JP2013241147A - 制動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の操作性を向上することができる制動力制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】制動力制御装置1は、車両2の各車輪3に個別に制動力を付与可能である制動装置8と、車両2の切り返し操舵時に、制動装置8を制御し、車両2の左右の車輪3に制動力を付与する制御装置9とを備える。制御装置9は、車両2と当該車両2の周辺の物体との接触可能性と、車両2の目標のヨーレートと当該車両2の実際のヨーレートとの偏差とに基づいて、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力を変更する。したがって、制動力制御装置1は、車両2の操作性を向上することができる、という効果を奏する。
【選択図】図1

Description

本発明は、制動力制御装置に関する。
車両に搭載される従来の制動力制御装置として、例えば、特許文献1には、車両のカウンタステア状態でハンドルが戻し操作されたときに、車両の旋回内側前輪に制動力を作用させる車両の挙動制御装置が開示されている。この車両の挙動制御装置は、目標ヨーレートと実ヨーレートとの大小関係に応じてカウンタステアを行ったか否かの判定を行う。
特開2001−088672号公報
ところで、上述の特許文献1に記載の車両の挙動制御装置は、例えば、切り返し操舵(カウンタステア)時の車両操作性を考慮すると、更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両の操作性を向上することができる制動力制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る制動力制御装置は、車両の各車輪に個別に制動力を付与可能である制動装置と、前記車両の切り返し操舵時に、前記制動装置を制御し、前記車両の左右の車輪に制動力を付与する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記車両と当該車両の周辺の物体との接触可能性と、前記車両の目標のヨーレートと当該車両の実際のヨーレートとの偏差とに基づいて、前記車両の切り返し操舵時に前記左右の車輪に付与する制動力を変更することを特徴とする。
また、上記制動力制御装置では、前記制御装置は、前記接触可能性があり、かつ、前記目標のヨーレートと前記実際のヨーレートとの偏差に応じて定まり前記車両がアンダーステア状態であることを示す指標であるドリフトステートが予め設定されるドリフトステート判定閾値より大きい場合に、前記接触可能性がない場合、又は、前記ドリフトステートが前記ドリフトステート判定閾値以下である場合と比較して、前記車両の切り返し操舵時に前記左右の車輪に付与する制動力を相対的に小さくするものとすることができる。
また、上記制動力制御装置では、前記ドリフトステートは、前記目標のヨーレートと前記実際のヨーレートとの偏差を舵角換算し、前記車両の旋回方向にかかわらず、オーバーステア時が負の値、アンダーステア時が正の値になるように演算されるものとすることができる。
また、上記制動力制御装置では、前記制御装置は、前記車両の切り返し操舵時に、前記左右の車輪に制動力を付与する制御の終了を判定するための終了判定閾値を変更することで、前記左右の車輪に付与する制動力を変更するものとすることができる。
また、上記制動力制御装置では、前記制御装置は、前記車両の切り返し操舵時に、前記左右の車輪に制動力を付与する制御の制御量を変更することで、前記左右の車輪に付与する制動力を変更するものとすることができる。
本発明に係る制動力制御装置は、車両の操作性を向上することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る制動力制御装置が適用された車両の概略構成図である。 図2は、実施形態に係る制動力制御装置のECUによる時間閾値設定制御の一例を説明するフローチャートである。 図3は、実施形態に係る制動力制御装置のECUによる制御量演算について説明する模式的なブロック図である。 図4は、実施形態に係る制動力制御装置のECUによる制御の一例を説明する模式図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る制動力制御装置が適用された車両の概略構成図、図2は、実施形態に係る制動力制御装置のECUによる時間閾値設定制御の一例を説明するフローチャート、図3は、実施形態に係る制動力制御装置のECUによる制御量演算について説明する模式的なブロック図、図4は、実施形態に係る制動力制御装置のECUによる制御の一例を説明する模式図である。
本実施形態は、典型的には、車両に適用されるものであり、下記の構成要素を有している。
(1)切り返し操舵特定制御に必要なセンサ類(例えば、車輪速度センサ、舵角センサ、ヨーレートセンサ、横加速度センサ等。)。
(2)接触判定に必要なセンサ類(例えば、ミリ波レーダ、車輪速度センサ等。)。
(3)接触判定を実施する演算装置(例えば、ECU。)。
(4)切り返し操舵特定制御の要求油圧演算装置(例えば、ECU。)。
(5)要求油圧を実現する装置(例えば、ブレーキアクチュエータ等。)。
そして、本実施形態は、上記の構成要素によって、切り返し操舵特定制御において、接触可能性を反映させることにより、状況に応じて車両の操作性を向上することができるものである。
本実施形態に係る制動力制御装置1は、図1に示すように車両2に搭載され、この車両2を制動するための制動制御システムである。制動力制御装置1は、典型的には、車両2の車輪3に生じる制動力を制御することで車両2の挙動を安定化させるシステムである。車両2は、車輪3として、左前輪(左前側の車輪3)3FL、右前輪(右前側の車輪3)3FR、左後輪(左後側の車輪3)3RL、右後輪(右後側の車輪3)3RRを備えるが、これらを特に分ける必要がない場合には単に車輪3という。
具体的には、制動力制御装置1は、操舵装置4、アクセルペダル5、動力源6、ブレーキペダル7、制動装置8、制御装置としての電子制御装置(以下、「ECU」という場合がある。)9などを備える。車両2は、運転者によるアクセルペダル5の操作に応じて動力源6が動力(トルク)を発生させ、この動力が動力伝達装置(不図示)を介して車輪3に伝達され、この車輪3に駆動力を発生させる。また、車両2は、運転者によるブレーキペダル7の操作に応じて制動装置8が作動することで車輪3に制動力を発生させる。
操舵装置4は、左前輪3FL、右前輪3FRを操舵輪として操舵するものである。操舵装置4は、運転者による操舵操作子であるステアリングホイール10と、このステアリングホイール10の操舵操作に伴い駆動する転舵角付与機構11とを備えている。転舵角付与機構11は、例えば、ラックギヤやピニオンギヤを備えたいわゆるラック&ピニオン機構等を用いることができるがこれに限らない。
動力源6は、内燃機関や電動機などの走行用の動力源である。車両2は、走行用動力源として、内燃機関と電動機との両方を備えるハイブリッド車両、内燃機関を備える一方で電動機を備えないコンベ車両、電動機を備える一方で内燃機関を備えないEV車両等のいずれの形式の車両であってもよい。制動装置8は、車両2の各車輪3に生じる制動力を個別に調節可能である。
制動装置8は、マスタシリンダ12からブレーキアクチュエータ13を介してホイールシリンダ14に接続する油圧経路に、作動流体であるブレーキオイルが充填された種々の油圧ブレーキ装置である。制動装置8は、ホイールシリンダ14に供給される制動圧力に応じて油圧制動部15が作動し車輪3に圧力制動力を発生させる。制動装置8は、基本的には運転者がブレーキペダル7を操作することで、ブレーキペダル7に作用するペダル踏力(操作力)に応じてマスタシリンダ12によりブレーキオイルにマスタシリンダ圧(操作圧力)が付与される。そして、制動装置8は、このマスタシリンダ圧に応じた圧力が各ホイールシリンダ14にてホイールシリンダ圧(制動圧力)として作用することで油圧制動部15が作動する。各油圧制動部15は、ブレーキパッドがディスクロータに当接し押し付けられることで、車輪3と共に回転するディスクロータに対して、ホイールシリンダ圧に応じた所定の回転抵抗力が作用し、このディスクロータ及びこれと一体で回転する車輪3に制動力を付与することができる。この間、制動装置8は、ブレーキアクチュエータ13によってホイールシリンダ圧が運転状態に応じて適宜調圧される。
ここで、ブレーキアクチュエータ13は、ホイールシリンダ圧を四輪独立に個別に増圧、減圧、保持を行うことで、各車輪3に生じる制動力を個別に調節するものである。ブレーキアクチュエータ13は、マスタシリンダ12とホイールシリンダ14とを接続するブレーキオイルの油圧経路上に設けられ、ブレーキペダル7のブレーキ操作とは別にECU9による制御によって各ホイールシリンダ14内の液圧を増減し、各車輪3に付与する制動力を制御する。ブレーキアクチュエータ13は、例えば、複数の配管、オイルリザーバ、オイルポンプ、各車輪3にそれぞれ設けられた各ホイールシリンダ14に接続する各油圧配管、各油圧配管の油圧を各々に増圧、減圧、保持するための複数の電磁弁などを含んで構成され、ECU9により制御される。ブレーキアクチュエータ13は、ECU9の制御指令にしたがって油圧配管内の油圧(マスタシリンダ圧)をそのまま、又は、加圧、減圧して後述する各ホイールシリンダ14に伝える作動流体圧力調節部として機能する。
ブレーキアクチュエータ13は、通常の運転時には、例えば、ECU9の制御指令にしたがってオイルポンプや所定の電磁弁が駆動することで、運転者によるブレーキペダル7の操作量(踏み込み量)に応じてホイールシリンダ14に作用するホイールシリンダ圧を調圧することができる。また、ブレーキアクチュエータ13は、後述するように車両2の挙動を安定化させる制御等を実行する場合には、例えば、ECU9の制御指令にしたがってオイルポンプや所定の電磁弁が駆動することで、ホイールシリンダ14に作用するホイールシリンダ圧を増圧する増圧モード、ほぼ一定に保持する保持モード、減圧する減圧モードなどで作動可能である。ブレーキアクチュエータ13は、ECU9による制御によって、車両2の走行状態に応じて各車輪3のホイールシリンダ14ごとに個別に上記モードを設定することができる。すなわち、ブレーキアクチュエータ13は、運転者によるブレーキペダル7の操作とは無関係に車両2の走行状態に応じて各車輪3に作用する制動力を個別に調節することができる。これにより、制動装置8は、各車輪3に個別に制動力を付与可能である。
ECU9は、車両2の各部の駆動を制御するものであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。ECU9は、例えば、各車輪3の回転速度を検出する各車輪速度センサ16、車両2のヨーレートを検出するヨーレートセンサ17、操舵装置4の舵角を検出する舵角センサ18、車両2の車体に生じる横方向(走行方向と交差(直交)する方向)の加速度を検出する横加速度センサ19等の車両2の各所に取り付けられた種々のセンサ、検出装置が電気的に接続され、検出結果に対応した電気信号が入力される。ECU9は、各種センサから入力された各種入力信号や各種マップに基づいて、格納されている制御プログラムを実行することにより、動力源6や制動装置8のブレーキアクチュエータ13などの車両2の各部に駆動信号を出力しこれらの駆動を制御する。
そして、本実施形態のECU9は、車両2の走行状態に応じてブレーキアクチュエータ13を制御し、各車輪3にそれぞれ設けられたホイールシリンダ14のホイールシリンダ圧を個別に増減し、各車輪3における制動力を個別に制御することで、車両2の挙動安定化機能等を実現することができる。
ECU9は、例えば、車両2の挙動を安定化させる制御として、車両2の切り返し操舵(カウンタステア)時に、制動装置8を制御し、車両2の左右の車輪3に制動力を付与する切り返し操舵特定制御等を実行可能である。これにより、制動力制御装置1は、切り返し操舵時の車両2の挙動の制御を行うことができる。
ここでは、ECU9は、旋回方向が短時間に切り替わるステアリング操作、いわゆる、切り返し操舵時に、切り返し操舵後の車両挙動安定化のために、制動装置8を制御し、切り返し中から左右の車輪3の両方に所定の制動トルク(制動力)を付与し、車両2を減速させる制御を実行する。すなわち、ここでいう切り返し操舵特定制御とは、運転者による切り返し操舵を検出、特定した際に、切り返し中から左右の車輪3の両方に所定の制動力を付与する減速制御のことである。
ところで、このような車両2では、例えば、当該車両2の走行方向前方の障害物に対して、初回の操舵で接触を回避できない可能性がある場合に、障害物を回避すべく運転者により切り返し操舵(カウンタステア)がなされる場合がある。このよう場合、制動力制御装置1は、ECU9が上記切り返し操舵特定制御(以下、単に「減速制御」という場合がある。)を実行し左右の車輪3の両方に制動トルクを付与することで、結果的に車両2の操舵性能を低下させてしまうおそれがあり、この点で、さらなる車両操作性向上の余地がある。
そこで、本実施形態のECU9は、車両2と当該車両2の周辺の物体(以下、「周辺物体」という場合がある。)との接触可能性と、車両2の目標のヨーレート(以下、「目標ヨーレート」という場合がある。)と車両2の実際のヨーレート(以下、「実ヨーレート」という場合がある。)との偏差とに基づいて、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力(制動トルク)を変更する。これにより、制動力制御装置1は、車両2の操作性の向上を図っている。
ここでは、ECU9は、例えば、車両2の切り返し操舵時に、左右の車輪3に制動力を付与する切り返し操舵特定制御の終了を判定するための終了判定閾値を変更することで、左右の車輪3に付与する制動力を変更するようにする。また、ECU9は、例えば、車両2の切り返し操舵時に、上記切り返し操舵特定制御の減速制御量自体を変更することで、左右の車輪3に付与する制動力を変更するようにしてもよい。
具体的には、本実施形態の制動力制御装置1は、図1に示すように、周辺物体の検出装置として、ミリ波レーダ20を備える。また、本実施形態の制動力制御装置1のECU9は、機能概念的に、切り返し操舵判定部21と、ドリフトステート演算部22と、接触可能性判定部23と、制御量演算部24と、制御開始・終了判定部25と、制動力制御部26とが設けられる。
ミリ波レーダ20は、自車両である車両2の周辺物体を検出する検出装置であり、検出した車両2と周辺物体との相対位置関係を示す相対物理量を検出する。ミリ波レーダ20が検出する周辺物体には、車両2の走行方向前方の障害物が含まれる。ミリ波レーダ20は、周辺物体として、例えば、車両2近傍の先行車両、後続車両、側方車両、車両2の走行路近傍を通行する通行者(歩行者、自転車)、車両2の走行路近傍に位置する静止物等を検出する。ミリ波レーダ20は、車両2を中心として、所定の検出範囲内にある周辺物体を検出する。ここでは、ミリ波レーダ20は、例えば、上記相対物理量として、少なくとも車両2と周辺物体との相対速度(m/s)、相対距離(m)、相対減速度(m/s2)、TTC(Time−To−Collision:接触余裕時間)(s)等のうちの少なくとも1つを検出する機能を有している。ここで、TTC(以下、「相対時間」という場合がある。)とは、車両2が周辺物体に至るまでの時間に相当し、車両2と周辺物体との相対距離を相対速度に応じて変換した時間に相当する。ミリ波レーダ20は、ミリ波等の電磁波を送信すると共に物体で反射した反射波を受信し、電磁波を送信して受信するまでの時間に基づいて、上記相対物理量を検出する。ミリ波レーダ20は、検出した相対物理量をECU9へ出力する。
なお、周辺物体の検出装置は、ミリ波レーダ20にかえて、レーザや赤外線などを用いたレーダ、UWB(Ultra Wide Band)レーダ等の近距離用レーダ、可聴域の音波又は超音波を用いたソナー、CCDカメラなどの撮像装置により自車両の走行方向前方を撮像した画像データを解析することで上記相対物理量等を算出する画像認識装置等を用いてもよい。
切り返し操舵判定部21は、旋回方向が短時間に切り替わるステアリング操作である切り返し操舵を判定する。切り返し操舵判定部21は、例えば、ヨーレートセンサ17が検出する車両2のヨーレート、舵角センサ18が検出する舵角及び舵角速度等に基づいて、切り返し操舵が行われたことを判定する。一例として、切り返し操舵判定部21は、下記の(1)から(3)の条件のうちのいずれか1つ、好ましくは全てを満たした場合に、切り返し操舵が行われたと判定する。
(1)車両2の左旋回時に発生するヨーレートを正とした場合に、車両2の左旋回中に実ヨーレートが予め設定された正のヨーレート設定値より大きいか、右旋回中に実ヨーレートが予め設定された負のヨーレート設定値より小さいかのいずれかである。
(2)舵角をSTR、舵角速度をdSTR、Kを正の補正係数とした場合に、STR+K・dSTRで表される補正操舵角が車両2の実際の旋回方向とは逆になる。
(3)目標ヨーレートと実ヨーレートとの差の絶対値が予め設定された設定差より小さくなる。
上記(1)の条件は、急な旋回が行われていることを示す条件である。上記(2)の条件は、ステアリングホイール10の操作が実ヨーレートの発生より早いことを利用して舵角に基づいて切り返し操舵の実行を判定するものである。ここでは、舵角速度の成分を適切な割合で取り入れた補正操舵角を用いて判定することで、切り返し操舵の検出時期を早めるものとなっている。上記(3)の条件は、実ヨーレートの絶対値が比較的大きい状態で、目標ヨーレートの絶対値が減少し、目標ヨーレートと実ヨーレートとの差の絶対値がある程度小さくなった場合に、切り返し操舵が検出されるようにするものである。目標ヨーレートの絶対値が小さくなれば、やがて、目標ヨーレートと実ヨーレートとの大きさが反転するのであるが、上記(3)の条件に基づけば、大きさの反転に基づく場合より早期に切り返し操舵を検出することができる。
なお、ECU9は、車両2の旋回時等に、種々の手法を用いて目標ヨーレートを設定する。目標ヨーレートは、例えば、車両2の舵角と車体速度(以下、「車速」という場合がある。)とに基づいて算出される。車両2の舵角は、舵角センサ18によって検出されるものを用いればよい。車速は、各車輪速度センサ16が検出する各車輪3の車輪速度から推定されるものを用いればよいが、各車輪速度センサ16とは別個に設けられた車速センサによって検出されたものを用いてもよい。ECU9は、例えば、各車輪速度センサ16、舵角センサ18等による検出結果に基づいて、舵角、車速から車両2が所定の円旋回運動をしていると仮定した場合に車両2に発生するヨーレートを算出し、これを目標のヨーレートとする。
また、切り返し操舵判定部21は、上記の(1)から(3)の条件に限らず種々の条件を判定することで切り返し操舵が行われたことを判定すればよい。
ドリフトステート演算部22は、ドリフトステートを演算する。ドリフトステートは、典型的には、車両2がアンダーステア状態であることを示す指標である。ドリフトステートは、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差に応じて定まるパラメータである。より詳細には、ドリフトステートは、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差を舵角換算し、車両(自車両)2の旋回方向にかかわらず、オーバーステア時が負の値、アンダーステア時が正の値になるように演算されたパラメータである。ドリフトステート演算部22は、各車輪速度センサ16、舵角センサ18による検出結果に応じて上記のようにして算出される目標ヨーレートと、ヨーレートセンサ17による検出結果に応じた実ヨーレートとに基づいてドリフトステートを演算する。
接触可能性判定部23は、車両2と走行方向前方の周辺物体との接触可能性を判定する。接触可能性判定部23は、ミリ波レーダ20が検出した周辺物体と車両2との相対位置関係を示す上記相対物理量に基づいて、走行方向前方の周辺物体と車両2との接触可能性を判定する。接触可能性判定部23は、相対物理量として、例えば、車両2と周辺物体との相対距離が予め設定される相対距離閾値以下となった場合に、「接触可能性あり」、と判定する。また、接触可能性判定部23は、相対物理量として、例えば、TTC(相対時間)が予め設定されるTTC閾値以下となった場合に、「接触可能性あり」、と判定する。接触可能性判定部23は、例えば、運転者によって初回の操舵操作が行われた際に、上記接触判定を行う。相対距離閾値、TTC閾値は、実車評価等に基づいて予め設定され、ECU9の記憶部に記憶されている。
制御量演算部24は、切り返し操舵特定制御(減速制御)の減速制御量を演算する。制御量演算部24は、切り返し操舵特定制御の際に、左右の車輪3、典型的には、操舵輪である左前輪3FL、右前輪3FRに付与する所定の大きさの制動力(制動トルク)を実現するための減速制御量を演算する。ここでは、制御量演算部24は、当該減速制御量として、車輪3に要求されるホイールシリンダ圧(以下、単に「要求油圧」という場合がある。)を演算する。
制御量演算部24は、例えば、旋回と切り返し操舵とが急峻であるほど、切り返し操舵特定制御の際に付与する制動力を相対的に大きくすべく、要求油圧が相対的に大きくなるように演算する。制御量演算部24は、例えば、上記目標ヨーレート、旋回に伴って発生する実ヨーレート、切り返し操舵の舵角、切り返し操舵の舵角速度の少なくとも1つに基づいて、その少なくとも1つの絶対値、あるいは絶対値の極大値が大きいほど要求油圧を大きくする。なお、制御量演算部24は、切り返し操舵特定制御の際に付与する制動力の大きさを一定とし、すなわち、切り返し操舵特定制御の際の要求油圧を一定とすることもできる。
制御開始・終了判定部25は、切り返し操舵特定制御の開始判定、及び、終了判定を行う。ここでは、制御開始・終了判定部25は、切り返し操舵特定制御の開始判定の前に、まず、切り返し操舵特定制御の許可判定を行う。
切り返し操舵特定制御の許可判定とは、現在の制動力制御装置1の状態が切り返し操舵特定制御を実行可能な状態であるか否かを判定するものである。制御開始・終了判定部25は、例えば、各種センサが正常に作動しているか否か、車速が所定以上であるか否か等に基づいて、切り返し操舵特定制御の許可判定を行う。制御開始・終了判定部25は、例えば、各種センサが正常に作動しており、車速が所定以上であると判定した場合に、現在の制動力制御装置1の状態が切り返し操舵特定制御を実行可能な状態であると判定し、切り返し操舵特定制御の実行を許可する。
制御開始・終了判定部25は、切り返し操舵特定制御の実行を許可した後、切り返し操舵特定制御の開始判定を行う。制御開始・終了判定部25は、例えば、切り返し操舵判定部21による判定結果に基づいて、切り返し操舵特定制御の開始判定を行う。制御開始・終了判定部25は、切り返し操舵判定部21によって切り返し操舵が行われたと判定された場合に、切り返し操舵特定制御を開始する、と判定する。
そして、制御開始・終了判定部25は、切り返し操舵特定制御が開始された後、切り返し操舵特定制御の終了判定を行う。制御開始・終了判定部25は、例えば、切り返し操舵判定部21によって切り返し操舵が行われたと判定されてからの経過時間に基づいて、切り返し操舵特定制御の終了判定を行う。制御開始・終了判定部25は、例えば、切り返し操舵判定部21によって切り返し操舵が行われたと判定されてからの経過時間が予め設定される時間閾値(終了判定閾値)を超えたと判定した場合に、切り返し操舵特定制御を終了する、と判定する。終了判定閾値は、実車評価等に基づいて予め設定され、ECU9の記憶部に記憶されている。
制動力制御部26は、制動装置8を制御して車輪3に付与される制動力を制御する。制動力制御部26は、制動装置8のブレーキアクチュエータ13を制御して各車輪3のホイールシリンダ圧を調節することで、各車輪3の制動力(制動トルク)を制御する。制動力制御部26は、制御開始・終了判定部25によって、切り返し操舵特定制御の開始が判定されたら、制御量演算部24によって演算された要求油圧に基づいて、ブレーキアクチュエータ13を制御する。これにより、制動力制御部26は、左前輪3FL、右前輪3FRの実際のホイールシリンダ圧を要求油圧に収束させ、当該左前輪3FL、右前輪3FRに同等の大きさの制動力(制動トルク)を付与する。制動力制御部26は、制御開始・終了判定部25によって、切り返し操舵特定制御の終了が判定されたら、ブレーキアクチュエータ13を制御し切り返し操舵特定制御を終了する。
そして、本実施形態の制御開始・終了判定部25は、車両2の切り返し操舵時に、接触可能性判定部23によって判定された接触可能性と、ドリフトステート演算部22によって演算されたドリフトステートとに基づいて、切り返し操舵特定制御の終了を判定するための上記時間閾値(終了判定閾値)を変更することで、左右の車輪3に付与する制動力を変更する。制御開始・終了判定部25は、例えば、接触可能性ありと判定され、かつ、ドリフトステートが予め設定されるドリフトステート判定閾値よりも大きいと判定された場合に時間閾値を相対的に短くする。ドリフトステート判定閾値は、実車評価等に基づいて予め設定され、ECU9の記憶部に記憶されている。
ここで、図2のフローチャートを参照して制御開始・終了判定部25による時間閾値設定制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
制御開始・終了判定部25は、切り返し操舵特定制御が開始、継続されている状態で、接触可能性判定部23によって判定された接触可能性と、ドリフトステート演算部22によって演算されたドリフトステートとに基づいて、接触可能性あり(前方接触不可避)で、かつ、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値DSthよりも大きいか否かを判定する(ST1)。
制御開始・終了判定部25は、接触可能性がない、又は、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値DSth以下であると判定した場合(ST1:No)、時間閾値Tthを通常の値Tthとし(ST2)、ST4の処理に移行する。
一方、制御開始・終了判定部25は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値DSthより大きいと判定した場合(ST1:Yes)、時間閾値Tthを通常の値Tthよりも小さい値Tth_cとし(ST3)、ST4の処理に移行する。
制御開始・終了判定部25は、切り返し操舵判定部21によって切り返し操舵が行われたと判定されてからの経過時間が、ST2又はST3で設定された時間閾値Tthを超えたか否かを判定する(ST4)。制御開始・終了判定部25は、経過時間が時間閾値Tthを超えていないと判定した場合(ST4:No)、ST1に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
制御開始・終了判定部25は、経過時間が時間閾値Tthを超えたと判定した場合(ST4:Yes)、切り返し操舵特定制御を終了させ(ST5)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
この結果、制御開始・終了判定部25は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値より大きい場合、すなわち、接触可能性があり、車両2がアンダーステア傾向にある場合に、切り返し操舵特定制御を早期に終了させることができ、車両2の切り返し操舵時の制動力を低減することができる。つまり、制御開始・終了判定部25は、車両2の切り返し操舵時に、切り返し操舵特定制御の終了判定に用いる時間閾値を変更することで、切り返し操舵特定制御の終了タイミングを調節することができ、結果的に、左右の車輪3に付与する制動力を変更することができる。
これにより、ECU9は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートが予め設定されるドリフトステート判定閾値より大きい場合に、接触可能性がない場合、又は、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値以下である場合と比較して、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力を相対的に小さくすることができる。したがって、ECU9は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値より大きい場合、すなわち、接触可能性があり切り返し操舵特定制御により車両2の操舵性能を悪化させている可能性がある場合に、早期に切り返し操舵特定制御を終了して車両2の切り返し操舵時の制動力を低減することができる。この結果、制動力制御装置1は、車両2と周辺物体との接触可能性があるような場合に、切り返し操舵特定制御(減速制御)による減速性より車両操作性を優先させることができる。
また、本実施形態の制御量演算部24は、車両2の切り返し操舵時に、接触可能性判定部23によって判定された接触可能性と、ドリフトステート演算部22によって演算されたドリフトステートとに基づいて、切り返し操舵特定制御の制御量である要求油圧を変更することで、左右の車輪に付与する制動力を変更する。制御量演算部24は、例えば、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートが相対的に大きい場合に要求油圧を小さくする。
ここで、図3のブロック図を参照して制御量演算部24による要求油圧の演算の一例を説明する。制御量演算部24は、例えば、ゲイン設定部24aと乗算器24bとを含んで構成される。
ゲイン設定部24aは、接触可能性判定部23によって判定された接触可能性の情報と、ドリフトステート演算部22によって目標ヨーレートと実際ヨーレートとの偏差から演算、作成されたドリフトステートとが入力される。ゲイン設定部24aは、入力された接触可能性の情報と、ドリフトステートとに基づいて、制御ゲインを設定する。
ゲイン設定部24aは、例えば、図3中に例示する制御ゲインマップmに基づいて、制御ゲインを設定する。制御ゲインマップmは、横軸がドリフトステート、縦軸が制御ゲインを示す。制御ゲインマップmは、ドリフトステートと接触可能性と制御ゲインとの関係を記述したものである。制御ゲインマップmは、ドリフトステートと接触可能性と制御ゲインとの関係が実車評価等を踏まえて予め設定された上で、ECU9の記憶部に格納されている。制御ゲインマップmでは、制御ゲインは、ドリフトステートが相対的に大きいときに、接触可能性がない場合の制御ゲインL1に対して、接触可能性がある場合の制御ゲインL2が相対的に小さくなるように設定されている。ゲイン設定部24aは、この制御ゲインマップmに基づいて、入力された接触可能性の情報と、ドリフトステートとから、制御ゲインを算出する。この結果、ゲイン設定部24aは、例えば、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートが相対的に大きい場合に、制御ゲインを相対的に小さめに設定することができる。ゲイン設定部24aは、設定した制御ゲインを乗算器24bに入力する。
なお、本実施形態では、ゲイン設定部24aは、制御ゲインマップmを用いて制御ゲインを算出、設定するものとして説明したが本実施形態はこれに限定されない。ゲイン設定部24aは、例えば、制御ゲインマップmに相当する数式モデルに基づいて、制御ゲインを算出、設定するようにしてもよい。
乗算器24bは、上述したように目標ヨーレート、実ヨーレート、切り返し操舵の舵角、舵角速度等に基づいて演算されたベースの要求油圧と、ゲイン設定部24aが設定した制御ゲインとが入力される。乗算器24bは、入力されたベースの要求油圧と制御ゲインとを乗算することで、最終的な減速制御量として制御輪の要求油圧を演算し、ブレーキアクチュエータ13等に出力する。
この結果、制御量演算部24は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値より大きい場合、すなわち、接触可能性があり、車両2がアンダーステア傾向にある場合に、制御ゲインを相対的に小さめに設定し、要求油圧を相対的に低く設定することができ、車両2の切り返し操舵時の制動力を低減することができる。つまり、制御量演算部24は、車両2の切り返し操舵時に、減速制御量である要求油圧自体を変更することで、左右の車輪3に付与する制動力を直接的に変更することができる。
これにより、ECU9は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートが予め設定されるドリフトステート判定閾値より大きい場合に、接触可能性がない場合、又は、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値以下である場合と比較して、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力を相対的に小さくすることができる。したがって、ECU9は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値より大きい場合、すなわち、接触可能性があり切り返し操舵特定制御により車両2の操舵性能を悪化させている可能性がある場合に、車両2の切り返し操舵時の制動力を低減することができる。この結果、制動力制御装置1は、車両2と周辺物体との接触可能性があるような場合に、切り返し操舵特定制御(減速制御)による減速性より車両操作性を優先させることができる。
なお、ECU9は、図4に例示するように、車両2の挙動を安定化させる制御として、切り返し操舵特定制御とあわせて、他の車両安定化/耐転覆制御、一例として、目標ヨーレート追従制御等を実行可能な構成であってもよい。この目標ヨーレート追従制御は、実ヨーレートが目標ヨーレートに近づくように各車輪3の要求油圧を演算し、当該演算された要求油圧に基づいて、ブレーキアクチュエータ13を制御し車輪3の実際のホイールシリンダ圧を要求油圧に収束させることで、各車輪3の制動力を調節し実ヨーレートを目標ヨーレートに追従させる制御である。
この場合、ECU9は、舵角センサ18が検出する舵角、ヨーレートセンサ17が検出するヨーレート、横加速度センサ19が検出する横加速度(G)、各車輪速度センサ16が検出する車輪速度等に基づいて、上述したように、切り返し操舵特定制御の許可判定、開始判定、終了判定を行う。あわせて、ECU9は、舵角センサ18が検出する舵角、ヨーレートセンサ17が検出するヨーレート、横加速度センサ19が検出する横加速度(G)、各車輪速度センサ16が検出する車輪速度等に基づいて、車両安定化/耐転覆制御の許可/開始/終了判定も行う。車両安定化/耐転覆制御の許可判定は、上述の切り返し操舵特定制御の許可判定とほぼ同様である。車両安定化/耐転覆制御の開始/終了判定は、例えば、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差に基づいて行えばよい。そして、ECU9は、切り返し操舵特定制御での要求油圧(制御量)と、車両安定化/耐転覆制御での要求油圧(制御量)とをそれぞれ演算する。ECU9は、例えば、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差に基づいて車両安定化/耐転覆制御での要求油圧を演算すればよい。そして、ECU9は、各車輪3において、切り返し操舵特定制御の要求油圧(制御量)と、車両安定化/耐転覆制御の要求油圧(制御量)とのうち最大値のものを選択し、ブレーキアクチュエータ13等に出力するようにすればよい。
上記のように構成される制動力制御装置1は、車両2の切り返し操舵時に、切り返し操舵特定制御を実行することで、切り返し中から左右の車輪3の両方に所定の制動トルク(制動力)を付与し車両2を減速させ、切り返し操舵後の車両挙動を安定化させることができる。例えば、制動力制御装置1は、左右の車輪3(左前輪3FL、右前輪3FR)の両方に制動トルクを付与すれば、例えば、車両旋回内側の前輪にのみ制動トルクを付与する場合に比較して、制動による減速度の限界を大きくすることができる。
その上で、制動力制御装置1は、車両2と周辺物体との接触可能性と、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差とに基づいて、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力を変更することで、状況に応じて車両2の操作性を向上することができる。例えば、制動力制御装置1は、接触可能性があり、かつ、ドリフトステートがドリフトステート判定閾値より大きい場合、すなわち、接触可能性があり切り返し操舵特定制御により車両2の操舵性能を悪化させている可能性がある場合に、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力を相対的に小さくする。これにより、制動力制御装置1は、車両2と周辺物体との接触可能性があるような場合に、切り返し操舵特定制御(減速制御)による減速性より車両操作性を優先させることができ、このような場合に車両2の操作性を向上することができる。
以上で説明した実施形態に係る制動力制御装置1によれば、車両2の各車輪3に個別に制動力を付与可能である制動装置8と、車両2の切り返し操舵時に、制動装置8を制御し、車両2の左右の車輪3に制動力を付与するECU9とを備える。ECU9は、車両2と当該車両2の周辺の物体との接触可能性と、車両2の目標のヨーレートと当該車両2の実際のヨーレートとの偏差とに基づいて、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力を変更する。
したがって、制動力制御装置1は、車両2の切り返し操舵時に、接触可能性と、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差とを踏まえて、左右の車輪3に付与する制動力を適正化し、車両2の操作性を向上させることができ、これにより、減速性能と操舵性能とを両立させることができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る制動力制御装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明した制動装置8は、例えば、内燃機関による機関(エンジン)ブレーキを利用して各車輪に個別に制動力を付与するものであってもよいし、回転電機による回生制動等の電気制動を利用して各車輪に個別に制動力を付与するものであってもよい。
以上の説明では、制御装置は、ECU9によって兼用されるものとして説明したがこれに限らない。例えば、制御装置は、ECU9とは別個に構成され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。
また、以上で説明した制御量演算部24は、制御ゲインにかえて、接触可能性の情報と、目標ヨーレートと実際ヨーレートとの偏差に応じたドリフトステートとに基づいて、切り返し操舵特定制御におけるホイールシリンダ圧の初期増圧勾配を演算、設定するものであってもよい。この場合であっても、制御量演算部24は、接触可能性とドリフトステート(目標ヨーレートと実際ヨーレートとの偏差)と基づいて初期増圧勾配を変更することで、車両2の切り返し操舵時に左右の車輪3に付与する制動力を変更することができる。
また、以上で説明した制御開始・終了判定部25は、接触可能性判定部23によって接触可能性があると判定された場合に、切り返し操舵特定制御の開始判定、言い換えれば、切り返し操舵判定に用いる閾値を、切り返し操舵特定制御が開始されにくいように変更するようにしてもよい。
また、以上で説明したECU9は、車両2の切り返し操舵時に、切り返し操舵特定制御の終了を判定するための終了判定閾値を変更することで左右の車輪3に付与する制動力を変更する構成と、切り返し操舵特定制御の制御量を変更することで左右の車輪3に付与する制動力を変更する構成とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。
1 制動力制御装置
2 車両
3 車輪
4 操舵装置
5 アクセルペダル
6 動力源
7 ブレーキペダル
8 制動装置
9 ECU(制御装置)
13 ブレーキアクチュエータ
20 ミリ波レーダ
21 切り返し操舵判定部
22 ドリフトステート演算部
23 接触可能性判定部
24 制御量演算部
25 制御開始・終了判定部
26 制動力制御部

Claims (5)

  1. 車両の各車輪に個別に制動力を付与可能である制動装置と、
    前記車両の切り返し操舵時に、前記制動装置を制御し、前記車両の左右の車輪に制動力を付与する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記車両と当該車両の周辺の物体との接触可能性と、前記車両の目標のヨーレートと当該車両の実際のヨーレートとの偏差とに基づいて、前記車両の切り返し操舵時に前記左右の車輪に付与する制動力を変更することを特徴とする、
    制動力制御装置。
  2. 前記制御装置は、前記接触可能性があり、かつ、前記目標のヨーレートと前記実際のヨーレートとの偏差に応じて定まり前記車両がアンダーステア状態であることを示す指標であるドリフトステートが予め設定されるドリフトステート判定閾値より大きい場合に、前記接触可能性がない場合、又は、前記ドリフトステートが前記ドリフトステート判定閾値以下である場合と比較して、前記車両の切り返し操舵時に前記左右の車輪に付与する制動力を相対的に小さくする、
    請求項1に記載の制動力制御装置。
  3. 前記ドリフトステートは、前記目標のヨーレートと前記実際のヨーレートとの偏差を舵角換算し、前記車両の旋回方向にかかわらず、オーバーステア時が負の値、アンダーステア時が正の値になるように演算される、
    請求項1又は請求項2に記載の制動力制御装置。
  4. 前記制御装置は、前記車両の切り返し操舵時に、前記左右の車輪に制動力を付与する制御の終了を判定するための終了判定閾値を変更することで、前記左右の車輪に付与する制動力を変更する、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の制動力制御装置。
  5. 前記制御装置は、前記車両の切り返し操舵時に、前記左右の車輪に制動力を付与する制御の制御量を変更することで、前記左右の車輪に付与する制動力を変更する、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の制動力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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TWI684216B (zh) * 2015-08-18 2020-02-01 日商迪思科股份有限公司 晶圓的加工方法

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