JP2013215251A - 難燃性脱臭濾材 - Google Patents

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潤 吉田
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康裕 浅田
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Abstract

【課題】
脱臭層を中間層とする少なくとも3層を積層させた難燃性脱臭濾材で、濾材全体として難燃性を有し、さらに層間界面におけるはく離強力が保持される難燃性脱臭濾材を提供することを課題とする。
【解決手段】
通風方向に対して上流側から布帛Aと、脱臭層と、布帛Bとから構成される少なくとも3層が積層している難燃性脱臭濾材であって、前記布帛Aがポリエステル系繊維を有する布帛であり、前記脱臭層が吸着剤と難燃剤と熱可塑性樹脂とを含み、前記布帛Bがポリオレフィン系繊維を有する布帛であり、該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合物であることを特徴とする難燃性脱臭濾材であり、さらに好ましくは
前記熱可塑性樹脂のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物100質量部において、該ポリエステル系樹脂が20質量部以上90質量部以下を占め、かつ該ポリオレフィン系樹脂が10質量部以上80質量部以下を占めることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車キャビン空間用集塵フィルターに用いることができる難燃性脱臭濾材に関する。
近年、揮発性有機化合物の吸入による所謂シックハウス症候群、シックビル症候群などの神経系のアレルギー症状の発生が増加している。すなわち、建材に使用されている接着剤や樹脂から揮散される揮発性有機化合物(以下、VOCと略す)が居住空間に長期間にわたり高濃度で残留するため、その空間で生活すると結果的に多量の化学物質を体内に取り込むことになり、化学物質過敏症になる場合がある。シックハウス症候群等の予防、治療には、体内に取り込むVOCの総量を減少させることが重要である。さらに、この問題は建物に限られず、気密性が高く、内装材の固定等に接着剤や樹脂が多用されている車両等にも言えることである。このため、このVOCを吸着することを目的とした脱臭濾材が種々提案されており、これら脱臭濾材を用いた脱臭フィルターが様々な分野で要求されている。中でも自動車用、家庭用電気製品用、家庭用空気清浄機用、あるいはOA機器用などの用途が多く、これらの分野では、フィルター性能の観点から集塵効率が十分に高いことや、安全性の観点から難燃性が付与されているという2つの特性について要望されることが多い。
上述のような脱臭濾材の製造方法としては、例えば、活性炭などの吸着剤を熱可塑性の樹脂であるポリエチレン樹脂などにより固着させて脱臭層を形成し、その両面を不織布、織布、編布などの布帛で挟持して積層一体化脱臭濾材とする方法が一般に広く知られている(例えば、特許文献1、2参照)。ところが、前述の脱臭層を布帛で挟持してなる脱臭濾材では、たとえ吸着剤が難燃性又は不燃性であったとしても脱臭濾材に含まれる樹脂や、挟持した布帛が可燃性であるため、脱臭濾材全体として難燃性とならないという潜在的な問題があった。
一方で、脱臭層を挟持する布帛の種類が、濾材性能で重要な指標である通気抵抗や集塵効率、寿命、さらには加工性などに大きな影響を与えることも広く知られている。例えば集塵効率を十分に高めるためには、エレクトレット化された不織布が積層された濾材が多く提案されている。一例としては、脱臭と集塵の両方を目的としたフィルターにおいて、悪臭を吸着する吸着剤を含有する脱臭層を、ポリオレフィン系繊維からなる不織布で挟持した脱臭濾材が多く提案されている(例えば、特許文献3、4)。ところが、ポリオレフィン系の繊維は燃焼時に放出するエネルギーが高く(例えば、非特許文献1)、難燃性を達成するには難燃剤を多く含有させることが必要であった。
また、脱臭層を熱可塑性樹脂により固着する場合、挟持する布帛と、その熱可塑性樹脂の成分、例えばポリオレフィン系やポリエステル系樹脂などの親和性が、界面でのはく離強力に影響することが広く知られている。例えば無極性のポリオレフィン系熱可塑性樹脂によって脱臭層を形成する場合、布帛に極性のあるポリエステル系熱可塑性繊維を用いると、その界面での固着が十分でなく、加工時に剥がれるなどの問題があった。
特開昭61−119269号公報 特開2004−358389号公報 特開2004−105829号公報 特開2008−206550号公報
Kobunshi Ronbunshu,2007,vol.64,p765−771.
そこで本発明は、通風方向に対して上流側から布帛Aと、脱臭層と、布帛Bとから構成される少なくとも3層を積層させた難燃性脱臭濾材において、濾材全体として難燃性を有し、さらに脱臭層と布帛Aとの界面、かつ脱臭層と布帛Bとの界面におけるはく離強力が保持される難燃性脱臭濾材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、脱臭層を形成する際に、熱可塑性樹脂の種類と量を適切に規定することで、米国連邦自動車安全規格であるFMVSS 302「内装材料の可燃性」に代表される難燃基準を満たし、またJIS L 1086の定めるはく離強力測定において、良好なはく離強力を保持するフィルター濾材の発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の通りである。
1.通風方向に対して上流側から布帛Aと、脱臭層と、布帛Bとから構成される少なくとも3層が積層している難燃性脱臭濾材であって、前記布帛Aがポリエステル系繊維を有する布帛であり、前記脱臭層が吸着剤と難燃剤と熱可塑性樹脂とを含み、前記布帛Bがポリオレフィン系繊維を有する布帛であり、該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合物であることを特徴とする難燃性脱臭濾材、
2.前記熱可塑性樹脂のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物100質量部において、該ポリエステル系樹脂が20質量部以上90質量部以下を占め、かつ該ポリオレフィン系樹脂が10質量部以上80質量部以下を占めることを特徴とする前記難燃性脱臭濾材。
本発明によれば、難燃性の維持および剥離力の維持が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の難燃性脱臭濾材は、通風方向に対して上流側から布帛Aと、脱臭層と、布帛Bとから構成される少なくとも3層を積層させた難燃性脱臭濾材において、前記脱臭層が吸着剤と難燃剤と熱可塑性樹脂とを含み、前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合物であることを特徴とする難燃性脱臭濾材である。
脱臭層が含む吸着剤としては、各種有機素材、無機素材もしくは有機無機複合物からなるものを一種類もしくは二種類以上組み合わせて用いることができる。有機素材としては各種高分子からなる合成物吸着剤、メンブレン、樹脂発泡体、多孔質繊維などであり、無機素材としてはカーボンブラック、炭、活性炭、各種ゼオライト、各種シリカゲル、アルミナ、メソポーラスシリカ、シリコアルミノリン酸型モレキュラーシーブ、アルミノリン酸型モレキュラーシーブ、その他発泡金属、多孔性金属酸化物、金属塩、粘土鉱物などを例示することができる。有機無機複合物としては、MOFと称される金属−有機化合物骨格を有するもの、層間化合物中に有機分子を配置したものなどが挙げられる。これらの中でも特に、活性炭は非常に幅広いガスに対して吸着効果を示し、かつ優れた吸着速度を有することから好ましい。活性炭は、有害ガス成分を除去できれば特に限定されない。例えば、石炭系活性炭、ヤシガラ系活性炭、木質系活性炭等を使用することができる。活性炭粒子の比表面積は、好ましくは500g/m以上、更に好ましくは1000g/m以上である。比表面積が500g/m未満ではガスの除去性能が低くなり、活性炭の使用量が増加するため、濾材としての通気抵抗が上昇してしまう可能性がある。活性炭の形状は、特に制限されず、粒状(粉粒状)、繊維状などであってもよい。
上記の吸着剤は薬品で添着処理を施したものであることも好ましい。例えば、酸性、塩基性ガスに対する吸着性能を向上させることを目的に、エタノールアミン、ポリエチレンイミン、アニリン、ヒドラジン等のアミン系薬剤や、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸グアニジン等のアルカリ成分を吸着剤粒子に担持もしくは添着させることにより、アルデヒド系ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物、酢酸等の酸性ガスに対する吸着性能を向上させることができる。また、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等の酸性薬剤を吸着剤粒子に担持もしくは添着させることにより、アンモニア、メチルアミン、トリメチルアミン等の塩基性ガスに対する吸着性能を向上させることができる。
薬品の担持方法には特に制限が無く、通常の方法で担持可能である。担持させる薬品を含む水溶液に吸着剤を浸す方法や、添着する薬品を含む水溶液を噴霧する方法、添着する薬品を含むガスに接触させる方法等、添着する薬品によって選択することができる。吸着剤に担持させる薬品は2種類以上であってもかまわない。これらは除去対象ガスの種類・組成に応じて選択することができる。
吸着剤の平均粒径としては、50〜800μmが好ましく、下限としては100μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましい。上限としては600μm以下が好ましく、500μm以下がさらに好ましい。小さいと、吸着剤が通気性シートから脱落しやすい場合があり、通気性シートの目を細かくしたり、接着剤を多く使用したりして、通気抵抗の増大を招く傾向がある。大きいと、ガス吸着シートの厚みが増し、プリーツ状フィルター等にしたときに、濾材厚みに起因するフィルター通気抵抗の上昇や、プリーツ加工時に上手く折れないなどの問題が生じる傾向にある。なお、ここでいう平均粒径とはJIS K 1474:2007 6.4項記載の50%粒径を意味する。
脱臭層が含む難燃剤は、その構成成分により、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤およびこれらの複合系などの有機系難燃剤と、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンチモン系、シリコーン系などの無機系難燃剤に大別される。本発明における難燃剤は、上記難燃剤のなかでもリン系難燃剤を用いることが好ましく、公知のリン系難燃剤が使用できる。例えば、リン酸のほか、リン酸エステル、リン酸アンモニウム、リン酸グアニジン、リン酸メラミン、リン酸グアニル尿素およびこれらの化合物のポリ化合物などが挙げられる。これらのリン系難燃剤は、単独で、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。これらリン系難燃剤の中でも、分子中のリン原子含有比率が高い、ポリリン酸が特に好ましい。
難燃剤の担持方法には特に制限が無く、通常の方法で担持可能である。担持させる難燃剤を含む水溶液に吸着剤を浸す方法や、添着する難燃剤を含む水溶液を脱臭層となる材料に噴霧する方法等、添着する薬品によって選択することが可能であるが、均一な添着が容易である観点から、難燃剤を含む水溶液に吸着剤を浸す方法が好ましく用いられる。また、吸着剤に担持させる難燃剤は2種類以上であってもかまわない。
上記難燃剤は、該難燃剤が前記難燃性脱層に対して3〜10質量%の範囲であることが好ましい。低いと、難燃性が低下する傾向があり、高いと、脱臭性能が低下してしまう場合がある。
また、難燃剤が水溶性である場合は、空気中の水分を保持しやすく、その結果として該難燃性脱臭濾材のJIS L 1086(1983)に準じた水分率が5質量%以上15質量%以下で保持することが容易であり、含まれる水分が難燃性の向上に大きく影響するため、好ましい。
脱臭層に吸着剤と難燃剤を固着させるために使用される熱可塑性樹脂には、少なくともポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂との混合物を使用する。ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物中のそれぞれの割合は、その合計100質量部において、該ポリエステル系樹脂が20質量部以上90質量部以下であり、かつ該ポリオレフィン系樹脂が10質量部以上80質量部以下であることが好ましい。ポリエステル系樹脂の下限としては30質量部以上がより好ましく、上限としては80質量部以下がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂の下限としては20質量部以上がより好ましく、上限としては70質量部以下がより好ましい。ポリオレフィン樹脂が多いと、ポリオレフィン繊維からなる布帛Bとの接着性は向上し、ポリエステル樹脂が多いと、ポリエステル繊維からなる布帛Aとの接着性は向上する。一方で、ポリオレフィン樹脂が多いと、ポリエステル繊維からなる布帛Aとの接着性は低下し、ポリエステル樹脂が多いと、ポリオレフィン繊維からなる布帛Bとの接着性は低下する。さらに、ポリエステル樹脂はポリオレフィン樹脂に比べて燃焼熱が低いため、ポリエステル樹脂が多いと、難燃性が向上する傾向がある。両者を混合することで、活性炭同士の固着と難燃性のいずれも満足させることが可能となる。熱可塑性樹脂は粒状であることが好ましく、その粒径調整法は、機械粉砕、冷凍粉砕、化学調整法等があげられる。また最終的に篩にかけ一定粒径を得ることができるが、一定の粒径を確保できる方法であれば特に限定されない。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂としては、例としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルである。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどを用いることができる。ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂およびポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。
本発明に用いる熱可塑性樹脂の溶融流動性を表すメルトフローレート(MFR:g/10min;測定温度=190℃、加重=2.16kg)が30〜200g/10minであることが好ましい。下限としては40g/10min以上がより好ましく、50g/10min以上がさらに好ましい。上限としては120g/10min以下が好ましく、100g/10min以下がさらに好ましい。小さいと活性炭の固着が強くならない傾向にあり、大きいと形状が不安定になりやすく、均一なシートを得にくい傾向にある。
熱可塑性樹脂の平均粒子直径は、樹脂の粒径については100μm〜800μmが好ましい。下限としては200μm以上がより好ましく、300μm以上がさらに好ましい。上限としては600μm以下が好ましく、400μm以下がさらに好ましい。小さいと、粉塵等が生じるため取り扱い性が悪くなる傾向にあり、大きいと、接着性が悪くなる傾向がある。
熱可塑性樹脂の脱臭層に対する割合としては、吸着剤100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましい。下限としては15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましい。上限としては40質量部以下が好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。小さいと、活性炭層の固着が弱く取り扱い性が悪くなり、大きいと、燃焼時に熱可塑性樹脂が燃焼物として作用するため、十分な難燃性を得ることができない。
本発明に使用される布帛は、フィルターの役割をするものであり、例えば不織布、織布、編布等を使用することができるが、通常使用時の活性炭粒子の脱落防止の観点から、活性炭粒子の粒径よりも小さい目合いのものが好ましい。コストと、ダスト保持性と、プリーツ加工性の観点から不織布を使用することが好ましい。また、布帛は一般的な手法を用いて難燃化することができる。例えば、難燃剤を布帛に添着する方法や、布帛の構成繊維に難燃剤を練りこむ方法等を使用することができる。
不織布の製造法としては、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)が使用できる。目付や厚みが均一にできることから抄紙法による湿式不織布がより好ましい。
布帛の材質としては、例えば、レーヨン繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維から作ることが可能であり、製造コストや入手容易性の面から、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維から作られることが好ましい。また、脱臭層を固着させるための熱可塑性樹脂にはポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合物を用いるため、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維から構成される布帛を用いることで、積層した際のはく離強度が良好に保持できるという利点がある。さらに、従来公知の方法でエレクトレット加工を施すことが可能となるだけでなく、所望により抗菌、防黴、抗ウイルス、防虫、殺虫、害虫忌避などの機能を付与した機能性の布帛として脱臭層に積層することが可能である。
布帛Aを構成する繊維としてはポリエステル系繊維を有する布帛であることが好ましい。望ましい含有量は、その繊維が90質量%以上、95%以上、99%以上の順に好ましい。ポリエステル系繊維とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルで構成される繊維である。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどを用いることができる。ポリエステル系繊維の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネート等からなる繊維が挙げられ、またこれらの共重合体からなる繊維も挙げられる。
布帛Aを構成する繊維の繊維径としては、5〜100μmが好ましい範囲である。下限としては10μm以上がより好ましく、上限としては80μm以下が好ましい。かかる範囲であれば、柔軟性を保持しつつ、吸着層と基材層をつなぎ止める役割を十分に果たすことができるからである。
布帛Aの目付は、特に限定されないが、目付は5g/m〜150g/mが好ましい。下限としては10g/m以上がより好ましく、20g/m以上がさらに好ましい。上限としては125g/m以下が好ましく、100g/m以下がさらに好ましい。目付が小さいと、シート加工時に吸着剤粒子が布帛から脱落してしまったり、布帛の強度が弱くなりプリーツ加工時に破れ等の問題が生じたりする。大きいと、活性炭層形成時の加工性が悪くなる可能性がある。
布帛Aの厚みは0.05mm〜3mmであることが好ましい。下限としては0.1mm以上がより好ましく、0.2mm以上がさらに好ましい。上限としては、2mm以下がより好ましく、1.2mm以下がさらに好ましい。薄いと、吸着剤粒子が飛び出して布帛を破る可能性があり、厚いと、脱臭層形成時の取り扱い性が悪くなる可能性がある。
布帛Bを構成する繊維の平均繊維径としては、1〜10μmが好ましい範囲である。上限としては8μm以下が好ましい。かかる範囲であれば、集塵効率を高めることが可能であり、前記した性能に優れた濾材を得ることができるため好ましい。
ポリオレフィン系樹脂を有する布帛Bを構成する繊維としては、例としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられ、またこれらの共重合体からなる繊維も挙げられる。ポリオレフィン系繊維の望ましい含有量は、その繊維が90質量%以上、95%以上、99%以上の順に好ましい。
布帛Bの厚みは0.05mm〜3mmであることが好ましい。下限としては0.1mm以上がより好ましく、0.2mm以上がさらに好ましい。上限としては2mm以下が好ましく、1.2mm以下がさらに好ましい。薄いと、吸着剤粒子が飛び出して布帛を破る可能性があり、厚いと、脱臭層形成時の取り扱い性が悪くなる可能性がある。
上記の難燃性脱臭濾材は、更にプリーツ形状や波状形状等のフィルターユニットとしても使用できる。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
[測定方法]
(1)平均粒径[μm]
JIS K 1474:2007 6.4項記載の50%粒径により表した。
(2)厚み[mm]
ダイヤルシックネスゲージ(TECLOCK社 SM−114 測定子形状10mmφ、目量0.01mm、測定力2.5N以下)を用いて厚みを測定した。測定は1検体から任意に5か所をサンプリングして行い、その平均値を用いた。
(3)平均繊維径[μm]
顕微鏡で不織布表面を撮影し、繊維本数100本以上の繊維幅を測定して算術平均したものを平均繊維径とした。
(4)はく離強力
JIS−L1086に準拠して測定した。実施例では、(脱臭層と布帛Aの界面)と(脱臭層と布帛Bの界面)のいずれか低い方のはく離強力の値を記載し、25[N/25mm]以上の場合にはく離強力が十分と判断し、実施例の表では、「○」と表記した。
(5)難燃性
FMVSS 302(JIS D1201)「内装材料の可燃性」の難燃レベルを基準として、実施例では、標線に達しなかった場合に「自消性」、標線を超えた場合に「燃焼速度mm/min」、燃焼速度が100mm/minを超えた場合は「×」、液状溶融物(ドリップ)が液だれを生じて燃焼が停止した場合は「ドリップ」と表記した。
(6)水分率
JIS−L1086に準拠して測定した結果を記載した。
(7)捕集効率[%]
平面状の濾材を有効間口面積0.01mのホルダーにセットし、面風速10.8cm/minで鉛直方向に空気を通過させ、フィルター上流および下流の粒径0.3〜0.5μmの大気塵粒子数をパーティクルカウンター(RION社製、型式:KC−01D)で測定し、次式より算出した。
捕集効率(%)={1−(下流粒子数/上流粒子数)}×100
測定は1検体から任意に5か所をサンプリングして行い、その平均値を用いた。実施例では、50%以上の場合に捕集効率が十分と判断した。
(8)トルエンの除去能力
平板状のシートを実験用のダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿度50%RHの空気を0.125m/secの速度で送風した。さらに上流側から、標準ガスボンベによりトルエンを上流濃度70ppmとなるように添加し、シートの上流側と下流側とにおいてエアをサンプリングし、赤外吸光式連続モニターを使用してそれぞれのトルエン濃度を経時的に測定し、これからトルエンの脱臭効率を求めた。実施例では、90%以上の場合に脱臭性能が高いと判断した。
[製造方法]
実施例及び比較例で使用した布帛Aと脱臭層と布帛Bについては、以下の不織布を用いた。
(布帛A)
表1に布帛A1とA2の繊維、樹脂、難燃剤の組成比を示した。表2の布帛は、全て湿式抄紙ケミカルボンド法にて製造した。すなわち、表の繊維組成に記載した短繊維と抄紙添加剤を水中に分散混合させて得られたスラリーを、傾斜ワイヤー上に抄紙した後、難燃剤を配合したバインダー樹脂を含浸させて、加熱乾燥することにより、坪量47g/mの布帛Bとなる不織布を得た。
(布帛B)
布帛Bには2種類の不織布を用いた。すなわち、ハイドロチャージ法によるエレクトレット処理を施したポリプロピレン製メルトブロー不織布(PPMB、坪量:30g/m)、またはエレクトレット未加工のポリエステル製スパンボンド不織布(PETSB,坪量:30g/m)を用いた。
(脱臭層)
表2に、脱臭層の活性炭・熱可塑性樹脂の組成比(C1〜C12)を示した。
Figure 2013215251
Figure 2013215251
Figure 2013215251
Figure 2013215251
表3および表4において、実施例1〜12と比較例1〜8では布帛Aとしてハイドロチャージ法によるエレクトレット処理を施したポリプロピレン製メルトブロー不織布(PPMB、坪量:30g/m)を用いており、布帛B中の難燃剤有無や、脱臭層の熱可塑性樹脂の割合を変化させた結果を記載した。
実施例1〜4と比較例1〜4の結果から難燃性脱臭濾材全体に対する難燃剤の割合が3質量%(濾材全体100質量部に対して難燃剤3質量部)以上で難燃性基準の自消性を満足し、かつ10質量%以下とすることで脱臭性能の指標である脱臭効率を90%以上となることが分かる。また、布帛A(ポリエステル製)と布帛B(ポリエチレン製)の2種類の不織布で脱臭層を挟持しても、はく離強力に問題のないことが示された。
実施例5〜9と比較例5〜7では脱臭層中のポリエチレン樹脂とポリエステル樹脂の割合を変化させており、質量比で(ポリエステル系樹脂)/(ポリオレフィン系樹脂)=20:80〜90:10の間において難燃性とはく離強力を満足することが示された。一方で、ポリエチレン樹脂が多い場合は難燃性が未達となり、ポリエステル樹脂が多い場合ははく離強力が未達となることを示した。実施例10〜12と比較例8の結果から、脱臭層の活性炭の粒径を大きくしても、上記の結果と相違の無いことを確認できた。
比較例9〜12では布帛Aとしてエレクトレット未加工のポリエステル製スパンボンド不織布(PETSB,坪量:30g/m)を用いた結果を記載しており、ポリエチレン樹脂が多い場合にはく離強力が低くなっているが、それ以外の場合については通気抵抗・はく離強力・通気抵抗などの項目については問題ないことが確認できた。ところが、難燃性については何れの水準でも液状溶融物(ドリップ)が観測された。
以上の実施例・比較例の結果から、本発明の、そこで本発明は、通風方向に対して上流側から布帛Aと、脱臭層と、布帛Bとから構成される少なくとも3層を積層させた難燃性脱臭濾材において、濾材全体として難燃性を有し、さらに脱臭層と布帛Aかつ脱臭層と布帛Bとの界面におけるはく離強力が保持される難燃性脱臭濾材を実現できることが確認された。
本発明の難燃性脱臭濾材は、自動車や鉄道車両等の車室内の空気を清浄化するためのエアフィルター、健康住宅、ペット対応マンション、高齢者入所施設、病院、オフィス等で使用される空気清浄機用フィルター、エアコン用フィルター、OA機器の吸気・排気フィルター、ビル空調用フィルター、産業用クリーンルーム用フィルター等のエアフィルター濾材として好ましく使用される。

Claims (7)

  1. 通風方向に対して上流側から布帛Aと、脱臭層と、布帛Bとから構成される少なくとも3層が積層している難燃性脱臭濾材であって、前記布帛Aがポリエステル系繊維を有する布帛であり、前記脱臭層が吸着剤と難燃剤と熱可塑性樹脂とを含み、前記布帛Bがポリオレフィン系繊維を有する布帛であり、該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合物であることを特徴とする難燃性脱臭濾材。
  2. 前記熱可塑性樹脂のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合物100質量部において、該ポリエステル系樹脂が20質量部以上90質量部以下を占め、かつ該ポリオレフィン系樹脂が10質量部以上80質量部以下を占めることを特徴とする請求項1に記載の難燃性脱臭濾材。
  3. 前記難燃剤がリン系の難燃剤であり該難燃剤が前記難燃性脱臭濾材100質量部に対し、3質量部以上10質量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性脱臭濾材。
  4. 前記難燃剤が水溶性難燃剤である請求項1から3に記載の難燃性脱臭濾材。
  5. 前記難燃剤がリン酸である請求項1から4に記載の難燃性脱臭濾材。
  6. 前記難燃性脱臭濾材のJIS L 1086に準じた水分率が5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1から5に記載の難燃性脱臭濾材。
  7. 請求項1から6の何れかに記載の難燃性脱臭濾材を有してなることを特徴とする難燃性脱臭フィルター。
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