JP2014028510A - プレス成形用中間基材、プリフォーム、および成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形における優れた賦形性を示し、得られる成形品において機械特性の信頼性と補強効果を兼ね備えた、プレス成形用中間基材およびこれから得られる成形品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂中にモノフィラメント状に分散した不連続強化繊維がランダムに分布したプレス成形用中間基材であって、強化繊維の割合VfIが15体積%以上40体積%以下である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物の構成要素(I)と強化繊維の割合VfIIが5体積%以上15体積%未満である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物の構成要素(II)とが互いに積層されており、該中間基材における構成要素(I)および(II)の総量に対する構成要素(II)の割合が30〜70体積%であって、前記構成要素(I)および(II)のそれぞれにおける強化繊維のアスペクト比が250以上1000以下であり、かつ、前記VfIおよびVfIIが0.8VfI>VfIIである、プレス成形用中間基材。
【選択図】なし

Description

本発明は不連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなるプレス成形用中間基材に関し、詳しくは、特定のアスペクト比を有する強化繊維が異なる割合で含有されたふたつの構成要素が互いに積層された中間基材、およびこれを積層して得られるプリフォーム、さらにこれらをプレス成形して得られる成形品の製造方法に関する。
近年、CO排出削減等による低環境負担社会の実現に向け、各業界において素材や成形技術の開発が進められている。特に運輸部門においては環境不可の削減技術として、軽量化性能に優れる素材の採用が拡大を見せており、最も有名な例として航空機への繊維強化複合材料(FRP)の適用が挙げられる。このFRPは比強度・比剛性に優れており、なかでも秀逸な性能を有するのが炭素繊維複合材料(CFRP)であって、航空機業界において超軽量構造材料として本格採用が進んでいる。近年では自動車業界でも軽量化が重要視されており、自動車部材向けのCFRPの開発も活発化している。
CFRPの自動車への適用例としては、航空機やスポーツ材料で実績のある熱硬化性樹脂を用いたプリプレグ、レジントランスファーモールディング(RTM)、フィラメントワインディング(FW)による部材が上市されている。一方、成長著しいのが熱可塑性樹脂を用いたCFRPであって、高速成形による大量生産が可能であり、リサイクル性にも優れることから、量産車向けの自動車材料として注目されている。その中でもプレス成形は生産性が高く、複雑な形状や大面積の成形にも対応できることから、金属成形の代替としての期待が高まっている。
プレス成形に用いる成形用の中間基材は、不連続な強化繊維を用いたシート状の材料が主流である。代表的なものとして、シートモールディングコンパウンド(SMC)、ガラスマットサーモプラスチック(GMT)がある(特許文献1、特許文献2)。いずれの中間基材も金型キャビティ内で材料が流動して充填される、いわゆるフロースタンピング成形に用いられ、比較的長い強化繊維がチョップドストランド状および/またはスワール状になって熱可塑樹脂中に分散した形態をとる。前記中間基材は高い流動性により優れた賦形性を示すが、その反面、繊維の局在化や配向が発生し易く、成形品中における力学特性が安定せず、信頼性の低さに問題があった。加えて、繊維束の末端がしばしば弱所となり、繊維の補強効果を十分に利用できない。
また、特許文献3では、連続な強化繊維の層と不連続な短繊維の層とを特定の割合にて積層してなる、スタンパブルシートの提案がある。前記中間基材によると、プレス成形において不連続な繊維の層のみが流出し、成形品中において繊維の局在が生じる。そのため、連続な繊維が存在する部分においては優れた補強効果を示すが、それ以外の部分の補強効果が小さくなり、成形品全体として見た場合に、特性に大きなギャップが生じる問題があった。
一方、特許文献4では、特定の繊維長分布を有する不連続な強化繊維を単繊維状に分散させて熱可塑性樹脂を含浸させた中間基材が提案されている。前記中間基材によると、繊維の補強効果を十分に利用でき、信頼性の高い成形品を得ることができるが、繊維同士の干渉が大きいため流動性が不足し賦形性が低下する場合がある。そのため、一般に金型キャビティに近い面積の中間基材を配置して成形をおこなうが、この場合成形できる形状が大幅に制限されたり、成形に高圧力が必要となったりする。また、バリ(非製品部)発生による成形収率の低下やトリム加工などの後処理が必要となる場合もある。
つまり、上述した公知技術ではプレス成形での賦形性、成形品における信頼性および補強効果のいずれをも満足する技術は未だ開発されておらず、かかる要件を満足する中間基材の開発が渇望されている。
特開2000−141502号公報 特開1003−80519号公報 特開平6−47737号公報 特許第4862913号公報
そこで本発明は上述した技術課題を解消し、プレス成形における賦形性を改善しながらも、成形品における信頼性と補強効果に満足のいくプレス成形用中間基材およびプリフォーム、ならびに前記中間基材およびプリフォームを用いた成形品の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は次の構成を採用する。
(1)熱可塑性樹脂中に不連続強化繊維がモノフィラメント状かつランダムに分布した中間基材であって、下記構成要素(I)および(II)が互いに積層されており、前記中間基材における構成要素(I)および(II)の総量に対する構成要素(II)の割合が30〜70体積%であって、下記構成要素(I)および(II)のそれぞれにおける強化繊維のアスペクト比が250以上1000以下であり、かつ、下記VfIおよびVfIIが0.8VfI>VfIIを満たす、プレス成形用中間基材。
(I)強化繊維の割合VfIが15体積%以上40体積%以下である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物
(II)強化繊維の割合VfIIが5体積%以上15体積%未満である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物
(2)前記中間基材における構成要素(I)および(II)の総量に対する構成要素(II)の割合が40〜60体積%である、前記(1)に記載のプレス成形用中間基材。
(3)前記構成要素(I)および(II)を構成する不連続強化繊維の平均アスペクト比が400以上800以下である、前記(1)または(2)に記載のプレス成形用中間基材。
(4)前記構成要素(I)の強化繊維の割合VfIが20体積%以上30体積%以下である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
(5)前記プレス成形用中間基材における強化繊維の割合Vfが10体積%以上30体積%以下である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
(6)前記構成要素(I)および(II)を構成する強化繊維が炭素繊維である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
(7)前記構成要素(I)および(II)を構成する熱可塑性樹脂がポリオレフィン、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトンの群から選択される少なくとも1つを含んでなる、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のプレス成形用中間基材の複数枚を積層した、プレス成形用プリフォーム。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のプレス成形用中間基材ないしプリフォームをチャージ率50%以上100%未満にて金型キャビティ中に配置したのちプレス成形する、成形品の製造方法。
(10)プレス成形の手段が、スタンピング成形ないしヒートアンドクール成形である、前記(9)に記載の成形品の製造方法。
(11)成形品が自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、航空機内装材、輸送用箱体として用いられるものである、前記(9)または(10)に記載の成形品の製造方法。
本発明の中間基材は、プレス成形において優れた賦形性を示しながらも、これを用いた成形品において、満足のいく信頼性と補強効果を発現することができるため、とりわけ自動車部材として好適である。さらに、本発明の成形品の製造方法によれば、かかる成形品を、満足できるほど賦形性良く製造することができる。
本発明で用いる繊維強化熱可塑性樹脂シート状物における強化繊維の分散状態の一例を示す模式図。 本発明のプレス成形用中間基材における実施形態の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における係合形態の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における係合形態の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における係合形態の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における積層構成の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における積層構成の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における積層構成の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における積層構成の一例を示す斜視図。 本発明のプレス成形用中間基材における積層構成の一例を示す斜視図。 本発明の実施例および比較例で得られる成形品の模式図。 本発明の実施例および比較例で用いる曲げ試験片の切り出し方法を示す模式図。
本発明の中間基材は、熱可塑性樹脂中に不連続強化繊維がモノフィラメント状かつランダムに分布した中間基材であって、下記構成要素(I)および(II)が互いに積層されており、前記中間基材における構成要素(I)および(II)の総量に対する構成要素(II)の割合が30〜70体積%であって、構成要素(I)および(II)のそれぞれにおける強化繊維のアスペクト比が250以上1000以下であり、かつ、下記VfIおよびVfIIが0.8VfI>VfIIを満たす。ここで、構成要素(I)は、強化繊維の割合VfIが15体積%以上40体積%以下である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物(以下、CFRTPシート状物とも称す)であり、構成要素(II)は、強化繊維の割合VfIIが5体積%以上15体積%未満である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物である。
以下、本発明の中間基材の構成について詳しく説明する。
本発明の中間基材は構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物を含んでなる。ここで、シート状物とは、平面方向に一様な厚みを持った面状体であって、長手方向に連続したロール状や、所定長のカットされた有限長のボード状が例示できる。中間基材の厚みに特に制限はないが、中間基材とする際の積層コスト、取扱性、予熱効率の観点から、その厚みは0.1mm以上5.0mm未満の範囲であることが好ましい。
本発明で用いるCFRTPシート状物は、モノフィラメント状に分散した不連続強化繊維を含んでなる。ここで、モノフィラメント状に分散しているとは、構成要素中にて任意に選択した強化繊維について、その二次元接触角が1度以上である単繊維の割合(以下、繊維分散率とも称す)が80%以上であることを指し、換言すれば、構成要素中において単繊維の2本以上が接触して並行した束が20%未満であることをいう。二次元接触角とは、不連続強化繊維の単繊維と該単繊維と接触する単繊維とで形成される角度のことであり、接触する単繊維同士が形成する角度のうち、0度以上90度以下の鋭角側の角度と定義する。この二次元接触角について、図面を用いてさらに説明する。図1(a)、(b)は本発明における一実施態様であって、CFRTPシート状物の不連続強化繊維を面方向(a)および厚み方向(b)から観察した場合の模式図である。単繊維1を基準とすると、単繊維1は図1(a)では単繊維2〜8と交わって観察されるが、図1(b)では単繊維1は単繊維6〜8とは接触していない。この場合、基準となる単繊維1について、二次元接触角度の評価対象となるのは単繊維2〜5であり、接触する2つの単繊維が形成する2つの角度のうち、0度以上90度以下の鋭角側の角度9である。
強化繊維がモノフィラメント状に分散していることで、繊維末端にて生じる応力集中やそれによる欠陥が極小化されるため、安定した強度発現を示し、補強効果に優れる。そのため、得られる成形品は高い信頼性と軽量性を示す。繊維分散率が80%未満の場合、含有する繊維束の末端にて生じる応力集中や欠陥により成形品の機械特性が低下し、成形品の十分な信頼性や軽量性が得られなくなる。繊維分散率は90%以上が好ましく、100%に近づくほどより好ましい。
CFRTPシート状物から二次元接触角を測定する方法としては、特に制限はないが、例えば、構成要素の表面から強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。この場合、構成要素の表面を研磨して繊維を露出させることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。また、透過光を利用して強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。この場合、構成要素を薄くスライスすることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。さらに、構成要素をX線CT透過観察して強化繊維の配向画像を撮影する方法も例示できる。X線透過性の高い強化繊維の場合には、強化繊維にトレーサ用の繊維を混合しておく、あるいは強化繊維にトレーサ用の薬剤を塗布しておくと、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。また、上記方法で測定が困難な場合には、強化繊維の構造を崩さないように樹脂を除去した後に強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。例えば、中間基材ないしCFRTPシート状物をアルミホイルで包む、あるいは、金属メッシュで狭持して熱可塑性樹脂成分を焼き飛ばし、得られる強化繊維からなる基材を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察して測定することができる。
本発明において、繊維分散率は、次の手順で測定する。無作為に選択した単繊維(図1における単繊維1)に対して接触している全ての単繊維(図1における単繊維2〜5)との二次元接触角を測定する。これを100本の単繊維についておこない、二次元接触角を測定した全ての単繊維の総本数と、二次元接触角が1度以上である単繊維の本数との比率から、割合を算出する。
また、本発明で用いるCFRTPシート状物において、強化繊維はランダムに分布している。ここで、強化繊維がランダムに分布しているとは、構成要素中にて任意に選択した強化繊維の二次元配向角の平均値が30〜60度であることをいう。二次元配向角とは、強化繊維の単繊維と該単繊維と交差する単繊維とで形成される角度のことであり、交差する単繊維同士が形成する角度のうち、0度以上90度以下の鋭角側の角度と定義する。この二次元配向角について、図面を用いてさらに説明する。図1(a)、(b)において、単繊維1を基準とすると、単繊維1は他の単繊維2〜8と交差している。ここで交差とは、観察する二次元平面において、基準とする単繊維が他の単繊維と交わって観察される状態のことを意味し、単繊維1と単繊維2〜8が必ずしも接触している必要はなく、投影して見た場合に交わって観察される状態についても例外ではない。つまり、基準となる単繊維1について見た場合、単繊維2〜8の全てが二次元配向角の評価対象であり、図1(a)中において二次元配向角は交差する2つの単繊維が形成する2つの角度のうち、0度以上90度以下の鋭角側の角度9である。
強化繊維がランダムに分布していることで、これによる成形品の機械特性に等方性を付与することができ、加えて中間基材の取り扱いにおいて方向性を考慮する必要がないことから、積層工数や人的ミスの軽減に繋がる。一方、強化繊維の二次元配向角の平均値が30度未満、もしくは60度をこえる場合、得られる成形品の機械特性や物理特性にムラや異方性を生じるため、成形品の信頼性が損なわれる。また、成形品の歪みや反りの原因となり、後次加工や不良品によるコストアップや収率低下に繋がる。強化繊維の二次元配向角の平均値としては、40〜50度が好ましく、理想的な角度である45度に近づくほどより好ましい。
構成要素から二次元配向角を測定する方法としては、特に制限はないが、例えば、構成要素の表面から強化繊維の配向を観察する方法が例示でき、上述した二次元接触角の測定方法と同様の手段を取ることができる。
本発明において、二次元配向角の平均値は、次の手順で測定する。無作為に選択した単繊維(図1における単繊維1)に対して交差している全ての単繊維(図1における単繊維2〜8)との二次元配向角の平均値を測定する。例えば、ある単繊維に交差する別の単繊維が多数の場合には、交差する別の単繊維を無作為に20本選び測定した平均値を代用してもよい。前記測定について別の単繊維を基準として合計5回繰り返し、その平均値を二次元配向角の平均値として算出する。
本発明に用いるCFRTPシート状物は、これに含まれる強化繊維のアスペクト比pが250以上1000以下である。ここで、強化繊維のアスペクト比pとは、該強化繊維の平均繊維長Lnを繊維直径Dにて除した値(Ln/D)である。強化繊維のアスペクト比を上記範囲とすることで、強化繊維の優れた機械特性、特に強度を成形品に効率的に反映することができ、補強効果の高い軽量性に優れた成形品を製造することができる。アスペクト比が250未満の場合、強化繊維の補強効率が低下し、1000より大きい場合、強化繊維の干渉が強固となり、中間基材の賦形性が損なわれる。
強化繊維のアスペクト比としては、400以上800以下が好ましく、中間基材における補強効果と賦形性をバランスさせることができる。
ここで、上述したアスペクト比の導出に必要な各パラメーターの評価方法について説明する。
強化繊維の平均繊維長Lnは、CFRTPシート状物を空気中500℃で30分間加熱し、残った強化繊維から無作為に400本を選択して、その長さを10μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、その数平均を平均繊維長Lnとして用いる。
また、強化繊維の繊維直径Dはカタログ値等で既に公知なものに関しては、当該データを使用し、不明なものに関してはCFRTPシート状物から粗く切り出した断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて3000倍の倍率で、強化繊維の10本について略垂直方向に断面の観察をおこない、該画像から測定される繊維直径の平均値を強化繊維の繊維直径Dとして使用できる。
本発明における構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物は、これに含まれる強化繊維の割合が特定の範囲内にて選択される必要がある。ここで、強化繊維の割合とは、CFRTPシート状物中に含まれる強化繊維の体積含有率のことを指す。
以下、本発明の構成要素(I)および(II)の詳細について順に説明する。
本発明の構成要素(I)は、成形品における信頼性と機械特性を確保する観点から、強化繊維の割合VfIが15体積%以上40体積%以下のCFRTPシート状物である。VfIを上記範囲とすることで、CFRTPシート状物中に強固な強化繊維のネットワーク構造が形成され、優れた機械特性を示すと同時に、異方性やばらつきの小さい成形品を与える。
ここで、VfIとしてより好ましくは20体積%以上30体積%以下であって、中間基材とした場合に賦形性と機械特性とのバランスに優れる。
一方、本発明における構成要素(II)は、プレス成形における賦形性を高める観点から、強化繊維の割合VfIIが5体積%以上15体積%未満のCFRTPシート状物である。VfIIが上記範囲のCFRTPシート状物は優れた流動性を示し、中間基材中において潤滑層として機能する。
ここで、VfIIとしてより好ましくは8体積%以上13体積%以下であって、中間基材とした場合に賦形性と機械特性とのバランスに優れる。
強化繊維の体積含有率の評価方法としては、構成要素の質量W0を測定したのち、当該構成要素を空気中500℃で30分間加熱し、残った強化繊維の質量W1を測定して、次式により導出される値を使用することができる。
・強化繊維の割合(体積%)=(W1/ρf)/{W1/ρf+(W0−W1)/ρr}×100。
式中、ρfは強化繊維の密度(g/cm)、ρrは熱可塑性樹脂の密度(g/cm)である。
本発明に示す中間基材において、上述した構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物は、次の要件を満足する必要がある。
まず、構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物に含まれる強化繊維の割合が、0.8VfI>VfIIである。CFRTPシート状物の強化繊維の割合が前記関係を満たすことで、構成要素(II)のCFRTPシート状物の潤滑層としての機能を中間基材に効果的に反映することができ、賦形性の向上に繋がる。VfIIが0.8VfI以上であると、VfIとの差が小さ過ぎるため、構成要素(II)のCFRTPシート状物を含むことによる満足する賦形性の向上効果が得られない。なお、VfIIの下限については、5体積%以上15体積%未満の範囲であれば特に制限はないが、構成要素(II)のCFRTPシート状物による賦形性の向上効果を高める観点からは、VfIIはVfIIの0.6倍以下であることが好ましく、より好ましくは0.5倍以下である。
また、中間基材中に含まれる構成要素(II)の割合は、構成要素(I)および(II)の総量に対して30〜70体積%である。強化繊維の割合が0.8VfI>VfIIであり、かつ構成要素(II)の割合が30〜70体積%である時、構成要素(II)が構成要素(I)の潤滑層として効果的に機能し、中間基材が優れた賦形性を示すとともに、機械特性と均一性に優れた信頼性の高い成形品を与える。前記した構成要素(II)の割合が30体積%未満であると、潤滑層としての機能をほとんど示さず、中間基材の賦形性が不足する。70体積%より大きい場合、構成要素(I)は構成要素(II)の流動に追随できず、構成要素(II)のみが流動してしまうため、強化繊維の配向や局在が生じ、成形品の信頼性が損なわれる。中間基材中に含まれる構成要素(II)の割合は、構成要素(I)および(II)の総量に対して、好ましくは40〜60体積%である。
賦形性の指標については、様々な測定方法により評価することができるが、例えば中間基材をプレス成形した際の面積拡大率から算出される伸長率による方法が例示できる。伸長率Rの測定は、直径150mmの円盤状に切り出した中間基材を厚さ3mmに積層してプリフォームを作製し、該プリフォームを成形温度(中間基材の融点あるいは軟化点+30℃)にて成形圧力15MPaを付与して、金型温度120℃にてプレス成形する。得られた成形品の直径から算出される投影面積と成形前のプリフォームの直径から算出される投影面積との比から伸長率Rを求めて、その大小により流動性の優劣を判定する。
上述した中間基材における構成要素(I)および(II)の総量に対する構成要素(II)のCFRTPシート状物の割合VIIは、構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物の厚み比により求めることができる。図2に本発明の中間基材の一実施形態を示した斜視図を示す。図2の中間基材10は、厚みt1の構成要素(I)のCFRTPシート状物11のnI枚と、厚みt2の構成要素(II)のCFRTPシート状物12のnII枚とが交互積層されている。この場合における構成要素(II)のCFRTPシート状物の割合VII(体積%)は、次式により求めることができる。
・VII=(tII×nII)/(tI×nI+tII×nII)×100。
上記式の適用範囲としては、図2に示す中間基材に限るものでなく、中間基材の積層構成が異なる場合であっても例外ではない。ここで、構成要素(I)のCFRTPシート状物の割合VI(体積%)は、100体積%からVIIを差し引いた値である。
本発明の中間基材は、構成要素(I)および(II)の繊維強化熱可塑性樹脂シート状物が互いに積層されたものである。前記した積層形態としては、中間基材を持ち運びできればその形態に特に制限はなく、それぞれのCFRTPシート状物が実質的に独立した状態であってもよいし、互いに係合された状態であってもよいが、取扱性の観点からは後者の形態が好ましい。
CFRTPシート状物の係合形態については、それぞれのCFRTPシート状物が隣接する面方向において全面に亘って係合されていてもよいし、局所的に係合されていてもよく、プレス成形機やダブルベルトプレス、熱板溶着機、誘電加熱溶着機、超音波溶着機、振動溶着機、などの溶着手段や、ニードルパンチ、タフティングなどの物理的な接合手段により係合することができる。
CFRTPシート状物の係合形態について、図面を用いてさらに説明する。図3、4、5は本発明の中間基材の一実施態様を示した斜視図である。図3、4、5において、中間基材16、19、22は構成要素(I)のCFRTPシート状物13および構成要素(II)のCFRTPシート状物14は係合部15を介して互いが積層一体化されている。図3は構成要素(I)のCFRTPシート状物13および構成要素(II)のCFRTPシート状物14が隣接面の全面に亘って係合されており、図4では構成要素(I)のCFRTPシート状物17および構成要素(II)のCFRTPシート状物18が隣接面の全面に亘って局所的に係合されており、図5では構成要素(I)のCFRTPシート状物20および構成要素(II)のCFRTPシート状物21が隣接面の端部のみで局所的に係合されている。
次に、本発明の中間基材における積層構成について説明する。図6〜10は、本発明の中間基材の一実施形態における斜視図である。中間基材23〜27において、構成要素(I)にあたるCFRTPシート状物28の一枚は厚みt1であり、構成要素(II)にあたるCFRTPシート状物29の一枚は厚みt2であって、構成要素(II)のCFRTPシート状物29がVII50体積%の割合で含まれている。
図6は、構成要素(I)および(II)のCFRTPシート状物28、29が交互積層された構成、図7、8はサンドイッチ積層された構成、図9は非対称積層された構成、図10は対称積層された構成である。図6〜10に示した積層構成は一部の例示であり、これらに制限されることなく、用いるCFRTPシート状物や取得したい成形品の仕様により、適宜設計することができる。
中でも、成形品における信頼性の観点からは、交互積層および/または多層積層であることが好まく、成形品の反りや歪みを抑制する面からは対称積層が好ましい。とりわけ好ましくは、前記双方の組合せによる積層構成である。
本発明の中間基材は、強化繊維の割合Vfが15%体積以上20体積%以下の範囲内であることが好ましい。
ここで、中間基材の強化繊維の割合Vfとは、中間基材全体における強化繊維の割合を表し、中間基材を構成する構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物における強化繊維の割合VfIおよびVfIIと、中間基材中における各構成要素の割合VIおよびVIIとから次式にて導出することができる。
・Vf=(VfI×VI)+(VfII×VII)。
強化繊維の割合Vfをかかる範囲内とすることで、プレス成形における優れた賦形性と成形品における信頼性に加え、成形品の機械特性をバランスよく発現することができる。
上述した構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物を製造する方法として、例えば、予めモノフィラメント状に分散した強化繊維がランダムに分布した強化繊維マットを製造する方法がある。当該強化繊維マットの製造方法としては、強化繊維を空気流にて分散シート化するエアレイド法や強化繊維を機械的にくし削りながら形成してシート化するカーディング法などの乾式プロセス、強化繊維を水中にて攪拌して抄紙するラドライト法による湿式プロセスを公知技術として挙げることができる。前記において強化繊維の分散性やランダム配向性を高める手段として、乾式プロセスにおいては、開繊バーを設ける方法やさらに開繊バーを振動させる方法、さらにカードの目をファインにする方法や、カードの回転速度を調整する方法などが例示できる。湿式プロセスにおいては、強化繊維の攪拌条件を調整する方法、分散液の強化繊維濃度を希薄化する方法、分散液の粘度を調整する方法、分散液を移送させる際に渦流を抑制する方法などが例示できる。特に湿式法で製造することが好ましく、投入繊維の濃度を増やすことで、得られる強化繊維マットの単位面積当たりの重量を増やすことができる。さらに、分散液の流速(流量)とメッシュコンベアの速度を調整することでも単位面積当たりの重量を調整することができる。例えば、メッシュコンベアの速度を一定にして、分散液の流速を増やすことで得られる強化繊維マットの単位面積当たりの重量を増やすことができる。逆にメッシュコンベアの速度を一定にして、分散液の流速を減らすことで、得られる強化繊維マットの単位面積当たりの重量を減らすこともできる。さらには、分散液の流速に対して、メッシュコンベアの速度を調整することで、繊維の配向をコントロールすることも可能である。例えば、分散液の流速に対して、メッシュコンベアの速度を遅くすることで、得られる強化繊維マット中の繊維の配向が引き取り方向に向き難くなる。このように各種パラメーターを調整し、強化繊維マットの製造が可能である。
強化繊維マットとしては、強化繊維単体から構成されていてもよく、強化繊維が粉末形状や繊維形状のマトリックス樹脂成分と混合されていたり、強化繊維が有機化合物や無機化合物と混合されていたり、強化繊維同士が樹脂成分で目留めされていてもよい。これら強化繊維マットに熱可塑性樹脂を溶融含浸させるか、あるいは、強化繊維マット中に含まれる熱可塑性樹脂成分を溶融固化させて、構成要素(I)および(II)に示すCFRTPシート状物を製造することができる。
前記方法によれば、強化繊維の繊維長を比較的長い状態に保つことができ、かつ、単位面積当たりの強化繊維量や熱可塑性樹脂量の調整が容易であることから、構成要素(I)および(II)のいずれのCFRTPシート状物の製造にも適用できる。
ここで、本発明の中間基材に用いる強化繊維についてさらに詳しく説明する。強化繊維として、例えば、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属繊維や、PAN系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維や、黒鉛繊維や、ガラスなどの絶縁性繊維や、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレンなどの有機繊維や、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機繊維が挙げられる。また、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、導電体として金属の被着処理のほかに、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などがある。また、これらの強化繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、比強度、比剛性が高く軽量化効果の観点から、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく用いられる。また、得られる成形品の経済性を高める観点から、ガラス繊維が好ましく用いることができ、とりわけ力学特性と経済性のバランスから炭素繊維とガラス繊維を併用することが好ましい。さらに、得られる成形品の衝撃吸収性や賦形性を高める観点から、アラミド繊維が好ましく用いることができ、とりわけ力学特性と衝撃吸収性のバランスから炭素繊維とアラミド繊維を併用することが好ましい。また、得られる成形品の導電性を高める観点から、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。これらの中で、強度と弾性率などの力学的特性と価格とのバランスに優れるPAN系の炭素繊維は、より好ましく用いることができる。
次に、本発明の中間基材に用いられる熱可塑性樹脂についてさらに詳しく説明する。本発明の中間基材に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、「ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などのポリアリーレンスルフィド、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)」などの結晶性樹脂、「スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート(PAR)」などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、得られる成形品の軽量性の観点からはポリオレフィンが好ましく、強度の観点からはポリアミドが好ましく、表面外観の観点からポリカーボネートやスチレン系樹脂のような非晶性樹脂が好ましく、耐熱性の観点からポリアリーレンスルフィドが好ましく、連続使用温度の観点からポリエーテルエーテルケトンが好ましく用いられる。
前記群に例示された熱可塑性樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有しても良い。これらの例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。
また、本発明の中間基材は、その複数枚を積層したプリフォームとして使用することができる。ここでプリフォームとは、少なくとも2つ以上の中間基材が積層されたものであって、中間基材を持ち運びできればその形態に特に制限はなく、それぞれの中間基材が実質的に独立した状態であってもよいし、互いに係合された状態であってもよい。
前記プリフォームを作製する手段としては、例えば、中間基材が予熱処理される以前に積層する方法、中間基材が予熱処理された後に積層する方法が挙げられる。ここで予熱処理とは、中間基材をプレス成形に供するにあたり、中間基材の融点または軟化点以上に加熱する工程のことを指す。すわなち、中間基材を加熱処理した後に積層するとは、中間基材のそれぞれを個別または一部個別に加熱した後、融点または軟化点以上にある中間基材を積層することであり、これにより得られた積層物も、本発明のプリフォームに相当する。なお、プリフォームは、所望する成形品の形状に応じて積層量やサイズを適宜調整することができる。賦形性や取扱性の観点からは、プリフォームの厚みが1mm〜10mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3mm〜5mmの範囲である。また、加熱処理する以前にプリフォームを作製する場合は、予熱効率の観点から1mm〜5mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1mm〜3mmの範囲内である。ここでの厚みは、加熱する以前の室温下におけるプリフォームの厚みである。
次に、本発明の中間基材ないしプリフォームを用いた成形品の製造方法について説明する。
本発明における成形品の製造は、プレス成形により実施される。プレス成形とは、加工機械および型、工具等を用いて金属、プラスチック材料、セラミックス材料などに例示される各種材料に曲げ、剪断、圧縮等の変形を与えて成形品を得る方法であるが、その成形形態として絞り、深絞り、フランジ、コールゲート、エッジカーリング、型打ちなどが例示される。また、プレス成形の方法としては、金型を用いて成形をおこなう金型プレス法、ラバープレス法(静水圧成形法)などが例示される。なかでも、成形圧力、温度の自由度の観点から、圧縮成形機と金属製の成形型を用いて成形をおこなう、金型プレス法が好ましい。すなわち、前記した本発明の中間基材ないしプリフォームを金型キャビティ中に配置したのちプレス成形する。
前記金型プレス法としては、予め成形型を中間基材ないしプリフォームの成形温度以上に昇温しておき、加熱された成形型内に中間基材ないしプリフォームを配置し、型締めして加圧し、次いでその状態を維持しながら成形型を冷却し成形品を得る方法、いわゆるホットプレス成形がある。また、成形温度以上に加熱された中間基材ないしプリフォームを、中間基材ないしプリフォームの固化温度未満に保持された成形型に配置し、型締めして加圧し、次いでその状態を維持しながら中間基材ないしプリフォームを冷却し成形品を得る方法、いわゆるスタンピング成形やヒートアンドクール成形がある。これらプレス成形方法のうち、成形サイクルを早めて生産性を高める観点からは、スタンピング成形ないしヒートアンドクール成形が好ましい。
このスタンピング成形やヒートアンドクール成形において、中間基材ないしプリフォームを成形温度以上に加熱する手段としては、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、誘電加熱、熱風加熱、熱板加熱、などの公知の加熱装置が例示できる。なかでも、遠赤外線ヒーターや熱板加熱が温度コントロールの容易さから好適である。なお、ここでの成形温度とは、中間基材ないしプリフォームを賦形可能な状態とできる温度であって、中間基材を構成する熱可塑性樹脂の融点または軟化点以上とすることが好ましい。
加熱された中間基材ないしプリフォームを成形型に搬送、配置する手段としては、人手で搬送する手動システムであってもよいし、ベルトコンベア、稼働式フレーム、ロボットアーム、などの公知の搬送装置による自動システムを適用することもできる。また、自動システムの場合、搬送経路上において温度コントロール可能な温調設備や空間設備を設けてもよい。搬送に際しては、中間基材ないしプリフォームの温度低下により、成形品の外観品位が悪化したり、賦形性が損なわれたり、する場合があるため、素早く搬送することが好ましい。具体的には、中間基材ないしプリフォームを加熱装置から取り出した後、成形型内で加圧されるまでの間において、30秒以下であることが好ましく、さらに好ましくは20秒以下、とりわけ好ましくは10秒以下である。
成形型中にて付与する圧力としては、中間基材ないしプリフォームの賦形のしやすさや、成形品の厚み制御のしやすさの観点から10〜40MPaの範囲が好ましい。とりわけ15〜30MPaの範囲内がプレス成形機の設備コストの観点から好ましく、さらには好ましくは15〜20MPaである。ここでの圧力は、成形品の投影面積あたりに付与される圧力である。
成形型の温度としては、中間基材を構成する熱可塑性樹脂の固化温度より30℃〜100℃低い温度の範囲内であることが可塑化した中間基材ないしプリフォームの賦形のしやすさや、成形品の表面外観の観点から好ましい。例示すると、熱可塑性樹脂としてポリアミド6樹脂を用いる場合は120℃〜160℃の範囲内、ポリプロピレン樹脂を用いる場合は80℃〜120℃、の範囲内である。
金型から冷却固化された成形品を取り出す手段としては、人手によるおこなうことは勿論、補助的に成形型に備え付けられるエジェクタを利用してもよい。前記エジェクタとしては、圧縮空気をブローする方式、機械的な構造部材により突き上げる方式、などが好適に用いられる。
プレス成形用の金型について説明する。金型は大きく2種類に分類され、1つは鋳造、射出成形やフロープレス(スタンピング)成形などに使用される密閉金型であり、もう1つは折曲成形、深絞成形や鍛造などに使用される開放金型である。密閉金型は主に内部に材料を流し込んで成形する方法に適し、開放金型は主に材料を流動させずに変形させて成形する方法に適している。本発明の中間基材ないしプリフォームは、材料を流動させてキャビティに充填させる方法にとりわけ適当な材料であるから、金型は前者の密閉金型を用いることが好ましい。密閉金型においては、材料の流出を塞き止めるためのシェアエッジを設けることが一般的である。
上述したプレス成形において、中間基材ないしプリフォームを金型内に配置する際のチャージ率としては、50%以上100%未満であることが重要である。チャージ率とは、金型キャビティの投影面積に対する中間基材ないしプリフォームの投影面積の占める割合であって、次式により求められる。
・チャージ率(%)=(中間基材ないしプリフォームの投影面積)/(金型キャビティの投影面積)×100
チャージ率を50%以上100%未満とすることで、中間基材ないしプリフォームは実質的に流動をともないキャビティ中に充填される。この成形によると、中間基材ないしプリフォームをキャビティにチャージする段階でのキャビディ型外への余剰がなく、賦形後についても実質的にバリ(非製品部)をともなわないため、材料を無駄なく有効に製品に反映することができる。そのため、成形収率に優れ、トリミングなどの二次加工が不要となり、製造コストを低減することができる。また、上述してきたとおり、本発明の中間基材ないしプリフォームは賦形性に優れるうえ、流動をともなう場合であっても、強化繊維の配向や局在化を抑制することができるため、上記チャージ率の範囲にて用いるに適当である。チャージ率については、目的とする成形品の形状やサイズによって前記した範囲の中で適宜選定すればよく、大面積で薄肉な成形品では80%以上100未満が好ましく、小面積で厚肉な成形品では50%以上80%未満が好ましい。
上述したプレス成形において、本発明の中間基材およびプリフォーム以外に、成形品に機能付与を行う観点から、スキン材やコア材を併用することができる。ここで、スキン材やコア材は実質的に流動に寄与しないことが前提である。すなわち、プレス成形において金型キャビティの投影面積に対しチャージ率100%以上にて配置されるものを指す。
前記スキン材として、成形品の表面を改質する目的から、樹脂フィルムを中間基材またはプリフォームの最外層に配置することが好ましい。樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂を用いるとフィルムへの加工性やプリフォームと接着性が簡便で好ましく、熱硬化性樹脂を用いるとプライマー、塗料やゲルコートなどの表面平滑性の改善できるため好ましい。得られる成形品を電子機器などに使用する場合、フィルムの難燃性がUL−94規格のVTM−1以上であることが好ましく、VTM−0以上であることがより好ましい。
また、得られる成形品の意匠性を改善する観点から、加飾フィルム、透明フィルム、色調フィルムから選択される少なくとも一種を用いることが好しい。ここで、加飾フィルムとは、当該フィルム表面に、意匠および/または幾何学的紋様を有していることが好ましい態様として例示できる。透明フィルムとは、当該フィルムの可視光線の透過率が80〜100%の樹脂を用いることが好ましい態様として例示できる。色調フィルムとは、有機系および/または無機系の顔料や着色剤を含有することが好ましい態様として例示できる。その他、必要に応じ、光沢フィルム、プリントフィルム、帯電防止フィルム、遮光フィルム、耐熱フィルムなどを積層単位として用いることができる。
さらに、得られる成形品にFRPの風合いを持たせる観点からは、強化繊維を含む樹脂シートを用いることが好ましい。中でも、意匠性が高く、衝撃特性の向上が見込める連続性の強化繊維を使用したシートが好ましく、一方向基材、織物基材、マット基材などの形態が挙げられる。不連続性の強化繊維を用いる場合は、本発明の構成要素(I)に示すCFRTPシート状物を用いることが好ましい。
次に前記コア材としては、成形品の厚みを確保する目的から、中間基材またはプリフォームの中間層に配置することが好ましい。また、軽量性を高める観点から、本発明の中間基材よりも嵩密度の低い素材を用いることが好ましく、例えば、シート状基材、多孔質基材、ハニカム材料、強化繊維を含むマット基材などが挙げられる。
上記に例示した以外にも、スキン材やコア材として、金属板、金属箔、金属メッシュ、グラファイトシート、放熱シート、耐薬品性フィルム、ガスバリヤーフィルム、耐寒フィルム、抗菌シートやフィルム、発泡シート、ゴムシートなどを用いてもよい。以上の積層単位は、必要に応じ、一種または二種以上を併用してもよい。
プレス成形においてスキン材やコア材を併用する場合の方法としては、キャビティ中に予めスキン材を配置しておき、中間基材またはプリフォームを後からキャビティ内に配置する方法、あるいは、中間基材またはプリフォームとスキン材および/またはコア材を積層したものを同時に予熱処理して、成形温度以上に加熱された積層物をキャビティ中に配置する方法、さらには、個別あるいは一部個別に中間基材またはプリフォームを予熱処理したのち、スキン材および/またはコア材を積層してキャビティ中に配置する方法が挙げられる。
本発明の中間基材ないしプリフォームを用いて製造される成形品の用途としては、例えば、「パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの筐体、トレイ、シャーシ、内装部材、またはそのケース」などの電気、電子機器部品、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種メンバ、各種フレーム、各種ヒンジ、各種アーム、各種車軸、各種車輪用軸受、各種ビーム、プロペラシャフト、ホイール、ギアボックスなどの、サスペンション、アクセル、またはステアリング部品」、「フード、ルーフ、ドア、フェンダ、トランクリッド、サイドパネル、リアエンドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジなどの、外板、またはボディー部品」、「バンパー、バンパービーム、モール、アンダーカバー、エンジンカバー、整流板、スポイラー、カウルルーバー、エアロパーツなど外装部品」、「インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリム、ピラートリム、ハンドル、各種モジュールなどの内装部品」、または「モーター部品、CNGタンク、ガソリンタンク、燃料ポンプ、エアーインテーク、インテークマニホールド、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」などの自動車、二輪車用構造部品、「その他、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、プロテクター、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、スペアタイヤカバー、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、スカッフプレート、フェイシャー」、などの自動車、二輪車用部品、「ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ」などの航空機用部品が挙げられる。力学特性の観点より、電気、電子機器用の筐体、土木、建材用のパネル、自動車用の構造部品、航空機用の部品に好ましく用いられる。とりわけ、力学特性および等方性の観点より、自動車、二輪車用構造部品に好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(1)CFRTPシート状物の繊維分散率
CFRTPシート状物を2枚のステンレス製メッシュ(2.5cm当たり50個のメッシュを有する平織形状)に挟み、プリプレグが動かないようにネジを調整して固定した。これを空気中500℃で30分間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばした。ステンレス製メッシュを外し、得られた繊維マットを顕微鏡で観察し、無作為に単繊維を1本選定し、該単繊維に接触する別の単繊維との二次元接触角を画像観察より測定した。二次元接触角は接触する2つの単繊維とのなす2つの角度のうち、0°以上90°以下の角度(鋭角側)を採用した。二次元接触角の測定は、選定した単繊維に接触する全ての単繊維を対象とし、これを100本の単繊維について実施した。得られた結果から、二次元接触角を測定した全ての単繊維の総本数と、二次元接触角度が1度以上である単繊維の本数とからその比率を算出し、繊維分散率を求めた。
(2)CFRTPシート状物の不連続強化繊維の二次元配向角
上記(1)と同様にして、CFRTPシート状物から繊維マットを取り出した。得られた繊維マットを顕微鏡で観察し、無作為に単繊維を1本選定し、該単繊維に交差する別の単繊維との二次元配向角を画像観察より測定した。配向角は交差する2つの単繊維とのなす2つの角度のうち、0°以上90°以下の角度(鋭角側)を採用した。選定した単繊維1本あたりの二次元配向角の測定数はn=20とした。同様の測定を合計5本の単繊維を選定しておこない、その平均値をもって二次元配向角とした。
(3)CFRTPシート状物に含まれる不連続強化繊維の平均繊維長Ln
CFRTPシート状物を空気中500℃で30分間加熱して熱可塑性樹脂成分を焼き飛ばし、残った不連続強化繊維から無作為に400本選択して、その長さを10μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、その平均値を平均繊維長Lnとした。
(4)CFRTPシート状物に含まれる不連続強化繊維の繊維直径D
CFRTPシート状物に含まれる不連続強化繊維の繊維直径Dは、CFRTPシート状物の製造に用いた強化繊維の単繊維径を、そのまま繊維直径Dとして用いた。
(5)CFRTPシート状物に含まれる不連続強化繊維のアスペクト比p
上記(3)および(4)にて得られた平均繊維長Lnと繊維直径Dとから、次式により算出した。
・p=Ln/D
Ln:不連続強化繊維の繊維長(μm)
D:不連続強化繊維の繊維直径(μm)。
(6)CFRTPシート状物に含まれる強化繊維の割合VfI、VfII
CFRTPシート状物の質量W0を測定したのち、該CFRTPシート状物を空気中500℃で30分間加熱して熱可塑性樹脂成分を焼き飛ばし、残った不連続強化繊維の質量W1を測定し、次式により算出した。
・VfI、VfII(体積%)=(W1/ρf)/{W1/ρf+(W0−W1)/ρr}×100
ρf:強化繊維の密度(g/cm
ρr:熱可塑性樹脂の密度(g/cm)。
(7)プレス成形用中間基材に含まれる構成要素の体積率VI、VII
中間基材の作製に用いるCFRTPシート状物の厚みから、次式により算出した。
・体積率(VI)=(tI×nI)/(tI×nI+tII×nII)×100
・体積率(VII)=(tII×nII)/(tI×nI+tII×nII)×100
tI:構成要素(I)のCFRTPシート状物の厚み(mm)
tII:構成要素(II)のCFRTPシート状物の厚み(mm)
nI:構成要素(I)のCFRTPシート状物の積層枚数(枚)
nII:構成要素(II)のCFRTPシート状物の積層枚数(枚)。
(8)プレス成形用中間基材に含まれる強化繊維の割合Vf
上記(6)および(7)にて得られるCFRTPシート状物に含まれる強化繊維の割合(VfI、VfII)と体積率(VI、VII)とから、次式により算出した。
・Vf(体積%)=(NI×VI)+(NII×VII)。
(9)プレス成形用中間基材の伸長率R
中間基材から切り出した直径150mmの円盤の1枚ないし複数枚を積層して厚さ3mmのプリフォームを調整したのち、スタンピング成形することでサンプルを作製した。具体的には、上記プリフォームを遠赤外線ヒーター中に投入して、プリフォーム中心温度が中間基材を構成する熱可塑性樹脂の成形温度(熱可塑性樹脂の融点+30℃)になるまで加熱し、直ちにプレス成形機に設置された平板形状のキャビティを有する金型(キャビティ表面温度120℃)に配置して金型を閉じ、成形圧力15MPaを60秒間保持したのち、金型を開いてサンプルを取り出した。得られたサンプルは略真円状であって、該サンプルから45°間隔に4カ所の直径を測定し、その平均値からサンプルの投影面積を導出した。さらに、プリフォームの投影面積を直径150mmとして導出し、次式により伸長率Rを算出した。
・R(%)=(サンプルの投影面積/プリフォームの投影面積)×100。
プレス成形における賦形性の指標として、求めた伸長率Rをもとに以下基準にて判定をおこなった。
AA:中間基材の伸長率Rが330%以上である
A:中間基材の伸長率Rが280%以上330%未満である
B:中間基材の伸長率Rが230%以上280%未満である
C:中間基材の伸長率Rが180%以上230%未満である
D:中間基材の伸長率Rが180%未満である。
(10)成形品の充填率
切り出す中間基材のサイズを一辺が250mmの正方形とした以外は、上述した伸長率Rの測定と同様にして、プレス成形をおこなった。図11に成形した成形品30の概略図を示す。天板31は一辺が300mmの正方形であって、四辺には63度の勾配を持つ垂直高さ20mmの立ち壁を設けた。各エッジの曲率半径は1mmとした。本形状における金型のキャビティ投影面積Scは102400mmである。成形品の充填率を金型のキャビティ投影面積Scと成形品の投影面積Smとから、次式により算出した。
・成形品の充填率(%)=(Sm/Sc)×100。
(11)成形品の平均曲げ強度σa、平均曲げ弾性率Ea
ASTM D−790に準拠して成形品の曲げ強度および曲げ弾性率を評価した。試験片の切り出しは図12に示すとおりとした。成形品天板の辺方向に平行な任意方向を0度として、0/90/±45の4方向について計12本の試験片を上記(10)にて得た成形品の天板部より切り出した。これら試験片による全ての測定値(n=12)の平均値を曲げ強度σaおよび曲げ弾性率Eaとした。試験機として“インストロン”(登録商標)万能試験機4201型(インストロン社製)を使用した。
(12)成形品の曲げ強度のばらつき
上記(11)にて求めた成形品の曲げ強度の個別値から、次式により算出した。
・曲げ強度のばらつき(%)={Σ(σi−σ)/n}1/2/σ×100
σi:曲げ強度の個別値(i=1、2、・・・12)(MPa)
σa:平均曲げ強度(MPa)
n:曲げ強度の測定点数(個)。
成形品における信頼性の指標として、求めた曲げ強度のばらつきを元に以下基準にて判定をおこなった。
AA:成形品の曲げ強度のばらつきが5%未満である
A:成形品の曲げ強度のばらつきが5%以上8%未満である
B:成形品の曲げ強度のばらつきが8%以上13%未満である
C:成形品の曲げ強度のばらつきが13%以上18%未満である
D:成形品の曲げ強度のばらつきが18%以上である。
(13)成形品の曲げ弾性率のばらつき
上記(11)にて求めた成形品の曲げ弾性率の個別値から、次式により算出した。
・曲げ弾性率のばらつき(%)={Σ(Ei−Ea)/n}1/2/Ea×100
Ei:曲げ弾性率の個別値(i=1、2、・・・9)(GPa)
Ea:平均曲げ弾性率(GPa)
n:曲げ弾性率の測定数(個)。
成形品における信頼性の指標として、求めた曲げ弾性率のばらつきを元に以下基準にて判定をおこなった。
AA:成形品の曲げ弾性率のばらつきが5%未満である
A:成形品の曲げ弾性率のばらつきが5%以上8%未満である
B:成形品の曲げ弾性率のばらつきが8%以上13%未満である
C:成形品の曲げ弾性率のばらつきが13%以上18%未満である
D:成形品の曲げ弾性率のばらつきが18%以上である。
(14)成形品の密度ρ
JIS K 7112(1999)の5に記載のA法(水中置換法)に準拠して成形品の密度ρを測定した。上述(11)にて測定に供した試験片から2cm×2cmのサンプルを切り出し、50℃の温度で12時間真空乾燥したのち、デシケータ内で室温まで冷却したものを試験片とした。浸積液としてエタノールを用い、n=5について測定をおこない、その平均値を成形品の密度ρとした。
(15)成形品の比曲げ強度
上記(11)、(14)にて求めた成形品の平均曲げ強度σおよび成形品の密度ρとから、次式により算出した。
・成形品の比曲げ強度=σ1/2/ρ
σ:成形品の平均曲げ強度(MPa)
ρ:成形品の密度(g/cm
強化繊維の補強効率および成形品の軽量化効果の指標として、求めた成形品の比曲げ強度をもとに以下基準にて判定をおこなった。
AA:成形品の比曲げ強度が16以上である
A:成形品の比曲げ強度が15以上16未満である
B:成形品の比曲げ強度が14以上15未満である
C:成形品の比曲げ強度が13以上14未満である
D:成形品の比曲げ強度が13未満である。
[炭素繊維1]
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本の連続炭素繊維を得た。さらに該連続炭素繊維を電解表面処理し、120℃の加熱空気中で乾燥して炭素繊維1を得た。この炭素繊維1の特性は次に示す通りであった。
密度:1.8g/cm
単繊維径:7μm
引張強度:4.9GPa
引張弾性率:230GPa
[炭素繊維2]
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本の連続炭素繊維を得た。さらに該連続炭素繊維を電解表面処理し、120℃の加熱空気中で乾燥して炭素繊維2を得た。この炭素繊維2の特性は次に示す通りであった。
密度:1.8g/cm
単繊維径:5μm
引張強度:5.9GPa
引張弾性率:294GPa
[樹脂シート1]
未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)社製、“プライムポリプロ”(登録商標)J106MG)90質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製、“アドマー”(登録商標)QE800)10質量%とからなるポリプロピレンマスターバッチを用いて、目付が90g/mのシートを作製した。
[樹脂シート2]
目付を158g/mに調整した以外は、樹脂シート1と同様にしてシートを得た。
[樹脂シート3]
目付を203g/mに調整した以外は、樹脂シート1と同様にしてシートを得た。
[樹脂シート4]
目付を214g/mに調整した以外は、樹脂シート1と同様にしてシートを得た。
[樹脂シート5]
目付を113g/mに調整した以外は、樹脂シート1と同様にしてシートを得た。
[樹脂シート6]
目付を120g/mに調整した以外は、樹脂シート1と同様にしてシートを得た。
[樹脂シート7]
ポリアミド6樹脂(東レ(株)社製、“アミラン”(登録商標)CM1001)からなるポリアミドマスターバッチを用いて、目付が112g/mのシートを作製した。
[樹脂シート8]
目付を197g/mに調整した以外は、樹脂シート7と同様にしてシートを得た。
[樹脂シート9]
目付を253g/mに調整した以外は、樹脂シート7と同様にしてシートを得た。
[樹脂シート10]
目付を141g/mに調整した以外は、樹脂シート7と同様にしてシートを得た。
[炭素繊維マット1]
炭素繊維1をカートリッジカッターで6mmにカットし、チョップド炭素繊維を得た。水と界面活性剤(光純薬工業(株)社製、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(製品名))からなる濃度1.5質量%の分散液100リットルを調整した。この分散液に上記チョップド炭素繊維を投入し、10分間撹拌したのち、500mm×500mmの抄紙面を有する抄紙槽に流し込み、分散液を脱水除去して炭素繊維分のみを取り出した。さらに、150℃の乾燥炉で2時間乾燥して炭素繊維マット1を得た。得られた炭素繊維マット1の目付は90g/mであった。
[炭素繊維マット2]
炭素繊維1をカートリッジカッターで1mmにカットした以外は、炭素繊維マット11と同様にして炭素繊維マット2を得た。得られた炭素繊維マット2の目付は90g/mであった。
[炭素繊維マット3]
炭素繊維1をカートリッジカッターで3mmにカットした以外は、炭素繊維マット11と同様にして炭素繊維マット3を得た。得られた炭素繊維マット3の目付は90g/mであった。
[炭素繊維マット4]
炭素繊維1をカートリッジカッターで9mmにカットした以外は、炭素繊維マット1と同様にして炭素繊維マット4を得た。得られた炭素繊維マット4の目付は90g/mであった。
[炭素繊維マット5]
炭素繊維1をカートリッジカッターで6mmにカットしたこと、炭素繊維マットの目付を90g/mとしたこと、以外は炭素繊維マット1と同様にして炭素繊維マット5を得た。
[炭素繊維マット6]
炭素繊維2をカートリッジカッターで9mmにカットした以外は、炭素繊維マット1と同様にして炭素繊維マット6を得た。得られた炭素繊維マット6の目付は90g/mであった。
(参考例1)CFRTPシート状物1
炭素繊維マット1を1枚と、樹脂シート1を2枚用いて積層体を作製した。上記積層体を金型キャビティ内に配置して金型を閉じ、210℃の温度で5MPaの圧力を120秒間保持したのち、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃にまで冷却し、金型を開いてCFRTPシート状物1を得た。得られたCFRTPシート状物1の特性を表1−1に示す。
(参考例2)CFRTPシート状物2
炭素繊維マット1を3枚と、樹脂シート2を2枚用いて積層体を作製したこと、付与する圧力を7MPaにしたこと以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物2を得た。得られたCFRTPシート状物2の特性を表1−1に示す。
(参考例3)CFRTPシート状物3
炭素繊維マット1を1枚と、樹脂シート3を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物3を得た。得られたCFRTPシート状物3の特性を表1−1に示す。
(参考例4)CFRTPシート状物4
炭素繊維マット1を1枚と、樹脂シート2を5枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物4を得た。得られたCFRTPシート状物4の特性を表1−1に示す。
(参考例5)CFRTPシート状物5
炭素繊維マット1を4枚と、樹脂シート1を3枚用いて積層体を作製したこと、付与する圧力を10MPaとしたこと以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物5を得た。得られたCFRTPシート状物5の特性を表1−1に示す。
(参考例6)CFRTPシート状物6
炭素繊維マット4を4枚と、樹脂シート1を3枚用いて積層体を作製した以外は、、参考例5と同様にしてCFRTPシート状物6を得た。得られたCFRTPシート状物6の特性を表1−1に示す。
(参考例7)CFRTPシート状物7
炭素繊維マット4を3枚と、樹脂シート2を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物7を得た。得られたCFRTPシート状物7の特性を表1−1に示す。
(参考例8)CFRTPシート状物8
炭素繊維マット4を1枚と、樹脂シート3を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物8を得た。得られたCFRTPシート状物8の特性を表1−1に示す。
(参考例9)CFRTPシート状物9
炭素繊維マット3を3枚と、樹脂シート2を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物9を得た。得られたCFRTPシート状物9の特性を表1−1に示す。
(参考例10)CFRTPシート状物10
炭素繊維マット3を1枚と、樹脂シート3を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物10を得た。得られたCFRTPシート状物10の特性を表1−1に示す。
(参考例11)CFRTPシート状物11
炭素繊維マット6を3枚と、樹脂シート2を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物11を得た。得られたCFRTPシート状物11の特性を表1−2に示す。
(参考例12)CFRTPシート状物12
炭素繊維マット6を1枚と、樹脂シート3を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物12を得た。得られたCFRTPシート状物12の特性を表1−2に示す。
(参考例13)CFRTPシート状物13
炭素繊維マット2を3枚と、樹脂シート2を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物13を得た。得られたCFRTPシート状物13の特性を表1−2に示す。
(参考例14)CFRTPシート状物14
炭素繊維マット2を1枚と、樹脂シート3を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物14を得た。得られたCFRTPシート状物14の特性を表1−2に示す。
(参考例15)CFRTPシート状物15
炭素繊維マット1を5枚と、樹脂シート5を2枚用いて積層体を作製したこと、付与する圧力を15MPaとしたこと以外は、参考例1と同様にしてCFRTPシート状物15を得た。得られたCFRTPシート状物15の特性を表1−2に示す。
(参考例16)CFRTPシート状物16
炭素繊維マット5を2枚と、樹脂シート6を3枚用いて積層体を作製した以外は、参考例1−2と同様にしてCFRTPシート状物16を得た。得られたCFRTPシート状物16の特性を表1に示す。
(参考例17)CFRTPシート状物17
樹脂シート1の調整にて用いたポリプロピレンマスターバッチと、炭素繊維1とを、二軸押出機にて溶融混練して炭素繊維の割合が30体積%の短繊維マスターバッチを作製した。上記短繊維マスターバッチをシート状に加工して、目付が293g/mのCFRTPシート状物17を作製した。得られたCFRTPシート状物17の特性を表1−2に示す。
(参考例18)CFRTPシート状物18
樹脂シート1の調整にて用いたポリプロピレンマスターバッチと、炭素繊維1とを、二軸押出機にて溶融混練して炭素繊維の割合が10体積%の短繊維マスターバッチを作製した。上記短繊維マスターバッチをシート状に加工して、目付が248g/mのCFRTPシート状物18を作製した。得られたCFRTPシート状物18の特性を表1−2に示す。
(参考例19)CFRTPシート状物19
ガラス繊維強化熱可塑性樹脂(GMT)
Quadrant社製、“ユニシート”(登録商標)P4038−BK31をCFRTPシート状物19として用いた。特性を表1−2に示す。
(参考例20)CFRTPシート状物20
熱可塑性シートモールディングコンパウンド(SMC)
炭素繊維1に対して、樹脂シート1にて調整したマスターバッチを含浸ダイにて溶融含浸させて、炭素繊維の割合を50体積%に調整した炭素繊維テープを作製した。前記炭素繊維テープをカートリッジカッターにてカットし、テープ長35mmのチョップドテープを作製し、該チョップドテープを自由落下によりランダム散布してシート状に形成した。さらに、形成したシートをプレス成形機に設置された金型キャビティ内に配置して金型を閉じ、210℃の温度で5MPaの圧力を120秒間保持したのち、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃にまで冷却し、金型を開いてCFRTPシート状物20を得た。得られたCFRTPシート状物20の特性を表1−2に示す。
(参考例21)CFRTPシート状物21
炭素繊維マット1を1枚と、樹脂シート7を2枚用いて積層体を作製した。上記積層体を金型キャビティ内に配置して金型を閉じ、240℃の温度で5MPaの圧力を120秒間保持したのち、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃にまで冷却し、金型を開いてCFRTPシート状物21を得た。得られたCFRTPシート状物21の特性を表4−1に示す。
(参考例22)CFRTPシート状物22
炭素繊維マット1を3枚と、樹脂シート8を2枚用いて積層体を作製したこと、付与する圧力を7MPaにしたこと以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物22を得た。得られたCFRTPシート状物22の特性を表4−1に示す。
(参考例23)CFRTPシート状物23
炭素繊維マット1を1枚と、樹脂シート9を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物23を得た。得られたCFRTPシート状物23の特性を表4−1に示す。
(参考例24)CFRTPシート状物24
炭素繊維マット1を1枚と、樹脂シート8を5枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物24を得た。得られたCFRTPシート状物24の特性を表4−1に示す。
(参考例25)CFRTPシート状物25
炭素繊維マット1を4枚と、樹脂シート7を3枚用いて積層体を作製したこと、付与する圧力を10MPaとしたこと以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物25を得た。得られたCFRTPシート状物25の特性を表4−1に示す。
(参考例26)CFRTPシート状物26
炭素繊維マット4を4枚と、樹脂シート7を3枚用いて積層体を作製した以外は、参考例25と同様にしてCFRTPシート状物26を得た。得られたCFRTPシート状物26の特性を表4−1に示す。
(参考例27)CFRTPシート状物27
炭素繊維マット4を3枚と、樹脂シート8を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物27を得た。得られたCFRTPシート状物27の特性を表4−1に示す。
(参考例28)CFRTPシート状物28
炭素繊維マット4を1枚と、樹脂シート9を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物28を得た。得られたCFRTPシート状物28の特性を表4−1に示す。
(参考例29)CFRTPシート状物29
炭素繊維マット3を3枚と、樹脂シート8を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物29を得た。得られたCFRTPシート状物29の特性を表4−1に示す。
(参考例30)CFRTPシート状物30
炭素繊維マット3を1枚と、樹脂シート9を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物30を得た。得られたCFRTPシート状物30の特性を表4−1に示す。
(参考例31)CFRTPシート状物31
炭素繊維マット6を3枚と、樹脂シート8を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物31を得た。得られたCFRTPシート状物31の特性を表4−2に示す。
(参考例32)CFRTPシート状物32
炭素繊維マット6を1枚と、樹脂シート9を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物32を得た。得られたCFRTPシート状物32の特性を表4−2に示す。
(参考例33)CFRTPシート状物33
炭素繊維マット2を3枚と、樹脂シート8を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物33を得た。得られたCFRTPシート状物33の特性を表4−2に示す。
(参考例34)CFRTPシート状物34
炭素繊維マット2を1枚と、樹脂シート9を2枚用いて積層体を作製した以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物34を得た。得られたCFRTPシート状物34の特性を表4−2に示す。
(参考例35)CFRTPシート状物35
炭素繊維マット1を5枚と、樹脂シート10を2枚用いて積層体を作製したこと、付与する圧力を15MPaとしたこと以外は、参考例21と同様にしてCFRTPシート状物35を得た。得られたCFRTPシート状物35の特性を表4−2に示す。
(参考例36)CFRTPシート状物36
樹脂シート7の調整にて用いたポリアミドマスターバッチと、炭素繊維1とを、二軸押出機にて溶融混練して炭素繊維の割合が30体積%の短繊維マスターバッチを作製した。上記短繊維マスターバッチをシート状に加工して、目付が365g/mのCFRTPシート状物36を作製した。得られたCFRTPシート状物36の特性を表4−2に示す。
(参考例38)CFRTPシート状物37
樹脂シート7の調整にて用いたポリアミドマスターバッチと、炭素繊維1とを、二軸押出機にて溶融混練して炭素繊維の割合が10体積%の短繊維マスターバッチを作製した。上記短繊維マスターバッチをシート状に加工して、目付が309g/mのCFRTPシート状物37を作製した。得られたCFRTPシート状物37の特性を表4−2に示す。
(実施例1)
構成要素(I)として参考例2のCFRTPシート状物2を1枚と、構成要素(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を1枚用いて積層体を作製した。上記積層体を金型キャビティ内に配置して金型を閉じ、180℃の温度で3MPaの圧力を120秒間保持したのち、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃まで冷却し、金型を開いて中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を3枚積層したプリフォームを作製し、遠赤外線ヒーター中に投入して、プリフォーム中心温度が210℃になるまで加熱した。ヒーターから取り出して、直ちにプレス成形機に設置された平板形状のキャビティを有する金型(キャビティ投影面積300mm×300mm、キャビティ表面温度120℃)にチャージ率70%にて配置し、金型を閉じ、成形圧力15MPaを60秒間保持したのち、金型を開いて成形品を取り出した。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例2)
構成要素(I)として参考例1のCFRTPシート状物1を2枚と、構成要素(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例3)
構成要素(I)として参考例6のCFRTPシート状物6を1枚と、構成要素(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに94%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例4)
構成要素(I)として参考例5のCFRTPシート状物5を1枚と、構成要素(II)として参考例8のCFRTPシート状物8を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例5)
構成要素(I)として参考例9のCFRTPシート状物9を1枚と、構成要素(II)として参考例10のCFRTPシート状物10を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例6)
構成要素(I)として参考例7のCFRTPシート状物7を1枚と、構成要素(II)として参考例8のCFRTPシート状物8を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに99%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例7)
構成要素(I)として参考例1のCFRTPシート状物1を4枚と、構成要素(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を4枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例8)
構成要素(I)として参考例1のCFRTPシート状物1を8枚と、構成要素(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表2に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに95%充填していた。成形品の特性を表2に示す。
(実施例9)
構成要素(I)として参考例22のCFRTPシート状物を1枚と、構成要素(II)として参考例23のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した。上記積層体を金型キャビティ内に配置して金型を閉じ、240℃の温度で3MPaの圧力を120秒間保持したのち、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃まで冷却し、金型を開いて中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を3枚積層したプリフォームを作製し、遠赤外線ヒーター中に投入して、プリフォーム中心温度が250℃になるまで加熱した。ヒーターから取り出して、直ちにプレス成形機に設置された平板形状のキャビティを有する金型(キャビティ投影面積300mm×300mm、キャビティ表面温度140℃)にチャージ率70%にて配置し、金型を閉じ、成形圧力15MPaを60秒間保持したのち、金型を開いて成形品を取り出した。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(実施例10)
構成要素(I)として参考例21のCFRTPシート状物を2枚と、構成要素(II)として参考例23のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(実施例11)
構成要素(I)として参考例26のCFRTPシート状物を1枚と、構成要素(II)として参考例23のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに94%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(実施例12)
構成要素(I)として参考例25のCFRTPシート状物を1枚と、構成要素(II)として参考例28のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(実施例13)
構成要素(I)として参考例29のCFRTPシート状物29を1枚と、構成要素(II)として参考例30のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(実施例14)
構成要素(I)として参考例27のCFRTPシート状物を1枚と、構成要素(II)として参考例28のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに99%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(実施例15)
構成要素(I)として参考例21のCFRTPシート状物を4枚と、構成要素(II)として参考例23のCFRTPシート状物を4枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(実施例16)
構成要素(I)として参考例21のCFRTPシート状物を8枚と、構成要素(II)として参考例23のCFRTPシート状物を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表5に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに95%充填していた。成形品の特性を表5に示す。
(比較例1)
参考例1のCFRTPシート状物1を中間基材としてそのまま用いた。上記中間基材の特性を表3に示す。
上記中間基材を12枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに92%充填していた。成形品の特性を表3−1に示す。
(比較例2)
参考例2のCFRTPシート状物2を中間基材としてそのまま用いた。上記中間基材の特性を表3−1に示す。
上記中間基材を6枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに84%充填していた。成形品の特性を表3−1に示す。
(比較例3)
参考例19のCFRTPシート状物19を中間基材としてそのまま用いた。上記中間基材の特性を表3−1に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに対し100%充填していた。成形品の特性を表3−1に示す。
(比較例4)
参考例20のCFRTPシート状物20を中間基材としてそのまま用いた。上記中間基材の特性を表3−1に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに対し100%充填していた。成形品の特性を表3−1に示す。
(比較例5)
積層単位(I)として参考例11のCFRTPシート状物11を1枚と、積層単位(II)として参考例12のCFRTPシート状物12を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−1に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに対し71%充填していた。成形品の特性を表3−1に示す。
(比較例6)
積層単位(I)として参考例17のCFRTPシート状物17を2枚と、積層単位(II)として参考例18のCFRTPシート状物18を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−1に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表3−1に示す。
(比較例7)
積層単位(I)として参考例13のCFRTPシート状物13を1枚と、積層単位(II)として参考例14のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−1に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに84%充填していた。成形品の特性を表3−1に示す。
(比較例8)
積層単位(I)として参考例2のCFRTPシート状物2を1枚と、積層単位(II)として参考例1のCFRTPシート状物1を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−2に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに86%充填していた。成形品の特性を表3−2に示す。
(比較例9)
積層単位(I)として参考例2のCFRTPシート状物2を1枚と、積層単位(II)として樹脂シート1を5枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−2に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表3−2に示す。
(比較例10)
積層単位(I)として参考例4のCFRTPシート状物4を1枚と、積層単位(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−2に示す。
上記中間基材を2枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表3−2に示す。
(比較例11)
積層単位(I)として参考例15のCFRTPシート状物15を1枚と、積層単位(II)として参考例1のCFRTPシート状物1を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−2に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに76%充填していた。成形品の特性を表3−2に示す。
(比較例12)
積層単位(I)として参考例1のCFRTPシート状物1を2枚と、積層単位(II)として参考例16のCFRTPシート状物16を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−2に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに95%充填していた。成形品の特性を表3−2に示す。
(比較例13)
積層単位(I)として参考例2のCFRTPシート状物2を2枚と、積層単位(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を5枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−2に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表3−2に示す。
(比較例14)
積層単位(I)として参考例2のCFRTPシート状物2を10枚と、積層単位(II)として参考例3のCFRTPシート状物3を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例1と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表3−2に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例1と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに89%充填していた。成形品の特性を表3−2に示す。
(比較例15)
参考例21のCFRTPシート状物を中間基材としてそのまま用いた。上記中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を10枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに92%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例16)
参考例22のCFRTPシート状物を中間基材としてそのまま用いた。上記中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を6枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに84%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例17)
積層単位(I)として参考例31のCFRTPシート状物を1枚と、積層単位(II)として参考例32のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を6に示す。
上記中間基材を3枚積層してプリフォームを作製した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに対し71%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例18)
積層単位(I)として参考例33のCFRTPシート状物を1枚と、積層単位(II)として参考例34のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに84%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例19)
積層単位(I)として参考例22のCFRTPシート状物を1枚と、積層単位(II)として参考例21のCFRTPシート状物を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに86%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例20)
積層単位(I)として参考例22のCFRTPシート状物を1枚と、積層単位(II)として樹脂シート7を5枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例21)
積層単位(I)として参考例24のCFRTPシート状物を1枚と、積層単位(II)として参考例23のCFRTPシート状物を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を2枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例22)
積層単位(I)として参考例35のCFRTPシート状物を1枚と、積層単位(II)として参考例21のCFRTPシート状物を2枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を3枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに76%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例23)
積層単位(I)として参考例22のCFRTPシート状物を2枚と、積層単位(II)として参考例23のCFRTPシート状物を4枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに100%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
(比較例24)
積層単位(I)として参考例22のCFRTPシート状物を6枚と、積層単位(II)として参考例23のCFRTPシート状物を1枚用いて積層体を作製した以外は、実施例9と同様にして中間基材を得た。得られた中間基材の特性を表6に示す。
上記中間基材を1枚使用した以外は、実施例9と同様に成形して成形品を得た。得られた成形品はキャビティに89%充填していた。成形品の特性を表6に示す。
実施例2、7、8は、比較例1、13、14と比較して、構成要素(II)のCFRTPシート状物を含むことによる、満足いく賦形性の向上効果が認められる。また、これによる成形品では強度、弾性率のバラツキが小さく、かつ、比強度が高いため、信頼性と補強効果に優れた成形品を得ることができた。
実施例7では、中間基材中に含まれる構成要素(II)の割合が他と比べて大きいことから、伸長率(R)が高く、賦形性にとりわけ優れた。実施例6では、構成要素(II)の割合が他と比べて小さいことから、強度および弾性率のバラツキが小さく、信頼性の高い成形品が得られた。比較例13は、中間基材中に含まれる構成要素(II)の割合が大き過ぎたことから、賦形性には優れるものの、成形品における強度、弾性率のバラツキが大きいため、実用性は低い。反対に比較例14は、中間基材中に含まれる構成要素(II)の割合が小さ過ぎたことから、構成要素(II)を含むことによる賦形性の向上効果が殆ど見られなかった。
次に、実施例1、5、6と比較例2とを比較すると、何れの水準も構成要素(II)のCFRTPシート状物を含むことにより、伸長率(R)が増加しており、賦形性が向上していることがわかる。実施例5では、構成要素(I)および(II)のアスペクト比が適度に小さいため、実施例1と比較して賦形性の向上効果に優れた。実施例6では、構成要素(I)および(II)のアスペクト比が大きいため、実施例1と比較して、成形品の信頼性が高く、補強効果にも優れた。
一方、実施例1と同じVfIおよびVfIIで、かつ、VIおよびVIIである、比較例5、6、7、8、9について、比較例5は構成要素(I)および(II)のアスペクト比が大き過ぎるため、賦形性が大きく低下した。比較例6は、構成要素(I)および(II)のアスペクト比が小さ過ぎるため、賦形性には優れるものの、成形品での比強度の低下、信頼性の低下が見られた。比較例7は、比較例6と比較してアスペクト比が大きいため、成形品での比強度、信頼性に回復が見られるものの、低アスペクト比であることには変わりなく、満足のいく成形品は得られなかった。比較例8は、構成要素(II)のVfIIが大き過ぎるため、構成要素(II)を含むことによる賦形性の向上効果は見られなかった。反対に比較例9では、構成要素(II)のVfIIが小さ過ぎるため、成形品の比強度、信頼性において満足のいく成形品が得られなかった。
また、比較例10、11、12について、比較例10はVfIが小さ過ぎたため、成形品の信頼性が損なわれた。反対に比較例11ではVfIが大き過ぎたため、伸長率が低下し、満足のいく賦形性を発現できなかった。比較例12では、VfIとVfIIとが近過ぎるため、構成要素(II)を含むことによる賦形性の向上効果が認められなかった。
実施例3、4について、いずれも構成要素(I)として高VfなCFRTPシート状物を用いているが、実施例3、4ではVfIが適正な範囲であることから、賦形性の向上効果が認められた。
比較例3、4のそれぞれについて、強化繊維が束状に分散されているため、単繊維のネットワークが形成されておらず、賦形性には優れるが、プレス成形にともなう強化繊維の局在や配向により、成形品の信頼性は低い結果となった。また、強化繊維が束状に分散されているため、成形品の補強効果にも劣った。
マトリックス樹脂にポリアミド樹脂を用いた場合においても、上記と同様にVfIとVfIIが適正な範囲である実施例9〜16においては、VfIとVfIIが適正でない範囲である比較例15〜24と比較し、賦型性の向上、成形品の比強度ならびに信頼性に優れる成形品を得ることができるとともに、本発明の効果が十分に認められた。さらに、マトリックス樹脂自体の強度および弾性率が反映され、曲げ強度および弾性率の絶対値が高い成形品を得ることができた。
本発明のプレス成形用中間基材によれば、プレス成形において優れた賦形性を発現する。また、これによる成形品は高い信頼性と補強効果を有するため、自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、航空機内装材、輸送用箱体、などの幅広い用途に適用できる。
1,2,3,4,5,6,7,8 単繊維
9 二次元接触角、二次元配向角
10、16、19、22、23、24、25、26、27 プレス成形用中間基材
11、12、13、14、17、18、20、21、28、29 繊維強化熱可塑性樹脂シート状物
15 係合部
30 成形品
31、33 天板部
32 曲げ試験片

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂中に不連続強化繊維がモノフィラメント状かつランダムに分布した中間基材であって、下記構成要素(I)および(II)が互いに積層されており、前記中間基材における構成要素(I)および(II)の総量に対する構成要素(II)の割合が30〜70体積%であって、下記構成要素(I)および(II)のそれぞれにおける強化繊維のアスペクト比が250以上1000以下であり、かつ、下記VfIおよびVfIIが0.8VfI>VfIIを満たす、プレス成形用中間基材。
    (I)強化繊維の割合VfIが15体積%以上40体積%以下である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物
    (II)強化繊維の割合VfIIが5体積%以上15体積%未満である繊維強化熱可塑性樹脂シート状物
  2. 前記中間基材における構成要素(I)および(II)の総量に対する構成要素(II)の割合が40〜60体積%である、請求項1に記載のプレス成形用中間基材。
  3. 前記構成要素(I)および(II)を構成する不連続強化繊維の平均アスペクト比が400以上800以下である、請求項1または2に記載のプレス成形用中間基材。
  4. 前記構成要素(I)の強化繊維の割合VfIが20体積%以上30体積%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
  5. 前記プレス成形用中間基材における強化繊維の割合Vfが10体積%以上30体積%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
  6. 前記構成要素(I)および(II)を構成する強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜5のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
  7. 前記構成要素(I)および(II)を構成する熱可塑性樹脂がポリオレフィン、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトンの群から選択される少なくとも1つを含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載のプレス成形用中間基材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のプレス成形用中間基材の複数枚を積層した、プレス成形用プリフォーム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のプレス成形用中間基材ないしプリフォームをチャージ率50%以上100%未満にて金型キャビティ中に配置したのちプレス成形する、成形品の製造方法。
  10. プレス成形の手段が、スタンピング成形ないしヒートアンドクール成形である、請求項9に記載の成形品の製造方法。
  11. 成形品が自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、航空機内装材、輸送用箱体として用いられるものである、請求項9または10に記載の成形品の製造方法。
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