JP6458473B2 - ラクトン類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルから選ばれるいずれか1以上の化合物(以下、これらをまとめて「ジカルボン酸類」と記すことがあり、また「ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステル」をまとめて「ジカルボン酸誘導体」と記すことがある。)の水素化反応によるラクトン類の製造方法に関する。詳しくはバイオマス資源を原料とし、水素化反応時の反応混合物中の糖類濃度を所定範囲に制御したジカルボン酸類の水素化反応による対応するラクトン類の製造方法に関するものである。
ラクトン類は工業用溶剤や洗浄剤、高分子化学品の反応中間体として有用である。
ラクトン類の製造方法としては、上記の通りジカルボン酸類を水素化反応して対応するラクトン類を得る方法が知られている。例えば、特開昭64−25771号公報には、原料として無水コハク酸を使用し、ルテニウム系触媒を用いて水素化反応することにより、γ−ブチロラクトン(以下「GBL」と称することがある)を製造することが記載されている(特許文献1)。
ここで原料として使用されるジカルボン酸類の工業的製造方法としては、石油資源を原料とする接触酸化法が一般的である。しかしながら、近年の石油資源価格の高騰や環境への配慮等の観点から、石油資源に代わる原料としてバイオマスの使用が注目され、例えば特開2010−100617号公報には、糖類の発酵によってジカルボン酸及びその誘導体を製造する方法が開示され(特許文献2)、また、例えば特表2013−523736号公報には、発酵法で得たジカルボン酸及びその誘導体の水素化反応によってGBLを製造する方法が開示されている(特許文献3)。
発酵法によるジカルボン酸類の製造においては、糖類を原料として用いるのが一般的であり、通常グルコース、スクロース又はセルロース等が用いられる。しかし、これらのジカルボン酸類の製造方法においては、生成するジカルボン酸類中に多糖類が不純物として含まれる場合や、未反応の糖類が混入することがあった。
特開昭64−25771号公報 特開2010−100617号公報 特表2013−523736号公報
本発明は、上記のようなバイオマス資源由来の原料を用いたラクトン類の製造プロセスにおいて、反応活性が低下することがあり、生成物であるラクトン類の収率が不安定となるという問題点を解決するためになされたものであり、これによって、安定して高い収率でラクトン類を得ることができる工業的に有利なプロセスを提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、原料中の糖類、特に単糖類及び二糖類、中でも単糖類がジカルボン酸類のラクトン化反応を促進し、一方でその含有量が特定のレベルを超えると、反応阻害を引き起こすことを見出した。
即ち、水素化反応における反応混合物中の前記糖類濃度を所定の範囲内とすることで、高い収率でラクトンが得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の要旨は以下の[1]〜[8]に存する。
[1] バイオマス資源由来の原料から得られた、ジカルボン酸及び/又はその誘導体(以下まとめて「ジカルボン酸類」と記す)の水素化反応により対応するラクトン類を製造する方法において、前記水素化反応時の反応混合物中における単糖類と二糖類との合計濃度を10質量ppm以上、3000質量ppm未満とするラクトン類の製造方法。
[2] 単糖類と二糖類との合計濃度が20質量ppm以上、1000質量ppm以下である上記1のラクトン類の製造方法。
[3] 前記水素化反応を周期表の第8〜11族に属する金属を含む不均一触媒及び/又は均一触媒を用いて行うこと上記1または2のラクトン類の製造方法
[4] 前記触媒中の周期表の第8〜11族に属する金属がルテニウム及び/又は銅である上記3のラクトン類の製造方法。
[5] 前記触媒が有機リン系化合物を配位子として有するルテニウム錯体である前記4のラクトン類の製造方法。
[6] ジカルボン酸類がコハク酸及び/又はその誘導体である前記1〜5のいずれかのラクトン類の製造方法。
[7] バイオマス資源由来の原料から得られた、ジカルボン酸類の水素化反応により対応するラクトン類を製造する方法が、反応工程、精製工程及び精製工程から反応工程への触媒循環工程を有し、反応工程における反応混合物中の単糖類と二糖類の合計濃度を20質量ppm以上、1000質量ppm以下の範囲とするラクトン類の製造方法。
[8] 前記触媒循環工程において、溶媒の留去処理と触媒の抽出処理とを順次行い、かつ抽出処理時に反応工程に循環する単糖類と二糖類との合計量を調整する上記7のラクトン類の製造方法。
本発明によれば、ジカルボン酸類の水素化によって対応するラクトン類を製造する際に、水素化反応時の反応混合物中の単糖類と二糖類との合計濃度を制御することにより、高い収率で安定してラクトン類を得ることができ、長期安定的にラクトン類が製造可能な工業的に有利なプロセスが構成される。
本発明のラクトン類の製造プロセスの一例を示した図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されない。なお本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書における下限値又は上限値は、それぞれその下限値又は上限値の値を含む範囲を意味する。
1.ラクトン原料としてのジカルボン酸類
本発明においてはラクトン類(以下単に「ラクトン」と称することがある)の製造用原料としてジカルボン酸及び又はジカルボン酸誘導体(「ジカルボン酸類」)を用いる。ここで、ジカルボン酸誘導体はジカルボン酸無水物及び/又はジカルボン酸エステルを意味するものである。これらの原料は単独で用いてもよく、混合物でもよい。
本発明のジカルボン酸類のジカルボン酸としては特に限定されないが、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
具体的には、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、4−メチルフタル酸、3−メチルフタル酸、トリメリット酸などが挙げられ、中でも、フタル酸、4−メチルフタル酸、3−メチルフタル酸が好ましく用いられる。
また、脂肪族ジカルボン酸としては、主鎖の炭素数が1〜17、好ましくは2〜7の直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和ジカルボン酸が好適である。具体的には、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2−オキソグルタル酸、シス−アコニット酸、ドデカン二酸等が挙げられ、中でも、マレイン酸、フマル酸、コハク酸が好ましく、特にコハク酸が好ましい。
なお、ラクトン類製造の原料としては、これらのジカルボン酸の塩も使用することができ、例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられ、中でもアンモニウム塩が好ましい。」
また、前記の通り、本発明においては上記各種のジカルボン酸に加えて、対応する酸無水物やエステル類も用いることができる。エステルとしては、炭素数1〜4の直鎖状アルキルエステルが好ましく、特にジカルボン酸ジメチルエステルやジカルボン酸ジエチルエステルが好ましい。
2.バイオマス法によるジカルボン酸類の製造
本発明で使用するジカルボン酸類は、バイオマス資源から発酵工程を経て製造する方法(以下、「バイオ法」と称することがある)製造されたものを用いる。バイオ法で製造されたものは単糖類及び二糖類を含み、これらの合計濃度を制御することでジカルボン酸類の水素化反応を促進させることができ、高い収率でラクトン類を得ることができるからである。
本発明に用いるのに好適なバイオマス資源としては、例えば、木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、製紙残渣等の植物由来の資源、水産物残渣、家畜***物等の動物由来の資源、下水汚泥、食品廃棄物等の混合資源が挙げられ、中でも植物資源が好ましい。また植物資源の中でも、木材、稲わら、籾殻、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、芋、油脂、古紙、製紙残渣が好ましく、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシが特に好ましい。
上記のようなバイオマス資源から誘導される炭素源としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のヘキソース;アラビノース、キシロース、リボース、キシルロース、リブロース等のペントース;マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、澱粉、セルロース等の2糖・多糖類;酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノクチン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、セラコレン酸等の脂肪酸;グリセリン、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が挙げられ、これらの中でも、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のヘキソース;アラビノース、キシロース、リボース、キシルロース、リブロース等のペントース;マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、澱粉、セルロース等の2糖・多糖類が好ましく、これらのうちグルコース、マルトース、フルクトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、セルロースが好ましい。
上記の各種炭素源から微生物変換による発酵法でジカルボン酸類を得ることができる。この目的で用いることができる微生物としては、コリネ型細菌、バチルス属細菌、リゾビウム属細菌、マイコバクテリウム属細菌、等が挙げられ、コリネ型細菌が好ましい。
発酵法による微生物変換の際の反応温度や圧力その他の反応条件は、選択される菌体、カビなど微生物の活性に依存し、目的に応じて適宜選択すればよい。
3.バイオ法ジカルボン酸類に含まれる不純物(糖分)
前記のバイオマス資源から製造されるジカルボン酸類中には微生物により利用(資化)されずに残った糖類が含まれることがある。また、本発明のラクトン類の製造方法において、原料ジカルボン酸類中に、微生物に資化されずに残った多糖類が単糖類や二糖類に分解されて含まれることがある。
本発明において「単糖類及び二糖類」とは、上記のバイオマス資源由来の糖類とその誘導体を言い、具体的にはポリヒドロキシケトン又はポリヒドロキシアルデヒド骨格を持つ化合物のことである。
即ち、本願に言う単糖類及び二糖類は、2つ以上のヒドロキシ基と1つ以上のアルデヒド基又はケトン基を有している。
これらの単糖類及び二糖類の具体例としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のヘキソース;アラビノース、キシロース、リボース、キシルロース、リブロース等のペントース;マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース等が挙げられる。好ましくはグルコース、キシロース、マルトース、フルクトース、スクロース、ラクトース、トレハロース等が挙げられる。
また、糖誘導体としては、上記の糖から誘導される化合物であれば、特に限定されないが、例えば、デオキシリボース、フコース、フクロース、ラムノース、キノボース、パラトース等のデオキシ糖;ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール類;グルコノラクトン等の糖脱水素体;レボグルコサン、4−デオキシ−3−ヘキソスロース等の1分子脱水体;又は上記の糖とカルボン酸との反応生成物等が挙げられる。
このような糖誘導体は、糖類の発酵の際に副生することがある。
4.ラクトン類の生成反応
(1)単糖類、二糖類の反応への影響
本発明のラクトン類の製造方法によれば、反応系内に単糖類も二糖類も含まない、例えば石油化学法により合成されたジカルボン酸類を用いたラクトン類の製造方法よりも高い収率でラクトン類を得ることができる。
その理由は明らかではないが、糖が遊離水に作用することで、反応系内の水濃度を制御し、また触媒に作用してその安定化をもたらす効果があると考えられる。その作用機構は次のように推定される。
単糖類及び二糖類は、疎水性の炭化水素基の割合に対して親水性のヒドロキシル基の割合が大きいため、反応混合物中の水分との親和性が高い。従って、反応混合物中の遊離水分を単糖類及び二糖類が捕捉することにより、系内の遊離水分の濃度を制御する機能があるものと考えられる。遊離水分が多すぎる場合、反応混合物中のジカルボン酸とジカルボン酸無水物の平衡が、「酸」側へ移動し、反応性の高いジカルボン酸無水物の濃度が低下するため反応速度が低下する。一方、遊離水分が過度に少なくなると、反応混合物中の求核性配位子であるジカルボン酸濃度が著しく低下して、水素化触媒の活性が低下することとなる。
また微量の糖は水素化触媒に配位して安定化させる効果があるが、糖の量が多すぎると
水素化触媒の配位場が占有されてしまい、触媒活性が低下することが考えられる。
即ち、反応混合物中の単糖類及び二糖類の合計濃度を本発明に規定する範囲内とすることで、遊離水分の濃度を水素化反応に適した濃度に制御すると同時に、水素化触媒の活性を安定化することができ、ラクトン化反応が促進され、高い収率でラクトンを得ることができるものと考えられる。
なお三糖類以上の多糖類については、単糖類や二糖類よりも水との親和性が低く反応混合物中の遊離水分濃度に与える影響が小さいこと、及び立体障害が大きいため水素化触媒に配位しにくいことなどのため、ラクトン化反応にあまり影響しない。
以下、本発明の水素化に用いる糖濃度、触媒、及び水素化の反応条件に関して詳述する。
(2)反応混合物中の糖分濃度
本発明の製造方法における反応混合物中には、単糖類及び/又は二糖類が合計濃度として10質量ppm以上、3000質量ppm未満含まれる。両者の合計濃度の下限値は、好ましくは20質量ppm以上であり、上限値は、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下である。
単糖類及び二糖類の合計濃度が上記下限値未満では、ラクトン化反応の速度が遅くなって収率が低下する傾向となる。一方、単糖類及び二糖類の合計濃度が高すぎると、反応阻害を引き起こし、反応活性が低下する傾向にある。
この反応混合物中の単糖類及び二糖類の濃度は、高速液体クロマトグラフィー分析のような方法により測定することができる。またその濃度を本願所定の範囲に保つ方法としては、下限値を下回った場合には、循環工程における高沸点成分の系外への排出量を少なくしたり、あるいは反応系へ単糖類や二糖類を直接添加したり、循環液中の多糖類を加水分解して単糖類や二糖類を生成させたり、より高濃度の糖類を含む原料コハク酸を使用したりする方法を、一方その濃度が上限値を上回る場合には、循環工程における高沸点成分の系外への排出量を多くしたり、循環液中の糖類を晶析や抽出によって分離したり、糖を加熱分解させたり、より糖類含有量の低い原料コハク酸を使用したり、あるいは精製済みのラクトン類により反応系を希釈したりする方法を、それぞれ例示することができる。
本発明方法においては、反応期間(運転開始から運転停止まで)の全域において反応混合物中の単糖類及び二糖類の合計濃度は常に上記範囲内に維持されることが好ましいが、少なくともその50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の期間において上記単糖類及び二糖類の合計濃度が所定の範囲内に維持されることが望ましい。
これは運転開始当初は、反応系内への糖類の蓄積がないため、単純に原料混合物中の糖類濃度となって、本発明の単糖類及び二糖類の合計濃度に達しない場合があることを考慮したものである。
(3)触媒
本発明に用いられる水素化触媒としては、周期律表の第8〜11族に属する金属から選ばれる少なくとも1種の金属を含むものが好ましい。第8〜11族遷移金属としては、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金などが挙げられ、中でも触媒活性の面でルテニウム、銅が好ましく、触媒活性が高いルテニウムが特に好ましい。
触媒の形態は、固体触媒でも錯体触媒でもよいが、より高品質のラクトン類を得るためには錯体触媒の方が好ましい。
以下ルテニウム錯体触媒を例として説明する。触媒の原料としては、金属ルテニウム及
びルテニウム化合物のいずれもが使用可能である。
ルテニウム化合物としては酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩あるいは錯化合物等が使用される。具体的には二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、テトラ(トリフェニルホスフィン) ジヒド
リドルテニウム、テトラ(トリメチルホスフィン) ジヒドリドルテニウム、ビス(トリ
−n −ブチルホスフィン) トリカルボニルルテニウム、ドデカカルボニルテトラヒドリドテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルホスフォニウム等が挙げられ、好ましくは塩化ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、酢酸ルテニウムである。
本発明に用いるルテニウム錯体触媒の配位子としては、リン配位子が好ましい。リン配位子としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等のアリール基を有するものも使用することができるが、トリアルキルホスフィン、中でもリン原子が1級炭素に結合した1級アルキル基により構成されるトリアルキルホスフィン又はその分解物が好ましい。
このようなトリアルキルホスフィンのアルキル基の炭素数は、1〜12程度が好ましい。なお、3つのアルキル基は全て同一である必要はなく、その全てが異なっていても、その2つが同じで1つが異なっていても、全て同じでも構わない。
このようなホスフィンの例としては、トリデカニルホスフィン、トリノニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン、ジオクチルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジブチルメチルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン、1、1、2、2−ジメチルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジメチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジメチルホスフィノブタン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノブタン、1、1、2、2−ジヘキシルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジヘキシルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジヘキシルホスフィノブタン、1、1、2、2−ジブチルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジブチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジブチルホスフィノブタン、1、1−ジホスフィナン、1,4−ジメチル−1,4−ジホスファン、1、3−ジメチルホスフォリナン、1、4− ジメチルホスフォリナン、8−メチル−8−ホスフィノビシクロオクタン、4−メ
チル−4−ホスファテトラシクロオクタン、1−メチルホスフォラン、1−メチルホスフォナン等の単座、複座、環状、及びアルキル基に置換基を持つアルキルホスフィン類が挙げられる。
また、リン配位子としては前記のホスフィンのみならず、例えば、ホスファイト、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、アミノホスフィン、ホスフィン酸なども使用可能である。これらリン配位子の使用量は、ルテニウム金属1モルに対して、0. 1〜1000
モル、好ましくは1〜100モルの範囲である。
また、本発明に用いるルテニウム錯体触媒はpKaが2より小さい酸の共役塩基を用いて、カチオン性錯体の形で反応に用いることも可能であり、活性の向上、触媒の安定化など幾つかの点において共役塩基の使用が有効である。pKaが2よりも小さい酸の共役塩基としては触媒調整時または反応系中においてこのような共役塩基を形成するものであればよく、その供給形態としてはpKaが2より小さいブレンステッド酸あるいはその各種の塩などが用いられる。
具体的には硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロスルホン酸等の無機酸類、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機酸等のブレンステッド酸もしくはこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、銀塩等があげられる。
また、上記の酸の共役塩基が反応系で生成すると考えられる酸誘導体の形で添加しても差し支えない。例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、酸アミド等の形で反応系に添加しても同様の効果が期待される。
これら酸あるいはその塩の使用量は、ルテニウム金属に対して1000モル以下、好ましくは100モル以下である。10モル以下が特に好ましい。
(4)溶媒
本発明方法によるラクトン類の製造は、反応原料及び反応生成混合物を溶媒として実施することも、これら以外の溶媒等を、本発明方法が適用される反応の目的や進行を阻害しない限り、使用することもできる。
このような溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トルイル酸などのカルボン酸類;酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジルなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ヘキサメチルリン酸トリアミドその他のアミド類;N ,N−ジメチ
ルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホン等のスルホン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;カプロラクトン等のラクトン類;テトラグライム、トリグライム等のポリエーテル類;ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等が挙げられ、好ましくはエーテル類、ポリエーテル類、およびラクトン類である。
(5)反応条件
本発明方法で実施される水素化反応は連続、回分いずれの方式も用いることができる。反応温度は、通常50〜250℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜220℃である。反応系内の水素分圧は特に限られないが、工業的な実施においては通常0.01〜10MPa・G(ゲージ圧、以下同じ。)であり、好ましくは0.03〜5MPa・Gである。反応生成液からは、蒸留、抽出等の通常の分離手段により目的生成物であるラクトン類を分離する。
反応系内の水分は0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜
1質量% である。水分が多すぎるとジカルボン酸とその無水物との平衡がジカルボン酸
側に移るため、ジカルボン酸無水物濃度が低くなってラクトンの生成速度が低下する。水分が少なすぎるとルテニウム触媒の対アニオンとなるジカルボン酸濃度が低下し、触媒のカチオン性が低下するため、触媒の水素化反応活性が低下する。
反応系から水分を除去する操作はガスストリッピングなどを用いることができ、反応プロセスによっては蒸留による水分の留去を行ったり、脱水剤を添加したりしてもよい。ガスストリッピングに水素を用いると、反応液中の水分の除去と同時にジカルボン酸成分のラクトン化も行うことができて効率的である。
(6)生成するラクトン類
本発明方法では、前記のような手順でラクトン類を製造することができる。
本発明方法が適用できるラクトン類の具体例としては、前記の原料ジカルボン酸類に対応する化合物であり、最も好ましい例としては、コハク酸、コハク酸無水物若しくはコハク酸エステル又はそれらの混合物を原料としたγ−ブチロラクトン(GBL)である。
5.ラクトン類の精製
本発明の反応方法で得られたラクトン類は、反応終了後に抽出、蒸留、晶析などの一般的な操作によって精製して、高純度の精製ラクトンを得ることができる。
また、これらの精製操作によりラクトン類を分離した後の、残渣中には未反応の原料ジカルボン酸以外にも、原料中に含有されている単糖類、二糖類その他の糖類などが含まれている。これらを上記精製工程において一部を系外へ排出し、一部を反応系に循環することにより、反応混合物中の単糖類及び二糖類の濃度を制御することができる。
以下、γ−ブチロラクトン(GBL)を例としてラクトン類の精製方法を、蒸留−抽出−触媒循環の各工程に従って説明するが、特に記載がない限り、その対象物はGBLに限定されるものではなく、また上記工程の順序、回分式/連続式等の方式、あるいは個別の処理設備の形式等についても、その趣旨を逸脱しない限り、以下の説明の記載に限定されるものではない。
(1)蒸留工程
反応液又は反応混合物からの目的生成物の分離・精製は、蒸留法を用いて常法により行うことができ、反応に用いた溶媒の種類によっては、減圧蒸留法を採用してもよい。
反応混合物中には、目的生成物であるラクトン類以外に、未反応のジカルボン酸成分、触媒、溶媒、糖類等の高沸点成分や、原料中の不純物や反応中に精製した副生成物などの低沸点成分が含まれているので、これらを蒸留により分離する。
上記の蒸留は、蒸留塔1基を用いて、ラクトン類を蒸留塔中段から抜き出す方法も可能であるが、通常は運転操作の安定性や蒸留塔の塔高その他の理由から、複数段、好ましくは2段の蒸留塔で行うことが好ましい。以下、2段の蒸留塔を用いる場合を例として、ラクトン類の蒸留精製について説明する。
(第1蒸留塔)
本発明方法において用いることができる精製工程の一例を図1に示す。
図1の反応器から取り出された反応混合物は、第1蒸留塔において、ラクトンよりも高沸点の成分である、未反応のジカルボン酸類、触媒、溶媒、糖類等が除去される。
蒸留塔の塔頂部から取り出されたラクトン類は第2蒸留塔に供給され、塔底部から高沸点成分が排出される。この高沸点成分は抽出器に供給される。
ラクトン類の留出に使用する第1蒸留塔としては、好ましくは理論段数として3段以上、100段以下の蒸留塔を用いることが好ましく、より好ましくは5段以上、50段以下である。理論段数が少なすぎると目的生成物であるラクトン類の純度が低下する傾向にあり、理論段数が多すぎると、蒸留に必要な熱量が増大し、経済的でなくなる。
還流比は目的とする精製ラクトン純度に応じて調整できるが、通常0.01以上、100以下が好ましく、更に好ましくは0.1以上、50以下である。塔頂圧もラクトンの種類によって調整されるが、例えばGBLの場合は、絶対圧として1kPa・A以上、200kPa・A以下が好ましく、より好ましくは2kPa・A以上、100kPa・A以下、更に好ましくは5kPa・A以上、50kPa・A以下である。また、塔底の温度は50℃以上、300℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以上、250℃以下、特に好ましくは120℃以上、230℃以下である。
塔頂圧が高すぎたり、塔底の温度が低すぎたりすると目的生成物であるラクトンの留出が不十分となる傾向があり収率が低下することとなり、逆に塔頂圧が低すぎたり、塔底の温度が高すぎたりすると、得られる精製ラクトンの純度が低下するばかりでなく、水素化触媒の変性や糖類の発熱・分解が起こる可能性があり、プロセスの安定運転が困難となる場合がある。
(第2蒸留塔)
上記の第1蒸留塔で得られた留出液はそのまま精製ラクトンとして製品化しても差し支えないが、図1に示すようにラクトンよりも低沸点の成分を除去する第2蒸留塔にて、更に精製することが好ましい。
第2蒸留塔からのラクトンを回収する部位に特に制限はないが、通常はここに供給される原料は、第1蒸留塔で高沸点成分を除去したラクトンであるので、塔底からラクトンを回収することが一般的である。
第2蒸留塔としては、好ましくは理論段数として3段以上、100段以下の蒸留塔の使用が好ましく、さらに好ましくは5段以上、50段以下である。理論段数が少なすぎるとラクトン類の純度が低下して第2蒸留塔を用いる意義が低くなり、理論段数が多すぎると、蒸留に必要な熱量が増大し、経済的でなくなる。
還流比は第1蒸留塔同様、目的とする精製ラクトン純度に応じて調整でき、例えば0.01以上、100以下、好ましくは0.1以上、50以下である。塔頂圧もラクトンの種類によって調整されるが、例えばGBLの場合は、絶対圧として1kPa・A以上、200kPa・A以下程度が好ましく、2kPa・A以上、100kPa・A以下がより好ましい。特に好ましいのは5kPa・A以上、50kPa・A以下である。また、塔底の温度は20℃以上、250℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上、230℃以下、特に好ましくは80℃以上、200℃以下である。
塔頂圧が高すぎたり、塔底の温度が低すぎたりすると目的生成物であるラクトンの純度が不十分となる傾向があり、塔頂圧が低すぎたり、塔底の温度が高すぎたりすると蒸留に必要な熱量が増大し、経済的でなくなるだけでなく、精製ラクトンの収率が低くなることになる。
なお、図1には示されていないが、第2蒸留塔から回収したラクトンをさらに蒸留しても構わない。
前述の通り、これらの蒸留塔における蒸留操作は回分式、連続式のいずれでもよいが、生産性の観点から連続蒸留が好ましい。蒸留の方式も、単蒸留でも多段蒸留でも構わないが、分離性能の観点から多段蒸留が好ましく、蒸留塔の形式としても、棚段塔あるいは規則及び/又は不規則充填物を充填した充填塔のいずれもが使用可能である。
(2)抽出工程
上記の蒸留工程において、反応液又は反応混合物から目的生成物であるラクトン類を留出させた後の液(以下「触媒液」と呼ぶことがある)に含まれる触媒、未反応のジカルボ
ン酸類、溶媒、糖類等は、そのまま反応工程へ循環させても構わないが、触媒液の少なくとも一部を抽出処理によって分離し、反応系に循環する成分と、系外へ排出する成分とに分離することが好ましい。触媒液の抽出に用いる溶媒としては、極性溶媒と非極性有機溶媒とを用いることが好ましい。
図1に示す抽出器を用いる抽出工程の例では、触媒液中の触媒を非極性溶媒で抽出した後、溶媒を留去して残留する触媒を循環させている。抽出残液(極性溶媒相)には糖類、未反応ジカルボン酸、あるいは反応の副生物が含まれる。抽出残液は系外に排出してもよいが、ここに含まれるジカルボン酸類などを蒸留等の分離操作によって取り出した上で循環使用してもよい。また、抽出工程では、非極性溶媒相及び極性溶媒相以外の第3の相が存在していても構わない。この場合、上記第3の相は系外に排出してもよいが、非極性溶媒相と併せて循環させたり、あるいは触媒存在下で加熱や加水分解してジカルボン酸類等の成分を取り出したりした後、循環させることもできる。
また抽出操作に先立って、上記触媒液から溶媒を留去しておくと、分液性が良好となることが多いので好ましい。触媒液から溶媒を留去する場合、留去後の液中に残存する有機溶媒の量を20質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。残留溶媒量は1質量%以下、特に0質量%とすることが最も好ましい。
上記の極性溶媒としては、20℃における誘電率(ε)が15以上、好ましくは20以上で、沸点が50〜150℃の溶媒を用いるのがよく、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられるが、経済性及び安全性から水又は低級アルコールを用いることが好ましい。
また、非極性有機溶媒としては、20℃における誘電率(ε)が6以下、好ましくは4以下で、沸点が50〜200℃、好ましくは50〜150℃の溶媒を用いるのがよく、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン(クメン)などの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、エチルフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル(アニソール)などのエーテル類、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサンなどのオキサン類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
抽出操作時の温度は、通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃の範囲から選ばれる。温度が低すぎると、溶解度の低下や液粘度の増加などにより抽出の効率が落ちる傾向にあり、温度が高すぎると溶媒が蒸発しやすくなる。
抽出効率を高くするため、抽出工程では撹拌を行うことが好ましい。撹拌時間は、分配平衡に達するまで行うのが好ましいが、途中で打ち切ってもよい。通常は10分〜5時間の範囲から適宜選定される。
触媒液中の成分のうち、糖類は極性溶媒相に分配される。この時、極性溶媒中の単糖類及び二糖類を、必要に応じて、その一部又は大部分を廃棄した上でプロセス内に循環させることによってプロセス内の単糖類及び二糖類の濃度を制御することができる。
(3)触媒循環工程
図1に示すように、本発明方法においては、抽出工程で得られた触媒や未反応ジカルボン酸類と、単糖類及び/又は二糖類を含む触媒液を反応工程に循環することが好ましい。
循環する成分としては、上記有効成分以外に、反応工程に悪影響を及ぼさない限り、溶
媒その他の成分を含んでいてもよいが、目的生成物よりも高沸点の成分を循環させることが好ましい。
例えば、図1では第1蒸留塔でラクトン及びその他の軽沸点化合物と分離された、未反応のジカルボン酸類を含む高沸点成分は上記抽出工程を経て、その少なくとも一部が反応工程へ循環される。
本発明においては、上記方法を用いることにより反応原料中に混在する糖類が高沸点成分として触媒に随伴して循環しプロセス内に蓄積する。このため、反応工程における単糖類及び二糖類の合計濃度を本発明の範囲内とするためには、例えば、前記糖類を含む高沸点成分の一部を系外へ排出(パージ)することが好ましい。
高沸点成分の系外へのパージ方法は特に制限はなく、例えば、高沸点成分が蓄積した上記触媒液を、蒸留塔の塔底からパージしても、抽出工程の高沸点成分含有液の一部を系外にパージしてもよい。
例えば図1の抽出器で、触媒を非極性溶媒層に抽出し、これと分離した糖類を含む極性溶媒層をパージすることで、同時に高沸点成分もパージできるので、経済的に有利である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
1.原料
コハク酸及びグルコース:試薬特級(和光純薬工業(株)製)
2.分析
[ガスクロマトグラフィー分析]
ガスクロマトグラフィー分析装置((株)島津製作所製GC−17A型)にて、Agilent社製DB−1カラム(無極性)を用い、GBLを分析した。
[液体クロマトグラフィー分析]
高速液体クロマトグラフィー分析装置((株)島津製作所製LC−10Ai)にて、三菱化学(株)製MCI GEL CK08EHカラムを用い、糖分析を行った。溶離液は0.02%蟻酸水溶液を使用した。
[誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)]
ICP発光分光計(サーモサイエンティフィック社製iCAP6500Duo、ペルチェ冷却有機溶媒導入システム)にて、有機溶媒直接導入法によりRu分析を行った。
3.実施例、比較例
<実施例1>
100mlのオートクレーブ(材質:SUS316)に、コハク酸5.9g(11.8質量%)、トリオクチルホスフィンを配位子として有するルテニウム錯体をトリグライムに溶解したもの5.0g(Ru:400質量ppm)、グルコースを0.001g(グルコース:20質量ppm)、及び溶媒としてトリグライムを33.1g仕込み、磁気回転撹拌子をオートクレーブ内に投入後、系内を水素で十分置換した。マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら昇温し、オートクレーブ内温が205℃となったところで内圧が0.9MPa・G(Gはゲージ圧を示す)となるよう水素を圧入した。このときを反応開始時とし、引き続き2時間水素化反応を行った。反応終了後、得られた反応液を採取し、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、γ―ブチロラクトンの収率は27.3%であった。反応結果を表1に示す。
<実施例2〜4>
グルコース濃度を50、500、1000質量ppmとしたこと以外は実施例1と同様
に水素化反応を実施した。反応終了後、反応液を採取し、ガスクロマトグラフィーで分析した。反応結果を表1に示す。
<比較例1>
グルコース濃度を3000質量ppmとしたこと以外は実施例1と同様に水素化反応を実施した。反応終了後、反応液を採取し、ガスクロマトグラフィーで分析した。反応結果を表1に示す。
<比較例2>
水素化反応原料にグルコースの添加を行わなかった(水素化反応原料中のグルコース濃度20質量ppm未満)以外は実施例1と同様に水素化反応を実施した。反応終了後、反応液を採取し、ガスクロマトグラフィーで分析した。反応結果を表1に示す。
Figure 0006458473
4.結果の評価
実施例1〜4では水素化反応時のグルコース(単糖類)の濃度を本願規定の範囲内とすることで、GBL収率が安定して高くなっている。
比較例1、2ではこの濃度が本願範囲を超えており、収率が著しく低下している。上記の結果より、本発明の効果は明らかである。

Claims (7)

  1. バイオマス資源由来の原料から得られた、ジカルボン酸及び/又はその誘導体(以下ま
    とめて「ジカルボン酸類」と記す)の水素化反応により対応するラクトン類を製造する方
    法において、前記水素化反応時の反応混合物中における単糖類と二糖類との合計濃度を
    質量ppm以上、1000質量ppm以下とすることを特徴とするラクトン類の製造方
    法。
  2. 前記水素化反応を周期表の第8〜11族に属する金属を含む不均一触媒及び/又は均一
    触媒を用いて行うことを特徴とする請求項に記載のラクトン類の製造方法。
  3. 前記触媒中の周期表の第8〜11族に属する金属がルテニウム及び/又は銅である請求
    に記載のラクトン類の製造方法。
  4. 前記触媒が有機リン系化合物を配位子として有するルテニウム錯体である請求項に記
    載のラクトン類の製造方法。
  5. ジカルボン酸類がコハク酸及び/又はその誘導体である請求項1〜のいずれか1項に
    記載のラクトン類の製造方法。
  6. バイオマス資源由来の原料から得られた、ジカルボン酸類の水素化反応により対応する
    ラクトン類を製造する方法が、反応工程、精製工程及び精製工程から反応工程への触媒循
    環工程を有し、反応工程における反応混合物中の単糖類と二糖類の合計濃度を20質量p
    pm以上、1000質量ppm以下の範囲とすることを特徴とするラクトン類の製造方法
  7. 前記触媒循環工程において、溶媒の留去処理と触媒の抽出処理とを順次行い、かつ抽出
    処理時に反応工程に循環する単糖類と二糖類との合計量を調整することを特徴とする請求
    に記載のラクトン類の製造方法。
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