JP2013218045A - 光透過材 - Google Patents

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真治 松本
Kazuki Kato
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Abstract

【課題】光透過率が高く且つヘイズの小さい光透過材を提供すること。
【解決手段】本発明の光透過材は、基材と、基材の表面に設けられた複数の凹部と複数の凸部とからなる微細凹凸構造とを具備する。これらの凸部のうちの任意の一つの頂点と、この一つの凸部に隣接する他の凸部の頂点との間隔が、平面視において350nm未満であり、この間隔の平均値における標準偏差値が0.5nm以上、30nm以下であり、且つ、複数の凸部の高さが、複数の凹部の最下点を含む基準面から200nm以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、展示ケース、商品を包装するパッケージに用いられる光透過材に関する。
展示ケースや商品を包装するパッケージに用いられる透明板及び透明フィルムは、その反射率が高い、すなわち透過率が低いと外光の影響により内部の展示物や商品の視認性が低下するという問題があった。
従来、このような問題を解決するために、透明板等を構成する透明基材の表面に微細凹凸構造(モスアイ構造など)を設けることにより、基材と樹脂との界面に連続的な屈折率勾配ができ、光の反射を低減して光透過率を向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−48902号公報
しかしながら、上述のように光透過材に微細凹凸構造を設けてもヘイズが発生するという問題がある。透明板等の光透過率が高くともヘイズが大きい、すなわち光拡散透過率が高いと、展示物等の写像解像度が妨げられ、ピンボケ状態となり、本来の展示物等の色も白っぽく損なう。
特に、展示物等が三次元構造で、展示物等と透明板等との距離が大きいほど写像解像度が悪化してしまう。外光に影響を受けることなく展示物等の本来の色相、解像度を維持するには、光透過率が高く且つヘイズの小さな透明板等が求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、光透過率が高く且つヘイズの小さい光透過材を提供することを目的とする。
本発明の光透過材は、基材と、前記基材の表面に設けられた複数の凹部と複数の凸部とからなる微細凹凸構造とを具備し、前記複数の凸部のうちの任意の一つの頂点と、この一つの凸部に隣接する他の凸部の頂点との間隔が、平面視において350nm未満であり、この間隔の平均値における標準偏差値が0.5nm以上、30nm以下であり、且つ、前記複数の凸部の高さが、前記複数の凹部の最下点を含む基準面から200nm以上であることを特徴とする。
この構成によれば、複数の凸部のうち任意の一つの頂点と、この頂点に隣接する複数の他の凸部の頂点との間隔の平均値が、平面視において350nm未満であるので、光の回折を軽減でき、光が透過する際の光の損失を低減できる。
本発明の光透過材において、表面のうねりの十点平均粗さが200nm以下であって、且つ、算術平均波長が30μm以下であることが好ましい。
また、本発明の光透過材において、その全光線透過率が92%以上であって、且つヘイズ値が2%未満であることが好ましい。
また、本発明の光透過材において、その表面に対して0度入光して透過した光の直進透過率が95%以上であることが好ましい。
また、本発明の光透過材において、その表面に対して45度入光して透過した光の直進透過率が93%以上であるが好ましい。
また、本発明の光透過材において、その両面に微細凹凸構造を具備していることが好ましい。
本発明によれば、光透過率が高く且つ光の直進性に優れた光透過材を提供することができる。
本実施の形態に係る光透過材の実施例の試験結果を示すグラフ図である。 本実施の形態に係る光透過材の実施例の試験結果を示すグラフ図である。 本実施の形態に係る光透過材の実施例の試験結果を示すグラフ図である。 本実施の形態に係る光透過材の実施例の試験結果を示すグラフ図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る光透過材は、基材と、この基材の表面に形成された微細凹凸構造とで構成されている。
<微細凹凸構造>
本発明の微細凹凸構造における凸部の平均高さは、200nm以上である。本発明において、この凸部の平均高さが200nm以上である場合、界面において十分な屈折率勾配ができるため、この界面での光反射が抑制され、光が透過する際の光損失を低減できることを見出した。
なお、凸部の平均高さは、微細凹凸構造の物理的強度を保持できるので、400nm以下であることが望ましいが、特に限定されない。
また、本発明の微細凹凸構造において、複数の凸部のうち任意の一つの頂点と、この頂点に隣接する複数の他の凸部の頂点との間隔(以下、最隣接凸部間のピッチ、または単にピッチという)の平均値が、平面視において350nm未満である。本発明において、ピッチの平均値が350nm未満の場合、光の回折を軽減でき、光が透過する際の光損失を低減できることを見出した。特に、ピッチの平均値が300nm未満である場合、光の入射角度に依存せず、十分な回折軽減を実現できるため、光拡散性をより低減でき、光透過性がより良くなるので好ましい。一方、ピッチの平均値が50nm以上である場合、モールドから転写成型し剥離する際の凹凸部損傷を軽減でき、欠陥に由来する光拡散性を低減でき、光透過性が良くなるので好ましい。
また、本発明の微細凹凸構造における最隣接凸部間のピッチの平均値における標準偏差値は0.5nm以上、30nm以下である。本発明において、ピッチの平均値における標準偏差値が30nm以下である場合、面内の微細凹凸構造のばらつきが小さくなると、光の拡散が抑制され、ヘイズを小さくできるため、光の直進性を改善できることを見出した。特に、ピッチの平均値における標準偏差値が20nm以下である場合、狭角度からの入射光に対してもヘイズを小さくできるため、光の直進性をより改善できるので好ましい。さらにピッチの平均値における標準偏差値が、10nm以下である場合、広角度の入射光に対してもヘイズを小さくできるため、光の直進性をさらに改善できるので最も好ましい。一方、ピッチの平均値における標準偏差値が0.5nm以上の場合、凹凸部の長周期間隔で発生する光の回折や拡散を軽減できることを見出した。
なお、ピッチの測定は、例えば、透過型電子顕微鏡(SEM)を使って微細凹凸構造の上面からの形態観察を行い、微細凹凸構造の平面視画像を得、この平面視画像を使って測定することができる。
また、本発明の微細凹凸構造における最隣接凸部間のピッチの平均値における標準偏差値は、例えば、SEMを使って微細凹凸構造の上面からの形態観察を行い、その平面視画像を得て、その任意の50カ所の凸部をそれぞれ起点とし、それぞれの凸部について隣接凸部間ピッチの標準偏差値を求めることができる。
また、本発明の微細凹凸構造における最隣接凸部間のピッチの平均値における標準偏差値は、必ずしも光透過材の全面において、0.5nm以上、30nm以下である必要はない。すなわち、展示品のケースのための透明板や、包装用の透明フィルムに本発明を適用した場合に、常に、表面の全域において透明性が高いことが要求されるので全面において上記範囲内であることが好ましい。しかしながら、光透過材の少なくとも一部だけが高い光反射防止性及び光透過性を備えていれば済むような用途、例えば、レンズ窓材、パッケージの窓材に用いる光透過材は、有効領域内において、微細凹凸構造における最隣接凸部間のピッチの平均値における標準偏差値が上記範囲内であればよい。ここで、有効領域とは、光透過材の全面から光透過性が低くても用途上問題がない領域を除いた領域を言う。具体的には、有効領域とは、例えば、レンズ窓材であれば、視野範囲で使用する窓材の中心位置の領域をであって窓材外周部を除外した領域である。また、パッケージの窓材用途であれば、筐体へ糊付部、印字部、シールなどで隠される部位を除外した領域である。したがって、この場合には、本発明の微細凹凸構造における最隣接凸部間のピッチの平均値における標準偏差値は、例えば、SEMを使って微細凹凸構造の上面からの形態観察を行い、その平面視画像を得て、その有効領域内の任意の50カ所の凸部をそれぞれ起点とし、それぞれの凸部について隣接凸部間ピッチの標準偏差値を求めることができる。
本発明の光透過材において、表面のうねり(粗面性)は、その十点平均粗さ(Rz)が200nm以下であり、且つ、算術平均波長(λa)が30μm以下であることが好ましい。表面のうねりは、光の拡散を生じ、ヘイズが大きくなる要因となるので、少ないことが望ましいからである。
本発明の光透過材において、その0度入光して透過した光の直進透過率が95%以上であることが、光透過材を介し、光透過材正面からの画像視認性や、観察視認性の鮮明度が改善する点で好ましい。
また、本発明の光透過材において、45度入光して透過した光の直進透過率が93%以上であることが、光透過材を介し、光透過材の広視野角からの画像視認性や観察視認性の鮮明度が改善する点や、または、立体的な展示物や風景画像を観察する際の鮮明度が良くなる点で好ましい。
本発明の光透過材における微細凹凸構造は、反射防止特性がある凹凸構造であればよく、例えば、略角錐形状、略円錐形状、略角錐台形状、略円錐台形状のいずれかであることが好ましい。また、これらの中でも、略角錐形状、略円錐形状であることがより好ましく、略円錐形状であるとさらに好ましい。略円錐形状としては、真円錐でも楕円錐でもよく、頂部が丸みを帯びているものが好ましい。略円錐形状において頂部に丸みを帯びさせることで、さらに反射防止性能を向上させることができる。略円錐形状としては、テント型、ベル型、三角形型が挙げられる。広い波長領域、特に、近赤外波長領域(700〜1000nm)で優れた反射防止性能を得られる点で、ベル型がより好ましい。
本発明の光透過材は、基材の表面に直接微細凹凸構造を形成した単層型、又は、基材表面に樹脂等を使って微細凹凸構造が形成された層(以下、光反射防止層という)を積層した積層型のどちらでも良い。
光透過材が積層型である場合、基材と光反射防止層以外に、薄膜機能層を一層又は複数層組み合わせて積層しても良い。薄膜機能層は、例えば、粘着層、易接着層、低屈折率層、高屈折率層、表面改質層である。
本発明の光透過材は、基材の片面に微細凹凸構造を設けるだけでも十分な反射防止効果が得られ、高い透明性を示す。しかしながら、基材の両面に凹凸構造を設けることでより高い光透過性を実現することができる。例えば、基材の一方の表面に微細凹凸構造を形成した光透過材の他方の表面(裏面)に、同様の構造からなる光透過材を微細凹凸構造が外側をむくように、粘着層を介して貼り合せ、両面に微細凹凸構造を備えた積層体としても良い。
<基材>
本発明の光透過材における基材は、使用目的にあった光透過性が要求される。すなわち、使用する波長領域で基材が実質的に透明である必要がある。ここで、使用する波長領域とは、特に限定はしないが、例えば、視認性の観点から350nm以上、800nm以下である。より具体的には、基材は、日本工業規格(JIS)K7136に準拠して測定した全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましい。
また、本発明の基材には、ヘイズ値が低いものを選択することが望ましい。基材のヘイズ値は、2%未満であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。
また、基材の材質は、光透過材の用途に応じて、フレキシブル性、易加工性、高生産性、又は、高衝撃性を有するものが適宜選択可能である。例えば、基材には、ガラス、セラミック、金属などの無機材料、樹脂などの有機材料を任意に選択することができる。これらのうち、屈曲性、易加工性、高生産性、及び、高衝撃性を有し、軽量で、且つ、低価格である点で樹脂が挙げられる。
また、本発明の光透過材が、上述の積層型であり、且つ、光反射防止層を樹脂硬化物からなる樹脂硬化物層で構成した場合、樹脂硬化物層との接着性がよく、樹脂硬化物層との間で屈折率差が小さく、ヘイズが小さいものを用いることが望ましい。これらを満たす材料としては、例えば、ガラス、樹脂が挙げられる。
本発明の光透過材に好適な基材の材質の一つは、光透過性及び屈曲性を備えている透明な樹脂である。
上記透明な樹脂として、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン樹脂(MS樹脂)、スチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂(COP樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC樹脂)、ポリイミド樹脂あるいはアクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。特に、PMMA樹脂、アクリル系樹脂、PC樹脂、PS樹脂、スチレン系樹脂、COP樹脂、PET樹脂、PEN樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、TAC樹脂が好ましい。
上記透明な樹脂には、本発明の効果が得られる範囲で、必要に応じて添加剤を加えてもよい。この添加剤は、樹脂に直接含有させてもよく、樹脂基材表面に層形成させてもよい。添化剤の種類としては、例えば、有機及び/又は無機粒子、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、易接着剤を挙げることができる。
また、本発明の効果が得られる範囲で、上記透明な樹脂からなる基材の表面に、バリア性樹脂層をコーティングなどにより形成してもよい。基材表面に、バリア性樹脂層を形成することで、熱、光、水分、酸素、二酸化炭素、窒素、水素などの劣化要因から基材を保護することができるからである。
一方、基材がガラスである場合、シランカップリング剤やプライマー処理やUV処理などの表面処理を適用することができる。また、これらの表面処理を組み合わせて用いてもよい。また、基材として、表面コーティングや接着層や干渉低減層が形成されている基材を使用しても良い。
基材の形状は、例えば、板、シート、フィルム、薄膜、その他任意の形状、及びこれらを複合化したものを、使用目的に応じて適宜選択することができる。
基材の厚さは、本発明の効果を得られる範囲で、使用目的や製造方法に応じて適宜選択可能である。
<光反射防止層>
本発明の光透過材が積層型である場合、微細凹凸構造を備えた光反射防止層を構成する組成物は、例えば、光硬化組成物、熱硬化組成物、及び、熱可塑組成物である。これらのうち、転写忠実性の点で、光硬化組成物が好ましい。
<光硬化組成物>
以下、光硬化組成物で微細凹凸構造による光反射防止層を構成した場合について説明する。
光硬化組成物中の単量体及びオリゴマー(以下、単量体成分ともいう。)としては、反応速度と連続生産性の観点から、ラジカル重合系単量体成分がより好ましく、スタンパーの凹凸構造パタン深部での反応性を高める観点から、ラジカル重合系単量体へ反応寿命の長いカチオン重合系単量体成分を混合しても良い。光硬化用のカチオン重合系単量体として、重合性官能基がエポキシ基やビニルオキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基等を有する単量体が好ましい。
ここで、ラジカル系単量体成分としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、n−ブトキシエチルアクリレート、ブトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、カプロラクトンアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート4級化物、アクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、PEG#200ジアクリレート、PEG#400ジアクリレート、PEG#600ジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、ビスフェノールA−EO付加物ジアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、テトラフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、パーフロロオクチルエチルアクリレート、ノニルフェノール−EO付加物アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴアクリレート、エチルカルビトールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、パラクミルフェノール−EO変性アクリレート、N−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソシアヌル酸−EO変性ジアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、イソミリスチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n−ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、カプロラクトンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物、メタクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコールメタクリル酸安息香酸エステル、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、PEG#200ジメタクリレート、PEG#400ジメタクリレート、PEG#600ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールA−EO付加物ジメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、テトラフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレート、ノニルフェノール−EO付加物メタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴメタクリレート、エチルカルビトールオリゴメタクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴメタクリレート、トリメチロールプロパンオリゴメタクリレート、ペンタエリスリトールオリゴメタクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、テトラメチルピペリジルメタクリレート、パラクミルフェノール−EO変性メタクリレート、N−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソシアヌル酸−EO変性ジメタクリレート、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼンなどが挙げられる。
また、光硬化組成物の組成は、組成物中の単量体成分合計100質量部中、1分子中に3個以上のアクリル基及び/又はメタクリル基を有する1種類以上の単量体成分が20〜60質量部、N−ビニル基を有する単量体成分が5〜40質量部、その他単量体成分が0〜75質量部であることが好ましい。
上記の1分子中に3個以上のアクリル基及び/又はメタクリル基を有する単量体成分(以下、第1の単量体成分という)は、光硬化組成物中の単量体成分合計100質量部中、25〜50質量部であることがより好ましく、30〜40質量部含有することがさらに好ましい。20質量部以上にすることで、光反射防止層が高強度になり、また高架橋密度となるため、光反射防止層からの未反応単量体及び低重合度オリゴマーのブリードアウトや副生成物の生成を最低限抑制することができる。また60質量部以下とすることで、光硬化組成物の粘度上昇を抑制でき、光硬化組成物のスタンパーの凹部と凸部のパタンへの充填率低下を防止できる。
第1の単量体成分としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化グリセルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、3官能以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、3官能以上のウレタンアクリレートオリゴマー、3官能以上のエポキシアクリレートオリゴマー、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、プロポキシ化グリセルトリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタアクリレート、トリスメタアクリロイルオキシエチルフォスフェート、3官能以上のポリエステルメタアクリレートオリゴマー、3官能以上のウレタンメタアクリレートオリゴマー、3官能以上のエポキシメタアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。ここで、エトキシ化及びプロポキシ化された単量体成分とは、単量体1分子当たり、1〜20当量の1種以上のエトキシ基及び/又はプロポキシ基を含む単量体成分をさす。
第1の単量体成分の中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレートは諸物性のバランスが良いので好ましい。中でもトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレートが、硬化後のスタンパーからの硬化成形体の離型性に優れるため、より好ましい。第1の単量体成分は、1種類又は2種類以上用いても良い。
N−ビニル基を有する単量体成分(以下、第2の単量体成分という)は、組成物中の単量体成分合計100質量部中、15〜38質量部含有することがより好ましく、25〜35質量部含有することがさらに好ましい。第2の単量体成分を5質量部以上含有することにより、成型体の基材への付着性を向上できる、かつ硬化後の成型体のスタンパーからの離型性を良好にすることができ、また40質量部以下含有することにより、未反応単量体及び低重合度オリゴマーの成型体からブリードアウトを最低限抑制でき、また成型体の過度の吸湿も抑制でき、成型体の耐湿特性を向上することができる。
第2の単量体成分としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラムタムが、特に好ましく用いることができる。第2の単量体成分は、1種類又は2種類以上用いても良い。
<シリコン化合物>
また、光硬化組成物は、アクリル基及び/又はメタクリル基を含むシリコン化合物を含有しても良い。光硬化組成物の単量体成分合計100質量部に対し、アクリル基及び/又はメタクリル基を含むシリコン化合物を0.1〜10質量部含有することが好ましく、0.2〜5質量部含有することがより好ましく、0.3〜2質量部含有することがさらに好ましい。0.1質量部以上含有させることで、硬化後の光反射防止層の、スタンパーからの離型性をさらに向上でき、10質量部以下含有させることにより、光反射防止層、特に微細凹凸構造の強度を維持できる。
上記シリコン化合物の種類として、例えば、シリコンアクリレート系化合物を挙げることができる。ポリジメチルシロキサン骨格にアクリル基を結合させた、BYK−UV3500、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)、ebecryl350(ダイセル・サイテック社製)が、硬化後の光反射防止層からのブリードアウトも少なく、より好ましい。
<光重合開始剤>
本発明の光硬化組成物は、光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]―フェニル}−2−メチル−プロパン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、1,2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。しかしながら、特に本発明においては、高感度で、低揮発性である2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などを好ましく用いることができる。光重合開始剤の配合比は、光硬化組成物中の単量体成分合計100質量部に対し、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。これら光重合開始剤は単独で適用することも可能であるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
<光増感剤>
光硬化組成物には、光重合促進剤及び光増感剤などと組み合わせて使用することもできる。例えば、光増感剤としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類のような光増感剤を1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
<光硬化組成物のろ過>
光硬化組成物は、ろ過などの手法により、異物を除去したものであることが好ましい。ろ過に使用するフィルター孔径は1μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。また、フィルターの異物捕捉効率は、99.9%以上であることが好ましい。異物を除去することにより、スタンパーの凹凸部への充填率や光硬化反応率を向上し、微細凹凸構造の構造欠陥を実用上問題がないレベルに減少させることができる。
<光硬化組成物の粘度>
硬化前の光硬化組成物の50℃における粘度は、100mPa・s以下が好ましく、50mPa・s以下がより好ましく、20mPa・sがさらに好ましい。100mPa・s以下にすることで、基材表面へ光硬化組成物をロール・ツー・ロール方式により塗布する場合、光反射防止層の厚み均一性を高めることができ、また、スタンパーの凹凸構造部への光硬化組成物の充填率を高めることができ、結果として、転写忠実性を高めることができる。また、目的とする光硬化組成物層の厚みを得るために、光硬化組成物中へさらに減粘剤又は増粘剤を添加することで、上記基材の粘度範囲で、適宜粘度調整をしてもよい。
<光反射防止層の厚さ>
上述の光硬化組成物、熱硬化組成物、熱可塑組成物などからなる光反射防止層は、耐傷性効果の観点から、厚さ200nm以上が好ましい。透明性の観点から光路長を小さくすることが好ましく、厚さを3μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。また樹脂の硬化収縮によるカールを低減するため、1.5μm以下が更に好ましく、硬化収縮に伴う表面うねりを低減するため、1μm以下であることが最も好ましい。
<光反射防止層の積層>
光反射防止層の積層数は、押込み傷に対する耐性や反射防止効果の観点から、1層以上であることが好ましく、簡易なプロセスで製造できる生産性の観点から1層又は2層がより好ましい。さらに、積層界面を少なくすることで、再現性のよい光学部材を製造できるため、光反射防止層の界面数が最も少ない1層からなること、すなわち、基材と一層の光反射防止層とからなることが最も好ましい。
基材と光反射防止層との界面、又は、複数の光反射防止層どうしの界面においては、それぞれの反射を低減する観点から屈折率差が0.2以下、0.001以上となることが好ましく、0.1以下、0.001以上であることがより好ましく、0.05以下、0.001以上であることが最も好ましい。なお、薄膜機能層(例えば、層間密着性や表面すべり性を目的とした薄膜層)の屈折率については特に限定しない。
また、屈折率差を限りなくゼロにするためには、光反射防止層には、基材と同一組成の樹脂を使うことが好ましい。また、熱可塑性基材を使って直接微細凹凸構造を転写しても良い。例えば、熱可塑性の基材をTg(ガラス転移温度)以上に加熱した状態でモールドに加圧して転写する等が挙げられる。
次に、本発明の光透過材の製造方法について説明する。以下の説明では、基材の表面に光硬化組成物からなる光反射防止層を積層させた光透過材の製造方法について説明する。
光透過材の製造方法は、モールド(鋳型)の作製、及び、微細凹凸構造の光硬化組成物への転写のステップからなる。
<モールドの作製>
光透過材の微細凹凸構造に対応する微細凹凸構造(以下、凹凸パタンともいう)が表面に形成されたモールドを作製する。モールドの作製方法としては、干渉露光法、リソグラフィー法、Al陽極酸化法などが挙げられる。これらのうち、リソグラフィー法は、熱リソグラフィー法又は光リソグラフィー法であってもよく、熱と光を組みあわせたリソグラフィー法であってもよい。
モールドの材質は、石英ガラス、紫外線透過ガラス、サファイヤ、ダイヤモンド、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン材、フッ素樹脂、シリコン、SiC、マイカ、金属メッキ材などが挙げられる。
本発明の重要なポイントの一つである光透過材の光直進性を良くするために、上述の凹凸パタンにおける凸部のピッチ精度を高くできる点で、干渉縞を使って一括露光できる干渉露光法や、プログラム制御され、且つ高いアライメント性能の示すリソグラフィー法が好ましい。特に一括露光できる干渉露光法は、原理的に凸部のピッチが変動しないため最も好ましい。
また、光透過材の表面のうねりが小さいことも本発明の重要なポイントである。したがって、モールド自体のうねりを小さくするために、鏡面性の高い石英ガラスやシリコン板用いることが好ましい。
上述のように、鏡面性が高い材質を使用し、かつ、干渉露光法又はリソグラフィー法を用いることで、凸部のピッチが均一で、かつ、表面のうねりが少ないモールドを作成することができる。
また、表面に凹凸パタンが形成されたマザーモールドを作成し、このマザーモールドを基にしてレプリカモールドを作製し、このレプリカモールドを後述の光透過材の成型に用いることもできる。
この場合、上述のように鏡面性の高い材質でマザーモールドを作成することにより、これを基に作製したレプリカモールド群は、材質に特に制限されず表面うねりの小さいモールドとなる。例えば、干渉露光法で微細凹凸構造を作製した石英ガラス製のマザーモールドを使って、樹脂へ微細凹凸転写し、その後、この樹脂成型体から金属電鋳したモールドをレプリカモールドとして作製することで、鏡面性の高いレプリカモールドを得ることができる。
以下に、モールドの作製方法について説明する。
<干渉露光法>
石英ガラス材質からなるモールドの作製について例示する。石英ガラスプレート上に、スピンコート法などを使ってフォトレジスト層を均一な厚みで塗布する。このフォトレジスト層は、光照射を受けた部分が変質し、後の現像液にて光射部又は非光照射部のいずれかを選択的に除去できる材料からなることが好ましい。次に、フォトレジスト層の表面に2つの平行なレーザー光を照射し干渉縞を作製する。その後、石英ガラスプレートを60°回転させ、同様に干渉縞を作製し、さらに石英ガラスプレートを60°回転させ同様に干渉縞を得る。干渉露光後、フォトレジスト層を焼成(ベイキング)し、その後現像する。これにより、干渉縞のパタンに対応したフォトレジストパタンが得られる。得られたフォトレジストパタンをエッチングマスクとして用いて、ウェットエッチング又はドライエッチングのいずれかを採用し、石英ガラスプレートをエッチングする。これにより、石英ガラスプレート上に凹部と凸部からなる連続凹凸構造を有するモールドを作製できる。
<熱/光リソグラフィー法>
石英ガラス材質からなるモールドの作製について例示する。石英ガラスプレート上に、スピンコートなどを使ってレジスト層を均一な厚みに塗布する。このレジスト層は、光照射を受けた部分が光反応、又は光吸収による発熱により変質し、後の現像液にて変質部又は非変質部のいずれかを選択的に除去できる材料(以下、レジスト材という)からなることが好ましい。レジスト材には、例えば、ノボラック系や化学増幅型レジスト等との有機系レジストや、金属酸化物等の無機系レジストを使用することができる。レーザー光をレジスト層に間欠的に照射し、その後現像処理することで、ドット上のレジストパタンを作製できる。このレジストパタンをマスクとして、石英ガラスプレート表面をエッチング処理とアッシング処理を繰り返すことで、石英ガラスプレート上に凹部と凸部からなる連続凹凸構造を有するモールドを作製できる。
<Al陽極酸化法>
この方法では、アルミニウム材料の表面を研磨した後、このアルミニウム材料の表面に、陽極酸化と陽極酸化被膜のエッチングとの組み合わせによりテーパー形状の細孔を有する型を作製する。アルムニウム材料は、主成分がアルムニウムである材料であればよく、エッチング加工精度を良くするために、純度99.9%以上であることが好ましい。また粗面のアルムニウム表面を研磨したものを用いることで、後の樹脂転写にて表面うねりを低減できる。研磨方法は、機械研磨や化学研磨、電解研磨等が挙げられ、一つ又は複数を組み合わせて研磨しても良い。
研磨したアルムニウム材料を電解液に浸漬し、アルムニウム材料を陽極として電流を流し、水を電気分解し、発生した酸素とアルミニウム表面を反応させる。ここでの電解液は、酸溶液であればよいが細孔制御という観点でシュウ酸含有溶液が好ましい。陽極酸化後、アルミニウム材料表面には、酸化被膜に覆われた細孔が形成される。次に、該細孔の開口径を調整するため、酸溶液でエッチングを行う。特に溶解制御が行いやすいリン酸系溶液が好ましい。この陽極酸化とエッチングを繰り返すことで所望の凹形状を密に充填したモールドを作製できる。
<微細凹凸構造の光硬化組成物への転写>
上述のように作製したモールドを使って、微細凹凸構造の光硬化性組成物への転写を行う。
本発明に使用できる転写方法としては、光硬化組成物の硬化条件に応じて、熱ナノインプリント法、光ナノインプリント法、室温ナノインプリント法やキャスト法などが挙げられ、複数の組み合わせても良い。迅速に転写でき、且つロール・ツー・ロールで連続生産できる観点から、光ナノインプリント法がより好ましい。
光硬化組成物が硬化した樹脂硬化物層をモールドから剥離する際、樹脂硬化物層とモールドとの間の離型性をよくするため、あらかじめモールドの表面に離型処理を施すことが好ましい。離型処理剤としては、シランカップリング系離型剤が好ましく、フッ素含有離型剤であることがより好ましい。市販されている離型剤の例としては、ダイキン工業社製のオプツールDSX、ハーベス社製のデュラサーフHD1101やHD2101、住友スリーエム社製のノベックなどが挙げられる。
本発明の光透過材の製造方法においては、まず、基材上に軟質の光硬化組成物を塗布する(塗布工程)。次に、この光硬化組成物をモールドの微細凹凸構造に押圧する(押圧工程)。押圧した状態で光硬化組成物を露光して硬化させる(露光工程)。得られた樹脂硬化物層を基材と共にモールドから剥離して光透過材を得る(剥離工程)。
塗布工程においては、軟質の光硬化組成物を基材上に塗布して成膜する。光硬化組成物の基材上に塗布する方法としては、流延法、ポッティング法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、キャスト法、ディップコート法、ダイコート法、ラングミュアプロジェット法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、フローコート法、カーテンコート法などが挙げられる。
基材の面積がモールドの面積よりも大きい場合、光硬化組成物を基材全面に塗布しても良いし、光硬化組成物を基材の一部に塗布し、型押しする範囲にのみに光硬化組成物が存在するようにしても良い。
基材に光硬化組成物を塗布した後、プリベイクすることで、溶剤を含む場合には溶剤を留去でき、硬化後の残留溶媒に由来するボイド形成を低減できる。他の効果としては、内添した添加剤(例えば、含フッ素重合性(メタ)アクリレートや含シリコーン系(メタ)アクリレート)の表面移行を促進させることができ、樹脂硬化物層の表面のすべり性が良くなる。その結果、樹脂硬化物層の表面の耐傷性が良くなり、また、モールドからの離型性が良くなることで、低欠陥で高品位な樹脂硬化物層を得ることもできる。プリベイク温度は、25℃〜120℃が好ましく、40℃〜100℃がより好ましく、50℃〜100℃がさらに好ましく、60℃〜100℃が最も好ましい。プリベイク時間は30秒〜30分が好ましく、1分〜15分がより好ましく、3分〜10分がさらに好ましい。
基材と樹脂硬化物層との接着性を向上させる処理を施すことが好ましい。例えば基材の接着させる面に、樹脂硬化物層との化学結合や、浸透などの物理的結合のための易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理などを施すことが好ましい。
押圧工程においては、気泡が入らないように柔軟性の高い基材を端から静かにモールドの微細凹凸構造上に被膜し、一定圧力下にて押圧することが好ましい。押圧する際のプレス圧力は、0MPa超〜10MPaが好ましく、0.01MPa〜5MPaがより好ましく、0.01MPa〜1MPaがさらに好ましい。
露光工程においては、モールドの光透過性が低い場合、基材側から露光することが好ましい。一方、モールドが紫外波長の光に対する透過率が高い場合、例えばモールド材質が合成石英の場合は、基材側又はモールド側の少なくとも一側面から露光することが好ましく、基材側とモールド側の両面から露光するとより好ましい。基材を使用せず、光硬化組成物のみをマスターモールドに塗布して硬化させてもよい。その場合は、酸素による重合阻害を防ぐため、窒素雰囲気下又はアルゴン雰囲気下での露光する方法、又は、接着性の低い基材で被覆し、硬化後、基材及び樹脂硬化物層を剥がしとる方法などで硬化物を製造できる。
使用する露光光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、ケミカルランプ、UV−LEDが好ましい。長時間露光時の発熱を抑える観点から、可視波長以上の波長をカットするフィルター(バンドパスフィルターを含む)を利用することが好ましい。積算光量としては、波長365nmで300mJ/cm以上が好ましく、反応率の高い硬化物を得る目的で、800mJ/cm以上が好ましく、800mJ/cm〜6000mJ/cmがより好ましく、光による樹脂劣化性を防ぐため、800mJ/cm〜3000mJ/cmが特に好ましい。
剥離工程においては、露光によって光硬化組成物が硬化してなる樹脂硬化物層をモールドから剥離する。なお、剥離工程においては、上述したように、モールド表面に離型処理を施していた場合には、モールドの表面から樹脂硬化物層を容易に剥離することが可能となる。
以上説明した各工程により、本発明の光透過材を製造することができるが、これに限定されるものではない。
<光透過材の光学特性>
本発明の光透過材の全光線透過率は、日本工業規格(JIS)K7136に準じた測定法により測定した場合に、92%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることが最も好ましい。例えば、95%以上であると反射・吸収損失が少ないので光透過材の存在を感じることなくその先の対象物を視認することが可能で、99%以上となると光透過材を視認することがほぼできなくなる。
また、本発明の光透過材のヘイズ値は、2%未満が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。さらに限定すると、0.3%以下がより好ましく、0.15%以下が最も好ましい。例えば、光透過材のヘイズ値が2%未満の場合、展示対象物との距離が0.5mと離れていても展示対象物の解像度が劣化(ピンボケ)や色相変化(白っぽく変化)を起こすことなく光透過材越しにクリアな視認が確保される。さらにヘイズ値が小さくなると、0.5m以上の離れた対象物に対しても鮮明な視認性が確保される。
<光透過材の用途>
本発明の光透過材は、例えば、展示ケースを構成する透明板や、商品を包装するパッケージに用いられる透明フィルムに用いられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の光透過材は、それ自身単独で用いるだけでなく、光反射防止のための微細凹凸構造を備えていない他の透明部材の表面に貼付して用いても良い。例えば、デジタルフォトフレームや液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイ、スマートフォンやタブレット型端末機等の積層パネル間の界面に貼り付けることで界面反射を防止でき、視認性向上や光損失を低減できる。また、各種照明や太陽光パネルの構成基材界面に貼り付けて使用することで、光損失を低減できる。他には、窓や多重窓の界面への貼り付けや、水槽用透明板の表面や水槽内面に貼り付けることで、景色や鑑賞物の鮮明性が良くなる。レンズ等の光学部材に対しても貼り付けてまたは直接凹凸を設けても良い。
微細凹凸構造を備えていない透明部材へ光透過材を貼りつけるには、熱可塑性エラストマーを成分に含む感圧接着剤を用いると、貼りつける透明部材に対し糊残りし難く、リワーク可能な粘着力を容易に調整することが可能で、剥離時に粘着層が凝集破壊することもない。感圧接着剤に使用するエラストマーは、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレンブロック−ポリスチレン)、SEPS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリプロピレン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン)、SBS(ポリスチレン−ポリブチレン−ポリスチレン)、SI(ポリスチレン−ポリイソプレン)、SB(ポリスチレン−ポリブチレン)、SEP(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレンブロックなどが挙げられる。中でも、水添されたブロックポリマーのSEBSが好ましい。感圧接着剤は、エラストマーの他に水添テルペン系樹脂などの粘着付与材(タッキファイヤ―)とパラフィン系のプロセスオイルなどの可塑剤を配合することで粘着性、タック性、凝集力を備えることができる。高透過性、低ヘイズを実現するためには、可視光領域に吸収がない材料を選択することが好ましい。また、添加剤として酸化防止剤、無機フィラー、有機フィラー、紫外線吸収剤などを添加することもできる。光透過材に感圧接着剤層を形成する方法は、加熱し光透過材の裏面へ直接塗布する方法や感圧接着剤を溶剤により希釈しコーティングまたはスプレーすることが可能であり塗布方法についての制限は無い。また、あらかじめシリコンPET基材などに感圧接着剤を塗布したフィルムと透明部材を貼合することも可能である。感圧接着剤の厚みは、0.5μm〜25μmであれば透明部材に気泡を噛むこと無く光透過材を形成することができ、気泡を噛んだ際も粘着層が破壊することがないので、貼り直しが可能な光透過材として用いることが可能となる。
<実施例1〜5>
以下、本発明の光透過材の効果を確認するための実施例1〜5及び比較例1,2について説明する。
図1〜図4は、本実施の形態に係る光透過材の実施例の試験結果を示すグラフ図である。
Figure 2013218045
表1中、「光リソ」とは、後述の光フォトリソグラフィー法を、「熱リソ」とは、後述の熱フォトリソグラフィー法をそれぞれ示している。実施例1〜5及び比較例1、2に用いたモールドは、以下の干渉露光法、光リソグラフィー法及び熱リソグラフィー法で作製した。
<干渉露光法:実施例1、2、4、5>
均一な厚みのポジ型フォトレジスト層が形成されているガラスプレートへ、レーザー干渉露光法により2つの平行なレーザー光を照射し干渉稿を得た。次に、ガラスプレートを60°回転させ、同様に干渉稿を得た。さらにガラスプレートを60°回転させ、同様に干渉稿を得た。その後、フォトレジストを現像し、干渉稿の周りの部分を溶解することで、凹部と凸部からなるモスアイ状の連続凹凸構造を有するモールドを作製した。凹部及び凸部の配列はそれぞれ六方格子パタンを得た。
<光リソグラフィー法:比較例2>
石英板上にレジストを塗膜し、露光装置(レーザー光266nm)を用いて正規配列の六方格子パタン、またはパタン間隔にばらつきのある準六方格子パタンを潜像形成した。現像処理することで、各々のレジストパタンを得て、次にCHFガス雰囲気中でのドライエッチングすることで、石英板に凹凸パタンを作製できた。最後にレジストを完全除去するため、Oアッシングした。結果、モスアイ状の略円錐型凹凸パタンを有するモールドを得た。
<熱リソグラフィー法:実施例3、比較例1>
石英ガラス基板に、有機レジストを塗工しスピンコートした後、オーブンにてプリベイクした。次に、その有機レジスト層の表面に、スパッタリング法にて無機レジスト層を作製した。この無機レジスト層に対して、レーザー光を照射し(熱リソグラフィー法)し、凹型パタンを作製した。さらにCF/Ar混合ガスを使ったエッチングにより、石英板上に凹部かなる微細孔を得た。
<成型体の作製>
表1に示す実施例1〜5及び比較例1,2の成型体A〜Gのうち、成形体A〜C、F、Gは、上述の通りに作製したモールドを用いて、UVナノインプリント転写法にて作製した。厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂(以下、TACと略す)フィルム(TD80UL−H/富士フイルム社製、屈折率1.48)にアクリル系樹脂(屈折率1.51)を塗布し、塗布面を下にしてモールドとTACフィルムとの間に空気が入らいないように被せた。TACフィルム側からメタルハライドランプを用いて紫外線を1500mJ/cm照射し、モールドの微細凹凸構造を転写した。TACフィルムをモールドから剥離し、微細凹凸構造を具備した成型体A〜C、F、Gを得た。
また、成型体Dについては、成型体Aで作製した転写品の微細凹凸面とは反対面の基材面に、実施例1で使用したモールドを使って上記と同様の転写方法にてパタンを作製した。すなわち、成型体Dは、基材両面に微細凹凸構造を具備する。
また、成形体Eについては、成形体Aを2枚使って、基材面(微細凹凸面とは反対面)同士を粘着材で貼り合わせた。つまり、成形体Eは、両面に微細凹凸構造を具備した積層体である。
<成型体の構造解析>
成型体A〜Gの表面に転写した微細凹凸構造体の凸部平均高さ、最隣接凸部間平均ピッチ、このピッチの均一性(標準偏差値)を測定した。
凸部平均高さの測定は、凹部の最下点を含む基準面から任意の50点の凸部の平均高さを原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope; AFM)を用いた観察により測定した。なお、最下点を含む基準面とは、任意の50点の凸部を測定する際の領域のうち、最も低い凹部の位置を指す。
また、最隣接凸部間平均ピッチの測定については、透過型電子顕微鏡(SEM)を使って微細凹凸構造の上面からの形態観察を行い、微細凹凸構造の平面視画像を得て、任意の凸部を起点にした際の隣接する凸部間の距離を測定した。また、任意の50か所の凸部をそれぞれ起点とし、それぞれの凸部に隣接する凸部間の距離の標準偏差値を算出し、これをピッチの均一性(標準偏差値)とした。
次に、成型体A〜Gの表面のうねり(粗面性)をサーフコーダー(日本工業規格(JIS)B0601−1994)にて、十点平均粗さ(Rz)と算術平均波長(λa)を測定した。これらの結果を表1にまとめた。
表1に示す通り、微細凹凸構造の特徴としては、成型体A〜Eの微細凹凸構造はピッチの均一性が高い、すなわちピッチの標準偏差値が小さい、周期性の高い構造であることがわかった。また、成型体の表面粗さ(Rzやλa)が小さいことから平坦性があることも確認された。一方、成型体F,Gについては、ピッチの標準偏差値が大きく、均一性に欠けていた。
<成型体の光学特性>
成型体A〜Gのヘイズ値及び全光線透過率を測定した。ヘイズ値及び全光線透過率は、日本工業規格(JIS)K7136に準じた測定法により測定した。これらの結果を表1にまとめた。
表1に示す通り、成型体A〜E、成型体F、Gのいずれも全光線透過率は高いものの、ヘイズ値に関しては、実施例と比較例で大きく差が出た。成型体A〜Eのヘイズ値は、0.2%以下と非常に低い。一方、成型体F、Gのヘイズ値は2%以上もあり、ヘイズが大きいことが分かった。図1に示すように、各成型体のピッチの均一性(標準偏差値)とヘイズ値をプロットしたところ、ピッチの標準偏差値が30nm前後にて、ヘイズ値が不連続的に上昇していることが明らかとなった。この結果は、ヘイズが、ピッチの均一性に影響を受けていることを示唆する。
このヘイズの影響は、光の直進性に対して影響を与えていることが次の変角透過率の測定により明確となった。変角透過率の測定は、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、型式:U−4100)を用いて行った。具体的には、S波偏光光又はP波偏光光を入射させた場合それぞれについて、入射光角度0°〜60°及び波長範囲400〜1000nm(1nm毎)における直線透過率を測定した。S波偏光光の直線透過率とP波偏光光の直線透過率の平均値から、各入射光角度・波長550nmでの直線透過率を調べた。これらの結果を表1にまとめた。
なお、入射光角度は、光透過材(成型体)に対して垂直方向からの入射角度を0°とした。
表1に示す通り、成型体A〜Eでは、0度入射光の透過率が95%以上であるのに対して、成型体F、Gでは約90%と直進性が低下していることが分かった。さらに、入射角度を45度にした場合、成型体A〜Eの透過率は93%以上であるのに対して、成型体F、Gについては80%弱まで低下した。入射角度を60度にした場合、成型体A〜Eについては透過率が約90%と依然高い透明性を示していたが、成型体F、Gについては透過率70%前後まで低下した。以上の結果から、成型体F、Gの光透過直進性の阻害要件としてはヘイズ値の大きさ、すなわち、微細凹凸構造の凸部のピッチ不均一性に起因することが明らかとなった。このことは、図2〜図4に示すように、各成型体について、横軸にピッチの均一性(標準偏差値)を、横軸に直進透過率をとってプロットしたグラフからも明らかである。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、本発明は実施例に限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
以上説明したように、本発明は、光透過率が高く且つ光の直進性を向上できるという効果を有し、特に、展示品のケースや商品のパッケージなどに適用することができる。

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材の表面に設けられた複数の凹部と複数の凸部とからなる微細凹凸構造とを具備し、
    前記複数の凸部のうちの任意の一つの頂点と、この一つの凸部に隣接する他の凸部の頂点との間隔が、平面視において350nm未満であり、この間隔の平均値における標準偏差値が0.5nm以上、30nm以下であり、且つ、
    前記複数の凸部の高さが、前記複数の凹部の最下点を含む基準面から200nm以上であることを特徴とする光透過材。
  2. 表面のうねりの十点平均粗さが200nm以下であって、且つ、算術平均波長が30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光透過材。
  3. 全光線透過率が92%以上であって、且つヘイズ値が2%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光透過材。
  4. 表面に対して0度入光して透過した光の直進透過率が95%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光透過材。
  5. 表面に対して45度入光して透過した光の直進透過率が93%以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光透過材。
  6. 両面に微細凹凸構造を具備していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光透過材。
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