JP2013254065A - パルス列生成装置及びパルス列生成方法 - Google Patents

パルス列生成装置及びパルス列生成方法 Download PDF

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雅明 坪内
Atsushi Yokoyama
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Abstract

【課題】パルス光のパルス列への変換効率を高くして充分な強度のパルス列を得る。
【解決手段】このパルス列生成装置100は、テラヘルツパルス光源20から発せられたテラヘルツパルス光1から、エタロン素子10を用いて、テラヘルツパルス列2を生成する。エタロン素子10は、入射側反射板である半導体結晶板11及び出射側反射板であるガラス板12からなる。テラヘルツパルス光1が半導体結晶板11を透過してエタロン素子10のキャビティ内に導入され、出射側のガラス板12上の透明導電性薄膜121によって反射され、再び半導体結晶板11に戻ってくる前に、半導体結晶板11にプラズマ薄膜111が形成されるような設定とされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、パルス光からパルス列を生成するパルス列生成装置及びパルス列生成方法に関し、特にエタロン素子を用いてパルス光からパルス列を生成するパルス列生成装置及びパルス列生成方法に関する。
テラヘルツ光は、周波数0.1〜10THz、波長3mm〜30μmの帯域の光を指し、電波と光の中間領域の光として基礎科学及び応用科学的見地で近年大いに注目されている。例えば、疎水性高分子を透過し水溶液に吸収される性質から生体内の病巣診断への応用、また紙などの高分子を透過し金属に反射されるため非破壊危険物検査への応用等が考案され、実用化を目指した研究が多く進められている。
現在、世界各地で、様々な観点からのテラヘルツ光の高度化を目指した研究が進められている。例えば、その光源の周波数帯域を拡げて短パルス化する技術、逆に周波数帯域を制限することによって周波数分解能を高める技術、さらには工業化に向けての高強度化のための技術等が開発されている。こうした光源の高度化が行われている一方、テラヘルツ周波数領域における基礎的光学素子は未発達であり、この事は上記光源の実用化へ向けた一つの障壁として憂慮されている。
近年、テラヘルツパルス光源の波形を自在に整形できれば、光学活性分子の不斉合成、分子モーターの設計等に応用が可能であることが理論的に示唆されており、テラヘルツ周波数領域における波形整形デバイスの開発は急務である。さらに、例えば特許文献1に記載のように、原子力発電サイクルで生じた放射性同位体元素の分離法において、テラヘルツ光のパルス列化とその制御は基盤技術として非常に重要である。
これまでにテラヘルツ光のパルス列化については、数例しか報告されておらず(例えば、特許文献2、非特許文献1)、テラヘルツ光のパルス列化を実現するためには、テラヘルツ領域で動作するビームスプリッタを用いて多段干渉計を組む方法と、エタロン素子を用いる方法とが考えられている。
前者の多段干渉計を組む方法では、ワイヤーグリッドを用いた偏光分離型ビームスプリッタが用いられる。フーリエ変換型テラヘルツ分光光度計においては、ワイヤーグリッドを用いた干渉計が実用化されている。
後者のエタロン素子は、高反射率を有する2枚の板で形成したキャビティからなる。そのキャビティ内を光が多重反射しながら一部抜ける抜け光を用いてパルス列化する素子である。従って、可視、近赤外光領域で使用されているエタロン素子をテラヘルツ領域でも用いることができれば、装置の大型化を避け、キャビティ一組でテラヘルツ光のパルス列を実現できる。
特開2011−67754 特開2011−112778
J.Ann、A.V.Efimov、R.D.Averitt、 and A.J.Taylor、Optics Express、Vol.11、p2486(2003年)
しかしながら、多段干渉計を組む方法では、偏光方向によって光が分離されるという特性により、入射光の半分の強度しかパルス列として利用することができない。また、生成すべきパルス列の数だけ干渉計を作成する必要があるため、装置が大型化してしまう。従って、平行度の低いテラヘルツ光を長距離伝播させることが必要となるため、伝送効率が低下するという問題点があった。
さらに、エタロン素子を用いる方法では、エタロン素子が高反射率の板で形成されているため、キャビティへのテラヘルツ光入射の際、大部分は反射されキャビティ内に導入されず、パルス列への変換効率が非常に低くなる。しかも、テラヘルツ光を射出する光源の強度は、他の周波数領域(中赤外〜可視)に比べて1/100程度であるため、パルス列変換効率の低さは、テラヘルツ光のパルス列化の実用化を考えた際に、重大な問題となった。
すなわち、パルス光のパルス列への変換効率を高くして充分な強度のパルス列を得ることは困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明のパルス列生成装置は、パルス光からパルス列を生成するパルス列生成装置であって、入射側反射板及び出射側反射板からなるエタロン素子と、前記入射側反射板に向けて前記パルス光を射出するパルス光射出手段と、前記入射側反射板の前記パルス光に対する反射率を変更させる反射率変更手段と、を具備することを特徴とする。
本発明のパルス列生成装置において、前記反射率変更手段は、前記パルス光射出手段から射出された前記パルス光が前記入射側反射板を透過した後、前記出射側反射板によって反射された前記パルス光が前記入射側反射板に到達する前に、前記入射側反射板の前記パルス光に対する反射率を高く変更させることを特徴とする。
本発明のパルス列生成装置において、前記入射側反射板は、半導体結晶板であるとともに、前記出射側反射板は、透明導電性薄膜が塗布されたガラス板であり、前記反射率変更手段は、前記半導体結晶板中に電子正孔対を生成することで前記入射側反射板の反射率を変更させることを特徴とする。
本発明のパルス列生成装置において、前記半導体結晶板はシリコンで構成されたことを特徴とする。
本発明のパルス列生成装置は、前記パルス光射出手段から射出された前記パルス光が前記入射側反射板に対して垂直に入射する構成とされたことを特徴とする。
本発明のパルス列生成方法は、パルス光からパルス列を生成するパルス列生成方法であって、入射側反射板及び出射側反射板からなるエタロン素子を用い、前記入射側反射板の側から前記パルス光を入射させ、前記パルス光が前記入射側反射板を透過した後、前記出射側反射板によって反射した前記パルス光が前記入射側反射板に到達する前に、前記入射側反射板の前記パルス光に対する反射率を高く変更することを特徴とする。
本発明によれば、パルス光からパルス列への変換効率を高くして充分な強度のパルス列を得ることができる。
本発明の実施の形態に係るパルス列生成装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係るパルス列生成装置におけるパルス列生成動作を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係るパルス列生成装置におけるパルス列生成動作を説明するための説明図(続き)である。 本発明に係るパルス列生成装置の実施例を示す図である。
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。本実施の形態となるパルス列生成装置は、テラヘルツ光の単発のパルスから時間的に等間隔に複数個のテラヘルツ光のパルスが同一軸上に並ぶテラヘルツ光のパルス列(テラヘルツパルス列)を生成する。図1は、このパルス列生成装置100の構成を示す図である。このパルス列生成装置100は、テラヘルツパルス光源(パルス光射出手段)20から発せられたテラヘルツパルス光(パルス光)1から、エタロン素子10を用いて、テラヘルツパルス列(パルス列)2を生成する。エタロン素子10は、入射側反射板である半導体結晶板11及び出射側反射板であるガラス板12からなる。また、出射側のガラス板12に対して垂直に紫外パルス光3を射出する紫外パルス光源(反射率変更手段)30と、テラヘルツパルス光源20及び紫外パルス光源30のそれぞれにおける射出タイミングを制御する入射タイミング制御部40と、ビームスプリッタ50とを具備する。
エタロン素子10は、入射側の半導体結晶板11と、出射側のガラス板12とがキャビティを介して対向して平行に配置された構成とされる。ガラス板12の半導体結晶板11に対する対向面には、透明導電性薄膜121が形成されている。透明導電性薄膜121は、紫外光を透過させると共に、テラヘルツ光の大部分を反射させ、一部を透過させる。透明導電性薄膜121としては、例えばITO(酸化インジウムスズ)薄膜を用いることができる。ITO薄膜は、テラヘルツ光に対して膜の抵抗率に依存する高い反射率をもつ。従って、ITO薄膜の抵抗率を調整することで、テラヘルツ光に対する反射率を制御することができる。
半導体結晶板11としては、紫外光の照射によって電子正孔対を発生する半導体板として、例えば、20Ω・cmの抵抗率をもつシリコン単結晶板を用いることができる。このシリコン単結晶板は、テラヘルツ光に対する屈折率が3.42程度であり、この場合には入射光の7割を透過し、残りの3割を反射する。このシリコン単結晶板で構成された半導体結晶板11に対して紫外パルス光3を照射すると、光誘起により半導体結晶板11に厚さ100nm程度のプラズマ薄膜111が形成され、屈折率が変化する。この場合、テラヘルツ光の反射率は6割程度に高まる。ここで、プラズマ薄膜111とは、シリコンに光(紫外光)が吸収されて生ずる電子・正孔対が形成された層で、これによって屈折率が変化した層である。このように、紫外パルス光3によってプラズマ薄膜111のオン・オフ(形成・非形成)を制御することで、半導体結晶板11は、テラヘルツ光に対する反射率が変更され、テラヘルツパルス光源20から射出されたテラヘルツパルス光1をエタロン素子10のキャビティ内に閉じ込める光シャッターとして機能する。
テラヘルツパルス光源20は、周波数0.1〜10THz、波長3mm〜30μmの帯域のテラヘルツ光の単発のパルス(テラヘルツパルス光1)を射出するテラヘルツ光パルス射出手段である。テラヘルツパルス光源20としては、例えば、近赤外フェムト秒レーザーパルスのパルスレーザー光を励起光としたテラヘルツパルス光発生器を用いることができる。一般的に、テラヘルツ光のパルス幅は周波数帯域に依存するが、例えばテラヘルツパルス光1のパルス幅が数100fs〜数psであれば、エタロン素子10のキャビティ長Lが仮に0.5mmの場合でも、十分にキャビティ内に閉じ込めることができるパルス幅となっている。
紫外パルス光源30は、半導体結晶板11に電子正孔対(プラズマ薄膜111)を形成させるための紫外パルス光3を射出する。この紫外パルス光3としては、近赤外光の高調波を用いることもできる。例えば、近赤外パルス光源(波長750〜1000nm)を紫外パルス光源30として使用し、これによって発せられた近赤外パルス光の倍波である波長375〜500nmの光を紫外パルス光3とすることができる。また、テラヘルツパルス光源20においても近赤外レーザー光を使用する場合がある。この場合には、紫外パルス光源30に用いる近赤外レーザー光とテラヘルツパルス光源20において使用される近赤外レーザー光として、同一の光源から発せられた光を分岐して使用することができる。この場合には、後述する入射タイミング制御部40によるタイミング制御が特に容易となる。なお、半導体結晶板11に形成されるプラズマ薄膜111の性質(厚さ、屈折率等)は、半導体結晶板11に照射する紫外光パルスの波長、強度、パルス幅に依存する。従って、プラズマ薄膜111のテラヘルツ光に対する反射率が最大となるように紫外パルス光3を設定することが好ましい。
入射タイミング制御部40は、テラヘルツパルス光1と紫外パルス光3の入射タイミングを制御する。具体的には、テラヘルツパルス光源20から射出されたテラヘルツパルス光1が半導体結晶板11を透過してエタロン素子10のキャビティ内に導入され、出射側のガラス板12上の透明導電性薄膜121によって反射され、再び半導体結晶板11に戻ってくる前に、半導体結晶板11にプラズマ薄膜111が形成されるような設定とされる。このタイミングでプラズマ薄膜111が形成されるように、テラヘルツパルス光1と紫外パルス光3は制御される。
ビームスプリッタ50は、紫外光を透過させ、テラヘルツ光を反射させる機能を有し、エタロン素子10の出射側に45°傾けて配置されている。これにより、紫外パルス光源30からの紫外パルス光3は、ビームスプリッタ50を透過し、図1中左側からエタロン素子10のガラス板12に垂直に入射して、半導体結晶板11に到達する。また、ガラス板12から出射されたテラヘルツパルス列2は、ビームスプリッタ50によって反射され、紫外パルス光3から垂直の方向(図1中上側)に取り出される。ビームスプリッタ50としては、例えば、透明導電性薄膜121と同様の膜が形成されたガラス板12を用いることができる。なお、本実施の形態では、紫外パルス光源30からの紫外パルス光3をビームスプリッタ50経由でガラス板12に垂直に入射するようにしたが、紫外パルス光源30からの紫外パルス光3をガラス板12に対して斜めに入射するように構成してもよい。この場合には、紫外パルス光3の光軸がエタロン素子10から出射したテラヘルツパルス列2の光軸から外れるため、ビームスプリッタ50を設けることなしに、テラヘルツパルス列2のみを取り出すことができる
次に、本実施の形態のパルス列生成装置100におけるパルス列生成の動作を、図2〜4を参照して詳細に説明する。
図2(a)に示すように、入射タイミング制御部40は、テラヘルツパルス光源20の射出タイミングを制御して、テラヘルツパルス光1を図中右側からエタロン素子10の入射側である半導体結晶板11を透過させてキャビティ内に導入させる。一方、紫外パルス光源30の射出タイミングを制御して、紫外パルス光3を図中左側からエタロン素子10の出射側であるガラス板12を透過させてキャビティ内に導入させる。ここで、テラヘルツパルス光1が半導体結晶板11を透過するタイミングでは、入射タイミング制御部40の制御によって、紫外パルス光3が半導体結晶板11に到達しておらず、半導体結晶板11にはプラズマ薄膜111が形成されていない。従って、半導体結晶板11としてシリコン単結晶板を用いた場合には、入射されたテラヘルツパルス光1の約7割が半導体結晶板11を透過し、残りの約3割が反射される。なお、図2(a)において、説明のため、テラヘルツパルス光1と紫外パルス光3とをずれた位置に記載しているが、実際にはテラヘルツパルス光1と紫外パルス光3とは同軸上にあり、紫外パルス光3のスポット径は、テラヘルツパルス光1のスポット径以上に設定されている。また、ガラス板12に形成されている透明導電性薄膜121は、常に紫外光を透過させるため、紫外パルス光3はガラス板12で反射されることなく、キャビティ内に導入される。
キャビティ内に導入されたテラヘルツパルス光1は、図2(b)に示すように、ガラス板12に形成されている透明導電性薄膜121で大部分は反射され、一部が抜け光4としてガラス板12を透過して図中左側に出射する。なお、透明導電性薄膜121として、シート抵抗15ΩのITO膜(厚さ150nm)を用いた場合には、テラヘルツ光の透過率は0.05%と小さかった。また、透明導電性薄膜121で反射されたテラヘルツパルス光1が再び半導体結晶板11に到達する前のタイミングで、入射タイミング制御部40の制御によって、紫外パルス光3が半導体結晶板11に到達し、紫外パルス光3が半導体結晶板11表面で吸収されてプラズマ薄膜111が形成される。半導体結晶板11としてシリコン単結晶板を用いた場合には、プラズマ薄膜111によるテラヘルツ光の反射率は約6割となり、プラズマ薄膜111が形成されていない場合の約2倍の反射率となる。なお、図2(b)において、説明のため、導入されたテラヘルツパルス光1と、プラズマ薄膜111で反射されたテラヘルツパルス光1とを便宜上ずれた位置に記載しているが、実際にはテラヘルツパルス光1は同軸上で反射される。
その後、図3に示すように、一部がガラス板12から抜け光4として出射するものの、キャビティ内で反射、すなわち透明導電性薄膜121及びプラズマ薄膜111で反射が繰り返され、ガラス板12から出射する抜け光4がテラヘルツパルス列2となり、ビームスプリッタ50で反射されて取り出される。なお、図3において、透明導電性薄膜121及びプラズマ薄膜111で反射を繰り返すテラヘルツパルス光1を便宜上ずれた位置に記載しているが、実際にはテラヘルツパルス光1は同軸上で反射が繰り返される。
テラヘルツパルス列2のパルス間隔τは、エタロン素子10のキャビティ長をLとし、光速をcとすると、τ=2L/cで表すことができる。従って、テラヘルツパルス列2のパルス間隔τは、エタロン素子10のキャビティ長L、すなわち半導体結晶板11とガラス板12との間隔Lによって定まり、エタロン素子10のキャビティ長Lを調整することにより、テラヘルツパルス列2のパルス間隔τを精密に制御すること可能である。エタロン素子10のキャビティ長Lの調整は、半導体結晶板11とガラス板12とのいずれかもしくは両方を移動させるピエゾ素子等の駆動手段を用いて行うことができる。また、キャビティ長Lが異なる複数のエタロン素子10を設けて交換可能に構成するようにしてもよい。
ここで、プラズマ薄膜111が存在する場合における半導体結晶板11、透明導電性薄膜121でテラヘルツパルス光1が反射する度にその強度は減衰し、この減衰の度合いによってテラヘルツパルス列2の持続時間は定まる。また、透明導電性薄膜121のテラヘルツパルス光1に対する反射率は、透明導電性薄膜121の抵抗率に依存し、抵抗率が高い場合にはその反射率は低い。このため、テラヘルツパルス列2の持続時間を、透明導電性薄膜121の抵抗率によって制御することができる。このため、異なる抵抗率をもつ透明導電性薄膜121を交換可能とする構成として持続時間を調整することもできる。
図4は、実際にエタロン素子10のキャビティ長Lを0.5mm、1.5mmとして生成したテラヘルツパルス列2の実際の測定結果である。ここで、点線は、紫外パルス光3によるプラズマ薄膜111が形成されていない状態での測定結果を、実線は、紫外パルス光3によるプラズマ薄膜111が形成されている状態での測定結果をそれぞれ示す。
この結果より、プラズマ薄膜111が形成されていない状態では、テラヘルツパルス列2のパルス数は、3個程度で消失するが、紫外パルス光3によるプラズマ薄膜111が形成されている状態では、テラヘルツパルス列2のパルス数は、10個程度に増えることが確認できた。これは、半導体結晶板11が紫外パルス光3をスイッチングした光シャッターとして機能し、テラヘルツパルス光1のキャビティ内への閉じ込めに成功したことを示唆している。また、テラヘルツパルス列2のパルス間隔τは、エタロン素子10のキャビティ長Lに応じた値となり、テラヘルツパルス列2のパルス間隔τの制御が可能となることを示している。
さらに、図示していないが、透明導電性薄膜121として用いたITO膜の抵抗率を、そのシート抵抗値が15Ωから300Ωとなるように変化させた場合、テラヘルツパルス列2のパルス数が減少した。これはITO膜の抵抗率が低い場合には、表面が高濃度プラズマ化しておりテラヘルツ光の反射率が高いのに対して、抵抗値が高い場合には、テラヘルツ光をより透過してしまい、キャビティ内を往復する回数が減少することによると考えられる。
半導体結晶板11上に形成するプラズマ薄膜111の状態の最適化や、材料の更なる最適化によって半導体結晶板11、透明導電性薄膜121の反射率を更に高めることができれば、更に質の高いテラヘルツパルス列2が実現されると考えられる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、半導体結晶板11、及び透明導電性薄膜121が塗布されたガラス板12からなるエタロン素子10、紫外パルス光源30を用いて、テラヘルツパルス列2を生成することができる。この際、半導体結晶板11におけるプラズマ薄膜111のオン・オフを光シャッターとして用いることによって、テラヘルツパルス光1のテラヘルツパルス列2への変換効率を向上させることができる。前記の通り、このエタロン素子10の構成は単純であり小型であるため、装置全体を小型化することができる。更に、エタロン素子10のキャビティ長Lを調整することで、簡単にテラヘルツパルス列2のパルス間隔τを制御することができる。
また、上記の構成においては、テラヘルツパルス光源20から射出したテラヘルツパルス光1が、半導体結晶板11に対して垂直に入射するように構成されている。この構成により、出射側反射板であるガラス板12から抜け光4をレンズ等で集約することなく、テラヘルツ光のパルスが同一軸上に並ぶテラヘルツパルス列2を得ることができる。こうした構成も、装置全体の小型化に寄与している。
なお、上記の例では、テラヘルツパルス光からテラヘルツパルス列を生成する例について説明した。しかしながら、プラズマ薄膜を形成するための励起光の波長帯域及び強度と出力するパルス光の波長帯域とを大きく異ならせて上記のエタロン素子を形成できる場合には、同様の構成を他の波長帯域のパルス光に対しても適用することができる。この場合、半導体結晶板、ガラス板及び透明導電性薄膜の構成を適宜設定することによって、他の様々な波長帯域に対応させることができる。
また、上記の例では、入射側反射板の反射率を、紫外パルス光によって制御していた。しかしながら、出力となるパルス列に悪影響を与えずに同様に入射側反射板の反射率を正確なタイミングで制御できる方法であれば、他の方法も用いることもでき、同様の効果を奏することは明らかである。この場合、特に入射側反射板、反射率変更手段は、そのメカニズムに応じて適宜設定される。
上記の構成においては、テラヘルツパルス光をパルス列化し、そのパルス間隔τ、すなわち繰り返し周波数が精密に制御される。このように繰り返し周波数が精密に制御されたテラヘルツパルス光のパルス列(テラヘルツ周波数コム)は、精密分光、通信技術等、様々な分野で利用することが可能である。このようなテラヘルツ周波数コムは従来は大規模な装置で形成されていたのに対し、上記の構成においては、単純な構成で小型の装置を用いてこれを生成することができる。この装置は、移動させることも容易であるため、特に産業上の様々な分野で利用することが可能である。
1 テラヘルツパルス光(パルス光)
2 テラヘルツパルス列(パルス列)
3 紫外パルス光
4 抜け光
10 エタロン素子
11 半導体結晶板(入射側反射板)
12 ガラス板(出射側反射板)
20 テラヘルツパルス光源
30 紫外パルス光源(反射率変更手段)
40 入射タイミング制御部
50 ビームスプリッタ
100 パルス列生成装置
111 プラズマ薄膜
121 透明導電性薄膜(出射側反射板)

Claims (6)

  1. パルス光からパルス列を生成するパルス列生成装置であって、
    入射側反射板及び出射側反射板からなるエタロン素子と、
    前記入射側反射板に向けて前記パルス光を射出するパルス光射出手段と、
    前記入射側反射板の前記パルス光に対する反射率を変更させる反射率変更手段と、
    を具備することを特徴とするパルス列生成装置。
  2. 前記反射率変更手段は、前記パルス光射出手段から射出された前記パルス光が前記入射側反射板を透過した後、前記出射側反射板によって反射された前記パルス光が前記入射側反射板に到達する前に、前記入射側反射板の前記パルス光に対する反射率を高く変更させることを特徴とする請求項1に記載のパルス列生成装置。
  3. 前記入射側反射板は、半導体結晶板であるとともに、
    前記出射側反射板は、透明導電性薄膜が塗布されたガラス板であり、
    前記反射率変更手段は、前記半導体結晶板中に電子正孔対を生成することで前記入射側反射板の反射率を変更させることを特徴とする請求項2に記載のパルス列生成装置。
  4. 前記半導体結晶板はシリコンで構成されたことを特徴とする請求項3に記載のパルス列生成装置。
  5. 前記パルス光射出手段から射出された前記パルス光が前記入射側反射板に対して垂直に入射する構成とされたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のパルス列生成装置。
  6. パルス光からパルス列を生成するパルス列生成方法であって、
    入射側反射板及び出射側反射板からなるエタロン素子を用い、
    前記入射側反射板の側から前記パルス光を入射させ、
    前記パルス光が前記入射側反射板を透過した後、前記出射側反射板によって反射した前記パルス光が前記入射側反射板に到達する前に、前記入射側反射板の前記パルス光に対する反射率を高く変更することを特徴とするパルス列生成方法。
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