JP2013522374A - 創傷の予防及び治療のための組成物及び方法 - Google Patents

創傷の予防及び治療のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、創傷の結果生じる損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進するための組成物及び方法であって、その必要がある対象に、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される賦形剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含む組成物及び方法を提供する。

Description

本出願は、優先権が、2010年3月24日出願の米国特許仮出願第61/316,932号に由来するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、全般には、温血動物(哺乳動物、特にヒトなど)における皮膚創傷の治療及び/又は予防のための医薬組成物の投与により得られる有益な効果に関する。
α,β-不飽和アリールスルホン化合物は、放射線療法にかけられる癌細胞の細胞周期分布パターンを改変するために開発された小分子キナーゼ調節化合物(small molecule kinase regulatory compound)であり、放射線防護試験に使える可能性のある候補として同定されている。これらの化合物は、米国特許第6,656,973号及び同第6,667,346号に記載されており、同文献は、参照によりその全体が本明細書中に具体的に組み込まれる。
一定のα,β-不飽和アリールスルホン化合物、及び、これらの化合物の懸濁液及び/又は水性組成物に関連する特定の製剤も、これまでに、PCT出願WO2007/016201及びPCT出願WO2008/105808に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書中に具体的に組み込まれる。
α,β-不飽和アリールスルホン、とりわけα,β不飽和ベンジルスチリルスルホンは、動物において、放射線により生じる損傷から正常細胞を有意及び選択的に全身性に保護することが実証されている。α,β-不飽和アリールスルホン化合物は、放射線からの、DNA、骨髄、幹細胞、胃腸の腺窩細胞の保護、及び血球減少症の改善を呈することも実証されている。この系統の化合物は、増殖性細胞、例えば腫瘍細胞の殺傷においては抗増殖活性及び選択性を有するが正常細胞では有さないことも示されている。
α,β-不飽和アリールスルホン化合物によりもたらされる放射線防護は、アポトーシス促進性タンパク質、例えばp53、並びにその下流調節因子であるp21、Bax、c-Abl及びp73の調節レベルを通して達成されるが、このことは、こうした化合物が電離放射線誘導性のp53依存性アポトーシスから細胞を救出できると考えられることを示唆している。Sanchita P. Ghoshら、Radiation Protection by a New Chemical Entity、Ex-Rad: Efficacy and Mechanisms、Radiation Research、171、000〜000頁、(2009)。
アポトーシスは、多くの生理的過程についてこれまでに記載されているが、ごく最近治験中の一分野は、皮膚創傷治癒である。アポトーシスは、正常な創傷治癒、特に、炎症細胞の除去及び瘢痕形成において不可欠である。細胞集団は、組織の再構成中に急速に増殖するので、細胞の成長は、アポトーシスによりバランスが保たれる。創傷治癒の次の段階を開始するためには、例えば、炎症細胞を除去しなければならない。そうでないと、持続性の炎症が非治癒性創傷に繋がりかねない。同様に、肉芽組織は、瘢痕に発展させるため、細胞性充実性を低下させなければならない。最近の研究により、創傷治癒過程におけるアポトーシスの重要な役割のいくつかが解明されている。
創傷の調整及び回復におけるアポトーシス促進性タンパク質P21の役割は、これまでにMichelle Oliveら、「p21 modulats arterial wound repair」、収録先:J Clin Invest.、118(6)、2050〜2061頁、2008により実証されている。p21は、傷害に応答した血管増殖の鍵となるメディエーターであること、また、p21は、動脈創傷の回復を調整し、その活性は、局所的な血管細胞における動脈の傷害後の細胞増殖及び炎症の調節にとって必須であることが実証されている。
米国特許第6,486,210号にはα,β-不飽和アリールスルホン化合物が開示されており、この化合物は、標的受容体チロシンキナーゼ、例えばマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK、Mitogen Activated Protein Kinase)と結合することによるアポトーシス活性及び抗癌化学療法薬活性[これらの活性の結果、キナーゼカスケード(例えば、Ras/Raf/MEK/ERKキナーゼカスケード)が調節される]が実証されている。最も理解されているMAPK経路には、Ras/Raf/MEK/ERKキナーゼカスケードを構成する細胞外シグナル調節キナーゼが関与している(Boudewijnら、Trends Biochem. Sci.、20、18頁、(1995))。異なる刺激によりいったんこの経路が活性化されると、MAPKは、核中に移動して遺伝子転写を活性化するいくつかの転写因子を含めさまざまなタンパク質をリン酸化する。この経路の負の調節により、こうした事象のカスケードを止めることができると考えられる。
MAPKは造血性の前駆細胞の増殖及び制御において決定的に重要な役割を有することが示されている。Masayuki Towatariら、The Journal of Biological Chemistry、270、4101〜4107頁、(1995)。MAPKが、成人幹細胞の骨分化(osteogenic differentiation)の活性化に関与していることも示されており、このことから、細胞が造骨系列になるか脂肪生成系列になるかは、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼの構成要素の活性化又は阻害により支配されることが示唆される。Rama K. Jaiswalら、The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.、第275巻、第13号、9645〜9652頁、(2000)。
幹細胞(造血性幹細胞など)は、体内におけるいくつかの異なる過程において非常に重要な役割を有する。例えば、白血球造血細胞は、疾患に対する生体防御の維持において重要であり、単球、マクロファージ及びリンパ球は、感染症及び腫瘍への身体応答の強化に関与しており、顆粒球は、感染、寄生生物及び腫瘍の克服に関与している。別の造血細胞である血小板は、互いに且つ損傷表面に付着することにより、また、フィブリン塊の形成を補助する因子を放出することにより、血栓形成を開始することを通じて、止血機序における重要な要素を形成する。赤血球は、主に、酸素の輸送に関与する。
幹細胞及び/又は前駆細胞の補充は、炎症及び創傷治癒に関するさまざまな用途において重要である。血管形成(これには、内皮前駆細胞由来の血管の成長が関与している)は、そのような過程の例である。血管形成、それに加え、現存している毛細管から新しい血管が形成される過程である血管新生、及びこれらの過程を調節する因子は、炎症及び創傷治癒において重要であり、腫瘍成長、糖尿病性網膜症、関節リウマチ及び慢性炎症性疾患などの病態の一因でもある(例えば、米国特許第5,318,957号;Yancopoulosら、Cell、93、661〜4頁、(1998);Folkmanら、Cell、87、1153〜5頁、(1996);及びHanahanら、Cell、86、353〜64頁、(1996)を参照のこと)。
血管新生及び血管形成の両方に、内皮細胞の増殖が関与している。内皮細胞は血管壁を裏打ちし、毛細管は、ほぼ全てが内皮細胞で構成される。血管新生過程には、内皮細胞増殖の増加が関与しているだけでなく、追加的な事象、例えば、内皮細胞によるプロテアーゼ分泌、基底膜の分解、周囲マトリックスを越えた遊走、増殖、整列、管様構造への分化、及び新しい基底膜の合成などのカスケードも含む。血管形成には、間葉細胞の、血管芽細胞への補充及び分化が関与しており、血管芽細胞は、次いで内皮細胞に分化し、次いで、新規の血管を形成する(例えば、Folkmanら、Cell、87、1153〜5頁、(1996)を参照のこと)。
米国特許第6,656,973号 米国特許第6,667,346号 WO2007/016201 WO2008/105808 米国特許第6,486,210号 米国特許第5,318,957号
Sanchita P. Ghoshら、Radiation Protection by a New Chemical Entity、Ex-Rad: Efficacy and Mechanisms、Radiation Research、171、000〜000頁、(2009) Michelle Oliveら、「p21 modulats arterial wound repair」、J Clin Invest.、118(6)、2050〜2061頁、2008 Boudewijnら、Trends Biochem. Sci.、20、18頁、(1995) Masayuki Towatariら、The Journal of Biological Chemistry、270、4101〜4107頁、(1995) Rama K. Jaiswalら、The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.、第275巻、第13号、9645〜9652頁、(2000) Yancopoulosら、Cell、93、661〜4頁、(1998) Folkmanら、Cell、87、1153〜5頁、(1996) Hanahanら、Cell、86、353〜64頁、(1996) 「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、ACS Symposium Series、(T Higuchi及びW Stella) 「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987、(E B Roche編)、American Pharmaceutical Association 「Design of Prodrugs」、H Bundgaard著、(Elsevier、1985) 「Remington's Pharmaceutical Sciences」、E.W. Martin著 Bremら、J. Neurosurg.、74、441〜446頁、(1991) Sefton、Biomed. Eng.、14、201頁、(1987) Langer及びPeppas、J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem.、23、61頁、(1983) Levyら、Science、228、190頁、(1985) Langer、Science、249、1527〜1533頁、(1990) Handbook of Pharmaceutical Excipients Guide for the Care and Use of Laboratory Animals、(National Academy Press、Washington, D.C.、1996)
対象による忍容性は高いが、幹細胞及び/又は前駆細胞補充の刺激を生じさせて炎症を治療し創傷治癒に影響を及ぼす点で、高い効力を有する治療プロトコールに、強い関心がもたれている。本発明の方法及び組成物は、下記の発明を用いて、長年にわたるさまざまな必要性を満足させる。
本明細書において開示する本発明は、創傷の結果生じる損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進するための方法及び組成物であって、その必要がある対象に、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される賦形剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進しながら、該組織の元の組成を保持し、合併症及び瘢痕化を最小限にする方法及び組成物を提供する。
一実施形態では、対象への投与は、創傷のインシデントの前に、創傷の形成若しくはインシデントと同時に、又は創傷の形成後、又はそれらの組合せで実施される。好ましい一実施形態では、対象への投与は、創傷のインシデントの前に実施される。
別の実施形態では、対象への投与は、創傷のインシデントの約4時間前、及び/又は創傷のインシデントの約24時間前に、実施される。
一実施形態では、本発明の組成物は、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物、例えばON 01210.Naなどを含む。別の実施形態では、ON 01210.Naは、約20mg/ml〜約100mg/mlの間のON 01210.Naと、約25%w/vから約90%w/vの間の量の、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリグリセロール、DMA、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、ソルビトール及びイソプロピルアルコール又はこれらの組合せを非限定例として包含する水溶性ポリマーを含む共溶媒とを含む水溶液組成物の形態で製剤化され、このとき、該組成物のpHは、約7.0〜約9.5の範囲内である。
本組成物は、非経口経路、局所経路、経口経路又はそれらの組合せを非限定例として包含するいくつかの経路を通して投与される。
別の態様では、本発明は、創傷又は損傷組織に伴う炎症の重症度を低下させることにより疼痛を制御又は緩和する方法であって、その必要がある対象に、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物又はその官能性誘導体を含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含み、該組成物で治療された該対象が、対照である非治療対象と比較して治癒過程の加速を示す方法を提供する。
一実施形態では、創傷のインシデントから3日後に測定したとき、治癒過程は、本発明の組成物で治療された対象において、対照である非治療対象に対し少なくとも4倍速い。
別の態様では、本発明は、哺乳動物において組織破壊又は機能不全に関連する障害の症状、及び創傷に伴う疼痛又は症状を軽減又は改善する方法であって、その必要がある対象に、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物又はその官能性誘導体を1種又は複数の抗炎症性化合物及び薬学的に許容される担体又は希釈剤との組合せで含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、炎症経路のうち1つ又は複数の構成要素を阻害し、前記症状の重症度が該哺乳動物において低下される方法を提供する。
一実施形態では、創傷は、切創、裂創、穿通創、穿孔創、穿刺創、開放創若しくは皮下創傷又はそれらの組合せである。
別の実施形態では、創傷は、疾患若しくは障害、外科手術、事故又はそれらの組合せの結果である。
また別の実施形態では、創傷は、外傷、内傷又はそれらの組合せである。
本発明の好ましい他の実施形態は、当技術分野で公知のものに照らせば、本発明の以下の図面及び記載に照らせば、また特許請求の範囲に照らせば、当業者には明らかとなろう。
ON 01210.Naを含有する組成物で予め処置した対象における創傷治癒の有意な向上を例証するグラフである。創傷閉鎖率(%)を、3つの対象群、すなわち、創傷受傷の24時間前にON 01210.Naで予め処置した対象、創傷受傷の4時間前にON 01210.Naで予め処置した対象、及び、プラセボで予め処置した対象(陰性対照)について示してある。
定義:
本明細書において使用する場合、用語「サイトカイン」は、別の細胞に対し細胞間メディエーターとして作用する一細胞集団により放出されるタンパク質についての一般的な用語である。そのようなサイトカインの例は、腫瘍壊死因子(TNFα又はβ);コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-2、IL-8、IL-12又はIL-18;及び他のポリペプチド因子、例えば、白血病阻害因子(LIF)及びキットリガンド(KL)である。本明細書において使用する場合、サイトカインという用語は、天然源由来のタンパク質、又は、天然配列サイトカインの組換え細胞培養物及び生物活性のある等価物由来のタンパク質を包含する。
本明細書において使用する場合、「約」は、明記された数値を10%上回り又は10%下回る範囲内である数値を指す。
本明細書において使用する場合、数的範囲は、その全ての整数量を包含する。本明細書においては、任意の特定の範囲の記述により、記述された範囲は、記述された範囲の間の特定の当該整数量全ても包含することが意図される。例えば、約75%から100%の範囲において、各特定の範囲をそれと共に実際に記述しなくても、76%〜99%、77%〜98%などの数値が含まれる。
本明細書において使用する場合、「治療」は、一般には、全ての臨床適用、例えば、創傷、並びに創傷に伴う疾患及び障害の症状の診断、予防、治療及び改善を包含するように使用される。
本明細書において使用する場合、「α,β不飽和アリールスルホン」は、1つ又は複数のα,β不飽和アリールスルホン基を含有する化学化合物を意味し、このとき、アリールは置換されていても置換されていなくてもよく、α炭素及びβ炭素と結び付いている水素原子は、他の化学基により場合により置き換えられている。
本明細書において使用する場合、「置換されている」は、原子又は原子群が、水素に置き換わって、環原子と結び付いている置換基となっていることを意味する。環系における置換度は、一置換、二置換、三置換又はそれを超える置換であってもよい。
本明細書において使用する場合、単独で、又は他の用語と組み合わせて用いられる「アリール」は、特に明記しない限り、1つ又は複数の環(典型的には、1つ、2つ又は3つの環)を含有する炭素環式芳香族系を意味し、このとき、当該環は、ペンダント様式で互いに結び付いていてもよく、又は、縮合していてもよい。例としては、フェニル、アントラシル、及びナフチル、とりわけ、1-ナフチル及び2-ナフチルが挙げられる。先に挙げたアリール部分のリストは、代表的なものであって限定的なものではないことを意図している。用語「アリール」は、6員を有する環系に限定されないことは理解される。
本明細書において使用する場合、「ヘテロアリール」は、単独で、又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、炭素原子とN、O及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子とからなる、置換されていない又は置換されている安定な単環式又は多環式の複素環式芳香環系を意味し、このとき、窒素及びイオウのヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素原子は場合により四級化されていてもよい。この複素環系は、特に明記しない限り、安定構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子の位置で結び付いていてもよい。
そのようなヘテロアリールの例としては、以下が挙げられる:ベンズイミダゾリル、とりわけ2-ベンズイミダゾリル;ベンゾフリル、とりわけ3-、4-、5-、6-及び7-ベンゾフリル;2-ベンゾチアゾリル及び5-ベンゾチアゾリル;ベンゾチエニル、とりわけ3-、4-、5-、6-,及び7-ベンゾチエニル;4-(2-ベンジルオキサゾリル);フリル、とりわけ2-及び3-フリル;イソキノリル、とりわけ1-及び5-イソキノリル;イソキサゾリル、とりわけ3-、4-及び5-イソキサゾリル;イミダゾリル、とりわけ2-、-4及び5-イミダゾリル;インドリル、とりわけ3-、4-、5-、6-及び7-インドリル;オキサゾリル、とりわけ2-、4-及び5-オキサゾリル;プリニル;ピロリル、とりわけ2-ピロリル、3-ピロリル;ピラゾリル、とりわけ3-及び5-ピラゾリル;ピラジニル、とりわけ2-ピラジニル;ピリダジニル、とりわけ3-及び4-ピリダジニル;ピリジル、とりわけ2-、3-及び4-ピリジル;ピリミジニル、とりわけ2-及び4-ピリミジニル;キノキサリニル、とりわけ2-及び5-キノキサリニル;キノリニル、とりわけ2-及び3-キノリニル;5-テトラゾリル;2-チアゾリル、とりわけ2-チアゾリル、4-チアゾリル及び5-チアゾリル;チエニル、とりわけ2-及び3-チエニル;並びに3-(1,2,4-トリアゾリル)。先に挙げたヘテロアリール部分のリストは、代表的なものであって限定的なものではないことを意図している。
本明細書において使用する場合、「スチリルスルホン」又は「スチリルスルホン化合物」又は「スチリルスルホン治療薬」は、1つ又は複数のそのようなスチリルスルホン基を含有する化学化合物を指す。
本明細書において使用する場合、「ジメチルアミノ(C2〜C6アルコキシ)」は、(CH3)2N(CH2)nO-(式中、nは2〜6である)を指す。好ましくは、nは2又は3である。最も好ましくは、nは2である、すなわち、この基は、ジメチルアミノエトキシ基、すなわち、(CH3)2NCH2CH20-である。
本明細書において使用する場合、「ホスホナト」は、-PO(OH)2基を指す。
本明細書において使用する場合、「スルファミル」は、-SO2NH2基を指す。
本明細書において使用する場合、「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する。
本明細書において使用する場合、「ホスフェート」及び「ホスホネート」及び「ホスホナト」は、以下の構造を有する部分を指す。
本明細書において使用する場合、「アリール」、「芳香族基」又は「芳香環」は、置換されている又は置換されていない単環式の芳香族基(例えば、フェニル、ピリジル、ピラゾリルなど)及び多環式の環系(ナフチル、キノリニルなど)を企図する。多環式の環は、2個の原子が、2つの隣接している環に共通である2つ以上の環を有していてもよく(これらの環は「縮合して」いる)、このとき、これらの環のうち少なくとも1つは芳香族、例えばであり、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、複素環及び/又はヘテロアリールであってもよい。アリール基は、以下から選択される1つ又は複数の置換基:ハロ、アルキル、CN、NO2、CO2R、C(O)R、-O-R、-N(R')(R")、-N(R)C(O)R、-N(R)SO2R、-SR、-C(O)N(R')(R")、-OC(O)R、-OC(O)N(R')(R")、SO2、-SOR、-SO3R、-SO2N(R')(R")、ホスフェート、ホスホネート、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アリール、並びに置換及び非置換複素環基で場合により置換されていてもよく、このとき、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール及び置換複素環基は、ハロ、CN、CF3、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、NO2及びORのうち1つ又は複数で置換されていてもよい。
前述の定義に関して、各Rは、以下から独立に選択される:H、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換アルキニル、置換及び非置換アラルキル、置換及び非置換アリール、並びに置換及び非置換複素環基。各R'及びR"は、H、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換アルキニル、置換及び非置換アラルキル、置換及び非置換アリール、並びに置換及び非置換複素環基から独立に選択されるか;又は、R'及びR"は、自身が結び付いている窒素と一緒になって5〜7員環を形成してもよく、この環は、さらなるヘテロ原子を場合により含有してもよい。置換アルキル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アラルキル、置換アリール並びに置換複素環基は、ハロ、CN、CF3、OH、CO2H、NO2、C1〜6アルキル、-O-(C1〜6アルキル)、-NH2、-NH(C1〜6アルキル)及び-N(C1〜6アルキル)2のうち1つ又は複数で置換されていてもよい。
本明細書において使用する場合、「ヘテロ原子」は、とりわけ環ヘテロ原子として、N、O及びSを指す。
本明細書の文脈において、用語「創傷」は、組織構造の正常な完全性の崩壊を伴う身体的な傷害を表す。この用語は、また、用語「ただれ」、「病変」、「壊死」及び「潰瘍」を包含することも意図している。通常、用語「ただれ」は、皮膚又は粘膜のほぼ全ての病変についての一般的な用語であり、用語「潰瘍」は、壊死組織の脱落により生じる、器官又は組織の表面の局所的な欠損又はくぼみである。病変は、一般に、任意の組織欠損に関する。壊死は、感染症、傷害、炎症又は梗塞の結果生じる死滅組織に関する。
多くの場合、用語「創傷」及び「潰瘍」、並びに「創傷」及び「ただれ」の使用の間にはある程度の重複が存在し、さらに、こうした用語は、多くの場合、無作為に使用される。したがって、前述のように、本明細書の文脈において、用語「創傷」は、用語「潰瘍」、「病変」、「ただれ」及び「梗塞」を包含し、こうした用語は、特に指示しない限り、無差別に使用される。
本明細書の文脈において使用される「創傷」は、任意の創傷(創傷の分類については以下を参照)、及び、治癒過程における任意の特定の段階(何らかの治癒が開始される前の段階を包含する)のものを表す。
本発明は、創傷、及び炎症に伴う組織損傷の予防及び/又は治療に関する。本発明は、とりわけ、創傷に伴う局在性及び全身性の炎症の治療、並びに、創傷に伴う及び/又は創傷の結果生じるさまざまな疾患の治療のための治療方法に向けたものである。
一般的な実施形態において、本発明は、創傷の結果生じる損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進するための方法であって、その必要がある対象に、α,β不飽和ベンジルスチリルスルホン又はその官能性誘導体と薬学的に許容される賦形剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
何らかの特定の作用機序に拘束されるものではないが、本発明の組成物についての1つの考えうる機序は、創傷又は損傷部位への、幹細胞及び/又は前駆細胞の動員、その輸送の強化、及び/又は補充である。
また、何らかの特定の作用機序に拘束されるものではないが、本発明の組成物についての1つの他の考えうる作用機序は、サイトカイン(例えば、IL-1、IL-2、IL-6、IL-8、IL-12、IL-18、TNFα又はβ)、一酸化窒素、反応性酸素中間体(ROI、reactive oxygen intermediate)、ロイコトリエン及び/又はプロスタグランジン、又は、炎症シグナル伝達経路などに関与する公知の生体分子のうち任意の1つ若しくは複数を含む炎症性分子の発現及び合成の調節(抑制及び/又は刺激)を経由するものである。
抗サイトカイン剤又は抗炎症剤、例えば、α,β不飽和ベンジルスチリルスルホン及びその官能性誘導体は、損傷部位へ幹細胞及び/又は前駆細胞を動員し、その輸送を強化し、及び/又は補充できることから、これらの化合物は、浮腫及び炎症応答を阻害し、それにより、炎症が疾患過程の一因となる疾患を治療又は予防する能力を有する。
したがって、一実施形態では、本発明は、創傷の結果生じる損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進する方法であって、その必要がある対象に、α,β不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される賦形剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、サイトカイン、又は、炎症シグナル伝達経路の活性化に関与する公知の生体分子のうち任意の1つ若しくは複数の合成を抑制することで炎症若しくは免疫応答低下又はそれらの組合せの遮断に至る方法を提供する。
本発明の方法及び組成物を用いて治療される創傷は、急性及び/又は慢性の創傷であってもよい。急性創傷は、速やかに、30日(又は糖尿病においては60日)以内に治癒するような創傷である。慢性創傷としては、圧迫瘡、手術創、脊髄損傷創傷、熱傷、化学物質により生じる創傷(chemical-induced wound)、及び血管障害による創傷が挙げられるが、これらに限定されない。本発明により予防及び/又は治療できる創傷の例は、例えば、非感染創、挫創、切創、擦過傷、裂離創、挫滅創、切り傷、発射物による創傷(projectile wound)、穿刺創、裂創、非穿通創(すなわち、皮膚の崩壊はないが、内在する構造に達する傷害はある創傷)、開放創、穿通創、穿孔創、感染創、皮下創傷などである。ただれの例は、床ずれ、口内びらん、糖尿病性の皮膚傷、クロム性びらん(chrome sore)、単純疱疹、圧迫瘡などである。潰瘍の例は、例えば、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、痛風潰瘍、糖尿病性潰瘍、高血圧性の虚血性潰瘍、うっ血性潰瘍、下腿潰瘍(静脈性潰瘍)、舌下潰瘍、粘膜下潰瘍、症候性潰瘍、栄養障害性潰瘍、熱帯性潰瘍、性病性潰瘍、中でも、例えば淋病(尿道炎、子宮頚管内膜炎及び直腸炎など)が原因で生じるものである。
本発明により治療されるべき創傷の種類としては、非限定例として以下が挙げられる:i)一般的な創傷、例えば、手術性、外傷性、脊髄傷害性の創傷及び血管障害による創傷、感染性、虚血性、熱性、化学性及び水疱性の創傷など、ii)口腔に特定の創傷、例えば、抜歯後創傷、歯内創傷、特に、嚢胞及び膿瘍、潰瘍、及び、細菌性、ウイルス性又は自己免疫性の起源の病変、機械性、化学性、熱性、感染性及び苔癬状の創傷の治療に関連するもの(ヘルペス潰瘍、アフタ性口内炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎及び口腔灼熱症候群が具体例である)など、並びにiii)皮膚上の創傷、例えば、新生物、熱傷(例えば、化学熱傷、温熱熱傷)、病変(細菌性、ウイルス性、自己免疫性のもの)、咬み傷及び外科的切開など。創傷を分類する別の方式は、以下のとおりである:i)外科的切開による小組織喪失、軽症の擦過傷及び軽症の咬み傷、又はii)著しい組織喪失。後者の群には、虚血性潰瘍、圧迫瘡、瘻孔、挫創、重症の咬み傷、温熱熱傷(thermal burn)及びドナー側創傷(donor site wound)(軟組織及び硬組織中のもの)及び梗塞が含まれる。
創傷治癒及び瘢痕形成
前記のリストから明らかなように、創傷は、多くの原因で起きる可能性がある。外科医により作られる切開創、鈍い力がかかった結果としての外傷、又は、さまざまな疾患が原因で生じる組織死がいくつかの例であるが、全ての創傷は、その性質に関わらず、同様の創傷治癒過程を経る。創傷治癒は、3つの別々の段階において起きる。第1段階は、外傷部位での炎症を特徴とする炎症段階である。この段階は、治癒にとって決定的に重要であり、広範な細胞遊走が関与している。創傷治癒の第2段階は、上皮化、血管新生、肉芽組織形成及びコラーゲン沈着を特徴とする増殖段階である。新しい毛細血管形成が関わっている血管新生は、栄養分を送達し肉芽形成を維持するために使用される。創傷中への新しい毛細管が形成されないと、必要な栄養分が創傷に到達できず、その結果、慢性的な非治癒性創傷となる。創傷治癒の最終段階は、線維芽細胞がコラーゲンに分化する成熟段階である。結合組織マトリックス及びコラーゲンが沈着すると収縮が生じ、それにより、結果として瘢痕組織となる。瘢痕形成は、創傷治癒にそれ自体が決定的に重要であるものの、残念ながら、過剰な瘢痕形成は、余分な美容上及び/又は病理上の結果を招く場合がある。本発明の組成物は、創傷の1つ又は複数の別々の段階において有効である。
一実施形態では、本発明の組成物及び方法は、あらゆる形態の創傷において必要な正しい治癒順序を始動させ、ひいては、創傷により典型的に引き起こされる破壊的な生化学反応を防止する。
瘢痕形成は、全ての組織において起きるものであり、瘢痕形成の有害作用としては、例えば以下が挙げられるが、これらに限定されない:皮膚においてはケロイド、肥圧性瘢痕、熱傷拘縮及び強皮症;消化管においては狭窄症、癒着及び慢性膵炎;肝臓においては肝硬変及び胆道閉鎖症;肺においては間質性線維症及び気管支肺異形成症;心臓においてはリウマチ性疾患及び心室瘤;眼においては水晶体後方線維増殖症及び糖尿病性網膜症;神経においては伝達損失(transmission loss);骨においては強直症及び変形性関節炎、並びに、腎臓においては糸球体腎炎、など。実際に、創傷が最小限の瘢痕形成を伴って治癒することができれば、患者及び内科又は外科診療に対して大きな効果があると考えられる。
一実施形態では、本発明の組成物は、熱傷に対して有効である。本発明の組成物及び方法で予防及び/又は治療できる熱傷には、以下などの多様なタイプがある:温熱誘発熱傷(thermally induced burn)、制御された温熱誘発熱傷(thermally induced controlled burn)、化学熱傷、放射線熱傷、電気熱傷、氷による熱傷、又は、電光への曝露が原因で生じる熱傷。第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷若しくは第4度熱傷又はその任意の組合せであるものを包含する多様な熱傷度がある。
炎症を予防及び/又は治療及び/又は改善することにより、患者の転帰の決定因子になることが多い複雑な化学変化を阻害することが可能である。本発明の組成物は、これらの化学変化を短縮し、これにより、体を、より重症の創傷ではなく、より軽い外傷(軽症の創傷又は切り傷など)の受傷後に反応するような形で反応させる。軽症の切り傷又は創傷の後、体は、創傷を血小板でふさぎ始め、こうして治癒段階が開始できる。これは、傷害受傷領域の回復を促進する正常な応答である。
別の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、創傷治癒を促進することにより、微生物が創傷部位に侵入することを直接又は間接的に予防する。したがって、患者の症状も比較的軽くなると考えられるが、その理由は、患者が、典型的な創傷に一般に伴う多様な感染症に罹患しないままだからである。したがって、本組成物は、創傷を受傷しても、より重症度の高いものへ進行しないようにする。本発明の組成物及び方法の使用は、大部分の創傷において微生物の繁殖場所である組織損傷を予防、治療及び/又は改善する。感染サイクルを妨げることができれば、疾患過程を停止できる。感染率が低下することは、言い換えれば、創傷の通常の結果である疾患、障害及び変形の重症度が低下することである。グラム陽性菌感染症及びグラム陰性菌感染症は、通常は、創傷受傷後に発症する。こうした病態生理学的な段階の破壊的な結果は、早期のMOD(多臓器不全、Multiple Organ Dysfunction)に関連する。血漿漏出の領域を遮断できれば、微生物の移動を防止できる。
一実施形態では、本発明の組成物は、炎症を限定することにより、好中球の蓄積と、好中球による酸素フリーラジカル及び多様なプロテアーゼの放出とを防止し、それによりさらなる組織損傷を食い止める。
別の実施形態では、本発明の組成物を使用して、多数の創傷の随伴疾患応答(ADR、Associated Disease Response)を直接又は間接的に予防及び/又は治療する。典型的なADRのリストには以下が含まれるが、これらに限定されない:コンパートメント症候群、アシドーシス、急性腎不全、急性尿細管壊死、蜂巣炎、二次性てんかん、拘縮、末端器官の灌流低下、内毒素血症、外毒素血症(exotoxemia)、壊疽、院内肺炎(熱傷/煙吸入傷害患者の50%がこのタイプを発症する)、ARDS(急性呼吸促迫症候群、acute respiratory distress syndrome)、人工呼吸器関連肺炎、敗血症、敗血症性ショック、血栓塞栓性合併症、及び、炎症要素を有するような他の創傷に伴う疾患、例えば非限定的には、貧血症、癌、うっ血性心不全、末端器官の灌流低下、皮膚筋炎(DM、dermatomyositis)、皮膚炎、肺胞タンパク症肺炎(alveolar proteinosis pneumonia)、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(BOOP、bronchiolitis obliterans organizing pneumonia)、慢性吸引によるリポイド肺炎(chronic aspiration lipoid pneumonia)、市中肺炎(CAP、community acquired pneumonia)、コロナウイルス肺炎、クリプトコッカス性肺炎、クラミジア肺炎、剥離性間質性肺炎、好酸球性肺炎、ヘモフィルス・インフルエンザ菌肺炎、ヘモフィルス・パラインフルエンザ菌肺炎(haemophilus parainfluenzae pneumonia)、突発性肺炎、インフルエンザ関連肺炎、突発性間質性肺炎、クレブシエラ菌肺炎、マイコプラズマ肺炎、非特異性間質性肺炎[皮膚筋炎(DM)を伴う]、パスツレラ・マルトシダ菌肺炎(pasteurella multocida pneumonia)、ニューモシスチス・カリニ肺炎(PCP、Pneumocystis carinii-pneumonia)、緑膿菌(pseudomonas aeruginosa)肺炎、呼吸器合胞体ウイルス感染症、ブドウ球菌性壊死性肺炎、結核性肺炎、通常型間質性肺炎(UIP、usual interstitial pneumonitis)、水痘帯状疱疹ウイルス肺炎、中毒性ショック症候群及び中毒性表皮壊死症(TEN、toxic epidermal necrosis)。
本発明により首尾よく治療又は予防できる、創傷又はただれに関連する他の状態は、例であり限定するものではないが、炭疽傷、破傷風、ガス壊疽、猩紅熱、丹毒、鬚毛瘡、毛包炎、伝染性膿痂疹又は水疱性膿痂疹などである。
別の実施形態では、α,β不飽和ベンジルスチリルスルホン及びその官能性誘導体を含む本発明の組成物及び方法は、創傷若しくは損傷組織に伴う疼痛の治療、及び/又は創傷若しくは損傷組織に付随することの多い疾患若しくは障害の予防に有用であり、このとき、前記疾患又は障害は、以下からなる群から選択される:心筋虚血、組織及び筋肉関連の虚血、末端関連の虚血、脳卒中、敗血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS、amyotrophic lateral sclerosis)、てんかん、最初の組織損傷後の脳卒中の継続、原発性脳腫瘍及び二次性脳腫瘍に続発する機能脳損傷、髄膜炎若しくは脳膿瘍に続発する局所脳損傷、ウイルス性髄膜炎、ウイルス性脳炎、及び/又は、外傷に続発する局所脳損傷、臓器若しくは組織の移植、移植により引き起こされる移植片対宿主病、自己免疫症候群、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、若年発症性の又は最近発症した糖尿病、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、感染後の自己免疫疾患、例えば、リウマチ熱及び感染後糸球体腎炎、炎症性及び過剰増殖性の皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管性浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症(cutaneous eosinophilia)、エリテマトーデス、ざ瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季結膜炎、ベーチェット病に伴うブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、角膜上皮ジストロフィー(dystrophia epithelialis corneae)、眼天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田症候群、類肉腫症、胃潰瘍、虚血性疾患及び血栓症が原因で生じる血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性全腸炎、温熱熱傷に伴う腸の病変、セリアック(Celrac)病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性***症候群、糖尿病性腎症、筋炎、ギラン・バレー症候群、多発性神経炎、単発神経炎、神経根障害、骨粗鬆症、類肉腫症、肺線維症、突発性間質性肺炎、皮膚筋炎、光アレルギー性過敏症、皮膚T細胞リンパ腫、アテローム性硬化症、大
動脈炎症候群、結節性多発動脈炎、心筋症、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、好酸球性筋膜炎、歯肉病変、器官の虚血-再灌流傷害、内毒素ショック、偽膜性大腸炎、薬物又は放射線が原因で生じる大腸炎、虚血性の急性腎機能不全、慢性腎機能不全、肺癌、肺気腫、多形紅斑性皮膚炎、線状IgA水疱性皮膚炎(linear IgA ballous dermatitis)、発癌、上皮性悪性腫瘍の転移、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、肝臓部分切除、急性肝壊死、毒素が原因で生じる壊死、ウイルス性肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、化学療法効果の増強、サイトメガロウイルス感染症、癌、外傷及び慢性細菌感染症。
創傷に伴う局在性及び全身性の炎症を治療するための予防方法及び治療方法において使用できるα,β不飽和ベンジルスチリルスルホン又はその官能性誘導体の代表例としては、例えば、限定するものではないが、単独で、又は、二次的活性のある若しくは不活性な薬物と組み合わせて使用できる以下の化合物のうち1種又は複数を含む医薬組成物が挙げられる(中でも、例えば、抗菌薬、鎮痛薬、抗ウイルス薬及びそれらの任意の組合せ)。
したがって、一態様では、本発明は、創傷又は損傷組織を治療する方法であって、その必要がある対象の創傷又は損傷組織に、α,β-不飽和アリールスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む治療上有効量の組成物を投与することを含む方法を提供する。
一実施形態によれば、α,β不飽和アリールスルホン基は、α炭素及びβ炭素と結び付いている水素原子が、場合により他の化学基により置き換わっており、フェニル環が場合により置換されているスチリルスルホン基である。このα,β不飽和アリールスルホンの創傷治癒化合物は、二重結合が存在する結果であるシス-トランス異性を特徴とする。二重結合の周囲の立体的関係は、「Z」又は「E」と表記される。いずれの立体配置も、「α,β不飽和アリールスルホン」の範囲に包含される。
一実施形態によれば、本α,β不飽和アリールスルホン化合物は、式I:
(式中、nは1又は0であり、
Q1及びQ2は、同じであるか又は異なり、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである)
の化合物である。
好ましくは、式I中のnは1である、すなわち、本化合物は、α,β不飽和ベンジルスルホン、例えばスチリルベンジルスルホンを含む。
式Iによる好ましい一実施形態では、Q1及び/又はQ2は、置換及び非置換ヘテロアリール;例えば、(E)-3-フラネテニル(furanethenyl)-2,4-ジクロロベンジルスルホンから選択される。式Iによる別の好ましい実施形態では、Q1及びQ2は、置換及び非置換フェニルから選択される。
Q1及びQ2が置換及び非置換フェニルから選択される好ましい化合物は、式II:
[式中、
Q1a及びQ2aは、フェニル及び一置換フェニル、二置換フェニル、三置換フェニル、四置換フェニル及び五置換フェニルからなる群から独立に選択され、このとき、置換基は、同じであっても異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ、ホスホナト、アミノ、スルファミル、アセトキシ、ジメチルアミノ(C2〜C6アルコキシ)、C1〜C6トリフルオロアルコキシ及びトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される]
の化合物を含む。
一実施形態では、式IIの化合物は、少なくとも1つの環上で少なくとも二置換されている、すなわち、少なくとも1つの環上の少なくとも2つの置換基は、水素以外である。別の実施形態では、式IIの化合物は、少なくとも1つの環上で少なくとも三置換されている、すなわち、少なくとも1つの環上の少なくとも3つの置換基は、水素以外である。
別の実施形態では、本創傷治癒化合物は、式III:
[式中、R1、R2、R3及びR4は、水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ、ホスホナト、アミノ、スルファミル、アセトキシ、ジメチルアミノ(C2〜C6アルコキシ)、C1〜C6トリフルオロアルコキシ及びトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される]
を有する。
本発明のとりわけ好ましい一実施形態によれば、本創傷治癒化合物は式IIIによるものであり、R1及びR2は、水素、ハロゲン、シアノ及びトリフルオロメチルからなる群から独立に選択され、R3及びR4は、水素及びハロゲンからなる群から独立に選択される。式IIIの1つの下位実施形態によれば、この創傷治癒用のα,β不飽和アリールスルホン化合物は、式IIIa:
(式中、R2及びR4は、水素以外である)の化合物である。
E-立体配置を有する式IIIaによる好ましい化合物としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(E)-4-フルオロスチリル-4-クロロベンジルスルホン、(E)-4-クロロスチリル-4-クロロベンジルスルホン、(E)-2-クロロ-4-フルオロスチリル-4-クロロベンジルスルホン、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン、(E)-4-フルオロスチリル-2,4-ジクロロベンジルスルホン、(E)-4-フルオロスチリル-4-ブロモベンジルスルホン、(E)-4-クロロスチリル-4-ブロモベンジルスルホン、(E)-4-ブロモスチリル-4-クロロベンジルスルホン、(E)-4-フルオロスチリル-4-トリフルオロメチルベンジルスルホン、(E)-4-フルオロスチリル-3,4-ジクロロベンジルスルホン、(E)-4-フルオロスチリル-4-シアノベンジルスルホン、(E)-2,4-ジクロロ-4-クロロベンジルスルホン、(E)-4-フルオロスチリル-4-クロロフェニルスルホン及び(E)-4-クロロスチリル-2,4-ジクロロベンジルスルホン。
別の実施形態によれば、式IIIaの化合物は、Z立体配置を有する(R1及びR3は水素であり、R2及びR4は、4-ハロからなる群から選択される)。そのような化合物としては、例えば、(Z)-4-クロロスチリル-4-クロロベンジルスルホン、(Z)-4-クロロスチリル-4-フルオロベンジルスルホン、(Z)-4-フルオロスチリル-4-クロロベンジルスルホン、(Z)-4-ブロモスチリル-4-クロロベンジルスルホン及び(Z)-4-ブロモスチリル-4-フルオロベンジルスルホンが挙げられる。
式IIIの好ましい化合物は、式IIIB:
(式中、R1及びR3は水素であり、R2はハロゲンであり、R4はカルボキシであり、二重結合の周囲の立体配置はEである)
である。
本発明の別の好ましい実施形態では、R1及びR3は水素であり、R2は塩素であり、R4はカルボキシであり、二重結合の周囲の立体配置はE、例えば(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン(ON1210)である。
別の実施形態によれば、この創傷治癒用のα,β不飽和アリールスルホン化合物は、式IV:
(式中、
R1、R2、R3及びR4は、水素、ハロゲン、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ及びトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される)
の化合物である。
一実施形態では、式IV中のR1は、水素、塩素、フッ素及び臭素からなる群から選択され、R2、R3及びR4は水素である。式IVの好ましい化合物は、(Z)-スチリル-(E)-2-メトキシ-4-エトキシスチリルスルホンである。
また別の実施形態によれば、この創傷治癒用のα,β不飽和アリールスルホン化合物は、式V:
[式中、
Q3、Q4及びQ5は、フェニル、及び、一置換フェニル、二置換フェニル、三置換フェニル、四置換フェニル及び五置換フェニルからなる群から独立に選択され、このとき、置換基は、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、スルファミル、アセトキシ、ジメチルアミノ(C2〜C6アルコキシ)、C1〜C6トリフルオロアルコキシ及びトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される]
の化合物である。
式Vの1つの下位実施形態によれば、この創傷治癒用のα,β不飽和アリールスルホン化合物は、式Va:
(式中、
R1及びR2は、水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、C1〜8アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル及びトリフルオロメチルからなる群から独立に選択され、R3は、非置換フェニル、一置換フェニル及び二置換フェニルからなる群から選択され、フェニル環上の置換基は、ハロゲン及びC1〜8アルキルからなる群から独立に選択される)
の化合物である。
好ましくは、式V中のR1は、フッ素及び臭素からなる群から選択され、R2は水素であり、R3は、2-クロロフェニル、4-クロロフェニル、4-フルオロフェニル及び2-ニトロフェニルからなる群から選択される。
式Vによる別の創傷治癒用スチリルスルホンは、本化合物(式中、R1はフッ素であり、R2は水素であり、R3はフェニルである)、すなわち、化合物2-(フェニルスルホニル)-1-フェニル-3-(4-フルオロフェニル)-2-プロペン-1-オンである。アリール核上の置換基がアルコキシ基である場合、炭素鎖は、分枝状でも直鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。好ましくは、アルコキシ基は、C1〜C6アルコキシ、より好ましくはC1〜C4アルコキシ、最も好ましくはメトキシを含む。
本α,β-不飽和アリールスルホンは、薬学的に許容される塩の形態をとっていてもよい。用語「薬学的に許容される塩」は、アルカリ金属塩を形成するため、及び遊離酸又は遊離塩基の付加塩を形成するために一般に使用される塩を包含する。本製剤において有用な好ましい塩は、ナトリウム塩(ON1210Na)である。
それ自体は薬理活性をほとんど又は全くもたないことがある式(I〜V)の一定の誘導体は、体内又は体の表面に投与すると、例えば、加水分解的切断により、所望の活性を有する式(I〜V)の化合物に変換できる。そのような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、ACS Symposium Series、(T Higuchi及びW Stella)及び「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987、(E B Roche編、American Pharmaceutical Association)において見出すことができる。
一実施形態では、本プロドラッグは、in vivoで形質転換すると式(I〜V)の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩又は溶媒和物が得られる化合物である。この形質転換は、多様な機序により、例えば、血中での加水分解を経て、起きることができる。プロドラッグの使用についての考察は、T.Higuchi及びW.Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S. Symposium Seriesの第14巻により、及び、Bioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association及びPergamon Press、1987において提供されている。
本発明によるプロドラッグは、例えば、「Design of Prodrugs」、H Bundgaard著、(Elsevier、1985)などに記載のとおり、式(I〜V)の化合物中に存在する適切な官能基を「プロ部分(pro-moiety)」として当業者に公知の一定の部分で置き換えることにより作製できる。
さらに、式(I〜V)の一定の化合物は、他の式(I〜V)の化合物のプロドラッグとしてそれ自体が作用してもよい。
式(I〜V)の化合物のプロドラッグは、該化合物の官能基を用いて、例えばアミノ、ヒドロキシ又はカルボキシ基を用いて、従来の様式で形成されたものであってもよい。
例えば、本発明の化合物がアミン官能基を組み込んでいる場合、プロドラッグは、アミン基中の水素原子をR-カルボニル、RO-カルボニル、NRR'-カルボニルなどの基[式中、R及びR'は、それぞれ独立に、(C1〜C10)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、ベンジルであるか、又は、R-カルボニルは、天然のα-アミノアシル若しくは天然のα-アミノアシル-天然のα-アミノアシルである]、-C(OH)C(O)OY'[式中、Y'は、H、(C1〜C6)アルキル又はベンジルである]、-C(OYd)Y1[式中、Ydは(C1〜C4)アルキルであり、Y1は、(C1〜C6)アルキル、カルボキシ(C1〜C6)アルキル、アミノ(C1〜C4)アルキル又はモノ-N-若しくはジ-N,N-(C1〜C6)アルキルアミノアルキルである]、-C(Y2)Y3[式中、Y2はH又はメチルであり、Y3は、モノ-N-若しくはジ-N,N-(C1〜C6)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン-1-イル又はピロリジン-1-イルである]で置き換えることにより形成できる。
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を以下などの基:(C1〜C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1〜C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1〜C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1〜C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1〜C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1〜C6)アルカノイル、α-アミノ(C1〜C4)アルカノイル、アリールアシル及びα-アミノアシル又はα-アミノアシル-α-アミノアシル(このとき、各α-アミノアシル基は、天然に存在するL-アミノ酸から独立に選択される)、P(O)(OH)2、-P(O)(O(C1〜C6)アルキル)2又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基を除去した結果得られる基)で置き換えることにより形成できる。
本発明の化合物がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、酸性基の水素原子を以下などの基:(C1〜C8)アルキル、(C2〜C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル(crotonolactonyl)、γ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1〜C2)アルキルアミノ(C2〜C3)アルキル(例えばβ-ジメチルアミノエチル)、カルバモイル-(C1〜C2)アルキル、N,N-ジ(C1〜C2)アルキルカルバモイル-(C1〜C2)アルキル及びピペリジノ-、ピロリジノ-又はモルホリノ(C2〜C3)アルキルで置き換えることにより形成されるエステルを含むことができる。
さらに、本発明の範囲内には、薬物を投与するとin vivoで形成される化合物である式(I〜V)の化合物の代謝産物が包含される。本発明による代謝産物のいくつかの例としては、以下が挙げられる:(i)式(I〜V)の化合物がメチル基を含有する場合、そのヒドロキシメチル誘導体(-CH3→-CH2OH)、(ii)式(I〜V)の化合物が3級アミノ基を含有する場合、その2級アミノ誘導体(-NR1R2→-NHR1又は-NHR2)、(iii)式(I)の化合物が2級アミノ基を含有する場合、その一次誘導体(primary derivative)(-NHR1→-NH2)、(iv)式(I〜V)の化合物がフェニル部分を含有する場合、そのフェノール誘導体(-Ph→-PhOH)、及び(v)式(I〜V)の化合物がアミド基を含有する場合、そのカルボン酸誘導体(-CONH2→-COOH)。
前述の例による置換え基(replacement group)のさらなる例及び本発明による他のプロドラッグタイプの例は、先に挙げた参考文献中に見出すことができる。
本発明の化合物は、多様な水和形態で存在してもよい。例えば、本発明の化合物は、薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノールなどでの非溶媒和形態並びに溶媒和形態で存在してもよく、本発明は、溶媒和形態及び非溶媒和形態を両方とも包含することが意図される。
本発明の化合物は、多形として公知の特性である、2つ以上の形態で結晶化させる能力を有してもよく、全てのそのような多形形態(「多形体」)は、本発明の範囲内に包含される。
或いは、本発明の化合物は、非晶質状態であってもよい。
多形は、一般に、温度又は圧力又はその両方の変化への応答として起きることがあり、結晶化過程における変化により生じることもある。多形体は、多様な物理的特徴、典型的にはX線回折パターン、溶解性挙動により識別でき、化合物の融点を用いて多形体を識別する。
本発明は、1つ又は複数の原子が、自然界で通常見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられるという事実以外は本明細書において列挙されるものと同一である、本発明の同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物中に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、ヨウ素及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36CIが挙げられる。
本発明の一定の同位体標識化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイ(substrate tissue distribution assay)において有用である。トリチウム化(すなわち3H)及び炭素-14(すなわち14C)同位体は、調製の容易さ及び検出能を有することから、とりわけ好ましい。さらに、より重い同位体、例えば重水素(すなわち2H)で置換すると、より大きな代謝安定性から生じる一定の治療上の利点(例えば、in vivo半減期の長期化又は必要投与量の減少)を得ることができ、したがって、状況によっては好ましいと考えられる。陽電子放射同位体、例えば、15O、13N、11C及び18Fは、基質受容体占有率を調べるための陽電子放射型断層撮影法(PET)試験にとって有用である。本発明の同位体標識化合物は、一般に、同位体標識試薬を非同位体標識試薬に替えることにより、本明細書における下記のスキーム及び/又は実施例において開示するものと同様の以下の手順により調製できる。
1つ又は複数のキラル中心が本発明の化合物中に存在するとき、個々の異性体及びその混合物(例えば、ラセミ化合物、ラセミ混合物、個々のジアステレオマー又はエナンチオマーなど)は、本明細書において示す式により包含されることを意図している。したがって、例えば、本明細書中で開示する例示化合物は、特定の立体異性体として示される。本発明は、そのような化合物、但しキラル中心のうち1つ又は複数において代替立体配置を有するものを包含することは理解されるべきである。
加えて、本発明は、全ての幾何異性体及び位置異性体を包含する。例えば、本発明の化合物が二重結合又は縮合環を組み込んでいる場合、シス型及びトランス型の両方並びに混合物は、本発明の範囲内に包含される。
ジアステレオマー混合物は、当業者に周知の方法により、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により、その物理化学的な差に基づきその個々のジアステレオ異性体に分離できる。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物[例えば、キラル補助基(キラルアルコール又はモーシェル酸クロリド(Mosher's acid chloride)など)]を用いた反応により、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換させ、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体を、対応する純粋なエナンチオマーに変換させること(例えば、加水分解すること)により分離できる。また、本発明の化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、本発明の一部と見なされる。エナンチオマーは、キラルHPLCカラムの使用によっても分離できる。
一定の実施形態では、本発明の化合物は、いくつかの互変異性型で存在してもよい。したがって、本明細書において示される化学構造は、例証化合物の全ての可能な互変異性型を包含する。用語「互変異性体」又は「互変異性型」は、低エネルギーバリアを介して相互交換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても公知である)は、プロトン移動を介した相互変換、例えば、ケト-エノール異性化及びイミン-エナミン異性化を包含する。プロトン互変異性体の具体例は、プロトンが2つの環窒素間で移動できるイミダゾール部分である。原子価互変異性体は、結合電子のいくつかを再組織することによる相互変換を包含する。
使用方法
したがって、その最も単純な態様において、本発明は、α,β-不飽和アリールスルホン化合物、とりわけα,β-不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物の投与により、創傷を治療するための、及び、創傷の結果生じる疾患及び/又は状態の症状を予防又は治療するための方法を提供する。
一態様では、本発明は、創傷又は損傷組織に伴う炎症の重症度を低下させることにより疼痛を制御又は緩和する方法であって、その必要がある対象に、α,β-不飽和アリールスルホン化合物、とりわけα,β-不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
本発明は、また、創傷又は疾患の結果生じる損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進する方法であって、その必要がある対象に、α,β-不飽和アリールスルホン化合物、とりわけα,β-不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される賦形剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進しながら、該組織の元の組成を保持し合併症及び瘢痕化を最小限にする方法に関する。
本発明の一態様では、炎症メディエーターを伴う疾患、及び、創傷又は組織傷害に対する全身性の応答を改善するための方法が提供される。創傷又は組織傷害に付随する最初の炎症及び浮腫には、オキシダント及びアラキドン酸代謝産物が関わっており、これらが、好中球及びマクロファージを始動させて、サイトカイン、例えば、限定するものではないが、腫瘍壊死因子、IL-1、IL-2、IL-8、IL-12、IL-18並びに一酸化窒素を放出させる。創傷及び/又は消化管における病原体由来の内毒素は、炎症を開始及び強化し、結果として、腸を越えて微生物を移動させ、そうでなければ外傷により影響を受けないと考えられる遠位部位で病態を生じさせることができる。敗血性応答は、宿主に由来する過剰な炎症メディエーター、特に、IL-1、IL-2、TNF、IL-8、NO、反応性酸素中間体(ROI)及びその合併症が原因で生じる。これらの合併症又は「随伴疾患応答」(ADR)は、浮腫、炎症、及び微生物叢の移動が原因で生じる。
また別の態様では、本発明は、医学的状態の治療のためのレーザーの使用、及び、多様な美容施術における誘発熱損傷(induced thermal injury)の使用において用いられる制御された治療上の熱誘発皮膚損傷(controlled therapeutic thermal induced skin damage)に伴う有害な炎症応答を予防又は改善する方法であって、その必要がある対象に、α,β-不飽和アリールスルホン化合物、とりわけα,β-不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的な担体又は希釈剤を含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、そのような治療上の制御された温熱誘発皮膚損傷に伴う有害な炎症応答及び/又は有害作用を防止又は改善する方法に関する。
別の態様では、本発明はまた、瘢痕及び入墨除去、癌切除、ポリープの焼灼切除(cautery excision)、潰瘍、褥瘡性潰瘍(床ずれ)の治療、ざ瘡、皮膚真菌感染症において用いられる、制御された温熱誘発皮膚損傷に伴う悪影響を予防又は改善する方法であって、その必要がある対象に、α,β-不飽和アリールスルホン化合物、とりわけα,β-不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される賦形剤を含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含み、前記医薬組成物が、損傷組織の急速な再生を促進しながら、列挙された状態のうち1つ又は複数において、該組織の元の組成を保持し、温熱誘発熱傷に伴う合併症及び瘢痕化を最小限に抑える方法に関する。
また別の態様では、本発明は、日光への過剰曝露に伴う水疱形成又は疼痛を予防又は改善する方法であって、その必要がある対象に、α,β-不飽和アリールスルホン化合物、とりわけα,β-不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
本発明のまた別の態様では、分子内及び分子間の基の反応性に影響を及ぼす大部分の経路において起きる分子内の求核反応を限定するための方法であって、その必要がある患者に、α,β-不飽和アリールスルホン化合物、とりわけα,β-不飽和ベンジルスチリルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。いくつかの酸素基又はROIは、創傷受傷部において不安定であり、本発明の組成物を用いた治療は、これらの酸素フリーラジカル又はオキシダントを阻害することになろう。
本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、他の活性薬物との組合せ療法も、本明細書において具体的に企図される。とりわけ、本発明の組成物は、1種又は複数のマクロライド系又は非マクロライド系抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、及び/又は抗炎症性若しくは免疫調整性の薬物又は薬剤と共に投与してもよい。
本発明の組成物と組み合わせて使用してもよいマクロライド系抗生物質の例としては、とりわけ、以下の合成、半合成又は天然に存在するマクロライド系(macrolidic)抗生物質化合物が挙げられる:メチマイシン、ネオメチマイシン、YC-17、リトリン、エリトロマイシンA〜F、オレアンドマイシン、ロキシトロマイシン、ジリトロマイシン、フルリトロマイシン、クラリトロマイシン、ダベルシン(davercin)、アジトロマイシン、ジョサマイシン、キタサマイシン、スピラマイシン、ミデカマイシン、ロキタマイシン、ミオカマイシン、ランカシジン及びこれらの化合物の誘導体。したがって、エリトロマイシン、及びエリトロマイシンに由来する化合物は、「マクロライド」として公知の一般的な系統の抗生物質に属する。好ましいエリトロマイシン及びエリトロマイシン様の化合物の例としては、エリトロマイシン、クラリトロマイシン、アジトロマイシン及びトロレアンドマイシンが挙げられる。
本発明の方法における使用に適している、前記のマクロライド系抗生物質以外の追加的な抗生物質は、例えば、生物を防止、阻害又は破壊する傾向のある任意の分子を包含し、したがって、また、本明細書において使用する場合、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤及び抗寄生虫剤を包含する。これらの薬剤は、その薬剤を生成する生物から単離するか、又は商業的供給源から入手してもよい。
抗菌性の抗生剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファマイシン、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、糖ペプチド、キノロン、テトラサイクリン、マクロライド、オキサゾリジノン、ストレプトグラミン及びフルオロキノロン。抗生剤の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:リネゾリド(Zyvax)、ダルフォプリスチン(dalfopristine)、キヌプリスチン(quinupristine)、ペニシリンG(CAS登録番号:61-33-6)、メチシリン(CAS登録番号:61-32-5)、ナフシリン(CAS登録番号:147-52-4)、オキサシリン(CAS登録番号:66-79-5)、クロキサシリン(CAS登録番号:61-72-3)、ジクロキサシリン(CAS登録番号:3116-76-5)、アンピシリン(CAS登録番号:69-53-4)、アモキシシリン(CAS登録番号:26787-78-0)、チカルシリン(CAS登録番号:34787-01-4)、カルベニシリン(CAS登録番号:4697-36-3)、メズロシリン(CAS登録番号:51481-65-3)、アズロシリン(CAS登録番号:37091-66-0)、ピペラシリン(CAS登録番号:61477-96-1)、イミペネム(CAS登録番号:74431-23-5)、アズトレオナム(CAS登録番号:78110-38-0)、セファロチン(CAS登録番号:153-61-7)、セファゾリン(CAS登録番号:25953-19-9)、セファクロル(CAS登録番号:70356-03-5)、セファマンドールギ酸ナトリウム(Cefamandole formate sodium)(CAS登録番号:42540-40-9)、セフォキシチン(CAS登録番号:35607-66-0)、セフロキシム(CAS登録番号:55268-75-2)、セフォニシド(CAS登録番号:61270-58-4)、セフメタゾール(CAS登録番号:56796-20-4)、セフォテタン(CAS登録番号:69712-56-7)、セフプロジル(CAS登録番号:92665-29-7)、ロラカルベフ(CAS登録番号:121961-22-6)、セフェタメト(CAS登録番号:65052-63-3)、セフォペラゾン(CAS登録番号:62893-19-0)、セフォタキシム(CAS登録番号:63527-52-6)、セフチゾキシム(CAS登録番号:68401-81-0)、セフトリアキソン(CAS登録番号:73384-59-5)、セフタジジム(CAS登録番号:72558-82-8)、セフェピム(CAS登録番号:88040-23-7)、セフィキシム(CAS登録番号:79350-37-1)、セフポドキシム(CAS登録番号:80210-62-4)、セフスロジン(CAS登録番号:62587-73-9)、フレロキサシン(CAS登録番号:79660-72-3)、ナリジキシン酸(CAS登録番号:389-08-2)、ノルフロキサシン(CAS登録番号:70458-96-7)、シプロフロキサシン(CAS登録番号:85721-33-1)、オフロキサシン(CAS登録番号:82419-36-1)、エノキサシン(CAS登録番号:74011-58-8)、ロメフロキサシン(CAS登録番号:98079-51-7)、シノキサシン(CAS登録番号:28657-80-9)、ドキシサイクリン(CAS登録番号:564-25-0)、ミノサイクリン(CAS登録番号:10118-90-8)、テトラサイクリン(CAS登録番号:60-54-8)、アミカシン(CAS登録番号:37517-28-5)、ゲンタマイシン(CAS登録番号:1403-66-3)、カナマイシン(CAS登録番号:8063-07-8)、ネチルマイシン(CAS登録番号:56391-56-1)、トブラマイシン(CAS登録番号:32986-56-4)、ストレプトマイシン(CAS登録番号:57-92-1)、アジトロマイシン(CAS登録番号:83905-01-5)、クラリトロマイシン(CAS登録番号:81103-11-9)、エリトロマイシン(CAS登録番号:114-07-8)、エリトロマイシンエストレート(CAS登録番号:3521-62-8)、コハク酸エリトロマイシンエチル(CAS登録番号:41342-53-4)、グルコヘプトン酸エリトロマイシン(CAS登録番号:23067-13-2)、ラクトビオン酸エリトロマイシン(CAS登録番号:3847-29-8)、ステアリン酸エリトロマイシン(CAS登録番号:643-22-1)、バンコマイシン(CAS登録番号:1404-90-6)、テイコプラニン(CAS登録番号:61036-64-4)、クロラムフェニコール(CAS登録番号:56-75-7)、クリンダマイシン(CAS登録番号:18323-44-9)、トリメトプリム(CAS登録番号:738-70-5)、スルファメトキサゾール(CAS登録番号:723-46-6)、ニトロフラントイン(CAS登録番号:67-20-9)、リファンピン(CAS登録番号:13292-46-1)、ムピロシン(CAS登録番号:12650-69-0)、メトロニダゾール(CAS登録番号:443-48-1)、セファレキシン(CAS登録番号:15686-71-2)、ロキシトロマイシン(CAS登録番号:80214-83-1)、コアモキシクラブアネート(Co-amoxiclavuanate)、ピペラシリンとタゾバクタムとの組合せ、並びにそれらの多様な塩、酸、塩基及び他の誘導体。
抗真菌剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸テルビナフィン、ニスタチン、アンホテリシンB、グリセオフルビン、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、フルシトシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、クロトリマゾール、安息香酸、サリチル酸、ボリコナゾール、カスポファンギン及び硫化セレン。
抗ウイルス剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ファムシクロビル、ホスカネット、ガンシクロビルナトリウム、イドクスウリジン、リバビリン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル(vangancyclovir)、ペンシクロビル(pencyclovir)、ビダラビン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、インターフェロンα及びエドクスジン。
抗寄生虫剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:ピレトリン(pirethrin)/ピペロニルブトキシド、ペルメトリン、ヨードキノール、メトロニダゾール、クエン酸ジエチルカルバマジン、ピペラジン、パモ酸ピランテル、メベンダゾール、チアベンダゾール、プラジカンテル、アルベンダゾール、プログアニル、グルコン酸キニジン注射、硫酸キニーネ、リン酸クロロキン、塩酸メフロキン、リン酸プリマキン、アトバコン、コトリモキサゾール(スルファメトキサゾール/トリメトプリム)及びイセチオン酸ペンタミジン。
別の態様では、本発明の方法においては、例えば、治療上有効量の1種又は複数の抗炎症性又は免疫調整性の薬物又は薬剤の投与により、本組成物を補ってもよい。「免疫調整性の薬物又は薬剤」とは、例えば、免疫系における細胞、例えば、T細胞、B細胞、マクロファージ若しくは他の抗原提示細胞(APC、antigen presenting cell)の細胞活性を刺激若しくは抑制することにより、又は、同様に免疫系を刺激、抑制若しくは調整する免疫系外の構成要素に対して作用することにより、免疫系に対し直接又は間接的に作用する薬剤、例えば、ホルモン、受容体アゴニスト又はアンタゴニスト及び神経伝達物質などを意味し、免疫調整薬は、例えば、免疫抑制薬又は免疫刺激薬であってもよい。
本発明における使用に適した抗炎症性又は免疫調整性の薬物又は薬剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:インターフェロン誘導体、例えば、ベタセロン、β-インターフェロン;プロスタン誘導体、イロプロスト、シカプロスト;グルココルチコイド、例えば、コルチゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン;免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンA、FK-506、メトキサレン(methoxsalene)、サリドマイド、スルファサラジン、アザチオプリン、メトトレキセート;リポキシゲナーゼ阻害剤、例えば、ジロイトン(zileutone)、ロイコトリエンアンタゴニスト、プロスタグランジン、ペプチド誘導体、例えば、ACTH及びアナログ;IL-1受容体アンタゴニスト、IL-18結合タンパク質、活性化タンパク質C(Xigris)、可溶性のTNF受容体;TNF抗体;インターロイキンの可溶性受容体、他のサイトカイン、T細胞タンパク質;インターロイキン受容体に対する抗体、他のサイトカイン及びT細胞タンパク質(先に挙げた参考文献のそれぞれの本文は、参照により本明細書中に明示的に組み込まれる)。
追加的な用途
本発明は、また、あらゆる非常用応急手当てキットにおいて使用可能な、α,β不飽和ベンジルスチリルスルホン又はその官能性誘導体を含む医薬組成物を含有するように整えられた非常用キットにおける用途もある。一実施形態では、本発明の組成物の局所用製剤は、事故又は傷害受傷後、皮膚に直ちに施用できる。例えば、そのような非常用キットは、家庭での非常事故における使用のために各家庭において、車内、例えば、自家用車(residential vehicle)、商用車、及び大部分の緊急応答車両及び警察車両内において、貴重であろう。
本発明は、また、あらゆるタイプの日焼けにおける用途もあり、皮膚癌を予防し、水疱形成を予防し、静め、冷やし、また、日焼けの疼痛を低下/排除するために、日光に曝露される前及び/又は後のケアにおいて用いられるであろう。本発明は、また、人工日焼けサロンにおける用途もある。
本発明は、また、あらゆる分野の専門的な使用、例えば、病院、急患及び熱傷の治療、診療室、一般開業医の診療所、救急車及び緊急車両、高リスク産業、消防、軍隊、海軍、法執行機関、機械作業場、自動車修理、溶接、レストランなどにおいて用途がある。
本医薬組成物は、ヒト、マウス及び他の哺乳動物、例えば獣医動物、非限定的に挙げれば、イヌ、ネコ、他の家庭用ペット、ウマ、家畜などにおいて有効である。
医薬組成物製剤、投与量及び投与様式
本発明は、また、治療上有効量のα,β-不飽和アリールスルホン化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供する。本医薬組成物は、また、1種又は複数の活性又は不活性な薬剤を追加的に含有する組成物も指す。
一実施形態によれば、記載のとおりの、創傷治癒活性を有する本発明の組成物が、薬学的に許容される製剤中の単離及び実質的に精製された化合物として提供される。これらの製剤は、標準的な経路により投与できる。
特定の一実施形態では、用語「薬学的に許容される」は、連邦政府若しくは州政府の規制当局により認可されているか、又は、動物における、より特定すればヒトにおける使用についての、米国薬局方若しくは他の一般に認知されている薬局方に掲載されていることを意味する。
用語「担体」は、それと共に治療薬が投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを指す。そのような医薬用担体は、滅菌済の液体、例えば水及び油(石油、動物、植物又は合成に由来するもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)であってもよい。水は、本医薬組成物が静脈内投与されるときには、好ましい担体である。生理食塩溶液及び水性のデキストロース及びグリセロール溶液を、とりわけ、注射用の溶液剤の場合に、液体担体として用いることもできる。
適当な医薬用賦形剤としては、以下が挙げられる:デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなど。一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、水ベースであるが、エタノールもまた、本明細書に記載の製剤の好ましい基本成分である。
本組成物は、必要に応じ、小量の湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤を含有することもできる。こうした組成物は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放製剤などの形態で得ることができる。一実施形態では、本組成物は、伝統的な結合剤及び担体(トリグリセリドなど)を用いた坐剤として製剤化される。
本発明の組成物は、中性形態又は塩形態として製剤化できる。本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び下等動物の組織と接触させた使用に適している、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などがなく、妥当な利益/リスク比と釣り合った、当該塩を意味する。
薬学的に許容される塩としては、以下が挙げられる:陰イオンで形成されているもの、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもの、及び、陽イオンで形成されているもの、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するもの。塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び精製の間にin situで、又は、遊離塩基官能基を適当な有機酸と反応させることにより別個に、調製できる。代表的な酸付加塩としては、以下が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼン-スルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩など。代表的なアルカリ塩又はアルカリ土類金属塩としては、以下が挙げられる:ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、並びに、無毒のアンモニウム、四級アンモニウム及び鉱物陽イオン(mine cation)、例えば、非限定的であるが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなど。
一実施形態では、本発明の組成物は、創傷に局所的及び直接的に施用されるように意図している。この実施形態では、本組成物は、創傷上に直接広げてから標準的な滅菌済の包帯パッド又は他の適切な包帯材料で覆う、軟膏剤、塗擦剤又はクリーム剤の形態である。或いは、本組成物の軟膏剤、クリーム剤又は塗擦剤は、包帯パッド又は他の適切な包帯材料上に直接施用する。
本明細書に記載する組成物の好ましい投与経路としては、例えば、非経口投与、経鼻投与、局所投与(例えば、バッカル投与及び舌下投与)及び経口投与が挙げられる。非経口投与としては、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、膣内、嚢内(例えば、膀胱中に)、皮内、頭蓋内、気管内及び硬膜外投与が挙げられる。本発明の組成物は、α,β-不飽和ベンジルスルホン化合物(例えばON 01210.Na)を少なくとも1種の安定化剤及び薬学的に許容される担体との組合せで含む。そのような製剤中のON 01210.Naは、0.1〜99.99重量パーセントを占めてもよい。「薬学的に許容される担体」とは、製剤の他の成分と適合性があり、対象に有害ではない、任意の担体、希釈剤又は賦形剤、例えば、水溶性ポリマー/共溶媒を意味する。
経口製剤としては、標準的な担体、例えば、医薬用のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。適当な医薬用担体の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、E.W. Martin著に記載されている。そのような組成物は、患者への正しい投与のための形態が得られるように、治療上有効量の化合物を、好ましくは精製された形態で、適当な量の担体と一緒に含有するであろう。本製剤は、この投与様式に適するはずである。
また別の実施形態では、本組成物は、ヒトへの静脈内投与用に製剤化される。典型的には、静脈内投与用の組成物は、滅菌済の等張性の水性緩衝液中の溶液である。一般に、成分は、別々又は混ぜ合わせた状態のいずれかで単位剤形中に、例えば、活性剤の量を表示している完全に密封された容器(アンプル又は小袋(sachette)など)中の凍結乾燥された乾燥粉末、又は水の入っていない濃縮物として、供給される。本組成物を注入により投与する目的の場合は、滅菌済の医薬用の水又は生理食塩水を含有する注入ボトルを用いて分配できる。本組成物を注射により投与する場合は、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルは、成分を投与の前に混合できるように提供できる。
加えて、本発明の組成物は、本化合物を持続放出させることが可能な生分解性ポリマー中に組み込んでもよく、該ポリマーは、組成物が全身にゆっくり放出されるように、薬物送達されることが望ましい場所の近く、例えば創傷部位に埋め込む。浸透圧ミニポンプを用いて、高濃度の本発明の組成物を、カニューレを通して所望の部位、例えば、損傷している組織中に直接、制御送達させることもできる。生分解性ポリマー及びその使用については、例えば、Bremら、J. Neurosurg.、74、441〜446頁、(1991)に詳細に記載されており、同文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
非経口投与に適した製剤としては、水性及び非水性の滅菌済の注射溶液[抗オキシダント剤、緩衝液、静菌薬及び溶質(これにより、製剤は、投与予定のレシピエントの血液と等張性になる)を含有してもよい]、並びに、水性及び非水性の滅菌済の懸濁液(懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい)が挙げられる。
薬学的に許容される滅菌済の水性又は非水性の溶液剤としては、例であり限定するものではないが、分散剤、懸濁剤又は乳剤、並びに、使用直前に滅菌済の注射可能な溶液又は分散液に入れて再構成するための滅菌済の粉末剤が挙げられる。適当な水性及び非水性のカーダー(carder)、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びその適当な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料(レシチンなど)の使用により、分散剤の場合は必要な粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により、維持できる。
本製剤は、単位用量又は複数回用量の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルの形態で提供してもよく、また、滅菌済の液体担体、例えば、使用直前に注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライされた(凍結乾燥された)状態で保管してもよい。即席の注射溶液剤及び懸濁剤は、先に記載した種類の、滅菌済の粉末剤、顆粒剤及び錠剤から調製してもよい。
本医薬組成物製剤は、単位剤形の形態で便利に提供でき、従来の薬学的手法により調製できる。そのような手法としては、活性成分と医薬用担体又は賦形剤とを結び付けるステップが挙げられる。一般には、本製剤は、活性成分を液体担体又は微粉化した固形担体又はその両方と均一且つ密接に結び付けてから必要に応じて製品を成形することにより調製される。
創傷治癒の利益を得るための本化合物の特定の用量及びスケジュールは、当然ながら、個々の患者の具体的な状況、例えば、患者のサイズ、体重、年齢及び性別、創傷、又は治療対象となる創傷に伴う基礎疾患の性質及び段階、疾患の悪性度並びに投与経路により決定されよう。例えば、約0.01〜約150mg/kg/日の1日投与量、より好ましくは約0.05〜約100mg/kg/日を利用してもよい。とりわけ好ましいのは、約1.0〜約50.0mg/kg/日の用量、例えば、約10.0mg/kg/日の用量である。この用量は、複数回投与、例えば、5mg/kgを2回の投与にわたり投与してもよい。より高い又は低い用量も企図される。
本発明の医薬組成物の局所投与用の剤形としては、粉末剤、スプレー剤、軟膏剤及び吸入剤が挙げられる。活性化合物を、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体及び任意の必要な保存剤、緩衝液又は噴射剤(必要な場合がある)と混合する。眼用製剤、眼軟膏剤、粉末剤及び溶液剤も、本発明の範囲内であるものとして企図される。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物及び投与様式にとって望ましい治療応答を達成するために有効な活性化合物の量が得られるように変化させてもよい。選択された投与量レベルは、本発明の特定の医薬化合物又はそのアナログの活性、投与経路、治療対象となる状態の重症度、及び治療対象となる患者の状態及び過去の病歴によって決まる。しかし、医薬化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるより低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、当技術分野の技能の範囲内である。
多様な送達系が公知であり、本発明の組成物を投与するために使用できる:すなわち、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセルなどへの封入。本化合物又は組成物は、他の生物学活性剤と一緒に投与してもよい。投与は、全身投与でも局所投与でもよい。加えて、本発明の医薬化合物又は組成物を任意の適当な経路、例えば、くも膜下腔内注射及び脳室内注射により中枢神経系中に導入することが望ましい場合があり、このような注射は、脳室内用カテーテル、例えば、リザーバー(Ommayaリザーバーなど)に取り付けたカテーテルにより容易になると考えられる。経肺投与を、すなわち、吸入器又はネブライザー、及びエアゾール剤を用いた製剤の使用により、用いることもできる。
本発明の一実施形態内において、本医薬組成物は、生理食塩水中で局所投与用に調製し(眼用の調製物中で一般に使用される保存剤及び抗微生物剤の任意のものと組み合わせて)、点眼剤の形態で投与してもよい。溶液剤又は懸濁剤は、その純粋な形態で調製し、1日に数回、放射線事象の前又は後で対象に投与してもよい。或いは、前述のように調製した本医薬組成物を、角膜に直接投与することもできる。好ましい実施形態内において、本組成物は、角膜と結合する粘膜付着性のポリマーを用いて調製する。局所療法は、また、化学熱傷など血管新生応答を誘導する可能性の高いことが公知の角膜病変において予防的に有用であると考えられる。このような場合、治療は、大抵はステロイドと組み合わせて、後続の合併症の予防に役立つように直ちに開始してもよい。
徐放形態においては、注射は、1年に2〜3回必要になるだけと考えられよう。ステロイドを注射溶液に加えて、注射そのものから結果的に生じる炎症を低下させることもできよう。他の実施形態内では、本発明の組成物は、房水中への継続放出を可能にする任意の位置に配置してもよい。
特定の一実施形態では、本発明の医薬化合物又は組成物は、創傷の予防及び/又は治療が必要な領域に局所投与することが望ましいと考えられ、このことは、例であり限定するものではないが、局所注入、局所施用、すなわち、外科手術後の創傷用包帯剤と共に、注射により、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、又はインプラントを用いて達成してもよく、このようなインプラントは、多孔性、非多孔性又はゼラチン性の材料、例えば膜(シアラスティック(sialastic)膜など)又は繊維である。
一実施形態では、本化合物又は組成物は、制御放出系の形態で送達できる。一実施形態では、ポンプを使用してもよい[Sefton、Biomed. Eng.、14、201頁、(1987)を参照のこと]。別の実施形態では、ポリマー性の材料を使用できる[Langer及びPeppas、J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem.、23、61頁、(1983);及びLevyら、Science、228、190頁、(1985)を参照のこと]。また別の実施形態では、制御放出系は、標的の近傍、すなわち脳内に配置でき、そのため、全身的な用量の一部のみが必要となる。他の制御放出系については、Langer、Science、249、1527〜1533頁、(1990)による総説において考察されている。
創傷の治療、阻害及び予防において有効であると考えられる本発明の化合物の量は、標準的な臨床手法により決定できる。加えて、最適な投与量範囲の同定に役立てるために、in vitroアッセイを場合により用いてもよい。
とりわけ、本発明の組成物の投与量は、臨床的な因子、例えば、ヒト又は動物の体重及び状態並びに化合物の投与経路によって決まってこよう。したがって、本製剤中で用いられるべき正確な用量は、専門家及び各患者の状況の判断により決定すべきである。有効用量は、in vitroでの、又は動物モデルの試験系に由来する用量応答曲線から外挿してもよい。
ヒト又は動物を治療するには、1キログラム当たりおよそ0.5〜500mgの間が、本発明の医薬組成物を投与するための典型的な広範囲である。本発明の方法は、単一投与、並びに、同時に又は長期間にわたりそのいずれかで投与される複数回投与を企図する。本発明は、ヒト及び動物での使用両方について用途があることは理解されたい。
化合物の「有効量」という用語は、本明細書において使用する場合、対象において、創傷又は創傷に伴う基礎疾患を和らげ、低減又は排除するために有効な、希釈後の量を指す。本化合物は、例えば、約0.25マイクロモル〜約100マイクロモル、好ましくは約1.0〜約50マイクロモル、より好ましくは約2.0〜約25マイクロモルの濃度で投与される。とりわけ好ましい投与濃度は、例えば、約0.5、1.0及び2.5マイクロモル並びに約5、10及び20マイクロモルである。当技術分野で周知の因子によっては、より高い又は低い濃度を使用することもできる。
好ましい一実施形態によれば、本化合物は、ON 01210.Naを少なくとも1種の安定化剤及び薬学的に許容される担体との組合せで含む医薬組成物の形態で投与される。ON 01210.Naは、当該製剤中で0.1〜99.99重量パーセントを占めてもよい。「薬学的に許容される担体」とは、任意の担体、希釈剤又は賦形剤、例えば、製剤の他の成分と適合性があり、対象に有害でない水溶性ポリマー/共溶媒を意味する。
好ましい単位投与量製剤は、本明細書において前述したとおりの、投与される成分の1日分の用量又は単位、1日分の分割用量(sub-dose)、又はその適切な一部を含有するものである。単回投与量は、一般に、本明細書に記載の組成物のうちいずれかの、約1ml〜約5mlの範囲内である。例えば、それぞれ3ml投与量の本明細書に記載の組成物が企図される。この投与量を、例えば、5mlバイアル中に詰めてもよい。
具体的に先に挙げた成分に加え、本発明の製剤は、当該製剤のタイプを考慮すると、当技術分野において慣例的な他の薬剤を含むことができることは理解されるべきである。必要な場合は、本組成物は、注射部位での疼痛を和らげるために、可溶化剤及び局所麻酔薬、例えばリグノカインを含むこともできる。
長期保存可能な製剤を、創傷の大きさ又は閉鎖を小さくするために、個人による使用を容易にするための自己注射器に充填することもできる。そのような器具は、既定の用量の化合物を送達することになろう。
非経口投与用には、本化合物は、水、生理食塩溶液、水性のデキストロース(グルコース)及び関連の糖溶液、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールから選択される適当な希釈剤を用いて、非経口投与の前に希釈してもよい。例えば、安定化剤、酸化防止剤、キレート化剤及び保存剤を加えることもできる。安定化剤が好ましく、水溶性のビタミンE誘導体が最も好ましい。適当な酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸、アスコルビン酸、クエン酸及びその塩、並びに、キレート剤としてのナトリウムEDTAが挙げられる。適当な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン又はプロピルパラベン及びクロルブタノールが挙げられる。
別の実施形態では、本発明の化合物は、活性成分、例えばON 01210.Naを、安定化剤及びpH約7.0〜8.7の間で緩衝された共溶媒と共に用いて、製剤化される。好ましい本発明の組成物は、約5mg/ml〜約200mg/mlの間のON 01210.Naを水溶液中に含む。一実施形態では、投与の前に希釈するための、本発明の長期保存可能な組成物は、約10mg/ml〜約150mg/mlの間のON 01210.Naを含む。これらの長期保存可能な製剤は、経口投与及び非経口投与に有用である。別の実施形態では、非経口投与は、皮下経路、筋肉内経路又はその両方による。静脈内投与用には、必要に応じ、これらの組成物を、注入の前に、適当な非経口用希釈剤で希釈してもよい。本発明の組成物は、静脈内投与の前に、例えば、約7部の希釈剤で希釈してもよい(7:1)。但し、用いられる希釈因子及び希釈剤は、本製剤中の薬物の濃度によって決まる。しかし、本発明の組成物は、例えば、適当な非経口用希釈剤の約2体積(注入の前)から、適当な非経口用希釈剤の約12体積(静脈内投与の前)の範囲内の、いずれで希釈してもよい。
一実施形態では、静脈内投与用の本発明の組成物のpHは、約7.0〜約9.5の範囲内である。pH約7.0〜約8.0の希釈された製品が好ましい。非経口投与用の希釈製剤のモル浸透圧濃度は、およそ約200〜約400mOsm/kgの範囲内であるべきである。投与のための希釈製剤の好ましいモル浸透圧濃度は、およそ約270〜約330mOsm/kgの範囲内であるべきである。投与のための希釈製剤の好ましいモル浸透圧濃度は、およそ300mOsm/kgであるべきである。
例示的な本発明の組成物は、約20mg/ml〜約150mg/ml(例えば、約25mg/ml、50mg/ml、75mg/ml、100mg/ml、125mg/ml、150mg/ml)の間の少なくとも1種のα,β-不飽和アリールスルホン(例えば、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホンナトリウム塩(ON 01210.Na)を含み、このとき、該組成物は、約7〜約10の範囲内のpHを呈する。例えば、好ましいpHは、例えば約8〜約9の間である。例えば、約8.3〜約8.7の間のpHが好ましい。約8.5が、例示的な好ましいpHである(約8.4〜約8.6の間)。最も好ましい緩衝液は、例えばトリス-EDTAであり、この緩衝液は、投与のpHで良好な生理学的な緩衝能をもたらす。本明細書に記載の例示的な本発明の組成物は、約0.2Mトリス及び0.02M EDTAの最終濃度を呈する。しかし、トリス濃度は、投与の条件に適するように、約0.005M〜約0.5M(又は、例えば、約0.005M〜約0.5Mの「トリス-EDTA」)の範囲内であってもよい。注射用製剤に適するような当技術分野で公知の任意の緩衝液を、これらの本発明の組成物中で用いてもよい。例えば、適当な緩衝剤としては、リン酸緩衝液、例えば、オルトリン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、並びに、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、N-メチルグルカミン、L(+)リシン、グリシン及びL(+)アルギニンが挙げられ、これらの緩衝剤は、例えば、pH約7〜9.5の間の良好な緩衝能をもたらす。
本発明の例示的な溶液組成物は、約10mg/ml〜約100mg/mlの間の本化合物(例えばON 01210.Na)と、トリス-EDTA、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、N-メチルグルカミン、L(+)リシン、グリシン、L(+)アルギニン及びホスフェートからなる群から選択される少なくとも1種の緩衝剤と、約20%w/v〜約60%w/vの範囲内の水溶性共溶媒と、約0.1%w/v〜約10%w/vの範囲内の安定化剤とを含む製剤中に有効量のON 01210.Naを含み、このとき、該組成物のpHは、約8〜約9の範囲内である。このタイプの例示的な本発明の組成物は、約0.005M〜0.5Mの範囲内のトリス-EDTA緩衝剤と、約40%w/v〜約60%w/vの範囲内のPEGとを含み、このとき、該組成物のpHは、約8.3〜約8.7の範囲内である。このタイプの好ましい例は、約0.1M〜約0.3Mの範囲内(例えば0.2M)のトリス-EDTA緩衝剤と、約40%w/v〜約60%w/v(例えば50%w/v)の範囲内のPEG400とを含み、このとき、該組成物のpHは、約8.3〜約8.7の範囲内(例えば、約8.4〜約8.6の間)である。
別の例示的な本発明の組成物は、約20mg/ml〜約60mg/mlの本化合物(ON 01210.Na)と、約0.15M〜約0.25Mの範囲内のトリス-EDTA緩衝剤と、約45%w/v〜約55%w/vの範囲内のPEG400とを含み、このとき、該組成物のpHは、約8.4〜約8.6の範囲内であり、本化合物は、約25℃〜約40℃にて少なくとも約120日間、本組成物中で実質的に安定である。
pHが約7.5〜約9.2の範囲内である本明細書に記載の製剤が好ましい。高いpH、例えば、約8.5が好ましい。約0.5%から約90%の間、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%及び少なくとも約90%の少なくとも1種の共溶媒を含む組成物が好ましい。用語「共溶媒」は、本明細書において使用する場合、当技術分野で公知の水溶性の賦形剤、例を挙げれば、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)(例えばPEG400)、ポリプロピレングリコール、ポリグリセロール、DMA、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、ソルビトール及びイソプロピルアルコールを包含するが、これらに限定されない。
本製剤の粘性は、例えば、適当な粘性調節剤、例えばカルボキシメチルセルロース、又は当技術分野で周知の類似の賦形剤のうち任意のものを用いて調節してもよい。例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipientsなどを参照のこと。粘性調節剤は、生体適合性で、非経口投与に適したものであろう。懸濁化剤の濃度は、0.1〜5%に変化させることができよう。好ましい量は、約1%の範囲である。
本発明の医薬組成物は、ヒト及び他の動物に、経口的に、経直腸的に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(例えば、散剤、軟膏剤又はドロップ剤により)、バッカル剤として、又は経口若しくは経鼻用のスプレーとして投与できる。
場合によっては、薬物の効果を持続させるために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。このことは、水溶性に乏しい結晶性又は非晶質材料の液体懸濁剤の使用により達成できる。その場合、薬物の吸収速度は、その溶解速度によって決まり、同様に、溶解速度は、結晶の大きさ及び結晶形態によって決まると考えられる。或いは、非経口的に投与された薬物形態の吸収遅延は、薬物を油性のビヒクルに溶解又は懸濁させることにより達成される。
注射用のデポー形態は、生分解性ポリマー、例えばポリラクチド-ポリグリコリド中で薬物のマイクロエンカプセルマトリックス(microencapsule matrices)を形成することにより作製される。薬物対ポリマーの比率及び用いられる特定のポリマーの性質によっては、薬物放出の速度を制御できる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用の製剤は、また、体組織と適合性があるリポソーム又はマイクロエマルション中で薬物を捕捉することによっても調製される。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルター(bacteria-retaining filter)を通した濾過により、又は、使用直前に滅菌水若しくは他の滅菌済の注射可能な媒体に溶解又は分散できる滅菌済の固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌できる。
経口投与用の固形剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が挙げられる。そのような固形剤形においては、活性化合物を、少なくとも1種の不活性な、薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム及び/又は(a)充填剤又は増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール及びケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及びアラビアゴムなど、(c)保湿剤、例えばグリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天-寒天、炭酸カルシウム、バレイショ又はタピオカデンプン、アルギン酸、一定のシリケート及び炭酸ナトリウム、(e)溶解抑制剤、例えばパラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなど、(h)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土、並びに(i)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、並びにそれらの混合物と混合する。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
類似のタイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量のポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。
錠剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤の固形剤形は、コーティング及びシェル、例えば、腸溶コーティング、及び医薬製剤分野において周知の他のコーティングを用いて調製できる。こうした固形剤形は、不透明化剤を場合により含有してもよく、活性成分のみ、又は主に、腸管の一定の部分において、場合により遅延様式で放出する組成物からなっていてもよい。使用できる包埋組成物の例としては、ポリマー性の物質及び蝋が挙げられる。
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加え、液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤、例えば以下などを含有してもよい:水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(とりわけ、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物。
不活性な希釈剤以外に、本経口組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤を含むこともできる。
懸濁剤は、活性化合物に加え、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天-寒天及びトラガント、並びにそれらの混合物などの懸濁化剤を含有してもよい。直腸投与又は膣内投与用の組成物は、好ましくは、本発明の化合物を適当な非刺激性の賦形剤又は担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、又は、坐剤用ワックス(suppository wax)(室温では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸若しくは膣の空洞内で融解して活性化合物を放出する)と混合することにより調製できる坐剤である。
本発明を、以下に記載する実施例により例証するが、本発明はこれらの実施例の特定の詳細に限定されないことは理解される。
(実施例)
(実施例1)
(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン(ON1210Na)が創傷治癒に及ぼす効果
試験物質ON 01210.Na溶液を、皮膚傷害のマウスモデルにおける創傷治癒についての考えうる効果について評価した。試験物質は、2通りの投与レジメンで皮下投与(SC)した:第1のレジメンは皮膚穿孔の24時間15分前、第2のレジメンは、皮膚穿孔の4時間15分前であった。創傷閉鎖率(%)を1日目、3日目、5日目、7日目、9日目、11日目、13日目、15日目、17日目、19日目、21日目及び22日目に定量してから、半分閉鎖時間(half closure time)(CT50)を得た。一元配置ANOVAに次いでダネット検定を用いて、個々の時点でのビヒクル対照群と処置群との間の有意差を決定した。有意差は、P<0.05レベルの場合と見なす。結果を以下の表にまとめる:
第1の投与パターン(皮膚穿孔の24時間15分前)における500mg/kgでのON 01210.Na溶液の皮下投与は、皮膚傷害のマウスモデルにおいて、3日目、5日目、7日目、13日目、15日目及び17日目時点で創傷閉鎖の有意な増加を促進し、その結果、CT50値が有意に低下した(7.2±0.3日、これに対しビヒクル対照では9.4±0.6日)。しかし、2つの用量のON 01210.Na溶液を500mg/kgにて皮膚穿孔の4時間15分前の時点で投与すると、8匹の動物のうち2匹が2日目に死んだ。2つの用量間の間隔は、第1の投与パターンでは、3時間45分対23時間45分であった。死因は不明である。同様に、生存動物は、13日目及び15日目に創傷閉鎖の有意な増加を呈し、その結果得られるCT50値(8.2±0.5日)はビヒクル対照よりわずかに低かったが、その差は、統計的に有意ではなかった。
ON 01210.Na溶液を、500mg/kg、SCの条件で、23時間45分の間隔で2つの用量にて投与すると、創傷治癒が促進され、皮膚傷害のマウスモデルにおいて、CT50値は有意に低下した。
(実施例2)
試験物質及び投与パターン
ON 01210.Na溶液は、Onconova Therapeutics Incにより、予め調合された形態で提供された。試験物質を、以下の2つの投与パターンで皮下投与(SC)した:第1のパターンは皮膚穿孔の24時間15分前であり、第2のパターンは皮膚穿孔の4時間15分前であった。ビヒクル(ON 01210.Naプラセボ溶液)の投与時間は、第2のパターンとして投与した。投与体積は10mL/kgであった。
製剤のタイプを次のとおりまとめる:
動物:体重24±2gのオスのICRマウスは、BioLasco Taiwan(Charles River Laboratories Technology Licensee下)により提供された。試験動物は、皮膚傷害受傷後、実験まで、個別にケージ(29×18×13cm)内に収容した。全ての動物は、使用の前に、MDS Pharma Services - Taiwan Laboratoryにおいて、制御された温度(21〜23℃)及び湿度(50%〜70%)環境にて12時間の明暗サイクルで少なくとも3日間維持した。マウス用の標準的な飼料(lab chow)[MF-18(オリエンタル酵母工業株式会社、日本)]及び逆浸透(RO)水を自由に摂取させた。動物の飼育、実験作業及び処分を含め、この作業の全ての面は、全般に、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals、(National Academy Press、Washington, D.C.、1996)に従い実施した。
化学薬品:ヘキソバルビタール(Sigma、USA)、リン酸緩衝生理食塩水(Sigma、USA)及び塩化ナトリウム(Wako、日本)。
設備:動物用ケージ(Allentown、USA)、画像-ProPlus(Media Cybernetics、バージョン4.5.0.29)、Pipetman(Gilson、フランス)及び鋭利な穿孔器、内径12mm(Sinter、R.O.C)。
方法:皮膚の創傷治癒
体重24±2gの8匹のオスのICRマウス群を使用した。試験中、被検動物は個々のケージに収容した。ヘキソバルビタール(90mg/kg、IP)麻酔下、各動物の肩及び背の領域を剪毛した。鋭利な穿孔器(内径12mm)を用いて、皮膚[皮筋層(panniculus carnosus)及び付着組織を含む]を除去した。試験物質を以下の2つの投与パターンで皮下投与した:第1のパターンは皮膚穿孔の24時間15分前であり、第2のパターンは皮膚穿孔の4時間15分前であり、ビヒクル(ON 01210.Naプラセボ溶液)の投与時間は、第2の投与パターンとして投与した。創傷領域を透明なプラスチックシート上にトレースして、画像-ProPlus(Media Cybernetics、バージョン4.5.0.29)を使用することにより、1日目、3日目、5日目、7日目、9日目、11日目、13日目、15日目、17日目、19日目、21日目及び22日目に測定した。創傷閉鎖率(%)を計算し、Graph-Prism(Graph Software USA)を用いて、創傷の半分閉鎖時間(CT50)を線形回帰により分析した。各測定時点での治療群とビヒクル群との間で比較するために、一元配置ANOVA、次いでダネット検定を適用した。差は、P<0.05の場合に、統計的に有意と見なす。
試験物質を、以下の2つの投与パターンで皮下投与(SC)した:第1のパターンは皮膚穿孔の24時間15分前であり、第2のパターンは皮膚穿孔の4時間15分前であり、ビヒクル(ON 01210.Naプラセボ溶液)の投与時間は第2のパターンとして投与した。創傷閉鎖率(%)及び創傷半分閉鎖時間(CT50)を決定した。治療群とビヒクル群との間で比較するために、一元配置ANOVA、次いでダネット検定を適用した。*P<0.05、対ビヒクル対照。
均等物
前述の実施例は、例示目的で示したにすぎず、本発明の範囲又は実施形態を制限することを意図したものではない。具体的に記載されていない他の実施形態は、当業者には明らかであるはずである。記載されていなくても、そのような他の実施形態は、本発明の範囲及び精神内にあると見なされる。したがって、本発明は、以下に記載する請求項によってのみ適切に限定される。

Claims (20)

  1. 創傷の結果生じる損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進する方法であって、その必要がある対象に、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物又はその官能性誘導体と薬学的に許容される賦形剤とを含む治療上有効量の医薬組成物を投与するステップを含み、前記医薬組成物が、損傷組織の急速な治癒及び/又は再生を促進しながら、前記組織の元の組成を保持し、合併症及び瘢痕化を最小限にする方法。
  2. 前記対象への前記投与を、前記創傷のインシデントの前に実施する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記対象への前記投与を、前記創傷のインシデントの約4時間前に実施する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記対象への前記投与を、前記創傷のインシデントの約24時間前に実施する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物がON 01210.Naである、請求項1に記載の方法。
  6. ON 01210.Naが、約20mg/ml〜約100mg/mlの間のON 01210.Naと、約25%w/vから約90%w/vの間の量の、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリグリセロール、DMA、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、ソルビトール及びイソプロピルアルコール又はそれらの組合せを含む少なくとも1種の共溶媒とを含む水溶液組成物の形態で製剤化されており、前記組成物のpHが約7.0〜約9.5の範囲内である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記組成物を非経口経路により投与する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記組成物を局所経路により投与する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記組成物を経口経路により投与する、請求項1に記載の方法。
  10. 創傷又は損傷組織に伴う疼痛を制御又は緩和する方法であって、その必要がある対象に、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物又はその官能性誘導体を含む治療上有効量の医薬組成物を投与するステップを含み、前記組成物で治療された前記対象が、対照である非治療対象と比較して治癒過程の加速及び前記創傷又は損傷組織に伴う炎症の重症度の低下を示す方法。
  11. 前記創傷のインシデントから3日後に測定したとき、前記治癒過程が、前記組成物で治療された対象において、前記対照である非治療対象に対し少なくとも4倍速い、請求項10に記載の方法。
  12. 前記対象への前記投与を、前記創傷のインシデントの前に実施する、請求項10に記載の方法。
  13. 前記対象への前記投与を、前記創傷のインシデントの約4時間前に実施する、請求項10に記載の方法。
  14. 前記対象への前記投与を、前記創傷のインシデントの約24時間前に実施する、請求項10に記載の方法。
  15. 前記(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物がON 01210.Naである、請求項10に記載の方法。
  16. 哺乳動物において組織破壊又は機能不全に関連する障害の症状を軽減又は改善する方法であって、その必要がある対象に、(E)-4-カルボキシスチリル-4-クロロベンジルスルホン化合物又はその官能性誘導体を1種又は複数の抗炎症性化合物及び薬学的に許容される担体又は希釈剤との組合せで含む治療上有効量の医薬組成物を投与するステップを含む、前記医薬組成物が炎症経路のうち1つ又は複数の構成要素を阻害し、前記症状の重症度が前記哺乳動物において低下される方法。
  17. 前記組織破壊又は機能不全が、熱誘発皮膚損傷、癌切除、ポリープ、潰瘍、床ずれ、ざ瘡、皮膚真菌感染症又はそれらの組合せを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記創傷が、切創、裂創、穿通創、穿孔創、穿刺創、開放創若しくは皮下創傷又はそれらの組合せである、請求項16に記載の方法。
  19. 前記創傷が、疾患若しくは障害、外科手術、事故又はそれらの組合せの結果である、請求項15に記載の方法。
  20. 前記創傷が、外傷、内傷又はそれらの組合せである、請求項15に記載の方法。
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