JP2013506124A - 質量分析による分子の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】質量分析による分子の検出方法の提供。
【解決手段】本発明は、サンプル中の少なくとも1種の標的分子を質量分析によって検出するための方法であって、
a)上記サンプルの上記分子をイオン化する工程と、
b)以下の工程(i)及び(ii):
(i)上記工程で得られたイオンを少なくとも1種、上記標的分子に基づいて質量分析計において選択する工程、及び、
(ii)こうして選択されたイオンを断片化セルにおいて断片化する工程
をn回(nは0、1、2、3又は4)行う工程と、
c)nが0の場合には工程a)で、又は、nが0でない場合には工程b)で得られた少なくとも2種類の異なるイオンであって、上記標的分子に特有の質量電荷比m/zを有する少なくとも2種類のイオンを質量分析計において捕捉する工程と、
d)こうして捕捉された特有のイオンを上記質量分析計から放出する工程と、
e)こうして放出された特有のイオンを検出器で検出する工程と
を含む方法に関する。本発明の方法は、上記特有のイオンが、工程d)において同時に放出され、工程e)において同時に検出されることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、質量分析によって化学的及び/又は生物学的物質を検出、さらには定量するための技術分野に関する。
より詳細には、本発明の主題は、サンプル中の少なくとも1種の標的分子を質量分析によって検出するための新規な方法である。
質量分析法は、各種分子を分析、検出するための強力な手段である。一般的に、イオン化し得る分子であればいかなる種類の分子であってもその分子量に応じて質量分析計により検出することができる。検出対象の分子の性質に応じて、特定の質量分析法がより適している場合があり、非限定的な例としては、ポリスチレン等の非常に大きな分子の分析に使用されるMALDI−TOF(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization−Time Of Flightの頭文字)型質量分析法(非特許文献1)が挙げられ、また、生物流体中の低分子の定量分析に使用されるタンデム質量分析計(非特許文献2)が挙げられる。
例えば、特許文献1、2及び3には、これらの方法及びその可能な組み合わせが記載されている。
検出に用いる質量分析法が何であれ、標的分子を「分子」イオンにイオン化する工程、及び、得られた分子イオンをその質量に基づいて分離する工程が含まれる。
このように、すべての質量分析装置は、以下に詳細に説明するように、
i)分析対象のサンプルに存在する分子をイオン化するための、すなわち、これらの分子に正又は負の電荷を付与するためのイオン源と;
ii)イオン化された分子又は分子イオンをその質量電荷比(m/z)に基づいて分離するための質量分析計と;
iii)上記分子イオンによって直接生成されたシグナル、又は、上記分子イオンから生成したイオンによって生成されたシグナルを測定するための検出器を有する。
m/z比に基づいた分子イオンの分離は、一回だけ行うこともでき(単一の質量分析法(MS))、あるいは、MS分離を連続して数回行うこともできる。MS分離を連続して2回行う場合、該分析をMS/MS又はMSと称する。MS分離を連続して3回行う場合、該分析をMS/MS/MS又はMSと称する。より一般化して、MS分離を連続してn回行う場合、該分析をMSと称する。分離を連続して数回行う方法の中でも、1種類の標的分子を分析する場合のSRM(選択反応モニタリング)モード、又は、複数種類の標的分子を分析する場合のMRM(多重反応モニタリング)モードは、MS分離の具体的な適用例である。同様に、MRMモードは、MS/MS/MSによる分離の具体的な適用例である。
単一MSモードでの検出の場合、検出される標的分子と相関付けられるのは、得られた分子イオンの質量電荷比である。
MS/MSモードでの検出の場合、MS分析と比較して、本質的に以下の2工程が追加される。
(i)一次フラグメントイオンと呼ばれるイオンを生成させるための、分子イオン(以下、プリカーサーイオンと称する)の断片化、及び、
(ii)質量に基づいた、一次フラグメントイオンと呼ばれるイオンの分離。
この場合、検出される標的分子と相関付けられるのは、得られた一次フラグメントイオンの質量電荷比である。「一次フラグメントイオン」という用語は、断片化工程の後にプリカーサーイオンから得られるイオンを意味するものであり、その質量電荷比m/zは、プリカーサーイオンと異なる。
いずれの場合でも、標的イオンの検出は、分析計の検出器において、該イオンのm/z比に基づいて連続的に行われる。
また、質量分析では、対象サンプルの1種以上の標的分子を検出できるだけでなく、定量的に分析することもできる。質量分析は、タンパク質の分析において有望な技術であり、これまでに開発された技術、特にELISA(Enzyme−linked immunosorbent assay)に取って代わり得る技術である。公知の各種ELISA法の中では、サンドウィッチ反応が最も広く用いられている。サンドウィッチ反応では、標的タンパク質に対して2種類の抗体を必要とし、その一方が酵素と結合している。
標的タンパク質を酵素により消化して得られる、標的タンパク質に特異的なプロテオタイピック(proteotypic)ペプチドを用いた、質量分析法によるタンパク質の定量分析が、出願人他によって複雑流体において実現された(非特許文献3、4及び5)。
MS分離を用いたある種のモードは、質量分析による定量分析に特に適している。例えば、SRMモード及びMRMモードでは、高感度で特異的の高い分析が可能である。これらのMSモードは、三連四重極型質量分析計で実行することができる。SRMモード又はMRMモードの原理は、プリカーサーイオンを特異的に選択し、それを断片化した後、そのフラグメントイオンのうち1種類を特異的に選択することである。このような用途には、三連四重極装置、又は、三連四重極イオントラップハイブリッドが一般的に用いられる。標的タンパク質を分析するためにMSモードにおいて三連四重極装置(Q1q2Q3)を用いる場合、第一四重極(Q1)では、先行する消化工程で得られた、分析対象のタンパク質に特有のプロテオタイピックペプチドに対応する分子イオンをそれらの質量電荷比(m/z)に基づいてフィルタリングすることができる。所望のプロテオタイピックペプチドの質量電荷比(この比を(m/z)とする)を有するペプチドのみが第二四重極(q2)に送られ、次に行われる断片化のためのプリカーサーイオンとしての役割を果たす。
上記q2分析器では、質量電荷比(m/z)を有するペプチドを一次フラグメントイオンへと断片化することができる。この断片化は通常、q2において、プリカーサーペプチドと、窒素やアルゴン等の不活性ガスとの衝突によって行われる。
上記一次フラグメントイオンは、特定の質量電荷比(この比を(m/z)とする)に基づいて一次フラグメントイオンをフィルタリングする第三四重極(Q3)に送られる。所望のプロテオタイピックペプチドに特有のフラグメントの質量電荷比(m/z)を有する一次フラグメントイオンのみが、定量化のために検出器に送られる。
この作動モードは、一方ではプリカーサーイオンの選択に、他方では一次フラグメントイオンの選択に関しており、2重の選択性を有している。従って、SRMモード又はMRMモードの質量分析は定量に有利である。
上記一次フラグメントイオンによって誘導され、検出器において測定される電流の強度は、一次フラグメントイオンの量に比例する。一次フラグメントイオンの量自体は、プリカーサーイオンの量に比例し、プリカーサーイオンの量自体は、分析対象のタンパク質の量に比例する。従って、上記一次フラグメントイオンにより誘導され、測定される電流の量は、分析対象のタンパク質の量に正比例する。しかしながら、上記一次フラグメントイオンにより誘導された電流の量を、対応する一次フラグメントイオンの量、最終的には分析対象のタンパク質の量に相関付けできるようにするためには較正が必要となる。遷移(トランジション)と呼ばれる(m/z)及び(m/z)のペアは、MS/MSモードで作動可能な質量分析計の各種モデルで分析することができる。
ハイブリッド三連四重極イオントラップ型装置では、作動及び分析モードが、上述した従来の三連四重極モードと同一であってもよい。あるいは、四重極Q3を、三次元又は線形イオントラップモードで作動させてもよい。このようなイオントラップでは、複数の一次フラグメントイオン(m/z)を分析するため、トラップに印加する電圧を変化させることでトラップ内の無線周波数電圧を変化させ、それにより、定量のためには1種ずつ検出器に放出されるのが望ましい一次フラグメントイオンを共振させることによって、複数の一次フラグメントイオン(m/z)を選択し、徐々に、場合によっては連続的に放出することができる。
ELISA法と比較した質量分析法による分析の利点は、分析を実現するための経費及び時間を大幅に削減できることであり、特に、ELISA法に必要な抗体を開発する必要がある場合に顕著である。従って、このような質量分析による技術は、タンパク質の分析に好適な方法であると思われる。また、上記技術によって、例えば、プロテオーム解析における研究によりマーカー候補と同定された多数のタンパク質の分析という臨床的関心事をより容易に、且つ、より迅速に実行することもできる(非特許文献6)。
また、非常に多くの非タンパク質分子も、質量分析によって定量的に分析することができる。例として、ドーピング物質の調査(非特許文献7)、環境中の汚染物質の調査(非特許文献8)、又は、食品マトリックスの調査(非特許文献9)が挙げられる。質量分析は、その感度と特異性のおかげで、従来の分析方法(例えば、HPLC−UV)と比較して、より低い検出限界を達成できるだけでなく、抽出プロトコルを単純化することもできる。近年、イオン源及びインターフェースの機材の進歩によって、以前はガスクロマトグラフィーで分析されていた分子(例えば、エストロゲン)の分析が可能となった。
また、ある分子群の全体、さらには複数の分子群を分析することが必要な場合もある。この場合、数百種類の化合物を同時に分析することができ(非特許文献10)、現在、試験機関で日常的に行われていることである。
質量分析法により上記利点がもたらされるものの、所望の分子種が順々に検出されるため、所望の分子の分析及び検出のサイクルタイムは通常、比較的長くなることが分かっている。
独国特許出願公開第10 2007 060669号明細書 米国特許出願公開第2005/063864号明細書 米国特許出願公開第2005/211891号明細書
D.Schriemer及びL.Li,Analytical Chemistry,1996,68;2721−2725 Hans H.Maurer,Analytical and Bioanalytical Chemistry,2007,388,1315−1325 T.Fortinら,MCP,2008,E−pub L.Anderson及びC.Hunter,MCP,2006,573−588 H.Zhangら,MCP,2007,64−71 S.Carr及びL.Anderson,Clin.Cem.2008,1749−1752 M.Thevis及びW.Schanzer,Analytical and Bioanalytical Chemistry,2007,388,1351−1358 M.Kuster,M. Lopez de Alda,D.Barcelo,Journal of chromatography A,2009,1216(3),520−529 Pico Y,Font G,Ruiz MJ,Fernandez M,Mass spectrometry review,2006,25(6),917−960 J.Wang J,D.Leung,Journal of Agricultural and Food Chemistry,2009,57(6),2162−73
このような現状を鑑みて、本発明の目的は、質量分析により分子を検出、さらには定量分析するための方法であって、質量分析による分析の検出サイクルタイムを大幅に短縮させることができる方法を提供することである。
この目的を達成するために、本発明は、サンプル中の少なくとも1種の標的分子を質量分析によって検出するための新規な方法であって、
a)少なくとも1つのイオン化装置によって上記サンプルの上記分子をイオン化して、分子イオンを得る工程と、
b)以下の工程(i)及び(ii):
(i)上記工程で得られたイオンを少なくとも1種、上記標的分子に基づいて質量分析計において選択する工程、及び、
(ii)こうして選択された少なくとも1種のイオンを断片化セルにおいて断片化する工程
をn回(nは0、1、2、3又は4)行う工程と、
c)nが0の場合には工程a)で、又は、nが0でない場合には工程b)で得られた少なくとも2種類の異なるイオンであって、上記標的分子に特有で、上記標的分子に特有の質量電荷比m/zを有する少なくとも2種類のイオンを質量分析計において捕捉する工程と、
d)こうして捕捉された特有のイオンを上記質量分析計から放出する工程と、
e)こうして放出された特有のイオンを検出器で検出する工程と
を含む方法を提供する。
本発明に係る方法における特徴として、上記特有のイオンは、工程d)において同時に放出され、工程e)において同時に検出される。
本発明者らは、上記標的分子に特有の各種イオンの放出及び検出が同時に行われることで、処理されるデータの量が大幅に低減し、結果として、サイクルタイムや分析時間が短縮されることを明らかにした。分析サイクルが短縮されるため、多くの異なる分子を連続して検出することが可能である。これは、多重分析を行う必要がある場合に特に有利である。
さらに、驚くべきことであり、且つ、特に有利であることには、標的分子の定量分析を行う場合、本発明者らは、m/z比で特徴づけられる、標的分子に特有の各種イオンを同時に放出することで、試験サンプル中の標的分子の分析に有用な検出シグナルのシグナル/ノイズ比を著しく改善することができることを明らかにした。さらに、このシグナル/ノイズ比の改善によって、特に公知のMRM法と比較して、上記方法による定量化の限界値をより低くすることができる。
本発明に係る方法は、イオン化できるあらゆる種類の分子の検出に、その性質にかかわらず、好適であり、特に、ペプチド、脂質、糖脂質、糖タンパク質、核酸、代謝産物、揮発性化合物、エストロゲン系低分子などの検出に好適である。
本発明の方法を実施可能なサンプルは、標的分子を含有し得る任意のサンプルである。サンプルは、生物(すなわち、動物、植物、ヒト)由来であってもよい。その場合、生物流体(例えば、全血、血清、血漿、尿、脳脊髄液、有機分泌物)試料、組織試料、又は、単離した細胞試料であってもよい。この試料は、そのまま用いてもよく、又は、分析の前に、当業者に公知の方法に従って濃縮、抽出、凝縮、精製系の処理を行ってもよい。サンプルは、工業的に得られたもの、すなわち、すべてを列挙してはいないが、空気試料、水試料、表面から採取された試料、成分又は製品、又は、食物由来の製品であってもよい。上記食物由来のサンプルの中でも、すべてを列挙した訳ではないが、例えば、乳製品(ヨーグルト、チーズ)、肉、魚、卵、果実、野菜、水、又は、飲料(牛乳、フルーツジュース、炭酸飲料等)のサンプルが挙げられる。また、これらの食物由来サンプルは、出来上がった料理又はソース由来であってもよい。また、食物サンプルは動物飼料、特に動物用食品等に由来していてもよい。
本発明の一実施形態によれば、特にタンパク質のプロテオタイピックペプチドを分析及び検出するために、上記サンプルには、精製を目的とした前処理が施されている。
サンプルの前処理は、当業者には広く知られており、特に、電気泳動法やクロマトグラフィー法を実行することができる。これらの分離方法は、単独で用いてもよく、多次元分離ができるように互いに組み合わせて用いてもよい。例えば、上述したT.FortinらやH.Keshishianらにより記載されているように、イオン交換クロマトグラフィーによる分離を逆相クロマトグラフィーと組み合わせることによって多次元クロマトグラフィーを行うことができる。これらの刊行物では、クロマトグラフ媒体はカラム中又はカートリッジ中(固相抽出)に存在し得る。
プロテオタイピックペプチドの電気泳動又はクロマトグラフィーの分画(又は、一次元若しくは多次元クロマトグラフィーの保持時間)は各ペプチドに特有であるので、これらの方法を用いることによって、分析対象のプロテオタイピックペプチドを選択することができる。生成したペプチドのこのような分画によって、その後の質量分析による分析の特異性を高めることができる。
電気泳動法又はクロマトグラフィー法とは別のペプチド分画のための方法は、N−糖ペプチドを特異的に精製することからなる(J.Stal−Zengら,MCP,2007,1809−1817、及び、特許出願:国際公開第2008/066629号)。しかしながら、このような精製は、N−グリコシル化型の翻訳後修飾を受けたペプチドの定量のみを可能にするだけであって、あいにく、すべてのタンパク質がグリコシル化されるとは限らないので、その使用は制限される。
ペプチドを分画するためのさらに別の方法は、標的ペプチドを例えばアフィニティークロマトグラフィー等によって免疫精製することからなる。この方法によれば、分析対象のペプチドのみを含む分画(少数の混在するペプチドも含み得る)とすることにより、サンプルの複雑さを劇的に低減することができる。SISCAPAと呼ばれるこのような方法は、上記L.Andersonらや、米国特許出願公開第2004/0072251号明細書によって記載されている。
好ましい形態では、本発明の方法は、その選択されて実行される変形例がどのようなものであれ、標的分子がタンパク質のプロテオタイピックペプチドである場合に特に有用且つ有利であることが明らかとなっている。
この場合、分析対象のサンプルには、初期サンプル中に存在するすべてのタンパク質からペプチドを生成させる前処理が施されており、例えば、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)による消化や化学薬品の作用などによって、これらのタンパク質がペプチドに断片化されている。
実際、タンパク質の切断は、物理化学的処理によって、生物学的処理によって、又は、これら2つの処理の組み合わせによって実行することができる。用いることができる処理の中でも、ヒドロキシルラジカル、特にHによる処理が挙げられる。ヒドロキシルラジカルによる処理はペプチド結合の切断を引き起こす。ペプチド結合の切断は、タンパク質の任意のペプチド結合に対して無作為に起こる。ヒドロキシルラジカルの濃度によって、切断される数、すなわち、得られるペプチドフラグメントの長さが決まる。
また、例えば、メチオニル残基のカルボキシル基単位でペプチド結合を特異的に切断する臭化シアン(CNBr)による処理等の他の化学的処理も使用可能である。また、タンパク質のトリフルオロ酢酸溶液を1000℃で加熱することにより、アスパラギン酸残基単位での部分的な酸性切断を行うことも可能である。
しかしながら、酵素消化によるタンパク質の処理が好ましい。該処理では、物理化学的処理と比較して、タンパク質の構造がより多く保存され、制御がより容易である。「酵素消化」という用語は、適切な反応条件下での1種類又は複数種類の酵素の単独又は複合的作用を意味するものである。プロテアーゼと称される、タンパク質を分解する酵素は、特定部位でタンパク質を切断する。通常、プロテアーゼはそれぞれ、アミノ酸配列を認識し、その配列内で常に同様の切断を行う。単一のアミノ酸を認識するか、又は、その間が切断される2つのアミノ酸からなる配列を認識するプロテアーゼもあれば;さらに長い配列のみを認識するプロテアーゼもある。これらのプロテアーゼは、エンドプロテアーゼであってもよく、エキソプロテアーゼであってもよい。公知のプロテアーゼの中でも、国際公開第2005/098071号に記載されている以下のものが挙げられる。
・Arg及びLys残基のカルボキシル基においてペプチド結合を切断するトリプシンや、リシンの−CO基のペプチド結合を切断するエンドリシンや、芳香属残基(Phe、Tyr及びTrp)のカルボキシル基においてペプチド結合を加水分解するキモトリプシンや、芳香属残基(Phe、Tyr及びTrp)のNH基において切断するペプシンや、Glu残基のカルボキシル基においてペプチド結合を切断する、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)V8株のV8プロテアーゼなどの特異的酵素;
・疎水性アミノ酸(Xaa−Leu、Xaa−Ile、Xaa−Phe)のNH基のペプチド結合を加水分解する、細菌Bacillus thermoproteolyticus由来のサーモリシンや、すべての結合を実質的に加水分解し、制御された反応条件(酵素濃度及び反応時間)下でタンパク質をオリゴペプチドに変換できる細菌プロテアーゼであるサブチリシン及びプロナーゼなどの非特異的酵素。
複数のプロテアーゼについて、それらの作用様式が適合する場合、それらを同時に使用することができ、あるいは、それらを連続的に使用することもできる。本発明において、サンプルの消化は、トリプシン等のプロテアーゼの酵素作用によって行われるのが好ましい。
このような処理工程によって、初期サンプル中に存在する、タンパク質という大きな分子を、より小さな分子であるペプチドに変換することができ、このペプチドが標的サンプル中に存在することとなる。従って、その後、質量分析で得られる検出の感度が向上する。さらに、上記処理工程によって、所定の標的タンパク質のいくつかのプロテオタイピックペプチド(リポーターペプチドとも呼ばれる)を生成させることができる。
さらに、例えば、他のタンパク質が同一のペプチド配列を含まないかどうか、又は、他の遷移が阻害しないかどうか、などを確認することによって、各プロテオタイピックペプチドの特異性を実証しなければならない。こうして、上記処理により、分析対象のタンパク質に特異的なプロテオタイピックペプチドが1種以上得られる可能性を高めることができる。各プロテオタイピックペプチドはそれぞれ、独立した分析によってタンパク質を定量することを可能にする。
さらに、最も一般的には、複雑流体(血液、血清、血漿、尿、糞便、唾液等)中に数ng/mlの濃度で含まれるタンパク質の分析に適合する感度及び特異性を確保するために、質量分析による定量分析に先立って、消化工程に加え、該消化工程の前後に例えば以下のような他の工程をはさむべきである。
第一段階:標的タンパク質ではない顕著なタンパク質を除去するためのタンパク質分画、又は、任意の好適な方法(電気泳動、クロマトグラフィー、免疫捕捉(Kulasingamら,J.Proteome Res.,2008,640−647))によるサンプルの精製。しかしながら、後者の方法は、標的タンパク質に対する特異的な抗体の存在又は調製が必要であり、この抗体を得るためには時間及び費用がかかり得る。さらに、その後の質量分析による分析の性能レベルが、抗体の質及び特異性にある程度影響を受けることになる。
第二段階:変性、還元、及び、チオール官能基のブロッキング。
第三段階:消化。
第四段階:ペプチド分画。
第二段階によって、消化率を向上させることができ、再現性と信頼性の点から、分析のさらに高い頑健性を確保することができる。高い感度を必要としない場合には、第一段階及び第四段階は任意である(上記L.Anderson及びC.Hunter,MCP)。一方、高い感度が必要な場合(数ng/ml)には、それらは不可欠である。このことは、上記T.Fortinら、H.Keshishianら,MCP,2007,2212−2229、及び、V.Kulasingamら,J.Proteome Res.,2008,640−647、L.Andersonら,J.Proteome Res.,2004,235−2344、及び、米国特許出願公開第2004/0072251号明細書に示されている。質量分析の前工程のクロマトグラフィーによるペプチドの分離では、混在するペプチドの数を減少させることにより、特異性のレベルを補強できる(M.Duncanら,Proteomics,2009,9:1124−1127)。
本発明の方法において、イオン化工程a)は、当業者に公知の任意の方法で行ってもよい。上記イオン源によって、分子を気化させ、イオン化することができる。正イオンを分析するために正モードのイオン源を用いてもよく、負イオンを分析するために負モードのイオン源を用いてもよい。各種イオン源が存在するが、所望の結果及び分析される分子に応じて使用すればよい。なかでも、以下のものが挙げられる。
・電子イオン化(EI)、化学イオン化(CI)、及び、脱離化学イオン化(DCI);
・高速原子衝突(FAB)、準安定原子衝撃(MAB)、又は、イオン衝撃(SIMS、LSIMS);
・誘導結合プラズマ(ICP);
・大気圧化学イオン化(APCI)、及び、大気圧光イオン化(APPI);
・電気スプレーイオン化(ESI);
・マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)、又は、シリコン上脱離/イオン化(DIOS);
・準安定種との相互作用によるイオン化−脱離(DART)。
特に、イオン化は以下のように実行できる。標的分子を含むサンプルをイオン源に投入する。該イオン源では、これらの分子が気体状態でイオン化され、初期分子に対応する分子イオンに変換される。イオン源によって、分子をイオン化することができ、さらに、液体状態で存在する分子に対応する分子イオンを得ることができる。この分子イオンは、正モードの場合には1つ、2つ又は3つ以上ものプロトンが付加し、それによって1価、2価又は3価以上にもなったものである。
例えば、標的分子がタンパク質である場合、標的タンパク質が断片化された後に得られたプロテオタイピックペプチドは、正モードで作動する電気スプレー型イオン源によってイオン化され、その結果、1つ、2つ又は3つ以上ものプロトンが付加し、それによって1価、2価又は3価以上にもなった気体状態のポリペプチドイオンとなり、液体状態から気体状態に変化する(Gaskell,Electrospray:principles and practise,J.Mass Spectrom.(1997),32,677−688)。標的分子又は得られたプロテオタイピックペプチドが、逆相液体クロマトグラフィーによって事前に分離されている場合には、この型のイオン源が特に好適である。しかしながら、サンプル中に存在する分子のイオン化率は、種々の含有物の濃度及び性質によって変化し得る。この現象は、当業者には周知のマトリックス効果として現れる。
MALDIイオン源であれば、固体状態のサンプルから分子をイオン化することができる。
本発明に係る方法の捕捉工程b)が行われる質量分析計では、イオンをその質量電荷比(m/z)に基づいて分離することができる。
当業者に公知の任意の質量分析計を用いることができる。例えば、四重極(Q)型、三次元イオントラップ(IT)型、線形イオントラップ(LIT)型の低解像度分析計、さらに、被検体の正確な質量を測定するためには、高解像度分析計、特に磁場セクターが電場セクターに連結されたもの、飛行時間(TOF)型が挙げられる。
本発明の方法の好ましい特徴によれば、工程c)で用いる上記質量分析計はイオントラップである。このようなイオントラップには、上記イオンをそのm/z比に基づいて選択することができるだけでなく、標的分子に特有のm/z比のイオンを同時に放出することもできるという利点がある。このイオントラップは、三次元型又は線形型であることが有利である。
このようなイオントラップを用いて、標的分子に特有の質量電荷比m/zを有するイオンを、イオントラップ内で無線周波数によって同時に共振させて放出する。この無線周波数は、イオントラップの構成電極の供給電圧の変化によって発せられる。例えば、放出されるイオンの全無線周波数を含む広帯域の無線周波数を印加することもできる。それぞれ放出されるイオンに特有の、トラップでの振動数、すなわち、その永年振動(secular motion)の振動数を中心とした一連の無線周波数帯を重畳させたものに、用いる無線周波数域を一致させることができる(R.E.March,Int.J.Mass Spectrom.,1997,32:351)。
各周波数帯をそれぞれ、放出されるイオンに特有の永年振動数を中心とした無線周波数帯とすることが好ましい。これにより、質量電荷比m/zの値が異なる各種イオンを同時に放出することができる。
本発明の方法の他の好ましい特徴によれば、標的分子に特有の質量電荷比m/zを有するイオンを放出及び検出する前に、質量分析計は空にされる。例えば、続いて放出されることとなる特有のイオンの無線周波数を含まない広帯域の無線周波数を印加してもよい。用いる無線周波数域は、それぞれ特有のイオンに特有の永年振動数を中心とした一連の無線周波数帯を含まないこととなる。
各欠乏帯を、特有のイオンに特有の永年振動数を中心とした無線周波数帯とすることが好ましい。こうして、引き続いて放出されることとなる、選択された各種の特有のイオンを除き、質量分析計中に存在するすべてのイオンを同時に放出することができる。
本発明の方法は、n値(nは、断片化工程を行う回数に相当する整数)に応じたMSn+1である。
従って、本発明の方法が単一MSである場合、nは0であり、工程b)は行われず、当該方法は、以下の工程:
a)少なくとも1つのイオン化装置によって上記サンプルの分子をイオン化して、分子イオンを得る工程と、
c)工程a)で得られた少なくとも2種類の異なるイオンであって、上記標的分子に特有で、上記標的分子に特有の質量電荷比m/zを有する少なくとも2種類のイオンを質量分析計において捕捉する工程と、
d)こうして捕捉された特有のイオンを上記質量分析計から放出する工程と、
e)こうして放出された特有のイオンを検出器で検出する工程と
を含む。上記特有のイオンは、工程d)で同時に放出され、工程e)で同時に検出されるものと理解される。
本発明の方法が単一MSでない場合、nは1、2、3又は4である。
実施の一変形例によれば、本発明の方法はMS/MSであって、nが1であり、且つ、工程c)で捕捉される少なくとも2種類の異なるイオンが一次フラグメントイオンである。
この場合、本発明の方法は、以下の工程:
a)少なくとも1つのイオン化装置によって上記サンプルの分子をイオン化して、分子イオンを得る工程と、
b)以下の工程(i)及び(ii):
(i)上記工程で得られたイオンを少なくとも1種(プリカーサーイオンと呼ばれる)、上記標的分子に基づいて質量分析計において選択する工程、及び、
(ii)こうして選択された少なくとも1種のイオンを断片化セルにおいて断片化して、少なくとも2種類の一次フラグメントイオンを得る工程
を1回行う工程と、
c)工程b)で得られた少なくとも2種類の異なるイオンであって、上記標的分子に特有で、上記標的分子に特有の質量電荷比m/zを有する少なくとも2種類のイオンを質量分析計において捕捉する工程と、
d)こうして捕捉された特有のイオンを上記質量分析計から放出する工程と、
e)こうして放出された特有のイオンを検出器で検出する工程と
を含む。上記特有のイオンは、工程d)で同時に放出され、工程e)で同時に検出されるものと理解される。
この場合、工程b)でイオンをその質量に基づいて選択するために用いる質量分析計は、イオントラップ又は四重極質量分析計等の当業者に公知の質量分析計である。
選択されたイオンの断片化は、中性ガス(アルゴンや窒素等)との衝突、強力な光源による光励起や光解離、電子やフリーラジカル種との衝突、電位差の印加、又は、その他の活性化モードによって行われる。イオン断片化は、三連四重極型モデル(L.Anderson及びC.Hunter,MCP,2006,573−588)、イオントラップ型モデル(B.Han及びR.Higgs,Brief Funct Genomic Proteomic.2008 Sep;7(5):340−54)、さらには飛行時間(TOF)型モデル(K.−Y.Wangら,Anal Chem,2008,80(16)6159−6167)などの断片化セルにおいて行われ、これらによってイオンの分離も可能である。
上記断片化が窒素やアルゴン等の不活性ガスとの衝突によって行われる場合、電界内で行われるか、又は、単に、飛行時間チューブ内などで電位差を印加することによって行われる。電界の特徴によって、断片化の強度及び性質が決まる。このように、例えば四重極などでは、不活性ガスの存在下で印加された電界によって、イオンに供給される衝突エネルギーが決まる。当業者であれば、分析対象の遷移の感度が高まるように、用いる分光計に応じて、この衝突エネルギーを最適化できよう。例えば、Applied Biosystems社(アメリカ合衆国、フォスターシティー)の質量分析計AB SCIEX QTRAP(登録商標)5500のq2では、衝突エネルギーを5〜180eVの範囲で変化させることが可能である。同様に、当業者であれば、可能な限り感度のよい分析ができるように、衝突工程の継続時間と、例えばイオントラップ内などの励起エネルギーとを最適化できよう。例えば、Applied Biosystems社の質量分析計AB SCIEX QTRAP(登録商標)5500のQ3では、励起時間と呼ばれる上記継続時間を0.010〜50ミリ秒の範囲で変化させることが可能であり、上記励起エネルギーを0〜1(任意単位)の範囲で変化させることが可能である。
他の変形例によれば、本発明の方法は、MS/MS/MSであって、nが2であり、且つ、工程c)で捕捉される少なくとも2種類の異なるイオンが二次フラグメントイオンである。
この場合、本発明の方法は、以下の工程:
a)少なくとも1つのイオン化装置によって上記サンプルの分子をイオン化して、分子イオンを得る工程と、
b)下記工程:
(i)上記工程で得られたイオンを少なくとも1種(プリカーサーイオンと呼ばれる)、上記標的分子に基づいて質量分析計において選択する工程、
(ii)こうして選択された少なくとも1種のイオンを断片化セルにおいて断片化して、一次フラグメントイオンを得る工程、
(iii)少なくとも1種の一次フラグメントイオンを上記標的分子に基づいて質量分析計において選択する工程、及び、
(iv)こうして選択された少なくとも1種のイオンを断片化セルにおいて断片化して、少なくとも2種類の二次フラグメントイオンを得る工程
を行う工程と、
c)工程b)で得られた少なくとも2種類の異なる二次フラグメントイオンであって、上記標的分子に特有で、上記標的分子に特有の質量電荷比m/zを有する少なくとも2種類のイオンを質量分析計において捕捉する工程と、
d)こうして捕捉された特有のイオンを上記質量分析計から放出する工程と、
e)こうして放出された特有のイオンを検出器で検出する工程と
を含む。上記特有のイオンは、工程d)で同時に放出され、工程e)で同時に検出されるものと理解される。
この場合、工程b)でイオンをその質量に基づいて選択するために用いる質量分析計は、当業者に公知の質量分析計であり、例えば、イオントラップ分析計や、四重極Q3が三次元若しくは線形イオントラップモードで作動する点で四重極分析計とは異なるハイブリッド三連四重極(Q1q2Q3)イオントラップ分析計等が挙げられる。
本発明に係る方法においてタンデム質量分析(MS、MS、MS又はMS)を行う場合、複数の質量分析計を連結させてもよい。例えば、第一分析計においてイオンを分離し、衝突セルにおいて該イオンを断片化することができ、第二分析計において該フラグメントイオンを分離する。イオントラップやFT−ICR等の分析計では、複数の分析計が一体化しているものもあり、イオンを断片化して、フラグメントを直接分析することができる。
本発明の方法は、限定される訳ではないが、とりわけ、MRMと称される質量分析法に適用される。このような分析法では、ハイブリッド三連四重極イオントラップ型分析計という実験構成が最も一般的に用いられている。この質量分析構成は、とりわけ生物流体サンプル等の複合サンプル中のタンパク質を良好に定量するために極めて重要になる選択性及び検出感度において、非常に優れている。
実施される分析がMSn+1型であり、且つ、nが1、2、3又は4である本発明の好ましい実施形態によれば、
・工程b)で用いる質量分析計は、イオントラップ又は四重極であり、
・断片化セルは、イオントラップ又は四重極である。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、工程b)及び工程c)は、単一MS以外のモードで、単一の装置、すなわちイオントラップで行われる。これにより、用いる材料を単純化できる。
本発明の方法では、通常、イオントラップ内の混在するイオンが放出される前に、特定のフラグメントイオンを同時に放出し、該フラグメントイオンを同時に検出することも想定でき、それを実行することもできる。この場合、続いて放出されることとなる特有のイオンの無線周波数を含まない広帯域の無線周波数波が印加される。
また、上記方法は、同一分子のイオン化によって生成する異なるm/z値を有する分子イオンを四重極において同時に伝達するための、G.Cooksのグループ[Q.Songら,Anal.Chem.2009,81,1833−1840]による最近の出版物に基づいた装置においても有益である。この場合、同一分子から生成した2種類の分子イオンを同時に捕捉し、断片化して、その2種類の分子イオンの断片化により生成したフラグメントイオンを同時に放出することができる。
当業者であれば、検出されて、標的分子に相関付けられる特有のイオンを標準的な方法に従って選択できる。当該選択によって、可能な限り感度が高く、可能な限り特異的であり、且つ、再現性と信頼性の点において可能な限り頑健性が高い分析となるという利点がある。プロテオタイピックペプチド(m/z)及び一次フラグメント(m/z)を選択するために開発された上記方法では、該選択は本質的に応答の強度に基づく。詳細は、V.Fusaroら,Nature Biotech.27;2009;190−198などを参照されたい。当業者であれば、Applied Biosystems社のMIDAS及びMRMパイロットソフトウェアや、MRMaid(J.Meadら,MCP,15 Nov 2008,E−pub)等の市販のソフトウェアを利用して、考え得るすべての遷移ペアを予測できるであろう。また、当業者であれば、F.Desiereら(Nucleic Acids Res.2006,Jan 1;34(database issue):D655−8)によって構築されたPeptideAtlasと呼ばれるデータベースを利用して、科学界によって報告されたペプチドMRM遷移をすべて集めることもできる。このPeptideAtlasデータベースは、インターネット上で無料で入手可能である。非タンパク質分子については、例えば、Applied Biosystems社(アメリカ合衆国)のCliquidソフトウェアから利用できる400種類の農薬のデータベース等のデータベースを用いることが可能である。
工程e)で選択された特有のイオンは、従来通り、特に検出器及び処理システムによって、検出される。該検出器は、放出されたイオンを収集し、収集されたイオンの量に応じた強度の電気シグナルを生成させる。その後、このシグナルは増幅され、コンピューター処理される。イオンの数が多いほど、電流は高くなる。従って、得られた電気シグナルは、同時に検出器へと放出されたすべての収集されたイオンに対応するものである。
検出器と組み合わされた処理システムは、従来からのデータ処理コンピューターシステムであり、検出器によって受信された情報(この場合、選択されたイオンによって誘導された電流の強度)の分析及び定量を可能にする。この誘導された電流の強度は、標的分子の量に比例する。
従って、同時放出及び同時検出の後、検出された特有のイオンを定量して、標的分子を定量することができる。
しかしながら、検出されたイオンによって誘導された電流の量を、分析対象の標的分子の量に相関付けできるようにするためには、較正が必要となる。上記の通り測定された電流の強度を、存在する標的分子の量を決定するための定量的測定値として機能させることもできる。当該定量的測定値は、国際単位系(SI単位)であるmol/mやkg/m系統、又は、これらの単位の倍数や約数、又は、その倍数や約数を含むSI単位の通常の派生物によって表されるという特徴を有する。非限定的な例として、ng/mlやfmol/l等の単位が、定量的測定値を特徴づける単位である。
このために、本発明において、質量分析に従来から用いられている較正を行うこともできる。従来、MRM分析は外部標準を用いて較正されるか、好ましくは、上記T.Fortinらによって記載されているような内部標準を用いて較正される。標的分子が、標的タンパク質の分析が可能なプロテオタイピックペプチドである場合、分析量が既知の標準シグナルに対して、測定されたシグナルを較正することによって、定量的測定値と、標的プロテオタイピックタンパク質の量、ひいては標的タンパク質の量とを相関付けできる。検量線により上記較正を行うことができ、当該検量線は、例えば、様々な濃度の標準プロテオタイピックペプチドを連続投入すること(外部較正)によって、又は、好ましくは、内部標準として重ペプチドを用い、例えば以下に詳述するAQUA法、QconCAT法若しくはPSAQ法などに従った内部較正によって得られる。「重ペプチド」という用語は、プロテオタイピックペプチドに相当するペプチドを意味するものであるが、1つ以上の炭素12(12C)原子が炭素13(13C)で、及び/又は、1つ以上の窒素14(14N)原子が窒素15(15N)で置換されている。
また、内部標準(AQUA)としての重ペプチドの使用が、上記S.A.Gerberら、及び、米国特許出願公開第2004/0229283号明細書によって提案されている。その原理は、通常の天然同位元素より重い同位元素を含むアミノ酸を用いてプロテオタイピックペプチドを人工的に合成することである。そのようなアミノ酸は、例えば、炭素12(12C)原子のうちのいくつかを炭素13(13C)に置換すること、又は、窒素14(14N)原子のうちのいくつかを窒素15(15N)に置換することにより得られる。このように合成された人工ペプチド(AQUA)は、(質量が大きい以外は)天然ペプチドと同一の物理化学的性質を厳密に有している。通常、それを所定の濃度で、質量分析による分析の前工程で、例えば、標的サンプルのタンパク質の切断に至る処理と、該処理工程後に得られたペプチドの分画との間などに、サンプルに対して添加する。その結果、上記AQUAペプチドは、ペプチドの分画の際に、分析対象の天然ペプチドとともに精製される。こうして、これら2つのペプチドは、分析の際に同時に質量分析計に投入される。そして、それらはイオン源で処理され、そのイオン化率は同一となる。天然ペプチドと、濃度既知のAQUAペプチドのピーク面積を比較することによって、天然ペプチドの濃度を算出することができ、従って、分析対象のタンパク質の濃度にさかのぼることができる。AQUA法の変形例が、QconCATという名でJ.−M.Prattら(Nat.Protoc.2006,1:1029−1043)により提案されている。この変形例は、特許出願:国際公開第2006/128492号にも記載されている。この方法は、各種AQUAペプチドを連結すること、及び、組換え重タンパク質として人工ポリペプチドを生成させることからなる。当該組換えタンパク質は、重同位元素を含むアミノ酸で合成される。このように、複数のタンパク質の同時分析を較正するための標準をより低コストで得ることができる。QconCAT標準は最初から、すなわち、タンパク質の切断に至る処理の前工程で、さらに、タンパク質の分画、変性、還元、及び、その後のタンパク質のチオール官能基のブロッキングの各工程を行う場合にはそれらの工程の前に添加される。従って、QconCAT標準は、天然タンパク質と同様にタンパク質の切断に至る同一の処理サイクルを受ける。これにより、タンパク質の切断に至る処理工程の収率も考慮されることとなる。実際、天然タンパク質の処理は、特に消化による際には、完全でない場合がある。この場合、AQUA標準を用いると、天然タンパク質の量が少なく見積もられるであろう。従って、絶対的な分析のためには、タンパク質の切断に至る処理の収率を考慮することが重要な場合もある。しかしながら、V.Brunら(MCP,2007,2139−2149)によって、おそらくQconCATタンパク質の異なる三次元構造のために、QconCAT標準が、天然タンパク質の処理に関して、特に消化による際には、その収率を正確に再現しない場合もあることが示されている。
従って、上記V.Brunらは、特許出願:国際公開第2008/145763号に記載のPSAQと呼ばれる方法の使用を提案している。この場合、内部標準は、天然タンパク質と同一配列を有するが、重アミノ酸で合成されている組換えタンパク質である。この合成は、重アミノ酸を用いてex vivoで行われる。この標準は、(質量が大きい以外は)天然タンパク質と同一の物理化学的性質を厳密に有している。上記標準は最初から、すなわち、タンパク質分画工程を行う場合にはその工程の前に添加される。従って、上記標準はタンパク質分画工程の際に天然タンパク質とともに精製される。上記標準は、処理の収率について、特に消化による処理の場合には、天然タンパク質と同じ収率を示す。ペプチド分画工程が行われる場合、切断後に得られた重ペプチドも天然ペプチドとともに精製される。こうして、2つのペプチドは、質量分析計に同時に投入され、定量分析される。そして、それらは、イオン源で処理され、そのイオン化率は同一となる。PSAQ法での天然ペプチドと標準ペプチドのピーク面積を比較することにより、分析方法の全工程を考慮しつつ、分析対象のタンパク質の濃度を算出することができる。
本発明において、上記較正を行うために、質量分析による分析、特にMRM又はMS分析で用いられるこれらのあらゆる方法、すなわち、AQUA、QconCAT、又は、PSAQなどの較正方法を用いることができる。
本発明の方法とその利点は、各種生物学的溶液の質量分析による分析に関する、本発明の方法の3つの実施形態の例についての以下の記載から明らかになるであろう。これらの実施例は、以下の付属の表に基づいている。
実施例1で用いたTP171タンパク質のバッチ1のMS質量スペクトルを示す。 実施例2で処理した女性の血清中、濃度200μg/mlのPSAタンパク質のサンプルについて、9.08分での636.8ThのイオンのMSスぺクトルを示す。 実施例2で処理した女性の血清中、濃度200μg/mlのPSAのサンプルについて、9.08分での一次フラグメントイオンの総和のクロマトグラムを示す。 実施例3で処理した女性の血清中、濃度1μg/mlのPSAのサンプルについて、636.8Thのプリカーサーイオンから生成した472.3Thの一次フラグメントの、11.914分から12.058分までのMSスペクトルを示す。 実施例3で処理した女性の血清中、濃度1μg/mlのPSAのサンプルについて、11.98分での一次フラグメントイオンの総和のクロマトグラムを示す。
以下の実施例において、本発明の方法は、Applied Biosystems社(アメリカ合衆国、フォスターシティー)の三連四重極イオントラップ分析計AB Sciex QTRAP(登録商標)5500 LC/MS/MSを用いて行った。
実施例1:イオントラップでのレポータープロテオタイピックペプチドの同時放出による、組み換えタンパク質の純度の検証 MS分析
TP171組み換えタンパク質は、梅毒の病原菌であるTreponema pallidumの組み換えタンパク質であって、配列番号1の配列を有する。
配列番号1:
MRGSASFSSIPNGTYRATYQDFDENGWKDFLEVTFDGGKMVQVVYDYQHKEGRFKSQDADYHRVMYASSGIGPEKAFRELADALLEKGNPEMVDVVTGATVSSQSFRRLGAALLQSARRGEKEAIISRGSSKYKYHHHHHH.
TP171組み換えタンパク質の3つのバッチを以下のプロトコルで消化した。
・pH=8.0の50mM重炭酸塩3ml中、最終濃度が10μg/mlとなるように、TP171溶液を希釈する。
・最終濃度が15mMとなるように、ジチオトレイトール(DTT)を添加する。
・60℃で40分間還元する。
・チューブを室温まで冷却する。
・最終濃度が25mMとなるように、ヨードアセトアミドを添加する。
・暗所で室温下、40分間アルキル化を行う。
・1/30の比でトリプシンを添加する。
・37℃で4時間消化する。
・最終濃度が10mMとなるように、DTTを添加する。
・60℃で40分間還元する。
・チューブを室温まで冷却する。
・最終濃度がそれぞれ10%(ACN)、0.5%(ギ酸)となるように、アセトニトリル(ACN)及びギ酸を添加する。
得られたサンプルを、直接、質量分析計AB Sciex QTRAP(登録商標)5500のイオン源に流量10μl/分で連続的に投入する。四重極Q3のトラップ内でだけイオンを誘導するよう機能するように、質量分析計の三連四重極をイオントラップモードのみで用いる。
すべてのイオンを連続的に放出するようにトラップ内でスキャンを行うというEMS(Enhanced Mass Spectrometry)モードと、本発明の方法で用いる同時放出モードを比較する。
以下の表1に、他の用いた機械パラメーターを示す。
Figure 2013506124
検出された全シグナルを計測する(全イオンカウント(Total Ion Count)、TIC)。サンプル中に存在するすべてのイオンが、この検出されたシグナルに寄与する。
EMSモードでは、すべての質量をスキャンすることにより、全シグナルが分解され、質量スペクトル(バッチ1について図1に示す)が得られる。350〜800Thのスキャン時間は、速度1000Da/秒で450.1ミリ秒である。
分析された混合物には、混在するイオンとプロテオタイピックイオンが含まれ、後者は、TP171タンパク質に特有のものである。これらのプロテオタイピックイオンとその特有の質量電荷比m/zを以下の表2に示す。
Figure 2013506124
表3に示す比は、全プロテオタイピックイオンによって得られたシグナルを、全イオン(混在するイオン+プロテオタイピックイオン)によって得られたシグナルで割ることで得られる。
Figure 2013506124
得られた比は、TP171に関するサンプルの純度を表す値である。従って、これにより、標準バッチと比較して、バッチのTP171の純度を容易に且つ迅速に評価することができる。例えば、バッチ2はバッチ1(標準バッチ)と同様の純度であるが、バッチ3の純度は低い。
一方、比較のため、本発明の方法に従って同一の実験を行う。無線周波数電圧を重畳させた電圧を1つ以上の電極に印加することにより、上記プロテオタイピックイオンは、より容易に、且つ、より迅速に(1.6ミリ秒)、同時に放出される。各プロテオタイピックイオンについて、そのイオンに特有の永年振動数を中心とした周波数ノッチ(notch)を印加する。ノッチの周波数幅は、各イオンの理論質量の前後0.7質量単位の窓(window)に相当する。従って、印加された電圧は、これらの各種ノッチの合計である。
同時に放出され、検出されるプロテオタイピックイオンの質量を表2に示す。
このように広域波を印加すると、0.8ミリ秒ですべてのプロテオタイピックイオンが放出される。得られたシグナルS1を測定する。
次に、トラップを空にするために、トラップ内に捕捉された残りすべてのイオンも0.8ミリ秒で同時に放出する。得られたシグナルS2を測定する。
次に、S1を(S1+S2)で割る計算を行う。
ここで、このシグナル比を求める際、EMS法を用いた場合(表3)と全く同じ数値が得られることが注目される。
従って、本発明の分析方法では、これらプロテオタイピックイオンを用いたTP171の分析を、EMS法と同程度の精度で、且つ、はるかに短い時間で行うことができる。
実施例2:断片化サイクルが1回であり、且つ、四重極Q3がイオントラップモードで作動する三連四重極Q1q2Q3構成の質量分析計AB Sciex QTRAP(登録商標)5500 LC/MS/MSを用いた、複雑混合物中に高濃度で存在するタンパク質の濃度の測定 MS/MS分析
5ミリグラムのPSA(前立腺特異抗原、Scipac社(英国)製)P117−8番を実施例1のプロトコルに従って消化する。
また、PSAを含有しない女性の血清1ミリリットルも、実施例1のプロトコルに従って消化する。この女性の血清は、フランス血液銀行[French Blood Bank]から入手した。特に病的な場合でない限り、女性はPSAを合成しない。従って、女性の血清には通常、PSAは含まれない。本実施例で用いた女性の血清にPSAが含まれないことを、ビオメリュー社(フランス、マーシー・レトワール)製のVidas TPSA分析によって事前に確認した。
消化後、消化済みの女性血清の溶液を様々な容量で分注し、そこに、PSA濃度が500、200、100、50、及び、0μg/mlの溶液が得られるように、消化済みのPSAの溶液を添加する。
残りの分注溶液100μlを投入して以下の条件で分析した。
・Dionex社(アメリカ合衆国、カリフォルニア州、サニーベール)製のクロマトグラフィーシステムUltimate 3000
・Waters社(アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、ミルフォード)製のSymmetry C18カラム(内径2.1mm、長さ100mm、粒径3.5μm)
・溶媒A:HO+0.1%ギ酸
・溶媒B:ACN+0.1%ギ酸
以下の表4に規定するHPLC勾配をクロマトグラフィー分析に用いた。
Figure 2013506124
クロマトグラフィーカラムから流出した溶出液を質量分析計のイオン源に直接投入する。
質量分析計の四重極Q1は、0.7質量単位の解像度で、636.8Thのイオンを特異的に選択するために用いられる。これらのイオンは、配列:LSEPAELTDAVK(配列番号6)を有する少なくとも1種のペプチドの分子イオンであり、該ペプチドは、最終PSA濃度100、50、10、5、及び、0μg/mlで女性の血清に投入されたPSAタンパク質を、実施例1の方法に従ってトリプシンによりタンパク質加水分解することによって得られるものである。
このペプチド配列は、レポーター配列と呼ばれ、PSAタンパク質分析の一助となる。
四重極q2は、636.8Thのイオンを一次フラグメントに断片化するために用いられる。Q1で選択されたイオンが、q2において衝突活性化処理され、中性のフラグメント及び一次フラグメントイオンに断片化される。それらのイオンのなかで最も強度の強いものは、m/z値が943.5、846.5、775.4、及び、312.2Thである。
四重極q2から放出されるフラグメントイオンはすべて、四重極Q3に送られる。四重極Q3は、イオントラップモードで作動するイオントラップであり、上記イオンはそこで捕捉されることとなる。
用いた他の機械パラメーターは実施例1と同じである。
次に、本発明における同時放出モードをEPI(Enhanced Product Ion)分析モードと比較する。
このEPI分析モードでは、Q3において、300〜1000Thのスキャンをイオントラップ内で行い、すべてのイオンを連続的に放出する。
上記EPIモードでは、200〜1000Thのすべての質量をスキャンすることによって、質量スペクトルを得ることができる。PSA濃度200μg/mlのサンプルについて9.08分で得られたスペクトルの一例を図2Aに示す。スキャン時間は、速度1000Da/秒で700ミリ秒である。
PSAと血清の混合物のクロマトグラフィー溶出液が質量分析計に連続的に投入されるため、時間の関数としてシグナルが得られ、一次フラグメントイオンのクロマトグラムが形成される。こうして、PSAプロテオタイピックペプチド:LSEPAELTDAVK(配列番号6)に対応する一次フラグメントイオンy9(943.5Th)、y8(846.5Th)、y7(775.4Th)、及び、b3−HO(312.2Th)が、9〜9.15分で溶出される。PSA濃度200μg/mlのサンプルについて、943.5、846.5、775.4、及び、312.2Thの各イオンで得られたシグナルの合計を図2Bに示す。
その後、Analyst1.5ソフトウェアによって、図2Bのクロマトグラムで観察されたピーク下の面積を積分することができる。こうして、943.5、846.5、775.4、及び、312.2Thの各イオンの合計のシグナルを計測することによって、以下の表5に示す結果が得られた。
Figure 2013506124
一方、本発明の同時放出法を用いて同じ実験を行う。
このために、m/z943.5、846.5、775.4、及び、312.2の放出対象イオンの無線周波数を含む広域波を印加する。放出対象の各一次フラグメントイオンのm/z値の前後0.7質量単位の窓を用いる。これは、印加された無線周波数が、943.5、846.5、775.4、及び、312.2Thの各m/z値の前後0.7質量単位のノッチ各種を形成していることを意味する。このように広域波を印加すると、0.8ミリ秒ですべての一次フラグメントイオンが放出される。得られたシグナルを測定する。次いで、トラップを空にするために、トラップ内に捕捉された残りすべてのイオンも0.8ミリ秒で同時に放出する。
PSA濃度が既知の各溶液について得られたシグナルの測定では、単一ピークが得られる。このピークの面積は、分析した標的分子の濃度を示している。分析した各溶液について、すべての一次フラグメントイオンの同時放出の際に得られるシグナルに対応する各ピーク下の面積は、PSA濃度に比例しており、より強いシグナルが示されたポイント0以外は、EMSモードで得られたものに匹敵する。従って、本発明の分析方法では、プロテオタイピックイオン:LSEPAELTDAVK(配列番号6)の一次フラグメントを用いて、PSAの定量分析を、EPI法と同程度の精度で、且つ、はるかに短い時間で行うことができる。
分析時間やサイクルタイムがより短くなれば、異なる複数の物質を連続して分析することが可能となる。このことは、多重分析を行う必要がある場合に特に有利である。
さらに、本発明の方法では、PSA濃度0μg/mlのサンプルで観察されたバックグラウンドノイズが減少している。従って、本発明に係る方法では、従来技術と比べて、バックグラウンドノイズを低減することができる。ここで、バックグラウンドノイズが低減されることによって、測定感度が向上することは当業者に周知である。
実施例3:断片化サイクルが2回であり、且つ、四重極Q3がイオントラップモードで作動する三連四重極Q1q2Q3構成の質量分析計を用いた、複雑混合物中に低濃度で存在するタンパク質の濃度の測定 MS/MS/MS分析
PSA溶液、及び、PSAを含まない女性の血清を実施例2のプロトコルに従って消化した。
消化後、消化済みの女性血清100μlに、PSA濃度が1000、500、100、50、10、及び、0ng/mlの溶液が得られるように、消化済みのPSAを添加する。ここで用いた濃度は、実施例2よりもかなり低い。
実施例2のプロトコルの処理と同様に、得られたサンプル100μlをクロマトグラフィーカラム、次いで質量分析計に投入した。
質量分析計の四重極Q1は、0.7質量単位の解像度で、636.8Thのイオンを特異的に選択するために用いられる。四重極q2は、636.8Thのイオンを一次フラグメントに断片化するために用いられる。四重極Q3は、472.3Thの一次フラグメントを選択し、断片化するために用いられる。その後、すべての二次フラグメントイオンはQ3のトラップ内で捕捉される。
そして、本発明の方法において提案される同時放出モードで得られた分析結果と、公知のMS/MS/MSモードで得られた分析結果を比較する。後者のモードは、Q1及びq2については上述のEPIモードと同じであるが、四重極Q3をトラップモードで用い、472.3Thの一次フラグメントイオンを二次フラグメントイオンに断片化した後、トラップ内で500〜850Thのスキャンを行って、すべてのイオンを連続的に放出する。
用いた他の機械パラメーターは実施例1と同じである。
MS/MS/MSモードでは、500〜850Thのすべての質量でスキャンを行うことにより、図3Aに示す質量スペクトルが得られる。スキャン時間は、速度1000Da/秒で350.1ミリ秒である。
二次フラグメントイオンにより誘導されたシグナルを測定する。このシグナルは一次フラグメントイオンの量に比例する。一次フラグメントイオンの量自体は、プロテオタイピックペプチドの量に比例し、プロテオタイピックペプチドの量自体は、PSAタンパク質の量に比例する。従って、上記シグナルは、投入されて分析された混合物中のPSAタンパク質の量に比例する。
PSAと血清の混合物のクロマトグラフィー溶出液が質量分析計に連続的に投入されるため、図3Bに示すように、時間の関数としてシグナルが得られ、二次フラグメントイオンのクロマトグラムが形成される。こうして、PSAプロテオタイピックペプチド:LSEPAELTDAVK(配列番号6)に対応する二次フラグメントイオンが、11.9〜12.1分で溶出される。
その後、Analyst1.5ソフトウェアによって、図3Bのクロマトグラムで観察されるピーク下の面積を積分することができる。こうして、ペプチド:LSEPAELTDAVK(配列番号6)のy5(533.3Th)、y6(646.4Th)、y7(775.4Th)、及び、y8(846.5Th)の各イオンの合計のシグナルを計測することによって、以下の表6が得られた。
Figure 2013506124
一方、本発明の同時放出法を用いて同じ実験を行う。上記実施例と同様に、二次フラグメントイオンy5(533.3Th)、y6(646.4Th)、y7(775.4Th)、及び、y8(846.5Th)の共振周波数に対応する周波数ノッチを組み込んだ広域波を四重極Q3において発することにより、質量分析計のQ3において同時放出を行う。各一次フラグメントイオンの質量の前後0.7質量単位の窓を用いる。このように広域波を印加すると、0.8ミリ秒ですべての混在しているイオンが放出される。次に、Q3トラップを空にするために、300〜700Thのイオンのすべての無線周波数を含む広域波を印加することによって、Q3トラップ内に捕捉された残りすべてのイオンを0.8ミリ秒で同時に放出する。得られたシグナルを測定する。
本発明により提案される同時放出及び検出による分析モードでは、分析時間は1.6ミリ秒であるため、上記実施例と同様に、MS/MS/MSモードよりもかなり時間が短縮される。
PSA濃度が既知の各溶液について得られたシグナルの測定では、単一ピークが得られる。このピークの面積は、分析した標的分子の濃度を示している。分析した各溶液について、二次フラグメントイオンの同時放出の際に得られるシグナルに対応する各ピーク下の面積は、PSA濃度に比例しており、より強いシグナルが示されたポイント0以外は、EPIモードで得られたものに匹敵する。
従って、先の実施例で示したような、プリカーサーイオンの断片化に対して特異的な一連のフラグメントイオンを同時に放出するという原理を拡張して、一次フラグメントイオンの断片化に対して特異的な一連の二次フラグメントイオンを同時に放出することが可能である。
複雑混合物中の複数の分子を高い感度及び特異性で多重分析する必要がある場合に、本出願は特に有利である。従って、本発明は、血流中の臨床的に標的となるタンパク質の多重分析に特に好適である。
実施例2と同様に、同時放出を行う本方法では、PSAを含まないサンプルについて、観察されたバックグラウンドノイズがMS/MS/MS法よりも減少し、このことは、本発明の方法がより高感度であることを意味する。

Claims (13)

  1. サンプル中の少なくとも1種の標的分子を質量分析によって検出するための方法であって、
    a)少なくとも1つのイオン化装置によって前記サンプルの前記分子をイオン化して、分子イオンを得る工程と、
    b)以下の工程(i)及び(ii):
    (i)前記工程で得られたイオンを少なくとも1種、前記標的分子に基づいて質量分析計において選択する工程、及び、
    (ii)こうして選択された少なくとも1種のイオンを断片化セルにおいて断片化する工程
    をn回(nは0、1、2、3又は4)行う工程と、
    c)nが0の場合には工程a)で、又は、nが0でない場合には工程b)で得られた少なくとも2種類の異なるイオンであって、前記標的分子に特有で、前記標的分子に特有の質量電荷比m/zを有する少なくとも2種類のイオンを質量分析計において捕捉する工程と、
    d)こうして捕捉された特有のイオンを前記質量分析計から放出する工程と、
    e)こうして放出された特有のイオンを検出器で検出する工程と
    を含み、
    前記特有のイオンは、工程d)において同時に放出され、工程e)において同時に検出されることを特徴とする方法。
  2. 工程c)で用いる前記質量分析計はイオントラップであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記イオントラップは、三次元型又は線形型であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 工程d)における前記特有のイオンの放出は、前記標的分子に特有の質量電荷比m/zを有するイオンを、前記イオントラップ内で無線周波数によって同時に共振させることによって行われることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記特有のイオンを捕捉した後であって、該イオンを放出及び検出する前に、前記標的分子に特有でないイオンを工程c)の前記質量分析計から取り除くことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. nは1、2、3又は4であり、且つ、工程b)で用いる前記質量分析計は、イオントラップ又は四重極質量分析計であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記断片化セルはイオントラップであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 工程b)及び工程c)は同一装置、すなわちイオントラップにおいて行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  9. nは1であり、且つ、工程c)で捕捉される前記少なくとも2種類のイオンは一次フラグメントイオンであることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. nは2であり、且つ、工程c)で捕捉される前記少なくとも2種類のイオンは二次フラグメントイオンであることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記サンプルには、精製を目的とした前処理が施されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記標的分子は、タンパク質のプロテオタイピックペプチドであり、前記サンプルには、標的タンパク質からペプチドを生成させる前処理が施されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 同時放出及び同時検出の後、検出された前記特有のイオンを、前記標的分子を定量するために、特に、検量線を作成するか、又は、前記標的分子に類似した分子を用いた内部較正を行って、定量することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
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