JP2013234092A - 流し込み耐火物 - Google Patents

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達哉 廣谷
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Abstract

【課題】炉壁補修の作業時間を短縮できるとともに、補修完了後の昇温時間を短縮することができる流し込み耐火物を提供する。
【解決手段】本発明に係る流し込み耐火物は、SiO成分の質量割合が99%以上である非晶質のシリカ質原料と、クォーツ、トリジマイト、クリストバライトの一種または二種以上とからなる骨材原料と、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカおよびアルミナセメントを含む添加物とを含む。上記骨材原料中の非晶質のシリカ質原料の質量割合は40〜65質量%であり、クォーツ、トリジマイト、クリストバライトの一種または二種以上の質量割合は35〜60質量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、コークス炉等に適用可能な流し込み耐火物に関する。
コークス製造ために、石炭を高温乾留するコークス炉が広く使用されている。よく知られているように、コークス炉は、耐火物からなる炉壁を有する炭化室(乾留室)が並列配置された構成を有し、各炭化室の間にそれぞれ燃焼室が配置されている。炭化室は、両側の燃焼室間の間隔よりも燃焼室に沿う方向の全長が大きくなっており、当該炭化室の全長にわたって燃焼室が設けられている。各炭化室が備える装入口から炭化室内へ装入された石炭は燃焼室内で発生する熱により乾留される。炭化室の長手方向の両端には炉蓋が設けられており、一方の炉蓋の外側には、炭化室内で生成されたコークスを、両炉蓋が開放された状態で一方側から他方側へ押し出す押出機が配置されている。
コークス炉では、20〜30年を超える稼働期間にわたって、石炭の乾留、排出が繰り返されるため、炭化室の炉壁を形成している耐火物には損耗やせり出しが発生する。特に、コークス搬出の際に開閉される炉蓋近傍の耐火物は、昇降温の温度履歴が激しく損傷を受けやすい。このような損耗やせり出しは、コークス押出作業におけるコークスと壁面の摩擦抵抗を増大させ作業効率を低下させる。また、損傷が激しくなると、押出作業において押し詰まりが発生してしまう。そのため、損傷した炉壁は、炉壁を構成している耐火物の積み替えにより補修される。
上述のように、炭化室の炉壁は隣接する炭化室を分離するとともに、その内部は燃焼室を構成している。従来、当該炉壁の補修は、以下のようにして行われている。まず、隣接する2つの炭化室を空にするとともに、各炭化室の内部に断熱壁を設置することで作業空間が構成される。次いで、作業空間の温度が作業可能な温度まで降温される。その後、積み替え対象の炉壁体が解体され、その解体跡に、れんがを1枚ずつ手積みすることで炉壁体が復元される。
このような、れんがを1枚ずつ積む補修方法では、補修対象のれんがを解体した後にその空間部の寸法が測定される。そして、その測定結果に基づいて、燃焼室壁れんがの非補修部の三次元的な位置と、使用するれんがの膨張とを考慮して昇温完了後の寸法が計算され、当該計算結果に基づいて補修部のれんが積みの目地の厚さやれんが同士の嵌合部の位置調整が行われる。これにより、炉壁の非補修部と補修部との間を滑らかな連続した壁面として形成することができ、コークス押出作業においてコークスと壁面の摩擦抵抗を小さくすることができる。
しかしながら、以上のような補修方法では、狭い炉内でれんがを1枚ずつ積み上げるため、作業に長時間を必要とし、コークス生産量の大きな減産を招く。また、補修作業空間は、降温したとはいえ完全に外気温度まで下げることはできない。従って、作業者は過酷な作業環境で長時間の作業することになり、作業者にとっては大きな負荷となる。このような問題を解決するため様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。
例えば、特許文献1は、補修すべき壁体を複数の積層部に分け、多数のコークス炉用の珪石れんがを組み合わせて耐火物集合体を作り、それを施工することで築炉作業の軽減する技術を開示している。
特許文献2は、L字状にプレキャスト成形した窯口部炉壁用の珪石れんが、コージライト質れんがを作成し、それを施工することで築炉作業の軽減、築炉作業時間の短縮する技術を開示している。
特許文献3は、現場で型枠内に溶融シリカ質キャスタブルを流し込む施工をすることで築炉作業の軽減、補修完了後の急速昇温を可能とする技術を開示している。また、特許文献4、5も、溶融シリカを使用したキャスタブルを開示している。
特開2001−19968号公報 特開2003−193059号公報 特表2011−503254号公報 米国特許第4506025号明細書 特開昭56−78476号公報
しかしながら、特許文献1が使用する珪石れんがは、500℃付近での熱膨張係数が大きいため、昇温速度を速くすると割れてしまうという欠点がある。このような昇温時のれんがの割れや破壊を抑制するためには、補修完了後に時間をかけて昇温しなければならず、補修工期が長期間になってしまう。また、耐火物集合体は多数のれんがを組み合わせているため、目的の形状を完成させるまでに手間がかかるという問題もある。さらに、多数のれんがを用意する必要があるため、製造工程が長くなり、また製造コストも高くなるという問題もある。
また、特許文献2が開示する技術も、特許文献1と同様の問題を有している。加えて、コージライト質は高温域で長期間使用した場合、構成相の変化に起因する組織変化により、変形、亀裂等が発生する。そのため、耐用性が劣るという問題がある。
一方、特許文献3が使用する溶融シリカ質キャスタブルは、珪石れんがと比較して熱膨張が小さく、昇温時の耐熱衝撃性(耐熱スポーリング性)については、特許文献1や2に比べて有利である。しかしながら、1250〜1400℃の使用温度領域では、未補修の珪石れんがが一定量熱膨張するのに対して、溶融シリカ質キャスタブルにより補修した部分はほとんど熱膨張しない状況が発生する。すなわち、補修部分と未補修部分における熱膨張にアンバランスが生じることになる。築炉構造体としてのコークス炉において、このような状況が発生することは好ましくない。また、溶融シリカ質キャスタブルは、荷重下で長時間高温にさらされた場合、若干ではあるが粘性変形するという欠点もある。そのため、熱応力や自重により高温下において長時間の荷重が付与されるコークス炉の補修部分に使用した場合、補修部分の変形が大きくなり、上述のアンバランスが増長されるという問題点もある。特許文献4、5が開示する技術も、当然に、特許文献3と同様の問題を有することになる。
一方、炭化室の炉壁にシャモット質れんがを使用した例も存在している。しかしながら、シャモット質れんがも高温の使用に対する安定性に欠ける。すなわち、使用期間が1年を超えると、れんがに反り変形が発生し、コークスの押出作業において押し詰まり等の不具合が発生するという問題がある。
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、炉壁補修の作業時間を短縮できるとともに、補修完了後の昇温時間を短縮することができる流し込み耐火物を提供することを目的とする。
本願発明者らは、補修完了後に短時間で昇温しても変形や割れが発生することがなく、長期間安定して使用することができる耐火物原料を鋭意研究し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る流し込み耐火物は、SiO成分の質量割合が99%以上である非晶質のシリカ質原料と、クォーツ、トリジマイト、クリストバライトの一種または二種以上とからなる骨材原料と、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカおよびアルミナセメントを含む添加物とを含む。上記骨材原料中の非晶質のシリカ質原料の質量割合は40〜65質量%であり、クォーツ、トリジマイト、クリストバライトの一種または二種以上の質量割合は35〜60質量%である。
この流し込み耐火物は、常温から高温にわたって熱膨張率が小さくかつ適切な熱膨張率を有し、緻密かつ高強度であり、優れた耐熱スポーリング性を有する成形耐火物を実現することができる。
なお、ヒュームドシリカの添加量は、上記骨材原料100質量%に対して外掛けで8〜17質量%とすることができる。また、コロイダルシリカの添加量は、上記骨材原料100質量%に対して外掛けで5〜15質量%とすることができる。さらに、アルミナセメントの添加量は、上記骨材原料100質量%に対して外掛けで1.0〜5.0質量%とすることができる。
本発明によれば、常温から高温にわたって熱膨張率が小さくかつ適切な熱膨張率を有し、緻密かつ高強度であり、優れた耐熱スポーリング性を有する成形耐火物を実現することができる。その結果、コークス炉の炉壁の補修に使用した場合であっても、補修完了後に短時間で昇温しても変形や割れが発生することがない。すなわち、急速昇温が可能であり、補修完了後の昇温時間を短縮することができる。また、未補修部分と補修部分との間で熱膨張差が小さく、高温下における長時間の荷重によっても変形が生じ難いため、完成後にコークス炉を長期間安定して使用することができる。また、流し込み耐火物の態様であるため、任意形状の大型ブロックを製造することも可能である。この大型ブロックを使用することで、狭い炉内かつ高温雰囲気での作業者の作業時間を短縮することができる。以上のことが相まって、施工工期の短縮、ひいては製造コストの低減が可能となる。
本発明における流し込み耐火物は、SiO成分の質量割合が99%以上である非晶質のシリカ質原料と、クォーツ、トリジマイト、クリストバライトの一種または二種以上とからなる骨材原料と、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカおよびアルミナセメントを含む添加物とを含む。
非晶質のシリカ質原料は、SiO成分の質量割合が99%以上であればよく、例えば、溶融石英、溶融シリカ、石英ガラスとして販売されている非晶質シリカを使用することができる。このような非晶質のシリカ質原料は、常温から1000℃までの熱膨張率が0.05%以下であり、極めて小さい。このような低膨張の骨材を使用することで、コークス炉の炭化室の炉壁を構成する耐火物として、本流し込み耐火物により構成した成形耐火物を使用した場合でも、成形耐火物の熱膨張を抑制し、かつ耐熱スポーリング性を向上させることができる。
また、上記骨材原料中のクォーツ、トリジマイト、クリストバライトの一種または二種以上(以下、結晶質のシリカ質原料という。)は、任意の組み合わせを使用することができるが、特に、結晶構造の熱的安定性に優れるトリジマイトを主体とすることが好ましい。このような結晶質のシリカ質原料を使用することで、補修用耐火物として適切な熱膨張率と耐クリープ性を備えることができ、また、同時に、耐熱スポーリング性を維持することができる。
上記骨材原料中の非晶質のシリカ質原料の質量割合は40〜65質量%(40質量%以上かつ65質量%以下)が好ましく、より好ましくは、46〜62質量%(46質量%以上かつ62質量%以下)である。質量割合が40質量%未満であると、十分な膨張抑制効果を得られないため好ましくない。また、質量割合が65質量%よりも多くなると、熱膨張率が小さくなりすぎ、また、高温荷重下における変形が大きくなりすぎるため好ましくない。特に限定されないが、非晶質のシリカ質原料の粒径(粒度)は、0.01〜10mm(0.01mm以上かつ10mm以下)とすることができる。
また、上記骨材原料中の結晶質のシリカ質原料の質量割合は35〜60質量%(35質量%以上かつ60質量%以下)が好ましく、より好ましくは、38〜54質量%(38質量%以上かつ54質量%以下)である。質量割合が35質量%未満であると、上述のように、熱膨張率が小さくなりすぎ、また、高温荷重下における変形が大きくなりすぎるため好ましくない。また、質量割合が60質量%よりも多くなると、骨材原料中の非晶質のシリカ質原料の割合が相対的に低下して熱膨張率が大きくなるため好ましくない。また、結晶質のシリカ質原料としてクォーツが多く含まれる配合では、炉壁として長期間使用した際に、クォーツがトリジマイトあるいはクリストバライトへ相転移する。この場合、膨張により亀裂が発生し易くなり、耐熱スポーリング性が低下してしまう。この観点では、クォーツの含有量は20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。また、特に限定されないが、結晶質のシリカ質原料の粒径(粒度)は、0.01〜10mm(0.01mm以上かつ10mm以下)とすることができる。
一方、添加物であるヒュームドシリカは、SiO成分を含む無定形シリカであり、添加により流動性が増し、低水分施工が可能になる。そのため、緻密な成形体を得ることができる。そして、緻密な成形体を得ることができる結果、成形耐火物の養生強度が向上し、脱枠時やハンドリング時の割れ、角欠けの発生を防止できる。なお、ヒュームドシリカも非晶質のシリカ質原料ではあるが、SiO成分の質量割合が99%以上ではない点で、骨材原料の非晶質のシリカ質原料とは区別される。
上述の骨材原料100質量%に対するヒュームドシリカの添加量は、外掛けで8〜17質量%(8質量%以上かつ17質量%以下)が好ましく、より好ましくは、外掛けで10〜15質量%(10質量%以上かつ15質量%以下)である。ヒュームドシリカの添加量が、外掛け8質量%未満であると、流動性が低下して低水分施工が不可能となる結果、緻密な成形体を得ることができないため好ましくない。また、添加量が外掛け17質量%より多くなるとヒュームドシリカの高い焼結性のために高温において急激な焼結収縮が発生し、亀裂が発生し易くなるため好ましくない。
また、添加物であるコロイダルシリカは、SiOあるいはその水和物からなるコロイドであり、灼熱後の化学組成はSiOである。コロイダルシリカの添加により600〜800℃の中間温度域における熱間強度を向上させることができ、結果として耐熱スポーリング性を向上させることができる。なお、コロイダルシリカの濃度は、シリカ成分が5〜50質量%(5質量%以上かつ50質量%以下)が好ましく、より好ましくは、10〜40質量%(10質量%以上かつ40質量%以下)である。
上述の骨材原料100質量%に対するコロイダルシリカの添加量は、外掛けで5〜15質量%(5質量%以上かつ15質量%以下)が好ましく、より好ましくは、外掛けで8〜12質量%(8質量%以上かつ12質量%以下)である。コロイダルシリカの添加量が、外掛け5質量%未満であると、中間温度域での熱間強度向上効果が得られず、耐熱スポーリング性が低下するため好ましくない。また、添加量が外掛け15質量%より多くなるとキャスタブルが分離しやすくなるため好ましくない。
また、添加物であるアルミナセメントは、コロイダルシリカの硬化剤として機能する。アルミナセメントの添加により成形耐火物の養生強度が向上し、脱枠時やハンドリング時の割れ、角欠けの発生を防止できる。アルミナセメントとしては、市販の任意のアルミナセメントを使用することができる。例えば、フォンジュセメント(旧JIS R 2511-1995に規格化される第4種のアルミナセメント)や、1号セメント(旧JIS R 2511-1995に規格化される第3種のアルミナセメント)、ハイアルミナセメント(旧JIS R 2511-1995に規格化される第2種のアルミナセメント)を使用することができる。特に、養生後の強度向上の観点では、1号セメントを使用することが好ましい。なお、上述の特許文献4、5では、ポルトランドセメントを使用した例が開示されているが、本流し込み耐火物のようにコロイダルシリカを結合剤として使用する場合、ポルトランドセメントを用いると、直ちに凝集が起こり、施工が不可能になる。
上述の骨材原料100質量%に対するアルミナセメントの添加量は、外掛けで1.0〜5.0質量%(1.0質量%以上かつ5.0質量%以下)が好ましく、より好ましくは、外掛けで1.5〜2.5質量%(1.5質量%以上かつ2.5質量%以下)である。アルミナセメントの添加量が、外掛け1.0質量%未満であると、十分な養生強度が得られないため好ましくない。また、添加量が外掛け5.0質量%より多くなると耐火物中のAl量が多くなり、成形耐火物のクリープ特性が劣化するため好ましくない。
また、上記の他、本発明の効果を阻害しない範囲において、解膠性促進、流し込み材の減水効果等を目的として有機質の分散剤や無機質の分散剤などを添加することもできる。
以上のような原料の配合により、本発明に係る流し込み耐火物を得ることができる。流し込み耐火物の製造においては一般的な製造装置を利用可能である。原料配合後のミキサーとしては、例えば、オムニミキサーや、V型ミキサー等を使用することができる。
この流し込み耐火物によれば、常温から高温にわたって熱膨張率の変化が小さくかつ適切な熱膨張率を有し、緻密かつ高強度であり、優れた耐熱スポーリング性を有する耐火物を実現することができる。その結果、コークス炉の炉壁の補修に使用した場合には、補修完了後に急速昇温が可能であり、補修完了後の昇温時間を短縮することができる。また、未補修部分と補修部分との間で熱膨張差が小さく、高温下における長時間の荷重によっても変形が生じ難いため、完成後にコークス炉を長期間安定して使用することができる。さらに、流し込み耐火物の態様であるため、任意形状の大型ブロックを製造することも可能である。この大型ブロックを使用することで、狭い炉内かつ高温雰囲気での作業者の作業時間を短縮することができる。以上のことが相まって、補修工期の短縮、製造コストの低減が可能となる。
なお、本流し込み耐火物をコークス炉の補修に適用する場合、その施工方法は特に限定されない。例えば、本流し込み耐火物を使用して成形耐火物を生成し、当該成形耐火物を積み上げることで施工してもよく、特許文献3に開示されているような施工場所において型枠を組み、当該型枠により流し込み施工をしてもよい。
また、成形耐火物を得る場合、例えば、以下の手順によることができる。まず、万能ミキサー、モルタルミキサー、平ミキサー、ボルテックスミキサー、二軸混練機などの公知の混練ミキサーを使用して上述の原料を混練する。混練により生成された本発明に係る流し込み耐火物を、所望形状の型枠に流し込む。その際、棒状バイブレータ、型枠振動、テーブル振動などの方法によって、振動を加えてもよい。所定時間が経過して流し込み耐火物が硬化した後、成形耐火物を型枠から外して乾燥する。この乾燥では、電熱式乾燥、温風乾燥、熱風乾燥、輻射加熱式乾燥、バーナー乾燥などの公知の乾燥方法を利用できる。
以下に実施例および比較例を提示して、本発明の流し込み耐火物を説明する。
表1、表2に示す配合割合で流し込み耐火物を作成し、コークス炉補修用の流し込み耐火物として特性を評価した。各流し込み耐火物で使用した非晶質のシリカ質原料は、SiO成分の質量割合が99.5%以上の溶融シリカである。なお、溶融シリカの粒子径は、0.4〜3mm(0.4mm以上かつ3mm以下)である。また、各流し込み耐火物で使用した結晶質のシリカ質原料は珪石れんが屑と珪石原料である。珪石れんが屑は、トリジマイトを85質量%、クリストバライトを3質量%含有している。また、珪石原料はクォーツを主成分としている。なお、珪石れんが屑および珪石原料の粒子径は、1mm以下である。なお、アルミナセメントとして、1号セメントを使用している。
各流し込み耐火物による成形耐火物について、養生後の曲げ強度、乾燥後の曲げ強度、耐熱スポーリング性、熱膨張率およびクリープ特性を評価し、各項目についての評価結果を表1、表2中に記載した。以下、各試験項目について簡単に説明する。
なお、各試験サンプルは、以下の手順により形成している。まず、各流し込み耐火物の原料を、万能ミキサーで3分間混練した。混練物(流し込み耐火物)は、振動テーブル上に配置した後述の各形状の型枠内に流し込み、振動を与えながら鋳込みを実施した。鋳込み終了後、鋳込み面に濡らした布を被せ、さらにプラスチック袋の中に各型枠をいれ、40℃の養生室で24時間養生を実施した。養生終了後、プラスチック袋から型枠を取り出して鋳込み面に被せた布を取り外し、脱枠した後、110℃の熱風式乾燥機で24時間乾燥した。
養生後の曲げ強度および乾燥後の曲げ強度は、40mm×40mm×160mmの形状を有する養生後試験サンプルおよび乾燥後試験サンプルの曲げ強度を3点曲げ試験により常温において評価した。養生後の強度が低い場合、脱枠時に成形耐火物に割れや欠けが発生したり、破壊したりする。また、乾燥後の曲げ強度が低い場合、施工時に成形耐火物に割れや欠けが発生したり、破壊したりする。そのため、両項目とも実用に耐える十分な強度を有している必要がある。表中の記号は、「◎」は、強度が極めて高いことを示し、「○」は、実用上問題のない強度であることを示している。「△」は、強度がやや弱く余裕度が少ないことを示し、「×」は、強度が極めて低く実用上問題があることを示している。
耐熱スポーリング性は、65mm×115mm×230mmの形状を有する乾燥後試験サンプルを500℃に保持した電気炉内で20分間加熱し、取り出した試験サンプル表面の亀裂の状態により評価した。耐熱スポーリング性が低い場合、コークス炉に施工後、昇温時に割れたり、破壊したりする。すなわち、積み上げたコークス炉壁の崩落を防止するためにも、耐熱スポーリング性は十分に高い必要がある。表中の記号は、「◎」は、亀裂がないことを示し、「○」は、実用上許容できる微亀裂が発生したことを示し、「×」は、実用上許容できない太い亀裂が発生したことを示している。
熱膨張率は、20mm×15mm×85mmの形状を有する乾燥後試験サンプルを熱膨張測定装置(JIS R 2207-1 準拠)により得た、大気雰囲気、1200℃における熱膨張率により評価した。熱膨張率が高い場合、昇温時の成形耐火物に亀裂が発生する。亀裂発生を抑制するためには昇温速度を低下しなければならず、昇温時間が長くなり施工工期も長くなる。すなわち、昇温時間を短縮するためには、熱膨張率が小さいことが好ましい。一方、熱膨張率が小さすぎる場合は、未補修のれんがとの熱膨張差が大きくなりすぎるため好ましくない。このため、適切な熱膨張率を有することが望ましい。表中の記号は、「◎」は、熱膨張率が未補修部分との間にアンバランスを生じない適正範囲内にあることを示し、「○大」は、熱膨張率がやや大きいが許容範囲内であることを示し、「○小」は、熱膨張率がやや小さいが許容範囲内であることを示している。また、「×大」は、熱膨張率が大きすぎて許容範囲から外れることを示し、「×小」は、熱膨張率が小さすぎて許容範囲から外れることを示している。
クリープ特性は、直径40mm×高さ40mmの形状を有する乾燥後試験サンプルを、0.4MPaの荷重をかけた状態で加熱したときのクリープ変形量により評価した。なお、加熱条件は、5℃/分で1450℃まで加熱し、1450℃で25時間保持している。また、クリープ変形量は、温度が1450℃に達した時点を起点とし、25時間後の変形量により得ている。クリープ変形量が大きい場合、加熱によって発生する熱応力および壁の自重によって耐火物が変形し、側壁の崩壊やせり出しが発生する。すなわち、側壁のせり出しを抑制するためには、クリープ変形量が小さい必要がある。表中の記号は、「○」は、クリープ変形量が許容範囲内であることを示し、「×」は、クリープ変形量が許容範囲外であることを示している。
Figure 2013234092
Figure 2013234092
表1、表2から理解できるように、実施例1〜13では、比較例1〜10に比べて、養生後曲げ強度、乾燥後曲げ強度、耐熱スポーリング性、熱膨張率、クリープ特性の各特性について総合的に優れているといえる。
ここで、表1および表2に示す配合について簡単に説明する。
表1において、実施例1〜5は、溶融シリカと珪石れんが屑との配合割合を変更している。実施例6、7は、実施例1と実施例5の配合における珪石れんが屑の一部に代えてクォーツを主成分とする珪石原料を使用している。実施例8、9は、ヒュームドシリカの配合割合を変更している。実施例10、11は、コロイダルシリカの配合割合を変更している。実施例12、13は、アルミナセメントの配合割合を変更している。
表2において、比較例1、2は、実施例1〜5の配合において、溶融シリカと珪石れんが屑との配合割合を変更している。比較例3、4は、実施例8、9の配合において、ヒュームドシリカの配合割合を変更している。比較例5は、実施例10、11の配合において、コロイダルシリカに代えて水を使用している。比較例6、7は、実施例10、11の配合において、コロイダルシリカの配合割合を変更している。比較例8、9は、実施例12、13の配合において、アルミナセメントの配合割合を変更している。比較例10は、実施例12、13の配合において、アルミナセメントに代えてポルトランドセメントを使用している。なお、比較例10では、混練直後に凝集が開始するため型枠に流し込むことができず試験サンプルを作成することできなかった。そのため、表2の評価結果には、評価できなかったことを示す記号「−」を記載している。
表1、表2から理解できるように、実施例1〜5では良好な特性が得られているのに対し、溶融シリカの配合量を減少するとともに珪石れんが屑の配合量を増大した比較例1では、耐熱スポーリング性が悪化し、熱膨張率が大きい結果を示している。すなわち、比較例1では十分な膨張抑制効果が得られていない。また、溶融シリカの配合量を増大するとともに珪石れんが屑の配合量を減少した比較例2では、熱膨張率が小さくなりすぎ、また、クリープ特性も悪化している。
また、実施例8、9では良好な特性が得られているのに対し、ヒュームドシリカの配合量を減少した比較例3では、養生後の曲げ強度および乾燥後の曲げ強度がやや低下している。すなわち、比較例3では、流し込み耐火物の流動性が低下し、緻密な成形耐火物が得られていない。また、ヒュームドシリカの配合量を増大した比較例4では、ヒュームドシリカに起因する急激な焼結のため、耐熱スポーリング特性およびクリープ特性が悪化する結果となった。
また、実施例10、11では良好な特性が得られているのに対し、コロイダルシリカの配合量を減少した比較例6では、耐熱スポーリング性が悪化している。すなわち、比較例6では、コロイダルシリカ添加による十分な耐熱スポーリング性向上効果が得られていない。また、コロイダルシリカに代えて水を添加した比較例5では、養生後の曲げ強度、および乾燥後の曲げ強度も低下する結果となった。一方、コロイダルシリカの配合量を増大した比較例7では、キャスタブルが分離し易くなった結果、養生後の曲げ強度および乾燥後の曲げ強度がやや低下する結果となった。
また、実施例12、13では良好な特性が得られているのに対し、アルミナセメントの配合量を減少した比較例8では、養生後の曲げ強度、乾燥後の曲げ強度が低下するとともに、耐熱スポーリング性が悪化する結果となった。また、アルミナセメントの配合量を増大した比較例9では、耐火物中のAl量が多くなった結果、クリープ特性が許容できない程度にまで大きくなる結果となった。
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、総合的に優れた特性を有する、流し込み耐火物が得られる。
本発明は、従来と比較して、炉壁補修の作業時間および補修完了後の昇温時間を短縮することができ、流し込み耐火物として有用である。

Claims (4)

  1. SiO成分の質量割合が99%以上である非晶質のシリカ質原料を、40〜65質量%、
    クォーツ、トリジマイト、クリストバライトの一種または二種以上を、35〜60質量%、
    からなる骨材原料と、
    ヒュームドシリカ、コロイダルシリカおよびアルミナセメントを含む添加物と、
    を含む流し込み耐火物。
  2. 前記ヒュームドシリカの添加量が、前記骨材原料100質量%に対して外掛けで8〜17質量%である、請求項1に記載の流し込み耐火物。
  3. 前記コロイダルシリカの添加量が、前記骨材原料100質量%に対して外掛けで5〜15質量%である、請求項1または2に記載の流し込み耐火物。
  4. 前記アルミナセメントの添加量が、前記骨材原料100質量%に対して外掛けで1.0〜5.0質量%である、請求項1から3のいずれか1項に記載の流し込み耐火物。
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