JP2014012663A - フルフラールの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料である粗フルフラールを蒸留を行うことにより粗フルフラールを精製さし、フルフラールを得る際に、該蒸留を行う前に原料である粗フルフラールを予め陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と接触させることを特徴とするフルフラールの精製方法。
【選択図】なし
Description
は塩基性物質を添加し、そして、それらの処理の後に好ましくは蒸留条件を操作することで、蒸留塔などの精製工程での固形物の発生を抑制でき、且つ純度の高い精製フルフラールを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1] 原料である粗フルフラールを蒸留を行うことにより粗フルフラールを精製さし、フルフラールを得る際に、該蒸留を行う前に原料である粗フルフラールを予め陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と接触させることを特徴とするフルフラールの精製方法。[2] 前記粗フルフラールの蒸留が、以下の(a)及び/又は(b)の工程を有することを特徴とする[1]に記載のフルフラールの精製方法。
(a) 前記粗フルフラールに前記陰イオン交換樹脂及び/又は前記塩基性化合物を接触させた後に得られる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物を除去する工程
(b) 前記粗フルフラールに前記陰イオン交換樹脂及び/又は前記塩基性化合物を接触させた後に得られる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも低い沸点を有する化合物を除去する工程
[3] 前記陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のフルフラールの精製方法。
[4] 前記工程(a)の蒸留塔の塔底温度が60〜125℃であることを特徴とする[2]又は[3]に記載のフルフラールの精製方法。
[5] 下記(c)の工程を更に有する[2]〜[4]のいずれかに記載のフルフラールの精製方法。
(c) 工程(a)で分離されたフルフラールよりも高い沸点を有する化合物を蒸留塔で蒸留し、フルフラールを分離し回収する工程
[6] 前記工程(b)の蒸留塔内の酸素濃度が1重量%以下であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれかに記載のフルフラールの精製方法。
[7] 前記工程(b)の蒸留塔が遮光されていること、或いはラジカル捕捉剤が蒸留塔内に存在していることを特徴とする[2]〜[6]のいずれかに記載のフルフラールの精製方法。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のフルフラールの精製方法により得られるフルフラールを反応器に供給し、触媒の存在下で脱カルボニル反応を行うことによりフランを生成させ、該反応器出口から該フランを主成分として含む混合ガスを抜き出すことを特徴とするフランの製造方法。
制限が緩和され、軽沸点成分の分離が容易になり、冷凍機などの高価な機器の削減が期待できる。
また、高沸点の成分を分離除去した粗フルフラールは、酸化及び、主に光が要因となりラジカル重合で固形物が生成するが、酸素濃度を制限し、遮光することにより更なる固形物の抑制が期待できる。そのため、プロセス連続運転時の安定化、それに付随する運転コスト、設備維持コストの削減が期待できる。
本発明で使用する原料の粗フルフラールは、特に限定されないが、通常、とうもろこしの穂軸や木材のおがくず等のヘミセルロース分を含む植物などを、希硫酸等の酸存在下で加熱する事でフルフラールと水を発生させ、その発生したフルフラールと水を含む混合物を脱水処理して得られる(以下、簡単に“粗フルフラール”と略記することがある。)。本発明の原料である粗フルフラール中のフルフラール濃度は、特に限定されないが、通常、90重量%以上99.5重量%以下、好ましくは95重量%以上99.0重量%以下、より好ましくは97重量%以上98.5重量%以下である。
本発明の塩基性化合物は、特に限定されないが、塩基性無機化合物、金属アルコキシドおよび塩基性有機化合物が挙げられる。
ては、原料である粗フルフラールに対して、好ましくは0.005〜1wt%であり、より好ましくは0.01〜0.5wt%であり、更に好ましくは0.03〜0.3wt%である。
その精製工程の粗フルフラールの蒸留としては、以下の(a)及び/又は(b)の工程を有することが好ましい。
(b) 粗フルフラールに陰イオン交換樹脂及び/又は前記塩基性化合物を接触させた後に得られる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも低い沸点を有する化合物を除去する工程
上記の工程(a)において、粗フルフラールに含まれるフルフラールよりも沸点の高い化合物を分離する際に、使用する蒸留塔としては、特に限定されず、回分式、連続蒸留のどちらでも良く、形式はシーブトレイやバブルキャップトレイなどを用いた棚段塔と規則充填物や不規則充填物による充填塔のどちらでも良い。蒸留条件は、特に限定されないが、理論段数が1〜50段の範囲であり、好ましくは3〜40段であり、より好ましくは5〜30段である。粗フルフラールの供給温度は特に限定されないが、−20〜120℃であり、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。蒸留塔内の塔頂圧は、特に限定されないが、0.12〜28.2kPaであり、好ましくは0.5〜20.5kPa、より好ましくは0.8〜15.5kPaである。
工程(a)で除去されるフルフラールよりも沸点が高い化合物としては、一般的には、大気圧下でのフルフラールの沸点より沸点が5℃以上高い化合物が挙げられる。例えば、大気圧下での沸点162℃のフルフラールに対して、沸点が170℃のフルフリルアルコール、沸点が173−174℃の2−フランカルボニルクロライド、沸点が173℃の2−アセチルフラン、沸点が187℃の5−メチルフルフラール、フリルメチルケトン、フルフラールの重合物などの化合物が挙げられる。
上記の工程(b)において、粗フルフラールに含まれるフルフラールよりも沸点の低い化合物を分離する際に、使用する蒸留塔としては特に限定されず、回分式、連続蒸留のどちらでも良い。また、塔の形式はシーブトレイやバブルキャップトレイなどを用いた棚段塔と規則充填物や不規則充填物による充填塔のどちらでも良い。蒸留条件は、特に限定されないが、理論段数が1〜50段の範囲であり、好ましくは3〜40段であり、より好ましくは5〜30段である。蒸留塔内の塔頂圧は0.12〜300kPa、好ましくは0.5〜200kPa、より好ましくは0.8〜100kPaである。
工程(b)の蒸留塔内の酸素濃度としては、1重量%以下であることが好ましい。この酸素濃度が低くなるほど、蒸留塔内で固形物が発生しにくくなる傾向にある。
本発明のフルフラールの精製方法において、上述の工程(a)と工程(b)を有することが好ましく、更に工程(a)と工程(b)の順番は特に限定されないが、工程(a)を行った後に、工程(b)を行うことがより好ましい。
(c) 工程(a)で分離されたフルフラールよりも高い沸点を有する化合物を蒸留塔で蒸留し、フルフラールを分離し回収する工程
上記の工程(c)では、工程(あ)で分離した高沸点の成分を含有する液中に含有する微量のフルフラールを分離して回収するが、使用する蒸留塔の処理は回分式、連続蒸留のどちらでも良く、形式はシーブトレイやバブルキャップトレイなどを用いた棚段塔と規則充填物や不規則充填物による充填塔のどちらでも良い。蒸留条件は、特に限定されないが、理論段数が1〜50段の範囲、好ましくは3〜30段、より好ましくは5〜20段である。蒸留塔内の塔頂圧は0.12〜28.2kPa、好ましくは0.5〜20.5kPa、より好ましくは0.8〜15.5kPaである。
d、Ptである。中でも、特に好ましくはフルフラールのフランへの転化に対して極めて選択性が高いPdである。上記の金属を安定な担体に担持されることによって担持金属触媒として用いられる。担体の種類は、特に限定されないが、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、MgO等の単独金属酸化物やこれらの複合金属酸化物、ゼオライト等の多孔性酸化物、あるいは活性炭といった担体を用いることができる。
温水を流通させて加熱できるジャケット付きの容積100ccのガラス製クラマトグラフ管に、陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン製、WA20)を70cc充填し、このガラス製クロマトグラフ管に、兼松ケミカル(株)製のフルフラール(純度98.7wt%)を1
40cc/hで流通させた。この際、陰イオン交換樹脂と兼松ケミカル(株)製のフルフラールとの接触温度は40℃、圧力は常圧であった。
ガラス製の50ccシュレンク管に、兼松ケミカル(株)製のフルフラール(純度98.7wt%)を10gと、和光純薬製トリブチルアミンを3000重量ppm仕込み、オイ
ルバスを使用して、120℃で5時間撹拌しながら加熱した。5時間加熱した後にシュレンク管内には固形物は確認されなかった。
兼松ケミカル(株)製のフルフラール(純度98.7wt%)50gと、0.2規定の水
酸化ナトリウム水溶液50gを1昼夜接触させた後、このフルフラール5gをガラス製の50ccシュレンク管に仕込み、オイルバスを使用して、120℃で5時間撹拌しながら加熱した。5時間加熱した後にシュレンク管内には固形物は確認されなかった。
実施例1において、陰イオン交換樹脂に接触させなかった以外はすべて同様に、ガラス製の50ccシュレンク管に、フルフラール(純度98.7wt%)を10g仕込み、オイ
ルバスを使用して、120℃で5時間撹拌しながら加熱した。5時間加熱した後にシュレンク管内に固形物が0.5mg析出した。
比較例1において、オイルバスの加熱温度を130℃に変更した以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内に固形物が1.2mg析出した。
実施例1において、オイルバスの加熱温度を130℃とした以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内に固形物が0.5mg析出した。
実施例2において、オイルバスの加熱温度を130℃とした以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内に固形物が0.7mg析出した。
兼松ケミカル(株)製のフルフラール(純度98.7wt%)500.0gに三菱化学製陰イオン交換樹脂(スチレン系ポリアミン型ダイヤイオン、WA20)を50g添加し、4
0℃で6時間加熱した。次いで、WA20を濾別した後のフルフラール300.9gを塔径35mm、理論段が10段のオルダーショウの蒸留塔を使用して、塔頂の圧力12kPa、塔底温度を125℃でバッチ蒸留を実施した。約2時間の加熱を行ない、蒸留を終了した。この時、蒸留塔に仕込んだ原料フルフラールの量に対して蒸留塔の塔頂から抜き出される留出量の合計が78.7wt%であった。
兼松ケミカルより入手した純度98.7wt%のフルフラール300.4gを塔径35mm、理論段が10段のオルダーショウの蒸留塔を使用して、塔頂の圧力12kPa、塔底温度を125℃でバッチ蒸留を実施した。約2時間の加熱を行ない、蒸留を終了した。この時、蒸留塔に仕込んだ原料フルフラールの量に対して蒸留塔の塔頂から抜き出される留出量の合計が76.3wt%であった。蒸留後の釜残には顕著な汚れが確認できた。また、蒸留により生成したGCで検出できない高沸成分は約1.1gであった。仕込みに対して約0.36wt%の高沸成分生成量となる。
実施例1の陰イオン交換樹脂との接触で得られたフルフラール1000.0gを塔径35mm、理論段が10段のオルダーショウの蒸留塔を使用して、塔頂の圧力13.3kPa、塔底温度を102℃でバッチ蒸留を実施した。蒸留の熱源としてオイルバスを使用し、オイルバスの温度は120℃とした。留出液は軽沸成分を多く含む初留から順に抜き出し、Fr−1〜Fr−6を取得した。そして、90重量%留出させたとことで蒸留を停止した。Fr−1〜fr−6のフルフラール及び軽沸成分の濃度は以下表−1の通りであった。
、シュレンク管内を窒素置換した後に、オイルバスを使用して、160℃で5時間撹拌しながら加熱した。5時間加熱した後にシュレンク管内には固形物は確認されなかった。この時のシュレンク管内の酸素濃度は10重量ppm以下であった。
実施例7において、Fr-3の代わりにFr−4をガラス製の50ccシュレンク管に
仕込み加熱した以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内には固形物は確認されなかった。この時のシュレンク管内の酸素濃度は10重量ppm以下であった。
実施例7において、Fr-3の代わりにFr−5をガラス製の50ccシュレンク管に
仕込み加熱した以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内には固形物は確認されなかった。この時シュレンク管内の酸素濃度は10重量ppm以下であった。
実施例7において、Fr-3の代わりにFr−6をガラス製の50ccシュレンク管に
仕込み加熱した以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内には固形物は確認されなかった。この時シュレンク管内の酸素濃度は10重量ppm以下であった。
実施例7において、ガラス製の50ccシュレンク管を窒素置換した後に、アルミホイルで遮光し、且つ、Fr−2の代わりにFr-1を10g仕込み、オイルバスを使用して
、160℃で5時間撹拌しながら加熱した以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内には固形物は確認されなかった。この時シュレンク管内の酸素濃度は10重量ppm以下であった。
実施例11において、ガラス製の50ccシュレンク管に、Fr−1の代わりにFr-
6を10g仕込み、シュレンク管内を窒素置換せず、窒素シールした状態で、オイルバスを使用して、160℃で5時間撹拌しながら加熱した以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内に固形物が0.1mg析出した。この時酸素濃度は9.89重量%であった。
実施例11において、シュレンク管を遮光しなかった以外はすべて同様に実施した。5時間加熱した後にシュレンク管内に固形物が0.2mg析出した。この時酸素濃度は10重量ppm以下であった。
留出のためのガラス製の冷却管を設置したガラス製の100ccフラスコに、実施例7の釜残液40.0gを仕込み、圧力5.3kPa、フラスコ内温度82℃にて単蒸留を実施した。製造例2で得られた釜残液中のフルフラール濃度は77.36重量%であった。その結果、30.8gのフルフラール含有液を留出液として得た。フラスコ内に残った液は8.6gであった。釜残液中のフルフラール濃度は10.84重量%であった。
Claims (8)
- 原料である粗フルフラールを蒸留を行うことにより粗フルフラールを精製さし、フルフラールを得る際に、該蒸留を行う前に原料である粗フルフラールを予め陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と接触させることを特徴とするフルフラールの精製方法。
- 前記粗フルフラールの蒸留が、以下の(a)及び/又は(b)の工程を有することを特徴とする請求項1に記載のフルフラールの精製方法。
(a) 前記粗フルフラールに前記陰イオン交換樹脂及び/又は前記塩基性化合物を接触させた後に得られる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物を除去する工程
(b) 前記粗フルフラールに前記陰イオン交換樹脂及び/又は前記塩基性化合物を接触させた後に得られる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも低い沸点を有する化合物を除去する工程 - 前記陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフルフラールの精製方法。
- 前記工程(a)の蒸留塔の塔底温度が60〜125℃であることを特徴とする請求項2又は3に記載のフルフラールの精製方法。
- 下記(c)の工程を更に有する請求項2〜4のいずれか1項に記載のフルフラールの精
製方法。
(c) 工程(a)で分離されたフルフラールよりも高い沸点を有する化合物を蒸留塔で蒸留し、フルフラールを分離し回収する工程 - 前記工程(b)の蒸留塔内の酸素濃度が1重量%以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のフルフラールの精製方法。
- 前記工程(b)の蒸留塔が遮光されていること、或いはラジカル捕捉剤が蒸留塔内に存在していることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のフルフラールの精製方
法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のフルフラールの精製方法により得られるフルフラ
ールを反応器に供給し、触媒の存在下で脱カルボニル反応を行うことによりフランを生成させ、該反応器出口から該フランを主成分として含む混合ガスを抜き出すことを特徴とするフランの製造方法。
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