JP2013225095A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基体4と、導電性基体4上に設けられた下引層1と、下引層1上に設けられた電荷発生層2でと、電荷発生層2上に設けられた電荷輸送層3と、電荷輸送層3上に設けられた保護層5であって体積抵抗率が2×1013Ω・m以上4×1013Ω・m以下である保護層5と、を有し、式(1):0.4eV≦(Efuc− Eauc)-(Efcg−Eacg)≦0.6eVを満たす電子写真感光体10である。但し、式(1)中、Efucは下引層の仕事関数を示す。Eaucは下引層の電子親和力を示す。Efcgは電荷発生層の仕事関数を示す。Eacgは電荷発生層の電子親和力を示す。
【選択図】図1
Description
例えば、電子写真感光体の保護層に、電荷輸送性高分子を用いること(例えば特許文献1参照)、熱可塑性樹脂に電荷輸送材料と無機フィラーを分散させること(例えば特許文献2参照)等が提案されている。
また、電子写真感光体の保護層に、2種以上の電荷輸送材料を使用し、電荷輸送材料のイオン化ポテンシャル及び含有比率を制御することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた下引層と、
前記下引層上に設けられた電荷発生層と、
前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
前記電荷輸送層上に設けられた保護層であって、体積抵抗率が2×1013Ω・m以上4×1013Ω・m以下である保護層と、
を有し、
前記下引層と前記電荷発生層の仕事関数および電子親和力が下記式(1)を満たす電子写真感光体。
式(1)0.4eV≦(Efuc−Eauc)-(Efcg−Eacg)≦0.6eV
(式(1)中、Efucは下引層の仕事関数を示す。Eaucは下引層の電子親和力を示す。Efcgは電荷発生層の仕事関数を示す。Eacgは電荷発生層の電子親和力を示す。)
前記保護層が、少なくとも、反応性電荷輸送材料と、酸化防止剤と、を含む組成物の硬化膜で構成されている請求項1に記載の電子写真感光体。
前記下引層が、少なくとも、結着樹脂と、金属酸化物粒子と、電子受容性化合物と、を含んで構成されている請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収納し、当該現像剤によって、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナー像に現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体を備え、導電性基体上に、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、保護層と、がこの順に積層された積層体を有している。
保護層の体積抵抗率は、2×1013Ω・m以上4×1013Ω・m以下である。
そして、下引層と電荷発生層の仕事関数および電子親和力が下記式(1)を満たす。
式(1)0.4eV≦(Efuc−Eauc)-(Efcg−Eacg)≦0.6eV
(式(1)中、Efucは下引層の仕事関数を示す。Eaucは下引層の電子親和力を示す。Efcgは電荷発生層の仕事関数を示す。Eacgは電荷発生層の電子親和力を示す。)
この理由は、定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
これに対して、保護層の体積抵抗率を上記範囲とすると、画像流れが抑制される。帯電器で発生したNox等の放電生成物が保護層を低抵抗化することにより、画像流れを発生させていると推定しており、保護層の抵抗をあらかじめ高抵抗化することにより、画像流れを抑制すると考えられるためである。
しかしながら、保護層の体積抵抗率を上記範囲とすると、画像流れが抑制されるものの、一方で、連続使用による残留電位上昇で画像濃度が変化することがある。これは、保護層の高抵抗化により、保護層中の電荷の移動性が低下すると考えられるためである。保護層の体積抵抗率が4×1013Ω・mより大きいと、残留電位の上昇が著しく悪化する。
そして、本実施形態に係る電子写真感光体を適用した画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)では、画像流れを抑制し、且つ電子写真感光体の残留電位の上昇に伴う画像濃度変化を抑えられると考えられる。
式(1)において、「(Efuc− Eauc)-(Efcg−Eacg)」は、0.4eV以上0.6eV以下であるが、望ましくは0.4eV以上0.5eV以下、より望ましくは0.42eV以上0.47eV以下である。
具体的には、例えば、
1)下引層として、結着樹脂と、金属酸化物粒子と、電子受容性化合物と、を含んで構成した下引層(特に、アントラキノン構造を有する電子受容性化合物の含有量を層全構成成分(固形分)に対して1質量%以上10質量%以下とした下引層)を適用する方法、
2)下引層の金属酸化物を変えた下引層を適用する方法、
3)電荷発生層の電荷発生材料を変えた電荷発生層を適用する方法、
等が挙げられる。
まず、電子写真感光体から、カッター等により、厚み0.1μm以上30μm以下の測定試料を採集する。
そして、採取した測定試料に対して、ケルビン方法による接触電位差測定装置により、測定試料と参照電極の接触電位差を測定することにより、層の仕事関数を測定する。
まず、電子写真感光体から、カッター等により、厚み0.1μm以上30μm以下の測定試料を採集する。
そして、採取した測定試料に対して、理研計器社製大気中光電子分光装置AC-2を用いて決定したイオン化ポテンシャルから、日立製Spectrophotometer U-2000を用いて決定した光バンドギャップを差し引いて、層の電子親和力を測定する。
保護層の体積抵抗率は、2×1013Ω・m以上4×1013Ω・m以下であるが、望ましくは3×1013Ω・m以上3.5×1013Ω・m以下である。
具体的には、例えば、保護層として、少なくとも、反応性電荷輸送材料と、酸化防止剤と、を含む組成物の硬化膜で構成した保護層(特に、酸化防止剤の含有量を層全構成成分(固形分)に対して1質量%以上30質量%以下とした保護層)を適用する方法が挙げられる。
まず、電子写真感光体から、カッター等により、厚み約5μmの測定試料を採集する。
そして、採取した測定試料に対して、Al電極を貼り付け、温度22℃、湿度55%の環境下、周波数応答アナライザ(ソーラトロン社製、1260型)を用い、周波数1mHz、0.2V/μmの印加電圧にて、保護層の体積抵抗率を測定する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体10の一部の断面を概略的に示している。
図1に示した電子写真感光体10は、電荷発生層2と電荷輸送層3とが別個に設けられた感光層を有するもの(機能分離型感光体)である。
具体的には、図1に示した電子写真感光体10は、導電性支持体4を有し、導電性支持体4上に、下引層1、電荷発生層2、電荷輸送層3、及び保護層5がこの順で設けられて構成されている。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させたプラスチックフィルム等が挙げられる。基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
下引層は、例えば、結着樹脂と、金属酸化物粒子と、電子受容性化合物と、必要に応じて、その他添加物と、を含んで構成される。
これらの中でも、結着樹脂としては、上層(電荷発生層)の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これらの中でも、金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛が好適である。
金属酸化物粒子の比表面積(BET法による比表面積)は、10m2/g以上であることが望ましい。
アントラキノン構造を有する化合物としては、特に、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が好適に挙げられ、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等がよい。
乾式法は、例えば、金属酸化物粒子に対して攪拌等によりせん断力を付与ししながら、直接又は有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下したり、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることにより、電子受容性化合物を金属酸化物粒子の表面に付着させる方法である。滴下又は噴霧する際には、例えば、溶剤の沸点以下の温度で行うことが望ましい。滴下又は噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。
一方、湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等により、金属酸化物粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、溶剤除去して、電子受容性化合物を金属酸化物粒子の表面に付着させる方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により行う。溶剤除去後には、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物の具体例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
また、下引層形成用塗布液中に粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。ここで、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
電荷発生層は、例えば、結着樹脂と、電荷発生材料と、を含んで構成される。
有機顔料としては、アゾ顔料(例えばビスアゾ、トリスアゾ等)、縮環芳香族顔料(例えばジブロモアントアントロン等)、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、三方晶セレン、酸化亜鉛等が挙げられる。
フタロシアニン顔料としては、特開平5−263007及び特開平5ー279591に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472及び特開平5−140473に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873及び特開平5−43813開示されたチタニルフタロシアニンが特によい。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は、例えば10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と、結着樹脂と、を含んで構成される。
電荷輸送層は、例えば、高分子電荷輸送材を含んで構成されていてもよい。
電子輸送性化合物としては、例えば、キノン系化合物(例えばp−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等)、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルオレノン化合物(例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等)、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等が挙げられる。
正孔輸送性化合物としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等が挙げられる、
これらの電荷輸送材料は、単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は、例えば、10:1乃至1:5が望ましい。
特に、高分子電荷輸送材料としては、例えば、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材が高い電荷輸送性を有しており、とくに望ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で電荷輸送層を構成してもよいが、結着樹脂と混合して電荷輸送層を構成してもよい。
などが挙げられる。
保護層は、例えば、反応性電荷輸送材料と、酸化防止剤と、を含む組成物の硬化膜で構成されている。つまり、保護層は、反応性電荷輸送材料の重合体(又は架橋体)と、酸化防止剤と、を含む電荷輸送性硬化膜で構成されている。
反応性電荷輸送材料としては、例えば、反応性官能基として−OH、−OCH3、−NH2、−SH、−COOH等)を持つ反応性電荷輸送材料が挙げられる。
F−((−R13−X)n1(R14)n2−Y)n3 (I)
一般式(I)中、Fは電荷輸送能を有する化合物から誘導される有機基(電荷輸送骨格)、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは反応性官能基を示す。
ここで、置換アリール基及び置換アリーレン基における置換基としては、D以外のものとして、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、炭素数6乃至10の置換若しくは未置換のアリール基等が挙げられる。
また、一般式(I)や一般式(II)において、Dの総数を一分子中に2以上4以下、望ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特に異物除去用のブレード部材を用いた際の電子写真感光体の回転トルクが低減され、ブレード部材の摩耗の抑制や、電子写真感光体の磨耗が抑制される。この詳細は不明であるが、前述したように、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られ、電子写真感光体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材の表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)から(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。
上記式(16)から(17)中のWとしては、下記(18)から(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
一般式(A)において、R1を示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。
一般式(A)中、R1を示すフェニル基は、炭素数が6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R1を示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R2からR5を示す「−CH2−O−R6」において、R6を示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、日本化学会編、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
以下、一般式(A)で示される化合物の具体例として例示化合物:(A)−1から例示化合物:(A)−42を示すが、本実施形態はこれらに限られるわけではない。また、以下の具体例は単量体であるが、これら単量体を構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。尚、以下の例示化合物において、「Me」はメチル基を、「Bu」はブチル基を、「Ph」はフェニル基をそれぞれ示す。
また、一般式(A)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
メラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)と同様に、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法で合成される(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)。
以下、一般式(B)で示される化合物の具体例として例示化合物:(B)−1から例示化合物:(B)−8を示すが、本実施形態はこれらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤も挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば「イルガノックス1076」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス245」、「イルガノックス1330」、「イルガノックス3114」、「イルガノックス1076」(以上チバ・ジャパン社製)、「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル」等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」(以上三共ライフテック社製)、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」(以上チバ・ジャパン社製)、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」(以上アデカ社製)が挙げられる
有機イオウ系酸化防止剤としては、例えば、「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−D」(以上住友化学社製)が挙げられる、
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば「マーク2112」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、「マークHP−10」(以上アデカ社製)等が挙げられる。
保護層には、反応性電荷輸送材料(例えば一般式(I)で示される化合物)と共に、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などを併用しても。また、強度を向上させるために、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」、味の素ファインテクノ(株)製)など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させることも効果的である。
ここで、アルコールに可溶な樹脂とは、炭素数5以下のアルコールに1質量%以上溶解する樹脂を意味する。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が挙げられる。
ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。
フッ素樹脂粒子としては、特に限定されるものではないが、例えばポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、またはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の粒子が挙げられる。
フッ素樹脂粒子と共に、フッ化アルキル基含有共重合体を併用してもよい。フッ化アルキル基含有共重合体の市販品としては、例えば、GF300、GF400(東亞合成社製)、サーフロンシリーズ(AGCセイミケキカル社製)、フタージェントシリーズ(ネオス社製)、PFシリーズ(北村化学社製)、メガファックシリーズ(DIC製)、FCシリーズ(3M製)等が挙げられる。
保護層には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。
そして、保護層形成用塗布液を、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の公知の方法により塗布し、必要に応じて例えば温度100℃以上170℃以下で加熱して硬化させることで、保護層が得られる。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置101は、図2に示すように、例えば、矢印Aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、記録紙P(被転写媒体)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて記録紙Pに電子写真感光体10上のトナー像を転写させる転写装置50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(トナー除去手段の一例)とを備える。そして、トナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置60が設けられている。
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触型帯電器がよい。
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置40は、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する容器内に、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置された現像ロール41が備えられた構成が挙げられる。現像装置40としては、2成分現像剤により現像する装置であれば、特に制限はなく、周知の構成が採用される。
現像剤は、トナーからなる一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤であってもよい。
転写装置50としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
クリーニング装置70は、例えば、筐体71と、クリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置されるクリーニングブラシ73と、を含んで構成されている。また、クリーニングブラシ73には、例えば、固形状の潤滑剤74が接触して配置されている。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10を備えてえればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、転写装置50、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
[感光体1]
−下引層−
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学工業社製)1.0質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
表面処理を施した酸化亜鉛100質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、プルプリン3.8質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてプルプリンを表面に付着させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いプルプリン付与酸化亜鉛顔料を得た。
プルプリン付与酸化亜鉛顔料60質量部、硬化剤ブロック化イソシアネート(スミジュール3175:住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部、及びブチラール樹脂(エスレックBM−1:積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
次に、電荷発生材料としてヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部、及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散して、電荷発生層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を、下引層上に浸漬塗布し、100℃、10分乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
更に、下記構造式1で示される化合物2質量部、及び下記構造式2で示される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3質量部をテトラヒドロフラン10質量部及びトルエン5質量部に溶解して塗布液を得た。得られた塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、135℃にて45分加熱乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
反応性電荷輸送材料として下記構造式3で示される化合物(例示化合物(I−21))89質量部、酸化防止剤として下記構造式4で示される化合物14質量部、t−ブタノール(t-BuOH)200質量部に溶解させた後、ベンゾグアナミン樹脂(例示化合物(A)−17:ニカラックBL−60、三和ケミカル社製)3質量部、及びNACURE5225(キングインダストリー社製)0.1質量部を加え保護層形成用塗布液を調製した。この保護層形成用塗布液を浸漬塗布法で電荷輸送層の上に塗布し155℃で50分乾燥し、膜厚約6μmの保護層を形成した。
[感光体2]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から6質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体2とした。
[感光体3]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から3質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体3とした。
[感光体4]
感光体1において、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から16質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体4とした。
[感光体5]
感光体1において、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から8質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体5とした。
[感光体6]
感光体1において、プルプリンの代わりにアリザリン3.8質量部を下引層中に添加した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体6とした。
[感光体7]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から2.7質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から8質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体7とした。
[感光体8]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から6.3質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から8質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体8とした。
[感光体9]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から3質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から7質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体9とした。
[感光体10]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から6質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から7質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体10とした。
[感光体11]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から2.7質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から16質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体11とした。
[感光体12]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から6.3質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から16質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体12とした。
[感光体13]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から3質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から17質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体13とした。
[感光体14]
感光体1において、下引層中に添加するプルプリン量を3.8質量部から6質量部に変更し、保護層中に添加する構造式4で示される化合物量を14質量部から17質量部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体14とした。」
[感光体特性評価]
各例で得られた感光体について、保護層の体積抵抗率(Ω・m)、下引層と電荷発生層の仕事関数および電子親和力を既述の方法により測定した。
得られた感光体を富士ゼロックス社製Docu Centre Color500に搭載し、29℃/80%RHの高温高湿下で1日1万枚の濃度40%の全面ハーフトーン画像をプリントし、1000枚おきにプリントした画像から画像流れの発生有無を確認した。
また、14時間高温高湿下にて放置し、14時間経過後における最初を濃度40%の全面ハーフトーン画像でプリントし、放置後の画像流れを確認した。
結果を表1に示す。なお、評価基準は以下のとおりである。
A:画像流れ発生なし
B:画像流れわずかに発生 使用可
C:画像流れ発生 使用不可
以下の方法により、残留電位を測定し評価を行った。
得られた感光体を富士ゼロックス社製Docu Centre Color500に搭載し、それに内蔵された表面電位計を用いて、29℃/80%RHの高温高湿下で、濃度40%の全面ハーフトーン画像の1枚目のプリント後、および1万枚目のプリント後における感光体の残留電位を測定した。その差を求めて、差の絶対値を残留電位の変化量とし、残留電位の変化量を以下の基準で評価した。
結果を表1に示す。評価基準は以下のとおりである。
A:残留電位変化量20V以下 使用可
B:残留電位変化量20Vを超え40V以下 使用可
C:残留電位変化量40Vを越える 使用不可
Claims (5)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた下引層と、
前記下引層上に設けられた電荷発生層と、
前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
前記電荷輸送層上に設けられた保護層であって、体積抵抗率が2×1013Ω・m以上4×1013Ω・m以下である保護層と、
を有し、
前記下引層と前記電荷発生層の仕事関数および電子親和力が下記式(1)を満たす電子写真感光体。
式(1)0.4eV≦(Efuc−Eauc)-(Efcg−Eacg)≦0.6eV
(式(1)中、Efucは下引層の仕事関数を示す。Eaucは下引層の電子親和力を示す。Efcgは電荷発生層の仕事関数を示す。Eacgは電荷発生層の電子親和力を示す。) - 前記保護層が、少なくとも、反応性電荷輸送材料と、酸化防止剤と、を含む組成物の硬化膜で構成されている請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記下引層が、少なくとも、結着樹脂と、金属酸化物粒子と、電子受容性化合物と、を含んで構成されている請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を収納し、当該現像剤によって、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナー像に現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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