JP2013541951A - p53アイソフォームによる幹細胞機能の操作 - Google Patents

p53アイソフォームによる幹細胞機能の操作 Download PDF

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Abstract

本発明は、多能性幹細胞を獲得する効率を増大させるための方法および組成物を提供し、該方法は、多能性細胞を獲得するためにリプログラミングを受けている細胞において133p53を発現させる工程を含む。本発明は、また、癌幹細胞の増殖を阻害する方法も提供し、該方法は、該細胞において133p53の発現を抑制する工程を含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その出願があらゆる目的で参照により本明細書に組み入れられる2010年10月1日に提出された米国仮出願第61/389,134号に対する優先権の恩典を主張するものである。
発明の背景
p53の活性は、正常幹細胞および癌幹細胞の自己再生および多能性、ならびに人工多能性幹(iPS)細胞のリプログラミング効率を調節する(例えば、Mario et al., Nature 460: 1149, 2009(非特許文献1);Hong et al., Nature 460:1132, 2009(非特許文献2);Cicalese et al., Cell 138:1083, 2009(非特許文献3)を参照されたい)。天然のヒトp53アイソフォームであるΔ133p53およびp53βは、それぞれp53活性の生理的インヒビターおよびエンハンサーである(例えば、Fujita et al, Nat. Cell Biol. 11:1135, 2009(非特許文献4)を参照されたい)。
ヒトiPS細胞は、体細胞に由来し、典型的にはOct-3/4、Sox-2、c-Myc、およびKlf-4の発現によって、またはOct-3/4、Sox-2、Nanog、およびLin28の発現によって産生される。これらの細胞は、形態学的にヒト胚性幹細胞に類似しており、典型的なヒトESC特異的細胞表面抗原および遺伝子を発現しており、インビトロで多系統へ分化し、かつ、免疫不全マウスに注入した場合に3種すべての一次胚葉の分化した誘導物を含有するテラトーマを形成する。しかしながら、iPS細胞を獲得するための線維芽細胞等の成体体細胞をリプログラミングする効率は、極めて低い。p53活性の阻害はiPS細胞のリプログラミングの効率を改善するが、しかしながら、野生型p53活性の完全阻害はゲノムの不安定性を誘発するリスクを有し、野生型p53の過度の過剰発現は望ましくない細胞死を誘発し得る。したがって、ゲノムの不安定性に関連したリスクを伴うことのない、p53経路を標的とするiPS細胞のリプログラミングを調節する改善された方法が必要である。本発明は、その必要性に対処するものである。
Mario et al., Nature 460: 1149, 2009 Hong et al., Nature 460:1132, 2009 Cicalese et al., Cell 138:1083, 2009 Fujita et al, Nat. Cell Biol. 11:1135, 2009
発明の簡単な概要
本発明は、部分的に、ヒト胚性幹細胞(hESC)が正常ヒト線維芽細胞または癌細胞株よりもはるかに豊富にΔ133p53タンパク質を発現しているという発見、さらにはΔ133p53の過剰発現がiPS細胞の作製の効率を向上させるという発見に基づいている。したがって、一局面において、本発明は、iPS細胞を獲得するためにリプログラミングを受けている細胞から得られる人工多能性幹(iPS)細胞の数を増加させる方法を提供し、該方法は、体細胞においてΔ133p53の発現のレベルを増加させ、それによって開始細胞集団から得られるiPS細胞の数を増加させる工程を含む。いくつかの態様において、Δ133p53の発現のレベルは、体細胞においてΔ133p53をコードする組換え核酸配列を発現させることによって増加する。いくつかの態様において、Δ133p53をコードする組換え核酸配列は、誘導性プロモーターに機能的に連結されている。いくつかの態様において、Δ133p53をコードする核酸はRNA分子である。いくつかの態様において、細胞内に導入される核酸は、ベクター、例えばプラスミドベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、または他の任意の種類のウイルスベクターに含有されている。いくつかの態様において、組換え核酸はlox組換え部位を含む発現カセット内に存在する。
いくつかの態様において、本発明における使用のためのiPS細胞を獲得するためにリプログラミングされている細胞は、線維芽細胞、または他の部分的もしくは完全に分化した細胞(例えば、血液細胞、真皮細胞、上皮細胞、角化細胞など)である。
いくつかの態様において、Δ133p53の発現のレベルは、細胞内に外因性Δ133p53を導入することによって増加する。
いくつかの態様において、本発明の方法において利用されるリプログラミングされている細胞は、少なくとも1種のリプログラミング因子、例えばOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycより選択される少なくとも1種のリプログラミング因子を発現している。いくつかの態様において、体細胞はOCT4、KLF4、およびSOX2を発現している。いくつかの態様において、体細胞はOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycを発現している。
別の局面において、本発明は、Δ133p53をコードする異種核酸、例えば組換えΔ133p53をコードする発現ベクターを含む単離されたiPS細胞を提供し、該iPS細胞は、少なくとも1種のリプログラミング成長因子、例えばOCT4、KLF4、SOX2、またはc-mycを発現している。いくつかの態様において、Δ133p53をコードする異種核酸は誘導性プロモーターに機能的に連結されている。いくつかの態様において、核酸はRNAである。いくつかの態様において、異種核酸はΔ133p53発現ベクターである。発現ベクターは、任意の種類のベクター、例えばプラスミドベクター、またはアデノウイルスベクターもしくはレトロウイルスベクター等のウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターであってよい。いくつかの態様において、iPS細胞はOCT4、KLF4、およびSOX2を発現している。いくつかの態様において、iPS細胞はOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycを発現している。いくつかの態様において、発現ベクターはlox組換え部位を含む。
別の局面において、本発明は、Δ133p53を発現している本発明のiPS細胞を分化させる方法を提供し、該方法は、Δ133p53の発現を阻害する工程を含む。Δ133p53の発現を促すプロモーターが誘導性プロモーターであるいくつかの態様において、細胞はもはや誘導剤に曝露されない。発現ベクターがlox組換え部位を含むいくつかの態様において、細胞内でcreリコンビナーゼを発現させてΔ133p53発現を不活性化する。いくつかの態様において、iPS細胞を、神経細胞、心筋細胞、肝細胞、または肺の呼吸上皮細胞へ分化させる。
さらなる局面において、本発明は、癌幹細胞の成長を阻害する方法を提供し、該方法は、癌幹細胞においてΔ133p53の発現を阻害する工程を含む。発現は、例えば阻害性RNAを用いることによって阻害され得る。
別の局面において、本発明は、癌幹細胞の成長を阻害する方法を提供し、該方法は、p53βの発現を増加させる工程を含む。いくつかの態様において、該方法は、癌幹細胞内にp53β発現構築物を導入する工程を含む。
さらなる局面において、本発明は、少なくとも1種のリプログラミング因子を発現している体細胞から得られる人工多能性幹(iPS)細胞の数を増加させる方法を提供し、該方法は、細胞においてp53βの発現のレベルを減少させ、それによって得られるiPSの数を増加させる工程を含む。いくつかの態様において、p53βの発現のレベルは、細胞においてp53βを阻害する組換え核酸配列、例えば阻害性RNAを発現させることによって減少する。いくつかの態様において、リプログラミングを受ける細胞は、線維芽細胞、または他の部分的もしくは完全に分化した細胞(例えば、血液細胞、真皮細胞、上皮細胞、角化細胞など)である。いくつかの態様において、リプログラミングを受ける細胞は、OCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycより選択される少なくとも1種のリプログラミング因子を発現している。いくつかの態様において、体細胞はOCT4、KLF4、およびSOX2を発現している。いくつかの態様において、体細胞はOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycを発現している。
Δ133p53が胚性幹細胞において上方調節されていることを示すデータを提供している。 内在性全長p53の下方調節(クローン3、cl.3)または内在性Δ133p53の上方調節(クローン2、cl.2)のいずれかが、iPS細胞のリプログラミングと関連し得ることを示すさらなるデータを提供している。本実験において解析されたiPS細胞クローンは、4因子(Oct4、Klf4、Sox2、およびc-Myc)によって誘導された。 図3Aおよび3Bは、Δ133p53が、3種のiPS細胞因子(OKS:Oct4、Klf4、およびSox2)または4種のiPS細胞因子(OKSM:Oct4、Klf4、Sox2、およびc-Myc)によって誘導されたBJ線維芽細胞から得られる人工多能性細胞の頻度を増大させたことを示すデータを提供している。 4種のiPS因子(OKSM:Oct4、Klf4、Sox2、およびc-Myc)およびΔ133p53過剰発現のレトロウイルスベクターを形質導入されたBJ線維芽細胞に由来したiPS細胞の細胞形態を示している。 レンチウイルスベクターシステムを用いたΔ133p53の構成的過剰発現を示すデータを提供している。 Δ133p53発現のための誘導性レンチウイルスベクターシステムの確立を示すデータを提供している。 異なる配列を標的とする5種の独立したノックダウンベクターを用いて得られたノックダウン実験の結果を示すデータを提供している。
発明の詳細な説明
定義
本明細書において用いるとき、「多能性の」または「多能性」という用語は、三胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)のすべてからの細胞系統に関連した特徴を集合的に示す細胞種への分化を適切な条件下で受け得る子孫を生み出す能力を有する、細胞を表す。多能性幹細胞は、出生前、出生後、または成体の動物の多くまたはすべての組織に寄与し得る。8〜12週齢のSCIDマウスにおけるテラトーマ形成能等の当技術分野で認められた標準的試験を用いて、細胞集団の多能性を規定することができるが、しかしながら、様々な多能性幹細胞の特徴の同定を用いて多能性細胞を検出することもできる。細胞の多能性とは、例えば胚性幹細胞およびiPSCなどの、胚のあらゆる細胞を正しく形成し得る完全な多能性を有する細胞から、三胚葉すべての細胞を形成し得るものの、完全な多能性を有する細胞の特徴のすべて、例えば生殖細胞系列伝達や生命体全体を作り出す能力等を示すことはできない不完全なまたは部分的な多能性を有する細胞までに及ぶ、連続体である。本発明の特定の態様において、細胞の多能性を、不完全なもしくは部分的な多能性を有する細胞から多能性をより有する細胞へ、またはある態様では、完全な多能性を有する細胞へ上昇させる。多能性は、例えばテラトーマ形成、生殖細胞系列伝達、および四倍体胚補完法によって評価され得る。いくつかの態様において、本明細書における他の部分で述べられているように、多能性遺伝子または多能性マーカーの発現を用いて細胞の多能性を評価することができる。
「多能性幹細胞の特徴」とは、多能性幹細胞を他の細胞と区別する細胞の特徴を表す。三胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)のすべてからの細胞系統に関連した特徴を集合的に示す細胞種への分化を受け得る子孫を適切な条件下で生み出す能力は、多能性幹細胞の特徴である。ある組み合わせの分子マーカーが発現していることまたは発現していないことも、多能性幹細胞の特徴である。例えば、ヒト多能性幹細胞は、以下の限定しないリスト由来のマーカーのうちの少なくともいくつか、任意ですべてを発現している:SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、TRA-2-49/6E、ALP、Sox2、E-カドヘリン、UTF-1、Oct4、Rex1、およびNanog。多能性幹細胞に関連した細胞形態も、多能性幹細胞の特徴である。
本明細書において用いるとき、「体細胞」とは、胚性幹細胞に対して分化したまたは部分的に分化した細胞を表す。したがって、該用語は、例えば胚性幹細胞に由来するが分化している線維芽細胞等の細胞を含む。
「胚性幹細胞」という用語は、胚の胚盤胞の内部細胞塊の多能性幹細胞を表すために用いられる(米国特許第5843780号、第6200806号を参照されたい)。胚性幹細胞の目立った特徴によって、胚性幹細胞の表現型は定義される。したがって、細胞を他の細胞と区別し得るような胚性幹細胞特有の特徴の1つまたは複数を該細胞が保有している場合、該細胞は胚性幹細胞の表現型を有する。例示的な胚性幹細胞の目立った特徴には、遺伝子発現プロファイル、増殖能、分化能、正常核型、特定の培養条件に対する反応性などが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において用いるとき、「癌幹細胞」とは、自己再生しかつ多能性の癌細胞を表す(例えば、米国特許第6,984,522号を参照されたい)。そのような細胞を、原発性または任意の転移性の腫瘍部位、リンパ節、腹水、または血液を含む任意の腫瘍供給源から得ることができる。癌幹細胞は、連続移植において新たな腫瘍を再生息させる能力、ならびに原発腫瘍の機能的および表現型的な細胞不均質性を生み出す能力を含むがこれらに限定されない、それらの機能的特徴によって、同定される。
本発明の文脈において、「癌幹細胞の増殖を阻害する」とは、アポトーシスを誘導すること、老化を増強すること、および/または細胞の成長率すなわち細胞周期の経過時間を減少させることを含む任意のメカニズムによる、癌幹細胞の成長の低下を表す。
本明細書において用いるとき、「リプログラミング」という用語は、体細胞の分化状態を変更するまたは逆行させる過程を表す。細胞は、リプログラミング前に部分的に分化していても最終的に分化していてもよい。リプログラミングは、体細胞の分化状態の多能性細胞への完全な逆行を包含する。そのような分化の完全な反転によって、人工多能性(iPS)細胞は産生され得る。本明細書において用いるリプログラミングは、例えば複能性(multipotent)状態への、または、多能性でも複能性でもないがそれが由来する分化細胞の1つもしくは複数の特異的な特徴を失っている細胞である体細胞への、細胞の分化状態の部分的な逆行、例えば、分化細胞の別の体細胞種へのダイレクトリプログラミングも包含する。リプログラミングは、一般的に、受精卵が成体へ発達する細胞分化の間に起こる核酸修飾(例えば、メチル化)、クロマチン凝縮、エピジェネティックな変化、ゲノムインプリンティングなどの遺伝性パターンのうちの少なくともいくつかの変更、例えば反転を伴う。
「p53」という用語は一般的に、腫瘍抑制因子として機能する、SDS PAGEにおける分子量約55kDaのタンパク質を表す。ヒトからショウジョウバエ(Drosophila)までの多様な生命体由来のp53タンパク質のタンパク質配列および核酸配列が公知であり、これらは公開データベースにおいて、例えば、ヒトおよびマウスの配列についてアクセッション番号NM_000546、NP_000537、NM_011640、およびNP_035770で入手可能である。哺乳類のp53配列は、種間で高度に保存されている。マウスとヒトのp53タンパク質は85%同一である。ヒトにおいて、p53は、第17番染色体短腕(17p13.1)上に位置するTP53遺伝子によってコードされている。本発明の文脈におけるp53タンパク質には、対立遺伝子変異体および他の機能的変異体、ならびにオルソログが含まれる。いくつかの態様において、変異体は、NP_000537(ヒトp53)のアクセッション番号で挙げられているもの等の天然に存在するp53ファミリーのメンバーと比較して、それらの全配列にわたり、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%、またはそれを上回るアミノ酸配列同一性を有する。一般的に、操作される細胞の種と同じ種のタンパク質が用いられる。
「Δ133p53」という用語は一般的に、コドン133から翻訳されるN末切断型p53タンパク質をもたらす、イントロン4における選択的プロモーターからのp53遺伝子の転写の開始により生じるp53のアイソフォームを表す。本発明における使用のためのΔ133p53アイソフォームは、以下のp53タンパク質のドメインを含む:DNA結合ドメインの大部分、NLS、およびC末のオリゴマー化ドメイン(Bourdon, Brit. J. Cancer, 97:277-282(2007)を参照されたい)。
「p53β」という用語は一般的に、p53タンパク質のドメインである、TAD1、TAD2、prD、DNA結合ドメイン、NLS、およびC末の配列DQTSFQKENCを含むp53アイソフォームを提供するためのイントロン9の選択的スプライシングにより生じる、p53のアイソフォームを表す(Bourdon, Brit. J. Cancer, 97:277-282(2007)を参照されたい)。
本明細書において用いるとき、「人工多能性幹細胞の数を増加させる」という用語は、「多能性幹細胞を獲得する効率を向上させる」と代替可能に用いられる。本発明の文脈において、Δ133p53を他のリプログラミング因子とともに発現させた場合にiPSを産生するためにリプログラミングされる細胞の、典型的には成体体細胞の集団から得られるiPS細胞の数の「増加」とは、Δ133p53を発現させない同一細胞の対照集団と比較したものである。したがって、ある態様において、本発明の方法は、Δ133p53の発現を高めていないリプログラミングされた体細胞集団と比較して、少なくとも20%、もしくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、もしくは少なくとも100%、またはそれを上回る、例えば3倍、4倍、5倍、もしくは10倍、またはそれを上回るiPS細胞の産生効率の向上を提供する。
本明細書において用いるとき、本発明の文脈におけるΔ133p53の「発現」または「発現を増加させる」という用語は、典型的には、リプログラミングを受けるように操作されたまたは操作される予定の体細胞内にΔ133p53核酸を導入することを表す。いくつかの態様において、Δ133p53の発現のレベルは、発現を上方調節する別の作用物質を用いることによって増加し得る。Δ133p53発現の「増加」は、一般的に、Δ133p53のレベルを増加させる作用物質が加えられていないリプログラミングされた体細胞と比較して判定される。
ポリヌクレオチド配列は、外来種に由来する、または、同じ種に由来し人間の行為によってその元の形態から改変されている第二のポリヌクレオチド配列に対して、「異種」である。例えば、異種のコード配列に機能的に連結されたプロモーターとは、プロモーターが由来するものとは異なる種由来のコード配列、または、同じ種由来の場合には、任意の天然に存在する対立遺伝子変異体とは異なるコード配列を表す。
「外因性」という用語は、その天然供給源以外の細胞または生命体に存在する物質を表す。例えば、「外因性核酸」または「外因性タンパク質」という用語は、通常それが見出されないまたはそれがより少量でしか見出されない細胞または生命体等の生体系内に人間の手を伴う過程によって導入されている核酸またはタンパク質を表す。物質は、それが細胞内または該物質を受け継ぐ該細胞の祖先に導入されている場合、外因性と見なされる。対照的に、「内在性」という用語は、生体系に固有の物質を表す。
本明細書において用いるとき、「同一性」という用語は、2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチドの配列が同じである程度を表す。評価ウィンドウ全体にわたる、例えば関心対象の配列の長さ全体にわたる、関心対象の配列と第二の配列との間の同一性パーセントは、配列を整列化し、評価ウィンドウ内の同一残基の向かい側にある残基(ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を決定し、同一性を最大にするためにギャップの導入を許可し、ウィンドウ内にある関心対象の配列または第二の配列の残基の総数(どちらか多いほう)で割り、100を掛けることによって、算出され得る。特定の同一性パーセントに到達するのに必要とされる同一残基の数を算出する場合、端数を四捨五入して整数にするべきである。同一性パーセントは、当技術分野において公知の多様なコンピュータープログラムを使用することで算出され得る。例えば、BLAST2、BLASTN、BLASTP、Gapped BLASTなどのコンピュータープログラムは、アラインメントを作り出し、関心対象の配列間の同一性パーセントを提供する。Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. ScL USA 90:5873-5877, 1993において改変されているKarlinとAltschulのアルゴリズム(Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. ScL USA 87:22264-2268, 1990)は、AltschulらのNBLASTおよびXBLASTプログラム(Altschul, et al., J. MoI Biol. 215:403-410, 1990)に組み入れられている。比較する目的で、ギャップのあるアラインメントを得るために、Altschulら(Altschul, et al. Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997)に記載されているようにBLASTを利用する。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの初期設定パラメーターを用いてよい。PAM250またはBLOSUM62行列を用いてよい。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(NCBI)を通じて公的に入手可能である。これらのプログラムに対しては、URLワールド・ワイド・ウェブのアドレス「ncbi.nlm.nih.gov」を有するウェブサイトを参照されたい。特定の態様において、NCBIによって提供される初期設定パラメーターを有するBLAST2を用いることによって、同一性パーセントを算出する。
本明細書において用いるとき、「単離された」または「部分的に精製された」という用語は、核酸またはポリペプチドの場合、その天然供給源において見られるように該核酸もしくはポリペプチドとともに存在する、および/または細胞で発現させた場合には該核酸もしくはポリペプチドとともに存在すると考えられる、または分泌ポリペプチドの場合には分泌される、少なくとも1種の他の成分(例えば、核酸またはポリペプチド)から分離された、核酸またはポリペプチドを表す。化学的に合成された核酸もしくはポリペプチド、またはインビトロの転写/翻訳を用いて合成されたものは、「単離された」と見なされる。
本明細書において用いるとき、「単離された細胞」という用語は、それが元来見出される生命体から取り出されている細胞またはそのような細胞の子孫を表す。「単離された」細胞を、他の細胞の存在下でインビトロで培養することができる。任意で、該細胞はその後、第二の生命体に導入されるか、該細胞(もしくは該細胞が由来する細胞)が単離された生命体内に再導入される。
「ベクター」という用語は、宿主細胞内への導入のためにDNA配列を挿入し得る、担体DNA分子を表す。いくつかの態様において、本発明において使用されるベクターは、自己複製および/またはそれらが連結している核酸の発現が可能である。それらが機能的に連結されている遺伝子の発現を指揮し得るベクターを、本明細書において「発現ベクター」と表す。したがって、「発現ベクター」とは、宿主細胞における関心対象の遺伝子の発現に必要とされる必須の調節領域を含有する、特殊化されたベクターである。いくつかの態様において、関心対象の遺伝子を、ベクター内の別の配列、例えばプロモーターに機能的に連結させる。ベクターには、プラスミド等の非ウイルスベクターおよびウイルスベクターが含まれる。
「機能的に連結される」という用語は、第一および第二の核酸配列が単一の核酸配列に転写されるような、第一の核酸配列と第二の核酸配列との間の機能的連結を表す。機能的に連結された核酸配列は、互いに物理的に隣接している必要はない。「機能的に連結される」という用語は、核酸発現制御配列(プロモーター、または転写因子結合部位のアレイ等)と転写可能な核酸配列との間の機能的連結も指し、ここで該発現制御配列は、転写可能な配列に相当する核酸の転写を指揮する。
「ウイルスベクター」という用語は、細胞内への核酸構築物の担体としての、ウイルスまたはウイルス関連ベクターの使用を表す。細胞への感染または形質導入のために、構築物を、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、もしくは単純ヘルペスウイルス(HSV)、またはレトロウイルスおよびレンチウイルスベクターを含む他のベクターのような複製しない不完全なウイルスゲノム内に組み込んでパッケージングすることができる。ベクターは、細胞のゲノム内に組み入れられても組み入れられなくてもよい。必要に応じて、構築物は、トランスフェクション用のウイルス配列を含んでよい。あるいは、構築物を、エピソーム複製が可能なベクター、例えばEPVおよびEBVベクター内に組み入れてよい。
本発明の文脈において、「トランスフェクション」は、ウイルス性および非ウイルス性の両方の技術を含む、細胞内へ核酸分子を導入する任意の方法を表すために用いられる。したがって、該用語には、ウイルスを用いた形質導入等の技術が含まれる。
「調節配列」および「プロモーター」という用語は、本明細書において代替可能に用いられ、それらが機能的に連結しているタンパク質コード配列の転写を誘導または制御する開始シグナル、エンハンサー、およびプロモーター等の核酸配列を表す。いくつかの例において、組換え遺伝子の転写は、発現が意図される細胞種において該組換え遺伝子の発現を制御するプロモーター配列(または他の転写調節配列)の制御下にある。組換え遺伝子は、天然に存在する形態のタンパク質の転写を制御する転写調節配列と同じまたは異なる転写調節配列の制御下にあってもよいと理解されるであろう。いくつかの例において、プロモーター配列は、細胞の合成装置によって認識され、または合成装置内に導入され、特定の遺伝子の転写を開始するのに必要とされる。
本明細書において用いるとき、「転写因子」という用語は、DNA結合ドメインを用いてDNAの特定の部分に結合し、DNAからRNAへの遺伝情報の転移(または転写)を制御するシステムの一部であるタンパク質を表す。
本明細書において用いるとき、「増殖する」および「増殖」とは、細胞***による、集団における細胞の数の増加(成長)を表す。細胞増殖は、一般的に、成長因子および他の***促進因子を含む環境に応答した複数のシグナル伝達経路の協調的活性化によって生じると理解されている。細胞増殖は、細胞増殖を遮断するまたはマイナスに影響を及ぼす細胞内または細胞外のシグナルおよびメカニズムの作用からの解放によっても増進され得る。
「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらの重合体を表すために、本明細書において代替可能に用いられる。該用語は、公知のヌクレオチド類似体または改変された骨格残基もしくは結合を含有する、核酸を包含し、これらは、合成のもの、天然に存在するもの、および天然に存在しないものであり、参照核酸と類似した結合特性を有し、かつ参照ヌクレオチドと類似した様式で代謝される。そのような類似体の例には、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
別様に示されていない限り、特定の核酸配列は、それらの保存的に改変された変異体(例えば、縮重したコドン置換)および相補的配列、ならびに明確に示されている配列も包含する。具体的には、縮重したコドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合基(mixed-base)および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作り出すことによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
「siRNA」という用語は、二本鎖RNAを形成する核酸を表し、遺伝子または標的遺伝子と同じ細胞にsiRNAを発現させた場合に、該二本鎖RNAは、該遺伝子または該標的遺伝子の発現を低下させるまたは阻害する能力を有する。本発明の文脈において、「siRNA」という用語にはmiRNAが含まれる。したがって、「siRNA」とは、相補鎖によって形成される二本鎖RNAを表す。ハイブリダイズして二本鎖分子を形成するsiRNAの相補的部分は、典型的には、実質的または完全な同一性を有する。一態様において、siRNAは、標的遺伝子と実質的または完全な同一性を有し、かつ二本鎖siRNAを形成する核酸を表す。siRNAの配列は、全長の標的遺伝子またはその部分配列に相当してよい。典型的には、siRNAは、長さが少なくとも約15〜50ヌクレオチドである(例えば、二本鎖siRNAの各相補的配列は長さが15〜50ヌクレオチドであり、二本鎖siRNAは長さが約15〜50塩基対、好ましくは約20〜30塩基ヌクレオチド、好ましくは長さが約20〜25ヌクレオチド、例えば長さが20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチドである)。
「shRNA」という用語は一般的に、より大きなDNA構築物の一部として細胞内に導入されるsiRNAを表す。典型的には、そのような構築物は、例えば宿主ゲノム内への構築物の組込みによって、導入後の細胞におけるsiRNAの安定的な発現を可能にする。
「アンチセンス」オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとは、標的ポリヌクレオチドまたはその一部に実質的に相補的であり、かつ標的ポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする能力を有するヌクレオチド配列である。
リボザイムとは、RNAの特異的切断を触媒し得る酵素性RNA分子である。リボザイム分子の組成には、好ましくは、標的mRNAに相補的な1種または複数種の配列、およびmRNA切断に関与する周知の触媒配列または機能的に等価な配列が含まれる(例えば、参照によりその全体として本明細書に組み入れられる米国特許第5,093,246号を参照されたい)。標的mRNA転写産物を触媒的に切断するように設計されたリボザイム分子を用いて、対象の標的mRNAの翻訳を妨げることもできる。
アミノ酸は、本明細書において、それらの一般に知られている3文字記号またはIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨されている1文字記号のいずれかによって表すことができる。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に認められている1文字符号によって表すことができる。
本明細書において用いるとき、「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸配列に適用される。当業者であれば、コードされる配列における1個のアミノ酸またはわずかなパーセンテージのアミノ酸を変更、付加、または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加は、該変更がアミノ酸を化学的に類似したアミノ酸に置き換える場合、「保存的に改変された変異体」であると認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸を提示している保存的置換の表は、当技術分野において周知である。そのような保存的に改変された変異体は、本発明の多型変異体、種間ホモログ、および対立遺伝子に追加されるものであり、それらを排除しない。以下の8グループはそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins(1984)を参照されたい)。
発現または活性の「インヒビター」、「アクチベーター」、および「モジュレーター」は、それぞれ、記載される標的タンパク質(またはコードするポリヌクレオチド)、例えばリガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、ならびにそれらのホモログおよび模倣体の発現または活性に対して、インビトロおよびインビボのアッセイを用いて同定された阻害性分子、活性化分子、または修飾分子を表すために用いられる。「モジュレーター」という用語には、インヒビターおよびアクチベーターが含まれる。インヒビターとは、例えば記載される標的タンパク質の発現を阻害するか、あるいは結合して刺激もしくはプロテアーゼインヒビター活性を部分的もしくは完全に遮断する、活性化を減少させる、妨げる、遅らせる、不活性化する、感受性を抑える、または活性を下方調節する、作用物質であり、例えばアンタゴニストである。アクチベーターとは、例えば記載される標的タンパク質の発現を誘導もしくは活性化するか、あるいは結合して活性化もしくはプロテアーゼインヒビター活性を刺激する、増大させる、解放する(open)、活性化する、促進する、高める、感受性を高める、または記載される標的タンパク質(またはコードするポリヌクレオチド)の活性を上方調節する作用物質であり、例えばアゴニストである。モジュレーターには、天然および合成のリガンド、アンタゴニスト、およびアゴニスト(例えば、アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして機能する、化学的小分子および抗体など)が含まれる。インヒビターおよびアクチベーターに対するそのようなアッセイには上記のように、例えば記載される標的タンパク質を発現している細胞に推定上のモジュレーター化合物を適用する工程、次いで、記載される標的タンパク質の活性に対する機能的効果を判定する工程が含まれる。潜在的アクチベーター、インヒビター、またはモジュレーターで処理された記載される標的タンパク質を含むサンプルまたはアッセイを、インヒビター、アクチベーター、またはモジュレーターなしの対照サンプルと比較して効果の程度を検討する。対照サンプル(モジュレーターで処理されていない)に相対的活性値100%を割り当てる。対照と比較した活性値が約80%、任意で50%または25、10%、5%または1%である場合、記載される標的タンパク質の阻害が達成される。対照と比較した活性値が110%、任意で150%、任意で200、300%、400%、500%、もしくは1000〜3000%、またはそれ以上に高い場合、記載される標的タンパク質の活性化が達成される。
「Octポリペプチド」とは、転写因子であるオクタマーファミリーの天然に存在するメンバーのいずれか、または最も近縁な天然に存在するファミリーメンバーと比較して類似した転写因子活性(少なくとも50%、80%、または90%の活性の範囲内)を維持しているそれらの変異体、または天然に存在するファミリーメンバーの少なくともDNA結合ドメインを含み、転写活性化ドメインをさらに含み得るポリペプチドを表す。例示的なOctポリペプチドには、Oct-1、Oct-2、Oct-3/4、Oct-6、Oct-7、Oct-8、Oct-9、およびOct-11が含まれ、例えばOct3/4(本明細書において「Oct4」と表される)は、Pit-1、Oct-1、Oct-2、およびuric-86の間で保存されている150アミノ酸の配列であるPOUドメインを含有する。Ryan, A.K. & Rosenfeld, M.G. Genes Dev. 11, 1207-1225(1997)を参照されたい。いくつかの態様において、変異体は、上記に挙げられているものまたはNP_002692.2(ヒトOct4)もしくはNP_038661.1(マウスOct4)のGenbankアクセッション番号で挙げられているもの等の天然に存在するOctポリペプチドファミリーのメンバーと比較して、それらの全配列にわたり、少なくとも85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性を有する。Octポリペプチド(例えば、Oct3/4)は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、または他の動物に由来してよい。一般的に、操作される細胞の種と同じ種のタンパク質が用いられる。
「Klfポリペプチド」とは、ショウジョウバエの胚のパターン調節因子であるKruppelに類似したアミノ酸配列を含有するジンクフィンガータンパク質のKruppel様因子(Klf)ファミリーの天然に存在するメンバーのいずれか、または最も近縁な天然に存在するファミリーメンバーと比較して類似した転写因子活性(少なくとも50%、80%、または90%の活性の範囲内)を維持している天然に存在するメンバーの変異体、または天然に存在するファミリーメンバーの少なくともDNA結合ドメインを含み、転写活性化ドメインをさらに含み得るポリペプチドを表す。Dang, D.T., Pevsner, J.& Yang, V.W., Cell Biol. 32, 1103-1121(2000)を参照されたい。例示的なKlfファミリーのメンバーには、Klf1、Klf2、Klf3、Klf-4、Klf5、Klf6、Klf7、Klf8、Klf9、Klf10、Klf11、Klf12、Klf13、Klf14、Klf15、Klf16、およびKlf17が含まれる。Klf2およびKlf4は、マウスにおけるiPS細胞を作出し得る因子であることが見出されており、関連遺伝子のKlf1およびKlf5も、効率の低下はあるが同様であった。Nakagawa, et al., Nature Biotechnology 26:101-106(2007)を参照されたい。いくつかの態様において、変異体は、上記に挙げられているものまたはCAX16088(マウスKlf4)もしくはCAX14962(ヒトKlf4)のGenbankアクセッション番号で挙げられているもの等の天然に存在するKlfポリペプチドファミリーのメンバーと比較して、それらの全配列にわたり、少なくとも85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性を有する。Klfポリペプチド(例えば、Klf1、Klf4、およびKlf5)は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、または他の動物に由来してよい。一般的に、操作される細胞の種と同じ種のタンパク質が用いられる。本明細書において、Klfポリペプチドが記載されている範囲で、それをエストロゲン関連受容体β(Essrb)ポリペプチドと置き換えることができる。したがって、本明細書において記載されるKlfポリペプチドの各態様に対して、Klf4ポリペプチドの代わりにEssrbを用いた相当する態様が同等に記載されているものとする。
「Mycポリペプチド」とは、Mycファミリーの天然に存在するメンバーのいずれか(例えば、Adhikary, S.& Eilers, M. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 6:635-645(2005)を参照されたい)、または最も近縁な天然に存在するファミリーメンバーと比較して類似した転写因子活性(少なくとも50%、80%、または90%の活性の範囲内)を維持しているそれらの変異体、または天然に存在するファミリーメンバーの少なくともDNA結合ドメインを含み、転写活性化ドメインをさらに含み得るポリペプチドを表す。例示的なMycポリペプチドには、例えばc-Myc、N-Myc、およびL-Mycが含まれる。いくつかの態様において、変異体は、上記に挙げられているものまたはCAA25015(ヒトMyc)のGenbankアクセッション番号で挙げられているもの等の天然に存在するMycポリペプチドファミリーのメンバーと比較して、それらの全配列にわたり、少なくとも85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性を有する。Mycポリペプチド(例えば、c-Myc)は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、または他の動物に由来してよい。一般的に、操作される細胞の種と同じ種のタンパク質が用いられる。
「Soxポリペプチド」とは、高移動度グループ(HMG)ドメインの存在を特徴とするSRY関連HMGボックス(Sox)転写因子の天然に存在するメンバーのいずれか、または最も近縁な天然に存在するファミリーメンバーと比較して類似した転写因子活性(少なくとも50%、80%、または90%の活性の範囲内)を維持しているそれらの変異体、または天然に存在するファミリーメンバーの少なくともDNA結合ドメインを含み、転写活性化ドメインをさらに含み得るポリペプチドを表す。例えば、Dang, D.T., et al., Int. J. Biochem. Cell Biol. 32:1103-1121(2000)を参照されたい。例示的なSoxポリペプチドには、例えばSox1、Sox-2、Sox3、Sox4、Sox5、Sox6、Sox7、Sox8、Sox9、Sox1O、Sox11、Sox12、Sox13、Sox14、Sox15、Sox17、Sox18、Sox-21、およびSox30が含まれる。Sox1は、Sox2と類似した効率でiPS細胞を産出することが示されており、Sox3、Sox15、およびSox18遺伝子も、Sox2よりいくらか低い効率ではあるがiPS細胞を作出することが示されている。Nakagawa, et al., Nature Biotechnology 26:101-106(2007)を参照されたい。いくつかの態様において、変異体は、上記に挙げられているものまたはCAA83435(ヒトSox2)のGenbankアクセッション番号で挙げられているもの等の天然に存在するSoxポリペプチドファミリーのメンバーと比較して、それらの全配列にわたり、少なくとも85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性を有する。Soxポリペプチド(例えば、Sox1、Sox2、Sox3、Sox15、またはSox18)は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、または他の動物に由来してよい。一般的に、操作される細胞の種と同じ種のタンパク質が用いられる。
発明の詳細な説明
序論
本発明は、多能性幹細胞を獲得する効率を増大させる方法を提供し、該方法は、多能性細胞を獲得するためにリプログラミングを受けている細胞においてΔ133p53を発現させる工程を含む。本明細書において記載される典型的な態様において、リプログラミングされる対象となる体細胞は、部分的または完全に分化した細胞(例えば、血液細胞、真皮細胞、線維芽細胞、上皮細胞、角化細胞など)である。リプログラミングされる対象となる細胞は、1種または複数種の多能性誘導因子、例えばOct3/4、Sox2, Klf4、c-Myc、Lin28、またはNanogを発現している。細胞に化合物を接触させて誘導形態の発現を増加させる工程、および/または細胞において外因性誘導因子を発現させることによって発現を高める工程を含む多様な方法を用いて、リプログラミングのために細胞を誘導することができる。
本発明の方法において、Δ133p53の発現のレベルを増加させることによって、リプログラミングされる対象となる開始細胞集団から得られるiPS細胞の数を増加させる。典型的には、細胞内にΔ133p53をコードする遺伝子を導入することによって、Δ133p53発現を増加させる。本発明は、下記でさらに詳細に記載される。
Δ133p53をコードするヌクレオチド配列を単離するための方法
一般的に、Δ133p53もしくはp53βをコードする核酸配列および関連する核酸配列ホモログを、cDNAライブラリーからクローニングすることができ、または典型的にはオリゴヌクレオチドプライマーを用いた増幅技術を用いて単離する。
好都合には、Δ133p53もしくはp53βまたは他のp53アイソフォームのクローニングは、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用およびRNAまたはDNA鋳型の増幅を利用することができる(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号;PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications(Innis et al., eds, 1990)を参照されたい)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)等の方法を用いて、直接mRNAから、cDNAから、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから、Δ133p53またはp53βの核酸配列を増幅することができる。公知の配列を用いて、他の種のΔ133p53またはp53βホモログを増幅するために縮重オリゴヌクレオチドを設計することができる。制限エンドヌクレアーゼ部位をプライマー内に組み入れることができる。PCR反応によって増幅された遺伝子を、アガロースゲルから精製し、適切なベクター内にクローニングすることができる。
Δ133p53もしくはp53βまたは他のp53アイソフォームをコードする核酸は、典型的には、複製および/または発現のための原核細胞または真核細胞内への形質転換の前に中間型ベクター内にクローニングされる。これらの中間型ベクターは、典型的には原核生物ベクター、例えばプラスミド、またはシャトルベクターである。Δ133p53もしくはp53βまたは他のp53アイソフォームをコードする単離された核酸には、これらのタンパク質の核酸配列および部分配列、種間ホモログ、対立遺伝子、ならびにそれらの多型変異体が含まれる。iPS細胞へのリプログラミングを受ける細胞集団内へのΔ133p53の導入は、下記でより詳細に論じられる。
多能性幹細胞
本発明の方法において、任意の動物を体細胞の供給源として用いてiPSを獲得することができる。典型的には、体細胞はヒト細胞であるが、他の動物由来の細胞を用いることもできる。したがって、例えば、いくつかの態様において、細胞は哺乳類細胞である。例示的な哺乳類細胞には、ヒト細胞、ヒト以外の霊長類細胞、例えばラット、マウス、ブタ、ウシ、ヒツジ、イヌ、およびネコの細胞、ならびに霊長類細胞(例えば、アカゲザル(rhesus monkey)、チンパンジー、マカク(macaque)など)が含まれるが、これらに限定されない。
ヒトiPS細胞を作製する方法は当技術分野において公知であり、幅広い方法を用いてiPS細胞を作製することができる(例えば、Takahashi and Yamanaka Cell 126:663-676, 2006;Blelloch et al., Cell Stem Cell 1:245-247, 2007;Yamanaka et al., Nature 448:313-7, 2007;Wernig et al., Nature 448:318-24, 2007;Maherali et al., Cell Stem Cell 1 :55-70, 2007;Maherali & Hochedlinger Cell Stem Cell 3:595-605, 2008;Park et al., Cell 134: 1-10, 2008;Dimos et al., Science 321:1218-1221, 2008;Stadtfeld et al., Science 322:945-949, 2008;Stadtfeld et al., Cell Stem Cell 2:230-240, 2008;Okita et al., Science 322:949-953, 2008を参照されたい)。複能性および多能性幹細胞株を誘導するための方法は、米国特許出願公開第20090191159号およびWO/2010/059806にさらに開示されている。他の方法には、iPS細胞を誘導する転写因子、例えばKLF4、C-MYC、OCT4、およびSOX2をコードする改変RNA分子を導入する工程が含まれる(2010年9月30日にオンラインで公表されたWarren et al., Cell Stem Cell 7:1-13, 2010)。したがって、Δ133p53発現を増加させる工程は、細胞透過性ペプチド部分を組み入れている組換えタンパク質を用いた連続したタンパク質形質導入(Kim et al., Cell Stem Cell 4:472-476, 2009;Zhou et al., Cell Stem Cell 4:381-384, 2009);一過性のプラスミドベクター、エピソームベクター、およびアデノウイルスベクターの反復適用によって(例えば、Okita et al., Science, 2008,前記;Stadtfeld et al., Science 2008,前記;Woltjen et al., 2009,前記;Yu et al., Science 324:797-801, 2009を参照されたい);センダイウイルスを用いた導入遺伝子送達(Fusake et al., Proc. Jpn. Acad. Ser. B, Phys. Biol. Sci 85:348-362, 2009);ならびに転写因子を誘導するためのレトロウイルスベクターを用いる方法および他の方法を含む、他の任意のiPS誘導法とともに実施され得る。本節において引用されている参考文献のそれぞれは、参照により本明細書に組み入れられる。
多能性は、例えば転写因子の導入によって、またはある転写因子の発現を別様に誘導もしくは模倣する作用物質を用いることによって誘導され得る。いくつかの態様において、以下の転写因子のうちの1種または複数種を内在的にまたは組換え的に(例えば、1種または複数種の転写因子を発現する異種発現カセットの導入によって)発現させる。多能性の誘導のための例示的な技術には、H3K9のメチル化を阻害する作用物質、例えばBIX01294(例えば、Kubicek, et al., Mol. Cell 473-481, 2007を参照されたい)等のヒストンメチル基転移酵素G9aを阻害する作用物質、またはTGFβシグナル伝達を阻害する小分子を含むがこれらに限定されない1種または複数種の小分子を任意で伴う、Oct3/4、Sox2、c-Myc、およびKlf4のうちの少なくとも1種の発現のための少なくとも1つまたは複数の発現カセットの導入(例えば、Takahashi, Cell 131(5):861-872, 2007;Cell Stem Cell 2, 10-12, 2008を参照されたい)が含まれるが、これに限定されない。したがって、本発明の方法を実施する際には、Δ133p53発現が高められている細胞、典型的には線維芽細胞等の成体体細胞を、エピジェネティックなリプログラミング物質を含むリプログラミングのための多様な作用物質で処理してよい。
本発明の方法を用いて得られた多能性細胞は、いくつかの基準によって特徴決定することができる。遺伝子発現、メチル化、ならびに本明細書において記載されるインビトロおよびインビボの特徴に加えて、本発明の多能性細胞は少なくとも1回(例えば、1、2、3、4、5、10、20回など)の細胞***にわたり多能性を維持する。細胞を、特定の成長因子、例えば白血病阻害因子(LIF)および骨形成タンパク質(BMP)を含む培地中で;または、TGFβおよびアクチビンのシグナル伝達経路を阻害する条件下で、MAPKシグナル伝達経路の阻害下で、ならびに任意でFGF経路の阻害下で、維持することができる。典型的には、ヒトiPS細胞は、MEK、FGFR、および/またはALK4/5/7インヒビターで処理された場合に分化する(Brons et al., Nature 448, 191-195, 2007;Li et al., Differentiation 75, 299-307, 2007;Peerani et al., EMBO J 26, 4744-4755, 2007;Tesar et al., Nature 448, 196-199, 2007)。
様々なマーカーを用いて、本発明の方法に従って得られたiPS細胞を特徴決定することもできる。これらには、アルカリホスファターゼ、α-フェトプロテイン(AFP)、BMP、ならびにSSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、TRA-2-49/6E、Nanog、GDF3、REX1、FGF4、ESG1、DPPA2、DPPA4、およびhTERT等の他のマーカーが含まれる。
いくつかの態様において、iPS細胞を獲得するために誘導される対象となる体細胞は、所望のタンパク質をコードする適切な発現ベクターをトランスフェクションして、Oct3/4、Sox2、c-Myc、およびKlf4のうちの少なくとも1種を発現させることによっても操作される。典型的な態様において、体細胞はOct3/4、Sox2、およびKlf4を発現している。いくつかの態様において、体細胞はOct3/4、Sox2、Klf4、およびc-mycを発現している。いくつかの態様において、誘導される対象となる細胞、例えば線維芽細胞等の体細胞は、Δ133p53の発現前にOct3/4、Sox2、Klf4、およびc-mycのうちの1種または複数種を発現している。いくつかの態様において、誘導される対象となる細胞に、1種または複数種のOct3/4、Sox2、Klf4、およびc-mycを発現する発現ベクターのトランスフェクションと同時に、Δ133p53を発現する発現構築物をトランスフェクションする。さらなる態様において、Oct3/4、Sox2、Klf4、およびc-mycのうちの1種または複数種をコードする核酸の導入前に、誘導される対象となる細胞集団内にΔ133p53を発現するベクターを導入する。
当技術分野において公知の方法を用いて、本発明の細胞を特徴決定することができる。例えばΔ133p53の遺伝子発現レベル、転写因子、またはリプログラミングの指標となる他のタンパク質を、例えばリアルタイムPCRもしくはリアルタイムRT-PCR(例えば、mRNAを検出するための)、および/またはウェスタンブロットまたは他のタンパク質検出技術によって検出することができる。(例えば、体細胞リプログラミングを検出する方法を記載しているWO/2010/033991等の参考文献および本明細書において引用されている参考文献を参照されたい。)
本発明のいくつかの態様において、リプログラミングされている細胞、例えば分化したまたは部分的に分化した体細胞の集団からiPSを獲得する効率を、p53βの発現のレベルを阻害することによって、例えば少なくとも1.5倍、2倍、もしくは3倍、またはそれ以上増大させることができる。そのような方法は、例えばp53βを特異的に標的とする阻害性RNA分子等の核酸を利用することができる。そのような方法を、Δ133p53発現を増加させる本発明の方法とともに用いることができ、または本明細書において記載されるように、リプログラミングされている細胞に対して単独で利用してよい。
いくつかの態様において、リプログラミングされる体細胞は成体体細胞である。適当な哺乳類体細胞には、セルトリ細胞、内皮細胞、顆粒膜上皮細胞、神経細胞、膵島細胞、表皮細胞、上皮細胞、肝細胞、毛包細胞、角化細胞、造血細胞、メラニン形成細胞、軟骨細胞、リンパ球(BおよびTリンパ球)、赤血球、マクロファージ、単球、単核細胞、心筋細胞、および他の筋細胞なども含まれてよいが、これらに限定されない。いくつかの態様において、リプログラミングされる対象となる分化した体細胞は線維芽細胞、例えば成体真皮線維芽細胞である。いくつかの態様において、分化した細胞は胚性線維芽細胞である。いくつかの態様において、分化した細胞は造血系の細胞である。いくつかの態様において、分化した細胞は末梢血に由来する。いくつかの態様において、体細胞は成体幹細胞、例えば特定の組織のすべての細胞種を生み出し得る細胞である。例示的な成体幹細胞には、造血幹細胞、神経幹細胞、心臓幹細胞、例えばカーディオスフェア(cardiosphere)由来細胞、および間葉系幹細胞が含まれる。
癌幹細胞
別の局面において、本発明は、Δ133p53の発現のレベルを減少させることによって、癌幹細胞の増殖を阻害する方法を提供する。したがって、癌幹細胞をΔ133p53抑制のための標的とし、それによって細胞の増殖を阻害することができる。例えば、Δ133p53を標的とする阻害性RNA分子を用いることによって、抑制を実施することができる。
さらなる局面において、本発明は、例えば発現構築物を用いることによりp53βの発現のレベルを増加させることによって、癌幹細胞の増殖を阻害する方法を提供する。当業者であれば、Δ133p53に関して記載されているものと同じ、ベクターを構築するための技術および細胞内に核酸を導入するための技術を用いて、p53βの発現を実施することができると理解する。
当技術分野において周知の方法を用いることによって、癌幹細胞(CSC)を同定することができる。腫瘍におけるCSCを同定する最も一般的な方法は、細胞表面マーカーの同定によるものであり、これは原発組織における正常幹細胞も同定する。例えば、白血病幹細胞(LSC)は、CD34表面マーカーを発現しているがCD38表面抗原を欠いており、これは正常な(すなわち、白血病でない)造血幹細胞の場合と同じである。前立腺CSCは、CD133およびCD44表面抗原に対して陽性である(CD133+CD44+)。乳癌幹細胞は、しばしばCD44+/CD24−である。細胞表面マーカーの発現によって同定されたCSCを、蛍光活性化細胞選別(FACS)等の方法によって精製することができる。
CSCを同定および単離するために、細胞表面マーカーの発現に加えて、機能的アッセイもしばしば用いられる。正常幹細胞および癌幹細胞は、該細胞外に毒性化合物を能動的に輸送することによって該細胞が細胞毒性薬に抵抗できるようにする膜タンパク質複合体であるATP結合カセット(ABC)輸送体を、優先的に発現している。細胞をHoechst 33342蛍光色素で染色した場合、幹細胞中のABC輸送体は、該細胞から色素を積極的に排出している。したがって、FACSによって解析した場合、幹細胞は「低Hoechst」集団として現れ、一方で幹細胞以外の細胞はより強く蛍光を発している。この選択技術を適用して、血液、脳、および***を含む多様な組織からの幹細胞およびCSCの同定および単離に成功している。
iPS細胞としてリプログラミングされる対象となる細胞におけるΔ133p53の発現
Δ133p53(およびiPSを誘導する転写因子等の他のタンパク質)の発現は、当技術分野において周知の技術を用いることによって実施される。したがって、本発明は、組換え遺伝学の分野における慣用の技術に依存している。本発明における使用についての一般的方法を開示している基礎的テキストとしては、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A laboratory manual 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press;およびCurrent Protocols in Molecular Biology (2010) John Wiley and Sonsが挙げられる。
プラスミドおよびウイルスベクターを含む多くのベクターが利用されうる。細胞において2種またはそれ以上のタンパク質を発現させる場合、例えば細胞においてΔ133p52をコードする核酸および/またはiPSを誘導するための1種もしくは複数種の転写因子を発現させる場合、1つまたは複数の発現カセットを用いることができると認識されるであろう。例えば、1つの発現カセットが複数種のポリペプチドを発現し得る場合、ポリシストロン性の発現カセットを用いることができる。
プラスミドベクター
ある態様において、プラスミドベクターは、宿主細胞を形質転換するための使用に関して考慮される。一般的に、宿主細胞に適合する種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターを、これらの宿主と組み合わせて用いる。真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含有する発現ベクターは、典型的には真核生物発現ベクター、例えばSV40ベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン−バールウイルス由来のベクターに用いられる。例示的な他の真核生物ベクターには、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウイルスpDSVE、および、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネイン(metallothionine)プロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞における発現に有効であることが示されている他のプロモーターの指揮下でタンパク質の発現を可能にする他の任意のベクターが含まれる。いくつかの態様において、Δ133p53核酸および/またはiPSを誘導するための転写因子を発現させるために用いられるプロモーターは、抗生物質に基づくプロモーター(例えば、tetプロモーター)等の誘導性プロモーターであってよい。そのようなプロモーターは、当技術分野において公知である。
ウイルスベクター
あるウイルスが細胞に感染するかまたは受容体介在性エンドサイトーシスを介して細胞に侵入する能力、および、宿主細胞のゲノム内に組み込まれてウイルス遺伝子を安定的かつ効率的に発現させる能力は、該ウイルスを細胞(例えば、哺乳類細胞)内への外来核酸の移行のための魅力的な候補とする。本発明の核酸を送達するために用いられ得るウイルスベクターの非限定的な例を以下に記載する。本発明における使用のためのベクターには、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター等のレトロウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクターなどが含まれる。
標的細胞に送達されるべき核酸を、特異的結合リガンドを発現するように遺伝子操作されている感染性ウイルス内に収納することができる。したがって、ウイルス粒子は標的細胞の同族受容体に特異的に結合し、内容物を細胞へ送達する。レトロウイルスベクターの特異的標的化を可能にするように設計された新規な手法は、ウイルスエンベロープへのラクトース残基の化学的付加によるレトロウイルスの化学的修飾に基づいて開発された。この修飾によって、シアロ糖タンパク質受容体を介した肝細胞の特異的感染が可能となり得る。
レトロウイルスエンベロープタンパク質に対するおよび特異的細胞受容体に対するビオチン化抗体が用いられる、組換えレトロウイルスの標的化のための別の手法が設計された。抗体は、ストレプトアビジンを用いることによってビオチン成分を介してカップリングされた(Roux et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 86:9079-9083, 1989)。主要組織適合性複合体のクラスIおよびクラスII抗原に対する抗体を用いることによって、彼らは、その表面抗原を有する多様なヒト細胞のエコトロピックウイルスによる感染をインビトロで立証した(Roux et al., 1989)。
いくつかの態様において、リプログラミングされる対象となる細胞内へ導入されるΔ133p53核酸はRNA分子である。そのようなRNA分子は、例えばインビトロ転写を用いることによって調製され得る(例えば、2010年9月30日にオンラインで公表されたWarren et al., Cell Stem Cell 7:1-13, 2010を参照されたい)。
ベクターの送達および細胞の形質転換
本発明での使用のための、細胞、組織、または生命体の形質転換のための核酸送達に適した方法には、本明細書において記載されるまたは当業者に公知であると考えられる、核酸(例えば、DNA)を細胞、組織、または生命体内に導入し得る事実上任意の方法が含まれると考えられる。そのような方法には、任意でFugene6(Roche)またはリポフェクタミン(Invitrogen)を用いたエクスビボ・トランスフェクションによる(Wilson et al., Science, 244:1344-1346, 1989、Nabel and Baltimore, Nature 326:711-713, 1987);微量注入および遺伝子銃注入(Harland and Weintraub, J. Cell Biol, 101:1094-1099, 1985;参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,789,215号)を含む注入による(それぞれが参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,994,624号、第5,981,274号、第5,945,100号、第5,780,448号、第5,736,524号、第5,702,932号、第5,656,610号、第5,589,466号、および第5,580,859号);エレクトロポレーションによる(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,384,253号;Tur-Kaspa et al., Mol. Cell Biol., 6:716-718, 1986;Potter et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 81:7161-7165, 1984);リン酸カルシウム沈殿による(Graham and Van Der Eb, Virology, 52:456-467, 1973;Chen and Okayama, Mol. Cell Biol., 7(8):2745-2752, 1987;Rippe et al., Mol. Cell Biol., 10:689-695, 1990); DEAEデキストランの後にポリエチレングリコールを用いることによる(Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188-1190, 1985);直接超音波負荷による(Fechheimer et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 84:8463-8467, 1987);リポソームを介したトランスフェクション(Nicolau and Sene, Biochim. Biophys. Acta, 721:185-190, 1982;Fraley et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 76:3348-3352, 1979;Nicolau et al., Methods Enzymol., 149:157-176, 1987;Wong et al., Gene, 10:87-94, 1980;Kaneda et al., Science, 243:375-378, 1989;Kato et al., J Biol. Chem., 266:3361-3364, 1991);ならびに受容体を介したトランスフェクションによる(Wu and Wu, Biochemistry, 27:887-892, 1988;Wu and Wu, J. Biol. Chem., 262:4429-4432, 1987;それぞれが参照により本明細書に組み入れられる)等のDNAの直接送達が含まれるが、それらに限定されない。阻害性核酸を説明している節において以下に記載される方法を用いることによっても、核酸を細胞内に導入することができる。さらに、そのような方法の任意の組み合わせを利用してもよい。
細胞の培養
iPS細胞を獲得するためにリプログラミングを受けている細胞を、当技術分野において公知の任意の方法に従って培養することができる。様々な技術が公知である(例えば、WO/2010/059775;WO/2010/077955;WO/2010/002846;Warren et al, 2010,前記;および本明細書において引用されている参考文献を参照されたい)。培養培地は、当技術分野において公知の培養培地の他の任意の成分を含んでよい。いくつかの態様において、細胞は低酸素条件下で培養される。培養物は、血清を含んでも無血清であってもよい。
いくつかの態様において、細胞をフィーダー細胞に接触させて培養する。例示的なフィーダー細胞には、線維芽細胞の細胞、例えばマウス胚性線維芽細胞(MEF)の細胞が含まれるが、これらに限定されない。フィーダー細胞上で細胞を培養する方法は、当技術分野において公知である。
いくつかの態様において、細胞をフィーダー細胞の非存在下で培養する。例えば、細胞を固体の培養表面(例えば、培養プレート)に、例えば分子テザー(molecular tether)を介して直接接着させることができる。分子テザーの例には、マトリゲル、細胞外マトリックス(ECM)、ECM類似体、ラミニン、フィブロネクチン、またはコラーゲンが含まれるが、これらに限定されない。固体表面へのテザーの初期接着のための方法は、当技術分野において公知である。
本発明の方法に従って得られたiPS細胞の分化
本発明の方法を用いて得られたiPS細胞を、臨床応用および研究応用を含む多くの応用に用いることができる。いくつかの態様において、細胞は、その細胞種に対する薬の影響を評価するために用いられる分化した細胞種であってよい。いくつかの態様において、細胞をインビボで利用することができる。iPS細胞を、神経細胞、心筋細胞、肝臓の肝細胞、および肺の呼吸上皮細胞等の多くの細胞種に分化させることができる。
本発明のiPS細胞を分化させる場合、典型的には、Δ133p53発現を減少させることが望ましい。したがって、いくつかの態様において、Δ133p53を誘導性プロモーターの制御下で発現させる。その後、iPS分化を開始させることが望まれる時に、誘導物質を取り除くことができる。いくつかの態様において、Δ133p53発現は、組換えに基づくシステムを用いることによって阻止される。したがって、ある例において、lox組換え部位を有する遺伝子構築物を用いてΔ133p53を発現させてよい。creリコンビナーゼが発現すると、次いでΔ133p53導入遺伝子が阻止されて、発現が抑制され得る。したがって、iPS細胞は、除去可能なレンチウイルスおよびトランスポゾンベクターを介して得られてもよい(例えば、それぞれが参照により組み入れられるChang et al., Stem Cells 27:1042-1049, 2009;Kaji et al., Nature 458:771-775, 2009を参照されたい)。
さらなる態様において、Δ133p53の発現は、細胞のさらなる遺伝子操作を用いることによって、例えば阻害性核酸で導入遺伝子を標的化することによって実施され得る。
他の局面において、本発明は、iPSまたは胚性幹細胞の分化を促進する方法を提供し、該方法は、p53βの発現レベルを増加させる工程を含む。そのような方法を、Δ133p53発現を減少させる工程とともに、またはΔ133p53発現を増加させる処理にこれまで供されたことがない細胞に対して、実施することができる。
核酸を用いたp53アイソフォームの阻害
本発明のいくつかの局面において、癌幹細胞等の幹細胞においてΔ133p53の内在的発現を阻止すること、またはp53βの内在的発現を阻止することが望ましい。Δ133p53およびp53βに対する、siRNA、shRNA、リボザイム、またはアンチセンス分子等の阻害性核酸を、当技術分野において公知の方法を用いることによって合成および細胞内に導入することができる。分子を、インビトロで化学的もしくは酵素的に合成することができ(Micura, Agnes Chem. Int. Ed. Emgl. 41:2265-9 (2002);Paddison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:1443-8 2002)、またはshRNAの形態で細胞内で内在的に発現させることができる(Yu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:6047-52 (2002);McManus et al., RNA 8, 842-50 (2002))。核内低分子RNAプロモーターであるRNAポリメラーゼIII U6もしくはH1、またはRNAポリメラーゼII U1を用いたプラスミドに基づく発現システムが、shRNAの内在的発現に用いられている(Brummelkamp et al., Science, 296:550-3 (2002);Sui et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:5515-20 (2002);Novarino et al., J. Neurosci., 24:5322-30 (2004))。エレクトロポレーションによってまたは親油性物質を用いることによって、合成siRNAを送達することができる(McManus et al., RNA 8, 842-50 (2002);Kishida et al., J. Gene Med., 6:105-10 (2004))。あるいは、プラスミドシステムを用いて、標的遺伝子の抑制のための低分子ヘアピンRNAを安定的に発現させることができる(Dykxhoorn et al., Nat. Rev. Mol. Biol, 4:457-67 (2003))。トランスフェクションするのが困難である細胞内にshRNA発現カセットを送達するための様々なウイルス送達システムが開発されている(Brummelkamp et al., Cancer Cell, 2:243-7 (2002);Rubinson et al., Nat. Genet., 33:401-6 2003)。さらに、siRNAを生きた動物内に送達することもできる(Hasuwa et al., FEBS Lett., 532, 227-30 (2002);Carmell et al., Nat. Struct. Biol, 10:91-2 (2003);Kobayashi et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 308:688-93 (2004))。
siRNAまたはshRNA標的配列の設計のための方法は、当技術分野において記載されている。考慮されるべき因子としては、以下が挙げられる:siRNA標的配列が関心対象の遺伝子に特異的であり、かつ約20〜50%のGC含量を有するべきであること(Henshel et al., Nucl. Acids Res., 32:113-20 (2004));センス鎖の5'末端にG/Cを有するべきであること;アンチセンス鎖の5'末端にA/Uを有するべきであること;アンチセンス鎖の5'末の最初の7塩基において少なくとも5個のA/U残基を有するべきであること;および9個を超えるG/C残基が連続しないこと(Ui-Tei et al., Nucl. Acids Res., 3:936-48 (2004))。加えて、RNAポリメラーゼに特有のプライマー設計の法則を適用する。例えば、U6プロモーターから転写するポリメラーゼであるRNAポリメラーゼIIIに対して、好ましい標的配列は5'-GN18-3'である。4個またはそれ以上の連続するT(またはもう一方の鎖上のA)は、RNAポリメラーゼIIIの終結配列として働くと考えられ、避けられるべきである。加えて、任意の単一塩基が連続する領域は避けるべきである(Czauderna et al. , Nucl. Acids Res., 31:2705-16 (2003))。調節タンパク質が結合し得る領域を避けるために、mRNA標的部位は開始コドンの少なくとも50〜200塩基下流であることも一般的に推奨されている(Sui et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:5515-20 (2002);Elbashir et al., Methods, 26:199-213 (2002);Duxbury and Whang, J. Surg. Res., 117:339-44 (2004))。加えて、本発明の実践における使用に適したsiRNAおよびshRNAの設計に役立ついくつかのコンピュータープログラムが利用可能である。
部位特異的認識配列においてmRNAを切断するリボザイムを用いて、とりわけハンマーヘッド型リボザイムを用いることによって、標的mRNAを破壊することができる。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域によって決定づけられる位置でmRNAを切断する。好ましくは、標的mRNAは、以下の2塩基の配列:5'-UG-3'を有する。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および産生は、当技術分野において周知である。
遺伝子標的リボザイムは、長さがそれぞれ少なくとも5個、好ましくはそれぞれ6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドの標的mRNA、例えばΔ133p53を標的とするmRNAの2つの領域に相補的なハイブリダイズ領域を必ず含有する。加えて、リボザイムは、標的センスmRNAを自己触媒的に切断する特異性の高いエンドリボヌクレアーゼ活性を保有する。
アンチセンス、siRNA、またはリボザイムオリゴヌクレオチドに関して、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを用いることができる。ホスホジエステル結合ならびに複素環または糖の修飾は、効率の増大を提供し得る。ホスホロチオエートは、ホスホジエステル結合を修飾するのに用いられる。N3'-P5'ホスホロアミデート結合は、オリゴヌクレオチドをヌクレアーゼに対して安定化し、RNAへの結合を増大させると説明されている。ペプチド核酸(PNA)結合は、リボースおよびホスホジエステル骨格の完全な置換であり、ヌクレアーゼに対して安定であり、RNAへの結合アフィニティーを増大させ、かつRNAse Hによる切断を受けないようにする。その基本構造は、アンチセンス成分としてのその最適化を可能にし得る修飾も受けやすい。複素環の修飾に関して、ある複素環の修飾は、RNAse H活性と干渉することなくアンチセンス効果を増強することが証明されている。そのような修飾の例は、C-5チアゾール修飾である。最後に、糖の修飾も考慮されてよい。2'-O-プロピルリボース修飾および2'-メトキシエトキシリボース修飾は、細胞培養中におよびインビボにおいてオリゴヌクレオチドをヌクレアーゼに対して安定化する。
当業者であれば、同じ原理および方法を用いることによって、p53βを標的とする阻害性核酸を獲得することができると理解する。
直接的トランスフェクションまたは発現ベクターを介したトランスフェクションおよび発現によって、阻害性オリゴヌクレオチドを細胞へ送達することができる。適切な発現ベクターには、宿主細胞においてアンチセンスRNAの発現をもたらすプロモーターを含む適切な調節配列とともに阻害性オリゴヌクレオチドがその中にクローニングされている、哺乳類発現ベクターおよびウイルスベクターが含まれる。適当なプロモーターは、構成的または発生特異的プロモーターであってよい。トランスフェクションによる送達は、当技術分野において公知のリポソームトランスフェクション試薬によって達成され得る(例えば、Xtremeトランスフェクション試薬, Roche, Alameda, CA;リポフェクタミン製剤, Invitrogen, Carlsbad, CA)。カチオン性リポソームを介した送達、レトロウイルスベクターを介した送達、および直接送達が効率的である。別の可能な送達様式とは、標的細胞の細胞表面マーカーに対する抗体を用いて標的化することである。
トランスフェクションに関して、(ベクター内にもしくはベクターなしで)1種もしくは複数種の核酸分子を含む組成物は、対象への投与のための送達媒体、例えばリポソーム、担体、および希釈剤ならびにそれらの塩を含んでよく、かつ/または薬学的に許容される製剤中に存在してよい。核酸分子の送達のための方法は、例えばそのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられるGilmore, et al., Curr Drug Delivery (2006) 3:147-5およびPatil, et al., AAPS Journal (2005) 7:E61-E77に記載されている。siRNA分子の送達も、そのそれぞれの開示内容が参照により本明細書に組み入れられるいくつかの米国特許出願公開、例えば第2006/0019912号;第2006/0014289号;第2005/0239687号;第2005/0222064号;および第2004/0204377号に記載されている。当業者に公知の多様な方法によって、例えばこれらに制限されないが、リポソーム内へのカプセル化によって、イオントフォレシスによって、エレクトロポレーションによって、または、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン(例えば、Gonzalez et al., 1999, Bioconjugate Chem., 10, 1068-1074;Wang et al., PCT国際公開公報WO 03/47518およびWO 03/46185を参照されたい)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)およびPLCAミクロスフェア(例えば、米国特許第6,447,796号および米国特許出願公開第2002/130430号を参照されたい)、生分解性ナノカプセル、ならびに生体接着性ミクロスフェアを含む他の媒体内への組込みによって、または、タンパク性ベクター(O'Hare and Normand, PCT国際公開公報WO 00/53722)によって、核酸分子を細胞へ投与することができる。別の態様において、本発明の核酸を、ポリエチレンイミンおよびその誘導体、例えばポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-GAL)またはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-トリ-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-triGAL)誘導体等と共に製剤化してもよく複合体化させてもよい。
本発明と共に使用するリポソームトランスフェクション試薬の例には、例えば、CellFectin,1:1.5(M/M)カチオン性脂質N,NI,NII,NIII-テトラメチル-N,NI,NII,NIII-テトラパルミト-y-スペルミンとジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)とのリポソーム製剤(GIBCO BRL);Cytofectin GSV,2:1(M/M)カチオン性脂質とDOPEとのリポソーム製剤(Glen Research);DOTAP(N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)-N,N,N-トリ-メチル-アンモニウムメチルサルフェート)(Boehringer Manheim);リポフェクタミン,3:1(M/M)ポリカチオン性脂質DOSPAと中性脂質DOPEとのリポソーム製剤(GIBCO BRL);および(5)siPORT(Ambion);HiPerfect(Qiagen);X-treme GENE(Roche);RNAicarrier(Epoch Biolabs);ならびにTransPass(New England Biolabs)が含まれる。
いくつかの態様において、アンチセンス、siRNA、またはリボザイム配列を、哺乳類発現ベクターを介して細胞内に送達する。例えば、siRNA発現に適した哺乳類発現ベクターは、例えばAmbion(例えば、pSilencerベクター), Austin, TX;Promega(例えば、GeneClip、siSTRIKE、SiLentGene), Madison, WI;Invitrogen, Carlsbad, CA;InvivoGen, San Diego, CA;およびImgenex, San Diego, CAから市販されている。典型的には、siRNA分子を転写するための発現ベクターは、U6プロモーターを有すると考えられる。
いくつかの態様において、アンチセンス、siRNA、またはリボザイム配列を、ウイルス発現ベクターを介して細胞内に送達する。そのような分子を細胞へ送達するのに適したウイルスベクターには、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、およびレトロウイルスベクター(レンチウイルスベクターを含む)が含まれる。例えば、siRNAオリゴヌクレオチドを送達および発現するために開発されたウイルスベクターは、例えばGeneDetect, Bradenton, FL;Ambion, Austin, TX;Invitrogen, Carlsbad, CA;Open BioSystems, Huntsville, AL;およびImgenex, San Diego, CAから市販されている。
以下の実施例は、特許請求される発明を例証するために提示されるものであって、限定するためのものではない。
実施例1.胚性幹細胞におけるΔ133p53の発現
ヒト胚性幹細胞をΔ133p53タンパク質の発現について評価した。タンパク質溶解物をヒト胚性幹細胞のUC06およびWA09から単離した。結果(図1)は、未分化型および胚様体がΔ133p53を発現していることを示した。対照の線維芽細胞は、Δ133p53のわずかな発現を示した。結腸癌細胞のHCT116は、胚性幹細胞と比較してより低いレベルの発現を示した。
実施例2.リプログラミング因子を発現している線維芽細胞におけるΔ133p53の発現は、iPSコロニーの数を増加させる
図2は、内在性全長p53の下方調節または内在性Δ133p53の上方調節のいずれかがiPSCリプログラミングと関連していたことを示すさらなるデータを提供している。本実験において解析されたiPS細胞クローンは、4因子(OCT4、KLF4、SOX2、およびc-Myc)によって誘導された。
線維芽細胞の細胞に、多能性幹細胞を誘導するためのリプログラミング因子とともに、Δ133p53を発現するまたはp53をノックダウンするためのshRNAを発現するレトロウイルスベクターを感染させた(図3Aおよび3B)。パネルAにおいて、線維芽細胞は、多能性幹細胞を誘導する3種の転写因子Oct4、Klf4、およびSox2を発現していた。パネルBにおいて、線維芽細胞は、4種の転写因子Oct4、Klf4、Sox2、およびc-Mycを発現していた。対照ベクター、Δ133p53を発現するレトロウイルス構築物、またはp53発現をノックダウンする陽性対照のレトロウイルス発現shRNAを細胞内に導入した。図3は、Δ133p53がベクターのみと比較してiPS細胞の産生を向上させたことを立証している。
図4は、4種のiPS因子(OKSM:OCT4、KLF4、SOX2、およびc-Myc)およびΔ133p53過剰発現のレトロウイルスベクターを形質導入されたBJ線維芽細胞に由来したiPS細胞の細胞形態を示している。
方法
Δ133p53を発現するレンチウイルス構築物を、pLenti6/V5-DEST発現ベクター(Invitrogen)を用いて作製した。図5は、Δ133p53ベクターの2つのバージョンが該タンパク質を効率的に発現したことを示すデータを提供している。
図6は、Δ133p53発現のための誘導性レンチウイルスベクターシステムの確立を示すデータを提供している。ドキシサイクリンの添加によって、BJ線維芽細胞においてΔ133p53発現が誘導された。
pTRIPzシステムを用いることによって、Δ133p53の誘導性shRNAノックダウンのためのレンチウイルスベクターも作製した。図7は、異なる配列を標的とする5種の独立したノックダウンベクターを用いて得られたノックダウン実験の結果を示すデータを提供している。ドキシサイクリンの存在(誘導条件)下において、5種のノックダウンベクターのそれぞれはΔ133p53量の減少をもたらしたが、一方で全長p53に対する効果はほとんどまたは全く観察されなかった。
文脈上特記されない限り、「一つの(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」という単数形の用語には、複数形の指示対象が含まれる。「複数」という用語は、2つまたはそれ以上を表す。核酸またはポリペプチドに与えられているすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量または分子質量の値は概算であり、説明のために提供されていることがさらに理解されるべきである。
上記の実施例は、本発明を例証するために提供されるものであって、その範囲を限定するためのものではない。本発明の他の変異型は、当業者にとって容易に明らかであり、添付の特許請求の範囲によって包含される。
本明細書において引用されるすべての刊行物、特許、アクセッション番号、および特許出願は、その関連性においてそれらが本明細書において引用される対象物の開示内容に対して、参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。

Claims (26)

  1. 少なくとも1種のリプログラミング因子を発現している体細胞から得られる人工多能性幹(iPS)細胞の数を増加させる方法であって、該体細胞においてΔ133p53の発現のレベルを増加させ、それによって該体細胞から得られるiPSの数を増加させる工程を含む、方法。
  2. 前記体細胞においてΔ133p53をコードする組換え核酸配列を発現させることによってΔ133p53の発現のレベルを増加させる、請求項1記載の方法。
  3. Δ133p53をコードする前記組換え核酸配列が誘導性プロモーターに機能的に連結されている、請求項2記載の方法。
  4. 前記組換え核酸配列がプラスミドベクター、アデノウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターに含まれている、請求項2記載の方法。
  5. 前記レトロウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項4記載の方法。
  6. 前記組換え核酸が、lox組換え部位を含む発現カセット内に存在する、請求項2記載の方法。
  7. 前記体細胞が線維芽細胞である、請求項1記載の方法。
  8. 前記細胞内に外因性Δ133p53を導入することによってΔ133p53の発現のレベルを増加させる、請求項1記載の方法。
  9. 前記リプログラミング因子がOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  10. 前記体細胞がOCT4、KLF4、およびSOX2を発現している、請求項1記載の方法。
  11. 体細胞がOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycを発現している、請求項1記載の方法。
  12. 組換えΔ133p53をコードする発現ベクターを含む単離されたiPS細胞であって、少なくとも1種のリプログラミング成長因子を発現している、単離されたiPS細胞。
  13. Δ133p53をコードする前記組換え核酸配列が誘導性プロモーターに機能的に連結されている、請求項12記載の単離されたiPS細胞。
  14. 前記発現ベクターがプラスミドベクター、アデノウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターである、請求項12記載の単離されたiPS細胞。
  15. 前記レトロウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項14記載の単離されたiPS細胞。
  16. 前記リプログラミング因子がOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycからなる群より選択される、請求項12記載の単離されたiPS細胞。
  17. 前記体細胞がOCT4、KLF4、およびSOX2を発現している、請求項12記載の単離されたiPS細胞。
  18. 前記体細胞がOCT4、KLF4、SOX2、およびc-mycを発現している、請求項12記載の単離されたiPS細胞。
  19. 前記発現ベクターがlox組換え部位を含む、請求項12記載の単離されたiPS細胞。
  20. Δ133p53の発現を抑制する工程を含む、請求項19記載のiPS細胞を分化させる方法。
  21. creリコンビナーゼを発現させてΔ133p53の発現を阻止する工程を含み、Δ133p53をコードする核酸がlox組換え部位を含む、請求項20記載の方法。
  22. Δ133p53の発現を阻害する工程を含む、癌幹細胞の増殖を阻害する方法。
  23. 前記細胞にΔ133p53の機能または発現を阻害する作用物質を接触させ、それによって前記癌幹細胞の増殖を阻害する工程を含む、請求項22記載の方法。
  24. 前記作用物質がsiRNAである、請求項23記載の方法。
  25. 前記siRNAがshRNAである、請求項24記載の方法。
  26. 前記作用物質がリボザイムである、請求項23記載の方法。
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