JP2013256645A - ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法 Download PDF

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Shigeru Yamamoto
繁 山本
Tomohiro Kondo
知宏 近藤
Akira Mitsui
昭 三井
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Abstract

【課題】微粉率が適切で、運搬性が良好なポリフェニレンエーテル粉体を、使用溶剤量を少なく、スケール付着等のトラブルなしに製造する。
【解決手段】フェノール化合物を重合したポリマー溶液と、貧溶媒とを析出槽に添加し、ポリフェニレンエーテルを析出させてスラリーを生成する析出工程を有し、
析出槽に添加するポリマー溶液において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中の濃度をX質量%とし、
析出工程において析出槽内にフィードする貧溶媒とポリマー溶液中の良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒)をYとしたとき、XとYとが式(I)、(II)を満たす、ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
30<X≦48 …(I)
14.891・(X/100)−0.9804・(X/100)−0.4602≦Y≦18.032・(X/100)−1.1873・(X/100)−0.3463…(II)
【選択図】なし

Description

本発明はポリフェニレンエーテル粉体の製造方法に関するものである。
ポリフェニレンエーテルを原料とする変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、溶融射出成形法や溶融押出成形法等の成形方法により所望の形状の製品又は部品を生産できるため、電気、電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の製品又は部品用の材料として幅広く用いられている。
ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中で銅化合物及びアミン類の存在下で、フェノール類を酸化重合する方法が知られている。
この方法により得られたポリフェニレンエーテル溶液からポリフェニレンエーテルを析出する方法としては、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液にメタノール等のポリフェニレンエーテルの貧溶媒を添加してポリフェニレンエーテル粒子を析出させる方法が知られている。
上述した従来のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、析出するポリフェニレンエーテル粒子は微粉量が適切でないため、袋詰めやフレキシブルコンテナ詰めする際に、微粉量が少なすぎると細密充填できず、微粉量が多すぎると嵩比重が高くなり、運搬性に劣るという問題を有している。
また、ポリフェニレンエーテル粒子の微粉量は、析出工程でポリフェニレンエーテル粒子の粒径が周期的に変動すること、析出工程以降の後処理工程で更に微粉化してしまうことにより、細密充填するために最適な量に調整することが困難である。
下記特許文献1においては、往復動式撹拌機により、析出工程の後工程での微粉飛散が少なく押出機への喰い込み不良が少ないポリフェニレンエーテルを得る技術が記載されている。
また、下記特許文献2においては、ドラフトチューブ型の析出装置により、均一な粒径の粒子を析出する技術が記載されている。
さらに、下記特許文献3においては、微粉ロス、フィルター詰まりや押出機喰い込み不良を抑えるため、析出の際の撹拌速度、ポリマー濃度、析出温度や貧溶媒量等を規定した技術の提案がなされている。
特開2000−281773号公報 国際公開第2003/064499号 米国特許出願公開第2011/0160421号明細書
しかしながら、特許文献1では、析出工程運転時における安定性が不足しており周期的に粒径が変動し微粉が発生するため、後工程を経て得られる製品粒径も変動する懸念があるという問題を有している。そのため、より安定した析出工程の開発が望まれている。
また、特許文献2は、ポリマー濃度の低い領域での析出技術であり、溶剤使用量が多くなり非効率的であるという問題を有している。また、当該技術により得られる粒子は、微粉率が低すぎ、粒子が均一化するため、細密充填しにくく嵩比重が低いという問題も有している。
さらに、特許文献3においても、ポリマー濃度の低い領域における析出が含まれており、析出が不安定かつ非効率的であるという問題を有している。
上述したように、従来のポリフェニレンエーテル析出方法及び析出工程以降の後処理工程においては、ポリフェニレンエーテル粉体の微粉率(微粉量)を適切な値(範囲)に制御しておらず、細密充填や嵩比重の観点から、実用上望ましくないという問題を有している。
さらに、従来技術では、ポリマー濃度が低い領域で析出させているため、溶剤使用量が多く、回収コストも多大であるという問題がある。
このように従来技術の析出方法は、産業界の要求に十分応えられるものではない。
そこで、本発明においては、上述した従来技術の問題に鑑み、使用溶剤量が少なく、析出工程以降の後処理工程で適度に微粉化し、実用上好適な微粉率が得られるポリフェニレンエーテル粉体を、スケール付着等のトラブル無しに安定して製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、析出槽にフィードするポリマー溶液の濃度を従来技術より高くし、貧溶媒と良溶媒との比率を所定の範囲に保つことにより、後処理工程で適度に微粉化し、かつ、粉体微粉率が適切な粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
フェノール化合物を、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中で重合し、ポリマー溶液を得る重合工程と、
前記フェノール化合物のポリマー溶液と、ポリフェニレンエーテルに対する貧溶媒とを析出槽に添加し、ポリフェニレンエーテルを析出させてスラリーを生成する析出工程と、
を有し、
前記析出槽に添加する前記ポリマー溶液において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中の濃度をX[質量%]とし、
前記析出工程において前記析出槽内にフィードする貧溶媒と前記ポリマー溶液中の良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒[wt/wt])をYとしたとき、前記XとYとが、下記式(I)、(II)を満たす、ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
30<X≦48 …(I)
14.891・(X/100)−0.9804・(X/100)−0.4602≦Y≦18.032・(X/100)−1.1873・(X/100)−0.3463…(II)
〔2〕
前記重合工程後、当該重合工程により得られたポリマー溶液を、前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の沸点以上に加温し、ポリマー濃度を調整したポリマー溶液を得る濃縮工程を行う、前記〔1〕に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔3〕
ポリフェニレンエーテルを析出させることにより生成したスラリーを貧溶媒で洗浄し、固液分離した後、湿潤ポリフェニレンエーテルを機械的に解砕する工程を、さらに有する前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔4〕
前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔5〕
前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、及び水からなる群より選ばれる少なくとも一種である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔6〕
前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒が、当該貧溶媒中に、0.05〜30質量%の水を含む、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔7〕
前記析出槽として、傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼からなる群より選ばれる少なくとも一段の撹拌翼を備えるものを用い、前記析出工程において、当該攪拌翼により攪拌を行う、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔8〕
前記析出槽として、少なくとも一枚のバッフルを備えるものを用いる前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔9〕
前記析出槽として、ドラフトチューブを備え、当該ドラフトチューブの内部に、前記傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼からなる群より選ばれる少なくとも一段の攪拌翼を備え、前記ドラフトチューブ内部の撹拌翼が下方吐出翼であるものを用い、前記析出工程においては前記攪拌翼により攪拌を行う、前記〔7〕又は〔8〕に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔10〕
前記析出槽として、前記ドラフトチューブの外側にリボン翼である攪拌翼を備え、前記ドラフトチューブ外側の撹拌翼が上方吐出翼であるものを用い、前記析出工程においては前記攪拌翼により攪拌を行う、前記〔9〕に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔11〕
前記析出工程における液温が30〜63℃である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
〔12〕
前記析出槽中におけるポリフェニレンエーテルの滞留時間が0.25〜5分である、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
本発明のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法によれば、適度な微粉率を有する、運搬性が良好なポリフェニレンエーテル粒子を、使用溶剤量が少なく、スケール付着等のトラブルなしに安定して析出させることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法〕
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法は、
フェノール化合物を、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中で重合し、ポリマー溶液を得る重合工程と、
前記フェノール化合物のポリマー溶液と、ポリフェニレンエーテルに対する貧溶媒とを析出槽に添加し、ポリフェニレンエーテルを析出させてスラリーを生成する析出工程と、
を有し、
前記析出槽に添加する前記ポリマー溶液において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中の濃度をX[質量%]とし、
前記析出工程において前記析出槽内にフィードする貧溶媒と前記ポリマー溶液中の良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒[wt/wt])をYとしたとき、前記XとYとが、下記式(I)、(II)を満たす、ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法である。
30<X≦48 …(I)
14.891・(X/100)−0.9804・(X/100)−0.4602≦Y≦18.032・(X/100)−1.1873・(X/100)−0.3463…(II)
前記「ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中の濃度」とは、上述した重合工程又は濃縮工程で得られたポリマー溶液の濃度のことを意味し、いわゆる初期仕込み液の良溶媒は濃度の換算に含まないものとする。
また、前記「析出工程において前記析出槽にフィードする貧溶媒」とは、析出槽の初期仕込みが完了した後、前記ポリマー溶液を投入し、その後、ポリフェニレンエーテルを析出させるためにフィードする貧溶媒のことを意味し、初期仕込み液の貧溶媒は含まないものとする。
さらに、前記「ポリマー溶液中の良溶媒」とは、上述した重合工程で得られたポリマー溶液における良溶媒のことを意味し、初期仕込み液の良溶媒は含まないものとする。
(ポリフェニレンエーテル)
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法における重合工程で作製されるポリフェニレンエーテル(以下、単に「PPE」と言う場合がある。)について以下に説明する。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法における、前記重合工程によって作製されるポリフェニレンエーテルは、下記式(1)で表される繰返し単位構造からなるホモ重合体及び/又は共重合体である。
・・・(1)
前記式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群より選ばれるいずれかである。
前記式(1)中、R、R、R、及びRで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
前記式(1)中、R、R、R、及びRで示される「アルキル基」は、炭素数が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示すものとし、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。メチル、エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
前記式(1)中、R、R、R、及びRで示されるアルキル基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
このような置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、アルケニル基(例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル)、アルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)等が挙げられる。
前記ポリフェニレンエーテル0.5gを、1dLのクロロホルムに溶解したクロロホルム溶液を用いて30℃で測定した還元粘度は、0.15〜1.0dL/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.85dL/gの範囲、さらに好ましくは0.25〜0.70dL/gの範囲である。
還元粘度が0.15dL/g以上であることにより十分な機械的物性が発現できる。
また、上記還元粘度が1.0dL/g以下であることにより、重合時の溶液粘度が高くなりすぎず、重合槽の周辺機器の能力を適切に制御でき、後処理が容易であり、加工性も良好なものとなる。
還元粘度は、後述する実施例に記載した方法により測定することができる。
前記ポリフェニレンエーテルの分子量に関わる情報は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定装置を用いた測定により得られる。
具体的なゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定条件としては、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21(カラム:昭和電工(株)製K−805Lを2本直列、カラム温度:40℃、溶媒:クロロホルム、溶媒流量:1.0mL/min、サンプル濃度:ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液)を用いて、標準ポリスチレン(標準ポリスチレンの分子量は、3,650,000、2,170,000、1,090,000、681,000、204,000、52,000、30,200、13,800、3,360、1,300、550)の検量線を作成するという、測定条件とする。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmを、それぞれ選択できる。
また、分子量分布を示す指標として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分散度を使用する。この分散度は、値が小さいほど分子量分布が狭いことを示し、1が最小値である。
前記ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)は、7,000以上35,000以下であることが好ましい。より好ましい下限は8,000以上であり、さらに好ましい下限は9,000以上である。また、より好ましい上限は30,000以下であり、さらに好ましい上限は25,000以下である。
機械的特性を発揮する観点から、数平均分子量の下限は7,000以上であることが好ましく、重合反応時の液粘性の観点から、数平均分子量の上限は35,000以下であることが好ましい。
前記ポリフェニレンエーテルの分散度は4.5以下であることが好ましく、より好ましくは4.0以下であり、さらに好ましくは3.75以下であり、さらにより好ましくは3.5以下である。
また、前記ポリフェニレンエーテルの分散度は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは1.9以上、さらにより好ましくは2.0以上である。
分散度が上記の範囲にあると低分子量成分と高分子量成分のバランスが良く、このような分散度を持つポリフェニレンエーテルは耐薬品性と流動性のバランスに優れる。
前記ポリフェニレンエーテルは、残留金属触媒量が1.0ppm未満であることが好ましい。
残留金属触媒量とは、ポリフェニレンエーテル自体の純度の指標である。
残留金属触媒量が1.0ppm未満であることは、ポリフェニレンエーテルの高純度の観点から好ましく、さらに、残留金属触媒量が1.0ppm未満であると熱履歴後の黄色味を抑制できるため好ましく、より好ましくは0.8ppm未満、さらに好ましくは0.6ppm未満、さらにより好ましくは0.4ppm未満、よりさらに好ましくは0.2ppm未満である。
なお、ポリフェニレンエーテルの残留金属触媒量は、原子吸光光度計により測定することができる。
(ポリフェニレンエーテルの重合工程)
<重合工程に用いる単量体>
上記式(1)により表されるポリフェニレンエーテルは、以下のフェノール化合物を重合することにより製造できる。
フェノール化合物として、特に限定されないが、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール、2、5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2−メチル−5−エチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、2−アリル−5−メチルフェノール、2、5−ジアリルフェノール、2,3−ジエチル−6−n―プロピルフェノール、2−メチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−n−ブチルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−フェニルフェノール、2,5−ジフェニルフェノール、2,5−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−5−トリルフェノール、2,5−ジトリルフェノール、2,6−ジメチル−3−アリルフェノール、2,3,6−トリアリルフェノール、2,3,6−トリブチルフェノール、2,6−ジ−n−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチル−3−n−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−3−t−ブチルフェノール等が挙げられる。
特に、安価であり入手が容易であるため、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノールが好ましく、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノールがより好ましい。
上記フェノール化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジエチルフェノールとを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールとを組み合わせて用いる方法、2,3,6−トリメチルフェノールと2,5−ジメチルフェノールとを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとを組み合わせて用いる方法等が挙げられる。混合比は任意に選択できる。
また、使用するフェノール化合物の中には、製造の際の副産物として含まれている少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
上記フェノール化合物の他、下記式(2)で表される二価のフェノール化合物が含まれていてもよい。
下記式(2)で表されるような二価のフェノール性化合物は、対応する一価のフェノール化合物とケトン類、又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応や、対応する一価のフェノール化合物同士の反応等により工業的に有利に製造できる。
特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサン等の汎用ケトン化合物と一価のフェノール化合物との反応により得られる化合物群や、一価のフェノール化合物同士の反応により得られる化合群がある。
下記式(2)で表される二価のフェノール性化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2−a)、(2−b)、(2−c)で表される化合物が挙げられる。
・・・(2−a)
・・・(2−c)
上記式(2)で表される代表的な化合物としては、特に限定されないが、例えば、R及びRがメチル基、R及びRが水素でXが両方のアリール基を直結している化合物、R及びRがメチル基、R及びRが水素でXがメチレンである化合物、R及びRがメチル基、R及びRが水素でXがチオである化合物、R、R及びRがメチル基、Rが水素でXがエチレンである化合物、R及びRがメチル基、R及びRが水素でXがイソプロピリデンである化合物、R及びRがメチル基、R及びRが水素でXがシクロヘキシリデンである化合物、R、R及びRがメチル基、Rが水素でXが両方のアリール基を直結している化合物、R、R及びRがメチル基、Rが水素でXがメチレンである化合物、R、R及びRがメチル基、Rが水素でXがエチレンである化合物、R、R及びRがメチル基、Rが水素でXがチオである化合物、R、R及びRがメチル基、Rが水素でXがイソプロピリデンである化合物、R、R、R及びRがメチル基でXがメチレンである化合物、R、R、R及びRがメチル基でXがエチレンである化合物、R、R、R及びRがメチル基でXがイソプロピリデンである化合物等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
ポリフェニレンエーテルの重合工程においては、上述したフェノール化合物の他、さらに、多価フェノール化合物を共存させることが可能である。
多価フェノール化合物として、特に限定されないが、例えば、分子内に3個以上9個未満のフェノール性水酸基を有し、その内の少なくとも1個のフェノール性水酸基の2,6位にアルキル基又はアルキレン基を有する化合物が挙げられる。
多価フェノール化合物の具体例を下記に列挙する。
特に限定されないが、例えば、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルエチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、2,2’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]−ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−エチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、3,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,5/3,6−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,3,5/3,4,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−6−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、6,6’−メチレンビス[4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4”,4”’−(1,2−エタンジイリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’,4”,4”’−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フェノール性水酸基の数は3個以上であれば特に制限はないが、数が多くなると重合の制御が困難になる。また、2,6位のアルキル基又はアルキレン基としてはメチル基が好ましい。最も好ましい多価フェノール化合物は、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’,4”,4”’−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)である。
<重合方法>
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、先ず、溶液重合により上述したフェノール化合物を重合してポリフェニレンエーテルを含むポリマー溶液を得る(重合工程)。
なお、重合工程で得られたポリマー溶液を前記良溶媒の沸点以上に加温し、ポリマー濃度を調整し、濃縮したポリマー溶液を得てもよい(濃縮工程)。当該濃縮工程は必要に応じて行う。
次に、後述するように、ポリマー溶液とポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを混合することによってポリフェニレンエーテルを析出させ、スラリーを生成する(析出工程)。
溶液重合とは、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中で重合が行われ、重合中にポリフェニレンエーテルの沈殿が析出しない重合方法である。全ポリフェニレンエーテル分子が溶解した状態にあり、分子量分布は広くなる傾向にある。ポリフェニレンエーテルが溶解した重合液を、必要に応じて濃縮工程によって濃縮し、このポリマー溶液をメタノール等のポリフェニレンエーテルの貧溶媒と混合することによって粉体状のポリフェニレンエーテルが得られる。
<重合に用いる良溶媒>
重合において用いるポリフェニレンエーテルの良溶媒としては、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
ポリフェニレンエーテルの重合方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法がある。米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号、特開昭50−51197号、同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
効率良くポリフェニレンエーテルを製造する観点及び特定の分子量分布をもつポリフェニレンエーテルを製造する観点から、モノマー濃度は、重合液の全量を基準として、10〜30質量%が好ましく、13〜27質量%がより好ましい。前記濃度が10質量%以上であると、ポリフェニレンエーテルの製造効率が高くなる。
一方、前記濃度が30質量%を超えると、特定の分子量に調整できなくなる傾向にある。この原因について本発明者らは以下のように推定している。前記濃度が30質量%を超えて高くなると、重合終結時の液粘度が高くなり、均一な撹拌が困難となる。そのため、不均一な反応が起こり、予想外の分子量のポリフェニレンエーテルが得られる場合がある。その結果、上述したように数平均分子量が7000以上35000以下の、ポリフェニレンエーテルを効率よく製造することが困難になるおそれがある。
ポリフェニレンエーテルの溶液重合工程では、酸素含有ガスを供給しながら行う。
前記酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素、希ガス等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。
重合反応中の系内圧力は、常圧でもよく、必要に応じて減圧や加圧でも使用できる。
酸素含有ガスの供給速度は、除熱や重合速度等を考慮して任意に選択できるが、重合に用いるフェノール化合物1モル当たりの純酸素供給速度としては、5NmL/分以上が好ましく、10NmL/分以上がさらに好ましい。
ポリフェニレンエーテルの重合反応系には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等を添加してもよい。
また、従来から重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を重合溶媒中に添加してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、Aliquat336やCapRiquat(株式会社 同仁化学研究所製 商品名)で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。使用量は重合反応原料の全量に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
ポリフェニレンエーテルの重合反応系には、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いられる公知の触媒系を添加してもよい。
例えば、酸化還元能を有する遷移金属イオンと、この金属イオンと錯形成可能なアミン化合物からなるものが挙げられ、具体的には、銅化合物とアミンとからなる触媒系、マンガン化合物とアミンとからなる触媒系、コバルト化合物とアミンとからなる触媒系等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテルの重合反応は若干のアルカリ性条件下で効率良く進行するため、ここに若干のアルカリ若しくは更なるアミンを加えてもよい。
ポリフェニレンエーテルの重合工程における好適な触媒としては、構成成分として、銅化合物、ハロゲン化合物及び下記式(3)で表されるジアミン化合物を含む触媒が挙げられる。
・・・(3)
前記式(3)中、R、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群から選ばれるいずれかを示す。
なお全てが同時に水素ではないものとする。
13は炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。
上記式(3)により示されるジアミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−i−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
好ましいジアミン化合物は、前記式(3)中、2つの窒素原子をつなぐアルキレン基(R13)の炭素数が2又は3のものである。
これらのジアミン化合物の使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノール化合物100モルに対して0.01モル〜10モルの範囲で用いられる。
触媒成分を構成する前記銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物又はこれらの混合物を使用できる。第一銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。これらの中で特に好ましい銅化合物は、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。
また、これらの銅化合物は、酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸から合成してもよい。
例えば、酸化第一銅とハロゲン化合物(例えばハロゲン化水素の溶液)とを混合することにより合成できる。これらの銅化合物は、単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
触媒成分を構成する前記ハロゲン化合物としては、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。またこれらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。
これらのハロゲン化合物は、単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
触媒成分のうちの銅化合物とハロゲン化合物の使用量は特に限定されないが、触媒成分として銅化合物とハロゲン化合物を両方用いる場合、銅原子にモル数に対してハロゲン原子が2倍〜20倍であることが好ましく、使用されるフェノール化合物の100モルに対して好ましい銅原子の使用量としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
重合触媒としては、上述した化合物の他、さらに、例えば3級モノアミン化合物又は2級モノアミン化合物を、それぞれ単独で又は組み合わせて含有させてもよい。
3級モノアミン化合物とは、脂環式3級アミンを含む脂肪族3級アミンである。
例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
これらの3級モノアミン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。使用量は特に限定されないが、重合するフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好ましい。
前記3級モノアミン化合物は、通常使用される全量を全て反応系内に初期から加える必要はない。すなわち、その内の一部を途中で加えてもよいし、その一部を重合開始から逐次加えてもよい。また、重合の開始と同時にフェノール化合物又はフェノール化合物の溶液に加え、これと共に加えてもよい。
2級モノアミン化合物としては、第2級脂肪族アミンが挙げられる。
第2級脂肪族アミンとして、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
また、2級モノアミン化合物としては、芳香族を含む2級モノアミン化合物も適用できる。例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。上述した2級モノアミン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合するフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好適である。
(ポリフェニレンエーテルの重合反応後の後処理)
重合反応の終了後の後処理方法については、特に限定されるものではないが、通常、塩酸や酢酸等の酸、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて触媒を失活させる方法が挙げられる。
重合終結時の重合溶液は、ポリフェニレンエーテルが良溶媒に溶解した状態であるため、触媒の洗浄除去を目的として、ポリフェニレンエーテルの溶解能が低く、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と相分離する、例えば水等の溶媒を主成分とする溶液を用いて繰り返し洗浄処理を行うことが好ましい。
(濃縮工程)
上述した重合工程で得られたポリフェニレンエーテルを含有するポリマー溶液を、必要に応じて良溶媒の沸点以上に加熱し、良溶媒を系外に抜出すことにより、濃縮し、後述するポリマー濃度Xを所望の範囲に調整し、ポリマー濃度を高めるようにしてもよい。
すなわち、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中のポリフェニレンエーテル濃度(X[質量%])を、30質量%を超えて48質量%以下の範囲に調整する。
Xは、44質量%以下にすることがより好ましく、40質量%以下にすることがよりさらに好ましい。
(ポリフェニレンエーテルの析出工程)
ポリフェニレンエーテルの析出工程においては、先ず、析出槽の初期仕込み液は貧溶媒と良溶媒の質量比(初期仕込み貧溶媒/初期仕込み良溶媒)が、0.4〜1.2の範囲になるように仕込むことが好ましい。
当該析出槽に、重合工程、又は濃縮工程を経て得られたポリマー溶液と貧溶媒とを添加して撹拌することにより、析出槽内の組成は式(II)を満たす範囲で安定し、ポリフェニレンエーテルを析出させ、スラリーを生成する。
本実施形態においては、析出工程において、析出槽に投入するポリフェニレンエーテル含有ポリマー溶液濃度(X)を、30質量%を超えて48質量%以下とした条件の下、析出槽にフィードする貧溶媒と、析出槽に投入するポリマー溶液中の良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒)=Yは、式(II)に示す条件を満たすものとする。
14.891・(X/100)−0.9804・(X/100)−0.4602≦Y≦18.032・(X/100)−1.1873・(X/100)−0.3463…(II)
なお、上記「析出工程において、析出槽に投入するポリフェニレンエーテル含有ポリマー溶液濃度(X)」とは、上述した重合工程又は濃縮工程で得られたポリマー溶液における良溶媒溶液中のポリマーの濃度のことを意味し、初期仕込み液の良溶媒は含まないものとする。
また、上記「析出槽にフィードする貧溶媒」とは、析出槽の初期仕込みが完了した後、前記ポリマー溶液を投入し、その後、ポリフェニレンエーテルを析出させるためにフィードする貧溶媒のことを意味し、初期仕込み液の貧溶媒は含まないものとする。
さらに、前記「析出槽に投入するポリマー溶液中の良溶媒」とは、析出槽の初期仕込みが完了した後、析出槽に投入するポリマー溶液に含まれる良溶媒のことを意味し、初期仕込み液の良溶媒は含まないものとする。
すなわち、本明細書中において、Y=(析出工程でフィードする貧溶媒/ポリマー溶液に含有されている良溶媒)である。
前記析出槽にフィードする貧溶媒とポリマー溶液中の良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒)=Yが上記式(II)を満たすと、析出した粒子を含むスラリーを固液分離し乾燥するといった後処理工程を経た後、適度の微粉を含むため、細密充填が可能となり、運搬性の優れたポリフェニレンエーテル粉体が生成される。
貧溶媒と良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒)=Yが上記式(II)に示す範囲内であると、析出した粒子の反応器へのスケールが極めて少なく、安定に重合体が生成する。
なお、スケールとは、析出したポリマーが反応器の側面や撹拌翼等に付着する状態をいい、これにより、系内の原料(ポリマー)濃度が一定ではなくなる。また、損失ポリマーが増加するという問題を生じる。
本実施形態においては、析出工程で、安定的に所望の微粉率を有するポリフェニレンエーテル粒子を作製する観点から、貧溶媒と良溶媒との比率を、上記式(II)の範囲に制御する。
本実施形態においては、析出工程において、良溶媒中のポリフェニレンエーテル濃度が30質量%を超えて48質量%以下のポリマー溶液を用いるが、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中のポリフェニレンエーテル濃度が30質量%以下であると、ポリフェニレンエーテルを析出させるための貧溶媒の量が多大になり、生産効率上好ましくない。また、貧溶媒を回収して使用する場合には、回収コストが多大になるため好ましくない。
一方において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中のポリフェニレンエーテル濃度が48質量%を超えると、液粘性が高くなりポンプ等の周辺機器の設備費が多大になり好ましくない。更に、高温に保たなければ、ポリマーが固化し運転が困難になるため好ましくない。
<貧溶媒>
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法における、析出工程で用いる貧溶媒としては、以下の溶剤を用いることができる。
なお、貧溶媒とは、ポリフェニレンエーテルを全く溶解しないか、わずかに溶解できる溶媒である。
具体的には、ケトン類、アルコール類を用いることができる。好ましくは、炭素数1〜10のアルコールである。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げられる。
これらの貧溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
より好ましい貧溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、水である。
前記貧溶媒の中でも、水と他の貧溶媒との組合せが好ましく、このときの水の含有量は析出粒子径均一化、スケール防止の観点から、0.05〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、上述したように、ポリフェニレンエーテルを析出させる際にフィードする貧溶媒とポリマー溶液中の良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒)をYとすると、Yは、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中のポリマー濃度:X[質量%]を用いた以下の式で表される範囲内である。
30<X≦48 …(I)
14.891・(X/100)−0.9804・(X/100)−0.4602≦Y≦18.032・(X/100)−1.1873・(X/100)−0.3463 …(II)
析出槽にフィードするポリマー溶液と貧溶媒の比率を調整することにより、Yが上記(II)の範囲になるように制御することができる。
Yが上式(II)の範囲内にあると、析出槽内で適度に粒径の変動が生じ、細密充填し易いポリフェニレンエーテル粒子を析出させることができる。また、貧溶媒/良溶媒比が上記式(II)の範囲にあると析出槽内でのスケーリングが極めて少なく、安定した運転が可能となる。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル粉体の微粉率(105μm以下の粒子の含有率)は、細密充填可能で、かつ運搬性を向上させる観点から、9〜40質量%が好ましく、より好ましくは9〜16質量%である。
なお、上記式(II)は、析出槽中でのポリマー濃度(〔(析出槽内に存在するポリマー質量)/(フィード後に析出槽内に存在する良溶媒+貧溶媒の合計質量)〕×100)が18〜21質量%になることを意味する。この濃度では、スラリー液中でポリフェニレンエーテル粒子が沈降することなく均一に流動させることができる。
また、ポリフェニレンエーテルを析出させる際の貧溶媒と良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒)が、式(II)の範囲にあれば、析出槽での粒子の凝集性及び/又は付着性が適度な範囲となる。これらの結果、所望の粒径分布に制御しながら、スケール付着を抑制できる。
すなわち、上記式(II)を満たすことにより、貧溶媒リッチになり、良溶媒がポリフェニレンエーテル粒子中に含浸しにくくなり、その結果、細かい粒子が多くなり適度に凝集し、残溶媒量が少ない粒子が得られ、スケール付着等のトラブルも効果的に防止することができる。また、良溶媒の含浸量が少ないとポリフェニレンエーテル自体が強固になり、析出工程以後の後処理工程でも粒径変化が極めて少ない、高品質のポリフェニレンエーテル粒子が得られる。
さらにまた、貧溶媒リッチであり、かつ適度に微粉を含むことにより、乾燥性が向上し、残溶媒が少ない、という効果がより一層確実に得られるようになる。
析出工程における液温は、析出粒径安定性とスケール防止の観点から30〜63℃であることが好ましい。より好ましくは40〜60℃である。
析出槽中におけるポリフェニレンエーテルの滞留時間は、析出粒径安定性の観点から0.25〜5分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜3.0分である。
析出槽の形状としては、内部に傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼から選ばれる少なくとも一段の撹拌翼を備えたものが好ましい。上述した析出工程においては、これらの攪拌翼によって攪拌を行うことが好ましい。また、攪拌翼は下方吐出であることが好ましい。
また、流動性を安定させる観点から、少なくとも一枚のバッフルを備えたものを用いることが好ましい。
析出槽は、流動性を安定させる観点からドラフトチューブを備えていることが好ましく、この場合ドラフトチューブ内部には、析出粒径安定化とスケール防止の観点から傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼からなる群より選ばれる少なくとも一段の攪拌翼を備えていることが好ましく、当該ドラフトチューブ内部の攪拌翼は、下方吐出翼であることが好ましい。上述した析出工程においては、当該下方吐出翼である攪拌槽によって攪拌を行うことが好ましい。これにより、ドラフトチューブ内を下降流、ドラフトチューブ外を上昇流として循環させることができ、攪拌運転状態が安定する。
また、析出工程において用いる析出槽としては、前記ドラフトチューブの外側には、流動性を安定させる観点から、リボン翼である攪拌翼を備えるものも好ましく用いられ、当該ドラフトチューブの外側のリボン翼である攪拌翼は、ドラフトチューブ内の下方吐出翼との組合せの観点から上方吐出翼であることが好ましく、上述した析出工程において、当該前記上方吐出翼である攪拌翼によって攪拌を行うことが好ましい。
(洗浄工程)
上述した析出工程において得られたスラリーに、さらに貧溶媒を加えて撹拌し、良溶媒を洗浄する、洗浄工程を行ってもよい。
その後、固液分離工程により、溶剤と湿潤ポリフェニレンエーテルとに分離する。
その際、湿潤ポリフェニレンエーテルを貧溶媒で洗浄し固液分離する工程を繰り返してもよい。
洗浄工程後に固液分離する装置としては、特に限定されるものではないが、遠心分離機(振動型、スクリュー型、デカンタ型、バスケット型など)や真空濾過機(ドラム型フィルター、ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター、ヤングフィルター、ヌッチェ等)やフィルタープレス、ロールプレスを用いることが可能である。
固液分離後に得られた湿潤ポリフェニレンエーテルは、粉砕機により解砕し、微粉率を調整することができる。粉砕機としては特に制限されるわけではないが、ジョークラッシャー、コーンクラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル、ボールミル、高速回転ミル、ジェットミル等を使用することが可能である。
上述した析出工程において、ポリフェニレンエーテルを析出させる際の貧溶媒と良溶媒との質量比(Y)を、上記式(II)の範囲内としたことにより、粒子凝集や微粉化が適度に発生し、適度の細かい粒子を含んだ粉体が得られる。固液分離装置は遠心力や減圧を利用して脱液するが、その際にポリフェニレンエーテル粒子が柔らかな塊になる場合もあるため、これを粉砕機により析出粒子サイズまで解砕することにより、粒径の均一性の向上を図ることができる。
(乾燥工程)
上述のようにして析出工程、洗浄工程、及び必要に応じて粉砕を行った後、乾燥処理を行う。
乾燥処理は、少なくとも60℃以上の温度により行うことが好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、140℃以上がさらにより好ましく、150℃以上がよりさらに好ましい。
ポリフェニレンエーテルの乾燥を60℃以上の温度で行うと、ポリフェニレンエーテル粉体中の良溶媒の含有量を効率よく抑制できる。
なお、残留溶媒量は、加工時の作業環境の観点から1.5質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以下である。
ポリフェニレンエーテル粉体を高効率で得るためには、乾燥温度を上昇させる方法、乾燥雰囲気中の真空度を上昇させる方法、乾燥中に撹拌を行う方法等が有効であるが、特に、乾燥温度を上昇させる方法が製造効率の観点から好ましい。
乾燥工程は、混合機能を備えた乾燥機を使用することが好ましい。混合機能としては、撹拌式、転動式の乾燥機等が挙げられる。これにより処理量を多くでき、生産性を高く維持できる。
(ポリフェニレンエーテル粉体の特性)
<微粉率>
上述したように、乾燥工程を経て、目的とするポリフェニレンエーテル粉体が得られるが、乾燥工程後のポリフェニレンエーテル粉体中の微粉率(105μm以下の粒子の含有率)は9質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは9質量%以上24質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以上16質量%以下である。
微粉率が9質量%以上であると、粉体を細密充填できるため運搬性向上の効果が得られる。
微粉率が40質量%以下であると袋詰めやフレキシブルコンテナ詰めを行う際に細密充填が可能となり、運搬性が良好なポリフェニレンエーテル粉体を得ることができる。更に、微粉の飛散等の防止が図られ、取扱性の向上効果が得られる。
なお、微粉率は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
<平均粒径>
本実施形態の製造方法により得られたポリフェニレンエーテル粉体の平均粒径は、粉体取扱性と運搬性の観点から、500〜2000μmが好ましい。
なお、平均粒径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
<還元粘度>
本実施形態の製造方法により得られたポリフェニレンエーテル粉体は、クロロホルム溶液を用いて30℃で測定する還元粘度が0.15〜1.0dL/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.85dL/gの範囲、さらに好ましくは0.25〜0.70dL/gの範囲である。
上記還元粘度が0.15dL/g以上であることにより十分な機械的物性が発現できる。
また、上記還元粘度が1.0dL/g以下であることにより、重合時の溶液粘度が高くなりすぎず、重合槽の周辺機器の能力を適切に制御でき、後処理が容易であり、加工性も良好なものとなる。
還元粘度は、後述する実施例に記載した方法により測定することができる。
<ゆるめ見掛け比重、かため見掛け比重>
本実施形態の製造方法により得られたポリフェニレンエーテル粉体は、ゆるめ見かけ比重が0.4以上であることが好ましく、0.45以上であることがより好ましく、0.48以上であることがさらに好ましい。ゆるめ見かけ比重の上限は、特に限定されない。
本実施形態の製造方法により得られたポリフェニレンエーテル粉体は、かため見かけ比重が0.49以上であることが好ましく、0.55以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましく、0.65以上であることがよりさらに好ましい。かため見かけ比重の上限は、特に限定されないが、1.06以下であることが好ましい。
ゆるめ見かけ比重又はかため見かけ比重を前記範囲とすることにより、ポリフェニレンエーテル粉体を容器に詰め運搬する際の運搬効率、ポリフェニレンエーテル粉体を取り扱う際の計量性に優れたものとなる。
本実施形態の製造方法に従い、上記式(I)、(II)を満たす範囲であれば、微粉を適度に含んだポリフェニレンエーテル粉体を析出させることができ、その結果として粉体を細密充填が可能となり、運搬性が良好なポリフェニレンエーテル粉体を得ることができる。
なお、ゆるめ見かけ比重又はかため見かけ比重は後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例に適用した、物性及び特性等の測定方法を下記に示す。
((1)平均粒径の測定、微粉率の算出)
得られたポリフェニレンエーテル粒子を篩い分け、各分取部の重量を測定した。
粒径分布の累積曲線から、中央累積値にあたる粒子の径(メジアン径)を平均粒径とした。
同様に粒径分布の累積曲線から得られる105μm以下の粒子の含有率(質量%)を微粉率をとして測定した。
((2)還元粘度の測定)
0.5g/dLのクロロホルム溶液を調製し、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)[dL/g]を求めた。
((3)分子量の測定、分子量分布(分散度)の算出)
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンにより検量線を作成し、この検量線を利用して重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定を行った。また、これらから分子量分布Mw/Mn(分散度)を算出した。
標準ポリスチレンの分子量は、3650000、2170000、1090000、681000、204000、52000、30200、13800、3360、1300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K−805Lを2本直列につないだものを使用した。
溶媒は、クロロホルムを使用し、溶媒の流量は1.0mL/min、カラムの温度は40℃として測定した。
測定用試料としては、ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。
検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
((4)ゆるめ又はかため見かけ比重の測定)
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)により、100cc容積の金属容器を用い測定した。
ゆるめ見掛け比重とかため見掛け比重との差が大きいと、細密充填で包装する際に、運搬性の観点から有利であると判断した。
((5)溶剤使用量の比較)
ポリフェニレンエーテル1kgを析出するために用いた良溶媒、貧溶媒のそれぞれの溶剤量(kg)、及びこれらの合計量(濾過後の洗浄に用いた溶剤量も含める。)を、フィード量から計算し、比較を行った。
〔ポリフェニレンエーテル溶液の製造〕
<製造例1>
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。
次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入を始め重合を開始した。乾燥空気を185分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。重合終結時の重合液は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(1)とした。
<製造例2>
乾燥空気の通気時間を125分とし、重合時間を変更することにより、分子量を制御した。その他の条件は、製造例1と同様に製造してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をポリマー溶液(2)とした。
<製造例3>
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.02gの酸化第二銅、29.876gの47質量%臭化水素水溶液、9.684gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、46.88gのジ−nブチルアミン、122.28gのブチルジメチルアミン、17.53kgのトルエン、及び1.5kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。
次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入すると同時に、プランジャーポンプより1.62kgの2,6−ジメチルフェノールと、3.12kgのトルエンからなる溶液とを30分かけて重合槽に添加した。
重合終結時の重合液は溶液状体にあった。乾燥空気を86分間通気し、重合時間を変更することにより、分子量を制御した。なお、重合中は内温が40℃になるようにコントロールした。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(3)とした。
〔ポリフェニレンエーテルの析出〕
<実施例1>
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、ジャケット付きの撹拌槽に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。
発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより、冷却してトルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が30.5質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が30.5質量%のポリマー溶液を90kg作製した。
次に、国際公開第2003/064499号の実施例1に示すドラフトチューブと、4枚傾斜パドル翼とを備えたジャケット付き析出槽を用いてポリマーの析出を行った。
なお、ラフトチューブ外部にバッフル4枚を追加して備えた析出槽とした。
この析出槽運転中に析出槽内液量は1100mLであった。
当該析出槽にトルエン500gとメタノール500gを仕込み、1500rpmで撹拌した。
析出槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1100mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。
フィードラインの位置は国際公開第2003/064499号の実施例1に記載されている位置と同じ位置とした。
水3.0質量%を含むメタノール300g/minと、上記の30.5質量%ポリマー溶液472g/minを析出槽内にフィードした。パドル翼は、1500rpmで回し続けた。約190分間連続で運転した。
ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から772g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、別ラインよりメタノールを200g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。
スラリー濃度14.8質量%の洗浄スラリー液147kgを作製した。
当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。各濾過後、ポリマーと当量のメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。
ついで、湿潤ポリフェニレンエーテルを、10mmの丸穴メッシュをセットしたフェザミル(ホソカワミクロン社製FM−1S)に投入し、解砕した後、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表1に示す。
<実施例2>
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを400g/minとしたこと、上記の38.0質量%ポリマー溶液を372g/minでフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを150g/minとしたこと以外は実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表1に示す。
<実施例3>
前記製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて30.5質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が30.5質量%のポリマー溶液を90kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを300g/minとしたこと、上記の30.5質量%ポリマー溶液を472g/minを槽内にフィードしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表1に示す。
<実施例4>
前記製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを400g/minとしたこと、上記の38.0質量%ポリマー溶液を372g/minでフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを150g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表1に示す。
<実施例5>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて30.5質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が30.5質量%のポリマー溶液を90kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを300g/minと上記の30.5質量%ポリマー溶液を472g/minをフィードした以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表1に示す。
<実施例6>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを400g/minとしたこと、上記の38.0質量%ポリマー溶液を372g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを150g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表1に示す。
<比較例1>
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、ジャケット付きの撹拌槽に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。
発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより冷却してトルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が22.0質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が22.0質量%のポリマー溶液を125kg作製した。
次に、国際公開第2003/064499号の実施例1に示すドラフトチューブと、4枚傾斜パドル翼とを備えたジャケット付き析出槽を用いてポリマーの析出を行った。なお、ドラフトチューブ外部にバッフル4枚を追加して備えた析出槽とした。
この析出槽運転中に析出槽内の液量は1100mLであった。
当該析出槽にトルエン500gとメタノール500gを仕込み、1500rpmで撹拌した。
析出槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1100mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。
フィードラインの位置は国際公開第2003/064499号の実施例1に記載されている位置と同じ位置とした。
水3.0質量%を含むメタノールを240g/minと上記の22.0質量%ポリマー溶液532g/minを析出槽内にフィードした。パドル翼は、1500rpmで回し続けた。約230分間連続で運転した。
ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から772g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、運転を安定させるため、別ラインよりメタノールを350g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。
スラリー濃度15質量%の洗浄スラリー液180kgを作製した。
当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。各濾過後、運転を安定させるため、1.5kgのメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。
ついで、湿潤ポリフェニレンエーテルを、10mmの丸穴メッシュをセットしたフェザミル(ホソカワミクロン社製FM−1S)に投入し解砕後、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表2に示す。
<比較例2>
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを420g/minとしたこと、上記38.0質量%ポリマー溶液を352g/minでフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを500g/minとしたこと以外は、実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表2に示す。
<比較例3>
前記製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて22.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が22.0質量%のポリマー溶液を125kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを240g/minとし、上記22.0質量%ポリマー溶液を532g/minとしてフィードした。パドル翼は、1500rpmで回し続けた。約230分間連続で運転した。
ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から772g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、運転を安定させるため、別ラインよりメタノールを350g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。スラリー濃度15質量%の洗浄スラリー液180kgを作製した。
当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。各濾過後、運転を安定させるため、1.5kgのメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。
ついで、湿潤ポリフェニレンエーテルを、10mmの丸穴メッシュをセットしたフェザミル(ホソカワミクロン社製FM−1S)に投入し解砕後、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表2に示す。
<比較例4>
前記製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを420g/minとしたこと、上記38.0質量%ポリマー溶液を352g/minでフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを500g/minとしたこと以外は、実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表2に示す。
<比較例5>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて22.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が22.0質量%のポリマー溶液を125kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを240g/minと、上記22.0質量%ポリマー溶液を532g/minを槽内にフィードした。パドル翼は、1500rpmで回し続け、約230分間連続で運転した。
ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から772g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、運転を安定させるため、別ラインよりメタノールを350g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。スラリー濃度15質量%の洗浄スラリー液180kgを作製した。
当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。各濾過後、運転を安定させるため、1.5kgのメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。
ついで、湿潤ポリフェニレンエーテルを、10mmの丸穴メッシュをセットしたフェザミル(ホソカワミクロン社製FM−1S)に投入し解砕後、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表2に示す。
<比較例6>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを420g/minとしたこと、上記38.0質量%ポリマー溶液を352g/minでフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを500g/minとしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表2に示す。
<比較例7>
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、ジャケット付きの撹拌槽に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。
発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより、冷却してトルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が30.5質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が30.5質量%のポリマー溶液を90kg作製した。
次に、国際公開第2003/064499号の実施例1に示すドラフトチューブと、4枚傾斜パドル翼とを備えたジャケット付き析出槽を用いてポリマーの析出を行った。なお、ドラフトチューブ外部にバッフル4枚を追加して備えた析出槽とした。
この析出槽運転中の析出槽内液量は1100mLであった。
当該析出槽にトルエン500gとメタノール500gを仕込み、1500rpmで撹拌した。
析出槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1100mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。
フィードラインの位置は国際公開第2003/064499号と同じ位置とした。
水3.0質量%を含むメタノール222g/minと、上記の30.5質量%ポリマー溶液550g/minを析出槽内にフィードした。パドル翼は、1500rpmで回し続けた。約160分間連続で運転した。
ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から772g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、別ラインよりメタノールを700g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。
スラリー濃度15質量%の洗浄スラリー液180kgを作製した。
当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。各濾過後、ポリマーと当量のメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。
ついで、湿潤ポリフェニレンエーテルを、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表3に示す。
<比較例8>
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを345g/minとしたこと、上記の38.0質量%ポリマー溶液を427g/minでフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを700g/minとしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表3に示す。
<比較例9>
前記製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて30.5質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が30.5質量%のポリマー溶液を90kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを222g/minとしたこと、上記の30.5質量%ポリマー溶液を550g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを700g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施した。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表3に示す。
<比較例10>
前記製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを345g/minとしたこと、上記の38.0質量%ポリマー溶液を427g/minでフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを700g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施した。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表3に示す。
<比較例11>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて30.5質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が30.5質量%のポリマー溶液を90kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを222g/minと上記の30.5質量%ポリマー溶液を550g/minをフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを700g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施した。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表3に示す。
<比較例12>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを345g/minとしたこと、上記の38.0質量%ポリマー溶液を427g/minをフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを700g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施した。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表3に示す。
<実施例7>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて30.5質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が30.5質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを250g/minとしたこと、上記の30.5質量%ポリマー溶液を522g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを250g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表4に示す。
<実施例8>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて38.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が38.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを350g/minとしたこと、上記の38.0質量%ポリマー溶液を422g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを250g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表4に示す。
<実施例9>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて43.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が43.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを450g/minとしたこと、上記の43.0質量%ポリマー溶液を322g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを150g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表4に示す。
<実施例10>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて43.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が43.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを410g/minとしたこと、上記の43.0質量%ポリマー溶液を362g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを250g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表4に示す。
<実施例11>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて47.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が47.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを475g/minとしたこと、上記の47.0質量%ポリマー溶液を297g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを150g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表4に示す。
<実施例12>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて47.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が47.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを440g/minとしたこと、上記の47.0質量%ポリマー溶液を332g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを250g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表4に示す。
<比較例13>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて43.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が43.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを460g/minとしたこと、上記の43.0質量%ポリマー溶液を312g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを400g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表5に示す。
<比較例14>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて43.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が43.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを392g/minとしたこと、上記の43.0質量%ポリマー溶液を380g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを650g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表5に示す。
<比較例15>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて47.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が47.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを500g/minとしたこと、上記の47.0質量%ポリマー溶液を272g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを500g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表5に示す。
<比較例16>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて47.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が47.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを422g/minとしたこと、上記の47.0質量%ポリマー溶液を350g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを700g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表5に示す。
<比較例17>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて50.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が50.0質量%のポリマー溶液を90kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを440g/minとしたこと、上記50.0質量%ポリマー溶液を332g/minでフィードした。運転中に50.0質量%のポリマー溶液を113℃に加温した状態でフィードしたが、ライン中で高粘性になり詰まるなどのトラブルが発生し、ポリフェニレンエーテル粉体を安定して生産することができなかった。
<比較例18>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて20.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が20.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを560g/minとしたこと、上記の20.0質量%ポリマー溶液を212g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを200g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表6に示す。
<比較例19>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて40.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が40.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを510g/minとしたこと、上記の40.0質量%ポリマー溶液を262g/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを350g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表6に示す。
<比較例20>
前記製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、前記実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて40.0質量%になるまで濃縮した。
この操作を繰返し、ポリマー濃度が40.0質量%のポリマー溶液を70kg作製した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、水3.0質量%を含むメタノールを312g/minとしたこと、上記の40.0質量%ポリマー溶液をg/minを槽内にフィードしたこと、及び、洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを500g/minとしたこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、ポリフェニレンエーテルの粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。
測定結果を表6に示す。
※比較例17は、50質量%ポリマー溶液が配管中で高粘度になり、安定運転できなかった。
表1〜6中の記号は以下の通りである。
MA:メタノール
Tol:トルエン
貧溶媒/良溶媒:析出工程において析出槽内に添加したポリマー溶液中の良溶媒の量と、析出槽へフィードした貧溶媒の質量比。
PPE:ポリフェニレンエーテル
Y1=18.032・(X/100)−1.1873・(X/100)−0.3463
Y2=14.891・(X/100)−0.9804・(X/100)−0.4602
なお、X[質量%]は、析出工程において析出槽に添加したポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中のポリフェニレンエーテル濃度とする。
表1に示すように、貧溶媒/良溶媒の質量比が、Y2以上Y1以下である実施例1〜6は、いずれも、適度な微粉率が得られた。これにより、ゆるめ見掛け比重及びかため見掛け比重が比較例1〜6よりも高くなり、実用上良好な運搬性を有するポリフェニレンエーテル粉体が得られた。
また、実施例1〜6においては、ゆるめ見掛け比重とかため見掛け比重との差が大きく、細密充填が可能であり、運搬の際に、有利であることが分かった。
さらに、表4に示すように、実施例7〜12においては、析出槽にフィードするポリフェニレンエーテルの良溶媒中のポリフェニレンエーテル濃度を段階的に上げて行き、YをY1付近またはY2付近であって、Y2以上Y1以下の範囲に調整した。実施例7〜12においても適度な微粉率が得られ、その結果、ゆるめ見掛け比重とかため見掛け比重の差が大きく、細密充填が可能であり、運搬する際に有利なポリフェニレンエーテル樹脂粉体が得られた。
また、表2に示すように、比較例1、3、5は、微粉率が高く、運搬性に劣る上に、析出工程に用いたポリマーの濃度が低く、かつ運転安定性のため、適宜メタノールを添加したため、溶剤の使用量が実施例に比べ格段に多くなった。
さらに、比較例2、4、6は、かため見掛け比重が小さいため、運搬性や取扱性が実施例に比べ劣っていた。
表3に示すように、比較例7〜12においては、微粉率が極めて低く、細密充填を適切に行うことが困難であり、かため見掛け比重の値が低くなり、実用上の観点から運搬性に劣ったものとなった。
また、表5に示すように、比較例13、15においては、微粉率が高すぎ、ゆるめ見掛け比重とかため見掛け比重の差が小さく、細密充填できなかった。また、かため見掛け比重が実施例に比べ小さく、運搬性に劣ったものとなった。
さらに、表5に示すように、比較例14、16においては、微粉率が極めて低く、細密充填を適切に行うことが困難であり、かため見掛け比重の値が低くなり、運搬性に劣ったものとなった。
表6に示すように、比較例17においては、ポリマー溶液の粘度が高く、運転が困難であった。比較例18〜20においては、微粉率が高すぎ、ゆるめ見掛け比重とかため見掛け比重の差が小さく、運搬性に劣ったものとなった。
本発明のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法は、自動車用部品、耐熱部品、電子機器用部品、工業用部品、被覆剤、絶縁性被膜等の材料の製造技術としての産業上の利用可能性がある。

Claims (12)

  1. フェノール化合物を、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中で重合し、ポリマー溶液を得る重合工程と、
    前記フェノール化合物のポリマー溶液と、ポリフェニレンエーテルに対する貧溶媒とを析出槽に添加し、ポリフェニレンエーテルを析出させてスラリーを生成する析出工程と、
    を有し、
    前記析出槽に添加する前記ポリマー溶液において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液中の濃度をX[質量%]とし、
    前記析出工程において前記析出槽内にフィードする貧溶媒と前記ポリマー溶液中の良溶媒との質量比(貧溶媒/良溶媒[wt/wt])をYとしたとき、前記XとYとが、下記式(I)、(II)を満たす、ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
    30<X≦48 …(I)
    14.891・(X/100)−0.9804・(X/100)−0.4602≦Y≦18.032・(X/100)−1.1873・(X/100)−0.3463…(II)
  2. 前記重合工程後、当該重合工程により得られたポリマー溶液を、前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の沸点以上に加温し、ポリマー濃度を調整したポリマー溶液を得る濃縮工程を行う、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  3. ポリフェニレンエーテルを析出させることにより生成したスラリーを貧溶媒で洗浄し、固液分離し湿潤ポリフェニレンエーテルを得た後、当該湿潤ポリフェニレンエーテルを機械的に解砕する工程を、さらに有する請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  4. 前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  5. 前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、及び水からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  6. 前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒が、当該貧溶媒中に、0.05〜30質量%の水を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  7. 前記析出槽として、傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼からなる群より選ばれる少なくとも一段の撹拌翼を備えるものを用い、前記析出工程において、当該攪拌翼により攪拌を行う、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  8. 前記析出槽として、少なくとも一枚のバッフルを備えるものを用いる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  9. 前記析出槽として、ドラフトチューブを備え、当該ドラフトチューブの内部に、前記傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼からなる群より選ばれる少なくとも一段の攪拌翼を備え、前記ドラフトチューブ内部の撹拌翼が下方吐出翼であるものを用い、前記析出工程においては前記攪拌翼により攪拌を行う、請求項7又は8に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  10. 前記析出槽として、前記ドラフトチューブの外側にリボン翼である攪拌翼をさらに備え、前記ドラフトチューブ外側の撹拌翼が上方吐出翼であるものを用い、前記析出工程においては前記ドラフトチューブの外側のリボン翼である攪拌翼により攪拌を行う、請求項9に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  11. 前記析出工程における液温が30〜63℃である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  12. 前記析出槽中におけるポリフェニレンエーテルの滞留時間が0.25〜5分である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
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