JP2013221110A - スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 断熱性および環境適合性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を提供する。
【解決手段】 ポリスチレン系樹脂、黒色系粒子と白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Yに対する上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
【選択図】なし
【解決手段】 ポリスチレン系樹脂、黒色系粒子と白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Yに対する上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
【選択図】なし
Description
本発明は、断熱性および環境適合性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体、およびその製造方法に関する。
スチレン系樹脂押出発泡体は、良好な施工性や断熱特性から、例えば構造物の断熱材として用いられている。スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法として、押出発泡成形が公知である。この押出発泡成形は、押出機などを用いてスチレン系樹脂組成物を加熱溶融し、ついで発泡剤を添加し所定の樹脂温度に冷却し、これを低圧域に押し出すことによりスチレン系樹脂押出発泡体を連続的に製造する。近年、炭酸ガス排出量削減の観点から、住宅、建築物などの省エネルギー化の要求が高まっており、従来以上に高断熱性の発泡体の技術開発が望まれている。
熱可塑性樹脂を用いた発泡体の断熱性を向上させる技術としては種々の技術が提案されている。例えば、発泡体の厚み方向の気泡径に対する押出方向(あるいは水平方向)の気泡径の比を制御する方法など、気泡形状、さらには気泡径を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタンなどの添加剤を添加する方法も提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。特に特許文献5または6では、フロン類を用いない発泡体に関する技術も開示されており、グラファイトや酸化チタンを添加することにより、断熱性が向上することが開示されている。
さらに、グラファイトの多量使用による形状不安定性(日射による反り)を防ぐため、酸化チタンと併用する方法も提案されている(例えば、特許文献7〜8)。
さらに、グラファイトの多量使用による形状不安定性(日射による反り)を防ぐため、酸化チタンと併用する方法も提案されている(例えば、特許文献7〜8)。
しかしながら、特許文献7ではグラファイトの使用量は0.3〜2重量部と制限されており、酸化チタンを併用したとしても、より高断熱性の発泡体を得ることに関しては改善の余地がある。また、特許文献8ではグラファイトを多量に使用しようとすれば多量の酸化チタンを添加しなければならず、押出が不安定になったり、発泡体の概観不良が生じるといった問題や発泡体の難燃性が低下する問題がある。さらに、特許文献7および8は、発泡剤として塩化メチル、塩化エチルといったハロゲン含有化合物を含んでおり、環境負荷の高い発泡体および製造方法になっている課題がある。
このような状況の下、本発明が解決しようとする課題は、優れた断熱性能を有し、かつ、環境適合性にも優れたスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、スチレン系樹脂押出発泡体の製造において、ポリスチレン系樹脂と熱線輻射抑制剤とハロゲン含有化合物を含まない発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡することにより、優れた断熱性能を有し、かつ、環境適合性にも優れた発泡体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]ポリスチレン系樹脂、黒色系粒子および白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Yに対する上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、
かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体である。
[2]前記黒色系粒子が、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウムペーストからなる群より選ばれる少なくとも1種があげられる。
[3]前記白色系粒子が、酸化チタン、硫酸バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種があげられる。
[4]前記黒色系粒子が、グラファイトであることが好ましい。
[5]前記グラファイトの固定炭素分が75〜90%であることが好ましい。
[6]前記グラファイトが鱗状黒鉛、人造黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種があげられる。
[7]前記グラファイトの分散粒径が15μm以下であることが好ましい。
[8]前記発泡剤が、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種があげられる。
[9]前記発泡剤が、さらに、水、二酸化炭素、窒素、炭素数が2〜5のアルコール類、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上があげられる。
[10]前記発泡体の熱伝導率が0.0245W/mK未満であることが好ましい。
[11]前記発泡体の密度が20〜50kg/m3、厚みが10〜150mmであることが好ましい。
[12]前記発泡体の製造方法がポリスチレン系樹脂、黒色系粒子と白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、
熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Yに対する上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、
かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法である。
[1]ポリスチレン系樹脂、黒色系粒子および白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Yに対する上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、
かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体である。
[2]前記黒色系粒子が、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウムペーストからなる群より選ばれる少なくとも1種があげられる。
[3]前記白色系粒子が、酸化チタン、硫酸バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種があげられる。
[4]前記黒色系粒子が、グラファイトであることが好ましい。
[5]前記グラファイトの固定炭素分が75〜90%であることが好ましい。
[6]前記グラファイトが鱗状黒鉛、人造黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種があげられる。
[7]前記グラファイトの分散粒径が15μm以下であることが好ましい。
[8]前記発泡剤が、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種があげられる。
[9]前記発泡剤が、さらに、水、二酸化炭素、窒素、炭素数が2〜5のアルコール類、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上があげられる。
[10]前記発泡体の熱伝導率が0.0245W/mK未満であることが好ましい。
[11]前記発泡体の密度が20〜50kg/m3、厚みが10〜150mmであることが好ましい。
[12]前記発泡体の製造方法がポリスチレン系樹脂、黒色系粒子と白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、
熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Yに対する上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、
かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法である。
本発明によれば、優れた断熱性を有し、かつ、環境適合性にも優れたスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一部にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
本発明で用いられるスチレン系樹脂としては、特に限定はなく、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系単量体の単独重合体または2種以上の単量体の組み合わせからなる共重合体や、前記スチレン系単量体とジビニルベンゼン、ブタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの単量体の1種または2種以上を共重合させた共重合体などが挙げられる。
スチレン系単量体と共重合させるアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの単量体は、製造されるスチレン系樹脂押出発泡体の圧縮強度等の物性を低下させない程度の量を用いることができる。
また、本発明に用いるスチレン系樹脂は、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体に限られず、前記スチレン系単量体の単独重合体または共重合体と、前記他の単量体の単独重合体または共重合体とのブレンド物であってもよく、ジエン系ゴム強化ポリスチレンやアクリル系ゴム強化ポリスチレンをブレンドすることもできる。さらに、本発明のスチレン系樹脂は、メルトフローレート(以下、「MFR」と称す。)、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するスチレン系樹脂であってもよい。
本発明におけるスチレン系樹脂としては、MFRが0.1〜50g/10分のものを用いることが、押出発泡成形する際の成形加工性に優れ、成形加工時の吐出量、得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚みや幅、密度または独立気泡率を所望の値に調整しやすく、発泡性(発泡体の厚みや幅、密度、独立気泡率、表面性などを所望の状況に調整しやすいほど、発泡性が良い)、外観などに優れた熱可塑性樹脂発泡体が得られると共に、圧縮強度、曲げ強度または曲げたわみ量といった機械的強度や、靱性などの特性のバランスがとれた、熱可塑性樹脂発泡体が得られる点から、好ましい。
さらに、スチレン系樹脂のMFRは、成形加工性および発泡性に対する機械的強度、靱性などのバランスの点から、0.3〜30g/10分がさらに好ましく、0.5〜30g/10分が特に好ましい。
ここで、本発明において、MFRは、JIS K7210(1999年)のA法、試験条件Hにより測定される。
さらに、スチレン系樹脂のMFRは、成形加工性および発泡性に対する機械的強度、靱性などのバランスの点から、0.3〜30g/10分がさらに好ましく、0.5〜30g/10分が特に好ましい。
ここで、本発明において、MFRは、JIS K7210(1999年)のA法、試験条件Hにより測定される。
本発明においては、前述されたスチレン系樹脂のなかでも、経済性・加工性の面から、ポリスチレン樹脂が特に好適に使用することができる。また、押出発泡体により高い耐熱性が要求される場合には、スチレン‐アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレンを用いることが好ましい。さらに、押出発泡体により高い耐衝撃性が求められる場合には、ゴム強化ポリスチレンを用いることが好ましい。
これらスチレン系樹脂は、単独で使用してもよく、また、重量平均分子量が2.4×105以上になれば、共重合成分、分子量や分子量分布、分岐構造、MFRなどの異なるスチレン系樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
これらスチレン系樹脂は、単独で使用してもよく、また、重量平均分子量が2.4×105以上になれば、共重合成分、分子量や分子量分布、分岐構造、MFRなどの異なるスチレン系樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
本発明で用いられる発泡剤としては、ハロゲン含有化合物を含まないこと以外は、特に限定するものではないが、炭素数3〜5の飽和炭化水素を使用することにより、優れた断熱性を付与することができる。
本発明で用いられる炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。これらの炭素数3〜5の飽和炭化水素のなかでは、発泡性の点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、あるいは、これらの混合物が好ましい。また、発泡体の断熱性能の点から、n−ブタン、i−ブタン、あるいは、これらの混合物が好ましく、特に好ましくはi−ブタンである。
本発明では、さらに、他の発泡剤を用いることにより、発泡体製造時の可塑化効果や助発泡効果が得られ、押出圧力を低減し、安定的に発泡体の製造が可能となる。ただし、目的とする発泡倍率、難燃性等の発泡体の諸特性いかんによっては、その使用量などが制限される場合があり、押出発泡成形性などが充分でない場合がある。
炭素数3〜5の飽和炭化水素以外の他の発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどの炭素数1〜4の飽和アルコール類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、などの有機発泡剤、水、二酸化炭素などの無機発泡剤、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤などを用いることができる。
これら他の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これら他の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
他の発泡剤の中では、発泡性、発泡体成形性などの点からは、炭素数1〜4の飽和アルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルなどが好ましく、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性あるいは後述する断熱性等の点からは、水、二酸化炭素が好ましい。これらの中では、可塑化効果の点からジメチルエーテルが、コスト、気泡径の制御による断熱性向上効果の点から水が特に好ましい。
本発明において、複数の発泡剤を添加する場合の各発泡剤の比率については、発泡剤の全重量に対して、炭素数3〜5の飽和炭化水素は20〜100重量%であり、好ましくは25〜100重量%であり、さらに好ましくは30〜100重量%であり、他の発泡剤は、0〜80重量%であり、好ましくは0〜75重量%であり、さらに好ましくは0〜70重量%である。他の発泡剤は、発泡体の断熱性能を良好なものにするために、80重量%以下にすることが好ましい。
本発明における発泡剤の使用量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、2〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。発泡剤の使用量が2重量部より少ないと、発泡倍率が低く、樹脂発泡体としての軽量、断熱などの特性が発揮されにくい場合があり、20重量部より多いと、過剰な発泡剤量の為、発泡体中にボイドなどの不良を生じる場合がある。
発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明においては、他の発泡剤として水やアルコール類を用いる場合には、安定して押出発泡成形を行うために、吸水性物質を添加することが好ましい。本発明に用いられる吸水性物質の具体例としては、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール−アクリル酸塩系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体およびこれらの誘導体などの吸水性高分子の他、表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)[例えば、日本アエロジル(株)製AEROSILなどが市販されている]などのように表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末;スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性あるいは水膨潤性の層状珪酸塩並びにこれらの有機化処理品;ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土などの多孔性物質等があげられる。
本発明で用いられる吸水性物質の添加量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。
本発明においては、黒色系粒子および白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤を添加することにより、高い断熱性を有し、蓄熱による発泡体の変形が生じない発泡体が得られる。
本発明における熱線輻射抑制材とは、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する物質をいう。
本発明における熱線輻射抑制材とは、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する物質をいう。
本発明における熱線輻射抑制剤の合計添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、1〜8重量部が好ましく、2〜7重量部がより好ましく、3〜6重量部がさらに好ましい。
熱線輻射抑制剤の合計添加量が1重量部未満では、高い断熱性が得られない傾向があり、8重量部を超えると、押出安定性・成形性が劣ったり、燃焼性が損なわれたりする傾向がある。
熱線輻射抑制剤の合計添加量が1重量部未満では、高い断熱性が得られない傾向があり、8重量部を超えると、押出安定性・成形性が劣ったり、燃焼性が損なわれたりする傾向がある。
本発明で用いられる黒色系粒子としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、活性炭、アルミニウムペーストなどが挙げられる。これら黒色系粒子は、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
これら黒色系粒子の中でも、熱線輻射抑制効果が大きい点から、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウムペーストが好ましく、グラファイトが特に好ましい。
これら黒色系粒子の中でも、熱線輻射抑制効果が大きい点から、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウムペーストが好ましく、グラファイトが特に好ましい。
本発明で用いられるグラファイトとしては、例えば、鱗状(鱗片状)黒鉛、人造黒鉛、土状黒鉛等があげられる。これらの中でも、熱輻射抑制効果が大きい点から、主成分が鱗状黒鉛、人造黒鉛であるものの1種又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
本発明で用いられるグラファイトの固定炭素分としては、75〜90%が好ましく、80〜90%がより好ましい。グラファイトの固定炭素分を上記範囲とすることにより、高い断熱性を有する発泡体が得られ、また、グラファイトを取り扱う時のハンドリング性が容易となる。
本発明で用いられる黒色系粒子の分散粒径については、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラックでは10〜300nm(0.01〜0.3μm)が好ましく、200〜290nm(0.2〜0.29μm)がより好ましく、また、グラファイトでは15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
黒色系粒子の分散粒径を上記範囲とすることにより、樹脂への粒子の存在確率が高くなり、熱線輻射抑制効果が大きくなる。
ここで、前記分散粒径とは、発泡板中に分散している、それぞれの黒色系粒子の粒子径の個数基準の算術平均値であり、分散している粒子径は、発泡板断面を顕微鏡などにより拡大して、計測される。前記一次粒径とは、体積平均粒径(d50)を意味する。
黒色系粒子の分散粒径を上記範囲とすることにより、樹脂への粒子の存在確率が高くなり、熱線輻射抑制効果が大きくなる。
ここで、前記分散粒径とは、発泡板中に分散している、それぞれの黒色系粒子の粒子径の個数基準の算術平均値であり、分散している粒子径は、発泡板断面を顕微鏡などにより拡大して、計測される。前記一次粒径とは、体積平均粒径(d50)を意味する。
ところで、分散粒径を前記範囲とするためには、カーボンブラックでは一次粒径が300nm以下のもの、グラファイトでは一次粒径が15μm以下のものを選択すればよい。
本発明における黒色系粒子の添加量Yとしては、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、0.5〜4重量部がより好ましく、1〜3重量部がさらに好ましい。
黒色系粒子の添加量Yが0.5重量部未満では、高い断熱性が得られない傾向があり、5重量部を超えると、押出安定性・成形性が劣ったり、蓄熱による発泡体の変形が大きくなる傾向がある。
ただし、本発明においては、黒色系粒子の添加量は単独で決定されるものではなく、白色系粒子の添加量と関連付けて決定することが好ましい。
黒色系粒子の添加量Yが0.5重量部未満では、高い断熱性が得られない傾向があり、5重量部を超えると、押出安定性・成形性が劣ったり、蓄熱による発泡体の変形が大きくなる傾向がある。
ただし、本発明においては、黒色系粒子の添加量は単独で決定されるものではなく、白色系粒子の添加量と関連付けて決定することが好ましい。
本発明で用いられる白色系粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモンなどが挙げられる。これら白色系粒子は、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
これら白色系粒子の中でも、熱線輻射抑制効果が大きい点から、酸化チタンや硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
これら白色系粒子の中でも、熱線輻射抑制効果が大きい点から、酸化チタンや硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
本発明で用いられる白色系粒子の分散粒径については、特に限定されるものではないが、効果的に赤外線を反射し、また樹脂への発色性を考慮すれば、例えば、酸化チタンでは、0.1μm〜10μmが好ましく、0.15μm〜5μmがより好ましい。
本発明における白色系粒子の添加量Xとしては、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.5〜7重量部が好ましく、1〜6重量部がより好ましく、2〜5重量部がさらに好ましい。
白色系粒子の添加量Xが0.5重量部未満では、高い断熱性が得られない傾向があり、7重量部を超えると、押出安定性・成形性が劣ったり、発泡体の難燃性が悪化する傾向がある。
ただし、本発明においては、白色系粒子の添加量は単独で決定されるものではなく、黒色系粒子の添加量と関連付けて決定することが好ましい。
白色系粒子の添加量Xが0.5重量部未満では、高い断熱性が得られない傾向があり、7重量部を超えると、押出安定性・成形性が劣ったり、発泡体の難燃性が悪化する傾向がある。
ただし、本発明においては、白色系粒子の添加量は単独で決定されるものではなく、黒色系粒子の添加量と関連付けて決定することが好ましい。
本発明においては、黒色系粒子の添加量Yに対する白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であることが好ましい。
X/Yが2以上であると、熱輻射抑制効果が黒色系粒子よりは劣る白色系粒子の存在確率が大きくなり、十分な熱輻射抑制効果を発揮させるには大量の熱輻射抑制剤を添加しなければならない。
X/Yが2以上であると、熱輻射抑制効果が黒色系粒子よりは劣る白色系粒子の存在確率が大きくなり、十分な熱輻射抑制効果を発揮させるには大量の熱輻射抑制剤を添加しなければならない。
本発明では、難燃剤としてハロゲン系難燃剤を含有することにより、得られるスチレン系樹脂発泡体に難燃性を付与することができる。
本発明におけるハロゲン系難燃剤の具体的な例としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、クロロペンタブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化脂環化合物;ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテルなどのハロゲン化芳香族化合物あるいはその誘導体;テトラブロモビスフェノール−A、テトラブロモビスフェノール−S、テトラブロモビスフェノール−F、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノール−S−ジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノール−F−ジアリルエーテル、などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体があげられる。
これらの物質はそれ単体で用いても、または混合物として用いても良い。
これらの物質はそれ単体で用いても、または混合物として用いても良い。
これらハロゲン系難燃剤のうちでも、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが、押出運転が良好であり、発泡体の耐熱性に悪影響を及ぼさない等の理由から、好ましい。
本発明におけるハロゲン系難燃剤の含有量は、JIS A9511に規定される燃焼性を得られると共に、発泡体製造時の押出機中でスチレン系樹脂の熱安定性を維持できるように、ハロゲン系難燃剤種、発泡剤添加量、発泡体密度、さらに場合によっては他添加剤の種類あるいは添加量などにあわせて適宜調整されるものであるが、概ねスチレン系樹脂100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、2〜4.5重量部がより好ましい。
ハロゲン系難燃剤の含有量が0.2重量部未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、5重量部を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。
但し、難燃剤の含有量は、JIS A9511測定方法Aに規定される難燃性が得られるように、発泡剤添加量、発泡体密度、難燃相乗効果を有する添加剤などの種類あるいは添加量などに合わせて、適宜調整されることがより好ましい。
ハロゲン系難燃剤の含有量が0.2重量部未満では、難燃性などの発泡体としての良好な諸特性が得られがたい傾向があり、一方、5重量部を超えると、発泡体製造時の安定性、表面性などを損なう場合がある。
但し、難燃剤の含有量は、JIS A9511測定方法Aに規定される難燃性が得られるように、発泡剤添加量、発泡体密度、難燃相乗効果を有する添加剤などの種類あるいは添加量などに合わせて、適宜調整されることがより好ましい。
本発明において、スチレン系樹脂発泡体の難燃性を向上させる目的で、上述した難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤を添加しても良い。難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤としては、例えば、含鉄化合物、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物などが挙げられ、具体的には、酸化鉄や含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物(芳香族スルホン酸系化合物)などを用いれば良い。
これら難燃助剤の中でも、難燃性の観点から、含鉄化合物として酸化鉄、含燐化合物としてトリフェニルホスフェートやトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、含窒素化合物としてシアヌル酸やイソシアヌル酸およびこれらの誘導体、含ホウ素化合物として酸化ホウ素、含硫黄化合物としてスルファニル酸およびこの誘導体が最も好ましい。なお、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体としては、例えば特開2002−30174号公報([0069]段落〜[0079]段落)記載のものを用いることができる。
本発明における、ハロゲン難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤の含有量は、ハロゲン難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤の種類にもよるが、スチレン系樹脂100重量部に対し、0.0001〜5重量部が好ましい。
本発明においては、さらに、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で種々のシリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、前記以外の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有されてもよい。
本発明におけるスチレン系樹脂に各種添加剤を添加する手順として、例えば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、更に発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤をスチレン系樹脂に添加するタイミングや混練時間は特に限定されない。
スチレン系樹脂の加熱温度は、使用されるスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、添加剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150〜260℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間当たりのスチレン系樹脂の押出量や溶融混練手段として用いる押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、スチレン系樹脂と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定される。
溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられるものであれば特に制限されない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低せん断タイプのものとすることが好ましい。
発泡成形方法は、例えば、押出整形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ開放して得られた押出発泡体を、スリットだいと密着又は接して設置された成形金型、及び該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整および金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体の表面性、発泡体品質が得られる。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、例えば建築用断熱材や保冷庫用または保冷車用の断熱材として機能することを考慮すると、JIS A9511に準じて測定される熱伝導率が0.028W/mK以下であることが好ましい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、例えば建築用断熱材や保冷庫用又は保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性および、軽量性の観点から、発泡体の密度が20〜50kg/m3であることが好ましく、より好ましくは25〜45kg/m3である。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における厚みは特に限定はないが、例えば建築用断熱材や保冷庫用又は保冷車用の断熱材として機能することを考慮した断熱性、曲げ強度及び圧縮強度の観点から、10〜150mmであることが好ましく、より好ましくは15〜120mmであり、特に好ましくは20〜100mmである。
かくして、本発明により、優れた断熱性を有し、かつ環境適合性にも優れたスチレン系樹脂押出発泡体を容易に得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例および比較例においては、特に断られない限り、「%」は「重量%」を表すものとする。
実施例および比較例において使用した原料は、次の通りである。
(A)スチレン系樹脂
●ポリスチレン[PSジャパン(株)製、680]
(B)熱線輻射抑制剤(黒色系粒子)
●グラファイトA:鱗状グラファイト[西村黒鉛製、PS−85(1次粒径10.5μm、固定炭素分85%)]
●グラファイトB:鱗状グラファイト[伊藤黒鉛製、X−10(1次粒径10μm、固定炭素分98%)]
●グラファイトC:土状グラファイト[西村黒鉛製、S微粉(1次粒径9.3μm、固定炭素分80%)]
●グラファイトD:鱗状グラファイト[西村黒鉛製、PB−85(1次粒径18.5μm、固定炭素分85%)]
●カーボンブラック[旭カーボン(株)製、SUNBLACK 250]
(C)熱線輻射抑制剤(白色系粒子)
●酸化チタン[堺化学工業(株)製、R−7E]
●硫酸バリウム[堺化学工業(株)製、BMH]
(D)ハロゲン系難燃剤
●難燃剤A:ヘキサブロモシクロドデカン[アルベマール(株)製、HP900]
●難燃剤B:テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−130]
●難燃剤C:テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−720]
(E)その他添加剤
●タルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK−Z]
●ステアリン酸カルシウム[堺化学(株)製、SC−P]
●ベントナイト[ウィルバーエリス(株)製、ゲルホワイトH]
●アエロジル「日本アエロジル(株)製、AEROSIL]
(F)発泡剤
●イソブタン[三井化学(株)製]
●ジメチルエーテル[住友精化(株)製]
●塩化メチル[信越化学工業(株)製]
●水[摂津市水道水]
(A)スチレン系樹脂
●ポリスチレン[PSジャパン(株)製、680]
(B)熱線輻射抑制剤(黒色系粒子)
●グラファイトA:鱗状グラファイト[西村黒鉛製、PS−85(1次粒径10.5μm、固定炭素分85%)]
●グラファイトB:鱗状グラファイト[伊藤黒鉛製、X−10(1次粒径10μm、固定炭素分98%)]
●グラファイトC:土状グラファイト[西村黒鉛製、S微粉(1次粒径9.3μm、固定炭素分80%)]
●グラファイトD:鱗状グラファイト[西村黒鉛製、PB−85(1次粒径18.5μm、固定炭素分85%)]
●カーボンブラック[旭カーボン(株)製、SUNBLACK 250]
(C)熱線輻射抑制剤(白色系粒子)
●酸化チタン[堺化学工業(株)製、R−7E]
●硫酸バリウム[堺化学工業(株)製、BMH]
(D)ハロゲン系難燃剤
●難燃剤A:ヘキサブロモシクロドデカン[アルベマール(株)製、HP900]
●難燃剤B:テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−130]
●難燃剤C:テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR−720]
(E)その他添加剤
●タルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK−Z]
●ステアリン酸カルシウム[堺化学(株)製、SC−P]
●ベントナイト[ウィルバーエリス(株)製、ゲルホワイトH]
●アエロジル「日本アエロジル(株)製、AEROSIL]
(F)発泡剤
●イソブタン[三井化学(株)製]
●ジメチルエーテル[住友精化(株)製]
●塩化メチル[信越化学工業(株)製]
●水[摂津市水道水]
実施例および比較例について、以下の手法に従って発泡体密度、独立気泡率、残存発泡剤量、熱伝導率および気泡径分布を評価した。
(1)押出安定性・成形性
8時間連続的に押出発泡した際の押出発泡時の安定性・成形性を、下記の基準で評価した。
○:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動はほとんど見られない。
△:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が見られる。
×:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が大きく押出発泡成形が困難である。
8時間連続的に押出発泡した際の押出発泡時の安定性・成形性を、下記の基準で評価した。
○:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動はほとんど見られない。
△:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が見られる。
×:得られる発泡体に幅、厚みの変化、金型での圧力、押出機モーター電流の変動が大きく押出発泡成形が困難である。
(2)環境適合性
使用する発泡剤に関し、ハロゲン系発泡剤を使用しない場合を「○」、ハロゲン系発泡剤を使用する場合を「×」とした。
使用する発泡剤に関し、ハロゲン系発泡剤を使用しない場合を「○」、ハロゲン系発泡剤を使用する場合を「×」とした。
(3)発泡体全体密度(kg/m3)
得られたスチレン系樹脂押出発泡体から、押出(長さ)方向300mm×幅方向100mm×厚み方向30mmの直方体形状に切り出して、重量を測定すると共に、ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて、長さ寸法、幅寸法、厚み寸法を測定した。
測定された重量および各寸法から、以下の式に基づいて発泡体密度を求め、単位をkg/m3に換算した。
発泡体全体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
得られたスチレン系樹脂押出発泡体から、押出(長さ)方向300mm×幅方向100mm×厚み方向30mmの直方体形状に切り出して、重量を測定すると共に、ノギス[(株)ミツトヨ製、M型標準ノギスN30]を用いて、長さ寸法、幅寸法、厚み寸法を測定した。
測定された重量および各寸法から、以下の式に基づいて発泡体密度を求め、単位をkg/m3に換算した。
発泡体全体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
(4)気泡径
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の気泡径は、ASTM D 3567に準拠する方法で測定した。
得られたスチレン系樹脂押出発泡体の気泡径は、ASTM D 3567に準拠する方法で測定した。
(5)熱伝導率(W/mK)
発泡体の熱伝導率は、JIS A1412−2:1999に準拠する方法で測定した。
なお、本測定は発泡体を製造してから常温で1週間経過した後に行った。25年後の長期熱伝導率がJIS A 9511で規定されている0.028W/mK満足することを考慮して、下記の基準で評価した。
○:熱伝導率が0.0245W/mK未満。
△:熱伝導率が0.0245W/mK以上0.0280W/mK未満。
×:熱伝導率が0.0280W/mK以上。
発泡体の熱伝導率は、JIS A1412−2:1999に準拠する方法で測定した。
なお、本測定は発泡体を製造してから常温で1週間経過した後に行った。25年後の長期熱伝導率がJIS A 9511で規定されている0.028W/mK満足することを考慮して、下記の基準で評価した。
○:熱伝導率が0.0245W/mK未満。
△:熱伝導率が0.0245W/mK以上0.0280W/mK未満。
×:熱伝導率が0.0280W/mK以上。
(6)発泡体燃焼性
得られたサンプルを室内に保管し、製造後7日経過した発泡体について、JIS A9511に準拠して測定した。
○:3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を超えて燃焼しないとの基準を満たす。
×:上記基準を満たさない。
得られたサンプルを室内に保管し、製造後7日経過した発泡体について、JIS A9511に準拠して測定した。
○:3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を超えて燃焼しないとの基準を満たす。
×:上記基準を満たさない。
(実施例1)
ポリスチレン樹脂100重量部に対して、熱線輻射抑制剤としてグラファイトAを1.2重量部、酸化チタンを2重量部、難燃剤として難燃剤Aを4重量部、気泡径調整剤としてタルクを0.3重量部、滑剤としてステアリン酸カルシウムを0.2重量部ドライブレンドした。
得られた樹脂混合物を、口径65mmの単軸押出機(第一押出機)と口径90mmの単軸押出機(第二押出機)を直列に連結したタンデム型二段押出機へ、40〜50kg/hrの割合で供給した。
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤としてポリスチレン樹脂100重量部に対して、イソブタン3.5重量部、ジメチルエーテル3重量部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後、第1押出機に連結された第2押出機で混練しながら、樹脂温度を120〜130℃に冷却した後、第2押出機の先端に設けたスリットダイより大気中へ押出発泡させた後、スリットダイに密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚さ40mm、幅150mmである断面形状の押出発泡板を得た。
押出安定性・成形性の評価は「○」であり、環境適合性の評価は「○」であった。得られた押出発泡体の密度は33kg/m3、厚み方向の気泡径は0.15mmであり、熱伝導率が0.0248W/mKであり、評価は「○」だった。燃焼性についてはJIS A9511の基準を満たしていた。
ポリスチレン樹脂100重量部に対して、熱線輻射抑制剤としてグラファイトAを1.2重量部、酸化チタンを2重量部、難燃剤として難燃剤Aを4重量部、気泡径調整剤としてタルクを0.3重量部、滑剤としてステアリン酸カルシウムを0.2重量部ドライブレンドした。
得られた樹脂混合物を、口径65mmの単軸押出機(第一押出機)と口径90mmの単軸押出機(第二押出機)を直列に連結したタンデム型二段押出機へ、40〜50kg/hrの割合で供給した。
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤としてポリスチレン樹脂100重量部に対して、イソブタン3.5重量部、ジメチルエーテル3重量部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後、第1押出機に連結された第2押出機で混練しながら、樹脂温度を120〜130℃に冷却した後、第2押出機の先端に設けたスリットダイより大気中へ押出発泡させた後、スリットダイに密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚さ40mm、幅150mmである断面形状の押出発泡板を得た。
押出安定性・成形性の評価は「○」であり、環境適合性の評価は「○」であった。得られた押出発泡体の密度は33kg/m3、厚み方向の気泡径は0.15mmであり、熱伝導率が0.0248W/mKであり、評価は「○」だった。燃焼性についてはJIS A9511の基準を満たしていた。
(実施例2〜12、比較例1〜5)
表1に示すように、各種配合剤の種類・添加量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡体を得た。
押出発泡成形安定性および、得られた発泡体の特性を表1に示す。
表1に示すように、各種配合剤の種類・添加量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡体を得た。
押出発泡成形安定性および、得られた発泡体の特性を表1に示す。
Claims (12)
- ポリスチレン系樹脂、黒色系粒子と白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Yに対する上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、
かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。 - 前記黒色系粒子が、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウムペーストからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 前記白色系粒子が、酸化チタン、硫酸バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 前記黒色系粒子が、グラファイトであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 前記グラファイトの固定炭素分が75〜90%であることを特徴とする、請求項4に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 前記グラファイトが鱗状黒鉛および人造黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 前記グラファイトの分散粒径が15μm以下であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 前記発泡剤が、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種を含む ことを特徴とする、請求項1〜78のいずれかに記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 発泡剤として、さらに、水、二酸化炭素、窒素、炭素数が2〜5のアルコール類、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上含むことを特徴とする、請求項請求項8に記載のスチレン系樹脂発泡体。
- 熱伝導率が0.0245W/mK未満であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 発泡体の密度が20〜50kg/m3、厚みが10〜150mmであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の押出発泡体
- ポリスチレン系樹脂、黒色系粒子および白色系粒子からなる熱線輻射抑制剤、および発泡剤を溶融混練してなるスチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、
熱線輻射抑制剤の合計添加量が、ポリスチレ系樹脂100重量部に対して1〜8重量であり、黒色系粒子の添加量Yが0.5〜5重量部であり、かつ、白色系粒子の添加量Xが0.5〜7重量部であり、さらに、前記黒色系粒子の添加量Xに対すると上記白色系粒子の添加量Xの比(X/Y)が2未満であり、
かつ、該発泡剤がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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