JP2014005460A - コポリマー、有機半導体材料、有機電子デバイス及び太陽電池モジュール - Google Patents

コポリマー、有機半導体材料、有機電子デバイス及び太陽電池モジュール Download PDF

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理恵子 藤田
Junya Kawai
潤也 河井
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Abstract

【課題】半導体材料として使用可能な、溶液としたときに安定性が高いコポリマーを提供する。
【解決手段】式(1A)で表される繰り返し単位及び式(1B)で表される繰り返し単位を含むコポリマー。(式(1A),(1B)中、Aは16族元素の原子、QはC,Si,Ge,Sn及びPbの原子、R〜Rはヘテロ原子を有してもよい炭化水素基。)
Figure 2014005460

Figure 2014005460

【選択図】図1

Description

本発明はコポリマー、並びにコポリマーを含む有機半導体材料、有機電子デバイス及び太陽電池モジュールに関する。
有機太陽電池、有機EL素子、有機薄膜トランジスタ、及び有機発光センサー等の有機電子デバイスの半導体材料として、π共役高分子が用いられている。特に有機太陽電池においては、太陽光の吸収効率を向上させることが望まれており、長波長(600nm以上)の光を吸収できるポリマーの開発が重要である。吸収波長の長波長化をなしとげるために、ドナー性モノマーとアクセプター性モノマーの共重合体(以後、コポリマーということがある)を光電変換素子に用いた例が報告されている。
具体的には、非特許文献1にはイミドチオフェン骨格とジチエノシクロペンタジエン骨格を有するコポリマーを使用した光電変換素子が記載されている。また、非特許文献1,2及び特許文献1には、イミドチオフェン骨格とジチエノシロール骨格を有するコポリマーを使用した光電変換素子が記載されている。さらに非特許文献2には、イミドチオフェン骨格とジチエノゲルモール骨格を有するコポリマーを使用した光電変換素子が記載されている。
国際公開第2011/028827号
J.Mater.Chem.,2011,21,3895−3902 J.Am.Chem.Soc.,2011,133,10062−10065
有機電子デバイスをより容易に作製するためには、有機半導体材料を溶解させた溶液(以下、インクということある)を作製し、このインクを塗布する等して有機半導体材料を成膜することが望ましい。しかしながら本願発明者らが検討したところ、上記のコポリマーと有機溶媒とを含有するインクは、室温にて数分間静置するだけでゲル化するという課題が見出された。
本発明は、半導体材料として使用可能な、溶液としたときに安定性が高いコポリマーを提供することを目的とする。
本願発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ジオキソピロール縮合環骨格を有する繰り返し単位と、ジチエノ縮合環骨格を有する2種以上の繰り返し単位とを含有するコポリマーは、溶液とした時に安定性が高いことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1]下記式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位及び式(1C)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とするコポリマー。
Figure 2014005460
Figure 2014005460
Figure 2014005460
(式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Q及びQは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子を表し、R〜Rは各々独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
[2]下記式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、[1]に記載のコポリマー。
Figure 2014005460
Figure 2014005460
(式(2A)及び式(2B)中、A及びAは各々独立して周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Q及びQは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子を表し、R〜Rは各々独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
[3][1]又は[2]に記載のコポリマーを含むことを特徴とする、有機半導体材料。
[4][3]に記載の有機半導体材料を含むことを特徴とする、有機電子デバイス。
[5]光電変換素子であることを特徴とする、[4]に記載の有機電子デバイス。
[6]太陽電池であることを特徴とする、[4]に記載の有機電子デバイス。
[7][6]に記載の有機電子デバイスを備えることを特徴とする、太陽電池モジュール。
半導体材料として使用可能な、溶液としたときに安定性が高いコポリマーを提供することができる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
<1.本発明に係るコポリマー>
本発明に係るコポリマーは、下記式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位及び式(1C)で表される繰り返し単位を含む。本発明に係るコポリマーは、溶解させた際にゲル化しにくいため、塗布成膜するために適している。また、本発明に係るコポリマーは、光吸収波長領域がより長波長にあり、かつ光吸収性が高く、さらに高い移動度を有する点から好ましい。また、本発明に係るコポリマーは、高分子量のものを得やすい点で好ましい。
Figure 2014005460
Figure 2014005460
Figure 2014005460
式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表す。Aとして具体的には、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子が挙げられる。なかでも、合成の容易性の点で好ましくは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であり、より好ましくは、硫黄原子又は酸素原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Q及びQは、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子を表す。なかでも好ましくは、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びスズ原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子であり、より好ましくは、炭素原子、ケイ素原子及びゲルマニウム原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子である。
及びQの少なくとも一方がケイ素原子であることは、ケイ素原子のσ結合とチオフェン環のπ電子との間の軌道間相互作用(σ−π相互作用)のために、コポリマーの溶解性が向上しうる点、及びπ共役系がより広がる点で好ましい。また、Q及びQの少なくとも一方がゲルマニウム原子であることは、ゲルマニウムの半金属性のために、コポリマーの光・熱耐性が向上しうる点で好ましい。これらの観点から、Q及びQとしてさらに好ましくは、ケイ素原子及び炭素原子、ケイ素原子及びゲルマニウム原子、又は炭素原子とゲルマニウム原子である。また、Q及びQとして特に好ましくは、ケイ素原子及びゲルマニウム原子である。
本発明に係るコポリマーは、溶解させた際の安定性が比較的高いことを、本願発明者らは見出した。Q及びQが炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子であることが、本発明に係るコポリマーの安定性に寄与しているものと考えられる。炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子は異なる周期の元素であり、大きく異なる原子半径を有する。したがって、Qを含む五員環とQを含む五員環とは形状が異なり、特に、縮合環を構成しQに隣接する2つの炭素原子のそれぞれとQとがなす2つの結合間の角度は、縮合環を構成しQに隣接する2つの炭素原子のそれぞれとQとがなす2つの結合間の角度とは異なるものと考えられる。このため、式(1B)で表されるQを有する繰り返し単位と、式(1C)で表されるQを有する繰り返し単位とを有する本発明に係るコポリマーは、例えば式(1B)で表される繰り返し単位又は式(1C)で表される繰り返し単位のみを有するコポリマーと比べて、規則性が低く、コポリマー同士の分子間相互作用が低下するために、溶解させた際の保存安定性が向上すると考えられる。
〜Rは各々独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基とは、炭化水素基を構成する炭素原子と水素原子とのうちの少なくとも一部が、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する原子団で置換されていてもよい炭化水素基のことを指す。
ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖アルキル基、分岐アルキル基又はシクロアルキル基が挙げられる。なかでも、本発明に係るコポリマーの溶解性が向上しうる点で、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が好ましい。分岐アルキル基としては、分岐1級アルキル基、分岐2級アルキル基又は分岐3級アルキル基が挙げられる。分岐1級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が2つである分岐アルキル基を意味する。分岐2級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が1つである分岐アルキル基を意味する。また分岐3級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が無い分岐アルキル基を意味する。ここで、遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改訂第2版、南江堂、1992年発行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるものをいう。
適度に分子間相互作用を強めて移動度を向上させる観点からは、直鎖アルキル基又は分岐1級アルキル基がより好ましく、溶解性を向上させるためには、分岐2級アルキル基がより好ましい。さらに好ましくは、直鎖アルキル基及び分岐1級アルキル基であり、特に好ましくは、直鎖アルキル基である。
アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基又はn−トリアコンチル基等が挙げられる。
なかでも好ましくは、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基又はn−トリアコンチル基であり、より好ましくは、コポリマーの溶解度を高く維持しつつ、かつコポリマーの分子間距離を離し過ぎないことにより電荷移動を促進しうる点で、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、又はn−ドデシル基である。
分岐1級アルキル基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、2−メチルプロピル基、2−エチルヘキシル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2−メチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,3−ジメチルブチル基、2,6−ジメチルへプチル基、2−ヘキシルデシル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチルヘプチル基、2−メチルヘキサデシル基、2−ブチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルウンデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−メチルドデシル基又は2,5−ジメチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,6−ジメチルへプチル基、2−ヘキシルデシル基、2−メチルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルウンデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−メチルドデシル基又は2,5−ジメチルヘキシル基が好ましく、より好ましくは2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、2−ブチルオクチル基又は2−ヘキシルオクチル基である。
分岐2級アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、1−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、1−エチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、1−ブチルペンチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−ブチルヘプチル基、1−メチルウンデシル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、1,2−ジメチルペンチル基、4−エチル−1−メチルオクチル基、1−エチルウンデシル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1−ヘキシルヘプチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、1−メチルトリデシル基、1−メチルペンタデシル基、1,3−ジメチルデシル基、1,3,5−トリメチルヘキシル基、3−エチル−1,5−ジメチルノニル基又は1−プロピルヘプチル基等が挙げられる。なかでも、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、1−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−ブチルヘプチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、1,2−ジメチルペンチル基、4−エチル−1−メチルオクチル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1,3−ジメチルペンチル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、1,3,5−トリメチルヘキシル基、3−エチル−1,5−ジメチルノニル基又は1−プロピルヘプチル基が好ましく、より好ましくは1−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−ブチルヘプチル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、4−エチル−1−メチルオクチル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、3−エチル−1,5−ジメチルノニル基又は1−プロピルヘプチル基である。
分岐3級アルキル基としては、例えば、t−ブチル基、1−(1−メチルエチル)−1−メチルペンチル基、1−エチル−1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−1,3−ジメチルペンチル基、3−エチル−1,1−ジメチルペンチル基、2−エチル−1,1−ジメチルペンチル基、1,1,3,4−テトラメチルペンチル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,2−トリメチルヘキシル基、1,1−ジエチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジプロピルペンチル基、1,1−ジメチルドデシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、1,1−ジブチルドデシル基、1−ブチル−1−エチルヘキシル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1−(2−メチルプロピル)−1−メチルペンチル基、1,3−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)ブチル基、3−メチル−1−(2−メチルプロピル)ブチル基、2,2−ジメチルテトラコシル基、1−エチル−1−プロピルペンチル基、1,3,3,5,5−ペンタメチルヘキシル基、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル基、1,1,2,3,3−ペンタメチルヘキシル基、1,1−ジメチルノニル基、1−エチル−1,4−ジメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ビス(1−メチルエチル)−2−メチルプロピル基、1−(1−メチルエチル)−1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルオクタデシル基、1−(2−メチルプロピル)−1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−1,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルウンデシル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、1−プロピル−1,2−ジメチルブチル基、2−メチル−1−(1−メチルエチル)プロピル基、1,1−ジブチルペンチル基、1−ブチル−1−プロピルペンチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1−ジメチルヘキサデシル基、1,1−ジブチル−4−メチルペンチル基、1,4−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)ペンチル基、1−ブチル−1,4−ジメチルペンチル基、1−ブチル−1−エチルペンチル基、1−ブチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−1−メチルヘキシル基、1−メチル−1−プロピルペンチル基、1−ヘキシル−1−メチルノニル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−(2−エチルヘキシル)−1−メチルドデシル基、1,1−ビス(2−エチルヘキシル)−3−エチルヘプチル基、1,1−ジオクチルノニル基又は1,1,2,2−テトラメチルプロピル基等が挙げられる。なかでも、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基が好ましく、より好ましくはt−ブチル基である。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基又はシクロラウリル基等が挙げられる。なかでも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基が好ましい。
アルケニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。このようなアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基又はゲラニル基等が挙げられる。好ましくは、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基又はドデセニル基であり、より好ましくは、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基又はデセニル基である。
アルキニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。このようなアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基の炭素数は、通常6以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下である。このような芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、フルオレニル基、アントラセニル基又はアズレニル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の炭素数は、通常2以上、一方、通常20以下、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。このような脂肪族複素環基としては、例えば、オキセタニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロチオピラニル基等が挙げられる。
芳香族複素環基の炭素数は、通常2以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下である。このような芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、フラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基又はベンゾトリアゾリル基等が挙げられる。なかでも、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基又はオキサゾリル基が好ましい。
本明細書において、各基が「有していてもよい」置換基としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ボリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、脂肪族複素環基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基等が挙げられる。なかでも好ましくは、本発明に係るコポリマーの分子内極性をコントロールしうる点で、アルコキシ基又はアルキルチオ基である。
コポリマーの溶解性を上げる観点から、R〜Rの炭素数は好ましくは2以上、より好ましくは4以上である。また、コポリマーの分子間相互作用を低くしすぎないために、R〜Rの炭素数は、好ましくは30以下、より好ましくは16以下である。
として、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基であり、より好ましくは、コポリマーの有機溶媒への溶解性が優れたものとなりやすく、塗布成膜プロセスにおいて有利となりうる点で、置換基を有していてもよいアルキル基である。置換基を有していてもよいアルキル基としては、溶解性の観点から、炭素数が3以上であることが好ましく、炭素数が8以上であることがより好ましい。一方で、本発明に係るコポリマーが適度な分子間相互作用を有しうる観点から、炭素数が20以下であることが好ましく、炭素数が16以下であることがより好ましい。また、アルキル基は分岐鎖を持つアルキル基であってもよいが、溶解性の観点から、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子のようなハロゲン原子が好ましい例として挙げられる。
〜Rとして、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基であり、より好ましくは、コポリマーの有機溶媒への溶解性が優れたものとなりやすく、塗布成膜プロセスにおいて有利となりうる点で、置換基を有していてもよいアルキル基である。置換基を有していてもよいアルキル基としては、溶解性の観点から、炭素数が3以上であることが好ましく、炭素数が8以上であることがより好ましい。一方で、本発明に係るコポリマーが適度な分子間相互作用を有しうる観点から、炭素数が20以下であることが好ましく、炭素数が16以下であることがより好ましい。また、アルキル基は直鎖アルキル基であってもよいが、コポリマーの分子間相互作用を高めすぎない観点から、分岐アルキル基であることがより好ましい。直鎖アルキル基としては、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基、トリデカニル基又はテトラデカニル基が好ましく、分岐アルキル基としては、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、2−エチルノニル基又は2−エチルデカニル基が好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子のようなハロゲン原子が好ましい例として挙げられる。
本発明に係るコポリマーは、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び(1C)で表される繰り返し単位のうち1以上のそれぞれを、2種以上含んでいてもよい。
本発明に係るコポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(1A)、(1B)又は(1C)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び式(1C)で表される繰り返し単位の合計が、本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める比率は、特段の制限は無いが、通常3モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。特に好ましくは、本発明に係るコポリマーは、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び(1C)で表される繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるか、又はこれらの繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるポリマー鎖を含む。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1A)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。一方、通常98モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1B)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。一方、通常98モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1C)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。一方、通常98モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(1B)で表される繰り返し単位の数に対する式(1C)で表される繰り返し単位の数の比率(1C/1B)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(1A)で表される繰り返し単位の数に対する、式(1B)で表される繰り返し単位の数と式(1C)で表される繰り返し単位の数との合計の比((1B+1C)/1A)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは2以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(1A)、式(1B)及び式(1C)で表される繰り返し単位の配列状態は、交互、ブロック又はランダムのいずれでもよい。すなわち、本発明に係るコポリマーは、交互コポリマー、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーのいずれでもよい。また、これらのコポリマーのうち中間的な構造を有するコポリマー、例えばブロック性を帯びたランダムコポリマーであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上あるコポリマー、及びデンドリマーも含まれる。なかでも、合成が容易であり、規則性がより低下しうる点で、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであることが好ましく、コポリマーの溶解性が向上しかつコポリマーを溶解させたインクの保存安定性がより向上しうる点で、ランダムコポリマーであることがより好ましい。
なかでも、本発明に係るコポリマーは、下記式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。下記式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位を有するコポリマーは、電荷分離状態をより容易に維持しうる点で好ましい。
Figure 2014005460
Figure 2014005460
式(2A)及び式(2B)中、A及びAは各々独立して、周期表第16族元素から選ばれる原子を表す。A及びAは、式(1A)におけるAと同様のものである。A及びAは同一でも異なっていてもよく、コポリマーのπ共役が局在化しにくい点で、好ましくは同一である。A及びAとして好ましくは、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であり、移動度が向上しうる点で、より好ましくは硫黄原子又はセレン原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
式(2A)及び式(2B)中、Q及びQは、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子を表す。Q及びQは、式(1B)及び(1C)におけるQ及びQと同様のものである。
上述のように、Q及びQが炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子であることにより、規則性が低くなり、コポリマー同士の分子間相互作用が低下するために、本発明に係るコポリマーの保存安定性に寄与しているものと考えられる。
式(2A)及び式(2B)中、R〜Rは各々独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。R〜Rは、式(1A)〜(1C)におけるR〜Rと同様である。また、Rは式(1A)におけるRと同様のものである。RとRとは同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一である。R及びRとして、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。
本発明に係るコポリマーは、式(2A)で表される繰り返し単位及び(2B)で表される繰り返し単位のうち1以上のそれぞれを、それぞれ2種以上含んでいてもよい。
本発明に係るコポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(2A)又は(2B)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位の合計が、本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める比率は、特段の制限は無いが、通常2モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。特に好ましくは、本発明に係るコポリマーは、式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるか、又はこれらの繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるポリマー鎖を含む。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(2A)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(2B)で表される繰り返し単位の比率は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(2B)で表される繰り返し単位の数に対する式(2A)で表される繰り返し単位の数の比率(2A/2B)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位の配列状態は、交互、ブロック又はランダムのいずれでもよい。すなわち、本発明に係るコポリマーは、交互コポリマー、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーのいずれでもよい。また、これらのコポリマーのうち中間的な構造を有するコポリマー、例えばブロック性を帯びたランダムコポリマーであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上あるコポリマー、及びデンドリマーも含まれる。なかでも、合成が容易であり、規則性がより低下しうる点で、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであることが好ましく、コポリマーの溶解性が向上しかつコポリマーを溶解させたインクの保存安定性が向上しうる点で、ランダムコポリマーであることがより好ましい。
本発明に係るコポリマーの好ましい具体例を以下に示す。しかしながら、本発明に係るコポリマーが以下の例示に限られるわけではない。以下の構造式中においてx,yはそれぞれの繰り返し単位の比率を表し、x+y=1であり、その値は任意である。以下の具体例には、QとQとの一方がケイ素原子であり他方がゲルマニウム原子である場合が挙げられている。しかしながら、QとQとの一方が炭素原子であり他方がケイ素原子である場合、及びQとQとの一方が炭素原子であり他方がゲルマニウム原子である場合も、同様に好ましい具体例として挙げられる。
Figure 2014005460
Figure 2014005460
Figure 2014005460
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本発明に係るコポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常2.0×10以上、好ましくは3.0×10以上、より好ましくは4.0×10以上、さらに好ましくは5.0×10以上、よりさらに好ましくは7.0×10以上、特に好ましくは1.0×10以上である。一方、好ましくは1.0×10以下、より好ましくは1.0×10以下、特に好ましくは5.0×10以下である。光吸収波長を長波長化するという観点、高い吸光度を実現するという観点、高いキャリア移動を実現できるという観点、及び有機溶媒への溶解度の観点から、重量平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。
本発明に係るコポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常5.0×10以上、好ましくは1.0×10以上、より好ましくは2.0×10以上、さらに好ましくは2.5×10以上、特に好ましくは3.0×10以上である。一方、好ましくは1.0×10以下、より好ましくは1.0×10以下、さらに好ましくは5.0×10以下、殊更に好ましくは2.0×10以下、特に好ましくは1.0×10以下である。光吸収波長を長波長化するという観点、高い吸光度を実現するという観点、高いキャリア移動を実現できるという観点、及び有機溶媒への溶解度の観点から、数平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。
本発明に係るコポリマーの分子量分布(PDI,(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)))は、通常1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上である。一方、好ましくは20.0以下、より好ましくは15.0以下、さらに好ましくは10.0以下である。コポリマーの溶解度が塗布に適した範囲になりうるという点で、分子量分布がこの範囲にあることが好ましい。
本発明に係るコポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。具体的には、カラムとして、PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm 内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に繋げて用い、ポンプとしてLC−10AT(島津製作所社製)、オーブンとしてCTO−10A(島津製作所社製)、検出器として示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)、及びUV−vis検出器(島津製作所製:SPD−10A)を用いることにより測定できる。測定方法としては、測定対象のコポリマー(1mg)をクロロホルム(200mg)に溶解させ、得られた溶液1μLをカラムに注入する。移動相としてクロロホルムを用い、1.0mL/minの流速で測定を行う。解析にはLC−Solution(島津製作所製)を用いる。
本発明に係るコポリマーは、好ましくは光吸収極大波長(λmax)が通常470nm以上、好ましくは480nm以上にあり、一方、通常1200nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは900nm以下にある。また、350nmから850nmの範囲で最も長波長側にある吸収極大波長の半値幅が通常10nm以上、好ましくは20nm以上であり、一方、通常300nm以下である。また、本発明に係るコポリマーを太陽電池用途に用いる場合、コポリマーの吸収波長領域は太陽光の波長領域に近いほど望ましい。
本発明に係るコポリマーの溶解度は、特に限定は無いが、好ましくは25℃におけるクロロベンゼンに対する溶解度が通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、一方、通常30質量%以下、好ましくは20質量%である。溶解性が高いことは、塗布によりより厚い膜を成膜できるために好ましい。
本発明に係るコポリマーは、分子間で適度な相互作用が起こることが好ましい。本明細書において、分子間で相互作用するということは、分子間でのπ−πスタッキング等の相互作用によってポリマー鎖間の距離が短くなることを意味する。相互作用が強いほど、高い移動度及び/又は結晶性を示す傾向があるため、半導体材料として好適であるものと考えられる。すなわち、分子間で相互作用するコポリマーにおいては分子間での電子移動が起こりやすいため、例えば光電変換素子において活性層中に本発明に係るコポリマーを用いた場合に、活性層内のp型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で生成した正孔(ホール)を効率よく電極(アノード)へ輸送できると考えられる。
結晶性の測定方法としてはX線回折法(XRD)が挙げられる。本明細書において結晶性を有するとは、XRD測定により得られたX線回折スペクトルが回折ピークを有することを意味する。結晶性を有することは、分子同士が配列した積層構造を有することを意味すると考えられ、後述する活性層を厚膜化できる傾向がある点で好ましい。XRD測定は公知文献(X線結晶解析の手引き(応用物理学選書4))に記載の方法に基づいて行うことができる。
本発明に係るコポリマーの正孔移動度(ホール移動度と記す場合がある)は、通常1.0×10−7cm/Vs以上、好ましくは1.0×10−6cm/Vs以上、より好ましくは1.0×10−5cm/Vs以上、特に好ましくは1.0×10−4cm/Vs以上である。一方、本発明に係るコポリマーの正孔移動度は通常1.0×10cm/Vs以下、好ましくは1.0×10cm/Vs以下であり、より好ましくは1.0×10cm/Vs以下であり、特に好ましくは1.0×10cm/Vs以下である。正孔移動度がこの範囲にあることにより、本発明に係るコポリマーは半導体材料として好適に用いられる。また、光電変換素子において高い変換効率を得るためには、n型半導体化合物の移動度と、p型半導体化合物の移動度とのバランスが重要である。本発明に係るコポリマーを光電変換素子においてp型半導体化合物として用いる場合、本発明に係るコポリマーの正孔移動度とn型半導体化合物の電子移動度とを近づける観点から、本発明に係るコポリマーの正孔移動度がこの範囲にあることが好ましい。正孔移動度の測定方法としてはFET法が挙げられる。FET法は公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により行うことができる。
一方で、本発明に係るコポリマーは溶液状態での保存安定性が高いことが好ましい。保存安定性が高いとは、溶液とした時に凝集しにくいことを意味する。より具体的には、本発明に係るコポリマー2mgを2mLのスクリューバイアルに入れ、1.5質量%の濃度になるようにo−キシレンに加熱溶解させてから室温まで冷却した際に、冷却を開始してから5分間以上ゲル化しないことが好ましく、1時間以上ゲル化しないことがより好ましい。
本発明に係るコポリマー中の不純物は極力少ないほうが好ましい。特に、パラジウム、銅等の遷移金属触媒が残っていると、遷移金属の重原子効果による励起子トラップが生じるために電荷移動が阻害され、結果として本発明に係るコポリマーを光電変換素子に用いた際に光電変換効率を低下させるおそれがある。遷移金属触媒の濃度は、コポリマー1gあたり、通常1000ppm以下、好ましくは500pm以下、より好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、1ppm以上であってもよく、3ppm以上であってもよい。
本発明に係るコポリマー中の、末端残基(例えば、後述する式(3A)〜(3C)におけるX及びY)を構成する原子の残存量は、特段の制限は無いが、コポリマー1gあたり、通常6000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、さらに好ましくは2000ppm以下、よりさらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは200ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。
特に、本発明に係るコポリマー中のSn原子の残存量としては、コポリマー1gあたり、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。Sn原子の残存量が5000ppm以下であることは、熱分解しやすいアルキルスタニル基等が少ないことを意味し、安定性の点で高い性能を得ることができるために、好ましい。
また、本発明に係るコポリマー中のハロゲン原子の残存量は、コポリマー1gあたり、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。ハロゲン原子の残存量を5000ppm以下にすることは、コポリマーの光電変換特性及び耐久性等の性能が向上する傾向にあるため、好ましい。
コポリマー中の、末端残基(例えば、後述する式(3A)〜(3C)におけるX及びY)を構成する原子の残存量は、元素量を測定することにより決定できる。コポリマーの元素分析は、例えばPd及びSnについてはICP質量分析法で実施することができ、臭素イオン(Br)及びヨウ素イオン(I)についても、ICP質量分析法で実施することができる。
ICP質量分析法は、公知文献(「プラズマイオン源質量分析」(学会出版センター))に記載されている方法により実施できる。具体的には、Pd及びSnについては、試料を湿式分解後、分解液中のPd,SnをICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により定量することができる。又、Br及びIについては、試料を試料燃焼装置(三菱化学アナリテック社製 試料燃焼装置 QF−02型)にて燃焼し、燃焼ガスを還元剤入りのアルカリ吸収液に吸収させた後、吸収液中のBr及びIをICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により定量することができる。
<2.本発明に係るコポリマーの製造方法>
本発明に係るコポリマーの製造方法には特に限定はなく、例えばジオキソピロール縮合環を有する化合物と、ジチエノ縮合環を有する化合物と、を用いて公知の方法で製造することができる。好ましい方法としては、下記一般式(3A)で表される化合物と、下記一般式(3B)で表される化合物と、下記一般式(3C)で表される化合物とを、必要であれば適当な触媒の存在下で、重合する方法が挙げられる。
Figure 2014005460
式(3A)中、R及びAは、式(1A)と同義である。式(3B)中、R、R、及びQは式(1B)と同義である。式(3C)中、R、R、及びQは式(1C)と同義である。
式(3A)〜(3C)中、X及びYは、重合反応の種類に応じて適宜選択できる。例えば、本発明に係るコポリマーは、カップリング反応を用いた重合反応により製造することができる。使用可能な反応としては、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法、ヘック反応方法、薗頭反応方法、FeCl等の酸化剤を用いる反応方法、電気化学的な酸化反応を用いる方法、適当な脱離基を有する中間体化合物の分解による反応方法等が挙げられる。これらの中でも、Suzuki−Miyauraカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法が、構造制御がしやすい点で好ましい。特に、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Grignard反応方法が、材料の入手しやすさ、反応操作の簡便さの点からも好ましい。これらの反応は、「クロスカップリング−基礎と産業応用−(CMC出版)」、「有機合成のための遷移金属触媒反応(辻二郎著:有機合成化学協会編)」、「有機合成のための触媒反応103(檜山為次郎:東京化学同人)」等の公知文献の記載の方法に従って行うことができる。
X及びYの例としては、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキルスタニル基、アルキルスルホ基、アリールスルホ基、アリールアルキルスルホ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(−B(OH))、ホルミル基、シリル基、アルケニル基又はアルキニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。アルケニル基としては、例えば炭素数2以上12以下のアルケニル基が挙げられる。
ホウ酸エステル残基としては、例えば、下式で示されるものが挙げられる。下式において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 2014005460
アルキルスタニル基としては、例えば、下式で示されるものが挙げられる。下式において、Meはメチル基を表し、Buはn−ブチル基を表す。
Figure 2014005460
式(3A)〜(3C)で表される化合物の合成上の観点及び反応のし易さの観点から、XとYとの一方がハロゲン原子であり、他方がアルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、又はホウ酸残基(−B(OH))であることが好ましい。
重合反応は公知の方法に従って行うことができる。例えば、X又はYがアルキルスタニル基である場合には公知のStilleカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。また、X又はYがホウ酸エステル残基又はホウ酸残基である場合には公知のSuzuki−Miyauraカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。さらに、X又はYがシリル基である場合には公知のHiyamaカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。カップリング反応の触媒としては例えば、パラジウム等の遷移金属と、配位子(例えばトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子)との組み合わせを用いることができる。
以下では、Stilleカップリング反応方法を用いて本発明に係るコポリマーを製造する方法について述べる。Stilleカップリング反応方法を用いる場合、式(3A)〜(3C)において、Xがハロゲン原子でありかつYがアルキルスタニル基であるか、Xがアルキルスタニル基でありかつYがハロゲン原子であることが好ましい。
重合反応において用いられる、式(3A)で表される化合物の量に対する、式(3B)で表される化合物の量と式(3C)で表される化合物の量との合計の比((3B+3C)/3A)は、モル比換算にして、通常0.90以上、好ましくは0.95以上であり、一方、通常1.3以下、好ましくは1.2以下である。比率がこのような範囲内にあることは、より高い収率で高分子量体を取得しうる点で好ましい。
重合反応において用いられる、式(3B)で表される化合物の量に対する、式(3C)で表される化合物の量の比(3C/3B)は、特段の制限は無く目的に応じて適宜設定しうるが、モル比換算にして、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは2以下である。
本発明に係るコポリマーが高純度であることが望ましい場合には、重合前のモノマー(式(3A)〜(3C)で表される化合物)を精製した後に、重合反応を行うことが好ましい。精製方法としては、例えば、蒸留、昇華精製、カラムクロマトグラフィー又は再結晶等が挙げられる。
例えば本発明に係るコポリマーを有機光電変換素子用の材料として用いる場合、その純度が高いことにより素子特性が向上しうるため、コポリマーが高純度であることが望ましい。本発明に係るコポリマーを有機光電変換素子用の材料として用いる場合、式(3A)〜(3C)で表される化合物のそれぞれの純度は通常90%以上、好ましくは95%以上である。
重合反応において重合促進のために用いる触媒としては、遷移金属触媒等が挙げられる。遷移金属触媒は、重合の種類に応じて選択すればよい。遷移金属触媒としては、均一系遷移金属触媒と不均一系遷移金属触媒とが挙げられる。
均一系遷移金属触媒としては、重合反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。好ましい例としては、特に、パラジウム、ニッケル、鉄、又は銅を含む、後周期遷移金属錯体触媒が挙げられる。具体的な例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))等の0価のパラジウム触媒;ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(PdCl((PPh)))又は酢酸パラジウム等の2価のパラジウム触媒等のパラジウム(Pd)触媒;Ni(dppp)Cl又はNi(dppe)Cl等のニッケル触媒;塩化鉄等の鉄触媒;ヨウ化銅等の銅触媒等が挙げられる。ここで、dbaはジベンジリデンアセトンを表し、dpppは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを表し、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを表す。
0価のPd触媒として具体的には、Pd(PPh、Pd(P(o−tolyl)、Pd(PCy、Pd(dba)3、PdCl(PPh))等が挙げられる。PdCl((PPh))又は酢酸パラジウム等の2価のPd触媒を用いる場合には、PPhやP(o−tolyl)等の有機配位子と併せて使用することが好ましい。ここで、Phはフェニル基を表し、Cyはシクロヘキシル基を表し、o−tolylは2−トリル基を表す。
不均一系遷移金属触媒としては、上述のような均一系遷移金属触媒を、担体に担持させることによって得られる触媒が挙げられる。不均一系遷移金属触媒が含む遷移金属の好ましい例としては、パラジウム、ニッケル、鉄、又は銅を含む、後周期遷移金属が挙げられる。不均一系遷移金属錯体触媒が有する有機配位子としては、均一系遷移金属錯体触媒について挙げたものと同様のものを用いることができる。また、公知文献(Strem社,”Heterogeneous Catalysts”(2011年))記載の有機配位子を用いることもできる。担体の例としては、金属、ナノコロイド、ナノ粒子、磁性化合物、金属酸化物、多孔質物質、粘土、例えば尿素樹脂のようなポリマー、及びデンドリマー等が挙げられる。多孔質物質の具体的な例としては、ミクロ孔物質、メソ孔物質、活性炭、シリカゲル、アルミナ、及びゼオライト等が挙げられる。特に、ポリマーに担持された不均一系遷移金属錯体触媒を用いることは、不均一系遷移金属錯体触媒の回収が容易であるために好ましい。また、ポリマーが多孔性であることは、反応を促進する点でより好ましい。
重合反応においては、2種以上の遷移金属錯体触媒を用いることが、高分子量のコポリマーが得られうる点で好ましい。例えば、2種以上の均一系遷移金属錯体を用いてもよいし、2種以上の不均一系遷移金属錯体を用いてもよいし、均一系遷移金属錯体と不均一系遷移金属錯体とを組み合わせて用いてもよい。この2種以上の遷移金属錯体触媒のうち、少なくとも1種は不均一系金属錯体触媒であることが、カップリング反応条件下でモノマーをすばやくオリゴマーに変換することができる点で好ましい。また、オリゴマーになると不均一系金属触媒による重合反応速度が落ちる傾向にあるため、オリゴマーからポリマーへの誘導を均一系金属触媒で行う方が、高分子量体を得るために好ましい。この観点から、2種以上の遷移金属錯体触媒のうち、少なくとも1種が不均一系金属錯体触媒であり、かつ少なくとも1種が均一系金属錯体触媒であることがより好ましい。
式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対する遷移金属錯体の使用量は、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常1×10mol%以下、より好ましくは5mol%以下である。触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率で、より高分子量のコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
遷移金属触媒を使用する場合に、アルカリ、補触媒又は相間移動触媒を併用してもよい。
アルカリとしては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン等の有機塩基;等が挙げられる。
補触媒としては、例えば、フッ化セシウム、酸化銅又はハロゲン化銅等の無機塩が挙げられる。補触媒の使用量は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常1×10mol%以下、好ましくは1×10mol%以下、より好ましくは1.5×10mol%以下である。補触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
相間移動触媒としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド又はAliquat336(アルドリッチ社製)のような四級アンモニウム塩等が挙げられる。相間移動触媒の使用量は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常5mol%以下、より好ましくは3mol%以下である。相間移動触媒の使用量がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はシクロヘキサン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はトリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はt−ブチルアルコール等のアルコール類;水;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン又はジオキサン等のエーテル類;DMF等の非プロトン性極性有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の合計1gに対して、通常、1×10−2mL以上、好ましくは1×10−1mL以上、より好ましくは1mL以上であり、一方、通常1×10mL以下、好ましくは1×10mL以下、より好ましくは2×10mL以下である。溶媒の使用量がこの範囲にあることは、反応の制御がより容易となる点で好ましい。
重合反応の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。加熱方法としては特段の制限は無いが、オイルバス加熱、熱電対加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱の他、IHヒーターを用いた接触による加熱等が挙げられる。重合反応の時間は、通常1分間以上、好ましくは10分間以上、一方、通常160時間以下、好ましくは120時間以下、より好ましくは100時間以下である。また重合反応は窒素(N)又はアルゴン(Ar)雰囲気下で行うことが好ましい。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い収率でコポリマーが得られうる。
重合反応により得られたコポリマーに対しては、さらに末端処理を行うことが好ましい。コポリマーの末端処理を行うことにより、コポリマーの末端残基(上述のX及びY)の残存量を減らすことができる。例えば、Stilleカップリング反応によってコポリマーを重合した場合には、コポリマーの末端に存在する臭素(Br)やヨウ素(I)等のハロゲン原子及びアルキルスタニル基を、末端処理によって減らすことができる。この末端処理を行うことは、効率及び耐久性の点でよりよい性能のコポリマーを得ることができるために、好ましい。
重合反応後に行うコポリマーの末端処理方法としては、特段の制限は無いが、例えば末端残基を芳香族基のような他の置換基で置換する方法が挙げられる。
例えば、Stilleカップリング反応によってコポリマーを重合した場合の末端処理方法としては、以下の方法が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理方法としては、重合反応後の精製前の反応系中に、末端処理剤としてアリールトリアルキルスズを加えた後、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールトリアルキルスズの例としてはフェニルトリメチルスズ又はチエニルトリメチルスズ等が挙げられる。コポリマーの末端のハロゲン原子を芳香族基に置換することは、共役安定効果により、コポリマーがより安定になるために、好ましい。
末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合反応に用いたハロゲン原子を末端に有するモノマー(3A、又は3B及び3C)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。ハロゲン原子の末端処理の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。加熱方法としては、特段の制限は無いが、オイルバス加熱、熱電対加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱の他、IHヒーターを用いた接触による加熱等が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理の反応時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常50時間以下、好ましくは20時間以下である。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
また、コポリマーのアルキルスタニル基の末端処理方法としては、重合反応後の精製前の反応系中に、末端処理剤としてアリールハライドを加えたのち、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールハライドの例としてはヨードチオフェン、ヨードベンゼン、ブロモチオフェン又はブロモベンゼン等が挙げられる。コポリマーの末端のアルキルスタニル基を別の置換基へと置換することにより、熱分解しやすいアルキルスタニル基中のSn原子がコポリマー中に存在しなくなり、コポリマーの経時劣化が抑えられることが期待される。また、コポリマーの末端のアルキルスタニル基をアリール基に置換することは、共役安定効果によりコポリマーがより安定になりうる点においても好ましい。
末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたアルキルスタニル基を末端に有するモノマー(3B及び3C、又は3A)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。アルキルスタニル基の末端処理の反応温度及び反応条件としては、コポリマーのハロゲン原子の末端処理と同様のものを用いることができる。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
また、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応によりコポリマーを重合した場合の末端処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理方法としては、アリールボロン酸を加えたのち、加熱攪拌を行う方法が挙げられる。コポリマーのホウ素原子含有基の末端処理方法としては、末端処理剤としてアリールハライドを加えたのち、加熱攪拌を行う方法が挙げられる。
末端残基Xの末端処理方法及び末端残基Yの末端処理方法に特段の制限はないが、それぞれ独立に行うことが好ましい。なお、それぞれの末端処理の順序に特段の制限は無く、適宜選択できる。
また、末端処理は、コポリマーの精製前に行ってもよいが、コポリマーの精製後に行ってもよい。末端処理をコポリマー精製後に行う場合には、コポリマーと片方の末端処理剤(例えばアリールハライド又はアリールトリアルキルスズ)とを有機溶剤に溶解した後、パラジウム触媒等の遷移金属触媒を加えて反応を行い、さらにもう片方の末端処理剤(アリールトリアルキルスズ又はアリールハライド)を加えて反応を行えばよい。反応を促進する観点から、末端処理をコポリマー精製前に行う場合と同様に、末端処理時には加熱攪拌を行うことか好ましい。また、収率を向上させる観点から、反応を窒素条件下で行うことも好ましい。反応時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常25時間以下、好ましくは10時間以下である。
遷移金属触媒の添加量としては、特段の制限は無いが、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常5.0×10−3モル当量以上、好ましくは1.0×10−2モル当量以上であり、一方、通常1.0×10−1モル当量以下、好ましくは5.0×10−2モル当量以下である。触媒の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
コポリマー精製後の末端処理時における、アルキルスタニル基の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたアルキルスタニル基を末端に有するモノマー(3B及び3C、又は3A)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは1.0×10−1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
コポリマー生成後の末端処理時における、ハロゲン原子の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたハロゲン原子を末端に有するモノマー(3A、又は3B及び3C)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは1.0×10−1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
重合反応後に行う工程として特に限定はないが、通常はコポリマーを分離する工程が行われる。コポリマーの末端処理を行う場合には、末端処理後にコポリマーを分離する工程を行うことが好ましい。必要に応じて、コポリマーの末端処理前に、さらにコポリマーの分離及び精製を行なってもよい。より短い処理工程でコポリマーを得る観点からは、重合反応後に、コポリマーの末端処理、コポリマーの分離及びコポリマーの精製をこの順に行うことが好ましい。
コポリマーの分離方法としては、例えば、反応溶液と貧溶媒とを混合してコポリマーを析出させる方法、又は、水若しくは塩酸で反応溶液中の活性種をクエンチした後にコポリマーを有機溶媒で抽出し、この有機溶媒を留去する方法等が挙げられる。
コポリマーの精製方法としては、再沈精製、ソックスレー抽出器を用いた抽出、ゲル浸透クロマトグラフィー、又はスキャベンジャーを用いた金属除去等の、公知の方法が挙げられる。
[2−1.式(3A)〜(3C)で表される化合物の製造方法]
重合反応の原料として用いられる式(3A)で表される化合物は、J.Am.Chem.Soc.,2010,132(22),7595−7597に記載の方法に準じて製造することができる。また、式(3B)及び(3C)で表される化合物は、J.Mater.Chem.,2011,21,3895、及びJ.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に記載の方法に準じて製造することができる。
式(3B)又は(3C)で表される化合物の特に好ましい製造方法としては、下式(4B)又は(4C)で表される化合物を原料として用いる方法が挙げられる。より具体的には、式(4B)又は(4C)で表される化合物に非求核性塩基を反応させた後に、求電子剤を反応させることにより、式(3B)又は(3C)で表される化合物を得ることができる。この方法によれば、式(3B)又は(3C)で表される化合物を製造する際に生じる、例えば置換基Yを1つしか有さない副生物の量を減らすことができる。副生物の量が少ないことは、重合反応により得られる本発明に係るコポリマーがより大きい分子量のものとなりうる点で好ましい。
Figure 2014005460
式(4B)及び(4C)において、Q〜Q及びR〜Rは、式(3B)及び(3C)と同様である。
非求核性塩基の例としては、金属水素化物、嵩高い置換基を有する金属アルコキシド、アミン類、ホスファゼン塩基、嵩高い置換基を有する金属マグネシウム試薬(Grignard試薬)、又は金属アミド等が挙げられる。非求核性の塩基を用いることは、式(4B)又は(4C)で表される化合物が有する縮合環への求核攻撃を効果的に抑制することでき、副生物の生成を抑えることができる点で好ましい。塩基性の高さ及び求核性の低さの点から、非求核性塩基として好ましくは金属アミドであり、特に好ましくは嵩高い置換基を有する金属アミドである。
非求核性塩基を用いて一般式(4B)又は(4C)で表される化合物を脱プロトン化した後、発生したアニオン種と求電子剤とを反応させることで、一般式(3B)又は(3C)で表される化合物を得ることができる。
置換基Yが、アルキルスタニル基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、例えばハロゲン化トリアルキルスズ化合物が挙げられる。置換基Yが、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、ホウ酸トリエステルが好ましく用いられる。ホウ酸トリエステルとの反応によって得られたホウ酸エステル残基を有する化合物をそのまま単離することもできるし、ホウ酸エステル残基を加水分解してホウ酸残基に導いた後に化合物を単離してもよい。
式(3B)又は(3C)で表される化合物の、反応後の精製方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。特に好ましい方法としては、ゼオライトを用いる方法が挙げられる。より具体的には、得られた化合物をゼオライトと接触させればよい。この方法は、式(3B)又は(3C)で表される化合物の分解を防ぎながら、より簡便に化合物を精製できるために好ましい。ゼオライトとしては、アルミノケイ酸塩、メタロケイ酸塩若しくはシリカライト等のアルミノケイ酸塩系ゼオライト;又は、アルミノリン酸塩、ガロリン酸塩若しくはベリロリン酸塩等のリン酸塩系ゼオライトが好ましい。
式(3B)又は(3C)で表される得られた化合物をゼオライトと接触させる方法としては、(1)ゼオライトを含む層を用意し、化合物を通過させる方法、(2)組成物中にゼオライトを投入し、その後ゼオライトを除去する方法、等が挙げられる。
式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して加える非求核性塩基の量に特段の制限はなく、通常は式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して2モル当量以上の非求核性塩基が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、非求核性塩基の量は通常20モル当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して加える求電子試薬の量に特段の制限はなく、通常は式(4B)又は(4C)で表される化合物に対して2モル当量以上の求電子試薬が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、求電子試薬の量は通常モル20当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。
式(4B)又は(4C)で表される化合物は、公知の方法を用いて製造することができるが、以下に示す方法を用いて製造することが特に好ましい。すなわち、式(4B)又は(4C)で表される化合物にシリル基が付加した化合物から、シリル基を脱離させることにより、式(4B)又は(4C)で表される化合物を得ることができる。この方法は、より高収率で式(4B)又は(4C)で表される化合物を得ることができる点で好ましい。
例えば、式(4B)又は(4C)で表される化合物は、下式(5B)又は(5C)で表される化合物の、酸を用いた脱シリル化反応により製造することができる。
Figure 2014005460
式(5B)及び(5C)において、Q〜Q及びR〜Rは、式(3B)及び(3C)と同様である。式(5B)及び(5C)において、Rは置換基を有していてもよいシリル基を表す。2つの置換基Rは互いに異なっていてもよい。置換基を有していてもよいシリル基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリル基等が挙げられる。脱シリル化反応において用いる酸としては特に限定はなく、無機酸又は有機酸を用いることができる。無機酸の種類に特に限定は無く、塩酸、硫酸、硝酸、又はリン酸等を用いることができる。有機酸の種類に特に限定は無く、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、クロロ安息香酸、又はp−トルエンスルホン酸等を用いることができる。
式(5B)で表される化合物は、Qがケイ素原子又はゲルマニウム原子である場合、例えば、ビチオフェン化合物を塩基で処理し、シリルハライド又はゲルミルハライドと反応させることによって得ることができる。より具体的な例としては、5,5’−ビス(トリメチルシリル)−3,3’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェンをn−ブチルリチウムで処理し、RSiCl、RSiBr、RGeCl、又はRGeBrを反応させることにより、式(5B)で表される化合物が得られうる。また、式(3B)又は(4B)で表される化合物も、RSiCl、RSiBr、RGeCl、又はRGeBrを用いて合成しうる。この場合、RSiCl、RSiBr、RGeCl、又はRGeBrは、減圧蒸留で精製することが好ましい。容易に達成可能な減圧度かつより低い温度で減圧蒸留を行うためには、R及びRの炭素数は、15以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。式(3C)〜(5C)で表される化合物、並びにR及びRについても同様である。
<3.本発明に係るコポリマーを含む有機半導体材料>
本発明に係るコポリマーは、溶媒に対する溶解性、及び長波長領域における光吸収性を持ち、有機半導体材料として好適である。
本発明に係る有機半導体材料は、少なくとも本発明に係るコポリマーを含む。本発明に係る有機半導体材料は、本発明に係るコポリマーのうち一種を含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせで含有していてもよい。また、本発明に係る有機半導体材料は、本発明に係るコポリマーのみからなるものであってもよいが、その他の成分(例えば、その他の高分子、モノマー、各種の添加剤等)を含有していてもよい。
本発明に係る有機半導体材料は、後述する有機電子デバイスの有機半導体層又は有機活性層の材料として好適である。この場合、有機半導体材料を成膜して用いることが好ましい。この際に、本発明に係るコポリマーの有機溶剤への可溶性及びその加工性に優れている等の物性が好ましく活用される。本発明に係る有機半導体を有機電子デバイスにおいて用いる方法については後述する。
本発明に係る有機半導体材料は半導体特性を示し、例えば、電界効果移動度測定において、正孔移動度(ホール移動度と記す場合がある)が通常1.0×10−7cm/Vs以上、好ましくは1.0×10−6cm/Vs以上、より好ましくは1.0×10−5cm/Vs以上、特に好ましくは1.0×10−4cm/Vs以上であり、一方、正孔移動度が通常1.0×10cm/Vs以下、好ましくは1.0×10cm/Vs以下、より好ましくは1.0×10cm/Vs以下、特に好ましくは1.0×10cm/Vs以下である。正孔移動度の測定方法としてはFET法が挙げられる。FET法は、公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により実施することができる。
本発明に係る有機半導体材料は、単独でも有機電子デバイスの有機半導体層の材料として用いられうるが、他の有機半導体材料と混合及び/又は積層して使用することも可能である。本発明に係る有機半導体材料と併用可能な他の有機半導体材料としては、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[2,6−(4,4−ビス[2−エチルヘキシル]−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン)−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)、ベンゾポルフィリン(BP)、ペンタセン等の既知の有機半導体材料が挙げられ、さらに、n型半導体化合物として知られているペリレン−ビスイミド、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル([60]PCBM)又はC70等のより大きいフラーレンを有するPCBM、[6,6]−フェニル−C61−酪酸n−ブチルエステル([60]PCBNB)又はC70等のより大きいフラーレンを有するPCBNB等のフラーレン誘導体等も挙げられるが、特にこれらに限定されることはない。
また、本発明に係る有機半導体材料は、溶液の形で用いてもよい。本発明に係るコポリマーは溶液とした際の安定性が高いことから、本発明に係る有機半導体材料と溶媒とを含有する溶液、すなわち本発明に係るコポリマーと溶媒とを含有する溶液は、塗布法により有機半導体層を形成するために好ましく用いられうる。この場合、溶液を塗布して得られた半導体層が、上記の半導体特性を示すことが好ましい。
溶媒としては、本発明に係るコポリマーを均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール又はプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。その中でも好ましくは、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類やクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類である。
<4.本発明に係る有機半導体材料を含む電子デバイス>
次に、本発明に係る有機電子デバイスについて説明する。本発明に係る有機電子デバイスは、本発明に係る有機半導体材料を用いて作製される。すなわち本発明に係る有機電子デバイスは、本発明に係る有機半導体材料を含む。本発明に係る有機半導体材料を適用可能なものであれば、本発明に係る有機電子デバイスの種類に特に制限はない。例としては、発光素子、スイッチング素子、光電変換素子、光電導性を利用した光センサー等が挙げられる。
発光素子としては、表示デバイスに用いられる各種の発光素子が挙げられる。具体例としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
スイッチング素子の具体例としては、ダイオード(pn接合ダイオード、ショットキー・ダイオード、MOSダイオード等)、トランジスタ(バイポーラートランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)等)、サイリスタ、更にはそれらの複合素子(例えばTTL等)等が挙げられる。
光電変換素子の具体例としては、薄膜太陽電池、電荷結合素子(CCD)、光電子増倍管、フォトカプラ等が挙げられる。また、光電導性を利用した光センサーとしては、これらの光電変換素子を利用したものが挙げられる。
本発明に係る有機半導体材料を有機電子デバイスのどの部位に用いるかは特に制限されず、任意の部位に用いることが可能である。本発明に係る有機半導体材料の半導体特性を活用するために、有機電子デバイスの半導体層に、本発明に係る有機半導体材料を用いる事が好ましい。特に光電変換素子の場合には、通常は、本発明に係る有機半導体材料を含有する有機半導体層は、有機活性層として使用される。
<5.光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを備える光電変換素子であって、この活性層は本発明に係るコポリマーを含有する。
[5−1.光電変換素子の構成]
図1に、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を示す。図1に示される光電変換素子は、一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図1に示されるものに限られるわけではない。本発明の一実施形態としての光電変換素子107は、基材106、アノード101、正孔取り出し層102、活性層103(p型半導体材料とn型半導体材料との混合層)、電子取り出し層104、及びカソード105を含む層構造を有する。それぞれの層の間には、後述の各層の機能に影響を与えない程度に、別の層が挿入されていてもよい。
[5−2.活性層(103)]
活性層103は光電変換が行われる層を指し、p型半導体材料とn型半導体材料を含む。また活性層103は、本発明に係る有機半導体材料を含む。すなわち活性層103は、本発明に係るコポリマーを含む。本発明に係るコポリマーは、通常はp型半導体材料として用いられる。光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、p型半導体材料とn型半導体材料の界面で電気が発生し、発生した電気が電極101及び105から取り出される。
活性層103の材料としては無機化合物と有機化合物とのいずれを用いてもよいが、簡易な塗布プロセスにより形成しうる層であることが好ましい。より好ましくは、活性層103は有機化合物からなる有機活性層である。以下では、活性層103が有機活性層であるものとして説明する。
[5−2−1.活性層の層構成]
活性層103の層構成としては、p型半導体材料とn型半導体材料とが積層された薄膜積層型、又はp型半導体材料とn型半導体材料が混合した層を有するバルクヘテロ接合型等が挙げられる。バルクへテロ接合型の活性層は、p型半導体材料とn型半導体材料が混合した層の他に、p型半導体材料を含むp型半導体層と、n型半導体材料を含むn型半導体層との少なくとも一方を有していてもよい。光電変換効率の点で、活性層103は好ましくはバルクヘテロ接合型である。
(薄膜積層型の活性層)
薄膜積層型の活性層は、p型半導体材料を含むp型半導体層と、n型半導体材料を含むn型半導体層とが積層された構造を有する。薄膜積層型の活性層は、p型半導体層と、n型半導体層とをそれぞれ形成することにより作製することができる。p型半導体層とn型半導体層とが別の方法によって形成されてもよい。
(p型半導体層)
p型半導体層は、本発明に係るコポリマーを含む層である。p型半導体層はさらに、後述するp型半導体材料を含んでいてもよい。p型半導体層の膜厚に制限はない。ただし、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、一方、通常500nm以下、好ましくは200nm以下である。p型半導体層の膜厚が500nm以下であることは、直列抵抗が低くなる点で好ましい。p型半導体層の膜厚が5nm以上であることは、より多くの光を吸収できる点で好ましい。
p型半導体層は、塗布法及び蒸着法を含む任意の方法により形成することができるが、塗布法、好ましくは湿式塗布法を用いることが、より簡単にp型半導体層を形成できる点で好ましい。本発明に係るコポリマーは溶媒に対する溶解性を有し、塗布成膜性に優れる点で好ましい。
塗布法によりp型半導体層を作製する場合、p型半導体材料を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布すればよい。塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。塗布液の塗布後に、加熱等による乾燥処理を行ってもよい。
p型半導体層が含むp型半導体材料のうち、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上が、本発明に係るコポリマーである。本発明に係るコポリマーはp型半導体材料として好適な性質を有するため、p型半導体層が、p型半導体材料として本発明に係るコポリマーのみを含むことが特に好ましい。
(n型半導体層)
n型半導体層は、後述するn型半導体材料を含む層である。n型半導体層の膜厚に特段の制限はないが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、一方、通常500nm以下、好ましくは200nm以下である。n型半導体層の膜厚が500nm以下であることは、直列抵抗が低くなる点で好ましい。n型半導体層の膜厚が5nm以上であることは、より多くの光を吸収できる点で好ましい。
n型半導体層は、塗布法及び蒸着法を含む任意の方法により形成することができるが、塗布法を用いることはより簡単にn型半導体層を形成できることから好ましい。塗布法によりn型半導体層を作製する場合、n型半導体材料を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布すればよい。塗布方法としては任意の方法を用いることができ、例えばp型半導体層を形成する方法として挙げた方法を用いることができる。塗布液の塗布後に、加熱等による乾燥処理を行ってもよい。
(バルクヘテロ接合型の活性層)
バルクヘテロ接合型の活性層は、p型半導体材料とn型半導体材料とが混合された層(i層)を有する。i層はp型半導体材料とn型半導体材料とが相分離した構造を有し、相界面でキャリア分離が起こり、生じたキャリア(正孔及び電子)が電極まで輸送される。
i層に含まれるp型半導体材料のうち、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上が、本発明に係るコポリマーである。本発明に係るコポリマーはp型半導体材料として好適な性質を有するため、i層がp型半導体材料として本発明に係るコポリマーのみを含むことが特に好ましい。
i層の膜厚に制限はない。ただし、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、一方、通常500nm以下、好ましくは200nm以下である。i層の膜厚が500nm以下であることは、直列抵抗が低くなる点で好ましい。i層の膜厚が5nm以上であることは、より多くの光を吸収できる点で好ましい。
i層は、塗布法及び蒸着法(例えば共蒸着法)を含む任意の方法により形成することができるが、塗布法を用いると、より簡単にi層を形成できるため好ましい。本発明に係るコポリマーは溶媒に対する溶解性を有するため、塗布成膜性に優れる点で好ましい。塗布法によりi層を作製する場合、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布すればよい。p型半導体材料及びn型半導体材料を含む塗布液は、p型半導体材料を含む溶液とn型半導体材料を含む溶液をそれぞれ調製後混合して作製してもよく、後述する溶媒にp型半導体材料及びn型半導体材料を溶解して作成してもよい。また後述するように、半導体材料前駆体を含む塗布液を作製して、この塗布液を塗布した後、半導体材料前駆体を半導体材料へと変換することにより、i層を形成してもよい。塗布法としては、p型半導体層を形成する方法として挙げた方法を用いることができる。塗布液の塗布後に、加熱等による乾燥処理を行ってもよい。
バルクヘテロ接合型の活性層を塗布法によって形成する場合、p型半導体材料とn型半導体材料とを含む塗布液に、さらに添加剤を加えてもよい。バルクヘテロ接合型の活性層におけるp型半導体材料とn型半導体材料との相分離構造は、光吸収過程、励起子の拡散過程、励起子の乖離(キャリア分離)過程、キャリア輸送過程等に対する影響がある。したがって、相分離構造を最適化することにより、良好な光電変換効率を実現することができるものと考えられる。塗布液が、溶媒とは異なる揮発性を有する添加剤を含有することにより、好ましい相分離構造を有する活性層が得られ、光電変換効率が向上しうる。
添加剤の例としては、例えば国際公開第2008/066933号に記載されている化合物等が挙げられる。添加剤のより具体的な例としては、置換基を有する脂肪族炭化水素、又は置換基を有するナフタレンのような芳香族化合物等が挙げられる。置換基としては、アルデヒド基、オキソ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、チオアルキル基、カルボキシル基、エステル基、アミン基、アミド基、ハロゲン原子、ニトリル基、エポキシ基、芳香族基又はアリールアルキル基等が挙げられる。置換基は1つでもよいし、複数、例えば2つでもよい。アルカンが有する置換基として好ましくは、チオール基又はヨウ素原子である。また、ナフタレンのような芳香族化合物が有する置換基として好ましくは、臭素原子又は塩素原子である。
添加剤は沸点が高いことが好ましいため、添加剤として用いられる脂肪族炭化水素の炭素数は6以上が好ましく、8以上がさらに好ましい。また添加剤は常温で液体であることが好ましいため、脂肪族炭化水素の炭素数は14以下が好ましく、12以下がさらに好ましい。同様の理由により、添加剤として用いられる芳香族炭化水素の炭素数は、通常6以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、一方、通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。同様に、添加剤として用いられる芳香族複素環化合物の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは6以上であり、一方、通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。添加剤の沸点は、常圧(1気圧)において通常100℃以上、好ましくは、200℃以上であり、一方、通常600℃以下、好ましくは500℃以下である。
p型半導体材料とn型半導体材料とを含む塗布液に含まれる添加剤の量は、塗布液全体に対して0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。また、塗布液全体に対して10質量%以下が好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。添加剤の量がこの範囲にあることにより、活性層内に残留する添加剤を減らしながら、好ましい相分離構造を得ることができる。以上のように、p型半導体材料とn型半導体材料と、必要により添加剤とを含む塗布液(インク)を塗布することによって、バルクヘテロ接合型の活性層を形成することができる。
(塗布液の溶媒)
上述の、p型半導体材料を含む塗布液、n型半導体材料を含む塗布液、及びp型半導体材料とn型半導体材料とを含む塗布液の溶媒としては、p型半導体材料及び/又はn型半導体材料を均一に溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;又は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類である。より好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン若しくはシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類;シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の非ハロゲン系ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;テトラヒドロフラン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類;又は、1,4−ジオキサン等の非ハロゲン系脂肪族エーテル類である。特に好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類である。
溶媒としては1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。2種以上の溶媒を併用する場合、沸点が60℃以上150℃以下である低沸点溶媒と、沸点が180℃以上250℃以下である高沸点溶媒とを組み合わせることが好ましい。低沸点溶媒と高沸点溶媒との組み合わせの例としては、非ハロゲン芳香族炭化水素類と脂環式炭化水素類、非ハロゲン芳香族炭化水素類と芳香族ケトン類、エーテル類と脂環式炭化水素類、エーテル類と芳香族ケトン類、脂肪族ケトン類と脂環式炭化水素類、又は脂肪族ケトン類と芳香族ケトン類、等が挙げられる。好ましい組み合わせの具体例としては、トルエンとテトラリン、キシレンとテトラリン、トルエンとアセトフェノン、キシレンとアセトフェノン、テトラヒドロフランとテトラリン、テトラヒドロフランとアセトフェノン、メチルエチルケトンとテトラリン、メチルエチルケトンとアセトフェノン、等が挙げられる。
[5−2−2.p型半導体材料]
活性層103は、p型半導体材料として、本発明に係るコポリマーを少なくとも含有する。しかしながら、他の有機半導体材料を、本発明に係るコポリマーと混合及び/又は積層して併用することも可能である。以下、併用しうる有機半導体材料、例えば、高分子有機半導体材料及び低分子有機半導体材料について説明する。
(高分子有機半導体材料)
p型半導体材料として併用しうる高分子有機半導体材料としては、特に限定はなく、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役コポリマー半導体材料;アルキル基やその他の置換基が置換されたオリゴチオフェン等のコポリマー半導体材料等が挙げられる。また、二種以上のモノマー単位を共重合させたコポリマー半導体材料も挙げられる。共役コポリマーは、例えば、Handbook of Conducting Polymers,3rd Ed.(全2巻),2007、Materials Science and Engineering,2001,32,1−40、Pure Appl.Chem.2002,74,2031−3044、Handbook of THIOPHENE−BASED MATERIALS(全2巻),2009等の公知文献に記載されたコポリマーやその誘導体、及び記載されているモノマーの組み合わせによって合成し得るコポリマーを用いることができる。p型半導体材料として併用される高分子有機半導体材料は、一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
p型半導体材料として併用しうる高分子有機半導体材料の具体例としては以下のものが挙げられるが、以下のものに限定されるわけではない。
Figure 2014005460
Figure 2014005460
(低分子有機半導体材料)
p型半導体材料として併用しうる低分子有機半導体材料は、特段の制限はないが、具体的には、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも一つ以上を含み、かつ合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体、等の大環状化合物等が挙げられる。好ましくは、フタロシアニン化合物及びその金属錯体又はポルフィリン化合物及びその金属錯体である。
ポルフィリン化合物及びその金属錯体(図中のZがCH)、及びフタロシアニン化合物及びその金属錯体(図中のZがN)としては、例えば、以下のような構造の化合物が挙げられる。
Figure 2014005460
Figure 2014005460
ここで、Mは金属あるいは2個の水素原子を表し、金属としては、Cu、Zn、Pb、Mg、Co又はNi等の2価の金属のほか、軸配位子を有する3価以上の金属、例えば、TiO、VO、SnCl、AlCl、InCl又はSi等も挙げられる。
11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上24以下のアルキル基である。炭素数1以上24以下のアルキル基とは、炭素数1以上24以下の飽和若しくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数3以上24以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。その中でも好ましくは炭素数1以上12以下の飽和若しくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数3以上12以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。
フタロシアニン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、29H,31H−フタロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、バナジウムフタロシアニンオキシド錯体、インジウムフタロシアニンハロゲン錯体、ガリウムフタロシアニンハロゲン錯体、アルミニウムフタロシアニンハロゲン錯体、スズフタロシアニンハロゲン錯体、珪素フタロシアニンハロゲン錯体、又は銅4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン錯体であり、より好ましくは、チタンフタロシアニンオキシド錯体、バナジウムフタロシアニンオキシド錯体、インジウムフタロシアニンクロロ錯体、アルミニウムフタロシアニンクロロ錯体である。上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
ポルフィリン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンニッケル(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンコバルト(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン銅(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン亜鉛(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンニッケル(II)又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンバナジウム(IV)オキシドであり、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンである。上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
低分子有機半導体材料の成膜方法としては、蒸着法及び塗布法が挙げられる。塗布成膜できるというプロセス上の利点からは後者が好ましい。塗布法を用いる場合、低分子有機半導体材料前駆体を塗布後に低分子有機半導体材料に変換する方法が成膜性に優れる点で好ましい。具体的には、特に制限はないが、具体的には特開2007−324587号公報及び特開2011−119648号公報に記載の方法があげられる。
本発明に係るコポリマーと併用しうるp型半導体材料として、中でも好ましくは、高分子有機半導体材料としてはポリチオフェン等の共役コポリマー半導体材料であり、低分子有機半導体材料としては、ナフタセン、ペンタセン、ピレン等の縮合芳香族炭化水素、フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン(BP)等のポルフィリン化合物及びその金属錯体である。上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
p型半導体材料は、成膜された状態において、何らかの自己組織化した構造を有していても、アモルファス状態であってもよい。
p型半導体材料のHOMO(最高被占分子軌道)エネルギー準位は、特に限定は無く、後述のn型半導体材料の種類によって選択することができる。特に、フラーレン化合物をn型半導体材料として用いる場合、p型半導体材料のHOMOエネルギー準位は、通常−5.7eV以上、より好ましくは−5.5eV以上、一方、通常−4.6eV以下、より好ましくは−4.8eV以下である。p型半導体材料のHOMOエネルギー準位が−5.7eV以上であることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体材料のHOMOエネルギー準位が−4.6eV以下であることにより化合物の安定性が向上し、開放電圧(Voc)も向上する。
p型半導体材料のLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位は、特に限定は無いが、後述のn型半導体材料の種類によって選択することができる。特に、フラーレン化合物をn型半導体材料として用いる場合、p型半導体材料のLUMOエネルギー準位は、通常−3.7eV以上、好ましくは−3.6eV以上である。一方、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体のLUMOエネルギー準位が−2.5eV以下であることにより、バンドギャップが調整され長波長の光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度が向上する。p型半導体材料のLUMOエネルギー準位が−3.7eV以上であることにより、n型半導体材料への電子移動が起こりやすくなり短絡電流密度が向上する。
[5−2−3.n型半導体材料]
n型半導体材料としては、特段の制限はないが、具体的にはフラーレン化合物;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型ポリマー(n型高分子半導体材料)等が挙げられる。
その中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はn型高分子半導体材料が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はn型高分子半導体材料がより好ましい。上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
n型半導体材料のLUMOエネルギー準位は、特に限定はされないが、例えばサイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値が、通常−3.85eV以上、好ましくは−3.80eV以上である。p型半導体材料から効率良くn型半導体材料へと電子を移動させるためには、p型半導体材料とn型半導体材料とのLUMOエネルギー準位の相対関係が重要である。具体的には、p型半導体材料のLUMOエネルギー準位が、n型半導体材料のLUMOエネルギー準位より所定の値だけ上にあること、言い換えると、n型半導体材料の電子親和力がp型半導体材料の電子親和力より所定のエネルギーだけ大きいことが好ましい。開放電圧(Voc)はp型半導体材料のHOMOエネルギー準位とn型半導体材料のLUMOエネルギー準位の差に依存するため、n型半導体材料のLUMOを高くすると、Vocが高くなる傾向がある。一方、LUMOの値は通常−1.0eV以下、好ましくは−2.0eV以下、より好ましくは−3.0eV以下、更に好ましくは−3.3eV以下である。n型半導体材料のLUMOエネルギー準位を低くすることで、電子の移動が起こりやすくなり、短絡電流(Jsc)が高くなる傾向がある。
n型半導体材料のLUMOエネルギー準位の算出方法は、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法が挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法があげられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法又はサイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。その中でも好ましくはサイクリックボルタモグラム測定法であり、本明細書においてサイクリックボルタモグラム測定法を用いるものとする。具体的には、例えば公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法で測定することができる。
n型半導体材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。一方、通常−7.0eV以上、好ましくは−6.6eV以上である。n型半導体材料のHOMOエネルギー準位が−7.0eV以上であることは、n型半導体材料の光吸収も発電に利用しうる点で好ましい。n型半導体材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔の逆移動を阻止できる点で好ましい。
n型半導体材料の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm/Vs以上であり、1.0×10−5cm/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×10cm/Vs以下であり、1.0×10cm/Vs以下が好ましく、5.0×10cm/Vs以下がより好ましい。n型半導体材料の電子移動度が1.0×10−6cm/Vs以上であることは、光電変換素子の電子拡散速度向上、短絡電流向上、変換効率向上等の効果が得られうる点で好ましい。電子移動度の測定方法としてはFET法が挙げられ、公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により実施することができる。
n型半導体材料の25℃でのトルエンに対する溶解度は、通常0.5質量%以上であり、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましい。一方、通常90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。n型半導体材料の25℃でのトルエンに対する溶解度が0.5質量%以上であることは、溶液中でのn型半導体材料の分散安定性が向上し、凝集、沈降、分離等を起こしにくくなるために、好ましい。
以下、好ましいn型半導体材料の例について説明する。
(フラーレン化合物)
フラーレン化合物としては、一般式(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造を有するものが好ましい例として挙げられる。
Figure 2014005460
上式中、FLNは、閉殻構造を有する炭素クラスターであるフラーレンを表す。フラーレンの炭素数は、通常60以上130以下の偶数であれば何でもよい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等が挙げられる。その中でも、C60又はC70が好ましい。フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素−炭素結合が切れていてもよい。また、フラーレンを構成する炭素原子の一部が、他の原子に置き換えられていてもよい。さらにフラーレンは、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団をフラーレンケージ内に内包していてもよい。
a、b、c及びdは整数であり、a、b、c及びdの合計は通常1以上であり、一方、通常5以下であり、好ましくは3以下である。(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)中の部分構造は、フラーレン骨格中の同一の五員環又は六員環に結合している。一般式(n1)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−R21と、−(CHとがそれぞれ結合している。一般式(n2)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R25)(R26)−N(R27)−C(R28)(R29)−が付加して5員環を形成している。一般式(n3)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R30)(R31)−C−C−C(R32)(R33)−が付加して6員環を形成している。一般式(n4)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して−C(R34)(R35)−が付加して3員環を形成している。Lは1以上8以下の整数である。Lとして好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
一般式(n1)中のR21は、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1以上10以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上6以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基が更に好ましい。
上記のアルキル基、アルコキシ基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては特に限定されないが、ハロゲン原子又はシリル基が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。シリル基としては、ジアリールアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、トリアリールシリル基又はトリアルキルシリル基が好ましく、ジアルキルアリールシリル基がより好ましく、ジメチルアリールシリル基がさらに好ましい。
一般式(n1)中のR22〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はn−ヘキシル基が好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基が更に好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基は特に限定されないが、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は炭素数3以上10以下の芳香族基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、n−ブトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が更に好ましい。芳香族基が置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上3以下が好ましく、1がより好ましい。芳香族基が置換基を複数有する場合、その置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n2)中のR25〜R29は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基又はオクチル基であり、より好ましくはメチル基である。アルキル基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、ハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、好ましくはフッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基である。アルキル基にはフッ素原子が置換されていてもよい。さらに好ましくは炭素数1以上14以下のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のArは、置換基を有していてもよい炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基又はキノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基又はフリル基である。
有していてもよい置換基として限定は無いが、フッ素原子、塩素原子、水酸基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換していてもよいアミノ基、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基、炭素数1以上14以下のアルキルチオ基、炭素数2以上14以下のアルケニル基、炭素数2以上14以下のアルキニル基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基、炭素数2以上20以下のアリールチオ基、炭素数2以上20以下のアリールオキシ基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の複素環基が好ましく、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以下14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基又は炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基がより好ましい。炭素数1以上14以下のアルキル基は1又は2以上のフッ素で置換されていてもよい。
炭素数1以上14以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルキルカルボニル基としては、アセチル基が好ましい。炭素数2以上14以下のエステル基としては、メチルエステル基又はn−ブチルエステル基が好ましい。炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基が好ましい。
置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。置換基が複数の場合、その種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のR30〜R33は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基である。R30又はR31は、R32とR33とのいずれか一方と結合して環を形成していてもよい。環を形成する場合における構造としては、例えば、芳香族基が縮合したビシクロ構造である一般式(n5)に示す構造が挙げられる。
Figure 2014005460
一般式(n5)においてfはcと同義であり、Zは、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、アルキレン基又はアリーレン基である。アルキレン基としては炭素数1以上2以下が好ましい。アリーレン基としては炭素数5以上12以下が好ましく、例えばフェニレン基が挙げられる。アミノ基は、メチル基やエチル基等の炭素数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。アルキレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。アリーレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。
式(n5)に示す構造として特に好ましくは、下記式(n6)又は式(n7)で表される構造である。
Figure 2014005460
一般式(n4)中のR34〜R35は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上12以下のアルコキシ基又は炭素数1以上12以下のフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上12以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はn−ヘキソキシ基が特に好ましい。
アルキル基としては、炭素数1以上8以下の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基がより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基には特に限定は無いが、好ましくはアルコキシカルボニル基である。アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又はフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下の炭化水素基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又はn−ブトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基が好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が特に好ましい。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても同一でもよく、好ましくは同一である。
一般式(n4)の構造として好ましくは、R34、R35が共にアルコキシカルボニル基であるか、R34、R35が共に芳香族基であるか、又はR34が芳香族基でありかつR35が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基であるものが挙げられる。
フラーレン化合物としては、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
塗布法によりフラーレン化合物を成膜するためには、フラーレン化合物自体が液状で塗布可能であるか、又はフラーレン化合物が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、25℃でのトルエンに対する溶解度が、通常0.1質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上である。フラーレン化合物の溶解度が0.1質量%以上であることは、フラーレン化合物の溶液中での分散安定性が増加し、凝集、沈降、分離等が起こりにくくなるために好ましい。
フラーレン化合物を溶解させる溶媒としては、非極性有機溶媒であれば特段に制限はないが、非ハロゲン系溶媒が好ましい。ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒を用いることも可能であるが、環境負荷の面等から代替が求められている。非ハロゲン系溶媒としては、例えば、非ハロゲン系芳香族炭化水素類が挙げられる。その中でも好ましくはトルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等である。
(フラーレン化合物の製造方法)
フラーレン化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、部分構造(n1)を有するフラーレン化合物の合成は、国際公開第2008/059771号やJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(46),15429−15436のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n2)を有するフラーレン化合物の合成は、J.Am.Chem.Soc.1993,115,9798−9799、Chem.Mater.2007,19,5363−5372及びChem.Mater.2007,19,5194−5199のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n3)を有するフラーレン化合物の合成は、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1993,32,78−80、Tetrahedron Lett.1997,38,285−288、国際公開第2008/018931号及び国際公開第2009/086210号のような公知文献の記載に従って実施可能である。
部分構造(n4)を有するフラーレン化合物の合成は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1997 1595、Thin Solid Films 489(2005)251−256、Adv.Funct.Mater.2005,15,1979−1987及びJ.Org.Chem.1995,60,532−538のような公知文献の記載に従って実施可能である。
また、市販されているフラーレン化合物として、例えばPCBM(フロンティアカーボン社製)、PCBNB(フロンティアカーボン社)等が好適に使用できる。
(N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体)
N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体としては、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2009/115513号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2009/000756号及び国際公開第2009/091670号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は電子移動度が高く、可視域の光を吸収しうるために、電荷輸送と発電との両方に寄与しうる点から好ましい。
(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド)
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドとしては、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2007/146250号及び国際公開第2009/000756号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は電子移動度が高く、溶解性が高く塗布性に優れている点から好ましい。
(n型高分子半導体材料)
n型高分子半導体材料としては、特段の制限はないが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ビピリジン誘導体及びボラン誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体材料等が挙げられる。
その中でも、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするポリマーが好ましく、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドのうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体材料がより好ましい。n型高分子半導体材料として上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
n型高分子半導体材料として具体的には、国際公開第2009/098253号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2010/012710号及び国際公開第2009/098250号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は可視域の光を吸収しうるために発電に寄与することができ、粘度が高く、塗布性に優れている点から好ましい。
[5−3.バッファ層(102,104)]
光電変換素子107は、活性層103と電極101,105の間にバッファ層102,104を有する。バッファ層は、電子取り出し層104及び正孔取り出し層102に分類することができる。バッファ層を設けることで、活性層103と電極101,105との間での電子又は正孔の移動が容易となるほか、電極間の短絡が防止されうる。もっとも本発明において、バッファ層102,104は存在しなくてもよい。
電子取り出し層104と正孔取り出し層102とは、1対の電極101,105の間に、活性層103を挟むように配置される。すなわち、本発明に係る光電変換素子107が電子取り出し層104と正孔取り出し層102の両者を含む場合、電極101、正孔取り出し層102、活性層103、電子取り出し層104、及び電極105がこの順に配置される。本発明に係る光電変換素子107が電子取り出し層104を含み正孔取り出し層102を含まない場合は、電極101、活性層103、電子取り出し層104、及び電極105がこの順に配置される。電子取り出し層104と正孔取り出し層102とは積層順序が逆であってもよいし、また電子取り出し層104と正孔取り出し層102との少なくとも一方が異なる複数の膜により構成されていてもよい。
[5−3−1.電子取り出し層(104)]
電子取り出し層104の材料は、活性層103から電極101へ電子の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はないが、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
本発明に係るコポリマーと組み合わせて用いることが好ましい、無機化合物の材料の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソード105と組み合わされた際にカソード105の仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
本発明に係るコポリマーと組み合わせて用いることが好ましい、有機化合物の材料の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
電子取り出し層104の材料のLUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上である。一方、通常−1.9eV以下、好ましくは−2.0eV以下である。電子取り出し層104の材料のLUMOエネルギー準位が−1.9eV以下であることは、電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子取り出し層104の材料のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であることは、n型半導体材料への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
電子取り出し層104の材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−9.0eV以上、好ましくは−8.0eV以上である。一方、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。電子取り出し層104の材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔が移動してくることを阻止しうる点で好ましい。
電子取り出し層104の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、サイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法を参考にして実施することができる。
電子取り出し層104の材料が有機化合物である場合、DSC法により測定した場合のこの化合物のガラス転移温度(以下、Tgと記載する場合もある)は、特段の制限はないが、観測されないか、又は55℃以上であることが好ましい。DSC法によりガラス転移温度が観測されないとは、ガラス転移温度がないことを意味する。具体的には400℃以下のガラス転移温度の有無により判別する。DSC法によるガラス転移温度が観測されない材料は、熱的に高い安定性を有している点で好ましい。
また、DSC法により測定した場合のガラス転移温度が55℃以上である化合物の中でも、ガラス転移温度が、好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である化合物が望ましい。一方、ガラス転移温度の上限は特に限定はないが、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。また、電子取り出し層104の材料は、DSC法によるガラス転移温度が30℃以上55℃未満に観測されないものであることが好ましい。
本明細書におけるガラス転移温度とは、アモルファス状態の固体において、熱エネルギーにより局所的な分子運動が開始される温度とされており、比熱が変化する点として定義される。Tgよりさらに温度が上がると、固体構造が変化して結晶化が起こる(この時の温度を結晶化温度(Tc)とする)。さらに温度が上がると、融点(Tm)で融解し液体状態に変化することが一般的である。但し、高温で分子が分解したり、昇華したりして、これらの相転移が見られないこともある。
DSC法とは、JIS K−0129“熱分析通則”に定義された熱物性の測定法(示差走査熱量測定法)である。ガラス転移温度をより明確に決める為には、一度ガラス転移点以上の温度に加熱したサンプルを急冷した後に測定することが望ましい。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法により、測定を実施することができる。
電子取り出し層に用いられる化合物のガラス転移温度が55℃以上である場合、この化合物は、印加される電場、流れる電流、曲げや温度変化による応力等の外部ストレスに対して構造が変化しにくいため、耐久性の面で好ましい。さらに、化合物の薄膜の結晶化が進みにくい傾向も有すことから、使用温度範囲においてこの化合物がアモルファス状態と結晶状態との間で変化しにくくなることにより、電子取り出し層としての安定性が良くなるため、耐久性の面で好ましい。この効果は、材料のガラス転移温度が高ければ高いほど、より顕著に表れる。
電子取り出し層104の膜厚は特に限定はないが、通常0.01nm以上、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは0.5nm以上である。一方、通常40nm以下、好ましくは20nm以下である。電子取り出し層104の膜厚が0.01nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、電子取り出し層104の膜厚が40nm以下であることで、電子が取り出しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
[5−3−2.正孔取り出し層(102)]
正孔取り出し層102の材料に特に限定は無く、活性層103からアノード101への正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、上述のp型半導体材料等が挙げられる。その中でも、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーが好ましく、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)がより好ましい。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層102の膜厚は特に限定はないが、通常2nm以上である。一方、通常40nm以下、好ましくは20nm以下である。正孔取り出し層102の膜厚が2nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、正孔取り出し層102の膜厚が40nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
電子取り出し層104及び正孔取り出し層102の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。正孔取り出し層102に半導体材料を用いる場合は、活性層103と同様に、半導体材料前駆体を含む層を形成した後に、前駆体を半導体材料に変換してもよい。
[5−4.電極(101,105)]
電極101,105は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極には、正孔の捕集に適した電極101(以下、アノードと記載する場合もある)と、電子の捕集に適した電極105(以下、カソードと記載する場合もある)とを用いることが好ましい。一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層103に光を到達させるために好ましい。光の透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
アノード101とは、一般には仕事関数がカソードよりも高い導電性材料で構成され、活性層103で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
アノード101の材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金が挙げられる。これらの物質は高い仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT/PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が高いことから、上記のような高い仕事関数の材料でなくとも、AlやMg等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。
ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT/PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。
アノード101が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化錫等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOが好ましい。
アノード101の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは、50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノード101の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノード101の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。アノード101が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗とを両立できる膜厚を選ぶ必要がある。
アノード101のシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
アノード101の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
カソード105は、一般には仕事関数がアノードよりも高い値を有する導電性材料で構成され、活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
カソード105の材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は低い仕事関数を有する材料であるため、好ましい。カソード105についてもアノード101と同様に、電子取り出し層104としてチタニアのようなn型半導体で導電性を有するものを用いることにより、アノード101に適した高い仕事関数を有する材料を用いることもできる。電極保護の観点から、アノード101の材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、カルシウム又はインジウム等の金属及びこれらの金属を用いた合金である。
カソード105の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソード105の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソード105の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。カソード105を透明電極として用いる場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。
カソード105のシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソード105の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。
さらに、アノード101及びカソード105は、2層以上の積層構造を有していてもよい。また、アノード101及びカソード105に対して表面処理を行うことにより、特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
アノード101及びカソード105を積層した後に、光電変換素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことにより、光電変換素子の各層間の密着性、例えば電子取り出し層104と電極101及び/又は電子取り出し層104と活性層103の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。また、アニーリング処理工程により、活性層の自己組織化が促進されうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、活性層103内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
[5−5.基材(106)]
光電変換素子107は、通常は支持体となる基材106を有する。すなわち、基材上に、電極101,105と、活性層103とが形成される。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材106を有さなくてもよい。
基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材106の材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル若しくはポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;等が挙げられる。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材106の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。また、基材106の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重量が重くならないために好ましい。基材106の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材106の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材106の膜厚が0.5cm以下であることは、重量が重くならないために好ましい。
[5−6.光電変換特性]
光電変換素子107の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子107にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
本発明に係る光電変換素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
また、光電変換素子の耐久性を測定する方法としては、光電変換素子を大気暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。
(維持率)=(大気暴露N時間後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
光電変換素子を実用化するには、製造が簡便かつ安価であること以外に、高い光電変換効率及び高い耐久性を有することが重要である。この観点から、1週間大気暴露する前後での光電変換効率の維持率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、高ければ高いほどよい。
<6.本発明に係る太陽電池>
本発明に係る光電変換素子107は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[6.1 耐候性保護フィルム(1)]
耐候性保護フィルム1は天候変化から太陽電池素子6を保護するフィルムである。耐候性保護フィルム1で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を天候変化等から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性及び/又は機械強度等の、薄膜太陽電池14の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム1は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム1も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム1の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
耐候性保護フィルム1を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子6を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコン系樹脂又はポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム1は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、耐候性保護フィルム1は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム1の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上200μm以下である。
また耐候性保護フィルム1には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理及び/又はプラズマ処理等の表面処理を行ってもよい。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池14の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
[6.2 紫外線カットフィルム(2)]
紫外線カットフィルム2は紫外線の透過を防止するフィルムである。紫外線カットフィルム2を薄膜太陽電池14の受光部分に設け、紫外線カットフィルム2で太陽電池素子6の受光面6aを覆うことにより、太陽電池素子6及び必要に応じてガスバリアフィルム3、9等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム2に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、下限に制限はない。また、紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム2も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム2の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
また、紫外線カットフィルム2は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうるものが好ましい。
紫外線カットフィルム2を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系又はエステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルム等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系のもの等を用いることができる。なお、紫外線吸収剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。上述のように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
紫外線カットフィルム2の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(MKVプラスティック株式会社)等が挙げられる。なお、紫外線カットフィルム2は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、紫外線カットフィルム2は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。紫外線カットフィルム2の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の受光面6aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子6の受光面6aの全てを覆う位置に設ける。ただし、太陽電池素子6の受光面6aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム2が設けられていてもよい。
[6.3 ガスバリアフィルム(3)]
ガスバリアフィルム3は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。ガスバリアフィルム3で太陽電池素子6を被覆することにより、太陽電池素子6を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム3に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、通常1×10−1g/m/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
ガスバリアフィルム3に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、通常1×10−1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
また、ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム3も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム3の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ガスバリアフィルム3の具体的な構成は、太陽電池素子6を水から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム3を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
なかでも好適なガスバリアフィルム3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムにSiOを真空蒸着したフィルム等が挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム3は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ガスバリアフィルム3は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム3の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6を被覆して湿気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム3が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するガスバリアフィルム9が太陽電池素子6の背面を覆うようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[6.4 ゲッター材フィルム(4)]
ゲッター材フィルム4は水分及び/又は酸素を吸収するフィルムである。ゲッター材フィルム4で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を水分及び/又は酸素から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。ここで、ゲッター材フィルム4は上記のようなガスバリアフィルム3とは異なり、水分の透過を妨げるものではなく、水分を吸収するものである。水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム3等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム4が捕捉して水分による太陽電池素子6への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム4の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm以下である。また、ゲッター材フィルム4が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム3及び9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム4が捕捉して酸素による太陽電池素子6への影響を排除できる。
さらに、ゲッター材フィルム4は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム4も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム4の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ゲッター材フィルム4を構成する材料は、水分及び/又は酸素を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム又は硫酸ニッケル等の硫酸塩;アルミニウム金属錯体又はアルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、Ca、Sr又はBa等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、CaO、SrO又はBaO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOやアルミニウム金属錯体等も挙げられる。具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)等が挙げられる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム又は酸化鉄等が挙げられる。またFe、Mn、Zn、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム4は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ゲッター材フィルム4は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム4の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ゲッター材フィルム4は、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3と太陽電池素子6との間に設けることが好ましい。本実施形態ではゲッター材フィルム4が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム8が太陽電池素子6の背面を覆い、ゲッター材フィルム4,8がそれぞれ太陽電池素子6とガスバリアフィルム3,9との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[6.5 封止材(5)]
封止材5は、太陽電池素子6を補強するフィルムである。太陽電池素子6は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材5により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池14の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材5以外の耐候性保護フィルム1やバックシート10の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池14全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材5は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
封止材5の厚みは特に規定されないが、通常2μm以上700μm以下である。
封止材5の基板に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。T型剥離接着強さが1N/インチ以上であることは、モジュールの長期耐久性を確保できる点で好ましい。T型剥離接着強さが2000N/インチ以下であることは、太陽電池を廃棄する際に、基材やバリアフィルムと接着材を分別して廃棄できる点で好ましい。T型剥離接着強さはJIS K6854に準拠する方法により測定する。
封止材5の構成材料としては、上記特性を有する限り特段の制限はないが、有機・無機の太陽電池の封止、有機・無機のLED素子の封止、又は電子回路基板の封止等に一般的に用いられている封止用材料を用いる事ができる。
具体的には、熱硬化性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂組成物及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とは例えば、紫外線、可視光、電子線等で硬化する樹脂のことである。より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物、炭化水素系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、又はシリコン系樹脂組成物等が挙げられ、それぞれの高分子の主鎖、分岐鎖、末端の化学修飾、分子量の調整、添加剤等によって、熱硬化性、熱可塑性及び活性エネルギー線硬化性等の特性が発現する。
また、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、封止材5も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材5の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
封止材5中の封止材用構成材料の密度は、0.80g/cm以上が好ましく、上限に制限はない。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112に準拠する方法によって実施することができる。
封止材5を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子6を挟み込むように設ける。太陽電池素子6を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子6の正面及び背面にそれぞれ封止材5及び封止材7を設けるようにしている。
[6.6 太陽電池素子(6)]
太陽電池素子6は、前述の光電変換素子107と同様である。
太陽電池素子6は、薄膜太陽電池14一個につき一個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子6を設ける。具体的な太陽電池素子6の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子6を複数設ける場合、太陽電池素子6はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子6を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子6同士は電気的に接続され、接続された一群の太陽電池素子6から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため通常は太陽電池素子は直列に接続される。
このように太陽電池素子6同士を接続する場合には、太陽電池素子6間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子6と太陽電池素子6との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子6の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池14の発電量を増加させるためである。
[6.7 封止材(7)]
封止材7は、上述した封止材5と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材7と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[6.8 ゲッター材フィルム(8)]
ゲッター材フィルム8は、上述したゲッター材フィルム4と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はゲッター材フィルム4と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[6.9 ガスバリアフィルム(9)]
ガスバリアフィルム9は、上述したガスバリアフィルム3と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はガスバリアフィルム9と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[6.10 バックシート(10)]
バックシート10は、上述した耐候性保護フィルム1と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム1と同様のものを同様に用いることができる。また、このバックシート10が水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート10をガスバリア層として機能させることも可能である。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[6.11 寸法等]
本実施形態の薄膜太陽電池14は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池14を形成することにより、薄膜太陽電池14を建材、自動車又はインテリア等に容易に設置できるようになっている。薄膜太陽電池14は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるため更に多くの用途に使用しうる。薄くて軽いため輸送や保管等流通面でも好ましい。更に、膜状であるためロール・トゥ・ロール式の製造が可能であり大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池14の具体的な寸法に制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上3000μm以下である。
[6.12 製造方法]
本実施形態の薄膜太陽電池14の製造方法に制限は無いが、例えば、図2の形態の太陽電池製造方法としては、図2に示される積層体を作成した後に、ラミネート封止工程を行う方法が挙げられる。本実施形態の太陽電池素子は、耐熱性に優れるため、ラミネート封止工程による劣化が低減される点で好ましい。
図2に示される積層体作成は周知の技術を用いて行うことができる。ラミネート封止工程の方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート、押出しラミネート、共押出成型ラミネート、押出コーティング、光硬化接着剤によるラミネート、サーマルラミネート等が挙げられる。なかでも有機ELデバイス封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート法、太陽電池で実績のあるホットメルトラミネート又はサーマルラミネートが好ましく、さらに、ホットメルトラミネート又はサーマルラミネートがシート状の封止材を使用できる点でより好ましい。
ラミネート封止工程の加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。ラミネート封止工程の加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。ラミネート封止工程の圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材5,7のはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。なお、2個以上の太陽電池素子6を直列又は並列接続したものも上記と同様にして、製造することができる。
[6.13 用途]
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明に係る薄膜太陽電池を適用する分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等である。
本発明に係る太陽電池、特には薄膜太陽電池はそのまま用いても、基材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に模式的に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
基材12は薄膜太陽電池14を支持する支持部材である。基材12を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア及びチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート及びポリノルボルネン等の有機材料;紙及び合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン及びアルミニウム等の金属;ステンレス、チタン及びアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;等が挙げられる。
なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これら有機材料あるいは紙材料に炭素繊維を含ませ、機械的強度を補強させてもよい。基材12の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)等が挙げられる。
基材12の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材12の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。この太陽電池パネルは、建物の外壁等に設置することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、本実施例に記載の項目は以下の方法によって測定した。
[重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法]
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により求めた。なお、分子量分布(PDI)は、Mw/Mnを表す。
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定は以下の条件で行った。
カラム:PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm 内径7.5mm,長さ30cm)2本直列に接続して使用
ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製)
オーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
検出器:示差屈折率検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出器(島津製作所社製,SPD−10A)
サンプル:試料1mgをクロロホルム(200mg)に溶解させた液1μL
移動相:クロロホルム
流速:1.0mL/min
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
[コポリマー含有インクの保存安定性試験]
コポリマー含有インクの保存安定性試験は、次の方法により実施した。2mLのスクリューバイアル中にコポリマーを2mg入れ、ここに1.5質量%の濃度になるようにo−キシレンを加えた。蓋をして容器を密閉し、コポリマーが溶解するまで加熱した。得られたコポリマー含有インクを室温まで冷却し、ゲル化するまでの時間を測定した。ゲル化の判定方法として、所定時間経過後にスクリューバイアルを上下逆さまにした状態で1分間静置し、流動性が認められなかった場合に、ゲル化したものとした。具体的には、熱源から容器を離し、室温下で静置した時点から5分後にゲル化しているか、及び1時間後にゲル化しているかを判定した。
[光電変換素子の評価方法]
光電変換素子に6mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極とアルミニウム電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
<合成例1>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、200mL四口ナスフラスコ中に、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルシリル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E1,非特許文献J.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に従って合成,1.03g,1.786mmol)を入れ、クロロホルム(50mL)に溶解させた。さらにトリフルオロ酢酸(0.265mL,3.573mmol)を滴下後、約3.5時間攪拌した。反応液に水を加え、下層を水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮を行った。ヘキサンに溶解してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供することで、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2)を淡黄色の油状物として得た(702mg,収率94%)。
化合物E2:H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.18(d,2H,J=4.8Hz),7.08(d,2H,J=4.8Hz),1.43−1.35(m,2H),1.28−1.09(m,16H),0.98−0.80(m,10H),0.75(d,6H,J=7.3Hz).
<合成例2>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、20mLシュレンク管中に、化合物E2(100mg,0.239mmol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF,2.5mL)に溶解させ、−78℃に冷却した。さらにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,0.258mL,1.2eq)を滴下し、約1時間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.287mL,1.2eq)を滴下後、徐々に室温まで昇温した。再び−78℃に冷却後、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,0.258mL,1.2eq)を滴下し、約1時間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.287mL,1.2eq)を滴下後、徐々に室温まで昇温した。再び−78℃に冷却後、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M、0.258mL,1.2eq)を滴下し、約1時間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.310mL,1.3eq)を滴下後、徐々に室温まで昇温した。反応液に水を加え、ヘキサンで抽出後、有機層を水洗した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過して減圧濃縮後、真空下で乾燥することにより、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E3)を黄緑色油状物として定量的に得た。
化合物E3:H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.07(s,2H),1.45−1.37(m,2H),1.32−1.08(m,16H),0.99−0.80(m,10H),0.77(t,6H,J=7.3Hz),0.36(s,18H).
<合成例3>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、300mL四口ナスフラスコ中に、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物E4,J.Am.Chem.Soc.,2011,133,10062−10065に従って合成,7.43g,16.0mmol)を入れ、無水テトラヒドロフラン(THF,150mL)に溶解させ、−78℃に冷却した。さらにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,17.3mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌した。続いて、塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,19.2mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌した。さらに、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,17.3mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌し、塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,19.2mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌した。再度、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M、17.3mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌し、塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,20.8mL,1.3eq)を滴下後、30分攪拌し、室温に昇温した。反応液に水を加え、ヘキサンで抽出後、有機層を水洗した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ゼオライトろ過した。有機層を減圧濃縮し、メタノールで懸洗してから、真空下で乾燥することにより、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物E5)を黄緑色油状物として定量的に得た。
化合物E5:H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.07(s,2H),1.48(m,2H),1.35−1.12(m,20H),0.85−0.75(m,12H),0.37(s,18H).
<実施例1>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E6(イミドチオフェンジブロミド),160mg,0.38mmol)、合成例2で得られた化合物E3(237mg,0.318mmol)、及び合成例3で得られた化合物E5(62.9mg,0.080mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(14mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,31mg,3mol%)、トルエン(6.8mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.7mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.3mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(1.5mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー1(181mg)を得た。得られたコポリマー1の重量平均分子量Mwは1.68×10であり、PDIは3.8であった。
<実施例2>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E6(イミドチオフェンジブロミド),136mg,0.321mmol)、合成例2で得られた化合物E3(126mg,0.169mmol)、及び合成例3で得られた化合物E5(133mg,0.169mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,26mg,3mol%)、トルエン(5.8mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.3mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(1.5mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー2(181mg)を得た。得られたコポリマー2の重量平均分子量Mwは2.10×10であり、PDIは4.5であった。
<実施例3>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E6(イミドチオフェンジブロミド,99.2mg,0.295mol)、合成例2で得られた化合物E3(57mg,0.076mmol)、及び合成例3で得られた化合物E5(190mg,0.24mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(11mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,24mg,3mol%)、トルエン(5.3mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.2mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.3mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(1.5mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー3(159mg)を得た。得られたコポリマー3の重量平均分子量Mwは1.92×10であり、PDIは3.8であった。
<実施例4>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E6(イミドチオフェンジブロミド),125mg,0.30mmol)、合成例2で得られた化合物E3(22.7mg,0.030mmol)、及び合成例3で得られた化合物E5(175mg,0.222mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,19mg,3mol%)、トルエン(4.2mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(0.96mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.3mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(1.5mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー4(174mg)を得た。得られたコポリマー4の重量平均分子量Mwは1.41×10であり、PDIは3.4であった。
<比較例1>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E6(イミドチオフェンジブロミド),138mg,0.33mmol)、及び合成例2で得られた化合物E3(255mg,0.34mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,23mg,3mol%)、トルエン(5.3mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.3mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.3mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(1.5mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー5(174mg)を得た。得られたコポリマー5の重量平均分子量Mwは1.37×10であり、PDIは3.3であった。
<比較例2>
Figure 2014005460
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E6(イミドチオフェンジブロミド),224mg,0.53mmol)、及び合成例3で得られた化合物E4(453mg,0.57mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,44mg,3mol%)、トルエン(9.6mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(2.2mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.6mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(3mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー6(392mg)を得た。得られたコポリマー6の重量平均分子量Mwは1.87×10であり、PDIは5.7であった。
<比較例3>
Figure 2014005460
化合物E6の代わりに、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2010,132,7595−7597)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−(2−エチルヘキシル)−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E7(250mg,0.59mmol)を用い、他の試薬を同様の比率で用いたこと以外は、比較例1と同様にして目的とするコポリマー7を得た。得られたコポリマー7の重量平均分子量Mwは2.00×10であり、PDIは3.2であった。
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られたコポリマーのそれぞれについて、上記の方法により、コポリマー含有インクの保存安定性試験を行った。結果を下記表1に記載する。表1において、×は熱源から容器を離し室温下で静置した時点から5分以内にゲル化が確認されたことを、○は5分後の時点でゲル化が確認されなかったが1時間後の時点ではゲル化が確認されたことを、◎は1時間後の時点でもゲル化が確認されなかったことを、それぞれ表す。
Figure 2014005460
表1に示すように、比較例1及び比較例2のコポリマーを含有するインクは、分子量は比較的大きいものの、保存安定性が良くないことがわかる。また、比較例3のコポリマーは、溶解度を向上させる効果が大きいことが期待される2−エチルヘキシル基をイミドチオフェン環の窒素原子上に有するが、ゲル化の抑制効果は確認されなかった。このように、二元共重合体のイミドチオフェン環上の置換基を変化させても、コポリマーを含有するインクの保存安定性は改善しなかった。
一方で、本発明に係るコポリマーである実施例1〜3のコポリマーはいずれも、分子量が高く、コポリマーを含有するインクの保存安定性が良好であることがわかる。また、イミドチオフェン環の窒素原子が有する置換基が2−エチルヘキシル基であっても、直鎖のオクチル基であっても、コポリマーを含有するインクの保存安定性は良好であった。このように、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位及び式(1C)で表される繰り返し単位を含むコポリマーを含有するインクの保存安定性は高く、このインクを用いて塗布成膜を行うことは容易であることから、本発明に係るコポリマーは光電変換素子材料として用いるのに適していることがわかる。
<光電変換素子の作製>
<実施例5>
p型半導体化合物として実施例1で得られたコポリマー1、及びn型半導体化合物としてフラーレン化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物(フロンティアカーボン社,nanom spectra E123)を、1.8質量%の濃度となるように窒素雰囲気中でo−キシレンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布用インクを得た。
インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロパノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローでの乾燥及びUV―オゾン処理を行った。次に、酢酸亜鉛(II)二水和物(和光純薬社製)を、濃度105mg/mLになるように、2−メトキシエタノール(Aldrich社製)とエタノールアミン(Aldrich社製)との混合溶媒(体積比100:3)に溶解し、得られた溶液(約0.1mL)を3000rpmの速度にてガラス基板上にスピンコートし、UV−オゾン処理した後、200℃のオーブンで15分間加熱することで、電子取り出し層を形成した。
電子取り出し層を成膜した基板をグローブボックスに持ち込み、窒素雰囲気下150℃で3分間加熱処理し、冷却後に上述のように作製した活性層塗布用インク(0.12mL)をスピンコートすることにより活性層を形成した。
さらに、活性層上に、正孔取り出し層として三酸化モリブデン(MoO)膜を、次いで電極層として厚さ100nmの銀膜を、抵抗加熱型真空蒸着法により順次成膜し、5mm角の光電変換素子を作製した。
このように作製した光電変換素子について、上述のように電流−電圧特性を測定した。その結果を、p型半導体化合物とn型半導体化合物との重量比(p/n比)、活性層の膜厚及び三酸化モリブデン(MoO)膜の膜厚と共に表2に示す。
<実施例6>
p型半導体化合物として実施例2で得られたコポリマー2を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。結果を表2に示す。
<比較例4>
p型半導体化合物として比較例1で得られたコポリマー5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2014005460
実施例5及び6で示した光電変換素子は、いずれも、比較例4で示した光電変換素子よりも、高い変換効率を示した。このように、本発明に係るコポリマーを用いることにより、変換効率に優れた光電変換素子を提供することができる。
101 アノード
102 正孔取り出し層
103 活性層
104 電子取り出し層
105 カソード
106 基材
107 光電変換素子
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池ユニット
14 薄膜太陽電池

Claims (7)

  1. 下記式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位及び式(1C)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とするコポリマー。
    Figure 2014005460
    Figure 2014005460
    Figure 2014005460
    (式(1A)、式(1B)及び式(1C)中、Aは周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Q及びQは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子を表し、R〜Rは各々独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
  2. 下記式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコポリマー。
    Figure 2014005460
    Figure 2014005460
    (式(2A)及び式(2B)中、A及びAは各々独立して周期表第16族元素から選ばれる原子を表し、Q及びQは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子からなる群より選ばれる、互いに異なる原子を表し、R〜Rは各々独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
  3. 請求項1又は2に記載のコポリマーを含むことを特徴とする、有機半導体材料。
  4. 請求項3に記載の有機半導体材料を含むことを特徴とする、有機電子デバイス。
  5. 光電変換素子であることを特徴とする、請求項4に記載の有機電子デバイス。
  6. 太陽電池であることを特徴とする、請求項4に記載の有機電子デバイス。
  7. 請求項6に記載の有機電子デバイスを備えることを特徴とする、太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014051556A (ja) * 2012-09-05 2014-03-20 Kuraray Co Ltd π電子共役ランダム共重合体およびそれを用いた光電変換素子
CN110148672A (zh) * 2019-05-30 2019-08-20 南方科技大学 一种空穴传输材料及其制备方法和应用、包含其的钙钛矿太阳能电池

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