以下に、本発明にかかる3相スイッチ整流器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる3相スイッチ整流器100iについて説明する前に、基本の形態にかかる3相スイッチ整流器100について図8を用いて説明する。図8は、3相スイッチ整流器100の構成を示す図である。
3相スイッチ整流器100は、3相交流電源PSから入力端子IT−r〜IT−tを介して入力される3相交流電力を直流電力に変換して出力端子OT−p、OT−nから機器MCに出力する。3相交流電力は、例えば、R相の交流電力、S相の交流電力、及びT相の交流電力を含む。
具体的には、3相スイッチ整流器100は、3相リアクトル8、入力コンデンサ9、全波整流回路4、双方向スイッチ回路3、制御部7、直流リアクトル2、及びコンデンサ10を備える。
3相リアクトル8は、入力端子IT−r〜IT−tと双方向スイッチ回路3との間に接続されている。入力コンデンサ9は、入力端子IT−r〜IT−tと双方向スイッチ回路3との間に接続されている。
全波整流回路4は、双方向スイッチ回路3と出力端子OT−p、OT−nとの間に接続されている。全波整流回路4は、例えば、ブリッジ接続された6つのダイオードを有し、6つのダイオードを用いて、双方向スイッチ回路3を介して供給された3相交流電力を全波整流して直流電力を生成する。
双方向スイッチ回路3は、入力端子IT−r〜IT−t側と全波整流回路4の各相の入力ノードとの接続をON/OFFする。すなわち、双方向スイッチ回路3は、3相交流電源PSから全波整流回路4への各相の交流電力の供給をON/OFFする複数のスイッチング素子SW(図9参照)を有する。
制御部7は、3相交流電源PSの各相の電圧を検出して、各相の検出電圧に基づいて、双方向スイッチ回路3をスイッチング制御する。
具体的には、制御部7は、スイッチングパターン発生器5及び駆動回路6を有する。スイッチングパターン発生器5は、3相交流電源PSの各相の電圧を検出して、各相の検出電圧に基づいて、双方向スイッチ回路3をON/OFFさせるための各相のスイッチングパターンを生成し、生成されたスイッチングパターンを駆動回路6へ供給する。駆動回路6は、生成されたスイッチングパターンに従って、双方向スイッチ回路3の各相のスイッチング素子SW(図9参照)をスイッチング制御する。
直流リアクトル2は、全波整流回路4と出力端子OT−pとの間に接続されている。直流リアクトル2は、例えば、全波整流回路4と出力端子OT−pとの間のPラインに直列に挿入されている。
コンデンサ10は、全波整流回路4と出力端子OT−p、OT−nとの間に接続されている。コンデンサ10は、例えば、一端の電極10pが全波整流回路4と出力端子OT−pとの間のPラインに接続され、他端の電極10nが全波整流回路4と出力端子OT−nとの間のNラインとを接続されている。
次に、双方向スイッチ回路3について図9を用いて説明する。図9は、双方向スイッチ回路3の1つの相のスイッチの構成例を示す回路図である。
双方向スイッチ回路3は、図9に示すように、複数のダイオードD1〜D5とIGBT等のスイッチング素子SWとで構成される。双方向スイッチ回路3では、スイッチング素子SWがオンした際に複数のダイオードD1〜D4を介して左右の双方向に電流が流れ得る。ダイオードD5は、スイッチング素子SWを保護するための還流ダイオードとして機能する。双方向スイッチ回路3では、この構成を3相分設ける。例えば、双方向スイッチ回路3では、3相に対応した複数のスイッチング素子SW1〜SW3を含む。
なお、3相スイッチ整流器100において、図9に示す回路構成を3相分設けることで双方向スイッチ回路3を構成する代わりに、双方向スイッチ回路3と全波整流回路4とを組み合わせて図17に示すような回路構成としてもよい。すなわち、図17に示すような回路構成において、1点鎖線で示すダイオードD1〜D15及びスイッチング素子SW1〜SW3を含む部分が双方向スイッチ回路3として機能する部分であり、破線で示すダイオードD3、D4、D8、D9、D13、D14を含む部分が全波整流回路4として機能する部分である。図17に示すような回路構成を、図8のイ〜チに接続することにより、同様に機能させることが可能である。
次に、スイッチングパターン発生器5の構成について図10〜図13を用いて説明する。図10は、スイッチングパターン発生器5の一例を示すブロック図である。図11は、スイッチングパターン発生器5でスイッチングパターンを生成する場合に使用される鋸歯状波W1、W2の波形例を示す図である。図12は、スイッチングパターン発生器5のパターン信号発生器11の構成例を示す回路図である。図13は、スイッチングパターン発生器5の相電圧判別器13の構成例を示す図である。
スイッチングパターン発生器5は、直流電圧の脈動と入力電流の高調波を抑制するために、以下に説明するような、相双方向スイッチ回路3のスイッチングパターン(R相パルス、S相パルス、T相パルス)を生成する。スイッチングパターン発生器5は、スイッチング周期の立ち上がり等の所定のタイミングで、3相交流電源PSの各相の電圧の最大電位相、中間電位相、および最小電位相をそれぞれ検出し、最大電位相および最小電位相の場合は、それぞれの電位に比例する時間ONとなり、かつ、スイッチング周期T内で少なくとも一方がONとなるスイッチングパターンを生成し、また、中間電位相の場合は、常にONとなるスイッチングパターンを生成する(図15参照)。なお、スイッチング周期Tは、電源周波数(例えば、50Hz)に対して十分短い周期(例えば、1/100kHz=10μsec)に決定する。
スイッチングパターン発生器5は、図10に示すように、パターン信号発生器11、電圧設定器12、相電圧判別器13、コンパレータ14R〜14T、コンパレータ15R〜15T、AND回路16R〜16T、AND回路17R〜17T、AND回路18R〜18T、及びOR回路19R〜19Tを備えている。
電圧設定器12は、パターン信号発生器11に、直流電圧設定値(降圧したい目標の電圧)に応じて決定した直流電圧設定ゲインk(但し、k=0.5〜1)を設定する。
パターン信号発生器11は、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを−1〜+1にそれぞれ規格化した後、電圧設定器12から入力される直流電圧設定ゲインk(0.5〜1)との積を演算して、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcとして出力する。
相電圧判別器13は、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを比較して、いずれの相電圧が最大、最小、中間かを判別し、R相、S相、T相の最大判定信号(最大の場合「1」、最大でない場合「0」)、最小判定信号(最小の場合「1」、最小でない場合「0」)、中間判定信号(中間の場合「1」、中間でない場合「0」)をそれぞれ出力する。
コンパレータ14R〜14Tは、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcと鋸歯状波W1(図11参照)とをそれぞれ比較して、比較信号を出力する。コンパレータ15R〜15Tは、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcと鋸歯状波W2(図11参照)とをそれぞれ比較して、比較信号を出力する。AND回路16R〜16Tは、コンパレータ14R〜14Tの比較信号とR、S、T相最大判定信号とのAND演算をそれぞれ行う。AND回路17R〜17Tは、コンパレータ15R〜15Tの比較信号とR、S、T相最小判定信号とのAND演算をそれぞれ行う。AND回路18R〜18Tは、固定値「1」とR、S、T相中間判定信号とのAND演算をそれぞれ行う。OR回路19R〜19Tは、AND回路16R〜18Rの出力、AND回路16S〜18Sの出力、AND回路16T〜18Tの出力をそれぞれOR演算して最終のR、S、T相パルス(スイッチングパターン)として駆動回路6に出力する。
R相に関する動作を説明する。コンパレータ14Rは、パターン信号発生器11から入力されるR相制御電圧kaと鋸歯状波W1とを比較し、比較信号(R相制御電圧ka>鋸歯状波W1の場合に「1」、R相制御電圧ka≦鋸歯状波W1の場合に「0」)をAND回路16Rに出力する。AND回路16Rは、コンパレータ14Rから入力される比較信号と、R相最大判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Rに出力する。
コンパレータ15Rは、鋸歯状波W2とパターン信号発生器11から入力されるR相制御電圧kaとを比較し、比較信号(鋸歯状波W2>R相制御電圧kaの場合に「1」、鋸歯状波W2≦R相制御電圧kaの場合に「0」)をAND回路17Rに出力する。AND回路17Rは、コンパレータ15Rから入力される比較信号と、R相最小判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Rに出力する。
AND回路18Rは、固定信号「1」とR相中間判別信号とのAND演算を行って、OR回路19Rに出力する。OR回路19Rは、AND回路16R〜18Rの出力をOR演算して最終のR相パルスとして出力する。
S相に関する動作を説明する。コンパレータ14Sは、パターン信号発生器11から入力されるS相制御電圧kbと鋸歯状波W1とを比較し、比較信号(S相制御電圧kb>鋸歯状波W1の場合に「1」、S相制御電圧ka≦鋸歯状波W1の場合に「0」)をAND回路16Sに出力する。AND回路16Sは、コンパレータ14Sから入力される比較信号と、S相最大判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Sに出力する。
コンパレータ15Sは、鋸歯状波W2とパターン信号発生器11から入力されるS相制御電圧kbとを比較し、比較信号(鋸歯状波W2>S相制御電圧kbの場合に「1」、鋸歯状波W2≦S相制御電圧kbの場合に「0」)をAND回路17Sに出力する。AND回路17Sは、コンパレータ15Sから入力される比較信号と、S相最小判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Sに出力する。
AND回路18Sは、固定信号「1」とS相中間判別信号とのAND演算を行って、OR回路19Sに出力する。OR回路19Sは、AND回路16S〜18Sの出力をOR演算して最終のS相パルスとして出力する。
T相に関する動作を説明する。コンパレータ14Tは、パターン信号発生器11から入力されるT相制御電圧kcと鋸歯状波W1とを比較し、比較信号(T相制御電圧kc>鋸歯状波W1の場合に「1」、T相制御電圧kc≦鋸歯状波W1の場合に「0」)をAND回路16Tに出力する。AND回路16Tは、コンパレータ14Tから入力される比較信号と、T相最大判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Tに出力する。
コンパレータ15Tは、鋸歯状波W2とパターン信号発生器11から入力されるT相制御電圧kcとを比較し、比較信号(鋸歯状波W2>S相制御電圧kcの場合に「1」、鋸歯状波W2≦T相制御電圧kcの場合に「0」)をAND回路17Tに出力する。AND回路17Tは、コンパレータ15Tから入力される比較信号と、T相最小判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Tに出力する。
AND回路18Tは、固定信号「1」とT相中間判別信号とのAND演算を行って、OR回路19Tに出力する。OR回路19Tは、AND回路16T〜18Tの出力をOR演算して最終のT相パルスとして出力する。
パターン信号発生器11は、図12に示すように、R、S、T相電圧a、b、cと電圧設定器12から出力される直流電圧制御ゲインkとをそれぞれ乗算して、R相、S相、T相制御パターンka、kb、kcをそれぞれ出力する乗算器30R、30S、30Tを備えている。
相電圧判別器13は、図13に示すように、コンパレータ40R、40S、40Tと、AND回路41R、41S、41Tと、AND回路42R、42S、42Tと、NOR回路43R、43S、43Tとを備えている。
コンパレータ40Rは、R相電圧aとS相電圧bとを比較して、比較信号(R相電圧a>S相電圧bの場合に「1」、R相電圧a≦S相電圧bの場合に「0」)をAND回路41R、42S、41T、42Tに出力する。コンパレータ40Sは、S相電圧bとT相電圧cとを比較して、比較信号(S相電圧b>T相電圧cの場合に「1」、R相電圧a≦T相電圧cの場合に「0」)をAND回路41R、42R、41S、42Tに出力する。コンパレータ40Tは、T相電圧cとR相電圧aとを比較して、比較信号(T相電圧c>R相電圧aの場合に「1」、T相電圧c≦R相電圧aの場合に「0」)をAND回路42R、41S、42S、41Tに出力する。
AND回路41Rは、コンパレータ40Rの比較信号とコンパレータ40Sの比較信号とのAND演算結果をR相最大判定信号として出力する。AND回路42Rは、コンパレータ40Sの比較信号とコンパレータ40Tの比較信号とのAND演算結果をR相最小判定信号として出力する。AND回路41Sは、コンパレータ40Sの比較信号とコンパレータ40Tの比較信号とのAND演算結果をS相最大判定信号として出力する。AND回路42Sは、コンパレータ40Tの比較信号とコンパレータ40Rの比較信号とのAND演算結果をS相最小判定信号として出力する。AND回路41Tは、コンパレータ40Tの比較信号とコンパレータ40Rの比較信号とのAND演算結果をT相最大判定信号として出力する。AND回路42Tは、コンパレータ40Rの比較信号とコンパレータ40Sの比較信号とのAND演算結果をT相最小判定信号として出力する。
NOR回路43Rは、R相最大判定信号とR相最小判定信号とのNOR演算結果をR相中間判定信号として出力する。NOR回路43Sは、S相最大判定信号とS相最小判定信号とのNOR演算結果をS相中間判定信号として出力する。NOR回路43Tは、T相最大判定信号とT相最小判定信号とのNOR演算結果をT相中間判定信号として出力する。
つぎに、基本の形態における直流電圧の脈動と入力電流の高調波を低減する原理を説明する。基本の形態では、スイッチングパターン発生器5および駆動回路6によって、双方向スイッチ回路3を以下のようにスイッチングすることで、直流電圧の脈動と入力電流の高調波との低減を図る。図14は、R相電圧、S相電圧、T相電圧の各区間を説明するための図である。図15は、R、S、T相制御電圧ka、kb、kcと、鋸歯状波W1、W2と、R、S、T相パルス(スイッチングパターン)の一例を示す図である。
まず、直流電圧について説明する。図14において、3相交流電圧は、R相電圧、S相電圧、T相電圧の大小関係により、モード(区間)I〜VIの6つに区分する。R>T>SをモードI、R>S>TをモードII、S>R>TをモードIII、S>T>RをモードIV、T>S>RをモードV、T>R>SをモードVIに区分する。
ここでは、区間IIのR相最大、S相中間、T相最小の場合について説明する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、上述したように、相電圧を「−1」と「1」の間で規格化したものである。直流電圧設定ゲインkは、上述したように、電圧設定器12において直流電圧設定値に応じて決定されるゲインで、0.5〜1の間の定数となる。直流電圧設定ゲインkは、パターン信号発生器11において、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cに乗算され、乗算されたR相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcは、鋸歯状波1、2と切り合いする波形となる(図15参照)。
図15において、Tはスイッチング周期、xはR相パルス幅、yはS相パルス幅、zはT相パルス幅を示している。区間1、2、3の直流電圧は、それぞれ、区間1電圧=ST間電圧=b−c、区間2電圧=RT間電圧=a−c、区間3電圧=RS間電圧=a−bとなる。区間1の幅は、T−x、区間2の幅は、x−(T−z)=x+z−T、区間3の幅は、T−zである。一方、R相パルス幅xは、T:x=1:kaよりx=kaT、T相パルス幅zは、T:z=1:−kcよりz=−kcTである。よって、区間1の幅は、T−x=T−kaT=T(1−ka)、区間3の幅は、T−z=T−(−kcT)=T(1+kc)、区間2の幅は、x+z−T=kaT+(−kcT)−T=T(ka−kc−1)となる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの区間ごとに直流電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの電圧の平均={(b−c)×T×(1−ka)+(a−c)×T×(ka−kc−1)+(a−b)×T×(1+kc)}/T
=k(a2+c2)−kb(a+c)
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、
=k(a2+b2+c2)
さらに、交流理論から、a2+b2+c2=3/2より
=k×3/2
なお、上記スイッチング周期Tの電圧の平均は、相電圧に基づいて表されている。
従って、直流電圧のスイッチング区間の平均値は一定となり、直流電圧設定ゲインk×3/2となり、鋸歯状波W1、W2と比較する直流電圧設定ゲインkに比例する。このため、直流電圧設定ゲインkを選定することで、降圧して得られる直流電圧の大きさを制御できる。ここで、R相パルスとT相パルスがスイッチング周期Tの中で両方ONするために、直流電圧設定ゲインkの最小値は0.5であり、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcが鋸歯状波W1、W2を越えないために、直流電圧設定ゲインkの最大値は、1となる。したがって、kの設定可能範囲は、0.5〜1の範囲内である。
つぎに、入力電流について説明する。R相の入力電流は、R相制御電圧kaの時間に比例する正の電流が流れる。T相の入力電流は、T相制御電圧kcの絶対値|kc|に比例する負の電流、すなわち、T相制御電圧kcに比例する電流が流れる。S相の入力電流は、区間1=T×(1−ka)で正の電流が流れ、区間3=T×(1+kc)で負の電流が流れる。従って、流れる正の電流は、T×(1−ka)−T×(1+kc)=T×(−ka−kc)=T×k×(−a−c)=T×k×bとなり、スイッチング周期Tの平均をTで除するとS相制御電圧kbとなる。このように、R相、S相、T相の電流は、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcに比例する電流が流れることになり、入力の電圧に比例する電流が平均的に流れることになる。
本スイッチングによる直流電圧と入力電流をまとめると次のようになる。
(1)スイッチング周期Tにおける直流電圧の平均値は、降圧された一定の電圧値となる。
(2)スイッチング周期Tにおける入力電流の平均値は、入力の電圧比に分配される。
つぎに、入力電流が正弦波になることを説明する。3相交流電圧のR相電圧をVsin(ωt)、S相電圧をVsin(ωt+120)、T相電圧をVsin(ωt+240)とする。上記(2)より、入力電流は、R相電流をI(t)sin(ωt)、S相電流をI(t)sin(ωt+120)、T相電流をI(t)sin(ωt+240)と一般化して書くことができる。但し、I(t)は入力電流の振幅である。
この時の入力電力Pは、以下のように表すことができる。
P=Vsin(ωt)×I(t)sin(ωt)+Vsin(ωt+120)×I(t)sin(ωt+120)Vsin(ωt+240)+I(t)sin(ωt+240)
=V×I(t)sin2(ωt)+V×I(t)sin2(ωt+120)+V×I(t)sin2(ωt+240)
=V×I(t){sin2(ωt)+sin2(ωt+120)+sin2(ωt+240)}
{ }内を計算すると、{ }内は、定数3/2であるので、
P=V×I(t)×3/2を変形して、I(t)=P/V×2/3
ここで、Pが一定の場合、Vは一定であるので、I(t)は、時間に依存しない一定値となる。即ち、入力電流は、正弦波である。
(3)上記(2)の条件の下で、電力が一定である場合、入力電流は正弦波となる。
3相スイッチ整流器100(図8参照)において、スイッチングパターン発生器5および駆動回路6で上記のスイッチングを行い、スイッチング周期T内での直流電圧の変動を除去する直流リアクトル2を全波整流回路4の出力側に接続したため、直流電圧は、上記(1)より一定となる。基本の形態では、機械MCの負荷が、短時間(100msec程度)において、一定電力とみなす。スイッチング周期T内での入力電流変動を除去する入力コンデンサ9を双方向スイッチ回路3の入力側に接続することで、上記(3)より、入力電流は、正弦波となる。
なお、上記では、スイッチングパターンを生成するために、鋸歯状波を使用した場合を説明したが、これに限られるものではなく、最大電圧相と最小電圧相に対する制約を満足させるものであればよく、例えば、三角波等のキャリア波形を用いることにしてもよい。
次に、基本の形態における直流電圧および直流電流のシミュレーション結果について図16を用いて説明する。図16は、3相スイッチ整流器100の入力交流電力(図16(a))、出力直流電圧(図16(b))、及び出力直流電流(図16(c))のシミュレーション結果を示している。3相スイッチ整流器100(図8参照)において、直流入力電圧3相=200V(線間電圧)、機器MCの負荷として負荷抵抗=20Ω、入力の3相リアクトル8として系統のリアクタンスを考慮して100μH、入力コンデンサ9=3μF/相、コンデンサ10=2μF、直流リアクトル2=2mH、スイッチング周波数50kHz、直流電圧設定ゲインk=0.9の条件でシミュレーションを行った。3相電圧の全波整流のリップルの下限の電圧(直流電圧として取り出せる最大の電圧)は200×21/2×(31/2/2)=245Vであるのに対し、図16(b)に示すように、基本の形態では、直流電圧は、約DC220Vで一定でほぼ理論通りであり、降圧されており、また、直流電流も一定となっており、入力電流もスイッチングに伴う変動はあるものの正弦波状になっている。なお、上記シミュレーションは、線間電圧に基づいており、直流電圧と直流電流はそれぞれ機器(負荷)MCの両端の電圧と機器(負荷)MCに流入する電流である。
このように、基本の形態では、機器MCが負荷を有する場合に、各相のスイッチングパターンをPWM変調しながら双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3を所定のタイミングでON/OFFさせることで、入力電流をその高調波を低減した正弦波とでき、直流電圧を一定に安定させることができる(図18(a)参照)。すなわち、基本の形態では、3相スイッチ整流器100により直流電力が供給される機器MCが負荷を有していることが前提となっている。
一方、機器MCが停止している状態では、機器MCが実質的に無負荷であると考えられる。具体的には、機器MCは、例えば、インバータINV、モータM、及び被可動要素ELを有する。インバータINVは、例えば複数の半導体素子を有し、複数の半導体素子を用いて、3相スイッチ整流器100から供給された直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力をモータMに供給することで、モータMを駆動し、モータMを介して被可動要素ELを動作させる。被可動要素ELは、例えば、コンプレッサにおける可動子である。この機器MCにおいて、インバータINVが電力変換動作を停止している場合、モータMが停止しており、被可動要素ELも停止している。この状態では、機器MCが実質的に無負荷となる。
この場合にも、3相スイッチ整流器100において双方向スイッチ回路3をスイッチングパターンに基づいてスイッチング制御すると、3相スイッチ整流器100内の出力側に誘起電圧が発生する可能性がある。具体的には、機器MCが実質的に無負荷である場合、3相スイッチ整流器100により機器MCに供給するエネルギーが機器MCで消費されないので、3相スイッチ整流器100内で直流リアクトル2やコンデンサ10がエネルギーを蓄積する可能性がある。例えば、直流リアクトル2及びコンデンサ10が共振回路として動作すると、蓄積されるエネルギーが大きくなる可能性がある。このエネルギーが誘起電圧を発生する。この誘起電圧はコンデンサ10の容量が小さいと高くなりやすい。
このように、3相スイッチ整流器100内の出力側に誘起電圧が発生すると、3相スイッチ整流器100の出力先の機器MC内における素子(例えば、インバータINVにおける半導体素子)に過電圧がかかる可能性があり、その素子を劣化させる可能性がある。
このとき、仮に、3相スイッチ整流器100内において直流リアクトル2及びコンデンサ10と出力端子OT−p、OT−nとの間にスイッチを設けて、機器MCが実質的に無負荷である場合にオフさせてやれば、そのような問題を抑制できるようにも考えられる。
しかし、本実施の形態では、図1に示すように、3相スイッチ整流器100iの電力供給先である機器MCとして、複数の機器MC−1〜MC−7を想定している。このとき、1つの機器が停止している場合に、その1つの機器が無負荷であるとして3相スイッチ整流器100iによる電力供給をやめてしまうと、他の機器への電力供給ができなくなる。
そこで、本実施の形態では、3相スイッチ整流器100iにおいて、電力の供給を行いながら3相スイッチ整流器100i内における誘起電圧の発生を抑制するために、制御部7i(図3参照)は、複数の機器MC−1〜MC−7が実質的に無負荷であるとき、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持し、複数の機器MC−1〜MC−7が負荷を有するとき、基本の形態で説明したようなスイッチング動作を双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3に行わせる。
具体的には、3相スイッチ整流器100iの電力供給先が複数の機器MC−1〜MC−7である場合に、複数の機器MC−1〜MC−7の負荷は、一様ではなく、複数の機器MC−1〜MC−7のうち負荷の大きいものと小さいものとがある。すなわち、複数の機器MC−1〜MC−7の負荷として、近似的に、負荷の大きい機器の負荷を用いることにする。
例えば、3相スイッチ整流器100iの電力供給先が空気調和機である場合、空気調和機は、図1及び図2に示すように、コンプレッサMC−1、四方弁MC−2、室外熱交換器HE1、膨張弁MC−4、電磁コンダクタMC−5、室内熱交換器HE2、アキュムレータACC、室外ファンMC−7、及び室内ファンMC−8を有する。コンプレッサMC−1、室外ファンMC−7、及び室内ファンMC−8は、図2に示すように、それぞれ、インバータINV、モータM、及び被可動要素ELを有する。四方弁MC−2及び膨張弁MC−4は、ソレノイド等のアクチュエータAC、及び被可動要素ELを有する。なお、室内ファンMC−8は、空気調和機における他の機器MC−1〜MC−7と異なり、3相スイッチ整流器100iとは別系統の電源から電力の供給を受けるため、すなわち3相スイッチ整流器100iの電力供給先でないため、以下において、説明を省略する。
3相スイッチ整流器100iの出力端子OT−p、OT−nには、図1に示すように、コンプレッサMC−1、室外ファンMC−7、及び基板電源PS2が並列に接続されている。基板電源PS2は、例えば、室外機基板PCB上に実装され、室外機基板PCB上の導電パターンを介して、四方弁MC−2、膨張弁MC−4、電磁コンダクタMC−5が並列に接続されている。
図2に示す機器MCでは、例えば四方弁MC−2で冷媒の流路を切り換えることで冷房運転(実線)及び暖房運転(破線)を切り換えて行うことができるが、いずれの運転においても、コンプレッサMC−1が断熱圧縮動作を行うため、運転時に他の機器に比べて大きな負荷を有すると考えられる。そこで、複数の機器MC−1〜MC−7の負荷として、近似的に、コンプレッサMC−1の負荷を用いることができる。
このとき、コンプレッサMC−1の負荷の制御は、3相スイッチ整流器100i及び機器MC(例えば、空気調和機)を全体的に制御するコントローラCTRにより行われる。
例えば、コントローラCTRは、コンプレッサMC−1におけるインバータINVからモータMへ供給されるモータ電流等を取得して、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数を推定する。また、コントローラCTRは、膨張弁MC−4の近傍に設けられたセンサーSNS−2から膨張弁MC−4の開度情報を取得する。コントローラCTRは、外気温を測定するように設けられた温度センサーSNS−1から外気温を取得する。
コントローラCTRは、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数と、膨張弁MC−4の開度と、外気温とが、コンプレッサMC−1におけるモータMの負荷に対応付けられた負荷決定テーブルを有している。負荷決定テーブルは、予め実験的に取得され、コントローラCTRに設定されたものである。コントローラCTRは、上記の推定を行ったら負荷決定テーブルを参照し、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数の推定値と、膨張弁MC−4の開度の推定値と、外気温の推定値とに対応する負荷の値を決定する。コントローラCTRは、決定された負荷に応じて、コンプレッサMC−1におけるモータMの負荷に関する信号を3相スイッチ整流器100iへ供給する。
3相スイッチ整流器100iは、図示しない位相検出回路で3相交流電源PSのON/OFFをモニターすることで、3相スイッチ整流器100iの電源の起動を認識する。また、3相スイッチ整流器100iは、コンプレッサMC−1におけるモータMの負荷に関する信号をコントローラCTRから受ける。3相スイッチ整流器100iは、取得された信号に応じてコンプレッサMC−1が起動するタイミングを判断する。
そして、3相スイッチ整流器100iにおいて、図3に示す制御部7iは、複数の機器MC−1〜MC−7が実質的に無負荷であるとき、すなわち3相スイッチ整流器100iの電源起動時に、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持し、複数の機器MC−1〜MC−7が負荷を有するとき、すなわち複数の機器MC−1〜MC−7が実質的に起動した後に、基本の形態で説明したようなスイッチング動作を双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SWに行わせる。
具体的には、3相スイッチ整流器100iは、図1及び図3に示すように、入力端子IT−r〜IT−t側に、ノイズフィルタ20i、3相リアクトル8i、及び入力コンデンサ9iが設けられ、出力端子OT−p、OT−n側に直流リアクトル2i及びコンデンサ10iが設けられ、ノイズフィルタ20i、3相リアクトル8i、及び入力コンデンサ9iと直流リアクトル2i及びコンデンサ10iとの間にパワーモジュールPMが設けられている。パワーモジュールPMは、図3に示すように、双方向スイッチ回路3、全波整流回路4i、及び制御部7iを有する。
ノイズフィルタ20iは、例えば、各相のラインに対して直列に接続された抵抗R4〜R6及びリアクトルL4〜L6を有し、抵抗R4〜R6及びリアクトルL4〜L6を用いて入力電流における高周波ノイズを除去する。
3相リアクトル8iは、例えば、各相のラインに対して直列に挿入されたリアクトルL1〜L3と抵抗R1〜R3との並列接続を有し、基本の形態における3相リアクトル8(図8参照)と同様に機能する。
入力コンデンサ9iは、例えば、各相のライン間を接続するコンデンサC1〜C3を有し、基本の形態における入力コンデンサ9(図8参照)と同様に機能する。
直流リアクトル2iは、例えば、Pライン及びNラインのそれぞれに直列に接続されたリアクトルL7、L8を有し、基本の形態における直流リアクトル2(図8参照)と同様に機能する。
コンデンサ10iは、例えば、Pライン及びNラインの間にそれぞれ接続されたコンデンサC4、C5を有し、基本の形態におけるコンデンサ10(図8参照)と同様に機能する。
双方向スイッチ回路3は、基本の形態における双方向スイッチ回路3(図17参照)と同様である。
全波整流回路4iは、PラインとNラインとを接続するダイオードD16がさらに追加されている以外は基本の形態における全波整流回路4(図17参照)と同様であり、基本の形態における全波整流回路4と同様に機能する。ダイオードD16は、3相スイッチ整流器100iがOFFしたときに電流を流すためのものである。
制御部7iは、スイッチングパターン発生器5及び駆動回路6に加えて、パワーモジュール電源7i2及び負荷推定部7i1をさらに有する点で基本の形態(図8参照)と異なる。
パワーモジュール電源7i2は、3相交流電源PSと1つの相のラインとに接続され、例えばブレーカーがONされることなどにより、3相交流電源PSがONされると、パワーモジュール電源7i2にも交流電力が供給されONする。例えば、ブレーカーがOFFされることなどにより、3相交流電源PSがOFFされると、パワーモジュール電源7i2にも交流電力が供給されなくなりOFFする。
負荷推定部7i1は、パワーモジュール電源7i2を介して3相交流電源PSのON/OFFをモニターする。すなわち、負荷推定部7i1は、パワーモジュール電源7i2がONした際に、3相スイッチ整流器100iの電源が起動されたと認識する。また、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷に関する信号をコントローラCTRから受ける。負荷推定部7i1は、取得された信号に応じてコンプレッサMC−1が起動するタイミングを判断する。
より具体的には、制御部7iは、図4に示すような動作を行う。図4は、制御部7iの動作を示すタイミング図である。
図4に示すタイミングt0において、負荷推定部7i1は、パワーモジュール電源7i2を介して3相交流電源PSがONされたことを認識する。また、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷に関する信号に応じて、コンプレッサMC−1が停止状態にあると判断する。負荷推定部7i1は、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が全てONした状態に維持されるように、スイッチングパターン発生器5に指示する。
これに応じて、スイッチングパターン発生器5は、図15に1点鎖線で示すようにONレベルに固定されたR相パルス、S相パルス、T相パルスを生成して駆動回路6に出力する。駆動回路6は、複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持させる。
タイミングt0から期間TP1(第1の期間)が経過したタイミングt1において、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷に関する信号に応じて、コンプレッサMC−1の負荷が生じたことを認識し、コンプレッサMC−1が起動されたものと判断する。負荷推定部7i1は、各相のスイッチングパターンをPWM変調しながら双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が所定のタイミングでON/OFFされるように、スイッチングパターン発生器5に指示する。
これに応じて、スイッチングパターン発生器5は、図15に実線で示すようなPWM変調されたR相パルス、S相パルス、T相パルスのスイッチングパターンを生成して駆動回路6に出力する。駆動回路6は、スイッチングパターン発生器5から供給されたスイッチングパターンに従って、複数のスイッチング素子SW1〜SW3をそれぞれ所定のタイミングでON/OFFさせる。
タイミングt1以降の期間TP2(第2の期間)において、例えばコンプレッサMC−1が停止されるまで、この動作が維持される。
以上のように、実施の形態1では、制御部7iが、3相スイッチ整流器100iの電源起動時に、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が全てONした状態に維持されるスイッチングパターンを生成する。これにより、例えば、3相スイッチ整流器100i内の出力側に設けられた直流リアクトル2i及びコンデンサ10iが共振回路として動作することを抑制でき、3相スイッチ整流器100i内における直流リアクトル2iやコンデンサ10iによるエネルギーの蓄積を抑制できる。この結果、機器MCにおける各機器MC−1〜MC−7への電力供給を行いながら、3相スイッチ整流器100i内の出力側における誘起電圧の発生を抑制できる。
したがって、3相スイッチ整流器100i内の出力先の機器MC内における素子(例えば、インバータINVにおける半導体素子)にかかる電圧を抑制でき、その素子の劣化を抑制できる。
また、実施の形態1では、制御部7iが、3相スイッチ整流器100iの電源を起動してから機器MCが実質的に起動するまでの期間TP1(図4参照)に、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持する。また、制御部7iは、機器MCが実質的に起動した後の期間TP2(図4参照)に、各相のスイッチングパターンをPWM変調しながら前記複数のスイッチング素子が所定のタイミングでON/OFFされるスイッチングパターンを生成する。これにより、機器MCが実質的に無負荷である場合に、3相スイッチ整流器100i内の出力側における誘起電圧の発生を抑制できるとともに、機器MCが負荷を有する場合に、入力電流をその高調波を低減した正弦波とでき、直流電圧を一定に安定させることができる。
また、実施の形態1では、制御部7iが、機器の負荷に関する信号をコントローラCTRから取得し、取得された信号に応じて機器MCが実質的に起動するタイミングを判断する。これにより、制御部7iは、3相スイッチ整流器100iの電源を起動してから機器MCが実質的に起動するまでの期間TP1と、機器MCが実質的に起動した後の期間TP2とを決定することができる。
なお、コントローラCTRは、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数と膨張弁MC−4の開度と外気温とに基づいてコンプレッサMC−1の負荷を推定する代わりに、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数とコンプレッサMC−1の吸入側圧力とコンプレッサMC−1の吐出側圧力とに基づいてコンプレッサMC−1の負荷を推定してもよい。
例えば、コントローラCTRは、図5に示すように、コンプレッサMC−1におけるインバータINVからモータMへ供給されるモータ電流等を取得して、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数を推定する。また、コントローラCTRは、コンプレッサMC−1の吸入側に設けられた圧力センサーSNS−3からコンプレッサMC−1の吸入側圧力に関する信号を取得し、コンプレッサMC−1の吸入側圧力を推定する。コントローラCTRは、コンプレッサMC−1の吐出側に設けられた圧力センサーSNS−4からコンプレッサMC−1の吐出側圧力に関する信号を取得し、コンプレッサMC−1の吐出側圧力を推定する。
コントローラCTRは、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数と、コンプレッサMC−1の吸入側圧力と、コンプレッサMC−1の吐出側圧力とが、コンプレッサMC−1におけるモータMの負荷に対応付けられた負荷決定テーブルを有している。負荷決定テーブルは、予め実験的に取得され、コントローラCTRに設定されたものである。コントローラCTRは、上記の推定を行ったら負荷決定テーブルを参照し、コンプレッサMC−1におけるモータMの回転数の推定値と、コンプレッサMC−1の吸入側圧力の推定値と、コンプレッサMC−1の吐出側圧力の推定値とに対応する負荷の値を決定する。コントローラCTRは、決定された負荷に応じて、コンプレッサMC−1におけるモータMの負荷に関する信号を3相スイッチ整流器100iへ供給する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる3相スイッチ整流器100jについて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1では、コンプレッサMC−1の負荷を3相スイッチ整流器100iの外部のコントローラCTRで推定しているが、実施の形態2では、コンプレッサMC−1の負荷を3相スイッチ整流器100jの内部で推定する。
具体的には、図6に示すように、3相スイッチ整流器100jは、電流検出部50jをさらに備え、制御部7iに代えて制御部7jを備える。
電流検出部50jは、3相スイッチ整流器100jの入力電流を検出する。具体的には、電流検出部50jは、例えば、電流検出器50j1(例えば、カレントトランス)を有し、電流検出器50j1を用いて、3相の入力交流電流のうち少なくとも1相(例えば、R相)の入力交流電流を検出する。電流検出部50jは、検出された入力交流電流の値を制御部7jの負荷推定部7j1へ供給する。
制御部7jの負荷推定部7j1は、線電流と線間電圧とに応じて、コンプレッサMC−1の負荷を推定する。
例えば、負荷推定部7j1は、R相の線電流の値を電流検出部50jから受ける。負荷推定部7j1は、例えば、R相電圧及びS相電圧の値をそれぞれ受ける。R相の線電流の値をIrとし、R相電圧及びS相電圧の値をそれぞれa、bとすると、コンプレッサMC−1の負荷は、√(3)×Ir×(a−b)の数式により推定できる。
このように、実施の形態2では、制御部7jが、3相スイッチ整流器100jの入力電流を検出し、検出された入力電流に応じて機器MCの負荷を推定し、推定された負荷に応じて機器MCが起動するタイミングを判断する。これにより、制御部7jは、3相スイッチ整流器100jの電源を起動してから機器MCが実質的に起動するまでの期間TP1(図4参照)と、機器MCが実質的に起動した後の期間TP2(図4参照)とを決定することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる3相スイッチ整流器100kについて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1では、機器MCが起動されたことに応じて、複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONに維持する制御動作から複数のスイッチング素子SW1〜SW3をPWM変調しながらON/OFFさせる制御動作への移行を行っている。
しかし、本発明者が詳細に検討を行ったところ、複数のスイッチング素子SW1〜SW3をPWM変調しながらON/OFFさせる制御動作を行うことで、機器MCの負荷が所定値以上(通常負荷時)であれば、3相スイッチ整流器の入力交流電流における高調波を所定の要求ノイズレベル以下に低減でき、直流電圧を所定の要求安定レベル内に収めるように安定化できる(図18(a)参照)が、機器MCの負荷が所定値より小さいとき(軽負荷時)にも、この制御動作を行うと、3相スイッチ整流器の入力交流電流における高調波を所定の要求ノイズレベルを超えて大きくなり、直流電圧を所定の要求安定レベル内に収めることが困難な傾向にあることが分かった(図18(b)参照)。
そこで、実施の形態3では、3相スイッチ整流器100kの入力交流電流における高調波を所定の要求ノイズレベル以下に低減でき、直流電圧を所定の要求安定レベル内に収めるように安定化できる(図18(a)参照)ような負荷の下限値に相当する負荷の閾値Lthを用いて、複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONに維持する制御動作から複数のスイッチング素子SW1〜SW3をON/OFFさせる制御動作へ移行すべきか否かを判断する。
具体的には、3相スイッチ整流器100kの制御部7kにおいて、負荷推定部7i1(図3参照)には、負荷の閾値Lth(図7参照)が設定されている。負荷の閾値Lthは、3相スイッチ整流器100kについて、3相スイッチ整流器100kの入力交流電流における高調波を所定の要求ノイズレベル以下に低減でき、直流電圧を所定の要求安定レベル内に収めるように安定できる(図18(a)参照)ような負荷の下限値に対して、所定の動作マージン分が加算された値として、予め実験的に決定されたものである。
また、制御部7kは、図7に示すような動作を行う。図7は、制御部7kの動作を示すタイミング図である。
図7に示すタイミングt0において、制御部7kの負荷推定部7i1(図3参照)は、パワーモジュール電源7i2を介して3相交流電源PSがONされたことを認識する。また、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷に関する信号に応じて、コンプレッサMC−1が停止状態にあると判断する。負荷推定部7i1は、この判断結果に応じて、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が全てONした状態に維持されるように、スイッチングパターン発生器5に指示する。
これに応じて、スイッチングパターン発生器5は、図15に1点鎖線で示すようにONレベルに固定されたR相パルス、S相パルス、T相パルスを生成して駆動回路6に出力する。駆動回路6は、複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持させる。
タイミングt1において、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷に関する信号に応じて、コンプレッサMC−1に負荷が生じたことを認識し、コンプレッサMC−1が起動されたものと判断する。また、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷と負荷の閾値Lthとを比較し、コンプレッサMC−1の負荷が負荷の閾値Lthより小さい、すなわちコンプレッサMC−1の負荷が負荷の閾値Lthに達していないと判断する。負荷推定部7i1は、この判断結果に応じて、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が全てONした状態に維持されるように、スイッチングパターン発生器5に指示する。
これに応じて、スイッチングパターン発生器5は、図15に1点鎖線で示すようにONレベルに固定されたR相パルス、S相パルス、T相パルスを生成して駆動回路6に出力する。駆動回路6は、複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持させる。
タイミングt0から期間TP11(第1の期間)が経過したタイミングt2において、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷に関する信号に応じて、コンプレッサMC−1の負荷を認識する。負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷と負荷の閾値Lthとを比較し、コンプレッサMC−1の負荷が負荷の閾値Lthと略等しい、すなわちコンプレッサMC−1の負荷が負荷の閾値Lthに達していると判断する。負荷推定部7i1は、この判断結果に応じて、各相のスイッチングパターンをPWM変調しながら双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が所定のタイミングでON/OFFされるように、スイッチングパターン発生器5に指示する。
これに応じて、スイッチングパターン発生器5は、図15に実線で示すようなPWM変調されたR相パルス、S相パルス、T相パルスのスイッチングパターンを生成して駆動回路6に出力する。駆動回路6は、スイッチングパターン発生器5から供給されたスイッチングパターンに従って、複数のスイッチング素子SW1〜SW3をそれぞれ所定のタイミングでON/OFFさせる。
タイミングt2から期間TP12(第2の期間)が経過したタイミングt3において、負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷に関する信号に応じて、コンプレッサMC−1の負荷を認識する。負荷推定部7i1は、コンプレッサMC−1の負荷と負荷の閾値Lthとを比較し、コンプレッサMC−1の負荷が負荷の閾値Lthより小さい、すなわちコンプレッサMC−1の負荷が再び負荷の閾値Lthを下回ったと判断する。負荷推定部7i1は、この判断結果に応じて、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が全てONした状態に維持されるように、スイッチングパターン発生器5に指示する。
これに応じて、スイッチングパターン発生器5は、図15に1点鎖線で示すようにONレベルに固定されたR相パルス、S相パルス、T相パルスを生成して駆動回路6に出力する。駆動回路6は、複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持させる。
タイミングt3以降の期間TP13(再び閾値を下回っている期間)において、コンプレッサMC−1の負荷が再び負荷の閾値Lthを超えるまで、この動作が維持される。
このように、実施の形態3では、制御部7kが、3相スイッチ整流器100kの電源を起動してから機器MCの負荷が閾値Lthに達するまでの期間TP11に、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3を全てONした状態に維持し、機器MCの負荷が閾値Lthを超えている期間TP12に、複数のスイッチング素子SW1〜SW3をPWM変調しながらON/OFFさせるスイッチングパターンを生成する。これにより、機器MCの負荷が所定値以上である(通常負荷時)ときだけでなく機器MCの負荷が所定値より小さいとき(軽負荷時)においても、3相スイッチ整流器の入力交流電流における高調波を所定の要求ノイズレベル以下に低減でき、直流電圧を所定の要求安定レベル内に収めるように安定化できる。
また、実施の形態3では、制御部7kが、機器MCの負荷が再び閾値Lthを下回っている期間TP13に、双方向スイッチ回路3における複数のスイッチング素子SW1〜SW3が全てONした状態に維持されるスイッチングパターンを再び生成する。これにより、機器MCの負荷が動的に変動する場合でも、3相スイッチ整流器の入力交流電流における高調波を所定の要求ノイズレベル以下に低減でき、直流電圧を所定の要求安定レベル内に収めるように安定化できる。