JP2014000657A - ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、加工物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 放電発生部である、ワークとワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の量を確保し、被加工物を適切に放電加工する。
【解決手段】 ワイヤを走行させるガイドローラと、被加工物とワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、ガイドローラと加工液槽との間のワイヤ、又は前記ガイドローラに前記加工液を噴射する給水機構と、ガイドローラと加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、給水機構により噴射された加工液を加工液槽に送り出す整流板と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 ワイヤを走行させるガイドローラと、被加工物とワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、ガイドローラと加工液槽との間のワイヤ、又は前記ガイドローラに前記加工液を噴射する給水機構と、ガイドローラと加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、給水機構により噴射された加工液を加工液槽に送り出す整流板と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、加工物に関する。
近年、半導体材料や太陽電池材料、硬質材料等の被加工材料を、放電加工により、短時間で同時に複数切り出す方法が開発されている。
たとえば、ワイヤ放電加工装置は、当該被加工材料を薄板状に切り出すために、給電子を介してワイヤに電圧を印加しながら走行させ、そのワイヤに当該被加工材料を近づけることで放電現象を発生させ、当該被加工材料を放電加工するものである。
特許文献1には、走行する複数本のワイヤで被加工物を放電加工することにより、薄片に切断することが記載されている。
しかしながら、従来、例えば、走行するワイヤの速度が速くなるにつれ、また、ワイヤ電極の本数が多くなるにつれ、また、ワイヤ間隔が狭小するにつれて、加工水槽内の加工液が、走行するワイヤによって加工水槽の外に運び出されてしまい、加工水槽内にワイヤ放電加工に必要な加工液の水量を十分に確保することができない場合がある。
そのため、放電発生部である、被加工物(ワーク)とワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の水量を十分に確保できない場合には、例えば、空中放電等が発生し、被加工物であるワークやワイヤを破損してしまい、被加工物を適切に放電加工することができないおそれがあった。
また、加工水槽に供給される加工液の流速の大きい水流が直接ワイヤに当たることにより、その加工液の水流によりワイヤの間隔が変動して(ワイヤがぶれてしまい)、被加工物を適切に放電加工することができないおそれがあった。すなわち、加工液槽に供給される加工液の噴流によりワイヤがぶれてしまい、被加工物を均一に加工することが困難であった。
本発明は、放電発生部である、ワークとワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の量を確保し、被加工物を適切に放電加工するための仕組みを提供することを目的とする。
本発明は、ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置であって、前記ワイヤを走行させるガイドローラと、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、前記ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤ、又は前記ガイドローラに前記加工液を噴射する給水機構と、前記ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、前記給水機構により噴射された加工液を前記加工液槽に送り出す整流板と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置によるワイヤ放電加工方法であって、ガイドローラが、前記ワイヤを走行させ、加工液槽が、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留され、給水機構が、前記ガイドローラと、前記加工液槽との間のワイヤ、又は前記ガイドローラに前記加工液を噴射し、整流板が、前記ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、前記給水機構により噴射された加工液を前記加工液槽に送り出すことを特徴とする。
また、本発明は、このワイヤ放電加工方法により、ワイヤにより前記被加工物を放電加工されることにより加工された加工物。
本発明によれば、放電発生部である、ワークとワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の量を確保し、被加工物を適切に放電加工することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るマルチワイヤ放電加工装置1を前方から見た外観図である。尚、図1に示す各機構の構成は一例であり、目的や用途に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係るマルチワイヤ放電加工システムは、マルチワイヤ放電加工装置1、電源ユニット(電源装置)15、加工液供給装置18から構成されている。
マルチワイヤ放電加工システムは、放電により、並設された複数本のワイヤ7(ワイヤ電極)の間隔で被加工物(図1の例では、シリコンインゴット5)を薄片にスライスすることができる。
マルチワイヤ放電加工装置1は、電源ユニット15と電線(電圧印加線)を介して接続されており、電源ユニット15から供給される電力により作動する。
マルチワイヤ放電加工装置1は、不図示のサーボモータにより駆動されるワーク送り装置3が上下方向に移動することにより、ワーク送り装置3に接着剤(接着部4の接着剤)により接着されているワーク(ワークは、被加工物を示し、図1の例ではシリコンインゴット5である)を上下方向に移動することができる。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、本発明のワイヤ放電加工装置の適用例であり、ワイヤと被加工物との間で発生する放電により被加工物を加工する。
本発明の実施の形態では、シリコンインゴット5が下方向に移動することで、シリコンインゴット5とワイヤ7とが接近し、シリコンインゴット5とワイヤ7との間で放電が発生し、シリコンインゴット5の放電加工を行う。このとき、シリコンインゴット5とワイヤ7との間の空間(放電ギャップ(シリコンインゴット5とワイヤ7との間の隙間))には加工液が満たされており、この加工液が所定幅の電気抵抗値を有していることから、シリコンインゴット5とワイヤ7との間で放電が発生し、シリコンインゴット5の放電加工を行うことができる。
また、ワーク送り装置3をワイヤ7よりも下部へ設け、シリコンインゴット5を上方向へ移動させることにより、シリコンインゴット5とワイヤ7との間で放電加工を行わせるようにすることも可能である。
本実施の形態では、被加工物の一例としてシリコンインゴット5を用いて説明するが、SIC(炭化シリコン)などの、絶縁体ではない他の材料(導体又は半導体)を用いることもできる。
マルチワイヤ放電加工装置1は、図1に示すように、マルチワイヤ放電加工装置1の土台として機能するブロック19と、ブロック19の上部の装置内に設置されている、ブロック2と、ワーク送り装置3と、接着部4と、シリコンインゴット5と、加工液槽6と、メインローラ8と、ワイヤ7と、メインローラ9と、給電ユニット10と、給電子11と、囲い板12と、給水部13と、整流板14と、水流制御板17を備えている。
15は、電源ユニット(電源装置)であり、2には、サーボモータを制御する放電サーボ制御回路が放電の状態に応じて効率よく放電を発生させるために放電ギャップを一定の隙間に保つように制御し、またワークの位置決めを行い、放電加工を進行させる。
18は、加工液供給装置であり、放電加工部の冷却、加工チップ(屑)の除去に必要な加工液をポンプによりシリコンインゴット5とワイヤ7へ送液すると共に、加工液中の加工チップの除去、イオン交換樹脂による比抵抗または電導度(1μS〜250μS)の管理、液温(20℃付近)の管理を行う。加工液には、主に水が使用されるが、放電加工油を用いることもできる。本実施の形態では、加工液の例として水を用いるが、放電加工油でもよい。
8,9はメインローラであり、メインローラには、所望する厚さで加工出来るようにあらかじめ決められたピッチ、数で溝が形成されており、ワイヤ供給ボビンからの張力制御されたワイヤが2つのメインローラに必要数巻きつけられ、巻き取りボビンへ送られる。ワイヤ速度は100m/minから900m/min程度が用いられる。
メインローラ9は、本発明のガイドローラの適用例であり、メインローラ9が回転することによりメインローラ9に巻きつけられたワイヤ7を走行させる。
2つのメインローラが同じ方向でかつ同じ速度で連動して回転することにより、ワイヤ繰出し部から送られた1本のワイヤ7がメインローラ(2つ)の外周を周回し、並設されている複数本のワイヤ7を同一方向に走行させることができる。
ワイヤ7は、1本の繋がったワイヤであり、図示しないボビンから繰り出され、メインローラ8、9の外周面のガイド溝(図示しない)に嵌め込まれながら、当該メインローラの外側に多数回(最大で2000回程度)螺旋状に巻回された後、図示しないボビンに巻き取られる。
加工液槽6は、所定の範囲の比抵抗(電気伝導度)に管理されたイオン交換水を、並設されたワイヤ7(ワイヤ電極とも言う)とシリコンインゴット5とが近接する放電ギャップの位置(放電点)に加工液として供給している。
加工液槽6は、本発明の加工液槽の適用例であり、被加工物とワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される。
給水部13から噴射される冷却水の比抵抗は、イオン交換水(加工液)の比抵抗とほぼ等しく、冷却水の比抵抗も加工液と同様にイオン交換樹脂により管理されている。これは冷却水と加工液が混ざっても放電に影響をあたえないためである。
すなわち、給水部13から噴射される冷却水は、メインローラ8、9、ワイヤ7を冷却する加工液である。
また、給水部13から噴射される加工液は、加工液槽6に貯留されている加工液と同一、又はほぼ同一の比抵抗を有する加工液である。
また、整流板14は、給水部13から噴射される加工液を、走行しているワイヤ7により、加工液槽6に流し込むための機構である。整流板14の構成については、後で詳しく説明する。
また、囲い板12は、加工液槽6、及びワイヤ7の上部に設けられており、加工液槽6内に流入する加工液の界面(液面)がワイヤ7よりも高い位置になるように、ワークの周りを囲っている、囲い板12を用いることで、加工液の水位がワイヤ7よりも高くすることが可能となる。
囲い板12は、本発明の流出抑制板の適用例であり、加工液槽よりも上部に設けられ、加工液槽内に貯留される加工液の当該加工液槽からの流出を抑制する。また、流出抑制板と加工液槽との間の隙間には、走行するワイヤが設けられている。
図3に示す囲い板12は、加工液槽6の縁上に設けられているが、加工液槽6の縁の直上ではなく、加工液槽6の内側、又は外側に設けるようにすることもできる。
また、図3に示す流出抑制板は、加工液槽6内の加工液を囲むように構成されているが、少なくとも、被加工物に対してワイヤの走行方向側に設けることで、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出され加工液槽6の外に運び出されるのを防ぎ、ワークとワイヤとの間の隙間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することができるようになる。
流出抑制板は、被加工物に対してワイヤの走行方向側の加工液槽の縁よりも上部に設けられている。
また、加工液槽6の内部には、加工液の流れ(水流)を制御するための水流制御板17を備えている。
加工液槽6内への加工液の供給は、加工液槽6の下部に備えられた加工液供給部(加工液供給口701を加工液供給部とも言う。)から行われる。そのため、加工液供給部から供給された加工液が、ワイヤ7の下部から直接ワイヤ7にあたり、その加工液の水流によりワイヤの間隔が変動してしまい(ワイヤがぶれてしまい)、被加工物を均一に加工することが難しくなるおそれがある。
そのため、図9を用いて、後で説明するが、被加工物の加工の不均一性の増大を抑えるために、加工液供給部から供給された加工液が、ワイヤ7の下部から直接ワイヤ7にあたらないようにするための水流制御板17を、加工液槽6内に設けている。
水流制御板17についての詳細は、図9を用いて、後で説明する。
次に、図2について、説明する。
図2は、図1に示す点線16枠内の拡大図である。
ブロック2は、ワーク送り装置3と接合されている。また、ワーク送り装置3は、シリコンインゴット5(ワーク)と接着部4により接着(接合)されている。
本実施例では、被加工材料(ワーク)として、シリコンインゴット5を例に説明する。
接着部4は、ワーク送り装置3と、シリコンインゴット5(ワーク)とを接着(接合)するためのものであれば何でもよく、例えば、導電性接着剤が用いられる。
ワーク送り装置3は、接着部4により接着(接合)されているシリコンインゴット5を上下方向に移動する機構を備えた装置であり、ワーク送り装置3が下方向に移動することにより、シリコンインゴット5をワイヤ7に近づけることが可能となる。
加工液槽6は、加工液を溜めるための容器である。加工液は、例えば、抵抗値が高い脱イオン水である。ワイヤ7と、シリコンインゴット5との間に、加工液が設けられることにより、ワイヤ7と、シリコンインゴット5との間で放電が発生し、シリコンインゴット5を削ることが可能となる。
また、図1でも説明したが、マルチワイヤ放電加工装置1は、加工液槽6の上部に囲い板12を備えている。
囲い板12は、放電発生部である、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の量を確保するために備えている。
囲い板12は、本発明の囲い板であり、加工液槽6の上部に設けられ、加工液槽6内に貯留される加工液の水位をワイヤ7よりも上位になるように貯留し、ワイヤが走行することによる、加工液槽内の加工液の加工漕外への流出量を減らすように機能する。
また、囲い板12と加工液槽6との間には、隙間があり、その隙間を走行するワイヤが設けられている。
囲い板12についての詳細は、図3、図4、図5を用いて、後で説明する。
図2に示すように、加工液槽6の上部に囲い板12が設けられ、更に、給水部13から加工液がメインローラ9、及び/又は、加工液槽6又は囲い板12との間のワイヤ7に、噴射され、当該噴射された加工液が、整流板14を通り加工液槽6内に貯留される。このようにして加工液槽6内に貯留される加工液の水位がワイヤ7よりも上位になるように貯留することができ、ワイヤが走行することによる、加工液槽内の加工液の加工漕外への流出量を減らすことができる。
これにより、放電発生部である、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の量を確保することが出来るようになり、放電加工を安定して行うことができ被加工物への欠陥の発生を防ぐことが可能となる。
図2に示すように、マルチワイヤ放電加工装置1は、整流板14と給水部13を備えている。
給水部13は、加工液を、メインローラ9の上部でありメインローラ9に巻きつけられたワイヤの上部、及び/又はメインローラ9と加工液槽6との間のワイヤの上部に流すように、これらの上部に配置されている。
給水部13は、本発明の給水機構の適用例であり、メインローラ9と加工液槽との間で走行するワイヤ、及び/又はメインローラ9に加工液を噴射する。
この給水機構は、ワイヤ7の走行方向とは逆方向に設けられたメインローラ9と加工液槽6との間のワイヤ7、及び/又は当該メインローラ9に加工液を噴射する。
また、給水機構は、ワイヤ7の走行方向とは逆方向に設けられたメインローラ9と加工液槽6との間のワイヤ7、及び/又は当該メインローラ9よりも上部に設けられている。
給水部13は、ワイヤ7に給電されている場合にワイヤ電極(ワイヤ7)から発する熱から、メインローラ9を保護するために、メインローラ9の上部でかつ、メインローラ9に巻きつけられたワイヤの上部に、冷却水としての加工液を噴射する。
ここでは、ワーク(シリコンインゴット5)とワイヤ7との間の隙間に、放電加工に必要な加工液の量を確保するために、この冷却水としての加工液を利用する。そのために、整流板14を設けて、メインローラ9を伝わってきた冷却用の加工液を加工液槽6に運ぶように構成している。これにより、ワイヤの静止状態からワイヤの走行状態まで放電加工に必要な加工液槽6内の加工液量の確保が可能となる。
例えば、給水部13からの加工液の噴射を行わず、ワイヤを走行した場合、囲い板12と加工液槽6との間の隙間を走行しているワイヤにより、空気が加工液槽6内に大量に入り込むと共に、囲い板12と加工液槽6との間の隙間から、加工液槽6内の加工液が漏れ出し加工液槽6内の水位が低下してしまうおそれがある。
このような課題を解消するために、マルチワイヤ放電加工装置1は、整流板14と給水部13を備えている。
メインローラ8、9(ガイドローラとも言う)には、ワイヤ7を取り付けるための溝が複数列形成されており、その溝にワイヤ7が取り付けられている。そして、メインローラ8、9が右又は左回転することにより、ワイヤ7が走行する。
メインローラにワイヤ7が複数回巻きつけられており、メインローラに刻まれた溝に従い、所定ピッチでワイヤ7が整列している。
メインローラ8、9は中心に金属を使用し、外側は樹脂で覆う構造である。
給電子11は、機械的摩耗に強く、導電性があることが要求され超硬合金が使用されている。
メインローラの間の中央部の上部に、シリコンインゴット5が配置され、シリコンインゴット5はワーク送り装置3に取付けられており、ワーク送り装置3が上下方向に移動することにより、シリコンインゴット5が上下方向に移動し、シリコンインゴット5の加工を行う。
また、メインローラ間の中央部に加工液槽6を設け、ワイヤ7およびシリコンインゴット5を浸漬し、放電加工部の冷却、加工チップの除去を行う。
ワイヤ7は、図2に示すように、メインローラ8、9に取り付けられ、メインローラ8、9の上側、及び下側にワイヤ列を形成している。
また、ワイヤ7は、伝導体であり、電源ユニット15から電圧が供給された給電ユニット10の給電子11と、ワイヤ7とが接触することにより、当該供給された電圧が給電子11からワイヤ7に印加される。(給電子11がワイヤ7に電圧を印加している。)
そして、ワイヤ7と、シリコンインゴット5との間で放電が起き、シリコンインゴット5を削り(放電加工を行い)、薄板状のシリコン(シリコンウエハ)(加工物)を作成することが可能となる。
次に、図3を用いて、加工液槽6と、囲い板12と、ワイヤ7との構成について説明する。
図3は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、加工液槽6と、囲い板12と、ワイヤ7との構成を示す図である。
図3に示す通り、加工液槽6と囲い板12との間には隙間があり、その隙間にワイヤ7が走行する構成となっている。
加工液槽6内に供給される加工液は、この隙間から流れ出ることになるが、この隙間から流れ出る以上の流量の加工液が加工液槽6に供給される。
そのため、囲い板12内にも、放電加工に必要な加工液の水量が貯留されることとなる。
次に、図4を用いて、囲い板12内に放電加工に必要な加工液の量が貯留されることを説明する。
図4は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える囲い板12内に放電加工に必要な加工液の水量が貯留されることを説明するための図である。
図4の(A)は、囲い板12を備えていない加工液槽6内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行していない状態を示す図である。
図4の(A)に示すように、ワイヤ7が走行していないため、加工液槽6内に供給される加工液により、ワイヤ7と、加工液槽6内の加工液とが接触している状態となる。
また、図4の(B)は、囲い板12を備えていない加工液槽6内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行している状態を示す図である。
図4の(B)に示すように、ワイヤ7が走行しているため、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出され、加工液槽6内の加工液が、ワイヤ7に一部接触していない状態となる。図4の(B)に示す加工液槽6内の矢印は、加工液槽6内の加工液の流れを示している。ワイヤが走行しているため、加工液槽6内の加工液が、図4の(B)に示す矢印のように流れてしまい、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出され、加工液槽6の外に出てしまう。そのため、加工液槽6内の加工液が、ワイヤ7に接触することさえできず、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することが難しくなってしまう。
そこで、本実施の形態では、図4の(C)、(D)に示すように、加工液槽6の上部に、囲い板12を備え、ワークとワイヤとの間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保するようにしている。
図4の(C)は、加工液槽6、及び囲い板12内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行していない状態を示す図である。
また、図4の(D)は、加工液槽6、及び囲い板12内に加工液が溜められ、ワイヤ7が走行している状態を示す図である。
図4の(D)に示すように、加工液槽6と囲い板12との間のワイヤ7が走行しているため、加工液槽6内の加工液が、ワイヤが走行している方向に運び出されるが、囲い板が、当該運び出される加工液が加工液槽6、及び囲い板12の外に運び出されるのを防いでいる。
そのため、ワークとワイヤとの間の隙間(放電ギャップ)に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することができるようになる。
図4の(D)に示す加工液槽6内の矢印は、加工液槽6内の加工液の流れを示している。
また、ワイヤ速度の増加などにより加工液槽6内の水流が大きくなる場合には、囲い板の高さを上げる(調整する)ことで加工液槽6の外への水の運び出し(流出)を減らすことが可能である。
次に、図5を用いて、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、囲い板12、給水部13、整流板14の構成について説明する。
図5は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、囲い板12、給水部13、整流板14の構成を説明するための図である。
図5を用いて、給水部13から噴射される冷却水としての加工液を、ワイヤ7の走行、及び整流板14により、加工液槽6、及び囲い板12に、流入させ、ワークとワイヤとの間の隙間に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することについて説明する。
上述したように、図4の(B)では、ワイヤが走行すると、加工液槽6内の加工液が加工液槽6の外に出てしまい、ワイヤ7が、加工液に浸かっていない状態となる。
また、この課題を改善するために、囲い板12を備える構成としたが、囲い板12と、加工液槽6との間の隙間(ワイヤが走行するための隙間)から、空気が入ってきたり、加工液が漏れてしまい、ワイヤが走行する方向とは逆方向側の加工液槽6内のワイヤが、加工液に一部浸かっていない状態となるおそれもある。
そこで、更に、ワークとワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の水量を確保するための機構について、図5を用いて説明する。
給水部13は、図5に示すように、ワイヤからの発熱からメインローラ9を保護するために、冷却水としての加工液をメインローラ9に噴射する。また、メインローラ9と加工液槽6との間のワイヤ7の上に加工液を噴射することもできる。
給水部13から、メインローラ9により走行するワイヤ7に加工液が噴射され、走行しているワイヤ7により、噴射された加工液が加工液槽6と囲い板12との間の隙間に流れていく。
その際に、ワイヤ7から落ちた加工液も、加工液槽6と囲い板12との間の隙間に流すために、図5に示すように、整流板14を、メインローラ9と加工液槽6、及び/又は囲い板12との間の走行中のワイヤ7の下に設ける。
このように、給水部13から、走行するワイヤ7/メインローラ9に加工液が噴射され、走行しているワイヤ7により、整流板14、及びワイヤ7にある加工水が加工液槽6と囲い板12との間の隙間に流れていく。
マルチワイヤ放電加工装置1が備える整流板14とワイヤ7の構成については、図6を用いて説明する。
図6は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、整流板14と、ワイヤ7の構成について説明する図である。
整流板14は、図6に示すように、ワイヤ7の下部に設けられ、整流板の底板(底面)と側板(側面)により、ワイヤ7から落ちた加工液が溜められ、走行しているワイヤ7の上下面で、ワイヤ7の走行により、噴射された加工液を、加工液槽6、及び/又は囲い板12に運ぶことができる。
整流板14は、本発明の整流板の適用例であり、メインローラ9と加工液槽6との間のワイヤ7の下部に設けられた、給水機構により噴射された加工液を加工液槽に送り出す。
そして、加工液槽6、及び/又は囲い板12に運ばれた加工液は、加工液槽6と囲い板12との間の隙間を通り、加工液槽6と囲い板12の中に入り、ワークとワイヤとの間に、放電加工に必要な加工液の水量を確保することが出来るようになる。
これにより、ワイヤの静止状態からワイヤの走行状態まで放電加工に必要な加工槽内の加工液量の確保が可能となる。
次に、図7を用いて、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、加工液槽6に加工液が供給される加工液供給口701について説明する。
図7は、マルチワイヤ放電加工装置1が備える、加工液槽6に加工液が供給される加工液供給口701を説明するための図である。
図7に示すように、加工液槽6には、加工液槽6の下部の前面側の左右にそれぞれ加工液供給口701を設けている。
このそれぞれの加工液供給口701から、加工液槽6内に加工液が供給される。
加工液供給口701は、加工槽の底面など他の位置であってもよく、また設置数量も2か所に限定されるものではない。
また、加工液供給口701は、加工液供給装置18と導通しており、加工液供給装置18から、加工液が加工液供給口701に供給され、加工液供給口701から加工液槽6内に加工液が供給される。
加工液供給口701は、本発明の加工液供給機構の適用例であり、加工液槽6内に加工液を供給する。
図8は、加工液供給口701から、水流制御板17を備えていない加工液槽6に加工液が供給され、当該加工液が供給されることによる加工液槽6内の加工液の流れを示した図である。
図8の(A)に示す加工液槽6内の矢印は、加工液が供給されることによる加工液槽6内の加工液の流れを表している。
図8(A)では、加工液槽6の両側面の加工液供給口701から加工液を供給したときに、2つの水流がぶつかり合って水面方向へ噴流となって湧き上がるため、複数本のワイヤ7に当該噴流が直接当たることとなり、等間隔に張設されたワイヤ間の間隔が乱されるおそれがある。
図8(B)では、加工液供給口701を2つではなく1つにした場合の図である。矢印は、加工液が供給されることによる加工液槽6内の加工液の流れを表している。
図8(B)のように、加工液槽6の片側面の加工液供給口701から加工液を供給したときに、水流は加工液供給口701とは反対側の側面にぶつかった後、水面方向へ噴流となって湧き上がるため、図8(A)と同様にワイヤ間の間隔が乱されるおそれがある。
次に、図9を用いて、加工液供給口701から、水流制御板17を備えている加工液槽6に加工液が供給され、当該加工液が供給されることによる加工液槽6内の加工液の流れについて説明する。
図9は、加工液供給口701から、水流制御板17を備えている加工液槽6に加工液が供給され、当該加工液が供給されることによる加工液槽6内の加工液の流れを示した図である。
図9に示す加工液槽6内の矢印は、加工液が供給されることによる加工液槽6内の加工液の流れを表している。
図9に示すように、水流制御板17は、加工液槽6の底部近傍に、加工液供給口701をワイヤ張設部から隔絶するように設置することにより、水流は加工液槽6の底部と水流制御板17の間を通り、複数本のワイヤ7が張設された水面方向に直接湧き上がることなく、流速が緩和された状態で水面に達するため、等間隔に張設されたワイヤの間隔を乱すことが低減され、より安定した放電加工が可能となる。
図9の(C)、(D)は、それぞれ、同一の加工液槽6を示した図であり、加工液槽6を見ている方向がそれぞれ異なる。図9の(C)は、正面から見た図であり、図9の(D)は右側から見た図である。
図9の(C)、(D)に示すように、少なくとも、複数本のワイヤ7の幅(L0からL1の間の距離)、又はそれ以上の幅を有する水流制御板17を、ワイヤ7の下部に備えている。
図9の(D)に示すように、加工液供給口701から供給された加工液は、水流制御板17により、前面から後面方向に流れ、加工液槽6の壁面(後方の壁面)にぶつかり、そのまま水面方向に上昇する。そして、その水流は、直接ワイヤに衝突することなく、ワイヤのない水面方向に流れ、ワイヤのある部分に流れるため、水流によりワイヤの間隔が変動して(ワイヤがぶれてしまい)、被加工物を均一に加工することが難しくなるおそれを低減させることが可能となる。
このように、水流制御板17(水流制御機構)は、加工液供給口(加工液供給機構)から供給される加工液の水流をワイヤ7が受ける力を減らすように当該加工液の水流を制御する。
すなわち、水流制御板17(水流制御機構)は、加工液供給口(加工液供給機構)から供給される加工液を、水流制御板17(水流制御機構)を迂回させ、当該加工液の水流をワイヤ7が受ける力を減らすように当該加工液の水流を制御する。
また、水流制御板17は、張設されるワイヤ7の本数に応じて、例えば図9(D)に示すL1からL2の範囲において、その奥行の寸法を調節可能に構成することにより、ワイヤ7の張設位置に湧き上がる噴流をワイヤ7に直接当たらないようにできるため、水流によりワイヤの間隔が変動して(ワイヤがぶれてしまい)、被加工物を均一に加工することが難しくなるおそれを低減させることが可能となる。そして、結果として、安定した放電加工が可能となる。
図9の(D)に示すように、ワイヤ7の本数が増え、ワイヤ7の幅が、例えば、L0からL2の間の距離に長くなると、その長さに応じて、水流制御板17の長さをL0からL2の間の長さになるように、調節可能に構成している(水流制御板17をスライドさせ長さを調整できる機構(調整部)を備えている)ため、ワイヤ7の本数に応じて、水流制御板17の長さを調整することが可能となり、例えば、ワイヤ7の本数に応じた長さの水流制御板17に取り換えるといった、ユーザの煩雑な作業を軽減することも可能である。
すなわち、水流制御板17は、ワイヤの本数に従って決定される長さに調整可能な板(水流制御機構)である。
このように、水流制御板17は、ワイヤ7の本数に従って板の長さを調整する調整部を備えている。
図9の(D)に示すように、加工液供給口701(加工液供給機構)、及び水流制御板17(水流制御機構)、ワイヤが走行する配置位置は、加工液槽6内の同一方向の位置である。すなわち、図9の例では、前面の方向に、それぞれ設けられている。
水流制御板17は、本発明の水流制御機構の適用例であり、加工液供給口701(加工液供給機構)から供給される加工液による、加工液槽6内の加工液の噴流を軽減するべく、加工液供給口701(加工液供給機構)から供給される加工液の水流を制御する。
また、水流制御板17は、ワイヤ7と加工液供給口701(加工液供給機構)との間に設けられており、加工液供給口701から供給される加工液が、水流制御板を迂回して水面方向に流れる位置に配置されている。
また、加工液槽6内の加工液の水面近傍に走行するワイヤ7の下部に、加工液供給口701が設けられ、水流制御板17は、当該ワイヤ7と加工液供給口701との間に設けられた板である。
また、水流制御板17は、複数本のワイヤ7の幅に従って決定される長さの板であり、複数本のワイヤ7の幅と同一、又は当該幅よりも長い板である。
以上、本発明によれば、加工液槽内の加工液供給機構から供給される加工液の噴流によるワイヤのブレを抑止することができる。
また、本発明によれば、さらに、放電加工部(放電ギャップ)における、放電加工に必要な加工液の量を確保し、被加工物を適切に放電加工することができる。
また、本実施の形態で説明したワイヤ放電加工方法により、被加工物を放電加工されることにより加工された加工物も本発明の特徴である。
1 マルチワイヤ放電加工装置
2 ブロック2
3 ワーク送り装置
4 接着部
5 シリコンインゴット
6 加工液槽
7 ワイヤ
8 メインローラ
9 メインローラ
10 給電ユニット
11 給電子
12 囲い板
13 給水部
14 整流板
15 電源ユニット
17 水流制御板
18 加工液供給装置
19 ブロック
2 ブロック2
3 ワーク送り装置
4 接着部
5 シリコンインゴット
6 加工液槽
7 ワイヤ
8 メインローラ
9 メインローラ
10 給電ユニット
11 給電子
12 囲い板
13 給水部
14 整流板
15 電源ユニット
17 水流制御板
18 加工液供給装置
19 ブロック
Claims (5)
- ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置であって、
前記ワイヤを走行させるガイドローラと、
前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留される加工液槽と、
前記ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤ、又は前記ガイドローラに前記加工液を噴射する給水機構と、
前記ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、前記給水機構により噴射された加工液を前記加工液槽に送り出す整流板と、
を備えることを特徴とするワイヤ放電加工装置。 - 前記給水機構は、前記ガイドローラによりワイヤが走行される走行方向とは逆の方向に設けられたガイドローラと、前記加工液槽との間のワイヤ、又は当該ガイドローラに前記加工液を噴射することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
- 前記給水機構は、前記ガイドローラによりワイヤが走行される走行方向とは逆の方向に設けられたガイドローラ、又は、当該ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤの上部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工装置。
- ワイヤと被加工物との間の放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置によるワイヤ放電加工方法であって、
ガイドローラが、前記ワイヤを走行させ、
加工液槽が、前記被加工物と前記ワイヤとの間で放電加工されるために用いられる加工液が貯留され、
給水機構が、前記ガイドローラと、前記加工液槽との間のワイヤ、又は前記ガイドローラに前記加工液を噴射し、
整流板が、前記ガイドローラと前記加工液槽との間のワイヤの下部に設けられた、前記給水機構により噴射された加工液を前記加工液槽に送り出すことを特徴とするワイヤ放電加工方法。 - 請求項4に記載のワイヤ放電加工方法により、被加工物を放電加工されることにより加工された加工物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012138882A JP2014000657A (ja) | 2012-06-20 | 2012-06-20 | ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、加工物 |
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JP2014000657A true JP2014000657A (ja) | 2014-01-09 |
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JP2012138882A Pending JP2014000657A (ja) | 2012-06-20 | 2012-06-20 | ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、加工物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014000657A (ja) |
-
2012
- 2012-06-20 JP JP2012138882A patent/JP2014000657A/ja active Pending
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