以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、液体を広げるとともに気化させて、不活性ガスと混合させつつ排出する液体制御装置として具体化している。
図1において、(a)は液体制御装置10を示す平面図であり、(b)は(a)の1B−1B線断面図である。同図に示すように、液体制御装置10は、第1ハウジング11、第2ハウジング20、液体気化器30、弁装置60、ヒータ80、温度センサ83,84、コントローラ70、モニタ71等を備えている。
第1ハウジング11は、中空の直方体状に形成されており、内部に底面長円形の柱状空間Sが形成されている。柱状空間Sは、第1ハウジング11の側面11aにおいて、長円形の開口部12によって開口している。第1ハウジング11の下面11bには、弁装置60を挿入する挿入孔13が形成されている。第1ハウジング11の上面11cには、ガラス板14を取り付ける取付孔15が形成されている。
柱状空間Sには、開口部12から液体気化器30が挿入されている。また、上記挿入孔13には、弁装置60が挿入されている。第1ハウジング11と弁装置60との間は、シール部材によりシールされている。上記取付孔15には、締結部材によりガラス板14が取り付けられている。第1ハウジング11とガラス板14との間は、シール部材によりシールされている。使用者は、ガラス板14を介して、上方から第1ハウジング11の内部を観察することができる。
図2(a)は、図1の2A−2A線から見た第2ハウジング20の側面図である。図2(a)を併せて参照すると、第2ハウジング20は、直方体状に形成されており、第1ハウジング11の側面11aに取り付けられている。第1ハウジング11と第2ハウジング20との間は、シール部材によりシールされている。第2ハウジング20において、第1ハウジング11の側面11aに対向する面は側面20bとなっている。第2ハウジング20には、第1気体流路21、第2気体流路22、薬液流路23、ヒータ挿入孔24、及び温度センサ挿入孔25a,25bが形成されている。
第1気体流路21は、第2ハウジング20において、上記側面20bから、上面20aへと貫通している。第2気体流路22は、側面20bから、側面20bと反対側の側面20cへと貫通している。第1気体流路21及び第2気体流路22は、上面20aの長手方向において、両端寄りの位置にそれぞれ設けられている。薬液流路23(液体流路)は、側面20b及び側面20cの略中央において、側面20bから側面20cへと貫通している。ヒータ挿入孔24は、第2気体流路22と薬液流路23との間において、側面20bから側面20cへと貫通している。温度センサ挿入孔25aは、薬液流路23とヒータ挿入孔24との間において、側面20bから側面20cへと貫通している。温度センサ挿入孔25bは、薬液流路23と第1気体流路21との間において、側面20bから側面20cへと貫通している。
第2ハウジング20には、締結部材等により、第1ブロック26、第2ブロック27、薬液ブロック28が取り付けられている。
第1ブロック26は、第2ハウジング20の上記上面20aに取り付けられている。第1ブロック26には、その下面から上面へと貫通する第1ブロック流路26aが設けられている。第1ブロック流路26aの一端は、上記第1気体流路21に接続している。第1ブロック流路26aの他端には、第1気体配管26bが接続されている。そして、第1気体配管26bから第1ブロック26へ気体が導入される。
第2ブロック27は、第2ハウジング20の上記側面20cに取り付けられている。第2ブロック27には、その側面から上面へと貫通する第2ブロック流路27aが設けられている。第2ブロック流路27aの一端は、上記第2気体流路22に接続している。第2ブロック流路27aの他端には、第2気体配管27bが接続されている。そして、第2ブロック27から第2気体配管27bへ気体が排出される。
薬液ブロック28は、第2ハウジング20の上記側面20cに取り付けられている。薬液ブロック28には、その側面から下面へと貫通する薬液ブロック流路28aが設けられている。薬液ブロック流路28aの一端は、上記薬液流路23に接続している。薬液ブロック流路28aの他端には、薬液配管28bが接続されている。そして、ポンプ(図示略)の駆動により、薬液配管28bから薬液ブロック28へ薬液が導入される。ポンプは、1回の駆動で所定量の薬液を吐出するものであり、コントローラ70により駆動が制御される。
図2(b),(c)は、それぞれ図1の2B−2B線断面図,2c−2c線断面図である。図2(b),(c)を併せて参照すると、液体気化器30は、本体31を備えている。
本体31は、上記柱状空間Sに対応して底面長円形の柱状に形成されており、柱状空間Sよりも一回り小さく形成されている。上述したように、第1ハウジング11の柱状空間Sには、開口部12から液体気化器30が挿入されている。そして、液体気化器30は、本体31に形成された貫通孔Bに締結部材を用いて、第2ハウジング20の側面20bに取り付けられている。これにより、上記第1ハウジング11の内周面と本体31との間には、長円形の筒状の隙間が形成されている。本体31において、第2ハウジング20の側面20bに対向する面は側面31bとなっている。
本体31には、第1気体流路33、第2気体流路34、薬液流路35、ヒータ挿入孔36、温度センサ挿入孔37a,37b、及び凹部38が形成されている。
第1気体流路33は、本体31においてその側面から上面へと貫通している。第1気体流路33の一端は、上記第1気体流路21に接続している。第1気体流路33の他端は、第2ハウジング20から第1ハウジング11への方向(本体31の上面31cの短手方向)において、本体31の上面31cの略中央で開口している。
第2気体流路34は、本体31においてその側面から上面へと貫通している。第2気体流路34の一端は、上記第2気体流路22に接続している。第2気体流路34の他端は、本体31の上面31cの短手方向において、本体31の上面31cの略中央で開口している。第1気体流路33及び第2気体流路34は、上面31cの長手方向において、両端寄りの位置にそれぞれ設けられている。第1気体流路33と第2気体流路34とは、互いに平行に配置されている。
薬液流路35(液体流路)は、本体31において、側面31bから上面31cへと貫通している。薬液流路35の一端は、上記薬液流路23に接続している。薬液流路35の他端は、本体31の上面31cの短手方向において、本体31の上面31cの略中央で開口している。
ヒータ挿入孔36は、上記ヒータ挿入孔24に接続しており、側面31bから反対側の側面31d付近まで延びている。そして、ヒータ挿入孔24,36にヒータ80が挿入されており、ヒータ80により上面31cが加熱される。
温度センサ挿入孔37aは、上記温度センサ挿入孔25aに接続しており、本体31の上面31cの短手方向において、本体31の略中央まで延びている。温度センサ挿入孔37aは、本体31において上面31c近傍(上面31cに垂直な方向において本体31の内部の上面31c寄り)に形成されている。そして、温度センサ挿入孔25a,37aに第1温度センサ83が挿入されており、第1温度センサ83により上面31c近傍(第1部分)の温度が検出される。第1温度センサ83は、白金を用いた測温抵抗体等により構成されている。
温度センサ挿入孔37bは、上記温度センサ挿入孔25bに接続しており、本体31の上面31cの短手方向において、本体31の略中央まで延びている。温度センサ挿入孔37bは、本体31において上面31c近傍(上面31cに垂直な方向において本体31の内部の上面31c寄り)に形成されている。そして、温度センサ挿入孔25b,37bに第2温度センサ84が挿入されており、第2温度センサ84により上面31c近傍(第2部分)の温度が検出される。すなわち、第2温度センサ84により、上面31cの広がり方向において薬液流路35(供給口35a)を挟んで上記第1部分と反対側で、本体31の内部の第2部分の温度が検出される。第2温度センサ84は、白金を用いた測温抵抗体等により構成されている。
ヒータ80、温度センサ83,84は、上記コントローラ70に接続されている(図1参照)。コントローラ70は、CPU、記憶装置、入出力回路等を備えている。温度センサ83,84の検出温度は、コントローラ70へ入力される。コントローラ70(制御部)は、第1温度センサ83により検出される上記第1部分の温度に基づいて、ヒータ80の発熱量を制御する。また、コントローラ70(監視部)は、第1温度センサ83及び第2温度センサ84によりそれぞれ検出される上記第1部分の温度及び上記第2部分の温度に基づいて、所定の監視処理を実行する。
コントローラ70には、上記モニタ71が接続されている。モニタ71(表示部)は、コントローラ70からの出力に基づいて画像を表示する。コントローラ70は、上記監視処理として、第1温度センサ83及び第2温度センサ84によりそれぞれ検出される上記第1部分の温度及び上記第2部分の温度の推移をモニタ71に表示させる。詳しくは、時間に対する上記第1部分の温度及び上記第2部分の温度の変化を、モニタ71にグラフとして表示させる。
本体31において、上記第1ハウジング11の上記挿入孔13に対向する位置には、凹部38が形成されている。挿入孔13及び凹部38には、弁装置60が挿入されており、締結部材等により本体31に弁装置60が取り付けられている。本体31と弁装置60との間は、シール部材によりシールされている。凹部38は、上記薬液流路35と連通している。薬液流路35と凹部38との連通部分には、弁座39が設けられている。本体31には、作動気体流路40が形成されている。作動気体流路40は、第1ハウジング11の上面11cの長手方向において第1ハウジング11の側面11dから第1ハウジング11の略中央まで延び、上面11cの短手方向へ曲がって挿入孔13に連通している。そして、上記コントローラ70により、作動気体流路40への作動気体の導入及び排出が制御される。
弁装置60は、本体61、ピストン62、ダイアフラム弁体63、ばね64、ばね押さえ65等を備えている。
本体61は、円筒状に形成されており、その内部にピストン62が収容されている。本体61及びピストン62は、互いの中心軸線が一致している。
ピストン62は、本体61によって、中心軸線方向に摺動可能に支持されている。本体61と第1ハウジング11との間、本体61と液体気化器30の本体31との間、及び本体61とピストン62との間は、それぞれシール部材によってシールされている。
ピストン62の先端には、ダイアフラム弁体63の弁本体63aが取り付けられている。ダイアフラム弁体63のダイアフラム63bは、その外縁部が液体気化器30の本体31及び本体61によって挟持されている。
ばね64において、その一端はピストン62に当たっており、他端はばね押さえ65によって支持されている。ピストン62は、ばね64によって、上記弁座39の方向へ付勢されている。これにより、自然状態において、ダイアフラム弁体63の弁本体63aが弁座39に押し付けられ、上記薬液流路35が遮断されている。
本体61には、作動気体流路66が形成されている。作動気体流路66の一端は、第1ハウジング11の作動気体流路40に接続されている。作動気体流路66の他端は、本体61において、ピストン62のフランジ部62aを挟んでばね64と反対側の加圧室67に連通している。そして、作動気体流路40,66を通じて、作動気体が導入されることにより、ピストン62が弁座39から離れる方向へ移動させられる。これにより、薬液流路35が連通させられ、液体気化器30の本体31の上面31cに薬液が供給される。
次に、液体気化器30の構成を詳細に説明する。図3は液体気化器30を示す斜視図であり、図4は液体気化器30の本体31を示す斜視図である。同図に示すように、液体気化器30は、本体31、メッシュ47、第1遮蔽部材50、メッシュバンド52、メッシュ押さえ55a,55b、及び固定部材56を備えている。本体31は、薬液に対する耐腐食性が比較的高く且つ薬液の濡れ性が比較的高い材料、例えば薬液が疎水化処理液である場合には、ステンレス材又はアルミニウム材で形成されている。
本体31の上面31cには、上記第1気体流路33が開口しており、気体の導入口33aが形成されている。本体31の上面31cには、上記第2気体流路34が開口しており、気体の排出口34aが形成されている。本体31の上面31c(被供給面)には、上記薬液流路35が開口しており、薬液の供給口35aが形成されている。すなわち、供給口35aを通じて上面31cへ薬液が供給される位置は、上面31cにおいて薬液が供給される被供給位置となっている。
そして、導入口33aと排出口34aとは、供給口35a、温度センサ挿入孔37a,37b(温度センサ83,84)及びヒータ挿入孔36(ヒータ80)を挟んで設けられている。すなわち、上面31cの広がり方向において、導入口33aと排出口34aとの間に、供給口35a、温度センサ挿入孔37a,37b及びヒータ挿入孔36が設けられている。供給口35aは、導入口33aと排出口34aとの間、詳しくは導入口33aと排出口34aとの間において若干導入口33a寄りに設けられている。
供給口35aは、上面31cの広がり方向において、導入口33aと、温度センサ挿入孔37a及びヒータ挿入孔36との間に設けられている。すなわち、供給口35aは、温度センサ挿入孔37a及びヒータ挿入孔36よりも、導入口33a側に設けられている。一方、供給口35aは、温度センサ挿入孔37bよりも、排出口34a側に設けられている。
温度センサ挿入孔37a及びヒータ挿入孔36は、上面31cの広がり方向において、供給口35aと排出口34aとの間に設けられている。すなわち、温度センサ挿入孔37a及びヒータ挿入孔36は、供給口35aよりも排出口34a側に設けられている。詳しくは、温度センサ挿入孔37aは、上面31cの広がり方向において、ヒータ挿入孔36よりも供給口35a側に設けられている。一方、温度センサ挿入孔37bは、供給口35aよりも導入口33a側に設けられている。
排出口34aは、導入口33aよりも大きく形成されている。詳しくは、上面31cにおいて導入口33aから排出口34aへ向かう方向に垂直な方向(上面31cの短手方向)において、排出口34aは導入口33aよりも長く延びている。
本体31の上面31cには、排出口34aに連通する(接続された)集液溝34bが形成されている。上面31cの短手方向において、集液溝34b(第2の溝)は、排出口34aの両端からそれぞれ延びている。集液溝34bは、上面31cの短手方向において、全長にわたって設けられている。すなわち、集液溝34bは、上面31cにおいて、供給口35a(導入口33a)から排出口34aへの方向に対して略垂直な方向へ延びている。集液溝34bには、排出口34aから導入口33aへの方向(上面31cの長手方向)に延びてから、供給口35aから排出口34aへの方向に対して略垂直な方向へ上面31cの外縁まで延びる延長部34cが設けられている。導入口33aから排出口34aへ向かう方向において、集液溝34bの幅は排出口34aの幅よりも若干狭く形成されている。集液溝34bの深さは、供給口35aから排出口34aの方向へ流通する液体を、集液溝34bに沿って排出口34aへと集めることのできる深さ、例えば0.5〜1.5mmに設定されており、望ましくは1.0mmに設定されている。集液溝34bの幅は、例えば1.0〜2.0mmに設定されており、望ましくは1.5mmに設定されている。
第2気体流路34には、第2気体流路34よりも下方へ凹む凹部34dが形成されている。凹部34dは、第2気体流路34において排出口34aの下方に形成されている。
本体31には、温度センサ挿入孔37cが形成されている。温度センサ挿入孔37cは、第1ハウジング11に形成された温度センサ挿入孔(図示略)に接続しており、本体31の上面31cの短手方向において凹部34d近傍まで延びている。温度センサ挿入孔37cは、本体31において下面31e近傍(上面31cに垂直な方向において本体31の内部の下面31e寄り)に形成されている。そして、温度センサ挿入孔37cに第3温度センサ85が挿入されており、第3温度センサ85により凹部34d近傍(第3部分)の温度が検出される。第3温度センサ85は、白金を用いた測温抵抗体等により構成されている。なお、第3温度センサ85により凹部34dの下方(第3部分)の温度を検出するようにしてもよい。
本体31の上面31cには、供給口35aから、ヒータ挿入孔36(ヒータ80)と反対側、及び温度センサ挿入孔37a(第1温度センサ83)と反対側への薬液の広がりを抑制する抑制溝41(第1の溝)が形成されている。また、抑制溝41は、上面31cの広がり方向において上記第2部分を挟んで供給口35a(被供給位置)と反対側への薬液の広がりを抑制する。抑制溝41は、円弧部41a及び直線部41cを備えている。
円弧部41aは、半円の円弧として形成されており、ヒータ挿入孔36側、及び温度センサ挿入孔37a側を除いて供給口35aの周囲を囲んでいる。すなわち、円弧部41aは、供給口35aの導入口33a側半周(排出口34aと反対側半周)を囲んでいる。
排出口34a、供給口35a、温度センサ挿入孔37a,37b(温度センサ83,84)、及びヒータ挿入孔36(ヒータ80)に対して、抑制溝41は導入口33aと同様の位置関係になっている。すなわち、上面31cの広がり方向において、抑制溝41と排出口34aとの間に、供給口35a、温度センサ挿入孔37a,37b及びヒータ挿入孔36が設けられている。供給口35aは、上面31cの広がり方向において、抑制溝41と、温度センサ挿入孔37a及びヒータ挿入孔36との間に設けられている。
直線部41cは、円弧部41aの端部から、上面31cの短手方向のうち上面31cの外側へ延びている。直線部41cの長さは、円弧部41aの半径よりも短くなっている。直線部41cは、上面31cの長手方向において端部まで延びている。抑制溝41の幅及び深さは、上記集液溝34bの幅及び深さと同様に設定されている。
上面31cにおいて、円弧部41a(溝)の中央部の側方、詳しくは供給口35aと反対側には、凹部42が設けられている。凹部42は、略円形に形成されており、抑制溝41の円弧部41aに連通している。本体31(液体気化器30)は、供給口35aの設けられた被供給面が上面31cとなるように配置されている。上記導入口33aは、凹部42の略中央、すなわち抑制溝41からずれた位置に設けられている。導入口33a、供給口35a、及び排出口34aは、同一直線上に配置されている。
本体31の下面31eには、その長手方向の両端部に、メッシュ押さえ55a,55b、及び固定部材56を係合させる係合溝45がそれぞれ形成されている。係合溝45は、所定の幅及び深さで、下面31eの短手方向に沿って延びるように形成されている。
メッシュ押さえ55a,55bは、断面「L」型の棒状に形成されている。固定部材56は、断面「T」型の棒状に形成されている。メッシュ押さえ55a,55b、及び固定部材56の長さは、下面31eの短手方向の長さと等しくなっている。
係合溝45の幅及び深さは、第1メッシュ押さえ55a、第2メッシュ押さえ55b、及び固定部材56を順に組み付けた場合に、これらが固定されるように設定されている。なお、固定部材56は、第2メッシュ押さえ55bを本体31に締結する締結部材として構成されていてもよい。
本体31の曲面31fには、上面31cの短手方向に直線状に延びるように凹部44がそれぞれ形成されている。
本体31の外周には、網目状に編まれたメッシュ47(網状体)が、上面31c及び曲面31fに接するように設けられている。したがって、凹部42、導入口33a、抑制溝41、排出口34a、及び集液溝34bは、上面31cにおいてメッシュ47と接する部分に設けられている。
メッシュ47は、矩形状に形成されており、上面31c及び曲面31fを覆うことのできる大きさで形成されている。詳しくは、上面31cの短手方向の長さとメッシュ47の短手方向の長さとが一致しており、上面31cの長手方向の長さ及び曲面31fの外周の長さを合わせた長さよりも、メッシュ47の長手方向の長さが長くなっている。
そして、上面31c及び2つの曲面31fに、メッシュ47が巻き付けられている。このため、導入口33a、供給口35a、抑制溝41、集液溝34b、及び排出口34aは、メッシュ47によって覆われている。さらに、メッシュ47は、上面31cのうち上記第1部分に対応する部分、上面31cのうち上記第2部分に対応する部分を覆っている。
メッシュ47の編み目の粗さは、メッシュ47の開口に薬液が膜を作り易い粗さ、例えば1インチあたりの開口数が300である300メッシュとなっている。詳しくは、メッシュ47では、線径が0.03mm、線間距離(線と線との間の距離)が0.054mmとなっている。メッシュ47の粗さは、メッシュ47に対する薬液の濡れ性や、本体31に対する薬液の濡れ性、薬液の粘度等に応じて、適切に設定することが望ましい。なお、メッシュ47の粗さを、薬液の広がり状態を試験して、その結果に応じて設定してもよい。ここでは、上記抑制溝41及び集液溝34bの幅はメッシュ47の線間距離の16倍以上となっており、抑制溝41及び集液溝34bの深さはメッシュ47の線径の16倍以上となっている。メッシュ47は、薬液に対する耐腐食性が比較的高く且つ薬液の濡れ性が比較的高い材料、例えば薬液が疎水化処理液である場合にはステンレス材で形成されている。
供給口35aに対応する位置には、供給口35aを覆うように第1遮蔽部材50が設けられている。詳しくは、第1遮蔽部材50(遮蔽部材、誘導部材)は、供給口35a及びその近傍のみを覆っており、上記抑制溝41の円弧部41aによって囲まれている。第1遮蔽部材50は、メッシュ47の外側に設けられており、メッシュ47に接している。すなわち、第1遮蔽部材50はメッシュ47に対して本体31側と反対側で接しており、本体31の上面31cと第1遮蔽部材50とでメッシュ47を挟んでいる。
このため、第1遮蔽部材50は本体31の上面31cに接しておらず、メッシュ47によって上面31cと第1遮蔽部材50との間に薬液の流路が確保されている。第1遮蔽部材50も、薬液に対する耐腐食性が比較的高く且つ薬液の濡れ性が比較的高い材料で形成されている。
凹部42の位置では、メッシュ47の下方に隙間が形成されている。すなわち、凹部42の位置では、本体31とメッシュ47との間には界面が形成されていない。さらに、凹部42は、抑制溝41の円弧部41aと接続しており、円弧部41aとの接続部でもメッシュ47の下方に隙間が形成されている。
本体31(メッシュ47)の外周には、導入口33aから排出口34aの方向(上面31cの長手方向)に沿って延びるように、網目状に編まれたメッシュバンド52が設けられている。
メッシュバンド52(誘導部材)は、導入口33a、供給口35a(第1遮蔽部材50)、及び排出口34aを覆っている。さらに、メッシュバンド52は、上面31cのうち上記第1部分に対応する部分、上面31cのうち上記第2部分に対応する部分を覆っている。すなわち、メッシュバンド52は、導入口33aから、順に温度センサ挿入孔37b(第2温度センサ84)、供給口35a、温度センサ挿入孔37a(第1温度センサ83)、ヒータ挿入孔24(ヒータ80)、排出口34aへ向かって延びている。
メッシュバンド52は、メッシュ47及び第1遮蔽部材50の外側に設けられており、メッシュ47及び第1遮蔽部材50に接している。すなわち、メッシュバンド52はメッシュ47に対して本体31側と反対側で接しており、本体31の上面31cとメッシュバンド52とでメッシュ47を挟んでいる。また、メッシュ47とメッシュバンド52とで第1遮蔽部材50を挟んでいる。
メッシュバンド52は、矩形状(帯状)に形成されており、導入口33a及び第1遮蔽部材50(供給口35a)を覆うことのできる大きさで形成されている。詳しくは、第1遮蔽部材50の径とメッシュバンド52の短手方向の長さとが略等しくなっている。上面31cの長手方向の長さ及び曲面31fの外周の長さを合わせた長さよりも、メッシュバンド52の長手方向の長さが長くなっている。
そして、上面31c及び2つの曲面31fに、メッシュバンド52が巻き付けられている。メッシュバンド52の編み目の粗さも、メッシュバンド52の開口に薬液が膜を作り易い粗さ、例えば1インチあたりの開口数が300である300メッシュとなっている。メッシュバンド52も、薬液に対する耐腐食性が比較的高く且つ薬液の濡れ性が比較的高い材料で形成されている。
上記メッシュ47及びメッシュバンド52の長手方向の両端部は、それぞれメッシュ押さえ55a,55b、及び固定部材56によって固定されている。詳しくは、係合溝45内において、メッシュ47及びメッシュバンド52の端部は、第1メッシュ押さえ55aによって押さえられており、第1メッシュ押さえ55aは第2メッシュ押さえ55bによって押さえられている。
メッシュ47及びメッシュバンド52の端部は、第1メッシュ押さえ55aと第2メッシュ押さえ55bとの間から外側へと導かれている。すなわち、メッシュ47及びメッシュバンド52の端部は、第1メッシュ押さえ55aと第2メッシュ押さえ55bとで挟み込まれている。
そして、第2メッシュ押さえ55bが固定部材56によって押さえられた状態で、固定部材56が係合溝45に係合させられている。これにより、メッシュ押さえ55a,55b、及び固定部材56は、係合溝45に係合した状態で固定されている。なお、図示は省略するが、固定部材56がねじで構成されている場合には、第2メッシュ押さえ55bがねじによって本体31に締結されている。
ここで、メッシュ47及びメッシュバンド52は、それらの長手方向に引っ張られた状態で固定されている。このため、本体31の上面31c及び曲面31fにメッシュ47が密着した状態となっており、メッシュ47にメッシュバンド52が密着した状態となっている。また、第1遮蔽部材50は、メッシュ47及びメッシュバンド52に密着した状態となっている。
次に、液体気化器30を組み立てる手順を説明する。図5は、液体気化器30の分解斜視図である。同図に示すように、上記第1遮蔽部材50は、円板状の円板部50aと、針状のピン50bとを備えている。円板部50aの中心には、貫通孔50cが形成されている。ピン50bにおいて、一端は針状に尖った尖端部となっており、他端は他の部分よりも径の大きい頭部となっている。ピン50bの頭部の径は貫通孔50cの径よりも大きくなっており、ピン50bの頭部以外の部分の径は貫通孔50cの径よりも小さくなっている。ピン50bの尖端部の径は、上記メッシュ47の線間距離0.054mmよりも小さくなっている。
まず、本体31の上面31cの長手方向とメッシュ47の長手方向とを合わせて、本体31の外周にメッシュ47を巻き付ける。このとき、メッシュ47は、上面31c及び曲面31fの全体を覆って、更に両端が余った状態となる。また、メッシュ47は、凹部42、抑制溝41、供給口35a、排出口34a、集液溝34b、及び延長部34cの設けられた部分を除いて、上面31cに接した状態となる。
次に、メッシュ47の外側から供給口35aを覆うように、第1遮蔽部材50の円板部50aを配置する。このとき、供給口35aの中心の位置と、円板部50aの中心(貫通孔50c)の位置とを合わせる。そして、円板部50aの貫通孔50cにピン50bを尖端部から挿入し、メッシュ47を貫通させてピン50bを供給口35aへ挿入する。このとき、ピン50bの尖端部の径はメッシュ47の線間距離よりも小さくなっているため、メッシュ47の線材と線材との間に尖端部を挿入することができる。そして、ピン50bの頭部を円板部50aに当てて、ピン50bの挿入を完了する。
続いて、本体31の上面31cの長手方向とメッシュバンド52の長手方向とを合わせて、本体31の外周にメッシュバンド52を巻き付ける。詳しくは、導入口33a、供給口35a(第1遮蔽部材50)、及び排出口34aに重なるように、メッシュバンド52を巻き付ける。このとき、メッシュバンド52は、上面31c及び曲面31fを覆って、更に両端が余った状態となる。
続いて、図2(b),(c)及び図3に示すように、係合溝45において第1メッシュ押さえ55aによって、メッシュ47及びメッシュバンド52の両端部をそれぞれ仮止めする。この状態、又は第2メッシュ押さえ55bによって第1メッシュ押さえ55aを押さえた状態で、メッシュ47及びメッシュバンド52をそれぞれ長手方向に引っ張る。これにより、メッシュ47及びメッシュバンド52の皺を伸ばすとともに、メッシュ47及びメッシュバンド52に張力が発生した状態とする。そして、固定部材56によってメッシュ押さえ55a,55bを固定して、液体気化器30の組み立てを終了する。
こうして組み立てられた液体気化器30は、上述したように、本体31に形成された貫通孔Bに締結部材を用いて、第2ハウジング20の側面20bに取り付けられている。そして、上記第1ハウジング11の内周面と本体31との間には、長円形の筒状の隙間が形成されている。
メッシュ47及びメッシュバンド52が本体31の外周に巻き付けられて固定された状体では、メッシュ47及びメッシュバンド52と上記曲面31fの凹部44との間に隙間が生じることとなる。そこで、凹部44に係合するように、第1ハウジング11の内周面とメッシュ47及びメッシュバンド52との間に、本体31の軸線方向(上面31cの短手方向)から挿入部材57が挿入されている。
挿入部材57は、丸棒状に形成されており、その断面の半径は凹部44の曲率半径と略等しくなっている。挿入部材57の先端部は、他の部分よりも若干細くなっており、その先端部からメッシュ47及びメッシュバンド52を凹部44へ押し付けつつ挿入されている。これにより、凹部44とメッシュ47及びメッシュバンド52との間の隙間が縮められ、メッシュ47及びメッシュバンド52に発生する張力を増加させることができる。その結果、メッシュ47及びメッシュバンド52が、本体31に強く密着させられた状態となる。
次に、本体31の上面31cに接した薬液を、メッシュ47、メッシュバンド52、及び第1遮蔽部材50によって広げる原理について説明する。図6は、メッシュ47の拡大平面図である。メッシュ47は、縦線材48a,48b,48c,48dと横線材49a,49b,49c,49dとを、相互に網目状に編む(織る)ことによって形成されている。
メッシュ47には、平面視において縦線材及び横線材で囲まれた網目空間が形成されている。網目空間は、直方体(平面視において正方形)であり、メッシュ47の縦方向及び横方向に等間隔で形成されている。例えば、網目空間T1は、2本の縦線材48b,48cと2本の横線材49b,49cとによって囲まれた微細な空間(0.054mm×0.054mm×メッシュ47の厚み)である。
網目空間T1は微細な空間であるため、線材48b,48c,49b,49cと薬液との間には比較的大きな分子間力が作用する。その結果、網目空間T1に薬液が吸引され、網目空間T1を閉じるように薬液の膜が形成される(毛細管現象)。この状態では、薬液が各網目空間に吸引されており、薬液がメッシュ47の面に沿って広がろうとする作用は比較的小さい。
図7は、本体31の上面31c及びメッシュ47の拡大断面図である。同図に示すように、本体31の上面31cとメッシュ47との間には、側面視において上面31c、縦線材及び横線材で囲まれた流通空間T2が形成されている。流通空間T2は、上面31cと、縦線材及び横線材との間の隙間を接続した空間であり、上面31cに沿って広がっている。
縦線材48a,48b,48c,48dが上面31cに接する部分(線材同士の交差部分)では、横線材49a,49b,49c,49dは上面31cから離れている。一方、横線材49a,49b,49c,49dが上面31cに接する部分(線材同士の交差部分)では、縦線材48a,48b,48c,48dは上面31cから離れている。このため、流通空間T2は、縦線材及び横線材によって遮断されることはなく、上面31cに沿って連続している。
そして、上面31cと縦線材及び横線材との間には、多数の微細な界面が形成されている。したがって、上面31cに供給された薬液は、多数の微細な界面における界面張力により、流通空間T2を通じて上面31cに沿って広がることとなる(毛細管現象)。すなわち、メッシュ47(促進部)は、上面31cに供給された薬液の広がりを促進させる微細構造を形成している。さらに、薬液は、上面31c、縦線材及び横線材に対して濡れ性を有しているため、上面31cに沿った薬液の広がりが促進される。
図8は、本体31の上面31c及びメッシュ47の拡大断面図である。ここでは、横線材49bの一部が上面31cから離れており、ギャップGが生じた状態を示している。このような状態であっても、流通空間T2では界面張力により薬液が広げられる。すなわち、上面31cと縦線材及び横線材とは、一部が離れていてもよい。
図9は、本体31の上面31c、メッシュ47、及びメッシュバンド52の拡大断面図である。同図に示すように、上記流通空間T2に加えて、メッシュ47とメッシュバンド52との間には、側面視においてメッシュ47の縦線材及び横線材と、メッシュバンド52の縦線材及び横線材とで囲まれた流通空間T3が形成されている。流通空間T3は、メッシュ47の縦線材及び横線材と、メッシュバンド52の縦線材及び横線材との間の隙間を接続した空間であり、上面31cと略平行に広がっている。
メッシュバンド52の縦線材53a,53b,53c,53dがメッシュ47の横線材に接する部分(線材同士の交差部分)では、メッシュバンド52の横線材はメッシュ47の横線材から離れている。一方、メッシュバンド52の横線材がメッシュ47の縦線材に接する部分(線材同士の交差部分)では、メッシュバンド52の縦線材53a,53b,53c,53dはメッシュ47の縦線材から離れている。このため、流通空間T3は、縦線材及び横線材によって遮断されることはなく、上面31cと略平行に連続している。
そして、メッシュ47の縦線材及び横線材とメッシュバンド52の縦線材及び横線材との間には、多数の微細な界面が形成されている。すなわち、メッシュバンド52(促進部)は、上面31cに供給された薬液の広がりを促進させる微細構造を形成している。したがって、上面31cに供給された薬液は、多数の微細な界面における界面張力により、流通空間T2を通じて上面31cに沿って広がるとともに、流通空間T3を通じて上面31cと略平行に広がることとなる(毛細管現象)。さらに、薬液は、上面31c、メッシュ47の縦線材及び横線材、並びにメッシュバンド52の縦線材及び横線材に対して濡れ性を有しているため、薬液の広がりが促進される。なお、同図では、メッシュ47の縦線材とメッシュバンド52の縦線材との位置、及びメッシュ47の横線材とメッシュバンド52の横線材との位置が、互いに一致している状態を示したが、これらが互いにずれていてもよい。
図10は、本体31の上面31c、メッシュ47、及び第1遮蔽部材50の拡大断面図である。同図に示すように、上記流通空間T2に加えて、第1遮蔽部材50の円板部50aとメッシュ47との間には、側面視において円板部50a、縦線材及び横線材で囲まれた流通空間T4が形成されている。流通空間T4は、上記流通空間T2と同様に形成されており、円板部50aの下面と、縦線材及び横線材との間の隙間を接続した空間であり、円板部50aの下面に沿って広がっている。
したがって、上面31cに供給された薬液は、多数の微細な界面における界面張力により、流通空間T2を通じて上面31cに沿って広がるとともに、流通空間T4を通じて円板部50aの下面に沿って広がることとなる(毛細管現象)。さらに、薬液は、上面31c、円板部50aの下面、縦線材及び横線材に対して濡れ性を有しているため、薬液の広がりが促進される。
次に、図1,3を参照して、液体制御装置10の作用を説明する。ここでは、液体気化器30により広げられるとともに気化させられる薬液(例えば疎水化処理液)を、不活性ガス(例えば窒素)と混合して次の装置へと供給する場合を例として説明する。
第1気体配管26bから不活性ガスが導入されると、第1気体流路21,33を通じて、本体31の導入口33aから凹部42を介して不活性ガスが吹き出す。ここで、導入口33aは凹部42を介して抑制溝41に接続しているため、導入口33aから吹き出した不活性ガスの一部は、メッシュ47により覆われた抑制溝41に沿って流通することとなる。その結果、第1ハウジング11内の柱状空間Sへ不活性ガスが導入される。
そして、不活性ガスは、第1ハウジング11の内周面と液体気化器30の本体31との間に形成される隙間を流通して排出口34aへ流入する。排出口34aへ流入した不活性ガスは、第2気体流路34,22を通じて、第2気体配管27bから排出される。第2気体配管27bは次の装置に接続されており、第2気体配管27bから排出される不活性ガスは次の装置へと供給される。
ポンプの駆動により薬液配管28bから薬液が供給されると、薬液流路23,35を通じて、本体31の供給口35aから上面31cへと薬液が供給される。このとき、供給口35aから供給される薬液は、供給口35aを覆う第1遮蔽部材50に当たるため、薬液がメッシュ47やメッシュバンド52を通過して噴出されることが抑制される。また、第1遮蔽部材50のピン50bが供給口35aに挿入されているため、第1遮蔽部材50に薬液の圧力が作用したとしても、第1遮蔽部材50が供給口35aからずれることが抑制される。さらに、ピン50bを、供給口35aに対する第1遮蔽部材50の位置決めに利用することもできる。
本体31の上面31cと第1遮蔽部材50の円板部50aとの間では、図10に示したように、供給された薬液は、多数の微細な界面における界面張力により、流通空間T2を通じて上面31cに沿って広がるとともに、流通空間T4を通じて円板部50aの下面に沿って広がる。したがって、この部分では、上面31cに対してメッシュ47のみが設けられている部分よりも、薬液が速く広がることとなる。
薬液は、第1遮蔽部材50の円板部50aの下を流通して更に周囲へと広がる。上面31cに対してメッシュ47のみが設けられている部分では、図7に示したように、薬液は、多数の微細な界面における界面張力により、流通空間T2を通じて上面31cに沿って広がる。一方、上面31cに対してメッシュ47及びメッシュバンド52が設けられている部分では、図9に示したように、薬液は、多数の微細な界面における界面張力により、流通空間T2を通じて上面31cに沿って広がるとともに、流通空間T3を通じて上面31cと略平行に広がる。したがって、第1遮蔽部材50の円板部50aの下を流通した薬液は、メッシュバンド52に沿って優先的に広がることとなる。
また、上面31cに沿って第1遮蔽部材50の周囲へと広がった薬液の一部は、上面31cの抑制溝41に到達する。抑制溝41が形成された部分では、上面31cとメッシュ47との間に界面が形成されないため、薬液の広がりが抑制される。さらに、メッシュ47において抑制溝41を覆う部分、特に凹部42を覆う部分では網目から不活性ガスが吹き出しているため、薬液が抑制溝41を超えて広がることが効果的に抑制される。
特に、抑制溝41とメッシュバンド52とが重なる部分では、メッシュバンド52を伝わることにより抑制溝41を超えて薬液が広がるおそれがある。この点、抑制溝41とメッシュバンド52とが重なる部分には凹部42が接続しているため、抑制溝41の幅が実質的に広くされている。このため、メッシュバンド52を伝わって、抑制溝41を超えて薬液が広がることを効果的に抑制することができる。
ここで、抑制溝41の円弧部41aは、ヒータ挿入孔36(ヒータ80)側及び温度センサ挿入孔37a(第1温度センサ83)側を除いて供給口35aの周囲を囲んでいるため、ヒータ80及び第1温度センサ83側以外の方向への薬液の広がりが抑制される。その結果、ヒータ80側及び第1温度センサ83側へ流通する薬液の量が増加し、ヒータ80側及び第1温度センサ83側へ薬液の広がりが促進される。抑制溝41の直線部41cによっても、ヒータ80側及び第1温度センサ83側への薬液の広がりが促進される。また、抑制溝41により、上面31cの広がり方向において上記第2部分を挟んで供給口35a(被供給位置)と反対側への薬液の広がりが抑制される。そして、第2部分を挟んで供給口35aと反対側への薬液の広がりを抑制することにより、上面31cのうち第2部分に対応する部分への薬液の供給を促進させることができる。
ヒータ挿入孔36にはヒータ80が挿入されており、ヒータ80により本体31の上面31cが加熱される。ここで、メッシュバンド52及び抑制溝41により、ヒータ80側への薬液の広がりが促進されるため、ヒータ80により薬液を加熱する効率を向上させることができる。さらに、メッシュバンド52は網目状に編まれて形成されているため、メッシュバンド52が板状や膜状に形成されている場合と比較して、メッシュバンド52を介した薬液の蒸発が促進される。したがって、メッシュバンド52により、薬液の良好な蒸発を維持しつつ、ヒータ80側への薬液の広がりを促進させることができる。
ここで、図11〜13を参照して、ポンプの動作(右軸)と上記第1部分及び第2部分の温度(左軸)との関係を説明する。これら図11〜13では、コントローラ70は、第1温度センサ83により検出される第1部分の温度を75℃に維持するように、第1温度センサ83により検出される第1部分の温度に基づいて、ヒータ80の発熱量をフィードバック制御している。フィードバック制御としては、PID制御や、PD制御等を採用することができる。
図11は、1回のポンプ動作と第1部分及び第2部分の温度との関係を示すグラフである。同図に示すように、ポンプにより薬液の吐出動作を1回行うと、第1部分の温度及び第2部分の温度が低下する。そして、第1部分の温度が低下したため、コントローラ70によりヒータ80の発熱量が増加される。このとき、第1部分はヒータ80に近いため、第1部分の温度は、ヒータ80の発熱量の変化に対する応答性が高いものの、ヒータ80の発熱量の変化により変動し易くなる。その結果、第1部分の温度は、オーバーシュート及びアンダーシュートを繰り返した後に75℃に収束する。一方、第2部分はヒータ80から遠いため、第2部分の温度は、ヒータ80の発熱量の変化に対する応答性が若干低いものの、ヒータ80の発熱量が変化しても変動しにくくなる。その結果、第2部分の温度は、オーバーシュート及びアンダーシュートをせず、75℃まで上昇して収束する。
図12は、連続ポンプ動作と第1部分及び第2部分の温度との関係を示すグラフである。同図に示すように、ポンプにより薬液の吐出動作を複数回連続して行った場合も、第1部分の温度及び第2部分の温度の推移は、図11と同様の傾向となる。ただし、この場合は、薬液の吐出量及び気化量が増加しているため、温度の低下幅及び上昇幅が図11よりも大きくなっている。
図13は、周期的に繰り返される連続ポンプ動作と第1部分及び第2部分の温度との関係を示すグラフである。同図に示すように、ポンプにより薬液の連続的な吐出動作を周期的に繰り返して行った場合も、第1部分の温度及び第2部分の温度の推移は、図12と同様の傾向となる。すなわち、この場合は図12の温度の推移を周期的に繰り返すこととなる。このようなポンプの吐出動作により、薬液を液体気化器30へ連続的に供給することができる。そして、液体気化器30により、上面31cに供給された薬液を広げて気化させることができる。
図11〜13に示した温度の推移の傾向に着目して、コントローラ70は以下のような監視処理を実行する。
コントローラ70は、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度に基づいて異常を検知する。詳しくは、コントローラ70は、ヒータ80の発熱量を制御している状態において、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度が判定温度幅を超えて低下した場合に、ヒータ80による加熱に異常が生じていることを検知する。ヒータ80による加熱に異常が生じている場合、例えばヒータ80の電源がOFFにされている場合や、ヒータ80へ電力を供給する配線に断線が生じている場合には、上面31cに供給された薬液がヒータ80により加熱されず、第2部分の温度は正常時よりも低下することとなる。したがって、ヒータ80による加熱が適切に行われていないことを検知することができる。さらに、上記の場合に、コントローラ70は、上面31cに薬液が供給されたことを検知する。すなわち、ヒータ80による加熱に異常が生じている場合であっても、上面31cに薬液が供給されている状態で上面31cに沿って不活性ガスが流通させられると、薬液が揮発して第2部分の温度が低下することとなる。
また、コントローラ70は、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度に基づいて薬液の気化を検知する。詳しくは、コントローラ70は、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度が75℃(所定温度)に維持されている状態において、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度が低下した後に75℃まで上昇して維持された場合に、薬液の供給及び気化を検知する。第1部分はヒータ80の発熱量の変化による影響を受け易いのに対して、第2部分はヒータ80の発熱量の変化による影響を受けにくい。このため、薬液の供給に伴う第1部分の温度低下を補うべくヒータ80の発熱量が増加された場合に、第1部分の温度は75℃をオーバーシュートし易いのに対して、第2部分の温度は75℃をオーバーシュートしにくい。したがって、供給口35aから上面31cに薬液が供給されたこと、及び供給された薬液が気化したことを正確に検知することができる。
また、コントローラ70は、ヒータ80の発熱量を制御している状態において、第1温度センサ83により検出される第1部分の温度が判定温度幅を超えて低下した場合に、ヒータ80による加熱に異常が生じていることを検知する。ヒータ80による加熱に異常が生じている場合には、上面31cに供給された薬液がヒータ80により加熱されず、第1部分の温度は正常時よりも低下することとなる。したがって、ヒータ80による加熱が適切に行われていないことを検知することができる。さらに、上記の場合に、コントローラ70は、上面31cに薬液が供給されたことを検知する。
図1〜3に戻り、凹部42及び抑制溝41の部分においてメッシュ47の網目から吹き出した不活性ガスは、第2温度センサ84、供給口35a、第1温度センサ83、ヒータ80の上を順に通過して、排出口34aから排出される。このため、不活性ガスによっても、供給口35aからヒータ80側及び第1温度センサ83側への薬液の広がりが促進される。薬液が蒸発して生成された蒸気は、不活性ガスにより押されて排出口34aの方向へ導かれる。ここで、抑制溝41は、供給口35aに対して排出口34aと反対側に、本体31の短手方向の全長にわたって設けられている。このため、凹部42及び抑制溝41の部分においてメッシュ47の網目から吹き出す不活性ガスにより、薬液の蒸気を排出口34aの方向へ効果的に導くことができる。
排出口34aには、供給口35aから排出口34aへの方向に対して略垂直な方向へ延びる集液溝34bが接続されている。このため、供給口35aから排出口34aへの方向から外れて広がる薬液や薬液の蒸気が、集液溝34bにより排出口34aへ導かれる。
ここで、上面31cの外縁では、本体31と上記第2ハウジング20との境界に沿って、詳しくは本体31の上面31cと第2ハウジング20の側面20bとの境界に沿って、薬液が界面張力により広がり易くなる。この点、上面31cの外縁に沿って広がる薬液が、排出口34aから供給口35aへの方向に延びてから、供給口35aから排出口34aへの方向に対して略垂直な方向へ上面31cの外縁まで延びる延長部34cに流入することとなる。このため、上面31cの外縁に沿って広がる薬液を、集液溝34bにより効率的に排出口34aへ導くことができる。
排出口34aを通じて第2気体流路34へ流入した薬液は、第2気体流路22において排出口34aの下方に設けられた凹部34dに溜まり、凹部34dよりも先へ流れにくくなる。そして、凹部34dに溜まった薬液は、ヒータ80の熱により気化される。このとき、凹部34d内の薬液の気化熱により、凹部34d近傍の温度が低下することとなる。
そこで、コントローラ70は、第3温度センサ85により検出される第3部分の温度が判定温度幅を超えて低下した場合に、第2気体流路34に薬液が流入したことを検知する。そして、コントローラ70はポンプによる薬液の吐出動作を停止させる。その後、第3温度センサ85により検出される第3部分の温度が上昇して一定温度に収束した後に、コントローラ70はポンプによる薬液の吐出動作を再開する。
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
・メッシュ47は、上面31cに供給された薬液の広がりを促進させる微細構造を有している。このため、上面31cに供給された薬液は、微細構造において界面張力により、上面31cに沿って広がることとなる。そして、上面31cにおいて薬液が供給される供給口35aから、上面31cに沿って広がった薬液は、ヒータ80により本体31の内部から加熱される。これにより、上面31cにおいて広い面積で、薬液を気化させることができる。
ここで、第1温度センサ83により、上面31cの広がり方向において上記供給口35aとヒータ80との間で、本体31の内部の第1部分の温度が検出される。第1部分は、上面31cの広がり方向において、供給口35aよりもヒータ80に近い位置であるため、ヒータ80の発熱量の変化が迅速に反映される。そして、コントローラ70により、第1温度センサ83により検出される第1部分の温度に基づいて、ヒータ80の発熱量が制御される。このため、ヒータ80により本体31の温度を制御する際の応答性を維持することができる。
さらに、第2温度センサ84により、上面31cの広がり方向において供給口35aを挟んで第1部分と反対側で、本体31の内部の第2部分の温度が検出される。第2部分は、上面31cの広がり方向において、供給口35aよりもヒータ80から離れた位置である。このため、第2部分の温度は、ヒータ80の発熱量の変化の影響を受けにくく、薬液の気化状態を正確に反映する。そして、コントローラ70により、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度に基づいて、所定の監視処理が実行される。したがって、薬液の気化プロセスを正確に監視することができる。
・第1部分及び第2部分は、上面31cに垂直な方向において本体31の内部の上面31c寄りの部分、すなわち本体31の内部において上面31cの近傍の部分に設定されている。このため、第1部分での検出温度に基づいて、薬液に接する上面31cの温度を正確に検出することができ、ひいては上面31cの温度を正確に制御することができる。また、第2部分での検出温度に基づいて、上面31cでの薬液の気化に起因する温度変化を正確に検出することができ、ひいては上面31cでの薬液の気化状態を正確に監視することができる。
・第2温度センサ84により検出される第2部分の温度の推移がモニタ71に表示される。このため、使用者は、モニタ71に表示される第2部分の温度の推移を観察して、薬液の気化プロセスが正常か否か判断することができる。
・第2部分の温度は薬液の気化状態を正確に反映する。この点、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度に基づいて異常が検知されるため、薬液の気化プロセスの異常を適切に検知することができる。
・コントローラ70によりヒータ80の発熱量が制御されている状態において、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度が判定温度幅を超えて低下した場合に、ヒータ80による加熱に異常が生じていることが検知される。したがって、ヒータ80による加熱が適切に行われていないことを検知することができる。さらに、上記の場合に、コントローラ70は、上面31cに薬液が供給されたことを検知することができる。
・第2温度センサ84により検出される第2部分の温度に基づいて薬液の気化が検知されるため、上面31cで薬液が気化したことを正確に検知することができる。
・第2温度センサ84により検出される第2部分の温度が75℃に維持されている状態において、第2温度センサ84により検出される第2部分の温度が低下した後に75℃まで上昇して維持された場合に、薬液の供給及び気化が検知される。したがって、供給口35aから薬液が供給されたこと、及び供給された薬液が気化したことを正確に検知することができる。
・コントローラ70によりヒータ80の発熱量が制御されている状態において、第1温度センサ83により検出される第1部分の温度が判定温度幅を超えて低下した場合に、ヒータ80による加熱に異常が生じていることが検知される。したがって、ヒータ80による加熱が適切に行われていないことを検知することができる。さらに、上記の場合に、コントローラ70は、上面31cに薬液が供給されたことを検知することができる。
・本体31とでメッシュ47を挟んでメッシュ47に接するメッシュバンド52が設けられているため、メッシュ47とメッシュバンド52との間にも複数の界面が形成される。したがって、メッシュ47とメッシュバンド52との間においても、界面張力により薬液を広げることができる。このため、メッシュバンド52の設けられた部分では、薬液の広がりを他の部分よりも促進させることができる。その結果、メッシュバンド52の配置を調整することにより、上面31cに接した薬液を所望の方向へ優先的に広げることができる。
・メッシュバンド52は網目状に編まれて形成されているため、メッシュバンド52が板状や膜状に形成されている場合と比較して、メッシュバンド52を介した薬液の蒸発を促進させることができる。このため、上面31cに接した薬液を所望の方向へ優先的に広げつつ、薬液の蒸発を促進させることができる。
・本体31の内部には、薬液を流通させる薬液流路35が設けられ、薬液流路35の上面31cでの開口が薬液の供給口35aを形成している。このため、本体31の内部のスペースを有効に用いて、上面31cに薬液を供給することができる。そして、上記供給口35aとして、供給口35aを通じて上面31cへ薬液が供給される位置を採用することができる。
さらに、メッシュ47及びメッシュバンド52により、上面31cのうち上記第1部分に対応する部分、上面31cのうち上記第2部分に対応する部分、及び供給口35aが覆われている。このため、供給口35aから供給された薬液を、上面31cの広がり方向において第1部分の方向及び第2部分の方向へ優先的に広げることができる。したがって、上面31cのうち第1部分に対応する部分へ十分に薬液を供給しつつ、第1部分の温度に基づいてヒータ80の発熱量を制御することができる。その結果、安定して薬液が供給される状態で、薬液の気化状態を制御することができる。また、上面31cのうち第2部分に対応する部分へ十分に薬液を供給しつつ、第2部分の温度に基づいて所定の監視処理を実行することができる。その結果、安定して薬液が供給される状態で、薬液の気化プロセスを監視することができる。
・上面31cに設けられた抑制溝41により、上面31cの広がり方向において第2部分を挟んで供給口35aと反対側への薬液の広がりが抑制される。そして、第2部分を挟んで供給口35aと反対側への薬液の広がりを抑制することにより、上面31cのうち第2部分に対応する部分への薬液の供給を促進させることができる。その結果、より安定して薬液が供給される状態で、薬液の気化プロセスを監視することができる。
・本体31の内部には、気体を流通させる第1気体流路33及び第2気体流路34が設けられ、第1気体流路33及び第2気体流路34の上面31cでの開口が、それぞれ気体の導入口33a及び排出口34aを形成している。このため、本体31の内部のスペースを有効に用いて、上面31cの周囲の空間に気体を導入するとともに、上面31cの周囲の空間から気体を排出することができる。このとき、上面31cに接した薬液は、気体の流れ方向への広がりが促進される。そして、気体の導入口33aと排出口34aとは、ヒータ80を挟んで設けられているため、ヒータ80を通過する方向への薬液の広がりを促進させることができる。その結果、ヒータ80による薬液の加熱を促進させることができる。
・上面31cが上側となるように本体31が配置されており、第2気体流路34には、第2気体流路34よりも下方へ凹む凹部34dが形成されている。このため、第2気体流路34内へ流入した薬液は、第2気体流路34に形成された凹部34dに溜まることとなる。したがって、薬液が、気化されずに第2気体流路34を通じて排出されることを抑制することができる。さらに、凹部34dに溜まった薬液を、ヒータ80の熱により気化させることができる。
・第3温度センサにより、本体31の内部における凹部34dの近傍の第3部分の温度が検出される。そして、コントローラ70により、第3温度センサにより検出される第3部分の温度が判定温度幅を超えて低下した場合に、第2気体流路34に薬液が流入したことが検知される。したがって、第2気体流路34に薬液が流入したことを適切に検知することができ、薬液の供給を停止させる等の処置を行うことが可能となる。
なお、上記実施形態を、次のように変形して実施することもできる。上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
・図14は、液体気化器30の本体31の変形例を示す斜視図である。同図に示すように、抑制溝141の円弧部141aに導入口33aが直接連通している構成を採用することもできる。こうした構成によっても、本体31の内部から導入口33aを通じて不活性ガスが抑制溝141へ導入されるため、抑制溝141とメッシュ47とで形成される流路内に不活性ガスを流通させることができる。そして、抑制溝141内を流通してメッシュ47の網目から吹き出す不活性ガスにより、抑制溝141を超えて薬液が広がることを抑制することができる。なお、同図に示すように、温度センサ挿入孔37a,37b(温度センサ83,84)を、上下方向において本体31の略中央に配置することもできる。
・図15は、液体気化器30の本体31の他の変形例を示す斜視図である。同図に示すように、本体31の上面31cにおいて、凹部42と排出口34aとを接続する抑制溝241を採用することもできる。こうした構成によれば、上述した集液溝34bに流入する薬液だけでなく、抑制溝241に流入する薬液も排出口34aに導くことができる。さらに、抑制溝241は供給口35aの全周を囲んでいる。このため、上面31cから薬液が溢れ出すことを抑制することができる。
また、同図に示すように、薬液流路35及び供給口35aを省略して、被供給位置235aに上方から薬液を供給することもできる。この場合には、被供給位置235aの上方まで薬液を流通させる薬液流路が設けられる。なお、同図に示すように、温度センサ挿入孔37a(第1温度センサ83)を、上下方向において本体31の下面31e寄りに配置することもできる。
・図16は、液体気化器30の本体31の他の変形例を示す斜視図である。同図に示すように、本体131には、上面31cの対角線上に導入口33a及び排出口34aが形成されている。そして、上面31cにおいて集液溝34bに平行な抑制溝341が設けられており、導入口33aが抑制溝341に連通している。こうした構成によっても、抑制溝341に導入される不活性ガスが抑制溝341に沿って流通する。ここでは、本体131に対して、下方から上方(本体131の厚み方向)へ延びる温度センサ挿入孔337a,337bが設けられている。そして、温度センサ挿入孔337a,337bに、それぞれ第1温度センサ83,第2温度センサ84が挿入され、上面31c近傍の温度が検出される。
上記構成によっても、抑制溝341の部分においてメッシュ47の網目から吹き出す不活性ガスが、温度センサ挿入孔337b(第2温度センサ84)、供給口35a、温度センサ挿入孔337a(第1温度センサ83)、ヒータ挿入孔36(ヒータ80)の上を順に通過して、排出口34aから排出される。したがって、不活性ガスによって、供給口35aからヒータ80側及び温度センサ83側への薬液の広がりや、薬液の蒸気の流通を促進することができる。
・図17は、第2気体流路34周辺の変形例を示す斜視図である。同図に示すように、上面31cの広がり方向において、供給口35a(被供給位置)と排出口34aとの間に集液溝34eを設けてもよい。集液溝34eは、上面31cの広がり方向において、供給口35aから排出口34aに向かう方向に垂直な方向へ延びている。排出口34aの開口面の高さは、集液溝34eの開口面の高さよりも高くなっている。このため、薬液は集液溝34eに流入することとなり、薬液が排出口34aに流入することを抑制することができる。なお、同図に示すように、本体31の内部において、第2気体流路34を上面31c寄りの位置に設けることもできる。
そして、本体31の内部において集液溝34eの下方には、温度センサ挿入孔437c(第3温度センサ485)が設けられている。温度センサ挿入孔437c(第3温度センサ485)は、上面31cの短手方向に延びている。第3温度センサ485は、集液溝34eの底部近傍の第3部分の温度を検出する。こうした構成によれば、コントローラ70により、第3温度センサにより検出される第3部分の温度が判定温度幅を超えて低下した場合に、集液溝34eに薬液が流入したことを適切に検知することができ、薬液の供給を停止させる等の処置を行うことが可能となる。
・第1温度センサ83(第2温度センサ84)により検知される第1部分(第2部分)の温度が、所定期間よりも長い期間上昇しない場合に、ヒータ80による加熱に異常が生じていることを検知してもよい。
・コントローラ70は、第1部分の温度及び第2部分の温度を、モニタ71にデジタル表示させることもできる。
・液体気化器30に温度ヒューズを設けて、液体気化器30の温度が所定温度よりも高くなった場合に、温度ヒューズによりヒータ80の加熱が停止されるようにしてもよい。
・第2気体流路34の凹部34dに、液体を検知する液体センサを取り付けてもよい。そして、液体センサにより、凹部34dに溜まった薬液を検知することもできる。
・第1遮蔽部材50を、メッシュバンド52の外側に設けることもできる。また、第1遮蔽部材50は、供給口35aを覆うものであればよく、その形状を任意に変更することができる。
・メッシュ47やメッシュバンド52の編み方(織り方)は、平織りに限らず、綾織り等の他の織り方を採用することもできる。また、メッシュ47やメッシュバンド52の粗さは、それらに対する薬液の濡れ性や、本体31に対する薬液の濡れ性、薬液の粘度等に応じて、100〜500メッシュ程度の範囲で適切に設定することが望ましい。
・上記の各実施形態では、メッシュバンド52が網目状に編まれていたが、これらを膜状に形成することもできる。この場合には、膜状に形成されたバンドが第1遮蔽部材50の機能を果たすため、第1遮蔽部材50を省略してもよい。また、薬液の供給圧力が低く、薬液がメッシュ47やメッシュバンド52を通過して噴出する可能性が低い場合にも、第1遮蔽部材50を省略してもよい。反対に、第1遮蔽部材50の設けられている部分には、メッシュバンド52を設けないようにしてもよい。すなわち、第1遮蔽部材50の設けられてない部分にのみ、メッシュバンド52を設けることもできる。なお、メッシュバンド52を、板状に形成することもできる。
・本体31の形状は、底面長円形の柱状に限らず、直方体状等の他の形状を採用することもできる。また、本体31の上面31c(被供給面)は、平面に限らず、曲面を採用することもできる。
・抑制溝41,141,241,341を省略することもできる。
・上面31cに供給された薬液の広がりを促進させる微細構造として、上面31cに微細な凹凸を形成した構造を採用することもできる。この場合には、上面31cの微細な凹凸構造が促進部を構成するため、メッシュ47を省略することができる。
・薬液として、疎水化処理液(HMDS)に限らず、シンナー系溶剤、シランカップリング剤等、他の薬液を採用することもできる。その際には、メッシュ47やメッシュバンド52の材質を、薬液との濡れ性に応じて変更することが望ましい。これらの材質として、例えばステンレス材以外の金属や樹脂等を用いることもできる。また、液体気化器30は、液体制御装置10に限らず、薬液塗布器、成膜装置等、他の機器に適用することもできる。