JP2014014976A - 2軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

2軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014014976A
JP2014014976A JP2012153625A JP2012153625A JP2014014976A JP 2014014976 A JP2014014976 A JP 2014014976A JP 2012153625 A JP2012153625 A JP 2012153625A JP 2012153625 A JP2012153625 A JP 2012153625A JP 2014014976 A JP2014014976 A JP 2014014976A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
vinylidene chloride
mass
polyamide film
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012153625A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5980598B2 (ja
Inventor
Junichi Tanaka
淳一 田中
Hiroshi Ashihara
宏 芦原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2012153625A priority Critical patent/JP5980598B2/ja
Publication of JP2014014976A publication Critical patent/JP2014014976A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5980598B2 publication Critical patent/JP5980598B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】優れたガスバリア性と耐ピンホール性を兼ね備えたポリアミドフィルムをより経済的に提供する。
【解決手段】エチレン系共重合体2〜5質量%を含有する2軸延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に塩化ビニリデン系共重合体を含有する樹脂層を有するフィルムであって、5℃雰囲気下での1000回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホール個数が10個以下であることを特徴とする2軸延伸ポリアミドフィルム。さらに、20℃、85%RHの雰囲気下での酸素透過度が100ml/m2・d・MPa以下であることを特徴とする前記2軸延伸ポリアミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は優れた耐ピンホール性、ガスバリア性を兼ね備えたポリアミドフィルム、および、その製造方法に関する。
塩化ビニリデン系共重合体は、形成される皮膜の優れたガスバリア性のため、食品包装用や工業用のフィルムに幅広く用いられている。
塩化ビニリデン系共重合体をポリアミドフィルムにプリコートしてガスバリア性を付与する方法として、特許文献1が開示されている。この方法により得られたフィルムは、優れたガスバリア性を有し、ボイル熱処理耐性、耐ブラッシング性を兼ね備えている。
国際公開第2009/069307号パンフレット
しかしながら、特許文献1おけるポリアミドフィルムは特に低温使用下での耐ピンホール性においては不十分な一面があり、改善の余地があった。
低温下での耐ピンホール性を改善する方法として、エチレン系共重合体などを添加することが知られているが、こうした対策を施した場合、プリコート前の吸水工程でシワが発生し、後のコート工程において、塗布不良が生じ、生産が困難になるという問題があった。
一方、吸水処理を行わずに延伸を行った場合、前記吸水工程でのシワの問題は回避できるが、延伸時のコート皮膜の追従性が悪く、クラックが発生しやすく、皮膜ができても、十分なラミネート強力やバリア性能を得られない、あるいはフィルムの幅方向の物性の均一性が劣るなどの欠点があった。
また、塩化ビニリデン系共重合体を、延伸したフィルムにポストコートする場合は、後処理工程が必要となるため、コストアップが問題であった。
本発明は、優れたガスバリア性と耐ピンホール性を兼ね備えたポリアミドフィルムをより経済的に提供するものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、エチレン系共重合体の添加量と塩化ビニリデン系共重合体塗布前の未延伸フィルムの吸水処理条件を限定することにより、操業性を損なうことなく、従来困難とされていたプリコート法により製造されるガスバリア性フィルムに、耐ピンホール性を付与できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)エチレン系共重合体2〜5質量%を含有する2軸延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に塩化ビニリデン系共重合体を含有する樹脂層を有するフィルムであって、5℃雰囲気下での1000回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホール個数が10個以下であることを特徴とする2軸延伸ポリアミドフィルム。
(2)20℃、85%RHの雰囲気下での酸素透過度が100ml/m2・d・MPa以下であることを特徴とする(1)記載の2軸延伸ポリアミドフィルム
(3)ポリアミドがポリカプラミドであることを特徴とする(1)または(2)記載の2軸延伸ポリアミドフィルム。
(4)50℃を超えない温水中にてエチレン系共重合体2〜5質量%を含有する未延伸ポリアミドフィルムの水分率を2〜7質量%に調整し、ついで、塩化ビニリデン系共重合体を含むラテックスを塗布し、乾燥後、同時2軸延伸することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の2軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
本発明によれば、ガスバリア性と耐ピンホール性に優れた2軸延伸ポリアミドフィルムを、操業性を損なうことなく、経済的に得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリアミドフィルムは、所定量のエチレン系共重合体を含有するポリアミドフィルムの少なくとも片面に塩化ビニリデン系共重合体からなる樹脂層が形成されたものである。
本発明におけるポリアミドとは、その分子内にアミド結合−CONH−を有する溶融成型可能な線状高分子化合物であり、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリアミノウンデカミド(ナイロン11)、ポリラウリミド(ナイロン12)および、それらの共重合体などが例示される。これらの中で特にポリカプラミド(ナイロン6)が生産性や性能の面で好適である。
本発明におけるエチレン系共重合体としては特に限定はされないが、エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸の3元共重合体やエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、又はそのアイオノマーなどがポリアミドとの相溶性がよく、好適な例として挙げられる。
エチレン系共重合体のJIS K7210に準拠したメルトインデックス(測定条件:190℃、21.2N荷重)は0.1〜60g/10分、好ましくは1〜50g/10分の範囲であることが好ましい。メルトインデックスが0.1g/10分より低いとポリアミドとの相溶性が不十分となり、耐ピンホール性や透明性が悪化しやすい。逆に60g/10分より高くても、同様の傾向がある。また、後述の吸水処理槽でのシワ発生を防止する観点から、軟化温度が高い物、具体的には、ピカッド軟化点温度50℃以上の物が好ましい。
本発明においては、基材となるポリアミドフィルムにはエチレン系共重合体が2〜5質量%含有されている。エチレン系共重合体が5質量%より多い場合は、製造時に、未延伸フィルムの吸水槽においてシワが発生したり、得られるフィルムの透明性が悪化する。また、溶融時のゲルの生成量が増加しフィルム外観が悪化したり、押出機のフィルタ昇圧速度が早まり、生産効率が悪化する。エチレン系共重合体が2質量%より少ない場合は、得られるフィルムの耐ピンホール性能が不十分となる。
基材ポリアミドフィルムには必要に応じて、通常公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、滑剤、結晶核剤、帯電防止剤などを添加することもできる。
本発明のポリアミドフィルムには、塩化ビニリデン系共重合体を含有する樹脂層が形成されている。塩化ビニリデン系共重合体としては特に限定されないが、性能を調整するために、2種以上の塩化ビニリデン系共重合体の混合物が好適に用いられる。
特に好ましい塩化ビニリデン系共重合体の混合物は、熱架橋剤が添加されていない、2種以上の塩化ビニリデン系共重合体の混合物であり、そのうち1種の塩化ビニリデン系共重合体は、その結晶融点が170℃以上210℃以下であるとともに、塩化ビニリデン系共重合体混合物100質量部に対し25〜45質量部含まれているものである。
塩化ビニリデン系共重合体は原料としての塩化ビニリデン50〜99質量%と塩化ビニリデンと共重合可能な1種以上の他の単量体1〜50質量%とを公知の乳化重合方法によって重合することにより媒体に分散したラテックスとして得られる。共重合可能な単量体の割合が1質量%未満であると、樹脂内部の可塑化が不十分となり、皮膜の造膜性が低下し、また単量体の割合が50質量%を超えるとガスバリア性が低下する。塩化ビニリデンの比率が高いほど、結晶融点の高い塩化ビニリデン系共重合体が得られる。
塩化ビニリデンと共重合体可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジルなどのメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸;などが挙げられる。これらの単量体は1種または2種以上を選択して用いることができる。
前記した特に好ましい塩化ビニリデン系共重合体混合物において、1種の塩化ビニリデン系共重合体は主に耐ブラッシング性の向上のために添加されるものであり、塩化ビニリデン系共重合体混合物を構成する2種以上の塩化ビニリデン系共重合体の中で最も、高い結晶融点を示すものである。その結晶融点は、皮膜の溶解融着性、ガスバリア性、耐ブラッシング性の観点から、170℃以上、210℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは180℃以上210℃以下の範囲である。また、この塩化ビニリデン系共重合体の結晶融点は、フィルム製造工程における熱処理の最高温度以下であることが好ましい。
前述のように塩化ビニリデンの比率が高いほど、結晶融点の高い塩化ビニリデン系共重合体が得られるため、融点が170℃以上、210℃以下である塩化ビニリデン系共重合体は、塩化ビニリデンの比率を上述の上限に近い比率、例えば塩化ビニリデンが95〜99質量部となる範囲で重合したものであることが好適である。一方、融点が170℃以上、210℃以下である塩化ビニリデン系共重合体と混合する、他の塩化ビニリデン系共重合体は、フィルム製造条件下で連続皮膜を形成するものであることが必要なため、塩化ビニリデン比率が高すぎるものは好ましくない。通常、塩化ビニリデン比率80〜95質量部のものを好ましく用いることができる。
結晶融点が170℃以上、210℃以下である塩化ビニリデン系共重合体の割合は、耐ブラッシング性と皮膜の造膜性の観点から、塩化ビニリデン系共重合体混合物100質量部に対して25〜45質量部であることが好ましい。
塩化ビニリデン系共重合体は、他の樹脂と組み合わせて用いることができる。他の樹脂として、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は1種または2種以上を選択して用いることができる。
塩化ビニリデン系共重合体には、室温では反応せず、高熱、一般的には100℃以上の高温により架橋反応が進行する、いわゆる熱架橋剤が、共重合されていないことが好ましい。なお熱架橋剤は、その機能を発揮する程度の量が共重合されて、はじめて熱架橋剤と言え、顕著な架橋効果を示すには0.1質量%を超える量が必要になるため本発明において、「熱架橋剤が添加されていない」とは、熱架橋剤の共重合量が0.1質量%以下であることを意味する。
このような熱架橋剤として、具体的にはグリシジルメタクリレート、メチロールメタクリレートのようなエポキシ基;メラミン基;それらのメチロール化あるいはメチルメチロール化合物;オキゾリン基などが挙げられる。熱架橋剤が塩化ビニリデン系共重合体に共重合されると、高度に熱架橋反応が進行することにより、コーティング層の弾性が低下し、基材フィルムとの密着性が低下してしまう。
塩化ビニリデン系共重合体には所望により、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、防腐剤などの添加剤を1種、あるいは2種以上添加することができる。
塩化ビニリデン系共重合体を含有する樹脂層は、塩化ビニリデン系共重合体を含有するラテックスを基材フィルムに塗布、乾燥することにより得られる。
塩化ビニリデン系共重合体を含有するラテックスの固形分濃度は、塗装装置や乾燥・加熱装置の仕様によって変更されうるものであるが、10〜70質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは30〜55質量%の範囲である。10質量%未満では乾燥工程において長時間を要するという問題を生じやすい。他方、70質量%を超えると、保存時に皮膜形成が進行して液ポットライフが短くなったり、塗工性に問題を生じやすい。
塩化ビニリデン系共重合体を含有するラテックスの塗布方法は特に限定されないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング、ダイコーティング、カーテンダイコーティングなどの通常の方法を用いることができる。
本発明の2軸延伸ポリアミドフィルムにおいて、塩化ビニリデン系共重合体を含有する樹脂層の膜厚は0.1〜3.0μmであることが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましい。膜厚が0.1μm未満であるとガスバリア性が低下しやすく、3.0μmを超えると、造膜性が低下して皮膜の外観が損なわれやすい。
塩化ビニリデン系共重合体を含有するラテックスを塗布後、ドライヤー等による熱風の吹きつけや赤外線の照射などにより、ラテックスの水分を蒸発乾燥、熱融着させる工程を経て、樹脂層が形成される。水分蒸発乾燥工程の温度は70〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、塩化ビニリデン系共重合物ラテックスの造膜性が良い80〜120℃の範囲である。乾燥温度が70℃未満であると、造膜性が下がり、150℃を超えるとラテックスの温度上昇が大きく、突沸などの現象が現れて均一な皮膜が得られにくくなる。水分蒸発乾燥工程は異なる温度分布に区切られていてもよく、その中の最高温度を示す処理工程にかける時間は、基材フィルムや塩化ビニリデン系共重合体層の厚み、ラテックスの固形分量や比熱などによって任意に選択される。その時間は通常0.01〜120秒、好ましくは1〜80秒である。0.01秒未満の場合、塩化ビニリデン系共重合物ラテックスの水分蒸発性に劣ったり、あるいは塩化ビニリデン系共重合体混合物層の造膜が不十分であったりする傾向がある。また120秒を超えると、場合によってはポリアミド樹脂の結晶化が促進されすぎて、延伸フィルムの製造が不可能になったり、ラテックス皮膜との密着性が低下する傾向がある。
ポリアミドフィルムの2軸延伸方法としては、最終延伸工程直前のフィルムの結晶化度をより低く抑えられる同時2軸延伸法が好ましい。同時2軸延伸条件としては通常70〜230℃、好ましくは100〜230である。前述の範囲に水分を調整する場合は、水分の蒸発終了とともにシートの温度が急速に上昇し軟化する延伸温度170〜230℃の範囲が、未延伸シートの結晶化の進行を抑制させることができるため、さらに好ましい。延伸倍率は通常、縦および横方向に2〜4倍の倍率が好ましい。
引き続き、2軸延伸後のフィルムを150〜250℃、好ましくは190〜230℃にて、緊張下または30%以内の弛緩下で熱固定処理する。この時、熱固定処理の最高温度が150℃未満だと、延伸フィルムの寸法安定性が劣ったり、塩化ビニリデン系共重合体層の溶解融着性が劣ることにより、ガスバリア性が低下したり、基材フィルムとの密着性が低下する傾向がある。また250℃を超えると場合によっては、ポリアミド樹脂が融点以上に達して溶断し、製造が不可能となったり、塩化ビニリデン系共重合体の結晶核が溶解することにより、耐ブラッシング効果が損なわれたりする。
本発明の2軸延伸ポリアミドフィルムの好ましい製造方法は、50℃を超えない温水中にて、未延伸フィルムの水分率を2〜7質量%に調整し、ついで、塩化ビニリデン系共重合体を含むラテックスを塗布し、乾燥後、同時2軸延伸する工程を含むことである。
前記製造方法においては、塩化ビニリデン系共重合体混合物を塗布する直前の未延伸ポリアミドフィルムの水分率を2〜7質量%、好ましくは3〜6質量%となるよう、吸水処理条件を設定する必要がある。吸水率が2質量%未満の場合には、同時2軸延伸時の延伸応力が増大して、フィルムの破断トラブルが増大する。また塩化ビニリデン系共重合体の皮膜との応力歪みが生じて、基材フィルムとの層間密着性が低下する傾向がある。また、吸水率が7質量%を超えると吸水処理中のフィルムにシワが生じるため、塩化ビニリデン系共重合体の塗布工程でトラブルが発生したり、シワとなった部分がコート欠陥となり、製品収率が悪化する。
吸水処理槽の温水温度は、50℃を超えないことが好ましい。50℃を超える場合、フィルムのコシが低下し、シワが発生しやすい。特にエチレン系共重合体の添加濃度が高いほど、シワが発生しやすくなるので注意を要する。吸水温度を低く抑える方がシワの発生は抑制できるが、あまりに下げると、所定の水分率を得るために長時間を必要とする結果、吸水槽の延長や生産速度の低減などの対処が必要となるため得策ではない。45〜50℃の範囲が好ましい。
本発明の2軸延伸ポリアミドフィルムは、5℃雰囲気下での1000回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホール個数が10個以下であることが必要である。ピンホール個数が10個を超える場合、包装体とした時の強度が不足し、特に、低温下での屈曲疲労の結果生じるピンホールにより内容物の漏れ出しのような問題が発生する。繰り返し屈曲疲労テストの方法は後述する。
本発明の2軸延伸ポリアミドフィルムは、食品包装用材料をはじめ、電気絶縁材料、一般工業材料のような用途に好適に用いることができる。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。
実施例及び比較例における特性の評価法およびフィルムの原料は、次の通りである。
<評価法>
(1)繰り返し屈曲疲労テスト
MIL−B−131Fに示されるFed.Test Method Std.No.101CのMethod2017に従い、いわゆるゲルボテスターにより5℃雰囲気下、1000回屈曲を加えた後、そのフィルムに生じるピンホールの個数を数えた。
(2)ガスバリア性
モコン社製の酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20)を用いて、温度20℃、相対湿度85%の雰囲気下における酸素透過度を測定した。
酸素透過度は、実用上、100ml/m2・d・MPa以下であることが好ましく、より好ましくは75ml/m2・d・MPa以下である。
(3)ポリアミド未延伸フィルムの水分率
吸水槽を出た直後の未延伸フィルムを採取し、秤量瓶に入れた後、乾燥し、乾燥前後の重量変化により、水分率を算出した。
(4)塩化ビニリデン系共重合体の結晶融点
示差走査熱量測定計(DSC:PERKIN ELMER社製 DSC−60)を用いて塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの乾燥皮膜2mgを一定速度(10℃/分)で室温から230℃まで昇温した時に得られるチャートの吸熱ピークの頂点から求めた。
(5)シワの有無
吸水処理時における槽内のフィルムの様子を目視観察して評価した。
○:シワの発生が見られない。
×:シワの発生が見られる。
(6)コート外観
塩化ビニリデン共重合体の皮膜の形成状態を目視観察して評価した(1m2)。
○:皮膜にクラックが発生していなかった。
×:皮膜に1個以上のクラックが発生していた。
<原料>
・ナイロン6
ユニチカ社製 A1030BRF
・エチレン系共重合体
(A)日本ポリエチレン株式会社製:レクスパールET230X
エチレン、n−ブチルアクリレート、無水マレイン酸の3元共重合体
メルトインデックス:7.8(JIS K7210 190℃、21.2N荷重条件)
(B)三井・デュポン ポリケミカル社製:ハイミラン1652
エチレン、メタクリル酸共重合体のアイオノマー(イオン種:亜鉛)
メルトインデックス:5.5(JIS K7210 190℃、21.2N荷重条件)
<塩化ビニリデン系共重合体混合物の作成>
塩化ビニリデン共重合体ラテックス(A−1)
常温の状態で、ガラスライニングを施した耐圧反応容器中に、水85質量部とアルキルスルホン酸ソーダ0.15質量部と過硫酸ソーダ0.10質量部とを仕込み、脱気した後、内容物の温度を55℃に保った。これとは別の容器に塩化ビニリデン97質量部とアクリル酸メチル2質量部とアクリル酸1質量部とを計量混合して、モノマー混合物を作成した。前記、反応容器中にモノマー混合物を10質量部仕込み、攪拌下で反応を進行させた。反応容器の内圧が降下することで反応が殆ど進行したことを確認した後、アルキルスルホン酸ソーダの15質量%水溶液を10質量部圧入し、しかる後、上記モノマー混合物の残り全量を15時間にわたって、連続して定量添加した。これによりラテックスが得られたが、その得られたラテックスに、20℃における液表面張力が42mN/mとなるように、15質量%水溶液のアルキルスルホン酸ソーダを加えた。なお、この時の重合収率は99.9%であり、得られた塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの組成は仕込み比にほぼ等しいものであった。このラテックスの固形分濃度は51質量%であった。DSCによる結晶融点測定では結晶融点190℃であった。
塩化ビニリデン共重合体ラテックス(B−1)
前記した別の容器における配合量を塩化ビニリデン90質量部とアクリル酸メチル9質量部とアクリル酸1質量部に変更した。それ以外は前記と同様にて塩化ビニリデン共重合体ラテックスを得た。このラテックスの固形分濃度は51質量%であった。DSCによる結晶融点測定では結晶融点140℃であった。
(実施例1)
塩化ビニリデン共重合ラテックスの混合
ラテックスA−1とラテックスB−1とを攪拌・混合して、混合ラテックスを得た。ここでA−1の塩化ビニリデン系共重合体が、混合ラテックスに含まれる塩化ビニリデン系共重合体全量100質量部に対して35質量部とした。
96%濃硫酸中、濃度1g/dlで25℃で測定した相対粘度3.0のナイロン6(ユニチカ社製A1030BRF)に対し、エチレン系共重合体(A)が3.5質量%、平均粒子径2μmの凝集シリカが0.08質量%となるように混合し、250℃に設定した押出機で溶融混練し、ペレット化した。
次いで、このペレットを260℃に設定された、Tダイを装着した押出装置にて溶融押出し、表面温度20℃の冷却ロール上にて冷却し、厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。次にこの未延伸フィルムを48℃に設定された吸水槽にて100秒間吸水処理を行い、水分率6質量%に調整した。
この未延伸フィルムの未処理面に、前記の混合ラテックスをエアーナイフコーティング法により塗布し、温度110℃の赤外線照射機により、30秒間の乾燥処理を行い、ラテックス中の水分を蒸発・乾燥した。
このラテックスを塗布した未延伸フィルムを温度220℃の同時2軸延伸機に導き、縦3.0倍、横3.3倍の倍率で同時2軸延伸をおこなった。続いて温度215℃で6秒間の熱固定処理と、横方向に5%の弛緩処理を行い、フィルム表面温度を40℃以下まで冷却後、巻取機に巻取り、フィルム厚さ15μm、コート層厚み1.2μmの塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムを得た。
実施例2〜3
ナイロン6に添加するエチレン系共重合体Aの添加量を、表2のように変更した以外は実施例1と同様の方法で塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムを得た。
実施例4
ナイロン6に添加するエチレン系共重合体としてエチレン系共重合体Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムを得た。
実施例1〜4で得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
比較例1〜2
ナイロン6に添加するエチレン系共重合体Aの添加量を表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムのガスバリア性、耐ピンホール性を表2に示す。
比較例1はエチレン系共重合体の添加量が少なかったため、ピンホール数が増加した。
一方、比較例2はエチレン系共重合体の添加量が多かったため、吸水処理槽内にてシワが発生し、良好なコート皮膜ができなかったため、延伸フィルムの評価は行わなかった。
比較例3
未延伸フィルムの吸水処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムを得た。コート直前の未延伸フィルムの吸水率は1質量%であった。このため、延伸後のコート皮膜にクラックが生じてしまったため、フィルムの評価は行わなかった。
比較例4
未延伸フィルムの吸水処理時間を180秒とした以外は実施例1と同様の方法で、塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムを得ようとしたが。吸水率を高くしすぎたため、吸水処理槽内でシワが生じ、その後のコーティングを実施することができなかった。
比較例5
吸水処理槽の温水温度を52℃とした以外は実施例1と同様の方法で塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムを得ようとした。未延伸フィルムの吸水率は6.7質量%であったが温水温度が50℃を超えたことにより、走行中のフィルムにシワが生じ、その後のコーティングを実施することができなかった。

Claims (4)

  1. エチレン系共重合体2〜5質量%を含有する2軸延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に塩化ビニリデン系共重合体を含有する樹脂層を有するフィルムであって、5℃雰囲気下での1000回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホール個数が10個以下であることを特徴とする2軸延伸ポリアミドフィルム。
  2. 20℃、85%RHの雰囲気下での酸素透過度が100ml/m2・d・MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の2軸延伸ポリアミドフィルム。
  3. ポリアミドがポリカプラミドであることを特徴とする請求項1または2記載の2軸延伸ポリアミドフィルム。
  4. 50℃を超えない温水中にてエチレン系共重合体2〜5質量%を含有する未延伸ポリアミドフィルムの水分率を2〜7質量%に調整し、ついで、塩化ビニリデン系共重合体を含むラテックスを塗布し、乾燥後、同時2軸延伸することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の2軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
JP2012153625A 2012-07-09 2012-07-09 2軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法 Active JP5980598B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012153625A JP5980598B2 (ja) 2012-07-09 2012-07-09 2軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012153625A JP5980598B2 (ja) 2012-07-09 2012-07-09 2軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014014976A true JP2014014976A (ja) 2014-01-30
JP5980598B2 JP5980598B2 (ja) 2016-08-31

Family

ID=50110107

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012153625A Active JP5980598B2 (ja) 2012-07-09 2012-07-09 2軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5980598B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019131752A1 (ja) 2017-12-28 2019-07-04 ユニチカ株式会社 ポリアミド系フィルムおよびその製造方法
WO2022059472A1 (ja) * 2020-09-18 2022-03-24 旭化成株式会社 ガス及び水蒸気バリア性積層体

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004351874A (ja) * 2003-05-30 2004-12-16 Unitika Ltd 二軸延伸積層フィルム
JP2006015743A (ja) * 2004-06-02 2006-01-19 Toyobo Co Ltd ポリアミド系樹脂積層フィルムロール、およびその製造方法
JP2007021773A (ja) * 2005-07-12 2007-02-01 Toyobo Co Ltd ポリアミド系混合樹脂積層フィルムロール、およびその製造方法
WO2009069307A1 (ja) * 2007-11-30 2009-06-04 Unitika Ltd. 塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムおよびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004351874A (ja) * 2003-05-30 2004-12-16 Unitika Ltd 二軸延伸積層フィルム
JP2006015743A (ja) * 2004-06-02 2006-01-19 Toyobo Co Ltd ポリアミド系樹脂積層フィルムロール、およびその製造方法
JP2007021773A (ja) * 2005-07-12 2007-02-01 Toyobo Co Ltd ポリアミド系混合樹脂積層フィルムロール、およびその製造方法
WO2009069307A1 (ja) * 2007-11-30 2009-06-04 Unitika Ltd. 塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムおよびその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019131752A1 (ja) 2017-12-28 2019-07-04 ユニチカ株式会社 ポリアミド系フィルムおよびその製造方法
US11326032B2 (en) 2017-12-28 2022-05-10 Unitika Ltd. Polyamide film and production method for same
WO2022059472A1 (ja) * 2020-09-18 2022-03-24 旭化成株式会社 ガス及び水蒸気バリア性積層体
JPWO2022059472A1 (ja) * 2020-09-18 2022-03-24
JP7441323B2 (ja) 2020-09-18 2024-02-29 旭化成株式会社 ガス及び水蒸気バリア性積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP5980598B2 (ja) 2016-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3590498B2 (ja) エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物組成物およびそれを用いた共押出多層成形体
WO2000020211A1 (fr) Structure a multiples couches et procede de production de cette derniere
JP5409383B2 (ja) 塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムおよびその製造方法
KR102232971B1 (ko) 이형 필름 및 그 제조방법
WO2010001471A1 (ja) Evoh複合体の製造方法
JP2751409B2 (ja) 樹脂組成物およびその成形品
JP5980598B2 (ja) 2軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法
JP6321896B1 (ja) ポリアミド系フィルム、これを用いた積層体及び容器、ならびにその製造方法
KR101629050B1 (ko) 열수축성 필름
TW201811861A (zh) 含有低量聚醯胺66共聚單體之聚醯胺6樹脂
JP6807597B2 (ja) マット調バリアポリアミドフィルム及びその製造方法
JP3841943B2 (ja) 樹脂組成物の製造法
JP2000177068A (ja) 多層構造体およびその製法
JP4302260B2 (ja) ガスバリア性フィルム
JP7079270B2 (ja) エチレン-ビニルアルコール共重合体含有樹脂組成物の製造方法
JP2016186072A (ja) 帯電防止性ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP3841941B2 (ja) 樹脂組成物の製造法
JP4166357B2 (ja) 多層構造体の製造方法
JPH0625832A (ja) 金属化ポリプロピレンフィルムとその製法
JPH04178447A (ja) 樹脂組成物
JP3841942B2 (ja) 樹脂組成物の製造法
JP4463902B2 (ja) ガスバリア性フィルムの製造方法
TWI842740B (zh) 乙烯-乙烯醇共聚物及其之製造方法
JP4364413B2 (ja) 水系ガスバリア性コート剤、それを塗布したフィルム、及びその製造方法
JP2008137177A (ja) ガスバリア性フィルムおよびそれからなる容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150701

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160712

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160713

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160727

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5980598

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150