JP2014020527A - 円筒ころ軸受 - Google Patents

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JP2014020527A JP2012162622A JP2012162622A JP2014020527A JP 2014020527 A JP2014020527 A JP 2014020527A JP 2012162622 A JP2012162622 A JP 2012162622A JP 2012162622 A JP2012162622 A JP 2012162622A JP 2014020527 A JP2014020527 A JP 2014020527A
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Abstract

【課題】大型の転がり軸受の回転中において、軸受のラジアル荷重が軽荷重になると、ころの転動不良によってころとリテーナの公転速度が低下する。このときに、ころと外輪または内輪の軌道面との間ですべりが生じ、スミアリングが発生するという問題がある。
【解決手段】ころ130を転動可能に保持するリテーナ140を有する円筒ころ軸受において、ころ130の軸線方向の両側に、内輪120と同軸に円環部材148を配置し、隣り合う各ころ130の間に配置したスペーシング部材141を前記円環部材148で回転支持する。前記スペーシング部材148の外周を円筒形状にして、転動するころ130と接触したとき容易に回転できるように支持する。ころ130がリテーナ140と共に容易に公転できるので、軸受のラジアル荷重が軽荷重のときでも、ころ130とリテーナ140を確実に公転させることが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は転がり軸受の構造に関わり、特に土木建設機械、製鉄機械、風力発電装置などに使用される大型の転がり軸受に関する。
土木建設機械、製鉄機械、風力発電装置などの用途では、負荷荷重が大きいのでころ軸受が多用される。また、これらの用途においては軸受の直径が1メートルを超える大きさのものも使用される。
風力発電装置を例にとって、図6によって転がり軸受の使用形態を説明する。風力発電装置は風車1の回転を増速機10によって増速させて、発電機2の主軸を高速で回転させて発電している。増速機10は、平行に設置した3本の回転軸11,12,13をギアで結合した構成である。各回転軸の両端はそれぞれ転がり軸受で支持されていて、Y3の箇所に円筒コロ軸受が使用されている。
円筒ころ軸受の構造を図7に示す。円筒ころ軸受90は一般的に、内輪30、外輪20、ころ40、リテーナ80で構成される。ころ40はリテーナのポケット81内に一つずつ収容されて、円周方向に一定の間隔で配置されている。ころ40ところ40の間にリテーナ80の柱82があって、隣接するころ同士が直接接触しないようになっている。
図8によって、ラジアル荷重が負荷されて軸受が回転するときのころ40に作用する力の状態を説明する。ラジアル荷重Pが負荷されて円筒ころ軸受の内輪30が回転すると、荷重が負荷されている領域(荷重負荷圏)にあるころ40には、それぞれP1,P2,P3の転動体荷重が負荷され、この荷重に応じて、各ころ40と、内輪30の軌道面31および外輪20の軌道面21との間に摩擦力F1,F2,F3が作用する。ころ40はこの摩擦力によって転動する。転動したころ40は、その進行方向にあるリテーナの柱部82を押すことにより、リテーナ80全体が円周方向に回転する。
ラジアル荷重の非負荷圏においては、ころ40に前記摩擦力が発生しないので、ころ自体が公転する力を生じることはなく、ころ40は、前述のリテーナ80が回転することによって、柱82に押されて公転運動をする。
こうして、ころ40とリテーナ80が相互に作用して、すべてのころ40が転動して、長期にわたって円筒ころ軸受を使用することが出来る。
特開2006−138381号公報 特開2004−162777号公報
風力発電装置においては、風車が回っている間でも、発電機2が発電を停止すると、増速機10の回転軸11,12,13を支える軸受に対するラジアル荷重が減少し、これらの支持軸受は極めて小さいラジアル荷重が負荷された状態で回転することになる。
風力発電装置に使用される大型軸受では、リテーナ80のサイズは大きく、その質量が大きいため、リテーナ80を公転させるためには円周方向の大きな力が必要である。上記のようにラジアル荷重が減少してころ40と軌道面21,31との間で十分な摩擦力を得ることが出来ないときは、コロ40と軌道面21,31との間でスリップが生じやすくなる。
また、負荷圏にあるころ40が転動しながらリテーナ80の柱部82を押すときは、ころ40と柱部82とは滑り接触をしており、その接触部のすべり摩擦がころ40の転動に対する抵抗となるので、ころ40と軌道面21,31との間では更にスリップを生じやすくなる。
軸受の回転数が大きい時に前記スリップが生じると、ころ40と軌道面21,31との接触部における潤滑膜が破壊され、スミアリングと呼ばれる摩耗が生じて、軸受の早期の不具合につながる。風力発電装置用の増速機では、発電機2に直結されている軸13が最も高速で回転していて、ここに使用される円筒ころ軸受において特にスミアリングが生じやすいという問題がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、この発明の課題は、直接的には、ころとリテーナの間のすべり摩擦を低減することであり、最終的な目的は、ころと、外輪または内輪の軌道面との間のスリップを防止して、軌道面のスミアリング発生を低減する転がり軸受を提供することである。
本発明の請求項1に記載する発明は、内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、前記外輪の軌道面と前記内輪の軌道面との間の空間に、前記内輪の円周方向に複数配置されたころと、前記ころを円周方向に間隔を空けて配置するとともに前記ころを転動可能に保持するリテーナとを有する円筒ころ軸受であって、前記リテーナは、前記ころのその軸線方向の両側に、前記内輪の軸線と同軸に配置された円環部材と、隣り合う前記各ころの間に配置されるとともに、軸方向両端が前記円環部材で支持された円筒形状のスペーシング部材とを有しており、前記スペーシング部材は、これの外周が前記ころに接触できる位置に配置され、前記円環部材に回転可能に支持されていることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載する発明は、前記内輪の外周面に前記軌道面を挟んで軸方向両側に肩部を設け、この肩部に内径側へ凹ませた段部を形成し、前記円環部材の内径寸法が、前記内輪の軌道面の外径寸法より小さく、前記段部の外径寸法よりも大きめに設定して、前記スペーシング部材の軸線を、前記ころの軸線をつないで得られるピッチ円より内径側に配置したことを特徴としている。
本発明の請求項3に記載する発明は、前記外輪の内周面に前記軌道面を挟んで軸方向両側に肩部を設け、この肩部に外径側へ凹ませた段部を形成し、前記円環部材の外径寸法が、前記外輪の軌道面の内径寸法より大きく、前記段部の外径寸法よりも小さめに設定して、前記スペーシング部材の軸線を、前記ころの軸線をつないで得られるピッチ円より外径側に配置したことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、ころとリテーナがスペーシング部材を介して転がり接触しているため、ころの転動に対して抵抗とならず、軸受のラジアル荷重が軽荷重のときでも効率よくリテーナを公転させることが出来る。
また、負荷圏のころが回動して、リテーナ全体を公転させるので、負荷圏のころの公転運動がそれぞれ他のころに伝達される。このため、軸受のラジアル荷重が軽荷重であっても、全てのころを一体として回動させることが出来る。
この結果、軌道面のスミアリングを低減出来て、寿命の長い軸受を得ることが出来る。
第2の発明によれば、ころところの間隔を小さくすることが出来るので、軸受に組み込むころの数を多くすることが出来る。この結果、軌道面のスミアリングを低減するとともに軸受の負荷容量を大きくすることが出来るので、より一層、寿命の長い軸受を得ることが出来る。
第3の発明によれば、スペーシング部材の直径を大きくすることが出来るので、スペーシング部材をより小さいな力で回転させることが出来る。この結果、ころが転動するときに、効率よくリテーナを回転させることが出来て、軌道面のスミアリングを更に低減することが出来る。第2の発明と同様に、軸受の負荷容量を大きくする効果も有しているので、より一層、寿命の長い軸受を得ることが出来る。
本発明に係る円筒ころ軸受の第1実施例を示す図である。 第1実施例の円筒ころ軸受の軸方向中央断面図によって、ラジアル荷重が各ころに分散して負荷される状態を説明する図である。 最下部のころに作用する荷重と摩擦力を説明する図である。 本発明に係る円筒ころ軸受の第2実施例を示す図である。 本発明に係る円筒ころ軸受の第3実施例を示す図である。 風力発電装置の概略構造を示す図である。 従来の円筒ころ軸受の一部を切り描いた斜視図である。 従来の円筒ころ軸受が、ラジアル荷重を受けながら回転するときの、各ころに作用する力を説明する図である。
この発明の第1実施形態を図1を用いて説明する。
この発明にかかる円筒ころ軸受は、外輪110、内輪120、複数のころ130、およびリテーナ140で構成されている。
外輪110は、外径側が、風力発電装置などのハウジング(図は省略する)に嵌め合うように円筒形状に研磨加工されていて、内径側が、その軸方向両端に内径方向に突出し、円周方向に延在する鍔部111を有していて、両鍔部の間の窪んだ部分が円筒形状に研磨加工されて、ころ130が転動する軌道面115となっている。この軌道面115に連続する両鍔部111の内側面112は研磨加工され、ころ130が転動するときの案内面となっている。
内輪120は、内径側が、風力発電装置などの回転する主軸(図は省略する)に装着できるように円筒形状に研磨加工されている。内輪の外径側は、その軸方向中央部が円筒形状に研磨加工されて、ころが転動する軌道面125となっていて、両肩部に、軌道面の直径より小径となる段部122が形成されている。段部122と軌道面125は半径方向に延在する側面121でつながっている。
ころ130は、外径が、円筒形状に研磨加工されていて、両側の端面が、軸心に直角で互いに平行に研磨加工された平面となっている。その両端面の間の寸法は、外輪に設けた両鍔111の側面112の内幅よりわずかに小さく製作されている。
この発明にかかる円筒ころ軸受は、内輪120と外輪110とが同軸に組み合わされて、かつ、前記外輪110の軌道面115と内輪120の軌道面125が対向するように組み合わされる。複数のころ130が、前記外輪110の軌道面115と内輪120の軌道面125との間の空間に、その軸線が内外輪の軸線と平行に組み込まれ、かつ、これらのころ130は後述するスペーシング部材141によって、円周方向に等しい間隔で配置される。
リテーナ140はスペーシング部材141と円環部材148とブッシュ150とで構成されていて、スペーシング部材141は円環部材148に対して回転可能に支持されている。
円環部材148の平面部146には、その半径方向の幅のほぼ中央に、この発明にかかる円筒ころ軸受に組み込まれるころ130の個数と同じ数の穴149が、円周方向に等しい間隔で、平面部146に直角方向に貫通している。
各穴149の内径にはフッ素樹脂などの摩擦係数の小さい材料でできたブッシュ150が挿入されている。ブッシュ150は、内径、外径ともに円筒形状で、外径は穴149とタイトに組み込まれていて、円環部材148に対して回転しないようになっている。
スペーシング部材141は、軸方向中央部に設けた円筒形状のころ接触部142と、その軸方向両端に同軸に設けた円筒形状の回転支持部143とで構成されている。スペーシング部材141は、各ころ間に、その軸線がころ130の軸線と平行に組み込まれ、ころ接触部142が隣接するころ130と接するように配置される。ころ接触部142の外径は、隣接するころ130に同時に接するときに、内輪120の外径とは接触しないような大きさで製作されている。
スペーシング部材141は機械構造用炭素鋼等で製作され、その外径は、焼入れ硬化処理をされた後、研磨加工がされている。
両軸端の回転支持部143は、円筒ころ軸受の軸方向両側に組み込まれた円環部材148の前記ブッシュ150の内径に、回転可能なように隙間を持って挿入される。回転支持部143の両先端は、それぞれブッシュ150に挿入した側と反対の側に突出して、その突出部に止め輪147が装着されており、スペーシング部材141が円環部材148から抜け出ることはない。
なお、スペーシング部材141がより一層小さいトルクで回転できるように、ブッシュ150に代えて針状ころ軸受を使用してもよい。
円環部材148は、外輪110の内径と、内輪120の肩部に設けた段部122とで囲まれた軸方向両側の空間にそれぞれ配置される。円環部材148は、その外径が外輪110の内径より小さく設定され、内径が内輪両肩部の段部122の外径より大きく設定されていて、組み立てられたときに内輪120または外輪110と接触しない大きさとなっている。
対向する円環部材148の内幅の寸法は、内輪120の軸方向両側の側面121の間の寸法より大きく設定されていて、円環部材148が内輪120を挟み込むことがなく、リテーナ140と内外輪(110,120)は互いに拘束されずに運動することが出来る。
また、円環部材148の軸方向厚さは、段部122の軸方向長さより小さくして、内輪両肩部から突出しない大きさに設定されているので、軸受の端面を押して軸受を回転軸などに組み込む際に、圧入治具がリテーナ140と干渉せず、組み込み作業が容易になる。
以上のようにころ130とスペーシング部材141が円周方向に交互に組み立てられて、ころ130は円周方向に等しい間隔で配置される。第1実施例では、内輪側の肩部に段部122を設けたので、スペーシング部材141を、ころ130の軸線をつなぐピッチ円直径より内側で、かつ可能な限り内輪120に接近させて保持することが出来る。
スペーシング部材141は、隣接するふたつのころ130に接しているので、その軸心位置は、軸受の軸心から等しい距離でかつ、円周方向に等しい間隔で配置される。従ってリテーナ140全体としての軸線は、軸受と同軸に保持される。
軸受が回転するときにおいても、ころ130とスペーシング部材141が円周方向に交互に組み立てられているため、各ころ130は円周方向に等しい間隔を保ったまま公転運動をする。各スペーシング部材141は隣接するふたつのころ130に接していて、ころ130との相対的な配置を保ちながら公転するので、リテーナ140全体が軸受の軸心を中心とした回転運動をする。
本発明にかかる円筒ころ軸受では、スペーシング部材141をころ130のピッチ円より内径側に設置した。このため、隣接するころ130ところ130の距離を小さく設定することが出来るので、軸受に組み込むことが出来るころの本数を増加させることが出来る。この結果、軸受全体として荷重負荷容量が増加し、軸受の寿命を向上させることが出来る。
次に、風力発電装置の増速機に本発明にかかる円筒ころ軸受を組み込んだ時の、各部の動作を図2、図3で説明する。
外輪110が図示しない増速機のハウジングに固定され、内輪120が増速機の回転軸に外嵌されて(たとえば図6のY3の位置)、回転軸を支持している。風力発電装置のプロペラが回転して、増速機の軸13が回転すると円筒ころ軸受の内輪120が回転する。増速機の出力軸は発電機に連結されていて、発電するときは回転軸に大きなトルク(発電トルク)が負荷される。増速機の回転軸は歯車で結合されているので、歯車のかみ合い部には発電トルクに相当する接線力が作用し、この接線力が回転軸を支持している軸受に対してラジアル荷重Pとして作用する。
軸受にラジアル荷重が作用するとき、そのラジアル荷重を受ける側(負荷圏)のころと、ラジアル荷重を受けない側(非負荷圏)のころが存在する。そこで、先ず、軸受の内輪が回転するときの負荷圏における各部の動作を説明する。
内軸に鉛直方向下向きにラジアル荷重Pが作用すると、図2に示すように、下方にある複数のころ130に圧接力P1、P2、P3・・・が作用する。図中の矢印は荷重の負荷される方向と、その概略の大きさを示している。
図3に負荷圏にあるころの部分拡大図を示す。
内輪120が反時計回りの方向に回転するとき、ころ130は、ころ外径と内外輪の軌道面115,125との間に生じる摩擦力F1、F2,F3・・・(F1=μP1 ここでμ:摩擦係数)によって、時計回りの方向に自転しながら反時計回りの方向に公転運動をする。このとき、スペーシング部材141はころ130に押されて反時計回りの方向に公転運動をする。
ころ130がスペーシング部材141を押すとき、ころ130は自転しているので、ころ130とスペーシング部材141の接触部に摩擦力(以下、前記摩擦力F1、F2・・・と区別するために摩擦力f1、f2と表示し、図3にはころに作用する荷重を示す。)が生じる。ここでは、ころ130が時計回りの方向に自転しているので、スペーシング部材141は反時計回りに回転する。
スペーシング部材141が隣接する双方のころ130に同時に接触する場合でも、負荷圏にあるころ130はいずれも時計回りの方向に同じ速度で自転するので、スペーシング部材141が反時計回りの方向に回転すれば、各接触部Q1,Q2において、ころ130とスペーシング部材141の接線方向の速度は同一となり、ころ130とスペーシング部材141の接触部Q1,Q2はすべて転がり接触をする。
スペーシング部材141は、摩擦係数が小さいブッシュ150によって支持されていて、その回転トルクは非常に小さく、ころ130と接触して容易に回転することが出来るので、ころ130の自転運動に対する抵抗が大幅に低減できる。
この結果、ころ130と内外輪の軌道面(115,125)との間の摩擦力Fがリテーナ140を公転させる力として有効に伝達され、リテーナ全体を容易に公転させることが出来る。
特に風力発電装置では軸受の直径が大きく、ここに組み込まれるリテーナも必然的に直径が大きく、その重量も大きいものとなるので、ころ130とスペーシング部材141とは強い力で接することになる。このような用途においてころ130とスペーシング部材141が転がり接触をすることは、リテーナ140を容易に公転させるために、特に有利である。
次に、非負荷圏におけるころ130とリテーナ140の動きを説明する。
非負荷圏にあるころ130は、前記のような負荷荷重Pによる摩擦力Fが作用しないので、内外輪の軌道面(115,125))からころ130を転動させる力は作用しない。前述のように、リテーナ140が負荷圏のころ130によって反時計回りの方向に回転させられているので、非負荷圏では負荷圏における挙動とは逆に、ころ130が、スペーシング部材141に押されて反時計回りの方向に公転運動をする。
ころ130が公転運動をするときは、遠心力によってころ130は外輪110の軌道面115に押しつけられていて、ころは外輪軌道面上を滑りを生じることなく転動しようとする。
従ってスペーシング部材141がころ130を押すとき、ころ130は、時計回りの方向に自転するので、ころ130とスペーシング部材141の接触部では摩擦力fが発生して、スペーシング部材141は反時計回りの方向に回転する。前述したように、スペーシング部材141は、摩擦係数が小さいブッシュ150によって支持されているのでその回転トルクは非常に小さい。このため、ころ130とスペーシング部材141が接触しても、ころ130の動きを阻害せず、リテーナ140がころ130を押すときの抵抗を小さくすることが出来る。
逆にいえば、スペーシング部材141を回転させるために必要なトルクが大きいと、ころ130とスペーシング部材141が接触することによって、ころ130の自転する速さを低下させてしまう。自転するときのころ130の外周面の速度が、内外輪軌道面(115,125)の相対速度よりも小さくなると、ころ130と外輪軌道面(115,125)の間で滑り接触をすることになる。このときの滑り摩擦が抵抗となって、リテーナ140を公転させるために更に大きな力が必要となるが、本発明にかかる円筒ころ軸受では、スペーシング部材141が極めて低トルクで回転できるように支持されているので、リテーナ全体を容易に公転させることが出来る。
以上の説明によって明らかなように、軸受が回転するときに、ラジアル荷重の負荷圏、非負荷圏のすべての領域において、リテーナ140は、ころ130とスペーシング部材141が接触するだけで、ほかの部品、例えばスペーシング部材141と内輪外径125、円環部材148の外径と外輪鍔部111の内径、および円環部材148の内径と内輪段部122の外径と接触せずに公転運動をする。
そして、リテーナ140が回転するときの唯一の接触個所である、ころ130とスペーシング部材141において、スペーシング部材141を回転させるために必要な力が極めて小さくてすむので、リテーナ140の公転を阻害する力の発生を最大限に低減出来るのである。
前述したように、軸受が回転するときに、ころ130とリテーナ140を公転運動させる力は、ラジアル荷重Pに伴うころ130と軌道面(115,125)との間の摩擦力Fに依存している。風力発電装置においては、発電機が発電を停止してラジアル荷重Pが減少するような場合には、ころ130と軌道面(115,125)との間の摩擦力Fが減少するが、リテーナ140を公転運動させる力fが小さくてすむので、ころ130とリテーナ140は容易に移動し、軸受の内外輪の相対速度に応じた速度で公転する。
この結果、ころ130が軌道面(115,125)との間で滑り接触をすることなく転動し、ころ130と軌道面(115,125)の間でのスリップに伴う軌道面のスミアリングの発生が軽減されるので、耐久性に優れた軸受を提供することが出来る。
次に本発明にかかる第2実施例を図4を用いて説明する。
第2実施例は、第1実施例の構造に対して、スペーシング部材241の支持構造が異なる。スペーシング部材241は回転円筒であって円環部材248に固定されたピン242とブッシュ250で支持されている。
ピン242は段付きの円筒形状であって、軸方向の中央が大径の円筒形状に加工されていて、その両軸端部に小径の円筒形状の段部244が同軸に設けられている。大径部243と段部244とは軸線に直角方向に延在する端面245で連続している。大径部243の軸方向長さはころ130の軸方向長さよりやや長く設定されている。
円環部材248の平面部246には、その半径方向の幅のほぼ中央に、この発明にかかる円筒ころ軸受に組み込まれるころの個数と同じ数の穴249が、円周方向に等しい間隔で、平面部246に直角方向に貫通している。穴249の直径はピン242の段部244の直径とほぼ同一寸法で製作されている。
段部244の軸方向長さは円環部材248の厚さよりやや長く設定されており、段部244を前記穴249に挿入し、端面245を円環部材248に圧接した状態で、円環部材248から突出する部分がカシメられて、ピン242が円環部材248と一体に組み立てられる。第2実施例では、第1実施例に比して、ピン242が左右の円環部材248と堅固に固定されるので、リテーナ全体としての剛性が向上するというメリットがある。
大径部243の外側には、ブッシュ250を介して円筒形状のスペーシング部材241が同軸に外嵌されている。スペーシング部材241の軸方向長さは大径部243の軸方向長さよりわずかに小さく設定されている。スペーシング部材241の内径側には、軸方向両端部にブッシュ250がタイトに嵌合されている。ブッシュ250の材質はフッ素樹脂などの摩擦係数の小さい材料が使用される。なお、針状ころ軸受などを用いることによって回転トルクをより小さくすることが出来る。
ブッシュ250の内径と大径部243とは隙間を持って嵌合されていて、スペーシング部材241はピン242の周りを容易に回転することが出来る。
第2実施例においては、スペーシング部材241の支持方法が第1実施例と異なるだけで、ころ130と接触するときの動作は同様であるので、説明を省略する。
第2実施例においても、スペーシング部材241を回転させるために必要な力が極めて小さいので、ラジアル荷重Pに伴うころ130と軌道面(115、125)との間の摩擦力F1が減少しても、ころ130とリテーナ240を容易に公転させることが出来る。
この結果、ころ130が軌道面(115、125)との間で滑り接触をすることなく転動し、ころ130と軌道面(115、125)の間でのスリップに伴う軌道面(115、125)のスミアリングの発生が軽減されるので、耐久性に優れた軸受を提供することが出来る。
次に、第3実施例について図5によって説明する。
第3実施例は、第1実施例に対して、スペーシング部材341を、ころ130のピッチ円直径よりも外側に配置した点が異なる。第1実施例と異なる個所について説明する。
外輪310は、外径側が、風力発電装置などのハウジング(図は省略する)に嵌め合うように円筒形状に研磨加工されている。内径側は、その軸方向中央部が円筒形状に研磨加工されて、ころ130が転動する軌道面315となっていて、両肩部に、軌道面の直径より大径となる段部312が形成されている。段部312と軌道面315は半径方向に延在する側面311でつながっている。
内輪320は、内径側が、風力発電装置などの回転する主軸(図は省略する)に装着できるように円筒形状に研磨加工されている。外径側は、その軸方向両端に外径方向に突出し、円周方向に延在する鍔部321を有していて、両鍔部の間の窪んだ部分が円筒形状に研磨加工されて、ころ130が転動する軌道面325となっている。この軌道面325に連続する両鍔部321の内側面322は研磨加工され、ころ130が転動するときの案内面となっている。
スペーシング部材341は、第1実施例と同様に、軸方向中央部に設けた円筒形状のころ接触部342と、その軸方向両端に同軸に設けた円筒形状の回転支持部343とで構成されていて、両軸端の回転支持部343は、円筒ころ軸受の軸方向両側に組み込まれた円環部材348のブッシュ350の内径に、回転可能なように隙間を持って挿入される。スペーシング部材341は、各ころ間に、その軸線がころ130の軸線と平行に組み込まれ、ころ接触部342が隣接するころ130と接するように配置される。
第3実施例では、スペーシング部材341の軸線はころ130の中心線を結ぶピッチ円より外径側に配置されていて、ころ接触部342は、隣接するころ130に同時に接するときに、外輪の内径315とは接触しないような外径寸法で製作されている。
円環部材348は、外輪の両肩部に設けた段部312と、内輪320の外径とで囲まれた空間にそれぞれ配置される。円環部材348は、その外径が外輪両肩部の段部312の内径より小さく設定され、内径が内輪鍔部321の外径より大きく設定されていて、組み立てられたときに内輪鍔部321または外輪310と接触しない大きさとなっている。
以上のようにころ130とスペーシング部材341が円周方向に交互に組み立てられて、ころ130は円周方向に等しい間隔で配置される。第3実施例では、外輪側の肩部に段部312を設けたので、スペーシング部材341を、ころ130のピッチ円直径より外側で、かつ可能な限り外輪310に接近させて保持することが出来る。
第1実施例の場合と同様に、スペーシング部材341は、隣接するふたつのころ130に接しているので、その軸心位置は、軸受の軸心から等しい距離でかつ、円周方向に等しい間隔で配置される。従ってリテーナ全体としての軸線は、軸受と同軸に保持されて、軸受が回転するときにおいても、リテーナ全体が軸受の軸心を中心とした回転運動をする。
本発明にかかる円筒ころ軸受では、スペーシング部材341をころ130の軸心をつないで得られるピッチ円より外径側に設置した。このため、隣接するころ130ところ130の距離を小さく設定することが出来るので、軸受に組み込むことが出来るころの本数を増加させることが出来る。この結果、軸受全体として荷重負荷容量が増加し、軸受の寿命を向上させることが出来る。
さらに、第1実施例に比べて、組み込んだころの数が同等でありながら、スペーシング部材341のころ接触部342の直径を大きくすることが出来るので、スペーシング部材341を回転させる接線力を低減出来る。この結果、さらに効率よくリテーナ340を回転させることが出来るので、ラジアル荷重が低下したときの軌道面のスミアリングの発生を低減し、耐久性に優れた軸受を提供することが出来る。
なお、第3実施例のスペーシング部材を、第2実施例のスペーシング部材のようにピン軸に外嵌した円筒部材に変更しても良い。また、スペーシング部材141がより一層小さいトルクで回転できるように、ブッシュに代えて針状ころ軸受を使用してもよい。
(110)外輪
(111)鍔部
(115)外輪軌道面
(120)内輪
(122)段部
(125)内輪軌道面
(130)ころ
(140)リテーナ
(141)スペーシング部材
(142)ころ接触部
(143)回転支持部
(148)円環部材
(150)ブッシュ
(241)スペーシング部材
(242)ピン
(248)円環部材
(250)ブッシュ
(310)外輪
(312)段部
(315)外輪軌道面
(321)鍔部
(325)内輪軌道面
(340)リテーナ
(341)スペーシング部材
(348)円環部材
(350)ブッシュ

Claims (3)

  1. 内周面に軌道面を有する外輪と
    外周面に軌道面を有する内輪と
    前記外輪の軌道面と前記内輪の軌道面との間の空間に、前記内輪の円周方向に複数配置されたころと
    前記ころを円周方向に間隔を空けて配置するとともに前記ころを転動可能に保持するリテーナとを有する円筒ころ軸受であって、
    前記リテーナは、前記ころの軸線方向の両側に、前記内輪の軸線と同軸に配置された円環部材と、
    隣り合う前記各ころの間に配置されるとともに、軸方向両端が前記円環部材で直接または間接に支持された円筒形状のスペーシング部材とを有しており、
    前記スペーシング部材は、これの外周が前記ころに接触できる位置に配置され、前記円環部材に回転可能に支持されていることを特徴とする円筒ころ軸受。
  2. 前記内輪の外周面に前記軌道面を挟んで軸方向両側に肩部を設け、この肩部に内径側へ凹ませた段部を形成し、前記円環部材の内径寸法が、前記内輪の軌道面の外径寸法より小さく、前記段部の外径寸法よりも大きめに設定して、前記スペーシング部材の軸線を、前記ころの軸線をつないで得られるピッチ円より内径側に配置したことを特徴とする請求項1に記載する円筒ころ軸受。
  3. 前記外輪の内周面に前記軌道面を挟んで軸方向両側に肩部を設け、この肩部に外径側へ凹ませた段部を形成し、前記円環部材の外径寸法が、前記外輪の軌道面の内径寸法より大きく、前記段部の内径寸法よりも小さめに設定して、前記スペーシング部材の軸線を、前記ころの軸線をつないで得られるピッチ円より外径側に配置したことを特徴とする請求項1に記載する円筒ころ軸受。
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