本明細書には、すべての薬学的に許容可能な溶媒和物(水化物を含む)、そのプロドラッグ、および代謝物質を含む、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(化合物1)、または化合物1の薬学的に許容可能な塩(水化物を含む)、そのプロドラッグ、および代謝物質、およびそれらの使用の方法が記載される。それらの薬学的に許容可能な溶媒和物と同様に、化合物1もプロスタグランジンD2媒介及び/又はプロスタグランジンD2依存の疾患、障害、または疾病の処置または予防のための薬剤の製造において使用される。また、ヒトを含む哺乳動物における、そのような製剤の薬物動態学的および薬理学的な特性が記載される。
化合物1はDP2アンタゴニストである。
本明細書には、化合物1、または医薬組成物における活性成分としてのそれらの薬学的に許容可能な塩(例えばナトリウム塩);および賦形剤、希釈剤、および担体の中から選択される、少なくとも1つの薬学的に許容可能な不活性成分を含む、医薬組成物が記載される。
1つの態様において、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(化合物1)の薬学的に許容可能な塩が提供され、ここで、薬学的に許容可能な塩は、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、L-アルギニン塩およびL-リジン塩、またはN-メチル-D-グルカミン塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩である。幾つかの実施形態において、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、化合物2である。
幾つかの実施形態において、化合物2は、非結晶(amorphous)である。幾つかの実施形態において、化合物1は、非結晶である。
幾つかの実施形態において、化合物2は、水和される。
幾つかの実施形態において、化合物2は、ヘプタンおよびエタノールを含む溶液から得られた。幾つかの実施形態において、化合物2は、検出可能な量のヘプタン、エタノールまたはヘプタンおよびエタノールの組み合わせを含む。
幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、20ppm未満である検出可能な量のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、10ppm未満である検出可能な量のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、2ppm未満である検出可能な量のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、パラジウムを含まない。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、20ppm未満である検出可能な量のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、10ppm未満である検出可能な量のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、2ppm未満である検出可能な量のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルはパラジウムを含まない。
本明細書には、化合物1及び/又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が記載される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、化合物1を含む。他の実施形態において、医薬組成物は、化合物1の薬学的に許容可能な塩を含む。幾つかの実施形態において、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、化合物2である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、賦形剤、希釈剤、および担体の中から選択される、少なくとも1つの薬学的に許容可能な不活性成分をさらに含む。
1つの態様において、本明細書には、a.)化合物1または化合物1の薬学的に許容可能な塩;およびb.)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、を含む医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、化合物1を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、化合物2を含む。1つの態様において、本明細書には、a.)
化合物1の薬学的に許容可能な塩;およびb.)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、を含む医薬組成物が提供される。
幾つかの実施形態において、化合物1は、純度が96%より高い。幾つかの実施形態において、化合物1は、純度が97%より高い。幾つかの実施形態において、化合物1は、純度が98%より高い。幾つかの実施形態において、化合物1は、純度が99%より高い。幾つかの実施形態において、化合物2は、純度が96%より高い。幾つかの実施形態において、化合物2は、純度が97%より高い。幾つかの実施形態において、化合物2は、純度が98%より高い。幾つかの実施形態において、化合物2は、純度が99%より高い。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、10ppm未満のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、5ppm未満のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、2ppm未満のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、1ppm未満のパラジウムを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、パラジウムを含まない。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、哺乳動物への経口投与に適している形態である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、丸薬、カプセル剤、錠剤、水溶液、水性懸濁液、非水溶液、または非水性懸濁液の形態である。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤の形態である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、即時放出錠剤、腸溶錠、または持続放出錠剤の形態である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、吸湿コーティング錠剤(moisture barrier coated tablet)の形態である。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、カプセル剤の形態である。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、水溶液または水性懸濁液の形態である。
幾つかの実施形態において、医薬組成物の単一用量は、化合物1の約0.3mgから約600mgまでを含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物の単一用量は、化合物1の薬学的に許容可能な塩の約0.3mgから約600mgまでを含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物の単一用量は、化合物2の約0.3mgから約600mgまでを含む。
幾つかの実施形態において、絶食状態の健康な成人の被験体に投与される時の医薬組成物の単一用量は、Cmaxで全血中のエキソビボのPGD2刺激された好酸球形態変形の80〜100%の阻害を提供する。
幾つかの実施形態において、絶食状態の健康な成人の被験体に投与される時の医薬組成物の単一用量は、投与の約24時間後に、全血中のエキソビボのPGD2刺激された好酸球形態変形の約25〜100%の阻害を提供する。
幾つかの実施形態において、絶食状態の健康な成人の被験体に投与される時の医薬組成物の単一用量は、投与の約24時間後に、全血中のエキソビボのPGD2刺激された好酸球形態変形の約30〜70%の阻害を提供する。
1つの態様において、a)化合物1または[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(化合物1)の薬学的に許容可能な塩;およびb)少なくとも1つの不活性な医薬成分、を含む経口固形剤型の医薬組成物が提供される。1つの態様において、a)化合物1;およびb)少なくとも1つの不活性な医薬成分、を含む経口固形剤型の医薬組成物が提供される。1つの態様において、a)[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(化合物1)の薬学的に許容可能な塩;およびb)少なくとも1つの不活性な医薬成分、を含む経口固形剤型の医薬組成物が提供され、ここで、薬学的に許容可能な塩は、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、L-アルギニン塩およびL-リジン塩、またはN-メチル-D-グルカミン塩である。
幾つかの実施形態において、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(化合物1)の薬学的に許容可能な塩は、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸、ナトリウム塩(化合物2)である。
幾つかの実施形態において、経口固形剤型の医薬組成物は、錠剤、丸薬またはカプセル剤の形態である。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、約1mg、約3mg、約10mg、約30mg、約60mg、約100mg、約200mg、約250mg、約300mgまたは約600mgの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、約1mg、約3mg、約10mg、約30mg、約60mg、約100mg、約200mg、約250mg、約300mgまたは約600mgの化合物1を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、約1mg、約3mg、約10mg、約30mg、約60mg、約100mg、約200mg、約250mg、約300mgまたは約600mgの化合物2を含む。
幾つかの実施形態において、経口固形剤型は、錠剤の形態である。幾つかの実施形態において、経口固形剤型は、即時放出錠剤、腸溶錠、または持続放出錠剤の形態である。幾つかの実施形態において、経口固形剤型は、即時放出錠剤の形態である。幾つかの実施形態において、経口固形剤型は、吸湿コーティング錠剤の形態である。
幾つかの実施形態において、経口固形剤型の医薬組成物は、約10重量%から約20重量%までの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩を含む。幾つかの実施形態において、経口固形剤型の医薬組成物は、約10重量%から約20重量%までの化合物1を含む。幾つかの実施形態において、経口固形剤型の医薬組成物は、約10重量%から約20重量%までの化合物2を含む。
幾つかの実施形態において、経口固形剤型の医薬組成物は、カプセル剤の形態である。
幾つかの実施形態において、カプセル剤は、硬ゼラチンカプセルまたはハイプロメロース(HPMC)カプセルの形態である。幾つかの実施形態において、カプセル剤は、硬ゼラチンカプセルまたはハイプロメロース(HPMC)カプセルに加えて、少なくとも1つの賦形剤を含む。
1つの態様において、哺乳動物への投与の後に、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(化合物1)の少なくとも1つの代謝物質を提供する、医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの代謝物質は、2-(2'-((エチルアミノ)メチル)-6-メトキシ-4'-(トリフルオロメチル)ビフェニル-3-イル)酢酸(M1);[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸のアシルグルクロニド(acyl gluconuride)(M2);[2'-(1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(M3);[2'-(3-ベンジル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(M6);[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-ヒドロキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(M8);またはそれらの組み合わせの中から選択される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの代謝物質は、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸のアシルグルクロニドである。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載されるような医薬組成物である。
また、本明細書に記載されるような経口医薬組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における呼吸器疾患または疾病、炎症性疾患または疾病またはアレルギー性疾患または疾病、またはそれらの組み合わせを処置または予防する方法が提供される。
幾つかの実施形態において、呼吸器疾患または疾病、炎症性疾患または疾病またはアレルギー性疾患または疾病は、喘息、成人型呼吸窮迫症候群、等炭酸ガス性過呼吸(isocapnic hyperventilation)、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、肺高血圧症、嚢胞性線維症、アレルギー性眼疾患または疾病、炎症性眼疾患または疾病、アレルギー性皮膚疾患または疾病、または炎症性皮膚疾患または疾病である。
幾つかの実施形態において、呼吸器疾患または疾病、炎症性疾患または疾病またはアレルギー性疾患または疾病は、喘息、鼻炎、皮膚炎、眼炎症、または結膜炎である。
また、本明細書に記載されるような経口医薬組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における喘息を処置または予防する方法が提供される。幾つかの実施形態において、喘息は、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、急性重症喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、小児期発症の喘息、成人期発症の喘息、咳型喘息、好中性喘息、職業性喘息、ステロイド抵抗性喘息、または季節性喘息である。
また、本明細書に記載されるような経口医薬組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における鼻炎を処置する方法が提供される。幾つかの実施形態において、鼻炎は、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、アレルゲン誘発性鼻炎、アスピリン感受性鼻炎、小児期発症の鼻炎、成人期発症の鼻炎、職業性鼻炎、ステロイド抵抗性鼻炎、季節性鼻炎、通年性鼻炎、副鼻腔炎、または鼻ポリープ症(rhinopolyposis)である。幾つかの実施形態において、鼻炎は、アレルギー性鼻炎である。
また、本明細書に記載されるような経口医薬組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置する方法が提供される。
幾つかの実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
幾つかの実施形態において、方法は、吸入コルチコステロイド、短時間作用型ベータアゴニスト、長時間作用型ベータアゴニスト、ロイコトリエンモジュレーター、および抗ヒスタミン剤から選択される、少なくとも1つの追加の医薬品を哺乳動物に投与する工程をさらに含む。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、吸入コルチコステロイド、短時間作用型ベータアゴニスト、長時間作用型ベータアゴニスト、ロイコトリエンモジュレーター、および抗ヒスタミン剤から選択される、少なくとも1つの追加の医薬品をさらに含む。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)キャップを備えた高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル中に、本明細書に記載される経口固形剤形の医薬組成物の複数の単位用量を含む製品が提供される。
幾つかの実施形態において、高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルは、アルミホイル誘発シールおよびシリカゲル乾燥剤をさらに含む。
また、ヒトにおける呼吸器疾患または疾病の処置または予防のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用が提供される。
また、ヒトにおける喘息の処置または予防のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用が提供される。幾つかの実施形態において、喘息は、持続性であり、抑制されない喘息である。
また、ヒトにおける鼻炎の処置または予防のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用が提供される。幾つかの実施形態において、鼻炎は、アレルギー性鼻炎である。
また、ヒトにおける慢性閉塞性肺疾患の処置のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用が提供される。
また、ヒトにおける眼疾患または疾病の処置または予防のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用が提供される。 幾つかの実施形態において、眼疾患または疾病は、結膜炎である。
また、ヒトにおける皮膚疾患または疾病の処置のために、製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用が提供される。幾つかの実施形態において、皮膚疾患または疾病は、皮膚炎である。
本明細書の特定の実施形態において、哺乳動物においてDP2受容体を拮抗(antagonizes)し、40μMまたは50μMまでの用量で、CYP 3A4、CYP 1A2、CYP 2A6、CYP 2B6、CYP 2C8、CYP 2C9、CYP 2C19、CYP 2D6、およびCYP 2E1から選択される少なくとも1つのシトクロムP450酵素を実質的に阻害しない活性成分を含む医薬組成物が記載される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、40μMまで、または50μMまでの用量で、シトクロムP450 CYP 3A4、CYP 2C9、CYP 1A2、CYP 2C19、またはCYP 2D6を実質的に誘動しない。特定の実施形態において、活性成分は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩である。具体的な実施形態において、活性成分は化合物1である。別の具体的な実施形態において、活性成分は化合物2である。
本明細書の特定の実施形態において、a)化合物2;およびb)随意に少なくとも1つの不活性な医薬成分、を含む経口固形剤型の医薬組成物が記載される。具体的な実施形態において、経口固形剤型の医薬組成物は、カプセル剤の形態である。より具体的な実施形態において、カプセル剤は、硬ゼラチンカプセルまたはハイプロメロース(HPMC)カプセルである。様々な実施形態において、本明細書に記載されるカプセル剤は、少なくとも1つの賦形剤を含むか、または賦形剤を含まない。
1つの態様において、哺乳動物におけるPGD2依存のまたはPGD2媒介の疾患または疾病を処置するための方法が提供され、該方法は、哺乳動物に有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む。
1つの態様において、哺乳動物に有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、炎症性の及び/又はアレルギー性の疾病を有する哺乳動物を処置するための方法が提供される。
1つの態様において、本明細書には、哺乳動物における炎症性の及び/又はアレルギー性の疾病の処置または予防に使用するための活性成分としての、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に記載されるような経口医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、活性成分は、化合物1である。他の実施形態において、活性成分は、化合物2である。
1つの態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において炎症を処置するための方法がある。
1つの態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において呼吸器疾患を処置するための方法がある。呼吸器疾患は、限定されないが、成人呼吸窮迫症候群およびアレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、急性重症喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、等炭酸ガス性過呼吸、小児期発症の喘息、成人期発症の喘息、咳型喘息、職業性喘息、ステロイド抵抗性喘息、季節性喘息、アレルギー性鼻炎、血管運動神経性鼻炎、血管反応、エンドドキシンショック、線維成長、肺線維症、アレルギー性疾患、慢性炎症、および成人呼吸窮迫症候群を含む。この態様の具体的な実施形態において、呼吸器疾患は、喘息である。
1つの態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において鼻炎を処置または予防するための方法がある。鼻炎は、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、アレルゲン誘発性鼻炎、アスピリン感受性鼻炎、小児期発症の鼻炎、成人期発症の鼻炎、職業性鼻炎、ステロイド抵抗性鼻炎、季節性鼻炎、通年性鼻炎、副鼻腔炎、および鼻ポリープ症を含む。
1つの態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において慢性閉塞性肺疾患を処置するための方法がある。慢性閉塞性肺疾患は、限定されないが、慢性気管支炎または肺気腫、肺高血圧症、間質性肺線維症及び/又は気道炎症ならびに嚢胞性線維症を含む。
1つの態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において増加した粘膜分泌及び/又は浮腫を予防するための方法がある。
1つの態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において好酸球及び/又は好塩基球及び/又は樹状細胞及び/又は好中球及び/又は単球の動員を予防するための方法がある。
別の態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において眼疾患(例えば、眼炎症、アレルギー性結膜炎、春季角結膜炎および乳頭様結膜炎)を予防するための方法がある。
別の態様において、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を少なくとも1回投与する工程を含む、哺乳動物において好酸球の動員または活性化を含む、急性または慢性障害を予防または処置するための方法がある。
前述の態様のいずれかにおいて、哺乳動物は、ヒトである。前述の態様のいずれかにおいて、哺乳動物はヒトであり、その前述の態様のいずれかは、(a)ヒトが、喘息性の疾病、またはアレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、急性重症喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、小児期発症の喘息、成人期発症の喘息、咳型喘息、職業性喘息、ステロイド抵抗性喘息、季節性喘息、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、アレルゲン誘発性鼻炎、アスピリン感受性鼻炎、小児期発症の鼻炎、成人期発症の鼻炎、職業性鼻炎、ステロイド抵抗性鼻炎、季節性鼻炎、通年性鼻炎、副鼻腔炎、鼻ポリープ症、および慢性閉塞性肺疾患からなる群から選択される、1つ以上の他の疾病を有する、実施形態を含む。
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の単回投与を含むさらなる実施形態があり、該実施形態は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が、(i)1日1回投与され;(ii)1日2回投与され;または(iii)1日の期間にわたって複数回投与される、さらなる実施形態を含む。
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量の化合物の複数回投与を含むさらなる実施形態があり、該実施形態は、(i)化合物が、単一用量で投与され;(ii)複数回投与の間隔は、6時間毎であり、(iii)複数回投与の間隔は、8時間毎であり;(iv)複数回投与の間隔は、12時間毎である、さらなる実施形態を含む。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、哺乳動物に毎日投与される。
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、(a)化合物2が哺乳動物に毎日投与される、第1期間;および(b)化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が、(a)と比較して、減少された量において哺乳動物に投与される、少なくとも7日間の第2期間、を含む治療周期で投与される。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される処置または予防の方法は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の投与が一時的に停止される、または投与されている用量が一時的に減少される休薬期間を含み;休薬期間の終わりに、投薬は再開される。幾つかの実施形態において、休薬期間の長さは、2日から1年の間で変化する。
1つの態様において、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)は、呼吸器疾患または疾病のその症状がコルチコステロイドによって十分に抑制されない哺乳動物において、PGD2依存のまたはPGD2媒介の呼吸器疾患または疾病の処置のための薬剤の製造に使用される。具体的な実施形態において、呼吸器疾患または疾病は、喘息である。
任意の疾患または疾病を処置するための化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が、本明細書に開示される。
任意の用途および方法に使用するための化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を含む医薬組成物が、本明細書に開示される。
哺乳動物において、任意の疾患を処置または予防するための薬剤の製造における化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用が、本明細書に開示される。1つの態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)は、哺乳動物における呼吸器疾患または疾病の処置に使用される。
1つの態様において、ヒトにおける喘息の処置のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用がある。1つの態様において、ヒトにおけるアレルギー性鼻炎の処置または予防のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用がある。1つの態様において、ヒトにおける慢性閉塞性肺疾患の処置のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用がある。1つの態様において、ヒトにおける眼疾患の処置のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用がある。1つの態様において、ヒトにおける皮膚疾患の処置のために、薬剤の製造のための化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の使用がある。
1つの態様において、本明細書には、(1)化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の用量;および(2)哺乳動物において通常存在する、UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ酵素のインヒビター、を哺乳動物に経口投与する工程を含む、健康なヒト患者において、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の経口投与量の生物学的利用率を増加させる方法が記載される。
炎症の予防または処置を含む前述の態様のいずれかにおいて、(a)哺乳動物において炎症を監視すること;(b)哺乳動物において気管支収縮を測定すること;(c)哺乳動物において好酸球及び/又は好塩基球及び/又は樹状細胞及び/又は好中球及び/又は単球及び/又はリンパ球の動員を測定すること;(d)哺乳動物において粘膜分泌を監視すること;(e)哺乳動物において粘膜浮腫を測定すること;及び/又は(e)哺乳動物においてPGD2誘発性好酸球形態変形(ESC)の阻害を測定すること;及び/又は(f)哺乳動物においてTh2サイトカインレベルを測定すること、を含むさらなる実施形態がある。
また、本明細書には、化合物1およびその薬学的に許容可能な塩の調製のためのプロセス(process)が記載される。1つの態様において、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、化合物2である。
1つの態様において、(1)化合物2の固形物を得るためにエタノールから化合物2を濃縮する工程;(2)濾過性のスラリーを形成するために、工程(1)の化合物2にヘプタンを加える工程;および(2)非結晶化合物2を提供するために、工程(2)から形成される固形物を分離する工程、を含む非結晶化合物2の調製のためのプロセスが記載される。
1つの実施形態において、本明細書には、
(1)RがC1-C6アルキルである、式Vの化合物:
またはその塩を、ベンジルアミンに続いて、(i)ベンジルイソシアナート、または(ii)ホスゲンと反応させ、式VIの化合物:
を提供する工程;
(2)化合物1を提供するための式VIの化合物のエステル基の加水分解の工程、を含む[2'-(3-ベンジル-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸(化合物1)の合成のためのプロセスが記載される。
幾つかの実施形態において、式Vの化合物は、
RがC1-C6アルキルである、式IVの化合物:
を適切な溶媒中で還元剤の存在下において、エチルアミン、またはその塩と反応させることによって調製される。
幾つかの実施形態において、還元剤は、ヒドリド反応剤である。幾つかの実施形態において、還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムである。
幾つかの実施形態において、式IVの化合物は、
(a)RがC1-C6アルキルであり、Rbがボロン酸またはボロン酸エステルである、式IIIの化合物:
を、Xが脱離基である、
と、カップリング触媒、適切な塩基の存在下、および適切な溶媒中で(in the presence of a coupling catalyst, a suitable base, and in a suitable solvent)反応させ、式IVの化合物を提供することによって;または
(b)Rbがボロン酸またはボロン酸エステルである、式VIIの化合物:
を、RがC1-C6アルキルであり、Xが脱離基である、化学式IIの化合物:
と、カップリング触媒、適切な塩基の存在下、および適切な溶媒中で反応させ、式Vの化合物を提供することによって調製される。
幾つかの実施形態において、カップリング触媒は、パラジウム触媒である。
幾つかの実施形態において、適切な塩基は、有機塩基または無機塩基である。幾つかの実施形態において、適切な塩基は、有機塩基である。幾つかの実施形態において、適切な塩基は、無機塩基である。幾つかの実施形態において、適切な塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムである。
幾つかの実施形態において、適切な溶媒は、Suzuki反応において使用される溶媒である。幾つかの実施形態において、適切な溶媒は、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水、またはそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、適切な溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水、またはそれらの組み合わせである。
幾つかの実施形態において、Rは、C1-C4アルキルである。幾つかの実施形態において、Rは、‐CH3、‐CH2CH3、‐CH2CH2CH3、‐CH(CH3)2、‐CH2CH2CH2CH3、または‐C(CH3)3である。幾つかの実施形態において、Rは、‐CH3または‐CH2CH3である。
幾つかの実施形態において、Xは、ハロゲン化合物またはトリフラートである。幾つかの実施形態において、Xは、Cl、Br、I、または-OSO2CF3である。
幾つかの実施形態において、Rbは、
である。
幾つかの実施形態において、Rbは、
である。幾つかの実施形態において、Rbは、
である。幾つかの実施形態において、Rbは、
である。
開示されるプロセスは、化合物1、およびその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の合成を提供する。本明細書に開示されるプロセスは、化合物1およびその薬学的に許容可能な塩の大規模化学生産に特に適用可能である。本明細書にはまた、よい溶解度およびよい経口の生物学的利用率を有する好収率における、化合物2の調製のためのプロセスが記載される。
本明細書に記載される方法および組成物の他の目的、特徴、利点は、後述する詳細な説明から明らかになるだろう。しかし、詳細な説明および具体的な例は、具体的な実施形態を示しているが、本発明の精神および範囲内での様々な変化および修正は、この詳細な説明から当業者に明白となるため、例示目的としてのみ与えられることを理解されたい。
プロスタグランジンD2(PGD2)は、シクロオキシゲナーゼおよびPGD2シンターゼによるアラキドン酸の代謝に由来する酸性脂質である。PGD2は、喘息、鼻炎、およびアトピー性皮膚炎などの疾患における反応性アレルギー炎に反応するのみでなく、局所的組織損傷にも反応して、マスト細胞、マクロファージおよびTh2リンパ球により生成される。より具体的には、気管支の気道に適用された外因性のPGD2は、急性喘息の特徴である多くの反応を引き出す。
PGD2は、2つの受容体、D型プロスタノイド(DP、DP1としても知られている)受容体と、Th2細胞上に発現する化学誘引物質−ホモログ分子(chemoattractant recdptor−homologous molecule expressed on Th2 cells)(CRTH2、DP2としても知られている)受容体、とを介して作用する主要なマスト細胞生成物である。DP2は、好酸球、好塩基球、及び、Th2リンパ球の走化性を媒介し、DP1受容体は、好酸球の輸送に重要な役割を果たす。DP1アンタゴニストは、DP2−選択的アゴニストによって誘導される際、好酸球の放出を抑制しない。しかしながら、ヒトの骨髄検体における好酸球は、同様のレベルのDP1及びDP2受容体を発現し、そして、ヒト末梢血は、DP1とDP2の両方を発現するが、DP1受容体は、より低レベルで発現する。このことに一致して、ヒト末梢血の好酸球の走化性は、DP1及びDP2アンタゴニスト双方によって抑制される。従って、DP1、DP2、及び、デュアルDP1/DP2のアンタゴニスト(dual DP1/DP2 antanonists)は、アレルギー性炎症の処置に有用である。
DP2の活性化は、TH2リンパ球、好酸球、および好塩基球の走化性及び活性化に関連付けられる。特に、PGD2はDP2と結合し、細胞内カルシウムレベルのGi−依存の上昇、及び、環状AMPの減少を介して、その作用の多くを媒介する。TH2リンパ球において、IL4、IL5、及び、IL13のサイトカイン産生も、DP2の活性化によって刺激される。これらのサイトカインは、ほんの一例ではあるが、免疫グロブリンEの生成、気道応答、粘液分泌、および好酸球動員を含む、多くの生物学的作用に関係してきた。
CRTH2およびDP2という用語は、同じ受容体について言及しており、本明細書で互換的に使用される。同様に、DPの別の一般名はDP1であり、この2つの用語は、本明細書で互換的に使用される。DP2およびDP2受容体は互換的に使用される。
喘息および他のアレルギーの炎症性の状態で、マスト細胞はPGD2(喘息の多くの兆候を仲介するプロスタグランジン経路における炎症性メディエ−タ−)を産生する。DP2受容体は、好酸球、好塩基球、Th2細胞の活性化および走化性、およびIL−4、IL−5およびIL−13などのTh2サイトカインの放出を含む、喘息において重要なPGD2の炎症誘発反応を仲介する。
嚢胞性線維症の患者において、DP2受容体は、唾液好中球上に発現し、循環好中球上に発現せず(Tirouvanziam, R., et al., 2008. Proc. Nat. Acad. Sci. USA 105:4335−4339)、これは、重篤な、非アレルギー性喘息、コルチコステロイド抵抗性喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)において観察されるような好中球媒介性気道炎症におけるDP2に関する役割を示す。
DP2受容体のPGD2に媒介された活性化を阻害することは、DP2アンタゴニストを使用する前臨床研究において、何の特定の安全性に対する懸念にも関係していなかった。ノックアウトマウスは健康で繁殖力があり、多くの研究は、DP2欠乏マウスがアレルギー性炎症反応から保護されることを示した(Pettipher, R., et al., 2007. Nature Drug Discovery 6: 313−325)。
喘息、アレルギー性鼻炎およびCOPDのための臨床試験において多くの選択的DP2アンタゴニストがあるが、販売されている選択的DP2アンタゴニストはない。
化合物1は、選択的で、経口的に生物が利用可能な、小分子DP2アンタゴニストである。化合物1は、高親和性でDP2受容体に競合的に結合し(ヒト血清アルブミンの場合、IC50=12.2nM)、完全なアンタゴニストである。化合物1は、ヒト全血へPGD2を加えることによって刺激される好酸球形態変化(ESC)の阻害により測定されるように(IC50=2.7nM)、DP2受容体の機能活性を阻害する。DP2受容体を用いたインビトロのシンチレーション接近アッセイ(SPA)実験は、化合物1がPGD2より長いオフレート(off−rate)を有していることを示した。いくつかの実施形態において、PGD2より長いDP2受容体からのオフレートは、インビボでの長期の薬力学的効果を提供する。
化合物1は、アレルギー性鼻炎、喘息および白血球動員の前臨床および臨床の薬理学モデルにおいて活性であることが示された。1つの実施形態において、デ−タは、1日1回の経口投与を支援する。
<疾患又は疾病>
化合物1またはその薬学的な塩(pharmaceutically salt)(例えば化合物2)は、哺乳動物においてPGD2依存性またはPGD2媒介性の疾患または疾病の処置または予防において使用される。用語「PGD2依存性」は、本明細書において使用される場合、PGD2が存在しないと生じない、または同じ程度までは生じない疾病は障害を表す。用語「PGD2媒介性」は、本明細書において使用される場合、PGD2が存在しなくても生じることもあるが、PGD2が存在すると生じ得る疾病又は障害を表す。
1つの態様において、PGD2依存性またはPGD2媒介性の疾患または疾病は、限定されないが、喘息、鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧症、間質性肺線維症、嚢胞性線維症、関節炎、アレルギー、乾癬、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、脳卒中、関節炎、創傷治癒、エンドトキシンショック、癌、疼痛、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸疾患(EGID)、特発性好酸球増多症候群、耳炎、気道狭窄、粘液分泌、鼻詰まり、血管透過性亢進および好酸球動員、蕁麻疹、副鼻腔炎、ブドウ膜炎、血管性浮腫、アナフィラキシー(anaphylaxia)、慢性咳およびチャーグストラウス症候群を含む。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、呼吸器疾患または疾病、アレルギー性疾患または疾病、及び/又は炎症性疾患または疾病の処置において使用される。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、呼吸器疾患または疾病の処置において使用される。
用語「呼吸器疾患」は、本明細書において使用される場合、鼻、喉、喉頭、耳管、気管、気管支、肺、関連する筋肉(例えば、横隔膜及び肋間)、及び神経などの、呼吸に関連する臓器に影響を及ぼす疾患を指す。呼吸器疾患は、喘息、成人呼吸窮迫症候群及びアレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、重症急性喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、等炭酸ガス性過換気症、好中球喘息、小児期発症の喘息、成人期発症の喘息、咳型喘息、職業性喘息、ステロイド耐性喘息、季節性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、慢性気管支炎又は肺気種を含む慢性閉塞性肺疾患、肺高血圧症、間質性肺線維症、及び/又は気道炎症並びに嚢胞性線維症及び低酸素症などの疾患を含むが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、呼吸器疾患または疾病は喘息である。用語「喘息」は、本明細書において使用される場合、あらゆる原因(内因性、外因性、又はその両方、アレルギー性又は非アレルギー性)の気道狭窄に関連する、肺気流の変動により特徴付けられる、肺のあらゆる障害を指す。喘息という用語は、原因を示すため1以上の形容詞と共に用いられることもある。幾つかの実施形態において、喘息のタイプは、アレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、急性重症喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、小児期発症の喘息、成人期発症の喘息、咳型喘息、好中球性喘息、職業性喘息、ステロイド抵抗性喘息、または季節性喘息である。
喘息は、多くの細胞および細胞成分が役割を果たす気道の慢性炎症性障害である。気道過敏性に関連した慢性炎症は、特に夜または早朝における、喘鳴、息切れ、胸部絞扼感および咳嗽の再発性発症につながる。これらの発症は、通常、広範囲にわたる、しかし変化し易い気流閉塞症(これは、しばしば、自然にか処置によるかのいずれかで可逆的である)に関係する。
持続性の、軽症、中程度、および重症の喘息おいて、未だ著しい医学的必要性がある。喘息の抑制は、処置への段階的なアプローチにもかかわらず、必ずしも達成されるとは限らない。長期的には、肺機能は、不可逆の閉塞症の進行により変わり得る。その疾病の進化は、予期せず突然、緊急処置室へ入ることになり得る。吸入されたまたは経口のコルチコステロイドに関して抑制されない患者は、以下の兆候の多くを示す:少なくとも週に2度の症状、活性の制限、頻繁な夜行性の症状および目覚め、救助吸入器の頻繁な使用、週に1度までの悪化、および肺機能の低減(FEV1<80%予測)。抑制されない喘息を患う患者に新しい処置の選択肢を提供するために、新規の、経口の抑制薬(controller medicine)に対する必要性が存在する。
アレルギー性炎症に対する化合物1の作用機構のために、化合物1は、現在の治療により十分に抑制されないアレルギー喘息の患者にとって治療上の選択肢である。幾つかの実施形態において、処置の効果は非アレルギー性喘息において得られる。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、持続性の抑制されない喘息の慢性処置において使用される。持続性の抑制されない喘息は、現在の治療(例えばステロイド抵抗性喘息)により十分に抑制されない喘息であると特徴づけられる。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、アレルギー疾患または疾病の処置において使用される。
アレルギー性疾患または疾病は、限定されないが、眼の炎症および結膜炎、春季角結膜炎、乳頭結膜炎、鼻炎、喘息、皮膚炎を含む。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、眼の疾患または疾病の処置において使用される。用語「眼の疾患または疾病(ocular disease or condition)」は、本明細書において使用される場合、片目又は両目に影響を及ぼし、同様に周辺組織に対し潜在的に影響を及ぼす疾患を指す。眼の疾患又は疾病は、眼の炎症、結膜炎、網膜炎、強膜炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、春期カタル結膜炎、乳頭性結膜炎またはブドウ膜網膜炎などを含むが、これらに限定されない。
1つの態様において、アレルギー性疾患または疾病は、鼻炎である。用語「鼻炎」は、本明細書において使用される場合、あらゆる原因(内因性、外因性、又はその両方、アレルギー性又は非アレルギー性)による鼻の内粘膜の炎症が存在する、鼻のあらゆる障害を指す。幾つかの実施形態において、鼻炎は、限定されないが、アレルギー性(外因性)鼻炎、非アレルギー性(内因性)鼻炎、慢性鼻炎、アレルゲン誘発性鼻炎、アスピリン感受性鼻炎、小児期発症の鼻炎、成人期発症の鼻炎、職業性鼻炎、ステロイド抵抗性鼻炎、季節性鼻炎、通年性鼻炎、副鼻腔炎及び鼻ポリ−プ症(rhinopolyposis)を含む。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、哺乳動物におけるアレルギー性鼻炎の処置において使用される。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、哺乳動物におけるI型過敏症の処置において使用される。I型過敏症は、アレルゲンへの曝露によって引き起こされたアレルギー反応である。曝露は、食物摂取、吸入、注入または直接接触により得る。I型過敏症の制限しない例としては、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー、血管浮腫、アレルギー性皮膚炎、蕁麻疹、好酸球増多症、ペニシリンアレルギー、セファロスポリンアレルギー、食物アレルギーが挙げられる。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、皮膚病の処置において使用される。皮膚病は、湿疹、乾癬、心因掻痒、蕁麻疹(uticaria)、天疱瘡、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、剥脱性皮膚炎、刺激性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、熱に誘発された皮膚炎(thermal induced dermatitis)、薬物誘発性皮膚炎、アトピー性湿疹、脂漏性皮膚炎、汗疱状皮膚炎(汗疱としても知られている)、丘疹性蕁麻疹(昆虫刺傷反応の後にしばしば表われる皮膚炎のパターン)および過敏性反応を含むが、これらに限定されない。
アレルギー性皮膚炎は、典型的には、外部の化合物、保存料、香料または植物との接触の結果である。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、慢性閉塞性肺疾患の処置において使用される。慢性閉塞性肺疾患は、限定されないが、慢性気管支炎または肺気腫、肺高血圧症、間質性肺線維症及び/又は気道炎症ならびに嚢胞性線維症を含む。
1つの態様において、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩は、好中球性炎症の処置において使用される。好中球炎症は、多くの炎症性疾患または疾病に関係する。好中球性炎症は、呼吸器疾患または疾病、またはアレルギー性疾患または疾病などの多くの炎症性疾患または疾病に関係する。
1つの態様において、本明細書に記載のアッセイは、個体を、DP2アンタゴニスト化合物による治療に対する適切な候補と診断する。1つの態様において、個体は、炎症性疾患または疾病を患う個体を含む。1つの態様において、炎症性疾患又は疾病は、気管支炎症性疾患または疾病である。別の態様において、炎症性疾患または疾病は、アレルギー性疾患または疾病である。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、哺乳動物における炎症性疾患または疾病の処置に使用される。「炎症性疾患または疾病」は、疼痛、熱感、発赤、膨張、及び機能喪失(一次的又は恒久的)の1以上の兆候により特徴付けられる疾患や疾病を指す。1つの態様において、炎症性疾患または疾病は、PGD2が引き金となって起きる。
炎症は多くの形態をとり、下記の1つ以上によって特徴付けられる炎症を含むが、これらに限定されない:急性、接着性、萎縮性、カタル性、慢性、硬化性、散在性、汎発性、浸出性、線維素性、線維性、限局性、肉芽種性、過形成性、肥大性、間質性、転移性、壊死性、閉塞性、実質性、可塑性、生産性、増殖性、偽膜性、化膿性、硬化性、漿液形成性、漿液性、単純性、特異性、亜急性、膿性、毒性、外傷性、及び/又は潰瘍性。
炎症性疾患または疾病は、血管(多発動脈炎、側頭動脈炎);関節(関節性:結晶性、骨−、乾癬性、反応性、リウマチ性、ライターの(Reiter’s));胃腸管(大腸炎);皮膚(皮膚炎);器官(肺、肝臓、膵臓);あるいは複数の器官および組織(全身性紅斑性狼瘡)に影響を与えるものを含む。
炎症性疾患または疾病は、限定されないが、呼吸器疾患または疾病、アレルギー性疾患または疾病)、乾癬、炎症性大腸疾患、成人型呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中、関節炎、創傷治癒、エンドトキシンショック、癌、疼痛、好酸球性食道炎、好酸球関連胃腸障害(EGID)、特発性好酸球症候群、耳炎、気道狭窄、粘液分泌、鼻づまり、増加した微小血管透過性および好酸球の動員、蕁麻疹、副鼻腔炎、ブドウ膜炎、血管浮腫、過敏性、慢性咳、チャーグストラウス症候群、関節リウマチ、強直性脊椎炎、骨関節炎、狼瘡、移植片対宿主疾患、組織移植拒絶反応、虚血の疾病、てんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病、白斑、ヴェーゲナー肉芽腫症、痛風、湿疹、皮膚炎、冠状動脈の梗塞損傷、慢性炎症、平滑筋増殖障害、多発性硬化症および急性白血球媒介性肺傷害を含む。幾つかの実施形態において、炎症性の疾病は、炎症を起こした組織または器官への白血球の浸潤に関連する免疫またはアナフィラキシーの障害である。他の実施形態において、炎症性の疾病は、Tリンパ球活性化に関係している。
幾つかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的な塩(例えば化合物2)は、アレルギー性疾患または疾病の原因である1つ以上のアレルゲンに対する哺乳動物の免疫系を脱感作する(desensitize)ために使用される。1つ以上のアレルゲンに対する免疫系を脱感作することは、患者のアトピー状態の低下を指す。患者のアトピー状態の低下は、例えば、哺乳動物の身体のアレルゲンに反応的な細胞のレベルの低下によって達成される。
幾つかの態様において、本明細書には、哺乳動物に、有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を、少なくとも1回投与する工程を含む、好酸球及び/又は好塩基球及び/又は樹状細胞及び/又は好中球及び/又は単球の動員を予防及び/又は処置するための方法が記載される。
本明細書には、化合物1または薬学的に許容可能な塩を使用する、処置のための組成物、医薬組成物、方法、調製するための方法、生産するための方法、製造するための方法、処置方策(strategy)、薬物動態方策が記載される。
<化合物1、およびその薬学的に許容可能な塩>
「化合物1」または「[2’−(3−ベンジル−1−エチル−ウレイドメチル)−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル]−酢酸」は、以下の構造を有する化合物を指す。
用語「化合物1」の範囲内には、薬学的に許容可能な溶媒和物(水化物を含む)、非晶相、部分的に結晶の形態および結晶の形態(すべての多形を含む)がすべて含まれる。幾つかの実施形態において、化合物1は、非結晶、部分的に結晶、結晶、またはそれらの混合物である。幾つかの実施形態において、化合物1は、非結晶である。幾つかの実施形態において、化合物1は、部分的に結晶である。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶である。
用語「化合物1の薬学的に許容可能な塩」の範囲内には、薬学的に許容可能な溶媒和物(水化物を含む)、非晶相、部分的に結晶の形態および結晶の形態(すべての多形を含む)すべてが含まれる。幾つかの実施形態において、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、非結晶、部分的に結晶、結晶、またはそれらの混合物である。幾つかの実施形態において、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、非結晶である。幾つかの実施形態において、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、部分的に結晶である。幾つかの実施形態において、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、結晶である。
「化合物2」または「[2’−(3−ベンジル−1−エチル−ウレイドメチル)−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル]−酢酸,ナトリウム塩」または「[2’−(3−ベンジル−1−エチル−ウレイドメチル)−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル]−酢酸塩」は、以下の構造を有する化合物を指す。
用語「化合物2」の範囲内には、薬学的に許容可能な溶媒和物(水化物を含む)、非晶相、部分的に結晶および結晶形態(すべての多形を含む)がすべて含まれる。幾つかの実施形態において、化合物2は、非結晶、部分的に結晶、結晶、またはそれらの混合物である。幾つかの実施形態において、化合物2は、非結晶である。幾つかの実施形態において、化合物2は、部分的に結晶である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶である。
多種多様な薬学的に許容可能な塩が化合物1から形成され、次のものを含む:
−化合物1のカルボン酸の酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、マグネシウム又はカルシウム)により置換され、又はアルミニウムカイオン(NH4 +)により置換される場合に形成される塩。
−化合物1を、薬学的に許容可能な有機塩基(コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのアルキルアミンを含む)、およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸を有する塩と反応させることによって形成される塩。
幾つかの実施形態において、化合物1は、塩を形成するためにアミノ酸で処理される。
他の実施形態において、化合物1は、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、アルギニン、リジン、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどにより処理される。
化合物1に関して用語「薬学的に許容可能な塩」は、化合物1の塩を指し、それは、それを投与される哺乳動物に対して著しい刺激作用を引き起こさず、化合物の生物活性および特性を実質的に抑制しない。
薬学的に許容可能な塩への言及が溶媒付加形態(溶媒和物)を含むことは理解されるべきである。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水、メタノール、メチルtert‐ブチルエーテル、イソプロパノール、アセトニトリル、ヘプタンなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた生成物形成または単離のプロセス中に形成される。1つの態様において、溶媒和物は、制限されないが、クラス3の溶媒(Class 3 solvent)を使用して形成される。溶媒のカテゴリーは、例えば、the International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH),Impurities: Guidelines for Residual Solvents, Q3C(R3), (November 2005)において定義されている。水和物は、溶媒が水である場合に形成され、又はアルコラ−トは、溶媒がアルコールの場合に形成される。1つの実施形態において、化合物1の溶媒和物またはその塩は、本明細書に記載のプロセスの間に好都合に調製され、または形成される。さらに、化合物1またはその塩は、溶媒和されていない形態で存在する。
さらに他の実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)は、限定されないが、非晶相、粉砕された形態(milled form)およびナノ粒子の形態を含む様々な形態で調製される。
<非結晶の化合物1>
幾つかの実施形態において、化合物1は、非結晶である。幾つかの実施形態において、化合物1の非晶相は、結晶度の欠如を示すXRPDパターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物1の非晶相は、54℃で吸熱を示し、これは、物質がそのガラス転移を経る時の、エンタルピー(enthalpic)緩和と一致する。幾つかの実施形態において、化合物1の非晶相は、吸湿性である(1.7%の重量変化で、0%から90%までの相対湿度)。化合物1の非晶相は、化学的に安定している。化合物1の非晶相は、水にやや溶けにくい。
<非結晶の化合物2>
幾つかの実施形態において、化合物2は、非結晶である。幾つかの実施形態において、化合物2の非晶相は、結晶度の欠如を示すXRPDパターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2の非晶相は、示差走査熱量測定法(DSC)によって観察されるように、何の主要な吸熱も示さず;ガラス転移は約100℃で見られる。幾つかの実施形態において、化合物2の非晶相は、吸湿性である(36%の重量変化で、0%から90%までの相対湿度)。化合物2の非晶相は、化学的に安定している。化合物2の非晶相は、水に可溶性である。
XRPDパターンは、制限しない例として、例えば、(a)Siemens D5000回折計において;または(b)Bruker AXS C2 GADDS回折計において、任意の方法で得られる。具体的な実施形態において、XRPDパターンは、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、θ−θゴニオメーター、V20のダイバージェンスおよび受信スリット(divergence of V20 and receiving slits)、グラファイト二次モノクロメーター(a graphite secondary monochromator)、及び/又はシンチレーション計数器を使用して、Siemens D5000回折計において得られる。別の具体的な実施形態において、XRPDパターンは、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、自動化されたXYZステージ、自動サンプルポジショニングのためのレーザービデオマイクロスコープ、HiStar2次元エリア検出器、0.3mmのピンホールコリメータと繋がれたGoebel多層鏡、およそ4mmのビーム発散、θ−θ連続スキャンモード、20cmのサンプル検出距離、3.2°−29.7°の有効な2θ範囲、及び/又は約120秒間のX線ビームへのサンプル曝露を用いて、Bruker AXS C2 GADDS回折計において得られる。
<化合物1のプロドラッグ>
幾つかの実施形態において、化合物1は、プロドラッグとして調製される。「プロドラッグ化合物1」は、インビボで化合物1へと変換される化合物を指す。幾つかの状況では、プロドラッグは、親薬物よりも投与しやすいことがあるという理由から、しばしば役に立つ。例えば、親薬物は経口投与により生物的に利用可能でないが、プロドラッグは、生物学的に利用可能である。プロドラッグは、また、親薬物以上に、医薬組成物中での改善された溶解度を有していることがある。幾つかの実施形態において、プロドラッグは、水溶解度が可動性に有害である細胞膜を介して伝達を促進するが、その後、水溶解度が有益な細胞の内部にあると、代謝的に加水分解され、活性なエンティティ(active entity)であるカルボン酸になる。制限しないプロドラッグの例は、化合物1のエステルである(「プロドラッグ」)。更なるプロドラッグの例は、ペプチドが代謝されて活性部分(active moiety)となる酸性基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であってもよい。
プロドラッグは、一般的に、被験体へ投与され、その後吸収された後、代謝経路による変換のようないくつかのプロセス(process)を経て、活性な、またはより活性な種へ変換される薬物前駆体(drug precursor)である。プロドラッグの中には、活性を和らげ、及び/又は薬物に溶解度或いはいくつかの他の特性を加える、プロドラッグ上に存在する化学基を有するものもある。一旦化学基がプロドラッグから開裂及び/又は変更されると、活性な薬物が生じる。幾つかの状況において、プロドラッグは親薬物よりも投与しやすいため、しばしば役に立つ。特定の実施形態において、化合物1のプロドラッグは、経口で投与された時、化合物1の生物学的利用率を増加させる。更に、いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、化合物1を超える医薬組成物において改善された溶解度を有する。
幾つかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、例えばメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステルのような、化合物1のアルキルエステルである。
化合物1のプロドラッグの制限しない例は、次のものを含む:
<化合物1の代謝物質>
インビボで発生したもの、並びにラット胆汁から並びにラットおよび犬の血漿から分離されたもののみでなく、ラット、犬およびヒトの肝臓ミクロソーム、ラットおよびヒトの肝細胞とともに化合物1を培養する間に形成された化合物1代謝物質が調べられた。大多数の代謝物質の確証的な基準は化学的に統合された。インビトロおよびインビボの代謝物質の同定は、確証的な基準による比較によって、及び/又はLC−MS/MS分析に続いて観察されたフラグメンテーションパターンによって確認された。インビトロで生じた主要な代謝物質は、アシルグルクロニド、脱−ベンジル化(de-benzylation)、ヒドロキシル化およびN−脱−エチル化であるように見える。化合物1の静脈内投与に続いて、ラット胆汁から分離された主要な代謝物質は、アシルグルクロニド、脱−ベンジル化、N−脱−エチル化およびO−脱−メチル化である。これらの動物から尿において、見出されるただ一つの代謝物質は遊離アミンであった。ラット血漿中で循環する代謝物質は、グルクロニド、脱−ベンジル化およびN−脱−エチル化代謝物質であり、ラットにおいて、すべては親のAUCの10%より大きい。犬血漿では、主要な代謝物質は、アシルグルクロニドおよびN−脱−エチル化であり、両方とも、親のAUCの10%(10% parent AUC
)より大きい。ラットと犬の血漿中の他のすべての代謝物質は、親のAUC5%以下
のようである(≦5% parent AUC)。
幾つかの実施形態において、化合物1上の部位は、様々な代謝反応に対して感受性がある。それゆえ、化合物1上の適切な置換基の組み込みは、この代謝経路を減らし、最小化し、又は除去する。具体的な実施形態において、代謝反応に対する芳香環の感受性を減らし、又は最小化する適切な置換基は、ほんの一例ではあるが、ハロゲン、重水素又はアルキル基(例えば、メチル、エチル)である。
幾つかの実施形態において、化合物1は、同位体的に(例えば、放射性同位体を用いて)又は発色団又は蛍光部分、生物発光ラベル、又は化学発光ラベルの使用を含むが、これらに限定されない別の他の手段により標識化される。幾つかの実施形態において、化合物1は、同位体的に標識化され、1つ以上の原子が、大抵は自然に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置換されるという事実を別とすれば、化合物1と同一である。幾つかの実施形態において、1つ以上の水素原子は、重水素で置換される。幾つかの実施形態において、化合物1上の代謝部位は、重水素化される。幾つかの実施形態において、重水素での置換は、例えば、インビボでの半減期の増加又は必要な用量の減少などの、より大きな代謝安定性から生じる治療上の利点を提供する。
1つの態様において、以下の構造を有する化合物が記載される:
式中、各Rは、水素若しくは重水素またはそれらの薬学的に許容可能な塩から独立して選択される。
幾つかの実施形態において、化合物の薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩である。
<化合物1およびその薬学的に許容可能な塩の合成>
化合物1、およびその薬学的に許容可能な塩は、本明細書に記載されるように合成される。更に、本明細書に提示の溶媒、温度、およびその他の反応条件は異なることがある。
本明細書には、化合物1、およびその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の調製のためのプロセスが記載される。
1つの態様において、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えばナトリウム塩)は、模式図1に概説されるように調製される。
化合物IIの臭化物の、化合物IIIなどのボロン酸エステルまたはボロン酸への変換は、ビス(ピナコラート)ジボロン、酢酸カリウムおよび金属触媒により達成される。幾つかの実施形態において、金属触媒は、パラジウム触媒である。1つの態様において、パラジウム触媒は、Pd(dppf)Cl2である。化合物IIIはまた、ブロモの代わりにヨ−ド、クロロまたはトリフラートなどの化合物IIの代替的な形態を使用することにより調製されていてもよい。その後、化合物IIIは、化合物IVを提供するためにSuzuki媒介カップリング条件(Suzuki-mediated coupling conditions)の下、2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドに結合される。1つの態様において、Suzuki媒介カップリング条件は、無機塩基とパラジウム触媒を含む。幾つかの実施形態において、Suzuki媒介カップリング条件は炭酸水素カリウムおよびPd(dppf)Cl2を含む。幾つかの実施形態において、Suzuki媒介カップリング条件は、炭酸カリウムとテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを含む。
パラジウム媒介反応において使用される塩基は、限定されないが、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、トリブチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸カリウムを含む。
ビス(ピナコラート)ジボロンは、化合物IVを提供するために、Suzuki媒介カップリング条件下で2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドと結合される他のボロン酸エステルまたはボロン酸を提供するために、他のホウ素化薬剤(borylating agent)と置換し得る。ホウ素化薬剤は、限定されないが、ピナコールボラン、カテコールボラン、ビス(ネオペンチルグリコナート(glycolato))ジボロン、ビス(ピナコラート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコラート)ジボロン、およびビス(カテコラート(catecholato))ジボロンを含む。他のカップリングの相手は、化合物IIIの代わりに、次のもの:
または一般的な構造:
を有するボロン酸またはボロン酸エステル(式中、Rは、C1−C4アルキルであり、Rbは、他の適切なボロン酸またはボロン酸エステルである)、
を含む。
エチルエステルが模式図1に示されるが、他のアルキルエステルが考慮される。幾つかの実施形態において、メチルエステルを提供するために、メタノールが模式図1の第1工程でエタノールの代わりに使用される。幾つかの実施形態において、イソプロピルエステルを提供するために、イソプロパノールが模式図1の第1工程で使用される。
他の金属は、ビアリールを形成するための他の媒介カップリング反応は、限定されないが、Suzuki反応、Stilleクロスカップリング、Negishiカップリング、Kumadaカップリング、Ullmann反応、Hiyamaカップリング、またそれらの変形を含む(Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions, Armin de Meijere (Editor), Francois Diederich (Editor), John Wiley & Sons; 2nd edition, 2004; Oezdemir, et al., Tetrahedron, 2005, 61, 9791−9798; Ackermann, et al., Org. Lett., 2006, 8, 3457−3460; Blakey, et al., J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 6046−6047; Dai, et al., Org. Lett., 2004, 6, 221−224; Yoshikai, et al, J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 17978−17979; Tang, et al, J. Org. Chem., 2006, 71, 2167−2169; Murata, et al., Synthesis, 2001, 2231−2233)。
幾つかの実施形態において、化合物IVの合成は、生成物中のパラジウムの量を減らす精製工程を含む。生成物中のパラジウムの量を減らす精製工程は、活性な医薬成分がパラジウム使用ガイドラインを満たすように処理される。(“Guideline on the Specification Limits for Residues of Metal Catalysts” European Medicines Agency Pre-authorisation Evaluation of Medicines for Human Use, London, January 2007, Doc. Ref. CPMP/SWP/QWP/4446/00 corr.)。幾つかの実施形態において、生成物中のパラジウムの量を減らす精製工程は、制限されないが、固形物トリメルカプトトリアジン(TMT)、ポリスチレン結合TMT、メルカプト多孔性ポリスチレン結合TMT、ポリスチレン結合エチレンジアミン、活性炭、ガラスビーズスポンジ、Smopex(商標)、シリカ結合スカベンジャー、チオール誘導体化シリカゲル、N−アセチルシステイン、n−Bu3P、結晶、抽出物、l−システインおよびn−Bu3P/乳酸による処理を含む(Garrett et al., Adv. Synth. Catal. 2004, 346, 889-900)。幾つかの実施形態において、活性炭は、DARCOR(登録商標) KBG、DARCOR(登録商標) KB−Wを含むが、に限定されない。1つの態様において、シリカ結合スカベンジャーは、限定されないが、以下を含む:
ここで、
は、シリカゲルを表わす。
幾つかの実施形態において、化合物IVは活性炭により処理される。幾つかの実施形態において、化合物IVは誘導されたシリカゲルにより処理される。幾つかの実施形態において、化合物IVは、チオール誘導体化シリカゲルにより処理される。
幾つかの実施形態において、その後、化合物VIは、模式図2に概説されるように化合物1を提供するために加水分解される。
化合物2に適切な無定形固体およびICH残留溶媒仕様書にあう残留溶媒の除去を保証するために、化合物2はエタノール:ヘプタンスラリーから単離される。
幾つかの実施形態において、化合物IVは、模式図3に概説されるように調製される。
2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドは、化合物VIIを提供するために、模式図1に関して記載されるように、パラジウム媒介反応条件の下、ホウ素化薬剤と反応される。他のホウ素化薬剤は、模式図1に関して上記のように熟考される。化合物IIを化合物VIIとカップリングすると、化合物IVが提供される。化合物IVは、上に記載のように、化合物1または化合物2の合成中に使用される。
幾つかの実施形態において、化合物VIは、模式図4に概説されるように調製される。
2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドの還元的アミノ化は、化合物VIIIを提供し、これは、その後、化合物IXを提供するためにベンジルイソシアナートにより処理される。その後、化合物IXは、Suzuki反応条件の下、化合物IIIと結合される。幾つかの実施形態において、他の金属媒介反応条件は、化合物IIIを化合物IXと反応させるために使用される。
幾つかの実施形態において、化合物VIは、模式図5に概説されるように調製される。
化合物IXは、その後、パラジウム触媒の存在下でホウ素化薬剤で処理され、化合物Xを提供する。化合物Xは、その後、Suzuki反応条件の下、化合物IIと結合され、化合物VIを提供する。幾つかの実施形態において、他の金属媒介反応条件が、化合物Xを化合物IIと結合させるために使用され、化合物VIを提供する。
幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中で水酸化カリウムにより処理され、化合物1(カリウム塩)を形成する。幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中で水酸化リチウムにより処理され、化合物1(リチウム塩)を形成する。幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中で水酸化カルシウムにより処理され、化合物1(カルシウム塩)を形成する。
幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中でジシクロヘキシルアミンにより処理され、対応する塩を形成する。幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中のN−メチル−D−グルカミンにより処理され、対応する塩を形成する。幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中でコリンにより処理され、対応する塩を形成する。幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中でトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンにより処理され、対応する塩を形成する。
幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中でアルギニンにより処理され、対応する塩を形成する。幾つかの実施形態において、化合物1は、溶媒中でリジンにより処理され、対応する塩を形成する。
<適切な溶媒>
ヒトなどの哺乳動物に投与可能な治療薬は、以下の規制ガイドラインにより調製されなければならない。このような政府に規制されたガイドラインは、製造及び品質管理に関する基準(GMP)と呼ばれる。GMPガイドラインは、例えば最終生産物中の残留溶媒の量のような、活性な治療薬の許容可能な汚染レベルを概説する。好ましい溶媒は、GMP設備で使用するに適していて、産業安全の関心と一致しているものである。溶媒のカテゴリーは、例えば、ヒト使用のための医薬品規制のための技術的要求の調和国際会議(ICH)において定義されている:Impurities: Guidelines for Residual Solvents, Q3C(R3), (November 2005)。
溶媒は、3つのクラスに分類される。クラス1の溶媒は有毒で回避されることになっている。クラス2の溶媒は、治療薬の製造中の使用に限定された溶媒である。クラス3の溶媒は、より低い有毒な可能性を有し、および健康に対してより低いリスクの溶媒である。クラス3の溶媒に関するデータは、それらが、急性か短期の研究においてそれほど有毒でなく、および遺伝毒性試験においてネガティブであることを示す。
回避されることになっているクラス1の溶媒は、次のものを含む:ベンゼン;四塩化炭素;1,2−ジクロルエタン;1,1−ジクロロエテン;また1,1,1−トリクロルエタン。
クラス2の溶媒の例は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N−メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2−トリクロロエテンおよびキシレンを含む。
低い毒性を有するクラス3の溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、メチルアセテート、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピルおよびテトラヒドロフランを含む。
活性な医薬成分(API)中の残留溶媒は、APIの製造から生じる。いくつかの場合には、溶媒は、実際の生産技術によって完全には取り除かれない。APIの合成のための溶媒の適切な選択は、収量を増やすか、または結晶の形、純度および溶解度など特性を決定し得る。それ故、溶媒は合成プロセスにおける重大なパラメーターである。
幾つかの実施形態において、化合物1の塩を含む組成物は有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物1の塩を含む組成物は、残余の量の有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物1の塩を含む組成物は、残余の量のクラス3の溶媒を含む。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、クラス3の溶媒である。幾つかの実施形態において、クラス3の溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、メチルアセテート、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピルおよびテトラヒドロフランから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、クラス3の溶媒は、酢酸エチル、イソプロピルアセテート、tert−ブチルメチルエーテル、ヘプタン、イソプロパノールおよびエタノールから選択される。
幾つかの実施形態において、化合物1の塩を含む組成物は、検出可能な量の有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物1の塩はナトリウム塩(すなわち化合物2)である。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、クラス3の溶媒である。
1つの態様において、化合物1の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、コリン塩、プロトン化(protonated)ジシクロヘキシルアミン塩、プロトン化N−メチル−D−グルカミン塩、プロトン化トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、アルギニン塩またはリジン塩である。1つの態様において、化合物1の塩は、ナトリウム塩である。
他の実施形態において、組成物は、化合物2を含み、組成物は、約1%未満の検出可能な量の溶媒を含み、溶媒は、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ヘプタン、および2−プロパノールから選択される。さらなる実施形態において、組成物は、化合物2を含み、組成物は、約5000ppm未満である検出可能な量の溶媒を含む。さらなる実施形態において、組成物は、化合物2を含み、検出可能な量は、約5000ppm未満、約4000ppm未満、約3000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満または約100ppm未満である。
<特定の用語>
特に明記しない限り、明細書と請求項を含む、本出願に用いられる次の用語は、下記の定義を有する。明細書及び添付の請求項において用いられるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈によりそうでないことが明確に示されない限り、複数の参照を含む。そうでないことが示されない限り、当該技術分野内で、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、有機合成生化学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法が、使用される。本出願において、「又は(or)」の使用は、そうでないと明記しない限り、「及び/又は」を意味する。更に、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限的でない。
用語「薬学的に許容可能な賦形剤」は、本明細書に使用されるように、医薬成分(API)を、哺乳動物に対する投与に適している形態へ加工させる担体、希釈剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤などのような物質を指す。1つの態様において、哺乳動物はヒトである。薬学的に許容可能な賦形剤は、化合物(すなわちAPI)の所望の生物活性または所望の特性を実質的に抑止しない物質を指し、および比較的無毒である、すなわち、物質は、不適当な生物学的作用を引き起こさず、または含まれている組成物の任意の構成要素と有害な方法で相互に作用せずに、個体に投与される。
「医薬成分」またはAPIは、所望の生物活性または所望の特性を有する化合物を指す。幾つかの実施形態において、APIは、化合物1である。幾つかの実施形態において、APIは、化合物2である。本明細書には、80%より大きい、85%より大きい、90%より大きい、95%より大きい、96%より大きい、97%より大きい、98%より大きい、98%より大きいまたは99%より大きい純度で、医薬成分(API)、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が提供される。具体的な実施形態において、本明細書には、80%より大きい、85%より大きい、90%より大きい、95%より大きい、96%より大きい、97%より大きい、98%より大きいまたは99%より大きい純度で、医薬成分(API)(化合物2)が提供される。
用語「医薬配合」は、本明細書において使用されるように、1より多い活性成分の混合又組み合わせにより生じた生成物を意味し、活性成分の固定された組み合わせ(fixed combination)と固定されない組み合わせ(non-fixed combination)の両方を含む。用語「固定された組み合わせ」は、活性成分、例えば化合物1、と助剤が、両方とも、単一の実体(entity)又は単一用量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。用語「固定されない組み合わせ」は、活性成分、例えば化合物1、と助剤が、何の具体的な介在的な時間制限なく、同時に、継続的に、又は連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、このような投与は、患者の体内において、二つの化合物の有効なレベルを提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3つ以上の活性成分の投与に適用される。
用語「医薬組成物」は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩および/又は水和物の混合物を指し、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、賦形剤等の他の化学成分を含む。医薬組成物は、哺乳動物への化合物の投与を促進する。
薬剤の組み合わせの投与は、本明細書に使用されるように、単一組成物において、または1以上の薬剤が、少なくとも1つの他の薬剤とは別々に投与される併用療法において記載される薬剤の投与を含む。
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル部分は、分枝鎖、直鎖、または環状である。アルキル基は、「C1−C6アルキル」として指定され得る。1つの態様において、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、アリルブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどから選択される。
「検出可能な量」は、標準分析的方法(例えば、イオンクロマトグラフィー、質量分析法、NMR、HPLC、ガスクロマトグラフィー、元素分析、IR分光法、誘導結合血漿原子発光分析、USP<231>Method IIなど)を使用して測定可能な量を指す(ICH guidances, Q2A Text on Validation of Analytical Procedures (March 1995)およびQ2B Validation of Analytical Procedures: Methodology (November 1996))。
本明細書に使用されているように、製剤、組成物、又は成分に関して、用語「許容可能な」は、処置を受けている被験体の全般的な健康に対し、何の持続的な有害な効果も及ぼさないことを意味する。
用語「有効な量」又は「治療上有効な量」は、本明細書において使用されるように、処置されている疾患または疾病の1以上の症状をある程度和らげる、投与されている薬剤の十分な量を指す。その結果、疾患の兆候、症状、又は原因を減少及び/又は軽減し、或いは生物系の任意の他の所望の改変をもたらすことができる。例えば、治療上の使用に「有効な量」は、疾患の症状を臨床的に大きく減少するのに必要とされる、本明細書に記載の化合物を含む組成物の量である。用語「治療上有効な量」は、例えば、予防に有効な量を含む。具体的な患者および疾患レベルに基づいて、有効な量は選択される。「有効な量」または「治療上有効な量」は、いくつかの実施形態において、投与される薬物の代謝、被験体の年齢、体重、全体的な状態、処置される疾病、処置される疾病の重篤度、主治医の判断がばらつくことによって、被験体ごとに変わることが理解される。1つの実施形態において、任意の個体において適切な「有効」な量は、用量増加試験などの技術を使用して決定される。
用語「同時投与」などは、本明細書に使用されているように、一人の患者に対して選択された治療薬剤の投与を包含することを意味し、同じ又は異なる投与経路、もしくは同じ又は異なる投与時間により薬剤が投与される処置レジメンを含むことが意図されている。
用語「増強する(enhannce)」又は「増強している(enhancing)」は、本明細書において使用されるように、効力又は持続時間のいずれかにおいて、所望の効果を増加又は延長することを意味する。従って、治療薬の効果の増強において、「増強すること(enhancing)」という用語は、効力又は持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増加又は持続させる能力を指す。本明細書において用いられるように、「増強有効量」とは、所望の系において別の治療薬の効果を増強するのに十分な量をいう。
用語「キット」及び「製品」は、同義語として用いられる。
本明細書に開示の化合物の「代謝生成物」は、化合物が代謝される時に形成される、その化合物の誘導体である。用語「活性代謝生成物」は、化合物が代謝される(生体内変換される)時に形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。用語「代謝される」は、本明細書において使用される場合、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(加水分解反応、及び酵素により触媒された反応などを含むが、これらに限定されない)の全体を指す。従って、酵素は、化合物に対して、特定の構造的変化をもたらすことができる。例えば、チトクロムP450は、様々な酸化反応及び還元反応を触媒するが、一方、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼ(UGT)は、活性化グルクロン酸分子を、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、及び遊離スルフィヒドリル基への転移(transfer)を触媒する(例えば、共役反応)。代謝についてのさらに詳しい情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)から得られる。1つの実施形態において、本明細書に開示の化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与及び宿主から採取した組織サンプルの解析により、又はインビトロでの肝細胞を用いた化合物のインキュベーション及び得られた化合物の分析のいずれかにより、同定される。
用語「調節する」は、本明細書で用いられるように、標的の活性を変化させるため標的と直接的または間接的に相互作用することを意味する。標的の活性の変化には、ほんの一例ではあるが、標的の活性の増強、標的の活性の抑制、標的の活性の制限、又は標的の活性の拡大が含まれる。
用語「モジュレータ」は、本明細書において使用されるように、標的と直接的又は間接的のどちらかで相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、およびアンタゴニストの相互作用を含む。
用語「アゴニスト」は、本明細書において使用される場合、特定の受容体に結合し、細胞内で反応を引き起こす化合物、薬物、酵素活性剤、又はホルモンモジュレータなどの分子を表す。アゴニストは、同じ受容体に結合する内因性リガンド(プロスタグランジン、ホルモン、又は神経伝達物質など)の作用を模倣する。
用語「アンタゴニスト」は、本明細書において使用される場合、別の分子の作用又は受容体部位の活性を減少、抑制、又は妨げる化合物などの分子を指す。アンタゴニストは、競合性アンタゴニスト、非競合性アンタゴニスト、不競合性アンタゴニスト、半アゴニスト、または逆アゴニストを含むが、これらに限定されない。
競合性アンタゴニストは、内因性リガンド又はアゴニストと同じ結合部位(活性部位)で受容体に可逆的に結合するが、受容体を活性化しない。非競合性アンタゴニスト(アロステリックアンタゴニストとしても知られている)は、アゴニストから明確に分離された結合部位に結合し、他の結合部位を介してその受容体に作用を及ぼす。
非競合性アンタゴニストは、結合のためにアゴニストと競合しない。結合したアンタゴニストは、受容体のアゴニストの親和性を低下し、又は作動体の結合後に受容体活性化に必要となる、受容体内の立体構造的な変化を妨げることもある。
不競合性アンタゴニストは、分離アロステリック結合部位に結合し得る前に、アゴニストによる受容体活性化を必要とするという点で、非競合性アンタゴニストと異なる。
半アゴニストは、所与の受容体にて、最大受容体占有後に誘発される機能的反応の大きさが異なることがある薬として定義される。半アゴニストはアゴニストであるが、半アゴニストは、完全なアゴニスト(full agonist)と同時投与されるならば、受容体占有に関して完全なアゴニストと競合することから、競合性アンタゴニストとして作用し、完全なアゴニスト単独で観察される受容体活性化の純減(net decrease)を生じる。
逆アゴニストは、アンタゴニストと同じ作用を有し得るが、様々な一連の下流の生物学的反応を引き起こす。内因性または基本活性を示す構築的に活性な受容体は、逆アゴニストを備えることがあり、古典的アンタゴニストなどの結合アゴニストの作用を遮断するだけでなく、受容体の基本活性も阻害する。
用語、「被験体」または「患者」は、哺乳動物を包含する。1つの態様において、哺乳動物はヒトである。別の態様において、哺乳動物は、チンパンジーおよび他の類人猿およびサル類のようなヒト以外の霊長類である。1つの態様において、哺乳動物は、牛、馬、羊、ヤギまたは豚などの家畜である。1つの態様において、哺乳動物は、ウサギ、犬または猫などの家畜である。1つの態様において、哺乳動物は、ラット、マウスおよびモルモットのようなげっ歯類などを含む実験動物である。
「生物学的利用可能性」は、研究されている動物またはヒトの体循環へ送達される、投薬された、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩及び/又は溶媒和物の重量百分率を指す。静脈内に投与された時の薬物の総曝露(AUC(0−∞))は、100%生物学的に利用できる(F%)として通常定義される。「経口バイオアベイラビリティ」は、医薬組成物が経口で摂取される場合、静脈内注射と比較して、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩及び/又は溶媒和物が体循環へ吸収される程度を指す。
「血漿濃度」は、哺乳動物の血液の血漿成分における、化合物1の濃度を指す。化合物1の血漿濃度は、代謝及び/又は他の治療薬との相互作用に関連する変動に起因して、被験体間で有意に変化することが理解される。1つの態様において、化合物1の血中血漿濃度は、被験体ごとに異なる。同様に、最大血漿濃度(Cmax)または最大の血漿濃度に達する時間(Tmax)のような値、または血漿濃度時間曲線下の総面積(AUC(0−∞))は、被験体ごとに異なる。この変動性に起因して、1つの実施形態において、化合物1の「治療上有効な量」を確立するのに必要な量は、被験体ごとに異なる。
「薬物吸収」または「吸収」は、典型的には、薬物の投与の部位から障壁を超えて血管へまたは作用部位への薬物の移動のプロセス(例えば、胃腸管から門脈またはリンパ系への薬物の移動)を指す。
「血清中濃度」または「血漿濃度」は、血清または血漿濃度を記載し、典型的には、投与後に血流へ吸収された、血清1ml、1dlまたは1l当たりの治療薬のmg、μgまたはngで測定される。血漿濃度は、典型的には、ng/mlまたはμg/mlで測定される。
「薬力学」は、作用部位における薬物の濃度に関係して観察された生物学的な反応を決定する因子について言及する。
「薬物動態学」は、作用部位での薬物の適切な濃度の達成と維持を決定するする因子について言及する。
「定常状態」は、本明細書において使用されるように、投与された薬物の量が、1回の投与間隔内に除去された薬の量と等しい場合で、その結果、平坦または一定の血漿薬物曝露をもたらす場合を指す。
本明細書において使用されるように、「処置する(treat)」あるいは、「処置(treatment)」は、障害または疾病にかかりやすいが、しかしまだ障害または疾病を有していると診断されていない被験体に生じる障害または疾病を予防すること;障害または疾病を阻害すること、例えば、障害または疾病の進行を抑止すること、障害または疾病を取り除くこと、障害または疾病の退行を生じさせること、障害または疾病によって生じた症状を緩和すること、または予防的及び/又は治療的のいずれかで症状を停止させること、などの障害または疾病の任意の処置を指す。従って、本明細書に使用されているように、用語「処置」は、用語「予防する(prevent)」と同義的に使用される。
<医薬組成物/製剤>
医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用可能な製剤に処理することを促進する賦形剤及び助剤を含む、1以上の生理学的に許容可能な担体を用いて、従来の方式で処方される。適切な技術、担体および賦形剤は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)内に見出されるものを含み、これらは、それら全体が参照として本明細書に組み込まれる。
経口投与のために、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤と組み合わせることにより調剤される。そのような担体は、処置される患者による経口摂取のために、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が、錠剤、粉末剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁液およびその他同種のものとして調剤されることを可能とする。
医薬組成物は、少なくとも1つの、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と、遊離酸又は遊離塩基の形状、或いは薬学的に許容可能な塩の形状で、活性成分として化合物1を含む。
本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の医薬組成物を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、非結晶の化合物1を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物2を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、非結晶の化合物2を含む。
本明細書に記載の医薬組成物は、(a)化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2);および下記の1つ以上:(b)結合剤;(c)崩壊剤;(d)充填材(希釈剤);(e)潤滑剤;(f)滑剤(流れ促進剤);(g) 圧縮助剤;(h)色素;(i)甘味剤;(j)保存剤;(k)懸濁剤/分散剤;(l)塗膜形成剤/コーティング剤;(m)香味;(o)印刷インク;(p)可溶化剤;(q)アルカリ化剤;(r)緩衝剤;(s)抗酸化剤;(t)発泡剤(effervsescent agent)を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)に加えて、以下の1つ以上を含む:(a)ステアリン酸マグネシウム;(b)ラクトース;(c)微結晶性セルロース;(d)ケイ酸化微結晶性セルロース;(e)マンニトール;(f)デンプン(トウモロコシ);(g)二酸化ケイ素;(h)二酸化チタン;(i)ステアリン酸;(j)ナトリウムデンプングリコレート;(k)ゼラチン;(l)タルク;(m)スクロース;(n)アスパルテーム;(o)ステアリン酸カルシウム;(p)ポビドン;(q)アルファ化でんぷん;(r)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(s)OPA生成物(コーティング&インク);(t)クロスカルメロース;(u)ヒドロキシプロピルセルロース;(v)エチルセルロース;(w)リン酸カルシウム(二塩基);(x)クロスポビドン;(y)シェラック(およびグレーズ);(z)炭酸ナトリウム。
1つの実施形態において、経口使用のための医薬調製物は、1もしくはそれより多い固体の賦形剤を、本明細書中に記載されている1もしくはそれより多い化合物と混合することによって得られ、必要に応じて、錠剤を得るために、結果得られた混合物を任意に粉砕し、適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理することで得られる。適切な賦形剤は、特に、ラクトーゼ、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填材;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ケイ素化微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース調製剤:またはポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)あるいはリン酸カルシウムなど他のものを含む。所望ならば、架橋クロスカルメロ−スナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、若しくはアルギン酸、又はアルギン酸ナトリウム等のそれらの塩のような崩壊剤が加えられる。
1つの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、水性の経口分散剤、固体の経口投薬形態、速い溶解製剤、発泡性製剤、凍結乾燥された製剤、錠剤、カプセル剤、制御放出製剤、腸溶錠、吸入粉末剤、吸入分散剤、IV製剤を含むが、これらに限定されない、任意の適切な剤形へ調剤される。
さらなる実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、湿製錠剤、急速溶解錠剤、多重圧縮錠剤、腸溶錠、または糖コーティング錠、あるいはフィルムコーティング錠として提供され得る。
製薬の剤形は、様々な方法で調剤することができ、即時放出性、徐放性および遅延放出性を含む様々な薬物放出特性を提供することができる。いくつかの場合において、薬の投与後、一定の時間が経過するまで、薬物の放出を避けること(すなわち、時限放出(timed-release))、所定の時間の間にわたってほぼ連続的な放出を提供すること(すなわち、持続放出)、または薬の投与に続いてすぐに放出が提供されること(すなわち、即時放出)が望ましいことがある。
幾つかの実施形態において、製剤は、例えば、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、1日おきに、1日1回、1日2回(b.i.d)または1日3回(t.i.d)の投与を可能にする、治療上有効な量の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を提供する。1つの実施形態において、製剤は、1日に1回の投与を可能にする、治療上有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を提供する。
1つの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、1日に1回の投与を提供する即時放出形態へ調剤される。概して言えば、ヒトは、治療効果を誘発するのに有効な期間の間、インビボで有効であると見出される濃度に相応する血漿レベルを達成するのに有効な量の化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を投与することを望む。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)および1以上の賦形剤は、乾燥混合され、錠剤等の塊に圧縮され、この塊は、経口投与後、約10分未満、約15分未満、約20分未満、約25分未満、約30分未満、約35分未満、又は約40分未満以内でほぼ分解され、それにより化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の製剤を胃腸液へ放出する、医薬組成物を提供するのに十分な硬さを有する。
幾つかの実施形態において、本明細書に提供される即時放出剤形の医薬組成物は、治療上活性な成分または組み合わせの少なくとも75%以上を放出することができること、及び/又は、USP XXII、1990年(米国薬局方)で説明されるような、錠剤コアに含まれた特定の治療薬剤または組み合わせの即時放出錠剤のための分解または溶解の要件を満たす。即時放出医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、経口溶液、粉末剤、ビーズ(beads)、ペレット剤、粒子状物質などを含む。
医薬組成物の中で使用される賦形剤は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)との適合性、および所望の剤形の放出プロフィール特性に基づいて選択されるべきである。模範的な賦形剤物質は、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、潤滑剤、加湿剤、希釈剤などを含む。
結合剤は、固形の経口投薬形態製剤に粘着性を与え:粉末充填カプセルの製剤に関しては、それらは、柔らかい又は硬い殻のカプセルへ充填されるプラグ形成を助け、および錠剤の製剤に関しては、圧縮後に錠剤が損傷を受けないようにし、圧縮又は充填の工程前に混合が均一になされることを確実にする手助けをする。
幾つかの実施形態において、固体の経口投薬形態は、40%もの結合剤を含む。幾つかの実施形態において、結合剤は、デンプン、糖、ポビドン、セルロースまたは微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような修飾セルロース、またはキシリトール、ソルビトールまたはマルチトールのような糖アルコールなどから選択される。幾つかの実施形態において、結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。幾つかの実施形態において、結合剤は、ヒプロメロース(例えば、Methocel E5)である。
一般に、20−70%の結合剤レベルが、粉末充填ゼラチンカプセル製剤に使用される。錠剤剤形における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式顆粒化、ローラ圧縮、或いはそれ自身が適度な結合剤として働く充填剤のような他の賦形剤の使用によるか、で変化する。
分散剤、及び/又は粘度調節剤は、液体媒体または造粒方法若しくは混合の方法によって薬物の拡散および均質性を制御する物質を含む。幾つかの実施形態において、これらの薬剤はまた、コーティングまたは腐食マトリックス(eroding matrix)の有効性を促進する。
賦形剤は、カプセル充填のための均質な混合のために圧縮を容易にするかまたは十分な容積(bulk)を作るために、組成物の容積を増加させる。
用語「崩壊する(disintegrate)」は、胃腸液に接触した時に、投与量の溶解と分散の両方を含む。「崩壊薬剤(disintegration agent)または崩壊剤(disintegrant)」は、物質の分解または崩壊を促進する。幾つかのある実施形態の1つの態様において、固体の経口投薬形態は、15%w/wまでの崩壊剤を含む。幾つかの実施形態において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。別の態様において、崩壊剤はナトリウムデンプングリコレートまたはクロスポビドンである。
充填剤は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート(dextrates)、デキストラン、デンプン、αデンプン、ショ糖、キシリトール、ラクチロール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどのような化合物を含む。
1つの態様において、フィラーは、ラクトース(例えば一水和物)である。別の態様において、フィラーは、マンニトール、またはリン酸二カルシウムである。別の態様において、フィラーは、マンニトール、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウムまたはソルビトールである。
胃腸液は、本明細書に記載の組成物またはその同等物の経口投与の後の、被験体の胃分泌の流体または被験体の唾液である。「胃分泌の同等物(equivalent of stomach secretion)」は、例えば、水中に1%の硫酸ドデシルナトリウム溶液または0.1NのHCl溶液などの胃分泌と類似の内容物及び/又はpHを有するインビトロの流体を含む。さらに、人工腸液(simulated intestinal fluid)(USP)は、pH6.8の水性のリン酸緩衝液系である。
潤滑剤(lubricant)と流動促進剤(glidant)は、物質の付着または摩擦を防ぐか、低減するか、阻害する化合物である。1つの態様において、固体の経口投薬形態は、約0.25%w/wのから約2.5%w/wの潤滑剤を含む。別の態様において、固体の経口投薬形態は、約0.5%w/wから約1.5%w/wの潤滑剤を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の固形の剤形は、錠剤(即時放出錠剤、持続放出錠剤、徐放錠剤、腸溶錠剤、懸濁錠剤、速溶錠剤(fast−melt tablet)、咬合崩壊錠剤(a bite−disintegration tablet)、迅速崩壊錠剤(rapid−disintegration tablet)、発泡錠剤またはカプレットを含む)、丸薬、粉末剤(無菌包装された粉末剤、分配可能な粉末剤(dispendable powder)または発泡粉末を含む)、カプセル(軟カプセル剤または硬カプセル剤の両方を含む、例えば動物性のゼラチンまたは植物性のHPMCから作られたカプセル、あるいは、「スプリンクルカプセル(sprinke capsule)」)、固形分散剤、多重微粒子の剤形、ペレット剤、または顆粒の形状であり得る。
他の実施形態において、医薬製剤は粉末形状である。さらに他の実施形態において、医薬製剤は、錠剤の形状であって、これは、即溶錠剤を含むがこれに限定されない。さらに、本明細書に記載の医薬製剤は、単一の用量又は複数の用量として投与される。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、2または3または4つの錠剤で投与される。
幾つかの実施形態において、固形剤形(例えば、錠剤、発泡錠剤及びカプセル)は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(化合物2)を、1以上の医薬賦形剤と混合して調製され、バルク混合組成物を形成する。これらのバルク混合組成物を均質と称する場合、それは、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(化合物2)の粒子が、組成物中に均一に分散し、その結果、組成物は、錠剤、丸薬またはカプセル等の、等しい効果の単位剤形へと細分され得る、ということを意味する。1つの実施形態において、個々の単位用量はまた、フィルムコーティングを含み、経口摂取され、または希釈剤と接触すると、崩壊する。1つの実施形態において、これらの製剤は従来の技術によって製造される。
従来の技術は、例えば、(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)粉砕、(4)乾燥又は非水性の顆粒化、(5)湿式顆粒化または(6)融解(fusion)の1つの方法または組み合わせの方法、を含む。Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照。他の方法は、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、湿式顆粒化、顆粒化、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えばワースターコーティング)、タンジャンシャルコーティング(tangential coating)、トップスプレー法、錠剤化、押出加工など含む。
圧縮錠剤は、上記の製剤のバルク混合を圧縮することによって調製された固形剤形である。様々な実施形態において、口内で溶解するよう設計された圧縮錠剤は、1又はそれ以上の香料を含む。幾つかの実施形態において、圧縮錠剤は、最終圧縮錠剤を包囲するフィルムを含む。他の実施形態において、フィルムコーティングは、患者の薬剤服用順守に役立つ(例:Opadry(登録商標)コーティングまたは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的に錠剤の重量の約1%乃至約5%の範囲である。他の実施形態において、圧縮錠剤は、1又はそれ以上の賦形剤を含む。
本明細書には、フィルムでコーティングされた剤形中の医薬組成物が提供され、それらは、活性成分若しくは薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはそのプロドラッグの組み合わせ;および従来の成形プロセスを使用して形成され、続いてコーティングされるコアを形成するための、1つ以上の成形賦形剤、を含む。錠剤コアは、顆粒剤の随意の粉砕で、およびその後の圧縮およびコーティングで、従来の顆粒化(例えば、湿式または乾式の顆粒化)を使用して製造することができる。
本明細書には、腸溶用量剤形中の医薬組成物が提供され、それらは、活性成分若しくはは薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはそのプロドラッグの組み合わせ;および腸溶剤形での使用のための1以上の放出制御賦形剤を含む。医薬組成物はまた、非放出制御賦形剤を含む。
腸溶コーティングは、胃酸の作用に耐えるが、腸内で溶けるか、崩壊するコーティングである。
1つの態様において、本明細書に記載された経口の固体の剤形は、腸溶コーティングを含む。腸溶コーティングは、下記の1つ以上を含む:酢酸フタル酸セルロース;メチルアクリレート−メタクリル酸コポリマー;酢酸セルロースコハク酸塩;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ハイプロメロースアセテートサクシネート);ポリビニルアセテートフタレート(PVAP);メチルメタクリレート−メタクリル酸コポリマー;メタクリル酸コポリマー、酢酸セルロース(およびそのコハク酸塩およびフタル酸塩バージョン);スチロールマレイン酸コポリマー;ポリメタクリル酸/アクリル酸(acrylic acid)コポリマー;ヒドロキシエチルエチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート;酢酸セルローステトラヒドロフタレート(tetrahydrophtalate);アクリル樹脂;シェラック。
腸溶コーティングは、錠剤、丸薬、カプセル、ペレット、ビーズ、顆粒、粒子などの上におかれたコーティングであり、その結果、小腸に達するまでそれは溶けない
糖衣錠は、糖衣に包まれた圧縮錠剤であり、それは、好ましくない味または芳香を隠すことにおいて、および酸化から錠剤を保護することにおいて有益であり得る。
フィルムコーティング錠は、水溶性物質の薄層またはフィルムにより覆われている圧縮錠剤である。フィルムコーティングは、限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースを含む。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般的特色を与える。多重圧縮製剤は、1つを超える圧縮サイクルによって作られた圧縮錠剤であり、階層状の錠剤、およびプレスコーティングまたは環式コーティングされた錠剤を含む。幾つかの実施形態において、錠剤は、早く、活性な放出のために即時崩壊を可能にする、水溶性で、pH非依存性のフィルムコーティングでコーティングされる。
幾つかの実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物は、制御放出剤形の形態である。本明細書で使用されているように、用語「制御放出」は、経口で投与された時、活性成分の放出の速度または場所が即時の剤形のそれとは異なる剤形を指す。制御放出剤形は、遅延放出、拡張(extended-)放出、持効性(prolonged-)放出、持続(sustained-)放出、パルス放出、調節放出(modified release)、標的放出、プログラムされた放出を含む、。制御放出剤形中の医薬組成物は、限定されないが、マトリックス制御放出デバイス、浸透圧制御放出デバイス、多重微粒子制御放出デバイス、イオン交換樹脂、腸溶コーティング、多層コーティング、およびそれらの組み合わせを含む様々な放出調節型デバイスおよび方法を使用して調製される。活性成分の放出速度はまた、粒度を変えることにより変更することができる。
即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、予め定められた特性に従い長期間にわたり、薬剤をヒトに送達することを可能にする。そのような放出速度は、長時間に治療上有効なレベルの薬剤を提供し、その結果として、薬理学的反応のより長い期間を提供することができる。このようなより長い反応時間により、対応する即時放出製剤では達成されない多くの固有の利点がもたらされる。1つの態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩の制御放出組成物は、長時間に治療上有効なレベルの化合物1を提供し、それによって、薬理学の反応のより長い期間を提供する。
本明細書で使用される遅延放出は、放出が消化管内のいくつかの一般的に予測可能な位置で達成可能である送達を指し、この位置は、遅延放出変化がなかった場合に達成される位置よりも遠位である。いくつかの実施形態において、放出を遅延させる方法はコーティングである。いかなるコーティングも、十分な厚みに適応されるべきであって、この厚みにより、コーティング全体はpH約5未満の消化液内では溶解しないが、pH約5及びそれ以上では溶解する。
幾つかの実施形態において、本明細書に提供された医薬組成物は、マトリックス制御放出デバイスを使用して作り上げられる放出調節型剤形である(Takada et al in “Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,” Vol. 2, Mathiowitz ed., Wiley, 1999を参照)。
1つの実施形態において、本明細書に提供される放出調節型剤形の医薬組成物は、侵食可能な(erodible)マトリックスデバイスを使用して調剤され、そのマトリックスデバイスは、水膨潤する、侵食可能である、あるいは合成ポリマーを含む可溶性ポリマー、および多糖類およびタンパク質のような天然のポリマーおよびその誘導体である。
幾つかの実施形態において、マトリックス制御放出系は、腸溶コーティングを含み、その結果、薬物が胃で放出されない
本明細書に提供される医薬組成物は、単位用量形状または多用量形状で提供されてもよい。本明細書に使用されるように、単位剤形は、当該技術分野で知られているように、ヒトと動物の被験者に対する投与に適しており、個別に包装された物理的に別々の単位を指す。単位用量はそれぞれ、必要とされた薬学的な担体または賦形剤との関連で、所望の治療効果を生むのに十分な活性成分の所定の量を含む。単位剤形の例としては、個々に包装された錠剤およびカプセル剤が挙げられる。単位剤形は、そのごく一部分またはその倍数で投与されてもよい。多用量剤形は、分離した単位剤形で投与される、単一の容器内に包装された複数の同一の単位剤形である。多用量剤形の例としては、錠剤またはカプセル剤のボトルが挙げられる。
他の実施形態において、本明細書に記載の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む粉末剤は、1以上の薬学的に許容可能な賦形剤および香料を含むように調剤される。そのような粉末剤は、例えば、バルク混合組成物を形成するために、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の製剤と、随意の薬学的な賦形剤を混合することにより調製される。さらなる実施形態はまた、懸濁化剤及び/又は湿潤剤を含む。このバルク混合は、単位投与包装または多用量包装単位へ一律に細分される。用語「均一である(uniform)」は、バルク混合の均質が包装プロセス(process)の間に実質的に維持されることを意味する。
さらに他の実施形態において、発泡散剤が調製される。発泡塩は、経口投与用に薬を水中に分散させるために用いられてきた。発泡塩は、乾燥混合物内に薬剤を含有する顆粒又は粗粉末であり、通常、炭酸水素ナトリウム、クエン酸及び/又は酒石酸からなる。
本明細書に記載の発泡性顆粒剤の調製方法は、3つの基本的な工程:湿式顆粒化、乾式顆粒化および融解(fusion)、を利用する。融解法は、最も商業用発泡散剤の調製に使用される。これらの方法は顆粒剤の調製を意図するが、1つの実施形態において、本明細書に記載の発泡塩の製剤は、錠剤調製のための技術によって錠剤として調製されることに注目されるべきである。
湿式顆粒化は、顆粒剤調製の1つの方法である。錠剤調製の湿式顆粒化プロセス中の個々の工程は、成分の粉砕およびふるい分け、乾式粉末混合、湿式マッシング(massing)、顆粒化、乾燥および最終的な細砕(grinding)を含む。様々な実施形態において、組成物は、湿式顆粒化された後、医薬製剤の他の賦形剤に加えられる。
乾式顆粒化は、粉末混合物を、強力型回転式錠剤成形機上で、粗い錠剤または「スラッグ(slug)」に圧縮することを含む。その後、スラッグは、細砕作業によって、通常は、振動造粒機による経過(passage)によって顆粒状粒子へと分割される。個々の工程は、粉末剤の混合、圧縮(スラッギング)および細砕(スラッグ粉砕(slug reduction)または顆粒化)を含む。液状結合剤またはモイスチャー(moisture)は、工程のうちの何れにおいても関係しない。幾つかの実施形態において、製剤は、医薬製剤中の他の賦形剤と乾式顆粒化される。他の実施形態において、製剤は、それらが乾式顆粒化された後、医薬製剤中の他の賦形剤に加えられる。
1つの実施形態において、経口で使用される医薬製剤は、ゼラチンで作られた押し出し型カプセル剤と同様、ゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた軟密閉カプセル剤を含む。1つの実施形態において、押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および随意に安定剤と混合された活性成分を含む。1つの実施形態において、軟カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、液動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁される。さらに、1つの実施形態において、安定剤が加えられる。他の実施形態において、製剤は、スプリンクルカプセル(sprinke capsule)内に入れられ、カプセルは、全体が飲み込まれるか、或いはカプセルを開けて食事前に食物の上に中身が散らされる。
経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。
幾つかの実施形態において、医薬製剤は、被験体に対する経口投与のために、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)、および少なくとも1つの分散剤または懸濁化剤を含んで提供される。1つの実施形態において、製剤は、懸濁のための粉末及び/又は顆粒であり、水と混合されると、ほぼ均一な懸濁液が得られる。
懸濁液は、ほとんど均質のとき「実質均一(substantially uniform)」である。すなわち、懸濁液は、懸濁液の全体にわたる任意のポイントで、ほぼ同じ濃度の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)からなる場合である(USP Chapter 905)。
経口投与用の液剤剤形は、水性懸濁液または非水性懸濁液である。
経口投与のための液体製剤の剤形は、限定されないが、薬学的に許容可能な水性経口分散剤、エマルション、溶液、及びシロップから選択される水性懸濁液である。Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754-757 (2002)を参照。化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)に加えて、液体の剤形は、以下のような添加剤を含む:(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)湿潤剤;(d)保存剤;(e)粘度促進剤;(f)甘味剤;(g)香料;(h)溶解剤(solibizing agent)(生物学的利用率促進剤)。
1つの実施形態において、本明細書に記載の水性懸濁液および分散系は、少なくとも4時間、USP Chapter 905によって上に定義されるように、均質の状態のままである。均質性は、全組成物の均質性を測定することに関して一貫した試料採取法によって測定されるべきである。1つの実施形態において、水性懸濁液は、1分未満の物理的な撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁される。別の実施形態において、水性懸濁液は、45秒未満の物理的な撹拌によって均質な懸濁液へ再懸濁される。さらに別の実施形態において、水性懸濁液は30秒未満の物理的な撹拌によって均質な懸濁液へ再懸濁される。さらなる別の実施形態において、均質な水性分散液を維持するために撹拌は必要ない。
薬剤(例えば、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2))は、実例として、溶液中、懸濁液中またはその両方の中に存在している、液体の形状をとる。1つの実施形態において、液体組成物は水性である。
薬剤(例えば、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2))は、溶液中、懸濁液中またはその両方の中に存在している、液体の形状をとる。1つの実施形態において、液体組成物は非水性である。
1つの実施形態において、水性組成物はまた、懸濁剤として1以上のポリマーを含む。有用なポリマーは、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)などの水溶性ポリマー、および、架橋カルボキシル含有ポリマーなどの非水溶性ポリマーを含む。1つの実施形態において、有用な組成物はまた、例えば、カルボキシルメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、およびデキストランから選択される粘膜付着性ポリマーを含む。
1つの実施形態において、医薬組成物はまた、以下を含む1以上のpH調製剤または緩衝剤を随意に含む;酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;および、シトラート/デキストロース、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝液。このような酸、塩基、および緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することに必要とされる量で含まれる。
1つの実施形態において、液体医薬組成物は、組成物の重量モル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするために必要な量の1以上の塩を任意に含む。このような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンまたはアンモニウムカチオン、及び塩化物アニオン、クエン酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、重炭酸アニオン、硫酸アニオン、チオ硫酸アニオン又は亜硫酸水素アニオンを有するものを含み、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸アンモニウムを含む。
1つの実施形態において、医薬組成物は、微生物の活性を抑制するために、1もしくはそれより多い保存剤を任意に含む。適切な保存料は、merfenとチオマーサルのような水銀包含物質;安定化二酸化塩素;および、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウム臭化物及びセチルピリジニウム塩化物等の四級アンモニウム化合物を含む。
更なる他の組成物は、物理的安定性を増幅するため、または他の目的のために、一もしくはそれより多い界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び、例えばポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油等の植物油、及び、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40等のポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテルを含む。
更なる他の組成物は、必要な場合に化学安定性を増幅させる1もしくはそれより多い抗酸化剤を含み得る。適切な抗酸化剤としては、ほんの一例として、アスコルビン酸、トコフェロール、及びメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
特定の実施形態において、医薬品の水性組成物は、単一用量用の再密閉できない容器に包装される。あるいは、複数回用量用の再密閉できる容器が使用され、この場合は、組成物中に保存剤を含むことが一般的である。
幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は保存料を含まず、調製の24時間以内に使用される。
幾つかの実施形態において、水性医薬組成物は、医薬成分の生物学的利用率を増強することを援助する1つ以上の溶解剤を含む。幾つかの実施形態において、溶解剤は、ラブラゾル(Labrasol)、ルトロール(Lutrol)(macrogel、ポロクサマー)および当該技術分野で公知の他のものから選択される。
本明細書に記載の経口の医薬溶液は、幼児(2歳未満)、10歳未満の小児、および固体の経口投薬形態を呑み込み、消化することができない任意の患者群に対する投与には有益である。
バッカルまたは舌下投与については、1つの実施形態において、組成物は、従来のやり方(例えば米国特許第4,229,447号、第4,596,795号、第4,755,386号および第5,739,136号を参照)で調剤された錠剤、ロゼンジまたはゲルの形状をとる。
1つの実施形態において、糖衣錠コアは、適切なコーティングにより調製される。この目的のため、濃縮された砂糖溶液が使用され、この砂糖溶液は、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶剤又は溶媒混合液を随意に含有する。1つの実施形態において、染料(dyestuff)または生物色素(pigment)が、同定のために、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに加えられる。
同じ製剤内においてさえ、多くの担体および賦形剤がいくつかの機能に役立ち得ることは理解されるべきである。
<化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の服用量>
特定の実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の有効な量は、1服用量当たり約0.3mgから約1gまで、1服用量当たり約1mgから約1g、1服用量当たり約3mgから約600mgまで、または1服用量当たり約3mgから約300mgである。幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の有効な量は、1日当たり約1mgから約5gまで、1日当たり約10mgから約2gまで、1日当たり約10mgから約1gまで、1日当たり約10mgから約0.6gまで、1日当たり約10mgから約0.5gまで、または1日当たり約10mgから約0.4gまでである。
1つの実施形態で、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の有効な量は、1服用量当たり約1mg、1服用量当たり約5mg、1服用量当たり約10mg、1服用量当たり約15 mg、1服用量当たり約30mg、1服用量当たり約45mg、1服用量当たり約60 mg、1服用量当たり約100mg、1服用量当たり約150mg、1服用量当たり約200mg、1服用量当たり約300mg、あるいは1服用量当たり約600mgである。
幾つかの実施形態において、経口の医薬溶液は、化合物2を約0.015mg/mlから約20mg/ml含む。幾つかの実施形態において、経口の医薬溶液は、化合物2を約1mg/mlから約10mg/ml含む。
1つの態様において、即時放出錠剤は、約5%w/wから約50%w/wの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む。幾つかの実施形態において、即時放出錠剤は、約5%w/wから約40%w/wの、または約5%w/wから約30%w/wの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む。幾つかの実施形態において、即時放出錠剤は、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約33%w/w、約35%w/w、約40%w/wの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む。
1つの態様において、即時放出カプセル剤は、約1.25%w/wから約50%w/wの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む。幾つかの実施形態において、即時放出カプセル剤は、約5%w/wから約40%w/w、約10%から約30%w/wの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む。幾つかの実施形態において、即時放出カプセル剤は、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/wまたは約30%w/wの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む。
<投与方法および処置レジメン>
1つの実施形態において、本明細書に記載の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む医薬組成物は、予防的な及び/又は治療上の処置のために投与される。治療用途において、組成物は、すでに疾患又は疾病に苦しんでいる患者に、その疾患又は疾病の症状の少なくとも1つを治療するか又は少なくとも部分的に止めるのに十分な量で投与される。特定の実施形態において、このような使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬への反応性、及び/又は処置を行う医師の判断に左右される。
予防的な適用において、本明細書に記載の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含有する組成物は、特定の疾患、障害、又は疾病の影響を受け易く、またはその危険に曝されている患者に投与される。このような量は、「予防に有効な量または用量」であると定義される。この用途では、正確な量は、患者の健康状態、体重などによっても変わる。患者に使用されると、この使用に有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬への反応性、ならびに処置を行う医師の判断に左右される。
特定の実施形態において、本明細書に記載されるように、化合物、組成物または治療の投与は、長期投与を含む。特定の実施形態において、長期投与は、患者の疾患または疾病の症状を制御する、制限するために、例えば、患者の命が続く間中を含む長時間の間の投与を含む。幾つかの実施形態において、長期投与は毎日の投与を含む。
1つの実施形態において、本明細書に記載の化合物、組成物または治療の投与は、継続的に与えられる。代替的な実施形態において、投与される薬物の用量は、特定の期間、一時的に減らされたり、一時的に中止されたりする(休薬期間)。休薬期間の長さは、2日から1年の間で変化され、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、および365日を含む。休薬期間の間の用量の減少は、10%〜100%であり、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、哺乳動物において長い永続効果を有する(例えば、DP2からの化合物のオフレート(off-rate)は、そのオンレート(on-rate)より遅い)。幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の長い永続効果は、Th2細胞のアポトーシスに対する化合物の効果の結果である。幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の長い永続効果は、DP2受容体からの化合物の遅いオフレートの結果である。1つの実施形態において、DP2受容体からの化合物1のオフレートは、DP2受容体からのPGD2に関して観察されたオフレートより遅い。1つの実施形態において、DP2受容体からの化合物1のオフレートは、DP2受容体からのPGD2のオフレートの少なくとも2倍または少なくとも3倍長い。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、哺乳動物に投与され、そこでは、以下の処置周期:(a)化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が哺乳動物に投与される、第1期間;および(b)化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が、減少された量において哺乳動物に投与される、少なくとも7日間の第2期間、が用いられる。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、アレルギー性疾患または疾病の少なくとも1つの兆候を経験している。さらなる実施形態において、アレルギー性疾患または疾病は、アレルゲンの存在によって誘発される。さらなる実施形態において、アレルゲンは、治療期間に存在するか、または存在することが疑われる。幾つかの実施形態において、第1期間は、1〜10日を含む。幾つかの実施形態において、第1期間は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の毎日の投与を含む。幾つかの実施形態において、第1期間は、投与化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の1日1回の投与を含む。幾つかの実施形態において、第2期間は、少なくとも2日を含む。幾つかの実施形態において、第2期間は、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日または少なくとも28日を含む。幾つかの実施形態において、第2期間に投与される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の毎日の量は、第1期間と比較して、少なくとも50%低減される。幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の投与は、第2期間に中止される。
幾つかの実施形態において、処置周期は一度使用される。他の実施形態において、処置がもはや必要ではないまで、処置周期が繰り返される。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物、組成物または治療は、少なくとも1つの初回抗原刺激量で投与され、その後、少なくとも1つの維持量を後に続ける。特定の実施形態において、薬剤の初回抗原刺激量は、障害、疾患または疾病の症状が(例えば満足なレベルに)低減されるまで、投与される。低減に際して、所望であるとき、または必要ならば、本明細書に記載の化合物、組成物または治療の維持量は投与される。幾つかの実施形態において、維持量は、初回抗原刺激量の投与によって達成された低下を少なくとも部分的に維持するのに十分な量において、本明細書に記載の薬剤の投与を含む。様々な実施形態において、維持量は、初回抗原刺激量と比較して、その方法で投与された薬剤または1以上の薬剤の投与の用量及び/又は頻度の減少を含む。しかしながら、特定の実施形態において、増加した頻度及び/又は用量での間欠性の処置は、症状の任意の再発時に必要かもしれない。
特定の実施形態において、初回抗原刺激または維持の量に相当する、所与の薬剤の量は、制限しない例として、利用された特定の薬剤、病状およびその重症度、治療を必要とする被験体または宿主の同一性(例えば重量)、及び/又は投与経路を含む要因に依存して変化する。様々な実施形態において、所望の投与量は、単一投与で、または、同時に(もしくは短時間にわたって)投与されるか、または適切な間隔、例えば1日に2回、3回、4回、またはそれ以上の下位用量(sub-dose)として投与される分割用量で、都合よく提供される。
<薬物動態学的および薬理学的な解析>
1つの実施形態において、本明細書に記載の製剤(それは化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む)の投与に続くヒト内での血漿濃度プロフィールを測定するために、任意の標準の薬物動態学のプロトコルが使用される。例えば、無作為化された一回用量交差試験が、健康な成人ヒト被験者の群を用いて行われる。被験体の数は、統計分析における変化の適切な対照(control)を提供するのに十分であり、特定の目的のためにはより小さな群で十分であるが、典型的には約10以上である。各被験体は、通常、一晩の絶食に続いて午前8時ごろに、時間0に、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の製剤の1回量(例えば、約0.3mg、約3mg、約10mg、約30mg、約60mg、約100mg、約300mg又は約600mgの化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含んでいる用量)の投与を受ける。被験体は、製剤の投与の後に約2時間の間、断食し、立位(upright)のままでいる。投与(例えば15分)前に、および投与後いくつかの間隔で、各被験体から血液サンプルを集める。特定の例において、いくつかのサンプルは、最初の1時間内にとられ、その後それほど頻繁ではなくとられる。実例として、血液サンプルは、投与後0(投薬前(pre-dose))、0.25、0.5、1、2、3、4、6、8、12および16時間に、および投与後24、36、48、60および72時間に集められる。同じ被験体が第2の試験製剤に関する研究に使用されるならば、第2の製剤の投与の前に少なくとも10日の期間が経過するべきである。血漿は、遠心分離によって血液サンプルから分離され、および分離された血漿は、例えば、Ramu et al.(Journal of Chromatography B, 751 (2001) 49-59)などの、有効な高速液体クロマトグラフィー/タンデム重量分光測定(LC/APCI-MS/MS)手順によって、化合物1に関して分析される。
所望の薬物動態学特性を与える任意の製剤は、現在の方法による投与に適している。
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の投与に続く薬力学的効果は、様々な方法によって評価することができる。幾つかの実施形態において、ヒト全血中のPGD2に誘発された好酸球形態変化(ESC)は、薬力学的な(harmacodymanic)マーカーとして使用される。DP2は、好酸球、Th2細胞および好塩基球上に高度に発現し、これらの細胞に対するPGD2の炎症誘発性と走化性の効果を仲介することが示された。PGD2の結合に拮抗する化合物が、PGD2によって誘発された走化性と炎症誘発性の反応を阻害すると予想される。血液は、投薬前に、および投薬後様々な時間間隔に、被験体から集められる。PGD2は、血液に加えられ、および血液サンプルは、フローサイトメトリーを使用して前方散乱を測定することによる好酸球形態変化の評価のために処理される。好酸球形態変化の阻害は、経口投与に続いて、化合物1の血中濃度に関係があり、経口投与に続く、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)に関する薬理学的な評価を提供する。
幾つかの実施形態において、薬力学的効果は、アレルゲン皮膚プリックテストによって評価される。幾つかの実施形態において、薬力学的効果の評価は、Vienna Challenge Chamber実験で行なわれ、そこでは、患者が自己評価し、0〜3の尺度で自分の症状に得点をつける。別々のスコアが、眼の症状、鼻の症状(鼻づまり、鼻のかゆみ、くしゃみおよび鼻漏を含む)および他の症状に関して与えられてもよい。各々の患者の症状スコアは自覚的であるが、患者の十分な数が使用されるとき、合計スコアは意味がある。
幾つかの実施形態において、喘息の症状は、一秒間強制呼気容量(FEV1)またはピ−ク呼気速度(PEF)など肺機能の測定を使用し、Juniperの生活の質の尺度(Juniper quality of life scale)を使用して定量される。
幾つかの実施形態において、アトピー性皮膚炎症の重症度が、SCORAD(scoring atopic dermatitis)またはSASSAD(six area six sign atopic dermatitis)系を使用して評価される。
<併用療法>
特定の例において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を、別の治療薬と組み合わせて投与することは適切である。
1つの実施形態において、本明細書に記載の組成物および方法はまた、処置されている疾病に対するそれらの特定の有用性のために選択された他の治療薬と併用して使用される。一般的に、本明細書に記載の組成物、及び、併用療法が用いられている実施形態において、他の薬剤は、同一の医薬組成物中で投与される必要はなく、物理的及び化学的特徴が異なるので、異なる経路で投与される。1つの実施形態において、最初の投与は、確立されたプロトコルに従ってなされ、その後、観察された効果に基づいて、投与量、投与方法、及び投与時間はさらに変更される。
様々な実施形態において、化合物は、疾病の性質、患者の状態、及び用いられる化合物の実際の選択によって、同時に(例えば、同時に、ほぼ同時に、又は同じ治療プロトコル内で)又は連続して投与される。特定の実施形態において、治療プロトコルを行う間に各治療剤を投与する順序及び投与を繰り返す回数の決定は、治療される疾病の評価及び患者の容体の評価に基づいて行う。
熟慮された医薬組成物は、例えば、1日に1回、1日に2回、1日に3回などの投与を可能にする、治療上有効な量の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を提供する。1つの態様において、医薬組成物は、1日に1回の投薬を可能にする、有効な量の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を提供する。
特定の実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の投与を伴う喘息の処置において、患者に喘息のための他の治療薬または治療も提供することにより、増加した治療効果が得られた。様々な実施形態において、第2薬剤と組み合わせた、化合物1たはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の個体に対する投与は、例えば、添加剤または相乗効果の利益を個体に提供する。
薬物が併用治療で用いられている場合、治療に効果的な投与量は変わる。併用治レジメンにおいて用いられる時、治療薬及び他の薬剤の治療上有効な用量の測定が、任意の方法で達成される。例えば、メトロノミック投与の使用、即ち、有害な副作用を最小限に抑えるためにより低用量をより頻繁に提供すること、が利用され得る。特定の例において、併用は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)と、第2の薬剤いずれか、または両方が、いずれかの薬剤単独が投与される時得られるであろうよりより低い量の、治療上有効な量を有することを可能にする。
併用療法レジメンは、制限しない例として、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の投与が、第2の薬剤での処置の間の前に、またはその後に開始され、第2の薬剤での処置中の任意の時まで、または第2の薬剤での処置の終了後に続ける処置レジメンを包含する。また、その併用処置レジメンは、併用に用いられる化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)、および第2の薬剤が、処置期間中、同時に、または異なった時間に、および/またはその間隔を短縮または延長して投与される処置も含む。併用処置は、更に、患者の臨床管理を援助するために様々な時点で開始および停止される定期的処置も含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の併用療法は、DP2アンタゴニスト(例えば、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2))と同時処置の共働から有益な効果を提供することを意図した、特定の治療レジメンの一部として使用される。特定の実施形態において、緩和が求められる疾病(複数)を処置、予防、または改善するための投与レジメンは、1つの実施形態において、様々な要因に従って改変されることを理解されたい。これらの要因は、制限しない例として、被験体の年齢、体重、性別、食生活、および健康状態のみでなく、患者が患う疾患または疾病のタイプを含む。従って、幾つかの実施形態において、利用される投与レジメンは変わり、本明細書に説明される投与レジメンから逸脱する。
幾つかの実施形態において、本明細書には、組成物、および化合物1または薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を含む組成物を、次のものから選択される治療薬と組み合わせて投与する方法が提供される:5−リポキシゲナーゼ−活性化タンパク質インヒビター、5−リポキシゲナーゼインヒビター、CYSLTR1アンタゴニスト、CYSLTR2アンタゴニスト、BLT1アンタゴニスト、BLT2アンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、DP1受容体アンタゴニスト、DP1受容体アゴニスト、IP受容体アゴニスト、抗IgE、ケモカイン受容体アンタゴニスト、IL5抗体、気管支拡張剤、テオフィリン、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン形成インヒビター、うっ血除去剤、抗ヒスタミン剤、粘液溶解剤、コルチコステロイド、グルココルチコイド、抗コリン薬、鎮咳剤、鎮痛剤、去痰剤、およびβ−2アゴニスト。
幾つかの実施形態において、本明細書には、組成物、および化合物1または薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を含む組成物を、呼吸器の疾病に有用な治療薬と組み合わせて投与する方法が提供される。呼吸器の疾病および障害を処置するために役立つ治療薬は、以下:グルココルチコイド;ロイコトリエン調節剤;マスト細胞安定化薬;抗ムスカリン/抗コリン薬;メチルキサンチン;抗ヒスタミン剤、オマリズマブ、オロパタジン(olapatidine)およびアゼラスチン;IgE遮断薬;短時間作用型β2−アドレナリン受容体アゴニストおよび長時間作用性β2−アドレナリン受容体アゴニストのような、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、を含む。
幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、抗炎症剤、抗コリン作用薬(特にM1/M2/M3受容体アンタゴニスト)、β2アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染薬、抗ヒスタミン剤、PDE−4インヒビター、H1アンタゴニスト、H3アンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)、H1/H3デュアルアンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)、PDE4インヒビター、β2アドレナリン受容体アゴニスト、コルチコステロイド、非ステロイド系GRアゴニスト、抗コリン薬、抗ヒスタミン剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、CysLT1受容体アンタゴニスト、デュアルCysLT1/CysLT2受容体アンタゴニスト、NSAIDおよびNOドナーまたはNSAIDおよびプロトンポンプ阻害薬、UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)のインヒビター、から選択される1つ以上の他の治療薬と組み合わせて使用される。
幾つかの実施形態において、他方の治療成分は、塩(例えばアルカリ金属またはアミン塩として、または酸付加塩として)の形態、またはプロドラッグ(エステル(例えばアルキルエステル)を含む)の形態、または溶媒和物(例えば水化物)として使用される。1つの態様において、適切ならば、治療成分は、光学上純粋な形態またはラセミ化合物の形態で使用される。
このような組み合わせの個々の化合物は、別々の医薬製剤または混合された医薬製剤で、連続して、または同時に、のいずれかで投与される。
1つの態様において、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、以下と混合され、または以下と組み合わせて投与される:喘息を処置するために使用される1以上の薬剤(限定されないが、組み合わせ吸入器;吸入されたベータ−2アゴニスト;吸入されたコルチコステロイド;ロイコトリエン調節剤;マスト細胞安定化薬;モノクローナル抗体;経口のベータ−2アゴニスト;気管支拡張剤を含む);アレルギーを処置するために使用される1以上の薬剤(限定されないが、抗ヒスタミン剤およびうっ血除去薬の組み合わせ;抗ヒスタミン剤;うっ血除去薬;ロイコトリエン調節剤;鼻の抗コリン薬;鼻のコルチコステロイド;鼻腔うっ血除去薬;鼻のマスト細胞安定化薬を含む);慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置するために使用される1以上の薬剤(限定されないが、抗コリン薬;組み合わせ吸入器;コルチコステロイド;吸入されたベータ−2アゴニスト;吸入されたコルチコステロイド;粘液溶解薬(mukolytics);経口のベータ−2アゴニスト;気管支拡張剤)。
本明細書に記載の組成物、組み合わせ、処置方法または処置の組み合わせ方法のいずれかにおいて、化合物2が使用される。
本明細書に記載の組成物、組み合わせ、処置方法または処置の組み合わせ方法のいずれかにおいて、化合物1(遊離酸)が使用される。
特定の実施形態において、UGTインヒビターの共同投与は、投与される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)のより低い服用量を可能にする。
呼吸器の疾病および障害に役立つ治療薬は、ほんの一例として、以下を含む:
シクレソニド、フロ酸ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、プロ酸フルチカソン(fluticasone furonate)、フロ酸モメタゾン(mometasone furoate)、およびトリアムシノロンなどのグルココルチコイド;モンテルカスト、ザフィルルカスト、フランルカストおよびジロートンなどのロイコトリエン調節剤;クロモグリク酸(クロモリン)、およびネドクロミルなどのマスト細胞安定化薬;イプラトロピウム、オキシトロピウムおよびチオトロピウムなどの抗ムスカリン/抗コリン薬;テオフィリンとアミノフィリンなどのメチルキサンチン;メピラミン(ピリラミン)、アンタゾリン、ジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、ドキシルアミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、フェニラミン、クロルフェナミン(クロルフェニラミン)、デキスクロルフェナミン(dexchlorphenamine)、ブロムフェニラミン、トリプロリジン、シクリジン、クロルサイクリジン、ヒドロキシジン、メクリジン、プロメタジン、アリメマジン(トリメプラジン)、シプロヘプタジン、アザタジン、ケトチフェン、アクリバスチン、アステミゾール、セチリジン、ロラタジン、ミゾラスチン、テルフェナジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジンなどの抗ヒスタミン剤;オマリズマブ、オロパタジン(olapatidine)およびアゼラスチン;IgE遮断薬;次のようなベータ2−アドレナリン受容体アゴニスト:サルブタモール(アルブテロール)、レバブテロール(levalbuterol)、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、ビトルテロールメシル酸などの短時間作用型ベータ2−アドレナリン受容体アゴニスト;およびサルメテロール、ホルモテロール、インデカテロールおよびバンブテロールなどの長時間作用性ベータ2−アドレナリン受容体アゴニスト。
幾つかの実施形態において、本明細書には、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)による処置を、ロイコトリエン合成のインヒビターによる、またはロイコトリエン受容体アンタゴニストによる処置と組み合わせる併用治療が提供される。
幾つかの実施形態において、第2の薬剤は、FLAP阻害化合物である。幾つかの実施形態において、FLAPインヒビターは、米国特許出願第11/538,762号(US 7,405,302としてa発行された);米国特許出願第12/131,828号;米国特許出願第11/553,946号(2007/0105866として公表された);米国特許出願第11/925,841号;米国特許出願第12/089,706号;米国特許出願第12/089,707号;米国特許出願第12/092,570号;米国特許出願第11/744,555号(2007/0219206として公表された);米国特許出願第11/746,010号(2007/0225285として公表された);米国特許出願第11/745,387号(2007/0244128として公表された);米国特許出願第12/257,876号;米国特許出願第61/055,887号;米国特許出願第61/055,899号;国際特許出願PCT/US07/86188;WO07/047207;WO07/056021;WO07/056220;WO07/056228;国際特許出願PCT/US08/62310;国際特許出願PCT/US08/062793;国際特許出願PCT/US08/62580;国際特許出願PCT/US2008/052960;国際特許出願PCT/US08/81190;国際特許出願PCT/US08/76225(これらの各々は、その全体が参照により、本明細書に組み込まれる)に記載の化合物から選択される。
幾つかの実施形態において、第2の治療薬は、以下から選択されるFLAPインヒビターである:MK886(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−(4−クロロ−ベンジル)−5−イソプロピル−1H−インドル(indol)−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸としても知られる);MK591(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−(4−クロロ−ベンジル)−5−(キノリン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸としても知られる);およびDG031(BAY X1005としても知られる;シクロペンチル−[4−(キノリン−2−イルメトキシ)−フェニル]−酢酸)、(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピラジン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(3−{5−((S)−1−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−2−イルメトキシ)−3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−1H−インドル−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−ベンジル]−5−(ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(6−エトキシ−ピリジン−3−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ベンジル]−5−(キノリン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(2−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イルメチル]−2−エチル−ブチル酸);(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(3−[5−((S)−1−アセチル−ピロリジン(pyrrolidin)−2−イルメトキシ)−3−tert−ブチルスルファニル−1−(4−クロロ−ベンジル)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ベンジル]−5−(ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドル−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸)、(3−{5−((S)−1−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−2−イルメトキシ)−3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−エトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−1H−インドル−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオン酸)、またはその薬学的に許容可能な塩若しくはN−オキシド。
幾つかの実施形態において、FLAPインヒビターは、米国特許第4,929,626号;第 4970215号;第5,081,138号;第5,095,031号;第5,204,344号;第5,126,354号;第5,221,678号;第 5,229,516号;第5,272,145号;第 5,283,252号;第5,288,743号;第5,292,769号;第5,304,563号;第5,399,699号;第5,459,150号;第5,512,581号;第5,597,833号;第5,668,146号;第5,668,150号;第5,691,351号;第5,714,488号;第5,783,586号;第5,795,900号;および第5,843,968号(その各々は、そのようなFLAPインヒビターの開示のために参照として本明細書に組み入れられる)に記載される化合物から選択される。
本明細書に記載の幾つかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、限定されないが、CysLT1/CysLT2のデュアル受容体アンタゴニストおよびCysLT1受容体アンタゴニストを含むロイコトリエン受容体アンタゴニストと組み合わせて使用される。CysLT1受容体アンタゴニストは、限定されないが、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルスカスト(prankulast)、およびそれらの誘導体またはアナログを含む。1つの実施形態において、そのような組み合わせは、呼吸器疾患を処置するために使用される。
さらなる実施形態において、本明細書には、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)の投与を、抗炎症剤の投与と組み合わせる治療が提供される。特定の実施形態において、そのような治療は、プロスタグランジンD2依存性またはプロスタグランジンD2媒介性の疾患または疾病の処置において使用される。
特定の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、限定されないが、以下を含む、喘息を治療するために使用される1以上の薬剤と混合して(be combined with)、またはそれらを組み合わせて投与される(be administered in conbimation with):組み合わせ吸入器(プロピオン酸フルチカゾンおよびサルメテロールキシナホ酸、ブデソニドおよびフマル酸ホルモテロール、およびインデカテロールおよびフロ酸モメタゾン);吸入されたベータ−2アゴニスト(アルブテロール吸入器;アルブテロール噴霧器溶液;ホルモテロール;イソプロテレノール経口吸入;レバブテロール(levalbuterol);メタプロテレノール吸入;ピルブテロール酢酸塩経口吸入;サルメテロールエアロゾル吸入; サルメテロール粉末吸入; テルブタリン吸入器);吸入されたコルチコステロイド(ベクロメタゾン経口吸入;ブデソニド吸入溶液;ブデソニド吸入器;フルニソリド経口吸入;フルチカゾン吸入エアロゾル;経口吸入のためのフルチカゾン粉末剤; モメタゾン吸入粉末剤;トリアムシノロン経口吸入);ロイコトリエン調節剤(モンテルカスト;ザフィルルカスト;ジロートン);マスト細胞安定化薬(クロモリン吸入器;ネドクロミル経口吸入);モノクローナル抗体(オマリズマブ);経口のベータ−2アゴニスト;(アルブテロールの経口シロップ;アルブテロールの経口錠剤;メタプロテレノール;テルブタリン);気管支拡張剤(アミノフィリン; オクストリフィリン;テオフィリン)。
1つの態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、以下を含む、アレルギーを治療するために使用される1以上の薬剤と混合して、またはそれらを組み合わせて投与される:抗ヒスタミン剤とうっ血除去薬の組み合わせ(セチリジンおよびプソイドエフェドリン;デスロラタジンおよびプソイドエフェドリンER;フェキソフェナジンおよびプソイドエフェドリン;ロラタジンとプソイドエフェドリン);抗ヒスタミン剤;(アゼラスチン・スプレー式点鼻薬;ブロムフェニラミン;ブロムフェニラミン経口懸濁液;カルビノキサミン;セチリジン;クロルフェニラミン;クレマスチン;デスロラタジン;デキスクロルフェニルアミンER;デキスクロルフェニルアミンの経口シロップ;ジフェンヒドラミン、経口;フェキソフェナジン;ロラタジン;プロメタジン);うっ血除去薬(プソイドエフェドリン);ロイコトリエン調節剤(モンテルカスト; モンテルカスト顆粒剤);経鼻の抗コリン薬(イプラトロピウム);経鼻のコルチコステロイド;(ベクロメタゾンの経鼻吸入;ブデソニド経鼻吸入器;フルニソリドの経鼻吸入;フルチカゾンの経鼻吸入;モメタゾンスプレー式点鼻薬;トリアムシノロンの経鼻吸入;トリアムシノロンスプレー式点鼻薬);抗鼻閉薬(フェニレフリン);鼻のマスト細胞安定化薬(クロモリンスプレー式点鼻薬)。
1つの態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、以下を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療するために使用される1以上の薬剤と混合して、またはそれらを組み合わせて投与される:抗コリン薬−臭化イプラトロピウム経口吸入;組み合わせ吸入器(アルブテロールおよびイプラトロピウム(例えばコンビベント、デュオネブ);フルチカゾンおよびサルメテロール経口吸入(例えばアドベアー));コルチコステロイド(デキサメタゾン錠剤;酢酸フルドロコルチゾン;ヒドロコルチゾン錠剤;メチルプレドニソロン;プレドニゾロン液;経口のプレドニゾン;経口のトリアムシノロン);吸入されたベータ−2アゴニスト(アルブテロール吸入器;アルブテロール噴霧器溶液;ホルモテロール;イソプロテレノール経口吸入;レバブテロール(levalbuterol);メタプロテレノール吸入;ピルブテロール酢酸塩経口吸入;サルメテロールエアロゾル吸入; サルメテロール粉末剤吸入;テルブタリン吸入器);吸入されたコルチコステロイド(ベクロメタゾン経口吸入;ブデソニド吸入溶液;ブデソニド吸入器;フルニソリド経口吸入;フルチカゾン吸入エアロゾル;経口吸入のためのフルチカゾン粉末剤;トリアムシノロン経口吸入);粘液溶解薬(mukolytics)(グアイフェネシン);経口のベータ−2アゴニスト;(アルブテロールの経口シロップ;アルブテロールの経口錠剤;メタプロテレノール;テルブタリン);気管支拡張剤(アミノフィリン; オクストリフィリン; テオフィリン)。
1つの態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて使用され、または、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)の医薬組成物は、例えば、抗炎症剤、抗コリン作用薬(特にM1/M2/M3受容体アンタゴニスト)、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染薬または抗ヒスタミン剤から選択される、1つ以上の他の治療薬を含む。1つの場合において、抗感染薬は、抗生物質及び/又は抗ウイルス剤を含む。さらなる態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を含む組み合わせは、1以上の他の治療上活性な薬剤を含み、その1以上の他の治療上活性な薬剤は、コルチコステロイドまたはエヌセイドなどの抗炎症剤、抗コリン作用薬、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、抗生物質または抗ウイルス剤などの抗感染薬、または抗ヒスタミン剤から選択される。1つの実施形態は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を、β2−アドレナリン受容体アゴニスト、及び/又は、抗コリン薬、及び/又は、PDE−4インヒビター、及び/又は、抗ヒスタミン剤と共に含む組み合わせを包含する。別の実施形態は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)を、コルチコステロイドまたはエヌセイドと共に含む組み合わせを包含する。
幾つかの実施形態において、他の治療上の成分は、塩(例えばアルカリ金属またはアミン塩として、または酸付加塩として)の形態で、またはプロドラッグ(エステル(例えばアルキルエステル)など)の形態で、または溶媒和物(例えば水化物)として使用される。1つの態様において、適切ならば、治療成分は、光学上純粋な形態で使用される。別の態様において、適切ならば、治療成分は、ラセミ化合物の形態で使用される。
β2−アドレナリン受容体アゴニストの例は、サルメテロール(ラセミ化合物またはRエナンチオマーなどの単一のエナンチオマー)、サルブタモール(ラセミ化合物またはRエナンチオマーなどの単一のエナンチオマー)、ホルモテロール(ラセミ化合物またはR,Rジアステレオマーなどの単一のジアステレオマー)、サルメファロール(salmefamol)、フェノテロール、カルモテロール(carmoterol)、エタンテロール(etanterol)、ナミンテロール(naminterol)、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール(flerbuterol)、レプロテロール、バンブテロール、インデカテロール、テルブタリンおよびそれらの塩、例えば、サルメテロールの(1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシラートキシナホ酸塩、サルブタモールの硫酸塩または遊離塩基、またはホルモテロールのフマル酸塩を含む。1つの実施形態において、β2−アドレナリン受容体アゴニストは、長時間作用性のβ2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば約12時間以上有効な気管支拡張を提供する化合物、を含む。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、特に吸入に適した製剤の場合には、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)インヒビターと混合され、またはそれと組み合わせて投与される。この態様に有用なPDE4特異的インヒビターは、PDE4酵素として知られる、またはPDE4インヒビターとして働くと発見された、任意の化合物であり、それらは、PDE4インヒビターのみであり、PDE4のみでなくPDE3およびPDE5などのPDEファミリーの他のメンバーを阻害する化合物ではない。
抗コリン作用薬の例は、ムスカリン性受容体においてアンタゴニストとして働く化合物であり、特に、M1またはM3の受容体アンタゴニスト、M1/M3またはM2/M3のデュアルアンタゴニスト、またはM1/M2/M3受容体汎アンタゴニスト(pan-antagonist)である。吸入による投与のための典型的な化合物は、イプラトロピウム(例えば臭化物など)、オキシトロピウム(例えば臭化物など)およびチオトロピウム(例えば臭化物など)を含む。また、WO01/04118で開示されるレバトロパート(revatropate)(例えば臭化水素酸塩など)およびLAS−34273が興味深い。経口投与のための典型的な化合物は、ピレンゼピン、ダリフェナシン(臭化水素酸塩)、オキシブチニン、テロジリン、トルテロジン、トルテロジン酒石酸塩、オチロニウム(例えば臭化物など)、塩化トロスピウム、ソリフェナシンおよびソリフェナシンコハク酸塩を含む。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、H1アンタゴニストと混合され、またはH1アンタゴニストと組み合わせて投与される。幾つかの実施形態において、H1アンタゴニストは、アンレキサノクス(amelexanox)、アステミゾ−ル、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン(descarboethoxyloratadine)、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ローラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノルアステミゾール、オロパタジン、ピクマスト(picumast)、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、及びトリプロリジン、特に、アゼラスチン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン(efletirizine)およびフェキソフェナジンを含むが、これらに限定されない。
別の実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、H3アンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)と混合され、またはH3アンタゴニストと組み合わせて投与される。
別の実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、H1/H3デュアルアンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)と組み合わせられ
、またはH1/H3デュアルアンタゴニストと組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、PDE4インヒビターと混合され、またはPDE4インヒビターと組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、β2−アドレナリン受容体アゴニストと混合され、またはβ2−アゴニストと組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、コルチコステロイドと混合され、またはコルチコステロイドと組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、非ステロイド性GRアゴニストと混合され、またはアゴニストと組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、抗コリン薬と混合され、または抗コリン薬と組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、抗ヒスタミン剤と混合され、または抗ヒスタミン剤と組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、PDE4インヒビターおよびβ2−アドレナリン受容体アゴニストと混合され、またはPDE4インヒビターおよびβ2−アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせて投与される。
別の態様において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、抗コリン薬およびPDE−4インヒビターと混合され、または抗コリン薬およびPDE−4インヒビターと組み合わせて投与される。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、吸入コルチコステロイドと混合され、または吸入されたコルチコステロイドと組み合わせて患者に投与される。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、ベータ2−アドレナリン受容体アゴニストと混合され、またはベータ2−アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせて患者に投与される。1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、短時間作用型ベータ2−アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせてと混合され、または短時間作用型ベータ2−アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせて患者に投与される。1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、長時間作用性のベータ2−アドレナリン受容体アゴニストと混合され、または長時間作用性のベータ2−アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせた患者に投与される。
NSAIDは、以下を含むが、これらに限定されない:アスピリン、サリチル酸、ゲンチシン酸、サリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸コリン、サリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル、カルプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルオロビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブトン(nabutone)、ケトローラク、ケトローラクトロメタミン、ナプロキセン、オキサプロジン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、COX−2特異的インヒビター(セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、CS−502、JTE−522、L−745、337及びNS398を含むが、これらに限定されない)。
コルチコステロイドは、以下を含むが、これらに限定されない:ベタメタゾン(Celestone)、プレドニゾン(Deltasone)、アルクロメタゾン、アルドステロン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デオキシコルチコステロン、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルトン、デキサメタゾン、ジフローラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン/コルチゾール、ヒドロコルチゾンアセポン酸、ヒドロコルチゾンプテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポン酸、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン/プレドニゾロン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン及びウロベタゾール。
1つの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)は、UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)のインヒビターである1以上の薬剤と混合され、または薬剤と組み合わせて投与される。UGTインヒビターは、米国特許第2003/0215462号;米国特許第2004/0014648号に記載されたものを含む。幾つかの実施形態において、UGTインヒビターの同時投与は、投与される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)のより低い服用量を可能にする。
このような組み合わせの個々の化合物は、別々の医薬製剤または混合された医薬製剤で
、連続して、または同時、のいずれかで投与される。1つの実施形態において、個々の化合物は、混合した医薬製剤で同時に投与される。既知の治療薬の適切な服用量は、当業者によって認識される。
本明細書で言及される組み合わせは、薬学的に許容可能な希釈剤(複数)または担体(複数)とともに、医薬組成物の形態で使用するために適宜提供される。
<キット/製品>
本明細書に記載の治療方法で使用するために、キット及び製品も本明細書中に記載される。このようなキットは、バイアル、チューブ等のような1以上の容器を受け入れるように区分される、キャリア、パッケージまたは容器を含み、容器の各々は、本明細書に記載の方法で用いられる別々の要素の1つを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、注射器、及びチューブを含む。他の実施形態において、容器は、ガラス又はプラスチックのような様々な材料から形成される。
本明細書で提供される製品は、包装材料を含む。医薬品を包装する際に使用するための包装材料は、例えば、米国特許第5,323,907号、米国特許第5,052,558号、米国特許第5,033,252号を含む。医薬包装材料の例としては、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、瓶、及び選択された製剤及び意図された様式による投与や処置に適切な任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される、化合物及び組成物の広範な製剤は、DP2受容体の拮抗によって効果を得る、任意の疾患、障害、又は疾病に対する様々な治療法として考慮される。
例えば、容器は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物2)を、随意に、本明細書に記載されたような別の薬剤との組成物中に、またはそれと組み合わせて含む。このようなキットは、識別についての記載、ラベル、又は本明細書中に記載の方法におけるその使用に関する取扱説明書を備える。
キットは、典型的には、内容物及び/又は使用のための指示を一覧表としたラベル、および使用のための指示を含む添付文書を含む。1セットの取扱説明書も典型的には含まれる。
1の実施形態において、ラベルは包装容器の上にある、又は包装容器に付随する。1
の実施形態において、ラベルは、ラベルを形づくる文字、番号、又は他の表示が、それ自体容器中に貼り付けられるか、成形されるか、または刻まれている場合は、ラベルは容器上に取付けられる。ラベルが、また、容器を保持する貯蔵所(receptacle)又はキャリア(例えば、パッケージンインサート)に存在する場合、ラベルは容器に付随する。1つの実施形態において、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために用いられる。ラベルは、例えば、本明細書に記載の方法で、内容物を用いる使用法の指示も示す。
特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物を含む1以上の単位剤形を含む、パックまたはディスペンサーデバイスで提供される。例えば、パックは、ブリスターパックのように金属又はプラスチックホイルを含む。1つの実施形態において、パックまたはディスペンサーデバイスには、投与の説明書が添付されている。1つの実施形態において、パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用、または、販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に付随する通知書が添付してあり、この通知書は、ヒトまたは動物の投与に関する薬物の形態についての、政府機関の承認を反映するものである。このような通知書は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局によって承認されたラベル、又は挿入された承認済み製品であり得る。1つの実施形態において、適合する医薬担体に処方された、本明細書に提供される化合物を含む組成物は、また、示された疾病の処置のために、調製され、適切な容器に配され、ラベル付けされる。
本明細書に使用されるように、本明細書に記載の薬学的に許容可能な塩を含むと記載された医薬組成物(例えば、液体溶液)は、その塩に関連する形態及び/又はその塩の分解された形態を含む医薬組成物を包含することが理解されるべきである。従って、例えば、化合物2の水溶液を含む本明細書に記載の医薬組成物は、ナトリウムカチオンの個体群および[2’−(3−ベンジル−1−エチル−ウレイドメチル)−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル]−酢酸塩アニオンの個体群を含む組成物を包含する。
本明細書に開示される方法を実行するための以下の成分、製剤、プロセスおよび手順は、上に記載されるそれに相当する。下記の手順は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩及び/又は溶媒和物、およびそれらの薬物動態学的プロフィールおよび薬力学的効果を含む製剤の特殊性の例示的な、制限しない実施形態とともに記載する。ほんの一例として、米国特許出願第12/362,439号に概説されるように、または本明細書に概説されるように、化合物1は随意に調製される。
<実施例1:化合物1の調製>
1つの態様において、(米国特許出願第12/362,439号に記載されように調製される)[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを、テトラヒドロフラン中に溶解し、エタノールおよび50%のNaOH水溶液を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。水およびメチルtert-ブチルエーテルを加え、さらに10分間撹拌する。層を分離し、別々に集める。濃縮HClを水層に加える。メチルtert-ブチルエーテルを加え、水層から化合物1を抽出する。メチルtert-ブチルエーテル層を、その後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、化合物1を提供する。
<実施例1a:化合物1の合成>
工程1:MeOH(52mL)における(3-ブロモ-4-メトキシ-フェニル)-酢酸(5.226g、21.32mmol)に、塩化チオニル(3.1mL、42.65mmol)を加え、反応物を室温で2時間撹拌した。出発物質が分析LCMSによって見られなくなると、混合物を濃縮し、その後CH2Cl2および水性の1NのNaOHで希釈した。水層を分離し、CH2Cl2で抽出し、混合した有機層をH2Oで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮し、(3-ブロモ-4-メトキシ-フェニル)-酢酸メチルエステルを得た。
工程2:(3-ブロモ-4-メトキシ-フェニル)-酢酸メチルエステル(5.1g、19.68mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(6.54g、25.59mmol)、および酢酸カリウム(5.80g、59.05mmol)を、N2下でDMF(100mL)において混合した。溶液をN2でパージし、その後、(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)-ジクロロパラジウム(II)(0.805g、0.98mmol)を加え、反応物を85℃で一晩加熱した。出発物質が16時間後まだ観察されると、その場合は追加の(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)-ジクロロパラジウム(II)(0.808g、0.98mmol)を加え、反応物を85℃で一晩撹拌した。出発原料が分析LCMSによって見られなくなると、混合物を室温まで冷却し、濃縮した。残留物をEtOAcとH2Oの間で分割し、セライトを介してろ過した。水層を分離し、EtOAcで抽出し、混合した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜100%のEtOAc)によって精製し、[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸メチルエステルを得た。
工程3:CH2Cl2(44mL)およびMeCN(2.2mL)中の(2-ブロモ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-メタノール(2.216g、8.69mmol)およびN-メチルモルホリンN-オキシド(2.051g、17.38mmol)に、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(0.311g、0.87mmol)を加え、反応物を室温で20分間撹拌した。出発物質が分析tlcによって見られなくなると、混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、2-ブロモ-5-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒドを得た。
工程4:2-ブロモ-5-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒド(4.152g、16.41mmol)、[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸メチルエステル(4.988g、16.41mmol)、および炭酸カリウム(5.67g、41.03mmol)を、N2下でDME(40mL)およびH2O(20mL)中で混合した。混合物をN2でパージし、その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.9g、1.64mmol)を加え、反応物を90℃まで10時間加熱した。出発物質が分析LCMSによって見られなくなると、混合物を室温まで冷却し、CH2Cl2およびH2Oで希釈した。水層を分離し、CH2Cl2で抽出し、混合した有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜100%のEtOAc)によって精製し、(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸メチルエステルを得た。
工程5:CH2Cl2(10mL)中の(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸メチルエステル(1.0g、2.89mmol)およびエチルアミン(THF中に2M;3.6mL、7.23mmol)に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.587g、8.6mmol)を加え、その後、酢酸(0.1mL)を加えた。反応物を、分析HPLCによって十分であると考えられるまで、室温で撹拌した。溶液を飽和した水性のNaHCO3で中和し、CH2Cl2で抽出し、混合した有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮し、(6-メトキシ-2'-エチルアミノメチル-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸メチルエステルを得た。
工程6:0℃でのCH2Cl2(2mL)中の(2'-エチルアミノメチル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸メチルエステル(0.207g、0.54mmol)に、ジイソプロピルエチルアミン(0.21mL、1.19mmol)を加え、その後、ホスゲン(トルエン中に20%;0.34mL、0.65mmol)を加え、反応物を0℃で2時間撹拌した。その後、ベンジルアミン(0.09mL、0.81mmol)を加え、反応物を15分間撹拌した。トリエチルアミン(0.1mL、0.72mmol)を加え、反応物を1時間撹拌した。追加のベンジルアミン(0.09mL、0.81mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.21mL、1.19mmol)を加え、出発物質が分析LCMSによって見られなくなるまで、反応物を3時間撹拌した。混合物をH2OとCH2Cl2の間で分割し、水層を分離し、CH2Cl2で2度抽出した。混合した有機層を乾燥し、濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜40%のEtOAc)によって精製し、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸メチルエステルを得た。
工程7:THF(2mL)中の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸メチルエステル(0.1g)を、室温で2時間1Nの水性のLiOH(2mL)で処理した。混合物を1Nの水性のHClで酸性化し、EtOAcで3回抽出した。混合した有機層を乾燥し、濃縮し、残留物を調製HPLCによって精製し、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸を得た。M+Hは501である。
<実施例1b.化合物1の代替的な合成>
工程1:(3-ブロモ-4-メトキシ-フェニル)-酢酸エチルエステルを、3-ブロモ-4-メトキシフェニル酢酸およびエタノールを使用して、実施例1a、工程1に記載される手順によって調製した。
工程2:(3-ブロモ-4-メトキシ-フェニル)-酢酸エチルエステル(27.4g、100.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(25.47g、100.3mmol)、および酢酸カリウム(24.6g、250.8mmol)を、N2下で1,4-ジオキサン(250mL)中で混合した。溶液をN2でパージし、その後、(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)-ジクロロパラジウム(II)(4.10g、5.02mmol)を加え、反応物を110℃まで一晩加熱した。混合物をセライトを介してろ過し、EtOAcとブラインの間で分割した。水層を分離し、EtOAcで2度抽出し、混合した有機層を乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜60%のEtOAc)によって精製し、[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸エチルエステルを得た。
工程3:2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドおよび[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸エチルエステルを使用し、実施例1a、工程4に記載されるような(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを調製した。
工程4:MeOH(8mL)中の(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル(1.0g、2.73mmol)に、エチルアミン(THF中に2M;5mL、10mmol)を加え、その後、酢酸(0.23mL、4.09mmol)を加えた。その後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.260g、4.14mmol)を加え、反応物を室温で撹拌し、分析LCMSによって監視した。反応は決して終了には達しなかったので、混合物を濃縮し、EtOAcと飽和した水性のNaHCO3の間で分割した。水層をEtOAcで抽出し、混合した有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2中の0〜6%のMeOH)によって精製し、(2'-エチルアミノメチル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを得た。
工程5:室温でCH2Cl2(450mL)中の(2'-エチルアミノメチル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル(44.9g、0.114mol)に、トリエチルアミン(24mL、0.17mol)を加え、その後、ベンジルイソシアナート(16.7mL、0.136mol)を加え、出発物質が分析LCMSによって見られなくなるまで、反応物を2時間撹拌した。混合物をH2OとCH2Cl2の間で分割し、水層を分離し、CH2Cl2で抽出した。混合した有機層を乾燥し(MgSO4)、濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜60%のEtOAc)によって精製し、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを得た。
工程6:THF(470mL)およびエタノール(370mL)中の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステル(46.57g)を、室温で45分間、1Nの水性のNaOH(2mL)で処理した。混合物を1Nの水性のHCL(270mL)で酸性化し、ジクロロメタンで3回抽出し、有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、残留物を調製HPLCによって精製し、[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸を得た。
<実施例1c. 化合物1のキログラム規模の合成>
工程1:400Lのガラスで内張りされた反応器に、3-ブロモ-4-メトキシフェニル酢酸(15.0kg)およびエタノール(35.0kg)を供給した(charged)。前記反応器に、濃硫酸を供給した(0.42kg;隔膜ポンプをゆっくり使用する)。エタノール(2.0kg)で供給配管を洗い流した。反応器の内容物を加熱し、79℃までで還流させた(Heated reactor contents to reflux at 〜79℃)。4時間還流で撹拌した。20℃まで冷却し、その後、31.2kgのエタノールが取り除かれるまで、反応器の内容物を減圧蒸留し、蒸留の間、内部温度≦40℃を維持した。メチルt-ブチルエーテル(MTBE;56.0kg)を、9%の炭酸水素ナトリウム溶液、75.0kgに続いて加え、10分間反応器の内容物を撹拌した。層を分離し、9%の炭酸水素ナトリウム溶液、75.0kgでMTBE層を1回洗浄した。(3-ブロモ-4-メトキシ-フェニル)-酢酸エチルエステルを含むMTBE層を、5.0kgの無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、浴温≦45℃で真空下で回転蒸発装置(rotovap)において濃縮乾固した。収量は16.7kgである。
工程2:38.8kgのN-メチルピロリジノン中の16.8kgのビス(ピナコラート)ジボロンおよび14.7kgの酢酸カリウムおよび16.7kgの(3-ブロモ-4-メトキシ-フェニル)-酢酸エチルエステルの溶液を、400Lのガラスで内張りされた反応器に供給した。また、36.2kgのN-メチルピロリジノンを供給した。撹拌器を始動させ、1時間、反応混合物を介して窒素を泡立てた。1.0kgの[1,1'-(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)-DCMを供給した。10分間、反応混合物を介して窒素ガスを泡立てた。反応器の内容物を98.4℃まで加熱し、その温度で17時間撹拌した。反応混合物を20℃まで冷却し、流し出し(drained)、各重量が62.0kgである、2つの部分においてワークアップした(worked up)。反応器に、62.0kgの反応混合物を供給した。供給配管を5.0kgの酢酸エチルで洗い流した。反応器に170.0kgの酢酸エチルを供給し、その後、12%の塩化ナトリウム溶液、129.0kgを供給した。反応器の内容物を20分間撹拌した後に、層を分離した。12%の塩化ナトリウム溶液、129.0kgで有機層を洗浄した。酢酸エチル中に[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸エチルエステルを含む有機層を、5.0kgの無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。10.0kgの無水硫酸ナトリウムを、有機層を乾燥するために使用したことを除いて、反応混合物の第2の部分を、同様の方法でワークアップした。酢酸エチル中の[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸エチルエステルの溶液を、45℃の温度(浴温)で真空下で回転蒸発装置上で濃縮乾固した。収量は30.3kgである。
工程3:丸底フラスコ内において、73.0kgの1,4-ジオキサン中で21.1kgの未精製の[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸エチルエステルを溶解した。400LのGL反応器に、[4-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェニル]-酢酸エチルエステル溶液を供給した。15.0kgの1,4-ジオキサンでフラスコをすすぎ、反応器に洗い流し液を提供した。また、10.4kgの2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、25%の炭酸水素カリウム水溶液、58.0kgおよび24.3kgの1,4-ジオキサンを供給した。反応混合物を通じて1時間窒素ガスを泡立てた。0.9kgの[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)-DCMをゆっくり供給した。反応混合物を通じて10分間窒素ガスを泡立てた。反応混合物を60±5℃で1時間撹拌した。反応器の内容物を25℃まで冷却し、反応器の内容物をドラムへ流し出した。ワークアップするために、反応混合物を各97.8kgの2つの等しい部分に分けた。反応器に、97.8kgの反応混合物、54.8kgの酢酸エチルおよび12%の塩化ナトリウム水溶液、74.3kgを供給した。20分間撹拌した。層を分離し、12%の塩化ナトリウム水溶液、74.3kgで有機層を洗浄した。20分間撹拌した。層を分離し、5.0kgの無水硫酸ナトリウム上で有機層を乾燥した。同じワークアップを第2の部分に対して繰り返した。有機層を、45℃(浴温)で回転蒸発装置上で濃縮乾固し、空のドラムを、各々、10.0kgの酢酸エチルですすいだ。(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルの収量は、19.9kgである(液体クロマトグラフィーによって純度83.5%)。
未精製の(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルのシリカゲルプラグ上での充填、分離および結晶化は、工程3A〜3Dにおいて概説される。
工程3A:50.0kgのジクロロメタン(DCM)において、19.9kgの未精製の(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを溶解した。溶液を、各8.8kgの8つの等しい部分に分けた。4.0kgのシリカゲルを回転蒸発装置のフラスコに供給し、8.8kgの未精製の(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル溶液の1つの部分を、回転蒸発装置のフラスコに供給した。溶媒を濃縮乾固した。これを未精製の(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル溶液の7つの残りの部分に対して繰り返した。
工程3B:清浄なヌッチェフィルターに、28.0kgのシリカゲルを供給した。このシリカベッドの上部に、工程3Aからシリカに充填された25.9kgの未精製の(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを、シリカベッド上に広げた。前記ベッドを35.0kgのヘキサンで溶出した。続いて、100.0kgのヘキサンで溶出し、続いて、151.0kgの5:95(v/v)の酢酸エチル:ヘキサンおよび819.6kgの1:9(v/v)の酢酸エチル:ヘキサンで溶出し、15〜20Lの分画(fractions)を収集した。溶出液を純粋な分画、混合した分画および廃棄分画(waste fractions)として分離した。これを、工程3Bのもう2つのバッチに対して繰り返し、ただ一つの違いは、1:9(v/v)の酢酸エチル:ヘキサンの量であって、511.2〜544.6kgに減らした。
工程3C:混合した分画を、回転蒸発装置において濃縮乾固し、工程3Dにおいて結晶化した。(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルの純粋な分画を、回転蒸発装置上で濃縮乾固し、(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを分離し、一定重量までの45℃で真空下で乾燥した。(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルの収量は、この工程から、12.2kg(液体クロマトグラフィーによる純度95.2%)である。
工程3D:(混合した分画からの純粋な(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルの回収(Recovery)) - 60±5℃での4.7kgの2-プロパノール(IPA)において、混合した分画から回収した、1.5kgの(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを、22Lの多頚丸底フラスコに溶解した。2.8kgの水を供給し、透明溶液を得るまで65±10℃まで加熱し、0±5℃まで冷却した。この温度で15分間撹拌した。ろ過し、1Lの63:37(v/v)の2-プロパノール/水で洗浄し、0±5℃まで予め冷却した。一定重量まで45℃で真空下で乾燥した。(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルの収量は、この工程から、1.1kg(液体クロマトグラフィーによって純度97.9%)である。
工程4:200Lのガラスで内張りされた反応器に、13.3kgの(2'-ホルミル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルおよび95.0kgのエタノールを供給した。撹拌を開始し、50.0kgの2Mの塩化水素酸を含む反応器の気相線に従ってスクラバーを配置した。隔膜ポンプを使用して、THF中の2Mのエチルアミン、26.5kgを反応器にゆっくり供給した。10.0kgのエタノールで供給配管をすすいだ。
30±5℃で反応器の内容物を3時間撹拌した。3時間ごとに5つの部分における合計4.3kgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを反応器に供給した。シアノ水素化ホウ素ナトリウムの各供給後に、1.1kgの酢酸を反応器に供給した。3時間撹拌した。蒸留の速度が減少し、105.8kgの溶媒が蒸留するまで、≦40℃で真空下で蒸留して溶媒を取り除いた。50.0kgのMTBEを供給し、反応器の内容物を20℃まで冷却した。反応混合物を、5%の炭酸水素ナトリウム溶液、120.0kgを供給することによりpH8まで上げた。10分間撹拌し、層を分離した。(2'-エチルアミノメチル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを含む有機層を、25%の塩化ナトリウム溶液、102.0kgで洗浄した。(2'-エチルアミノメチル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステルを含む有機層を、10.0kgの無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸留の速度が著しく減少するまで、≦40℃で真空下で濃縮した。
蒸留の速度が著しく減少するまで、70.0kgのMTBEを反応器に供給し、溶媒を蒸留することによって、溶媒をMTBEに交換した。これをもう一度繰り返した。50.0kgのMTBEを反応器に供給した。15℃まで冷却し、ジオキサン中の4Mの塩化水素、11.4kgを1.1時間にわたって供給した。1.0kgのMTBEで供給配管をすすいだ。20℃で合計4.1時間撹拌した。ろ過し、2.0kgのMTBEで洗浄し、一定重量まで45℃で真空下で10.5時間にわたって乾燥した。(2'-エチルアミノメチル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル、HCl塩の収量は、11.6kg(液体クロマトグラフィーによって純度95.2%)である。
工程5:400Lのガラスで内張りされた反応器に、12.0kgの(2'-エチルアミノメチル-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル)-酢酸エチルエステル、HCl塩、0.2kgの4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)および107.0kgのテトラヒドロフランを加えた。冷却し、6.8℃の内部温度で反応器の内容物を撹拌した。反応器温度≦10℃を維持して7.1kgのトリエチルアミンを、反応器に供給した。また、0.9kgのテトラヒドロフランを供給して、供給配管をすすぎ、その後、反応器温度≦10℃を維持する3.9kgのベンジルイソシアナートおよび1.0kgのテトラヒドロフランを供給し、供給配管をすすいだ。反応器の内容物を、20℃の内部温度で1時間撹拌した。反応が完了すると、反応混合物をバッグフィルターを介してろ過した。反応物を20.0kgのテトラヒドロフランですすぎ、洗い流し液をまた、バッグフィルターの洗浄として使用し、最終的に、ろ過された[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステル溶液を供給した。その後、蒸留の速度が著しく減少し、液位が撹拌器より下になるまで、前記溶液を濃縮した。合計110.8kgの溶媒をこの時点で取り除いた。89.0kgのMTBEを反応器に供給し、その後、1Mの塩化水素酸、125.0kgを供給した。反応器の内容物を、20±5℃で15分間撹拌し、層を分離した。[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを含む有機層を、5.0kgの無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルの収量は、14.5kg(液体クロマトグラフィーによって純度91.4%)である。精製は工程5A〜5Cに概説される。
工程5A:14.5kgの未精製の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを、52.0kgの酢酸エチル中に溶解した。各8.3kgの8つの等しい部分に溶液を分けた。4.0kgのシリカゲルを、8.3kgの未精製の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステル溶液の1つの部分とともに、回転蒸発装置のフラスコに供給した。溶媒を濃縮乾固した。
工程5B:清浄なヌッチェフィルターに、28.0kgのシリカゲルを供給した。このシリカベッドの上部に、工程5Aからシリカに充填された17.3kgの未精製の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを、シリカベッド上に広げた。ベッドを、85.0kgの1:9(v/v)の酢酸エチル:ヘキサンで溶出し、その後、212.2kgの15:85(v/v)の酢酸エチル:ヘキサン、142kgの2:8(v/v)の酢酸エチル:ヘキサン、そして405kgの4:6(v/v)の酢酸エチル:ヘキサンで溶出し、15〜20Lの分画を収集した。溶出液を純粋な分画、混合した分画および廃棄分画として分離した。これを、シリカに充填した、19.3kg、および18.3の未精製の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを使用して、工程5Bのもう2つのバッチに関して繰り返した。
第1のシリカプラグからの混合した分画を混合し、以下のようにシリカに充填した。5.5kgの未精製の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを、17.0kgの酢酸エチル中に溶解した。各7.5kgの3つの等しい部分に溶液を分けた。4.0kgのシリカゲルを、7.5kgの未精製の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステル溶液の1つの部分とともに、回転蒸発装置のフラスコに供給した。溶媒を濃縮乾固した。これを、未精製の[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステル溶液の残りの2つの部分に対して繰り返した。この物質に関して、溶出を、工程5Bの第1のプラグのものと同じ勾配および容量を使用して実行した。
工程5C:混合した分画を混合し、200Lのガラスで内張りされた反応器において最少量に濃縮し、その後、回転蒸発装置において濃縮乾固した。[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルの純粋な分画を、200Lのガラスで内張りされた反応器において最少量に濃縮し、回転蒸発装置に移動させ、真空下で濃縮乾固した。[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルの収量は、11.3kg(液体クロマトグラフィーによって純度99.2%)である。
工程6:25.0kgのテトラヒドロフランおよび11.0kgのエタノール中に、11.3kgの[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸エチルエステルを、回転蒸発装置のフラスコにおいて溶解した。200LのGL反応器に溶液を供給し、その後、50%の水酸化ナトリウム溶液、3.6kgを1.2時間かけてゆっくり加えた。2.0kgのエタノールで供給配管をすすいだ。反応混合物を20℃のジャケット温度で1時間撹拌した。
35.8kgの溶媒が取り除かれるまで、内部温度≦40℃で真空下で溶媒を蒸留した。20℃まで冷却し、114.0kgの水および44.0kgのMTBEを供給した。反応器の内容物を10分間撹拌し、層を分離した。化合物2を含む水層を再び供給し、44.0kgのMTBEでさらに5回洗浄した。10.0kgのMTBEで反応器壁をすすいだ。4.4kgの濃縮HClを供給し、反応混合物をpH2まで酸性化した。反応器に、84.0kgのMTBEを供給した。反応器の内容物を10分間撹拌し、層を分離した。化合物2を含むMTBE層を再び供給し、同じ10.0kgのMTBEを第1の反応器の洗い流し液として使用して、反応器壁をすすぎ、MTBE/[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸溶液と、洗い流し液を混合した。5.0kgの無水硫酸ナトリウム上で溶液を乾燥した。MTBE層を反応器において最少量に濃縮し、その後、内部温度≦40℃で真空下で濃度乾固するために、回転蒸発装置のフラスコへ移動させた。収量は、11.0kg(液体クロマトグラフィーによって純度99.2%)である。
<実施例2:化合物2(ナトリウム塩)の調製>
メタノールおよび化合物1を混合し、溶液を形成する。適切な量の50%の水酸化ナトリウム溶液を加え、結果として生じる溶液を混合する。pH約9が達成されると、溶液を濃縮乾固し、化合物2を提供する。乾燥した物質を、エタノール中で溶解し、撹拌する。溶液を濃縮する。化合物2を供給し、ヘプタンでスラリーにする。内容物をろ過し、一定重量まで乾燥する。最終的なAPIを、20網目スクリーンを通り抜ける。
<実施例2a:化合物2のキログラム調製>
28.0kgのメタノール中に[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸を、回転蒸発装置のフラスコにおいて溶解した。200LのGL反応器に溶液を供給し、撹拌を始めた。4.0kgのメタノールですすいだ。ジャケット温度を15℃に設定した。50%の水酸化ナトリウム溶液、1.643kgを、30分間にわたって供給した。20分間撹拌した。この時点で、pHは9.4であった。反応混合物を、1.5 kgまでの化合物2の6つの部分に分けた。各部分を、0.45μのポリッシュフィルター(polish filter)を介して、回転蒸発装置に供給し、1.5 kgまでの化合物2が残るまで、各部分を濃縮した。0.45μのポリッシュフィルターを介して、各部分に5.2kgのエタノールを供給し、濃縮乾固した。遊離した固形物が現われるまで、高真空に引いた(Pulled high vacuum)。固形物を200Lの反応器に供給し、ポリッシュフィルターを介して51.0kgのヘプタンを供給し、真空のない45℃で2時間撹拌した。真空蒸留によって17.4kgの溶媒を取り除き、および17.0kgのヘプタンを供給した。ヘプタンの周期をもう1回繰り返し、真空でない状態で(with no vacuum)40℃で8時間撹拌した。ろ過し、10.0kgのヘプタンで洗浄した。一定重量まで45℃で真空下で乾燥した。一定重量まで≦50℃で真空下で湿った化合物2を乾燥した。60℃で乾燥を続け、残留するエタノールの内容物を5000ppm未満に減らした。化合物2の収量は、9.6kg(液体クロマトグラフィーによって純度98.2%)である。
<実施例3:カリウム塩の合成>
100μlのエタノール中の20mgの化合物1を、1モル当量の水酸化カリウムに加え、その後、50℃まで約10〜12時間加熱し、塩基の溶解を助けた。溶媒を取り除き、化合物1のカリウム塩を提供した。
<実施例4:カルシウム塩の合成>
100μlのエタノール中の20mgの化合物1を、1モル当量の水酸化カルシウムに加え、その後、50℃まで約10〜12時間加熱し、塩基の溶解を助けた。化合物1のカルシウム塩を、真空下でろ過によって分離した。
<実施例5:L-アルギニン塩の合成>
100μlのエタノール中の20mgの化合物1を、1モル当量のL-アルギニン水酸化カリウムに加え、その後、50℃まで約10〜12時間加熱し、塩基の溶解を助けた。化合物1のL-アルギニン塩を、真空下でろ過によって分離した。
<実施例6:L-リジン塩の合成>
100μlのエタノール中の20mgの化合物1を、1モル当量のL-リジンに加え、その後、50℃まで約10〜12時間加熱し、塩基の溶解を助けた。化合物1のL-リジン塩を、真空下でろ過によって分離した。
<実施例7:アンモニウム塩の合成>
100μlのエタノール中の20mgの化合物1を、1モル当量の水酸化アンモニウムに加え、その後、50℃まで約10〜12時間加熱し、塩基の溶解を助けた。溶媒を取り除き、化合物1のアンモニウム塩を提供した。
<実施例8:N-メチル-D-グルカミン塩の合成>
100μlのエタノール中の20mgの化合物1を、1モル当量のN-メチル-D-グルカミンに加え、その後、50℃まで約10〜12時間加熱し、塩基の溶解を助けた。溶媒を取り除き、化合物1のN-メチル-D-グルカミン塩を提供した。
<実施例9:コリン塩の合成>
100μlのエタノール中の20mgの化合物1を、1モル当量のコリン水酸化物に加え、その後、50℃まで約10〜12時間加熱し、塩基の溶解を助けた。溶媒を取り除き、化合物1のコリン塩を提供した。
<実施例10:カールフィッシャー滴定(KF)による水分測定法>
各サンプルの水の含有量を、Hydranal Coulomat AG試薬およびアルゴンパージを使用して、Mettler Toledo DL39 Coulometer上で測定した。計量された固体サンプルを、スバシール(subaseal)に接続されたプラチナTGAパン上の道管へ挿入し、水の進入を回避した。1つの滴定当たり、約10mgのサンプルを使用し、二重反復測定を行った。
化合物1のサンプル中の水の含有量を、Coulometric Karl Fisher分析によって5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満であると測定した。1つの実施形態において、化合物1のサンプルは約1.2%の水を含むことがわかった。
化合物2のサンプル中の水の含有量を、Coulometric Karl Fisher分析によって、10%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満であると測定した。1つの実施形態において、化合物2のサンプルは約5.9%の水を含むことがわかった。
<実施例11:熱力学的水溶解度>
水溶解度を、水中に十分な化合物を懸濁することにより測定し、化合物の親の遊離型(parent free-form)の最大終末濃度≧10mg.ml-1を得た。懸濁液を25℃で24時間平衡化し、その後、pHを測定した。その後、懸濁液をガラス線維Cフィルターを介して96のウェルプレートへろ過した。その後、濾液を適切な要素(factor)によって希釈した。定量は、DMSO中の約0.1mg.ml-1の標準溶液に関するHPLCによるものであった。異なる量の標準の、希釈された、および無希釈のサンプル溶液を注入した。溶解度を、標準注入における主要なピーク時間と同じ保持時間に見出されるピークの統合によって測定されるピーク面積を使用して計算した。
ダイオードアレイ検出器を備える、Agilent HP1100シリーズの装置上で、およびChemStationのソフトウェア、vB.02.01-SR1を使用して、分析を実行した。
<実施例12:様々なpHでの溶解度プロファイリング>
表1に記載される方法を使用して、水溶解度を測定した。pHは、0.15MのNaCl(水溶液)中で作り上げられている懸濁液によって変化し、pHを、希薄なHClまたはNaOHのいずれかで適切な値に調節した。その後、必要に応じて、HClまたはNaOHのどちらかを使用して、懸濁液が2時間平衡化するのを可能にし、その後、pHをチェックし、もし必要ならば再調整を行った。その後、懸濁液が24時間平衡化するのを可能にした。
<実施例13:化学的純度測定>
ダイオードアレイ検出器を備える、Agilent HP1100シリーズの装置上のHPLCによって、およびChemStationのソフトウェア、vB.02.01-SR1を使用して、純度分析を実行した。
化合物1および化合物2のサンプルは、純度90%より高いことがわかった。幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、純度95%より高い、純度96%より高い、純度97%より高い、純度98%より高い、純度99%より高い、純度99.5%より高いことがわかった。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、純度94%より高い、純度95%より高い、純度96%より高い、純度97%より高い、純度98%より高い、純度99%より高いことがわかった。
残留溶媒
APIに存在し得る合成に使用される微量の溶媒を検出するために、残留溶媒のための試験を実行する。フレームイオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフを使用する、ヘッドスペースまたは直接注入の分析を介して、分析を実行する。合成に使用される残留溶媒はすべて、この方法によって検出することができる。
あり得る(Potential)残留溶媒は、アセトン、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、メチル‐tert‐ブチル‐エーテル(MTBE)、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ヘプタン、ヘキサン、n-メチルピロリジノン(NMP)、酢酸を含む。
<実施例14:ICP‐AESによる重金属(Pd)>
合成における触媒量のPdの使用から結果として生じる微量のパラジウム(Pd)を、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP‐AES)によって分析する。ICP‐AESによるPd含量は、約20ppm未満であるパラジウムの検出可能な量である。ICP‐AESによるPd含量は、約20ppm未満である。ICP‐AESによるPd含量は、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、9ppm未満、8ppm未満、7ppm未満、6ppm未満、または5ppm未満であるパラジウムの検出可能な量である。ICP‐AESによるPd含量は、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、9ppm未満、8ppm未満、7ppm未満、6ppm未満、または5ppm未満である。ICP‐AESによるPd含量は、約10ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、または約1ppmである。1つの態様において、サンプルまたは医薬組成物は、検出可能な量のパラジウムを含まない。
<実施例15:(鉛としての)重金属>
この試験を、USP<231>Method IIに従って実行する。
医薬組成物
化合物1を含み、その薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)及び/又は薬学的に許容可能な溶媒和物を含む、医薬組成物は、様々な形態を含む。1つの態様において、医薬組成物は、経口用量の形態である。幾つかの実施形態において、経口用量の形態を、経口の溶液、経口懸濁液、錠剤、丸薬またはカプセル剤として調剤する。
<実施例16:経口溶液>
1つの態様において、経口溶液の形態における経口医薬組成物を、以下に概説されるように、調製する。
1Lのバッチサイズが、0.015mg/mLまたは20mg/mLの濃度の化合物2とともに示されるが、他のバッチサイズおよび濃度は熟慮される。
上に記載される化合物2の溶液のための製造プロセスは、以下のとおりである:必要とされる量の炭酸ナトリウムを計量し、容器に移す。必要とされる量の水を加え、溶解するまで混合する。必要とされる量のラブラソルを計量し、溶液にこれを加え、均質になるまで混合する。必要とされる量のオレンジ油を計量し、溶液にこれを加え、均質になるまで混合する。必要とされる量のスクラロースを計量し、溶液にこれを加え、溶解するまで混合する。上記の調製した溶液は、プラセボ溶液と考えられる。必要とされる量のプラセボ溶液を別々の容器に加える。必要とされる量の化合物2を計量し、プラセボ溶液にゆっくり加える。すべての化合物2が溶解するまで、最小3時間混合する(もし必要ならば、超音波処理する、温める、または撹拌する)。化合物2は、より短い周期で溶解し得るが、再現性のために最小の混合時間が必要とされる。
1つの態様において、20mLのバルク溶液を、プラスチック注射器において調剤する。
調製した溶液を、約2℃〜8℃の冷蔵庫で24時間以内で保存する。
<実施例17:即時放出錠剤>
10mgの化合物2または30mgの化合物2のどちらかを含んだ即時放出錠剤を調製した。他の投与量を調製し、試験した。幾つかの場合において、錠剤を下記に述べるような薄膜でコーティングした。
製造プロセスは、混合、圧縮およびコーティングを含む。Parteck M 200、Prosolv SMCC HD 90、Crospovidone XL、Pruv、Spress B820、Avicel PH 102、Ac-Di-Sol、MagnesiumStearatc、およびOpadry II、85F18422 白色を含む、以下の賦形剤が、製造に使用されてきた。製造/分析機器は以下のものを含んでいた:製剤(米国基準の試験用のふるい;Vシェルブレンダー;ERWEKA TBH300 MDの硬度計;Vanderkampの摩損度試験機;Manestyのベータプレス、16工程(sixteen station));分析(可変性の波長検出器を有するAgilent 1100シリーズのHPLC;VanKelモデルVK7000の溶解装置;VanKelモデルVK8000の溶解オートサンプラー)。
即時放出錠剤の製造の方法
混合:すべての賦形剤(潤滑剤以外)を30網目を介して検査する。化合物2を(10mgの用量のための)60網目または(30mgの用量のための)40網目を介して検査する。Vシェルブレンダーにおいて15分間混合する。潤滑剤を60網目を介して検査し、Vシェルブレンダーに加え、2分間混合する。
錠剤化:錠剤コアをすべて、2セットの3/8"の丸い標準凹面ツーリング(round standard concave tooling)を備えるManesty Betapress 16工程上で、300mg(±5%)の目標重量に圧縮した。圧縮中に、個々のおよび平均の錠剤重量、硬度、厚さ、および摩損度を監視した。
コーティング:200gの純水中の30gのOpadry II 白色をオーバーヘッド撹拌機(overhead stirrer)で懸濁することによって、15%(w/w)のOpadry II 白色懸濁液を調製した。前記懸濁液を45分間撹拌し、その後、コーティングに使用する前に、60網目スクリーンを通り抜けた。前記懸濁液を、コーティングの間、撹拌子および磁性プレートによってそっと撹拌した。コーティングパンを5〜10分間揺り動かす(jogging)ことにより、ベクトルLDCS5パンコーターにおいて約525gのコア錠剤を、運転排気温度(38〜43℃)で予熱した。10の錠剤の平均重量を測定した。15%(w/w)のOpadry II 白色懸濁液を、コア錠剤上にゆっくりコーティングし、約4質量%のコーティングを得た。製造過程のコーティングパラメーターを記録した。平均錠剤重量を、1時間のコーティング後に10〜15分の間隔で監視した。一旦、目標重量の獲得(gain)が達成されると、コーティングを中止した。コーティングパンを10分間揺り動かすことによって、コーティングされた錠剤を乾燥した。
溶解結果
すべてのコアおよびコーティングされた錠剤を、以下のパラメーターを使用して、溶解に関して試験した:
[表]
試験に基づいて、表7に記載されるすべての製剤は、即時放出プロフィールを示し、提案された規格の80%も(NLT)満たし、10分で放出した。
錠剤を、CRCキャップおよび熱誘発シールを用いて、50ccのHDPEボトルにおいて40カウント(count)で包んだ。1か月および3か月で、すべての錠剤は、許容域内の25℃/60%RHおよび40℃/60%RHで安定性データを示した。
<実施例18:持続放出錠剤>
製剤の混合を、即時放出錠剤と同じ方法で調製する(例えばふるい分け、混合、および圧縮)。他の調製は、湿式顆粒化、流動層(fliudized bed)、高剪断顆粒化などのように許容可能である。製剤は、薬物放出調節賦形剤(drug modifying release excipients)を含む。これらの賦形剤は、限定されないが、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒプロメロース)、メタクリル酸ポリマー、ポリ酢酸ビニル、およびポビドンを含む。薬物放出調節賦形剤の量は、製剤において約10%から約80%に及ぶ。薬物放出プロフィールは、0〜4時間、0〜6時間、0〜8時間、0〜12時間、0〜24時間、2〜4時間、2〜6時間などの範囲である。幾つかの実施形態において、製剤を、直接の圧縮後にOpadryコーティングでコーティングする。持続放出製剤の例は、以下にリストされる。
<実施例19:腸溶剤>
腸溶剤を、表11にリストされる成分で調製した。
腸溶剤の調製は以下のとおりである:388.0gのアセトンおよび12.0gの純水を計量し、それらをオーバーヘッド撹拌機でビーカーにおいて混合する。40gのオイドラギトを計量し、塊の形成を防ぐために一部を溶媒混合液へゆっくり注ぐ。透明溶液が作られるまで撹拌する。その後、6gのクエン酸トリエチルを計量し、透明溶液へ加え、均一溶液が作られるまで撹拌を続ける。約500gのプラセボ錠剤を、約80の30mgの即時放出錠剤と混合し、コーティング混合物でコーティングする。
本明細書に記載される製剤を使用する犬の研究は、異なる製剤を使用することによって、吸収プロフィールが変わり得ることを示した。犬の研究は、化合物2が胃と上部消化管において急速に吸収されることを示した。Tmaxは、腸溶剤の使用によって遅延され得る。
<実施例20:代謝経路の同定>
化合物1の代謝プロフィールを、次のものを使用して調べた:(1)ラット、犬、およびヒトの肝臓ミクロソーム;(2)ラットおよびヒトの肝細胞;(3)ラットから集められた胆液;および(4)投薬の後のラットおよび犬の血漿。
材料
オスのSprague-Dawleyラット、オスのビーグル犬、および混合されたプールしたヒトの肝臓ミクロソームを、Xenotech (Kansas City, MO)から購入した。ラットおよびヒトの肝細胞およびInVitroGRO HI培地を、In Vitro Technologies (Gaithersburg, MD)から購入した。
ミクロソーム
量的な代謝プロフィールを測定するために、30μMの化合物1を、ラット、犬、またはヒトの肝臓ミクロソーム(1mg/mL)で好気的にインキュベートした。インキュベーションを、pH7.4の37℃でリン酸緩衝液において実行し、その反応を、β-NADPHおよびUDPGA(それぞれ、1mMおよび3mMの終末濃度)を加えることによって開始した。前記反応を、60分後、1.5%の酢酸を有する等しい量のアセトニトリルを加えることによって終了させた。サンプルを遠心分離機にかけ、上清をLC/MS分析のために移動した。
肝細胞
ラット、犬またはヒトの肝細胞を、サプライヤーの指示に従って解凍した。トリパンブルーの方法を使用して細胞を数え、その後、KB培地で1×106の生存細胞/mlに希釈した。化合物1を30μMで試験し、37℃でラット肝細胞において2時間までの間およびヒト肝細胞において4時間までの間でインキュベートした。新鮮なヒトの肝細胞は、独身男性のドナーロットHu0778(CellsDirect, Raleigh, NC)からのものであった。反応を、1.5%の酢酸を有する等しい量のアセトニトリルを加えることで終了させ、遠心分離機にかけ、上清をLC-MS/MS分析のために移動した。
ラットの胆管カニューレ挿入
外科的に設置した胆管および頚静脈カニューレを有するラットを、Charles River Laboratoriesから購入し、2日間環境に慣れさせた。化合物1を、0.9%の食塩水(2mg/mL;1mL/kg)中の溶液として3匹のラットに静脈内投与した(2mg/kg)。胆液を、8mLのシンチレーションバイアルにおいて0〜2、2〜5、5〜8、および8〜24時間後の投与の時点で集め、LC-MS/MS分析まで-40℃で保存した。尿を、5mLのシンチレーションバイアルにおいて0〜4、4〜8および8〜24時間の投与後の時点で集め、LC-MS/MSによる分析まで-40℃で保存した。
LC-MS分析
SCL-10A VPシステムコントローラーを備えるShimadzu LC-10AD VPに繋げた、Waters YMC ODS-AQカラム(2.1×150mm;3μm)を使用して、分析を実行した。タンデム質量分析(MS/MS)検出を、多重反応監視、プリカーサーイオンスキャン、および改良されたプロダクトイオンスキャンによって、陽イオンモード(ESI)でSciex ABI3200 QTrap上で実行した。移動相は、0.05%のギ酸を有する水中の10mMの酢酸アンモニウム(溶媒A)および0.05%のギ酸を有する50%のアセトニトリル/50%のメタノール中の10mMの酢酸アンモニウム(溶媒B)を含んでいた。流速を0.25mL/分で維持し、実行時間の合計は65分であった。分析物を、以下のような直線勾配を使用して分離した:
1. 移動相を、5%のBで5分間保ち、
2. Bを、その後、次の50分間にわたって5%から95%に増加させ、
3. Bを、95%で5分間一定に保ち、および
4. Bを、初期の勾配条件に戻した。
代謝物質の定量化に関しても、上記のように同じ分析を実行したが、流速を0.25mL/分で維持し、実行時間の合計は18分であった。分析物を、以下のような直線勾配を使用して分離した:
1. 移動相を、5%のBで5分間保ち、
2. Bを、その後、次の2分間にわたって5%から95%に増加させ、
3. Bを、95%で9分間一定に保ち、および
4. Bを、初期の勾配条件に戻した。
結果
化合物1を、β-NADPHおよびUDPGAで強化された、ラット、犬、およびヒトの肝臓ミクロソームでインキュベートした。化合物1の代謝物質は以下のものを含む:アミン(M1;2-(2'-((エチルアミノ)メチル)-6-メトキシ-4'-(トリフルオロメチル)ビフェニル-3-イル)酢酸)、アシル‐グルクロニド(M2)、脱‐ベンジル化(M3;[2'-(1-エチル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸)およびいくつかの水酸化(hydroxlation)生成物、N-脱-エチル化(M6;[2'-(3-ベンジル-ウレイドメチル)-6-メトキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸)およびO-脱-メチル化(M8;[2'-(3-ベンジル-1-エチル-ウレイドメチル)-6-ヒドロキシ-4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-3-イル]-酢酸)。ラットミクロソームは、M9(脱水素;2-(2'-((3-ベンジリデン-1-エチルウレイド)メチル)-6-メトキシ-4'-(トリフルオロメチル)ビフェニル-3-イル)酢酸)を形成し、この代謝物質は、犬またはヒトのミクロソームでは見られなかった。化合物1でインキュベートされた、ラット、犬およびヒトの凍結保存した肝細胞は、M9がラットの肝細胞では観察されないが、ミクロソームと同様の代謝物質プロフィールを提供した。
インビトロの研究:代謝物質を、親(化合物1)のピーク面積を使用して、半定量的に測定した。ミクロソームは、肝細胞と比較して、代謝物質をより大きな程度まで形成し、すべての種におけるミクロソームと肝細胞の間のインビトロでの順位序列は、肝細胞においては2番目に豊富な代謝物質であるが、ミクロソームにおいては形成された最も豊富な代謝物質であるM5(化合物1のヒドロキシル化された生成物の混合物)と類似しているように見える。肝細胞は、凍結保存されたラットおよび新鮮で凍結保存されたヒトの肝細胞においてアシルグルクロニド(M2)を最も大きな程度まで生成する。犬の凍結保存された肝細胞は、M1、M3、M5およびM6を同様の程度(親の<0.2%)まで生成した。
ラットの胆液から得られたサンプルは、ラットのミクロソームにおいて観察されたものと一致する代謝物質を示し、付加的な代謝物質(M11)が観察され、M9のグルクロニドとして同定された。代謝物質を、親(化合物1)のピーク面積を使用して、半定量的に測定し、グルクロニドが優性の代謝物質(親の273%)である一方で、他のものはすべて親の30%未満である。ラットの尿において、M1のみが観察された。
薬物動態研究のための、化合物1での経口投与に続く、ラットおよび犬から得られた血漿(ラットにおいて10mg/kg、犬において5mg/kg)において、代謝物質を定量化した(曲線下面積(AUC)として表した)。ラットの血漿においては、グルクロニド(M2)、脱-ベンジル(M3)、および脱-エチル(M6)が、親AUCの10%より高く、一方、犬の血漿においては、グルクロニド(M2)および脱-エチル(M6)が、親AUCの10%より高い。
化合物1のインキュベーション中に、ラット、犬、およびヒトの肝臓ミクロソーム、ラットおよびヒトの肝細胞で形成された化合物1の代謝物質と同様に、インビボで生成され、ラットの胆液およびラットおよび犬の血漿から分離された代謝物質も調べた。代謝物質の大多数の信頼すべき標準が化学的に合成されてきた。インビトロのおよびインビボの代謝物質の同一性を、信頼すべき標準との比較によって、及び/又はLC-MS/MS分析の後に観察されるフラグメンテーションパターンによって確認した。インビトロで生成した主要な代謝物質は、アシル‐グルクロニド、脱-ベンジル化、ヒドロキシル化およびN-脱-エチル化であるようである。化合物1の静脈内投与の後での、ラット胆液から分離された主要な代謝物質は、アシル‐グルクロニド、脱-ベンジル化、N-脱-エチル化およびO-脱-メチル化である。これらの動物からの尿において、発見されたただ一つの代謝物質は、遊離アミンであった。ラットの血漿において循環する代謝物質は、グルクロニド、脱-ベンジル化、およびN-脱-エチル化の代謝物質であり、そのすべてはラットにおいて親AUCの10%より大きい。犬の血漿において、主要な代謝物質は、アシル‐グルクロニドおよびN-脱-エチル化であり、その両方は、親AUCの10%より大きい。ラットおよび犬の血漿におけるすべての他の代謝物質は、親AUCの5%以下であるようである。
<実施例21:細胞外シトクロムP450の阻害>
化合物2が任意の薬物‐薬物相互作用を引き起こしそうかどうかを調べるために、化合物2とともに、または化合物2なしで、ミクロソームを、CYP酵素によって代謝されることが知られている、試験基質とインキュベートした。
各アッセイのインキュベーション条件の具体的な態様(例えば、タンパク質濃度、インキュベーション時間など)は、Walsky & Obach, 2004年(Walsky, R. L., and Obach, R. S. Validated assays for human Cytochrome P450 activities. Drug Met. Disp. 32:647-660, 2004.)に定義される。一般に、表12に定義されるようなタンパク質濃度でのミクロソームを、緩衝液(100mM KH2PO4、pH7.4)、MgCl2(6mM)および基質と混合し、冷凍保存した。この混合物のアリコート(89μL)を、アセトニトリル:水(1:1)中で、インヒビターのアリコート(1μL)を含む96ウェルのポリプロピレンプレートの各ウェルに送達した。最終的な溶媒濃度は、1%未満(v/v)であった。最終的な量の100μLに10μLのβ-NADPH(10mMのストック)を加えることで、インキュベーションを開始した。内部標準(ブスピロン)を含む、1.5〜2Xの量のアセトニトリルを加えることによって、インキュベーションを終了した。サンプルを4℃で遠心分離機にかけ、上清をLC-MS/MS分析のために移動させた。
結果は表12に示される。
化合物2は、インキュベーションにおいて化合物2を有するおよび有さない既知の代謝物質への基質の変換によると、P450(CYP)酵素のインヒビターではなかった。CYP3A4、1A2、2C9、2C19、および2D6の酵素に関して、40μMまでのおよび40μMを超過する濃度での明白な阻害は観察されなかった。
<実施例22:細胞シトクロムP450の誘発の欠如>
化合物1は、インキュベーションにおいて化合物1を有するおよび有さない既知の代謝物質への基質の変換によると、凍結保存されたヒトの肝細胞におけるP450 CYP3A4またはCYP2C9の誘発因子ではなかった。簡潔には、凍結保存されたヒトの肝細胞を、製造業者の指示によって、解凍し、蒔いた(In Vitro Technologies, Gathersburg, MD)。細胞を暖め、その後、あらかじめ暖められたInVitroGRO CP培地へ注ぎ、そっと再懸濁し、その後細胞を、トリパンブルー色素排除を使用して数えた。その後、細胞を、CP培地で0.7x10-6の生存細胞/mlに希釈した。各ウェルに、0.2mlの生存細胞の混合物を入れた。プレートをそっと振動させて、ウェルにおいて細胞を均一に分散させ、また、プレートを、37℃、5%の二酸化炭素中でインキュベートした。24時間で、培地を新鮮なCP培地と交換した。48時間後、CP培地を、10μMで試験された化合物1を含むHI培地と交換し、陽性対照、リファンピシンを、25μMで試験した。培地を、24時間後、試験物質を加えた新鮮な培地と交換した。48時間後、ミダゾラム(50μM)およびジクロフェナク(50μM)を、0.15mLのK-H緩衝液中で4時間インキュベートした。反応を、内部標準(ブスピロン)を含む、0.15mLのアセトニトリルを加えることで終了させ、物質を遠心分離機にかけ、上清をLC-MS分析のために移動させた。
天然細胞と比較した時、リファンピシンは、肝細胞において、11倍の1-ヒドロキシミダゾラム(CYP3A4)の増加および1.6倍の4-ヒドロキシジクロフェナク(CYP2C9)の生成の増加をもたらした一方で、化合物1は、2.7倍の1-ヒドロキシミダゾラムの増加および1.1倍の4-ヒドロキシジクロフェナクの増加をもたらした。これらのデータは、化合物1が10μMの濃度で試験された時、ヒトの肝細胞におけるCYP3A4またはCYP2C9の強力な誘発因子ではないことを示す(U.S. FDA Guidance for Industry, 「Drug Interaction Studies - Study Design, Data Analysis, and Implications for Dosing and Labeling」, September 2006)。
<実施例23:インビトロのDP2/CRTH2結合アッセイ>
ヒトのDP2受容体に結合する化合物1の能力を、[3H]PGD2を使用して、放射リガンド結合アッセイを介して評価した。組み換え型のヒトのDP2を安定して発現する、HEK293細胞を、1mM DTTを含む、10mM Hepes, 7.4中に再懸濁し、溶解し、75,000xgで遠心分離機にかけ、細胞膜をペレット状にした。細胞膜を、1mM DTT、および約5mgのタンパク質/mlに対する10%のグリセロールを含む、10mM Hepes, 7.4中に再懸濁した。細胞膜(2〜10μgのタンパク質/ウェル)を、96ウェルのプレートにおいて、アッセイバッファー(50mM Hepes、10mM MnCl2、1mM EDTA、+または−0.2%のヒト血清アルブミン、pH7.4)中の1nM[3H]PGD2および化合物1とともに、室温で60分間インキュベートする。その反応を、ワットマンGF/Cガラス線維のフィルタープレートを介して急速濾過法によって終了させる。フィルタープレートを、室温で30分間、0.33%のポリエチレンイミン(polythylenimine)にあらかじめ浸し、その後、播種前にウォッシュバッファー(50mM Hepes、0.5M NaCl pH7.4)において洗浄した。播種後、フィルタープレートを、1mlの冷たいウォッシュバッファーで3回洗浄し、その後乾燥した。その後、シンチラント(Scintillant)をプレートに加え、フィルター上で保持される放射能を、Packard TopCount(Perkin Elmer)に基づいて測定する。特異的結合を、10μM PGD2の存在下において、非特異的結合を除いた合計の放射性結合として測定する。IC50を、薬物滴定曲線のGraphPadプリズム分析を使用して測定した。マウス、ラットおよびモルモットのDP2受容体も調べた。
放射リガンド細胞膜の結合実験を使用して、化合物1は、DP2に高親和性を有して結合すると示した。化合物1は、それぞれ、7.8nM、10.4nM、4.9nMおよび4.9nMの平均のIC50値での、マウス、ラット、モルモットおよびヒトのDP2への放射性標識されたPGD2結合の強力な阻害を示した。
<実施例24:インビトロのGTPγS結合アッセイ>
DP2へのGTPの結合を阻害する化合物1の能力を、細胞膜のGTPγSアッセイを介して評価する。組み換え型ヒトCRTH2受容体を安定して発現する、CHO細胞を、1mM DTTを含む、10mM Hepes, 7.4中に再懸濁し、溶解し、75,000xgで遠心分離機にかけ、細胞膜をペレット状にする。細胞膜を、1mM DTT、および10%のグリセロールを含む、10mM Hepes, 7.4中に再懸濁する。細胞膜(1ウェルにつき、〜12.5μg)を、96ウェルのプレートにおいて、アッセイバッファー(50mM Hepes, pH7.4、100mM NaCl、5mM MgCl2および0.2%のヒト血清アルブミン)中で0.05nM [35S]-GTPγS、80nM PGD2、5μM GDP、および化合物1とともに、30℃で60分間インキュベートする。反応を、ワットマンGF/Cガラス線維のフィルタープレートを介して急速濾過法によって終了させる。フィルタープレートを、1mlの冷たいアッセイバッファーで3回洗浄し、その後乾燥した。その後、シンチラントをプレートに加え、フィルタ上で保持される放射能を、Packard TopCount(Perkin Elmer)に基づいて測定する。特異的結合を、リガンド(80nM PGD2)の不存在下において、非特異的結合を除いた合計の放射性結合として測定する。IC50を、薬物滴定曲線のGraphPadプリズム分析を使用して測定した。化合物1は、このアッセイにおいて20nM未満のIC50を有していた。
<実施例25:インビトロの全血の好酸球形態変形アッセイ>
化合物1を、好酸球形態変形(ESC)の全血アッセイにおいて評価し、全血との関連で、PGD2に刺激された機能的反応物に拮抗する、化合物1の能力を測定した。
血液を、同意したヒトのボランティアから、EDTAバキュテーナーチューブ内に採り、採血の1時間以内に使用する。血液の98μlのアリコートを、1.2mlのポリプロピレンチューブにおいて、(50%のDMSO中の)2μlの化合物1と混合する。血液をボルテックスし、37℃で5分間インキュベートする。PBS中の1μM PGD2、5μlを、50nMの終末濃度のために加え、チューブを短い間ボルテックスする。反応物を、37℃でちょうど5分間インキュベートし、その後、チューブを氷の上に置き、250μlの氷冷の1:4に希釈されたCytofix(BD Biosciences)をすぐに加えることによって終了させる。反応物を、12×75mMのポリスチレンの丸底チューブに移動させ、赤血球を、3mlの塩化アンモニウムを溶解する溶液(150mM NH4Cl、10mM KHCO3、0.1mM EDTAジナトリウム塩)の付加および室温での15分間のインキュベーションによって溶解する。細胞を、4℃で5分間、1300rpmでの回転によってペレット状にし、3mlの氷冷のPBSで1回洗浄する。細胞を、0.2mlの氷冷の1:4で希釈されたCytofix(BD Biosciences)中に再懸濁し、2時間以内でFACSCalibur(BD Biosciences)上で分析する。好酸球を、FL2チャンネルにおける自己蛍光の原理に基づいてゲート開閉し(gated)、500の好酸球上の形態変形を、前方散乱および側方散乱の分析によって分析した。PGD2によって誘発される特定の形態変形を、PGD2の存在下および不存在下における高い前方散乱の好酸球のパーセンテージ間の違いとして計算した。IC50を、薬物滴定曲線のGraphPad Prism(登録商標)分析を使用して測定した。
化合物1は、ヒトおよびモルモットの全血中で、DP2受容体の活性の強力なアンタゴニズムを示した。化合物1は、ヒトおよびモルモットの全血中のPGD2誘発性の好酸球形態変形を、2.7nMおよび21.5nMの平均IC50値で阻害した。
好酸球の活性が初期の形態変形を必要とするため、および好酸球媒介の損傷が、喘息の重度憎悪と関連付けられているため、ヒトのESCアッセイ(2.7nMのIC50および7.5nMのIC90)における化合物1の効能は、喘息患者における臨床的有効性に関連する(Wardlaw, A.J., et al., 2002, Clin. Sci.103:201-211)。
<実施例26:マウスのアレルギー性鼻炎モデル>
オバルブミン(OVA)の初回刺激を受けたマウスへの経鼻のオバルブミンの負荷(challenges)が、くしゃみおよび鼻摩擦の増加を引き起こす、OVA誘発性のアレルギー性鼻炎のマウスモデルにおいて、化合物2を評価した。(方法は、Nakaya, M., et al.. 2006, Laboratory Investigation, 86:917-926において詳述される方法から適用した)。OVAの初回刺激を受けたマウスは、5日間連続して毎日、OVAの鼻腔内の負荷を受けた。このOVAの負荷の段階の1、3および5日目に、くしゃみおよび鼻摩擦の数を、8分間のセッションの間に記録した。10mg/kgのPOの用量での化合物2の毎日の投与は、くしゃみ行動を著しく低減した。鼻摩擦の減少への傾向が観察された。別々の群から得られた化合物1の血漿濃度は、投与後、サンプリング時間、1時間、2時間、4時間、8時間および24時間に対して、それぞれ、280nM、150nM、70nM、30nMおよび<8nMであった。マウスのDP2受容体を発現する細胞からの放射リガンド細胞膜の結合実験において、化合物1は、0.2%のマウス血清アルブミンの存在下において、20.1nMのIC50を有していた。同時に、これらの結果は、マウスのアレルギー性鼻炎の状況において、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が、鼻の症状を改善することを示している。
<実施例27>:モルモットのIV-DKPGD2誘発性の末梢血白血球の流入>
インビボの白血球遊走を阻害する化合物2の能力を、13,14-ジヒドロ-15-ケト-プロスタグランジン D2(DK-PGD2)の静脈注射を使用して、評価した。方法を、これらの詳細なShichijo et al., 2003, Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 307:518-525から適用した。オスのHartleyモルモットを、Imject Alumにおける100μg/mlの溶液の1mlの腹腔内(IP)注射によって、0日目にオバルブミン(OVA)で免疫化した。その後、それらを14と21日目の間のDK-PGD2の手順において使用した。被験体を、ビヒクル(0.5%のメチルセルロース、4ml/kg、経口(PO))または試験化合物の3〜4回の投与量の1回のいずれかを受けるように、無作為に割り当てた。投与の2時間または18時間後に、動物をケタミンで麻酔にかけ、DK-PGD2(1mg/kg、IV)で負荷をかけた。投与の30分後に、血液を、細胞分析のために辺縁耳静脈を介してEDTAチューブに採集した。PBS中のさらなる20倍の希釈剤に続いて、10μlの血液を、190μlの水中で溶解した。10μlの分画を、等量のトリパンブルーと混合し、血球計数器に充填した。細胞を、LabProの光学顕微鏡を使用して、40Xの倍率で可視化し、総数を数え、記録した。細胞を、血液の1ml当たり、総細胞 x 108として発現する。選択した化合物によるこの効果の阻害を、Graphpadプリズムを使用して、統計的に測定する。
2時間の研究において、静脈内の(IV)DK-PGD2は、末梢血白血球、主にリンパ球の数を増加させ、それは恐らく骨髄からの動員を反映する。経口の化合物2によって、この反応を用量依存的に低減し、その結果、0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgの投与量での、それぞれ、21%、59%、62%および80%の阻害を生じた。著しい阻害が、1mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgの用量群において達成された(p<0.05)。経口の化合物2の後の2.5時間後に得られた血漿濃度は、0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgの用量群において、それぞれ、22nM±3、61nM±29、222nM±98および727nM±313であった。これらの結果に基づいて、ED50を、関係する55nMのEC50により、0.85mg/kgであると計算する。
18時間の研究において、末梢血白血球の著しい増加も、IV DK-PGD2の負荷に続いて観察した。DK-PGD2の18時間前に投与された、経口の化合物2によって、この反応を用量依存的に低減し、その結果、1mg/kg、10mg/kg、30mg/kgおよび100mg/kgの投与量での、それぞれ、末梢血白血球数の0%、29%、50%および77%の阻害を生じた。著しい阻害が、30mg/kgおよび100mg/kgの用量群において、30mg/kgの計算されたED50により達成された(p<0.05)。化合物2の経口投与の18.5時間後に回収した血漿における化合物1の濃度は、0.1mg/kg、1mg/kgおよび10mg/kgの用量群におけるすべての動物に関して、40nMの定量化の下限を下回った。観察されたEC50は、<40nMである。
モルモットのDP2受容体を発現する細胞を使用する、放射リガンド細胞膜の結合実験において、化合物1は、0.2%のモルモット血清アルブミンの存在下において、22.9nMのIC50を有する。モルモットの全血ESCアッセイにおいて、化合物1は、21.5nMのIC50を有する。研究結果に基づいて、化合物1のインビトロおよびインビボの効能は十分一致し、これは、インビトロの結合及び/又はESCが、インビボの状況における機能的な活性を達成するために必要とされる血漿濃度のよい予測因子であることを示唆する。
モルモットの白血球増多症モデルにおいて、骨髄または組織から血液までの白血球漏出の阻害のためのEC50は、モルモットの血液(〜22-54nM)中のESCの阻害のためのIC50-90によく関連した。これらのデータは、喘息患者における治療効果が、ヒトESCの阻害のためのIC50-90範囲での化合物1のトラフ濃度で達成されることを示唆する。
<実施例28:モルモットのアレルギー喘息モデル>
化合物2を、アレルゲン誘発性喘息の状況において有効性を測定するために、モルモットのOVAモデルにおいて評価した。OVAの初回刺激を受けたモルモットへのエアロゾル化されたOVA負荷は、負荷の24時間後に得られた気管支肺胞洗浄液への細胞の著しい流入を引き起こす。この増加は、主として、好酸球および好中球の流入からの増加であり、マクロファージからはごく一部分である。経口(PO)での1日2回の3mg/kgおよび30mg/kgの化合物2は、好酸球および好中球を含む総細胞流入を用量依存的に低減した。モルモットのアレルギー喘息モデルにおいて、化合物1は、肺における抗炎症作用を示した。
<実施例31:第1相試験>
これは、健康なボランティアにおける化合物2の、第1相、単一施設、二重盲検の試験である。
目的:(1)経口投与後の化合物2の単回および複数回投与の安全性および耐性;および(2)単回および複数回投与後の化合物2の薬物動態(PK);および、(3)PGD2誘発性の好酸球形態変形(ESC)によって測定されるような、健康な被験体における化合物2への薬理学的な(PD)反応の効果を評価すること。
単回投与漸増用量(SAD)研究は、各8人の被験体での5つのコホートを含み、6人は積極的治療を受け、2人はプラセボを受ける。SAD研究は、0.3、3、10、30mg/日の用量、および(100mg/日以内で)決定された、経口溶液として投与される、第5の用量レベルを調査する。安全性監視は、「あなたはどのように感じるか(how do you feel)」(HDYF)質問、有害事象報告、身体検査、生命徴候、ECG、および生物学的影響評価(臨床化学、血液学および尿分析)を含む。次の用量レベルに拡大する決定は、医療監視の結果に基づく。PKパラメーターおよびPD反応(全血中のエキソビボのPGD2に刺激された好酸球形態変形、hESC)の盲検中間解析を、コホート1およびコホート2の後に実行し、用量選択の仮定を確認する。用量を、有害事象の発生に基づいて調節し得る。用量投与の72時間後に被験体を調査する。
複数回漸増用量(MAD)研究は、各8人の被験体での4つのコホートを含み、6人は積極的治療を受け、2人はプラセボを受ける。3つのコホートは、それぞれ、3、10および30mg/日の用量を評価する。第4のコホートの用量レベルは、300mg/日である。安全性監視は、「あなたはどのように感じるか(how do you feel)」(HDYF)質問、有害事象報告、身体検査、生命徴候、ECG、および生物学的影響評価(臨床化学、血液学および尿分析)を含む。用量の進行(Dose progression)は、事前のコホートの臨床的な安全性プロフィールに基づく。最終の用量投与の72時間後に被験体を調査する。
エキソビボのPGD2誘発性の好酸球形態変形(ESC)への化合物1の効果を評価する手順。
実施例25において上述されるような基線の形態変形を測定するために、投与前血液を採血し、PGD2で負荷をかける。投与後の様々な時間に、血液中の薬物濃度の薬物動態解析のために、およびPGD2の負荷および好酸球形態変形の測定のためにも、採血を行う。受容体の阻害の程度を、薬物血中濃度と好酸球形態変形のパーセンテージ阻害との関係性から測定する。
化合物1の血漿濃度を、LC-MS/MSによって測定し、0.25ng*mL-1の検出限界を得る。
化合物2の薬物動態測定は、プロトン化した形態(化合物1)の測定を含む。
結果
単回および複数回投与の後の化合物2のPKおよびPDの効果を、図1〜4、および表13および14に示す。図1は、ヒトへの化合物2の経口の溶液の単回投与後の全血中のエキソビボのPGD2刺激された好酸球形態変形を示す。図2は、ヒトへの化合物2の経口の溶液の複数回投与後の全血中のエキソビボのPGD2刺激された好酸球形態変形を示す。図3および表13は、ヒトへの化合物2の経口の溶液の単回投与後の化合物1の血漿濃度を示す。図4および表14は、ヒトへの化合物2の経口の溶液の複数回投与後の化合物1の血漿濃度を示す。
前述の臨床試験は、化合物1が、単回漸増用量後に、6.6〜11.0時間の終末相半減期値、および用量の増加とともに増加したAUCおよびCmaxの値を有していることを示した(表13)。化合物1の7日間の投与後、終末相半減期、AUCおよびCmaxの値は比較的変化しないままである(表14)。
前述の臨床試験は、化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)が、PGD2誘発性の好酸球形態変形(ESC)の阻害によって測定されるような用量依存的な薬理学反応を提供することを示した。30mgに等しいまたは30mgより多い用量のCmaxでのPGD2誘発性の好酸球形態変形アッセイ(ESC)の80〜100%の阻害を観察した。24時間でのPGD2誘発性も好酸球形態変形アッセイ(ESC)の75〜90%の阻害を、100mgの用量に対して観察した。
プロスタグランジンD2依存性またはプロスタグランジンD2媒介性の疾病または疾患を有するヒトにおけるDP2受容体の阻害は、疾病または疾患において利点を与える。化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば化合物2)は、プロスタグランジンD2依存性またはプロスタグランジンD2媒介性の疾病または疾患の処置または予防に役立つ。
研究2:軽度から中程度の喘息への化合物1の効果を評価する臨床試験
小児期発症の、アトピー性の、軽度から中程度の喘息を有する個体における、この無作為、平行、二重盲検、プラセボ比較の試験において、喘息の抑制(Asthma Control Questionnaire)および喘息症状の低下を、化合物2により毎日1回、処置後に4週間測定する。100の被験体(50が活性、50がプラセボ)を使用する。プラセボ、または上述されるようなエキソビボのPGD2誘発性の好酸球形態変形の薬力学試験において、完全なDP2受容体の阻害という結果をもたらす量の化合物2のいずれかを、4週間毎日1回、被験体に投与する。4週後に、Asthma Control Questionnaireを使用して、喘息抑制に関して、および喘息の症状、増悪、努力呼気肺活量(FEV)、ピーク呼気速度(PEFR)、ベータ-2アゴニストの使用の変化に関して、被験体を評価する。さらに、血清IgEおよびECP(好酸球陽性タンパク質)濃度、および喀痰炎症細胞の分化、Th2サイトカインおよびECPの変化を、処置およびプラセボに関して測定する。
研究3 - Vienna Challenge Chamber Study
研究デザイン:研究は、8日間経口的に与えられた式(I)の化合物の無作為の、二重盲検の、プラセボ比較の、二方向交差評価である。2つの治療期間の間に、1週間のスクリーニング期間、および3週間のウォッシュアウト期間(washout period)がある。
試験薬の最後の服用後に1週間の経過観察がある。第1の治療期間に試験薬および第2の治療期間にプラセボを受ける患者の群を、群Aと指定する一方で、第1の治療期間にプラセボおよび第2の治療期間に試験薬を受ける患者の群を、群Bと指定する。
治療計画および方法:被験体は、十分な検査評価を受け、アレルゲンに対する基線反応を測定する。この検査評価は投与の開始の1週間前に行う。
被験体は、研究の各治療期間の1日目に、式(I)の化合物またはプラセボの投与を開始する。有害事象、鼻の症状の合計スコアおよび併用薬を示す。
被験体は、6時間のアレルゲンの負荷のための各治療期間の2日目に、クリニックへ報告しに戻る。以下の測定が得られる。
- 負荷開始後の0から6時間までの15分ごとの、各症状を0から3までの前負荷(pre-challenge)のカテゴリースケールで評価した、鼻の症状の合計スコア(TNSS)(閉塞症、鼻漏、掻痒、くしゃみ)。
- 負荷開始後の0から6時間までの15分ごとの、各症状を0から3までの前負荷のカテゴリースケールで評価した、眼の症状のスコア(ウォータリーアイ(watery eyes)、眼の痒み、眼の充血(red eyes))。
- 負荷開始後の0から6時間までの15分ごとの、各症状を0から3までの前負荷のカテゴリースケールで評価した、他の症状(咳、喉の痒み、耳の痒み)。
被験体は、6時間のアレルゲンの負荷のための各治療期間の8日目に、クリニックへ報告しに戻り、2日目に得られた測定を繰り返す。
最後の経過観察の訪問を、治療期間2における試験物質の最後の投与の1週間後に行う。
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示的なものであり、当業者に示唆される様々な修正又は変更は、本開示に含まれるべきである。当業者によって認識されるように、上記の実施例においてリストされた特定成分は、他の機能的に等価な成分、例えば、希釈剤、結合剤、潤滑剤、充填剤などと置換され得る。