JP2013238124A - 可変圧縮比機構を備える内燃機関 - Google Patents

可変圧縮比機構を備える内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】ターボチャージャと、機関回転数が設定回転数以上であるときには停止させるスーパーチャージャとを具備する内燃機関において、機関回転数が設定回転数以上となるときに、ノッキングを発生させることなく、吸気弁の閉弁時期の進角によってターボチャージャのターボラグにより発生する吸気不足を抑制可能とする。
【解決手段】現在の機関回転数が設定回転数より低いときに機械圧縮比の現在の目標上限値が設定され(ステップ103)、設定回転数と現在の機関回転数との差が小さいほど現在の目標上限値は低くされ、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、可変圧縮比機構により機械圧縮比を現在の目標上限値へ向けて低下させ(ステップ105)、機関回転数が設定回転数以上に切り換わったときには、可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉弁時期を進角して吸気量を増加させる。
【選択図】図10

Description

本発明は、可変圧縮比機構を備える内燃機関に関する。
シリンダブロックを気筒軸線に沿わせてクランクケースに対して相対移動させることにより機械圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備える内燃機関が公知である。このような可変圧縮比機構を備える内燃機関では、熱効率を高めるために機械圧縮比に等しい膨張比を高くすることは効果的であるが、実圧縮比を高くすると、ノッキングが発生し易くなってしまう。それにより、機械圧縮比を高くしても、実圧縮比が設定圧縮比を超えないように、機械圧縮比を高くするほど吸気弁の閉弁時期を遅角するようにしている。
可変圧縮比機構を備える内燃機関においても、過給によって機関出力を高めることが望まれており、排気エネルギーを利用するターボチャージャが配置されることがある。しかしながら、機関低回転時には、ターボチャージャは十分に機能しないために、機関低回転時においてターボチャージャの過給をアシストするための電動過給機を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−163674号公報 特開平03−275936号公報 特開2004−218522号公報 特開昭62−060933号公報 特開昭62−078440号公報
電動過給機はモータの搭載スペースを必要とするために、電動過給器を機関駆動式のスーパーチャージャに置き換えることが考えられる。しかしながら、スーパーチャージャは、機関低回転時において効率的に駆動されるようにすると、機関高回転時においては過回転により破損の可能性がある。それにより、スーパーチャージャを機関低回転時にだけ機関駆動軸に連結してターボチャージャの過給をアシストするようにし、機関高回転時には機関駆動軸から切り離して停止させ、このときにはターボチャージャだけにより過給が実施されるようにしている。
しかしながら、ターボチャージャは、機関低回転時から機関高回転時に切り換わっても、ターボラグによって直ぐには十分な過給を実現することはできず、このときには、吸気不足を解消するために、吸気弁の閉弁時期の進角が望まれるが、それによって、実圧縮比が設定圧縮比を超えればノッキングが発生してしまうことがある。
従って、本発明の目的は、機械圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備える内燃機関であって、吸気弁の閉弁時期を可変とする可変バルブタイミング機構と、ターボチャージャと、機関回転数が設定回転数以上であるときには停止させるスーパーチャージャとを具備する内燃機関において、機関回転数が設定回転数未満から設定回転数以上となるときに、ノッキングを発生させることなく、吸気弁の閉弁時期の進角によってターボチャージャのターボラグにより発生する吸気不足を抑制可能とすることである。
本発明による請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、可変圧縮比機構により制御される機械圧縮比に対して実圧縮比が設定圧縮比を超えないように吸気弁の閉弁時期を可変とする可変バルブタイミング機構と、ターボチャージャと、機関回転数が設定回転数以上であるときには停止させるスーパーチャージャとを具備し、現在の機関回転数が前記設定回転数より低いときに機械圧縮比の現在の目標上限値が設定され、前記設定回転数と現在の機関回転数との差が小さいほど現在の目標上限値は低くされ、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、前記可変圧縮比機構により機械圧縮比を現在の目標上限値へ向けて低下させ、機関回転数が前記設定回転数未満から前記設定回転数以上に切り換わったときには、前記可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉弁時期を進角して吸気量を増加させることを特徴とする。
本発明による請求項2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、機関回転数の過渡時には、現在の機関回転数の上昇速度が高いほど、現在の目標上限値を低くすることを特徴とする。
本発明による請求項3に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、請求項1又は2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、前記ターボチャージャのコンプレッサの直下流側と直上流側との差圧が設定圧力より高くなっているときには、現在の目標上限値の設定を中止することを特徴とする。
本発明による請求項4に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、請求項1から3のいずれか一項に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、変速機により現在の機関回転数を低下させることを特徴とする。
本発明による請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、可変圧縮比機構により制御される機械圧縮比に対して実圧縮比が設定圧縮比を超えないように吸気弁の閉弁時期を可変とする可変バルブタイミング機構と、ターボチャージャと、機関回転数が設定回転数以上であるときには停止させるスーパーチャージャとを具備し、現在の機関回転数が設定回転数より低いときには、機械圧縮比の現在の目標上限値が設定され、設定回転数と現在の機関回転数との差が小さいほど、すなわち、現在の機関回転数が設定回転数に近くて直後の機関回転数変化によって設定回転数以上となる可能性が高いほど、現在の目標上限値は低くされ、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、可変圧縮比機構により機械圧縮比を現在の目標上限値へ向けて低下させるようになっている。それにより、機関回転数が設定回転数未満から設定回転数以上に切り換わったときには、機械圧縮比は目標上限値へ向けて低くされており、吸気不足を抑制するために可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉弁時期を進角しても、実圧縮比が設定圧縮比を超えてノッキングが発生することはなく吸気量を増加させることができ、ターボチャージャのターボラグによって発生する吸気不足を抑制することができる。
本発明による請求項2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、機関回転数の過渡時には、現在の機関回転数の上昇速度が高いほど、現在の目標上限値を低くするようになっている。それにより、現在の機関回転数の上昇速度が高くて直後の機関回転数変化によって設定回転数以上となる可能性が高いほど、現在の目標上限値は低くされ、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、可変圧縮比機構により機械圧縮比を現在の目標上限値へ向けて低下させるようになっている。
本発明による請求項3に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、請求項1又は2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、ターボチャージャのコンプレッサの直下流側と直上流側との差圧が設定圧力より高くなっているときには、直ぐに機関回転数が設定回転数未満から設定回転数以上に切り換わっても、ターボチャージャだけにより十分な過給圧を実現することができ、吸気不足は発生しないために、現在の目標上限値の設定を中止し、不必要に機械圧縮比を変更しないようにしている。
本発明による請求項4に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、請求項1から3のいずれか一項に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、直ぐに機関回転数が設定回転数未満から設定回転数以上に切り換わってしまうと、機械圧縮比が比較的高くて実圧縮比が設定圧縮比を超えてしまうために、可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉弁時期を十分に進角することはできずに、ターボチャージャのターボラグによって吸気不足が発生することがある。それにより、このときには、機関出力を変化させずに変速機により現在の機関回転数を低下させ、機関回転数が設定回転数未満から設定回転数以上に切り換わり難くして、機械圧縮比を現在の目標上限値へ向けて低下させることを可能としている。
内燃機関の全体図である。 可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 可変バルブタイミング機構を示す図である。 吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。 通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 機械圧縮比の現在の目標上限値を設定するためのフローチャートである。 スーパーチャージャを停止させる設定回転数と現在の機関回転数との差と機関圧縮比の現在の目標上限値との関係を示すマップである。 機関回転数の変化速度と目標上限値を補正するための係数との関係を示すマップである。
図1は本発明による可変圧縮比機構を備える内燃機関の側面断面図を示す。図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火栓、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11には夫々対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。
吸気ダクト14のスロットル弁17と吸入空気量検出器18との間には、上流側のスーパーチャージャのコンプレッサ28と、下流側のターボチャージャのコンプレッサ29とが直列に配置されている。スーパーチャージャのコンプレッサ28をバイパスするエアバイパス通路28aが設けられ、エアバイパス通路28aには、スーパーチャージャのコンプレッサ28を通過せずにエアバイパス通路28aを通過する空気量を制御するためのエアバイパスバルブ28bが配置されている。ターボチャージャのコンプレッサ29は、排気圧力を利用して駆動されるものであり、機関排気系に配置されたタービン(図示せず)に接続されている。また、スーパーチャージャのコンプレッサ28は、機関駆動式であり、機関駆動軸に電磁クラッチ(図示せず)を介して接続されており、電磁クラッチにより機関駆動軸から切り離すことにより停止可能となっている。排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒装置20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。
一方、図1に示される実施例ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、更に実際の圧縮作用の開始時期を変更可能な実圧縮作用開始時期変更機構Bが設けられている。なお、図1に示される実施例ではこの実圧縮作用開始時期変更機構Bは吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構からなる。
図1に示されるようにクランクケース1とシリンダブロック2にはクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置関係を検出するための相対位置センサ22が取付けられており、この相対位置センサ22からはクランクケース1とシリンダブロック2との間隔の変化を示す出力信号が出力される。また、可変バルブタイミング機構Bには吸気弁7の閉弁時期を示す出力信号を発生するバルブタイミングセンサ23が取付けられており、スロットル弁駆動用のアクチュエータ16にはスロットル弁開度を示す出力信号を発生するスロットル開度センサ24が取付けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18、空燃比センサ21、相対位置センサ22、バルブタイミングセンサ23、及び、スロットル開度センサ24の出力信号は夫々対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火栓6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、スーパーチャージャのコンプレッサ28と機関駆動軸との間に配置された電磁クラッチ、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50、すなわち、シリンダブロック側サポートが形成されており、各突出部50内には夫々断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔てて夫々対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52、すなわち、クランクケース側サポートが形成されており、これらの各突出部52内にも夫々断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54,55が設けられており、各カムシャフト54,55上には一つおきに各カム挿入孔53内に回転可能に挿入される同心部分58が位置している。各同心部分58は各カムシャフト54,55の回転軸線と共軸をなす。一方、各同心部分58の両側には図3に示すように各カムシャフト54,55の回転軸線に対して偏心配置された偏心部57が位置しており、この偏心部57上に別の円形カム56が偏心して回転可能に取付けられている。すなわち、偏心部57は円形カム56に形成された偏心孔に嵌合し、円形カム56は偏心孔を中心として偏心部57回りに回動するようになっている。図2に示されるようにこれら円形カム56は各同心部分58の両側に配置されており、これら円形カム56は対応する各カム挿入孔51内に回転可能に挿入されている。また、図2に示されるようにカムシャフト55にはカムシャフト55の回転角度を表す出力信号を発生するカム回転角度センサ25が取付けられている。
図3(A)に示すような状態から各カムシャフト54,55の同心部分58を図3(A)において矢印で示される如く互いに反対方向に回転させると偏心部57が互いに離れる方向に移動するために円形カム56がカム挿入孔51内において同心部分58とは反対方向に回転し、図3(B)に示されるように偏心部57の位置が高い位置から中間高さ位置となる。次いで更に同心部分58を矢印で示される方向に回転させると図3(C)に示されるように偏心部57は最も低い位置となる。
なお、図3(A)、図3(B)、図3(C)には夫々の状態における同心部分58の中心aと偏心部57の中心bと円形カム56の中心cとの位置関係が示されている。
図3(A)から図3(C)とを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は同心部分58の中心aと円形カム56の中心cとの距離によって定まり、同心部分58の中心aと円形カム56の中心cとの距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。即ち、可変圧縮比機構Aは回転するカムを用いたクランク機構によりクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置を変化させていることになる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、従って各カムシャフト54,55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54,55を夫々反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸には夫々螺旋方向が逆向きの一対のウォーム61,62が取付けられており、これらウォーム61,62と噛合するウォームホイール63,64が夫々各カムシャフト54,55の端部に固定されている。この実施例では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70の端部に取付けられた可変バルブタイミング機構Bを示している。図4を参照すると、この可変バルブタイミング機構Bは機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、吸気弁駆動用カムシャフト70と一緒に回転しかつ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数個の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側には夫々進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76,77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76,77に夫々連結された油圧ポート79,80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83,84と、各ポート79,80,82,83,84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁85が右方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印方向に相対回転せしめられる。
これに対し、吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁85が左方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印と反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図4に示される中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。従って可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角させることができ、遅角させることができることになる。
図5において実線は可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も進角されているときを示しており、破線は吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も遅角されているときを示している。従って吸気弁7の開弁期間は図5において実線で示す範囲と破線で示す範囲との間で任意に設定することができ、従って吸気弁7の閉弁時期も図5において矢印Cで示す範囲内の任意のクランク角に設定することができる。
図1および図4に示される可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、例えば吸気弁の開弁時期を一定に維持したまま吸気弁の閉弁時期のみを変えることのできる可変バルブタイミング機構等、種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。
次に図6を参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図6の(A),(B),(C)には説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図6の(A),(B),(C)において燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図6(A)は機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(A)に示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図6(B)は実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。即ち、図6(B)に示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。従って実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記の如く表される。図6(B)に示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図6(C)は膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(C)に示される例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図7および図8を参照しつつ本発明において用いられている超膨張比サイクルについて説明する。なお、図7は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図8は本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図8(A)は吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ吸気下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図8(A)に示す例でも図6の(A),(B),(C)に示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8(A)からわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。即ち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図7における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、即ち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、即ち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。従って通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、このような状況下で機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分しつつ理論熱効率を高めることが検討され、その結果理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はほとんど影響を与えないことが見い出されたのである。即ち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はほとんど高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対し押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。従って膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図7の破線ε=10は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比εを低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図7の実線で示す如く実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、従って実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大巾に高めることができる。図8(B)は可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図8(B)を参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図8(A)に示される通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図8(B)に示される場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。これが超高膨張比サイクルと称される所以である。
一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、従って機関運転時における熱効率を向上させるためには、即ち燃費を向上させるには機関負荷が低いときの熱効率を向上させることが必要となる。一方、図8(B)に示される超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、従ってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。従って本発明では機関負荷が比較的低いときには図8(B)に示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図8(A)に示す通常のサイクルとするようにしている。
次に図9を参照しつつ運転制御全般について概略的に説明する。図9には或る機関回転数における機関負荷に応じた吸入空気量、吸気弁閉弁時期、機械圧縮比、膨張比、実圧縮比およびスロットル弁17の開度の各変化が示されている。なお、図9は、触媒装置20内の三元触媒によって排気ガス中の未燃HC,COおよびNOXを同時に低減しうるように燃焼室5内における平均空燃比が空燃比センサ21の出力信号に基づいて理論空燃比にフィードバック制御されている場合を示している。
さて、前述したように機関高負荷運転時には図8(A)に示される通常のサイクルが実行される。従って図9に示されるようにこのときには機械圧縮比は低くされるために膨張比は低く、図9において実線で示されるように吸気弁7の閉弁時期は図5において実線で示される如く早められている。また、このときには吸入空気量は多く、このときスロットル弁17の開度は全開に保持されているのでポンピング損失は零となっている。
一方、図9において実線で示されるように機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。またこのときには実圧縮比がほぼ一定に保持されるように図9に示される如く機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大され、従って機関負荷が低くなるにつれて膨張比も増大される。なお、このときにもスロットル弁17は全開状態に保持されており、従って燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
このように機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるときには実圧縮比がほぼ一定のもとで吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。即ち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。従ってピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき図9に示される例では燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているのでピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
機関負荷が更に低くなると機械圧縮比は更に増大せしめられ、機関負荷がやや低負荷寄りの中負荷L1まで低下すると機械圧縮比は燃焼室5の構造上限界となる限界機械圧縮比(上限機械圧縮比)に達する。機械圧縮比が限界機械圧縮比に達すると、機械圧縮比が限界機械圧縮比に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では機械圧縮比が限界機械圧縮比に保持される。従って低負荷側の機関中負荷運転時および機関低負荷運転時には即ち、機関低負荷運転側では機械圧縮比は最大となり、膨張比も最大となる。別の言い方をすると機関低負荷運転側では最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされる。
一方、図9に示される実施例では機関負荷がL1まで低下すると吸気弁7の閉弁時期が燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期となる。吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達すると吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持される。
吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図9に示される実施例ではこのとき、即ち吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御され、機関負荷が低くなるほどスロットル弁17の開度は小さくされる。
一方、図9において破線で示すように機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによってもスロットル弁17によらずに吸入空気量を制御することができる。従って、図9において実線で示される場合と破線で示される場合とをいずれも包含しうるように表現すると、本発明による実施例では吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期L1まで吸気下死点BDCから離れる方向に移動せしめられることになる。このように吸入空気量は吸気弁7の閉弁時期を図9において実線で示すように変化させても制御することができるし、破線に示すように変化させても制御することができる。
前述したように図8(B)に示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましいが図7からわかるように実用上使用可能な下限実圧縮比ε=5に対しても20以上であればかなり高い理論熱効率を得ることができる。従って本実施例では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
本実施例の内燃機関は、前述したように、吸気ダクト14にターボチャージャのコンプレッサ29及びスーパーチャージャのコンプレッサ28が配置され、過給によって機関出力を高めることが意図されている。ターボチャージャのコンプレッサ29は、機関低回転時のように排気圧力が低いときには十分に過給圧を高めることができず、機関低回転時においてターボチャージャの過給をアシストするためにスーパーチャージャのコンプレッサ28が設けられている。
スーパーチャージャのコンプレッサ28は、機関低回転時において機関駆動軸により効率的に駆動されるようにすると、機関高回転時においては過回転により破損の可能性があるために、機関回転数が設定回転数以上となると、スーパーチャージャのコンプレッサ28は、電磁クラッチにより機関駆動軸から切り離される。
こうして、設定回転数以上では、ターボチャージャだけにより過給が実施される。しかしながら、ターボチャージャは、機関回転数が設定回転数未満から設定回転数以上となっても、タービン回転数が直ぐに所望回転数まで上昇せず、このターボラグによって直ぐには十分な過給を実現することはできない。このときには、吸気不足を解消するために、可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁7の閉弁時期を進角することが望まれる。しかしながら、可変圧縮比機構Aによって直ぐに機械圧縮比を低下させることはできず、現在の機械圧縮比によっては吸気弁7の閉弁時期の進角によって実圧縮比が設定圧縮比より高くなって、ノッキングが発生してしまうことがある。
本実施例の内燃機関は、図10に示すフローチャートに従って機械圧縮比の現在の目標上限値を設定し、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、可変圧縮比機構Aにより機械圧縮比を現在の目標上限値へ向けて低下させるようにしている。こうして、機関回転数が設定回転数未満から設定回転数以上となるときに、機械圧縮比の目標上限値が実現されていなくても、実圧縮比が設定圧縮比を超えない範囲において、吸気弁の閉弁時期のある程度の進角が可能となり、ノッキングを発生させることなく、吸気弁の閉弁時期の進角によってターボチャージャのターボラグにより発生する吸気不足を抑制することが意図されている。
本フローチャートは、電子制御ユニット30によって設定時間毎に繰り返し実施される。先ず、ステップ101において、クランク角センサ42の出力に基づき検出される現在の機関回転数Nが設定回転数N’より低いか否かが判断される。設定回転数N’は、電磁クラッチによってスーパーチャージャのコンプレッサ28を機関駆動軸から切り離すための閾値であり、ステップ101の判断が否定されるときには、そのまま終了する。
一方、ステップ101の判断が肯定されるときには、現在においてスーパーチャージャのコンプレッサ28は機関駆動軸により駆動されており、今後の機関回転数の変動によってはスーパーチャージャのコンプレッサ28は機関駆動軸から切り離される可能性がある。ステップ102では、ターボチャージャのコンプレッサ29の直下流側と直下流側との差圧Pが設定圧力P’以上であるか否かが判断される。差圧Pは、スーパーチャージュのコンプレッサ28の過給分を無視したターボチャージャのコンプレッサ29だけによる過給圧であり、排気ダクト14のコンプレッサ29の直上流側と直下流側とに圧力センサを配置することにより測定可能である。
設定圧力P’は、機関回転数Nが設定回転数N’以上のときのターボチャージャのコンプレッサ29だけにより実現することが意図された最大過給圧であり、ステップ102の判断が肯定されれば、直ぐに、スーパーチャージャのコンプレッサ28が機関駆動軸から切り離されても、ターボチャージャのコンプレッサ29だけにより所望の過給圧を実現することができ、吸気不足は発生しない。それにより、スーパーチャージャのコンプレッサ28が機関駆動軸から切り離されるときに備える必要はなく、不必要に機械圧縮比を低下させて熱効率を悪化させないようにして、そのまま終了する。
一方、ステップ102の判断が否定されるときには、ステップ103において、設定回転数N’と現在の機関回転数Nとの差ΔNに基づき図11に示すマップから機械圧縮比の現在の目標上限値Et’を設定する。
図11に示すマップにおいて、差ΔNが小さいほど目標上限値Et’は低くされる。目標上限値Et’は、図3(C)に示す上限機械圧縮比より僅かに小さい値から図3(A)に示す下限機械圧縮比より僅かに大きい値まで変化するようにすることが好ましい。また、差ΔNが十分に大きい(設定差より大きい)ときには、図3(C)に示す上限機械圧縮比を目標上限値Et’としても、また、目標上限値Et’を設定しないようにしても良い。
こうして、現在の機関回転数Nが設定回転数N’に近くて直後の機関回転数変化によって設定回転数N’以上となる可能性が高いほど、機械圧縮比の現在の目標上限値Et’は低くされる。次いで、ステップ104において、現在の機械圧縮比Eが現在の目標上限値Et’より高いか否かが判断される。この判断が否定されれば、現在の機械圧縮比Eは現在の目標上限値Et’以下であるために、そのまま終了する。
しかしながら、ステップ104の判断が肯定されるときには、ステップ105において、可変圧縮比機構Aによって現在の機械圧縮比Eを目標上限値Et’へ向けて低下させる。このときに、もし、機関負荷変化などにより、別の目標値Etへ向けて機械圧縮比を変更途中であれば、機械圧縮比は現在の目標上限値Et’と目標値Etとの低い方へ向けて低下させる。
こうして、ターボチャージャのコンプレッサ29の直下流側と直下流側との差圧Pが設定圧力P’未満である場合には、現在の機関回転数Nが設定回転数N’に近いほど、機械圧縮比Eは低くされるために、機関回転数Nが設定回転数N’未満から設定回転数N’以上に切り換わったときには、可変バルブタイミング機構Bにより吸気弁7の閉弁時期を進角しても、実圧縮比が設定圧縮比を超えてノッキングが発生することはなく吸気量を増加させることができ、ターボチャージャのターボラグによって発生する吸気不足を抑制することができる。
もちろん、機関回転数Nが設定回転数N’未満から設定回転数N’以上に切り換わったときに、このときの機械圧縮比の目標上限値Et’が実現されていないこともあるが、それでも、実圧縮比が設定圧縮比を超えないように吸気弁の閉弁時期を僅かでも進角させることができ、それにより、ターボチャージャのターボラグによって発生する吸気不足を完全には解消することができなくても抑制することは可能である。
本実施例の可変圧縮比機構Aにおいては、機械圧縮比を瞬間的に変更することはできず、機械圧縮比の変更には、ある程度の時間が必要である。それにより、ステップ104の機械圧縮比の低下によっては、機関回転数Nが設定回転数N’未満から設定回転数N’以上に切り換わるときに、機械圧縮比Eを十分に低下させられないことがある。
図10のフローチャートでは、ステップ106において、機関出力を変化させずに変速機により現在の機関回転数Nを低下させており、機関回転数Nが設定回転数N’未満から設定回転数N’以上に切り換わり難くして、機械圧縮比Eを現在の目標上限値Et’へ向けて十分に低下させることを可能としている。
また、ステップ103では、設定回転数N’と現在の機関回転数Nとの差が小さいほど、目標上限値Et’を低く設定したが、機関回転数の過渡時の場合には、現在の機関回転数Nの上昇速度が高いほど、現在の目標上限値Et’をさらに低くするようにしても良い。それにより、現在の機関回転数Nの上昇速度が高くて直後の機関回転数変化によって設定回転数N’以上となる可能性が高いほど、現在の目標上限値Et’は低くされる。
ここで、現在の機関回転数Nの上昇速度Vは、例えば、図10のフローチャートにおいて、今回測定された現在の機関回転数Nと前回測定された機関回転数N1との差をフローチャートの繰り返し設定時間(実行間隔)で除算することにより算出可能である。こうして算出される上昇速度Vに基づき、図12に示すマップから補正係数k(1以下の正数)を設定して、図11から設定された目標上限値Et’に乗算補正して、新たな現在の目標上限値Et’(=Et’*k)とすれば良い。もちろん、新たな目標上限値Et’は、図3(A)に示す下限機械圧縮比より低くされないようにしなければならない。
28 スーパーチャージャのコンプレッサ
29 ターボチャージャのコンプレッサ
30 電子制御ユニット
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構

Claims (4)

  1. 可変圧縮比機構により制御される機械圧縮比に対して実圧縮比が設定圧縮比を超えないように吸気弁の閉弁時期を可変とする可変バルブタイミング機構と、ターボチャージャと、機関回転数が設定回転数以上であるときには停止させるスーパーチャージャとを具備し、現在の機関回転数が前記設定回転数より低いときに機械圧縮比の現在の目標上限値が設定され、前記設定回転数と現在の機関回転数との差が小さいほど現在の目標上限値は低くされ、現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、前記可変圧縮比機構により機械圧縮比を現在の目標上限値へ向けて低下させ、機関回転数が前記設定回転数未満から前記設定回転数以上に切り換わったときには、前記可変バルブタイミング機構により吸気弁の閉弁時期を進角して吸気量を増加させることを特徴とする可変圧縮比機構を備える内燃機関。
  2. 機関回転数の過渡時には、現在の機関回転数の上昇速度が高いほど、現在の目標上限値を低くすることを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関。
  3. 前記ターボチャージャのコンプレッサの直下流側と直上流側との差圧が設定圧力より高くなっているときには、現在の目標上限値の設定を中止することを特徴とする請求項1又は2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関。
  4. 現在の機械圧縮比が現在の目標上限値より高いときには、変速機により現在の機関回転数を低下させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関。
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