に抑えることができる。
(2)ヘッドレスト15が外力を受けていないときのヘッドレストステー16のシート前後方向の傾動位置を、バネ19の弾性支持がなされる範囲内としているため、共振周波数を低減しつつも、ある程度以上の大きなヘッドレスト15の変位に対しては、大きい支持剛性を確保することができる。
(2)ヘッドレスト15が外力を受けていないときのヘッドレストステー16のシート前後方向の傾動位置を、バネ19の弾性支持がなされる範囲内としているため、共振周波数を低減しつつも、ある程度以上の大きなヘッドレスト15の変位に対しては、大きい支持剛性を確保することができる。
(3)ヘッドレスト15が外力を受けていないときのヘッドレストステー16のシート前後方向の傾動位置を、バネ19の弾性支持がなされる範囲のシート後方側の端としているため、共振周波数を低減しつつも、シート後方への変位に対してのヘッドレスト15の支持剛性を確保することができる。
(4)サポート部材13の上部に傾動の中心Sを、下部にバネ19を設けているため、サポート部材13をあまり長くせずとも、ヘッドレスト15の高さ調整範囲を確保することができる。また、支点S1からヘッドレストステー16のシート下方の端までの長さLb、支点S2からバネ19までの長さLdを長くして、力F1に対する力F3の比K13を小さくすることが可能となるため、必要な支持剛性の確保に必要なバネ19のバネ定数を小さくすることができる。すなわち、よりバネ定数の小さなバネ19を採用して、ヘッドレスト支持構造の構成をより簡易としたり、その製造コストを抑えたりすることができるようになる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、その先端がサポート部材13の傾動の中心Sとなる凸部17をサポート部材13の上部に、バネ19をサポート部材13の下部にそれぞれ設けていたが、それらの上下関係さえ変らなければ、それらの位置を変えるようにしても良い。
上記実施形態では、その先端がサポート部材13の傾動の中心Sとなる凸部17をサポート部材13の上部に、バネ19をサポート部材13の下部にそれぞれ設けていたが、それらの上下関係さえ変らなければ、それらの位置を変えるようにしても良い。
例えば図6(a)に示される構成では、凸部17がサポート部材13の上下方向中央部に、バネ19がサポート部材13の下部にそれぞれ設けられている。こうした場合にも、ヘッドレスト15の高さ調整に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、そうした中心Sの位置と、ヘッドレストステー16の挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内とすることで、共振周波数の変化を好適に抑えられる。
一方、図6(b)に示される構成では、凸部17がサポート部材13の上部に、バネ19がサポート部材13の上下方向中央部にそれぞれ設けられている。こうした場合にも、ヘッドレスト15の高さ調整に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、中心Sの位置と、ヘッドレストステー16の挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内とすることで、共振周波数の変化を好適に抑えられる。
また、上記実施形態では、その先端がサポート部材13の傾動の中心Sとなる凸部17をサポート部材13のシート前方に、バネ19をサポート部材13のシート後方にそれぞれ配置していた。そして、これにより、シート後方の変位に対するヘッドレスト15の支持剛性を確保しつつ、シートの共振周波数を低減するようにしていた。もっとも、シート後方へのヘッドレスト15の変位に対する支持剛性の確保が必要でなければ、上記のように凸部17及びバネ19の配置を変更しても良い。
例えば図7(a)に示される構成では、凸部17がサポート部材13のシート後方に、バネ19がサポート部材13のシート前方にそれぞれ配置されている。こうした場合には、シート後方の変位に対するヘッドレスト15の支持剛性は低くなり、シート前方への変位に対するヘッドレスト15の支持剛性は高くなる。そのため、こうした場合には、シート前方の変位に対するヘッドレスト15の支持剛性を確保しつつ、シートの共振周波数を低減することができる。こうした場合にも、ヘッドレスト15の高さ調整に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、傾動の中心Sとなる凸部17の先端の位置と、ヘッドレストステー16の挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内とすることで、共振周波数の変化を好適に抑えられる。
一方、図7(b)に示される構成では、サポート部材13のシート前方及びシート後方にそれぞれバネ19が配置されている。こうした場合には、シート前方、シート後方の双方の変位に対するヘッドレスト15の支持剛性が低くなる。なお、同図の構成例では、凸部17がサポート部材13のシート前方に配置されているが、サポート部材13のシート後方に凸部17を配置する構成とすることも可能である。こうした場合にも、ヘッドレスト15の高さ調整に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、傾動の中心Sとなる凸部17の先端の位置と、ヘッドレストステー16の挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内とすることで、共振周波数の変化を好適に抑えられる。
さらに、上記実施形態及びその変形例は、以下のように変更して実施することもできる。
・バネ19の周辺の部分におけるサポート部材13又はサポートブラケット12の周面に凸状のストッパーを設けるようにしても良い。そうした場合、そのストッパーがサポート部材13またはサポートブラケット12に当接するまでヘッドレスト15がシート前方Fに変位した時点で、ヘッドレスト15の支持剛性が高くなる。そのため、そのストッパーの高さにより、支持剛性が変化するヘッドレスト15のシート前方Fへの変位量を調整することが可能となる。
・バネ19の周辺の部分におけるサポート部材13又はサポートブラケット12の周面に凸状のストッパーを設けるようにしても良い。そうした場合、そのストッパーがサポート部材13またはサポートブラケット12に当接するまでヘッドレスト15がシート前方Fに変位した時点で、ヘッドレスト15の支持剛性が高くなる。そのため、そのストッパーの高さにより、支持剛性が変化するヘッドレスト15のシート前方Fへの変位量を調整することが可能となる。
・上記実施形態では、凸部17を、シート左右方向に伸びる山形形状とし、サポートブラケット12の内周と線接触するその先端がサポート部材13の傾動の中心Sとなるようにしていた。例えば凸部17を円錐形状とするなど、凸部17をこれ以外の形状とするようにしても良い。要は、先端がサポートブラケット12の内周と線接触、あるいは点接触するように凸部17が形成されていれば、その先端を中心にサポート部材13を傾動可能に支持することが可能となる。
・上記実施形態では、その先端がサポート部材13の傾動の中心Sとなる凸部17をサポート部材13の外周に形成していたが、サポートブラケット12の内周に凸部を形成し、その先端をサポート部材13の傾動の中心Sとするようにしても良い。
・上記構成では、サポート部材13の外周及びサポートブラケット12の内周のいずれかに設けられた凸部の先端を中心Sとして傾動可能にサポート部材13をサポートブラケット12に支持するようにしていた。こうしたサポートブラケット12に対するサポート部材13の支持を別の方法で行うようにしても良い。例えば図8(a)、(b)に示される構成では、サポート部材13のシート左右の両側面に、同じ軸心を有する断面円形の軸21をそれぞれ設け、その軸21をサポートブラケット12に回動可能に軸支するようにしている。こうした場合、サポート部材13は、サポートブラケット12に対して、軸21の軸心を中心Sとして傾動可能に支持される。このように構成した場合にも、ヘッドレスト15の高さ調整に際してのヘッドレストステー16の先端の可動範囲を、サポート部材13の傾動の中心Sとなる軸21の軸心の位置と、ヘッドレストステー16の挿入方向におけるサポート部材13の端との間の範囲内とすることで、共振周波数の変化を好適に抑えられる。
・上記実施形態では、サポート部材13を付勢するバネ19として、サポート部材13の側壁の一部を、外側に突き出したアーチ状に成形することで形成された板バネを採用していた。そうしたバネ19に、それ以外の構成のバネを採用することも可能である。例えば図9(a),(b)に示されるような、サポート部材13の側壁の一部を切り起すことで形成された片持ちの板バネ40を、バネ19の代りに採用しても良い。また、図10(a),(b)に示されるように、金属製の板バネ41を、インサート成形などによりサポート部材13に設けるようにすることもできる。さらに、図11(a),(b)に示すように、発泡ウレタンなどの弾性率と高い材料で形成された弾性部材42をサポート部材13の側壁に取付けることで、バネとして機能させるようにしたり、図12に示すように、サポート部材13の側壁にコイルバネ43を取付けるようにしたりしても良い。
・上記実施形態では、サポート部材13の外壁にビード18,20を取付けるようにしていたが、ビード18,20をサポート部材13に一体形成するようにしても良い。
・上記実施形態では、サポートブラケット12の内周に面接触するようにビード18,20を形成していたが、十分な支持剛性を確保できるのであれば、サポートブラケット12の内周に線接触、あるいは点接触するような形状にビード18,20を形成するようにしても良い。
・上記実施形態では、サポートブラケット12の内周に面接触するようにビード18,20を形成していたが、十分な支持剛性を確保できるのであれば、サポートブラケット12の内周に線接触、あるいは点接触するような形状にビード18,20を形成するようにしても良い。
・上記実施形態では、ビード18,20を樹脂により形成するようにしていたが、バネ19よりも十分に剛性の高い材料であれば、任意の材料でビード18,20を形成するようにしても良い。
・上記実施形態では、左右2本のヘッドレストステー16の双方に本発明の支持構造を適用していたが、いずれか一方のみに本発明の支持構造を適用するようにしても良い。ヘッドレスト15の高さ調整によるシートの前後振動の共振周波数の変化の抑制には、双方の2本のヘッドレストステー16の双方に本発明の支持構造を適用することがより好ましいが、いずれか一方のみに適用しても、そうした共振周波数の変化をある程度に抑制することは可能である。
B…縁、S…傾動の中心、10…シートバック、11…シートバックフレーム、12…サポートブラケット(取付部)、13…サポート部材(支持部材)、14…ステー孔、15…ヘッドレスト、16…ヘッドレストステー、17…凸部、18…ビード、19…バネ、20…ビード、21…軸、40…片持ちの板バネ(バネ)、41…金属製の板バネ(バネ)、42…弾性部材(バネ)、43…コイルバネ(バネ)、100…シートバックフレーム、101…ヘッドレストブラケット、102…ヘッドレストガイド、103…ヘッドレストステー、104…ヘッドレスト、105…貫通孔、106…貫通孔、107…スプリング。
Claims (2)
- ヘッドレストから突き出されたヘッドレストステーの先端部分をシートバックに設けられた支持部材によって支持するとともに、前記支持部材に対する前記ヘッドレストステーの摺動を通じて前記ヘッドレストの高さ調節が可能なヘッドレスト支持構造において、
前記支持部材は、前記シートバックに対して、前記ヘッドレストを前後に変位させる方向に傾動可能に支持されるとともに、その傾動の中心よりも前記ヘッドレストステーの先端側の部位にて、前記傾動に応じて伸縮されるバネの付勢を受けてなり、
且つ前記ヘッドレストの高さ調節に際しての前記ヘッドレストステーの先端の可動範囲が、前記中心の位置と、前記ヘッドレストステーの挿入方向における前記支持部材の端との間の範囲内とされてなる
ことを特徴とするヘッドレスト支持構造。 - 前記支持部材は、前記シートバックの骨格をなすシートバックフレームに固定された管状の取付部に挿入され、
前記傾動の中心が、前記支持部材の外周及び前記取付部の内周のいずれかにおけるシート前方の部位に設けられた凸部の先端とされ、
前記バネが、前記支持部材のシート後方における同支持部材の外周と前記取付部の内周との間に配設される
請求項1に記載のヘッドレスト支持構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012171293A JP2014031048A (ja) | 2012-08-01 | 2012-08-01 | ヘッドレスト支持構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012171293A JP2014031048A (ja) | 2012-08-01 | 2012-08-01 | ヘッドレスト支持構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014031048A true JP2014031048A (ja) | 2014-02-20 |
Family
ID=50281242
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012171293A Pending JP2014031048A (ja) | 2012-08-01 | 2012-08-01 | ヘッドレスト支持構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014031048A (ja) |
-
2012
- 2012-08-01 JP JP2012171293A patent/JP2014031048A/ja active Pending
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