JP2014016586A - 反射防止物品 - Google Patents

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基央 水野
Setsuko Akai
世津子 赤井
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Abstract

【課題】アクリル系樹脂製基材と、微小突起層を形成するアクリル系樹脂組成物とを、任意の材料の組み合わせで用いた場合であっても、アクリル系樹脂製基材と、その表面に形成されたアクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層との密着性に優れる反射防止物品を提供する。
【解決手段】アクリル系樹脂製基材1の表面に、反射防止用の微小突起2aが集合してなる微小突起群を表面に備え、且つ、アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層2が形成されてなる反射防止物品10であって、微小突起2aは、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、微小突起間隔をdmaxとしたときに、dmax≦Λminなる関係を有し、アクリル系樹脂製基材1と微小突起層2との界面は、アクリル系樹脂製基材1側及び微小突起層2側へ交互に入り組んだ形状に形成されていることを特徴とする、反射防止物品。
【選択図】図1

Description

本発明は、機器等の情報表示部や展示品の保護等の各種用途に用い得る、光の表面反射
を防止した反射防止物品に関するものである。
携帯電話機、デジタルカメラ等の情報表示部や、美術品、商品等の展示物は外部にその
まま露出していると汚れたり、壊れたりする恐れがあるため、水、塵、外力等からそれら
を保護する必要がある。しかし、それらがそのまま外部に露出しないよう外側に透明プラ
スチック板等を配置すると、板の表裏両面で外光が反射し、表示の視認性が低下するとい
う問題があるため、反射防止処理を施した物品が用いられている。
近年、反射防止処理技術としては、繰返周期が光の波長以下の極めて微細な凹凸を表面に設けることによって表面反射率を減少させる技術が提案されており、透明性に優れた基材上に微細凹凸層を形成した反射防止物品が開発されている。例えば、特許文献1には、2P法(Photo−polymerization法)によって、透明アクリル樹脂板の片面表面に、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる微細凹凸層を形成した反射防止物品が開示されている。
反射防止物品に用いられる基材としては、透明性に優れることからアクリル系樹脂製の基材が用いられることが多く、また、当該基材上に形成される微細凹凸層の材料としては、アクリル系電離放射線硬化性樹脂等のアクリル系樹脂を主成分とした樹脂組成物が用いられることが多い。
しかしながら、アクリル系樹脂製基材上に、アクリル系樹脂組成物からなる微細凹凸層を形成する場合、前記基材に含まれる樹脂と前記微細凹凸層に含まれる樹脂の組み合わせによっては、共重合成分の組成やグレード等の相違により、基材と微細凹凸層との密着性に劣ることがある。
特開2003−240904号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、アクリル系樹脂製基材と、微小突起層を形成するアクリル系樹脂組成物とを、任意の材料の組み合わせで用いた場合であっても、前記アクリル系樹脂製基材と、その表面に形成された前記アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層との密着性に優れる反射防止物品を提供することを目的とする。
本発明に係る反射防止物品は、アクリル系樹脂製基材の表面に、反射防止用の微小突起が集合してなる微小突起群を表面に備え、且つ、アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層が形成されてなる反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起間隔をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、
前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、前記アクリル系樹脂製基材側及び前記微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る反射防止物品において、前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、JIS B0601 1994において規定される平均突起間隔Smが0.1〜4μm、且つ、JIS B0601 1994において規定される十点平均粗さRzが0.1〜4μmであることが、前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との密着性に優れる点から好ましい。
本発明によれば、アクリル系樹脂製基材と、その表面に形成されたアクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層との密着性に優れ、光学特性及び機械特性等の基本的な要求性能も満たす反射防止物品を提供することができる。
本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る反射防止物品の他の一例を模式的に示す断面図である。 ドロネー図を示す図である。 隣接突起間距離の計測に供する度数分布図である。 微小高さの説明に供する度数分布図である。 平均突起間隔Sm及び十点平均粗さRzの測定に用いられる反射防止物品の断面サンプルを得るための切断箇所を説明する図である。 本発明に係る反射防止物品の製造方法の一例を説明する図である。 本発明に係る反射防止物品の製造方法の他の一例を説明する図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
また、本発明において、(メタ)アクリル樹脂は、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を表し、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
本発明に係る反射防止物品は、アクリル系樹脂製基材(以下、単に「基材」と称する場合がある。)の表面に、反射防止用の微小突起が集合してなる微小突起群を表面に備え、且つ、アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層が形成されてなる反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起間隔をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、
前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、前記アクリル系樹脂製基材側及び前記微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る反射防止物品としては、例えば、微小突起層が一層で形成された一層タイプのもの、及び微小突起層が二層以上で形成された多層タイプのものが挙げられる。
以下、本発明に係る一層タイプの反射防止物品と、二層タイプの反射防止物品について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る一層タイプの反射防止物品を模式的に示す断面図である。図1に示す反射防止物品10は、アクリル系樹脂製基材1の表面に、微小突起2aが集合してなる微小突起群を表面に備えた微小突起層2が形成されてなる。
図2は、本発明に係る二層タイプの反射防止物品を模式的に示す断面図である。図2に示す反射防止物品20は、アクリル系樹脂製基材1の表面に、当該基材1側から順に、第一層3及び微小突起2aが集合してなる微小突起群を表面に備えた第二層4が積層してなる微小突起層2が形成されてなる。
本発明に係る反射防止物品は、図1に示すような一層タイプのものであっても、図2に示すような二層タイプ等の多層タイプのものであっても、アクリル系樹脂製基材と微小突起層との界面が、前記アクリル系樹脂製基材側及び前記微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成されている。これにより、本発明に係る反射防止物品は、前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との密着性が優れたものとなる。
なお、本発明において、「界面がアクリル系樹脂製基材側及び微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成されている」とは、平坦な基材に微小突起層形成用樹脂組成物又は第一層形成用樹脂組成物を塗布して乾燥させる過程で基材表面が変形することによって、結果的に界面が深さ方向に入り組んだ形状に形成されたことを意味し、基材表面をサンドブラスト処理等の事前加工で凹凸を形成した後で微小突起層形成用樹脂組成物又は第一層形成用樹脂組成物を塗布することによって界面が凹凸形状に形成されたことを意味していない。
本発明において、上述のように結果的に界面が深さ方向に入り組んだ形状に形成される作用機構は、現在のところ不明であるが、微小突起層形成用樹脂組成物又は第一層形成用樹脂組成物を基材上に塗工した際に、当該樹脂組成物中に含有された溶剤が基材表面に浸透し、当該樹脂組成物を乾燥させる過程で、溶剤が浸透した基材表面が膨潤して変形すると同時に、当該変形により形成された基材表面の凹部に前記樹脂組成物が入り込むことによって、界面が深さ方向に入り組んだ形状が形成されると考えられる。
(アクリル系樹脂製基材)
前記アクリル系樹脂製基材に用いられるアクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えばポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。
また、前記アクリル系樹脂としては、耐熱性等を向上させるために、六員環構造を有するラクトン環構造単位、無水グルタル酸構造単位及びグルタルイミド構造単位等の環状構造を有するモノマーを共重合成分として組み合わせたものや、一級アミンを処理してイミド化したもの、具体的には例えば、ポリメチルメタクリレートやポリメチルメタクリレート−スチレン共重合体に一級アミンを処理してイミド化したもの等を用いることもできる。
なお、前記アクリル系樹脂は、共重合成分として非アクリル系モノマーを含有する場合は、アクリル系モノマーの含有割合が50質量%以上であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂製基材の厚さは、特に限定されないが、通常20〜5000μmのものを用いることができ、シート状及び板状のいずれであってもよい。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。また、本発明において「板状」とは、シート状に比べて厚さが厚いものであり、完全に曲がらないもの、及び巻き取れるほどには曲がらないが、負荷をかけることによって湾曲するものを含む意味である。
(微小突起層)
まず、前記微小突起層の表面形状について説明する。
前記微小突起層は、反射防止用の微小突起が集合してなる微小突起群を表面に備え、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起間隔をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有している。
前記微小突起は、隣接する微小突起の間隔d(図1参照)が、反射防止を図る波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるよう密接して配置される。本発明に係る反射防止物品を、画像表示パネルに配置して視認性を向上せしめることを主目的として使用する場合は、この最短波長Λminは、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(通常380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して通常100〜300nmとされる。また、前記微小突起の高さは通常50〜350nmとされる。
またこの間隔dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に係る反射防止物品では、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
前記微小突起層の厚みは、特に限定されないが、通常10〜300μmである。なお、本発明において微小突起層の厚みとは、最も高い凸部の頂点から基材との界面の最も低い頂点までの距離(例えば図1中のt)を意味する。
また、前記微小突起層が多層タイプの場合は、前記微小突起層の厚みは、各層の厚みを合計した合計厚み(例えば図2中のt)を意味する。
また、本発明において、前記微小突起群の構造は、いわゆる「モスアイ構造」とすることができる。「モスアイ構造」とは、蛾の目のように、規則的な突起配列を有する構造であり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。モスアイ構造を構成する各微小突起は、基材に植立するように、さらに基材より先端側に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるように(先細りとなるように)作製され、具体的な形状としては、例えば、半球、回転楕円体の半裁形状及び円錐形や四角錐形等の錐形体等が挙げられる。
本発明の反射防止物品は、前記微小突起層の表面に形成された微小突起が集合してなる微小突起群によって反射防止効果を発揮する。前記微小突起群が、反射防止効果を有するのは、次の様な理由による。
すなわち、前記微小突起群によって、反射防止物品の表面を構成する微小突起層と、外界(通常は空気。但し、反射防止物品の使用形態によっては、水、真空、或いは接着剤等の樹脂等になる場合もある。)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となるからである。それは、光の反射は、物質界面の不連続な急激な屈折率変化によって生じる現象であるから、物品表面に於ける屈折率変化を、空間的に連続的に変化する様にすることによって、該物品表面に於ける光反射が減るのである。
尚、前記微小突起層は、通常は透明で光は透過する物となるが、不透明の物であっても、その表面反射を低下する反射防止効果は得られる。
前記微小突起群の微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、前記反射防止効果を得るためには、例えば特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報等に開示のように、隣接する微小突起の間隔dは、突起配列の周期P(d=P)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλmax、最短波長をλminとした場合に、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、P≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminである為、P≦λminとなる。
一方、近年の反射防止物品は、微小突起群の構造が複雑化しており、単純な周期性がないもの、さらには全く不規則な配置のものがある。このように、前記微小突起群の微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起間の間隔dはばらつきを有することになる。そこでこのような場合、間隔dは以下のように算定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図3は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を原画像と重ね合わせた図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(以下、隣接突起間距離と言う)の度数分布を求める。図4は、図3のドロネー図から作成した度数分布のヒストグラムである。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布から平均値dAVG及び標準偏差σを求める。ここでこのようにして得られる度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求めると、図4の例では、平均値dAVG=158nm、標準偏差σ=38nmとなった。これにより隣接突起間距離dの最大値を、dmax=dAVG+2σとし、この例ではdmax=234nmとなる。
なお同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高度差を取得してヒストグラム化する。図5は、このようにして求められる突起付け根位置を基準(高さ0)とした突起高さHの度数分布のヒストグラムを示す図である。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。ここでこの図5の例では、平均値HAVG=178nm、標準偏差σ=30nmである。これによりこの例では、突起の高さは、平均値HAVG=178nmとなる。
なお上述した突起の高さを測る際の基準位置は、隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合(例えば、谷底の高さが微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でウネリを有する場合等)は、(1)先ず、基材の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを持ち、基材の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
突起が不規則に配置されている場合には、このようにして求められる隣接突起間距離の最大値dmax=dAVG+2σ、突起の高さの平均値HAVGが、規則正しく配置されている場合の上述の条件を満足することが必要である。具体的には、反射防止効果を発現する微小突起間距離の条件は、dmax≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、dmax≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminである為、dmax≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dmax≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dmax≧50nmであり、好ましくは、dmax≧100nmとされる。また突起高度については、十分な反射防止効果を発現する為には、HAVG≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。
なお、前記微小突起層の表面形状は、特に限定されないが、例えば、エンボス法、2P法等において、複製型を用いて賦型すること等により成形することができる。
次に、前記微小突起層を形成する材料について説明する。
前記微小突起層は、アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる。上述した一層タイプの反射防止物品の微小突起層、及び上述した多層タイプの反射防止物品の第一層のように、基材に直接接触する層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物は、少なくともアクリル系硬化性樹脂及び溶剤を含有し、その他必要に応じて、アクリル系非硬化性樹脂、非アクリル系樹脂及びその他の添加剤等を含有することができる。
基材に直接接触する層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物が、溶剤を含有することにより、本発明に係る反射防止物品を製造する際、当該アクリル系樹脂組成物を基材上に塗工したとき、当該樹脂組成物中に含有された溶剤が基材表面に浸透する。そして、当該樹脂組成物を乾燥させる過程で、溶剤が浸透した基材表面が膨潤して変形すると同時に、当該変形により形成された基材表面の凹部に前記樹脂組成物が入り込むことによって、界面が深さ方向に入り組んだ形状が形成されると考えられる。
一方、上述した多層タイプの反射防止物品の第一層以外の微小突起層を形成する層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物、すなわち、基材に直接接触することがない層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物は、溶剤をほとんど含まないことが好ましく、全く含まない非溶剤タイプのものであることがより好ましい。当該アクリル系樹脂組成物が溶剤を含むものであると、反射防止物品の製造の際に、当該アクリル系樹脂組成物中に含まれる溶剤が、乾燥後の前記第一層に浸透する場合があり、これにより当該第一層が乾燥しづらくなるため、微小突起層の形成において樹脂組成物を硬化させる際、溶剤が残存した樹脂組成物中に気泡が発生する等の問題が生じる場合がある。
なお、このような問題が生じないために、一層タイプの反射防止物品の微小突起層形成用樹脂組成物及び、多層タイプの反射防止物品の第一層形成用樹脂組成物は、硬化させる前に十分に乾燥して溶剤を除去する必要がある。
基材に直接接触することがない層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物は、溶剤以外の成分としては、前記基材に直接接触する層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物と同様の成分を含有することができる。
なお、基材に直接接触することがない層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物は、溶剤の代わりに希釈モノマーを含有させることによって、液状に調製することができる。
前記アクリル系樹脂組成物に含まれるアクリル系硬化性樹脂は、(メタ)アクリル基の炭素−炭素間二重結合が反応して硬化するものである。アクリル系硬化性樹脂としては、中でも、(メタ)アクリル基の炭素−炭素間二重結合が、電離放射線及び加熱から選ばれる少なくとも一つの処理により反応して硬化するものであることが好ましい。
なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。中でも、紫外線(UV)又は電子線(EB)を用いることが好ましい。
前記アクリル系硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びシリコン(メタ)アクリレート等が挙げられ、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
また、前記アクリル系硬化性樹脂としては、特に限定されないが、反応性に優れる点から、2個以上の(メタ)アクリル基を有するもの、すなわち2官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に限定はないが、好ましい化学構造としては、(A)分子中に(好ましくは複数個の)イソシアネート基を有する化合物に対して、分子中に水酸基と(好ましくは複数個の)(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて得られるような構造をもつもの、及び(B)複数個の水酸基を有する化合物にジイソシアネート化合物やトリイソシアネート化合物を反応させ、得られた化合物の未反応イソシアネート基に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のように分子中に水酸基と(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて得られるような構造をもつものが挙げられる。
また、前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。中でも、前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、4個以上の(メタ)アクリル基を有する4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含有するものであることが好ましく、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含有するものであることが特に好ましく、10官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含有するものであることが更に好ましい。また、前記ウレタン(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリル基の数の上限は特に限定はないが、15個以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリル基の数が少なすぎると、得られた微小突起層の硬化性、反応率が低下し、耐傷性、機械的強度が小さくなる場合がある。一方、ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリル基の数が多すぎると、重合による(メタ)アクリル基の炭素間二重結合の反応率が十分に上がらない場合がある。
前記ウレタン(メタ)アクリレートが、前記アクリル系樹脂組成物に含有されることにより、得られた微小突起層の硬化性、反応率が上がり、貯蔵弾性率が大きくなると共に柔軟性が優れたものになり、反射防止性能や光透過性等の光学特性と表面耐傷性や物理的強度等の機械特性の両立が達成できる。
前記エステル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、2官能以上のものが好ましい。
2官能のエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、直鎖アルカンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、3価以上のアルコールの部分(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、アルキレングリコール鎖を有し、分子の両末端にそれぞれ1個ずつの(メタ)アクリル基を有する2官能エステル(メタ)アクリレートが、硬化性に特に優れる点から好ましい。
3官能のエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネート等が挙げられる。
4官能以上のエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記エステル(メタ)アクリレートが、前記アクリル系樹脂組成物に含有されることにより、微小突起層の柔軟性が向上し、微小突起層表面の機械的強度が良好になる。また、前記アクリル系樹脂組成物が、硬化性等を向上させるためにウレタン(メタ)アクリレートを含有する場合、さらにエステル(メタ)アクリレートを含有することで、微小突起層の柔軟性が悪化するのを防ぐことができる。
前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては特に限定はないが、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコ−ルのジグリシジルエーテル類;グリセリンジグリシジルエーテル等のグリセリングリシジルエーテル類;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのPO変性ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリジルエーテル等のビスフェノール系化合物のジグリシジルエーテル類等に、(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するもの等が挙げられる。また、縮重合されたエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するものが挙げられる。更に、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の縮重合物に、例えばエピクロロヒドリン等を反応させて得られた構造を有するエポキシ樹脂に対して、(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するもの等が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレートが、前記アクリル系樹脂組成物に含有されることにより、微小突起層が更に強靭になり、微小突起層表面の耐傷性等の機械的強度が更に良好になる。
前記アクリル系樹脂組成物中の前記アクリル系硬化性樹脂の含有割合は、十分な物性を得るためには、全固形分(不揮発成分)中の60質量%以上であることが好ましい。
基材に直接接触する層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物に含有される溶剤としては、使用するアクリル系樹脂製基材の耐熱温度以下の沸点の溶剤を適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、アセトン、γ−ブチルラクトン、n−メチルピロリドン(NMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ−ト(PMA)等が挙げられる。
基材に直接接触する層の形成に用いられるアクリル系樹脂組成物において、当該アクリル系樹脂組成物中の前記溶剤の含有割合は、特に限定されないが、通常20〜80質量%、好ましくは40〜70質量%とすることができる。
前記アクリル系樹脂組成物が含有することができる添加剤としては、特に限定されないが、例えば、離型剤、光重合開始剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤等が挙げられる。
なお、前記アクリル系樹脂組成物は、その組成(例えば、アクリル系硬化性樹脂の種類、配合量、並びに重合開始剤の種類、量等)、重合に用いる電離放射線の照射条件(強度、露光時間、波長、酸素の除去等)、重合に際しての加熱条件(温度、加熱時間、酸素の除去等)、微小突起層の形状(厚さ等)等を調整することにより、反応率や硬化性を向上させることができる。
(アクリル系樹脂製基材と微小突起層の界面)
本発明に係る反射防止物品は、前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、前記アクリル系樹脂製基材側及び前記微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成されている。これにより、本発明に係る反射防止性物品は、前記アクリル系樹脂製基材側と前記微小突起層との密着性が優れるものとなる。
前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、特に限定されないが、平均突起間隔Smが0.1〜4μm、且つ、十点平均粗さRzが0.1〜4μmであることが好ましい。これにより、前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との密着性が向上する。当該密着性がさらに向上する点から、前記平均突起間隔Smは、1〜2μmであることが特に好ましく、前記十点平均粗さRzは、1〜2μmであることが特に好ましい。
前記平均突起間隔Smとは、前記微小突起層の界面が有する凹凸の平均間隔を表し(図1中のSm参照)、前記十点平均粗さRzは、10点平均粗さを表し、これはほぼ界面の凹凸の頂上と谷底との間の高低差の平均値に相当する(図1中のRz参照)。これらの用語の定義は、JIS B0601 1994に準拠する。
前記平均突起間隔Sm及び前記十点平均粗さRzは、本発明に係る反射防止物品の縦断面(深さ方向の切断面)を、SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 SU8000)等により観察することにより表されるアクリル系樹脂製基材と微小突起層との界面の凹凸プロファイルから、下記条件において測定及び評価することができる。なお、前記Sm値及び前記Rz値は、評価長さごとにプロファイルを測定し、それに基づいて算出される。
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):4μm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):20μm
前記Sm値及び前記Rz値の測定は、特に限定されないが、界面内バラツキを考慮して、反射防止物品の少なくとも2箇所を切断して得られた2以上の切断面(断面サンプル)を用いて測定することが好ましい。中でも、2以上の断面サンプルを得る際に切断される反射防止物品の切断箇所のうち、少なくとも1組の切断箇所の切断方向が、平行方向でないことが好ましく、特に、垂直方向の関係にあることが好ましい。
また、前記測定に用いられる断面サンプルは、以下のようにして得ることがさらに好ましい。まず、基準長さ及び評価長さを予め設定する。次に、サンプリングポイントとして、反射防止物品の表面に少なくとも2つの中心点を設定する。さらに、当該中心点を中心とし、前記評価長さを半径とする円を描き、当該円の円周上に少なくとも4点を設定する。そして、当該円周上の点と前記中心点とを結んだ所定の方位角を有する直線に沿って、反射防止物品を深さ方向に切断をすることにより断面サンプルを得る。得られた各断面サンプルについて、評価長さごとにプロファイルを測定し、それに基づくSm値及びRz値を求める。
前記切断箇所となる直線は、前記円における方位角が、等間隔となるように設定されることが好ましい。また、前記切断箇所となる直線は、特に限定されないが、少なくとも1組が90°で交わることが好ましい。
また、前記中心点は、少なくとも1つが反射防止物品表面の全面積のうち中央の50%を占める中央部分に設定され、且つ少なくとも1つが当該中央部分以外の部分に設定されることが好ましい。
反射防止物品の断面サンプルを得るための切断箇所の具体例として、図6に、中心点Aを点線で囲まれた中央部分に設定し、中心点Bを中央部分以外の部分に設定した例を示す。図6に示す例では、断面サンプルを得るための切断箇所となる直線は、中心点A、Bをそれぞれ中心とし、評価長さを半径とした円において、方位角が90°間隔となるように設定されている。なお、図6に示す反射防止物品は平面図である。
本発明において、前記平均突起間隔Sm及び前記十点平均粗さRzは、上記の様に複数の断面サンプルを用いて各サンプルについてSm値及びRz値が測定された場合は、その平均値とする。
(反射防止物品の製造方法)
本発明に係る反射防止物品の製造方法は、特に限定されないが、以下に、本発明に係る反射防止物品の代表例として、一層タイプのものと二層タイプのものの製造方法の一例について、それぞれ詳細に説明する。
1.一層タイプの反射防止物品の製造方法
本発明に係る一層タイプの反射防止物品は、例えば図7に示すように、まずアクリル系樹脂製基材11を準備し(図7(a))、前記アクリル系樹脂製基材11の表面に微小突起層形成用樹脂組成物を塗工することにより微小突起層形成用塗膜12’を形成し(図7(b))、前記塗膜12’を加熱乾燥させた後(図7(c))、該塗膜12’の表面を複製型15を用いて賦型して、微小突起12aが集合してなる微小突起群を成形し(図7(d))、電離放射線を照射することで、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させることにより、微小突起層12を形成し(図7(e))、複製型15を除去して、反射防止物品10を製造することができる(図7(f))。
前記加熱乾燥における乾燥温度は、アクリル系樹脂製基材11の耐熱温度以下であり、且つ微小突起層形成用樹脂組成物に含まれる溶剤を蒸発させて除去できる温度であれば特に限定されないが、例えば80〜130℃とすることができる。中でも、前記乾燥温度は、アクリル系樹脂製基材11のガラス転移温度(Tg)付近であることが好ましい。これにより、アクリル系樹脂製基材11の寸断、歪み、変形等の基材不良が発生せず、且つ、アクリル系樹脂製基材11と微小突起層12との密着性をさらに向上することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)はDSC法により測定することができる。
前記加熱乾燥工程により、アクリル系樹脂製基材11と微小突起層形成用塗膜12’との界面が交互に入り組んだ形状に形成されると考えられる。
前記アクリル系樹脂製基材11としては、例えば、厚み20〜50μmで、ガラス転移温度(Tg)が100〜130℃の、透明アクリル系樹脂製基材を用いることができる。
前記微小突起層形成用塗膜12’の形成に用いられる微小突起層形成用樹脂組成物としては、例えば、アクリル系電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含有するアクリル系樹脂組成物を用いることができる。
前記アクリル系電離放射線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、微小突起層と基材との密着性並びに微小突起層の光学特性及び機械特性がバランス良く優れる点から、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びシリコン(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するものを用いることができる。
前記溶剤としては、130℃よりも沸点が低いものとして、例えば、メチルエチルケトン(MEK)(沸点79.5℃)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)(沸点116.2℃)から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
本発明に係る一層タイプの反射防止物品の製造において、電離放射線を照射する際、図7(e)に示すように、複製型15を微小突起層形成用塗膜12’に積層させたまま基材11側から照射することもできるし、微小突起層形成用塗膜12’が乾燥しており比較的保形性に優れるので、図示はしないが、複製型15を微小突起層形成用塗膜12’から剥離させた後に、当該微小突起層形成用塗膜12’側から照射することもできる。なお、複製型15を微小突起層形成用塗膜12’から剥離させた後に、電離放射線を照射する方法は、生産性が高い点において優れる。
2.二層タイプの反射防止物品の製造方法
本発明に係る二層タイプの反射防止物品は、例えば図8に示すように、まずアクリル系樹脂製基材21を準備し(図8(a))、前記アクリル系樹脂製基材21の表面に少なくとも第一層形成用樹脂組成物を塗工することにより第一層形成用塗膜23’を形成し(図8(b))、前記第一層形成用塗膜23’を加熱乾燥させた後(図8(c))、当該第一層形成用塗膜23’上に第二層形成用樹脂組成物からなる第二層形成用塗膜24’を形成する(図8(d))。その後、当該第二層形成用塗膜24’の表面を、複製型25を用いて賦型して、微小突起22aが集合してなる微小突起群を成形し(図8(e))、電離放射線を照射することで、前記微小突起層用組成物を硬化させることにより、第一層23及び第二層24からなる微小突起層22を形成し(図8(f))、複製型25を除去して、反射防止物品20を製造することができる(図8(g))。
前記第一層形成用塗膜23’を加熱乾燥させる際の乾燥温度は、前記アクリル系樹脂製基材21の耐熱温度以下であり、且つ前記第一層形成用塗膜23’中の溶剤を蒸発させて除去できる温度であれば特に限定されず、前記アクリル系樹脂製基材21と前記第一層23の密着性がさらに向上する点から、前記一層タイプの反射防止物品の場合と同様に、例えば80〜130℃とすることができる。前記乾燥温度は、中でも前記アクリル系樹脂製基材21のガラス転移温度(Tg)付近であることが好ましい。
前記加熱乾燥工程により、アクリル系樹脂製基材21と第一層形成用塗膜23’との界面が交互に入り組んだ形状に形成されると考えられる。
前記アクリル系樹脂製基材21としては、前記一層タイプに用いられるアクリル系樹脂製基材11と同様のものを用いることができる。
前記第一層形成用樹脂組成物としては、例えば、アクリル系電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含有するアクリル系樹脂組成物を用いることができる。
また、第二層形成用樹脂組成物としては、例えば、アクリル系電離放射線硬化性樹脂を含有し、溶剤を含有していないものを用いることができる。
前記第一層形成用樹脂組成物及び前記第二層形成用樹脂組成物に含有されるアクリル系電離放射線硬化性樹脂としては、特に限定されず、前記一層タイプの微小突起層形成用樹脂組成物に含有されるアクリル系電離放射線硬化性樹脂として挙げたものと同様のものを用いることができる。
また、前記アクリル系電離放射線硬化性樹脂の種類や配合割合等を変えることにより、前記第一層形成用樹脂組成物は、特に基材との密着性に優れたものとすることができ、前記第二層形成用樹脂組成物は、特に成形性に優れ、硬化後の表面耐傷性及び物理的強度等の機械特性に優れたものとすることができる。
前記第一層形成用樹脂組成物に含有される溶剤としては、前記一層タイプの微小突起層形成用樹脂組成物に用いられる溶剤と同様のものを用いることができる。
また、前記第二層形成用樹脂組成物としては、溶剤の代わりに希釈モノマーを含有させた液状のものを用いることもできるし、フィルム状のものを用いることもできる。第二層形成用樹脂組成物として液状のものを用いる場合は、当該液状の樹脂組成物を前記第一層形成用塗膜23’上に塗工することによって、第二層形成用塗膜24’を形成することができる。第二層形成用樹脂組成物としてフィルム状のものを用いる場合は、当該フィルム状の樹脂組成物を前記第一層形成用塗膜23’上に貼着することによって、第二層形成用塗膜24’を形成することができる。
本発明に係る二層タイプの反射防止物品の製造において、電離放射線を照射する際、前記第二層形成用樹脂組成物として、流動性の大きい液状のものを用いた場合には、図8(e)に示すように、複製型25を第二層形成用塗膜24’に積層させたまま、基材21側から照射することができる(図8(e))。また、前記第二層形成用樹脂組成物として、フィルム状のもの等の保形性に優れるものを用いた場合は、図示はしないが、複製型25を第二層形成用塗膜24’から剥離させた後に、当該第二層形成用塗膜24’側から照射することもできるし、図8(e)に示すように、複製型25を第二層形成用塗膜24’に積層させたまま、基材21側から照射することもできる。複製型25を第二層形成用塗膜24’から剥離させた後に、電離放射線を照射する方法は、生産性が高い点において優れる。
なお、前記一層タイプの反射防止物品は、前記微小突起層を一層のみで形成するため、生産性に優れるが、微小突起層とアクリル系樹脂製基材との密着性と、微小突起層の光特性及び機械特性の双方を著しく向上させるために、微小突起層形成用樹脂組成物の組成を比較的厳選する必要がある。
一方、前記二層タイプの反射防止物品は、微小突起層を二層で形成するため、前記一層タイプのものに比べて生産性は劣るが、微小突起層とアクリル系樹脂製基材との密着性を向上させる第一層と、微小突起層の光特性及び機械特性等を向上させる第二層とで異なる材料を用いることができるので、双方の特性を向上させることが比較的容易となる。
1、11、21 アクリル系樹脂製基材
2、12、22 微小突起層
2a、12a、22a 微小突起
12’ 微小突起層形成用塗膜
3、23 第一層
23’ 第一層形成用塗膜
4、24 第二層
24’ 第二層形成用塗膜
15、25 複製型
10 反射防止物品
20 反射防止物品
本発明に係る反射防止物品は、アクリル系樹脂製基材の表面に、反射防止用の微小突起が集合してなる微小突起群を表面に備え、且つ、アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層が形成されてなる反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起間隔をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、
前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、前記アクリル系樹脂製基材側及び前記微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成され、当該入り組んだ形状は、JIS B0601 1994において規定される平均突起間隔Smが0.1〜4μm、且つ、JIS B0601 1994において規定される十点平均粗さRzが0.1〜4μmであることを特徴とする。
本発明に係る反射防止物品は、アクリル系樹脂製基材の表面に、アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層が形成されてなる反射防止物品であって、
前記微小突起層は、前記アクリル系樹脂製基材の表面に、ウレタンアクリレート及びウレタンメタクリレートから選ばれる少なくとも一種のアクリル系硬化性樹脂並びにメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンから選ばれる少なくとも一種からなる溶剤を含有するアクリル系樹脂組成物を塗布、乾燥及び硬化させることにより形成される層であり、反射防止用の微小突起が集合してなる微小突起群を表面に備え、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起間隔をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、
前記アクリル系樹脂組成物を塗布、乾燥する過程で、前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、前記アクリル系樹脂製基材側及び前記微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成され、当該入り組んだ形状は、JIS B0601 1994において規定される平均突起間隔Smが0.1〜4μm、且つ、JIS B0601 1994において規定される十点平均粗さRzが0.1〜4μmであることを特徴とする。
本発明に係る反射防止物品においては、前記微小突起層の形成に用いられる前記アクリル系樹脂組成物を、前記アクリル系硬化性樹脂としてウレタンアクリレートを含有し、前記溶剤としてメチルエチルケトンを含有するものとすることができる。

Claims (2)

  1. アクリル系樹脂製基材の表面に、反射防止用の微小突起が集合してなる微小突起群を表面に備え、且つ、アクリル系樹脂組成物の硬化物からなる微小突起層が形成されてなる反射防止物品であって、
    前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起間隔をdmaxとしたときに、
    dmax≦Λmin
    なる関係を有し、
    前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、前記アクリル系樹脂製基材側及び前記微小突起層側へ交互に入り組んだ形状に形成されていることを特徴とする、反射防止物品。
  2. 前記アクリル系樹脂製基材と前記微小突起層との界面は、JIS B0601 1994において規定される平均突起間隔Smが0.1〜4μm、且つ、JIS B0601 1994において規定される十点平均粗さRzが0.1〜4μmである、請求項1に記載の反射防止物品。
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