JP2013212482A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

複層塗膜形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013212482A
JP2013212482A JP2012085418A JP2012085418A JP2013212482A JP 2013212482 A JP2013212482 A JP 2013212482A JP 2012085418 A JP2012085418 A JP 2012085418A JP 2012085418 A JP2012085418 A JP 2012085418A JP 2013212482 A JP2013212482 A JP 2013212482A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
group
polymerizable unsaturated
meth
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012085418A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5924813B2 (ja
Inventor
Munehiro Nakata
宗寛 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
Priority to JP2012085418A priority Critical patent/JP5924813B2/ja
Publication of JP2013212482A publication Critical patent/JP2013212482A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5924813B2 publication Critical patent/JP5924813B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

【課題】低温かつ短時間での硬化性、耐チッピング性及び仕上り外観にも優れる複層塗膜を得ることができる複層塗膜形成方法を提供すること。
【解決手段】被塗物に、順次、水性第1着色塗料(X)、水性第2着色塗料(Y)、クリヤ塗料(Z)を塗装して得られる複層塗膜を同時に焼付け硬化する複層塗膜形成方法であって、該水性第1着色塗料(X)が、(A)水性皮膜形成性樹脂、(B)硬化剤、ならびに(C)ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)を含有するモノマー成分を共重合することにより得られる樹脂粒子を含有する塗料であり、該クリヤ塗料(Z)が、(K)水酸基含有アクリル樹脂、(L)ポリイソシアネート化合物、ならびに、(M)(M1)特定金属の金属化合物及び(M2)アミジン化合物からなる有機金属触媒を含有する塗料であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、低温かつ短時間での硬化性、耐チッピング性及び仕上り外観にも優れる複層塗膜を得ることができる複層塗膜形成方法及び塗装物品に関する。
自動車車体の他、工業製品の塗装において、近年、省エネルギー及び環境負荷の軽減の観点から、焼付硬化工程の短縮及び工程削減に向けての開発が活発になされている。
従来、自動車車体における塗膜形成方法としては、被塗物に電着塗装を施し、加熱硬化せしめた後、中塗り塗料の塗装→加熱硬化→ベースコート塗料の塗装→プレヒート(予備加熱)→クリヤ塗料の塗装→加熱硬化を順次行なう3コート2ベーク方式、及び中塗り塗料の塗装→加熱硬化→上塗り塗料の塗装→加熱硬化を順次行なう2コート2ベーク方式により複層塗膜を形成する方法が広く行われている。
一般に、上記3コート2ベーク方式は、光輝性顔料を含有するベースコート塗料を使用して、いわゆるメタリック色の塗膜を形成する場合に行われ、上記2コート2ベーク方式は、着色顔料を含有する上塗り塗料を使用して、白色や黒色等のいわゆるソリッド色の塗膜を形成する場合に行われる。
近年、省エネルギーの観点から、中塗り塗料の塗装後の加熱硬化工程を省略し、中塗り塗料の塗装→プレヒート(予備加熱)→ベースコート塗料の塗装→プレヒート(予備加熱)→クリヤ塗料の塗装→加熱硬化を順次行なう3コート1ベーク方式、及び中塗り塗料の塗装→プレヒート(予備加熱)→上塗り塗料の塗装→加熱硬化を順次行なう2コート1ベーク方式が検討されている。
なかでも、有機溶剤の揮散による環境汚染を抑制する観点から、上記中塗り塗料、ベースコート塗料及び上塗り塗料として水性塗料を用いた上記3コート1ベーク方式及び2コート1ベーク方式が特に求められている。
焼付硬化工程の短縮においては、硬化工程の低温化及び短時間化の要求が高まっている。このような低温短時間硬化の要求を満足させるための複層塗膜形成方法において、塗料組成物としては、コスト面も勘案すると、水酸基含有樹脂を、ポリイソシアネート化合物を架橋剤として硬化させる、水酸基/イソシアネート基架橋系塗料が有力と考えられ、これまでにも検討がなされている。
しかしながら、従来技術では、低温短時間の硬化性の向上において、硬化時間の短縮が不十分であり、また、特に自動車塗装等において要求される高度の仕上り外観も満足させることは困難であった。
特許文献1には、ピラゾール化合物でブロックされた3級イソシアネート基を1分子中に2個以上含有するピラゾールブロックポリイソシアネート化合物と、特定の水酸基価及び重量平均分子量を有する水酸基含有樹脂を必須成分として含有することを特徴とする塗料組成物及び該塗料組成物を用いた塗膜形成方法が開示されている。しかしながら、この塗料組成物を用いた塗膜形成方法は、短時間条件での硬化性が不十分であった。
特許文献2には、ポリオール(A1)、ポリエーテルポリオール(B)及び溶剤(C)を含有し、ポリオール(A1)が環構造を有することを主たる特徴とする塗料用樹脂組成物と、(ブロック)ポリイソシアネート化合物とを含む硬化性塗料組成物、及び、更に、該硬化性塗料組成物に、金属有機化合物及び酸性物質を含むことを特徴とする硬化性塗料組成物が開示されている。
しかしながら、この塗料組成物は、該金属有機化合物及び酸性物質を含む態様において、低温短時間硬化性には優れるが、ポットライフが不十分であり、また、該塗料組成物を用いた塗膜形成方法により得られる複層塗膜の仕上り外観が不十分となる場合があった。
また、複層塗膜において、クリヤ塗膜の下層塗膜である中塗り塗膜、ベースコート塗膜は水酸基含有樹脂と架橋剤としてメラミン樹脂を使用した塗料組成物が一般的に使用されるが、前記のように、中塗り塗料塗装後の加熱硬化工程を省略した、低温短時間硬化の複層塗膜においては、低温短時間条件での硬化性が不十分となるため、得られる複層塗膜の硬度、耐チッピング性が不十分となる場合があった。
特開2005−225907号公報 特開2002−97412号公報
本発明の目的は、低温かつ短時間での硬化性、耐チッピング性及び仕上り外観に優れる複層塗膜を得ることができる複層塗膜形成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、
被塗物上に、順次、水性第1着色塗料、水性第2着色塗料及びクリヤ塗料を塗装する複層塗膜形成方法において、
水性第1着色塗料として、
(A)水性被膜形成性樹脂、(B)硬化剤、ならびに(C)重合性不飽和基を1分子中に1個有するウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を共重合することにより得られる樹脂粒子を含有する塗料、
クリヤ塗料として、
特定水酸基価範囲の水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物、ならびに特定範囲の金属化合物及びアミジン化合物からなる有機金属触媒を含有する塗料を使用することを特徴とする複層塗膜形成方法
によれば上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
被塗物に、下記の工程(1)〜(4)、
工程(1):水性第1着色塗料(X)を塗装して第1着色塗膜を形成する工程、
工程(2):前記工程(1)で形成された第1着色塗膜上に、水性第2着色塗料(Y)を塗装して第2着色塗膜を形成する工程、
工程(3):前記工程(2)で形成された第2着色塗膜上に、クリヤ塗料(Z)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、及び
工程(4):前記工程(1)〜(3)で形成された第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤ塗膜を同時に焼付け硬化する工程、を順次行う複層塗膜形成方法であって、
該水性第1着色塗料(X)が、(A)水性皮膜形成性樹脂、(B)硬化剤、ならびに(C)重合性不飽和基を1分子中に1個有するウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を共重合することにより得られる樹脂粒子を含有する塗料であり、
該クリヤ塗料(Z)が、
(K)水酸基価85〜215mgKOH/gである水酸基含有アクリル樹脂、
(L)ポリイソシアネート化合物 、ならびに、
(M)(M1)金属が、亜鉛、錫、ジルコニウム、ビスマス、鉛、コバルト、マンガン、チタン、アルミニウム及びモリブデンからなる群から選ばれる1種である金属化合物及び(M2)アミジン化合物からなる有機金属触媒を含有する塗料である
ことを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
本発明の複層塗膜形成方法において、水性第1着色塗料が、ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を共重合することにより得られる樹脂粒子を含有するものであることから、該粒子が有するウレア基による水素結合及び硬化性向上効果により、第1着色塗膜の硬化性及び物性が向上する。また、ウレア基による水素結合により、第1着色塗膜の粘性発現効果がもたらされ、塗装時における第2着色塗膜との混層が抑制され、混層による複層塗膜の仕上がり外観の低下を抑制することができる。
さらに、クリヤ塗料が、水酸基含有樹脂とポリイソシアネート化合物との架橋反応の触媒として、特定範囲の金属化合物及びアミジン化合物からなる有機金属触媒を含有するものであることから、低温かつ短時間での硬化性に優れ、かつポットライフの両立も満足させることができる。
これは該有機金属触媒が、金属化合物に対し、アミジン化合物が配位した錯体構造を形成しているためであると推察され、このアミジン化合物が立体障害となるため、このアミジン化合物が配位した構造となっている間は、金属化合物(金属イオン)が本来有するウレタン化反応の触媒活性を抑制することができることから、ポットライフにも優れている。
また、該アミジン化合物は比較的低温で解離することから、低温の解離温度に到達すれば配位したアミジン化合物が脱離して、金属化合物が再生し、該金属化合物(金属イオン)が本来有するウレタン化反応の触媒活性が作用することにより、低温短時間での硬化性に優れた塗料組成物が得られると考えられる。
これらの相乗効果により、硬化性、耐チッピング性及び仕上がり外観に優れた複層塗膜を得ることができると考えられる。
以上、本発明の複層塗膜形成方法によれば、低温かつ短時間での硬化性、耐チッピング性及び仕上り外観に優れる複層塗膜を得ることができる複層塗膜形成方法が提供されるという効果を奏することができる。
以下、本発明の複層塗膜形成方法(以下、「本方法」ということがある。)について詳細に説明する。
本発明の複層塗膜形成方法は、被塗物に、順次、水性第1着色塗料、水性第2着色塗料及びクリヤ塗料を塗装する複層塗膜形成方法において、
水性第1着色塗料として、
(A)水性被膜形成性樹脂、(B)硬化剤、ならびに(C)重合性不飽和基を1分子中に1個有するウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を共重合することにより得られる樹脂粒子を含有する塗料、
クリヤ塗料として、
特定水酸基価範囲の水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物、ならびに特定範囲の金属化合物及びアミジン化合物からなる有機金属触媒を含有する塗料を使用することを特徴とする複層塗膜形成方法である。
被塗物
本方法が適用される被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等を挙げることができる。またこれらにより形成された自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体や部品であってもよい。
また、被塗物としては、上記金属基材や車体の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記金属基材、車体等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたもの、また、バンパー等プラスチック素材にプライマー塗膜が形成されたものであってもよい。
工程(1)
本発明の複層塗膜形成方法においては、まず、水性第1着色塗料(X)が塗装される。 水性第1着色塗料(X)
水性第1着色塗料(X)は、(A)水性皮膜形成性樹脂、(B)硬化剤、ならびに(C)重合性不飽和基を1分子中に1個有するウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を共重合することにより得られる樹脂粒子を含有する塗料である。
水性皮膜形成性樹脂(A)
水性第1着色塗料(X)において、(A)水性皮膜形成性樹脂とは、下記(C)樹脂粒子を除くものである。
水性皮膜形成性樹脂(A)としては、従来から水性塗料に使用されているそれ自体既知の水溶性又は水分散性の皮膜形成性樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。水性皮膜形成性樹脂(A)は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有していることが好ましい。
水性皮膜形成性樹脂(A)としては、水酸基含有アクリル樹脂(A1)及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)を使用することが好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂(A1)及び水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)を、併用することが、塗膜の平滑性及び鮮映性の向上の観点から、より好ましい。併用する場合の割合としては、水酸基含有アクリル樹脂(A1)と水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)との合計量に基づいて、前者が10〜90質量%程度、特に20〜80質量%程度で、後者が90〜10質量%程度、特に80〜20質量%程度であるのが好ましい。
また、水性皮膜形成性樹脂(A)は、水酸基を有する場合、水酸基価が1〜300mgKOH/gであるのが好ましく、2〜250mgKOH/gであるのがより好ましく、5〜180mgKOH/gであるのが更に好ましい。また、該樹脂(A)は、カルボキシル基等の酸基を有する場合、酸価が1〜200mgKOH/gであるのが好ましく、2〜150mgKOH/gであるのがより好ましく、5〜80mgKOH/gであるのが更に好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(A1)
水酸基含有アクリル樹脂(A1)は、通常、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法などの方法により、共重合せしめることによって製造することができる。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
また、前記水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーは、水酸基含有アクリル樹脂(A1)に望まれる特性に応じて適宜選択して使用することができる。該モノマーの具体例を、(i)〜(xix)に列挙する。これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
(i)アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等。
(ii)イソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー:イソボルニル(メタ)アクリレート等。
(iii)アダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー:アダマンチル(メタ)アクリレート等。
(iv)トリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー:トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等。
(v)芳香環含有重合性不飽和モノマー:ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(vi)アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー:ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
(vii)フッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー:パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等。
(viii)マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー。
(ix)ビニル化合物:N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等。
(x)リン酸基含有重合性不飽和モノマー:2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等。
(xi)カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等。
(xii)含窒素重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等。
(xiii)重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー:アリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等。
(xiv)エポキシ基含有重合性不飽和モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等。
(xv)分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート。
(xvi)スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等。
(xvii)紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー:2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2' −ヒドロキシ−5' −メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等。
(xviii)光安定性重合性不飽和モノマー:4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
(xix)カルボニル基を有する重合性不飽和モノマー:アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等。
また、上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)としては、その一部として、該樹脂中の水酸基の一部にポリイソシアネート化合物をウレタン化反応により伸長させ高分子量化した、いわゆるウレタン変性アクリル樹脂であってもよい。
水酸基含有アクリル樹脂(A1)の水酸基価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜100mgKOH/g、さらに好ましくは5〜60mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
また、上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)の酸価は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜150mgKOH/g、さらに好ましくは5〜80mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
また、上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)の重量平均分子量は、得られる塗膜の外観、耐水性等の観点から、2,000〜5,000,000、好ましくは100,000〜2,000,000の範囲内であることが好適である。
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行った。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)
水性第1着色塗料(X)において、水性皮膜形成性樹脂(A)として、水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)を使用することによって、得られる塗膜の平滑性を向上させることができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)は、通常、酸成分とアルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
上記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。かかる酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を挙げることができる。
上記脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物である。脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;該脂肪族多価カルボン酸の無水物;該脂肪族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族多塩基酸は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂環族多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。脂環式構造は、主として4〜6員環構造である。脂環族多塩基酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;該脂環族多価カルボン酸の無水物;該脂環族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂環族多塩基酸は、1種単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物であって、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;該芳香族多価カルボン酸の無水物;該芳香族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記芳香族多塩基酸は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸及び芳香族多塩基酸以外の酸成分を使用することもできる。かかる酸成分としては、特に限定されず、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの酸成分は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ジメチロールプロピオン酸などの2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニットなどの3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等が挙げられる。
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分を使用することも出来る。かかるアルコール成分としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られたアルコール化合物等が挙げられる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分とアルコール成分とを、窒素気流中、150〜250℃程度で、5〜10時間程度加熱し、該酸成分とアルコール成分のエステル化反応又はエステル交換反応を行なう方法により、水酸基含有ポリエステル樹脂を製造することができる。
上記酸成分及びアルコール成分をエステル化反応又はエステル交換反応せしめる際には、反応容器中に、これらを一度に添加してもよいし、一方又は両者を、数回に分けて添加してもよい。また、先ず、水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、得られた水酸基含有ポリエステル樹脂に酸無水物を反応させてハーフエステル化させてカルボキシル基及び水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。また、先ず、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分を付加させて水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるための触媒として、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のそれ自体既知の触媒を使用することができる。
また、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)は、該樹脂の調製中又は調製後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸などが挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができる。
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネートなどの3価以上のポリイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートそれ自体;これらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、水等との付加物;これらの各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物などが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)は、水酸基価が10〜300mgKOH/gであるのが好ましく、30〜250mgKOH/gであるのがより好ましく、50〜180mgKOH/gであるのが更に好ましい。また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)が、更にカルボキシル基を有する場合は、その酸価が1〜200mgKOH/gであるのが好ましく、15〜100mgKOH/gであるのがより好ましく、20〜60mgKOH/gであるのが更に好ましい。また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)の数平均分子量は、500〜50,000であるのが好ましく、1,000〜30,000であるのがより好ましく、1,200〜10,000であるのが更に好ましい。
前記ポリウレタン樹脂としては、例えば、脂肪族および/又は脂環式ジイソシアネート、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも一種以上のジオール、低分子量ポリヒドロキシ化合物及びジメタノールアルカン酸を反応させてウレタンプレポリマーを作製し、これを第3級アミンで中和し、水中に乳化分散させた後、必要に応じてポリアミン等の鎖伸長剤、架橋剤及び/又は停止剤を含む水性媒体と混合して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応させてなるものを挙げることができる。上記方法により、通常、平均粒径1nm〜3000nm程度の自己乳化型のポリウレタン樹脂を得ることができる。また、上記ポリウレタン樹脂の市販品としては、例えば、「ユーコートUX−5000」、「ユーコートUX−8100」(商品名、三洋化成工業社製)等を挙げることができる。
硬化剤(B)
硬化剤(B)は、水性皮膜形成性樹脂(A)中の水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基と反応して、本発明組成物を硬化し得る化合物である。硬化剤(B)としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物などが挙げられる。なかでも、得られる塗膜の耐水性の観点から、水酸基と反応し得るアミノ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート、カルボキシル基と反応し得るカルボジイミド基含有化合物が好ましく、アミノ樹脂が特に好ましい。硬化剤(B)は、1種単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記アミノ樹脂としては、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を使用することができる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。
また、上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂が好ましい。特に、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂がより好ましい。また、イミノ基含有メラミン樹脂が好ましい。
また、上記メラミン樹脂は、重量平均分子量が400〜6,000であるのが好ましく、500〜4,000であるのがより好ましく、600〜3,000であるのがさらに好ましい。
メラミン樹脂としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル204」、「サイメル211」、「サイメル238」、「サイメル250」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学社製)等が挙げられる。
また、硬化剤(B)として、メラミン樹脂を使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸;これらのスルホン酸とアミン化合物との塩;等を触媒として使用することができる。
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤でブロックした化合物である。
1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエート、3−イソシアナトメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(通称、トリアミノノナントリイソシアネート)などの3価以上の有機ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の2量体又は3量体(ビウレット、イソシアヌレートなど);これらのポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂又は水とをイソシアネート基過剰の条件でウレタン化反応させてなるプレポリマーなどが挙げられる。
また、前記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチルなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコールなどの脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノールなどのエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミンなどアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素などの尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリなどの亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾールまたはイミダゾール誘導体;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
なかでも、好ましいブロック剤としては、オキシム系のブロック剤、活性メチレン系のブロック剤、ピラゾール又はピラゾール誘導体が挙げられる。
また、上記ブロック剤として、1個以上のヒドロキシル基と1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸なども使用できる。特に、上記ヒドロキシカルボン酸を用いてイソシアネート基をブロックした後、該ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基を中和して水分散性を付与したブロック化ポリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。
前記カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基同士を脱二酸化炭素反応せしめたものを使用することができる。該カルボジイミド基含有化合物としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(いずれも日清紡社製、商品名)等を挙げることができる。
水性第1着色塗料(X)における水性皮膜形成性樹脂(A)と硬化剤(B)との配合割合は、両者の合計量に基づいて、前者が60〜95質量%、好ましくは65〜90質量%、さらに好ましくは70〜90質量%で、後者が5〜40質量%、好ましくは10〜35質量%、さらに好ましくは10〜30質量%となる量であることが、塗膜の平滑性及び耐チッピング性の向上の観点から、好適である。
水性第1着色塗料(X)が、水性皮膜形成性樹脂(A)の少なくとも1種として、水酸基含有アクリル樹脂(A1)を含有する場合、水酸基含有アクリル樹脂(A1)の配合量は、水性皮膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計量に基づいて、2〜80質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましく、20〜50質量%であるのが更に好ましい。
また、水性第1着色塗料(X)が、水性皮膜形成性樹脂(A)の少なくとも1種として、水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)を含有する場合、水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)の配合量は、水性皮膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計量に基づいて、2〜80質量%であるのが好ましく、5〜60質量%であるのがより好ましく、10〜50質量%であるのが更に好ましい。
樹脂粒子(C)
樹脂粒子(C)は、重合性不飽和基を1分子中に1個有するウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を共重合することにより得られる樹脂粒子である。
ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)は、ウレア基(尿素結合基(−NH−CO−NH−))を有する重合性不飽和モノマーである。
上記ウレア基(尿素結合基)は水等の溶媒が揮散した後の塗着塗膜において、水素結合による擬似架橋構造を形成し、塗着塗膜の粘度上昇効果を発現させることができる。ウレア基としては、エチルウレア基、プロピルウレア基、ブチルウレア基が好ましい。
また、ウレタン基(−NHCO−)、アミド基が、窒素原子に結合した水素原子が1個であるのに対し、ウレア基においては窒素原子に結合した水素原子が2個であり、水素結合の結合点が多くなることから、ウレタン基、アミド基よりも水素結合による擬似架橋構造が密となり、高い粘度上昇効果を発現させることができる。
ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基を含有する重合性不飽和モノマーにアミン化合物を反応させることにより得られるモノマーをあげることができる。
該イソシアネート基を含有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α、α-ジメチルベンジルイソシアネート等、また、水酸基を含有する重合性不飽和モノマーとジイソシアネートとの付加物等を挙げることができる。
上記の水酸基を含有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のグリコール(メタ)アクリレート類、また、アリルアルコール、多価アルコールのモノアリルエーテル等を挙げることができる。
上記のジイソシアネートとしては、脂環式、芳香族基含有脂肪族または芳香族のジイソシアネート化合物を挙げることができる。
ジイソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルへキサンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート−(1,11)、リジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロジシクロメタン、ω,ω’−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−トリメチル−2,4−ビス(ω−イソシアナトエチル)−ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートおよびジフエニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
また、2,4−ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび1,4−ジイソシアナトイソプロピルベンゼン、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートも用いることができる。更にこれらの化合物の混合物も使用することができる。
上記ジイソシアネート化合物のイソシアヌレートとしては、上述したジイソシアネートの三量体を挙げることができる。また上記イソシアネートは、ジイソシアネートあるいは三量体の混合物を使用することもできる。
イソシアネート基を含有する重合性不飽和モノマーと反応させ、ウレア基を生成させるアミン化合物としては、例えば、1級アミン、2級アミンをあげることができる。これらのうち、1級アミンを好適に使用することができる。
1級アミンとしては、1個以上の一級アミノ基および1個以上のエーテルおよび/またはヒドロキシル基を有するアミンも使用することができ、例えば、エタノールアミン、6−アミノヘキサノール、p−メトキシベンジルアミン、メトキシプロピルアミン、3,4−ジメトキシフエニルエチルアミン、2,5−ジメトキシアニリン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、ベンジルアミン、エチルアミン、プロピルアミン(n−プロピルアミン、イソプロピルアミン)、ブチルアミン(n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン)、n−ペンチルアミン、1−メチルブチルアミン、1−エチルプロピルアミン、2‐エチルブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ヘキサメチレンジアミンなどの1級アミンがあげられる。上記アミン化合物は混合して使用することができる。
上記のアミン化合物としては、耐水性向上の観点から、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンが好ましい。
上記イソシアネート基を含有する重合性不飽和モノマーとアミン化合物との反応は、イソシアネート基を含有する重合性不飽和モノマー中に存在するイソシアネート基と、アミン化合物中に存在する活性水素との当量比(アミン化合物中に存在する活性水素/イソシアネート基)が0.5〜2、好ましくは0.7〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2となるような割合で反応させて、公知の方法により行なうことができる。
イソシアネート基を含有する重合性不飽和モノマーとアミン化合物との反応は両者を混合し、所望により温度を上げ、公知の方法で実施することができる。この反応は10〜70℃、好ましくは20〜50℃の温度で行うことが望ましい。一般に反応成分は公知の方法で混合することができるが、通常、アミン化合物にイソシアネート基を含有する重合性不飽和モノマーを加えることが望ましく、この添加は所望によりいくつかの段階に分けて行うことができる。一般にこの反応は溶剤、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、あるいは石油エーテルのような脂肪族炭化水素の存在下で行うことができる。
上記ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)の使用割合は、得られる塗膜の硬化性及び耐チッピング性の観点から、ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)の合計量を基準として、5〜70質量%、特に10〜60質量%、さらに特に15〜50質量%、さらにより特に15〜40質量%の範囲内であるのが好適である。
その他の重合性不飽和モノマー(c2)は、上記ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)以外のモノマーである。
その他の重合性不飽和モノマー(c2)としては、例えば、重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(c2−1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;
アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;
トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;
ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香環含有重合性不飽和モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;
パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;
フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;
マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;
N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;
分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;
アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー等をあげることができる。
これらのモノマーは、樹脂粒子(C)に要求される性能に応じて、1種を単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。
さらに、その他の重合性不飽和モノマー(c2)としては、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(c2−2)を使用することができる。
重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(c2)としては、
例えば、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド等が挙げることができる。これらのモノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。
上記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(c2−2)としては、なかでも、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
前記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(c2−2)を使用する場合、その使用割合は、得られる塗料の安定性を向上させる観点から、ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)の合計量を基準として、好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%、さらに特に好ましくは1〜5質量%の範囲内であることが好適である。
その他の重合性不飽和モノマー(c2)は、少なくともその一部として、水酸基含有重合性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、得られる樹脂粒子(C)に、硬化剤(B)と架橋反応する水酸基を含有せしめることによって塗膜の耐水性等を向上させると共に、該樹脂粒子(C)の水性媒体中における安定性を向上せしめる機能を有する。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、なかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
その他の重合性不飽和モノマー(c2)として、水酸基含有重合性不飽和モノマーを含有する場合、水酸基含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、樹脂粒子(C)の水性媒体中における安定性及び得られる塗膜の耐チッピング性に優れる観点から、ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)の合計量を基準として、1〜30質量%であるのが好ましく、3〜25質量%であるのがより好ましく、5〜20質量%であるのが更に好ましい。
また、上記その他の重合性不飽和モノマー(c2)は、少なくともその一部として、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとしては、なかでも、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を好適に使用することができる。
また、上記その他の重合性不飽和モノマー(c2)は、少なくともその一部として、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは、単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、なかでも、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
また、硬度及び耐チッピング性の観点から、特に、炭素数4〜22のアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
その他の重合性不飽和モノマー(c2)として、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレートを含有する場合、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレートの使用割合は、ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)の合計量を基準として、1〜80質量%であるのが好ましく、3〜60質量%であるのがより好ましく、5〜50質量%であるのが更に好ましい。
また、上記その他の重合性不飽和モノマー(c2)は、得られる塗料の安定性向上の観点から、少なくともその一部として、炭素数1〜3、特に、炭素数1又は2のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート含有することが好ましい。
炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。
炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、得られる塗料の安定性を向上させる観点から、なかでも、メチルメタクリレート及び/又はエチルメタクリレートを好適に使用することができ、特にメチルメタクリレートをより好適に使用することができる。
その他の重合性不飽和モノマー(c2)として、炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含有する場合、炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの使用割合は、ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)の合計量を基準として、1〜80質量%であるのが好ましく、3〜60質量%であるのがより好ましく、5〜50質量%であるのが更に好ましい。
樹脂粒子(C)は、架橋構造、また、官能基を粒子中で偏在化させる等、粒子構造を制御する観点から、中心部分(コア)と外殻部分(シェル)とで異なる樹脂組成からなるコアシェル構造を有しているものを好適に使用することができる。
樹脂粒子(C)が、コアシェル構造を有するものである場合、そのコア/シェルの比率は、固形分質量比で10/90〜95/5であるのが好ましく、コアの比率を高める観点から、50/50〜90/10であるのがより好ましく、65/35〜85/15であるのが更に好ましい。
樹脂粒子(C)が、コアシェル構造を有するものである場合、中心部分(コア部)のガラス転移温度(Tg)が−65〜−10℃、好ましくは−60〜−20℃、さらに好ましくは−50〜−20℃の範囲内にあることが好適である。
また、外殻部分(シェル)のガラス転移温度(Tg)が−50〜150℃、好ましくは−5〜120℃の範囲にあり、さらに好ましくは10〜110℃の範囲にあることが好適である。
また、TgがTgよりも大きく、かつTgとTgの差が、5〜200℃、好ましくは30〜180℃、さらに好ましくは50〜160℃の範囲内であることが好適である。
本明細書において、ガラス転移温度Tg(絶対温度)は、下記式により算出される値である。
1/Tg=W/T+W/T+・・・W/T
[式中、W、W、・・・Wは各モノマーの質量分率であり、T、T・・・Tは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。]
なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK Fourth Edition,J.Brandrup,E.h.Immergut,E.A.Grulke編(1999年)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用する。
樹脂粒子(C)は、得られる複層塗膜の耐チッピング性等に優れる観点から、水酸基価が1〜50mgKOH/gであるのが好ましく、2〜30mgKOH/gであるのがより好ましく、5〜20mgKOH/gであるのが更に好ましい。
また、樹脂粒子(C)は、塗膜の平滑性及び塗料の安定性等に優れる観点から、酸価が2〜50mgKOH/gであるのが好ましく、5〜40mgKOH/gであるのがより好ましく、10〜30mgKOH/gであるのがさらに好ましい。
樹脂粒子(C)は、例えば、ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を含有するモノマー混合物を乳化重合することにより得ることができる。
乳化重合は、シード重合法、ミニエマルション重合法等の従来公知の方法により行うことができ、例えば、乳化剤の存在下で、重合開始剤を使用してモノマー混合物を乳化重合することにより行うことができる。
上記乳化剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好適であり、該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられ、また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や、1分子中に該アニオン性基と重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよい。
上記乳化剤の使用量は、使用される全モノマーの合計量を基準にして、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらの重合開始剤は、一種単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用して、レドックス開始剤としてもよい。
上記重合開始剤の使用量は、一般に、使用される全モノマーの合計質量を基準にして、0.1〜5質量%程度が好ましく、0.2〜3質量%程度がより好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類及び量などに応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
また、前記モノマー混合物は、得られる樹脂粒子(C)の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を含んでいてもよい。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノール、チオグリセロール、メルカプト酢酸(チオグリコール酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。該連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、一般に、使用される全モノマーの合計量を基準にして、0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲内が好適である。
さらに、前記モノマー混合物には、必要に応じて、ヘキサデカン等の長鎖飽和炭化水素系溶剤、ヘキサデカノール等の長鎖アルコール系溶剤等の有機溶剤等を配合してもよい。
コアシェル構造の樹脂粒子(C)を得るには、例えば、各々組成の異なるモノマー混合物を調製し、各々を多段階で重合反応を行うことにより合成することができる。
なお、水性第1着色塗料(X)において、樹脂粒子(C)の「シェル部」は樹脂粒子の最外層に存在する重合体層を意味し、「コア部」は上記シェル部を除く樹脂粒子内層の重合体層を意味し、「コア/シェル型構造」は上記コア部とシェル部を有する構造を意味するものである。上記コア/シェル型構造は、通常、コア部がシェル部に完全に被覆された層構造が一般的であるが、コア部とシェル部の質量比率等によっては、シェル部のモノマー量が層構造を形成するのに不十分な場合もあり得る。そのような場合は、上記のような完全な層構造である必要はなく、コア部の一部をシェル部が被覆した構造であってもよく、あるいはコア部の一部にシェル部の構成要素である重合性不飽和モノマーがグラフト重合した構造であってもよい。また、上記コア/シェル型構造における多層構造の概念は、水性第1着色塗料(X)の樹脂粒子(C)においてコア部に多層構造が形成される場合にも同様に当てはまるものとする。
樹脂粒子(C)は、一般に10〜500nm、好ましくは30〜300nm、特に好ましくは50〜200nmの範囲内の平均粒子径を有することができる。
本明細書において、樹脂粒子(C)の平均粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置を用いて、常法により脱イオン水で希釈してから20℃で測定した値である。サブミクロン粒度分布測定装置としては、例えば、「COULTER N4型」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いることができる。
樹脂粒子(C)が、カルボキシル基等の酸性基を有する場合は、該樹脂粒子(C)の機械的安定性を向上させるために、該酸性基を中和剤により中和することが望ましい。該中和剤としては、酸性基を中和できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水などが挙げられる。これらの中和剤は、中和後の樹脂粒子(C)の水分散液のpHが4.0〜9.0程度となるような量で用いることが好ましい。
水性第1着色塗料(X)
水性第1着色塗料(X)は、前記水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)を含有する塗料組成物である。
水性第1着色塗料(X)における水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)の配合割合は、水性皮膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計100質量部を基準として、下記の範囲内であることが好適である。
水性皮膜形成性樹脂(A):60〜94質量部、好ましくは65〜87質量部、さらに好ましくは70〜85質量部、
硬化剤(B):5〜39質量部、好ましくは10〜32質量部、さらに好ましくは10〜25質量部、
樹脂粒子(C):1〜35質量部、好ましくは3〜25質量部、さらに好ましくは5〜20質量部。
水性第1着色塗料(X)は、通常、着色剤として、顔料(D)を含有することができる。顔料(D)としては、例えば、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料などを挙げることができ、顔料(D)はそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
水性第1着色塗料(X)が、顔料(D)を含有する場合、顔料(D)の配合量は、水性第1着色塗料(X)中の、水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)の合計100質量部を基準として、一般に1〜200質量部、好ましくは20〜150質量部、さらに好ましくは50〜120質量部の範囲内であることができる。
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などが挙げられ、なかでも、酸化チタン、カーボンブラックを好適に使用することができる。
水性第1着色塗料(X)が上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の配合量は、水性第1着色塗料(X)中の水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)の合計100質量部を基準として、通常1〜120質量部、好ましくは3〜100質量部、さらに好ましくは5〜90質量部の範囲内であることができる。
また、前記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトなどが挙げられ、なかでも、硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましい。
なかでも、上記体質顔料として、平均一次粒子径が1μm以下の硫酸バリウム、さらに好ましくは平均一次粒子径が0.01〜0.8μmの範囲内である硫酸バリウムを含有することが、平滑性に優れ、水性第2着色塗料(Y)(水性ベースコート塗料)として光輝性顔料を含有する塗料を使用する場合に、フリップフロップ性が高く、メタリックムラの少ない優れた外観を有する複層塗膜を得られるため、好適である。
なお、本明細書において、硫酸バリウムの平均一次粒子径は、硫酸バリウムを走査型電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある硫酸バリウム20個の最大径を平均した値である。
水性第1着色塗料(X)が上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の配合量は、水性第1着色塗料(X)中の水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)の合計100質量部を基準として、通常1〜120質量部、好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜80質量部の範囲内であることができる。
また、前記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料などを挙げることができ。これらの光輝性顔料は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。アルミニウム顔料には、ノンリーフィング型アルミニウムとリーフィング型アルミニウムがあるが、いずれも使用できる。
水性第1着色塗料(X)が上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の配合量は、水性第1着色塗料(X)中の水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)の合計100質量部を基準として、通常1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部の範囲内であることができる。
オリゴマー(E)
水性第1着色塗料(X)には、複層塗膜の塗面平滑性を向上させる観点から、水トレランス10以上、好ましくは20以上、さらに好ましくは50以上であり、かつ、数平均分子量200〜1500、好ましくは300〜1000、さらに好ましくは400〜1000のオリゴマー化合物(前記水性皮膜形成性樹脂(A)を除く)をさらに含有することができる。
具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、これらのエーテル化物等をあげることができる。なかでも、水酸基含有オリゴマー、特にポリオキシプロピレングリセリルエーテルを用いることが好ましい。
市販品としては、GP400、GP600、GP1000(以上、三洋化成社製)等をあげることができる。
本明細書において、オリゴマーについての水トレランスは以下の測定により得られる値である。
オリゴマーの水トレランスの測定は、以下の方法により行なった。直径5cmの200mlビーカーに試料(オリゴマー)を5.0g取り、50mlのアセトンで希釈する。試料溶液を20℃とし、ビーカーの底面の下に4号活字が印刷された新聞を置き、マグネチックスターラーで撹拌しながら、脱イオン水を滴下していく。この時、ビーカー底面の下に置いた新聞の4号活字が該ビーカー上部から透視し判読できる限界の脱イオン水の最大滴下量(ml)を水トレランスとする。上記水トレランスの値が大きいほどオリゴマーは親水性であることを意味する。
水性第1着色塗料(X)が、オリゴマー(E)を含有する場合、その配合量は、水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)の合計固形分100質量部に対して1〜30質量部であるのが好ましく、3〜20質量部であるのがより好ましく、5〜15質量部であるのが更に好ましい。
また、水性第1着色塗料(X)は、必要に応じて、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の塗料用添加剤を含有することができる。
上記増粘剤としては、例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系増粘剤;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸系増粘剤;1分子中に親水性部分と疎水性部分を有し、水性媒体中において、該疎水性部分が塗料中の顔料やエマルション粒子の表面に吸着したり、該疎水性部分同士が会合したりすることにより効果的に増粘作用を示す会合型増粘剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系増粘剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系増粘剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系増粘剤;プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系増粘剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系増粘剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系増粘剤などが挙げられる。これらの増粘剤は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記ポリアクリル酸系増粘剤としては、市販品を使用できる。市販品の商品名として、例えば、ロームアンドハース社製の「プライマルASE−60」、「プライマルTT−615」、「プライマルRM−5」、サンノプコ社製の「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」等が挙げられる。また、上記会合型増粘剤としては、市販品を使用できる。市販品の商品名として、例えば、ADEKA社製の「UH−420」、「UH−450」、「UH−462」、「UH−472」、「UH−540」、「UH−752」、「UH−756VF」、「UH−814N」、ロームアンドハース社製の「プライマルRM−8W」、「プライマルRM−825」、「プライマルRM−2020NPR」、「プライマルRM−12W」、「プライマルSCT−275」、サンノプコ社製の「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」等が挙げられる。
上記増粘剤としては、ポリアクリル酸系増粘剤及び/又は会合型増粘剤を用いるのが好ましく、会合型増粘剤を用いるのがより好ましく、末端に疎水基を有し、分子鎖中にウレタン結合を含有するウレタン会合型増粘剤を用いるのが更に好ましい。該ウレタン会合型増粘剤としては、市販品を使用できる。市販品の商品名として、例えば、ADEKA社製の「UH−420」、「UH−462」、「UH−472」、「UH−540」、「UH−752」、「UH−756VF」、「UH−814N」、サンノプコ社製の「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」等が挙げられる。
また、水性第1着色塗料(X)が、上記増粘剤を含有する場合、該増粘剤の配合量は、水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)及び樹脂粒子(C)の合計固形分100質量部に対して、0.01〜10質量部であるのが好ましく、0.05〜3質量部であるのがより好ましく、0.1〜2質量部であるのが更に好ましい。
水性第1着色塗料(X)の調整
水性第1着色塗料(X)は、水性皮膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、及び樹脂粒子(C)、並びに、必要に応じて、顔料(D)、オリゴマー(E)及びその他の塗料用添加剤を、公知の方法により、水性媒体中で、混合、分散することによって、調製することができる。また、水性媒体としては、脱イオン水又は脱イオン水と親水性有機溶媒の混合物を使用することができる。親水性有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
水性第1着色塗料(X)の固形分濃度は、通常、20〜70質量%であるのが好ましく、30〜60質量%であるのがより好ましく、35〜60質量%であるのが更に好ましい。
工程(2)
上記の如くして形成される第1着色塗膜上に、水性第2着色塗料(Y)が塗装される。
上記水性第2着色塗料(Y)の塗装は、ワキ、タレ等の塗膜欠陥の抑制や得られる塗膜の平滑性の観点から、上記第1着色塗膜の固形分含有率が、70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%の範囲内にある間に行なうことが好適である。
上記第1着色塗膜の固形分含有率は、水性第2着色塗料(Y)を塗装する前に、例えば、予備加熱(プレヒート)、エアブロー等を行なうことにより調整することができる。
上記予備加熱は、通常、塗装された被塗物を乾燥炉内で約50〜約110℃、好ましくは約60〜約80℃の温度で1〜30分間程度直接的又は間接的に加熱することにより行うことができる。
また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に常温又は約25℃〜約80℃の温度に加熱された空気を吹き付けることにより行うことができる。
また、前記第1着色塗膜の固形分含有率は、例えば以下の方法により測定することができる。
まず、被塗物と同時に、予め質量(W)を測定しておいたアルミホイル上に、水性第1着色塗料(X)を塗装する。続いて、塗装後、必要に応じて予備加熱などがされた該アルミホイルを、水性第2着色塗料(Y)が塗装される直前に回収し、その質量(W)を測定する。次に、回収したアルミホイルを110℃で60分間乾燥し、デシケーター内で室温まで放冷した後、該アルミホイルの質量(W)を測定し、以下の式に従って固形分含有率を求める。
固形分含有率(質量%)={(W−W)/(W−W)}×100
水性第2着色塗料(Y)
本発明の複層塗膜形成方法に使用される水性第2着色塗料(Y)としては、例えば、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知のものを使用することができる。
水性第2着色塗料(Y)は、一般に、基体樹脂、架橋剤および顔料等を水性媒体中に混合分散することにより調製することができる。
基体樹脂としては、例えば、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂を使用することが好ましい。基体樹脂の種類としてはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
カルボキシル基及び水酸基含有樹脂中のカルボキシル基は中和されていることが好ましい。該中和は、架橋剤等と混合する前に、塩基性物質を用いて行うことが好ましい。
中和に用いられる塩基性物質としては、例えば、アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール等の第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−またはジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;N,N−ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のポリアミン等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
中和に用いられる塩基性物質の使用量は、カルボキシル基及び水酸基含有樹脂中のカルボキシル基を基準にして、通常0.1〜1.5当量、特に0.3〜1.2当量の範囲内であることが好ましい。
基体樹脂は、水分散性等の観点から、通常10〜150mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。また、基体樹脂は、硬化性等の観点から、通常10〜150mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
基体樹脂は、さらに、耐侯性等の観点から、アクリル樹脂においては、通常3000〜100000、特に5000〜50000、そして、ポリエステル樹脂においては、通常500〜50000、特に3000〜30000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
基体樹脂としてカルボキシル基及び水酸基含有アクリル樹脂を用いる場合、分散安定剤の存在下で乳化重合によって製造されるカルボキシル基及び水酸基含有アクリル樹脂も使用することができる。
上記乳化重合により製造されるアクリル樹脂の場合、通常100000以上、特に200000〜2000000の範囲内の数平均分子量を有するものが好ましい。
乳化重合で用いる分散安定剤としては、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤のほか、酸価が10〜150mgKOH/g程度で且つ数平均分子量が5000〜30000程度のアクリル樹脂等の水性樹脂を好適に使用することができる。
乳化重合はそれ自体既知の方法で行うことができる。
基体樹脂としては、なかでも、カルボキシル基含有不飽和モノマーを共重合成分とする多段重合法により製造されるアクリルエマルションが、塗装作業性に優れた水性第2着色塗料(Y)を得ることができるので好ましい。すなわち、最初にカルボキシル基含有不飽和モノマーを全くもしくは殆ど含まない(通常、全モノマー中3質量%以下)組成のモノマー混合物を用いて重合反応を行い、次いでカルボキシル基含有不飽和モノマーを含有する(通常、全モノマー中5〜30質量%)組成のモノマー混合物を用いて重合反応を行なうことにより得られるアクリルエマルションは、塩基性物質を用いた中和により、粘性発現効果を有しており、耐タレ性等の塗装作業性に優れた水性第2着色塗料(Y)を得ることができるので好ましい。
架橋剤としては、例えばメラミン樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、水分散性ブロックポリイソシアネート化合物等の、水酸基と反応し得る架橋剤から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
水性第2着色塗料(Y)における基体樹脂及び架橋剤の配合割合は、両成分の合計固形分量を基準にして、基体樹脂は一般に60〜100質量%、特に65〜95質量%、さらに特に70〜90質量%、架橋剤は一般に0〜40質量%、特に5〜35質量%、さらに特に10〜30質量%の範囲内であるのが好ましい。
顔料としては特に制限されるものではなく、例えば、無機系および有機系顔料の着色顔料、体質顔料及び光輝性顔料等を好適に使用することができる。上記着色顔料としては例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等を挙げることができる。上記体質顔料としては、タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイト等を挙げることができる。上記光輝性顔料としてはアルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末等を挙げることができる。
顔料の配合量は、基体樹脂及び架橋剤の固形分合計を基準にして、一般に0.1〜200質量%、特に1〜100質量%の範囲内であることが好ましい。
水性第2着色塗料(Y)には、さらに必要に応じて、硬化触媒、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、酸化防止剤等を適宜、使用することができる。
水性第2着色塗料(Y)の塗装時における不揮発分濃度は、通常15〜65質量%が好ましく、その単独塗膜は不透明または透明のソリッド調もしくはメタリック調の塗膜であることができる。本明細書において、不透明塗膜とは、塗料単独塗膜の20μmの硬化塗膜における光線透過率が5%未満の塗膜を意味し、透明塗膜とは、20μmの上記硬化塗膜における光線透過率が5%以上の塗膜を意味する。
水性第2着色塗料(Y)は、塗装粘度を、適正な粘度、例えば、B型粘度計を用いて20℃において回転数60rpmで測定したときの値が、通常200〜800cps(センチポイズ)、好ましくは400〜600cps(センチポイズ)となるように調整し、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装等により、必要に応じて静電印加を行なって、硬化塗膜に基づく膜厚が一般に5〜30μm、特に10〜25μmになるように塗装することができる。
本方法では、第1着色塗膜上に水性第2着色塗料(Y)を塗装し、次いでクリヤ塗料(Z)が塗装されるが、クリヤ塗料(Z)の塗装に先立ち、必要に応じて、水性第2着色塗料(Y)を塗装して得られる第2着色塗膜を50〜100℃程度の温度で予備乾燥を行なってもよい。
この予備乾燥により、第2着色塗膜中の揮発性成分をある程度揮散させることができる。
上記予備乾燥により、塗膜がある程度乾燥固化するので、該第2着色塗膜上にクリヤ塗料(Z)を塗装したときに該塗膜中に含まれる溶媒や低分子樹脂成分等が、第2着色塗膜中に浸透拡散しても、該第2着色塗膜の粘度低下を抑制することができ、メタリック顔料を使用した場合等のメタリック顔料等の再流動を抑制することができ、メタルムラ等の発生を防止することができる。
工程(3)
上記の如くして第2着色塗料(Y)によって形成される水性第2着色塗膜上に、クリヤ塗料(Z)が塗装される。
クリヤ塗料(Z)
クリヤ塗料(Z)は、水酸基含有アクリル樹脂(K)、 ポリイソシアネート化合物(L)ならびに、金属化合物(M1)及びアミジン化合物(M2)からなる有機金属触媒(M)を含有するクリヤ塗料である。
水酸基含有アクリル樹脂(K)
水酸基含有アクリル樹脂(K)は、(k1)水酸基含有重合性不飽和モノマー及び(k2)その他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー成分を常法により共重合せしめることによって製造することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1)は、1分子中に水酸基と重合性不飽和結合とを各々1個有する化合物である。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1)としては、2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1−1)及び水酸基(2級水酸基を除く)含有重合性不飽和モノマー(k1−2)を挙げることができる。
2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1−1)としては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエステル部のアルキル基の炭素数が2〜8、特に3〜6、さらに特に3又は4の2級水酸基を有する重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸とエポキシ基含有化合物(例えば、カージュラE10、商品名、ヘキシオン・スペシャリティー・ケミカル社製、ネオデカン酸グリシジルエステル)との付加物等を挙げることができる。これらの中でも特に、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記モノマー(k1−1)は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
水酸基(2級水酸基を除く)含有重合性不飽和モノマー(k1−2)は、1分子中に水酸基(2級水酸基を除く)と重合性不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物である。
該モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物(2級水酸基を有するものを除く);ε−カプロラクトンを開環重合反応させることにより変性した水酸基含有モノマー(2級水酸基を有するものを除く)等を挙げることができる。
ε−カプロラクトンを開環重合反応させることにより変性した水酸基含有モノマーとしては、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上、いずれもダイセル化学(株)製、商品名)等を挙げることができる。
上記モノマー(k1−2)は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。
その他の重合性不飽和モノマー(k2)は、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1)以外のモノマーであり、具体的には、1分子中に1個の重合性不飽和結合を有する化合物である。不飽和モノマー(k2)の具体例を、下記(1)〜(7)に列挙する。
(1)酸基含有重合性不飽和モノマー
酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に酸基と重合性不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物である。該モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマー;ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクロイルオキシエチルフェニルリン酸などの酸性リン酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。これらは1種で又は2種以上を使用することができる。酸基含有重合性不飽和モノマーを使用する場合、アクリル樹脂(A)の酸価が、0.5〜30mgKOH/g程度、特に1〜20mgKOH/g程度となる量とすることが好ましい。
(2)アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのエステル化物
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート,tert−ブチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名)、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのエステル化物のうち、仕上り外観の向上及び塗膜硬度の両立の観点から、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(k2−1)を好適に使用することができる。
炭素数6〜20の脂環式炭化水素基の代表例としては、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、イソボルニル基、アダマンチル基及びトリシクロデカニル基等を挙げることができる。
不飽和モノマー(k2−1)の具体例としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシル(メタ)アクリレート等の有橋脂環式炭化水素基含有重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。
不飽和モノマー(k2−1)を使用する場合、その配合割合は、モノマー成分の総量に対して、10〜60質量%、特に15〜50質量%、さらに特に20〜45質量%の範囲内であることが好ましい。
(3)アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等をあげることができる。これらのうち好ましいアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーとして、ビニルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーを構成成分とすることにより、水酸基とイソシアネート基との架橋結合に加え、アルコキシリル基同士の縮合反応及びアルコキシシリル基と水酸基との反応による架橋結合を生成することから硬化性を向上させることができる。
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーを構成成分とする場合、その配合割合は、モノマー成分の総量に対して1〜20質量%、特に、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
(4)芳香族系ビニルモノマー
具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
芳香族系重合性不飽和モノマーを構成成分とすることにより、得られる樹脂のガラス転移温度が上昇し、また、高屈折率で疎水性の塗膜を得ることができることから、塗膜の光沢向上による仕上り外観の向上効果を得ることができる。
芳香族系重合性不飽和モノマーを構成成分とする場合、その配合割合は、モノマー成分の総量に対して3〜40質量%、特に、5〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
(5)グリシジル基含有重合性不飽和モノマー
グリシジル基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中にグリシジル基と重合性不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物であり、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等を挙げることができる。
(6)重合性不飽和結合含有窒素原子含有化合物
例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。
(7)その他のビニル化合物
例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、バーサティック酸ビニルエステル等を挙げることができる。バーサティック酸ビニルエステルとしては、市販品である「ベオバ9」、「ベオバ10」(以上、商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)等を挙げることができる。
その他の重合性不飽和モノマー(k2)としては、前記(1)〜(7)で示されるモノマーを1種で、又は2種以上を用いることができる。
水酸基含有アクリル樹脂(K)の重量平均分子量は、塗膜の仕上り外観及び硬化性の観点から、2000〜50000程度、特に、5000〜30000程度であることが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(K)のガラス転移温度は、塗膜の硬化性及び仕上り外観の観点から、−10〜30℃程度、特に、−5〜20℃程度であることが好ましい。
塗膜の仕上り外観向上及びポットライフの観点から、水酸基含有アクリル樹脂(K)中の水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1)全量のうち、2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1−1)を50〜100質量%含むことが好ましく、80〜100質量%含むことがより好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂(K)の水酸基価は、硬化性及び仕上り外観の観点から、85〜215mgKOH/gであり、100〜200mgKOH/g、特に120〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1)及びその他の重合性不飽和モノマー(k2)の配合割合は、硬化性及び硬化塗膜の仕上り外観の観点から、全モノマー量に対して、水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1)が好ましくは20〜50質量%程度、さらに好ましくは30〜45質量%程度であり、その他の不飽和モノマー(k2)が、好ましくは50〜80質量%程度、さらに好ましくは55〜70質量%程度である。
また、水酸基含有アクリル樹脂(K)の酸価は、塗料組成物の硬化性の観点から、0.5〜30mgKOH/g程度、特に1〜20mgKOH/g程度であることが好ましい。
上記重合性不飽和モノマー(k1)及び(k2)からなるモノマー混合物を共重合して水酸基含有アクリル樹脂(K)を得ることができる。
上記モノマー混合物を共重合して水酸基含有アクリル樹脂(K)を得るための共重合方法は、特に限定されるものではなく、それ自体既知の共重合方法を用いることができるが、なかでも有機溶剤中にて、重合開始剤の存在下で重合を行なう溶液重合法を好適に使用することができる。
上記溶液重合法に際して使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール1000(コスモ石油社製、商品名、高沸点石油系溶剤)などの芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネートなどを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができるが、アクリル樹脂の溶解性の点から高沸点のエステル系溶剤、ケトン系溶剤を使用することが好ましい。また、さらに高沸点の芳香族系溶剤を好適に組合せて使用することもできる。
水酸基含有アクリル樹脂(K)の共重合に際して使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のそれ自体既知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂(K)は単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
水酸基含有アクリル樹脂(K)以外の樹脂も必要に応じて併用することができる。具体的には、例えば、水酸基含有アクリル樹脂(K)以外のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂等をあげることができ、好ましいものとして、水酸基含有ポリエステル樹脂及び水酸基含有ポリウレタン樹脂をあげることができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、常法により、例えば、多塩基酸と多価アルコ−ルとのエステル化反応によって製造することができる。該多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物などが挙げられ、また、該多価アルコ−ルは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類、およびトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール成分、並びに、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、カージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステ)などのモノエポキシ化合物などを酸と反応させて、これらの化合物をポリエステル樹脂に導入しても良い。
ポリエステル樹脂へカルボキシル基を導入する場合、例えば、水酸基含有ポリエステルに無水酸を付加し、ハーフエステル化することで導入することもできる。
水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は、好ましくは85〜250mgKOH/g、さらに好ましくは100〜220mgKOH/gの範囲内である。水酸基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2500〜40000、さらに好ましくは5000〜30000の範囲内である。
水酸基含有ポリウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる水酸基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
ポリオールとしては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アルコールなどをあげることができる。高分子量のものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどをあげることができる。ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがあげられる。ポリエステルポリオールとしては前記の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオールなどをあげることができる。また、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などのカルボキシル基含有ポリオールも使用することができる。
上記のポリオールと反応させるポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;等を挙げることができる。
水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、好ましくは85〜250mgKOH/g、さらに好ましくは100〜220mgKOH/gの範囲内である。水酸基含有ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2500〜40000、さらに好ましくは5000〜30000の範囲内である。水酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、好ましくは−40℃〜85℃、さらに好ましくは−30℃〜80℃の範囲内である。
上記の水酸基含有アクリル樹脂(K)以外の樹脂(より具体的には、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂等)を併用する場合、水酸基含有アクリル樹脂(K)以外の樹脂は、水酸基含有アクリル樹脂(K)の固形分総量に対して、好ましくは10〜50質量%の範囲内である。
ポリイソシアネート化合物(L)
ポリイソシアネート化合物(L)は、クリヤ塗料(Z)の硬化剤であり、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。ポリイソシアネート化合物(L)としては、ポリウレタン製造用として公知のもの、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの誘導体等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、具体的には例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
また、ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)及びクルードTDI等をあげることができる。
上記のうち、工業的入手の容易さから、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HMDIということがある)、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIということがある)及びこれらの誘導体を特に好適に使用することができる。
上記ポリイソシアネート化合物は、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
ポリイソシアネート化合物(L)において、25℃における粘度は、硬化性及び仕上がり外観の観点から、好ましくは200〜4000mPa・sであり、さらに好ましくは250〜3000mPa・s、さらに特に好ましくは300〜2000mPa・sである。該粘度が、200mPa・s未満であると、クリヤ塗膜さらには、得られる複層塗膜の硬化性が低下する場合がある。また、4000mPa・sを超えると、得られる複層塗膜の仕上り外観が低下する場合がある。
ポリイソシアネート化合物(L)として、ジイソシアネート化合物の2量体以上の多量体を含有するものを低温短時間硬化性及び仕上り外観の観点から好適に使用することができる。
ポリイソシアネート化合物(L)が、上記のような2量体以上の多量体を含有する場合、特に、ポリイソシアネート化合物の総量を基準にして、イソシアヌレート3量体の含有量が、30〜70質量%、特に40〜70質量%、さらに特に50〜70質量%、ウレトジオン2量体の含有量が、3〜30質量%、特に5〜25質量%、さらに特に8〜20質量%、その他の3量体以上の多量体の含有量が、0〜67質量%、特に5〜55質量%、さらに特に10〜42質量%の範囲内であるものを好適に使用することができる。
上記において、イソシアヌレート3量体とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなる、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートであり、ウレトジオン2量体とは、ジイソシアネートモノマー2分子からなる、ウレトジオン基を有するポリイソシアネートである。
上記ポリイソシアネート化合物において、未反応のジイソシアネートモノマーは含まないことが好ましく、残存ジイソシアネートモノマー濃度は、好ましくは、1質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
有機金属触媒(M)
有機金属触媒(M)は、金属化合物(M1)及びアミジン化合物(M2)からなる触媒である。
金属化合物(M1)とアミジン化合物(M2)とを併用することにより、低温短時間での硬化性に優れ、かつ、形成する塗膜の仕上り外観が良好であり、しかも2液型塗料としてのポットライフを充分に維持することが可能となる。
これは、金属化合物(M1)とアミジン化合物(M2)とからなる触媒が、錯体構造を形成し、アミジン化合物がブロック剤となっており、このブロック剤であるアミジン化合物が低温で解離し、アミジン化合物の解離後は金属化合物本来の低温硬化性に優れる触媒能が活性となることにより、クリヤ塗料(Z)の低温短時間での硬化性とポットライフの両立を達成することが可能となることによるものであると考えている。
金属化合物(M1)は、金属が、亜鉛、錫、ジルコニウム、ビスマス、鉛、コバルト、マンガン、チタン、アルミニウム及びモリブデンからなる群から選ばれる1種である金属化合物であり、例えば、カルボン酸金属塩化合物、アセチルアセトン金属錯体等を挙げることができる。特に、カルボン酸金属塩化合物を好適に使用することができる。
カルボン酸金属塩化合物としては、具体的には、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
(RCO)M (1)
(式中、Mは、Zn、Sn、Zr、Bi、Pb、Co、Mn、Ti、Al、Moからなる群から選ばれる金属であり、Rは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアラルキル基又はアルキルアリール基を表し、nは1以上4以下の値を有する整数である)
より具体的には、例えば、2−エチルヘキサン酸金属塩、酢酸金属塩、ナフテン酸金属塩、オクタン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、ネオデカン酸金属塩、オレイン酸金属塩等を挙げることができる。
触媒活性に優れ工業的に入手が容易なことから、オクチル酸マンガン、オクチル酸錫、オクチル酸コバルト、オクチル酸チタン、オクチル酸アルミニウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸ビスマス、又はオクチル酸鉛を好適に使用することができる。
アミジン化合物(M2)は、R−C(=NR)−NRで表される構造を有する有機化合物である。該構造において、炭素(C)原子に、二重結合で窒素原子が1つ、単結合で窒素原子が1つ付いている構造を有している。
構造式R−C(=NR)−NR・・・(1)において、
は水素原子、置換されていても良い、炭素原子に結合した有機基、アミン基であり、具体的には、置換されていてもよいヒドロカルビル基又はエーテル化されていてもよいヒドロキシル基を挙げることができる。
とRは互いに独立して、水素原子又は炭素原子に結合した有機基、又は互いに結合した構造を有する複素環(1又は2以上のヘテロ原子を持つ、又は、1又は2以上のヘテロ原子を有する結合した2重環を有する)である。
は水素原子、置換されていても良い、炭素原子に結合した有機基、エーテル化されていてもよいヒドロキシル基、好ましくは、置換されていてもよい炭素原子数8以上のヒドロカルビル基を挙げることができる。
又はRが有機基の場合、それらは例えば1乃至40の炭素原子を有するもの、あるいは、例えば、500〜50000の分子量を有するポリマー基であってよい。
、R、R、Rで表される基は、各々互いに独立して、置換基として、アルコール性水酸基を含有することができる。
構造式R−C(=NR)−NR・・・(1)で表され、RとRとが結合していないアミジン化合物としては、具体的には、N’−シクロヘキシル−N,N−ジメチルホルムアミジン、N’−メチル−N,N−ジ−n−ブチルアセトアミジン、N’−オクタデシル−N,N−ジメチルホルムアミジン、N’−シクロヘキシル−N,N−ジメチルバレロアミジン、1−メチル−2−シクロヘキシルイミノピロリジン、3−ブチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、N−(ヘキシルイミノメチル)モルホリン、N−(α−(デシルイミノエチル)エチル)ピロリジン、N’−デシル−N,N−ジメチルホルムアミジン、N’−ドデシル−N,N−ジメチルホルムアミジン、N’−シクロヘキシル−N,N−アセトアミジン等を挙げることができる。
また、該アミジン化合物として、R-Rが、アミジン構造中の2つの窒素原子を含む5乃至7員環を形成し、R-R又はR-Rのうちの1つが、アミジン構造中の1つの窒素原子と複数の炭素原子により5乃至9員環を形成した構造を有するアミジン化合物もアミジン化合物(M2)に包含される。
このような構造を有するアミジン化合物としては、具体的には、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)オン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ(3.3.0)オクテ−4−エン、2−メチル−1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)オン−5−エン、2,7,8−トリメチル−1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)オン−5−エン、2−ブチル−1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)オン−5−エン、1,9−ジアザビシクロ(6.5.0)トリデセ−8−エン等を挙げることができる。
また、アミジン化合物として、構造式R−C(=NR)−NR・・・(1)中のRとRが結合した構造を有する複素環化合物、例えば、イミダゾリン、イミダゾール、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリミジン、ピリミジン環含有化合物を挙げることができる。
イミダゾール化合物は一般に下記構造式で表される。
Figure 2013212482
上記において、R、R、R及びRとしては、各々互いに独立して、水素原子、アルキル基又は置換アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基、アラルキル基、シクロアルキル基、複素環、エーテル基、チオエーテル基、ハロゲン、-N(R) 、ポリエチレンポリアミン、ニトロ基、ケト基、エステル基、カルボンアミド基、及びこれら官能基のアルキル置換基を挙げることができる。
イミダゾール化合物としては、具体的には、N-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、N-(3-アミノプロピル)イミダゾール、4-(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1-(tert-ブトキシカルボニル)イミダゾール、イミダゾール-4-プロピオン酸、4−カルボキシイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2-メチル-4-イミダゾールカルボン酸、4−ホルミルイミダゾール、1-(エトキシカルボニル)イミダゾール、プロピレンオキサイドとイミダゾール及び2-メチルイミダゾールとの反応物、1-トリメチルシリルイミダゾール、4-(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩、1-クロロ-2,3-エポキシプロパンとイミダゾールの共重合物、1(p-トルエンスルホニル)イミダゾール、1,1-カルボニルビスイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-2-イミダゾリンピロメリテート、4-(ヒドロキシメチル)イミダゾールピクリン酸塩、2-プロペン酸と4,5-ジヒドロ-2-ノニル-1H-イミダゾール-1-エタノールと2-ヘプチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-1-エタノールのジナトリウム塩、1-(シアノエチル)-2-ウンデシルイミダゾールトリメリテート、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾールのギ酸エステル、ナトリウムイミダゾール塩、銀イミダゾール塩等を挙げることができる。
上記アミジン化合物は、単独で、又は2種以上併用して使用することができる。
具体的には、クリヤ塗料(Z)において、有機金属触媒(M)とは金属錯体であり、該錯体は、例えば、1モルのカルボン酸金属塩と2モルのアミジン化合物をメタノール等の溶媒中で加熱することにより製造することができる。
上記製造において、透明な溶液状態となるまで約50℃で約2時間保持することによって金属錯体を作成することができる。該透明溶液をろ過し乾燥する。
アミジン化合物(M2)と金属化合物(M1)とのモル比((M2)のモル数/(M1)のモル数の比)は、1.3〜8.0、特に、1.6〜5.0、さらに特に、1.8〜4.0の範囲とすることが好ましい。
上記モル比が1.3〜8.0の範囲外であると、低温短時間硬化性、ポットライフ及び仕上り外観のいずれかが不十分となる場合がある。
(M)成分の量は、低温短時間硬化性、ポットライフ及び仕上り外観の観点から、(K)成分及び(L)成分の総量に対して、0.05〜5質量%、特に0.1〜4質量%、さらに特に0.3〜3質量%の範囲内であることが好ましい。
0.05質量%より少ないと低温短時間硬化性が不十分となる場合がある。また、5質量%を超えると、得られるクリヤ塗膜、さらには複層塗膜の仕上り外観が不十分となる場合がある。
有機金属触媒(M)は、溶媒に溶解して使用することもできる。溶媒は特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のアルコール類、トルエン、キシレン、ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルグリコールアセテート、酢酸セルソルブ等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類の有機溶媒、アセチルアセトン及びそのフッ素化置換体等のβ−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル類等の溶媒を挙げることができる。
クリヤ塗料(Z)において、触媒として、有機金属触媒(M)に加えて、必要に応じて、有機金属触媒(M)以外の触媒を使用することができる。
上記有機金属触媒(M)以外の触媒としては、ポリウレタン製造用触媒として従来公知の有機金属であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒等を挙げることができる。これらのうち、スタナスジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートが好ましい。
クリヤ塗料(Z)において、低温短時間硬化性及び得られる塗膜の仕上り外観ならびに硬化塗膜の耐水性、耐酸性等の観点から、ポリイソシアネート化合物(L)中のイソシアネート基と、水酸基含有アクリル樹脂(K)中の水酸基との当量比(NCO/OH)は0.8〜1.8であり、好ましくは0.8〜1.6、さらに好ましくは0.8〜1.4の範囲内である。
クリヤ塗料(Z)により形成されるクリヤコート塗膜のガラス転移温度(Tg)は、得られるクリヤ塗膜さらには複層塗膜の仕上り外観向上の観点から、好ましくは80〜120℃程度、さらに好ましくは90〜110℃程度の範囲内である。
なお、本発明において、塗膜のガラス転移温度(Tg)は、硬化塗膜について、動的粘弾性測定により求めた値である。
動的粘弾性の測定は、昇温速度3℃/分で、温度範囲20〜200℃で、周波数11Hzの条件下で行なった。塗膜のガラス転移温度(Tg℃)は、この測定において、tanδの値が極大値を示す時の温度である。動的粘弾性測定装置としては、FTレオスペクトラDVE−V4(レオロジ社製、商品名、動的粘弾性測定装置)を使用した。
その他の成分
クリヤ塗料(Z)は、水酸基含有アクリル樹脂(K)、ポリイソシアネート化合物(L)及び有機金属触媒(M)を必須成分とする塗料組成物であって、通常、有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて、顔料、顔料分散剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤等通常、塗料の分野で用いられる塗料用添加剤を含有することができる。
顔料としては、特に制限なく使用することができ、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カー
ボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プル
シアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イ
ソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等の着色顔料;タルク、クレー、カオリ
ン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイ等
の体質顔料;アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末等のメタリッ
ク顔料等をあげることができる。
上記したこれらの顔料は単独で又は2種以上を使用することができる。顔料の含有量はその種類により異なるが、(K)成分、(L)成分及び(M)成分の固形分総量に対し、通常、0〜200質量%、好ましくは1〜100質量%程度である。
また、着色顔料の含有量はその種類により異なるが、(K)成分、(L)成分及び(M)成分の固形分総量に対し、通常、0〜150質量%、好ましくは1〜100質量%程度である。
顔料の含有量はクリヤ塗料(Z)から得られる塗膜の透明性を害さない範囲の含有量とすることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤をあげることができる。
紫外線吸収剤のクリヤ塗料(Z)中の含有量としては、通常、樹脂固形分総量に対して、0〜10質量%、特に0.2〜5質量%、さらに特に0.3〜2質量%の範囲内であることが耐侯性、耐黄変性の観点から好ましい。
光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤をあげることができる。
光安定剤のクリヤ塗料(Z)中の含有量としては、通常、樹脂固形分総量に対して、0〜10質量%、特に0.2〜5質量%、さらに特に0.3〜2質量%の範囲内であることが耐侯性、耐黄変性の観点から好ましい。
クリヤ塗料(Z)は貯蔵安定性の観点から、水酸基含有アクリル樹脂(K)及び有機金属触媒(M)と、ポリイソシアネート化合物(L)とが分離した2液型塗料とすることが好ましく、使用直前に両者を混合して使用することが好ましい。
クリヤ塗料(Z)の塗装方法
クリヤ塗料(Z)の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法でウエット塗膜を形成することができる。これらの塗装方法において、必要に応じて、静電印加を行なってもよい。このうちエアスプレー塗装が特に好ましい。クリヤ塗料(Z)の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度、好ましくは20〜40μm程度となる量とすることが好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装を行なう場合には、クリヤ塗料(Z)の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップ#No.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
工程(4)
以上に述べた如くして形成される第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤ塗膜の3層の塗膜からなる複層塗膜は、通常の塗膜の焼付け手段により、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等により行うことができる。
加熱保持温度(キープ温度)は、低温での硬化性に優れることから、60〜120℃、特に70〜110℃、さらに特に80〜100℃の範囲内であることが適している。加熱保持時間(キープ時間)は、本方法は短時間での硬化性に優れることから、5〜15分間、特に、5〜12分間、さらに特に、5〜10分間の範囲内であることが適している。
上記加熱硬化を行う前に必要に応じて、50〜100℃程度の温度で予備乾燥を行なってもよい。
本発明の複層塗膜形成方法は、低温かつ短時間で、硬化性、耐チッピング性及び仕上り外観に優れる複層塗膜を得ることができる
本発明の複層塗膜形成方法は、工業製品全般の複層塗膜形成方法として好適に使用することができる。本方法は、自動車の複層塗膜形成方法として特に好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとし、また、塗膜の膜厚はいずれも硬化塗膜に基づくものである。
水性第1着色塗料(X)の製造
水酸基含有アクリル樹脂(A1)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30部を仕込み85℃に昇温後、スチレン10部、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、n−ブチルアクリレート11.5部、ヒドロキシエチルアクリレート30部、アクリル酸3.5部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル5部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらに2−(ジメチルアミノ)エタノール3.03部を加え、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度40%の水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂の酸価は27mgKOH/g、水酸基価は145mgKOH/g、重量平均分子量は約6万であった。
製造例2
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH−10」0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部とを反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。)、固形分濃度30%の水酸基含有アクリル樹脂(A1−2)分散液を得た。得られたアクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、「アクアロンKH−10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、「アクアロンKH−10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、イソフタル酸142部、アジピン酸313部、メチルペンタンジオール59部、トリメチロールプロパン220部及びブチルエチルプロパンジオール228部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸38部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%、pH6.3の水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−1)溶液を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂の酸価は35mgKOH/g、水酸基価が164mgKOH/g、数平均分子量が1600であった。
製造例4
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃〜230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)で希釈し、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和することにより、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−2)溶液を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であった。
樹脂粒子(C)の製造
ウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)の合成
製造例5
攪拌機、温度計、乾燥管及び滴下ロートを付けた四つ口フラスコにテトラヒドロフラン40部及び2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート52.9部を仕込み、15℃に降温した。次いで攪拌しながら20℃以下を維持しながらエチルアミンの37.8%メタノール溶液37部を1時間かけて滴下し、さらに攪拌下室温で2時間保持した。その後、60℃に昇温し、減圧下、脱溶剤を行なうことにより、エチルウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1−1)(有効成分100%)を得た。
製造例6
製造例5において、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート52.9部を51.2部とし、エチルアミンの37.8%メタノール溶液37部をブチルアミン24.1部とし、滴下時の温度を35℃に維持することを除いて製造例5と同様にして合成を行うことにより、ブチルウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1−2)(有効成分100%)を得た。
製造例7
製造例5において、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート52.9部を51.2部とし、エチルアミンの37.8%メタノール溶液37部をイソプロピルアミン19.5部とし、滴下時の温度を35℃に維持することを除いて製造例5と同様にして合成を行うことにより、イソプロピルウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1−3)(有効成分100%)を得た。
製造例8
攪拌機、温度計、乾燥管、空気導入管及び滴下ロートを付けた四つ口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート42.9部、p−メトキシフェノール0.039部を仕込み、乾燥空気を毎分20mlで導入しながら、60℃まで昇温してイソホロンジイソシアネート66.6部を加え、2時間攪拌し、さらに80℃に昇温して、1時間反応を行った。その後、10℃まで降温し、テトラヒドロフラン50部を加えた後、20℃を超えないように維持しながらブチルアミン19.7部を1時間かけて滴下した。その後、60℃まで昇温して減圧下、脱溶剤することにより、ブチルウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1−4)(有効成分100%)を得た。
架橋樹脂粒子(C)の製造
製造例9
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。
次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部とを反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。
その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。
その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5% 2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、平均粒子径138nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した)、固形分濃度30%の架橋樹脂粒子(C−1)分散液を得た。得られた架橋樹脂粒子は、水酸基価が9.4mgKOH/g、酸価が14.3mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):脱イオン水46.2部、「アクアロンKH−10」0.79部、n−ブチルアクリレート10.0部、メチルメタクリレート52.4部、エチルアクリレート11.6部及びエチレングリコールジメタクリレート3.08部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。(コアモノマートータル77部)
モノマー乳化物(2):脱イオン水13.8部、「アクアロンKH−10」0.24部、過硫酸アンモニウム0.03部、エチルウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1−1)6.9部、スチレン2.99部、n−ブチルアクリレート4.37部、メチルメタクリレート4.37部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.19部及びメタクリル酸2.19部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。(シェルモノマートータル23部)
製造例10〜34
モノマー乳化物(1)及び(2)の組成を下記表1に示すように変更する以外は、製造例9と同様にして、架橋樹脂粒子(C−2)〜(C−26)の分散液を得た。製造例9と併せて、得られた架橋樹脂粒子(C−2)〜(C−26)の分散液の固形分濃度、酸価、水酸基価及び平均粒子径を下記表1に示す。
なお、製造例33及び34の架橋樹脂粒子(C−25)及び(C−26)は、比較例用である。
Figure 2013212482
Figure 2013212482
Figure 2013212482
製造例35
製造例1で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)溶液25部(樹脂固形分10部)、「JR−806」(商品名、テイカ社製、ルチル型二酸化チタン)60部、「カーボンMA−100」(商品名、三菱化学社製、カーボンブラック)1部、「バリエースB−35」(商品名、堺化学工業社製、硫酸バリウム粉末、平均一次粒子径0.5μm)15部、「MICRO ACE S−3」(商品名、日本タルク社製、タルク粉末、平均一次粒子径4.8μm)3部及び脱イオン水46部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト150部(樹脂固形分10部)、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−2)分散液83.3部(樹脂固形分25部)、製造例3で得た水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−1)溶液33.3部(樹脂固形分15部)、製造例9で得た架橋樹脂粒子(C−1)分散液66.7部(樹脂固形分20部)及びメラミン樹脂(B−1)(メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、固形分80%、重量平均分子量800)37.5部(樹脂固形分30部)を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、「UH−752」(商品名、ADEKA社製、ウレタン会合型増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、固形分濃度48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒の水性第1着色塗料(X−1)を得た。
製造例36〜69及び72〜75
製造例35において、配合組成を下記表2に示す通りとする以外は、製造例35と同様にして、pH8.0、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒である水性第1着色塗料(X−2)〜(X−35)及び(X−38)〜(X−41)を得た。
なお、製造例72〜75の水性第1着色塗料(X−38)〜(X−41)は比較例用である。
製造例70
製造例1で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)溶液25部(樹脂固形分10部)、「JR−806」60部、「カーボンMA−100」1部、「バリエースB−35」15部、「MICRO ACE S−3」3部及び脱イオン水46部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト150部(樹脂固形分10部)、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−2)分散液83.3部(樹脂固形分25部)、製造例3で得た水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−1)溶液33.3部(樹脂固形分15部)、製造例9で得た架橋樹脂粒子(C−1)分散液66.7部(樹脂固形分20部)及びメラミン樹脂(B−1)37.5部(樹脂固形分30部)を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒の水性第1着色塗料(X−36)を得た。
製造例71
製造例1で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−1)溶液25部(樹脂固形分10部)、「JR−806」60部、「カーボンMA−100」1部、「バリエースB−35」15部、「MICRO ACE S−3」3部及び脱イオン水46部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト150部(樹脂固形分10部)、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−2)分散液83.3部(樹脂固形分25部)、製造例3で得た水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−1)溶液33.3部(樹脂固形分15部)、製造例9で得た架橋樹脂粒子(C−1)分散液66.7部(樹脂固形分20部)及びメラミン樹脂(B−1)37.5部(樹脂固形分30部)を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒の水性第1着色塗料(X−37)を得た。
Figure 2013212482
Figure 2013212482
Figure 2013212482
Figure 2013212482
(注1)SPARWITE W−5HB:商品名、ウィルバーエリス社製、硫酸バリウム粉末、平均一次粒子径1.6μm
(注2)ユーコートUX−8100:商品名、三洋化成工業社製、ウレタンエマルション、固形分35%
(注3)メラミン樹脂(B−2):イミノ基含有メチルエーテル化メラミン樹脂、固形分80%、重量平均分子量800
(注4)バイヒジュールVPLS2310:商品名、住化バイエルウレタン社製、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分38%
(注5)GP600:商品名、三洋化成社製、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(分子量600)、水トレランスは100以上
(注6)ジエステル化合物:ポリオキシエチレングリコールと2−エチルヘキサン酸のジエステル化合物。前記一般式(1)で、R1及びR2が2−エチルへプチル基であり、R3がエチレン基であり、mが7である。分子量578。
表2中の疎水性溶剤、2−エチル−1−ヘキサノールは、20℃において100gの水に溶解する質量が0.1gである。
水性第2着色塗料(Y)の製造
水性第2着色塗料(Y)用ポリエステル樹脂の製造
製造例76
希釈溶剤の2−エチル−1−ヘキサノールを、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル(20℃において100gの水に溶解する質量:無限大)に変更する以外は、製造例4と同様にして、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−3)溶液を得た。
水性第2着色塗料(Y)用光輝性顔料分散液の製造
製造例77
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、リン酸基含有樹脂溶液(注8)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(P1)を得た。
(注8)リン酸基含有樹脂溶液:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部、イソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注9)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注9)リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部、イソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
製造例78
2−エチル−1−ヘキサノール35部を、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル35部に変更する以外は、製造例77と同様にして、光輝性顔料分散液(P2)を得た。
製造例79
製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−2)分散液100部(樹脂固形分30部)、製造例4で得た水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−2)溶液57.1部(樹脂固形分40部)、製造例77で得た光輝性顔料分散液(P1)62.2部(樹脂固形分4部)及び「サイメル325」37.5部(樹脂固形分30部)を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、固形分濃度25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性第2着色塗料(Y−1)(水性ベースコート塗料1)を得た。
製造例80
製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂(A1−2)分散液100部(樹脂固形分30部)、製造例76で得た水酸基含有ポリエステル樹脂(A2−3)溶液57.1部(樹脂固形分40部)、製造例78で得た光輝性顔料分散液(P2)62.2部(樹脂固形分4部)及び「サイメル325」37.5部(樹脂固形分30部)を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、固形分濃度25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性第2着色塗料(Y−2)(水性ベースコート塗料2)を得た。
クリヤ塗料(Z)の製造
水酸基含有アクリル樹脂の製造
製造例81〜92
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコにエトキシエチルプロピオネート31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記表3に示すモノマーと重合開始剤からなる組成配合のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。ついで、155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、固形分60%の水酸基含有アクリル樹脂(K−1)〜(K−12)を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂の質量固形分濃度(%)及び樹脂性状値を下記表3に示す。
表3におけるガラス転移温度(℃)は、下記式によって算出した。
1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・・・
Tg(℃)=Tg(K)−273
各式中、W1、W2、・・は共重合に使用されたモノマーのそれぞれの質量分率、T1、T2、・・はそれぞれの単量体のホモポリマ−のTg(K)を表わす。なお、上記計算に使用した各モノマーの単量体のホモポリマ−のTg(℃)は表1のモノマー名の右隣の欄に示した値である。
なお、水酸基含有アクリル樹脂(K−11)〜(K−12)は比較例用の樹脂である。
Figure 2013212482
有機金属触媒の製造
製造例93
攪拌器、冷却器、温度制御器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置にエチル−3−エトキシプロピオネート47 部、ニッカオクチックス亜鉛(*1)(オクチル酸亜鉛、日本化学産業社製、亜鉛含有量8質量%)81.6部を仕込み、反応容器内を窒素で置換し、50℃に加熱した。次に、攪拌下、1−メチルイミダゾール16.4 部を滴下し、滴下終了後50℃の温度を2時間保持し、反応を終了させた。得られた有機金属触媒(M−1)は、亜鉛含有量4.5質量%の透明液体であった。
製造例94〜107
下記表4に示す組成で、製造例93と同様にして、各有機金属触媒(M−2)〜(M−15)を得た。
併せて、有機金属触媒(M−1)〜(M−15)のアミジン化合物(M2)/金属化合物(M1)のモル比及び質量金属濃度(%)を下記表4に示す。なお、有機金属触媒(M−15)は、比較例用の触媒である。
表2中の(*1)〜(*10)はそれぞれ下記のとおりである。
ニッカオクチックス亜鉛(*1):商品名、オクチル酸亜鉛、亜鉛含有量8%、日本化学産業社製。
ニッカオクチックス錫(*2):商品名、オクチル酸錫、錫含有量28%、日本化学産業社製。
ニッカオクチックス鉛(*3):商品名、オクチル酸鉛、鉛含有量24%、日本化学産業社製。
K−KAT 348(*4):商品名、オクチル酸ビスマス、ビスマス含有量25%、キングインダストリーズ社製。
ニッカオクチックスコバルト(*5):商品名、オクチル酸コバルト、コバルト含有量8%、日本化学産業社製。
ニッカオクチックスマンガン(*6):商品名、オクチル酸マンガン、マンガン含有量8%、日本化学産業社製。
ナフテン酸亜鉛(*7):亜鉛含有量10.1%、東京化成工業社製。
アセチルアセトン亜鉛(*8):亜鉛含有量25%、昭和化学社製。
DBN(*9):1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
DBU(*10):1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
Figure 2013212482
製造例108〜145
前記製造例81〜92で得られた水酸基含有アクリル樹脂、上記製造例93〜107で得られた有機金属触媒及び後記表5に記載の原材料を用いて、後記表5に示す配合にて羽根型撹拌機を用いて攪拌して混合し、塗料化を行い各クリヤ塗料(Z−1)〜(Z−38)を得た。なお、表5に示すクリヤ塗料(Z)の配合は各成分の固形分質量比である。
クリヤ塗料(Z−36)〜(Z−38)は比較例用である。
表3におけるポリイソシアネート化合物(L−1)〜(L−8)は、それぞれ下記の意味を有する。
ポリイソシアネート化合物(L−1):ヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリイソシアネート化合物、多量体の組成比は、イソシアヌレート3量体が53%、その他の3量体以上の多量体が47%。固形分100%、NCO含有率21.8%、粘度は25℃において3000mPa・s。
ポリイソシアネート化合物(L−2):ヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリイソシアネート化合物、多量体の組成比は、イソシアヌレート3量体が63%、ウレトジオン2量体が12%、その他の3量体以上の多量体が25%。固形分100%、NCO含有率21.8%、粘度は25℃において500mPa・s。
ポリイソシアネート化合物(L−3):ヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリイソシアネート化合物、多量体の組成比は、イソシアヌレート3量体が45%、ウレトジオン2量体が25%、その他の3量体以上の多量体が30%。固形分100%、NCO含有率21.8%、粘度は25℃において340mPa・s。
ポリイソシアネート化合物(L−4):ヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリイソシアネート化合物、多量体の組成比は、イソシアヌレート3量体が27%、ウレトジオン2量体が37%、その他の3量体以上の多量体が36%。固形分100%、NCO含有率21.8%、粘度は25℃において180mPa・s。
ポリイソシアネート化合物(L−5):N3200、商品名、バイエル社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、固形分100%、NCO含有率23.0%、粘度は25℃において2500mPa・s。
ポリイソシアネート化合物(L−6):XP2580、商品名、バイエル社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体、固形分100%、NCO含有率19.5%、粘度は25℃において450mPa・s。
ポリイソシアネート化合物(L−7):Z4470、商品名、バイエル社製、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分70%、NCO含有率11.9%、粘度は25℃において600mPa・s。
ポリイソシアネート化合物(L−8):N3800、商品名、バイエル社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分100%、NCO含有率11.0%、粘度は25℃において6000mPa・s。
上記製造例108〜145で得られた各クリヤ塗料(Z−1)〜(Z−38)は、酢酸ブチルを添加してフォードカップ#No.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整した。
また、可使時間(ポットライフ)を、初期、4時間後、及び6時間後の20℃における粘度をフォードカップ#No.4を用いて測定することにより評価した。ゲル化したものはゲルと記載している。測定結果を併せて表5に示した。
Figure 2013212482
Figure 2013212482
Figure 2013212482
複層塗膜形成方法
(試験用被塗物の作製)
リン酸亜鉛化成処理を施した冷延鋼板に、「エレクロンGT−10」(商品名、関西ペイント社製、カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
(複層塗膜形成方法 その1)
実施例1
上記試験用被塗物に、製造例35で得た水性第1着色塗料(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚20μmとなるように静電塗装し、第1着色塗膜を形成した。3分間静置後、80℃で3分間プレヒートを行った。
次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に製造例79で得た水性第2着色塗料(Y−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装し、第2着色塗膜を形成した。
5分間静置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、該未硬化の第2着色塗膜上に、製造例108で製造、粘度調整したクリヤ塗料(Z−1)を硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤ塗膜を形成した。
室温で7分間静置してから、100℃で7分間(塗板温度100℃のキープ時間)加熱して、上記第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤ塗膜を同時に硬化させることにより、試験塗板を作製した。
実施例2〜38、比較例1〜4
実施例1において、製造例35で得た水性第1着色塗料(X−1)を、下記表6に示す水性第1着色塗料(X−2)〜(X−41)のいずれかに変更し、製造例79で得た水性第2着色塗料(Y−1)を表6に示す水性ベースコート塗料(Y−1)又は(Y−2)とする以外は、実施例1と同様にして試験塗板を作製した。
上記実施例1〜38及び比較例1〜4で得られた各試験塗板について、以下のヌープ硬度、耐チッピング性及び仕上り外観の試験を行った。評価結果を併せて表6に示す。
ヌープ硬度: 各試験板を20 ℃ の恒温室に24 時間放置後、TUKON(American Chain & Cable Company社製、micro hardness tester) にて「ツーコン硬度」を測定した。
Knoop Hardness Number(KHN) とも言われるツーコン硬度は、四角錘ダイヤモンド圧子を一定の試験荷重で材料の試験面に押し込み、生じた菱形のくぼみの大きさから読み取られる塗膜の硬さを表したものであり、数値が大きいほど硬度が高いことを表す。
仕上り外観:各試験板の塗膜表面の光の明暗パタ−ンを光学的に走査し反射光のコントラスト(強弱)を解析する装置であるBYK社製「Wave−Scan」により、波長領域600〜1000μmで測定される長波長値(longterm waviness)及び波長領域100〜600μmで測定される短波長値(shortterm waviness)を求め、夫々、仕上り肌のパラメ−タとして評価した。これらは、測定される光強度の分散値である。値が小さいほど仕上り肌(塗装面の平滑性)が良好であることを示す。
試験結果を塗料配合とあわせて下記表3に示す。
耐チッピング性:スガ試験機社製の飛石試験機JA−400型(チッピング試験装置)の試片保持台に試験板を設置し、−20℃において、30cmの距離から0.392MPa(4kgf/cm)の圧縮空気により、粒度7号の花崗岩砕石50gを試験板に45度の角度で衝突させた。その後、得られた試験板を水洗して、乾燥し、塗面に布粘着テープ(ニチバン社製)を貼着して、それを剥離した後、塗膜のキズの発生程度等を目視で観察し、下記基準により評価した。
◎:キズの大きさが極めて小さく、電着面や素地の鋼板が露出していない
○:キズの大きさが小さく、電着面や素地の鋼板が露出していない
△:キズの大きさは小さいが、電着面や素地の鋼板が露出している
×:キズの大きさはかなり大きく、素地の鋼板も大きく露出している。
Figure 2013212482
(複層塗膜形成方法 その2)
実施例39
上記試験用被塗物に、製造例35で得た水性第1着色塗料(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚20μmとなるように静電塗装し、第1着色塗膜を形成した。3分間静置後、80℃で3分間プレヒートを行った。
次いで、該未硬化の第1着色塗膜上に製造例79で得た水性第2着色塗料(Y−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装し、第2着色塗膜を形成した。
5分間静置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、該未硬化の第2着色塗膜上に、製造例108で製造、粘度調整したクリヤ塗料(Z−1)を硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤ塗膜を形成した。
室温で7分間静置してから、100℃で7分間(塗板温度100℃のキープ時間)加熱して、上記第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤ塗膜を同時に硬化させることにより、試験塗板を作製した。
実施例40〜73、比較例5〜7
実施例39において、製造例108で製造、粘調したクリヤ塗料(Z−1)を、下記表7に示すクリヤ塗料(Z−2)〜(Z−38)のいずれかに変更する以外は、実施例39と同様にして試験塗板を作製した。
上記実施例39〜73及び比較例5〜7で得られた各試験塗板について、前記複層塗膜形成方法 その2と同様にヌープ硬度、耐チッピング性及び仕上り外観の試験を行い、さらに下記のNCO反応率の測定も行った。評価結果を併せて表7に示す。
NCO反応率:FT−IR装置「FT/IR−420」(日本分光社製)を用い、塗料配合・粘度調整直後については液膜法により、また、加熱硬化(100℃で7分間)後については試験板表面をATR法により測定することにより評価した。イソシアネートピーク(1690cm−1)強度とイソシアヌレートピーク(2271cm−1)強度を算出し、これらの比を算出することにより、NCO反応率を求めた。
NCO反応率(%)=100−NCO残存率(%)
NCO残存率(%)=(加熱硬化後のイソシアネートピーク強度/イソシヌレートピーク強度)/(塗料配合直後のイソシアネートピーク強度/イソシヌレートピーク強度)×100
Figure 2013212482

Claims (10)

  1. 被塗物に、下記の工程(1)〜(4)、
    工程(1):水性第1着色塗料(X)を塗装して第1着色塗膜を形成する工程、
    工程(2):前記工程(1)で形成された第1着色塗膜上に、水性第2着色塗料(Y)を塗装して第2着色塗膜を形成する工程、
    工程(3):前記工程(2)で形成された第2着色塗膜上に、クリヤ塗料(Z)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、及び
    工程(4):前記工程(1)〜(3)で形成された第1着色塗膜、第2着色塗膜及びクリヤ塗膜を同時に焼付け硬化する工程、を順次行う複層塗膜形成方法であって、
    該水性第1着色塗料(X)が、(A)水性皮膜形成性樹脂、(B)硬化剤、ならびに(C)重合性不飽和基を1分子中に1個有するウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)及びその他の重合性不飽和モノマー(c2)を共重合することにより得られる樹脂粒子を含有する塗料であり、
    該クリヤ塗料(Z)が、
    (K)水酸基価85〜215mgKOH/gである水酸基含有アクリル樹脂、
    (L)ポリイソシアネート化合物、ならびに、
    (M)(M1)金属が、亜鉛、錫、ジルコニウム、ビスマス、鉛、コバルト、マンガン、チタン、アルミニウム及びモリブデンからなる群から選ばれる1種である金属化合物及び(M2)アミジン化合物からなる有機金属触媒を含有する塗料である
    ことを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 水性皮膜形成性樹脂(A)が水酸基含有アクリル樹脂(A1)及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 重合性不飽和基を1分子中に1個有するウレア基含有重合性不飽和モノマー(c1)が、エチルウレア基、プロピルウレア基及びブチルウレア基から選ばれるウレア基を有する重合性不飽和モノマーから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーである請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. その他の重合性不飽和モノマー(c2)が、少なくともその一部として、水酸基含有重合性不飽和モノマーを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 樹脂粒子(C)が、コア/シェル型構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  6. コア部及びシェル部の質量比が、(コア部を構成するモノマーの総質量)/(シェル部を構成するモノマーの総質量)=10/90〜95/5の範囲内である請求項5に記載の複層塗膜形成方法。
  7. 水酸基含有アクリル樹脂(K)の構成モノマー成分である水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1)全量のうち、2級水酸基含有重合性不飽和モノマー(k1−1)の含有率が、50〜100質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  8. 水酸基含有アクリル樹脂(K)の構成モノマー成分であるその他の重合性不飽和モノマー(k2)として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基含有重合性不飽和モノマー(k2−1)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  9. 金属化合物(M1)が、カルボン酸金属塩化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法により形成された複層塗膜を含む物品。
JP2012085418A 2012-04-04 2012-04-04 複層塗膜形成方法 Active JP5924813B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012085418A JP5924813B2 (ja) 2012-04-04 2012-04-04 複層塗膜形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012085418A JP5924813B2 (ja) 2012-04-04 2012-04-04 複層塗膜形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013212482A true JP2013212482A (ja) 2013-10-17
JP5924813B2 JP5924813B2 (ja) 2016-05-25

Family

ID=49586265

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012085418A Active JP5924813B2 (ja) 2012-04-04 2012-04-04 複層塗膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5924813B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019181990A1 (ja) * 2018-03-21 2019-09-26 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
WO2020153057A1 (ja) * 2019-01-21 2020-07-30 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
WO2021065401A1 (ja) * 2019-10-03 2021-04-08 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
CN114502290A (zh) * 2019-10-03 2022-05-13 关西涂料株式会社 多层涂膜形成方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2898960B1 (en) * 2012-09-20 2019-06-12 Kansai Paint Co., Ltd. Method for forming multilayer coating film

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06212116A (ja) * 1993-01-20 1994-08-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱硬化被覆用組成物および被膜の形成方法
US5641574A (en) * 1993-05-24 1997-06-24 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for forming overcoat
JP2005225907A (ja) * 2004-02-10 2005-08-25 Kansai Paint Co Ltd 塗料組成物及び塗膜形成方法
JP2007535582A (ja) * 2003-07-14 2007-12-06 ローディア インコーポレイティド イソシアネートの改良された色安定性
WO2010082607A1 (ja) * 2009-01-15 2010-07-22 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
JP2011122038A (ja) * 2009-12-10 2011-06-23 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物
WO2013047208A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 関西ペイント株式会社 塗料組成物及び塗装物品
WO2013047209A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 関西ペイント株式会社 塗膜形成方法及び塗装物品

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06212116A (ja) * 1993-01-20 1994-08-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱硬化被覆用組成物および被膜の形成方法
US5641574A (en) * 1993-05-24 1997-06-24 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for forming overcoat
JP2007535582A (ja) * 2003-07-14 2007-12-06 ローディア インコーポレイティド イソシアネートの改良された色安定性
JP2005225907A (ja) * 2004-02-10 2005-08-25 Kansai Paint Co Ltd 塗料組成物及び塗膜形成方法
WO2010082607A1 (ja) * 2009-01-15 2010-07-22 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
JP2011122038A (ja) * 2009-12-10 2011-06-23 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物
WO2013047208A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 関西ペイント株式会社 塗料組成物及び塗装物品
WO2013047209A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 関西ペイント株式会社 塗膜形成方法及び塗装物品

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019181990A1 (ja) * 2018-03-21 2019-09-26 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
CN111886082A (zh) * 2018-03-21 2020-11-03 关西涂料株式会社 多层涂膜的形成方法
EP3769856A4 (en) * 2018-03-21 2021-12-29 Kansai Paint Co., Ltd Multi-layer coating film formation method
WO2020153057A1 (ja) * 2019-01-21 2020-07-30 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
JPWO2020153057A1 (ja) * 2019-01-21 2021-10-14 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
JP7083046B2 (ja) 2019-01-21 2022-06-09 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
US11958074B2 (en) 2019-01-21 2024-04-16 Kansai Paint Co., Ltd Method for forming a multilayer coating film
WO2021065401A1 (ja) * 2019-10-03 2021-04-08 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
CN114502290A (zh) * 2019-10-03 2022-05-13 关西涂料株式会社 多层涂膜形成方法
CN114502290B (zh) * 2019-10-03 2022-10-25 关西涂料株式会社 多层涂膜形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5924813B2 (ja) 2016-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6165152B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP5976001B2 (ja) 塗膜形成方法及び塗装物品
JP5680109B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP5653224B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP5818736B2 (ja) 水性塗料組成物及び塗膜形成方法
JP5583031B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP6049747B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP5877829B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP6840724B2 (ja) 水性塗料組成物
JP5692890B2 (ja) 水性塗料組成物
JP6029589B2 (ja) 塗料組成物及び塗装物品
WO2010119969A1 (ja) ベースコート塗料組成物
JP7043621B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP5924813B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP5804661B2 (ja) 水性塗料組成物
JP5603177B2 (ja) 共重合体、該共重合体を含有する水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法
JP5015884B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP5476260B2 (ja) 樹脂組成物、該樹脂組成物を含有する水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法
JP7355968B1 (ja) 水性塗料組成物、塗膜形成方法及び複層塗膜形成方法
WO2015087920A1 (ja) 塗料組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160415

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5924813

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250