JP2013224227A - セメント組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高炉スラグを含む高炉セメント等よりも強度発現性が高く、かつ、製造コストが低いセメント組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、以下の(A)〜(C)工程を含むセメント組成物の製造方法を提供する。
(A)ボーグ式を用いて算出したセメント鉱物組成が、CSで20〜80質量%、CSで5〜60質量%、CAで1〜16質量%、およびCAFで6〜16%質量であるセメントクリンカーを焼成する、クリンカー焼成工程
(B)前記クリンカー100質量部に対し、粒径が1mm以上の高炉水砕スラグを2〜250質量部の割合で、クーラー内の710〜1400℃の領域に投入してクリンカーと混合させ、クリンカーを冷却すると同時に高炉水砕スラグを加熱および冷却して、クリンカーと、高炉水砕スラグの処理物との混合物を得る、スラグ処理工程
(C)前記混合物を粉砕するか、または該混合物にさらに石膏を添加した混合物を粉砕する、粉砕工程
【選択図】なし

Description

本発明は、高炉水砕スラグ(以下「高炉スラグ」という。)を含む、従来の高炉セメント等よりも強度発現性が高く、また、高炉スラグの処理物を大量に含むこともできるセメント組成物の製造方法に関する。
高炉セメントは、普通ポルトランドセメント(以下「普通セメント」という。)と比べ、長期強度発現性、耐久性、防水性、および耐摩耗性が高く、水和発熱が低いなどの特性があり、また、セメント製造においてCOや原料の石灰石を大幅に削減できるという利点がある。これらの削減率は、例えば、高炉セメントB種では普通セメントに比べ、いずれも40%程度と高い。したがって、高炉セメントは、セメント製造におけるCOの排出削減や天然資源節約の手段として極めて有用である。
しかも、鐵鋼スラグ協会の統計では、2010年度の高炉スラグの生産量は1984万トンであるが、このうちセメント用途での高炉スラグの使用量は1551万トンで全体の78%であり、量的にも該用途が拡大する余地は十分にある。
しかし、高炉セメントは、材齢28日以前の初期強度発現性が劣り、桁、床版、および建築躯体等の初期強度を必要とする構造物には適さないとされている。この初期強度発現性が劣る理由として、高炉スラグは、クリンカーの水和によって生じる水酸化カルシウムの刺激により、徐々に水和が進む性質(潜在水硬性)があるため、水硬性のセメントクリンカーと比べ水和の進行が遅い点が挙げられる。実際、非特許文献1の93頁の図2に示すように、普通セメントを高炉スラグで段階的に置換した組成物を用いたJISモルタル(1997年改正前)の材齢3日の圧縮強さは、高炉スラグの添加量が多いほど顕著に低下し、高炉スラグの添加量が70%ではプレーンの強度の30〜35%程度しかない(本図面の図1参照)。
したがって、高炉スラグの潜在水硬性を向上させることができれば、高炉セメントは初期強度を必要する用途にも使用できることが期待される。
前記期待を受けて、高炉スラグの潜在水硬性を高める方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、高炉水滓を400〜700℃で5〜30分間急熱処理し、100℃以下に急冷した高炉水滓とこれを含む低発熱セメントが提案されている。しかし、この方法では、高炉水滓の急熱処理と急冷処理を別個に行うため、熱エネルギーのロスが大きくエネルギー効率が低い。また、実施例に記載されているように、高炉水滓を単独で粉砕してブレーン値が4500cm/gの粉砕物を得ているが、該ブレーン値は高炉セメントB種に用いられる高炉スラグのブレーン値(4100cm/g程度)より高いため粉砕コストが高くなる。さらに、粉砕コストの点からは、前記低発熱セメントにおいて高炉水滓とセメントクリンカーを別々に分離して粉砕する分離粉砕よりも、両者を混合して同時に粉砕する混合粉砕の方が優れている。
したがって、従来の高炉スラグを含む高炉セメント等よりも強度発現性が高く、また、高炉スラグの処理物を大量に含むこともでき、かつ、製造コストが低いセメント組成物の製造方法が望まれている。
依田彰彦ほか「微粉末化した高炉スラグを混和材として用いたモルタル・コンクリートの強度」、セメント技術年報、Vol.42、pp.92-95、昭和63年
特公平07−106929号公報
よって、本発明は、従来の高炉スラグを含む高炉セメント等よりも強度発現性が高く、また、高炉スラグの処理物を大量に含むことができ、かつ、製造コストが低いセメント組成物の製造方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、前記目的にかなうセメント組成物の製造方法を検討したところ、
(i)クーラーの特定の温度領域において、特定のセメント鉱物組成を有するクリンカーに、特定の粒径を有する高炉スラグを投入して混合すると、該混合過程において、クリンカーと高炉スラグの間の熱交換により、クリンカーは単にクーラーで冷却する場合よりも冷却速度が大きくなると同時に高炉スラグは加熱および冷却されて、水硬性が向上したクリンカーと潜在水硬性が向上した高炉スラグの混合物が得られること、
(ii)前記混合物を単に混合粉砕することにより、初期強度発現性の高いセメント組成物が容易に製造できること、
(iii)この製造方法によれば高炉スラグを大量に使用でき、また、エネルギー効率や粉砕効率が高く製造コストを低減できること
を見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[3]を提供する。なお、「%」は特に示さない限り「質量%」である。
[1]以下の(A)〜(C)工程を含むセメント組成物の製造方法。
(A)ボーグ式を用いて算出したセメント鉱物組成が、CSで20〜80%、CSで5〜60%、CAで1〜16%、およびCAFで6〜16%であるセメントクリンカーを焼成する、クリンカー焼成工程
(B)前記クリンカー100質量部に対し、粒径が1mm以上の高炉スラグを2〜250質量部の割合で、クーラー内の710〜1400℃の領域に投入してクリンカーと混合させ、クリンカーを冷却すると同時に高炉スラグを加熱および冷却して、クリンカーと、高炉スラグの処理物(以下「スラグ処理物」という。)との混合物を得る、スラグ処理工程
(C)前記混合物を粉砕するか、または前記混合物にさらに石膏を添加した混合物を粉砕する、粉砕工程
[2]前記(C)工程における石膏の添加量が、前記クリンカーと前記スラグ処理物の混合物100質量部に対し、SO換算で0.5〜4.0質量部である、前記[1]に記載のセメント組成物の製造方法。
[3]冷却後の前記スラグ処理物のガラス化率が85%以下である、前記[1]または[2]に記載のセメント組成物の製造方法。
本発明のセメント組成物の製造方法によれば、未処理の高炉スラグを含む従来の高炉セメント等よりも強度発現性が高く、また、高炉スラグの処理物を大量に含むことができ、かつ、製造コストが低いセメント組成物を提供することができる。
非特許文献1の93頁に掲載されたJIS R 5201によるモルタルの圧縮強さを示す図である。 本発明の製造方法を実施するための製造装置の1例を示す模式図である。
1.クリンカーの製造工程
本発明のクリンカーの製造方法は、前記のとおり、必須の工程として(A)クリンカー焼成工程、(B)スラグ処理工程、および(C)粉砕工程を含み、さらに、任意の工程として(D)原料調合工程を含む。
以下、本発明について各工程に分けて説明する。
(A)クリンカー焼成工程
該工程は、ボーグ式を用いて算出したセメント鉱物組成が、CSで20〜80%、CSで5〜60%、CAで1〜16%、および、CAFで6〜16%であるセメントクリンカーを焼成するものである。セメント鉱物組成が該範囲のクリンカーとして、普通ポルトランドセメントクリンカー、および早強ポルトランドセメントクリンカー等のポルトランドセメントクリンカーやエコセメントクリンカーなどが挙げられる。
該工程の焼成温度は、1000〜1450℃が好ましく、1200〜1400℃がより好ましい。該温度が1000〜1450℃の範囲であれば、水硬性の高いセメント鉱物が生成する傾向がある。また、該工程の焼成時間は30〜120分が好ましく、40〜60分がより好ましい。該時間が30分未満では焼成が十分でなく、120分を超えると生産性が低下する。
また、本発明の製造方法においてセメント原料の一部に廃棄物を用いる場合、クリンカー中に重金属が混入するおそれがある。クリンカー中の重金属の含有量が規定値を超える場合は、クリンカー焼成工程において塩化揮発法や還元焼成法を用いて、重金属の含有量を規定値の範囲内に調整することができる。
ここで、塩化揮発法とは、セメント原料中に含まれる重金属を、沸点の低い塩化物の形で揮発させて除去する方法である。具体的には、該方法は、重金属を含むセメント原料に塩化カルシウム等の塩素源を添加して、ロータリーキルン等の焼成炉を用いて焼成し、生成した重金属の塩化物を揮発させて除去するものである。
また、還元焼成法とは、セメント原料中に含まれる重金属を還元して、沸点の低い金属の形で揮発させて除去するものである。具体的には、該方法は、重金属を含むセメント原料を還元雰囲気下で、および/または、還元剤を添加して、ロータリーキルン等の焼成炉を用いて焼成して重金属を還元し、この還元した重金属を揮発させて除去するものである。
前記CS、CS、CAおよびCAFの含有率(組成)は、下記のボーグ式(i)〜(iv)を用いて算出する。
S(%)=4.07×CaO(%)−7.60×SiO(%)−6.72×Al(%)−1.43×Fe(%)−2.85×SO(%) ・・・(i)
S(%)=2.87×SiO(%)−0.754×CS(%) ・・・(ii)
A(%)=2.65×Al(%)−1.69×Fe(%) ・・・(iii)
AF(%)=3.04×Fe(%) ・・・(iv)
(式中の化学式は、調合原料中またはクリンカー中における、化学式が表す化合物の含有率を表す。)
(B)スラグ処理工程
該工程は、前記クリンカー100質量部に対し、粒径1mm以上の高炉スラグを2〜250質量部の割合で、クーラー内の710〜1400℃の領域に投入してクリンカーと混合させ、クリンカーを冷却すると同時に高炉スラグを加熱および冷却して、クリンカーと、スラグ処理物との混合物を得るものである。該工程において、クリンカーは単にクーラーで冷却される場合よりも冷却速度が大きい結果、水硬性が向上する。また、高炉スラグは加熱および冷却される結果、潜在水硬性が向上する。
前記高炉スラグの投入量(使用量)が2質量部未満では高炉スラグの使用量が少なく、クリンカーの冷却速度を大きくすることが困難となってクリンカー自体の強度発現の向上効果が低下し、該値が250質量部を超えるとセメント組成物の強度発現性が低下するおそれがある。なお、該値の下限は、前記クリンカー100質量部に対し5質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、該値の上限は、前記クリンカー100質量部に対し200質量部が好ましく、150質量部がより好ましい。
また、高炉スラグの粒径は1mm以上のものである。粒径が1mm未満ではクリンカーと高炉スラグが反応し易くなり、クリンカーの(初期)強度発現性が低下するおそれがある。高炉スラグの粒径はセメント組成物の強度発現性等から、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。なお、高炉スラグの粒径が150mmを超えるものは入手が困難であること、クーラーへの投入にも手間がかかること、また、粉砕効率が低下すること等から、高炉スラグの粒径は150mm以下であることが好ましい。
高炉スラグを投入するクーラー内の領域の温度は710〜1400℃である。該温度が710℃未満ではセメント組成物の強度発現性が低下するおそれがあり、1400℃を超えるとクリンカーと高炉スラグが反応し易くなり、クリンカーの(初期)強度発現性が低下するおそれがある。なお、該温度は750〜1350℃が好ましく、800〜1300℃がより好ましい。
また、冷却後のスラグ処理物のガラス化率は85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましい。ガラス化率が85%を超えると、後掲の表1中の比較例1と2に示すように、セメント組成物の強度発現性が低下する傾向がある。
従来、ガラス化率は高炉スラグの品質管理の評価指標として広く用いられ、ガラス化率が低いと高炉スラグの潜在水硬性が低いことは周知の事実である。しかるに、本発明において、スラグ処理物のガラス化率が低くても、該処理物を含むセメント組成物の強度発現性は向上するという現象は従来の経験事実に反し、当業者であっても予想することができないものである。ちなみに、該処理物中には、CSや少量のゲーレナイト等の結晶生成物が確認されている。
なお、ガラス化率は、通常、偏光顕微鏡を用いて、熱変性物中の結晶化部分とガラス化部分をポイントカウントし、全ポイント数に対するガラス化部分のポイント数の割合で表わす。
(C)粉砕工程
該工程は、クーラーを通過した後の、前記クリンカーとスラグ処理物の混合物を粉砕するか、または該混合物にさらに石膏を添加した混合物を粉砕してセメント組成物を得るものである。石膏を添加した混合物の粉砕は、粉砕が一度で済むため好ましい。
ただし、前記クリンカーとスラグ処理物の混合物と、石膏の被粉砕性が大きく異なる場合は、粒度分布の過度の拡大を抑制するため、該混合物と石膏とを別々に粉砕した後に、両者を混合してもよい。この場合、石膏のブレーン比表面積は、2000〜5000cm/gが好ましく、3000〜4000cm/gがより好ましい。該値が2000〜5000cm/gの範囲を外れると、強度発現性が低下したり水和熱が高くなるおそれがある。
石膏の添加量は、クリンカーとスラグ処理物の混合物100質量部に対し、SO換算で0.5〜4.0質量部が好ましく、1.0〜3.5質量部がより好ましく、1.5〜3.0質量部がさらに好ましい。該値が0.5〜4.0質量部の範囲であれば、セメント組成物の強度発現性が高く流動性も良好である。
また、石膏の種類は特に限定されず、例えば、天然二水石膏、排煙脱硫石膏、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏、精錬石膏、半水石膏、および無水石膏等から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
前記粉砕において、クリンカーとスラグ処理物等の混合物はそのまま粉砕してもよいが、好ましくは、粉砕効率を高めるために粉砕助剤を添加して粉砕する。該粉砕助剤として、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、およびトリイソプロパノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、トリイソプロパノールアミンは、セメント組成物の強度発現性が向上するため、より好ましい。これらの粉砕助剤の添加割合は、前記混合物100質量部に対し0.01〜1質量部が好ましい。なお、粉砕機はボールミルやロッドミル等を用いることができる。
本発明により製造されるセメント組成物の粉末度は、強度発現性、作業性、および製造コストなどの点から、ブレーン比表面積で2000〜5000cm/gが好ましく、2500〜4700cm/gがより好まく、3000〜4000cm/gがさらに好ましい。
また、該セメント組成物は、さらにフライアッシュ、石炭灰、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等を、セメント組成物の物性が損なわれない範囲で含んでもよい。
以上の工程を含む本発明の製造方法は、高炉スラグを大量に使用でき、製造コストを低減することができる。また、本発明により製造されたセメント組成物は、後掲の表2に示すように、初期および長期強度発現性が向上し、初期強度を必要とする用途にも使用できる。
(D)原料調合工程
さらに、本発明の製造方法は、任意の工程として、前記(A)工程の前にセメント原料を調合するための原料調合工程を含むことができる。
該工程では、カルシウム原料、ケイ素原料、アルミニウム原料および鉄原料等のセメント原料を、前記(i)〜(iv)式のボーグ式を用いて、前記セメント鉱物組成の範囲に含まれるように調合して調合原料を調製する。ここで、カルシウム原料として石灰石、生石灰、および消石灰等が、ケイ素原料として珪石や粘土等が、アルミニウム原料として粘土等が、鉄原料として鉄滓や鉄ケーキ等が挙げられる。
なお、焼成前の調合原料の化学組成は、焼成後のクリンカーの化学組成とほぼ同一となる場合が多いため、前記セメント鉱物組成を有するクリンカーを得るには、通常、ボーグ式に基づき計算して該鉱物組成を満たす原料を調合すれば足りる。ただし、正確を期すために、該原料の一部を電気炉等で焼成して、該原料中と焼成して得たクリンカー中の鉱物組成の相関を事前に把握しておき、該相関に基づき、原料の混合割合を、目的とするクリンカー中の鉱物組成になるように修正することが好ましい。
前記原料として、天然原料のほか、産業廃棄物、一般廃棄物、および/または建設発生土等の廃棄物を原料の一部に用いることができる。
該産業廃棄物として、例えば、石炭灰、生コンクリートスラッジ、建設汚泥、製鉄汚泥等の各種汚泥、ボーリング廃土、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、高炉二次灰、建設廃材、およびコンクリート廃材等が挙げられる。
また、前記一般廃棄物として、例えば、浄水汚泥、下水汚泥、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻、および下水汚泥焼却灰等が挙げられる。
また、前記建設発生土として、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土などが挙げられる。
なお、調合原料の粉末度を調整する必要がある場合は、ボールミル等の原料粉砕機で所定の粉末度になるまで粉砕して調整する。
以下、本発明を実施例と図面により説明するが、本発明はこれらの実施例や図面に限定されない。
1.セメント組成物の製造
Sが59%、CSが16%、CAが9%、およびCAFが9%である普通セメントクリンカー(以下「クリンカー」という。)を、ロータリーキルン1を用いて1400℃で焼成しクーラー3に落下させた。
次に、粒径が1〜106mmの範囲にあり、ガラス化率が99%の高炉スラグを、表1に示す投入割合で、クーラーの表1に示す温度の位置に投入した。高炉スラグとクリンカーは、クーラー3内を移動しながら混合され、クーラー3の出口において冷却したクリンカーとスラグ処理物の混合物を得た。なお、使用した高炉スラグの粒度構成は、粒径1〜9.5mmのものが45%、9.5mmを越え53mm以下のものが35%、53mmを越え106mm以下のものが20%であった。
次に、該混合物の一部は、そのまま混合粉砕して混合粉砕粉末(Pm)を得た。一方、該混合物の残りは、クリンカーとスラグ処理物の色調の違いに基づき目視によりクリンカーとスラグ処理物を分離した後、両者を別々に分離粉砕してクリンカー粉末(Pc)とスラグ処理物粉末(Ph)を得、さらに両粉末を混合して分離粉砕粉末(Ps)を得た。
また、前記高炉スラグをクーラーに投入することなくそのまま、前記クリンカーと混合し粉砕して混合粉砕粉末(Pm)を得た。
その後、混合粉砕粉末(Pm)、分離粉砕粉末(Ps)、混合粉砕粉末(Pm)、およびクリンカー粉末(Pc)のそれぞれ100質量部に対し、SO3換算で、二水石膏(試薬1級;関東化学社製)を1.3質量部と半水石膏(試薬1級;関東化学社製)を1.3質量部添加した後、さらに小型ミルで再度粉砕して、それぞれセメント組成物Cm(実施例1〜3、比較例2)、セメント組成物Cs(比較例1、参考例1、2)、セメント組成物Cm(比較例3、4)、および普通セメントCn(参考例3、4)を製造した。また、参考例5として市販の普通セメント(太平洋セメント社製)を、参考例6として市販の高炉セメントB種(太平洋セメント社製、高炉スラグ含有率40%、ブレーン比表面積3850cm/g)を用いた。
クーラー温度、スラグの投入割合(比較例3、4、参考例6の場合は「混合割合」)、混合物の粉砕方法、セメント組成物等のブレーン比表面積、およびスラグ処理物のガラス化率を表1に示す。
2.モルタルの圧縮強さの測定
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準じ、前記セメント組成物およびセメントを用いてモルタルを調製し該モルタルの材齢3日〜91日の圧縮強さを測定した。
モルタルの圧縮強さの測定結果を表1に、これらの圧縮強さの比を表2に示す。
Figure 2013224227
Figure 2013224227
3.実施例、比較例および参考例の意義について
表1中の実施例等の意義を以下に記す。
(i)実施例1〜3は、請求項1に記載の方法による製造例である。
(ii)比較例1と2は、高炉スラグを投入した位置のクーラー温度が600℃と低く、特許文献1に記載の低発熱セメントの製造例に相当する。
(iii)比較例3と4は、高炉スラグをそのままで、分離粉砕したクリンカーと混合した例であり、通常の高炉セメント等の製造例に相当する。
(iv)参考例1と2は、分離粉砕したクリンカーとスラグ処理物を混合したセメント組成物の製造例であり、混合粉砕したクリンカーとスラグ処理物からなるセメント組成物と比べるためである。
(v)参考例3と4は、分離粉砕したクリンカーに石膏を混合した例であり、通常の普通セメントの製造例に相当する。
(vi)参考例5は市販の普通セメントを用いた例で、参考例6は市販の高炉セメントB種を用いた例である。
4.実施例等の圧縮強さについて
表1と表2から、圧縮強さについて以下のことがいえる。
(1)実施例1は比較例3と比べ、すべての材齢において10%程度高く、実施例2は比較例4と比べ、すべての材齢において16〜20%程度高い。また、実施例3は比較例4と比べ、高炉スラグの使用量が多いにもかかわらず、すべての材齢において最高で20%程度高い。さらに、実施例2と3は参考例6と比べても、高炉スラグの使用量が多く、かつセメント組成物のブレーン比表面積が小さいにもかかわらず同等以上である。したがって、本発明に係るセメント組成物は、従来の未処理の高炉スラグを含む高炉セメント等よりも初期および長期の強度発現性に優れている。
(2)実施例1は参考例1と比べ、また、実施例2は参考例2と比べ、ほぼ同等である。したがって、本発明における混合粉砕が強度発現性に与える影響は、分離粉砕と同等である。よって、通常、混合粉砕は分離粉砕よりも粉砕効率が高いため、本発明の製造方法は粉砕コストが低いという利点がある。
(3)実施例1は参考例5と比べ、同等以上である。したがって、実施例1のセメント組成物の初期強度発現性は、普通セメントと同等以上に向上している。
(4)実施例2は比較例1や2と比べ、10〜20%程度高い。したがって、実施例2のセメント組成物はスラグ処理物を内割で50%も含むにもかかわらず、特許文献1に記載の低発熱セメントよりも強度発現性が高い。
(5)参考例3と4は参考例5と比べ、3〜10%程度高い。
以上のように、本発明の製造方法に係るセメント組成物の初期強度発現性が向上する理由は、クリンカー自体の水硬性が向上するとともに、スラグ処理物の潜在水硬性も向上するためと推定される。
したがって、本発明のセメント組成物の製造方法は、従来の未処理の高炉スラグを使用した高炉セメント等よりも強度発現性が高く、かつ製造コストが低いセメント組成物を提供することができる。
1 ロータリーキルン
2 プレヒーター
3 クーラー
4 窯前
5 メインバーナー
6 クリンカー

Claims (3)

  1. 以下の(A)〜(C)工程を含むセメント組成物の製造方法。
    (A)ボーグ式を用いて算出したセメント鉱物組成が、CSで20〜80質量%、CSで5〜60質量%、CAで1〜16質量%、およびCAFで6〜16%質量であるセメントクリンカーを焼成する、クリンカー焼成工程
    (B)前記クリンカー100質量部に対し、粒径が1mm以上の高炉水砕スラグを2〜250質量部の割合で、クーラー内の710〜1400℃の領域に投入してクリンカーと混合させ、クリンカーを冷却すると同時に高炉水砕スラグを加熱および冷却して、クリンカーと、高炉水砕スラグの処理物との混合物を得る、スラグ処理工程
    (C)前記混合物を粉砕するか、または該混合物にさらに石膏を添加した混合物を粉砕する、粉砕工程
  2. 前記(C)工程における石膏の添加量が、前記クリンカーと前記高炉水砕スラグの処理物との混合物100質量部に対し、SO換算で0.5〜4.0質量部である、請求項1に記載のセメント組成物の製造方法。
  3. 冷却後の前記高炉水砕スラグの処理物のガラス化率が85%以下である、請求項1または2に記載のセメント組成物の製造方法。
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