JP7222261B2 - 電子写真画像形成方法 - Google Patents
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Description
そこで、電気抵抗(以下、単に抵抗ともいう。)の低いチタニア粒子との併用によって低温低湿環境の帯電量抑制の効果を持たせる手段が知られている。しかし、チタニア粒子は低抵抗なため、高カバレッジ印刷時にキャリア粒子に移行した際に、キャリア粒子の電荷移動が促進されてトナーの帯電量が低下してしまう問題がある。
そこで、チタニア粒子にキャリアと同程度の抵抗を持たせるため、チタニア粒子の表面修飾(処理)量を増大させる方法が挙げられるが、チタニア粒子の抵抗値をキャリアと同程度に調整するためには表面修飾量が過剰となる。表面修飾量が過剰になると外添剤の凝集性が増し、トナーの流動性が低下するため、結果として帯電量が低下してしまう。
そこで、チタニア粒子よりも抵抗の高いアルミナ粒子を用いることで、適度な表面修飾量でキャリアと同程度の抵抗を持たせることができ、キャリア移行した際の帯電量変動を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
電子写真方式の画像形成装置において、感光体上にトナーが現像され、記録媒体に転写された後、転写後の感光体の表面に残留するトナーは、画像形成装置のクリーニング部材によって除去されるが、その際に、トナーから外添剤が遊離しやすいと、カバレッジが高い画像を連続して印刷した場合に、遊離外添剤やその凝集物によって感光体やブレードの摩耗や傷が生じ、結果として、クリーニング不良が発生してしまうことがある。特に、アルミナはモース硬度が高いため、遊離したアルミナ外添剤による感光体やブレードの摩耗、傷が生じやすい。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記帯電工程が、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段を有しており、
前記感光体が、保護層を有し、
前記保護層が、重合性モノマーと無機フィラーを含む組成物の重合硬化物を含有し、
前記無機フィラーが、側鎖にシリコーン鎖を有する表面修飾剤と、重合性基を有する表面修飾剤により表面修飾されており、
前記保護層の表面が、無機フィラーの***による複数の凸部を有し、
前記現像工程では、アルミナ粒子をトナー母体粒子に外添したトナーを用い、かつ、
前記複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rを、100~250nmの範囲内とすることを特徴とする電子写真画像形成方法。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
無機フィラーの凸部間距離は、無機フィラーの添加量と無機フィラーの分散性によって変化する。無機フィラー粒子を保護層中に高濃度で、かつ、凝集させることなく均一に分散することにより、無機フィラーの凸部間距離を小さくすることができる。
本発明における感光体表面の保護層では、無機フィラーによる凸部間の平均距離Rを250nm以下とすることで、凸部が均一に緻密になり、トナーが感光体表面に接する際に、無機フィラー部分に接する確率が高くなる。感光体表面の樹脂部分と無機フィラー部分では、無機フィラー部分の方がトナーとの摩擦力、付着力が低いと考えられ、クリーニング時に残留トナーを確実かつ速やかに除去することができる。
また、前記凸部間の平均距離Rが250nm超の場合、トナーが重合硬化物の樹脂部分と接触し易くなることによって、トナーと保護層との間の付着力及び摩擦力がより大きくなることで、残留トナーとクリーニングブレードとの突入力が増加する。この突入力の増加によって、外添剤の遊離が促進され、過剰な遊離外添剤やその凝集物が生じ易くなる。その結果、クリーニング時の負荷が増加し、感光体やクリーニングブレードの摩耗量も増加し、十分なクリーニング性が得られにくくなる。
トナーの外添剤としてアルミナ粒子を用いた場合、帯電量変動を抑制する効果は高いものの、トナー母体粒子から遊離しやすいために、前記凸部間の平均距離Rが250nm超の場合には、ブレードニップ手前でのトナー母体粒子からの遊離が特に促進されやすく、さらに、モース硬度が高い性質のために、感光体やクリーニングブレードの摩耗や傷が顕著となりやすい。
本発明の感光体の保護層では、残留トナーはブレードニップ手前に堆積しにくくなり、ブレードニップ手前での残留トナーの対流による外添剤の遊離や凝集が抑制され、遊離外添剤やその凝集物のすり抜けも低減されるため、アルミナの外添剤を使用した場合においても、感光体やクリーニングブレードの摩耗や傷、及び、それに伴うクリーニング不良が発生しにくくなったものと推測される。
なお、プリント速度を高速化する場合、線速が上がることで残留トナーとクリーニングブレードとの突入力が大きくなり、またブレードの感光体への当接圧力が安定し難くなるため、感光体やクリーニングブレードの摩耗及び画像不良の発生はより顕著となる。これより、本発明は、プリント速度を問わずにその効果を奏するものであるが、プリント速度を高速化する場合に特に高い効果を奏する。
無機フィラーによる前記凸部間の平均距離Rを小さくするためには、無機フィラー濃度を高くすることが有効であるが、無機フィラー濃度が高すぎると重合硬化樹脂部分が相対的に少なくなるため、架橋密度が低下することで保護層が脆くなり、感光体摩耗が増加する。上記の理由から、無機フィラーによる前記凸部間の平均距離Rは100nm以上である必要があると推察される。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
また、前記無機フィラーが、芯材の表面に金属酸化物が付着されてなる外殻を有するコア・シェル構造の複合粒子であることが、感光体やクリーニングブレードの摩耗の低減効果及び画像不良の抑制効果をより向上させることができるとともに、凹凸紙への転写性をより向上させることができる点で好ましい。
本発明の電子写真画像形成方法は、感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及びクリーニング工程を有する電子写真画像形成方法であって、前記帯電工程が、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段を有しており、前記感光体が、保護層を有し、前記保護層が、重合性モノマーと無機フィラーを含む組成物の重合硬化物を含有し、前記保護層の表面が、無機フィラーの***による複数の凸部を有し、前記現像工程では、アルミナ粒子をトナー母体粒子に外添したトナーを用い、かつ、前記複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rを、100~250nmの範囲内とすることを特徴とする。
保護層の表面に存在する凸部構造が無機フィラーの***によるものであることは、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて撮影した保護層の表面の写真画像を目視にて観察することにより確認することができる。
保護層の無機フィラーの***による凸部構造の凸部間の平均距離R(以下、「凸部間平均距離R」ともいう。)は、以下のように算出される。
まず、最外層である保護層について、走査型電子顕微鏡「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)により撮影(倍率:10000倍、加速電圧:2kV)した写真画像(図1(a)参照。)を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)自動画像処理解析システム ルーゼックス(登録商標)AP ソフトウエアVer.1.32(株式会社ニレコ製)に取り込み、モノクロヒストグラムの極大値+30レベルを閾値として該写真画像を二値化した後(図1(b)参照。)、隣接重心間距離を算出し、これを保護層の無機フィラーの***による凸部構造の凸部間平均距離Rとする。
前記凸部間平均距離Rを250nm以下とすることで、凸部が均一に緻密になり、トナーが感光体表面に接する際に、無機フィラー部分に接する確率が高くなる。その結果、クリーニング時に残留トナーを確実かつ速やかに除去することができる。また、残留トナーはブレードニップ手前に堆積しにくくなり、ブレードニップ手前での残留トナーの対流による外添剤の遊離や凝集が抑制され、遊離外添剤やその凝集物のすり抜けも低減されるため、アルミナの外添剤を使用した場合においても、感光体やクリーニングブレードの摩耗や傷、及び、それに伴うクリーニング不良が発生しにくくなる。
無機フィラーによる前記凸部間平均距離Rを小さくするためには、無機フィラー濃度を高くすることが有効であるが、無機フィラー濃度が高すぎると重合硬化樹脂部分が相対的に少なくなるため、架橋密度が低下することで保護層が脆くなり、感光体摩耗が増加する。このような理由から、無機フィラーによる前記凸部間平均距離Rは100nm以上である必要があると推察される。
また、前記凸部平均高さは、特に制限されないが、100nm以下であることが好ましく、55nm以下であることがより好ましく、35nm以下であることがさらに好ましい(下限0nm)。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、クリーニングブレードの摩耗がより低減される。この理由は、保護層中の無機フィラーによるクリーニングブレードの摩耗がより低減されるとともに、クリーニングブレードと、保護層を構成する重合硬化物の樹脂部分との接触も十分に起こるからであると推測される。
さらに、保護層中に無機フィラーを凝集させることなく均一に分散させることにより、凸部間の平均距離Rを最適な範囲へと制御することができる。後述のように、無機フィラーの粒径、表面修飾剤の有無や種類等を適正化することにより、保護層中に無機フィラーを均一に分散することができる。
本発明の電子写真画像形成方法では、感光体(電子写真感光体)が用いられる。
また、感光体は、上記の導電性支持体、感光層及び保護層以外の他の構成をさらに含んでいてもよい。当該他の構成の好ましい例としては、中間層等が挙げられる。当該中間層は、例えば、上記導電性支持体と上記感光層との間に配置される、バリア機能と接着機能とを有する層である。
本発明で用いられる感光体の好ましい一形態の例として、導電性支持体と、当該導電性支持体上に配置される中間層と、当該中間層上に配置される感光層と、当該感光層上に配置される保護層を最外層として含むものが挙げられる。
<導電性支持体>
導電性支持体は、感光層を支持し、かつ導電性を有する部材である。導電性支持体の形状は、通常、円筒状である。導電性支持体の好ましい例としては、金属製のドラム又はシート、ラミネートされた金属箔を有するプラスチックフィルム、蒸着された導電性物質の膜を有するプラスチックフィルム、導電性物質又は導電性物質と、バインダー樹脂とからなる塗料を塗布してなる導電層を有する金属部材やプラスチックフィルム、紙等が挙げられる。上記金属の好ましい例としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス鋼等が挙げられ、上記導電性物質の好ましい例としては、上記金属、酸化インジウム及び酸化スズ等が挙げられる。
感光層は、後述する露光により所期の画像の静電潜像を感光体の表面に形成するための層である。当該感光層は、単層でもよいし、積層された複数の層で構成されていてもよい。感光層の好ましい例としては、電荷輸送物質と、電荷発生物質とを含有する単層、及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層との積層物等が挙げられる。
保護層は、トナーと接触する側の最外部に配置される層であることが好ましく、感光体表面の機械的強度を向上させ、耐傷性や耐摩耗性を向上させるための層である。
本発明に係る保護層は、重合性モノマーと、無機フィラーと、を含む組成物(以下、保護層形成用組成物とも称する。)の重合硬化物を含有する。
保護層形成用組成物は、無機フィラーを含む。本明細書において、無機フィラーとは、少なくともその表面が無機物から構成される粒子をいう。無機フィラーは、保護層の耐摩耗性を向上させる機能を有する。また、残留トナーの除去性を向上させてクリーニング性を向上させ、感光体やクリーニングブレードの摩耗を低減させる機能を有する。
このような粒子を使用した場合、重合性モノマーとの屈折率の差が小さい芯材(コア)を選択することで、保護層の硬化に用いられる活性エネルギー線(特には紫外線)の透過性が向上し、硬化後の保護層の膜強度を向上し、保護層の摩耗をより低減される。また、外殻(シェル)を構成する材料の選択や外殻(シェル)の形状を制御することで、後述する表面修飾粒子における表面修飾効果をより高めることができる。これより、感光体やクリーニングブレードの摩耗の低減効果及び画像不良の抑制効果をより向上させるとともに、さらに凹凸紙への転写性をより向上させることができる。
当該複合粒子の芯材(コア)を構成する材料は、特に制限されないが、硫酸バリウム(BaSO4)、アルミナ(Al2O3)及びシリカ(SiO2)等の絶縁材料が挙げられる。これらの中でも、保護層の光透過性を確保する観点から、硫酸バリウム、シリカが好ましい。また、当該複合粒子の外殻(シェル)を構成する材料は、上記金属酸化物粒子を構成する金属酸化物として挙げたものと同様である。
コア・シェル構造の複合粒子の好ましい例としては、硫酸バリウムからなる芯材と、酸化スズからなる外殻と、を有する、コア・シェル構造の複合粒子等が挙げられる。なお、芯材の個数平均一次粒径と、外殻の厚さとの比率は、使用する芯材及び外殻の種類、ならびにこれらの組み合わせに応じて、所望の表面修飾効果を得られるように適宜設定すればよい。
また、無機フィラーの個数平均一次粒径の上限値は、特に制限されないが、700nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下がよりさらに好ましく、150nm以下が特に好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、クリーニングブレードの摩耗がより低減される。これらの理由は、個数平均一次粒径を上記範囲へと制御することによって、保護層の無機フィラーの***による凸部構造の凸部間の平均距離Rを最適な範囲へと制御することができるからであると推測される。
これより、本発明の好ましい一形態の例としては、無機フィラーの個数平均一次粒径は、50~200nmの範囲内であることが挙げられる。
まず、保護層について、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により撮影された10000倍の拡大写真をスキャナーに取り込む。次いで、得られた写真画像から、凝集粒子を除く300個の粒子像を、ランダムに自動画像処理解析システム ルーゼックス(登録商標)AP ソフトウエアVer.1.32(株式会社ニレコ製)を使用して2値化処理して、当該粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径を算出する。そして、当該粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径の平均値を算出して個数平均一次粒径とする。
ここで、水平方向フェレ径とは、上記粒子像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。また、無機フィラーの個数平均一次粒径の測定は、後述する重合性基を有する無機フィラーや表面修飾粒子においては、重合性基を有する化学種や表面修飾剤由来の化学種(被覆層)を含まない無機フィラー(未処理母体粒子)について行うものとする。
前記無機フィラーは、表面処理剤(表面修飾剤)により疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理することにより、無機フィラーを保護層中に高濃度で、かつ、凝集させることなく均一に分散することができ、凸部間の平均距離Rを最適な範囲へと制御することができる。疎水化表面処理剤としては、例えば、一般的なカップリング剤、シラン化合物、シリコーン鎖を有する表面処理剤(シリコーン表面処理剤、シリコーン表面修飾剤)等を用いることができる。
無機フィラーは、シリコーン表面修飾剤により表面修飾されていることが好ましい。
すなわち、無機フィラーは、側鎖型シリコーン表面修飾剤により表面修飾されていることが好ましい。側鎖型シリコーン修飾剤は、外添剤と、無機フィラーとの間の付着力及び摩擦力をより低減させ、残留トナーの除去性をより向上させることで、クリーニング性をより向上させ、特にクリーニングブレードの摩耗をより低減させる機能を有する。
この理由は、以下のように推測される。側鎖型シリコーン表面修飾剤は、嵩高い構造を有しており、また無機フィラー上のシリコーン鎖の濃度をより高くすることができ、金属酸化物粒子の表面を効率的に疎水化する。その結果、外添剤と、無機フィラーとの間の付着力及び摩擦力を顕著に低減させることができる。
また、ポリ(メタ)アクリレート主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する、側鎖型シリコーン表面修飾剤の市販品の具体例としては、サイマック(登録商標)US-350(以上、東亞合成株式会社製)、KP-541、KP-574、及びKP-578(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
そして、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する、側鎖型シリコーン表面修飾剤の市販品の具体例としては、KF-9908、KF-9909(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、シリコーン表面修飾剤は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
また、シリコーン表面修飾剤の使用量は、シリコーン表面修飾前の無機フィラー(後述する反応性表面修飾後の無機フィラーをシリコーン表面修飾する場合は、反応性表面修飾後の無機フィラー)100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、未反応のシリコーン表面修飾剤による保護層の膜強度の低下が抑制され、感光体の摩耗がより低減される。
前述のように、保護層形成用組成物中の無機フィラーは、重合性基を有することが好ましい。そして、重合性基の導入方法としては、特に制限されないが、反応性表面修飾を行う方法が好ましい。
S-1:CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2
S-2:CH2=CHSi(OCH3)3
S-3:CH2=CHSi(OC2H5)3
S-4:CH2=CHCH2Si(OCH3)3
S-5:CH2=CHCH2Si(OC2H5)3
S-6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S-7:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S-8:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S-9:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OC2H5)3
S-10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S-11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S-12:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S-13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S-14:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S-15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S-16:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S-17:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S-18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S-19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S-20:CH2=C(CH3)COO(CH2)8Si(OCH3)3
保護層形成用組成物は、重合性モノマーを含む。本明細書において、重合性モノマーとは、重合性基を有し、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により、又は加熱等のエネルギーの付加により、重合(硬化)して、保護層のバインダー樹脂となる化合物を表す。なお、本明細書でいう重合性モノマーには、上記の反応性表面修飾剤を含めないものとし、後述する潤滑剤としての重合性シリコーン化合物や重合性パーフルオロポリエーテル化合物を用いる場合にはこれらも含めないものとする。
マーは、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
保護層形成用組成物は、さらに重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤は、上記重合性モノマーを重合反応することによって得られる硬化樹脂(バインダ樹脂)を製造する過程で使用されるものである。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。また、重合性モノマーがラジカル重合性モノマーである場合、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α-アミノアルキルフェノン構造又はアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、IRGACURE(登録商標)819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)(BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。
保護層形成用組成物は、上記成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分の例としては、特に制限されないが、潤滑剤等が挙げられる。電荷輸送物質は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、トリアリールアミン誘導体等が挙げられる。潤滑剤は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、重合性シリコーン化合物及び重合性パーフルオロポリエーテル化合物等が挙げられる。
保護層の厚さは、感光体の種類に応じて適宜好ましい値を設定することができ、特に制限されないが、一般的な感光体では、0.2~15μmの範囲内であることが好ましく、0.5~10μmの範囲内であることがより好ましい。
本発明の一形態に用いられる電子写真感光体は、後述する保護層形成用塗布液を用いる以外は、特に制限されず公知の電子写真感光体の製造方法によって製造することができる。これらの中でも、導電性支持体上に形成された感光層の表面に、保護層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布された保護層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、又は塗布された保護層形成用塗布液を加熱して、保護層形成用塗布液中の重合性モノマーを重合させる工程と、を含む方法によって製造することが好ましく、保護層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布された保護層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、保護層形成用塗布液中の重合性モノマーを重合させる工程と、を含む方法がより好ましい。
乾燥時間は、特に制限されないが、好ましくは1~200分であり、より好ましくは5~100分である。
本発明の画像形成方法において、トナーは、トナー母体粒子と、トナー母体粒子に外添された外添剤として少なくともアルミナ粒子とを含む。
本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。「トナー母体粒子」は、少なくとも結着樹脂を含むものであり、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
トナー母体粒子の組成、構造は、又は特に制限されず、公知のトナー母体粒子を適宜採用することができる。例えば、特開2018-72694号公報、特開2018-84645号公報等に記載のトナー母体粒子が挙げられる。
また、本明細書において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
トナー粒子の平均円形度は、0.995以下であることが好ましく、0.985以下であることがより好ましく、0.93~0.97の範囲内であることがさらに好ましい。このような範囲の平均円形度であれば、より帯電しやすいトナー粒子となる。
外添剤は、金属酸化物粒子を含む。外添剤としての金属酸化物粒子は、転写部材とトナーとの間の静電的・物理的な付着力を低減させ、転写性を向上させる機能を有する。また、残留トナーの除去性を向上させてクリーニング性を向上させ、感光体やクリーニングブレードの摩耗を低減させる機能を有する。
本発明に係るトナーは、外添剤としてアルミナ粒子を用いる。
アルミナとは、Al2O3で表される酸化アルミニウムを指し、α型、γ型、σ型、それらの混合体等の形態が知られている。
アルミナ粒子は、特開2012-224542号公報、欧州特許第0585544号等の公知の方法により作製することができる。アルミナを作製する方法としては、バイヤー法が一般的であるが、高純度かつナノサイズのアルミナを得るために、加水分解法、気相合成法、火炎加水分解法、水中火花放電法等が挙げられる。
走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込む。画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のアルミナ粒子について2値化処理し、アルミナ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。
表面修飾剤によるアルミナ粒子の疎水化方法としては、例えば、気相中で浮遊させられたアルミナ粒子に対して表面修飾剤、又は表面修飾剤を含む溶液を噴霧するスプレードライ法等による乾式法、表面修飾剤を含有する溶液中にアルミナ粒子を浸漬し、乾燥する湿式法、表面修飾剤とアルミナ粒子を混合機により混合する混合法等が挙げられる。
本発明に係る外添剤は、トナー粒子の流動性や帯電性等を制御する観点から、上記アルミナ粒子以外に、その他の外添剤を含有することが好ましい。このような外添剤としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、酸化ホウ素粒子等が挙げられる。
トナー母体粒子の製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法等の公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性の観点から、乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子の分散液と混合し、所望のトナー粒径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂の粒子間の融着を行うことにより形状制御を行うことで、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウム及び鉛などとの合金、フェライト及びマグネタイトなどの強磁性金属の化合物など、従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
本発明の電子写真画像形成方法で用いる電子写真画像形成装置は、上述した感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体を露光し静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、感光体上に形成されたトナー像を転写する転写手段と、感光体の表面に残存した残留トナーを除去するクリーニング手段と、を有する。本発明の一形態に係る画像形成装置は、これらの手段に加え、感光体の表面に滑剤を供給する滑剤供給手段をさらに有するものが好ましい。
ただし、本発明は以下で説明する一形態のみに限定されるものではない。
を有する。
非接触式の帯電装置が用いられうる。
加する電圧印加装置よりなるものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
図5に示す製造装置を用い、硫酸バリウム(BaSO4)芯材(コア)の表面に酸化スズ(SnO2)の被覆層(シェル)が形成されてなる複合粒子を作製した。なお、下記表Iでは当該複合粒子を「SnO2/BaSO4」と表記する。
エタノール100mLに酸化スズ(数平均一次粒径=20nm)10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散を行い、次いで、ラジカル重合性官能基を有するシランカップリング剤(S-16):3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g及びエタノール10mLを加えUSホモジナイサーを用いて30分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、反応性表面修飾が施されたフィラー粒子〔a〕を得た。
得られたフィラー粒子〔a〕10gを、2-ブタノール40gに加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散を行い、次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面修飾剤(疎水性表面修飾剤)「KF-9908]「(信越化学社製)0.5g及び2-ブタノール10mLを加えて、さらに30分間USホモジナイザーを用いて分散を行った。分散後、エバポレーターによって溶剤を除去し、120℃で1時間乾燥させることにより、表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕を調製した。
表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕の調製において、用いる未修飾金属酸化物粒子、反応性表面修飾剤、疎水性表面修飾剤の種類及び量を下記表Iに従って変更したこと以外は同様にして、表面修飾金属酸化物粒子〔P-2〕~〔P-11〕を調製した。
なお、表面修飾金属酸化物粒子〔P-4〕~〔P-9〕及び〔P-11〕の調製において用いる未修飾金属酸化物粒子は、前記で作製した数平均一次粒径100nmの複合粒子を使用し、表面修飾金属酸化物粒子〔P-10〕の調製において用いる未修飾金属酸化物粒子は、数平均一次粒径200nmの複合粒子を使用した。
また、表面修飾金属酸化物粒子〔P-9〕の調製においては、ラジカル重合性官能基を有するシランカップリング剤による表面修飾を行わずに、KF9908による表面修飾のみを行った。
さらに、表面修飾金属酸化物粒子〔P-11〕の調製においては、シリコーン表面修飾剤による表面修飾を行わずに、ラジカル重合性官能基を有するシランカップリング剤による表面修飾のみを行った。
「KF-9908」:シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面修飾剤(信越化学工業製)
「KF-9909」:シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面修飾剤(信越化学工業製)
「KF-574」:アクリル主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面修飾剤(信越化学工業製)
「KF-99」:直鎖型シリコーン表面修飾剤(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)(信越化学工業製)
<感光体〔1〕の作製>
(1)導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を準備した。
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ株式会社製):10質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製):11質量部
エタノール:200質量部
からなる中間層用組成物を混合し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、110℃で20分乾燥後の膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
電荷発生物質(Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン及び(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶):24質量部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL-1(積水化学社製)」:12質量部
3-メチル-2-ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V):400質量部
からなる電荷発生層用組成物を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP(株式会社日本精機製作所製)」を19.5kHz,600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間にわたって分散することにより、電荷発生層塗布液を調製した。
この電荷発生層塗布液を浸漬塗布法によって中間層上に塗布して、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
下記電荷輸送物質(2):60質量部
ポリカーボネート樹脂「Z300(三菱ガス化学社製)」:100質量部
酸化防止剤「Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)」:4質量部
からなる組成を混合、溶解させることにより電荷輸送層塗布液を調製した。
ラジカル重合性モノマー M2:60質量部
電荷輸送物質(3):20質量部
表面修飾酸化スズ粒子(表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕):100質量部
重合開始剤(「イルガキュアー819」:BASFジャパン社製):5質量部
2-ブタノール:300質量部
テトラヒドロフラン:30質量部
からなる組成を溶解・分散し、保護層塗布液を調製した。
前記感光体〔1〕の保護層の作製で用いた表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕を表IIIのように変更した点以外は、感光体〔1〕と同様にして感光体〔2〕~〔11〕を作製した。
前記感光体〔1〕の保護層の作製で用いたラジカル重合性モノマー M2を100質量部、表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕を〔P-7〕60質量部に変更した点以外は、感光体〔1〕と同様にして感光体〔12〕を作製した。
前記感光体〔1〕の保護層の作製で用いたラジカル重合性モノマー M2を40質量部、表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕を120質量部に変更した点以外は、感光体〔1〕と同様にして感光体〔13〕を作製した。
得られた感光体について、走査型電子顕微鏡(SEM)(「JSM-7401F」、日本電子株式会社製)を用いて撮影(倍率:10000倍、加速電圧:2kV)した感光体表面の写真画像を目視にて観察することにより、保護層の凸部構造が、***した金属酸化物粒子によって構成されていることを確認した。
また、前記写真画像をスキャナーにより、画像処理解析装置(「LUZEX AP」、株式会社ニレコ製)に取り込み、モノクロヒストグラムの極大値+30レベルを閾値として該写真画像を二値化した後、隣接重心間距離を算出し、これを保護層の無機フィラーの***による凸部構造の凸部間平均距離Rとし、下記表IIIに示した。
<外添剤アルミナ粒子の作製>
(アルミナ粒子〔1〕の作製)
三塩化アルミニウム(AlCl3)320kg/hを約200℃で蒸発装置中で蒸発させ、塩化物の蒸気を、窒素により、バーナーの混合チャンバー中に通過させた。ここで、気体流を水素100Nm3/h及び空気40Nm3/hと混合し、中央チューブ(直径7mm)を介して火炎へ供給した。その結果、バーナー温度は230℃であり、チューブの排出速度は約35.8m/sであった。水素0.05Nm3/hをジャケットタイプの気体として外側チューブを介して供給した。気体は反応チャンバー中で燃焼し、下流の凝集ゾーンで約110℃まで冷却された。そこでは、アルミナの一次粒子の凝集が行われた。同時に生成される塩酸含有ガスから、得られた酸化アルミニウム粒子をフィルター又はサイクロン中で分離し、湿空気を有する粉末を約500~700℃で処理することにより、接着性の塩化物を除去した。こうしてアルミナ粒子1aを得た。
上記で得られたアルミナ粒子を反応容器に入れて、窒素雰囲気下、粉末を回転羽根で撹拌しながら、アルミナ粉体100gに対して、疎水化処理剤イソブチルトリメトキシシラン20gをヘキサン60gで希釈させたものを添加し、200℃120分加熱撹拌後冷却水で冷却し、アルミナ粒子〔1〕を得た。
アルミナ粒子〔1〕の作製方法において、上述した反応条件、火炎中での滞留時間又は凝集ゾーンの長さ等の各種条件を調整し、表IIに記載のアルミナ粒子〔2〕~〔5〕を作製した。
(トナー〔1〕の作製)
(1)トナー母体粒子1の作製
(1.1)コア部用樹脂粒子A分散液の調製
(1.1.1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、あらかじめアニオン性界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
・n-ブチルアクリレート:154質量部
・メタクリル酸:77質量部
・n-オクチルメルカプタン:17質量部
下記成分を下記分量で混合し、オフセット防止剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液2を調製した。
・n-ブチルアクリレート:27質量部
・メタクリル酸:6質量部
・n-オクチルメルカプタン:1.7質量部
樹脂粒子a11の分散液に、重合開始剤としてKPS2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、下記成分が下記分量で配合された単量体溶液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア部用樹脂粒子Aが分散されたコア部用樹脂粒子Aの分散液を調製した。コア部用樹脂粒子Aのガラス転移点は45℃であり、軟化点は100℃であった。
・n-ブチルアクリレート:78質量部
・メタクリル酸:16質量部
・n-オクチルメルカプタン:4.2質量部
(1.2.1)シェル層用樹脂(スチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂B)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、下記成分1を下記分量で入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:500質量部
・テレフタル酸:117質量部
・フマル酸:82質量部
・エステル化触媒(オクチル酸スズ):2質量部
・アクリル酸:10質量部
・スチレン:30質量部
・ブチルアクリレート:7質量部
・重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド):10質量部
得られたスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂B 100質量部を、粉砕器(ランデルミル、RM型;株式会社徳寿工作所社)で粉砕し、あらかじめ調製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー(「US-150T」、株式会社日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、個数基準のメディアン径(D50)が250nmであるシェル層用樹脂粒子Bが分散されたシェル層用樹脂粒子Bの分散液を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(「モーガルL」、キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置(「クレアミックス(登録商標)」、エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液1を調製した。この分散液における着色剤粒子の粒径を、マイクロトラック粒度分布測定装置(「UPA-150」、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、コア部用樹脂粒子Aの分散液を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10(25℃)に調整した。
100質量部の上記調製したトナー母体粒子1に、外添剤として、シリカ粒子1(HMDS処理、疎水化度72、個数平均粒径=110nm)を0.3質量部、シリカ粒子2(HMDS処理、疎水化度67、個数平均粒径=12nm)を0.8質量部、上記調製したアルミナ粒子〔1〕を0.5質量部添加した。これをヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業(株)製)に添加し、羽根先端周速が40m/sとなるようにして回転数を設定して20分間撹拌し、トナー〔1〕を調製した。
上記トナー〔1〕の作製において、アルミナ粒子〔1〕をアルミナ粒子〔2〕~〔5〕に変更した以外は同様にして、トナー〔2〕~〔5〕を調製した。
上記トナー〔1〕の作製において、アルミナ粒子〔1〕をチタニア粒子(オクチルトリメトキシシラン処理、疎水化度75、個数平均粒径=25nm)に変更した以外は同様にして、トナー〔6〕を調製した。
体積平均粒径が40μm、飽和磁化が63A・m2/kgのMn-Mg系の「フェライト粒子1」100質量部と被覆用樹脂としてメタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸メチル(単量体の質量比50:50)の共重合体(重量平均分子量:50万)2.0質量部を水平撹拌翼つき高速撹拌混合機に投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌混合した後、120℃で50分間撹拌して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆用樹脂からなる樹脂被覆層を形成しキャリアを作製した。
このようにして作製したキャリア93質量部にトナー〔1〕~〔6〕を各々7質量部添加し、V型混合機に投入して混合し現像剤〔1〕~〔6〕を作製した。
以上のようにして作製した感光体〔1〕~[13]と現像剤〔1〕~〔6〕を、下記表IIIに示すような組み合わせで市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)(以下、評価機ともいう。)に搭載した。これを用いて、常温常湿環境(温度20℃、湿度50%RH)にて、A4版の上質紙(65g/m2)上にテスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を1000枚行った。
次に、高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)にて、A4版の上質紙(65g/m2)上にテスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を70000枚行った後、印字率が40%の帯状ベタ画像を形成する印刷を30000枚行った。次に、低温低湿環境(温度10℃、湿度20%RH)にて、同じようにして計100000枚の印刷を行った。
1000枚印刷後(表IV中、初期(NN)と示す。)、100000枚印刷後(表IV中、100kp(HH)と示す。)、200000枚印刷後(表IV中、200kp(LL)と示す。)のそれぞれのタイミングにおいて、下記の評価を行った。評価結果を表IVに示す。
帯電量測定装置「ブローオフ式TB-200」(東芝社製)に400メッシュのステンレス製スクリーンを装着し、ブロー圧0.5kgf/cm2(0.049MPa)の条件で、上記各印刷実行後の現像器内のトナーに対し、10秒間窒素ガスにてブローした。当該ブロー後に測定された電荷を、ブローにより飛翔したトナーの質量で除することにより、帯電量(μC/g)を算出した。
上記各タイミングにおいて、A4版の上質紙(65g/m2)上にベタのパッチを出力し、その絶対画像濃度をマクベス社製反射濃度計RD-918により測定した。絶対画像濃度は、初期(上記1000枚印刷後)からの変化量が小さいものほど良い。
画像が形成されていない白紙のA4版の上質紙(65g/m2)の20か所において、マクベス反射濃度計「RD-918」により絶対画像濃度を測定し、その平均値を白紙濃度とした。次に、200000枚印刷後の評価画像の白地部分の20か所において、同様にして絶対画像濃度を測定し、その平均値から上記白紙濃度を引いた値をかぶり濃度とした。算出したかぶり濃度を下記基準に従って評価した。評価結果が「◎」又は「○」である場合を合格とした。
◎:かぶり濃度が0.007以下
○:かぶり濃度が0.007超0.011未満
×:かぶり濃度が0.011以上
200000枚印刷後の画像評価として、A4版の上質紙(65g/m2)に階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンのCCD(Coupled Charged Device)カメラによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度に合わせたGI(Graininess Index)値を測定し、最大GI値を求めた。GI値は、小さいほど良く、小さいほど画像の粒状感が少ないことを表している。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。求めた最大GI値を下記基準に従って評価した。評価結果が「◎」又は「○」である場合を合格とした。
◎:最大GI値が、0.170以下
○:最大GI値が、0.170超0.180未満
×:最大GI値が、0.180以上
上記耐久試験前後における感光体の表面層の膜厚減耗量により評価した。
具体的には、表面層の膜厚は、均一膜厚部分(塗布の先端部及び後端部の膜厚変動部分を膜厚プロフィールを作製して除く)をランダムに10ヶ所測定し、その平均値を表面層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器「EDDY560C」(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用い、耐久試験前後の表面層の膜厚の差を膜厚減耗量(μm)として算出した。
○:減耗量≦0.6μm(実用上問題なし)
△:0.6μm<減耗量≦1.0μm(実用上問題なし)
×:減耗量>1.0μm(実用上問題あり)
耐久実験後、クリーニングブレードを、形状測定レーザマイクロスコープ「VK-X100」(株式会社キーエンス製)を用いて観察し、摩耗幅を算出した。そして、上記耐久実験前後のクリーニングブレードの摩耗幅の差を摩耗量とし、下記評価基準に従って摩耗量を評価した。なお、摩耗量20μm以下を実用可能と判断した。
〈評価基準〉
○:摩耗幅が10μm以下
△:摩耗幅が10μmより大きく、20μm以下
×:摩耗幅が20μmより大きい
上記耐久試験後に、10℃、15%RHの環境下において、紙の搬送方向の前方部に黒地部、後方部に白地部が位置するように、ハーフトーン画像を、A3版中性紙に100枚プリントした。100枚目のプリントの白地部について、トナーのすり抜けにより発生した汚れを目視により観察し、下記評価基準にしたがって、クリーニング性を評価した。
○:白地部に汚れが見られなかった
△:白地部に軽微なスジ状の汚れが発生したが、実用上の問題はないレベル
×:白地部に明らかなスジ状の汚れが発生した(実用上問題あり)
2Y、2Y’、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー(一次転写手段)
5b 二次転写部(二次転写手段)
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 中間転写体ユニット
8、120 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
41 母液槽
41a 撹拌翼
41b、43b シャフト
41c、43c モーター
42、44 循環配管
43 強分散装置
43a 撹拌部
45、46 ポンプ
70 中間転写体
71~74 ローラー
82R、82L 支持レール
100 画像形成装置
116Y 滑剤供給手段
121 ブラシローラー
122 滑剤
122a 表面
123 加圧バネ
A 本体
Claims (4)
- 感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及びクリーニング工程を有する電子写真画像形成方法であって、
前記帯電工程が、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段を有しており、
前記感光体が、保護層を有し、
前記保護層が、重合性モノマーと無機フィラーを含む組成物の重合硬化物を含有し、
前記無機フィラーが、側鎖にシリコーン鎖を有する表面修飾剤と、重合性基を有する表面修飾剤により表面修飾されており、
前記保護層の表面が、無機フィラーの***による複数の凸部を有し、
前記現像工程では、アルミナ粒子をトナー母体粒子に外添したトナーを用い、かつ、
前記複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rを、100~250nmの範囲内とすることを特徴とする電子写真画像形成方法。 - 前記無機フィラーの個数平均1次粒径が、50~200nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成方法。
- 前記アルミナ粒子の個数平均粒径が、10~60nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真画像形成方法。
- 前記無機フィラーが、芯材の表面に金属酸化物が付着されてなる外殻を有するコア・シェル構造の複合粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
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