JP2013252860A - 衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナシャフト13aの大径部16aの先端部を、前記アウタシャフト12aの小径部14の基端部に、二次衝突時に加わる衝撃に伴い、アウタシャフト12aとインナシャフト13aとが軸方向に相対変位可能な嵌合強度で内嵌固定する。前記大径部16aの先端部外周縁に面取り部21を設け、この大径部16aの先端縁に向かう程、この大径部16aの外径を小さくする。これにより、前記両シャフト12a、13a同士の組立時に、この大径部16aの先端縁が、前記小径部14の内周面をかじる事を防止する。
【選択図】図1
Description
上述の様な伸縮式のステアリングコラムを構成するアウタコラム及びインナコラム、並びに、ステアリングシャフトを構成するアウタシャフト及びインナシャフトの前後位置は、図示の構造とは逆であっても良い。上述の様な伸縮式のステアリングシャフトを製造する為の技術として、例えば特許文献1〜2に記載の技術がある。
前記アウタシャフト12aは、全体を円管状とし、一端部(図7〜8の左端部)に絞り加工を施す事で、この一端部に小径部14を形成している。この小径部14の内周面には、雌セレーション15を形成している。又、前記インナシャフト13も、全体を円管状とし、一端部(図7〜8の右端部)を押し拡げる事で、この一端部に大径部16を形成している。この大径部16の外周面には、前記雌セレーション15と係合する雄セレーション17を形成している。
そして、前記両セレーション15、17同士を互いに係合させた状態のまま、前記小径部14の先端部の外周面を径方向内方に押圧する。即ち、この小径部14の先端部及び前記大径部16の先端部の周囲に1対の押圧片18、18を配置し、これら両押圧片18、18を互いに近づけ合う事で、前記小径部14の先端部の外周面を強く押圧する。これら両押圧片18、18の内側面でこの小径部14の先端部の外周面と当接する部分には、この外周面に当接する部分の断面形状が円弧状である、凹部19、19を形成している。
尚、上述の様な衝撃吸収式ステアリングシャフトを構成するインナシャフト13は、アウタシャフト12aよりも外径が小さいので、強度を確保する為、S35C等硬度の高い炭素鋼により形成する事が多い。或いは、STKM12B等の炭素鋼鋼管により形成する事もできるが、この場合は強度を確保する為、径方向の厚さを厚くする。
特に、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトに於いては、前記インナシャフトの先端部のうち、先端縁寄り部分の外径を先端縁に向かう程小さくしている。
特に、請求項3に記載した衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法に於いては、前記インナシャフトとして、このインナシャフトの先端部のうち、先端縁寄り部分の外径が先端縁に向かう程小さくなっているものを使用する。
図1〜2は、全ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフト及びその製造方法の特徴は、インナシャフト13aの先端縁と、アウタシャフト12aの内周面との間でかじりが発生するのを防止し、加工の手間の増大や不良品の発生を抑えつつ、優れた衝撃エネルギ吸収性能を発揮できる衝撃吸収式ステアリングシャフトを組み立てて、製造コストの上昇を抑える事ができる構造及びその製造方法を実現する点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図7〜10に示した構造及びその製造方法を含め、従来から知られている衝撃吸収式ステアリングシャフト及びその製造方法と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
又、前記アウタシャフト12aの前端部(図1〜2の左側)に、後端部(図1〜2の右側)よりも内径の小さい小径部14を設けている。この様な小径部14は、前述した従来構造の場合と同様に円管状である前記アウタシャフト12aの前端部に絞り加工を施す事により、若しくは後端部内周面に切削加工を施す事により形成する。或いは、前記インナシャフト13aを前記アウタシャフト12aの内径側に挿通可能であれば、前記小径部14を設けず、このアウタシャフト12aの内径を軸方向全長に亙って同じとする事もできる。但し、この場合は、前記ステアリングシャフト3bの収縮荷重が過大になるのを防止すべく、前記アウタシャフト12aの内周面に軸方向全長に亙って前記雄セレーション17と係合する、雌セレーション15を形成する。
図1〜2に示した本例の構造の場合、前記インナシャフト13aの前端部外周面に切削加工を施す事により後端部に大径部16aを、前記アウタシャフト12aの前端部に絞り加工を施す事により小径部14を、それぞれ設けている。
図3は、請求項3〜4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、インナシャフト13bの大径部16bの先端縁部分(図3の右側)に、この大径部16bの先端縁に向かう程この先端縁部分の外径が小さくなる様に、母線形状が直線状の(部分円すい面状の)テーパ面部23を設けている。このテーパ面部23のテーパ角θは、このテーパ面部23とアウタシャフト12aの小径部14(図1〜2、7〜10参照)の内周面との当接圧を小さくする為、60度以下とする事が望ましい。前記テーパ角θを60度よりも大きくすると、前記テーパ面部23の基端部と前記大径部16bの中間寄り部分との連続部の角度が小さく(150度未満に)なり、この連続部で、前記小径部14の内周面との当接圧が高くなる可能性がある。この結果、この連続部とこの小径部14の内周面との擦れ合い部でかじりが発生するのを防止できなくなる可能性がある。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図4も、請求項3〜4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、インナシャフト13cを円管状とし、このインナシャフト13cの一端部(図4の右端部)に大径部16cを設けている。そして、この大径部16cの先端縁部分に絞り加工を施す事により、この大径部16cの先端縁部分の外径が先端縁(図4の右側)に向かう程小さくなる様に、絞り部24を設けている。この絞り部24の基端部(大径側端部)は、アウタシャフト12aと前記インナシャフト13cとを塑性変形する際に、1対の押圧片18、18の軸方向中間部(これら両押圧片18、18の厚さ範囲内)の径方向内方に位置させる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図5も、請求項3〜4に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、1対の押圧片18a、18aの先端面の軸方向両端縁に、断面形状が部分円弧状(R状)の面取りを施している。この為、大径部16aの先端部及び小径部14の先端部の変形量を、前記両押圧片18a、18aの軸方向両端縁の内径側で、同じく中間部よりも小さくできる。即ち、これら両端縁の内径側で、大径部16aの先端部と小径部14の先端部との嵌合強度を弱くしている為、ステアリングシャフトを製造する際に、インナシャフト13aとアウタシャフト12aとを軸方向に相対変位させても、前記大径部16aの先端縁と前記小径部14の内周面との擦れ合い部が強く擦れ合うのを、より効果的に防止できる。更に、この小径部14の先端縁と前記大径部16aの外周面との擦れ合い部に就いても、強く擦れ合うのを防止できる。この為、前記小径部14の先端縁と前記大径部16aの外周面との間でも、かじりが発生するのを防止でき、ステアリングシャフトの製造コストの上昇を抑えつつ、衝撃吸収性能を安定させる事を、前述の実施の形態の第1例と比較して、より有効に図れる。尚、この様な押圧片18a、18aは、本例に限らず、他の実施の形態に適用する事も可能である。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
2 ステアリングコラム
3、3a〜3b ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10 電動モータ
11 アウタコラム
12、12a アウタシャフト
13、13a〜13c インナシャフト
14 小径部
15 雌セレーション
16、16a〜16c 大径部
17 雄セレーション
18、18a 押圧片
19 凹部
20 隙間
21、21a 面取り部
22 凹孔
23 テーパ面部
24 絞り部
上述の様な伸縮式のステアリングコラムを構成するアウタコラム及びインナコラム、並びに、ステアリングシャフトを構成するアウタシャフト及びインナシャフトの前後位置は、図示の構造とは逆であっても良い。上述の様な伸縮式のステアリングシャフトを製造する為の技術として、例えば特許文献1〜2に記載の技術がある。
前記アウタシャフト12aは、全体を円管状とし、一端部(図5〜6の左端部)に絞り加工を施す事で、この一端部に小径部14を形成している。この小径部14の内周面には、雌セレーション15を形成している。又、前記インナシャフト13も、全体を円管状とし、一端部(図5〜6の右端部)を押し拡げる事で、この一端部に大径部16を形成している。この大径部16の外周面には、前記雌セレーション15と係合する雄セレーション17を形成している。
そして、前記両セレーション15、17同士を互いに係合させた状態のまま、前記小径部14の先端部の外周面を径方向内方に押圧する。即ち、この小径部14の先端部及び前記大径部16の先端部の周囲に1対の押圧片18、18を配置し、これら両押圧片18、18を互いに近づけ合う事で、前記小径部14の先端部の外周面を強く押圧する。これら両押圧片18、18の内側面でこの小径部14の先端部の外周面と当接する部分には、この外周面に当接する部分の断面形状が円弧状である、凹部19、19を形成している。
尚、上述の様な衝撃吸収式ステアリングシャフトを構成するインナシャフト13は、アウタシャフト12aよりも外径が小さいので、強度を確保する為、S35C等硬度の高い炭素鋼により形成する事が多い。或いは、STKM12B等の炭素鋼鋼管により形成する事もできるが、この場合は強度を確保する為、径方向の厚さを厚くする。
特に、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法に於いては、前記インナシャフトとして、このインナシャフトの先端縁部分に、先端縁に向かう程この先端縁部分の外径が小さくなった、テーパ面部を設け、このテーパ面部の基端部と前記インナシャフトの中間寄り部分との連続部に、断面形状が部分円弧状である、面取り部を設けているものを使用する。そして、前記アウタシャフトの先端部及び前記インナシャフトの先端部を径方向に塑性変形させる際に、前記面取り部の基端部を前記両押圧片の軸方向中間部の径方向内方に位置させる。
図1〜2は、本発明に関する参考例の1例を示している。尚、本参考例を含めて、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法の特徴は、インナシャフト13aの先端縁と、アウタシャフト12aの内周面との間でかじりが発生するのを防止し、加工の手間の増大や不良品の発生を抑えつつ、優れた衝撃エネルギ吸収性能を発揮できる衝撃吸収式ステアリングシャフトを組み立てて、製造コストの上昇を抑える事ができる製造方法を実現する点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図5〜8に示した構造及びその製造方法を含め、従来から知られている衝撃吸収式ステアリングシャフト及びその製造方法と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
又、前記アウタシャフト12aの前端部(図1〜2の左側)に、後端部(図1〜2の右側)よりも内径の小さい小径部14を設けている。この様な小径部14は、前述した従来構造の場合と同様に円管状である前記アウタシャフト12aの前端部に絞り加工を施す事により、若しくは後端部内周面に切削加工を施す事により形成する。或いは、前記インナシャフト13aを前記アウタシャフト12aの内径側に挿通可能であれば、前記小径部14を設けず、このアウタシャフト12aの内径を軸方向全長に亙って同じとする事もできる。但し、この場合は、前記ステアリングシャフト3bの収縮荷重が過大になるのを防止すべく、前記アウタシャフト12aの内周面に軸方向全長に亙って前記雄セレーション17と係合する、雌セレーション15を形成する。
図1〜2に示した本参考例の構造の場合、前記インナシャフト13aの前端部外周面に切削加工を施す事により後端部に大径部16aを、前記アウタシャフト12aの前端部に絞り加工を施す事により小径部14を、それぞれ設けている。
図3は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、インナシャフト13bの大径部16bの先端縁部分(図3の右側)に、この大径部16bの先端縁に向かう程この先端縁部分の外径が小さくなる様に、母線形状が直線状の(部分円すい面状の)テーパ面部23を設けている。このテーパ面部23のテーパ角θは、このテーパ面部23とアウタシャフト12aの小径部14(図1〜2、5〜8参照)の内周面との当接圧を小さくする為、60度以下とする事が望ましい。前記テーパ角θを60度よりも大きくすると、前記テーパ面部23の基端部と前記大径部16bの中間寄り部分との連続部の角度が小さく(150度未満に)なり、この連続部で、前記小径部14の内周面との当接圧が高くなる可能性がある。この結果、この連続部とこの小径部14の内周面との擦れ合い部でかじりが発生するのを防止できなくなる可能性がある。
その他の部分の構成及び作用は、上述した参考例の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
2 ステアリングコラム
3、3a〜3b ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10 電動モータ
11 アウタコラム
12、12a アウタシャフト
13、13a〜13b インナシャフト
14 小径部
15 雌セレーション
16、16a〜16b 大径部
17 雄セレーション
18 押圧片
19 凹部
20 隙間
21、21a 面取り部
22 凹孔
23 テーパ面部
Claims (4)
- 少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の内周面に雌セレーションを形成した管状のアウタシャフトと、少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の外周面にこの雌セレーションと係合する雄セレーションを形成したインナシャフトとを、中心軸に直交する仮想平面に関する断面形状が楕円形である前記アウタシャフトの先端部に前記インナシャフトの中間部を、同じく断面形状が楕円形であるこのインナシャフトの先端部を前記アウタシャフトの中間部に、それぞれ、二次衝突時に加わる衝撃に伴い、前記両シャフト同士が軸方向に相対変位可能な嵌合強度で内嵌固定する事により、前記アウタシャフトと前記インナシャフトとを結合して成る衝撃吸収式ステアリングシャフトに於いて、前記インナシャフトの先端部のうち、先端縁寄り部分の外径が先端縁に向かう程小さくなっている事を特徴とする衝撃吸収式ステアリングシャフト。
- 前記アウタシャフトの一端部に少なくとも内径が小さい小径部を設け、この小径部の内周面に雌セレーションを形成しており、前記インナシャフトの一端部に少なくとも外径が大きい大径部を設け、この大径部の外周面に前記雌セレーションと係合する雄セレーションを形成し、この大径部の先端部のうち、先端縁寄り部分の外径を先端縁に向かう程小さくしており、中心軸に直交する仮想平面に関する断面形状が楕円形である前記小径部の先端部にこの大径部の基端部を、同じく断面形状が楕円形であるこの大径部の先端部を前記小径部の基端部に、それぞれ、二次衝突時に加わる衝撃に伴い、前記両シャフト同士が軸方向に相対変位可能な嵌合強度で内嵌固定する事により、前記アウタシャフトと前記インナシャフトとを結合している、請求項1に記載の衝撃吸収式ステアリングシャフト。
- 少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の内周面に雌セレーションを形成した管状のアウタシャフトと、少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の外周面にこの雌セレーションと係合する雄セレーションを形成したインナシャフトとを、前記アウタシャフトの先端部とこのインナシャフトの先端部とを係合させた状態で、このアウタシャフトの外周面を径方向内方に押圧する事により、このアウタシャフトの先端部及び前記インナシャフトの先端部を径方向に塑性変形させた後、このアウタシャフトとこのインナシャフトとを互いに近づく方向に軸方向に相対変位させて、このアウタシャフトの先端部をこのインナシャフトの中間部に圧入嵌合すると共に、このインナシャフトの先端部を前記アウタシャフトの中間部に圧入嵌合させ、このアウタシャフトの先端部と中間部との間部分と、前記インナシャフトの先端部と中間部との間部分とを互いに緩く係合させる衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法に於いて、前記インナシャフトとして、このインナシャフトの先端部のうち、先端寄り部分の外径が先端縁に向かう程小さくなっているものを使用する事を特徴とする衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法。
- 前記アウタシャフトは、一端部に少なくとも内径を小さくした小径部を設け、この小径部の内周面に雌セレーションを形成しているものであり、前記インナシャフトは、一端部に少なくとも外径を大きくした大径部を設け、この大径部の外周面に前記雌セレーションと係合する雄セレーションを形成しており、この大径部の先端部のうち、先端縁寄り部分の外径が先端縁に向かう程小さくなっているものであり、前記小径部の先端部と前記大径部の先端部とを係合させた状態で、この小径部の外周面を径方向内方に押圧する事により、この小径部の先端部及び前記大径部の先端部を径方向に塑性変形させた後、前記アウタシャフトと前記インナシャフトとを互いに近づく方向に軸方向に相対変位させて、前記小径部の先端部を前記大径部の基端部に圧入嵌合すると共に、この大径部の先端部をこの小径部の基端部に圧入嵌合させ、これら小径部の中間部と大径部の中間部とを互いに緩く係合させる、請求項3に記載の衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法。
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