JP2013216766A - 導電性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性ポリマーの含有量が少なくても高い導電性を示す導電性組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の導電性組成物は、水性媒体に、π共役系の導電性ポリマー及びドーパントを主成分とした導電性混合物と、絶縁性ナノファイバーとが含有されている。より具体的には、前記導電性混合物は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物であり、前記絶縁性ナノファイバーは、バイオマスナノファイバーである。
【選択図】 図4

Description

本発明は、導電性組成物に関する。
電子部品の包装材料、帯電防止フィルム、ICキャリアテープ等には、電子部品等に影響を及ぼす静電気を蓄えない帯電防止性能が求められており、帯電防止性能を付与した基材が一般的に用いられている。基材に帯電防止性能を付与する方法としては、従来、基材樹脂にカーボンや金属等の各種導電性のフィラーを練り込む方法や、界面活性剤を基材表面に塗布する方法等が知られている。しかし、導電性のフィラーを練り込む方法においては、帯電防止性能を発現させるために、フィラーを基材100質量部に対して10〜30質量部程度練り込む必要がある。そのため、着色により美装性が悪化する問題や、クリーンルームなどで使用される場合にはフィラーの滑落等によりクリーン環境を汚染してしまう等の問題がある。また、界面活性剤を基材表面に塗布する方法においては、美装性の悪化、滑落等の問題は生じにくいが、使用環境により導電性が変化し、特に、低湿度の環境では導電性が大きく低下するとともに、帯電防止性能が低下するという問題がある。
また、電子機器、特に、タッチパネルや、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイ等の画像パネル、太陽電池パネルなどには高い透明性が求められることから透明電極が使用されている。前記透明電極としては、例えば、透明ポリマー膜等の基材の上に、導電成分としてITO(インジウム−スズ酸化物)を真空蒸着させて導電性膜を形成した積層膜が使用されている。しかし、その導電膜を形成するための真空蒸着装置は高価なものであり、さらには、ITOには高価なレアメタルが使用されており、資源枯渇の問題があった。
そこで、例えば特許文献1〜3には、湿度等の環境による導電性能の変化が生じにくい導電性ポリマーからなる導電性膜を基材表面に形成する方法が提案されている。しかし、特許文献1〜3記載の、導電性ポリマーからなる導電性膜を基材表面に形成する方法においては、導電性ポリマー自体が着色されていることから、基材の色調に影響を与えてしまうという問題がある。
このような問題に対し、特許文献4には、少ない導電性ポリマーの添加量でも高い導電性を発現して高い透明性と充分な帯電防止性能が得られる導電性組成物として、スルホン酸基および/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーと、水溶性バインダー樹脂と、樹脂粒子および/または無機粒子からなる水分散性粒子と、水性媒体とを含有する導電性組成物が開示されている。また、導電性膜の形成方法として、導電性材料であるカーボンナノチューブを用いる方法も提案されている。特許文献5には、カーボンナノチューブの特性を損なうことなく溶媒への分散性または溶解性を高めるために、導電性ポリマーを共存させることが開示されている。
さらに、ITOの代替品として、導電性ポリマーを用いる方法が提案されている。例えば特許文献6には、π共役導電性ポリマーと、ドーパントと、アミド化合物と、不飽和二重結合を2つ以上有している多官能アクリルと、溶媒と、を含有し、そして、ドーパントとしてポリアニオンを、アミド化合物としてN−ヒドロキシアクリル(メタ)アクリルアミド及び/又はN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを、それぞれ用いることが好ましいとの記述がある。
一方、樹脂中に繊維状強化材を配合することでその強度及び剛性を向上させた繊維強化複合材料が、各種産業分野で幅広く用いられている。繊維状強化材としては、従来、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維や、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維が用いられている。また、近年、バイオマス材料への期待の高まりから、セルロース繊維、キチン繊維、キトサン繊維、特に直径がナノメートルオーダーであるセルロースナノファイバーに関する研究が盛んに行われており、例えば特許文献7には、繊維状強化材としてセルロースナノファイバーを用いることが提案されている。また、特許文献8には、N−オキシル化合物、および臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物の存在下で、酸化剤を用い水中にてセルロース系原料を酸化して酸化されたセルロース系原料を調製し、該酸化されたセルロース系原料を解繊・分散処理する前に、酸を添加して加水分解処理することが開示されている。そして、特許文献9には、セルロースファイバーと陰イオン性分散剤を含む分散体を高圧噴射処理することで、セルロースナノファイバーの分散体を製造することが開示されている。
特開平7−196791号公報 特開平7−324132号公報 特開平8−041320号公報 特開2010−018673号公報 特開2011−006598号公報 特開2008−146913号公報 特開2005−336341号公報 特開2010−275659号公報 特開2012−051991号公報
上述のように、特許文献1〜3記載の方法においては、導電性ポリマー自体が着色されていることから、基材の色調に影響を与えてしまうという問題がある。
これに対して、特許文献4記載の導電性組成物においては、透明性が改善されており、また、水分散性粒子が、水溶性導電性ポリマーを有する導電体の導電性を効率的に高める導電性補助材として働き、少ない導電性ポリマーの添加量によって高い導電性が発現するとされている。しかし、その導電性ポリマーの添加量には未だ改善の余地がある。
また、特許文献5記載の導電性組成物においては、導電性材料であるカーボンナノチューブが滑落した場合、特に、電子部品やその包装材料等へ適用した場合、電子部品のショートによるトラブルの原因となる虞がある。
そして、特許文献6記載の導電性組成物においては、π共役系導電性ポリマーと、ドーパントと、アミド化合物と、不飽和二重結合を2つ以上有している多官能アクリルと、溶媒と、を含有することで、高い導電性を示しているが、高価な導電性ポリマーの使用量が多くなってしまい、材料コストの面で問題がある。
セルロースナノファイバーは、本来、絶縁性を示す材料であることから、上述の導電性ポリマーとは相反する性質を有している。このため、特許文献7〜9において、セルロースナノファイバーと導電性ポリマーとの関連性については何らの開示も示唆もない。
そこで上述の問題点に鑑みて、本発明は、少ない導電性ポリマーの含有量であるにも関わらず、高い導電性を示す導電性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々の検討の結果、意外なことに、導電性ポリマーとは相反する性質の絶縁性ナノファイバーが、導電補助剤として機能することを見出した。
本発明の導電性組成物は、カルボキシル基またはスルホン酸基のいずれをも有さないπ共役系の導電性ポリマーにドーパントが添加された導電性混合物と、絶縁性ナノファイバーとが含有されていることを特徴とする。
本発明によれば、カルボキシル基またはスルホン酸基のいずれをも有さないπ共役系の導電性ポリマーの含有量が少なくても高い導電性を示す導電性組成物となる。これは、前記絶縁性ナノファイバーが、前記導電性混合物の導電性を効率的に高める導電補助剤として機能するからである。
前記導電性混合物を構成する導電性ポリマーは、カルボキシル基またはスルホン酸基のいずれをも有さない導電性ポリマーであって、分子の主鎖に沿ったπ共役を有する導電性ポリマーであり、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば、特に制限されない。前記導電性ポリマーとしては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。また、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェン等のナノ炭素材料があげられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
カルボキシル基またはスルホン酸基のいずれをも有さないπ共役系の導電性ポリマーの具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、等が挙げられる。
カルボキシル基またはスルホン酸基のいずれをも有さないπ共役系の導電性ポリマーは無置換のままでも、充分な導電性を得ることができるが、相溶性をより高めるため、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基等の官能基をπ共役系導電性ポリマーに導入することが好ましい。前記導電性ポリマーと混合するドーパントとしては、スルホン酸基やカルボキシル基を有する有機化合物が挙げられ、また、スルホン酸基やカルボキシル基の一部がアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等で塩を形成させることも可能である。
前記導電性ポリマーと混合するドーパントの具体例としては、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物等のアクセプタ性ドーパントと、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン塩化合物等のドナー性ドーパントが挙げられ、アクセプタ性ドーパントがより好ましい。アクセプタ性ドーパントのハロゲン化合物としては、例えば、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、塩化ヨウ素(IC)、臭化ヨウ素(IBr)、フッ化ヨウ素(IF)等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO等が挙げられる。有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
前記プロトン酸としては、無機酸、有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等が挙げられる。有機酸としては、有機カルボン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。
有機カルボン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にカルボキシル基を一つ又は二つ以上を含むものを使用できる。例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にスルホ基を一つ又は二つ以上含むものを使用できる。スルホ基を一つ含むものとしては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフト−ル−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、へキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸 、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物等のスルホ基を含むスルホン酸化合物等が挙げられる。スルホ基を二つ以上含むものとしては、例えば、エタンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、キシレンジスルホン酸、クロロベンゼンジスルホン酸、フルオロベンゼンジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、ドデシルナフタレンジスルホン酸、ペンタデシルナフタレンジスルホン酸、ブチルナフタレンジスルホン酸、2−アミノ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、1−アミノ−3,8−ナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、4−アミノ−5−ナフトール−2,7−ジスルホン酸、アントラセンジスルホン酸、ブチルアントラセンジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオ−シアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−マレイミジルスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、1−アセトキシピレン−3,6,8−トリスルホン酸、7−アミノ−1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、3−アミノ−1,5,7−ナフタレントリスルホン酸等が挙げられる。
本発明において、高い導電性が得られる最良の形態としては、前記導電性混合物が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)と、ポリスチレンスルホン酸(PSS)との混合物が挙げられる。
本発明においては、前記導電性混合物と前記絶縁性ナノファイバーとの配合比は、特に限定されるものではないが、前記導電性混合物を基準値1とした場合の前記絶縁性ナノファイバーとの配合比は、質量比で1:0.2以上であることが好ましい。前記導電性混合物と前記絶縁性ナノファイバーとの配合比が質量比で1:0.2未満の場合は、全体の材料コストが高くなるからである。
本発明は、前記絶縁性ナノファイバーが、その体積抵抗率が10Ω・cm以上のバイオマスナノファイバーであり、セルロース、キチン、キトサンのいずれか1種以上からなることが好ましい。なお、セルロース、キチン、キトサン以外の不純物があっても特に支障ない。
本発明によれば、低線膨張率、高弾性、生体適合性、抗菌性等の種々の機能が発現される。
本発明は、前記バイオマスナノファイバーが、その平均直径が50nm以下であり、30〜245MPaの高圧噴射処理により解繊されていることが好ましい。
本発明によれば、前記バイオマスナノファイバーが、可視光線が通過し易い状態となっており、高い透明性が維持できる。また、化学的な解繊方法を用いずに、物理的な解繊を行っているため、化学薬品等の残渣がない。
本発明は、前記導電性組成物に加えて、水分散性ポリマー化合物または水溶性ポリマー化合物のいずれか1種以上が含有されていることが好ましい。
本発明によれば、さらに、水分散性ポリマー化合物または水溶性ポリマー化合物のいずれか1種以上が含有されていることで、バインダーとして効果的に機能するため、塗膜の形態保持性が良好なものとなる。
本発明の導電性組成物は、媒体が水、または水とアルコール類との混和溶液であり、前記媒体に対する前記導電性混合物の割合が、1質量%以下の割合で調製されていることが好ましい。
本発明によれば、高い透明性が求められる導電性膜を形成するのに好適な形態となる。
前記導電性組成物に加えて、添加される前記水分散性ポリマー化合物や前記水溶性ポリマー化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、高い透明性が求められる導電性膜を形成するのに好適な形態としては、水性媒体に対する前記水分散性ポリマー化合物や前記水溶性ポリマー化合物の割合、すなわちバインダーの割合が、20質量%以下の割合で調製されていることが好ましい。
本発明によれば、絶縁性ナノファイバーが、カルボキシル基またはスルホン酸基のいずれをも有さないπ共役系の導電性ポリマー及びドーパントを主成分とした導電性混合物の導電性を効率的に高める導電補助剤として機能し、前記導電性ポリマーの含有量が少なくても高い導電性を示す導電性組成物となる。
本発明によれば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物が示す高い導電性が、体積抵抗率が10Ω・cm以上のセルロース、キチン、キトサンのいずれか1種以上からなるバイオマスナノファイバーの導電補助機能と相俟って、優れた導電性を示す導電性組成物となる。
本発明によれば、電子部品の包装材料、帯電防止フィルム、ICキャリアテープ等はもとより、タッチパネルや、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイ等の画像パネル、太陽電池パネルなど、高い透明性が求められる導電性膜を形成するのに好適な形態となる。
本発明に係る導電性混合物の構造式を例示する図である。 本発明の実施例と比較例についてそれぞれプロットしたグラフであり、グラフの横軸が導電性混合物(成分A)に対するバイオマスナノファイバー(成分C)の配合比であり、グラフの縦軸が得られた導電性組成物の表面抵抗値(Ω/□)である。 本発明の実施例と比較例についてそれぞれプロットしたグラフであり、グラフの横軸が導電性混合物(成分A)に対するバイオマスナノファイバー(成分C)の配合比であり、グラフの縦軸が得られた導電性組成物の表面抵抗値(Ω/□)である。 本発明の実施例と比較例についてそれぞれプロットしたグラフであり、グラフの横軸が導電性混合物(成分A)に対するバイオマスナノファイバー(成分C)の配合比であり、グラフの縦軸が得られた導電性組成物の表面抵抗値(Ω/□)である。 本発明にて使用される高圧噴射処理装置のチャンバーの概略構成を示す模式図である。
本発明を実施するための形態を以下に説明する。
本発明の実施形態である導電性組成物は、以下の成分(A)〜(D)を含有する。なお、ここで、符号A、A’、A”、B、C、Dは、読み易くするための識別符号であり、同一の符号は同一の物質を指す。
成分(A)
成分(A)は、導電性ポリマー(A’)及びドーパント(A”)を主成分とした導電性混合物である。
成分(A)を構成する導電性ポリマー(A’)は、分子の主鎖に沿ったπ共役を有する導電性ポリマーであり、より具体的には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。なお、ここで「導電性ポリマー」とは、その体積抵抗率が10Ω・cm未満であるπ共役系の電子伝導性のポリマーを意味する。
成分(A)を構成するドーパント(A”)は、スルホン酸基やカルボキシル基を有する有機化合物で、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等が挙げられる。また、スルホン酸基やカルボキシル基の一部がアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等で塩を形成させることも可能である。前記ドーパント(A”)としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。溶媒溶解性及び導電性の点からは、ポリイソプレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸を含む共重合体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレートを含む共重合体、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)を含む共重合体、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸を含む共重合体、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリスチレンスルホン酸を含む共重合体等が好ましい。
成分(A)に含まれる導電性ポリマー(A’)中、その繰り返し単位の割合は、当該導電性ポリマーを構成する全繰り返し単位(100モル%)のうち、20〜100モル%が好ましく、50〜100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
成分(A)に含まれる導電性ポリマー(A’)は、1分子中に繰り返し単位を10以上有することが好ましい。
成分(A)に含まれる導電性ポリマー(A’)の質量平均分子量は、5000〜1000000が好ましく、5000〜20000がより好ましい。成分(A)の質量平均分子量が5000以上であれば、成分(A)は、導電性及び成膜性に優れ、本発明の導電性組成物は、導電性及び膜強度に優れる。
成分(A)に含まれる導電性ポリマー(A’)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリエチレングリコール換算)である。
図1は、本発明に係る導電性混合物(A)の構造式を例示する図である。図1に示す例では、導電性ポリマー(A’)が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。また、ドーパント(A”)が、ポリスチレンスルホン酸(PSS)である。
成分(B)
成分(B)は、前記導電性ポリマー(A’)以外の、水分散性ポリマー化合物および/または水溶性ポリマー化合物である。成分(B)は、バインダーとして機能する成分であって、例えば、
塗膜に形態保持性を付与する役割がある。なお、ここで「水分散性ポリマー化合物」とは、温度が25℃の水中で、エマルションまたはコロイド状等の粒子性を保った状態で分散するポリマー化合物を意味する。また、ここで「水溶性ポリマー化合物」とは、温度が25℃の水100gに対して、0.1g以上溶解するポリマーのことを意味する。成分(B)としては、公知のものが利用できる。
成分(B)の水分散性ポリマー化合物の具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂類、又はアクリル樹脂類、若しくはこれらの共重合体や混合物等が挙げられる。成分(B)の水溶性ポリマー化合物の具体例としては、ポリビニルアルコールやポリビニルホルオマール等のポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミドやポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等のポリアクリルアミド類、トリポリリン酸ナトリウムやトリポリリン酸カリウム等のトリポリリン酸類、ポリビニルピロリドン類、水溶性アルキッド樹脂類、水溶性メラミン樹脂類、水溶性尿素樹脂類、水溶性フェノール樹脂類、水溶性エポキシ樹脂類、水溶性ポリブタジエン樹脂類、水溶性アクリル樹脂類、水溶性ウレタン樹脂類、水溶性アクリル/スチレン樹脂類、水溶性酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂類、水溶性ポリエステル樹脂類、水溶性スチレン/マレイン酸共重合樹脂類、又は水溶性フッ素樹脂類、若しくはこれらの共重合体や混合物等が挙げられる。なお、成分(B)は1種単独でも2種以上でもよい。
成分(C)
成分(C)は、バイオマスナノファイバーである。成分(C)は、成分(A)の導電補助剤として機能する。ここで、「ナノファイバー」とは、その直径(幅)が1〜100nmであり、その長さが直径の20倍以上であるファイバー状物質を意味する。
成分(C)の平均直径は、10〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましく、10〜40nmがさらに好ましく、15〜25nmが特に好ましく、最適値は20nm付近である。
成分(C)の平均直径が小さいほど、塗膜の透明性が優れることから好ましく、解繊処理の回数や時間等の観点からはその平均直径が50nm以下となるようにすればよい。
成分(C)の平均長さは、その直径の20〜100000倍が好ましく、50〜10000倍がより好ましい。ナノファイバーの直径及び長さは、FE−SEM(電解放出形走査電子顕微鏡)画像の観察より求められる。
成分(C)の体積抵抗率は、一般に絶縁性を示すと考えられる10Ω・cm以上である。成分(C)の体積抵抗率は、10Ω・cm以上が好ましく、1010Ω・cm以上がより好ましい。上限値は特に限定されていないが、成分(A)の導電補助剤として有効に機能させるためには、1018Ω・cm以下が好ましい。
成分(C)の体積抵抗率の測定方法としては、10Ω・cm未満の場合は、例えば、四探針法(三菱化学(株)製、Loresta HP MCP−T610)等により測定することができ、また、10Ω・cm以上の場合は、例えば、絶縁抵抗計((株)アドバンテスト社製、高抵抗計R8340)等により測定することができる。
成分(C)の材質としては、体積抵抗率が10Ω・cm以上となる絶縁性材料であれば特に限定されず、例えば、天然繊維由来のもの、化学繊維由来のもの等を用いることができる。天然繊維または化学繊維として具体的には、木綿、石綿、絹、セルロース、アクリル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ尿素、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ガラス等の各種の繊維類が挙げられる。
成分(C)としては、製造上の適性から、バイオマスナノファイバーが好ましく、特に、セルロースナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーおよび/またはキトサンナノファイバーが好ましい。
セルロースナノファイバーは、セルロース繊維を解繊したものであり、セルロース繊維としては、植物由来のパルプ、木材、コットン、麻、竹、綿、ケナフ、ヘンプ、ジュート、バナナ、ココナッツ、キャッサバ、海草、お茶葉等の植物繊維から分離した繊維等が挙げられ、また、海産動物であるホヤが産出する動物繊維から分離した繊維や、酢酸菌より産出されたバクテリアセルロース等が挙げられる。この中でも、植物繊維から分離した天然セルロース繊維が好ましく、パルプまたはコットンから分離した天然セルロースがより好ましい。天然セルロース繊維は、幅4〜20nmの結晶性ミクロフィブリルが複数集合して成る。これを化学的または物理的に精製し、解繊することでセルロースナノファイバーを得ることができる。
キチンナノファイバーは、キチン繊維を解繊したものであり、キチン繊維としては、カニ、エビ等の甲殻類や昆虫等の殻、イカ筋(中骨)等の動物繊維から分離した繊維等が挙げられ、また、きのこやカビ等の真菌類の細胞壁から分離した繊維等が挙げられる。この中でも、動物繊維から分離した天然キチン繊維が好ましく、カニまたはエビから分離した天然キチン繊維がより好ましい。天然キチン繊維は、幅4〜20nmの結晶性ミクロフィブリルが複数集合して成る。これを化学的または物理的に精製、解繊することでキチンナノファイバーを得ることができる。
キトサンナノファイバーは、前記キチン繊維を脱アセチル化することで得られるキトサン繊維を解繊したものである。そのため、動物繊維から分離した天然キチン繊維を脱アセチル化したキトサン繊維が好ましく、カニまたはエビから分離した天然キチンを脱アセチル化したキトサン繊維がより好ましい。キトサン繊維は、幅4〜20nmの結晶性ミクロフィブリルが複数集合して成る。これを化学的または物理的に精製し、解繊することでキトサンナノファイバーを得ることができる。
成分(C)は、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。例えば、バイオマスナノファイバーの製造方法としては、物理的製造方法と、化学的製造方法とが挙げられる。物理的製造方法は、セルロース繊維を含むセルロース原料に物理的処理を施してセルロース繊維を解繊する方法である。また、化学的方法は、セルロース原料に対し、解繊しやすくするための化学的処理(酸化等)を施した後、物理的処理を施してセルロース繊維を解繊する方法である。
物理的処理を施してセルロース繊維を解繊する方法としては、例えば、セルロース原料を水等の分散媒に分散させた分散液(セルロース分散液)に、直径1mm程度のセラミック製ビーズを入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等により振動を与えて解繊する方法、ブレンダータイプの分散機や高速回転するスリットの間にセルロース分散液を通してせん断力を働かせて解繊する方法(高圧ホモジナイザー法)、対向衝突型の分散機を用いる方法、後述する高圧噴射処理する方法等が挙げられる。
これらの物理的処理を施してセルロース繊維を解繊する場合、セルロース分散液としては、セルロース原料を水性媒体に分散させたものが用いられる。セルロース原料としては、通常の方法を用いて精製することによってヘミセルロース及びリグニン等を除去した結晶セルロースが一般的に用いられる。
水性媒体としては、水、水溶性有機溶媒、それらの混合溶媒などが挙げられる。水性媒体には、必要に応じて、酸又はアルカリ、イオン性又は非イオン性の分散剤や界面活性剤、無機塩などが添加されてもよい。セルロース分散液の固形分濃度(セルロース原料濃度)は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以上6質量%以下とされる。この解繊処理に供するセルロース分散液中の固形分濃度が低過ぎると、処理するセルロース量に対して液量が多くなり過ぎ、効率が悪くなる。一方で、解繊処理に供するセルロース分散液中の固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなる。
本発明において好適に用いられる物理的製造方法として、高圧噴射処理により製造する方法が挙げられる。ここで、高圧噴射処理とは、セルロース分散液に圧力をかけてノズルから噴射し、硬質体に衝突させる方法である。前記セルロース分散液が衝突硬質体に衝突することで、セルロース繊維の絡まりがほどけ、繊維径が微細化していく。
図5は、本発明にて使用される高圧噴射処理装置のチャンバーの概略構成を示す模式図である。本構成例では、高圧噴射処理は、セルロース分散液加圧部1と、セルロース分散液加圧部1の下流側に設けられたオリフィスノズル2と、オリフィスノズル2の下流側に設けられた衝撃増強領域4と、衝突増強領域4の下流側に設けられた衝突用硬質体5と、回収用流路6と、が備わった高圧噴射装置10を用いて行われる。
例えば、オリフィスノズル2は、セルロース分散液加圧部1と衝撃増強領域4を連絡する貫通孔(ノズル)3を1つ有しており、セルロース分散液加圧部1にて30〜245MPaに加圧されたセルロース分散液が貫通孔3を通って衝撃増強領域4側に噴射されるようになっている(図5)。貫通孔3の直径としては、0.1〜0.8mmが好ましい。貫通孔3、衝撃増強領域4および衝突用硬質体5は、略同一直線状に配置されており、貫通孔3から噴射されたセルロース分散液が、衝突増強領域4を通って衝突硬質体5に衝突する構成である(図5)。そして、オリフィスノズル2噴射吐出流は240〜700m/sの高速噴流となり、高いせん断力が発生する。ここで使用するオリフィスノズル2の厚みは例えば0.4mmと極端に薄いため、圧力エネルギーのほぼ100%を噴射の速度エネルギーに変換できる。すなわち、オリフィス内部では、0.1〜0.8mmという隙間と、240〜700m/sの超高速の状態となり、高いせん断力を得るための条件が整う。また、240〜700m/sの高速噴流ではキャビテーション気泡が発生し、このキャビテーション気泡が破裂することで強い衝撃力が発生する。さらに、オリフィスノズル2の下流に衝突増強領域4を設けることで、キャビテーション気泡を効果的に発生させることができる(図5)。衝突力増強領域4の長さLは、0.01〜200mmの範囲内であり、より好ましくは2〜60mmの範囲内である。衝突用硬質体5の材質としては、セルロース分散液衝突時の衝撃に耐え得るものであれば特に限定されず、例えばセラミック等が挙げられる。
上記のような高圧噴射処理装置の好適な実用機としては、例えば、(株)スギノマシン製の「スターバースト(登録商標)」が挙げられる。
上述の高圧噴射装置((株)スギノマシン製スターバースト)を用いたセルロースナノファイバーの製造方法としては、具体的には、セルロース分散液を30〜245MPaに加圧し、オリフィスノズル2から噴射して衝突用硬質体5に衝突させる高圧噴射処理を少なくとも1回実施し、好ましくは複数回実施することにより製造する。1回目の高圧噴射処理で衝突用硬質体5に衝突させたセルロース分散液は、回収用流路6から回収する。高圧噴射処理を2回以上行う場合、回収したセルロース分散液を再度加圧し、オリフィスノズル2より衝突用硬質体5に向けて高圧噴射する操作を、繊維径の微細化に必要な回数繰り返す(図5)。
上述の高圧噴射装置にて高圧噴射処理されるセルロース分散液に含まれるセルロース原料は、繊維状、粒状などの任意の形態であってよい。セルロース原料は、リグニンやヘミセルロースを除去した結晶セルロースが好ましいが、その他市販の材料(例えばパルプ、コットン等)を用いてもよい。
上述のセルロース分散液の固形分濃度(セルロース原料濃度)は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。一般に、セルロース分散液の濃度は、高濃度ほど処理効率が高まるため好ましいとされるが、ナノレベルに微細化した場合、粘度が高くなり過ぎてペースト状態になり、高圧噴射が困難になる傾向がある。一方、図5に示す構成の高圧噴射処理装置10を用いた場合、従来は高圧噴射処理が困難な高濃度であっても高圧噴射処理をすることが可能となる。高圧噴射処理装置10における、セルロース分散液にかける圧力は、30〜245MPaであり、150〜200MPaが好ましい。そして、セルロース分散液の噴射速度は、550〜650m/sであることが好ましい。セルロース分散液の噴射速度は、例えば、セルロース分散液にかける圧力によって調節できる。ここで、セルロース分散液の噴射速度は貫通孔3の出口部における速度であり、セルロース加圧部1の圧力などから算出することができる(図5を参照)。
高圧噴射処理回数は、所望の直径のセルロースナノファイバーが得られるように適宜設定できる。高圧噴射処理回数は、通常、1〜50回、好ましくは1〜40回、より好ましくは1〜10回である。なお、図5においては、衝突用硬質体5としてボール状のものを示したが、これに限定されるものではなく、平板状等、他の形状であってもよい。
上述のような高圧噴射処理により得られるセルロースナノファイバーは、種々の利点を有することから本発明において好適な材料となる。つまり、高圧噴射処理したセルロース分散液に含まれるセルロースナノファイバーは、その繊維径が非常に細い。また、解繊が不十分なセルロースは実質的に存在しない。そのため、このセルロースナノファイバーを低濃度で水性媒体に分散させた場合には、セルロースナノファイバーが分散していることは肉眼では認められず、透明に近い外観を有することとなる。また、上述の高圧噴射装置でセルロース分散液の高圧噴射処理をすると、セルロース繊維は繊維の長さを保ったまま繊維同士の絡まりがほどけて細くなるため、繊維長さを繊維直径で除したアスペクト比(繊維長さ/繊維直径)が大きくて分散状態が良好なセルロースナノファイバーが得られる。なお、上述した高圧噴射処理は、セルロースナノファイバーに限定されず、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバーにも適用され、バイオマスナノファイバー全般に適用可能である。
セルロースナノファイバーの化学的製造方法において、セルロース原料に対して施す、解繊しやすくするための化学的処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。特に、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルラジカル(TEMPO)等のN−オキシル化合物および酸化剤を用いて行う酸化処理が好ましい。この酸化処理によれば、セルロースミクロフィブリル表面のC6位の水酸基を選択的に酸化して−CHOHをカルボキシル基(ナトリウム塩)に変換することが可能である。このようにして得られた酸化セルロースは、水中でミキサーなどを用いた簡単な機械処理を行うことにより効率よくセルロースナノファイバーとすることができる。
セルロースナノファイバーの化学的製造方法において、N−オキシル化合物および酸化剤を用いて行う酸化処理については、公知の方法により実施できる。例えば、Saito,T.,et al.,Cellulose Commun.,14(2),62(2007)には、セルロース原料を触媒量の2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルラジカル(TEMPO)と酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムとの共存下で処理する方法が開示されている。また、特開2008−308802号公報には、ニトロキシラジカル誘導体、臭化アルカリおよび酸化剤を含む水系溶媒中でリグノセルロースを処理することにより、リグノセルロースからリグニンとヘミセルロースを除去しながらセルロースを単離すると共に、得られたセルロースを酸化することができる方法が開示されている。特開2010−275659号公報には、N−オキシル化合物、および臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物の存在下で、酸化剤を用い水中にてセルロース系原料を酸化して酸化されたセルロース系原料を調製し、この酸化されたセルロース系原料を解繊・分散処理する前に、酸を添加して加水分解処理するセルロースナノファイバーの製造方法が開示されている。
成分(D)
成分(D)は、成分(A)が溶解可能な媒体であり、成分(B)が溶解又は分散可能な媒体であり、成分(C)が分散可能な媒体であれば特に限定されない。
成分(D)は、より具体的には、水、又は、水と水に可溶な有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。水に可溶な有機溶媒としては、水に混合した際に均一な溶液となるものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、ブタノール等のアルコール類や、アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類や、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコール類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類や、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン等が挙げられる。成分(D)としては、水、又は、水とアルコール類との混和溶液が好ましい。
本発明の導電性組成物において、成分(A)の含有量は、成分(D)100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.05〜15質量部がより好ましく、0.05〜10質量部がさらに好ましい。成分(D)100質量部に対する成分(A)の含有量が、0.01質量部以上であれば、帯電防止に必要とされる導電性が充分得られ、また、20質量部以下であれば、当該導電性組成物の粘度が高くなりすぎるのを防止でき、取り扱いが容易である。
本発明の導電性組成物において、成分(B)の含有量は、成分(D)100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。成分(D)100質量部に対する成分(B)の含有量が、1質量部以上であれば、得られる導電性膜に必要とされる膜強度が充分得られ、50質量部以下であると、当該導電性組成物の粘度が高くなりすぎるのを防止でき、取り扱いが容易である。
本発明の導電性組成物において、成分(C)の含有量は、固形分換算値で、成分(D)100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましく、0.001〜5質量部がより好ましい。成分(D)100質量部に対する成分(C)の含有量が、0.001質量部以上であれば、導電性の向上効果が充分に得られ、また、10質量部以下であれば、当該導電性組成物を用いて得られる導電体の強度を高めつつ、透明性に優れたものとなる。
本発明の導電性組成物において、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量は、成分(D)100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。成分(D)100質量部に対する成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量が、1質量部以上であれば、導電性の向上効果が充分に得られる。
本発明の導電性組成物において、成分(A)と成分(B)との含有量の質量比は、成膜性の観点から、成分(A)100質量部に対し、成分(B)が100〜20000質量部であることが好ましく、1000〜20000質量部であることがより好ましく、2000〜20000質量部であることがさらに好ましい。
本発明の導電性組成物において、成分(A)と成分(C)との含有量の質量比は、導電性の観点から、成分(A)100質量部に対し、成分(C)が1〜1000質量部であることが好ましく、1〜500質量部であることがより好ましく、20〜200質量部であることがさらに好ましい。
本発明の導電性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、成分(A)〜(D)以外の他の成分を含有することができる。他の成分としては、例えば、塗料等に用いられる添加剤として公知の添加剤が利用でき、例えば、界面活性剤、増粘剤、染料、硬化触媒、レオロジーコントロール剤、樹脂微粒子、消泡剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、可塑剤等が挙げられる。
本発明の導電性組成物は、成分(A)、成分(B)および成分(C)を任意の順序で成分(D)と混合することにより製造できる。成分(C)の製造に際して水性溶媒中で解繊処理を行い、水性分散液として成分(C)を得た場合には、この水性分散液の水性媒体を成分(D)として利用できる。各成分の混合には、スターラー、ディスパー、ホモジナイザー等の公知の攪拌機を用いて実施できる。また、前述の高圧噴射装置10を用いて処理することで、分散性に優れた導電性組成物となる。
本発明の導電性組成物は、所定の形状とし、乾燥等により、成分(D)を除去することで導電体を製造することができる。また、本発明の導電性組成物を基材上に塗工して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥することで導電膜を製造することができる。
前記導電性組成物を塗工する基材の材質は、特に限定されず、ポリマー化合物、木材、紙材、セラミックス、ガラス等が挙げられる。基材の形状は、特に限定されず、フィルム状、板状、その他各種不定形状等であってよい。
例えば、基材となるポリマー化合物としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、そのフィルム、発泡体およびエラストマー等が挙げられる。
前記基材は、少なくとも一部の表面上に形成される導電膜の密着性を向上させる目的で、前記基材の表面に対し、コノナ表面処理、プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。
前記導電性組成物の塗工方法としては、一般の塗工に用いられている方法が利用でき、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリューコーター等の塗布方法、スプレーコーティング等の噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等が用いられる。
前記塗工後の乾燥は、室温や室温未満で放置することによって行ってもよく、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行う場合の温度は、40℃〜250℃の範囲が好ましく用いられる。加熱温度が40℃未満の場合は、導電性組成物の成分(D)が多く残存して導電性が充分の発揮できないおそれがある。また、250℃を超える場合は、成分(A)の劣化が生じて導電性が低下するおそれがある。
以上、説明した本発明の導電性組成物によれば、従来技術の導電性組成物に比べ、高い帯電防止性能(導電性能)を発現する導電性組成物および導電体を提供できる。
また、本発明の導電性組成物においては、特に、従来技術の組成物に比べ、少量の導電性ポリマー(成分(A))の添加で充分な帯電防止性が得られる。つまり、高価な導電性ポリマー(成分(A))の添加量を大幅に削減することによる材料コストの抑制ができ、得られた導電性組成物および導電体はその透明性が向上する等多数の利点があり有用である。なお、本発明の導電性組成物においては、成分(A)と成分(C)は必須であるが、成分(B)と成分(D)については、必須でない場合がある。
本発明を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
本発明の実施例に示す導電性組成物は、成分(A)〜(D)を含有する。ここで、符号A、A’、A”、B、C、Dは、読み易くするための識別符号であり、同一の符号は同一の物質を指す。ここで、符号B−1、B−2、B−3は符号Bで示す機能を有する物質であり、また、符号C−1、C−2は符号Cで示す機能を有する物質である。
成分(A)
導電性混合物(A)として、導電性ポリマー(A’)としての、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)と、ドーパント(A”)としての、ポリスチレンスルホン酸(PSS)との混合物の水分散液を用いた。ここでは、導電性混合物(A)が1.3質量%の水分散液(SIGMA−ALDRICH(株)製)を用いた。
成分(B)
水分散性ポリマー化合物(B−1)として、東洋紡績(株)製水分散性ポリエステル樹脂「バイロナール(登録商標)MD1200」を用いた。
水分散性ポリマー化合物(B−2)として、東洋紡績(株)製水分散性ポリエステル樹脂「バイロナールMD1245」を用いた。
水溶性ポリマー化合物(B−3)として、(株)クラレ製ポリビニルアルコール「PVA505」を用いた。
成分(C)
セルロースナノファイバー(C−1)は、後述の製造条件(1)にて製造した。セルロースナノファイバー(C−1)の平均直径は20nm、長さは2000〜10000nm、体積抵抗率は5×1011Ω・cmであった。
キチンナノファイバー(C−2)は、後述の製造条件(2)にて製造した。セルロースナノファイバー(C−2)の平均直径は20nm、長さは2000〜10000nm、体積抵抗率は5×1011Ω・cmであった。
成分(D)
水性媒体(D)として、イオン交換水を用いた。
成分(C)の平均直径、長さは、FE−SEM画像の観察により求めた。
成分(C)の体積抵抗率は、10Ω・cm未満の場合は、四探針法(三菱化学(株)製、Loresta HP MCP−T610)により測定し、また、10Ω・cm以上の場合は、絶縁抵抗計((株)アドバンテスト社製、高抵抗計R8340)により測定した。
導電膜の表面抵抗値(Ω)は、(株)ダイアインスツルメンツ製ハイレスタIP−ICPHT260を用い、2探針法にて測定した。
成分(C−1)の製造条件(1)
リグニン、ヘミセルロースを除去した結晶セルロース(日本製紙ケミカル(株)製、KCフロック、W−50GK)が2質量%の水分散体を、図5に示したものと同様の構成の高圧噴射装置スターバースト((株)スギノマシン製、オリフィスノズル2の厚みが0.4mm、貫通孔3の直径が0.6mm、衝撃増強領域の長さが50mm)に供給し、200MPaの高圧噴射を20回繰り返すことにより、セルロースナノファイバー(C−1)が2質量%の水分散体を得た。
成分(C−2)の製造条件(2)
カニ殻からたんぱく質やカルシウムを除去した結晶キチン(甲陽ケミカル(株)製、コーヨーキチン(商品名)、TC−L、脱アセチル化度が5%以下)が2質量%の水分散体を、図5に示したものと同様の構成の高圧噴射装置スターバースト((株)スギノマシン製、オリフィスノズル2の厚みが0.4mm、貫通孔3の直径が0.6mm、衝撃増強領域の長さが50mm)にて、200MPaの高圧噴射を10回繰り返すことにより、キチンナノファイバー(C−2)が2質量%の水分散体を得た。
<比較例>
比較例として、成分(A)、成分(B)、成分(D)の各成分が後述する表1で示す配合比(固形での質量部)となるように、成分(D)、成分(B)、成分(A)の順番に室温(25℃)で混合し、スターラーにて5分間攪拌後にホモジナイザーにて700rpmで1分間攪拌して、比較例E1〜E3で示す導電性組成物を調製した。
<実施例>
本発明の実施例として、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)の各成分が、後述する表1で示す配合比(固形での質量部)となるように、成分(D)、成分(C)、成分(B)、成分(A)の順番で室温(25℃)にて混合し、スターラーにて5分間攪拌し、その後にホモジナイザーにて700rpmで1分間攪拌して、実施例F1〜F10で示す導電性組成物を調製した。
Figure 2013216766
表1は、各成分の配合量を、成分(D)を100としたときの質量%で示している。表1中、成分(C)の配合量(質量部)は固形分であり、成分(D)で示す量は、水性媒体(水)と、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)の水分散体の分散媒である水との合計量である。
表1に示すように、成分(A)と成分(C)の配合比は、質量比で1:0.2以上となっており、より具体的には、質量比で1:0.25から1:2.00の範囲内である。
表1に示すように、成分(D)に対する成分(A)の割合は、1質量%以下の割合で調製されており、より具体的には、0.7質量%以下の割合で調製されている。
表1に示すように、成分(D)に対する成分(B)の割合は、20質量%以下の割合で調製されており、より具体的には、5質量%以下の割合で調製されている。
表1に示すように、成分(D)に対する成分(C)の割合は、1質量%以下の割合で調製されており、より具体的には、0.7質量%以下の割合で調製されている。
得られた導電性組成物を、それぞれ、アプリケーターを用いて、ガラス基材上に塗布し、120℃にて5分間乾燥することにより膜厚約1000nmの導電膜を形成した。各導電膜の表面抵抗値を測定した結果を表2に示す。また、得られた結果から、本発明の実施例と比較例についてそれぞれプロットしたグラフを図2から図3に示す。各グラフは、グラフの横軸が導電性混合物(成分A)に対するバイオマスナノファイバー(成分C)の配合比であり、グラフの縦軸が得られた導電性組成物の表面抵抗値(Ω/□)である。
Figure 2013216766
表2と図2に示すように、成分(A),(B−1),(D)からなる比較例E1に対して、成分(A),(B−1),(C−1),(D)からなる実施例F1〜F3は、表面抵抗が低い値を示している。実施例F1〜F3の中では、成分(A)を1としたときの、成分(A)に対する成分(C−1)の配合比が質量比で1:2のとき(実施例F3)に表面抵抗が最小値となっている。
実施例F3の表面抵抗値は、比較例E1の表面抵抗値の1/4以下である。そして、成分(D)を100としたときの、成分(A)の配合割合は、比較例E1は0.97であり、実施例F3は0.20であるから、実施例F3における成分(A)の使用量は、比較例E1における成分(A)の使用量の約1/5となり、高価な成分(A)の添加量を大幅に削減できた。
表2と図3に示すように、成分(A),(B−2),(D)からなる比較例E2に対して、成分(A),(B−2),(C−2),(D)からなる実施例F4〜F6は、表面抵抗が低い値を示している。実施例F4〜F6の中では、成分(A)を1としたときの、成分(A)に対する成分(C−2)の配合比が質量比で1:1のとき(実施例F5)に表面抵抗が最小値となっている。
実施例F5の表面抵抗値は、比較例E2の表面抵抗値の1/4以下である。そして、成分(D)を100としたときの、成分(A)の配合割合は、比較例E2は0.93であり、実施例F5は0.33であるから、実施例F5における成分(A)の使用量は、比較例E2における成分(A)の使用量の約1/3となり、高価な成分(A)の添加量を大幅に削減できた。
表2と図4に示すように、成分(A),(B−3),(D)からなる比較例E3に対して、成分(A),(B−3),(C−2),(D)からなる実施例F7〜F10は、表面抵抗が低い値を示している。実施例F7〜F10の中では、成分(A)を1としたときの、成分(A)に対する成分(C−2)の配合比が質量比で1:2のとき(実施例F10)に表面抵抗が最小値となっている。
実施例F10の表面抵抗値は、比較例E3の表面抵抗値の1/3500以下である。そして、成分(D)を100としたときの、成分(A)の配合割合は、比較例E3は0.54であり、実施例F10は0.26であるから、実施例F10における成分(A)の使用量は、比較例E3における成分(A)の使用量の約1/2となり、高価な成分(A)の添加量を大幅に削減できた。
これらの結果から、成分(C)が、成分(A)を含有する導電膜の導電補助剤として充分に機能しているといえる。
以上、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。成分(C)は、絶縁性ナノファイバーであればよく、セルロースナノファイバーや、キチンナノファイバーに限定されない。成分(B)は、バインダーとして機能し、塗膜の形態保持性を付与するものであればよく、水分散性ポリマー化合物や、水溶性ポリマー化合物に限定されない。成分(D)は、成分(A)が溶解可能な媒体であり、成分(B)が溶解又は分散可能な媒体であり、成分(C)が分散可能な媒体であればよく、水、または水とアルコール類との混和溶液に限定されない。上述の絶縁性ナノファイバーの効果は有機溶剤系でも発現する。
本発明の導電性組成物は、適宜、水性媒体(水溶液)で希釈され塗工されて、電子部品の包装材料、帯電防止フィルム、ICキャリアテープ等はもとより、タッチパネルや、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイ等の画像パネル、太陽電池パネルなど、高い透明性が求められる導電性膜を形成することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
1 加圧部、
2 オリフィスノズル、
3 貫通孔、
4 衝撃増強領域、
5 衝突用硬質体、
10 高圧噴射処理装置(高圧噴射処理装置のチャンバー)

Claims (7)

  1. カルボキシル基またはスルホン酸基のいずれをも有さないπ共役系の導電性ポリマーにドーパントが添加された導電性混合物と、絶縁性ナノファイバーとが含有されていることを特徴とする導電性組成物。
  2. 前記導電性混合物と前記絶縁性ナノファイバーとの配合比が、質量比で1:0.2以上であることを特徴とする請求項1記載の導電性組成物。
  3. 前記導電性混合物が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、ポリスチレンスルホン酸との混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の導電性組成物。
  4. 前記絶縁性ナノファイバーが、その体積抵抗率が10Ω・cm以上のバイオマスナノファイバーであり、セルロース、キチン、キトサンのいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の導電性組成物。
  5. 前記バイオマスナノファイバーが、その平均直径が50nm以下であり、30〜245MPaの高圧噴射処理により解繊されていることを特徴とする請求項4記載の導電性組成物。
  6. 前記導電性組成物に加えて、水分散性ポリマー化合物または水溶性ポリマー化合物のいずれか1種以上が含有されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の導電性組成物。
  7. 媒体が水、または水とアルコール類との混和溶液であり、前記媒体に対する前記導電性混合物の割合が、1質量%以下の割合で調製されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の導電性組成物。
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