JP2013212211A - 使い捨ておむつ - Google Patents

Abstract

【課題】着用者の胴回りを締め付け過ぎずに着用者の胴回りの形状により適切に沿うことができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】使い捨ておむつ10に備えられるファスニングテープ100は、基材シート120と、複数の係合フック111が設けられ、基材シート120に固定されたフックシート110とを有する。ファスニングテープ100の係合力は、0.3N/30mm以上、1.5N/30mm以下である。ファスニングテープ100の基材シート120の面が近付く方向AR2の曲げ剛性値は、ファスニングテープ100のフックシート110の面が近付く方向AR1の曲げ剛性値よりも小さい。
【選択図】図５

Description

本発明は、前胴回り部または後胴回り部の一方にファスニングテープを備える使い捨ておむつに関する。

従来、乳幼児などに主に用いられる使い捨ておむつとして、後胴回り部のサイドフラップに止着用のファスニングテープを設けた、いわゆるオープンタイプの使い捨ておむつが提供されている。

このようなオープンタイプの使い捨ておむつにおいて、ファスニングテープの先端部の剛性を、ファスニングテープの基端部の剛性よりも低くした構造が知られている（例えば、特許文献１）。このような構造のファスニングテープによれば、使い捨ておむつの着用者が動いたりしても、ファスニングテープの先端部が着用者の身体の形状の変化に追従して変形し易いため、ファスニングテープが使い捨ておむつから外れ難い。

特開２００５−７１５９号公報（第１図）

しかしながら、上述した従来の使い捨ておむつには、次のような問題があった。すなわち、着用者、特に乳幼児の胴回りの形状は、呼吸や飲食の前後によって大きく変化する。より具体的には、着用者の胴回りは、凹凸が多く、呼吸や飲食による腹部のサイズの変化や、足の動きによる脇腹部周辺の形状変化が顕著な部分である。

このような着用者の身体に使い捨ておむつを装着する場合、着用者の胴回りを締め付け過ぎずにファスニングテープを適切な位置に取り付けるため、ファスニングテープを付けたり外したりすることによってファスニングテープの取り付け位置を微調整する手間が掛かる。一方、ファスニングテープの剛性を高めることによって、ファスニングテープが使い捨ておむつをしっかりと支持することができるため、使い捨ておむつの位置ずれを生じ難くすることもできるが、ファスニングテープの周辺部分が着用者の胴回りの複雑な形状に追従できない別の問題を引き起こす。

そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、着用者の胴回りを締め付け過ぎずに着用者の胴回りの形状により適切に沿うことができる使い捨ておむつの提供を目的とする。

本発明の特徴は、前胴回り部（前胴回り部20）、後胴回り部（後胴回り部40）及び股下部（股下部30）から構成され、液保持性の吸収体（吸収体35）を含む縦長の吸収性本体（吸収性本体15）と、製品幅方向における前記吸収性本体の側縁部の少なくとも一部に設けられるサイドフラップ（サイドフラップ50）と、前記サイドフラップに取り付けられ、前記前胴回り部または前記後胴回り部の一方から前記吸収性本体の製品幅方向外側に延出し、前記前胴回り部または前記後胴回り部の他方に止着されるように構成されたファスニングテープ（ファスニングテープ100）とを備える使い捨ておむつ（使い捨ておむつ10）であって、前記ファスニングテープは、基材シート（基材シート120）と、複数の係合フック（係合フック111）が設けられ、前記基材シートに固定されたフックシート（フックシート110）とを有し、前記ファスニングテープの係合力は、0.3N/30mm以上、1.5N/30mm以下であり、前記ファスニングテープの前記基材シートの面が近付く方向の曲げ剛性値は、前記ファスニングテープの前記フックシートの面が近付く方向の曲げ剛性値よりも小さいことを要旨とする。

本発明の特徴によれば、着用者の胴回りを締め付け過ぎずに着用者の胴回りの形状により適切に沿うことができる使い捨ておむつを提供することができる。

本発明の実施形態に係る使い捨ておむつ10の平面図である。 本発明の実施形態に係る使い捨ておむつ10のファスニングテープ100部分の拡大図である。 図２のF3-F3線に沿ったフックシート110の拡大断面図である 本発明の実施形態に係るサイドフラップ50及びファスニングテープ100のおける領域を示す図である。 本発明の実施形態に係るファスニングテープ100が変形した状態を模式的に示す図である。

次に、本発明に係る使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。

したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。

（１）使い捨ておむつの概略形状
図１は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の平面図である。図１に示すように、使い捨ておむつ10は、前胴回り部20、股下部30及び後胴回り部40を有するオープンタイプである。使い捨ておむつ10は、特に乳幼児用として好適に用いることができる。

前胴回り部20、股下部30及び後胴回り部40とによって吸収性本体15が構成される。吸収性本体15は、液保持性の吸収体35を含む縦長の形状を有する。本実施形態では、吸収体35は、前胴回り部20、股下部30及び後胴回り部40に渡って設けられる。吸収体35は、吸収性本体15の製品長手方向D_Lにおける中央部における幅が狭くなるような形状を有する。なお、吸収体35の形状は、図１に示したような形状に限定されず、単純な長方形であってもよい。また、吸収体35は、少なくとも股下部30に設けられていればよい。

吸収性本体15は、従来のオープンタイプの使い捨ておむつと同様であり、公知の部材や材料を用いて適宜構成することができる。また、吸収性本体15は、図示しない液透過性の表面シート、製品長手方向D_Lに沿って吸収性本体15の側縁部に設けられる立体ギャザー、及び製品幅方向D_Wに沿って後胴回り部40に設けられるウエストギャザーなどを有していてもよい。

吸収性本体15の製品幅方向D_Wにおける側縁部には、サイドフラップ50が設けられる。サイドフラップ50は、１枚または２枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。

本実施形態では、サイドフラップ50は、吸収性本体15の製品長手方向D_Lの全域に渡って設けられる。つまり、サイドフラップ50は、前胴回り部20から後胴回り部40まで設けられる。股下部30と対応するサイドフラップ50の幅は、前胴回り部20及び後胴回り部40と対応するサイドフラップ50の幅よりも狭い。なお、サイドフラップ50は、必ずしも吸収性本体15の製品長手方向D_Lの全域に渡って設けられていなくてもよく、例えば、後胴回り部40と対応する領域のみに設けられていてもよい。

また、吸収性本体15の製品幅方向D_Wにおける側縁部、具体的にはサイドフラップ50には、吸収性本体15の製品長手方向D_Lに沿って伸縮可能なレッグ弾性部材55が設けられる。レッグ弾性部材55によって、吸収性本体15が製品長手方向D_Lにおいて収縮させられている。

サイドフラップ50には、ファスニングテープ100が取り付けられる。具体的には、ファスニングテープ100は、後胴回り部40から吸収性本体15の製品幅方向D_W外側に延出する。ファスニングテープ100は、前胴回り部20に止着されるように構成される。ファスニングテープ100のフックシート110（図２参照）は、前胴回り部20のバックシート70（図１において不図示、図５参照）側に設けられたターゲットテープ60に係合する。

なお、ファスニングテープ100は、後胴回り部40ではなく、前胴回り部20から吸収性本体15の製品幅方向D_W外側に延出するようにサイドフラップ50に取り付けられてもよいが、仰向けに寝かせた状態で使い捨ておむつを交換する状況が多い乳幼児の場合、ファスニングテープ100は、後胴回り部40に取り付けられていることが好ましい。

（２）ファスニングテープの形状
次に、図２及び図３を参照して、ファスニングテープ100の形状について説明する。図２は、使い捨ておむつ10のファスニングテープ100部分の拡大図である。図３は、図２のF3-F3線に沿ったフックシート110の拡大断面図である。

図２及び図３に示すように、ファスニングテープ100は、後胴回り部40（図１参照）に対応するサイドフラップ50の領域に取り付けられている。ファスニングテープ100は、フックシート110と、不織布によって形成された基材シート120とを有する。なお、基材シート120は、不織布にフィルムをラミネートしたものを用いてもよい。

また、フックシート110は、ベースシート部115と、ベースシート部115の表面から立設した複数の係合フック111とを有する。係合フック111は、傘部111bと、傘部111bよりも細く基材シート120寄りに位置し、ベースシート部115から立設する柱部111aとを有する。

フックシート110は、基材シート120に接合されている。フックシート110と基材シート120との接合は、ファスニングテープ100の剛性が必要以上に高くなることがないようされていることが好ましい。具体的には、フックシート110と基材シート120とは、点状、線状或いはスパイラル状のような間欠的に塗布されたホットメルト接着剤によって接合されていることが好ましい。なお、フックシート110と基材シート120とは、熱シールなどで接合されてもよい。

また、フックシート110の剛性を低下させるためには、フックシート110の基材部分の厚みを薄くしたり、当該基材部分の空隙を増やしたりするなど、公知の各種方法を用いることができる。

基材シート120は、１枚または２枚以上の複数枚重ねたシート、具体的には不織布または不織布にフィルムをラミネートしたシートなどによって構成されている。基材シート120としては、スパンボンド（SB）またはスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド（SMS）、スルーエアーなどの製法によって製造された不織布、スパンボンドなど各種不織布に熱可塑性フィルムをラミネートしたシートなどを用いることができる。

基材シート120は、特に2枚以上の複数枚のシートを重ねた構成とすることもできる。その場合、不織布シート１枚当たりの目付けは、10〜80g/m²、好ましくは15〜60g/m²、さらに好ましくは20〜55g/m²である。基材シート120全体としての厚みは、上述したように150μm〜550μm、好ましくは厚み250μm〜500μmである。なお、不織布の厚みは、測定端子形状が円形状（半径5mm）、荷重1.23Nの厚み計（テスター産業株式会社製の厚み計）を用いて測定した。

なお、基材シート120が、２層以上の不織布によって構成される場合、不織布は、2g/m²〜8g/m²の接着剤を用いて網目状のパターンにて接合されることが好ましい。

（３）ファスニングテープ100の特性
次に、上述したような構造を有するファスニングテープ100の特性、具体的には、ファスニングテープ100の曲げ剛性や係合力について説明する。図４は、サイドフラップ50及びファスニングテープ100における領域を示す図である。

図４に示すように、本実施形態では、ファスニングテープ100は、基端領域B、中間領域C、フックシート領域D及び先端領域Eに区分される。また、製品幅方向D_Wにおいて基端領域Bと隣接するサイドフラップ50の部分を領域Aとする。

基端領域Bは、サイドフラップ50と重ね合わせられ、サイドフラップ50と接合される領域である。中間領域Cは、基端領域Bとフックシート領域Dとの間において基材シート120のみで形成された領域である。フックシート領域Dは、フックシート110が設けられた領域である。

本実施形態では、ファスニングテープ100の製品幅方向D_W及び製品幅方向D_Wと直交する製品長手方向D_LにおけるKES曲げ剛性値は、1.63gf・cm²/cm以下に設定される。

基端領域Bの曲げ剛性値（単位：gf・cm²/cm）は、領域Aの曲げ剛性値よりも大きいことが好ましい。また、フックシート領域Dの曲げ剛性値は、中間領域Cの曲げ剛性値よりも大きく、基端領域Bの曲げ剛性値は、中間領域Cの曲げ剛性値よりも大きいことが好ましい。

また、ファスニングテープ100の製品長手方向における幅は、基端領域Bから先端領域Eに向かうに連れて狭くなる先細状である。本実施形態では、基端領域Bの製品幅方向D_Wにおける外側端での製品長手方向D_Lに沿った幅と、フックシート領域Dの製品幅方向D_Wにおける外側端での製品長手方向D_Lに沿った幅との差dは、4mm〜8mmに設定される。ファスニングテープ100の基端領域Bを幅広にすることは、剛性や形状の観点から、着用者の身体の丸みに合わないことなり得る。8mmを超えるとウエスト脇部もしくは足まわりそけい部の丸みに対して、寸法が大きくなり過ぎてしまい余分な生地となる。そのため、基端領域Bがファスニングテープ100の身体への追従性を阻害してしまう。一方、4mmより小さい寸法では、ファスニングテープ100を当該形状にカットする工程にて精度良く製造することが困難となってしまう。

このような構造を有するファスニングテープ100の係合力は、0.3N/30mm以上、1.5N/30mm以下に設定される。また、ファスニングテープ100の基材シート120の面が近付く方向の曲げ剛性値は、ファスニングテープ100のフックシート110の面が近付く方向の曲げ剛性値よりも小さい。

ここで、図５は、ファスニングテープ100が変形した状態を模式的に示す図である。ファスニングテープ100のフックシート110の面が近付く方向とは、図５に下層線で示すように、係合フック111が設けられた面が湾曲して近付く方向（図中のAR1）を意味する。このような方向の曲げを、以下では便宜上「内曲げ」と呼ぶ。

また、基材シート120の面が近付く方向とは、図５に下層線で示すように、フックシート110が設けられていない側の基材シート120の面が湾曲して近付く方向（図中のAR2）を意味する。このような方向の曲げを、以下では便宜上「外曲げ」と呼ぶ。

このような特性をファスニングテープ100に与えるためには、係合フック111の配置密度を大きくすることで達成できる。具体的には、1800ppi（pins/inch）より大きくし、好ましくは2800ppiより大きくする。これにより、外曲げになり易い特性を与えることができる。つまり、係合フック111の配置密度を高めることによって、内曲げは、隣接する係合フック111が干渉するため、外曲げと比較して生じ難くすることができる。

また、基材シート120を形成する複数層の不織布のうち、フックシート110側に設けられる不織布の繊維密度を小さくしても、同様に「外曲げ」が生じ易い特性を与えることができる。さらに、基材シート120を形成する不織布にエンボスを施す場合には、フックシート110が設けられていない側の基材シート120の面側から凸パターンのエンボスを施すことによっても同様に「外曲げ」が生じ易い特性を与えることができる。或いは、基材シート120を形成する複数層の不織布において、外側（フックシート110が設けられていない側の基材シート120の面に近い側）の不織布ほど厚みを薄くすることよっても同様に「外曲げ」が生じ易い特性を与えることができる。

また、本実施形態では、図１に示すように、ターゲットテープ60の肌当接面側には、吸収性本体15が配置されている吸収体存在領域A1と、吸収性本体15が配置されていない吸収体不存在領域A2とが形成される。

ファスニングテープ100の製品長手方向D_Lにおける幅W1は、吸収体存在領域A1の製品長手方向D_Lにおける幅W2よりも広い。なお、幅W1は、フックシート110が存在する部分の製品長手方向D_Lにおける最大幅を意味する。

（４）実施例
次に、本発明の実施例について説明する。表１は、実施例１〜実施例３に係るファスニングテープと、比較例１〜比較例４に係るファスニングテープ（以下、単に実施例及び比較例と適宜省略する）の構成及び試験結果の概略を示す。

表１に示すように、基材シート120は、２層（内側、外側）の不織布から構成されるものを用いた。内側はフックシート110側を意味する。

ファスニングテープの曲げ剛性値については、カトーテック株式会社製のKES曲げ測定機を用いて測定した。具体的には、B値を測定した。

具体的には、KES法に関しては、「風合い評価の標準化と解析」第２版（社団法人日本繊維機械学会 風合い計量と規格化研究委員会 昭和５５年７月１０日発行）に詳細が説明されている。よって、力学的性質毎の測定方法に関し、本測定に関連した測定条件についてのみ説明する。

KES曲げ剛性値は、カトーテック株式会社製KES-FB2を用いて、各サンプルをチャック間に固定し（おむつにおけるファスニングテープの肌面側（内側）を下向きとする）、最大曲率+2.5cm-1まで表側に曲げ、次に、最大曲率-2.5cm-1まで裏側に曲げた後に元に戻すことによって測定した。なお、表１は、製品長手方向D_Lにおける曲げ剛性値、及び製品幅方向D_Wにおける曲げ剛性値ともに測定し、両測定値のうち大きい値を示す。表１に示すように、KES曲げ剛性が1.63gf・cm²/cm以下であることでテープ外れをさらに抑制できることがわかる。

曲げ方向（内曲げ、外曲げ）の確認試験では、上述した測定により得られた単位面積当たりの曲げモーメントM（gf・cm/cm）と曲率K（1/cm）の関係をプロットした曲げ特性関係において、測定台に対して表側に曲げた時における曲げモーメントMをプロットした曲線の勾配Bfと、裏側に曲げた時における曲げモーメントMをプロットした曲線の勾配Bbとを比較することによって、サンプルがどちらの方向により曲がり易いのかを確認した。具体的には、勾配の値が小さいほど、容易に曲がることを意味する。

また、当該試験では、ファスニングテープの係合力が0.5〜0.7Nであるサンプルを用いた。係合力については、島津製作所株式会社製のオートグラフ試験機（AG-X10plus）を用いて測定した。具体的には、測定対象のファスニングテープからフックシートと基材シートとを幅30mm（幅30mmで切り出すことが不可能の場合は、幅30mm当たりに換算して結果を判断）で切り出したサンプルを準備した。同様に、ファスニングテープが係止されるターゲットテープを、フックシートよりも大きなサイズで切り出したサンプルを準備した。

次いで、700gローラー（直径85mm、幅45mm）を5mm/分の速度で主なファスニングテープの着脱方向に沿って動かして両サンプルを圧着した。圧着した両サンプルを、オートグラフ試験機にセットし、引っ張り速度300mm/分における両サンプルの係合力を測定した（単位：N/30mm）。この際、引っ張る方向は、ターゲットテープ面に対して、フックシート面が135°の角度となるように設定した。また、フックシートのピール方向は、ファスニングテープを操作する（着脱する）時における主な着脱方向とした。

なお、当該サンプルとは異なるが、ファスニングテープの係合力が1.5Nを超えると、付け外しし難いという印象を試験者（乳幼児を持つ母親）が有するようになる傾向にあった。一方、0.3Nより小さいと、ファスニングテープが使い捨ておむつ本体に係合し難い印象を与え、実際にはファスニングテープが外れなくても、ファスニングテープが外れてしまうという印象を抱いてしまうため好ましくないことが解った。

テープ外れ試験結果は、50名の試験者によって延べ1，000枚の使い捨ておむつについて試験を行い、使い捨ておむつの使用中におけるファスニングテープの外れが１枚も生じなかったサンプルを「良」とし、当該外れが１枚または２枚のサンプルを「可」とした。当該外れが３枚以上のサンプルは「不良」とした。

表１に示すように、比較例３は、当該曲げ剛性値が高いため、ファスニングテープの外れが発生した。また、比較例４のように、当該曲げ剛性値が0.43gf・cm²/cmより小さいと、ファスニングテープが柔軟になりすぎて、係合力を上述の範囲としても「付け外しし難い」と評価された。

（５）作用・効果
上述した使い捨ておむつ10に備えられるファスニングテープ100の係合力は、0.3N/30mm以上、1.5N/30mm以下に設定される。このため、ファスニングテープ100の係合力が低く、ターゲットテープ60に対するファスニングテープ100の取り付け位置の微調整が容易となる。また、ファスニングテープ100の基材シート120の面が近付く方向（外曲げ）の曲げ剛性値は、ファスニングテープ100のフックシート110の面が近付く方向（内曲げ）の曲げ剛性値よりも小さい。このため、ファスニングテープ100の係合力を低くしても、ファスニングテープ100を外曲げし易くすることによって、ファスニングテープ100がターゲットテープ60から外れる大きな要因であるターゲットテープ60表面に生じる着用者の身体側に凹んだ皺に対して追従し易くなり、ファスニングテープ100が外れ難い。よって、着用者の胴回りを締め付けすぎないように調整し易く、胴回りにファスニングテープ100が沿い続け易い。

つまり、着用者の動き（体をかがめる、足を上げるなど）により生じ易いターゲットテープ60表面に生じる着用者の身体側に凹んだ皺に対しては、皺の発生時にファスニングテープ100に内曲げが生じると、フックシート110とターゲットテープ60との接触面積が減少して、ファスニングテープ100がターゲットテープ60から外れ易くなるため好ましくない。一方、外曲げが生じても、フックシート110とターゲットテープ60との接触面積は減少せず、ターゲットテープ60に追従してフックシート110が一緒に曲げられ易い（図５において点線で示す）。従って、外曲げが生じてもファスニングテープ100がターゲットテープ60から外れることをより抑制できる。

すなわち、ファスニングテープ100によれば、着用者の胴回りを締め付け過ぎないように調整し易く、着用者の胴回りの形状により適切に沿うことができる。また、ファスニングテープ100の係合力を低くしてもファスニングテープ100が外れ難い状態とし得る。

本実施形態では、図４に示したように、サイドフラップ50及びファスニングテープ100は、基端領域Bの曲げ剛性値＞領域Aの曲げ剛性値、フックシート領域Dの曲げ剛性値＞中間領域Cの曲げ剛性値、及び基端領域Bの曲げ剛性値＞中間領域Cの曲げ剛性値の関係を満たす。このため、着用者のウエスト脇部や足のそけい部といった複雑な凹凸に沿うには、一様の剛性とするよりも剛性が低い部分を設け、剛性が相対的に高い領域と低い領域とを交互に繰り返すことで、剛性が低い部分が緩衝部となり局所的な負荷による皺の発生を防いでくれるため、ファスニングテープ100がターゲットテープ60から外れ難い。また、全て低い剛性とするのではなくサイドフラップ50に近い部分（基端領域B）及びファスニングテープ100の取り扱い時に使用者が掴む頻度の高いフックシート領域Dは、一定の剛性を有するため、ファスニングテープ100を取り付けたり、取り外したりする際に扱い易い。

さらに、ファスニングテープ100の製品長手方向D_Lにおける幅は、基端領域Bからファスニングテープ100の先端領域Eに向かうに連れて狭くなる先細状である。このため、着用者、特に乳幼児の比較的前方に飛び出た腹部の形状に追従し易く、着用者の動き（特に座ったり足を上げたりする動き）に伴ってファスニングテープ100に掛かる負荷が小さくなり、ファスニングテープ100が外れ難くなる。

本実施形態では、ファスニングテープ100の製品長手方向D_Lにおける幅W1は、吸収体存在領域A1の製品長手方向D_Lにおける幅W2よりも広い。このため、吸収性本体15の剛性を利用してファスニングテープ100をターゲットテープ60によりしっかりと係合させることができる。この結果、ファスニングテープ100がターゲットテープ60から外れ難くなる。

（６）その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。

例えば、上述した実施形態では、ファスニングテープ100の製品長手方向D_Lにおける幅W1は、吸収体存在領域A1の製品長手方向D_Lにおける幅W2よりも広くなっていたが、このような関係は必ずしも満たさなくても構わない。

また、上述した実施形態では、サイドフラップ50及びファスニングテープ100は、基端領域Bの曲げ剛性値＞領域Aの曲げ剛性値、フックシート領域Dの曲げ剛性値＞中間領域Cの曲げ剛性値、及び基端領域Bの曲げ剛性値＞中間領域Cの曲げ剛性値の関係を満たしたが、このような関係も必ずしも満たさなくても構わない。

このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

10…使い捨ておむつ
15…吸収性本体
20…前胴回り部
30…股下部
35…吸収体
40…後胴回り部
50…サイドフラップ
55…レッグ弾性部材
60…ターゲットテープ
70…バックシート
100…ファスニングテープ
110…フックシート
111…係合フック
111a…柱部
111b…傘部
115…ベースシート部
120…基材シート

Claims (6)

1. 前胴回り部、後胴回り部及び股下部とから構成され、液保持性の吸収体を含む縦長の吸収性本体と、
   製品幅方向における前記吸収性本体の側縁部の少なくとも一部に設けられるサイドフラップと、
   前記サイドフラップに取り付けられ、前記前胴回り部または前記後胴回り部の一方から前記吸収性本体の製品幅方向外側に延出し、前記前胴回り部または前記後胴回り部の他方に止着されるように構成されたファスニングテープと
   を備える使い捨ておむつであって、
   前記ファスニングテープは、基材シートと、複数の係合フックが設けられ、前記基材シートに固定されたフックシートとを有し、
   前記ファスニングテープの係合力は、0.3N/30mm以上、1.5N/30mm以下であり、
   前記ファスニングテープの前記基材シートの面が近付く方向の曲げ剛性値は、前記ファスニングテープの前記フックシートの面が近付く方向の曲げ剛性値よりも小さい使い捨ておむつ。
2. 前記ファスニングテープの製品幅方向及び製品幅方向と直交する製品長手方向におけるKES曲げ剛性値は、1.63gf・cm²/cm以下である請求項１に記載の使い捨ておむつ。
3. 前記ファスニングテープは、
   前記サイドフラップと重ね合わされた基端領域Bと、
   前記フックシートが設けられたフックシート領域Dと、
   前記基端領域Bと前記フックシート領域Dとの間において前記基材シートのみで形成された中間領域Cと
   を含み、
   前記基端領域Bの曲げ剛性値は、前記基端領域Bと隣接する前記サイドフラップの領域Aの曲げ剛性値よりも大きく、
   前記フックシート領域Dの曲げ剛性値は、前記中間領域Cの曲げ剛性値よりも大きく、
   前記基端領域Bの曲げ剛性値は、前記中間領域Cの曲げ剛性値よりも大きい請求項１または２に記載の使い捨ておむつ。
4. 前記ファスニングテープの製品長手方向における幅は、前記基端領域Bから前記ファスニングテープの先端領域Eに向かうに連れて狭くなる先細状である請求項３に記載の使い捨ておむつ。
5. 前記基端領域Bの製品幅方向における外側端での製品長手方向に沿った幅と、前記フックシート領域Dの製品幅方向における外側端での製品長手方向に沿った幅との差は、4mm〜8mmである請求項４に記載の使い捨ておむつ。
6. 前記ファスニングテープの前記フックシートと係合するターゲットテープを有し、
   前記ターゲットテープの肌当接面側には、前記吸収性本体が配置されている吸収体存在領域と、前記吸収性本体が配置されていない吸収体不存在領域とが形成され、
   前記ファスニングテープの製品長手方向における幅は、前記吸収体存在領域の製品長手方向における幅よりも広い請求項１乃至５の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。