JP2013208563A - 有機性排水の嫌気性処理方法 - Google Patents

Abstract

【課題】嫌気処理の立ち上げ当初における担体から溶出する親水化剤による、処理水の着色を防止することができる有機性排水の嫌気性処理方法を提供する。
【解決手段】親水化剤を含む樹脂担体を嫌気反応槽３に添加し、該樹脂担体の表面に付着したメタン菌を主体とする嫌気性微生物により処理を行う有機性排水の嫌気性処理方法において、樹脂担体とともに活性炭を嫌気反応槽３に添加することを特徴とする有機性排水の嫌気性処理方法。活性炭としては粉末活性炭が好ましい。
【選択図】図１

Description

本発明は、有機性排水を嫌気的に生物処理する方法に関するものであり、特に、嫌気反応槽に樹脂担体を添加する嫌気性処理方法に関する。

流動性の非生物担体を用いる有機性排水の嫌気性処理方法では、担体表面に微生物が生育するので、低濃度のＣＯＤ排水や、グラニュールが解体してしまうような有機性排水であっても効率よく処理することができる。

特許文献１には、流体処理性能に優れたポリオレフィン系発泡体よりなる流体処理用担体として、ポリオレフィン系樹脂を３０〜９５重量％、セルロース系粉末の親水化剤を５〜７０重量％含む発泡体よりなるものが記載されている。

樹脂担体は、樹脂が疎水性であることから、そのままでは水濡れ性、水沈降性が悪いため、親水化剤を含有させている。

特開２００９−６６５９２

親水化剤を含有した樹脂担体を嫌気反応槽に投入した直後は、担体から親水化剤が水に溶出し、嫌気処理水のＣＯＤ、色度が上昇する。嫌気処理の後段では活性汚泥、好気流動床のような好気処理が行われることが多く、親水化剤由来のＣＯＤ成分の多くは好気処理で分解されるが、色度成分は除去が難しいため、嫌気処理の立ち上げ当初は排水処理から出る処理水が着色してしまうという問題があった。

本発明は、嫌気処理の立ち上げ当初における担体から溶出する親水化剤による、処理水の着色を防止することができる有機性排水の嫌気性処理方法を提供することを目的とする。

本発明の有機性排水の嫌気性処理方法は、親水化剤を含む樹脂担体を嫌気反応槽に添加し、該樹脂担体の表面に付着した嫌気性微生物により処理を行う有機性排水の嫌気性処理方法において、樹脂担体とともに活性炭を該嫌気反応槽に添加することを特徴とするものである。

本発明によると、樹脂担体を用いた嫌気性処理の立ち上げ初期に該樹脂担体から溶出する色度成分が活性炭に吸着され、処理水から除去されるため、処理水の着色の問題なしに、嫌気性処理を立ち上げることができる。

実施例のフロー図である。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。

以下、本発明についてさらに詳細に説明する。

本発明は、有機性排水を嫌気性処理するに際し、嫌気反応槽に樹脂担体と共に活性炭を添加する。

樹脂担体の素材は特に限定されないが、ポリオレフィンやポリビニルアルコール、とくにポリプロピレンなどが好適である。担体の形状は球状、ペレット状、中空筒状、糸状など任意である。担体の大きさ（径）は０．１〜１０ｍｍ特に１〜５ｍｍ程度が好適であるが、これに限定されない。この樹脂担体には親水化剤、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリンなどが含まれている。

嫌気反応槽には樹脂担体を１０〜６０％（特に４０〜６０％）添加するのが好ましい。

嫌気反応槽に、この樹脂担体とともに投入される活性炭は、粉末、粒状のいずれでもよいが、特に粉末活性炭が好ましい。粉末活性炭を使用することにより単位体積当たりの活性炭表面積が増加して、活性炭の使用量を抑制できる。尚、粉末活性炭を使用する場合には、投入時に浮きやすいため、活性炭を最初に反応槽に投入し、その後、担体、種汚泥を投入するのが好ましい。

活性炭の投入量は、担体から溶出する色度成分の０．５〜３倍、特に１〜２倍の吸着量に相当する量がよい。活性炭による色度成分の吸着量は、使用する活性炭及び色度成分により異なるため、ＪＩＳＫ１４７４（活性炭試験方法）で定められた方法などで求めるのが好ましい。

色度成分の溶出は数日〜数ヶ月でなくなる一時的なものであるため、活性炭は、排水処理を行う全期間を通じて嫌気反応槽内に保持されている必要はなく、流出しても良い。流出した活性炭は、通常、嫌気反応槽の後段に設けられている好気処理槽後の固液分離手段で生物処理汚泥とともに水から分離され、排出される。

本発明では、嫌気反応槽の前段に酸生成槽を設けてもよい。酸生成槽に嫌気処理水を原水に対して０．５〜１０倍量循環し、原水と混合して嫌気反応槽に導入することにより、嫌気処理水のアルカリ度を使用して酸生成時の中和用アルカリ使用量を削減することができる。

図１は、酸生成槽、嫌気反応槽、好気槽及び沈殿槽を備えた有機性排水の処理装置の一例を示すフロー図である。

原水（有機性排水）は、酸生成槽１及び配管２を経て嫌気反応槽３に導入される。この嫌気反応槽３に担体、種汚泥及び粉末活性炭を添加してある。嫌気反応槽３の上部からスクリーン３ａを通過して流出する嫌気処理水は配管４を介して好気槽６に導入されるが、その一部は、返送配管５を介して酸生成槽１に返送される。

好気槽６では散気管６ａから空気が曝気され、好気処理が行われる。好気処理水が沈殿槽７に導入され、好気処理水が取り出される。沈殿した汚泥の一部は好気槽６に返送され、余剰汚泥は系外に排出される。

［実施例１］
図１に示すフローに従って、下記原水を下記嫌気反応槽及び好気槽を用いて処理し、この際、嫌気反応槽に、粉末ヤシガラ活性炭（１００メッシュ（直径０．１５ｍｍ）以下）０．４ｇ投入した。酸生成槽への返送水量は１６Ｌ／ｄとした。

＜原水＞
酢酸を主成分とする合成排水
水質：ｐＨ７．５、ＢＯＤ３，０００ｍｇ／Ｌ、Ｔ−Ｎ１５ｍｇＮ／Ｌ、ＰＯ４−Ｐ ２ｍｇＰ／Ｌ（その他の微量金属、ミネラルとともに栄養剤として添加）
水量：１６Ｌ／ｄ
嫌気反応槽に上向流で通水。
＜嫌気反応槽＞
槽容量４Ｌ（φ１０ｃｍ×Ｈ５０ｃｍの円筒状）
温度３０℃
ビール工場排水処理施設の嫌気グラニュールを種汚泥として０．８Ｌ、ポリプロピレン製円筒状担体（φ３ｍｍ×５ｍｍ）を１．６Ｌ投入。

＜好気槽＞
槽容量４Ｌ
ビール工場排水処理施設の活性汚泥（ＭＬＳＳ約６，０００ｍｇ／Ｌ）を種汚泥として投入。
ｐＨ６．８に調整（１Ｎ ＮａＯＨを添加）

［比較例］
嫌気反応槽に活性炭を投入しなかったこと以外は実施例１と同一条件にて処理を行った。

［結果］
実施例１及び比較例１のいずれにおいても、嫌気反応槽への担体および種汚泥投入後、２日経過したところで連続通水を開始した。通水開始後１ヶ月間の嫌気および好気処理水のＢＯＤ、色度の推移を図２，３に示す。ＢＯＤ濃度は、比較例１、実施例１ともに、原水の３，０００ｍｇ／Ｌに対し、通水開始直後から、嫌気処理水で６００ｍｇ／Ｌ前後（除去率８０％）、好気処理水で１０〜１５ｍｇ／Ｌで推移しており、良好な処理が行われた。一方、色度は、比較例１では１週間程度、実施例１に比べて高い１０度以上の状況が続き、その間の処理水は褐色を呈した。これに対し、実施例１では通水開始直後から嫌気処理水で１０度以下、好気処理水で５度以下の良好な状態を維持した。

この実施例及び比較例からも明らかな通り、本発明によると、担体を用いた嫌気性処理の立ち上げにおいて、担体から溶出する色度成分による処理水質悪化の問題なしに、嫌気性処理を立ち上げることができる。

１ 酸生成槽
３ 嫌気反応槽
６ 好気槽
７ 沈殿槽

Claims (2)

1. 親水化剤を含む樹脂担体を嫌気反応槽に添加し、該樹脂担体の表面に付着した嫌気性微生物により処理を行う有機性排水の嫌気性処理方法において、該樹脂担体とともに活性炭を該嫌気反応槽に添加することを特徴とする有機性排水の嫌気性処理方法。
2. 請求項１において、前記活性炭が粉末活性炭であることを特徴とする有機性排水の嫌気性処理方法。

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