JP2014009306A - 抗菌性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、シリル基またはシロキシ基に起因した特性およびアンモニウム塩の特性を兼ね備えた新規なシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマー類およびその製造方法並びにこれを有効成分とする抗菌活性に優れる抗菌性樹脂組成物に関するものである
樹脂、光学材料、塗料等の分野で用いられている塗工液には、部材表面への塗工工程で発生するスジ、ハジキ、ムラ、ブツ、不濡れ等の不良の抑制、即ち、塗工膜表面への平滑性の付与を目的として、様々な物質が添加されている。
パーフルオロアルケニル基を含有する化合物も本用途での添加剤として用いられており、特に、表面平滑性付与の点で、パーフルオロアルケニル基を有するノニオン系界面活性剤が有用であることが知られている(例えば、特許文献1)。
また、薄型ディスプレイ、PCモニター、携帯電話、携帯ゲーム機、カーナビゲーション等は様々な環境で使用され、タッチパネル化が進んでいる。これらの機器の画面では特に、画面表面に皮脂や化粧品、飲食物のカス等の様々な汚れが付着し、菌の繁殖を促進する。皮脂や化粧品、飲食物のカス等の汚れを除去するために、水や洗剤を含ませた布等による拭き取りが行われるが、汚れの拭き取りは容易ではなく、何度も拭き取りを行うことにより、画面に擦傷痕が生じることもある。
菌の繁殖を抑える目的で、抗菌剤を導入する方法が知られており、幅広く利用されている(例えば、特許文献2および3)。従来から所望の材料に抗菌性を付与する為に種々の抗菌剤が開発されており、有機系と無機系の抗菌剤が知られている。有機系の抗菌剤として、塩化ベンザルコニウムなどの第四アンモニウム塩系化合物、2,4−チアゾリルベンズイミダゾールなどのイオウ含有ベンズイミダゾール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのビスチオシアネート系化合物、8−キノリノールなどのキノリノール系化合物、エタノールなどのアルコール系化合物、ホルマリンなどのアルデヒド系化合物、クレゾールなどのフェノール系化合物、ソルビン酸などのカルボン酸系化合物などの抗菌剤が知られている。一方、無機系の抗菌剤として、銀、銅、亜鉛などの抗菌性を示す金属イオンを活性炭、アパタイト、ゼオライト、四価金属燐酸塩などに担持させたものが知られている。
しかしながら、シロキシ基を有する界面活性剤は表面の平滑性およびスリップ性、濡れ性等は得られるものの、抗菌性は無いという問題があった。
また、従来の有機系抗菌剤は一般に耐熱性に乏しい為、プラスチックや繊維などへの練り込み加工に使用すると、変色、発泡などの問題を起こしたり、加工時に揮発や分解を生じ、充分な抗菌効果を発揮できなかった。さらに、プラスチックや樹脂等へ抗菌性を付与する為には、多量の抗菌剤を必要とし、元来持っているプラスチックや樹脂の性能を低下させるという問題があった。また、有機系抗菌剤は樹脂液中の硬化成分と化学的に結合しないため、時間の経過や外部からの刺激により樹脂硬化膜中から抜け、効果が消失してしまう。さらに、膜中で可塑剤的作用を示し、膜強度を低下させるといった問題点がある。
従来の無機系抗菌剤は耐熱性や耐薬品性に優れているものの、比較的高価であること、加工が難しいこと、加工時や使用時に着色や変色の可能性があること、効果の再現性に劣ることなどの問題点があった。加えて、無機系抗菌剤を使用した場合、透明な抗菌性付与面を得ることが難しかった。
従って本発明は、基材の性能を損なうことのない抗菌組成物であり、且つ抗菌性付与面の透明性も兼ね備えた抗菌性組成物を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決する為に鋭意検討した結果、比較的安価で容易に入手可能な特定の抗菌性有機化合物とシロキシ基含有化合物を反応させたオリゴマー類、および硬化性樹脂成分と化学的に結合できる反応性官能基(水酸基、末端炭素−炭素二重結合等)を導入することによって、上記課題を解決することが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、塗膜表面への抗菌性の持続的な付与が可能となる共重合体を提供することで、少量の添加により樹脂材料に容易に溶解でき、かつ、樹脂材料を塗布した際の表面平滑性および抗菌性および透明性の持続的な付与が可能となることを見出した。これらの知見から、硬化したときに持続性に優れた抗菌効果と透明性を合わせ持ち、膜強度にも影響しない抗菌性オリゴマーを開発するに至った。オリゴマータイプの抗菌剤にすることで、高分子の特性に基づく抗菌活性基の高密度化、分子サイズの増加による低毒性化、オリゴマー材料としてのアプローチに特徴がある。
すなわち、本発明は、上記抗菌性化合物が、単量体(1)、単量体(2)、および任意成分として単量体(3)を共重合成分として含む(メタ)アクリレート系共重合体が有効成分であることを特徴とする抗菌性樹脂組成物を提供する。
項1.
下記単量体(1)、単量体(2)を共重合成分として含む(メタ)アクリレート系共重合体を含有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
項1.
下記単量体(1)、単量体(2)を共重合成分として含む(メタ)アクリレート系共重合体を含有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
単量体(1):トリメチルアンモニウム含有(メタ)アクリル系モノマー
[式中、R1はHまたはCH3を示し、R2は炭素原子数が1〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)またはアリール基、アリーレン基を有していてもよい。)であり、Yは、同一又は異なって、単結合、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)、スルホン酸エステル結合(−SO2−O−または−O−SO2−)、スルホンアミド結合(−SO2NH−または−NHSO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)を示し、Xはハロゲン原子を示し、WはHまたはアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、水酸基、カルボキシ基(COOH)、アミノ基、メルカプト基又はイソシアネート基を示す。]
単量体(2):シロキシ基含有(メタ)アクリレート
単量体(2):シロキシ基含有(メタ)アクリレート
[式中、R1は同一又は異なってHまたはCH3を示し、 R2は同一又は異なって炭素数1〜10の2価のアルキレン基、アルキレンオキサイド基または置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を示し、Zは、同一又は異なって単結合、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)、スルホン酸エステル結合(−SO2−O−または−O−SO2−)、スルホンアミド結合(−SO2NH−または−NHSO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)を示し、nは1以上の整数を示し、R3,R4,R5或いはR6,R7は同一または異なっていても良く、夫々Hまたは炭素数1〜8のアルキル基または
(R8〜R10は夫々Hまたは炭素数1〜8のアルキル基を示し、pは1以上の整数である)、で表される基を示す。nは1以上の整数である。]
項2.
項1記載の(メタ)アクリレート系共重合体へ反応性官能基を付与する為、下記単量体(1)、単量体(2)、および単量体(3)を共重合成分として含む(メタ)アクリレート系共重合体を含有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
項2.
項1記載の(メタ)アクリレート系共重合体へ反応性官能基を付与する為、下記単量体(1)、単量体(2)、および単量体(3)を共重合成分として含む(メタ)アクリレート系共重合体を含有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
単量体(1):トリメチルアンモニウム含有(メタ)アクリル系モノマー
[式中、R1はHまたはCH3を示し、R2は炭素原子数が1〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)またはアリール基、アリーレン基を有していてもよい。)であり、Yは、同一又は異なって、単結合、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)、スルホン酸エステル結合(−SO2−O−または−O−SO2−)、スルホンアミド結合(−SO2NH−または−NHSO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)を示し、Xはハロゲン原子を示し、WはHまたはアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、水酸基、カルボキシ基(COOH)、アミノ基、メルカプト基又はイソシアネート基を示す。]
単量体(2):シロキシ基含有(メタ)アクリレート
単量体(2):シロキシ基含有(メタ)アクリレート
[式中、R1は同一又は異なってHまたはCH3を示し、 R2は同一又は異なって炭素数1〜10の2価のアルキレン基、アルキレンオキサイド基または置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を示し、Zは、同一又は異なって単結合、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)、スルホン酸エステル結合(−SO2−O−または−O−SO2−)、スルホンアミド結合(−SO2NH−または−NHSO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)を示し、nは1以上の整数を示し、R3,R4,R5或いはR6,R7は同一または異なっていても良く、夫々Hまたは炭素数1〜8のアルキル基または
(R8〜R10は夫々Hまたは炭素数1〜8のアルキル基を示し、pは1以上の整数である)、で表される基を示す。nは1以上の整数である。]
単量体(3):反応可能部位含有(メタ)アクリル系モノマー
単量体(3):反応可能部位含有(メタ)アクリル系モノマー
[式中、R1はHまたはCH3を示し、W1はHまたはアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、水酸基、カルボキシ基(COOH)、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、オキセタン基、ラクトン基、リン酸基等の官能基を示す。Zは、単結合、O、NH、NHCO、またはSを示す。]
項3.
共重合体の単量体組成が、共重合体全体を100重量%としたとき、単量体(1)が1〜90重量%、単量体(2)が1〜30重量%、および単量体(3)が1〜90重量%、および反応性官能基を有する単量体(4)が0〜50重量%である項1または項2記載の抗菌性樹脂組成物であって、単量体(4)は、下記式
項3.
共重合体の単量体組成が、共重合体全体を100重量%としたとき、単量体(1)が1〜90重量%、単量体(2)が1〜30重量%、および単量体(3)が1〜90重量%、および反応性官能基を有する単量体(4)が0〜50重量%である項1または項2記載の抗菌性樹脂組成物であって、単量体(4)は、下記式
[式中、R1はHまたはCH3を示し、W2はW1と反応し得るHまたはアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリール基、水酸基、カルボキシ基(COOH)、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、オキセタン基、ラクトン基、リン酸基等の官能基を示す。R4はアルキル基または置換基を有していてもよい2価のアリーレン基、炭素数2〜4の2価のアルキレンオキサイド基を示し、Zは、単結合、O、NH、NHCO、またはSを示す。]
で表される単量体(3)と反応可能な部位を含有する(メタ)アクリル系モノマーである、抗菌性樹脂組成物。
で表される単量体(3)と反応可能な部位を含有する(メタ)アクリル系モノマーである、抗菌性樹脂組成物。
項4.
項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート系共重合体、その塩交換物、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上の成分を有効成分とすることを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート系共重合体、その塩交換物、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上の成分を有効成分とすることを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
項5.
前記樹脂組成物が硬化性の樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、重合開始成分を含む硬化性樹脂組成物である、項1〜4のいずれかに記載の抗菌性樹脂組成物。
前記樹脂組成物が硬化性の樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、重合開始成分を含む硬化性樹脂組成物である、項1〜4のいずれかに記載の抗菌性樹脂組成物。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、抗菌性と透明性に優れたものである。この特性によって本発明の抗菌性樹脂組成物は、各種ゴム、プラスチックなどの材料およびそれらからなるフィルム、シートなどの成形品、並びに各種繊維、紙、皮革、塗料、接着剤、断熱材、コーキング材などに適用する抗菌性樹脂組成物として有用である。また、共重合体内の反応性基の量、反応条件、モノマーの種類等を制御することにより、表面改質剤としての膜強度の向上や目的に応じた強度設計を行うことができる。さらに、本発明のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーは、分子内に炭化水素系置換基、親水性置換基等を導入することにより、表面改質する際の溶媒への溶解度を向上させることもできる。
次に、発明を実施する為の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
抗菌性組成物
本発明における抗菌剤は、上記抗菌性化合物が、単量体(1)、単量体(2)、および単量体(3)を共重合成分として含む化合物であり、前記共重合体へ反応性官能基を有する単量体(4)をさらに付加させても良い。前記抗菌剤化合物は、単独でも混合物としても使用できる。
本発明における抗菌剤は、上記抗菌性化合物が、単量体(1)、単量体(2)、および単量体(3)を共重合成分として含む化合物であり、前記共重合体へ反応性官能基を有する単量体(4)をさらに付加させても良い。前記抗菌剤化合物は、単独でも混合物としても使用できる。
本発明の抗菌性組成物は、各種材料に配合して優れた抗菌効果を付与する抗菌剤として有用である。配合することが出来る材料として、例えば、シリコーン、アクリルなどのゴム、塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ABS、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリカーボネートなどのプラスチック、フェノール、(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートなどの樹脂などがある。本発明の組成物は、材料に配合して成形したり、成形体の表面に被覆したりすることにより、成形体に抗菌性を付与することが出来、成形体の形状は、公知の成形法により繊維、フィルム、シート、板或いはブロックなどの種々の形状とすることができる。
また、本発明の抗菌性組成物は、水または有機溶剤などの液状媒体に溶解または懸濁させたものを、スプレーコーティング、コーターコーティング、ディッピング、刷毛塗り、ロールコーティングなどの通常の塗布手段によって、各種金属やプラスチック、セラミックス、樹脂などの表面に塗布し、皮膜を形成することも出来、そのようにして各種材質の物品における細菌の発育を阻止することが出来る。 該溶液中のシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマー類の濃度は、特に限定されないが、例えば0.1〜90.0重量%程度とすればよい。該溶液中のシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマー類の濃度が低すぎると、表面上に存在するシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマー類の量が少なくなり、塗布あるいはスプレーした改質表面が薄くなったり、抗菌性低下の要因になる。一方、該濃度が高すぎる場合には、塗布むらなどが出る場合がある。該溶液中のシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマー類の濃度は、溶媒の種類、ポリマーの分子量等による溶解度にも影響される。本発明の組成物を各種材料に配合する好ましい割合は、抗菌性を付与しようとする材料100重量%当たり、0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明の組成物を配合した材料または成形体の具体的な用途として、タオル、カーペット、カーテン、衣類などの繊維製品、皮革、冷蔵庫、洗濯機、食器乾燥機、掃除機、空調機、テレビ、電話、パソコン、カーナビなどの電化製品、壁紙、タイル、煉瓦、コンクリート、ネジ、目地などの建築材料、洗面器、ほうき、ホース、スリッパ、ゴミ箱などの日用雑貨品、三角コーナー、排水溝などの台所用品、水周り用品、トイレタリー用品、各種コーティング材、塗料および接着剤などがある。
本発明のシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマー類(単量体(1)と単量体(2)、必要に応じてさらに単量体(3)、単量体(4)が共重合した共重合体)は、分子内に反応性アクリレート基またはメタクリレート基を有することもできることから、基材表面への化学結合を用いた密着性強化による抗菌効果の高い持続性が期待できる。
また、該シロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマー内の反応性基の量、反応条件等を制御することにより、表面改質剤としての膜強度の向上や目的に応じた強度設計を行うことができる。
使用方法
前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーは、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶媒の溶液として、または、塗料などの樹脂液(樹脂組成物)に添加した溶液として使用することができる。
前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーは、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶媒の溶液として、または、塗料などの樹脂液(樹脂組成物)に添加した溶液として使用することができる。
前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーは、一種単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。また、該溶液に使用する前記溶媒も、一種単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
本発明のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーを含む前記溶液を、例えば、樹脂、フィルム、繊維、ガラス、金属等の基材表面に塗布、コーティング、スプレー等により付着させることにより、基材表面に抗菌性を付与させることができる。すなわち、該溶液中の溶媒が蒸発することにより、基材表面に本発明のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーを含む膜が形成される。該膜は、抗菌性、透明性等を有する。溶媒の乾燥(蒸発)条件は、溶液中の溶媒の種類、量等によって変化するが、通常 室温〜200℃で、10秒間〜10分間程度乾燥させればよい。
該溶液中のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーの溶液の濃度は、特に限定されないが、例えば0.1〜20.0重量%程度とすればよい。該溶液中のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーの溶液の濃度が低すぎると、表面上に存在するシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーの量が少なくなり、塗布あるいはスプレーした塗膜表面が薄くなったり、抗菌性低下の要因になる。また、塗膜表面の強度が十分に得られない等の問題も生じ得る。一方、該濃度が高すぎる場合には、塗布むらなどが出る場合がある。該溶液中のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーの溶液の濃度は、溶媒の種類、ポリマーの分子量等による溶解度にも影響される。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、硬化性の成分(樹脂モノマー、樹脂オリゴマー、重合開始成分など)を配合して硬化性樹脂組成物(硬化性を有する本発明の抗菌性樹脂組成物)とすることができる。以下、硬化性の成分を有する本発明の抗菌性樹脂組成物を「硬化性樹脂組成物」と記載することがある。本発明の樹脂組成物は、「硬化性樹脂組成物」が好ましい。
シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーを有効成分として含む樹脂組成物
本発明に含まれる硬化性樹脂組成物は、基材に塗布するための塗液として調製される。硬化性樹脂組成物(塗液)には、主に防汚性を発揮する成分としてシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー、主に樹脂膜として機能するエネルギー線硬化性樹脂モノマー又は樹脂オリゴマー、その他、重合開始剤、溶剤等が配合される。ただし、無溶剤系塗液とする場合には溶剤は配合せず、放射線硬化の場合は重合開始剤を必要としない。また、塗液には必要に応じてその他の成分を加えてもよい。
本発明に含まれる硬化性樹脂組成物は、基材に塗布するための塗液として調製される。硬化性樹脂組成物(塗液)には、主に防汚性を発揮する成分としてシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー、主に樹脂膜として機能するエネルギー線硬化性樹脂モノマー又は樹脂オリゴマー、その他、重合開始剤、溶剤等が配合される。ただし、無溶剤系塗液とする場合には溶剤は配合せず、放射線硬化の場合は重合開始剤を必要としない。また、塗液には必要に応じてその他の成分を加えてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物全体量中(溶剤成分を使用する場合は、溶剤成分の量を除く)の前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーの含有量は、通常0.0006〜17重量%程度、好ましくは0.007〜13重量%程度、より好ましくは、0.07〜10重量%程度である。
本発明のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーは、後述のエネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーと重合して得られる硬化膜において、抗菌性付与剤としての機能を発揮する。
エネルギー線硬化性樹脂モノマー又は樹脂オリゴマー成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーに加えて、これと反応して樹脂硬化膜となるエネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー(以下、樹脂モノマー、樹脂オリゴマーということがある)を含む。
本発明の硬化性樹脂組成物は、シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーに加えて、これと反応して樹脂硬化膜となるエネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー(以下、樹脂モノマー、樹脂オリゴマーということがある)を含む。
このような樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーは、シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーと反応して硬化膜を形成するものであれば、特に限定されず、通常ハードコート膜や反射防止コート膜に用いられるエネルギー線硬化性の樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーを任意に使用することができる。
当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーとしては、例えば、各種アクリレートやアクリルウレタン等のアクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の反応性化合物が挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂が用いられる。特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化して膜形態で用いられるため、2官能以上の反応性官能基を有する樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーを用いることが好ましい。
2官能以上の反応性官能基を有する樹脂モノマー、樹脂オリゴマーとしては、例えば、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチールプロパンPO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、各種ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製 紫光シリーズ、根上工業株式会社製 アートレジンシリーズ等)等が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。該樹脂モノマー、樹脂オリゴマーは1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
樹脂モノマー、樹脂オリゴマーを硬化させるエネルギー線としては、放射線、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。放射線、電子線による硬化では電磁波のエネルギーが高いため、重合性二重結合のみで重合が可能である。紫外線、可視光線をエネルギー源とする場合には、後述の重合開始剤成分を配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物全体量中(溶剤成分を使用する場合は、溶剤成分の量を除く)の当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーの含有量は、通常55〜99.9重量%程度、好ましくは60〜99.5重量%程度、より好ましくは、70〜99重量%程度である。
また、当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーとシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーの使用割合は、樹脂モノマー及び樹脂オリゴマー100重量%に対して、前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーを通常0.001〜18重量%程度、好ましくは0.01〜15重量%程度、より好ましくは0.1〜10重量%程度使用すればよい。
重合開始剤成分
本発明の硬化性樹脂組成物には、前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーに加えて、必要に応じて、重合開始剤成分を含んでいても良い。
本発明の硬化性樹脂組成物には、前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーに加えて、必要に応じて、重合開始剤成分を含んでいても良い。
重合開始剤成分は、従来公知のものが使用でき、例えば、光重合開始剤を使用することができる。
光重合開始剤としては、多種多様なものが知られており、適宜選択して要すればよい。例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ベンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、アントラキノン、アントロン、ジベンゾスベロン、4,4−ビス(シ゛メチルアミノ)カルコン、P−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、2−(P−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、3,3−カルボニルービス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−フェニルー5−ベンゾイルチオ−テトラゾール等が挙げられる。
重合開始剤成分を使用する場合、1種類単独での使用も可能であるが、2種以上を任意に配合して使用してもよい。重合開始剤成分の添加量は、重合性樹脂成分(シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー、前記樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーの合計量)100重量%に対して、通常0.1〜50重量%程度、好ましくは0.5〜40重量%程度、より好ましくは1〜30重量%程度とすればよい。
溶剤成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤成分を含む必要はないが、必要に応じて溶剤成分を含んでいても良い。溶剤成分としては、従来公知の溶剤成分を使用すればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等が挙げられる。これらの溶剤成分は1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤成分を含む必要はないが、必要に応じて溶剤成分を含んでいても良い。溶剤成分としては、従来公知の溶剤成分を使用すればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等が挙げられる。これらの溶剤成分は1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
溶剤成分を使用する場合、本発明の硬化性樹脂組成物中の溶剤成分の使用量は、重合性樹脂成分(前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー、前記樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーの合計量)100重量%に対して、通常25〜5000重量%程度、好ましくは40〜2000重量%程度、より好ましくは60〜1000重量%程度とすればよい。
その他の成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化膜表面に形状を設けたり、その他の望む機能を付与するために、必要に応じて微粒子、フィラー等を配合してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化膜表面に形状を設けたり、その他の望む機能を付与するために、必要に応じて微粒子、フィラー等を配合してもよい。
硬化膜の作製方法
本発明においては、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液とし、該塗液を基材に塗布した後、光照射等を行うことにより硬化膜とすることができる。
本発明においては、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液とし、該塗液を基材に塗布した後、光照射等を行うことにより硬化膜とすることができる。
本発明の硬化膜を得るための手順としては、前記シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、さらに、必要に応じて、重合開始剤成分、溶剤成分、微粒子、フィラー等を適当な配合比で混合溶解させて、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液として調製する。ついで、基材上に塗液を一定の膜厚となるよう塗布し、温風乾燥、真空乾燥等により溶媒成分を除去した後、放射線、電子線、紫外線、可視光線等のエネルギー線を照射することにより硬化膜を得ることができる。
塗液の樹脂方法は特に限定されないが、例えば、ウェットコーティングにより塗布され、その方式として例えばグラビア方式、バーコート方式、ワイヤーバー方式、スピンコート方式、ドクターブレード方式、ディップコート方式、スリットコート方式等が挙げられる。
硬化膜を作製する基材としては、硬化膜の支持が可能であれば特に限定されないが、例えば、光学用途向けハードコートとして利用する場合には透明性を有するシートが望ましい。透明性シートの材質としては、ガラス、プラスチック等が挙げられ、特にプラスチックシートが好ましい。プラスチックとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ブチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらのシートは必要に応じて、バインダー処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の易着処理を行ってもよい。
本発明の硬化膜の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。通常は、100nm〜30μm程度とすることができる。
抗菌性試験方法
本発明においては、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液とし、該塗液を基材に塗布した後、光照射等を行うことにより硬化膜とすることができる。
本発明においては、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液とし、該塗液を基材に塗布した後、光照射等を行うことにより硬化膜とすることができる。
本発明の硬化膜を得るための手順としては、前記(メタ)アクリレート系共重合体、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、さらに、必要に応じて、重合開始剤成分、溶剤成分、微粒子、フィラー等を適当な配合比で混合溶解させて、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液として調製する。ついで、基材上に塗液を一定の膜厚となるよう塗布し、温風乾燥、真空乾燥等により溶媒成分を除去した後、放射線、電子線、紫外線、可視光線等のエネルギー線を照射することにより硬化膜を得ることができる。
塗液の塗工方法は特に限定されないが、例えば、ウェットコーティングにより塗布され、その方式として例えばグラビア方式、バーコート方式、ワイヤーバー方式、スピンコート方式、ドクターブレード方式、ディップコート方式、スリットコート方式等が挙げられる。
硬化膜を作製する基材としては、硬化膜の支持が可能であれば特に限定されないが、例えば、光学用途向けハードコートとして利用する場合には透明性を有するシートが望ましい。透明性シートの材質としては、ガラス、プラスチック等が挙げられ、特にプラスチックシートが好ましい。プラスチックとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ブチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらのシートは必要に応じて、バインダー処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の易着処理を行ってもよい。
本発明の硬化膜の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。通常は、100nm〜30μm程度とすることができる。
下記実施例1〜7で作製した試験片の抗菌力を以下の方法により評価した。被検菌には大腸菌(IFO3301)を用い、菌数が102前後となるように希釈液を調製した。次いで試験片(5cm四方)に200μLの希釈液を滴下し、低栄養寒天培地に密着させ、35℃で24時間培養した。その後、普通栄養寒天培地に試験片の植え替えを実施し、35℃で24時間培養した。培養後の菌の生育状態を確認した。上記のようにして得られた抗菌性試験の結果を下記表2に示した。
本発明の内容を以下の実施例により説明するが、本発明の内容は実施例により限定して解釈されるものではない。
合成例1
冷却管を備えた三つ口フラスコ(100mL)内に、チッソ(株)製FM0711(A−1)2.80g(5mmol)、大阪有機合成工業製DMAMC(B−1)24.3g(100mmol)、メチルエチルケトン54.3g、2−プロパノール54.3g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル0.24g(1.1mmol)を入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら反応溶液を80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を1H−NMRの、それぞれのアクリレート特有のピークの消失で確認した。溶媒を留去し、目的のシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマーが定量的に得られた。
合成例1
冷却管を備えた三つ口フラスコ(100mL)内に、チッソ(株)製FM0711(A−1)2.80g(5mmol)、大阪有機合成工業製DMAMC(B−1)24.3g(100mmol)、メチルエチルケトン54.3g、2−プロパノール54.3g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル0.24g(1.1mmol)を入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら反応溶液を80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を1H−NMRの、それぞれのアクリレート特有のピークの消失で確認した。溶媒を留去し、目的のシロキシ基含有トリアルキルアンモニウムオリゴマーが定量的に得られた。
チッソ(株)製FM0711(A−1)の構造式を以下に示す:
大阪有機合成工業製DMAMC(B−1)の構造を以下に示す。
合成例2
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりにチッソ(株)製FM0725(A−2)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりにチッソ(株)製FM0725(A−2)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
チッソ(株)製FM0725(A−2)の構造式を以下に示す:
合成例3
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりにチッソ(株)製TM−0701T(A−3)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりにチッソ(株)製TM−0701T(A−3)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
チッソ(株)製TM−0701T(A−3)の構造式を以下に示す:
合成例4
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりに信越化学工業(株)製X−22−2475(A−4)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりに信越化学工業(株)製X−22−2475(A−4)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
信越化学工業(株)製X−22−2475(A−4)の構造を以下に示す:
合成例5
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりに信越化学工業(株)製X−22−164A(A−5)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりに信越化学工業(株)製X−22−164A(A−5)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
信越化学工業(株)製X−22−164A(A−5)の構造を以下に示す:
合成例6
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりに信越化学工業(株)製X−22−164E(A−6)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
合成例1と同様の手順で、単量体(A−1)の代わりに信越化学工業(株)製X−22−164E(A−6)を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
信越化学工業(株)製X−22−164E(A−6)の構造を以下に示す:
合成例7
合成例1と同様の手順で、単量体(A−3)、単量体(B−1)、単量体(C−1)として日油製AE−90を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
合成例1と同様の手順で、単量体(A−3)、単量体(B−1)、単量体(C−1)として日油製AE−90を用いて合成を実施した。単量体割合は表1に示したとおりである。
日油製AE−90(C−1)の構造を以下に示す:
実施例1〜7
合成例1〜7に記載のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー0.04重量%(50重量%溶液品)、およびフェノール系樹脂20重量%をメチルエチルケトンに加え、PETフィルム(100μm厚)にバーコーター(No.8)を用いてコーティング処理を施した。その後、80℃で3分間乾燥させた。その後、UV照射装置を用いて塗膜を硬化させた。硬化後の抗菌性付与樹脂組成物を切出して抗菌性試験用の試験片として用い、抗菌性試験を実施した。その抗菌性試験結果を表2に示す。
合成例1〜7に記載のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマー0.04重量%(50重量%溶液品)、およびフェノール系樹脂20重量%をメチルエチルケトンに加え、PETフィルム(100μm厚)にバーコーター(No.8)を用いてコーティング処理を施した。その後、80℃で3分間乾燥させた。その後、UV照射装置を用いて塗膜を硬化させた。硬化後の抗菌性付与樹脂組成物を切出して抗菌性試験用の試験片として用い、抗菌性試験を実施した。その抗菌性試験結果を表2に示す。
比較例1
抗菌剤未添加で実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
抗菌剤未添加で実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
比較例2
無機系抗菌剤としてノバロンAG300を樹脂に対して5重量%使用し、実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
無機系抗菌剤としてノバロンAG300を樹脂に対して5重量%使用し、実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
比較例3
単量体(B−1)を抗菌剤として樹脂に対して5重量%使用し、実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
単量体(B−1)を抗菌剤として樹脂に対して5重量%使用し、実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
比較例4
単量体(B−1)を抗菌剤として樹脂に対して20重量%使用し、実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
単量体(B−1)を抗菌剤として樹脂に対して20重量%使用し、実施例と同様の手順で試験片を作製し、抗菌性試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
抗菌性の評価
(1)抗菌性
評価基準 : ◎ = 菌の生育なし
○ = コロニー数1〜50
△ = コロニー数が50以上であるが、未添加と比較して抗菌効果が見られる
× = 未添加樹脂組成物と同等以下、抗菌効果が見られない
(2)透明性
試験片の透明性を目視で観察した。
(1)抗菌性
評価基準 : ◎ = 菌の生育なし
○ = コロニー数1〜50
△ = コロニー数が50以上であるが、未添加と比較して抗菌効果が見られる
× = 未添加樹脂組成物と同等以下、抗菌効果が見られない
(2)透明性
試験片の透明性を目視で観察した。
評価基準 : 透明 = ○
濁りあり = ×
(3)塗膜硬度
JIS K 5600-5-4に準じて、試験塗板面に対し約45°の角度に鉛筆の芯を当て、750g荷重で試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm以上動かした。塗膜が破れなかったもっとも硬い鉛筆の硬度記号を塗膜硬度とした。
濁りあり = ×
(3)塗膜硬度
JIS K 5600-5-4に準じて、試験塗板面に対し約45°の角度に鉛筆の芯を当て、750g荷重で試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm以上動かした。塗膜が破れなかったもっとも硬い鉛筆の硬度記号を塗膜硬度とした。
表2から分かるように、本発明の抗菌性組成物は、抗菌性に優れ、透明性にも優れている。
樹脂を変更しても、添加剤を入れることでスジやハジキの抑制が出来、シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーを添加することにより抗菌性が発現する。また、無機系抗菌剤の使用では樹脂組成物の透明性がなくなるが、合成例1〜7のシロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーでは、抗菌性能および透明性に優れている。さらに、比較例4では抗菌性も透明性もあるが塗膜性能が落ちてしまっていたが、シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーの使用で塗膜性能を維持したまま、抗菌性、透明性が得られる。
本発明による、シロキシ基含有トリメチルアンモニウムオリゴマーは、例えば、ガラス、繊維、金属、樹脂、フィルム、光学材料、塗料等の分野で用いられる抗菌性付与剤として有用であり、基材表面に抗菌性、透明性、帯電防止性を付与させることができる化合物として有用である。
Claims (5)
- 下記単量体(1)、単量体(2)を共重合成分として含む(メタ)アクリレート系共重合体を含有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
単量体(1):トリメチルアンモニウム含有(メタ)アクリル系モノマー
単量体(2):シロキシ基含有(メタ)アクリレート
または
[式中、R1は同一又は異なってHまたはCH3を示し、 R2は同一又は異なって炭素数1〜10の2価のアルキレン基、アルキレンオキサイド基または置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を示し、Zは、同一又は異なって単結合、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)、スルホン酸エステル結合(−SO2−O−または−O−SO2−)、スルホンアミド結合(−SO2NH−または−NHSO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)を示し、nは1以上の整数を示し、R3,R4,R5或いはR6,R7は同一または異なっていても良く、夫々Hまたは炭素数1〜8のアルキル基または
- 請求項1記載の(メタ)アクリレート系共重合体へ反応性官能基を付与する為、下記単量体(1)、単量体(2)、および単量体(3)を共重合成分として含む(メタ)アクリレート系共重合体を含有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
単量体(1):トリメチルアンモニウム含有(メタ)アクリル系モノマー
単量体(2):シロキシ基含有(メタ)アクリレート
または
[式中、R1は同一又は異なってHまたはCH3を示し、 R2は同一又は異なって炭素数1〜10の2価のアルキレン基、アルキレンオキサイド基または置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を示し、Zは、同一又は異なって単結合、エステル結合(−COO−または−O−CO−)、アミド結合(−CONH−または−NHCO−)、スルホン酸エステル結合(−SO2−O−または−O−SO2−)、スルホンアミド結合(−SO2NH−または−NHSO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)を示し、nは1以上の整数を示し、R3,R4,R5或いはR6,R7は同一または異なっていても良く、夫々Hまたは炭素数1〜8のアルキル基または
単量体(3):反応可能部位含有(メタ)アクリル系モノマー
- 共重合体の単量体組成が、共重合体全体を100重量%としたとき、単量体(1)が1〜90重量%、単量体(2)が1〜30重量%、および単量体(3)が1〜90重量%、および反応性官能基を有する単量体(4)が0〜50重量%である請求項1または請求項2記載の抗菌性樹脂組成物であって、単量体(4)は、下記式
で表される単量体(3)と反応可能な部位を含有する(メタ)アクリル系モノマーである、抗菌性樹脂組成物。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート系共重合体、その塩交換物、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上の成分を有効成分とすることを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物が硬化性の樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、重合開始成分を含む硬化性樹脂組成物である、請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性樹脂組成物。
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