JP2014013704A - リチウム二次電池用非水電解液及びこれを備えたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用非水電解液及びこれを備えたリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】イミドリチウム塩等のイミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、4V以上の条件下で作動させたときに集電体の腐食が生じ難く、また、電池の安定な駆動が期待できるリチウム二次電池用非水電解液及びこれを備えたリチウム二次電池の提供。
【解決手段】本発明のリチウム二次電池用非水電解液は、正極と負極と非水電解液とを備えるリチウム二次電池用の非水電解液であって、上記非水電解液は、電解質として、一般式(1):MN(R1SO2)(R2SO2)で表されるイミド系アルカリ金属塩(式(1)中、Mはアルカリ金属イオンを表し、R1,R2は独立して、フッ素原子または炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す)と、鎖状カーボネートを含む溶媒と、添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を有する化合物を含む。
【選択図】図3

Description

本発明はリチウム二次電池用非水電解液及びこれを備えたリチウム二次電池に関する。
近年、リチウム二次電池は、高エネルギー密度を有するため、移動体通信機器用電源、携帯用情報端末用電源等として利用され、これらの端末の普及と共にその市場が急速に伸びてきており、安全性の確保、サイクル特性やエネルギー密度の向上、高温保存特性等の改良を目的とした様々な研究がなされている。
例えば、特許文献1には、オリビン構造を有するリチウム含有金属酸化物を正極活物質に用いた非水系電解液電池において、鎖状エーテルと、不飽和結合を有する環状カーボネートとを含む非水系電解液を使用することで、ハイレート放電容量の向上、高出力化を達成する技術が開示され、さらに、電解質としてフルオロリン酸リチウム類、スルホン酸リチウム類、イミドリチウム塩類を使用することにより各種特性(高温保持特性、サイクル特性、ハイレート特性、高出力化等)の向上が図れること、さらには、スルホン酸エステル類、亜硫酸エステル類、過充電防止剤、その他助剤等、様々な添加剤を使用して、電池の長寿命化や上記特性の向上を図る技術が開示されている。特許文献2には、(1)ジ炭酸エステル化合物、(2)ジカルボン酸化合物、(3)ジスルホン酸化合物、(4)モノフルオロリン酸リチウム及び(5)ジフルオロリン酸リチウムの内少なくとも1種と、(6)Li[PFmR106-m](R10は、パーフルオロアルキル基あるいはパーフルオロアリール基であり、mは、0〜5の整数である。)、(7)Li[BFnR114-n](R11は、パーフルオロアルキル基あるいはパーフルオロアリール基であり、nは、0〜3の整数である。)、(8)Li[N(SO2F)2](以下、LiFSIと称することがある)の内少なくとも1種と、LiPF6等のリチウム塩と、非水溶媒とを含む非水電解液が開示されており、上記(1)〜(5)の化合物と、(6)〜(8)で表される化合物とを含むことにより、サイクル特性、保存安定性及び負荷特性を向上させる技術が開示されている。特許文献3には、熱的安定性が高いリチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)と、沸点の高いラクトンとを含む非水電解液が開示されており、斯かる組合せにより、高温暴露時又は保存時の非水電解質二次電池の膨れを最小限に抑制する技術が開示されている。
特開2011−96643号公報(請求項1、段落0019等) 特開2011−119183号公報(請求項1、段落0018、実施例等) 特開2004−165151号公報(請求項1、段落0010等)
しかしながら、LiFSI等のイミドリチウム塩類を主たる電解質(電解質総量の約50質量%以上)とする非水電解液では、4V以上の高電圧で作動させると、リチウム二次電池の正極集電体として用いられるアルミニウムを腐食させてしまうという問題があった。また、非水電解液の非水溶媒としてラクトンを使用する場合には、ラクトンが黒鉛電極上で還元分解され易いため、電池の安定な駆動が難しいといった問題もあった。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、イミドリチウム塩等のイミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、4V以上の条件下で作動させたときに電極の腐食が生じ難く、また、電池を安定に駆動できるリチウム二次電池用非水電解液及びこれを備えたリチウム二次電池を提供することにある。
上記課題を達成し得た本発明のリチウム二次電池用非水電解液とは、正極と負極と非水電解液とを備えるリチウム二次電池用の非水電解液であって、上記非水電解液が、電解質として、一般式(1):MN(R1SO2)(R2SO2)で表されるイミド系アルカリ金属塩(式(1)中、Mはアルカリ金属イオンを表し、R1,R2は独立して、フッ素原子または炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す)と、鎖状カーボネートを含む溶媒と、添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含むところに特徴を有する。
上記スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含む本発明の非水電解液は、イミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、電極の腐食を抑制することができる。したがって、この非水電解液を使用することで、電極腐食による電池特性の低下が生じ難いリチウム二次電池を得ることができる。
上記溶媒は、さらに環状カーボネートを含むものであるのが好ましい。上記スルホン酸エステルとしては、1,3−プロパンサルトンが好ましく用いられる。
また、本発明の非水電解液は、電解質としてさらに、
一般式(2):M’PFa(Cm2m+16-a(0≦a≦6、1≦m≦2)、
一般式(3):M’BFb(Cn2n+14-b(0≦b≦4、1≦n≦2)、及び
一般式(4):M’AsF6
(上記式(2)〜(4)中、M’はアルカリ金属イオンを表す。)で表されるフッ素を含有する塩化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものであるのが好ましい。フッ素含有塩化合物を使用することにより、非水電解液の安定性が高められ、また、イオン伝導度及び移動度が高められる。
上記フッ素含有塩化合物の中でも、一般式(2)で表されるものが好ましく、当該フッ素含有塩化合物としてLiPF6を含むものは本発明の好ましい実施態様である。
本発明には、上記リチウム二次電池用非水電解液を備えたリチウム二次電池も含まれる。
スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含む本発明の非水電解液は、イミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、電極の腐食が生じ難いものである。したがって、本発明の非水電解液を使用することで、電極腐食による電池特性の低下が生じ難いリチウム二次電池が得られるものと考えられる。
実施例1で使用したアルミニウム箔表面の示差走査電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例1で使用したアルミニウム箔表面のSEM像である。 実施例及び比較例におけるサイクリックボルタンメトリーの結果を示す表1である。 実施例及び比較例における電池特性評価の結果を示す表2である。
1.非水電解液
本発明のリチウム二次電池用非水電解液は、電解質として、一般式(1):MN(R1SO2)(R2SO2)で表されるイミド系アルカリ金属塩(式(1)中、Mはアルカリ金属イオンを表し、R1,R2は独立して、フッ素原子または炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す)と、鎖状カーボネートを含む溶媒と、添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含むところに特徴を有する。
添加剤である上記スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物が非水電解液に含まれている場合には、リチウム二次電池作動時に、これらの添加剤の反応により、正極表面に皮膜が形成される。これにより、非水電解液がイミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合にも、電極の腐食が抑制され、その結果、経時的な特性劣化が生じ難いリチウム二次電池が得られるものと考えられる。以下、本発明の非水電解液について詳細に説明する。
1−1.電解質
1−1−1.イミド系アルカリ金属塩
本発明の非水電解液は、一般式(1):MN(R1SO2)(R2SO2)で表されるイミド系アルカリ金属塩(一般式(1)中、Mはアルカリ金属イオンを表す。以下、イミド系アルカリ金属塩(1)と称する)を含む。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン,ルビジウムイオン,セシウムイオンが好ましく、より好ましくはリチウムイオン,ナトリウムイオン,カリウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオンである。
上記R1,R2は、独立して、フッ素原子又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。上記フルオロアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、又は、これらの組合せからなるものであってもよい。また、フルオロアルキル基は、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されたものであればよい。具体的なフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基等が挙げられる。R1,R2としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。なお、R1,R2の一方がフルオロアルキル基である場合、他方は、フッ素原子(F)であるのが望ましい。
好ましいイミド系アルカリ金属塩(1)としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、カリウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ナトリウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが挙げられ、より好ましくは、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドであり、さらに好ましいのはリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドである。イミド系アルカリ金属塩は市販の物を使用してもよく、また、従来公知の方法により合成したものを使用してもよい。
イミド系アルカリ金属塩(1)の使用量は、本発明の非水電解液中における濃度が0.1mol/L以上、飽和濃度以下となるように使用するのが好ましい。より好ましくは0.2mol/L〜2.5mol/Lであり、より一層好ましくは0.3mol/L〜2mol/Lであり、さらに好ましくは0.6mol/L〜1.8mol/Lであり、さらに一層好ましくは0.8mol/L〜1.4mol/Lである。
1−1−2.フッ素含有塩化合物
本発明の非水電解液は、上記イミド系アルカリ金属塩(1)に加えて、これとは異なる他の電解質を含んでいてもよい。
他の電解質としては、一般式(2):M’PFa(Cm2m+16-a(0≦a≦6、1≦m≦2)、一般式(3):M’BFb(Cn2n+14-b(0≦b≦4、1≦n≦2)、一般式(4):M’AsF6、及び、一般式(5):M’SbF6で表されるフッ素を含有する塩化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であるのが好ましい。式(2)〜(5)中、M’はアルカリ金属イオンを示す。アルカリ金属イオンとしては、上記Mと同じものが挙げられ、好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンである。
これらフッ素含有塩化合物を併用することで、イミド系アルカリ金属塩を単独で使用する場合に比べて、正極集電体の腐食抑制効果が向上し、また、非水電解液の安定性が高められるため好ましい。さらに、非水電解液のイオン伝導度、移動度も高められる。
他の電解質は、上記例示のフッ素含有塩化合物の内1種を単独で使用してもよく、また、2種以上のフッ素含有塩化合物を組み合わせて使用してもよい。上記フッ素含有塩化合物としては、LiPF6、LiPF3(C253、LiBF4、LiBF(CF33、LiAsF6、LiSbF6が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiAsF6がより好ましく、LiPF6、LiBF4がさらに好ましい。
これらフッ素含有塩化合物の使用量は、上記イミド系アルカリ金属塩(1)とフッ素含有塩化合物の使用量の合計を100質量部とした場合に、0質量部〜50質量部とするのが好ましく、より好ましくは2質量部〜30質量部であり、さらに好ましくは5質量部〜20質量部である。フッ素含有塩化合物の使用量が多すぎると非水電解液の粘度が高くなり、伝導度が低下して、所期の電池性能が十分に発揮され難くなる虞があり、一方、フッ素含有塩化合物の使用量が少なすぎると、フッ素含有塩化合物に由来する効果が十分に得られ難い場合がある。
なお、本発明の非水電解液中におけるフッ素含有塩化合物の濃度は、0.01mol/L〜2mol/Lであるのが好ましい。より好ましくは0.05mol/L〜1mol/Lであり、さらに好ましくは0.1mol/L〜0.5mol/Lである。
他の電解質は市販の物を使用してもよく、また、従来公知の方法で合成した物を使用してもよい。
本発明の非水電解液は、イミド系アルカリ金属塩(1)と上記フッ素含有塩化合物以外の塩化合物を含んでいてもよい。イミド系アルカリ金属塩(1)とフッ素含有塩化合物以外の塩化合物としては、好ましくは、LiAlO4、LiAlCl4等が挙げられる。これらの塩化合物は、フッ素含有塩化合物の一部として使用するのが好ましく、その使用量は、上記フッ素含有塩化合物と、イミド系アルカリ金属塩(1)及びフッ素含有塩化合物以外の塩化合物の合計100質量部に対して、0.2質量部〜10質量部であるのが好ましく、より好ましくは0.5質量部〜8質量部であり、さらに好ましくは1質量部〜5質量部である。
1−2.添加剤
本発明の非水電解液は、スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を添加剤として含有する。これらの添加剤を含む非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池では、電池作動時にスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物が、集電体表面に形成された酸化皮膜と反応し、正極にスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物に由来する皮膜が形成される。これにより、高電圧下(例えば4V以上)での作動時にも電極の腐食が抑制され、その結果、本発明の非水電解液を備えたリチウム二次電池は、経時的な特性の低下が生じ難いものになると考えられる。
スルホン酸エステルとは、R3−S(O)2−O−R4で表される化合物であり、R3、R4は、炭素数1〜5の炭化水素基を表す。当該炭化水素基は、鎖状、分岐鎖状、環状、又は、これらの内2以上の構造を併せ持っていてもよく、また、炭化水素基を構成する炭素に結合する一部又は全部の水素原子は、ハロゲンで置換されていてもよい。具体的には、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基等が挙げられる。上記R3とRとは、同一若しくは異なっていてもよく、またR3とR4とは結合して環を形成していてもよい。具体的なスルホン酸エステルとしては、1,3−プロパンサルトン、1,3−ブタンサルトン、1,4−ブタンサルトン、2,4−ブタンサルトン、1,5−ペンタンサルトン、2,4−ペンタンサルトン、1,4−へキサンサルトン、4,6−ヘプタンサルトン等の環状スルホン酸エステル、メタンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル等の鎖状スルホン酸エステルが挙げられる。上記スルホン酸エステルの中でも1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンサルトン、2,4−ブタンサルトンが好ましく、より好ましくは1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンサルトンであり、さらに好ましくは1,3−プロパンサルトンである。
スルホン化合物とは、分子内にスルホン結合(R3−SO2−R4)を有する化合物である(R3、R4は、スルホン酸エステルと同様)。具体的なスルホン化合物としては、スルホラン、3−メチルスルホラン等の環状スルホン化合物、エチルメチルスルホン、ジフェニルスルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン等の鎖状スルホン化合物が挙げられる。上記スルホニル基を有する化合物の中でも、スルホラン、3−メチルスルホラン、エチルメチルスルホンが好ましく、スルホランがより好ましい。
上記スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
添加剤の含有量は、上記イミド系アルカリ金属塩(1)100質量部に対して5質量部〜20質量部とするのが好ましい。添加剤量が少なすぎる場合は、添加剤に由来する効果を十分に得ることができない虞があり、一方、添加剤量が多すぎると非水電解液の粘度が高くなり、伝導度が低下して、電池性能が十分に発揮され難くなる虞がある。添加剤の含有量は、より好ましくは6質量部〜15質量部であり、さらに好ましくは8質量部〜12質量部である。
1−3.溶媒
本発明の非水電解液は、上記電解質及び添加剤を溶解させるため溶媒を含んでいる。本発明に係る溶媒としては、鎖状カーボネートを含むものであれば特に限定されない。すなわち、鎖状カーボネートのみからなるものであってもよく、また、鎖状カーボネート以外の溶媒(他の溶媒)を含むものであってもよい。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
鎖状カーボネート以外の他の溶媒としては、非水電解液に用いられる従来公知の非水溶媒であればいずれも使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート等の環状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;プロピオン酸メチルや酪酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル類;等の非水溶媒が挙げられる。なお、上記非水溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
これら他の溶媒の中でも環状カーボネート類は、電圧印加時に分解し難く安定であるため、鎖状カーボネートと併用する溶媒として好ましい。なお、負極に黒鉛材料を用いる場合、ラクトン類は負極で還元分解され易いので、この場合は、ラクトン類以外の溶媒を使用するのが好ましい。
鎖状カーボネートと他の溶媒との配合割合は5:5〜1:9(鎖状カーボネート:他の溶媒)とするのが好ましく、より好ましくは4:6〜2:8である。溶媒の使用量は、電解質(イミド系アルカリ金属塩(1)とフッ素含有塩化合物(2)〜(5)の総量、以下同様。)100質量部に対して100質量部〜5000質量部であるのが好ましく、より好ましくは150質量部〜2500質量部であり、さらに好ましくは100質量部〜2000質量部である。
1−4.その他の添加剤
本発明の非水電解液は、上述の電解質や添加剤及び溶媒以外に、サイクル特性の改善や安全性の向上を目的とする他の添加剤を含有していてもよい。
他の添加剤としては、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、メチルビニレンカーボネート(MVC)、エチルビニレンカーボネート(EVC)等の不飽和結合を有する環状カーボネート;フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート及びエリスリタンカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩などのリン酸塩;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;等が挙げられる。非水電解液にこれらの添加剤を用いる場合、その濃度としては、非水電解液の構成材料(電解質、添加剤、溶剤及びその他の添加剤)の総量100質量部に対し、0.1質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。
2.リチウム二次電池
本発明のリチウム二次電池とは、正極と負極とを備え、電解液として、上記本発明のリチウム二次電池用非水電解液を備えているところに特徴を有する。より詳細には、上記正極と負極との間にはセパレータが設けられており、且つ、本発明の非水電解液は、上記セパレータに含浸された状態で、正極、負極等と共に外装ケースに収容されている。
本発明に係るリチウム二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等、リチウム二次電池の形状として従来公知の形状はいずれも使用することができる。また、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載するための高電圧電源(数10V〜数100V)として使用する場合には、個々の電池を直列に接続して構成される電池モジュールとすることもできる。
本発明の非水電解液はイミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、アルミニウム集電体の腐食が生じ難く、ラクトンを用いた非水電解液に比べて溶媒が還元分解し難いため、これを使用することにより、経時的な電池性能の低下が生じ難く、良好な電池特性を有するリチウム二次電池を提供することができる。
2−1.正極
正極は、正極活物質、導電助剤、結着剤及び分散用溶媒等を含む正極活物質組成物が正極集電体に担持されているものであり、通常、シート状に成形されている。
正極の製造方法としては、例えば、正極集電体に正極活物質組成物をドクターブレード法等で塗工したり、正極集電体を正極活物質組成物に浸漬した後に、乾燥する方法;正極活物質組成物を混練成形し乾燥して得たシートを正極集電体に導電性接着剤を介して接合し、プレス、乾燥する方法;液状潤滑剤を添加した正極活物質組成物を正極集電体上に塗布又は流延して、所望の形状に成形した後、液状潤滑剤を除去し、次いで、一軸又は多軸方向に延伸する方法;等が挙げられる。
2−1−1.正極集電体
正極集電体の材料としては特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS(ステンレス鋼)、チタン等の導電性金属が使用できる。中でも、薄膜に加工し易く、安価であるという観点からは、アルミニウムが好ましい。
2−1−2.正極活物質
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であれば良く、リチウム二次電池で使用される従来公知の正極活物質が用いられる。
具体的には、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、LiNi1-x-yCoxMny2やLiNi1-x-yCoxAly2(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される三元系酸化物等の遷移金属酸化物、LiAPO4(A=Fe、Mn、Ni、Co)等のオリビン構造を有する化合物、遷移金属を複数取り入れた固溶材料(電気化学的に不活性な層状のLi2MnO3と、電気化学的に活性な層状のLiM’’O[M’’=Co、Ni等の遷移金属]との固溶体)等が正極活物質として例示できる。これらの正極活物質は、1種を単独で使用してもよく、又は、複数を組み合わせて使用してもよい。
2−1−3.導電助剤
導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、金属粉末材料、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、気相法炭素繊維等が挙げられる。
2−1−4.結着剤
結着剤としては、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム等の合成ゴム;ポリアミドイミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリアクリル酸;カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂;等が挙げられる。これらの結着剤は単独で使用してもよく、複数種を混合して使用してもよい。また、これらの結着剤は、使用の際に溶媒に溶けた状態であっても、溶媒に分散した状態であっても構わない。
導電助剤及び結着剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性等を考慮して適宜調整することができる。
正極を製造するに際して、正極活物質組成物に用いられる溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール、酢酸エチル、水等が挙げられる。これらの溶媒は組み合わせて使用してもよい。溶媒の使用量は特に限定されず、製造方法や、使用する材料に応じて適宜決定すればよい。
2−2.負極
負極は、負極活物質、分散用溶媒、結着剤及び必要に応じて導電助剤等を含む負極活物質組成物が負極集電体に担持されているものであり、通常、シート状に成形されている。
2−2−1.負極集電体
負極集電体の材料としては、銅、鉄、ニッケル、銀、ステンレス鋼(SUS)等の導電性金属を用いることができる。なお、薄膜への加工が容易である観点からは、銅が好ましい。
2−2−2.負極活物質
負極活物質としては、リチウム二次電池で使用される従来公知の負極活物質を用いることができ、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであればよい。具体的には、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛材料、石炭,石油ピッチから作られるメソフェーズ焼成体、難黒鉛化性炭素等の炭素材料、Si、Si合金、SiO等のSi系負極材料、Sn合金等のSn系負極材料、リチウム金属、リチウム−アルミニウム合金等のリチウム合金を用いることができる。
負極の製造方法としては、正極の製造方法と同様の方法を採用することができる。また、負極の製造時に使用する導電助剤、結着剤、材料分散用の溶媒も、正極で用いられるものと同様のものが用いられる。
2−3.セパレータ
セパレータは正極と負極とを隔てるように配置されるものである。セパレータには、特に制限がなく、本発明では、従来公知のセパレータはいずれも使用することができる。具体的なセパレータとしては、例えば、非水電解液を吸収・保持し得るポリマーからなる多孔性シート(例えば、ポリオレフィン系微多孔質セパレータやセルロース系セパレータなど)、不織布セパレータ、多孔質金属体等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン系微多孔質セパレータは、有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質を有するため好適である。
上記多孔性シートの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造を有する積層体等が挙げられる。
上記不織布セパレータの材質としては、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、アラミド、ガラス等が挙げられ、非水電解液層に要求される機械的強度等に応じて、上記例示の材質を単独で、又は、混合して用いることができる。
2−4.電池外装材
正極、負極、セパレータ及び本発明の非水電解液等を備えた電池素子は、電池使用時の外部からの衝撃、環境劣化等から電池素子を保護するため電池外装材に収容される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、3:7(体積比)で混合した非水溶媒に、濃度が1.2mol/Lとなるようにリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(株式会社日本触媒製、イミド系アルカリ金属塩(1))を溶解させた。ついで、この混合液6gに、当該混合溶液中の濃度が2質量%となるように1,3−プロパンサルトン(キシダ化学株式会社製、スルホン酸エステル)0.12gを添加して、非水電解液(1)を調製した。
[サイクリックボルタンメトリー(CV測定)]
サイクリックボルタンメトリーは、25℃雰囲気下、3極セルを電極として電気化学計測装置(「HSV−100」、北斗電工社製)を用いて行った。なお、3極セルにおける作用極にはアルミニウム箔(JIS 1N30材、日本製箔株式会社製)を使用し、対極および参照極にはリチウム金属を使用した。
測定は、電解液として非水電解液(1)を用い、掃引速度10mV/sとし、2.5V〜5V(vs. Li/Li+)間で行った。1,3,5サイクル目の5V印加時の電流値から、上記作用極の面積0.739cm2を除算し、電流密度を算出した。結果を表1(図3)に示す。
また、サイクリックボルタンメトリー後のアルミニウム箔(作用極)表面のSEM像(倍率500倍)(「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を図1に示す。
実施例2
スルホン酸エステルとして1,4−ブタンサルトン(1,4−BS、和光純薬工業株式会社製)を0.12g使用したこと以外は実施例1と同様にして非水電解液(2)を調製し、CV測定を行った。結果を表1に示す。
実施例3
スルホン酸エステルとしてスルホラン(SF、キシダ化学株式会社製)を0.12g使用したこと以外は実施例1と同様にして非水電解液(3)を調製し、CV測定を行った。結果を表1に示す。
実施例4
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、3:7(体積比)で混合した非水溶媒に、上記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとLiPF6(キシダ化学株式会社製)との濃度がそれぞれ1.0mol/Lと0.2mol/Lとなるように溶解させた。ついで、この混合溶液6gに、当該混合溶液中の濃度が2質量%となるように上記1,3−プロパンサルトン0.12gを添加して、非水電解液(4)を調製し、CV測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1
スルホン酸エステルを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液(5)を調製し、CVの測定を行った。結果を表1に示す。また、CV測定後のアルミニウム箔表面のSEM像を図2に示す。
表1及び図1、2より、非水電解液が添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含む実施例1〜4では、サイクル数を重ねても電流密度の上昇が抑えられているのに対して、非水電解液が上記添加剤を含まない比較例1では、CV測定の進行と共に電流密度が増加した。このことから、実施例1〜4では、CV測定の開始と共に、電極表面に、酸化膜(不導体膜)が形成され、次いで、当該酸化膜とスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物との反応に由来する膜が形成されたため、電極自体の腐食が抑制されたものと考えられる。図1に示すように、実施例1のアルミニウム箔をSEM観察しても、腐食による孔は確認されなかった。
一方、比較例1では、サイクル数の増加に応じて電流密度が上昇しており、CV測定の進行と共に電極の腐食が進行したものと考えられる。このことは、電極表面を示すSEM像からも明らかであり、比較例1のCV測定で使用した電極表面を示す図2では、電極表面に腐食による孔が確認できた。
上記結果から、非水電解液に、添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含有させることで、電極の腐食による経時的な特性の劣化が生じ難いリチウム二次電池が得られるものと考えられる。
実施例5
[電池特性評価]
電池の作製
正極活物質層の面積がφ12mmの市販の正極シート(パイオトレック株式会社製、正極集電体:アルミニウム、活物質:コバルト酸リチウム、初期充電容量:3mAh/cm2)と、負極面積がφ14mmの黒鉛負極シート(パイオトレック株式会社製、負極集電体:銅箔)と、CR2032コイン型電池用部品(宝泉株式会社製)とを用いて、コイン型リチウム電池を作製した。具体的には、ガスケットを装着した負極キャップ、ウェーブワッシャー、スペーサー、負極、セパレータ(ポリエチレン系、旭硝子株式会社製)をこの順に重ねた後、上記非水電解液(1)70μLをセパレータに含浸させた。次いで、正極活物質層形成面が負極活物質層形成面と対向するように正極を載置し、さらにその上に正極ケースを重ね、カシメ機でかしめることによりコイン型リチウム電池(1)を作製した。
得られたコイン型リチウム電池(1)について、充放電試験装置(「ACD−01」、アスカ電子株式会社製)を使用して、充放電速度0.2C(定電流モード)、3.0V〜4.2Vの条件にて、各充放電時には10分の充放電休止時間を設けてサイクル試験を行った。1サイクル目の放電容量を100%とした場合の各サイクルでの放電容量を表2(図4)に示す。
比較例2
非水電解液(5)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてコイン型リチウムイオン電池(2)を作製し、サイクル試験を行った。結果を表2に示す。
表2より、スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含まない比較例2では、50サイクル目以降、急速に容量維持率が低下した。これに対し、スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含む実施例5では、比較例2に比べて、容量維持率の低下の程度は小さく(200サイクル目の容量維持率、実施例5:77.6%、比較例2:38.1%)、スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を非水電解液に含有させることで、アルミニウム集電体の腐食が抑制され、その結果、良好なサイクル特性が発揮されたものと考えられる。したがって、本発明の非水電解液によれば、経時的な特性の劣化が生じ難く、また、安定駆動できるリチウム二次電池が期待できる。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、イミドリチウム塩等のイミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、4V以上の条件下で作動させたときに集電体の腐食が生じ難く、また、電池を安定に駆動できるリチウム二次電池用非水電解液及びこれを備えたリチウム二次電池を提供することにある。
上記スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含む本発明の非水電解液は、イミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、集電体の腐食を抑制することができる。したがって、この非水電解液を使用することで、集電体の腐食による電池特性の低下が生じ難いリチウム二次電池を得ることができる。
スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含む本発明の非水電解液は、イミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合であっても、集電体の腐食が生じ難いものである。したがって、本発明の非水電解液を使用することで、集電体の腐食による電池特性の低下が生じ難いリチウム二次電池が得られるものと考えられる。
添加剤である上記スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物が非水電解液に含まれている場合には、リチウム二次電池作動時に、これらの添加剤の反応により、正極集電体上に皮膜が形成される。これにより、非水電解液がイミド系アルカリ金属塩を電解質とする場合にも、集電体の腐食が抑制され、その結果、経時的な特性劣化が生じ難いリチウム二次電池が得られるものと考えられる。以下、本発明の非水電解液について詳細に説明する。
1−2.添加剤
本発明の非水電解液は、スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を添加剤として含有する。これらの添加剤を含む非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池では、電池作動時にスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物が、集電体表面に形成された酸化皮膜と反応し、正極にスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物に由来する皮膜が形成される。これにより、高電圧下(例えば4V以上)での作動時にも集電体の腐食が抑制され、その結果、本発明の非水電解液を備えたリチウム二次電池は、経時的な特性の低下が生じ難いものになると考えられる。
表1及び図1、2より、非水電解液が添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含む実施例1〜4では、サイクル数を重ねても電流密度の上昇が抑えられているのに対して、非水電解液が上記添加剤を含まない比較例1では、CV測定の進行と共に電流密度が増加した。このことから、実施例1〜4では、CV測定の開始と共にスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物に由来する膜が形成されたため、集電体自体の腐食が抑制されたものと考えられる。図1に示すように、実施例1のアルミニウム箔をSEM観察しても、腐食による孔は確認されなかった。
一方、比較例1では、サイクル数の増加に応じて電流密度が上昇しており、CV測定の進行と共に集電体の腐食が進行したものと考えられる。このことは、集電体表面を示すSEM像からも明らかであり、比較例1のCV測定で使用した集電体表面を示す図2では、集電体表面に腐食による孔が確認できた。
上記結果から、非水電解液に、添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含有させることで、集電体の腐食による経時的な特性の劣化が生じ難いリチウム二次電池が得られるものと考えられる。
実施例5
[電池特性評価]
電池の作製
正極活物質層の面積がφ12mmの市販の正極シート(パイオトレック株式会社製、正極集電体:アルミニウム、活物質:コバルト酸リチウム、初期充電容量:3mAh/cm2)と、負極面積がφ14mmの黒鉛負極シート(パイオトレック株式会社製、負極集電体:銅箔)と、CR2032コイン型電池用部品(宝泉株式会社製)とを用いて、コイン型リチウム電池を作製した。具体的には、ガスケットを装着した負極キャップ、ウェーブワッシャー、スペーサー、負極、セパレータ(ポリエチレン系)をこの順に重ねた後、上記非水電解液(1)70μLをセパレータに含浸させた。次いで、正極活物質層形成面が負極活物質層形成面と対向するように正極を載置し、さらにその上に正極ケースを重ね、カシメ機でかしめることによりコイン型リチウム電池(1)を作製した。

Claims (6)

  1. 正極と負極と非水電解液とを備えるリチウム二次電池用の非水電解液であって、
    上記非水電解液は、電解質として、一般式(1):MN(R1SO2)(R2SO2)で表されるイミド系アルカリ金属塩(式(1)中、Mはアルカリ金属イオンを表し、R1,R2は独立して、フッ素原子または炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す)と、鎖状カーボネートを含む溶媒と、添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を含むことを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
  2. 上記溶媒が、さらに環状カーボネートを含むものである請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
  3. 上記スルホン酸エステルが、1,3−プロパンサルトンである請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
  4. 上記非水電解液は、電解質としてさらに、
    一般式(2):M’PFa(Cm2m+16-a(0≦a≦6、1≦m≦2)、
    一般式(3):M’BFb(Cn2n+14-b(0≦b≦4、1≦n≦2)、及び
    一般式(4):M’AsF6
    (上記式(2)〜(4)中、M’はアルカリ金属イオンを表す。)で表されるフッ素を含有する塩化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用非水電解液。
  5. 上記一般式(2)で表されるフッ素を含有する塩化合物がLiPF6である請求項4に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用非水電解液を備えることを特徴とするリチウム二次電池。
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