JP2014008430A - 分離膜エレメント - Google Patents

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剛志 浜田
Masahiro Kimura
将弘 木村
Masakazu Koiwa
雅和 小岩
Kentaro Takagi
健太朗 高木
Hiroho Hirozawa
洋帆 広沢
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Abstract

【課題】分離膜エレメントにおいて、分離膜接着部近辺での微生物の付着、増殖を防ぎ、透過水の微生物による汚染を防止し、また水中での長期保存における供給水側のバイオファウリングを抑制する分離膜エレメントを提供する。
【解決手段】2枚の分離膜または分離膜と支持板を貼り合せることで封止され、内部の一端が集水管に通ずるように構成された、膜分離処理を行う分離膜エレメントにおいて、接着剤に抗菌性を持たせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントおよびその製造方法に関する。
液体、気体等の流体に含まれる成分を分離する方法としては、様々なものがある。例えば海水、かん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術を例にとると、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして分離膜エレメントの利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜には、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜などがある。これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などからの飲料水もしくは工業用超純水の製造、廃水処理、有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントは、分離膜の一方の面に原流体を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、分離膜を多数束ねて膜面積を大きくし、単位エレメントあたりで多くの透過流体を得ることができるように構成されている。分離膜エレメントの形状としては、用途および目的に合うように、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などが提案されている。
分離膜エレメントは、分離膜の他に、流路材、集水管等の部材を備える。例えば、スパイラル型分離膜エレメントの構造としては、長方形の一辺のみ開口した袋状の分離膜と、袋状の分離膜の内部に挿入された透過側流路材と、袋状の分離膜の外側面に対向するように配置された供給側流路材とで構成されたユニットを、集水管の周りに巻き付けたものが、知られている。
分離膜エレメントによって処理される供給水は細菌等の微生物を多く含む。微生物は、長時間にわたる処理によって、供給側流路材に付着し、さらに増殖することによって、バイオファウリングを引き起こす。バイオファウリングが起こると流れ抵抗の増加による供給ポンプの負荷増大、並びに造水量および除去性能の低下といった弊害を生じる。
そこで従来、ファウリング対策として、分離膜エレメント自体に殺菌作用を付与する方法がいくつか提案されている。例えば、分離膜にポリフェノールを含む有機物質および銀イオンを含む水を加圧通水することにより膜の改質を行う方法(特許文献1)、抗菌性を有する供給水側流路材を用いる方法(特許文献2および3)などである。
また、分離膜の種類や、接着不良あるいは長期運転により膜に欠点を生じることによって供給水が透過側へと流入した場合、透過水側に微生物が入りこんで付着および増殖し、得られる透過水に多量の微生物が混入することがある。特に、前記集水管と透過側流路剤との接着部分は接着不良になりやすいことが知られている。
そこで、透過水での微生物の増殖を抑えるために、集水管内部に抗菌性を有する吸着材を充填する方法(特許文献4)、分離膜支持体および透過側流路材に抗菌繊維を用いる方法(特許文献5)などが知られている。
特開2008−142596号公報 特開2010−89081号公報 特開平8−332489号公報 特開平8−267062号公報 特開2001−340734号公報
しかしながら、分離膜の改質または抗菌性を有する供給側流路材を用いても、透過側における微生物の増殖抑制効果は低い。逆に、集水管内部に吸着剤を充填する方法、および分離膜支持体および透過側流路材に抗菌繊維を用いる方法では、供給側における微生物の増殖抑制効果は低い。
また、発明者らは、分離膜同士の接着部分の近傍、分離膜と他の部材との接着部分の近傍においては、流速が遅くなるために微生物が付着しやすく、かつ増殖しやすいので、仮に透過側流路材または分離膜の支持体が抗菌性を有していても、従来の技術では、透過側に供給水が流入した場合など、抗菌効果が充分でない場合があることを見出した。
そこで、本発明はバイオファウリングによる膜性能低下を効果的に抑制すると共に、透過水における微生物の増殖も抑制することができる、分離膜エレメントを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の分離膜エレメントは、供給流体より透過流体を得るための分離膜エレメントであって、前記分離膜エレメントは、分離膜と、透過側流路材と、分離膜エレメント内で部材間を接着する接着部と、を備え、前記接着部の少なくとも一部が、抗菌性を有することを特徴とする。
本発明によれば、分離膜接着部近辺における微生物の付着、増殖を抑制し、接着不良により供給水が透過側へと流入した場合においても、良好な水質を保つことができる。また、前記接着部はエレメントの端面にて供給水側にも接していることから、長期保存時の供給水側におけるバイオファウリングも抑制することができる。
スパイラル型分離膜エレメントであって、その一部を切断および展開した状態を示す斜視図である。 スパイラル型分離膜エレメントの巻回前の斜視図である。 スパイラル型分離膜エレメントの巻回前の側面図である。 平膜型分離膜エレメントの模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
A.第1実施形態
〔1.分離膜エレメント〕
(1−1)概要
本実施形態における分離膜エレメント100は、有孔集水管と、その周りに巻囲された分離膜とを備えるいわゆるスパイラル型エレメントである。具体的には、図1〜図3に示すように、集水管1、分離膜3、透過側流路剤5、供給側流路剤6、第1接着部9、第2接着部10を備える。
集水管1は、中空で、側面に複数の孔を有する管状部材である。分離膜3、供給側流路材6、透過側流路材5は、積層され、集水管1に巻き付けられている。分離膜3は、後述するように、透過側の面が互いに対向するように封筒状に接着されている。接着の詳細については後述する。
分離膜エレメント100の外観は円筒状であり、原水71は、分離膜エレメント100の一方の端面(図1の左側の端面)から分離膜エレメント100の内部へ供給される。端板を通過した原水は、分離膜3の供給側流路を通って分離膜3の供給側の面に供給される。原水71の一部は分離膜3を透過し、透過側流路を通って、透過水73として集水管1に流入する。集水管1内を流れた透過水73は、分離膜エレメント100における逆側の端面(図1の右側の端面)から取り出される。分離膜3を透過しなかった原水71は、分離膜エレメント100の右側の端面から濃縮水72として排出される。
(1−2)分離膜
(a)概要
<概要>
分離膜としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜は、単一層によって形成されていてもよいし、分離機能層と基材とを備える複合膜であってもよい。複合膜においては、分離機能層と基材との間に、多孔性支持層が形成されていてもよい。以下は複合膜について説明する。
<分離機能層>
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5〜3000nmであることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5〜300nmであることが好ましい。
分離機能層の厚みは、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよいし、分離機能のみを備えていてもよい。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、またはポリスルホンを主成分として含有する層が好ましく適用される。
なお、本書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XにおけるYの含有率が、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であることを意味する。また、Yに該当する複数の成分が存在する場合は、それら複数の成分の合計量が、上述の範囲を満たせばよい。
一方、多孔性支持層分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で架橋高分子が好ましく使用される。特に、原流体中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成可能である。
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド分離機能層が得られる。
また、分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造を有してもよい。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層は、例えば、以下の化合物(A)、(B):
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
ハイブリッド構造は、公知の方法で形成可能である。ハイブリッド構造の形成方法の一例は次のとおりである。化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に塗布する。余分な反応液を除去した後、加水分解性基を縮合させるためには、加熱処理すればよい。化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射を行えばよい。重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することができる。
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
<多孔性支持層>
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3〜50nmの投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚みは特に限定されないが、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
多孔性支持層の厚み、孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成される。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることができる。
<基材>
分離膜の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜は基材を有してもよい。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布と比べて、高分子溶液流延時に繊維の毛羽立ちによって起きる不均一化および膜欠点の発生を抑制することができる。さらに、分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるので、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、分離膜に凹凸を付与する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離膜表面の凹凸形状が安定するので好ましい。
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°〜90°であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向、つまり不織布基材の長手方向と、不織布基材を構成する繊維との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本を選び、不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°としたときの角度を測定する。つまり1つの不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維についての角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
基材の厚みは、基材と多孔性支持層との厚みの合計が、30〜300μmの範囲内、または50〜250μmの範囲内となる程度に設定されることが好ましい。
なお、分離膜に含まれる、基材、多孔性支持層および分離機能層等の各層は、上述した成分以外に、着色剤、耐電防止剤、可塑剤等の添加物を、5重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下の割合で含有することができる。
(1−3)透過側流路材
透過側流路材は、重ねられた分離膜3の間で透過側流路を形成するスペーサとして機能する。透過側流路材は、図1および図3に示すようにトリコット等の連続状の部材5であってもよいし、分離膜上に直接配置された樹脂材であってもよい。
分離膜エレメントにおける透過側流路材の厚みは30μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上700μm以下、さらに好ましくは50μm以上500μm以下であり、これらの範囲であれば安定した透過流体の流路を確保することができる。
透過側流路材3の厚みは、要求される分離特性や透過性能の条件を満足できるように自由に調整されればよい。厚みは、例えばホットメルト加工法で不連続形状の透過側流路材を配置させる場合は、処理温度や選択するホットメルト用の樹脂を変更することで調整される、
透過側流路材の厚みは、市販の形状測定システムなどを用いて計測できる。例えば、レーザー顕微鏡による断面からの厚み測定、キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100などで測定することができる。測定は任意の透過側流路材が存在する箇所について実施し、各厚みの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めることができる。
(1−4)供給側流路材
供給側流路材は、図1〜図3に示すようにネットなどの連続状の部材6であってもよいし、分離膜上に直接配置されてもよい。
供給側流路材の厚みは、80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。供給側流路材の厚みが80μm以上であることで、流動抵抗を小さくすることができる。また、供給側流路材の厚みは2000μm以下であることが好ましく、例えば1500μm以下または1000μm以下であることがより好ましい。流路材の厚みが2000μm以下であることで、1個のエレメント当たりの膜面積を大きくすることができる。
(1−5)接着部
分離膜エレメントの部材には、他の部材と固着されているものがある。「固着」とは、超音波による融着、接着剤による接着、テープ止めによる接着等の各種形態を含む。接着により部材間を固着する部分を、以下「接着部」と称する。つまり、接着部とは、塗布されて固化した接着剤、テープ等を含む。
接着部の少なくとも一部は、抗菌性を有する。「抗菌性を有する」とは、細菌等の微生物の増殖を抑制することができる効果を有することを指し、殺菌性を有する場合を含む。なお、接着部は、少なくとも一種の微生物の増殖を抑えることができればよい。
また、抗菌性を有する接着部が設けられる位置は、供給水および透過水に接することが好ましい。つまり、接着部は、供給水が存在しうる空間と透過水が存在しうる空間との境界となる箇所であることが好ましい。
供給水が存在しうる空間とは、正常な状況下で供給水が流れる空間であり、例えば供給側流路(スパイラル型エレメントにおいて、分離膜の供給側の面間に設けられた隙間)、分離膜エレメントの長手方向における両端部分である。透過水が存在しうる空間とは、正常な状況下で透過水が流れる空間であり、例えば透過側流路(スパイラル型エレメントにおいて、分離膜の透過側の面間に設けられた隙間)である。
上記境界に位置する接着部としては、たとえば向かい合う2枚の分離膜(一枚の分離膜が折り畳まれたものであってもよい)の透過側の面同士の接着部分、あるいは分離膜の透過側の面と透過側流路材の接着部分などが挙げられる。また、スパイラル型分離膜エレメントにおける、集水管と透過側流路材との接着部分も、境界に位置する接着部の一例である。これらの接着部分は、分離膜の端部近傍、特に集水管の長手方向における端部の近傍、つまりスパイラル型分離膜エレメントの円柱形状における上面または下面の近傍に位置する。ここに位置することで、接着部は、エレメントの内部で透過流体と接すると共に、エレメントの端面にて供給流体と接することができる。つまり、接着部は、供給水および透過水の両方に接することができる。一般に、分離膜の透過側における接着部近傍は流速が遅くなるため、微生物が付着、増殖しやすい。そのため、分離膜の種類や長期運転により膜に欠点を生じる、もしくは接着不良により供給水が透過側に流入することで透過側に微生物が混入すると、接着部近傍で微生物が付着、増殖し、その結果、透過流体が微生物に汚染されるおそれがある。特に、集水管と透過側流路材を接着する部分は、接着不良が起こりやすいという問題もある。
これらの問題は、接着部が抗菌性を有することで解決される。透過側流路材および分離膜の基材と比べ、接着部分は透過側流路材や基材に比べて面積が狭いため、抗菌剤の使用量を大幅に減らすことが可能である。さらに、上述したように接着部が供給および透過側の両方に接することで、長期保存時等における分離膜の供給側面のバイオファウリングを抑制する効果も実現される。
以下、これらの接着部について、図面を参照してより具体的に説明する。
図2および図3に示すように、分離膜3は重ねられて貼り合わされることで、封筒状膜を形成している。
具体的には、長方形の分離膜3は、供給側の面が内側を向くように二つ折りにされる。供給側流路材6は、分離膜3の供給側の面の間に挟まれるように配置される。
二つ折りにされた分離膜3は、透過側流路材5と交互に重ねられる。二つ折りの分離膜3は、折り目が集水管1と対向するように配置される。長方形状の4辺のうち、折り目に相当する1辺を除く3辺の近傍には接着部10が設けられている。互いに対向する分離膜3の透過側の面の間は、接着部10により、透過側流路材5を挟んで接着される。つまり、U字型の接着部10により、分離膜3は集水管1に向かって開口した封筒状に接着される。
図2および図3に示すように、透過側流路材5は、分離膜3より大きな面積を有している。分離膜3は、透過側流路材5の集水管1側の端部から離れるように配置されている。つまり、分離膜3と集水管1との間の領域では、複数の透過側流路材5が分離膜3を介さずに直接重なっている。この領域において、複数の透過側流路材5は、集水管1の長手方向において、両端部分の近傍に設けられた接着部9によって、互いに接着される。具体的には、接着部10のU字の両端は分離膜3の折り目側の端部を越えて集水管1に向かって延びており、接着部9を形成している。
また、図3で最も上に配置されている透過側流路材5および分離膜3は、集水管1の周囲に巻囲されることで、接着部9および10を介して集水管1に接着される。
接着部を形成する接着剤は、粘度が40PS以上150PS以下の範囲内であることが好ましく、さらに50PS以上120PS以下がより好ましい。接着剤粘度が150PS以下であることで、分離膜エレメントを作製する際に、分離膜にシワが発生することによる分離膜エレメントの性能の損失が抑制される。逆に、接着剤粘度が40PS以上であることで、分離膜エレメントの端部(接着部)から接着剤が流出しにくい。接着剤が流出すると、エレメント製造装置を汚し、その結果として分離膜の不要な部分に接着剤が付着して分離膜エレメントの性能を損なうと共に、流出した接着剤の処理作業により作業効率が著しく低下する。
接着剤の種類としては特に限定されないが、エチレン酢酸ビニル共重合体やポリオレフィン樹脂などのホットメルト系、アクリル系樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの反応系の接着剤を用いることが出来る。中でもウレタン系接着剤が好ましく、粘度を40PS以上150PS以下の範囲とするには、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとが、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の割合で混合されたものが好ましい。接着剤の粘度は、予め主剤、硬化剤単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度をB型粘度計(JIS K 6833)で測定される。
接着剤の塗布量は、分離膜を集水管に巻囲した後、または分離膜を透過側流路材に接着した後に、塗布幅10mm以上100mm以下が確保出来るような量とすることが好ましい。この範囲であれば、接着不良の部分から供給流体の透過側への流入を抑制することができ、また接着剤が広がることで有効膜面積が低減することを抑制することが出来る。
(1−6)抗菌剤
接着部の抗菌性は、接着部が抗菌剤を含有することで実現される。
接着部が含有する抗菌剤は、特に制限されるものではなく、一般に知られる無機系抗菌剤および有機系抗菌剤のなかから1種以上を任意に選択して使用することができる。無機系抗菌剤としては、銀、銅および亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の金属イオンが好ましく、有機系抗菌剤としては、キトサンおよびその分解物、クロロフェノール類、並びにジメチルフェニルスルファミドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
抗菌性金属イオンにおいてはゼオライトのような多孔性微粒子に担持させた抗菌剤を好適に用いることができる。例えば銀ゼオライトの化合物は、下記一般式〔I 〕:
Agxyz2(PO43 〔I〕
(Aはアルカリ金属、MはZr,Ti又はSn、x,y及びzは、各々1未満の正数であり、かつx+y+z=1である。)で示される化合物が好ましい。これは空間群R3cに属し、各構成イオンが3次元網目を作る化合物である。
上式におけるAはアルカリ金属であり、具体的にはLi,Na及びK等の金属であり、MはZr,Ti又はSnである。上記のリン酸塩系化合物の具体例としては、以下のものがある。
Ag0.010.95Li0.04Zr2 (PO43
Ag0.050.85Li0.10Zr2 (PO43
Ag0.100.80Li0.10Ti2 (PO43
Ag0.100.85Li0.05Zr2 (PO43
Ag0.200.75Li0.05Ti2 (PO43
Ag0.300.45Na0.25Zr2 (PO43
Ag0.350.60Na0.05Sn2 (PO43
Ag0.500.450.05Sn2 (PO43
Ag0.500.40Li0.10Ti2 (PO43
Ag0.700.250.05Ti2 (PO43
Ag0.920.05Li0.03Zr2 (PO43
上記のリン酸塩系化合物は、例えば以下のようして得られる。
即ち、炭酸リチウム(Li2 CO3 )又は炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )等のアルカリ金属を含有する化合物、酸化ジルコニウム(ZrO2)又は酸化チタン(TiO2 )等のZr、Ti又はSnを含有する化合物及びリン酸二水素アンモニウム(NH42PO4 )等のリン酸基を含有する化合物をモル比で約1:4:6となるように混合する。こうして得られた混合物を、1100〜1400℃で焼成することにより、一般式 AM2 (PO43 (A及びMは上記と同じ)で示される化合物が得られる。その後、得られた化合物を常温〜100℃における硝酸、硫酸または塩酸等の無機酸水溶液中に浸漬することにより、一般式H(1-Z)Z2 (PO43 で示される化合物〔II〕を得る。更にこれを適当な濃度で銀イオンを含有する水溶液中に浸漬することにより、一般式Agxyz2(PO43 で示される化合物〔I〕を得る。
一般に、化合物〔I〕におけるxおよびyの値は大きい方が、高い防かび及び抗菌性を発揮させることができるので、化合物〔I〕におけるzの値は小さい方がよく、0.3未満の値とすることが好ましい。また、アルカリイオンとHイオンとのイオン交換反応の容易性から、下限は0.05以上とするのが好ましい。
xの値が極めて小さい場合でも防かび及び抗菌性を発揮させることができるが、xが0.001未満であると長時間防かび及び抗菌性を発揮させることが困難となる恐れがあることと、経済性をも考慮すると、0.01以上かつ0.5以下の値とするのが好ましい。
また、xの値は、必要とする特性及び使用条件等に応じて、水溶液における銀の濃度又はその水溶液に化合物〔II〕を浸漬する時間又は温度等を調整することにより、適宜調整することができる。
なお、yの値は(1−x−z)に等しい値であるので、上記のようにx及びzの値を好ましい範囲にすれば、yの好ましい値は0.2より大きく0.94以下の値と自から決定される。
この化合物は熱及び光の暴露に対して安定であり、800℃での加熱後であっても構造及び組成が変化しにくく、また紫外線の照射によっても変色しにくい。従って、各種成形加工物を得る際の加工条件において、従来の有機系の抗菌剤のように、加熱温度および遮光条件等の制約が小さい。
抗菌剤として用いられる銀化合物は、以下のように銀イオンとHイオンが関与する複合作用により、防かび及び抗菌性を発揮する。
まず、化合物〔I〕が水分と接触すると、銀イオンの極微量がイオン化して溶出する。防かび及び抗菌性を発揮させるのに必要な銀イオン濃度は、対象となるかび、菌の種類及び環境により異なるが、数μg/L〜数百μg/Lの範囲と言われている。
抗菌剤の溶出量は、接着部が抗菌性を保つことができる程度に低く抑えられることが好ましい。一般式におけるx及びyの値を上述の範囲とすることによって、抗菌剤の溶出量は、好ましい範囲に容易に制御できる。その理由は、化合物中における銀原子と酸素原子との結合において共有性が強いため、溶出を極微量にすることが可能となったものと考えられる。
また、化合物〔I〕におけるHイオンは、化合物内で酸素原子とのイオン結合によって存在し、水分との接触によってイオン平衡に達するまで容易に遊離させることができ、その結果、液性が酸性になり、酸に弱いかび及び菌の発生を抑制するのに効果がある。上記の複合作用は、ゼオライト等の粘土鉱物には見られない作用である。
銀ゼオライトとしては粒子径0.3〜0.8μm、真比重2.5〜3.5、見掛け比重0.15〜0.25g/cm3 、水分1%以下のものが、生産性を損なわずに安定した性能を示す。
銀系無機抗菌剤としては東亞合成化学工業(株)の「ノバロンAG300」などがよく知られている。
キトサンおよびその分解物は、一般に、キトサンは、エビ、カニ等の甲殻類の外皮の構成成分であるキチンを30〜50%の濃度範囲のアルカリ溶液、例えば、水酸化ナトリウム水溶液と共に60以上の温度に加熱し、脱アセチル化することによって得られる親水性高分子物質である。かかるキトサンは、構造的には、D−グルコサミンを基本単位とするβ−(1→4)結合からなる化学構造を有する多糖類であって、酢酸、塩酸、リン酸等の希薄な水溶液には塩を形成して容易に溶解するが、これをアルカリ水溶液と接触させるときは、再び凝固析出する性質を有している。また、このようなキトサンやその分解物は、植物病原性のカビや S. aureus等の細菌類に対して抗菌性を有する。
クロロフェノール類とはフェノール化合物であって塩素基を有する化合物を指す。クロロフェノール類としては、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル)、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノールペンタクロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、4−クロロ−m−クレゾール、2,3,6−トリクロロフェノール、2,3−ジクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、2,3,4,6−テトラクロロフェノール、4−クロロ−3,5−キシレノール、2,4−ジクロロ−3,5−キシレノール、4−クロロ−3−メチル−6−イソフプロピルベンゼン、p−クロロ−o,n−アミルフェノール、p−クロロ−o,n−ヘキシルフェノール、p−クロロ−o,n−オクチルフェノール、p−クロロ−o−チクロヘキシル・フェノール、p−クロロ−o−チクロペンチル・フェノール、p−クロロ−o−ベンジル・フェノール、p−クロロ−o−ベンジル−m−クレゾール、ジクロロ−(p−クロロベンジル)−m−クレゾール、p−クロロ−o−フェニル・フェノールジクロロフェン、ブロムクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ビチオノールや、その誘導体など、その抗菌作用に応じて限定されることなく用いることができる。なかでも、抗菌効果や保持性能とのバランスから、ベンゼン環を1個または2個有するものが良く、特に水処理に用いる場合のその保持性能からベンゼン環2個のものが好ましい。
ジメチルフェニルスルファミドを有効成分とする有機系抗菌剤は、細菌やカビ等の細胞膜を構成する酵素の働きを阻害することにより抗菌・防カビ効果を発揮するもので、各種の菌に広く優れた抗菌性を発揮する。また、安全性に優れ、熱や化学物質に対しても安定である。市販品としては、例えばエプロ(株)製の「インナーミル」が挙げられる。
接着部に抗菌性を付与する方法としては、あらかじめ接着剤に抗菌剤を混入させておく方法や接着剤塗布時に混入させる方法が用いられる。
抗菌剤の含有量について、含有量が低すぎると十分な抗菌効果が得られず、逆に含有量が高すぎると抗菌成分の溶出量が多くなり、安全上の問題が懸念されるため、接着剤全重量中0.05〜10重量%とするのが望ましい。接着剤全重量とは接着剤塗布時(硬化前)の重量のことである。
〔2.分離膜エレメントの製造方法〕
分離膜エレメントは、以下の製造方法に限定されるものではないが、分離機能層を多孔性支持層、基材に積層し、分離膜を得た後に成形、透過側流路材を配置してスパイラル型エレメントを製造する代表的な方法について述べる。
(2−1)分離膜の製造
分離膜における各層の製造工程については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。
良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材との複合体を形成する。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜の連続シートを作製する。
なお、化学処理の前または後で、エンボス等によって分離膜に凹凸を形成してもよい。
(2−2)エレメントの組み立て
従来のエレメント製作装置を用いて、例えば、リーフ数26枚、有効面積37mの8インチエレメントを作製することができる。エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。
図2および図3を参照して説明したように、透過側流路材5および供給側流路材6を間に挟むように分離膜3を積層し、各層間に接着剤を塗布して、互いに接着する。硬化した接着剤が上述の接着部を構成する。
こうして、分離膜リーフと呼ばれる積層体が形成される。集水管1の周囲に、分離膜リーフが巻き付けることで、スパイラル型の膜構造が形成される。
なお、供給側流路材や透過側流路材に樹脂を用いて形成する場合、塗布方法は分離膜の供給側の面の帯状端部に目的のパターンで配置できる方法であれば特に限定されないが、例えばノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、ロール型コーター、グラビア法、押出型コーター、印刷、噴霧等が挙げられる。
樹脂を塗布する工程は、分離膜製造におけるどのタイミングで行われてもよい。例えば、分離膜を作製する前の段階で支持膜を加工する工程、又は、支持膜および基材の積層体を加工する工程、分離膜を加工する工程等において、樹脂を塗布することができる。
また、樹脂を分離膜に融着させる場合に利用される熱融着法としては、熱風溶着、熱板溶着、レーザー溶着、高周波溶着、誘導加熱溶着、スピン溶着、振動溶着、超音波溶着、DSI成形などが挙げられる。
樹脂の種類、熱融着等の熱処理時の温度などを変更することによって、透過側流路材および供給側流路材の断面形状、厚み(高低差)等を調整することができる。
B.第2実施形態
本発明は、平膜型分離膜エレメントに適用することもできる。平膜型分離膜エレメントは、図4に示すように、平板状の支持板22の両面に分離膜23が、その周縁部で接着部24によって接着固定されることで、分離膜23の内外が仕切られた構造を有する。支持板22には、支持板22と分離膜23との間の空間に連通した集水管21が設けられており、分離膜23の外側から支持板22と分離膜23との間の空間にろ過されたろ過水が集水管21から排出される。接着部分24はエレメントの内部で透過流体、エレメントの端面にて供給流体と接する。
分離膜23としては、上述した分離膜のいずれも適用することができる。また、接着部24としては、上述の抗菌剤を含有する接着剤が適用される。
平膜型エレメントにおいて、透過側流路剤として使用される支持板22は、平板状のものであれば特に限定されず、材質としては、ASTM試験法のD790における曲げ弾性率が300MPa程度以上の剛性を持つ材質であれば特に限定されるものではない。たとえば、支持板を構成する材料としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル、ハイインパクトポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂、またはその他の材料を選択および使用することができる。
なお、上述した以外の、平膜型分離膜エレメントの各部材の組成および寸法、並びに接着方法等としては、上述したスパイラル型分離膜エレメントにおける構成を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
<分離膜エレメントによる造水量>
分離膜エレメントによって供給水を透過水と濃縮水とに分離したときに得られた透過水量を、分離膜エレメント造水量として、1本のエレメントにおける1分あたりの透水量を造水量(L/分)として表した。
<分離膜エレメントによる塩除去率>
透過液中の塩濃度および原水中の塩濃度を各液の電気伝導度を測定することにより求め、塩除去率を次式により求めた。
塩除去率(%)=(1−透過液中の塩濃度/原水中の塩濃度)×100
<生菌数の測定方法>
JIS K0350−20−10に準拠して測定した。以下に試験概要を示す。採水瓶に採取した試料を、メスピペットを用いて3個のペトリ皿に1mLずつ移した。デオキシコール酸塩寒天培地を約70℃の水浴中で加熱して溶かした後、約50℃に保ち、その約15mLを無菌的にそれぞれのペトリ皿に加え、固まらないうちに、緩やかに回しながら揺り動かして混合した。水平の状態で放冷した後、更にデオキシコール酸塩寒天培地を5〜10mL加えて重層し、凝固させた。ペトリ皿にふたをし、培養器内にて36±1℃で約20時間培養させ、集落計数器を用いて培地に生成した定型的集落数を計数し、平均値を求めて試料1mL中の個数(個/mL)を測定した。
<実施例1>
ポリエステル長繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec、繊維配向度:多孔性支持層側表層40°、多孔性支持層とは反対側の表層20°)上にポリスルホンの15.0重量%、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を180μmの厚みで室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜(厚さ130μm)のロールを作製した。
その後に、支持膜のポリスルホンがキャストされた面に、多官能アミン全体で3.5重量%、メタフェニレンジアミン/1,3,5−トリアミノベンゼン=60/40モル比となるように調製した多官能アミン水溶液を塗布し、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.15重量%を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアーブローで除去し、90℃の熱水で洗浄して分離膜連続シートを得た。
続いて分離膜シートを適切な大きさに切断し、分離機能層が内側になるように、供給側流路材としてポリプロピレン製ネット(厚み0.9mm、ピッチ7.5mm)を挟み込んで折りたたみ、分離機能層と反対側の面にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を図2の接着部分10のようにU字型に集水管への巻囲後の塗布幅が40mmとなるよう塗布した後、透過側流路材としてのトリコット、および次の分離膜を重ね合わせて、分離膜エレメントでの有効面積が0.4mになるように、幅300mmで2枚のリーフを作製した。
ウレタン系接着剤としては、ポリオール中に銀系無機抗菌剤を接着剤前重量に対して1重量%となるように混入しておき、塗布直前にイソシアネートと混ぜたものを使用した。
その後、トリコットの所定部分を有孔集水管の外周面に両面テープで固定し、図2の接着部9の位置に接着部10で用いた接着剤と同様のウレタン系接着剤を塗布し、スパイラル状に巻囲した分離膜エレメントを作製し、外周にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカットを行い、2インチ1/4サイズエレメントを作製した。
分離膜エレメントをプラスチック製筒型圧力容器に入れて、塩化ナトリウム濃度0.5mg/L、大腸菌数10個/Lの供給水を用い、運転圧力0.5MPa、運転温度25℃、pH6.5で運転(回収率15%)し、評価を行った。評価後、RO水中にて3ヶ月間、25℃で保管し、再度同様の条件で評価を行った。評価結果を表1に示す。初期性能と3ヶ月間の水中保管後の性能に変化は無く、また透過水中の生菌数も低い結果であった。
<実施例2〜4>
実施例2では、銀系無機抗菌剤の含有量を接着剤全重量に対し0.005重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
同様に実施例3では銀系無機抗菌剤の含有量を接着剤全重量に対し0.05重量%に変更し、実施例4では10重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、抗菌剤の含有量が少なすぎると抗菌性が十分ではなく、透過水中の生菌数が増加した。
<実施例5、6>
実施例5では、銀系無機抗菌剤の代わりに銅系無機抗菌剤を用いた以外は実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
実施例6では、銀系無機抗菌剤の代わりに亜鉛系無機抗菌剤を用いた以外は実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。亜鉛系無機抗菌剤を用いた条件では、3ヶ月間の水中保管後の性能は初期性能に比べて透過水量、塩除去率ともに若干低い値となったが、透過水中の生菌数は低い値であった。
<実施例7〜9>
実施例7では、銀系無機抗菌剤の代わりにトリクロサンを用いた以外は実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
同様に、実施例8では銀形無機抗菌剤の代わりにキトサンを用いた以外、実施例9ではジメチルフェニルスルファミドを用いた以外は、実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。トリクロサンを用いた条件では、3ヶ月間の水中保管後の性能は初期性能に比べて透過水量、塩除去率ともに若干低い値であり、透過水中の生菌数も比較的高い値であった。キトサン、ジメチルフェニルスルファミドを用いた条件では、性能低下はなく、透過水中の生菌数も低い値であった。
<実施例10〜12>
実施例10では、接着剤の塗布幅を5mmに変更した以外は実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
同様に実施例11では塗布幅を10mmに変更した以外、実施例13では塗布幅を100mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。表1から明らかなように、接着剤の塗布幅を減らすことで分離膜の有効膜面積が増加するため透過水量が増加する。しかし、実施例12と他の結果とを比べて分かるように、塗布幅は5mmより大きい方が、接着部分からの漏れが少なく、高い塩除去率が得られる。
<実施例13、14>
実施例13では、有孔集水管と透過側流路材の接着部分9のみ抗菌性接着剤を使用し、分離膜と透過側流路材の接着部分10については従来の接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
実施例14では、分離膜と透過側流路材の接着部分10のみ抗菌性接着剤を使用し、有孔集水管と透過側流路材の接着部分9については従来の接着剤を用いた以外は実施例1と同様にしてエレメントを作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。いずれも3ヶ月間の水中保管後の性能は初期性能に比べて透過水量、塩除去率ともに若干低い値となったが、透過水中の生菌数は有孔集水管と透過側流路材の接着部分に抗菌性接着剤を用いたエレメントの方がより低い値であった。
<比較例1>
比較例1では、抗菌剤を含有しない接着剤を用いることで、スパイラル型分離膜エレメントを作製した。接着剤以外の製造工程は、実施例1と同様であった。
評価結果を表1に示す。3ヶ月間の水中保管後の性能は初期性能に比べ、透過水量、塩除去率ともに低下した。これは分離膜の供給側の面においてバイオファウリングが起こったためであると考えられる。また、透過水中の生菌数も増加していた。
<比較例2〜4>
比較例2では、供給側流路剤であるネットに銀系抗菌剤をネット部材に対して1重量%付与したものを用いた以外は、比較例1と同様にして分離膜エレメントを作製した。
評価結果を表1に示す。抗菌性を有するネットが分離膜の供給側の面に接しているため、膜面のバイオファウリングは抑制され、透過水量、塩除去率に変化はなかったが、透過水中の生菌数が増加した。
比較例3では、分離膜の基材である不織布に銀系抗菌剤を不織布部材に対して1重量%付与したものを用いた以外は、比較例1と同様にして分離膜エレメントを作製した。
評価結果を表1に示す。抗菌性を有する基材が透過側の面に接しているため、透過水中の生菌数に増加は見られなかったが、供給側でバイオファウリングが起こったため、透過水量が低下した。
比較例4では、透過側流路剤であるトリコットに銀系抗菌剤をトリコットに対して1重量%付与したものを用いた以外は比較例1と同様にして分離膜エレメントを作製した。
評価結果を表1に示す。比較例3と同様に、抗菌性を有する基材が透過側の面に接しているため、透過水中の生菌数に増加は見られなかったが、供給側でバイオファウリングが起こったため、透過水量が低下した。
Figure 2014008430
1 :集水管
3 :分離膜
5 :透過側流路材
6 :供給側流路材
71 : 供給水
72 : 濃縮水
73 : 透過水
9 : 第1接着部(集水管と透過側流路材の接着部分)
10 : 第2接着部(分離膜と透過側流路材の接着部分、分離膜間の接着部分)
21 : 集水管
22 : 支持板
23 : 分離膜
24 : 接着部(分離膜と支持板との接着部分)

Claims (7)

  1. 供給流体より透過流体を得るための分離膜エレメントであって、前記分離膜エレメントは、分離膜と、透過側流路材と、分離膜エレメント内で部材間を接着する接着部と、を備え、前記接着部の少なくとも一部が、抗菌性を有することを特徴とする分離膜エレメント。
  2. 抗菌性を有する前記接着部の少なくとも一部が、供給流体が流れる空間と透過流体が流れる空間との境界を形成することを特徴とする、請求項1に記載の分離膜エレメント。
  3. 前記分離膜エレメントは、中空状の有孔集水管と、前記分離膜、供給側流路材、および透過側流路材を含み、かつ前記有孔集水管に巻き付けられたユニットを備えるスパイラル型であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離膜エレメント。
  4. 前記接着部が、抗菌剤として、抗菌性金属イオンおよび有機系抗菌剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜エレメント。
  5. 抗菌性金属イオンは銀、銅および亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜エレメント。
  6. 有機系抗菌剤は、キトサンおよびその分解物、クロロフェノール類、並びにジメチルフェニルスルファミドからなる群より選択される少なくとも1種の抗菌剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜エレメント。
  7. 前記接着部は、硬化した接着剤によって形成されており、接着剤が硬化する前の重量中、前記抗菌剤の含有量が0.05〜10重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の分離膜エレメント。
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